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1961-09-01 第38回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年九月一日(金曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員戸叶武君辞任につき、その補 欠として椿繁夫君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            櫻井 志郎君            亀田 得治君            東   隆君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            仲原 善一君            阿部 竹松君            大河原一次君            清澤 俊英君            北村  暢君            椿  繁夫君            安田 敏雄君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    外務省欧亜局長 法眼 晋作君    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林省農地局参    事官      堀  直治君    林野庁長官   吉村 清英君    林野庁林産課長 楠  正二君    水産庁長官   伊東 正義君    海上保安庁次長 吉田善次郎君    建設省河川局次    長       鮎川 幸雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (木材価格安定緊急対策に関する件)  (北方漁業に関する件)  (農林水産関係災害に関する件)   —————————————
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  木材価格安定緊急対策に関する件を議題といたします。  本件について質疑の御要求がございます。御発言を願います。
  3. 石谷憲男

    石谷憲男君 去る八月十五日付で木材価格安定緊急対策というものが決定をしたということで、ただいま資料の配付を受けたわけでありますが、そこでこの内容につきまして、その要点を一つ簡潔にまずもって御説明をいただきたいと思います。
  4. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 御説明申し上げます。木材価格が最近急に上がって参ったということが非常に顕著になって参ったのでございます。去る二月の二十一日の閣議におきましてこの対策了解を得られたのでございますが、その後相変わらずこの価格の上昇の傾向はとまることなく、需給の特に逼迫を来たします秋口を控えまして楽観を許さない状況であるのでございます。で、ここにおきまして去る八月十五日、閣議におきまして、これから御説明を申し上げる事項の対策の御了解が得られたのでございます。三十六年度におきましては、特に土木建築用材中心といたしまして、三十五年度消費量と申しますか、需要量が五千五百四十一万立方メートルでございますが、これから九%、三十七年度におきましては、この三十六年度よりさらに同程度増加を見込まれておるのでございます。御参考に別の表をごらんいただきますと、三十五年度のところの建築用材、一ページ目の表の下の欄でございますが、建築用材とあります欄の三十五年度というところをごらんいただきますと一一三・九%と書いてあります。これは三十四年度に比しまして三十五年度が一一三・九%、一三・九%程度需要が上がっているということでございますが、これはいまだかつてない需要増加でございます。平常でございますと大体五%で、高いときでも七%前後のようでございますが、こういうことで最近の木材土木建築用材中心にいたしまして非常に過熱をして参ったのでございます。で、この需要の増に対しまして、供給がなかなか思うにまかせなかったために、この価格の異常な高騰というものが見られたかと思うのでございます。この対策といたしまして、まずこの三十六年、三十七年度にどの程度アンバランスと申しますか、需給アンバランスができまして、供給をどの程度ふやさなければならないかということなんでございます。大体この傾向を見まして二千十万立方メートルの需要増が出てくるということに私ども予想をいたしたのでございます。これをまかないますために、国内生産におきましては八百七十万立方立木で千二百万立方増伐をする。外材輸入を六百万立方メートル増を計画をする。廃材チップ使用量を五百四十万立方増をする。こういうことを計画をいたしまして、これによって需要の調整をはかって参る。これによって価格の安定を期したいということでございます。  この国内生産量の増のうちで国有林対策と、民有林対策と二つに分けて御説別申しますと、国有林対策といたしましては、八百万立方メートルの増伐を計画をしております。これは三十六年度と三十七年度年間に、三十六年度を四百万立方メートル、三十七年度を四百万立方メートルというように増産を企画をしておるのでございます。民有林におきましては、三十五年度実績に対しまして、三十六年度、三十七年度年間に四百万立方メートルの伐採増大期待をいたしまして、次のような措置計画をいたしておるのでございます。その措置一つといたしましては、伐採促進協力をしました森林所有者山林所得につきましては、今明年の二カ年を限りまして臨時に税の軽減措置を講ずるということで、私ども大蔵当局折衝をいたしておりまして、この点は平常の伐採量をこえて増産協力をしてくれた山林所有者に対しましては、その増加分に対して税を軽減するというような考え方をもちまして折衝をただいま進めて参っておるところでございます。この緊急伐採のために林道の開設の措置計画をしておりますが、これは三十六年度におきまして百十八キロメートルを拡大いたしまして、この緊急伐採のために供したい、このための所要の予算措置を講じておるところでございます。それから、そのほか関連林道計画既定計画よりも七十キロ増設をするということを計画をいたして予算措置を講じておるところでございます。伐採促進のための造林に対する措置は、今明年にかけまして緊急伐採をした跡地のうち九千ヘクタールを造林をする計画になっておりますが、三十七年度——これは伐採の翌年から造林が始まりますので、三十七年度及び三十八年度既定計画を拡充して予算措置を講ずる予定にいたしております。国内措置対策は以上の通りでございます。  それから、三番目に輸入対策でございますが、今明年にかけまして約六百万立方メートル程度輸入量増加をはかる計画をいたしております。これに関連いたしまして、輸入量増加のために最も隘路となっております港湾施設貯木場、あるいは植物検疫施設等施設の拡充をはかるために、それぞれ関係方面折衝をいたしまして、協力を仰いでおるところでございます。製材及び製紙用紙パルプ自由化検討をして、なるべく早く自由化を実現をするということを努力をしたい、というように考えておるのでございます。  緊急対策の概要を御説明を申し上げてみました次第でございます。
  5. 石谷憲男

    石谷憲男君 ただいまの御説明の中にも若干触れられておるわけなんですが、特に最近の木材卸売価格急騰ぶりというものが注目すべき実情にあるということから、おそらくこの緊急対策が立案をされたという経緯はよく了承できるんですが、そこで、この木材値上がり原因がどこにあるかということを十分に究明をせずして、それに対する適切な対策立て得ない、これはまあ当然のことだと思うのですが、原因につきまして、いま少しく詳細、具体的にお話をしていただきたいと思うのです。
  6. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 私ども、この値上がり原因といたしまして判断をいたしましておりますところは、根本的にはやはり需給のアンバラ、需要に対する供給の慢性的な不足というようなことに考えておるのでございます。で、具体的にしからばどういうところに起こって参っているかということでございますが、たとえば先ほど申し上げましたように、建築土建用材というような一般材がいまだかってないような需要の増を示している。これは、一般経済成長伸びによってであるかと思うのでございますが、また、パルプ材におきましても一〇%、一三%というような、かなり大きな需要伸びが出ておるのでございます。で、私ども判断におきましては、こういった事情と同時に、木材供給上の制約と申しますか、木材が長期の生産期間を要しまして、これが簡単に増産ができないというような関連も手伝いまして、かような状況を呈しておるのではないかというように判断をしておるのでございます。
  7. 石谷憲男

    石谷憲男君 そこでお伺いしますが、ただいまいただきました「木材需給現状見通し」という、需給バランスシートを見てみますと、三十四年、五年、これはまあ実績でしょう。六、七は見込みなんだけども、この限りにおきましては、需給というものはとにかくバランスしておるわけですよ。しかも、今回の対策の骨子になる点は、三十五年度実績に対して三十六、七両年度のいわゆる総需要量というものはどれだけふえるだろうかという推算をされて、その差額についてのものを、要するに外材あるいは国内生産材ないしは廃材の利用ということによってまかなっていこうと、こういうことなんですね。従って、確かにベースこそ上がったかもしれぬけれども、三十六、七も三十五年度も、同じようにバランスをとるんだという考え方、従って、その考え方の上からいいますと、そこに一つも違ったものはないわけです。ただ、その消費の絶対量が上回ったから、あるいは大きくなったから、従って、その分に相応するものをとにかく材料として供給増加をして、そして均衡をさせるこういうことでしょう。これはおそらく三十四年、五年しかありませんが、従来そういうものはあった。従って、従来のバランスが、ベースが上がった姿における新しいバランスをとるということだけであって、そのことが一体価格抑制に役立つ、あるいは価格の下降を促進する政策に役立つということと、どうも結びついていかないような感じがする。
  8. 吉村清英

    説明員吉村清英君) まことにこの木材価格政策と申しますか、対策と申しますものは、非常にむずかしい問題でございまして、この木材価格をどれだけ冷やせるかということを私どもただいま検討をいたしております。専門家の方へも研究を委託をいたしまして検討いたしているのでございますが、なかなかむずかしいところでございまして、ただいま私どもがとにもかくにもこの価格を安定をさせることができると考え努力いたしておりますのは、この需給バランスをとるということによりまして価格を安定をするという考え方のもとに努力をいたしておるのでございまして、その点十分お答えができないのは残念でございますが、御了承を願いたいと思います。
  9. 石谷憲男

    石谷憲男君 そこでこのいただきました表を見てみますと、三十四年度に対しまして消費ベースというものは上がっているにもかかわらず、年度末の在荷というものは、三十五年度はむしろ減っている。こういう事実がある。これは年度末、従って、翌年度の年初の在荷しかわからないわけです。おそらくこういう姿を見ますと、木材需給の中におけるそれぞれの時期ごとの、いわゆる必要なランニングストックというものは、非常に正常なものからかけ離れてきているのではないかということが一つ考えられる。そこでそういうことをお認めになるならば、その時期、時期に必要なランニングストックの量というものをふやしていくというところに焦点を当てた対策をお立てにならなければならない、私は年間バランスシートが合っているのだから、そういう感じがする。しからば一体正常な、時期、時期というものは非常にむずかしい問題ですが、そこで一体正常な年度在荷、従って、翌年度の当初在荷数量というものを、どの程度に置かれているかということが一つ、それからこれだけ必要だというなら、それだけの必要なものを確保するような数量生産というものを、私は意識してやっていくということになりませんと、単なるバランスシートを合わしたというだけでは意味がないと考えます。  それからもう一つは、これは指摘するまでもないのですが、最近の木材価格値上がりというものを見てみますと、すべての材種のものが一斉に同じような歩調で上がっているという事実はないのです。むしろ一定の品目のものが急激な需要増が発生をしまして、ところがこれに弾力的な供給だ伴っていかない。そこで高騰する。それが契機となって他品目にこれが及んでいく、他品目がこれに追随をしていくという形でいっておる、こういう感じがするのです。そうしますと、この特定品目の急激な需要増というものが十分に予想されるならば、こういうものに対して一般的には確かに供給弾力性というものは少ないのだけれども、そこに対策を施して必要な供給力を確保するというようなととは、こういった生きた対策としては私は絶対必要なことではないか、それがとにかく契機となっている。そう考えていきますと、緊急な事態というふうにこの事態を理解するならば、そのために必要な備蓄というふうなことをお考えになって、そしてなぜおやりにならないか、備蓄の問題はこの対策の中にはどこにも見えない、そういう対策とそ私はきわめて弾力的な運用のできる必要な対策じゃないかというふうに考えるのです。やろうと思うば、国有林なんて国みずからの機関もあるわけですから、それが都合が悪いというならば、協同組合等十分国がめんどうを見てやらせるという備蓄の方法もありましょうし、いかような私は知恵も出てくるのじゃないか、こう思うのですがね。その辺のことが一体何といいますか緊急対策の中に一本欠けているんじゃないかという感じがするのですがね。どういうふうにお考えでしょうか。
  10. 吉村清英

    説明員吉村清英君) まず第一点のランニングストックの問題でございますが、先生のおっしゃる通りかと思います。で、私どももこのランニングストックをどうするかということにつきまして、かなり慎重に検討をしたわけでございます。ランニングストックがしからばどの程度が理想的であるかということにつきましては、いろいろ議論もあるようでございますが、理想的に申せば二〇%以上を持つというととがあるいは理想かと存じますが、この点私どもも極力ランニングストック——在荷率といいますかを上げることを努力をいたしまして、三十五年度末には一四%足らず、三十六年度におきましては一八%弱、三十七年度末には一九%というようにランニングストックを上げる計画をもちまして、需給安定化をはかりたいというように計画をいたしておるのでございます。  次に、特定品目価格過熱が見られるのではないかということでございますが、おっしゃる通りでございまして、特に角材あるいは小丸太数というものに値上がり傾向がはなはだしいように存じておるのでございます。で、この備蓄ということが確かに適切な処置であるかと存ずるのでございますが、ただいま緊急の措置といたしまして、私どもできる限りの供給力、こういった種数材種供給をふやすということに努力をいたさなければならない状態にございますために、さしあたり国有林輸送販売、三都向けの輸送販売等におきましては、こういった特別に価格の熱しておる材種供給を特に高めて安定化をはかって参るわけでございます。この備蓄の問題につきましては、今後私ども大いに検討を続けていくというふうに考えております。
  11. 石谷憲男

