運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-02-23 第38回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十三日(木曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            東   隆君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            河野 謙三君            重政 庸徳君            仲原 善一君            堀本 宜実君            阿部 竹松君            大河原一次君            北村  暢君            戸叶  武君            安田 敏雄君            棚橋 小虎君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 周東 英雄君   政府委員    経済企画政務次    官       江藤  智君    農林政務次官  井原 岸高君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林大臣官房予    算課長     桧垣徳太郎君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    運輸政務次官  福家 俊一君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    日本国有鉄道営    業局長     遠藤 鉄二君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林水産政策に関する件)  (昭和三十六年度農林省関係予算に  関する件)  (農林畜水産関係物資国鉄貨物運  賃に関する件)   —————————————
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林政策に関する件及び昭和三十六年度農林省関係予算に関する件を一括議題といたします。  両件についての農林大臣に対する質疑を行ないます。質疑の方の発言は、順次委員長が指名いたします。なお、質疑応答を含めて三十分以内にお願いいたします。堀本宜実君。
  3. 堀本宜実

    堀本宜実君 麦の転作について政府はいろいろ計画を持っておるようでありますが、そこでいずれに転換するか、これは重大な問題でございまして、それぞれの計画法案が出ましたときに、具体的問題についてはなお一そう質問をいたしたいと存じておりますが、きょうはもっぱら果樹方面についての質問をいたしたい、かように存じます。  まず、麦を小麦テンサイ糖菜種飼料作物等転換をされる、そういう指導をしようという計画のように聞くのでありますが、農業の中での成長部門というと、畜産果樹園芸でありますが、この畜産方面については、飼料自給対策として、麦そのもの飼料にかえる場合もありましょう。あるいは牧草等によって転換をいたしていきます面もあるだろうと思うのでありますが、この麦の転換が、果樹についての考え方が私はないと思うのでありますが、具体的にその方面考え方についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  4. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) これは転作というものについても考えていきたいと思いますが、それ以上に成長作物として果樹は大きく別に考えて、近く果樹振興法といいますか、この法律を出して御審議をお願いすることになりますが、その振興法の内容といたしまして考えておりますことは、大体各地方別果樹として振興すべき種類を目標としてきめまして、その種類ごとに将来の伸びの見通し等考えて、これらの作付けを奨励していきたい。当然そのやりますについては、大、裸麦等をその方へ転換させるということも含めて考えてよろしかろうと思うのであります。果樹振興法の提出によりましていろいろ御審議を願いますが、それらにつきましては特にこれと関連いたしまして新しく果樹地帯を作るとか、あるいは共同して果樹園を設定するという場合に必要なる資金融通、特にこのたび新しくこれも御議を願うはずになっております農業近代化資金融通法案に基づいての資金融通もまたこの方面考えていきたい、かように考えておる次第であります。
  5. 堀本宜実

    堀本宜実君 果樹振興法の制定並びに資金融通その他の問題につきましては、私も了承いたすのでありますが、麦の転作という問題が発生して以来、全国の各地におきましては、すでに果樹園転換をしようとする考え方がきわめて強いのであります。それが行政的な指導がないために、たとえばこれらの適地につきましては、集団産地造成というものでなければ果樹振興法趣旨にも沿わない。現に全国見渡して現在、果樹の苗というものはもうなくなりました。そうして永年作物でありますから、五年十年の先でなければ、いかに植栽いたしておきましても、いかなる果実が結実するかさえもわからない状況のもとに、奪い取りで、しかも二倍三倍の価格で取引をされておる現状なのであります。こういうことは、ただに成長部門であるというだけでなしに、大、裸麦というものを、もはやこの現在の状況下において転換をしなければならぬ、そういう考えの下に、果樹園の方に転換していく。これは自然に転換しようとしておるのであって、行政的措置が講じられていないのですね。何も講じられておりません。これは果樹農業だなどというのは自前農業でありまして、つい去年、課が新設されたのみでございます。所得ウエイトから見ましても、五・八のウエイトを持っておりますものが、わずかに十数人の課を編成したにすぎないのでございます。三・三のウエイトを持っております養蚕には局がございます。そういうものから考えて見ますると、この麦の転作について、もっと全国的な立場に立って適地に、しかも集団産地造成をはかるのだという立場から指導しなければ、私はほんとうにこの麦の転作にはならない。これが欠けておるのじゃないか。少なくとも苗木の購入に対する手当だとか、あるいはそれに対しまするいろいろな施策が、行政的指導が要請されておるのでございますが、それが今の麦転作の実施の方法としては他に果樹奨励の方策が見られるのでありますけれども、この面からは何らの見るべきものがない。これははなはだ遺憾に私は思います。これは現実にないことを知っておるのでありますから、私はこれ以上お伺いをしてみても不適当だと存じまして、これ以上は申し上げませんが、少なくとも果樹というものは適切な指導をしなければならない段階にきているということだけは大臣は十分に御了承おきを願いたい、かように存じます。  この機会に重ねて私は質問をいたしたいと存じますが、果樹は、御承知のように、これは果樹振興法の中にもございますが、集団産地でないと、共同防除、あるいは共同出荷、集荷、販売の面がうまくいかない。しかも私の知っておる限りにおきましては、わが国の果物の所得状況を見ますると、生産者が三でございます。それから荷作り、運送、御売が四でございます。小売業者が三を取っております。三・四・三の比率で所得が分けられておるのでございまして、一年中肥料をやり、肥培管理を行なって防虫害防除をして、そうしていろいろとこれを商品化さなければなりませんが、それがわずかに三の所得しか得られない。これはいろいろこれに対する対策考えておいでのようでございますから、私はいずれまた法案が出ましたときにお伺いすることにいたしますが、そういう中間の利潤というものをなくして、そうしてなるべく共同化に持っていくという立場に立たなければならないと思うのであります。そうしてしかも、それが最近ではなまでこれを食するというのでなくて、加工をして供給をする。しかもミカンカン詰等は三百五十万ケースがおそらく十年の後にはそれの三倍程度の販売が可能であろうと見通しをつけておるようでございます。そうしますと、ブドウにいたしましても、リンゴにいたしましても、ミカンにいたしましても、その他のものがそのままなまだけで内地だけで供給され、消化され、消費されるというわけのものではないのであります。どうしても私は加工に持っていかなければならない、その加工指導者おらないのですね。私は今の果樹指導段階加工指導というものがないほど、あわれなものはないと思うのであります。しかもこの声が盛んになったので、今度園芸課加工係一人を設置しますといいますか、置くようなことを伺っておるのでございますが、ミカンカン詰等は、以前に通産大臣所見を文書になったものを見ますと、日本の重要な輸出品では第一になるであろうという観測を発表いたしております。そういう立場から考えてみますと、私は加工指導というものが大へんおくれておるというふうに考えるのでありますが、これは大臣はどういうふうにお考えになりますか、所見を聞かしていただきたいと思います。
  6. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お答えをいたしますが、だんだんの御意見もっともな点が多いのであります。ことにこれから振興し、生産が伸びるという果樹については、お話しのように、やはり集団栽培ということが私は必要になってくると思います。この点は果樹振興法と名づけましてこれに対する法律を出す中にも、特にその方向指導していくつもりでございまするし、特にただいまのような病害虫の駆除というものは、集団したところに一斉に行なわなければ、この人はやったけれども、この人はやらぬということでは効果ございません。そういう点から見ましても、集団ということが必要だと思います。これが指導中心になると思います。ことに資金関係等の問題なり、あるいはただいまお話しになったようになまのままで売るということよりも、ミカンとか、ナシとか、桃とかいうものにつきましては、かなりカン詰となって輸出の伸びる点が非常に期待される状況でありますので、そういう意味からいいましても、集団栽倍と同時に、そういう果樹栽培者が作る法人的なものを、法人を作ることも認めたいというような考え方でおりますから、御趣旨に沿うことと思いますが、その点につきましても、特にただいま御指摘のような加工指導のりっぱな人がおらない。これは技術的にも価額的にもいろいろ伸びれば伸びるほど、輸出として品物の変わらぬりっぱなカン詰を作るということが必要でありましょうから、この加工指導技術者というようなものをふやして間違いない指導をさせるということが私本必要だと思います。全般を通じまして今度の成長農産物指導にあたりましては、畜産その他一般につきまして、今度農業改良普及員等これの中に技術的な特技を持つものをふやしたらいいじゃないかという話がありますけれども、なかなか増員しても適格者がすぐに得られませんので、それなんかは、かなり園芸試験場とか、あるいは各都道府県にある農事試験場園芸部とかいうところで技術的指導を加えて、現在の農業改良普及員等にそういう特技を持たせる方向を予算的に考えております。当然今後の問題として、ただいま御指摘のように、果樹加工指導というようなものもただいまの中にもしも入っておらないとすれば、それを加えてやることが必要であろうと思いますし、中央における、農林特等における指導に当たる中心部の、それはただいま一人ふやしたという話ですが、これも足らぬと思いますが、将来は検討いたしまして善処いたしたいと思います。
  7. 堀本宜実

    堀本宜実君 これは御相談ですがね。ここで答弁をすればそれで済むわけなのでありますが、これは加工に関しまする職員なり、技術者というものは農林省にはほかにおるのですよ。これがなわ張りというものがやはりありましてね、そうしてちゃんとそういう指導者がおっても、新しい園芸課なんていうのには配給にならないのですよ。これを配分されるように、またわれわれが見ても、ここで申し上げることはどうかと思いますが、もうたくあんをつけるだとか、あるいはその他の加工で必要なのがありましょう。ありましょうけれども、それ以外にもっと重要な成長部門であるべき果樹園芸加工というものを充実するととが一番私は急務だと思う。だから予算措置ができていないが、将来来年度からやるというのでなしに、すでにおりまするものを配置がえなり、何らかの方法転換をしていけばできないことないのですよ。そういうことを私は、その必要があるというふうにお認めのようでございますので、ぜひともそれを一つよく部下に御調査を命ぜられまして、そして大臣の方からその必要度に応じて配置転換なりをしていかれるのがよかろうと思う。加工班といいますが、複数でなければ班といえぬのか、一人でも班といえるのか、それはわかりませんが、加工班を置くというのでありますが、一人ではどうにもなりません。ブドウ加工にいたしましても、今後は外国ブドウ生産あるいは加工の状態から考えてみましてもそうでございますし、いろいろなジュースの問題、果汁の問題、いろいろな問題がありますが、そういう問題について、特に大臣においてさっそく部内でできる処置を講じていただけるかどうか、そういう点についてお考えを聞かしていただきたい。
  8. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) ただいま申しましたように、今各府県等にこれからやろうとする成長農産物に対する栽培から加工等指導について、増員がなかなかむずかしいので、今、普及員の再訓練等を技術的にするという計画がございます。特に陶芸関係におおきましては、加工部門ではございませんけれども、国立の試験場農事試験場園芸部というもの、または各府県にある農事試験場園芸部というようなところで再訓練をするというようなことを計画的にやっておりますし、またやらんとしております。そういうことから考えまして、現存ある人間を再訓練をして、そういう方向に使うということは、一つの私はいい御意見だと思います。本省あたりにおける他の仕事をやっておる者を配置がえして、直ちに役に立つかどうかということもありますが、ほかに、今やっていることから見て、検討をするという必要があろうと思います。よく調査し、研究してみたいと思います。
  9. 堀本宜実

    堀本宜実君 これは要望でございますが、先ほどからも申し上げまするように、果実に対しましての指導というものが、新興産業といいますか、農業の中では比較的新しい部門でありますので、従ってこれらの団体につきましてもいろいろ特殊なものがございまするし、あるいは総合的な団体もございまして、まだ農林省団体指導に関しまする統一した意見がないように思われます。これらはすみやかに今後特殊農協でいくのか、あるいは総合農協でいくのか、そういう点ももとより必要でございましょうが、行政機関だけでこれらの産業発展、充実さしていこうということは、大へん無理なことでございますので、少なくともみずからがやるという年産者団体が、しかも統一ある行動のもとに燃えてくるということにおいての発展というものの形態が大きく望まれておりますので、農林省におかれましてもそういう点が何か痛いものにさわるという考え方でなくして、積極的な立場でこうあるべきだという考え方のもとに御指導を願いまするように要望をいたしておきたい、かように存じます。
  10. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) ごもっともな御意見でありますが、ただ全国一律にこれは特殊農協を作ってやっていくというふうにきめることも、いかがかと思いますが、おのずから地域的に考えまして、これは総合農協仕事よりも、専門的に特殊農協を作った方がよろしいという地域においては、必ずしもこれを総合農協に統一しなければならぬというふうに私は考えません。それから今申しましたように、集団的な地域に大きく伸びる果樹園芸、しかしこれを生産から加工販売まで共同で強く大きく農村を守っていくということから考えて、あるいは総合農協の片手間でやるよりも、むしろ専門的な形で特殊農協でやるということも、やはり私はあり得る場合があろうと思います。その具体的場合によって考えていきたい、かように考えております。
  11. 北村暢

