○仲原善一君 その次に第二の問題は、遠距離逓減の問題でございます。これは現在の国鉄の
考えでは五百キロから八百キロの間にある地帯の率を修正しようという計画でございまして、これを具体的な例でお話し申し上げますと、農林
水産物資は輸送キロが平均いたしまして、一トン当たりの平均輸送キロが非常に長いわけでありまして、農産物で四三四・八キロ、で五五六・二キロ、それから冷鮮あるいは冷凍の魚でございますが、これが七五五・三キロ、塩干魚で八七五・六キロ、その他不工製材についても五六八キロというふうに非常に長距離の輸送が、当然農林
水産物資の特性として出てくるわけでございます。それを今度の国鉄の運賃の値上げによって現行と比較してみますと、かりに五百キロの地帯のところは現行に比べて一五・八%上がることになります。八百キロのところは一七・一%というふうに上がるわけでございまして、遠距離逓減率の修正という名目に隠れて、非常に農林
水産物資が不利をこうむるという点もございますので、この点も
大臣は問題点の
一つとして
考えていただきたい。
ずっと続けて申し上げますが、三番目に車扱いの貨物の割増し運賃額というものがございますが、これは現行法では
一般の基礎賃率のほかにさらに冷凍車については一〇%、それから列車指定割り増しというのが二〇%、それから大貨物の翻り増しが一〇%から一〇〇%というふうに
一般の運賃のほかにそういう割り増しの金額があるわけでございます。これが今度の改正によってさらにこの率が加算されますと、大へんな額の賃上げになるわけでありまして、少なくともこれは金額の点で現状
程度に押えてほしいという希望があるわけでございまして、そういう点も
一つの問題としてお
考えを願いたい。
それから四番目に、運賃の計算のキロの問題でございますが、これを現在の鉄道ではこういうふうな改正にしようとしております。と申しますのは、現行では最短距離のキロ数をもって運賃の基礎にしておりますけれ
ども、これが今度の改正では実際に回ったところの鉄道の距離の運賃にするというわけでございまして、具体的に申しますと、九州なり四国の方から中京なり名古屋なりあるいは東京に貨物が運ばれます場合に、岩徳線であるとか、あるいは筑豊線であるとか、関西線であるとかいう
関係がございまして、最短距離の運賃でなしに、実際に迂回して回った運賃を基礎にして賃料を出すという仕組みになっております。これで現在のたとえばなま甘藷の宇和島から愛知御津に行く実例を申しますと、現行よりもそのために二〇・一%アップされます、引き上げることになります。それから下級鮮魚で一例を申し上げますと、博多から名古屋に来るまでの賃金というものが、そういう最短距離でないということになりますと、二三・一%というふうな値上げになる、こういうふうにある意味で農林
水産物資から申しますと、改悪になるわけでございまして、これも問題点の
一つとして御研究を願いたいと思います。同じ問題で実は北海道の青函連絡船については、百十五キロの実際の距離のものを、現在は三百五十キロと計算してその運賃を取っております。こういうふうに
場所によってはこの実態にそぐわない
やり方で、逆な
やり方で運輸
当局に有利な方の計算をしておるところもありまするし、非常に矛盾に満ちたキロ数の計算になっておりますので、これも
一つ問題点として御考慮願いたいと思います。
それからその次に公共割引制度でございます。これもたびたび当
委員会で公共割引制度について議決もいたしましたが、これは公共物資について、特にこの制度ができておるわけでございますけれ
ども、今回の鉄道の案では、一応公共割引制度は
整理するということになってあります。あるいは廃止するというような構想も中にはあるようでございまして、取りあえず三カ月延ばすということになっておるようでございます。現在九回目で、実は本年の三月三十一日までが一応その延期の時期になっておりますが、さらにこれを三カ月ぐらい延ばして、その将来は
整理するというような、そういう案であるようでございますので、これはやはり恒久化すべきであるというふうな私
どもは見解を持っておりますので、そういうふうにたくさんの問題が個別にございます。この問題について、やはり問題の所在を
大臣はよくお
考え願いまして、
政府部内の会議等で善処してもらいたい、うっかりしておると、これはこのまま通ってしまうという危険性もありますので、そういう点を特に申し上げて
大臣の所見をお伺いしたいと思います。