    石谷憲男君 あまりくどくは申しませんがね、二〇%が期末正常在荷だとするならば、すみやかに少なくとも三十六年度中に二〇%の期末在荷を持ち得るような増産態勢をとるということをどうしておとりにならないかということですね。それから輸送販売ということをおっしゃったけれども輸送販売備蓄とは違う、輸送販売というものは売るのですから。そこで一体そういった緊急事態に、しかも緊急事態というものがしはしば価格高騰契機になっているというなら、これを押えなければ、価格抑制対策にはならない、安定対策にはならないということなんだから、従って私はそのために、対応すべき備蓄というものが非常に必要であるならば、何も次に打つべき手ではない、最初に打つべき手ではないかというふうな考えを持つものですから、その点も今後十分に御研究願いたいと思います。  次にこのバランスシートをながめてみますと、このきょうちょうだいしたものの中にも書いてあるのですが、国内生産が八百七十万立方外材輸入六百万、廃材チップ使用量五百四十万と、こう書いてあって、それでもって二千十万の需要の増に対応する供給力を確保する、こういうふうに読めるわけですが、国内生産八百七十万の中には、立木で千二百万立方と書いてあるのですが、国有林が八百万、民有林が四百万、こういう内訳です。そこで私が考えてみますと、国有林の八百万立方にいたしましても、現存状況からいたしますならば、なかなかこれだけの増産をやっていくということは大へんなことだと思うのであります。しかしながら、よろしきを得るならばやれるでしょう、やれると考えてもいいでしょう。けれども、まだあとに触れますけれども民有林については期待をするというだけです、これは。はたして税の軽減措置だけで皆さんが期待されるようないわゆる経常伐採量以上のものが増産という形で出てくるか、はなはだ不安定だと思うのであります。さらに外材六百万立方ということになりますと、これは追加でしょう、追加ですね、そうしますと現状にいたしましても、現状設備範囲内におきましては、これは大へん混乱していることはあなた一番よく御存じでしょう、これは二カ年間に六百万立方ふやすということになりますと、一体それを受け入れる方の対策が、十分事前に整うかどうか。私はこれは港湾整備というものを促進するなんといいましても、それは一年や半年でもって、思うような促進ができるものではありません。そういうことになりますと、外材輸入六百万立方の増というものは、それはから念仏に終わってしまうおそれが、多分にあると思うのです。廃材チップ使用量の五百四十万立方というものにつきましては、確かにこの計画は三十五年度に対して三十六年度は倍増するという二月ごろのあれがそのまま踏襲されているのじゃないかと思うのだけれども、これは過ぐる七月の初めの委員会でも御質問しましたけれども、倍増するには倍増させるだけのやはり裏づけがなければならぬ。事実一体倍増できるのかどうかというような問題につきましても、私の求めるような答弁はさらさらなかった。漸次廃材チップ使用というものがふえているということは、これはもう認めなければならぬし、しかも、それが急激であることもよく承知をいたしております。しかしながら、三十五年度に対して三十六年度倍増するのだという基礎の上に立ってもさらに五百四十万立方使用量増大というものを考えるというならば、これはまた手放しでは私は絶対いかんと思う。そうしますと、この中で国有林の八百万立方というものが、一番何といいますか、やれるだろうという見通しの明るい要素であって、他のものは私は問題じゃない、これが問題でありますとたちまちにバランスシートというものはくずれてくるのです。そういうことにつきまして、どういう一体お見込みなのか、伺っておきたいのですがね。
  12. 吉村清英

    説明員吉村清英君) この国内生産を初めとしまして外材輸入廃材チップ使用量の増の計画等をどのような自信を持って計画をしているかということでございます。  で、国有林の面につきましては、まず心配はなかろうということで、あとはどうもどの程度かということになるわけでございますが、私どもこの民有林の四百万立方メーターの増伐におきましても、民有林の全体の経常伐採最の年間にいたしますと五%程度の増になるかと思うのでございます。いろいろな対策を私ども講じておるのでございますが、この五%程度の増伐につきましては、何としてもこれは完成をしていかなければならないというような考え決意をもちまして、あらゆる具体策をと申しますか、方途を講じて増産を進めて参りたいという考えでおるのでございます。外材輸入につきましては、御指摘の通り港湾施設の問題、貯木場の問題、あるいは植物検疫施設等の問題もあるのでございます。あるのでございますが、先般来運輸省等にも折衝を進めておるのでございますが、私どものとの緊急対策に、運輸省当局におきましても非常に協力を得まして、年度内にも予算を予定いたしまして、この木材関係整備にもかかってくれるというような意気込みを示してくれておるのでございます。そういうような状態でございまして、私どももこれはもちろんいろいろな条件を十分備えた形におきまして計画立てて参りますのが最も合理的であり、また妥当であるかと思うのでございますが、こういう緊急な対策におきましては、やはり多少の無理は押しましても、このような計画立ててこの完遂に努力をいたすというような決意でかかっておる次第でございます。廃材チップ使用量につきましては、先生もすでに御承知のように、最近チップ生産量というものはきわめて目ざましいものがあるのでございます。で、これは最近のチップ生産量の推移を調査いたしまして、将来を大体可能な範囲において見通したものでございます。もちろんおっしゃいますように、今後このチップ増産対策につきましても十分慎重に検討をいたしながら進めて参らなければならないとは考えておるのでございますが、ただいま緊急対策といたしまして取り上げましたこの数字は、過去の実績に照らしましても十分可能であるという見地に立ちまして計画をいたしておる次第でございます。
  13. 重政庸徳

    重政庸徳君 ただいま石谷君からいろいろこの計画に対する根本の問題の究明があったのでございますが、これは非常な専門家で、私らも先生質問に対して、首肯できる部分が非常に多いのです。まず第一に国内消費見通しですが、三十六年、三十七年の需給関係において、この表で見通しが出ておりますが、これはやはり三十五年の現存木材需要基礎に置いた推定で需要がそうなっておるのか、あるいは経済成長の〇・九という、これを基礎にしてお立てになっておるのであるか。御承知のように、今設備投資の過剰で、政府は設備投資に対して非常にこれを抑制すべくあらゆる努力をいたしておるのでございますので、その点を一つお尋ねいたしたいと思います。また私どもが常識的に考えて、この木材価格の調節、抑制ができるかできんかという問題は、やはり国有林伐採計画、並びに外材輸入計画、これが一番確実なんで、今もお話がありましたような民有林に対する期待というものは、これはプラスアルファくらいに考えておらねば、あるいは税金の軽減というような旗じるしでは、なかなか民有林所有者協力態勢協力するということが、これは経済問題で、なかなかこういうものを期持することは計画に非常に無理があると思う。御承知のように現在山林を持っておる、伐採可能な山林を持っておるいわゆる民有林所有者というものは、俗に言えば、相当金持なんです。その金を使わねばならぬというような人が持っておるんじゃない、今持っておるのは。もうそういう人は今までに伐採してしまっておると思う。そういう状態の人々にただ協力を求める。ところが、この計画によれば林道も開発する、じっと見ておれば、おのずからまた……。農地改革において山林がのがれて、われわれの口から言えば、一般論から言えば、山林所有者不当利得をしているという見解もあるのだ。まさに木材をじっと見ておれば、木材価格は自然に上がってくるというような状態を、協力専門にそういう利益を得させるという結果にならぬものとも限らないので、私はそういう見解を持っておる。しろうとのような質問かもわからぬが、外材価格と、もちろん種類はたくさんありましょうが、今の内材の価格とどのくらいの差額があるか、それから今外材を私の考え方から言えば、外材にたよるより方法がない——こういう、外材にたよるということになると、結局その貯木場とか、港湾の施設、けさの新聞でいっておったように、港湾が輸入増大によって船舶が密集しておる。一カ月も停泊しておらねば陸揚げができぬというようなことで、今通産省もこれに対する緊急な何か措置考えねばならぬという、これは非常な世論になっておるというような状況であるので、今これだけの輸入をするとしても、やはりそういう関係各省とその可能性を御協議になってこの案ができたかどうか。この三点を一つお伺いしたい。
  14. 吉村清英

    説明員吉村清英君) まず需要量増加は、実際の数字を積み上げたものかどうかという御質問に対しましては、その通りでございまして、これは推定によって出したものではないのでございます。需要実績を出しまして、三十六年度、三十七年度にわたりましては過去の推移を見まして、現状を加味いたしまして、将来の見込みは出しておるのでございますが、三十五年度までのものにつきましては積み上げて出した数字でございます。
  15. 重政庸徳

    重政庸徳君 どうも僕の今の質問と少し離れていやせぬか。そうすると、この経済の成長の〇・九というものを基礎にして考えられたのか。あるいは今一・二ぐらいの成長を出しておると、それを政府は、設備投資抑制するのに一生懸命だというのに、現在の一・二とか一・三とかいう状態基礎にしたということになると、やはり政府の政策とこれは変わった推定になる。その点を私は御質問しておる。ただそれだけ。どれをとられるのか。現在のもので予測を立てておるのか。そういうことになると、政府の計画とは違ってくると思う。
  16. 楠正二

    説明員(楠正二君) ただいま需要の推計をいかようにしておるのかという御質問でございますが、この需要の推計にあたりましては、最近の経済の活況を反映しまして現に出てきております需要実績をそのまま取り上げて、こういう活況が続くという考え方で推計をいたす。まあ、ものによりますと、たとえば住宅につきましては建設省の住宅五カ年計画の数字を検討いたしまして、これが大体現状建築の着工動向を示しておるという自信を得まして、こういうものを使っておる。それからその他パルプ等につきましては国民所得の伸び率が大体九%という程度に踏みまして弾性値から推計をいたします。その他梱包材であるとか、あるいは坑木であるとか、こまかく各需要部門ごとに実勢を調べまして実勢通りの実情に即した推計をいたします。
  17. 重政庸徳

    重政庸徳君 その点が非常に大事なんで、僕はその点はどうもおかしいと思う。簡単に言うと、私は今言われる、企業設備でどんどん工場ができてくる。これはそのために建設業者及び工場によれば木材をとっておる。それを建設する、鉄筋にしろ何にしろそれを建設する大きな木材、それからまた工場そのものがそういう木材使用する場合がある。そういうことから言うと、やっぱり経済政策と企業と合わした推定でいかなければ、ことしこれだけいったからこれだけまだ減るのじゃないだろうかというような考え方が推定の基礎になるとあまり過大な基礎になってくる。それからまた経済政策とした今の政府と歩調が合っておらぬ、こういうことになるということで私は御質問しておる。
  18. 楠正二

    説明員(楠正二君) ただいま申しました国民所得の伸び率についても九%という数字は政府の経済政策の方針としましてきまっております。その他も実情に即してやっておりますので、今おっしゃいました矛盾はないというふうに考えております。
  19. 重政庸徳

    重政庸徳君 まあ、この先言ってもわからぬけれども、規模がそうなっておればそうなっておりますとお答えになれば……。実情に即して、実情に即してということで、どうもわからなくなってしまうのだね。それでは次にどうぞ。
  20. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 次に外材国内産の材の価格の開きでございますが、樹種その他が変わっております関係で幾らということがなかなか出て参らないのでございますが、ソ連材等におきましては、こちらに入りまして内地材と比べますと若干余裕があるようでございます。と申しますのは、こちらに入るのは比較的安く入っているというように考えております。米材等におきましては、最近に至りましてこちらの価格が米材の価格を追い越しまして輸入がしやすくなったというような状況で、これは非常に旺盛になってきております。その他、次には他の関係方面との連絡を密にしておるかという御質問でございましたが、この点につきましては、関係者あげまして連携を十分にとりまして実施を進めておる次第でございます。
  21. 重政庸徳

    重政庸徳君 今の民有林の問題ですがね。僕は山持ちは林道をつけてもらってじっと見ておった方が上がってくるという、今のこの全体の計画なり需給なりいろいろなものを見ておると、そういう傾向に傾きはしないかと僕は心配する。そういう点はどうお考えになっておりますか。私が持っておったならば、一つも持っておらぬからいいけれども、持っておったならば見ておった方が得になるというような感じが私みたいなしろうとでさえ——ということになると、持っている者はこれは一生懸命だ。その点が、間違いがあったら大ごとになるので、その点のお見通しは、まあ極力おやりになるというが、経済問題だからなかなかこれは利害関係が及ぶということになれば、そうお役所が言われたところでそう簡単にいかぬと思うのですが、私の気分は——あるいはしろうこの諸君は大がいそういう気分がするのじゃないかと思う、この計画を聞いて。その点どういうお見込みですか。そこが一番大事だと思うのです。
  22. 吉村清英

    説明員吉村清英君) お尋ねの、山持ちがむしろ切らないようになりゃせぬか、こういうことでございますね。私ども林道計画をいたしまして林道をつけるわけでございますが、この林道をつける場所は御承知のように、これから伐採をする個所になるわけでございます。従いまして、こういった特に緊急措置によりまして林道をつけます個所におきましては、林道をつけてそのまま伐採がされないというようなことのないように計画実施をして参りたい考えでございます。私どももそういう点には注意をいたしておるのでござます。
  23. 重政庸徳

    重政庸徳君 これはどうもはっきりせぬが、法律でいくというのでもなし、そんなことはできもせず、その山持ちが、簡単にわかるように言えば、十人おって、それは実際はいい木材を持っておるので、そこに林道をつけるというときに、まあ半分協力して半分は持っておる、じっと見ておるというような場合に、これは法律で強制もできず、まあ私だけこんな関連質問で長くなるのもいかぬが、どうですかね、そこらは私はわからぬのですが、まあ農林省を、林野庁を信用しまして私の質問はこれで終わることにいたします。
  24. 石谷憲男