    北村暢君 私はただいまの堀本委員麦対策に関連してお伺いいたしたいと思いますが、今堀木委員の主張せられる麦対策転換一つとして、果樹振興方向へ持っていくということは、私は主張として非常にいいことだと思うのです。ところが、全農林省考えている麦対策の、大、裸麦作付転換にあたって、小麦増産、それから菜種ビート、これに作付転換指導していく、このように伺っておるのでございますが、私はこの転換について非常に疑問を持っている。一つ小麦転換をして、小麦増産をやっていくというのでありますけれども、これは国内小麦用途関係からいって、増産してはたして結果的にいいかということになりますと、パン等については外麦の方が適切である。そういうような点からいって、必ずしも国内小麦増産ということが、今後の小麦用途の点からいって疑問があるのじゃないか、このように一点思いますが、私は小麦の点についてはこういうような疑問を持ちますし、それから菜種の問題については、これは菜種青刈り飼料として使うならいざ知らず、油を取るということになれば、絶対に大豆に対して劣等材である。でありますから、菜種転換をするということも私は好ましい方向ではないのじゃないか。それからテンサイについてでありますが、テンサイについては、大麦テンサイに切りかえる北海道等ならいざ知らずですが、また小麦の場合でも、北海道は部分的にハードのものができますから、これも若干いいのでありますが、いわゆる暖地ビートというような形で、大、裸麦暖地ビート転換するということについては、これは非常に大きな危険があるのではないか、このように考えておるのです。従って、私の考えでは、大、裸麦作付転換というものは、相当慎重を要するのではないか。現存の食糧としては、これはもう売れなくて困っておることは認めるわけでありますけれども、今後の日本農業の伸びる成長材としての果樹畜産ということが大いに考えられるのでありますから、当然この作付転換もいいのでありますが、大麦コストダウンをやりまして、これを飼料化するということが、今後の大きな問題ではないかと、私はそういうふうに思うのであります。今度四十億をかけて作付転換をやるということについて、大、裸麦飼料化コストダウン施策を大いにやるべきではないか、こういうふうに思うのでございますが、この麦対策に対しての農林省小麦転換をする、あるいはテンサイ菜種転換するという指導は、私はこれは将来非常に問題がある。やはり将来の成長材である果樹、あるいは畜産飼料、どういう問題を一つ重要に考えるべきでないか、このように思うのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
  12. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 御意見の点一応ごもっともに聞こえますが、私ども小麦一つ取り上げたのは、必ずしも御意見のように考えないのです。と申しますのは、現在二百万トン輸入しているのです。その中でお話しのような、ハード小麦が大体百二十万トンくらいですけれども、ソフトの小麦軟質小麦というものは残り八十万トンくらいです。これなんかは当然私は日本で作っていける、ある程度。こういう点もありますし、小麦ハードの方につきましては、すぐ来年からどうということはできませんけれども、これは前の話ですけれども昭和八年ごろには一応この試験場におきまして、ハード小麦品種改良等によって固定されて、五年ぐらいかかりましたが、りっぱにできるということが日本で証明されて、それでこの国会の建物ができたとき外国人を呼んだときのパンは全部日本小麦で、それが非常に賞讃されたのですが、それが地方的に入ってこの試験場で作ったハード小麦が、そこは土地柄になついたけれども、これを地方的に移して、はたしてこれがなじむものかどうか。これがまた一、二年かかるはずだった。そこに戦争が始まってそのままになっているという前例がありますので、やはりあわせて二百万トンも輸入をいたしております小麦というものを、何とかし国産化するということは考えていいのではないか。そういう意味において転換考え輸入を防遏しつつ農家に所得を増すという方向からいえば、この小麦について考えていく必要があると、さしあたって、もちろんハードになるとしても、軟質小麦考えていこう、こういうことが一つねらいでございますので、この点は御了承いただきたいと思います。  さらにビートの問題です。これは御意見もっともと思うのです。しかし最近におきまする北海道以外にだんだんと暖地ビート研究の結果育成されてきて、たとえば岡山のごとき、大体砂糖大根はできることははっきり認められてきました。そういたしますると、これも御承知のように、まあ今日原糖輸入が百十万トン前後入れております。私ども計画としてはやはり甘味資源としてこれだけ外から買うているものを、せめて数年間で七十万トンくらいは自給したい。その中には四十万トンはテンサイ糖で、あと結晶ぶどう糖とかというふうな澱粉から取るもの及び小笠原その他にできますカンショ糖、そういうものを考えて増加していきたい、こういう考え方なんですから、これはあなた御承知だろうと思いますけれども、何もカンショ糖ばかりで、輸入している原糖で世界の各国が砂糖を食べておるのではなくて、北欧その他の国々では大体テンサイ糖が主でございますが、そういうものについて日本土地柄が合っているというなら、これはふやしていくことは、やはり輸入を防遏しつつ自給度を増すという考えで、北海道寒地ビートはもとよりのこと、暖地ビートに対しても試験研究が進んで参りましたから、これを進めていったらどうかと、かように考えておるわけであります。  菜種については、なるほどこれも御意見もっともであると思います。これも私ども考えますのに、必ずしもこの大豆に比べて搾油上劣等だという、落ちているというふうにも断定はいかがか、というのは、御承知のように、この大豆菜種とは含有率が全然違うのです。大豆は一四%か、二五%、多くても一六%、菜種の方は四〇%ないし三五%ぐらいの含有率を持っている。しかも、その菜種油というものは戦争中及びその後におきまして、長い間食用油としては相当のものであったのですから、一部分その方へ考えていくのも一つ方法じゃないか。大豆についても生産を増強し、だんだん品種改良をして反当増加を考えておりますけれども、とにかく搾油原料大豆というものが大幅に入っております、そういう点の大豆に持っていく部分になる。日本土地柄含有量の多いものはむずかしいとすれば、なおさら菜種というものが日本にできるのだから、これについて考えたらどうだろうかというのが一つ考え方でございます。もちろんかすの利用におきましては、大豆かすの方が飼料といたしましても、肥料といたしましてもかなりいいのでございましょう。その点菜種かすをどう考えるかという問題がありますが、そういう点で一応将来の食用油等にも、おのおの自給度向上という立場から一つ考えてみたいというのが私ども考えでございます。これは実行にあたっては、御指摘のように十分どの地方にどうするかということは慎重に考え指導していきたいと、かように考えております。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 ちょっと北村さんのに関連して大臣に伺いたい。大麦裸麦転換小麦なり菜種なり、テンサイにやる。この方針については国策として当然なことであります。これは異論を挾む余地がないのですが、ただ現実に粉の流通市場を見ますと、われわれの常識では、パン外麦一般めん類は内麦、こういうふうにわれわれは割り切ってながめておったのですが、現実流通市場はそうじゃないのです。たとえば私も最近この流通市場を調べて驚いたのですが、最近非常に消費の伸びたうどんですね。これは当然内地の麦のみによってまかなわれていると思っていた。ところが、内地の麦だけでなしにうどん相当輸入小麦粉というものを入れなければ売れ行きが悪いそうです。というのは、うまいまずいよりも、むしろ色を白く上げるためには外麦を入れなければだめだと、こういうことなんですね。これが現実流通市場の姿ですよ。そういう点を考えますと、単に理屈の上から、また国際対策の上からだけで考えましても、現実に国民の趣味、嗜好から出発したところの流通市場というものは、そう動いていないのですね。これらについても十分今から御配慮願わぬと、結論は今北村さんのおっしゃるように、内地小麦増産をやる。そうしてこれはめん類はもちろんのこと、パン食にも適用するようなものを作る、これはいいんですけれども、その方向に持っていく過程において、いろいろちぐはぐな問題が起こってくると思うのですよ。内地のめん類に外麦を使っている、こういうことについてはとりあえず政府はどういう措置をとられるか。  それからもう一つ菜種の問題ですが、今度いよいよ大豆が自由化されますと、菜種の処分に私は困りはしないかと思う。この間何か新聞を見ると、閣議で総理大臣が何か発言されたように出ておりますが、わずか全販が手持ちした五千トン程度の菜種でも売れないので、輸入大豆と抱き合わせでようやく強制的に割り当てて処分した。今度輸入大豆との抱き合わせということはできなくなるのです。そうなったときに、一体菜種の処分をどうするかということについては、あらかじめ政府はどんなふうにお考えになっているか。これはついでに、ちょっと今の北村さんの御発言に関連して伺っておきたい。
  14. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) お尋ねの第一点ですが、小麦につきましての問題の中で、外麦に劣らずソフトの方はだんだんできてきます。だからその点は今のお話は十分に今後考えつつ、商品化する場合について製粉のやり方等を考えていけば、必ずしもソフトの方は負けないようにできているようです。これは心配ないと思いますが、しかし御指摘の点については、よく現実内地めん類に対する外麦小麦の事情はよく調べてみたいと思います。  それから菜種の問題についてですが、先ほどちょっとお触れになりました今年大豆を入れましたのは、あれは三十四年度の計画内の数量です、特別に総理が言うたから入れたのではない。その前から計画して、その範囲で入ったので、しかも今度入れましたのは、抱き合わせば一つもしない。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 しています。
  16. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 今度のは大豆との抱き合わせば一つもございません。これは今まで大体済んで、あとに残っている大豆の問題は、別途の処置で動くことになっている。一部菜種と抱き合わせているが、大豆は今度はやりません。菜種の問題ですが、大豆が入ってきて、今度は抱き合わせもできないから、たたかれるだろうという御心配ですが、この点は今度の菜種のこれからの生産につきましても、出産について先ほど北村さんのお答えをちょっと私は落としたのですが、コストダウンというような問題について中心に今度は考えていくわけです。これはまき付から地産までを見て、品質の改良とともに、反当収量の増ということを考えて、コストダウンというような問題をあわせ考えていきます。従って、その場合における、大豆油と菜種油との市場商品化の場合における値段の問題なんか、大きく私は関係してくると思います。ことにただいま申し上げましたように、大豆の方は含有量が一五%くらい、片方は四〇%くらい、そこらの関係がどうなるか。私は御指摘のように心配もしないし、楽観ばかりやっていません。そういう点をコストダウンしてやっていくということは、これは本来日本でできるものを使わないで、外から入るものを食べるということにはならぬじゃないかと思います。これはあくまでも品質と価格の問題として戦かわなければならぬ。これはすべての私は農産物について国際競争力をふやすという問題からいうて、北村さんが先ほどお話になりました、まずコストダウンさせるということが必要なんです。ちょっと先ほどの点にお答えいたしますと、小麦というものは、大、裸につきましても、作付転換をしないで、大、裸等につきましては、やはりまき付から耕作というようなものが、むしろ労働力が一番コストを高くしております。そういう点も場所によって共同化した形において耕作したらどうかというようなこと、とにかくあくまでコストダウンする。そういうことをいたすと同時に、御指摘になったように、飼料化の問題を考えたらどうかというお話でございましたが、これはまだ具体的に申し上げるわけにいかぬですけれども、かなり新しい考案が出てくる。これは私は個人的な話しで恐縮ですけれども現実にわずかな設備をもってあの大麦、裸に対してある特殊な電気の光線を与えると、何といいますか、もやしができますが、大豆のもやしは日陰でやらないでやって、日をあてないで白いものを作るのがいいんですが、それじゃ何かビタミンがだめだというので、飼料としての効果はむしろ日をあててもやしを作る。それが麦を転換させるために大した費用がかからないけれども飼料としての商品価値を上げる。それは飼料として非常に効率が高いのです。これはアメリカでは相当特許でやっております。これはこの前ここでやっておりますが、実験させておるのであります。そういうことがあると大麦、裸のコストダウンをさせ一つ飼料化に際しての特殊な措置を講じて持っていくということになれば、付加価値を高めて農家手取りもよくなるのじゃないかということも考えておるわけであります。これはこの席で申し上げるべきことではないかもしれませんが、つけ加えて申し上げます。従って、菜種大豆の問題は、私は非常に、心配はもちろんしなければなりませんが、今後における商品化された場合における値段と品質の問題がいかに待望されるかということになると思います。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 関連でありましたから、これ以上質問は続けませんけれども、この機会についでに政府に資料を私は求めておきたいのですが、それは、今申しました菜種五千トン程度を全販が手持ちしているものを処分に因って、輸入大豆と抱き合わせで中小並びに大製油業者に強制的に割り当てたことは事実です。こういう問題は、将来大豆の自由化とともに非常に複雑な問題になって私は出てくると思うのですが、そこで資料というのは、従来農産物価格安定法によって全敗連をして澱粉なり菜種を買わしておりましたね。その全販の菜種なり澱粉の収支計算ですね、これは全販は別の会計になっていると思うのです。その会計の結末を私は一つ御報告願いたいと思うのです。特に私がこの資料を要求するのは、全販というものが政府の政策に従って、農産物価格安定の趣旨に沿って買い上げあるいは販売をするのはけっこうですが、それによって全販がもうけていることは私はないと思うのですがね。しかし、最近のこの菜種なりその他の全販が手持ちしたものの処分にあたっては、えてして輸入大豆というものを道具に使って、そうしてこれを政府の権力を背景に持って強制的に処分をしておる、こういう結果になる。この段階においては損をしっこない。そうでなく、自由に販売したものもあるはずです。自由に販売したものは損して売っていない。いよいよ売れなくなったときには輸入大豆と抱き合わせで売っている。これも損をしない。こういうことになれば、この収支計算というものは、私の想像するところでは、どうなっているのか、損をさせるべき性質のものじゃないけれども、これによってもうけさすべき性質のものでもない。これについては全販のこれらの農産物価格安定法の対象になっている物資の経理関係を、一つ農林省は当然監査もし調査もしておるでしょうから、一つ御報告いただきたい、こういうふうに私は思う。しかし、私が資料を求めるまでもなく、大臣が先刻御承知で、いやそれはこうなっているということがおわかりなら、私は大臣から御答弁いただいてけっこうですが、どうでしょう。
  18. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) よく調査資料を整えまして差し上げることにいたします。
  19. 青田源太郎

    青田源太郎君 私はちょっと近代化資金のことについてお尋ねいたしておきたいのですが、今度の池田内閣は農業基本法をいよいよ提出されることになった。また、基本法の趣旨に沿って、農林省がすでにそういった施策を予算面に相当芽生えしていることが事実でありまして、私ども非常に大きく期待しておるわけです。そこで、農林省の本年度の予算の重要施策に取り上げてあるところのこの近代化資金、これを今後相当農業協同組合の系統資金政府が利子補給するとかあるいは債務保証して拡大するというようなことをいわれておるので、非常にけっこうであると思います。その問題につきまして、私は少しお尋ねいたしたいと思う。  まず第一にお尋ねいたしたいのは、この政府が今考えられておる近代化資金融通制度要綱が出ておるわけですが、その要綱に基づいて、少し不審な点をお尋ね申し上げたい。この要綱の趣旨に、この制度は当分の間利子補給をするということが書いてあるのですが、この基金は政府も言っておられる通り、相当長期で、三年間据え置きで十年の償還期限があるというような、一方では長期なように書いてあるのですが、利子補給は当分の閲するというようなことが書いてあるので、この二点をどういうようなお考えであるか、お尋ね申し上げたい、かように思います。
  20. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私どもこの制度を新たに設けましたゆえんは、できるだけ新しい政策に基づいて農村に必要な資金を流すという趣旨のもとに作っておりますから、これは将来も国の投融資関係で出る金と、また系統金融機関の金を活用するという面では、私は今後もこれは続けていきたいと思います。ただしかし、申し上げておきたいことは、この問題はいつかもここで申し上げましたようにあくまでも系統金融機関の金というものは、本来利子補給なくとも、農村に安く還元さるべき性質のものである、こう思うのであります。あくまでも農業協同信用組合等、系統金融機関というものは、これはほかの銀行等の営利機関と違って、相互扶助の機関であるということを標榜しているわけであります。ところが、それが現在においては預金は集まるけれども、その金は三分の一程度しか、あるいはひどいのになると四分の一程度しか農村に還元されないで、これはほかへ行っている。こういうことで、どうも自分からの金はたな上げしておいて、国だけから長期低利を出せということは少し話が合わんのじゃなかろうか。こういう意味から本来はこの農業協同信用組合等の系統機関の金を、その精神に基づいて、有効に農村で使っていただきたい、こういうのが本心です。ただしそれが精神的にいっても、なかなかむずかしい点はありますが、ある時期はかかるだろう。その間においては、自己資金をもっと安く預かる、もっと安く供給し縛るような本来の姿に戻してもらうことをお互いに考え、その間において政府は、利子補給しながらその農村の金、農業系統金融機関の金を農村に還元する道を開いていこうという趣旨でございますから、その意味からいうと、いつまでも自分の金は高うて、国の補給だけで貸すということではいかんのじゃないか、こう思っているわけです。しかし今年初めての試みでありますので、三百億の活用の状況、実績に基づいて、もとより三十七年度、三十八年度におきましても、ある程度のものをできれば投下していきたい、こういうふうに思っているわけです。
  21. 青田源太郎

    青田源太郎君 そこでちょっと、この誤解が生じてわれわれ心配しているわけですが、これは短期で一年とか二年とか、今おっしゃる通りだけ貸すのなれば、そういう心配がないわけでありますが、融資は、今貸して、しかも五年とか十年、十五年というような貸付をすると、その途中におきまして、そういうふうな利子補給が打ち切られるということになると、相当金融機関にそういったしわ寄せがくるというような心配から、それが当分の間というようなことになれば、政府の処置には非常に賛成であるけれども、実際の問題が、そういうような融資が私は円滑にいかないのじゃないだろうか、こういうような心配をするのですね。それといま一つは、大臣が今おっしゃったように、非常に系統金融は高いと、こういうようにおっしゃいますけれども、私ども考えているのは、系統資金の貸付金がほかの中小企業の、いわゆる銀行、一般信託等の資金から比べて、決して高いことはない、ただ単に農民の生産性とかあるいは資金の回転率、あるいは利潤等からいうて、農業というものは、非常に利益が薄い、こういう点から一般の市中銀行の金利では、この農業生産が収支が合わない、こういう点から大臣がおっしゃる通り、安い金利で貸して、そしてどこまでもやはり政府が利子補給とか何か、こういう助成をせんことには、実際末端の農業の再生産資金には、一般の金利では私はとても活用できないのじゃないか、こういうように思うのですが。
  22. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) ごもっともなお尋ねでございます。私どもはやっぱりしばらくこれは続けたいと思っております。けれども、当分の間ということは書くつもりはないですよ。それから、ただあくまでもこれは今のような精神で、青田さん御承知の通り、ほんとうに長期な低利な金が必要なんですから、これを自己資金でも、ほかの金融よりかさらに安くして貸せるような態勢をだんだん作っていこうじゃないか、そういうことが片方にやられるとすれば、当然国の方ももう少し考えていこうということに私はなると思うのです。ことにその点は、御心配の点は、一応ことし、かりに三百億円活用されますね、それに対する利子補給は、やはりそれは返るまではずっと利子補給しておるわけですから、それはかまいませんよ、ただ問題は、衆議院でも一面においてはそんなことを大蔵省がやってくれるかとまで心配された質問がありましたが、これから、来年四百億とか、再来年五百億とかいう新しい融資ワクというものを系統機関で考えて、それでだんだん継続していくということで、だんだん利子補給がふえていきやせぬか、こういう御心配でしたら、そのときに大蔵大臣も書っておりましたのは、それは現在の状況から相当考えていいと思う、急にやめる意思はない。やはりそれと並行的に農業信用協同組合系統の方を変えるという方向をとってもらわないと、その方を高う融通しておいて、国の方だけいつまでも低利の金を出すために、利子補給で金を使っていくということはおかしいじゃないか、こういう話をしておるわけです。
  23. 青田源太郎

    青田源太郎君 当分の間という字句を何か一つ、もっと表現の仕方を変えていただけやせぬかということを一つ申し上げたい。先般の岡村議員に対して大臣がすでに説明されたわけでありますが、この利子補給につきましては、政府考えられておるのは、大体末端の農民が七分五厘で、金融機関には二分の利子補給、この二分の問題につきましては、国が一分であって、そして地方公共団体が一分である、こういうことのようでありますが、これは今予算措置がされておるので、困難であろうと思うのですけれども、私ども考えでは、あくまでもやはり国がこういうような施策を打ち立てておるので、少なくとも国が二分ぐらいな利子補給をして、そして地方公共団体とかあるいはこういう系統団体は、さらにそれにできる限りの、各府県の事情あるいは団体の実力等もありましょうけれども、さらにその上にプラスをして、そうして私は末端の農民は少なくともやはり預金金利程度あるいは以下ぐらいな金でなければ、実際七分五厘という金でも、農村が使うのではあまり安くない。農民は六分一厘で貯金しておるというような状況もあるので、できればそういったような預金金利程度に使わすということでなければ、ほんとうの政府が奨励とか推奨してやられる金利水準では、七分五厘では決して安いものではない。それは一般資金からいえば、あるいは安いかもわからないけれども、そういう点では安くない。そういう点から何というても、国が少なくとも私は二分ぐらいな一つ利子補給をするというように、せっかくの施策があるのでお願いができないか、かように思うのであります。
  24. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 全くそこらは、私は個人の資格といいますか、農林大臣の資格でも、賛成です。大いに私ども、せめて二分ということをだいぶ要求したのですが、国の方がいろいろな関係でことしは府県、公共団体の方から一分とってもらう。もとより公共団体の一分は、それは大体基準財政需要額に盛り込んでもらうことにしておりますから、当然国の方からいく交付金の中に入るわけですから、地方には負担をかけないような形で、合わせて二分ということにしております。これは予算の運用で実際の効果をどういうふうにして現わしていくか、またこれらの精神についてよく協力していただくということがだんだんわかって、まだこれじゃ少ないということになれば、将来私どもは努力して、もう少し考えたらどうかというふうに考えております。
  25. 青田源太郎

    青田源太郎君 ことしはそういうような試みで、できる限り国における利子補給という点は、一つ増額をお願い申し上げたいと思います。なおわれわれはなぜこういうことを申すかと申しますと、過般農林省が出された農業団体の再建整備促進法に基づいて国の利子補給あるいは地方公共団体の利子補給、あるいは農業団体みずからの利子補給等で再建整備が済んだんでありますが、この過程におきまして、国とかあるいは団体におきましては利子補給は完全に果したのでありますが、地方公共団体段階においては、もうそういうような農業が再建したのでいいんじゃないかというようなことで、五年のやつを三年あるいは四年以内で利子補給を地方公共団体が打ち切ったという例が、全国的に相当あるわけでありますので、そういう点から申しますと、財政基準額にこの一部を見込んであるといわれても、その地方公共団体の議会においてこれを認めぬということになれば、一方では融資機関は融資してしもうておる、ただ利子補給だけが打ち切られる、こういうことになるんで、私どもはこの利子補給はそういうような金融機関にやるんでなしに直接農民にやるんである、原資は金融機関が提供するけれども、あくまでも利子補給は末端の農民にやるんであるというように、一つ法を変えていただきたい。そうせぬと、そういうような地方公共団体において財政の都合であるとか、いろいろの理由でこれは金融機関にやるんだから、一つ金融機関は相当利益があるんじゃないか、赤字も出ておらぬから少ないというようなことになると、これは私ども従来の経済連の再建整備の利子補給の点から不安があるんで、あくまでもこの資金は末端の農民に渡すというようなお考えに持っていっていただきたい、この点についていかがでございましょうか。
  26. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 便宜かわりまして私からお答え申し上げますが、再建整備のときに、あるいは整備促進等のときに、地方農協の方からの、地方の都道府県からの利子補給等がところによってはまま非常に県費を出すということがむずかしいところもございますことも事実でございまして、それについて残念に思っておりまするが、この近代化資金の問題は、地方でも非常にこれは熱心でございますし、それから先ほど大臣の答弁にもございましたように、これはきちんと基準財政需要に見込みまして、地方交付税の交付金でも基礎に入れる、こういうようなことで話をつけておりますので、きちんとしておりますので、この点は前とはだいぶ事情が違うというふうに考えております。そういうふうなことで、できるだけ県の方もそういう非常に積極的な気分でございますので、そういう気分に乗りまして、県の方でも相当やはり力を入れてもらう、こういう態勢で進めることがいいんではないだろうかというふうに考えていますので、できるだけそういう線で、県の方で出し渋ることのないように、そういうことを十分一つ指導といいまするか、連絡といいますか、そういうものを十分一つやっていきたいと思います。
  27. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 農林大臣は、非常に時間の関係があるとかですから、十二時には切り上げるようにお願いをいたしておきます。
  28. 青田源太郎