    石谷憲男君 ただいま重政委員から特に民有林について根本的な議論がなされたわけであります。私もただ多少の税金を軽減するということで伐採促進になるかどうかということは大へん問題じゃないかという感じがいたします。しかしながら、何はともあれ、先ほど申し上げましたように、国有林生産というものが、対策よろしきを得るならば何とかやれるかもしれないが、ただこれは非常に問題が多い。そこで長官はこれに対しまして、この程度計画は無理だろうがやるのだ、これだけのものはぜひとも期待しなければならない、こうおっしゃっておって、大いに期待をしたり、努力をしたりすることはけっこうですけれども、やはりくずれてきますと、バランスシートというものがくずれると、そうすれば対策にならないのじゃないかという点を私心配するから、むしろもう少し安全な対策というものを考えておかなければ、せっかくの対策が意味をなさぬのじゃないかということを申し上げておるわけです。  そこで、この点は十分お考えをいただくことにして、時間もありませんから次に進みますが、今度はもう少し具体的なことを簡潔に聞きますから、率直にお答えしていただきたいと思うのです。  そこで、この価格抑制は非常にむずかしい問題だとおっしゃいましたが、私もそうだと思います。しかしながら、今のような意図としては、異常傾向というものは是正したいということでありますが、その点は少なくとも抑制ですね。そうしますと、国有林の場合について申し上げますと、ただ単に増産をしたというだけではいけないのであって、やはりタイムリーに生産をしたものを流通させるという問題と、あわせてその場合に売り払いの方法ということが一つの問題になってくると思う。そこで、おそらくこれをながめておりますと、販売方法というものはやはり価格抑制的な売り払いということを考えたと思うから、いわゆる一般公入札というものは極力これはおやりにならないのじゃないか、従って、随意契約あるいは指名競争入札ということによっておやりになるだろうというような気もいたします、同時になるべく早目にという考え方が流れているようです。従って、おそらく全部を直営生産でやるという考え方でなしに、相当程度のものが立木のままで売り払われるということも行なわれるのじゃないか、こういうふうに考える。そこで今御質問いたしましたことにつきましてはどう考えるかという点。
  25. 吉村清英

    説明員吉村清英君) お答え申し上げます。供給をタイムリーにしなければならぬということは全くその通りでございます。この対策におきましても、極力早目にまとめてどっと供給をするという考え方を盛り込みまして計画をいたしておる次第でございます。売り払いの方法につきましては、必ずしも一般公入札を否定と申しますか、やらないということは考えておりません。今まで販売にあたりまして、とかく機械的に流れがちだったというような点を特に注意を促しまして、それぞれの担当者、責任者が市場の状況あるいは木材の搬出状況その他を十分認識をしながら計画的に処分を進めて参るというように努力をいたして参りたいと思います。もちろん、刺激的な処分の方法、ことさらに刺激的な処分の方法というのはとらない考えでございます。直営生産立木処分の問題でございますが、おっしゃいますように直営生産は極力少なくいたしまして、立木処分を主体といたして供給を進めて参りたい考えでございます。
  26. 石谷憲男

    石谷憲男君 この販売の方法なんですけれども、これは決して公入札を否定するものではないとおっしゃる、これはその通りだと思うけれども、しかし、やはり価格抑制をやるのだということが対策の骨子になっておるならば、価格抑制の実の上がるようなやり方を適切におやりになりませんと、私はまたこの対策の意味がくずれてくると思うのです。そこで従来の一般の売り払いの方法におきましては、極力やはり随意契約によるようなものを少なくして、そして公入札を次第に多くする、こういう方針でおやりになっておるけれども、そういう考え方と今度のいわゆる緊急対策の場合の売り払いの考え方は一体どんなふうに使い分けておるのか、それが一つ。それから、立木処分が相当多くなるだろうとおっしゃいましたけれども、同時にやはりタイムリーにやる、現状からするならば、なるべく早目に市場に供給しなければならないというふうにお考えになっておるとすれば、売り払いの前提になる調査がなかなか時間を食う、大へんな仕事になると思う。これは、そこで世間一般は今緊急対策といっているけれども、この効果が幾らかでも出る時期は来春だろうといっている。今からゆっくり調査されて仕事に着手するというのであれば、とうてい年内のものにはならないということを直観的に関係者というものは理解するわけです。そこで私は風倒木整理の事業をやることによって、集積処分というふうな方法も採用いたしまして、調査の時期をなるべく短縮する、圧縮をして、そうしてとにかく早目に市場に必要なものが出回るというような具体的な事実を作っていくということにならないと、大方の方々のこの対策に対しまする協力というものの気持がほとんど滞れてくる。出るとしたら、来年の春以降になって出るかもしれないというようなことでは、緊急性というものについて私は何かしら欠けるのではないかというふうに考えます。それにつきましても、どういうふうにお考えになるかということを伺いたい。  いま一点続けて私は聞きたいのですが、この中に特に輸送販売の事業、三都に対する輸送販売事業というものを取り上げておられる。これは特に東京については今後三万立方増加をする。三十七年度には販売最を三十六年度当初の計画より六万立方増というような、まことにコンクリートな数字まであげてやっておられるのだけれども、三都における素材の輸送販売事業、こういうような価格対策の面にそういうようなものが実質的な意味を持つかということで私は非常に疑問だと思う。むしろ国有林が製品というものを委託加工されて相当程度三都ないしこれに準ずるような消費都市に持っていく、消費価格が、原木に対しては抑制措置を講ずるかもしれないけれども消費価格というものに依然として少しも効果がないというときに、物でもって対決されるという輸送販売事業ならば、そういうなりに理解できると思うけれども経常年度が十四万立方であったものを、ことしは特に東京で三万立方ふやす、来年はまた六万ふやすというようなことでもって一体全国的にわたる価格対策の上にどれだけの意味を持つか。むしろ私は三都の輸送販売をやっていることが、しかも少ない数量でやっていることが、実際的に東京で高い原木価格が現出してそれの影響が地方に及んでいくという御懸念で数量をふやしているというなら、むしろやめたらどうかという議論が成立しないかというふうに考える。すぐさま波及するというふうにお考えかもしれませんけれども、やはり経済現象ですから、そういうように端的にお考えになることは、私はそれほど意味がないじゃないかというふうに考える。従って、輸送販売事業というものが、これだけの短いページの中で目につくほど書いてあるけれども、それほど意味がないと思うが、意味があるというなら、どういう意味があるか伺いたいと思う。これだけの問題を一緒に……。
  27. 吉村清英

    説明員吉村清英君) まず販売方法の問題の重ねてのお尋ねに対しましては、おっしゃいますように、価格抑制をするという最初の方針にといいますか、根本的な考え方にもとるような販売方法はとらないという考えで指導をいたしております。  次に、立木処分にあたりまして、集積処分を考えたらどうかというお尋ねでございますが、これはたしか北海道の例の大風倒のときにもとられたことかと思うのでございます。非常にこう緊急な処置といたしましては適切かと思うのでございますが、これを全国的にただいまこの方法をとるということには、まだ若干踏み切れない点もございますわけでございます。従いまして、私どもすでに検討しながら、決して最近始めたわけではないのでございますが、極力調査を進めておるわけでございます。で、この調査が済み次第、来月、再来月にわたりまして立木処分をかためてやって参りたい考えでおる次第でございます。御了承願いたいと思います。  輸送販売事業に対していかような効果をねらっておるかという第三問の点でございます。輸送販売事業の価格抑制に対する全国的な効果となりますと、これもなかなかむずかしくて、にわかにお答えを申し上げることがむずかしいのでございますが、やはり、東京を初め三都の大消費地の需要考えまして、これの余裕ができて参りますことを考えますと、やはり東京なりその他の消費大都市の価格に影響が出て参る。その影響が必ず地方にも影響を及ぼして参るというような考え方を持っておるのでございます。で、そういう東京の最近の特に需要供給の逼迫といいますか、の補給と同時に、そういったことも考えておるのでございます。この点につきましては、まことにおくればせながら、私どもの市場調査の——調査市場が全国にかなり多数ありまして、これを常時、調査、検討、分析をしているわけでございますが、そういったものを通じまして、この成果、効果につきましても検討をしつつ進めて参りたいと考えておる次第でございます。
  28. 石谷憲男

    石谷憲男君 これ以上この国有林対策ではお聞きすることはやめますけれども、あなた方がいいだろうというふうにお考えになっていることが必ずしもそういい効果を生むというふうに人は考えないという場合もあるわけです。私は、そういうふうに相手がある対策につきましては、広く民間識者の意見も十分お聞きになるということで進められる必要があるのじゃないかということです。それから今の調査の問題につきまして、集積処分が踏み切れぬとおっしゃっておるけれども、おそらく、有効なものは余すところなくやるという御決心でありませんと、あなたが冒頭に述べられたように、非常にむずかしい仕事だとおっしゃっておるだけに、有効だと、必要だというものは直ちに踏み切って、余すところなくやるという態勢にならないと、私はなかなか抑制効果なんというのは出てこない。これだけは申し上げなければならぬと思うのです。販売方法等につきましても、国有林の販売方針がありますから、それと撞着をしないようにという深いお考えの上に立ってそういう御答弁があることもよくわかりますが、これは要するに二年に限って緊急にやろうとする臨時措置なんだから、その点はむしろ明確にこの問題についてはこうするのだという方針をきめられて、そうすることによって、もしもさまざまな派生的な問題があるなら、その起きることが考えられるならば、そういう問題を起こさないように事前措置をしながらやっぱり徹底した方策を講じられるということになりませんと、むずかしい問題であるだけに、おそらく効果は上がらぬと、こういうことを申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、国有林野事業といえども、必要な労務の確保が窮屈になっておる現状で、そこで一体人はどうするか。この人たちが増産という重荷を背負ってやっていくだけのさまざまな環境整備、厚生施設等につきましても、相当な予算を計上しておやりにならなければ私はやれぬと思いますが、その辺のお見込みはどうかという問題を一つお伺いしておきたいと思います。  同時に、これはもうかいつまんで申し上げますけれども、この対策の中の民有林対策という中に、伐採措置のための税制上の措置というのがあります。この「伐採促進協力した森林所有者山林所得については」とあるが、「伐採促進協力した森林所有者」というのはどういうことをいうのか。おそらく先ほど御説明になりましたように、経常伐採量からはみ出たもの、これを増産といっておる、これが協力したものと、こういうお考え方だと思うのです。一体、民有林における経常伐採量とは何であるか。これは全体としての推計はできるにしても、この問題は、個々の民有林所有者についての問題について、それを抑えていかなければならぬということになる。税金の問題なんですから、そういうことがはたしてどういう一体見当で、みんなが納得するように抑えていかれるのかどうか、これは非常にむずかしい問題だと思うのです。  同時に、もう一つは、御承知のように、森林所打者というのは、必ずしも、のどがかわいている製材業者だけに物を売るのじゃない。その間にしばしば、いわゆる仲買い業者というものが介在する。こうなりますと、仲買い業者には売った。しかしながら、それはある時期がたって、そうして、むしろ今後の推移を見て売るのだということになるから、従って、売ったけれども、直ちに伐採されぬということがしばしばある。おそらくこの緊急対策の実施期間中に——二年以内に伐採されぬということがしばしばあるのです。そういう場合でも森林所有者について、一体、売ったものの税金をかけるのか、これは増産協力したものと見られぬ。その点をどういうふうに一体チェックされようとするのかですわ。  それから、これは林野庁でなくて、あるいは自治省かもしれませんけれども、従来からやかましく言っておる木材引取税なんというは確かに価格高騰をささえる要因になっておることは事実なんです、理屈はどうであっても。従って、こういう際にこそ、こういう税金をやめてもらいたいというような声もあるのだが、それを一体どういうふうにお取り上げになろうとしておるのか。これは林野庁でもよし、自治省でもいいのですが、それだけの問題を、かいつまんで、簡単でけっこうですから。
  29. 吉村清英

    説明員吉村清英君) まず、国有林の増伐に対する予算的の措置はどうしておるかというお尋ねに対しましては、ただいまこれは弾力条項を適用いたしますことを大蔵省と折衝中でございますが、林野庁といたしましては、大体五十億余り経費を必要とすると考えまして、折衝を進めておるところでございます。各種の経費をそれぞれ計上いたしまして、折衝中でございます。  次に、民有林の増伐に関しまして、経常伐採量をどう見るかという問題につきましては、これは先生の御指摘の通り、非常にむずかしい問題でございますが、この点につきましては大蔵省とただいま折衝中でございまして、大体詰めて参っておるところでございますが、ただいま私ども折衝いたしております過程におきましては、過去三カ年間伐採の平均程度経常伐採量とみなすというような考え方で進めております。過去数年伐採しないものにつきましては本年の伐採量の何割ないし何分の一程度増加分とみなすというようなことを考えまして、ただいま折衝を進めておるところでございます。  次に、山林所有者が仲買人等に立木を売り渡しまして、伐採をしない場合の措置につきましては、これまた大蔵省と折衝中でございますが、この伐採をしたかしないかということにつきましては、ただいま申し上げました経常伐採量をどう見るかというような観点もございまして、あるいはこれはきまったわけではないのでございますが、AG等の証明が要るというような問題も出てくるかと思うのでございますが、この伐採をしないものにこの措置を適用するというようなことはないようにいたしたいと考えております。  次に、木材引取税の問題でございますが、木材引取税は、この問題はかねてからいろいろと議論がございまして、木材業界あるいは町村側が対立をいたしました形でただいまに至っておるかと思うのでございます。自治省等の意向もこの木材引取税の廃止につきましては何かかわり財源というようなものが必要である、それには立木の所有者に対する固定資産税の資産評価を高くするということによって木材引取税の軽減考えようかというような議論もあるようでございまして、この点につきましては、林野庁といたしましてはなお慎重な検討を要するかと考えておるのでございます。以上でございます。
  30. 石谷憲男

    石谷憲男君 まあいまだ折衝中で未確定なものが非常に多いようでございますけれども緊急対策である以上はこの確定を非常に急がれて、そうして少なくとも着手を早くやるということにならぬと、どんどん時間ばかりたっていくのではないかということを特に御注意を申し上げておきたい、こう思います。
  31. 重政庸徳

    重政庸徳君 私はもうこれで発言をやめると言ったのですが、どうも今政府の経済成長とこの需給基礎の出し方というのは、いわゆる抑制している——〇・九で抑えて木材を計算したのだと、こういうことをはっきり言われたのですが、長官は言われなかったが、どうもそうじゃないのだ。この表を見るとどんどん増大してきている。従って、これはそれならばそれでいいですけれども、私はどうもそういう頭でおやりになったものとは思わない。また経済成長を今押えて——〇・九に押えていくということに一生懸命になっておりますが、これはどうしてもやらせなければならぬが、私はそれがどうも必ずなるものだという自信もない。非常にやらせなければならぬけれどもが、全力を尽くさなければならぬけれどもが、ともかくそうなるかどうか必ずしもわからない。むしろそんなことを答弁になるよりも、一か八かということになるというと、これは数字の基礎をずっと出してもらってやらなければならぬが、そんな必要もないが、私はこれでいいように思うが、むしろ現在の状況で推定してやったんだと、そうして政府は設備投資を極力押えていっておると、だからそれはやらなければならぬと、そうなった以上は、ここに今石谷委員から、専門家から究明せられた、ここに非常な余裕ができるんだと、この需給関係でもし、〇・九で押えて設備投資をせよといえば、木材においてここに余裕ができるんだから効果はますます増大するんだというように答弁したら——私だったらそういう答弁をする。それからこういう計画にぴちっとおのおのみな推定で数字を合わしておるんだから、私はそれくらいの計画に穴というか余裕があって計画を遂行した方が安全なくらいに思っておるんで、そいつを〇・九に押えたところを基礎にして計算した、ところがこれは国民が望んでおるんだけれどもが、まだ必ずそういくかどうかというような非常な不安を持っておるという状況なんだから、私だったら今の現在の木材需要基礎に置いてずっと考えた推定だから、経済成長を押えてそれが成功すれば、いわゆるここに計画上の大きな余裕が生じてくるんだと、だからとの計画は安全な計画だと、こういうように私だったら答弁するのですがね、まあそれだけ申し上げておきます。
  32. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は石谷さんのような専門家が主張せられたのですから、あとで大体速記録で勉強したいと思っておりますけれども、二、三お聞きしておきたいことがありますので、一つ簡単な問題をお聞きしたいと思います。税の軽減で値下がりをさせると、こう言っていられるんですがね。これは税金を下げることによって値下がりというものがどういうふうな方法でひとりでに下がっていくのか、何か税金を下げた分だけを安く売れというような指定的なことをやっていかなかったら、やはり価格に押されて、そのものは零になるんじゃないか、計画通りの値下がりは見られないと思うんです。これらの因果関係をまず明らかにしていただきたい。
  33. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 私ども価格安定対策の基本的な考え方といたしましては、需給を調整いたしますことによって価格を安定させるということを考えておるのでございます。所得税の軽減の問題につきましては、所得税の軽減によりまして、この二カ年間臨時的に期限を切りまして所得税の軽減をすることによりまして山林所有者伐採の意欲を出していただく、こういうような考えを持っておる次第でございます。で、これによって先ほどから申し上げました四百万立方民有林の増伐につなげまして価格安定化をはかるというような考えでおる次第でございます。
  34. 清澤俊英

    清澤俊英君 そいつがどうも私わからないんです。行く先が上がると思えば、税金とられても原木収入と対比して切らない、持っておった方が得だ、こういう考えが出ないですか。
  35. 吉村清英

    説明員吉村清英君) そういう点につきましては議論があるかと思いますが、私どもといたしましては山林所有者の方々に対しましては、この二年間の限った所得税の軽減措置によりまして、増産協力をしていただきたい、こういうような考え方期待をしておるのでございます。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、問題はここに出てくると思うのです。税金を下げて切らせて今の価格を下げるんでしょう。増潰して価格を下げることが目的なんでしょう。そういう場合に、今この資料で見ますと三割ないし四割くらい上がっておる、こう思いますが、こういうものを今後——その前にお聞きしたいことは、何年度価格にまで引き下げていきたいのか、これを見ますと、私は三十五年の大体価格くらいに下げたい、こういうものが出ておるように思います。これは二カ年の時限立法だ、こういうことで税金を下げるとしましても、その価格とのバランスで、やはり切ったら損害になるということになりましたら切らぬでしょうし、また税金のために幾らか切って出しましても、今値段は上がっておるんですから、値段は上がったもので売ろうとするのはこれはあたりまえだろうと思います。今の価格より下げて売る者はないだろうと思う。税金下げたら、せめて税金の分だけでも下げて売る、こういう何か強制的なものか、特約的なものがあれば効果はあると思うんですけれども、それらの点がどうも私にはよくわからない。
  37. 北村暢

    ○北村暢君 関連して。今の清澤さんの疑問私もごもっともだと思うのです。これは今、林野庁の出しておる臨時措置の税の軽減措置というのは切ったものに対して、出てくるものに対して所得の減税をする、こういうことでしょう。だから、税金の減税した分よりか置いた方が得だといえば、この効果は指導してやったとしても、山持ちの方で判断をしてどっちが得かという計算をして、置いた方が、今の値上がりの方が得だという判断をすれば出てこないと思います。だから、一応考えられたことのあるやはり立木について、持っておることについて税金をかける、これは持っておると税金がかかるから切らないと損だ、こういうことだとすると出てくるんですよ。そういう税金のかけ方なら出てくるんですけれども、これじゃ私も実際に強制力もないので……。民有林に四百万立方の増伐をさせる、しかもことしと来年でやるというわけでしょう。それで非常に疑問がある。重政さんも疑問に思っておられる通りだと思う。ですから、そういうことで私は、自信を持ってこれをやっておられるのかどうなのか。ですから、質問したいことは、積極的に切らせるという問題ならば、持っておったならば高い税金がかかる、こういうことにすれば、実際は出てくるんですよ。山持ちとしては持っておったら税金がかかるんだから切らざるを得ないというので出てくるだろうと思う。そういう点について考えられたことがあるのかないのか。  それから税を軽減するというと、重政さんも言われておったように、これは今切らないで民有林を持っているというのは金持ちであり、大山地主だということなんだ。そうして税金を軽減してやるというと、これはますます有利に地主の保護をするような結果になるのですよ。従って、こういう切り惜しみをしている山林地主に対して積極的に切り出して、そうして木材価格の値下がりに影響させようというならば、積極的に立木に課税したらいいんじゃないか。持っていることにおいて課税した方がいいんじゃないか。こういう意見があるんですよ。こういう点はどうなんですか。私はまあ何かこれは逆なように感ずるのだけれども、このように考えられておられるか一つ……。
  38. 吉村清英

    説明員吉村清英君) まず最初に、木材価格の下がり方をどのようなところにおいて考えているかという点でございますが、先ほどもちょっと触れましたように、この木材価格のいどころがはたしてどこが適当なのであるかという問題につきましては、非常にむずかしい問題でございまして、実は私どももにわかに判断がつかないのでございます。それでこういった点につきましては、専門家にすでに検討、研究を委嘱をしておるのでございますが、的確な方法がないわけでございます。この木材の、私ども考えておりますのは、木材需給バランスをとることによって価格が安定をする。この安定をするということは、木材価格の当然いるべきいどころに向かってすわってくるであろうという考え方で、ただいまはこの需給安定対策、すなわち木材価格の安定緊急対策ということに考えまして、この対策を実施をいたしているところであるわけでございます。  次に税金の問題でございますが、所得税の問題でございますが、切らない立木にと申しますか、伐期のきた切らない立木に税金をかけたらどうかということでございますが、これはあるいは固定資産税的な考え方になるかと存じます。私どももいろいろ検討をしてみたのでございますが、にわかに結論を出しかねまして、この点は採用といいますか、進めなかったのでございます。御指摘の現在持っているような、切り惜しみをしているような山持ちは、それぞれの自己の判断によって思うように協力をさせられないのじゃないかというような心配に対しましては、私どももいろいろと検討はして参ったのでございますが、一般的に見まして、この方法によりまして何とか協力を促していくという方法を進めて参りたいと考えている次第でございます。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 税金の問題はこれくらいにしまして、こまかいけれども、この輸入対策の中に「港湾施設貯木場及び植物検疫施設」と、こうなっていますが、この貯木場などを作るときの考え方としては、これは通産省の方の関係もありましょうが、何か補助金でも出して作らせるような方法が考えられているのですか。そこまでの考え方があるのかどうか。これは私の関係している地区で、やはり貯木場を作るというので、非常に県、市、関係輸入業者、地方業者等が非常な苦心をしているものが見えるのです。それだから、この貯木場港湾施設等に対しては、何か国の補助的な処置が講じられるかどうか、そこまで考えておられるのかどうか。
  40. 吉村清英

    説明員吉村清英君) この貯木場でございますが、これは港湾にあります水中貯木場を主体としておるものでございまして、その設備等の計画をしているわけでございますが、これは補助事業でございまして、運輸省と私の方で折衝をいたしまして、実施をしてもらうように進めているものでございます。
  41. 清澤俊英

    清澤俊英君 その港湾と離れて、貯木場を別に作る場合、入ったものを一応適当な貯木場へ入れる、こういうような場合です。
  42. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 陸上貯木場の場合につきましては、そういった補助の制度は、ただいまのところはございません。
  43. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、これは「整備拡充を図る」といってみたところが、ただ特殊港湾に対してこういうことを運輸省からやってもらうというだけのことで、あまり効果はないわけですね。そういうふうに考えることは無理なんですか、私はしろうとなんですけれども
  44. 楠正二

    説明員(楠正二君) 港湾の貯木場の拡充につきましては、ただいま御質問になっておりますような対象のものについては、倉庫業に対する特殊融資といたしまして、運輸省の方で開発銀行の融資をごあっせんいただくということになっております。それからなお、水中貯木場につきましても、通関いたします場であるとか、あるいは荷さばきをする水面であるとかいう部分につきましては、極力港湾拡充の公共事業の中でその造成をはかっていかなければならないということについても、運輸省で御協力いただいております。以上でございます。
  45. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、この中で、「パルプの自由化について検討し、早期実現に努める」、その前の方に、「製材および製紙用パルプの自由化について検討をし」、この製材用パルプというのは、どういうようなものになるのか、これを一つお伺いしたいのです。もちろん、輸入パルプが非常に安く入ってくる前提でこのことは考えられると思いますが、そういう場合、国内のパルプ業者を圧迫して問題が起きないのかどうか。
  46. 吉村清英

    説明員吉村清英君) この製材の輸入自由化でございますが、製材品のごく一部に自由化されていないものがあるのでございます。これは、ソ連方面から入ります製材、あるいは南洋方面から入りますラワン等の製材等で、自由化されていないものがあるのでございますが、これを自由化検討をして早期実現に努めるということと、製紙用紙パルプ自由化検討して早期に実現をはかっていく、これはもちろん、国内の産業の圧迫という点については、慎重に検討をして、なるべく早期実現をはかるというふうに考えておる次第でございます。
  47. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほど石谷さんのいろいろの御質問の中で、国有林の払い下げについて、その販売の方法を改めるというような御意見があったようでありますが、これは一般に言われているのですが、大体今の木材の値上げは政府がやっているのではないかというあれがあるのですね。わしらしろうとですけれどもよく聞くのです。ということは、競争入札で高値でどんどん出しているのですから、幾ら切って出しても、それの払い下げが、今現在量が足らないのですから、幾らでも高く買っていく。そうすると、またその上の値段で国の方では払い下げていかれる。こういうことになりますと、これは結局国の方で値上がりに拍車をかけているのではないか。値下がりということを考え、安定させることを考えたならば、これはしばしば同僚の河野謙三君が質問しているのですが、そういうむちゃなやり方をしないで、ほんとうに下げることが目的であれは、安定価格をどの辺に求めるというととが中心であるならば、それを特約条件か何かにして、そうして払い下げたらどうか、こういうことがしばしば言われているのです。何かその払い下げの方法についていろいろのことを考えるというような御答弁がありましたが、それは今度そういうものをきちんときめないでやりましたら、涜職だとか何だとかいうような問題が出たりして、なかなかそう完全にいくものではないと思うのです。甲の製材業者に、これは甲なんだから安く売った、乙の製材業者には高く売ったというような妙なものができましたら、そこに問題が生ずると思うのです。ここまで来た以上は、もっとはっきりした対策をとって、国の材木というものが大体国内木材の大部分というのではないですけれども、比重から見ますれば、とにかくその価格がある程度までスライドすることができる力を持っているのですから、それを特定価格で払い下げるかわりには、販売の際にはこうしろ、こういうような方法をとって、相当有力な力の強い木材業者等にやらせまするならば、私はこれが一番有効じゃないかと思うのです。そうめんどうなことがなくてこういうことが考えられますが、その点はどうなりますか。非常にややこしいことをやっておられるけれども、きめ手というものがないのだ。これを見ますと、私はきめ手がないと思っているのです。
  48. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 国有林材の販売方法の問題でございますが、御指摘のように、公売の落札価格が市況をつり上げていやしないかというようなことも、決してないわけではないかと思うのでございますが、しかし一面、この国の木材の売り払いはどこまでも基本的には公売が主体でございまして、この点はやはり変えられないところかと思うのでございます。で、その公売を基本といたしまして、指名、指名競争、あるいは随意契約によって売り払いができるようになっているわけでございますが、この販売の三つの方法も、これは機械的に進めて参りますと、あるいは御指摘のような当を得ない販売といいますか、処分が行なわれてくる懸念がないではないというふうに思うのでございます。私どもこの増産と申しますか、緊急対策増産材につきましては、どこまでもこの過熱した木材価格を冷やす、まあ需給安定化をはかるという観点に立ちまして、この販売方法も通町、時宜に即した方法をとりまして販売を進めて参りたいというように考えて進めておる次第でございます。
  49. 清澤俊英