    青田源太郎君 それからこの融資機関が中央金庫あるいは連合会、単協と、こういうように書いてあるのでありますが、この融資機関ということにつきましては、なるほど共済連あるいは銀行その他の農業系統金融というのがあるんでありますが、これは私は少なくともやはり窓口は一元化するというふうにきめていただきたい、これはあらゆる団体がそういうふうなことができるというようなことで、農林省も御承知の通り、農林金融の交通整理とか、あるいは一元化というようなことを唱えておりながら、今度の融資機関でも、銀行であるとかあるいは連合会というような、ばく然たるようなことに書いてあるのでありますが、これは将来やはり農林金融を混乱に陥れる、工業を合作ってやるというふうに思うのでありますが、これはどうなっても、単協であるとか、信連であるとか、中央金庫であるとかというような段階別に、窓口を一元化するということを明示するということを、一つお願いしたいと思うのであります。
  29. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) かわりまして便宜私からお答え申し上げますが、融資機関としては、要綱には一応連合会及び農林中金と、こういう工合に書いてあるのでございまして、これは大体中心は、単協と連合会という問題が中心になろうと思うのであります。単協の場合には、個人に貸します場合には、単協が融資機関の中心になる、それから共同利用施設等がございますから、これに対しましては連合会が中心になってくる、こういうことでございまして、そのほかに農林中金等から便宜貸す場合もございますので、さような意味で、農林中金も一応入れておいたらどうか、こういう工合に考えているので、今の系統金融の実情に即しまして、これは大体そういう系統にしぼっていく、こういう考え方考えているわけでございます。また今銀行の問題等もございましたけれども、銀行の問題等は、この地方銀行等ぜひこの金融にあずからしてくれ、こういうお話もございますけれども、これは要するに先ほど申し上げましたように、系統の金を積極的に活用するという面が相当強くあるものですから、今の段階で、この制度に地方銀行その他を取り入れるということは、これは問題があるのじゃないかというようなことと、それから地方銀行の方で、こういう十年とかあるいは七、八年というような中期の、中期といいますかむしろ長期の金を貸す体制ができておるかどうかという点も、問題でございます。こういう問題は今後検討しなければならぬ問題じゃないかというふうに考えております。
  30. 青田源太郎

    青田源太郎君 連合会の中で共済連も相当資金を集めているわけでございますが、私は共済連という団体は融資機関であるけれども、やはり金融機関がこの問題について一つはっきりしていただかぬと、将来これは困ると思うのですが、これは信連であるとか、あるいは信連でいかんというなら共済連というふうに、窓口を窓口を一元化するということはできませんでしょうか。
  31. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 共済連は、現在信連とのいろいろな分野も、農林省の通牒で大体きめまして、積立金を運用として長期の貸し出しをやっているのでございます。そういう点をどういう工合に整理をいたしますか、これはまあ相当真剣に考えなければならぬ問題だと思います。しかし考え方は、やはりこの制度でやっていく場合は、窓口は信連にしたい、こういう原則で考えていくのがいいのじゃないかというふうに考えておりますが、なお今いろいろ実情等も考えまして検討中でございます。
  32. 青田源太郎

    青田源太郎君 それから基金の問題でありますが、本年につきましては、政府が三十億というような金を、運用部資金に預託するという考えであるが、これも年々そういうように運用部に預託していただける考えであるのでありましょうか、あるいはまた利子補給だけを将来やるお考えであるか、こういう点につきましてお伺いいたしたいと思うのであります。
  33. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 今のような問題だったら、大臣に対する質問でなければ、大臣十二時まで行かなければいかんのですから……。
  34. 青田源太郎

    青田源太郎君 それじゃあとで局長にまた聞きますが、大臣にもう一、二点伺いたいと思います。この信用基金協会を作って、そうしてこの協会が債務保証するということで、基金協会法を提出されるわけでありますが、この協会は一体ど性質を持った、特殊法人と書いてありますが、財団法人にするか、あるいは社団法人にするか、こういうような点を一つお伺い申し上げたいと思います。
  35. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 法人の性質というお話ですが、これは大体社団的なものになると思いますが、これは申すまでもなく中小企業信用保証協会というものができておって、農業関係にはなかった。ぜひ一つ作りたいという前からの念願で、今の組合系統金融機関の金を活用するとあわせて、この保証制度によって円滑な金融ができるようにしたいという本旨にほかなりません。
  36. 青田源太郎

    青田源太郎君 これはやはり社団法人的のものであると、出資というような点があって非常にめんどうなり、これは大体拠出金は配当せないというようなことになるのなら、中小企業等は財団法人というようになっておると思うのですが、そういう点について、この出資というような点があると、これは社団法人的のものであると思うので、そういう点について、あとの保証とか、あるいはそういうような基金の取りくずしというような点について非常に複雑になるが、政府はどういうふうにこれをお考えになっておりますか。
  37. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 便宜かわりましてお答えいたしますが、財団的なものにするか、社団的なものにするかというところは、非常に今後の運用上も大事な問題であると思うのでありますけれども、一応一面から言いますると、だんだん融資の総額がふえて参りますと、その債務保証協協会につきましての金を、国の金、それから民間の金も半分予定しておりますので、そういうものがなかなか集まりにくいのじゃないかという心配も一部あるわけでございます。そういうこともいろいろ考えまして、構成としては、大体社団的なもので、出資という形の方が金が集まりやすいのじゃないか。そういうようなことで、財団のように出掛で、出しっぱなしになってしまうということでなくて、出資の方が金を集めるには楽じゃないか。しかし、運用面でこれはきちんと出資に応じて何割しか保証できないと、こういうようなことになると非常に困ると思うので、ここら辺は、特殊法人でもございますので、そういう不便が起こらないように運用上の調整ができるようなことに考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  38. 青田源太郎

    青田源太郎君 この基金の出資でございますが、この要綱によると、国が四分の一、そうして県が二分の一、その他半分というようになっておりますが、その他の半分はどういうふうに考えられておりますか。あるいは私は、こういった基金は、国がやるということでおりながら、四分の一が国で、四分の三が地方団体というようなことでは、あまり国の責任が軽過ぎやしないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  39. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 現在、三十前後の信用保証協協会が各県にありまするけれども、その実態を見ましても、今までも、県も出しておりますし、それから信連等民間でも出しておるという実態でございまして、これはやはり、系統としても、そういう債務保証の仕事というのは、当然信連等でも考えなければいけない問題だと思います。ほんとうを言えば、信連の中にそういうものを持ってもいいんじゃないかという気持さえいたすのでございまして、そういう意味から考えましても、やはり民間からも半分出させるというようなことでいったらいいんじゃないかというように考えているのでありますが、大体主体は、信連とか、それから農協とか、こういうところが主体になって民間の出資は出してもらうというように考えたらどうかというように考えております。
  40. 青田源太郎

    青田源太郎君 それでは、その他の二分の一は、ほとんど農業団体で拠出するということで、市町村の段階では考えていないわけですか。
  41. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 大体中心農業団体と思っておりますが、もちろん市町村が出すというようなものもあろうと思いますので、そういうようなことができるように幅広く考えていきたいと思っております。
  42. 青田源太郎

    青田源太郎君 この債務保証につきましては、大体今政府考えでは、無利子であるという、またその出資に対して無利子であるというようなことを考えておられるようでありますが、出資に対しては、これは無利子であるということも性質上やむを得ないと思うのでありますが、債務保証をするこの協会の趣旨からいって、保証料を取らないとか、あるいは調査料を取らぬ、手数料を取らぬというようなことは、この事業の性質上から考えて、たとえ少しでも取るのがほんとうじゃないかと思うのですが、政府はどういうように考えておられますか。
  43. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 基金の運用益の計算上、保証料を取らなくてもやっていけるという程度の基金を積んでいくことを考えておりますので、そこで保証料を取らないでやろうと、保証料を取りますことは、結局それだけ金利を上げたみたいになりますので、なるべくそういう金利は下げるという方向考えなければいかぬと思いますので、保証料を取らないでやっていくと、こういうことに考えておるわけでございます。
  44. 青田源太郎

    青田源太郎君 それから、この債務保証の要綱によると、保証率は基金の十倍であって、限度は八〇%、それから依存率は九〇というふうなことが書いてありますが、この倍率はいいのでありますが、保証限度八〇%ということになれば、金融機関が二割は債務保証に対する危険分の負担というようなことをせなくてはならないのでありますが、こういうような利子補給の点からいって、二割もの貸付金の危険負担を金融機関がするというのでは、これは私は貸付金が伸びないと思うのでありますが、もしもこの保証限度は一〇〇%保証して、そうして依存率は、これは私はうんと下げてもよいのではないかと思うのでございますが、こういう点はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  45. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 依存率の問題は、これは仮定の問題でございますので、実際動いてみませんと、どの程度の依存率があるかわかりませんけれども、一応そういうふうにはじいたわけでございますが、ただ保証限度の問題は、これはやはり農協の系統機関である信連なり単協なりというものが中心になって貸していくわけでございまするから、まるまる全額ほかのものが保証するのだというようなことでは、かえって金融機関としての農協に対しても失礼な感じもいたしますし、金融機関としては当然ある程度の責任を持ってこれはやっていってもらうということでなければいかぬだろうと思うのでございます。ですから、他面農協の方のいろいろな内部の財務の充実とか、整備とか、そういうものは別途に考えまして、そういうものとあわせまして、農協においても当然これについてはある程度責任を持ってもらうという形で考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 青田源太郎

    青田源太郎君 それは逆じゃないですか。私は限度はやはり一〇〇%債務保証してやるというのが債務者に対する親切であり、依存率はまあ金融機関が多少そういうこともやむを得ぬといたしましても、保証限度はやはり一〇〇%みてやるというのが、金融機関ではなしに、債務者に対する私は安心感であると思うが、そういう点はどういうふうに考えておられるか。これはぜひ一つ一〇〇%保証してやるということがいいのではないですか。
  47. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 実際問題といたしまして、いろいろ保証をやっておりますようなものを見ましても、一〇〇%まるまる保証するというようなことは、そう例もございませんし、それから農民は農協から借りるのでございますから、農協もやはり金融機関としてのある程度責任を持ってもらうという態勢もなければいかぬだろうと思うのです。そういう意味から、一部やはり農協でも責任を持ってもらうという格好にしませんと、農協が完全な道具になってしまうというふうにも考えられますので、そこら辺はやはり一〇〇%保証ということはどうだろうかというふうに考えております。
  48. 青田源太郎

    青田源太郎君 それからもう一点だけお願いしたいと思うのですが、この基金協会を今局長が言われるように社団法人的のものにするということになると、私はこの基金の取りくずし順位と申しますか、この出資の口数との関係が非常に複雑になると思いますし、また加入脱退というような点につきましても、たとえば脱退の場合に、どういうふうな口数にするというようなことも非常に複雑になると思うので、これはやはり利子をせないというような基金ならば、むろん拠出というふうにしていただく方がいいんじゃないかと思う。それから、こういうような社団法人的に出資をするというと・やはり総会というふうなものをせなければいけない。総会ということになると・金融機関であるとか、あるいは全単協、あるいは特殊連合会、地方公共団体、市町村、こういうようなものを寄せて総会をするというようなことは、これは非常に不可能であろうと思うのですが、もしもそういうことをせなきゃならぬというなら、総代制というような考えがあるかないかというようなことを一つ承わりたいと思うのであります。
  49. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) あとの基金の中の運用といいまするか、詳細の問題につきましては、現在いろいろと不便のないようにということで検討中でございますが、かりに総会等がむずかしい場合には、総代を置かなきゃならぬという問題もありましょうし、そういう問題もあわせましていろいろなお検討中でございますので、この基金制度を設けまして、これが円滑に動くような趣旨一つこまかい問題についても検討したいと思います。
  50. 青田源太郎

    青田源太郎君 もう一点だけ。今度のこの施設資金助成法の案でありますが、この中の四条には、非常に金融機関の監査であるとか、あるいは報告、検査というようなことが書いてあるのですが、こういうことは近代化資金の助成法とか、あるいは基金協会の方からながめると、このほとんどが官僚金融というか、あるいは政治金融というようなものになりはせぬかという心配があるのでありますが、現在のこういった、すでにある制度金融の、たとえば改良資金であるとか、家畜導入資金、こういうような資金でも相当そういうような、運営上金融機関の自主性がほとんど認められていない。今度のも、こういうような状況を見ると、金融協会とか、あるいは融資機関というものは、そういうような利子基金は県が出すのである、また利子補給は国がするのであるので、そういった面については、何ら金融機関の発言がないというような要綱になっておるわけですが、これはこの際私は大いに改めてもろうて、こういうような監査をしたり、あるいは報告をする必要はないんじゃないか。協同組合におきましては、すでに一年に一回の必ず定期的監査があるということになっておるので、そのおりに監査をしてもいいんじゃないかと思うのであります。この助成法にいくと、やはり一年に報告するとか、あるいは検査をせなくてはならぬ。こういうようなことは、一つでき得る限り簡素化にするというお考えはないのかどうか、一つお尋ねしておきたいと思います。
  51. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 近代化資金の性格からいたしまして、できるだけ簡素に、円滑に、金が生かせられますように考えなければいかぬというふうに考えていますが、ただ補助金が、国の金も出ますし、県の金も出るわけでございますから、そういうような意味からいきまして、これはどうしても会計検査とか、そういうものもございますし、それに応じまして、いろいろの報告とか検査とか、そういうようなものも当然やらなければいかぬということはやむを得ないことじゃないかと考えております。しかし、実際の運用面につきましては、あまりぎすぎすしたことでなくて、円滑に金が流れるようにということで、一つ運用についてはいろいろ考えたいというふうに考えております。
  52. 青田源太郎

    青田源太郎君 私は現在のいわゆる改良資金等の実情から、こういうことを申し上げておるのでありますが、実際末端の農民に制度金融で貸し付けられているけれども、監査に来て、これは農林省ではないのでありますが、県のそういう出先において監査をする。そうして監査をして、そういうベースに乗っておらぬとか、あるいは少し要綱と違うておるとかいうようなことで、繰り上げ償還させたり、あるいはそういう監査というような点で、何人もの者が出てきてそういうようなことをやるということで、実際農村の末端では少しの利子補給ぐらいしても、監査のたびにそういうのは、政府の利子補給の大部分がそういうような接待費等に使うてしまうというのが実情であるので、今度でもこういうことになってくると、相当広範囲にわれわれは積極的に監視せゃならぬし、そういうことで監査を受けたり検査を受けたりということになると実際いやがる。それも今現にやっているような自作農資金というような、ごく低利の資金ならいいけれども、七分五厘もの末端の農民が金を借りて、それが検査や監査を受るけとか、あるいはそういうような繰り上げ償還をやらすというようなことになると、政府が期待されているように貸し付けが伸びないのではないか。もっと信連なら信連、あるいは中金でも、必ずこれは政府が監査されるので、監査というものはそういうおりに、ともにやられていいので、こういう金融機関だから、会計検査があるから、国の利子補給があるから、監査しなければならぬのだというような考え方は、この際改めてもろうて、もっと農民に安心して使えるような、一つせっかくの融資だから、この際そういうように一つ努めていただきたい、かように思うのであります。
  53. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 以上をもちまして、農林産政策に関する件、及び昭和三十六年度農林省関係予算に関する件についての農林大臣に対する質疑は全部終了いたしました。両件については、この程度にいたします。  午後は一瞬三十分に再開いたします。  それでは、休憩いたします。    午後零時八分休憩    ————・————    午後二時二分開会
  54. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 農林水産委員会を再開いたします。  農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃に関する件を議題といたします。  本件について質問の要求がありますので、順次御発言を願います。  なお、本件についての関係各当局の御出席のお方は、ただいま経済企画庁政務次官江藤君、運輸政務次官稿家君、鉄道監督局長岡本君、日本国有鉄道営業局長遠藤君、農林政務次官井原君、農林経済局長坂村君、以上でございます。  それでは順次御発言を願います。
  55. 仲原善一

    ○仲原善一君 お伺いしますと、明日の閣議に鉄道の関係の運賃の改訂の問題がかかるということも仄聞しておるわけでございまして、非常に急ぐ問題でございますから、実は特にきょうの委員会にこの問題をかけていただいたわけでございます。そこで、運輸当局なり、あるいは鉄道でもよろしゅうございますが、そちらの方で御答弁をいただきたいのは、まず第一に、今回の鉄道運賃の改訂にあたりまして、最初に示された運輸当局の案は、旅客運賃は一六・七%、それから貨物の基礎賃率は一五%引き上げまして、平均一六・四%という案をお持ちになっておったようでございますが、その後いろいろな経過もあって、特に旅客の方は一四・六%に下げられた。当初の案の通りに貨物運賃の賃率だけは一五%というふうに据え置かれておるようでございますが、そこの非常に最初の案と変わってきた、ある意味でアンバランスになった点はどういう意味でございますか、その点をお伺いいたします。
  56. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) お答え申し上げます。最初の原案は、ただいま御指摘の通りでございましたが、増収率を全体といたしまして一二%に抑えるということに閣議の決定が相なりまして、その関係で一二らに抑えるということになりますと、旅客を一四・六というようにせざるを得なかった次第でございます。
  57. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまの御説明では、何一か閣議できまったから、結局、しわ寄せの方が貨物の方に来たというような気もいたしますけれども、何か公正な意味からいって、旅客と貨物との比率が妥当でないような気がいたしますけれども、その点は事務的にどういうふうにお考えでしょうか。
  58. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) もともと貨物は一五%アップでございますけれども、実収は一二%というふうに考えておりましたので、この旅客の方を手直しいたした次第でございます。
  59. 仲原善一

    ○仲原善一君 従来は、改訂をやられる場合には、ずいぶん慎重な審議をおやりになりまして、学識経験者なり、あるいは各業界の方の代表者をお招きになって、そういうものが中心になってこの調査会ができて、相当長期にわたって審議をされておりますけれども、今回は、各業界は本年の一月十六日に初めてこの企てのあることを聞きまして、その間、非常にわずかの期間で、改訂案についての十分の検討もできぬ、そういう余裕もないというような形で、急速きめられたように思いますけれども、これは、私ども考えでは、所得倍増計画に便乗して、何か一方的に、急速に独善的に作成されたような気がいたしましますけれども、その点は十分に御審議になったことでございましょうか。
  60. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 実は、所得倍増計画はすでに、御承知のように、昨年の初めごろから準備が進められておりまして、国鉄におきましても、これに対応する第二次五カ年計画の内答を練っておったような次第でございます。そこで、いろいろ検討して参りますと、所要資金に相当の不足を来たすということになりまして、昨年の九月前後から、一部運賃改訂によってその資金源をまかなうほかないじゃないかという結論に達していろいろ研究いたしておりました。昨年の十月ごろであったかと思いますけれども、そのことが一部もうすでに新聞紙上に、推測ではございますけれども報道されまして、国鉄が運賃改訂の準備を進めているということは、多少世間的には喧伝されてきたようにわれわれはみておりますが、正式には、昨年の十二月に入ってから運輸省の方にも出て参りまして、昨年の暮れから本年の初めにかけまして、所得倍増計画に対応する国鉄の輸送力の整備増強につきましては、どうしても第二次五カ年計画をやらさなければ輸送力の点で非常な隘路になるという結論になりまして、その所要財源の一部調達のためには運賃改訂によらざるを得ないという結論になりましたような次第でございます。仰せの通り、従来は経営調査会とか、あるいは運賃審議会であるとか、そういういろいろな機関を設けまして十分検討して参りましたけれども、今回は特にそういうことをいたしませんでしたけれども、十分内容につきましては審議いたしまして、やむを得ないと、こういう結論になったような次第でございます。なお、運輸審議会におきましても、御承知のように、先般、三日間にわたる職権公聴会を開きまして、十分各方面意見も徴しているような次第でございます。
  61. 仲原善一

    ○仲原善一君 国鉄の新五カ年計画の案によりますと、大体年間の川下億円の収入のうち、一二%の増収を一応計画する、増収分が四百八十六億円くらいだという計画を立てておられたのにかかわらず、賃上げの方は一五%というふうに、そこに三%の差があるわけでございます。本来ならば、この三%というのは企業努力によってカバーして、当初の計画通り一二考の増収程度に抑えるのがしかるべきだと考えますけれども、その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
  62. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) この一二%と申しますのは、実収におきまして一二%とわれわれは考えているわけでございまして、たとえば旅客について申し上げますと、特別急行料金であるとか、あるいは普通急行料金であるとか、あるいは寝台料金であるか、そういうものは据え置いておりまして、基本賃率にかけますと、実収一二%を期待するためには一四・六の基礎賃率の引き上げになるわけでございますし、貨物におきましては、実収一二%ということになりますと、やはり運賃改訂による利用減ということも考えなければなりませんし、賃率の上では一五%の値上げと、こういうことになるわけでございます。
  63. 仲原善一

    ○仲原善一君 そこで、新五カ年計画の基礎になっている輸送力は、貨物においては年率三・三%増ということを見込んでおられますけれども、運賃の収入の方は逆に三・七%強の利用減を見込んでおられる。そこにちょっと理解しがたい問題があるのですけれども、その点はどういうふうにお考えでございましょうか。
  64. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 確かに仰せのようなことも一応推測できますけれども、われわれがこの利用減と申しておりますのは、輸送する貨物に質的な変化が起こるということを予定いたしておるのでございます。すなわち、高級品はどんどんトラックの方にいく。従いまして、安い運賃の長距離のものがふえていく。だから、絶対量においてはふえて参りますけれども、内容的には相当変わってくるという考えでございます。
  65. 仲原善一

    ○仲原善一君 その点にも問題があろうかと思いますけれども、こういう設備投資にいろいろ使われて鉄道の輸送力を強化される場合に、利用者だけの負担によって、 結局運賃率を引き上げてこれをまかなうということは、公共企業体の性質からいって、それがいいか悪いかという問題がそこに起きてくると思います。その点は、利用者だけの負担で上げていくというお考えでございますか。
  66. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 実はそれにつきましては、いろいろ議論の分かれるところでございますけれども、われわれの考え方といたしましては、現段階におきましては、やはり借入金によるか、あるいは利用者の負担によるか、この町方の方法があると存じますけれども、両者を併用していくという考え方をとらざるを得ないというふうに考えております。巷間誤って伝えられておりますのは、今回の第二次五カ年計画の所、要資金を全部運賃値上げで、すなわち利用者の負担でまかなうというふうにおとりになっておる場合が多うございますけれども、われわれといたしましては、そうではございませんで、全体の所要資金が年間二千百億になりますのですが、そのうち半分は借入金による。もちろん、従いまして借入金は本年度よりか来年度は二百億近くふえるわけでございます。その一部を運賃価上げによってお願いする、こういう考え方でございます。
  67. 仲原善一

    ○仲原善一君 その点はその程度にいたしまして、多少具体的な内容についてお伺いしたいと思いますが、特に農林水産物資の運賃に関係した数項目にしぼってお伺いいたしたいと思います。  その一つは、遠距離低減率の改正でございますが、これは、御計画によりますと、五百キロから八百キロ程度の地帯にある賃率を改正。されるということになっているようでございますが、農林水産物資は、御存じの通りに、非常に容積も大きいし、重量も重いし、その性質上運賃を負担する能力が非常に少ない物資でございまして、特に立地的条件によって農産物というものが各地域に分散しております。北海道の木材だとか、あるいは無数、西南暖地の方の野菜というように、非常に適地適作の形で経済が成り立っておりますが、その場合に、従来は遠距離逓減率が相当妥当に適用されまして助かっておったわけでございますけれども、今度改正になろうとします五百キロないし八百キロ地帯の農林物資は、非常にその点が、適用を受ける範囲に該当するわけでございまして、その負担がずいぶん過重になるという結果になっております。一例を申し上げますと、五百キロの地点で現在の運賃と比較しまして、今度計画されているものが一五・八%の値上がりになります。八百キロの所は、これは一七・一%というふうに、その地帯がわれわれの農林水産物資の該当する範囲になっておるわけでございまして、こういうふうに改訂するということになりますれば、非常に負担力の少ない農林水産業界にそのしわ寄せが重なってくるというおそれがあります。現行の遠距離逓減率は、ある意味で輸送距離別の原価曲線に大体一致している、その逓減率が一致しているという御当局の話もございますので、無理にこれは改訂されなくても、現行通りの遠距離逓減率の適用でよかろうと思います。その点、特に農林水産物資のしわ寄せを受ける地帯についての改正について現行通りにして悪いという理屈が特にあるのかどうか。従来通りで何も差しつかえないのじゃないかという気がいたしますが、その点はどういうふうにお考えでございましょう。
  68. 遠藤鉄二

    説明員(遠藤鉄二君) 国鉄は旅客、貨物とも背から遠距離逓減制度を採用しておるのでございますけれども、さきの運賃制度調査会でも、なるべく原価に合わすようにしたらいいじゃないか、こういう御意見が出ております。全体的に原価主義の方向に向かうべきであるし、キロ別にも、距離別にも原価主義に近づける方がよろしいという御意見一般的でございますが、現状はどうなっているかと申し上げますと、近距離は運賃の方が原価より高いのであります。で、三百七十キロのところでその両方の曲線が合致をいたしまして、それ以上は全部原価の方が運賃より高いわけでございます。で、われわれは機会がありますればこういう点を修正をしていただきたいのでありますけれども、原価と運賃との収支割合を見ますと、遠距離になりますとかなり大きな差がございまして、千キロを越えますと一割五分程度の運賃と原価との差がある。これを一挙に是正をいたしますと、たとえば一割五分上げてそれに対してもう一割五分是正をいたしますと、これは大きな影響があるわけでございますので、一ぺんにこういう是正はできない。運賃を改正するときに少しずつ直さしていただきたい、こういうことで従来もこういうことをやっておるわけでございます。今回は五百キロから八百キロメートルの地帯を中心にいたしまして、大体この辺で二%にならない程度でございます。八百キロのところが一・八ぐらいになるわけでございます。一五というのが一六・八というふうになるわけでございまして、この程度までなら急激な変化とはいえないのじゃないかというふうに考えまして、今回の通貨改正をお願いをいたしておるわけでございます。理屈を言いますと、五百キロから八百キロメートルだけでなくて、長上距離になればはるほど差が強いのでありますから、それをそのままずっと遠距離にわたって修正すべきである。理屈はそうであると思いますけれども、千キロ、千五百キロになりますと運賃実額も高いわけでございます。一件の運賃実額も高いのでありまして、それに対して大きな是正をいたしますと、お支払いになる一中当たりの運賃実額が急激にふえるということで、今回は特に北海道などが主になるのでございますけれども、こういうごく長距離の貨物に対しましては原価を修正しない。長距離のものはまず比較的実害が少ないのではないか、でここを是正していただくようにお願いをしておるわけでございます。
  69. 仲原善一

    ○仲原善一君 その順次改正していこうというお気持の点はわからぬわけではございませんけれども、全輸送量のうちで農林水産物資の占める割合、この遠距離逓減の適用を受けるものの割合は一五%くらいになっておるのでございまして、何と申しますか、被害が一番農林水産物資にくるという実態でございますので、この点はもう少し御考慮をいただきたいといろ希望を実は持っております。  それからその次にお伺いしたいのは、車扱貨物の割増し運賃額の問題でございます。現行の運賃制度でも農林水産物資には基礎賃率のほかに冷蔵車割増しが一〇%、それから列車を指定した場合の割増しが二〇%、そのほか大貨物割増しが、ものによって違いますけれども、一〇%から一〇〇%というような割増し運賃が実はついております。基礎の賃率が上がった上に、さらにこの貨車扱いの割増し運賃が加算されます、これはまた膨大なことになりますので、こういうのも非常に一時に農林水産物資にしわ寄せがくる結果になりますので、金額の面で現行程度のものはまあがまんするにいたしましても、さらに従来通りの率を適用するということには非常に不合理、不公平が出てくるように考えますので、この点についての御意見を聞きたいと思います。
  70. 遠藤鉄二

    説明員(遠藤鉄二君) 特殊車の冷蔵車、活魚車等については、一割の割増し運賃いただいているわけであります。それから列車指定をいたしますと、二増割しになる、これはやはり輸送原価、そのサービスに対する対価としていただくわけでありまして、冷蔵車などは実はもう原価主義によるととても一割増しではいけないのでありまして、何割というあるいは倍という大きな額を原価からいくといただかなければならない。そう急激にお願い申し上げるわけにいきませんので、割増しの冷蔵車一割、列車指定の二割は今回は据え置きになっております。  ところでただいまお話の、実額がふえないようにというお話であったかと思いますけれども、これは技術的にちょっとできないのでありまして、冷蔵車割増しの一割ということは、これは結果は距離によって実額が違いますので、それを現行通りにということはちょっとできないわけであります。それから普通運賃が上がって割増しが据え置きだから値上げ率が上がるかというと、これは上がらない。現在冷蔵車を使っておられる方は、普通の場合は千円のところを千百円払っていただいている、それがそれぞれの場合に一五%上がるわけであるから、特に冷蔵車を使ったから運賃の値上げ率が高いということにはならない。割合は同じことであります。
  71. 仲原善一

    ○仲原善一君 その点は理解いたしました。  それからその次の問題で運賃計算キロ程の問題であります。現行のやり方では貨物を運送する場合に最短距離を実は使って計算されております。今回の改正では鉄道の都合で迂回した場合には、迂回したキロ程をもとにして運賃を計算されるということのようでありますが、具体的な問題になると、岩徳線、それから関四線、筑豊線そういうところに問題があるようでありますが、九州なりあるいは四国から名古屋なり東京に農産物資を運ぶ場合に、最短距離でなしに実際に通ってきた路線をもとにして運賃の計算をされる、そういうことのようでありますが、これはやはり現行通り、鉄道の都合で迂回されるわけですから、最も近い距離を通ってくる線路があるわけですから、それを基礎にして計算されるべきではないか、そういう考えを持っておりますけれども、その点に、ついてはどういうふうに考えておりますか。
  72. 遠藤鉄二

    説明員(遠藤鉄二君) 私たちは昔から最短径路主義といって図面上の最短径路によって運賃を計算しておりましたけれども、それは不合理ではないかということで実際に通る径路によって運賃を計算する方式に切りかえたいと思いまして、すでにそういう例が二つあります。大糸線ほか一線でありますけれども、そういうことをやっております。その場合にそこを通る貨物はないのであります。そこを絶対に通らない線路によって運賃を計算するのはおかしいので、実際に通る方で計算するわけでありますが、今回お願いいたしておりますのもそういうところでありまして、そこは実際に通ることはないのであります。それからただいまのお尋ねでちょっとあるいは誤解されているのではないかと思うのは、鉄道の都合であっち通りこっち通りすることがございます。たとえば北海道から出まして東海道に行く貨車でありますけれども、これは東北線を通ることもあり、常磐線を通ることもあり、あるいは羽越線を通って上越線から東京に入ってくることもあるわけでございまして、これは鉄道の都合でそのどれかを選んだわけでございますので、この場合には最短経路で運賃は計算することになっておるのです。発駅で荷主さんが、この貨車が指定をされれば別でございますけれども、どこを通ってもいいからということでお出しになりますれば、鉄道の都合で輸送力のある、列車の仕立てやすいところにその貨車が通りますので、この場合には最短距離で計算をいたします。現在実際その経路主義でやっております線、今度制度改正でお願いしたいと思います線区は、そこはローカルのその線区内に発または着となる貨車は入りますけれども、そこを通過する貨物列車はないわけでございます。そういうところを今回お願いを申し上げたいと思っておるのでございます。また中には線路のないところもあるのです。これは歴史的な問題もあるのでございますけれども、仮空の運賃計算キロ程を作っておるところもあるのであります。そういうところも、少し迂回になりますが、実際に通るそういう迂回経路によって計算をさせていただきたい、こう思っておるわけであります。
  73. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまの問題、現行では最短距離主義でやっておられるのを、無理にそういうふうな改正を、われわれの方から申しますと改悪になりますが、これはその必要がないのではないか、今の御説明で十分納得するわけには参りません。これはたとえて申しますと、なまカンショを宇和島から愛知の御津に送る場合に、これは等級は二十三等級でございますが、現行であると七百七十九・五キロでございます。改訂になりますと八百六・七キロとなって、運賃についても二千四百九十円のものが二千九百九十一円というふうに約二〇%上がる、同様なことがたとえば博多から名古屋に来る下級鮮血についてもありまして、二三・一%上がるというふうに具体的な事例としては相当貨物の運賃が上がることになって、生産者の負担に転嫁されるおそれがあるわけでございまして、こういう点については、御説明はいただきましたけれども、現行でなぜ悪いのか、その点の納得が十分にいかぬわけでございます。  それはそれといたしましてその次にもう一つお伺いいたしたいのは、現行の公共政策割引の問題でございますが、これは当委員会におきましてもたびたび取り上げまして、昭和二十八年以来前後九回にわたってこの制度の延長が実施されております。三月三十一日までというので一応は延期になっておりますけれども、これはやはり恒久の制度として考えてほしいという私どもは希望を持っております。これは農林畜産、そういう物資の流通の秩序というものが、この公共割引制度というものを一つの基盤にして現在できているわけでございまして、これを急速に廃止したりするということになりますと、この流通の秩序が一時に乱れる、しかもいろいろな農業経営なり林業経営、水産経営に非常な影響を及ぼすことになろうかと考えますので、この制度だけは恒久化したいという希望を持っておりますけれども、そういう点についての御意見をお伺いしたいと思います。
  74. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 実は運賃制度の問題につきまして各方面の御意見を拝聴してみますと、確かに国鉄の言う通り、政府あるいは国家の政策によるいわゆる公共負担というものがあまり多過ぎて、それが国鉄の財政を圧迫しておる、この点をすみやかに足正すべきだというふうなことが申されておるのでございますが、運輸省といたしましても、この公共的な負担を極力少なくしてやりたい、こういうふうな考え方を持っております。従いまして、仰せのように農林水産物資に関係いたします暫定割引措置を恒久化するということはいかがかと存じております。
  75. 仲原善一

    ○仲原善一君 大体国鉄当局にお伺いしたわけでありますが、あれやこれやの改正によって私どもの方で計算した数字によりますと、現状よりも運賃の上がりが、一五%の場合にいたしますと四十八億八千三百余万円の値上がり見積もりになります。それから先ほど申しました一五%の基礎賃率以外のいろいろな政策も足正されるために上がるのが一緒に加えてみますと、五十四億円ばかりの負担になるのではなかろうかと考えます。この問題は国鉄だけの問題ではなくて、国鉄の経営の面からすればいろいろな理由もございましょうが、国の経済の発展というそういう高い立場考えるとか、あるいは特に現内閣で地域差による所縁の格差をなくすとか、是正するとか、あるいは産業間の所得の是正をするとか、そういう大事な旗じるしのもとに政策を打ち立てられている現況におきまして、非常に弱いと考えられる農林水産業の方にこういうしわ寄せがくるような政策は一つの矛盾ではないかと考えますので、そういう点、企画庁の方ではどういうように考えておられるのか、公共企業体である鉄道の方にも何らかの一つの手を打たれるべきでありましょう。特に現内閣の大政策であるそういう政策の推進のために隘路になる、矛盾するような問題を取り除いてもらわなければならないと考えますが、そういう点、企画庁としてどういうふうにお考えになるか承わりたいと思います。
  76. 江藤智

    政府委員(江藤智君) 御承知のように経済企画庁の役目といいまするのは、わが国の経済を安定し、しかも発展させることにありますことは申し上げるまでもございません。これにつきましては、ただいま御指摘になりましたように、基礎的ないろいろな部面を強化しなければならない、特に交通の部面を強化するということも一つの大きな要素になりますることは申し上げるまでもございません。ところが、御承知のように国鉄の問題につきましては、運賃の問題その他いろいろな原因のために、非常に財政状態が悪くなって参ってきております。しかし所得を倍増するためには、相当の設備を強化しなければいけない。そこでこれをどういうところで、設備強化もするし、また経済の安定、成長の上にも役立たせていくかという点が、経済企画庁として考えるべき問題でございます。先ほども国鉄あるいは運輸当局からもお話がございましたように、企画庁といたしましてはいろいろと原案を検討いたしまして、そうして自己資金もある程度繰り入れられるようにしょう、また国鉄財政の許す限りにおきまして借入金もできるようにしよう、また東海道線の新幹線のごときは、外債も入れよう、こういうようないろいろなかみ合わせをいたしまして、そうして国鉄の強化ができるように考えたわけでございます。当初、国鉄の運賃の要求といたしましては、全体の二五%、約六百億程度の運賃改正をいたしたい、こういう原案が運輸当局から出たのでございまするけれども、企画庁といたしましては、国民生活に及ぼしまするところの影響というものをいろいろと検討いたしまして、また生計費指数というようなものも検討いたしまして、大体実質一二%はやむを得ないのじゃないか、こういう結論に相なりまして、ただいまの運賃改正の原案ができ上がったわけでございます。なかなか所得倍増のためには輸送力を強化しなければいかぬ。ところが輸送力を強化するためには、相当の設備投資をせなければいけない。こういう面をいろいろと考慮いたしまして、大体この程度が妥当なものである、かように結論を出しましたのが企画庁の立場でございます。
  77. 森八三一