    清澤俊英君 その方法というのはどういうことなんです。それである程度価格は、あなたの言うのは下げるんじゃないからそれでいいんだ、需給が調整されればいっとき価格は安定するんだから、安定が目的なんだ、こうおっしゃるけれども、今現在不足してるんですからね。不足するのがすくそこに間に合ってぱっと出てくるわけじゃない。そういうものを安定させるならさせるとしまして、一つ価格体系を作っていく上に、私の言うのは払い下げの条件を、価格を定めて、そしてその価格で売らしたらどうかと、こう言う。これは私らもこんな材木のことなどあまり聞きません。材木屋さんじゃないから聞きませんけれども、炭焼きさんが始終言うのです。一生懸命炭焼いてみたところが、片っ端から価が上がってくる、こういうことを言うのです。幾らかせいでみてもその次の年にはどうにもできない問題が出てくる。ああいうものでさえそういう結果が出てくるのですから、少し不足でもしておるときでありますれば、一つでも品物を手に入れればもうかるのですから競争して高く買うでしょう。それをそんな機械的のことをやらないで、何とかそういうものを押えて考えるということになったら、一つそれがしくじったら汚職になる、問題が出てくるというのです。現に出ているでしょう、方々で。私は全部善意に考えているから、非常に風倒木等を考えて安く売られたということが汚職になって現われている、問題になっている、そういうまぎらわしいことをしないでもはっきりした線でやったらどうか、こういうことを私はお伺いしているのです。しかも、これもしばしば河野謙三君などは何べんも言うているのですね。私は三回くらい同じことを聞いてるんだ。これも一番いい方法だろうと思うしね。今の農林大臣と血縁の関係もあるし、話を大臣のところに持っていくにはまことに楽な話だと思うんだ、大いに談判させればいいと思う。そういう方法がいいとしたならは、私は絶好の機会だと思うのですが、そういうことは考えられないのですか。やはり機械的な考え方にしないで、融通的にいろいろおれの方で才覚して考えてるんだと言われても、長官は神様じゃないからね、あなたの思うように全部がいくとも考えられない。そこに間違いが起こるということはどう考えられるか、起きないと断言ができるのですか。
  50. 吉村清英

    説明員吉村清英君) ちょっと申し方が足りなかったかと思いますが、機械的にやらずに適当にやっていくんだという、価格を適当にきめていくということではなかったのでございます。これは私の舌足らずであったと思います。価格はどこまでもやはり時価ということになっております。価格は時価でございます。従いまして、営林局なり営林署で価格をきめましても、たとえば公定価格のようなものをきめて販売をするということはできない建前になっておるのでございます。で、私が機械的にやらないと申し上げましたのは、これは販売の方法でございます。販売の方法は一般競争入札、指名競争入札、それから随意契約、こういう方法があるわけでございますが、こういう方法の組み合わせ、これは市場の情勢を十分把握して、その方法をそれぞれ営林局署できめて参るように指導をして参りたいということを言ったわけでございます。
  51. 清澤俊英

    清澤俊英君 時価はずんずん上がっているのだ、時価は上がっているのですよ。上がった時価で出していったら、いつまでやっても切りがないでしょう。それがことに競争入札になれば、よけいに手に入れたいと思うから、また時価を上げていく。これはおかしい話になるのじゃないですか。そういうことはちょっと考えられませんか。
  52. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 公売を繰り返し、その落札を標準と申しますか、その公売に出た結果を分析をしたものによって次の予定価格をきめていくというようなことでは、価格の引き下げなんということは思いもよらぬことではないかということでございますが、確かにこの需給バランスが十分とれていない時期におきましてはそういうことが考えられます。  それから、御指摘のように公売自身をとってみますと、この競争がときに過当にわたりまして、非常な異常な価格が出ることがあることは御指摘の通りでございます。従いまして、そういう場合には、この異常な部分についてはこれをはずした範囲において基準価格考えていっておるのでございます。まあ私ども考え方といたしましては、今の制度におきましては、この現在の基準価格のきめ力の範囲内において需給を調整をいたしまして、価格を同時に安定していくということに努力をしなければならないと考えておるのでございます。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから、輸入材が入って参りますね、輸入材を増大する。輸入材の傾向は、やっぱり国内木材価格が上がってくれば、それと見合って上げるのは商売人根性だと思いますが、そういうものに対しては、やっぱり需給だけをねらうから、価格の点は上がって入ってきても大して心配しない、こういうふうにお考えなんですか。
  54. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 私ども決して価格が上がりますことを何といいますか、そのままにしていいというほどには考えておらないのでございますが、その輸人材等はやはりこの国内材の価格との見合いにおきまして入って参ります関係もございまして、この価格抑制と申しますか、をいたしますことはなかなか困難な点もあるかと考えておるのでございます。
  55. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 先ほどからの質疑応答を聞いておりますと、一応要綱としては体裁の整っているような気もするのですが、特に私は民有林対策の問題について非常に疑問を持つのです。伐採促進のための税制上の措置という点、特に先ほど北村委員からもお話があったのでありますが、国有林の場合は、これははっきり問題をつかんでいける。自分でやるのだから対策もはっきりしている。そういう点では対策についての確信というものは非常に強いと思うのですが、民有林、特に個々の山持ちを対象にしていく場合においては、税の軽減ということだけでこれやっていけるかどうか。それからまた税の軽減ということが妥当な形で山持ちに対して適用していけるかどうかという技術的な問題そういう問題もありますが、一体その税の軽減というものと、現在値上がりしておる木材価格から期待し得る価格値上がりというものとの幅と、今考えて大蔵省と交渉しておる税の軽減というものとの見合いはどういうふうになっておるのか。それは言えないのなら数字を引っ込められてもいいですが、それが一つ。  それからもう一つは、伐採適期になった木材ですが、これは第一の質問ともからんでくるのでありますけれども伐採適期になったものを投機の対象にして、値上がり期待をしつつ伐採しないということは、戦争中の隠退蔵物資という感覚ではありませんが、少なくとも国土というものは、農地にしろ、山林にしろ、これは個人のものであると同時に、私は国家のものと思う。これは見方は違うかもしれません。国土を対象にして生産されるものというものは、自由主義経済ではあるけれども、個人の利益だけのために考えられていいかどうかという問題です。少し社会主義的な考え方も入るかと思うのですが、そういう意味でいいますと、私は伐採適期になった木材というものをただ投機の対象といったら少し言葉が過ぎるかもしれませんが、そういう意味で伐採を手控えするということは、国土を対象にした生産物という点からいうならば、ある程度私は国家の意思というものを発動していいんじゃないか、こういう感じがするんです。そういう意味からして、伐採適期になってなお伐採しないものに対しては税金を重くする、重くするというか、課税するというか——私は現在とういうふうになっておるかしらぬのですが、伐採促進するような税のかけ方をする、そうして伐採促進する。もちろんそのあり方というものは造林を阻害するような形で税金の問題は出てきてはいかぬのだけれども、当然適期になっておるものについては、社会にこれを供給していくということを促進するのが社会政策として私は当然じゃないか、そういう感じがするのです。そういう見方からするならば、減税措置と同時に片方には適期になってなお伐採しないものに対しては、別の積極的な課税措置を講じ、両方からこれを攻めつけていく、こういう形がなぜ考えられないか、そういう点に対する長官の考え方一つ伺いたい。それが第二点です。  それから、これは先ほど重政委員からもお話があったのですが、今の所得倍増計画——十カ年計画、これは当時は経済成長率というものを七・二%に見た、あとで当初三カ年の修正をやって、当初三カ年は九%、こういうことで一応やられておるはずだと思うのですが、あなた方の方の三十六年度供給見込みというものは、その計画のどれに対して組まれたものであるか、その三点を一つ伺いたい。
  56. 吉村清英

    説明員吉村清英君) まず第一点の税の軽減と、それの効果の及ぶ価格の見合いということになるかと思うのでございますが、先ほどもお尋ねにまことに不十分なお答えを申し上げたのでございますが、この私ども価格安定対策によりまして、どの程度価格の引き下げといいまするか、効果を見込んでいるかということのお尋ねにもなるかと思うのでございますが、実はこの木材価格の動向というものにつきましては、まことに複雑でむずかしいものがございまして、一定の対策によってどの程度下がるというようなその効果を検討したものがないのでございます。ただいま私どもといたしましても専門的な研究を委託をして研究をしてもらっておるのでございますが、現在のところ私どもといたしましては、この税の軽減措置によって増伐を促し、それによって需給を安定して価格を安定する効果を見出したいという考え方でやっておるのでございます。まあ、はなはだ幼稚な進み方ではあるのでございますが、木材関係の今の現状におきましては、そういう以外にないかと考えておるのでございます。  次に適伐以上になった森林を伐採しない者については、これを伐採しない立木について課税の対象にしたらどうか、こういう御意見かと思うのでございますが、この点につきましては、まあ立木の固定資産税というようなことにあるいは相なるかと思うのでございますが、立木を固定資産と考えますことには、あるいは無理があるのではないかというようにも考えられるのでございます。そういう点について私ども検討を一時いたしたのでございますが、結局にわかに結論が出せないというような問題でもございますので、この際その措置はとらなかった次第でございます。  次に所得倍増十カ年計画とこの計画との関連でございますが、課長からお答えいたさせます。
  57. 楠正二

    説明員(楠正二君) 需要の推計についてお答え申し上げます。  国民所得の伸び率を三十六年、三十七年九%と見込みまして、その伸びに伴うところの需要増加、所得の弾性値を出しまして推計した部門もございます。それから住宅等、実際の具体的な実勢に即して九%というような考え方を違った立場で過去の木材需要伸びの実勢に即しましてそれを延長的に推計するという部門と、両方あるのでございます。
  58. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 今の民有林問題ですが、この問題を取り上げるときに、今の林野庁で考えられておる考え方というものは、私はもちろん一つのいい考えと思いますけれども、非常に手ぬるい感じがする。自由主義経済の基底の中から一歩も足を踏み出さない、思想的にはそういう考えで問題を対処していこう、解決していこう、こう考えられることはよくわかる。だけれども、今の卸売物価の値上がり、これは日銀の発表でも、経済企画庁の発表でも、卸売物価及び消費価格、いずれからいっても当初の予定よりは相当上がっておる。上がっておるものの中で一番大きいものであり、かつは上がり方を非常に大きくきめつけておるものは木材である。その木材対策というものを今のお考えで二年間すれば解消できる、こういうふうに考えることが妥当かどうか、私はしろうとだから知りません。知りませんが、今のあなたの方で考えておられる程度対策では私は不十分じゃないのか。もちろんその方向の一つとして国有林の増伐、あるいは輸入増大——輸入増大問題はここで簡単に、「港湾施設貯木場および植物検疫施設整備拡充」云々、こう片づけられておるけれども、これにも関連して私聞きたいのでありますが、運輸省が今度の臨時国会でこういうものに対する促進追加予算を要求するのかどうか、また要求する額はどの程度なのか。もう臨時国会がすぐ迫っておるのであるし、そこまで話が固まっておるのかどうか、ということについても疑問があるのですけれども、再度申し上げますけれども民有林に立ち返ってみた場合に、どうしてもやはり伐採適齢期というものがあるのかどうか、私よく知りません。知りませんけれども、一応常識で考え伐採適期になったのに、当然経済行為なんだから、価格のあり方を見つつやることは当然でありますけれども、それにしてもあまりにも投機的な意欲だけに拘束されて社会の要求というものを無視した個人の欲望だけでこれに対処していっていいのかどうか。そういう点に対しては、社会の要求に対してこたえるべき立場の者がこたえない場合には、ある程度の課税というものを考慮してしかるべきじゃないか。というのは、木材問題があなたの方で考えておられる程度で、またその程度の時期で解消して、将来こういう問題はあまり起こり得ないという確率が高いならば別問題だけれども、私はそうとは思わない。そういう意味で今の問題をもう一度お答え願いたいということと、それからもう一つ林産課長のお答えは——当初の計画に対して私は質問したのだけれども、当初の計画がそうであったのかどうか、こういうことをもう一ぺん。
  59. 吉村清英

    説明員吉村清英君) お答えいたします。まず、この二カ年間でこの程度計画で目的を達成できるかどうかという御質問に対してでございますが、まあ、先ほど石谷先年から御指摘をいただいたのですが、この需給計画表等に、平面的な計画で十分でないという御指摘もあったわけでございますが、とにもかくにも私どもといたしましては、この需給を調整して参る、需給バランスをとって参るということを主眼にいたしましてこの計画をいたしておるのでございますが、この計画を実行して参ります過程におきましても、この木材市場の動向というものは十分検討をいたしながら、この政策の、対策検討もして参りたいと考えておるのでございます。従いまして、この対策によりまして十分でない面につきましては、一つ極力目的に沿うような方法を講じて参りたいというように考えておるのでございます。  次にこの適伐を過ぎた森林の所有者は、これは当然切るべきではないかということでございますが、確かに切られた方がその山持ちにとっては有利ではないかというように考えるのでございます。山持ち自身にとっても有利ではないかと考えるのでございます。この山の公共性という面につきましては、この所有関係といいますか、林産物関係とは別に、山の国土保安的な機能という面において強くかけられるのではないかというようにも考えられるのでございます。従いまして、この山持ちが、適伐を過ぎた山をいつまでも切らずにいるということをまあ直ちに責めるということはいかがかというような考え方も出てくるのでございます。従いまして、そういった面で罰則的な税の措置というのは、私ども考えておらないのでございます。
  60. 楠正二

    説明員(楠正二君) 具体的に木材需要量の当初計画と、ここにプリントでお渡し申し上げました数量伸び率の差を御説明申し上げればいいかと思うので、その数字を……。
  61. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 数字はいいですから、当初計画がどれを基準にしておやりになったかということに対するお答えだけでいいんです。
  62. 楠正二

    説明員(楠正二君) 先生のおっしゃ、いましたごとく、当初は七%程度のことですべて考えておったわけでございます。それをなるべく実勢に即して伸ばしていきたいということで、実勢を確実につかみ得るものは実勢に即して推計をいたしたい。所得に非常にリンクして伸びると思われるものについては、そういう数字を国民所得の伸びに比例して考えまして、現在の政府の目標にいたしております、三十六年の目標にいたしております九・七%というものですが……。
  63. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 時間が迫りましたから、ごく簡単に聞きたいことも若干省略いたしますが、今の長官のお答えのうち、山の公共性という問題については、もちろんおっしゃるまでもなくそういう考えでやっておられるということは、私はよく承知しておる。承知しておるのですが、土地を相手にする生産物というものは、一般の製造工業等とは多少違った考え方に立っていいのではないか、そういう思想的見地から言っておるのです。もちろん土地を対象にしないそれじゃ製造工業はあるかといえば、極端な言い方をすれば、どんな工場だって土地の上に立っているじゃないかという言い方になりますけれども、そういう意味ではなしに、生産手段の主たるものが土地、国土というものからいうならば、その他の製造工業等による産物とは違った立場で考えていいのではないか、私はそういう見方から言っておるのです。それで国土保全という消極的な立場でだけ土地の公共性というものは考える。しかし、それから生産するという生産手段に土地を使う場合には、これはあくまで個人の利益の対象だけで考えるんだという、そういう考え方できたのではあるけれども、それでいいのであるかどうか。ちょうどこういう問題が起こっておるし、また将来もおそらくはこれは消長はあるにしても、こういう問題は継続するはずだと思うのです。そういう点に関して長官の考えをもう一度——あなたの個人的な考え方でもけっこうなんですよ、長官ではなしに、長官個人の考え方でもけっこうです。
  64. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 大へんむずかしい問題でございまして、不勉強でお答えができませんのがまことに申しわないのでございますが、今後そういった点につきまして、大いに検討をして参りたいと思っております。
  65. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 さっきの清澤さんの質問関連するわけですが、こういうように非常に需要が多くなって、その需要の面を埋め合わせるために、たくさん、二カ年間にここに数字で示されたような増伐をしていくわけです。そうして価格を安定させようというわけですが、これは将来、国内における経済成長の問題やら、あるいは民間の設備投資の問題やらを考えますと、たとえ、供給の方をまかなえて一時的にバランスがとれても、また再びくずれるおそれが出てくるわけなんです。従って、問題はたくさんあるわけでございますけれども、従前の、さっき長官の説明では、払い下げ問題については時価の問題が出たわけなんです。その時価のきめ方は、これはどういうところからきめているのですか。たとえばいろいろあるわけですが、かつて国有林を払い下げたその付近において、そのときの指数をとって、今日どのくらい指数が伸びているから、それをかけてみたという方法もあるだろうし、あるいは付近の民有林の売却によってそれをとる場合もあるだろうし、あるいはまた入札者の高い値段の方に落としていくんだと、こういういろいろの問題があるだろうと思いますので、そういう時価のきめ方の問題、どういうところからきているわけですか。
  66. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 販売に使用します基準価格を出します時価のきめ方と申しますか、調査の仕方でございますが、営林署にそれぞれ市場といいますか、市況調査の担当者がそれぞれ配置をされておるのでございます。このそれぞれの営林署の国有林の含まれております需給県、これを中心にいたしまして市場の調査を常時いたしておるのでございます。これは大かたは聞き込みでやっておるわけですが、この木材のそれぞれの材種、樹種につきまして市場価格をたんねんに追跡をいたしまして、丸太の価格の市場時価を見ております。それからもう一つ国有林でしかない材があるわけです。民有林にないような材につきましては、樹種につきましては、これは製材の試験びきをいたしまして、これを製品の市況から逆算をいたしまして丸太の時価というものをつかむ、こういうやり方になっておるのでございます。で、御指摘にもありましたように、入札、落札の価格も、一部には調査の基準価格をきめて参ります一因子としては入れて計算をするようになっておるのでございます。
  67. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そういう市価の調査が大体林野庁には、全体的として国内のものが集まっているだろうと思う。そういう中から、限界価格というものを示すべきじゃないか、最高どのくらいとか、最低どのくらいとかいうように。
  68. 吉村清英

    説明員吉村清英君) そういう指導はいたしておりません。それぞれの処分の、販売の責任者、営林署におきましては署長でございます、これが判断をしてやっております。
  69. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ちょっとこれは今答弁は必要ないのですが、参考までに、大体主要地域といいますか、国有林の多いところ、あるいは民有林の問題の個所について、立木で払い下げる場合の立米当たりの何か現在の単価表みたいなもの、実績でいいのですが、そういうものを示すことができないのですか。
  70. 吉村清英

    説明員吉村清英君) どういうことでございますか。
  71. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 たとえば一立方メートル当たりの払い下げ価格の、大体高いところでどのくらい、低いところでどのくらいだったという実績があるわけでしょう。そういうものを一つ民有林に対比して、一ぺん何か資料としていただきたいと思うのですが、ここではいいです。
  72. 吉村清英

    説明員吉村清英君) お尋ねの趣旨に合うかどうかわかりませんが、国有林の売り払い価格の単価と、その付近の民有林の大体似通ったところの取引の単価、こういうものの比較を、若干時間が要ると思いますが、調査をいたしまして、でき得る限り御報告いたしたいと思います。
  73. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これは国有林ばかりでなくて、県有林、町村有林というような、たくさん一般に公有林がありますが、公有林を地方で払い下げる業者というものは、零細な業者じゃないのです。大てい地方でも相当の実力のある業者なんです。そういう人たちが指名入札なりあるいは随意というようなことで、払い下げてもらう場合に、大てい民有林のその個所における、付近における払い下げ価格より安いわけです。これは一般です。全国的にそういうことになっている。しかし、これが実際素材になり、製材になって、そうして末端の需要という問題になりますと、どの材料が公有林だ、どの材料が民有林だという区別はつかない。従って、そこに業者の大幅な利益がころがり込むという場合があるわけです。ですから、そういうような問題を考えましたとき、なるほど需給バランスはとれても、問題は、はたして価格の引き下げに今度のこういう措置が役立つかどうか。一時的に役立っても、またそれは次の値上がり一つの要因になっていくのではないか、こういうように考えられる。民間の業者というものは、そうはたくさん……。材料が出たからといって、貯蔵していたってなかなか、払い下げまでには努力しますが、あとは、製材の過程までいく間には、ちょっと値下がりますと、次の値上がりまで待っている、こういうことをたくさん私ども見受けるわけです。ですから、そういうようなことを考えましたときに、特に将来のまあ経済成長の問題やら、あるいは政府でも所得倍増計画立てておるわけでありますが、そういう点からいって非常に問題点がある。  で、もう一つは、やはり増伐という問題と治水、治山の問題が出てくるわけですよ。特に先ほどの集中豪雨あるいは前の伊勢湾台風や七号台風というような工合に、すべて、これがみな戦時中、戦後の過伐によって、特に奥地の過伐によって生じたということが一般に指摘されておるわけです。特に今回あたりはほとんど集中豪雨の災害というものは奥地にみんな発生しておる。中小河川以下の名もない沢にみな発生しておるわけです。そういうところの過伐が原因になっているというような問題を考えますときに、これは木材値上がりだからといってこの価格の安定をさせるのだ、あるいは需要バランスを調整させるのだというようなことで、そういうことに集約して伐採していくということは治山上また十分考えなければならぬ。こういうように思うわけなんですが、こういう二点について、一つ説明願いたいと思います。
  74. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 森林の過伐といいますか伐採と、水害の関係と申しますか、森林の保水能力といいますか、そういう点につきましては非常に議論があるところでございまして、なかなか結論はにわかに私ども確定的なことを申しあげかねるのでございます。いやしくもこの増伐を進めて参ります上におきまして、国土保安上憂慮されるような伐採の仕方を進めるということは厳に慎まなければならないということも考えております。特にこの増伐を進めて参ります上に、保安林あるいは経営計画によりまして水位の制限を特別に指定をされておるような所につきましては、もちろんこういった増伐等は考えておらないのでございます。で、一般の経済林におきまして極力この増伐をいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。  御指摘のように、この国土保全の上には十分注意をして参りたいと考えております。
  75. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 もう一点。そこで、私どもはしろうとですが、これは輸入対策の問題があるわけなんですが、先ほど櫻井先生の方からやっぱり国土保全上の問題が一応考えられなければいけないという話があったわけなんですが、ただ単に価格を安定させるという意味からいけばこの六百万立方メートルというものは、これは限界ですか。もっとこれをふやしたらいいような気がするわけですが、まあこれは運輸省の関係もあるだろうし、港湾の施設その他船舶の関係もあろうと思いますが、こういうものをたとえば暫定的に一カ年なり二カ年間なり、最大のいわゆる輸入でき得る限界までも見込んで、そうしてこういうものを国内輸入する、そういうことによって一時的に木材価格の安定のバランスをとるということもしろうと目には考えられるわけなんです。
  76. 吉村清英

    説明員吉村清英君) この輸入の問題でございますが、国内の資源の現状からいたしましても、やはり将来とも、輸入は増強をして参らなければならないかと考えております。しかしながら、今明年にかけましての六百万立方メートルと申しますのは、御指摘のように、港湾施設あるいは水中貯木場等の施設の拡充をはかりつつ、この程度も入れ得るかという努力をいたしたいという考えでございまして、この六百万立方をこえて輸入はいたしたいのでございますが、他のそういった隘路もございます関係で、なかなか困難なことではないかと、かように考えるのでございます。
  77. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 過去三カ年間ぐらいの実績はおわかりになりますか。
  78. 吉村清英

    説明員吉村清英君) はい。
  79. 楠正二

    説明員(楠正二君) 三十五年度は六百四十万立方でございますが、それ以前は大体五十万程度ずつふえて参ったということでございます。
  80. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 三十五年度が六百四十万。
  81. 楠正二

    説明員(楠正二君) はい。
  82. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうすると、ことしは倍近くなりますね。
  83. 楠正二

    説明員(楠正二君) 本年の八百五十万と申しますのは非常に画期的な増加であります。
  84. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ことし四百万立方メーターですか、三百万立方メーターですか。
  85. 楠正二

    説明員(楠正二君) 本年は八百五十万立方メーターまで伸ばしたいという計画でございまして、これは十分完遂されるだろうと思います。
  86. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 これは木材価格の安定に重点を置いて、そうしてそのためには供給の方を間に合わしていこう、こういうように方針がなっているようでございますけれども、そういうことによって一時的なバランスがとれるかどうかということは多少疑問があるわけなんでございますが、もし価格の安定をはかるのだというならば、ある程度国内資源を無理しないで、むしろ一時的に輸入増大へ力を入れていく。そうしますと、むしろ一般の業者の方から、かえって、全国的にあんまり輸入されたのではわれわれの商売が成り立たなくなるというような形からいたしまして、ある程度価格の調整が出てくる、こういうように大体考えられる面もあるわけなんですよ。従って、ちょっと政治的な一つのおどかしかもわからぬけれども、そういうような問題も一つは考慮していくということが私は必要ではないか。こういうふうに一面には考えられる。こういう点についてはいかがですか。
  87. 吉村清英