    ○森八三一君 いろいろお尋ねいたしまする前提として、まだ昭和三十五年度の国鉄の収支は経過中でありまするから判明しておらぬと思いますが、三十四年度の収支の帳面じりは一体どうなっておるのか、トータルでよろしゅうございますから、お聞かせ願いたい。
  78. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) ただいま手元に資料がございませんので、早急に取り寄せましてお答え申し上げます。
  79. 森八三一

    ○森八三一君 非常に問題のある運賃の改訂をやるときに、三十四年度の収支の概算くらいは頭にないということでいいのですか。そうむずかしい数字ではないと思うのです。少なくともそれだけは検討に検討を重ねて、収支がこれだからかくせざるを得ないという結論は出ておるはずなんで、私は何銭何厘まで聞いておるのではないのです。概数でいいのですよ。これだけの計画を立てるのにそれくらいのことがわからぬのですかね。
  80. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) たしか、はっきり記憶いたしておりませんけれども、収入で三千八百億程度、支出も大体そのくらいになっておりまして、営業外収支を含めまして、たしか三十四年度は二十七億円の益になっておったと私は記憶しております。なお詳しい数字はさっそく取り寄せてお答え申し上げます。
  81. 森八三一

    ○森八三一君 詳しい数字はあとでお伺いするといたしまして、三十四年度をとりまして収支をやれば、大体差引ゼロかあるいは多少の黒字である、そういう国鉄の経理現況の上に立った経済成長に見合う建設事業をやっていこうとする場合に、その建設事業の一体内容は何をお考えになっておるのか。私は新しい建設事業が行なわれるということは、そこに輸送力の増強ということが指向されておると思う。だといたしますれば、当然運賃収入というものは現行の賃率においても上がってくるべきはずなんですね。普通の民間の企業でありますれば、そういう収支計算を一応立ててみて、事業的にそろばんのとれる建設事業というものが進んでいくと思うのです。だといたしますれば、今後の建設事業というものについて、われわれの常識的な一般的な企業の感覚から申しますれば、行なわれるべき新建設事業というものは、事業の拡大増強による収入によって当然それはカバーされるべき性格のものでなければならぬと、こう思うのです。そういうように考えるのは無理だという理由を一つ御説明いただきたい。
  82. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 来年度で申し上げますと、大体工事の所要資金が、借入金を含めまして約二千百五十億円になります。で、そのうち減価償却で引き当てできますものが約六百億ございます。あとは従いまして、もし運賃改訂をやらないとすれば、あるいは御指摘のように、普通の企業でございますれば借入金によるか、ないしはもちろん増資をあわせて行なうとか、こういうことになろうかと思います。しかしそれは普通企業体が生産し、販売するものが引き合うということが前提であろうかと存じます。ところが国有鉄道の場合について考えてみますと、工事所要資金が二千百五十億円でございますが、そのうち千二百億円というものについて見ますと、ほとんどこれが採算がとれない仕事でございます。従いまして採算のとれないものについては、やはり利子のつかない自己資金でまかなうのが、鉄道財政の健全化を維持するという、健全性を維持するという観点から考えますと妥当であるように考えております。
  83. 森八三一

    ○森八三一君 まことにおかしな説明を聞くんですがね。昭和三十四年度を見れば収支大体差引ゼロだ。そこで国の行なう経済成長のテンポの進む度合いに合わせて新しい建設事業をやるために、千億の資金を投ずるというのですね。そのことは当然現行の運賃率においてその償却がまかなっていける内容のものでなければならぬと思うのです。もしそうでなければ、経済成長の度合いと鉄道の建設事業との間に非常な食い違いがあるというようにしか考えられない。今のお話をちょっと平面的に聞きますと、二千百億円の資金を投じて、六百億償却に充てられる。残りの千五百億というものを何か調達するために運賃の引き上げをやらざるを得ないというように聞こえるのですが、鉄道の建設事業というものは、一年に償却する必要はないんでしょう、耐用命数が二十年なり三十年なり、貨車なら五カ年とか六年とかそれぞれあれがあると思うのですが、年次内に償却すればいいんじゃないですか。そういう年次計画を立てて、それでもなおペイしない建設をおやりになるのですか。実際それがまた経済成長になければならぬ建設事業なんですか。経済成長とは全然別に、恩恵的な何か開発をするという場合なら別なんです。今お話のように、経済成長の速度に合わせて、ネックになっておる輸送力を増強するために必要とおっしゃるなら、当然その建設された鉄道が利用されるでしょう、利用されるとすれば当然そこから運賃収入はあがってくるでしょう。そのあがってくる運賃収入で、今申し上げますように十年の耐用命数もあれば、三十年もありましょう、用地の買収というようなものは相当長く見ていけると思うのです。そういうふうに考えてみれば、あえてここで運賃を上げなくても、現行賃率でやれるのじゃないですか。それができぬという理由を一つ説明して下さい。その中にペイしないものが一千億円もあるということだったら、その内容はわれわれは十分吟味しなければならない。そういうまたこの際政治的に不要な建設をやってもらっては困る。それがほんとうに経済成長に必要なものであれば、当然そこから収益はありますよ。それはどうなんですか。
  84. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) ただいま来年度でとってみますと、二千百五十億円の工事資金のうち、一千二百億円ばかりは採算のとれないものがあるということを申し上げましたのは、内訳を申し上げますと、この大都市付近で申し上げますと、例の通勤輸送対策でございます。これはもうほとんど全然増収には関係がないわけでございます。ただ、借り入れいたしましてもその借入金の利息の支払いであるとか、あるいは元本の返済ということによりまして、一方的に負担がふえてくるだけでございます。あるいは最近踏み切りの事故防止の問題が非常にやかましくなっておりますが、この対策にいたしましても、立体交差にするとか、あるいは平面交差である踏み切りにつきまして安全施設をいたします。こういたしますと、第二次五カ年計画では総額二百四十億円というものを予定しておりますが、これは全然収益には関係ないわけであります。そういうふうにあるいは都市計画がいろいろ進行して参りますと、駅前広場の整備とか、そういうことにも金を食うわけでございますし、さらに申し上げますと、輸送力が非常に今詰まっていることは御承知の通りでございますが、これを整備いたします場合に、やはり車両だけをふやしたのではどうにもならないということであります。つまり主要幹線は複線にいたしませんと、これ以上輸送力の増強はできない状況になっておりまして、複線にいたしますと、たちまち輸送力は三倍になりますけれども、その投資に見合うだけの収益は当分の間出て参りません。そういうわけで、そういうものを全部合わせますと、一千二百億円くらいの採算に乗らない工事がございまして、従いましてたちまち収支のバランスは失なわれていくのだということを申し上げた次第でございます。
  85. 森八三一

    ○森八三一君 そこで複線化するとか、いろいろの輸送力増強に要する経費が、その事業を行なう単年度には非常にかさむことはわかります。しかし、それはただいま申し上げますように、相当長期にわたって利用されるべき性格の施設でありますから、それは当然それの耐用命数に従って長期償還計画というものをお立てになれば、今お話しの一千百億のうちの八百億くらいと思いますが、そういうものは運賃率を上げるということと無関係に処理されてしかるべきだと私は思うのです。前段の方におっしゃいました、輸送力の増強にはちっとも関係のない立体交差にするとかというものは、これは刑に輸送力に関係ございませんから、その部分だけは確かに現在の運賃収入というものに無関係に投資されなければならぬ必要な経費と思います。そういうように分解していくと、非常に運賃の値上げ率というものは変わってくると思うのです。  そこで福家政務次官にお伺いをいたしますが、そういう人命に関するような、ほんとうにこれは公共的な性格を持った無人踏み切りをどうするとか、あるいは交通頻繁な地点における立体交差のものを作るとか、そういうことは、本来国鉄の収支計算で行なわせるべきことではなくして、これは国が国民の生命なり、そういうものを守っていく一般の公共的な事業として当然一般会計から出すということに考えられるべきであって、そういうことの考えがつかぬとは、一体どういうことなんですか。ただ財政の都合とか、そんなことじゃなしに、これは政策上の問題として、そういう人命に関するような公共的なものであるとすれば、これは一般会計で出すべき性格なので、これを国鉄に負担せしめるということはおかしいですよ。  それから都市近郊の非常に輸送力が麻痺しておるということを緩和するためにやる、それをそういうものを一般貨物にまでプール計算で及ぼすということはどういうことでしょうか。私は非常にすし詰めで難儀をして、オーバーまでもぎ取られるというような状態にあるところを緩和して、愉快な、愉快と言っちゃ言い過ぎかもしれませんが、楽に通勤等ができるということでございますれば、そういう部面は受益者が存在するのですから、そういう受益者負の担を考えるべきであって、それを一般の無関係な貨物運賃にまでそのしわ寄せを及ぼすなんということは、これはまるっきり私にはわからない。そういうことをどうお考えですか。
  86. 福家俊一

    政府委員(福家俊一君) 一般会計によって国の援助を要請したのでございますが、政府部内の調節がつかなかったのであります。今この問題は国と国鉄自体と両方が担当すべき問題だと思います。そこで国の問題は調節がつきませんでしたが、国鉄でやれる範囲において建設省とも目下検討相談中でございます。
  87. 森八三一

    ○森八三一君 まあ運輸当局はそういう私と同感の立場に立って予算を要求された。そのときに国の経済の安定成長ということについて非常に御苦労をちょうだいいたしておりまする企画庁としては、今年度四千億円近い自然増収があって、これをどう配分するかという三十六年度予算編成のときには、運賃の改訂ということがいかに広範囲に影響を及ぼすかということは、これはもう私が申し上げるまでもないのです。ただ単に平価計算で一割何分上げるからどうだということじゃないのです。それがずっと尾を引いて、あらゆるところまで運賃値上げというものが影響していくわけですわね。そういうことをお考えになれば、今運輸当局から御説明の公共的な性格を持つ、人命等に関するような施設の改善に関する費用ぐらいのものは、企画庁としては当然それは物価の安定という線から、一般会計から出すべきであるという主張を私はなさなければならぬと思う。そういうような主張を一体なさっても、現内閣ではやりくりがつかぬという結果になったのか。物価の安定、通貨価値の安定、経済成長ということの基本的な計画をお立てになる企画庁として、どこまでそういう問題に真剣に取り組まれたのか、その経過を一ぺん聞きたい。
  88. 江藤智

    政府委員(江藤智君) 国鉄が持っておりまする使命は、公共性と経済性といいますか、企業性といいますか、この二つの使命を負わされておるという点が、非常に国鉄経営の上においていろいろとむずかしい問題を負わされておると思うのであります。御承知のように物価をできるだけ低く下げたいということ、低く保っておきたいということは、経済企画庁といたしましても非常に力を入れております。しかしながら一方におきまして、国鉄の経営を、やはりこういう経済の伸びまするときには長期にながめまして、そうして国鉄もまた健全な成長ができるようにしなければいけない。これもまた経済企画庁としての使命でございます。従いまして、その内容をいろいろと検討いたしました結果、実のところ五百億近い公共的な負担というものを何とかこれを軽減さしてやりまして、そうして国鉄の経営を安全にさせたい、こういう議論も相当に出たわけでございます。しかしながら、公共割引、すなわち通勤、通学の割引でございまするとか、あるいは農林水産物資に対しまする政策割引というようなこの割引率を今直ちにいじるということにつきましては、非常に国民経済上にも影響が大きいのでございますから、一応この問題はしばらくたな上げをいたしまして、今度はフラットな大体値上げをしよう、まあこういう考え方になったわけでございます。企画庁といたしましては、国の政策によりまして国鉄に明らかに負担を及ぼしておるというような、たとえば建設線でございまするとか、あるいはただいま話に出ましたところの踏み切りの問題というようなものにつきましては、当然国におきましてある程度の補償と申しますか、穴埋めをするべきである。こういう建前をとったわけでございまして、来年度の予算の中にも、従来たびたび国鉄当局が要望いたしまして実現化できませんでしたところの、新線建設に対しまする利子補給という問題も、ただいま提出いたしております予算の中には入っておるわけであります。また、この踏み切りの問題につきましては、これは御承知のように道路と鉄道とのちょうど両方の問題になるわけでございます。建設省の方とも従来折衝しておるようでございまするけれども、先ほど運輸次官の御説明のように、まだ最終の結論には達しておらないようでございます。しかし、これにつきましてはいろいろ考えようもございます。国から出せるものなら出してもよろしゅうございまするけれども、やはりこれはそこを通るところの鉄道と、そこを通るところの路面交通との問題でございまするからして、これにつきまして全部を国で補償するかどうかと、まあこういう点につきましては、まだ経済企画庁といたしまして十分の検討をいたしておるわけではございません。これはそこを通る両方の責任でやるのがいいんじゃないか、こういうような考え方もとられるわけでございます。以上簡単でございますが、企画庁におきまする経過を御説明申し上げます。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 ややそこではっきりしたんですがね。今企画庁次官のお話しのように、公共的な性格を持ったものについては企業体としての国鉄に負わせるべきではない。だから利子補給とかいうような穴埋めのことを来年度予算にも提案をして取り進めておる、こういうことになりますと、その部分はもう国鉄としては背負う必要がないのです。その他の部分は、経済成長に見合って行なわるべき積極的な建設事業だけが残ってくるのです。その積極的な建設事業というものは、その事業の進行に伴う収入によって当然これはまかなわるべき性格のものなんです。そうでしょう。公共的な性格を持ったものについては、十分ではないが穴埋めをしてやるようなことを政府考えておる。私は正しいと思うのです。そういう方向がとられれば、あとに残る部分は経済的に当然収支が持てる建設線が残ってくる。こういうことになれば、何も二千億じゃありません、三千億でも五千億入れたって、それはその耐用年数によって長期償還の計画を立てますれば、運賃収入の増する部分で当然それはまかないがついてくる。こういう計算に私はなると思うのです。それがならぬとすれば、非常にこれは企業体としてはおかしな経営をやっている。どこに穴があるんだか私にはわかりません。新しい仕事を始めて輸送力を増強してやっていくという部分だけが残る。そこからは当然収益が上ってくるのだ。その上がってくるために必要な建設事業というものは一年で償却する必要はない。ものによっては十年、十五年という長期償却でいいのですよ。もしそれを運賃の値上げで二年なり三年なりに償却をしてしまうことになれば、極端な論議をいたしますれば、償却が済んだあとは運賃を下げるかということに私は発展しますよ、これは。一つの経済理論としてはそうなります。しかし経済行為にそういう操作をする権利はないと思うのです。その辺はどうなんですか、一体。二千何億入れる、建設事業費は、三年なら三年でもうゼロにしてしまう。六百億ずつ入っていけば三年間で一千八百億入るのですから、三年間で大体その政府の穴埋めとか、収益の増とでパーになってしまって、施設はゼロ、帳簿価格ゼロになっちゃいますね。そういう  ことなんですか。
  90. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 先ほどから出ておりますように、国有鉄道のいわゆる公共負担と称しておりますものは、大体五百二十五億円くらいございます。つまり、まあ、それだけの負担を背負っているがために収支のバランスがきわめてとりにくいと、こういうわけでございます。約この五百億円前後の公共負担を政府で全額負担してやる、一般会計で全額負担してやるということになりますれば、仰せのように運賃改訂はしないで所要の工事というものをやりまして、輸送力の整備充実をやって経済発展の成長の隘路にならない措置をすることは可能かと存じますけれども、先ほど経済企画庁の政務次官がおっしゃいましたのは、そのうちわずかに国鉄が国家の政策によって行なっております新線建設の所要資金に対する利息の補給だけでございまして、来年度予算案で計上されておりますのは約三億九百万円ばかりでございます。でございますので、やはり鉄道財政の健全化を維持しながら所要の資金を調達して、所要の工事を進めるということになりますと、一部は借入金の増額により、一部は運賃改訂によって所要資金を捻出するというよりほかに方法はないわけでございます。仰せのように、もちろんこの原価償却というものはそれぞれ耐用命数によりまして所要のものだけをやりていけばいいわけでございまして、一時に償還する必要はごうもございません。その点は同様でございます。
  91. 森八三一

    ○森八三一君 どうも私の頭が悪いかもしれませんが、三十四年度は収支差引ゼロでしょう。その中に五百億分本東国の負担すべき性格のものが入っておったといたしましても、入っておって三十四年度にゼロなんでしょう、収支がね。そして三十六年度に新しくやると、その新しくやる不経済的な部分というものが三百億ないし三百億ある。その部分に対しては、その年度に属する損失分だけは、負担分だけは企画庁の方で交渉なさって政府がめんどうを見る。残りは、全部経済的にペイ一する事業だけが残るので、それを長期償還していけば運賃にしお寄せを持ってくるという必要はごうもない。あなたは今その前の分まで持ち出して議論しておりますが、前の分は三十四年度で一ぺん切っているのです。三十四年度で、内容はともかく、これは将来の検討でよろしい。三十四年度で一ぺん切っちまって、その時点においてはゼロだ、こう言うのですから、新しく出発するものの中でどうなるかということをやればそれでいいんですよ。その三十四年度以前の内容に国鉄としては不合理性のものがあるから、これはこうしてほしい、ああしてほしいという議論はこれは別にやりましょう。今この時点では、三十四年度は一たんゼロだというなら、そこから出発して今度行なうべき事業内容というものを検討すればよろしいのです。そこで不経済な建設事業というものが二千億の中に二百億か三百億ある、その部分については政府がめんどうを見るといえば、残りの部分は経済的に成り立つ分じゃありませんか。その部分のために運賃を値上げするなんというのは、これはわかりませんよ。
  92. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 三十四年度に収支がとんとんだということを申し上げましたのですが、しからばその内容的に申し上げまして、それは健全な収支の内容であるかどうかということが問題であろうかと存じます。第一次五カ年計画の三十五年度末における見込みはわずかに計画に対して六〇%ぐらいしか進捗率を見ておりません。つまり自己資金が非常に足りないために所要の資金が投入できないということで、そこで収支は決算の面におきましてはとんとんにいたしておりますけれども、実際は所要の工事ができておりません。従いまして御承知のように貨物の輸送力におきましても貨車不足は慢性化いたしております。あるいは旅客輸送力におきましても、週末であるとか、あるいは盆暮れにおきましてはああいった状況でございまして、全然弾力性がないわけでございます。そこで本来の国鉄の使命を十分に遂行させるためには、やはり第二次五カ年計画程度の所要資金のめんどうを見てやりませんと、またまた経済成長の隘路になることはこれは必至であろうかと憂慮いたしておるのでございます。
  93. 森八三一

    ○森八三一君 どうもあなた、話しを変にこんがらかしちゃいけませんよ。三十四年度の決算帳じりの内容をなすものが合理性であるか不不合理性であるかという検討は、他日いたしましょうと、ここで一ぺん締めているのですよ。それから今度新しく三十六年度に新建設が出発するのでしょう。だからその内容がどうだということは、ここでもう一ぺん議論する必要はないんだ、新しく出発する新建設事業の二千何百億という中に、また赤字をしょい込んでしまうものが二百億ないし三百億ある、これは国鉄に背負わしてはいけません。これは当然別の方法によって、めんどうを見なければならない。けれどもその他の千五百億という新建設事業というものは、これは当然経済的に収支のとれる事業でなければならぬはずであるし、私はそうだと思うのです。そうだとすればその三百億部分だけは一応考えるにいたしましても、大部分というものはその運賃にしわ寄せを持ってくる必要は毫もない。三十二年度から出発した第一次計画が六四%に行っておらぬ、そのしわ寄せが云々とおっしゃるけれども、そのしわ寄せを全部かぶった結果が三十四年度の帳面じりでしょう。そういう計画通りに進行しなかったそういうことの収入減とかいろいろなものまでも織り込んだ収支のバランスの帳じりというものが三十四年度なんですね。そこが差引ゼロだというのだから、私は第一次五カ年計画の、これは宮澤さんが運輸大臣のときに出発したのですけれども、そのときにも相当議論して一おりますけれども、あまり議論を発展させるといけませんから、一応ここで締めているのです。そういうふうに考えてゆく以外にどうも私の習ったそろばんでは出てきませんがね。三十四年度で一応収支はゼロでございますと、今度新しい建設事業をやるんだ、その建設事業に要する資金が二千百億円だと、その中には三百億なり三百五十億なんという国鉄が収支の合わない事業を負わされているから、これはどこかでめんどうを見てもらわなければ困りますということは、私はわかります。でも残りの部分というものは、これは当然経済的に成り立つ事業をおやりになるはずなんです。だとすれば、それを運賃でカバーする必要はない。長期償還計画でおやりになればよろしい。ただ、そこで政府がそういうような経済成長に対応してゆくために必要な建設事業を行なうための資金を貸してくれたい、どこからもその資金の調達のめどがつかぬということになりますれば、これは一応考えてみなければならぬということになると思う。しかし現在の金融情勢下において、どれほど必要な、国の経済の発展、ことに池田さんが、言っていらっしゃる九・二%の高度成長をやっていこうというのが現内閣の一番主要な命題であるとするなら、そのために必要な資金というものは、これは優先的に回していいと私は思う。七千億の融資計画の中で千億や千五百億くらいのものをこの重点的な仕事に振り、向けるのは政府のやるべき方向じゃないですか。七千億全部よこしてしまえというのなら、それは無理だ、そのくらいの資金は出してやる。もしそれがそういう投融資関係でいかぬとすれば、あるいはその他の何か方法と申しまするというと、まあ一般会社なら社債を発行するという手もありましょうけれども、国鉄のような公共企業体ではそういう手もないかと思いますけれども、何か一つ考えれば、法律を作れば一般民間資金を活用するという面も、私どもがここで断言はいたしませんけれども、頭をひねれば出てくるんじゃないかと思うんです。運賃収入にそういうものを求めるなんて、こういうあぐらをかいた、でたらめな経理はありませんよ。建設事業に当然伴う収益でカバーしてゆく、どうしてそんなことがわからぬのですか。
  94. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) その点につきましては、先ほど申し上げましたように、来年度の工事所要資金の総額二千百五十億円の中には千二百億円程度は採算に乗らない仕事があるということを申し上げた次第でございます。そこで採算に乗らないものは利息のつかない自己資金でまかなうべきであろう、つまり鉄道財政の健全化を維持するためにはそうすべきだ、しかし二千百五十億円を全都自己資金でまかなうという考え方ではございません。もちろん借入金も可能な範囲におきまして、あるいは鉄道財政の健全化をそこなわない範囲におきましては増額をして参るわけでございます。でもしこれを仰せのように全部借入金でまかなうといたしますと、昭和四十年度の末には長期借入金の残高は一兆一千億円ぐらいになるのでございます。そういたしますと、利息だけで七百億円ばかりになるんです。で結局考え方の相違でございましょうけれども、全部借入金でまかなうということになれば、鉄道財政は非常に窮乏してくる、結局は先に問題を延ばしてゆくだけだ、というふうなことになるかと思うのでございます。
  95. 森八三一

    ○森八三一君 どうしても私わからぬのですがね、幾ら一兆円になろうが、二兆円になろうが、それに見合う収益のある仕事なら一向差しつかえない、長期になるだけで問題ないです。そこで今お話しのように三千百億円の新建設事業のうちに千二百億の鉄道営業上収支のとれないという仕事が押しつけられておるんですか。半分は収支、そろばんのとれないという事業をおやりになるんですか。それは国鉄が積極的にそういうことをお考えになったのか、それは何か別の方面から当然やらなければならぬというので押しつけられておるのか。今立体交差とかそういうやつはわかりますよ、それは二百四十億、残りの八百二十億という金は、ペイしないというのはそれは一体何ですか。
  96. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) もっとこまかく内容的に申し上げますと、先ほどこれも申し上げたっもりでございますが、たとえば主要幹線の複線化、これは経済成長に見合いまして、鉄道輸送力を拡充整備していかなければなりませんが、そのためには従来のように、古くから投資して参りました線路に車両を新造いたしましてふやすだけでは、とうてい輸送力は伸びないわけでございます、もういっぱいいっぱいに来ておりますから。そこでこの輸送力を増強するためには、今度は複線化にしなければならぬ、こういうことになります。で複線化に東海道新幹線を含めまして五カ年計画で総額約一兆円のうち四割五分くらい投資する予定にいたしております。そういたしますと、この複線化に投資しました金というものは、当分の間は採算に乗らないのでございます。収益は上げますけれども、採算に乗りません。と申しますのは、輸送力が一挙に三倍になりますけれども、この複線化の輸送力というものは、フルにカバーするだけの輸送量というものは、すぐに出てくるわけではないわけでございます。従いまして、私はこの主要幹線の複線化に必要とする投下資金は、さしあたりここ十年くらいは、収益を生まない投資である、こういうふうに申し上げておるつもりでございます。
  97. 森八三一

    ○森八三一君 ますますおかしくなってくるんで、昨年か一昨年か、磯崎さんが局長のころでしたか、新東海道線の建設ということが問題になって、現在は東海道線は百二十回線ですかがフルで、これ以上は何も入らない。先へいけばこれじゃとても麻痺して困る、どうしても新しい新線を一つ作らなければならね。そうすると僕の当時の平面計算では、今百二十回線か何か入っている、そこでもう一本できると両方とも六十回線くらいしか通らないということになると、輸送は非常に楽になる、楽になるけれども収益は上がりません上、そのときに二つの線にしたら百二十回線通っているものが、百九十回線とか、二百回線になるんだということになれば、一応気持はわかる。そう言ったところが、それがどうだと言ったところが、貨物が滞貨して困っているんだから、新線を建設いたしますれば、新線の方も百回線くらい通りまして旧線の方も百回線くらい通る——百回線かどうかはっきりしたことはわかりません、間違いかもしれませんが、とにかくそういう状況だ。そうすると新線を作っても、その新線の経費というものが、増強される運賃収入によって、長い目で見ていけばカバーすることになりますか、もしそれがどうしてもカバーされぬというものであれば、いっそのこと、この東海道線は貨物輸送だけにしてしまって、旅客は全部東京−名古屋、東京−大阪というものは、飛行機にしてしまってやった方がいいんじゃないかという議論までしたことがあるんです。いや、それはそうじゃない、新線を作れば、それは長い目で見ていって収支は償う、むしろ東海道の新線の収入によって、他の赤字線をカバーしてやらなければならぬ、そこに非常に苦労があるんだとおっしゃっておった。だから今あなたの御説明と逆に、新東海道線の建設それ自体もまた赤字になる、これじゃ説明を聞くたびにその時点その時点で、しかるべく、あっちを向いたり、こっちを向いたりいいかげんに説明をされる、それじゃわれわれ納得できませんよ。新線そんなものじゃないでしょう。新線そのものは毎年千五百億投じて、千五百億の収入を上げよ、そういうような乱暴言うものじゃない。それは十年、十五年で償還のついていくような収入があるはずなんですよ。少なくとも東海道の新線については、あるはずなんです。それが何か赤字になって、重荷になるなんという話はこれはおかしいですよ。そんなものなら新東海道線というものを、もう一ぺんやり直さなければならぬ。
  98. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) ただいまの私の御説明が少し舌足らずでございまして、主要幹線の複線化が、第二次五カ年計画の主要眼目になっておりますが、新東海道線は仰せのように、これはごく近い将来にすぐ採算に乗る、こういうことでこれは借入金によっておるわけでございます。その他の東北本線であるとか、あるいは北陸本線でありますとか、あるいは中央本線でありますとか、あるいは鹿児島本線、こういったところの複線化というものはなかなかペイしない、こういうことを申し上げたかったのでございます。そのほか電化にいたしましても、これも相当の投資になりますが、これは直接収益には関係ございませんし、要するにサービスの改善あるいはスピード・アップ、こういうことで、もちろんもっと分析してみますと、電化工事に要しました資金の中でも、たとえばそれによってフリーケンシーが増しまして、それによってまた収入の増もはかりたいという面もございますけれども、大部分は採算に乗らない面がたくさんあるのだというふうな考え方をいたしておるのでございます。あるいは信号機あたりの近代化にいたしましても、要するに安全性の向上ということのみ効果が期待できるのでございまして、収入の増強には何ら関係ない、こういったような工事が総額で千二百億円でございますと、こう申し上げたかったのでございます。
  99. 森八三一

    ○森八三一君 いつまでも押し問答しておってもだめですが、今の電化にしても、あなたの説明聞くと、何かちょっとまたおかしくなってくるのです。私は国鉄の総裁、副総裁が来て、電化にすれば石炭をたいていく場合と、カロリーでこういうように違いますし、牽引力がこうふえます、だから、電化すれば経済的にこういう効果が——よく覚えておりませんけれども、グラフか何か掲げて、詳細に説明された。私はそんなことなら一緒くたに、全国一帯に電化にしたらと言ったら、それは機関車を作るとか、そういうことが間に合いませんという御説明があった。だから、私は電化ということは、非常に経済的にいいことで、一刻も早くやらなければならぬ、こういう認識を持っておったが、今、局長の説明を聞くと、もう一ぺん電化ということも考えなければならない。専門家じゃございませんから、聞くたんび、聞くたんびにいいという説明、いかぬという説明——これじゃあわれわれしろうとは、一体どっちを向いておったらいいかわからなくなってしまう——その議論は別にいたしまして、結局新五カ年計画というものは、これはやるべきであると思います。これにけちをつける考えはちっともございません。ございませんが、その新建設事業というものの中で、千二百億程度が営業的に見てペイしないという内容のものであるといたしますれば、そのペイしない部分についての内容を吟味なすって、公共的な性格を持っているものについては、これは全部私は一般会計に移すべきだと思う。公共的な性格のものについては、そういうふうに整理して参りますれば、国民経済に非常な悪影響を与える公共料金の中でも、一番国民の注意をしている運賃の改訂なんかには手をつけるべきではないのですよ。昭和三十二年のときにも十三%ですか、値上げをなすったので、そのときにもいろいろ究明して、これで大丈夫かと、これをやらしてもらえれば、もう鉄道は大丈夫安泰になって、将来、今までは急行なんかでも、みんな立ってもらったのが全部すわっていただきまして、非常に愉快な旅行ができますと、宮澤さんの速記録を見ればわかりますが、そういう御説明でやってきたところが、これが進行しないから、そのしわ寄せが云々とおっしゃるけれども、一三%引き上げるときには、必ずこうなりますという説明で出発をして、今になってみれば人ごとのように六〇%いかなかったという話は、それじゃあ原因が物価の値上がりによって資材の購入等が非常に上がったからだ、そういうことがその当時の計算に織り込まれておらなかったから、こういう結果になりましたとおっしゃるなら了解します。ところが、企画庁の方の説明によると、昭和二十八年からの卸売物価の値上がりなどというものは大したことはない。物価の値上がりはその理由にはできないと思う。計画がずさんであったと頭を下げられるならこれも仕方がない。責めるべきでない。死んだ子の年を数えるようなものですから、今さらそんなことは言ってみたくない。結局、どうも私の感じとしては、本来は長期の計算で考えていけば、運賃の値上げに依存せずともやれる。ところが、こういうときには運賃の値上げと、一つ踏み切っておけば、今後の鉄道運営の中で、いろいろな消耗品にしても、人件費にしても、そういうものが値上がりになるときにうまくすべり込んでいけるようなへそくり——悪い言葉でいえば——ここでちゃんと蓄積しておこう、こういう邪推がしてみたくなる。民間人はそんなことはやりませんよ。明日閣議決定するという仲原先生のお話ですが、これは一体こんなずさんなことで持ち込んでいいんですか。政務次官、こんなことをやって、今、私の話を聞いてらっしゃいまして非常に達識、良識のある両政務次官はよく御了承なさったと思うのですが、あなた方が商売をおやりになるときにはそんなことはおやりにならぬと思うのですがね。その事業によって投資をするということは、その投資が長い目で見て、ちゃんと償却されるという、その計画の上に立って推進さるべきである。それを国というような、公けのものですから、命令的に損益計算でまかなってしまうというようなことはおかしいです。損益計算で処理する部分と、建設勘定で処理する部分とは、経済的に見て明確な限界があるのです。今お話を聞いていると、建設勘定で当然処理さるべきものが、損益勘定へもぐり込んでいると、こういうことです。そういうことを国民の負担として、賃率をきめれば、法律と同じようにひたりと取れるということで押しつけるということは、私は善政じゃないと思う。やるべき手段というものをまだ怠っておる、こう思いますが、そうはお思いになりませんか。
  100. 江藤智

    政府委員(江藤智君) 経済企画庁といたしましても、そういう面は非常に検討いたしました立場上、補足いたしたいと思いますが、ただいま森先生の御議論もまことにごもっともだと思います。投資をする以上は、その建設計画あるいはその収支を十分勘案いたしまして、そうして事業として成り立つものに投資すべきである。損益勘定の方は、これは日常の経費でございますが、投資をする以上は、その事業計画でペイをするものに投資をするのだからして、三十四年度には収支バランスをしておるからして、今運賃を改正しなくても、そういうものにしか投資をしないのだから、改正をする必要はない、こういう御議論のように思うのであります。しかし、投資をした場合に、その事業計画がペイする、成り立つものだけ投資をして済むものならばそれでいいわけでございますけれども、国有鉄道という特殊の立場にございまするために、また、国有鉄道という立場におきまして、運賃が必ずしも適当に設定せられておりませんからして、そういう投資とその投資効果というものがうまくバランスをしておらないのが現状でございまして、この点が非常に問題になるわけであります。たとえて申しますというと、ただいま国鉄に三百何十線区か大きい線区がございますけれども、そのうちで相当主要な線区でございましても、現在すでに償却が終おりまして、そうしてその上を走っている、車も走らせているのでございますからして、当然森先生のお説に従いますというと、そういう線はペイしておらなければいかぬはずである。しかも、その運賃というものは、その線区が一ぱいになりました場合には、複線にしてでもまた輸送力をつけていってもいいような、いわゆる販売価格と申しますか、運賃になっておれば、これは問題にならないのでございますけれども現実はもう償却の済んだ単線の上を腹一ぱいに車を走らせましても赤になっている。しかも、所得倍増計画によりまして、そういう線区を複線化しなければとうてい鉄道の任が果たせない。しかし、それではこれ以上に複線の投資をするというと赤字が、かえるからして、たとえば東北線の線路増設はやらぬでいいかというと、これはどうしてもやらなければいけない、こういう状態になっているわけであります。従いまして、先ほど二千百億円の投資をやるという説明がございました。この二千百億のうちで七十五億でございますが、これがいわゆる新線建設に充てられる金でございまして、これはもう新聞その他によりましても、そういう赤字線を国鉄にしょわせるのはけしからぬじゃないか、われわれもさように考えるのでございまして、こういうものにつきましては、全額政府が出資するか、あるいはせめて利子だけでも政府が補給してやるべきである、こういうわけで、来年度からは利子補給というものが初めて、これは非常におくればせでございますし、不十分ではございまするが、われわれの主張が入れられまして、建設線につきましては、これは一応私たちは別にしていいと思うのであります。そういたしますというと、残りが約二千億でございます。たとえば東海道線の新幹線でございます。これが四百四十四億入っておりますけれども、これは事業として、ただいまの運賃でさえこれは採算が立つわけでございますから、これは世界銀行から借り入れをしたわけでございます。それから、先ほど少し説明がどうかと思いましたけれども、企画庁といたしましては、電化はやはりこれはペイする事業であると査定をいたしたわけでございます。ということは、電化をいたしますというと、一時に投資はしなければいけませんけれども、石炭の節約になりますとか、あるいは経営費その他が相当に節約になりますから、これも事業として成り立つものである、従いまして、これは借入金でやるべきである、あるいはディーゼル・カーの増備でございますとか、車両増備の大部分は、これは借入金に回したわけでございます。ということは、車がそれだけふえるということは、それだけ貨物がふえるわけでございますから、収入が上がるわけでございます。従いまして、そういうものを大体計算いたしますというと、千億というものは、森先生のおっしゃるような大体カテゴリーに入るわけでございますから、これは当然借入金によって行なうべきである。ところが、残りの千億を詳細に検討いたしますというと、先ほど申し上げましたように、現在でも赤字線であるけれども、国のとにかく要請と申しますか、経済上の要請によりまして、複線にしなければいけない。しかし、その線は現在すでに償却の済んだ線路を使ってさえとにかく赤字が出るようなところに、さらに膨大な金を入れまして、複線増設をするわけでございますから、ここ当分はその投資に対しまするいわゆる収入というものがこれは見合わないわけでございます。あるいは通勤輸送につきましても、御承知のようにただいまは非常に高いものでございます。特に東京付近におきましては、地下鉄のごときは一キロ三十二億、あるいはそれ以上の金をかけないというと建設できないような状態になっております。しかも、一方におきましては、非常に高率な割引もしなければいけない。従いまして、現在の山手、京浜というような線路につきましては、これはすでに古い線路で償却もほとんど終わっておりまするし、また、非常な社会的な御批判も受けるようなすし詰めをやっておりますので、ただいまの状態におきましては、確かに黒字でございますけれども、これからこれを温雅を解消いたしますために、別の線路をいよいよ敷かなければいけないという段階になりますというと、とうていただいまの料金におきまして採算がとれるものでもございません。従いまして、こういうような約千億というものにつきましては、これは利子のかからない金でまかなわなければいけない。ところが、この千億のうち六百億というものは、これは減価償却というような格好におきまして、現在の運賃におきましても繰り込むことができる。残りの約四、五百億と申しますか、数字は私宙で覚えておりませんが、約五百億程度というものが利子のつかない金としてどこからか持ってこなければいけない、しかし、この五百億というような金を一般税金で持ってくるかどうかということになりますというと、その大部分というものが、先ほど申しましたように、ペイをしない増設の線路の金である、あるいはペイをしない通勤旅客の建設費であるとかいうものでございますから、やはりこれは鉄道を御利用願うところの、いわゆる料金というものでまかなうことが、国鉄の経営の上におきまして至当ではなかろうか、こういうような観点に立ちまして、約五百億、少し足りませんけれども、四百八十億というものを、この際運賃改正やむを得ない、これが先ほど申し上げましたように、大体一二%の値上げ、こういうような結論を出しまして、経済企画庁も了解をいたした次第でございます。簡単でございますが、経過をお話いたしました。
  101. 森八三一