    説明員吉村清英君) 私どもも御指摘のように、できる限り国内の森林の犠牲を少なくしたいという考えは持っておるのでございます。しかしながら、この輸入増加という点におきましては、港湾施設その他を初めといたしましてなかなか困難な面が多いのでございます。と同時に、これだけ輸入促進のかけ声がかかって参りますと、輸出いたします国の情勢も若干変わって参っておるところがあるのでございます。すでに場所によっては素材の禁止をしようじゃないかというような動きも出てきているような次第でございまして、なかなか相手のある仕事でございまして思うようにふやすということがむずかしいのでございますが、私どもといたしましては、いろいろな観点から検討をいたしまして、六百万立方メートルを計上いたしたわけでございます。
  88. 石谷憲男

    石谷憲男君 簡単に御質問申し上げますから、結論と申しますか、簡単にお答えを願いたいと思います。国有林は先ほどいろいろ議論があったのですが、都道府県とか、あるいは市町村が自分たちの財政事情のためにその持ち山を切るということが近ごろあるわけです。その場合にこれは財政上の事由で切るのですから、できるだけ高く売らなければならぬという問題がある。極端な公入札をやっておられる。ところが、これが地方的なやはり価格支持といったことになりまして、かなり何といいますか、高価格をささえる役割をしておるという現実の問題がある。これらに対しましては、私はやはり閣議で十分話し合われた結果、自治省あたりから強く協力要請がなければ、それぞれの事由でやっているからなかなかこの対策協力するわけにいかぬだろう。そこでそういうことに対しましてこの対策の中にはないが、何か効果のある措置が盛られているかどうか、これが一点。それからこの中に特に造林林道の二つの項目について緊急伐採のためという枕語の個条書きがありますが、この中を見ますと、それぞれ数字が掲記されておる。これは閣議事情の十分おわかりにならない方がこれを見ますと、特にこれだけのものをやるために、これだけのものをつけ加えてやるのだと、こういう御理解をなされるのはもっともだと思う。いささか事情を知っておるものが見ますと、林道事業にしても、造林事業にしても従来満度に満たされたことは一ぺんもない、近年は相当開きがあるということなんですね。そうしますと、こういうものの書き方というのは、私はどうもとかく誤解を生ずるだけであって、おそらく公有林の事業だからそれに藉口して幾らかでも予算を拡大しようという意図でこういうふうに書いておられると思いますが、本体はこういう機会に従来のやはり林道計画造林計画というものを十分検討されて、それに必要な予算の確保に当たることが、本体ということを置き忘れらないようなつもりでこういう措置をおとりにならなければいかぬじゃないか、こういうふうに考えます。これはあえて答弁は必要ございません。  それから、今も輸入の問題がありましたけれども、要するに国内価格が上がったから輸入材が相当入っておるというのが現状なんですね、これは。そこで一体国内価格抑制するということになると、逆に輸入材というものは価格面で入らなくなるということ、こういうことが一つ考えられる。それにもかかわらず、輸入材を入れてこなければどうにもならないようなもうすでに態勢になっている地域があるわけです、御承知のように。そうすれば高いものであっても入れてこなければならない。こうなりますと、価格抑制のために輸入材を大量に入れるのだということは、私は何だか意味が非常に薄らいでくるというように考えられる。しかも明年度のソ連材の輸入なんかについて、いろいろ状況判断いたしますと、かなり激烈な競争が行なわれそうで、さなきだに相当な輸入価格高騰が予想されるということになりますと、当面やろうとしておる価格抑制というねらいと、その手段としての大量輸入という問題との間にきわめて不適切、工合の悪いものが生ずるのではないか。こういうことに対する所見、これを一つお聞かせいただきたい。これが一つです。簡単でけっこうですから。
  89. 吉村清英

    説明員吉村清英君) まず最初の公有林の財政のためにする伐採の問題でございます。確かに御指摘のように極端な公入札をやりまして競争が行なわれておるということもあるように私どもも聞いておる次第でございます。しかしながら、今回の対策を実施、進めて参りますにあたりまして、各県の担当者、当事者、あるいは知事方に特にこの対策の趣旨をお願いをいたしまして御協力を依頼をしておるところでございますが、すでに県によりましては従来の伐採量の倍量を伐採計画をいたしまして、その上に販売方法も先ほどのお話のような、従来の販売方法を改めて適切な方法に変えて参ったというような報告も聞いておるのでございます。従いまして、私どものこの努力によりましてこの公有林、県有林、市町村有林のこの対策に対する協力につきましても特に強力にたゆまず進めて参りたい、かように考えております。  それから輸入価格の問題でございます。国内価格が国際的に上がって参ったがために輸入量が、急に輸入が旺盛になったという御指摘はその通りでございまして、確かに価格が上がったことによりて、特に米材等は非常に旺盛な輸入になって参っておるかと思うのでございます。しかしながら、この価格が上がったことによって入ったとは申しながら、国内の資源というものはこの計画をこえてむやみに切り過ぎるわけにもいかないのでありまして、こういった情勢が相呼応いたしまして、全国のと申しますか、国内木材市況というものが作り上げられてくるのかと思うのでございますが、この木材価格を下げるという考え方から申しますと、若干矛盾があるように考えるのでございますが、この木材価格のいどころを正しいところに持っていくというような考え方から、進めて参ります上におきましては、やはりこういつた内外の価格の関係も関連をいたしまして少し安定して参るというように考えられるように考えるのでございます。
  90. 石谷憲男

    石谷憲男君 そこでこういう事態に対することは大体そういうことでわかるのですが、私はこの際言いたいことは、この対策を有効に実施しようといたしますためには、やはり関係各省の全面的な協力がなければならぬし、そこで林野庁という実施主体だけが責任をもってやれないのです。従って、やはり十分に大臣に責任をもってもらうなり、閣議に問題を移してそこで問題の本質を究明して、そうしてきめるべきものはきちんときめてもらって、その上でやれる態勢のもとに林野庁が責任を持たれるということにならなければ、私はやれぬと思うから申し上げているので、私はどうしてもこれは閣議まで持っていかなければ、協力する県、市町村もあるかもしれない。やはりそれぞれの財政事情によってやることなんだから、必ずしも協力はできぬというところが出てくる。だからそういうことを申し上げておるわけです。  それから適切な価格の居どころという御説明なんだけれども価格抑制対策だとおっしゃりながら価格を反発させるような、しかもそれが一番対策の大きな柱の一つになっておるということは、これはただ言葉だけでなしに真剣にお考えにならなければいけない。それには私はきょうは申し上げませんが、やはり考えなければならぬ措置があるのです。これは時間がありませんから申し上げませんが、そういうことだけは一つ御注意を申し上げておきたい。  次に一体この対策がどこまでやれるだろうかということにつきまして、世間一般必ずしも協力的な見通しを持っておらぬ。そこで、もしもこれが失敗いたしますと、その後には反動がきます。必ず反動がきますということは覚悟しなければならない。従って、これは失敗しちゃならないということなんです。同時に考えられることは、他の委員から御質問がございましたけれども、とうていこれは二年で、いわゆる緊急対策でやりさえすればその方が安定するというものじゃないのですよ。それは当然これに伴って今後の長期安定対策というものが出ていかなければ、逆に言うならば、この二年の緊急対策というものの効果は、私は半減をするだろう、そこに当然思惑というものが出てくるのですから。そこで、そういったようなことにつきましてのすでに用意があるのかどうかという問題ですね。  それから一般的に申し上げますと、木材の原価というものは、申し上げるまでもなしに、いわゆる労賃と輸送費というものが大きな部分を占めるということになりますと、昨今のいわゆる労務事情、さらに増産体制が進めば山林伐採が奥地に移行する。どうしたってやっぱり原価高になるということは当然です。それで、いかにしていわゆる合理的な、何といいますか、仕事をしていくかということが私は問題になってくると思うのですよ。従いまして、こういう際にこそ、いわゆる協同組合といったようなものの強化をはかりまして、従って、たとえば立木の共同取引だとか、素材生産の共同化だとか、原木の合理的な配分だとか、製品の共同販売だとかというような仕事を強力にやっていくというようなことは、やはりほうっておけばどんどん原価高になっていくというものに対しまする合理的な私は措置じゃないかというふうに考える。さらにまた、いわゆる木材の取引機構というようなものもこういう際にこそその整備をはかるということをあわせておやりになりませんというと、これだけの物動計画だけで、はたして私は木材価格上昇という経済現象に対しまして合理的な抑制措置が講じられるとはつゆさら考えられない。それで、聞くところによりますと、この協同組合による、たとえば共同事業の促進といったようなことのために新たに一つの基金制度というものを設けて何かお知りになるような構想があるやに聞くし、ただいまも申し上げますように、たとえば協同組合、あるいは市場機構といったようなものの強化、整備、拡充というようなものを、必要であるならば次の国会にその法律の制定をするとか何とかするというようなことを、緊急対策の重要な一環としておやりになる用意があるか。  以上で私の質問を終わりますが、結論だけでけっこうですから、簡潔に一つ……。
  91. 吉村清英

    説明員吉村清英君) この緊急対策に続きまして恒久対策の用意があるかということでございますが、御指摘の通り、私どももこの緊急対策で十分ということは決して考えておりません。引き続きましてこの問題については慎重に進めて参りたいと考えております。従いまして、恒久的な対策は合わせてこの生産力、すでにあります生産力増強計画等も合わせまして十分検討して恒久対策を確立して参りたいと、かように考えております。  次に、労務事情の逼迫等によりまして、まあいよいよ生産体制を合理化して参っていくべきではないか。協同組合の共同事業というような問題も考えるべきではないかという御指摘に対しましては、私どももそういう点につきましてただいまも検討は進めておるのでございます。今後なお検討を進めて参りたいと、かように考えております。
  92. 石谷憲男

    石谷憲男君 検討なさっておるということだから、それを大いに期待をいたしたいと思いますけれども、こういう対策というものは、やっぱりタイムリーにやりませんとどうにもならぬという問題と、それから私は恒久対策というふうに申し上げたわけではないので、やはりこの二年のいわゆる緊急対策に引き続きその後の状況に対しまして、いうならば若干長期の対策というものをお示しになりませんと、さなきだに緊急対策というものに対します世間一般期待というのはそれほど大きくないのですよ。それで、これが失敗しますと、反動がくることが必至だからそれだけにその後に引き続くものがないというと、連中なりに先のことを考えるというと、そのことがますます、何と申しますか、この価格安定対策というものに対します協力を私は弱体化さしていくということになると思いますから、従ってそういう意味合いのやっぱり長期対策というものを示して、この二年が終わるというと、われわれはこういうふうな策でもってやっていくということでいっていただきたいという意味のことを今御質問したわけですから、そういう意味に一つ御理解いただきまして、まあ早急に諸対策整備して、そうして必ず失敗しないように、あらゆる角度から検討されて、そうしてまあ成果をおさめられるように一つ推し進めていただきたいということを希望いたしまして、私の質問をこれで終わります。
  93. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 私一言。民有林対策伐採のために税制上の措置をとると、こう書いてあるが、私が各地を回った結果によるというと、これが十分効果を表わすということを聞いておるのでありますから、すみやかに決定して、そうして実行に移されんことを希望しておきます。  他に御発言もなければ、本件についてはこの程度にいたします。  ここでしばらく休憩し、午後は二時から再開し、都合によって議題の順序を変更して、第一に漁船拿捕の件、次に災害対策の件、次に未成立法律案の件、次に強化米の件の順序にいたしたいと思いますから、御了承願います。    午後一時十七分休憩    ————————    午後二時二十一分開会
  94. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから委員会を再会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、戸叶武君が辞任、その補欠として椿繁夫君が選任されました。   —————————————
  95. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 北方漁業に関する件を議題にいたします。  本件について質疑の要求がございますので御発言を願います。
  96. 東隆

    ○東隆君 北方漁業の安全操業の問題は、たびたびここの委員会でもって問題になったのでありますが、今回納沙布沖でもって漁船が大量に拿捕されたという事件を通して、私はソ連の副首相のミコヤンが帰ってすぐそのあとでそういうふうな事態が発生をしたし、しかも非常に大がかりな拿捕でございますので、これを中心にして少しこれの解決を急速に進める時期でないかと、こういうふうに考えるわけであります。それで、戦後十六カ年の間にもうすでに拿捕された船は六百九十四隻というのでありますから、約七百隻ほど拿捕されておるわけであります。それから漁民が約五千人ほど抑留されておる、もちろん帰ったのもあるでしょうけれども。そういうような形になっておるわけで、従って私ども今まで実はマンネリズムといいますか、また始まったぐらいな形でもって非常にこれを看過しているような形もあると思います。しかし、その基本になりますると、これは非常に大きな問題が伏在をいたしておるのでありまして、外交上の問題その他非常に大きな問題が伏在をしておって、そして解決ができない、こういうような状態があるのでありますから、大量拿捕されたこの機会に、私は大きく解決を進めていくべき筋合いのものでないか、こういうふうに考えるわけであります。で、根室の現地の方でも実は非常に重視しまして、私のところに実は非常に長文の電報がきております。これは直接きょうこの問題を提起した理由にもなりますので、読み上げてみますが「本日市民の総意により開催した大量拿捕緊急対策住民大会において、八月二十三日突如発生した貝殻島周辺でのコンブ漁船大量拿捕は、地元漁民を脅威と不安に陥れ、貧困にあえぎながら操業している漁民にとって死活にかかわるきわめて重大な事件であり、今後再びこの事態を繰り返さざるためにも、根室近海での安全なる漁業操業が確立されることを望むとともに、拿捕家庭の今後の生活安定上拿捕船並びに漁船の即時返還をソ連に求め、留守家族及び拿捕船等に対する補償を早急に講ぜられるよう望むものである。またソ連の不法拿捕は人道上許しがたいので、この際すみやかに国際連合並びに国際司法裁判所に提訴するなどの措置により早期に解決されるよう強く望むものである。以上、本大会の決議に基づき、これが実現に格別の御高配を賜わりたく要望いたします。大量拿捕緊急対策住民大会長西村久雄」これは根室市長であります。こういう実は長文の電報が来ておるのでありますけれども、この電文の中に、私は現地の者がどういうことを要求しておるかということが明らかになると思いますので、読み上げたわけであります。どういう事情であります。しかもその操業中抑留された者の中には、高等学校の生徒が中に入っておる。こんなようなことで、その点でも問題になっておるような始末でありまして、こういう事態でありますから、私はこの際、海上保安庁からその実態を御報告を願っておき、それから水産庁、外務省の方には、一つどういう対策でお臨みになるのか、それをお聞きいたしたいわけであります。
  97. 吉田善次郎