    ○森八三一君 企画庁次官の説明で一応明らかになりましたが、よく了解いたしましたが、その場合に少し考え方が違っておりやせぬか。それれは、お話のように二千億のうちから約一千億はペイするからよろしいと、それから六百億は準備した金がある、残りの五百億ぐらいがどうも困ると。その建設事業は一年に僕は出す必要はないと思うんです。その建設事業は赤字建設でございましても、これは耐用年数があるんですから。年々赤字がその運行によってかりに五十億出てくると、それから五百億の金利が幾らと、それにその耐用年数を見れば、その建設事業というものを償却すれば、ものによっては五年、ものによっては二十年、三十年、こう見ていきますると、その長期計画で年賦償還計画を立てますと、一年の繰り込み金額というものは、わずか八十億なり百億なりで済む、こういう計算は当然事業をやる者としては出てこなければならぬ計算なんです。それを一ぺんにその赤字部分だけはことし全部取っちまうと、来年その赤字分というものは帳面じりでは簿価はないと、こういう計算ですね、これはおかしいですよ。
  102. 江藤智

    政府委員(江藤智君) その点につきましても、企画庁といたしまして十分に検討したつもりでございます。で、何もただいま申しました五百億を一ぺんでゼロに、自己資金と申しますか、運賃改正でやらなくても、借金で相当に、とにかく長い長い目で見て返したらいいじゃないかという御質疑だと思うのであります。で、問題は鉄道経営というものを長期に見まして、とにかくこれも経済企画庁の立場でございますから、安定的にとにかく経営をさせなければいけない。ところが、御承知のように、現在すでに四千億の借金をしょい込んでおるわけでございます。しかも来年度は、運賃改正をいたしましてもまだ一千億のとにかく借金をする。もしも運賃改正をいたしません場合には、これが千五、六百億程度になる。これが雪だるまのように、新五カ年計画というものをとにかくすべて借金でやって参りまするというと、ふえて参ります。そういたしますというと、その利子の支払い、あるいは借金の支払いのために、これまで国鉄が借りておったような金を返さなければいけないような結果になるわけでございます。しかもそれが、どこにその根本問題があるかというと、やはり根本的には運賃の問題になるわけでございます。これはもう今さら私が申し上げるまでもございませんけれども一般の卸売物価が戦前に比べまして三百倍、あるいはそれ以上に上がっておると思います。特に鉄道が使用するところの使用資材というものは、いずれも三百倍以上の値上がりをしておるわけでございまするが、国鉄の運賃というものは、御承知のように二百倍に足らない状態で、まあこういうような面もやはりこの経済成長の場合、またそれの基礎をなすところの国鉄経営を健全にさせるという点において、何らか考えなければいけないんじゃないか、これは長期の資金計画をここで国鉄当局からお見せしない点も私はまずい点があると思いまするけれども、そういうようないろいろ長期にわたりまして、この機会にこの程度の手直しは、これはもうまことに大きな影響は及ぼしまするけれども、踏み切らなければならないんじゃないか、まあこういう結果を企画庁といたしましては出したわけでございます。
  103. 森八三一

    ○森八三一君 政務次官ね、先をおっしゃるから話がこんがらがっちまう。三十四年度で一ぺん切っておきましょうよ、そこでゼロなんだから。三十四年度でゼロ。四千億ある借金とか利息とか、そういうものを全部入れて、三十四年度は一応ゼロなんですから、これから新しく出発するやつですね、そのうち一千億はよろしゅうございますと、残りの一千億だけは自己資金でやります。残りが、今お話のように、きわめて明確に、数字的に四、五百億というものはどうしてもこれは始末ができぬやつ、わかりました。それを運行してい、ことによって生ずる年度の赤字とその建設に要した費用の金利、それから年次償却で一年幾ら見るかということを見ていきますると、そのトータルだけをその運賃収入に求めるとすれば、まあこれは一応常識で納得できる。その全額を運賃収入に求めようとする点に無理があるんです、どうしても。これはどう考えてみても今の御説明では納得できません。そこでもうこの議論をいつまでやってもしようがありませんから、私はそう断じます。これは少し頭をひねればそういう計算は出る。そこで必ずしも一割四分の値上げをする必要はない、こういう結論がくるでしょう。もしその結論がこぬとおっしゃるなら、もう少し議論しなければなりませんがね。三十四年度で四千億かなんかある借金の利息も全部入って一応収支とんとんか二十億ぐらい黒字だと、こう局長は説明しているのです。それは誤りだといえば別ですよ。けれども一応、はっきり数字はあげませんけれども、大体収支は三十四年度末で差引ゼロでございます。二十四億ぐらいの黒字があるのではないかと思う、それを私は信用しているのです、その前提に立って……。そうすると、その中には何千億かの借金の利息も当然入っておらなければこれは収支じゃないのですからね。今度新しく投資される。その投資される分のうちの四、五百億円程度のものがどうしてもこれはしょい込みになる、それはわかりました。そのしょい込みになるものによって生ずる年次割りの年賦償還計画というものを立てると、一年分が五百億でなくて、それは二百億とか百五十億とかいら縮小された金額になってくるのが私ども普通に行なっておる計算方式なんです。だれがやってもそれ以外に方法はないと思います。一年にその赤字部分を調整する必要はない。年次割でいけばよろしい。そうすると、今ここに閣議決定されんとしている一割五分ですか、これはそういうふうに整理していけば必要はないということになる。そこで、あとでおっしゃいましたように、一般の物価は戦前対比三百何十倍、国鉄の力は公共性を持っているということで抑えられ・抑えられて、二百倍前後よりきていない。だからこの辺で少し手直しするがどらか、そういうことで私は手直しをするのは感心しません。安ければ安いほどいいので、あえて上げる必要はないと思う。しかし、経営上この際どうしても多少の手直しをやらなければならないということになれば、そういたしますれば、そこで内容的に国民生活に非常に密着している貨物であって、さらにその貨物の生産者が、現内閣の所得倍増論をもし遂行する場合に非常に断層が、較差があって、これを縮めなければならぬということが一番重点的なねらいどころである、端的に申しますれば、農業と他産業との所得の較差が三分の一、三倍とこういうように開いている、これを是正しなければほんとうに平和国家としての発展は存在しないということで、農業基本政策もお立てになって、これからこのことを勇敢に一つやっていこうというやさきに、その所得を上げてやらなければならぬという立場における生産者に非常なしわ寄せがくるということは、これはもう避けなければならぬ当然なことですから、一割五分——実質一割二分上げる必要はないということで、そこで八分なら八分でよろしいという計算が出てきたというときに、一割二分かぶれる方はかぶせればいい。けれども、その所得倍増論と今の較差ということから、当然政治的に考慮を払わなければならぬという階層に対する負担というものについては、そのしわ寄せを全部持ってくる。そろばんとってみなければわかりませんけれども、私は農林畜水産物については運賃を改訂しなくても国鉄の経理は健全に育成されていく、こういう数字が出てくると思うのですが、そういうそろばんを一つはじいてもらいたいと思いますが、どうですか。これはほんとうですよ、やれるのですよ、私の申し上げたよう敢行していただけば……。これはどの物資だってみんな運賃を下げてくれという要求はあるでしょう。あるでしょうけれども、今の政府のお考えになっている重点的な施策が経済の成長ということなんです。同時にまた国民産業間における、あるいは地域間における、あるいは階層間における所得のアンバランスというものを是正するということが一番最大の課題である。そいつを集約してみると、農業と他産業との三分の一、三倍という大きな開き、これを是正しなければならない。それなればこそ非常に思い切って将来に向かって責任をしょわされるという農業基本法もすでに国会に提案されておる。その趣旨を貫いていくためには、そのしわ寄せを全部農民のところへ持ってくれば、農民の生産する農林畜水産物は今回の貨物運賃改訂には現行据え置きでよろしい。他の物資の方は一割二分お上げになる。それで国鉄の収支は健全にとれる、こういうそろばんが出なければならぬのですがね。そういうふうに考え直してあしたの閣議決定に原案を出す、こういうふうに政務次官、踏み切ってもらいたいのですが、どうですか。私のそろばんが違っているなら違っているということで御答弁願いたい。
  104. 江藤智

    政府委員(江藤智君) どうも私、経済企画庁の政務次官でございますから、経済企画庁の立場で御返答いたしたいと思います。森先生は非常に明快な御結論をお出しになっておるようでございまするけれども、この運賃改正につきましては、実は非常な検討をいたしたわけでございまして、これが早急に改めることができるかどうかということは、私は困難であろうと思います。ただ、農林水産物資のような、運賃が非常に影響のあるものにつきましてどうするかということ、これにつきまして、経済企画庁のまた省議をいたしたわけでもございません。しかし、私が承知をいたしておる個人的な与え方で申しますというと、御承知のように、この前の運賃改正のときにおきましても、農林水産物資に対する影響が非常に大きいものであるから、その限度もたしか一七%であったかと思いますが、そういう程度に押えようじゃないか。また、品目もたしか百あまりにふやしたと思いますが、そういうふうに品目もふやして、そうして暫定的にこれらの物資に対する影響を少なくしよう、ここういうようなことがございまして、その後、国鉄といたしましては、国鉄のやはり輸送、運賃制度という面から、しばしばこれを暫定割引をやめてくれ、こういうような議論も出て参りまして、農林関係あるいは国鉄との間におきまして、いろいろと意見の調整が行なわれまして今日に至ったことも御承知の通りであります。で、ただいま生きておりまするのは、たしか先年の九月の末であったと思いまするが、また期限が切れて参りまするので、非常に強い御要望がございました。経済閣僚懇談会だと思いますが、そこでことしの三月三十一日までに適当な調整案をこしらえて切りをつけるということになっておったと思います。まだその決定は生きておると私は思うのであります。しかし、たまたま御承知のように、この運賃改正という問題が起こって参りました。そこで、運賃改正をいたし、しかも暫定割引の問題もなくすということは、これはあまりにも農林水産物資に対する影響が大きいんじゃないか。従いまして、こういう点については、十分に今後農林及び運輸両省におきまして調整をとり、必要があるならば経済企画庁長官も入りまして、適当な線を出さなければいけないんじゃないか。かように考えておるのが私の個人的な意見でございまして、正式には私、帰りまして、また大臣にも諮ってお答えしなければいけないと思いますが、私はさように考えております。
  105. 森八三一

    ○森八三一君 もうこれで一つ結論が出ましたから質問を終わりますが、私の最後に申し上げますのは、鉄道の健全な経営というととを私は念願いたしまするし、いたずらに鉄道の方をいじめてどうこうというけちな考えを持っているものではございません。さらに高度成長に伴う輸送力の増強などもやってもらわなければなりませんので、これも私は双手を上げて賛成するものであります。が、そのやり方について、今までの質疑を通して明らかになりましたことは、三十六年度には二千百億円の投資をする。それで三十四年度末では一応収支は差引ゼロであるということでございます。三十五年度はおそらく四年度より見れば、私は収入は増していってもいいのではないかと思うが、一面人件費等もふえますので、これをゼロと見ますと、新しく投資をする部分だけが負担になってくる。そのうちの一千億は長期に見ていけばペイする。その残りの五、六百億円というものは設備償却ということで、自己資金で金をまかなう。残る四、五百億円がどうしても始末がつかぬ。私は内容はよくわかりませんが、トータルは一応了承いたしましょう。その了承いたしたものをいかにしてカバーするかということを考えますと、これは常識的なことではございまするが、一年に運賃収入でまかないをつけるべきものではない。そのものの持っている耐用年数に従って償却をしていく、年次償却でよろしいと思う。赤字経営であってもそれでよろしいと思う。そういうようにそろばんをはじき直すことが、私はこの際は、この時点における物価値上げのムードに拍車をかけないようにしていく心がまえでなければならないと思います。そういうように一つ御再考をいただきたいと思う。御再考願いますると、申し上げましたように一割二分実質運賃の値上げをする必要はないというところに私はそろばんが出てくると思う。その出てきた場合に、その平均三%、実質四%という結論が出た際に、その三%、四%を農林物資に全部一ぺんあてがってみると、農林物資の方では、実質一二%を引き上げぬでも、国鉄全体としては経理ができる、こういう数字が私は出てくると思います。そういうふうに一つ御再考いただきたいということを注文しておきます。いずれこれは運賃改訂の案が出ると思いますので、そのとき、また議論しなければならぬと思いますが、これは出てしまうとどうしても原案を固執されまして、てこでも動かぬ。出る前に一ぺんちょっと注文しておかぬと、出てきたときに、どうしてやってくれなかったという文句が言えなくなりますので、この際ちゃんと前提を差し上げておきますので、御再考願いたい。  それからまた政務次官のお話の、公共政策割引の問題は、恒久化すべしというお話も先刻ございましたが、これはもう議論の余地はないと思います。というのは、三十四年度で二十億ですか、公共政策割引で、鉄道は二十億の負担をしておりますというお話でございました。その二十億の負担をしながら、三十四年度にゼロになっている。今後の新しいやつはちゃんとペイするようにしましょうというのですから、その前のものまで気をきかして議論する必要はない。三十四年度でペイして、しかも国家的に非常に意義のあることをやっているということを考えなければならぬということでございますれば、これは議論の余地なし、恒久的にする。それで何も鉄道は赤字を背負うということにならない。その部分だけ見れば確かに二十億の赤字になるけれども、全体の上ではペイしておるのですから、それをここへ引っぱり出して、それだけ議論する必要はない。これは恒久制度にするということは議論の余地なし、私はそう思う。しかし、ここで私がそう割り切りましても、なかなかむずかしいことであると思いますか、このことについては一応三月三十一日限りということになっておりましたのを、当然農林委員会等で要求があるだろうからということでお察し下さいまして、まことに頭脳明晰な皆様は、六月三十日までお延ばしになって、その間にゆっくり返答しようということに御措置を願ったと私は承知しております。三カ月先に延ばす。三カ月先へいくと、これはどうやってみたって、そのために国鉄全体を通して云々ということにはならぬことになると思います。これはもう七月一日には恒久化するという、立法措置ではないと思います、これは何か鉄道公報で通知すればいいと思います。ちょっと二、三行書けばいいので、これはちょっと出してもらいたい。まあ、これは六月末に議論しましょう。そこまでは延ばしてもらうのだから、ここではこんがらかってしまうから、そのときにもう一ぺん議論したらよろしいので、私はそれがあるからなんてことで、差し引きした、運賃の方の値上げはちょっとと了承してくれという議論には、これは種になりませんわ、取引の材料にならぬ数字ですから。これは六月末に、恒久化するということで、関係のある当面の運賃の値上げについてはそういう計算を一つ御再考いただきたいということだけお願いいたしまして、私の質問はこれで終わります。
  106. 東隆

    ○東隆君 森議員のお話で実は私ははっきりしたので、関係の方で一つそういうふうに善処をしていただきたい、こう思うわけです。私は、このままで参りますると、かりに国鉄の方でお考えになったようにお上げになっても、この次にまた同じ理論でもってお上げになる、こういう問題が出てくると思うのです。そこで私は、何か国鉄の鉄道だけをとったときに一つの欠点があるのではないか、こういうふうに考えるわけです。従って、運賃をきめるときには、運営その他を考えなければならぬのですけれども、これは国鉄だけを考えて、独立採算制、しかも局部的なところの独立採算制の場合には赤字になる、それを強調されたのでは意味をなさぬと思う。そこで関連産業ですね、国鉄に関して、関連産業はことごとくもうかる仕事は全部民間のものがやっておる。そこでこの前国鉄法の中に、関連産業に投資するという条一項の法律改正をお出しになったのですけれども、これはさたやみになってしまった。これはもう一度お考えになる必要がある。それから国鉄そのものは、結局飛行機とそれから自動車でもって両方からはさみ撃ちを食っている。しかもこのうち自動車の関係は、これは運輸省でもって十分に考えることである。それから私鉄と国鉄との関係は、これも運輸省でもって十分に考えることである。私鉄は、これは税金を払っておりますし、それから配当をしておる。国鉄は、税金を払っておりませんし、それから配当をしておらぬのですから、だからその点から見てもこの運営がそんなに赤字になるはずはないわけなんです。そこで私鉄の方はもうかるところばかり計画をされてきておるわけです。もうからないところは、これは新線建設とかといってペイしないところを国鉄がやるのですから、この関係をお考え下されば、独立採算制をとる国鉄がいつも苦労するのはこれはあたりまえの話なんです。だから私は、独立採算制をとるのならば、もうかるところはどんどん国鉄でおやりになって十分に収益を上げてもらわなければいかぬ。そして同時にもうからないところにそれをつぎ込む。これで初めて国鉄としての独立採算制が立っていくと思う。そういう考え方でやって参りますと、私は、近郊のものは、大都市を中心にした近郊の貨物はほとんど自動車にかわってきておる。それを国道その他、これは税金でもってこしらえた道路ですね、その上をみんな私経営のトラックやそれからバスが通っています。これを一つ常々と国鉄のバス、トラックが通るように考えれば、これは十分に貨物も旅客も吸収することができるのではないか。これを遠慮をされておる。それで自動車関係の何でもっていろいろお聞きしますと、自動車会社の方から何か横やりが入るとたちまち国鉄でもっておやりになるやつがだめになってしまう。そういうようなことをしょっちゅう聞かされておるわけです。だから、こいつはもう少し強力な考え方に立って、そうして国鉄の鉄道だけの計算じゃなくて、自動車も含めての計算でもってやっていかぬけりゃこれはもうもうかる、収益を上げる区域内においては常に収益を上げることができないという事態になってしまう。そうしてもうからないところだけ国鉄でやると、これでは運賃をいつも上げていかなければならぬ。こういうことになろうと思うのであります。だから、この点を私は十分にお考え下すって、そうして運賃の計算その他をやるべきじゃないか。これが私は運営委員だの何だののところから当然出てこなければならない一応見じゃないかと、こう思っている。ところが、そういうような意見が出ないのです。ただ単に国鉄だけの計算でもっておやりになる。時代が進んできたら、これは飛行機ももっとスピード・アップされるでしょうし、旅客なんか、先ほどもありましたように、遠距離のものはどんどん飛行機に食われてしまう。自動車道路がよくなったらもう皆自動車に移ってきます。そういうふうに考えて参りますると、国道の上を通る省営の、国鉄のバス、トラックは実は非常に少ないのです。そうして、できておるのは、やっぱり横の方に入っていって非常にもうからない線だけをおやりになっておるのが、これが現状であります。これでもって計算ができるはずがないから、だから私はこの考え方を一掃する必要がある。それならばもうからないところは一体どういうことになるか、こういう問題でありますが、私はもうからないところこそ私営のものにやらしたらいいと思う。私営のものはなかなかやりませんから、それで関連産業として国鉄がそこ出資をするわけであります。出資をしてそうして相当の株を国が保有をする。保有をして、そうしてそれがある程度うまくいくようになったらば、残った株を全部国でもって買い上げる。そうしてそこに働いておる従業員を、国鉄でもって扱っておるような何を継続をする形になって人を引き受ける。こういうような形をやっていくならば、私は運輸事業というものは、国鉄というものはぐんぐん伸びて、そうして幹線はずっと強力なものになっていくし、運輸事業はふとっていくと思うのです。そいつをやらないで、もうかるところは皆私営にやらして、もうからぬところだけをやっていく。そうして運賃にそれを加えていく。そうしてもうかる方では税金を払って、そうして配当をやって、そうしてやると、こんなようなことをやっておると、私はどうもはなはだ意味をなさないと思う。そういう点を考えていただいて、そうしてその上に立って運賃の改訂、そういうようなことをやると、どうしてもやらなきゃならぬというのならこれは話がわかる。そういう矛盾を解決しないでおいて運賃の値上げというのは、これははなはだもって国民を愚弄しておるのじゃないかと、こういうふうに考えますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  107. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) お答え申し上げます。  御指摘のような御意見は非常に盛んでございまして、われわれとしてもかねてからいろいろな方面から承っておりますけれども、よく考えてみますと、たとえば御指摘になりました民間の自動車運送事業との調整にいたしましても、運輸省といたしましては非常に苦労いたしておりまして、それぞれ長い歴史的な沿革的な背景を持っておるわけでございましてその中ににわかに国鉄の兼営いたしておりますトラック事業なりあるいはバス事業なりが出て参りますということになりますと、大へんな摩擦を起こすことになるわけでございまして、それぞれの使命に立たさせまして、両者の調整をやってきておるような次第でございます。また、関連事業へ投資ができるということにいたしまして、どしどしもうけさせればいいじゃないかということになりますが、しかし、これは現有ただ一つ認められております例外は、輸送施設に関連いたします場合のみに限定されておりまして、と申しますのは、たとえば国鉄のバスが民間のもの協同いたしまして、バス・ターナルを作ると、こういうふうな場合には出資ができるというふうになっておりますが、きわめて例外的に認められておるたけでございまして、国会の先生方の御意見の大勢、あるいは国民の世論の大勢がどしどしそういう兼業に投資によって乗り出すというところまではなかなか立ち至っておらぬのじゃないかというふうに考えております。
  108. 東隆

    ○東隆君 この前、国鉄の関連産業に投資をする条項の改正案が出たときにこわれたのは、例の鉄道会館の問題に関連してこわれたのです。これはもう一度再考すべき筋合いのものです。そうして法律を改正してやっていかなければ、ほかの私鉄はいろいろなデパートをこしらえ、ターミナルにいろいろなものをやって旅客を吸収するのです。旅客を吸収するということは、これは運輸事業のうちの一項であり、観光関係の仕手もみんな関連の仕事です。だからそういう方面にどんどん投資をしてやって差しつかえない。現に国鉄の経営しておるバスなんかは、どんどん部内なんかでも、観光なんかに乗せてやっておりましょう。そういう意味に拡張解釈もできますし、やれるのですけれども、ただ民間中業を、圧迫するとかなんとかいう圧力に属してやらないだけであろう。だから、そういう点は国鉄が国民大衆に安い運賃でもって輸送をするのだと、これは基本的なものだから年産費を下げる、これは一番基本になるのです、年産費を下げる基本になるところのものなんです。だから、そういう意味からも私はこういうものを上げて、生産費を上げて物価を上げるなんていうそんなばかなことをやる必要はない。基本的なものは、国がやっておるのはなぜかといえば、やっぱり生産費を下げたり、いろいろな面にそういう方面に大きな影響があるから、これは国鉄でおやりになる。そうしてそれをぐんぐん上げて物価値上げの原因を作る、そういうようなやり方をする必要はないと思う。だからあくまで、どこに一体欠点があるかということを突きとめて、私が今言ったようなことは、明らかに国鉄が国鉄だけでもってお考えになって、国鉄一家だけで関連産業にささり込んでやっているといういろいろな面もありましょうし、そういうような関係をもう少し整理してお考え下さったら、私が言ったようなことは、これは国として当然やらなければならぬことじゃないかと思う。だから、輸送事業のような根幹的なものはこれは国がやるのは当然な話で、税金と配当金まで負担をするような、そんなばかなことをする必要はない。そういう意味から私は考えて、もう一歩、国鉄内部の計算をするだけでなくて、それを取り巻く方面のものをもう少しはっきりさせて、そして持ち出される方が私はみんなを納得させることになる、こういうふうな考え方。先ほどの答弁では私は満足できませんが、政務次官の方で一つお答えを願いたいと思います。
  109. 福家俊一

    政府委員(福家俊一君) お答え申し上げます。ただいまの東委員のお話、まことに建設的な、われわれの参考にすべき点が多々あると思います。私、政務次官として、こういうことを申し上げたら政府からしかられるかもしれませんが、運輸行政につきましても、戦後そのつどつどの、その場つなぎの行政を積み重ねてきたというような点もなきにしもあらずでございます。この辺で抜本的に日本の陸海空、特に最近におきましては、宇宙にまで視野が伸びておりますので、根本的に再検討すべき時期にきておりますことは、私個人の私見でございますが、そう考えております。私も政務次官の間に全力を傾倒して、党の啓蒙をはかり、御趣旨に沿うように努めたいと思います。
  110. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 二、三の点につきましてちょっとお伺いしたいと思うのでございますが、農林物資の中で非常に大量な貨物でございまする林産物につきまして、昨今非常に価格が値上がりをしておるということを中心にして、衆議院の予算委員会におきましても活発な議論が行なわれたわけです。そこで、どうしてもこれらの価格を抑制をしなければならぬ、こういうことと相関連してと思うのでございますが、最近経済企画庁におかれましては、当面の対策として国有林の立木を約一千万石程度増伐をする。さらにまた外材を約百万立方メーター輸入をする。パルプ川の資材として現在使っております廃材チップを原材料に対しまして倍加させる、こういうようなことを実は研究をされたやに思うわけでございます。木材がきわめて基本的な原料資材、基礎資材として、この価格が漸騰する傾向を抑制しなければならぬということは、当面対策として当然なことだと思うわけでありまして、従って、その措置につきましての一応理解はつくのでございまするが、いずれの項目をとりましても、なかなか言うべくして私はむずかしい措置だと思うわけでございます。ところが、そういうような問題が検討されておりまするやさきに、とにもかくにも運賃が上がるということは、これはこの木材の騰勢に拍車をかけるということは事実でございまするが、何がしかその間に政策的な矛盾を感ずるようなわけでございます。そこで経済企画庁におかれましては、こういう問題をどのようなふうに理解をされているのか、まずその点を一つお伺いしたいと思います。
  111. 江藤智

    政府委員(江藤智君) 御質問の御趣旨は、こういう公共料金の要するに値上げというものが国民生活にいろいろと悪い影響を及ぼす。たまたま所得倍増というときに、こういう値上げ問題が起こるということについてはどうも好ましくない、こういう御質問だろうと思うのでありますが、もちろん先ほどからるる御説明しましたように、経済企画庁としては、物価はできるだけ安定させて、そうして経済の伸びる方はどんどん伸ばしたい。これはもちろんそういう希望を持っております。幸いにいたしまして卸売物価は私の方の見通しでは、弱含みの横ばいでございます。消費者物価につきましては、これは何と申しましてもいろいろとサービス料金と申しますか、賃金の方もこれはふやしていかなければいけないのでありまするからして、これは多少値上がりになってもやむを得ない。できるだけ押えたいのでありますが、多少値上がりになってもやむを得ない。こういう考えでおりますることは、企画庁の長官がしばしば御説明をしておる通りであります。しかし、所得倍増計画を遂行いたしまするためには、いろいろの基礎的な条件を整えなければいけない。その中には輸送の問題もございますし、電力その他エネルギーの問題もございましょう。そこで、そういうような公共的な事業につきましても、これを拡充するということになりまするというと、やはり相当の投資をせねばいかぬ。そうしますと、それのいわゆる利息、償却というようなことも考えなければいけませんからして、こういうものにつきまして、どうしてもやむを得ないものはこれはやっぱりのまざるを得ない。しかし、できるだけその割合は低く押えていく、こういうのが基本的な考え方であります。この運賃の値上げ案につきましても、そういう考え方で国鉄の輸送力もつけなければいけないけれども、しかし、先ほど申し上げましたように、これが値上げに強く響くようなことではこれは絶対いかぬ。そういうわけで、一番関連の深い、国民生活にも影響の大きく響きまする定期の賃率の値上げというようなものは、これは企画庁といたしまして押えたわけでございます。いずれにいたしましても、しかし、こういうものをもとにいたしまして、いわゆる値上げムードというようなものが起こりますについては、これは厳に押えたい、こういうのが企画庁の考え方でございます。
  112. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 私は、そういう一般論を聞いておるわけではないわけであります。現に、せんだっての衆議院の予算委員会で、総理並びに農林大臣が立ってその質疑に答えておりますけれども、どうしても木材の価格を押えなければならぬということに関連いたしまして、増伐をやはり言っておるわけであります。経済企画庁でそういう案を御準備になっておることは、政務次官十分御承知だと思います。そこで、そういうすでに、個々の物資について特に顕著な値上がりを抑制をしなければならない、そうしてその価格をできるだけ合理的な水準に維持しなければならないという具体策をとられようとしておるときに、そういうような対策に逆行するようなことになる運賃値上げは、こういうことをどういうふうに理解なさっておるかということを具体的に承りたいわけです。
  113. 江藤智

    政府委員(江藤智君) なるほど、木材価格の問題につきまして、企画庁で検討もいたしたのでありますが、私らの方の役所の建前というのは、やはり全般的な見方をするわけであります。その木材の個々の価格の問題につきましては、私は農林省の方でむしろ十分に御検討になりまして、そして全体の経済の問題としてのにらみ合わせで経済企画庁の方に御相談に相なる、あるいは調整をそこでとるというようなことになるのでありますが、私、ただいまその木材が最近上がってきておる、そのときにたまたま運賃が上がるということは、これはどう考えても確かに上がらぬ方がけっこうでありますが、先ほど申し上げましたように、輸送全体の面から考えまして、ただいまの程度の運賃改正というものはやむを得ない、これが企画庁の考え方であります。
  114. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そういうふうな御答弁でございますれば、一つ農林政務次官がおいでになっておりまするから聞きますが、要するにこの値上がりというものは何としても押えなければならぬというふうに政府考えておるのじゃありませんか。なればこそ、企画庁を中心にして農林省、通産省と相談をしておるわけであります。そこで、そのための具体的な方策といたしまして、国有林から約一千万石の増伐をするのだと、こういっている。おそらくソ連材が中心でございましょうけれども、百万立方米の輸入増をやるのだ、さらに今申し上げましたように、パルプ用の廃材チップを倍加するのだ、一つ一つの言うことは簡単でございますが、やることは簡単じゃございませんよ。そういうふうなことで考えながら、どうしても供給量をふやして今の値上がりを——ムードではございません、現実の値上がりです。それを押えなければならぬということも、政府の確かに検討の一問題だと思うのでございます。そういうときに、その対策に逆行するような現象が現実に起きるのですよ、運賃がとにかく上がれば。そういうことは矛盾じゃないかというふうにお話をしておるところが、やむを得ぬと企画庁の政務次官がおっしゃるが、一体農林政務次官はやむを得ぬでこれは見過ごされますか。
  115. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) 非常に輸送が混雑化しまして、貨車の配置要求をいたしましても非常におくれたりしまして、いろいろ産業上の不便、またそれが原因いたしまして、輸送がおくれて融通がうまくいかないということもございましょうし、せっかく作ったなま野菜の新鮮なものが、需要地に到着いたしまする時間がかかり過ぎて、カロリーが落ちて価格が下がるというような面もございまするので、ぜひ一つサービスをよくしてもらって短時間に物が輸送され、それが現金化されていく、あるいはまた注文したものを近くの倉庫に寝かしておかなくても、生産地から直接取り寄せるようにしていくことが私どもとしても望ましいことで、私どもとしてもぜひそうやっていただきたいのでございますが、さっきいろいろ各委員の方々からのお話もございましたように、何といっても農家収入というものが、今日他の産業から見て比較にならない苦しい立場にあることはもう御存じの通りでありますので、これはただいま委員の方々の御要望の通り、われわれは明日の閣議に際しましても、できるだけ一つ農産物は特別な取り扱いをしてもらえるよらなふうに、大臣を通じて交渉いたしたいと存じます。
  116. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 あまりよくわからない御回答なんだが、そこでせんだって私その問題につきまして、当委員会で農林大臣質問したわけでございます。私は国有林なんかは増伐する余力なし、にもかかわらず、増伐は必至なんです。大臣はこれに対してどういうお考えで対処するかと聞いたのです。大臣の答弁はまことに苦しい答弁でございます。大臣があえて、苦しい答弁の中においてすら、増伐をしたければならぬというふうに決心をして、現在部下に命じて非常に困難な作業をさしているのですよ。今からソ連を相手に三十六年度百万立方米のいわゆる増加輸入要請をするということは、これはもう言うべくしてできることじゃないのです。従って、これだけの増伐をあえていたしましても、現在の現実の木材の価格騰貴の足取りなんか、これはなかなか押え切れません。にもかかわらず、あえてやらんとして一生懸命やっておるわけです。それに逆行するか、拍車をかけるというような政策は、まさに矛盾であることは当然じゃありませんか。そういう意味からしますと、一体政務次官あなたの部下にどういうことを言って増伐の作業をさせますか、できやしませんよ。それはもうちょっと責任のあることを言ってもらわなければ困る。
  117. 井原岸高

    政府委員(井原岸高君) 重ねてお答えいたしますが、石谷先生のおっしゃることは、今日木材が不足して価格の値上がりを来たしている、増伐をしなければならない際に運賃がまた重ねて上がる、それが一そう価格の値上がりを来たして、一般需要象に対して大きな迷惑をかけるのじゃないかという御議論、ごもっともでございます。しかしながら、さっきお答えいたしましたようなふうに、木材だけでなしに農産物一切について他産業所得との較差が非常に大きいのでございますから、そういう意味におきまして、今日の皆さんの御協力を頂戴いたしまして、あすの閣議においても引き続いて農産物等に対しまして、あるいは林産物に対しましても、魚類等につきましても特に価格を引き下げるということにはいかないのでありまするが、その見合いをいたしましてできるだけ価格を下げられるように交渉いたしたいと、さように考えておる次第でございます。
  118. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 何と言っても価格抑制と、それから運賃の値上げという問題はこれはもう逆行するものです。そこで、これからそういう仕事が始まるわけなんですが、もう少し説得力ある納得のいく考え方のもとに私は省内でよく御相談なさって、そうしてはっきりと今御質問申し上げましたことにつきまして的を射た答弁を必ず一つお願いしたいと思います。  それと相関連することでございまするけれども、貨物駅の集約化というものがだんだん進歩しておるようでございまするが、こういう場合のいずれかの機会をとらまえましても対象になりますのがおおむぬ農林水産物資の出されるいわゆる山村の駅というものが対象になる。ただいまの木材価格の問題を申し上げたので、あえて木材に限定して申しますと、このことによりまして、いわゆる小運搬費というものは非常に大きくなるわけであります。さらに木材の場合は土場、木炭の場合には貯炭庫というようなものが移しかえられなければならぬというような経費のかさみも出てくる。これはいずれも木材価格に対してはね返ってくる。そこでこういう問題につきましてももう少しそういった点を考慮されて、一つ十二分に現地の実情に合わせてやっていかなければ大へんなことになる、こういうふうに思うのでございます。  そこで、これはあるいは国鉄の問題かもしれませんが、そういう方法で必ず御指導いただきまして、国鉄は今まで聞いておりますというと、自分中心の経営をやるきらいがあるわけでございますから、一つ運輸政務次官に明瞭に国鉄に対しまするこの点につきましての指導の方針を承りたいと思います。
  119. 福家俊一

    政府委員(福家俊一君) お答え申し上げます。貨物集約駅につきましては、お言葉のように国鉄だけで勝手にやっておるという面も多少あるかも存じませんが、私どもといたしましては、地元の要望ともよく話し合いをさせますように全国の支社長に言明いたしております。地元との話し合い、あるいはその出身地の衆参両議員の御意見も参酌して、話し合いの上できめていくというふうに努めております。
  120. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。    午後四時三十五分速記中止    ————・————    午後五時八分速記開始
  121. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記を始めて。
  122. 森八三一

    ○森八三一君 農林畜水産関係物資の国鉄運賃に関しまして、相当長時間にわたりまして各委員からきわめて熱心な質疑が行なわれました。近く政府におきましてはこれが最終決定をなされるやに仄聞するわけでありますが、その際、今日の質疑を通しまして次のような事項が実されますることを強く望むわけでありますので、以下申し上げますることにつきまして、委員長はこれが実現につきまして格段の御配慮を願いたいと思います。  一、今回、国鉄は、車扱貨物運賃の基礎賃率の引き上げを企図しているが、極力現行賃率を据え置くよう努めること。  二、国鉄は、右の基礎賃率の改訂に加え、さらに、遠距離逓減率及び運賃計算キロ程の改訂をも行なおうとしている。  もしかような改訂が行なわれるときは、運賃が一そう累加され、現在より二〇%以上の増嵩を来たすことがある。  よって、遠距離逓減率及び運賃計算キロ程等の改訂は行なわないこと。  三、現在農林畜水産物資に課せられている、冷蔵車割増、列車指定割増及びかつ大貨物割増等の割増運賛は、現在の金額以上に増額しないこと。  四、現行の公共政策割引は、これをこのまま恒久的な制度として、存続せしめること。  農林畜水産物関係の物資について以上申し上げました四つの点の実現方について、委員長の善処を求めます。
  123. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、本件は、本日はこの程度にいたします。  なお、政府におかれては、本日の委員会の経過にかんがみ、遺憾なく措置せられますよう要望いたしましす。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時十一分散会