    説明員吉田善次郎君) お答え申し上げます。  去る二十三日、納沙布沖におきまして、従来に見ない非常に大規模な拿捕があったのでございます。その模様をかいつまんで申し上げますと、当日、貝殻島周辺にコンブをとります船が二百五十隻前後おったように思うのであります。朝八時十五分ごろ、納沙布灯台の南々東の方、それから北々西の方、両面から三隻のソ連の監視船が非常なスピードで現われて参りました。従前拿捕がありました場合におきましても、こういうように同時に多数の監視船等が出動して参るような例はあまりなかったのでございますが、今回はただいま申し上げましたように、三隻の船が左右から現われまして、直ちにこの貝殻島周辺に操業いたしております、先ほど申し上げました多くの船の退路を遮断するような位置に入り込みまして、そうして通例に見ないような、たとえば逃走を企てます船に対しましてあるいはホースで注水するとかあるいは信号弾を打ち上げるとか、拿捕した船に向こうの兵隊が乗り込んでいって、そうしてさらに他の船の拿捕に向かう、あるいは浅い海域におきましては救命艇を下ろしまして、それに分乗して拿捕に当たるというように、非常に組織的と申しますか、かなり計画的な拿捕が行なわれまして、前後四時間ほどにわたって追跡を受けたのであります。その結果、まことに遺憾でございましたが、コンブ漁船の十一隻、カニかご漁船二隻、これが拿捕をされたのでありまして、乗組員が全部で三十二名あるわけでございます。
  98. 東隆

    ○東隆君 今の状況は新聞その他に出ておるのとそう大差はございませんが、今度の意図が非常に明瞭に出ておるようなこと、これは何か外交上の問題だの何だのに非常に関係があるように考えますし、それから私とすれば、これを機会にやはり解決の道を見出さなければならぬと思うのですが、その場合に、今まで水産庁の方でどういうようなことについてやってきておったか、そういう点、それをお話し願いたい。その上で、外務省ももちろんとってきたんでしょうから、一つそれを解決するのには、もう一歩踏み込んでやらなければならぬと思う。ことに核爆発実験の再開の宣言をするというような、そういうような事態になってきて、そっちの方が大きくなりまして、これがまたうやむやのうちに葬られていくという、そういう事態になろうと思う。この際、もう少しこれを大きく取り上げてやっていかなければならぬと思うので、今まで水産庁の方でこういうふうな事態に対して、特に北洋漁業の安全操業に対してどういうふうな態度をとってこられたか、その点もお聞きしたいわけであります。同時に、先方に拿捕された者に対して、ある程度の補償だの保険、そういうようなことも行なわれておるわけであります。そういう面についても考究されたか、そういうような点、どういうようになっておるか、これもお聞きしたいわけなんです。
  99. 吉田善次郎

    説明員吉田善次郎君) 北洋地域の安全操業の問題の過去の経緯等につきましては、これは先生承知通りであろうと思うのです。日ソ間の話し等につきましてはここで詳細申し上げません。もし御必要あれば、後ほど外務省もお見えになっておりますし、お話してもよろしゅうございますが、最近の問題でございますが、拿捕は三十年、三十一年ごろが一番よけいで百二十隻とか、百三十隻拿捕されたのでありますが、昨年あたりは六十隻足らず、今年になりまして今まで六十九隻といいますから、若干昨年よりは多くなっております。それで、たまたま当時ミコヤン副首相がこちらへ来ておりましたので、農林省としましては、農林大臣がミコヤン副首相にお会いになります際に、この問題を持ち出していただきまして、ちょうどコンブのお話しもございましたが、その直前にサンマ漁船が拿捕されたことがございましたので、そういう話しを農林大臣から副首相に頼みまして、拿捕されたものにつきましては早急に返してもらいたいというようなことを、これは口頭でございますが向こうに頼んだ、ということをされますと同時に、農林省といたしましては、外務省を通じまして、サンマ船の拿捕、今、先生の御質問になりました貝殻島付近のコンブ船の拿捕につきましては、これは外務省を通しまして厳重に抗議を申し込みますと同時に、早く一つ船も人員も返してもらいたいということを向こうに申し入れをしていただくという措置を実はいたしたわけでございます。そのほかにサンマ船等につきましては、特にあの辺の領海、ソ連は十二海里というようなことを言っております。これを内地の漁船があまり知らぬというようなこともございますので、サンマ船等には全部手配をして注意するようにというようなこともいたしているわけでございます。きょう実は外務省から御連結いただきまして、サンマ船につきましては四はいの船を四日の日に引き渡すからというようなことが連絡があったということを、きょう外務省から御連絡をいただいた次第であります。  根本的な解決の問題でございますが、この問題は、先生が、ただいま御指摘になりましたように、漁業だけの問題で問題が解決するという性質のものとも若干違う問題がございますので、漁業だけでこの問題を根本的に解決していくということは、努力はもちろんいたすわけでございますが、なかなか私は困難な問題があるであろうというふうに考えております。そういう情勢で、一体、これはあの辺の零細なコンブを取っている漁業者等につきまして、どういうふうなことを考えていったらいいかというふうなことは、もう少し検討する必要があるのではなかろうか、先般の国会では、北方地域の引揚者、またそこに入会をしていた人に対しましては、ある程度の援助をしよう。御承知のように十億の国債を運用しまして、その運用益で漁業転換をいたしますとか、あるいは生活資金を低利で貸すとかというようなことをやったらどうかということで、国会に法案を提出したわけでございますが、審議未了になっております。これは通常国会にはぜひ出しまして、対策の一助にはしたいというふうに考えておるわけでございますが、それよりも一歩進んだことを何か考えるかということにつきましては、まだ私どもも成案を持っておりませんが、これは検討していかなければならぬ問題だというふうに思っております。  それから拿捕された者に対しまする措置でございますが、これは御承知のように二十六年でしたか、漁船保険、特殊保険がございまして、拿捕を保険事項にしました保険がございます。それで北海道辺の漁業者の人々はほとんどこれには加入をしております。ほとんど全部があの辺で操業している人は加入をしておりますので、拿捕された場合には、船体についてはそういう保険がございます。  もう一つは乗組員の給与に対する保険の制度がございまして、これは給与の最低六〇%以上のものを保険にかけるという制度がございます。先ほど先生が例にあげられました二十三日の三十二人ばかりが拿捕になったのでございますが、そのうちで六人を除きまして、二十六人が給与保険にも実は加入をしております。給与保険に加入していない人に対しましては、御承知のように見舞金二万円というものを出すというような法律制度、あるいは閣議決定がありまして、それに基づきまして運用がされておるわけでございます。ただ、乗組員の保険の問題は、小漁船で、雇い主と乗組員というよりも、自分が経営者兼乗組員というような形でやっている人につきましては問題がありまして、その六人という人がそれに該当するのでございますが、こういう人について保険制度をどうするか、あるいは見舞金制度でいいかというような問題は、これは今後もう少し検討したいというふうに思っております。
  100. 東隆

    ○東隆君 今の、現行の形の例の見舞金の件は、これは法律が流れたものですから……。これは臨時国会にお出しになるかどうか、これも確かめておきたいと思います。  それからもう一つは、コンブをやっておる者は非常に零細な者なんであります。しかし向こうの者はコンブを必要としないというふうに聞いております。何かその間に妥協線ができるのじゃないか、こういうふうな点も一つ考えてもらいたい。それからそれ以外の者はやはり安全な操業のできる方面に私は移していくべきではないか、あそこがどちらかというと、世界における三大漁場の一つの場所であります。従ってあそこに根拠地を置いておった者が漁撈をやるところの権利を持っておったのでありますから、だから従って、そっちの方面にやはり大きく転業をさせていくとか、そういうようなことをやるのが、これが本筋じゃないかと思うんです、先に。そういうようなことで考慮をしていただきたいと思う。それで、今の点もしお答えができるなら……。
  101. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 見舞金のお話しがございましたが、見舞金は、現作これは閣議決定で実は実施いたしております。従来、日韓問題がございまして、李ラインでつかまった人に対しまして見舞金を出しておったものを、北方の方まで拡張するという閣議決定でやっております。ただ、先生のおっしゃいました法律の問題でございますが、これは十億というものを北方協会というものを作りまして、そこの財源にして、その運用益で生活費金なりあるいは他の転業資金なりの世話をするということは、これは、この前の国会で流れたのでございますが、私どもの現在の考えでは、ぜひ臨時国会に出しまして御審議を願いたいというふうに考えております。  それから、コンブ以外の漁業の転業の問題でございますが、転業ということを考えます場合に、一番考えやすいのは、私は、コンブ以外の人だろうと想像がつくところでございます。コンブ業者についてほかに転業といいましても、実はこれは現実の問題としてなかなか問題があるのじゃないか。そのほかの漁業者は、あとこの地域で現在の形で操業するか、それ以外の形の漁業を何か考えるかということを考えました場合には、コンブ以外の漁業者の方が比較的ほかの漁業にかわるにはかわりやすいのじゃないかというふうに考えます。それで、法律が通りますれば、あの基金を運用しまして、そういうほかの漁業にかわるものがあれば考えていくというようなことは、私は当然考えるべきじゃなかろうかというふうに考えております。  コンブにつきましては、これはなかなかうまい対策が、急にほかの漁業に転業しなさいとか、あるいはほかの全然別な職業を考えなさいといいましても、一番困難なことは、私はコンブをやっておる人じゃなかろうかというように思います。それで、これについてどうするかということが一番の問題だろうと思います。先生おっしゃいましたコンブだけでこの問題が何かソ連と話し合いがつくかどうかということは、相手が利用してないんだからというお話しでございますが、先ほど申し上げましたように、この問題は漁業だけの問題じゃございませんので、なかなかその点私はむずかしいんじゃないかというふうに考える次第でございます。
  102. 東隆

    ○東隆君 時間の関係もありますから、外務省の方にお聞きいたします。  基本的には、私はやはり日ソの平和条約を早く締結をしなければ問題にならぬと思うんです。それで、欧亜局長さんはソ連におられたのでありますし、ある程度見通しというと語弊がありますけれども、こうやったら先が開かれるんじゃないか、こういうようなお考えもお持ちじゃないかと、こういうように考えますので、この問題を契機にして、私は何としても北方漁業の安全操業、これを何とか解決をする道を開きたいと、こういう考えを持つものでありますから、その点についてお考えをお聞きいたしたいわけであります。
  103. 法眼晋作

    説明員(法眼晋作君) 御指摘の問題は、われわれの最大の関心事でございまして、過去においてしばしば、現在もやってきた問題であります。しかし、率直に申し上げて、われわれ平和条約を締結するということは、いろいろ困難なことだろうと思います。これは、過般の総理大臣のフルシチョフあて書簡の中においても見えておるのでありますが、日本の固有の領土というものを先方が占拠してこれを返すという徴候が見えない。これは過去においてしばしばソ連側と議論を上下したところでございますが、がんとして返そうとしないということが変わってくるという徴候がなかなかないのでございます。でありまするから、平和条約を締結することによってこの問題を抜本塞源的に解決するということの見通しは、私は非常に困難だろうと思います。しからば、その問題が不可能であれば、安全操業ということを先方に承認させて解決できるか、こう申しますると、この問題もソ連側では安全操業という問題をも平和条約において自己に有利なる方向に解決さすためにこれを用いておるというふうにわれわれは見るのでございます。と申しまするのは、安全操業問題についても平和条約を作るということが先決問題である、こういうことを申すのであります。これは過去においてしばしば交渉したところでありますけれども、また、本年の一月もイシコフ漁業部長がやって来てそのときの話しもあったのでございますけれども、終始一貫して平和条約を作らなければ解決できない、こういうことを申し続けるのでございます。歯舞、色丹にいたしましては、これは平和条約ができれば返すということを、これは共同宣言において明言しておるのでございますけれども、やはり平和条約を作るということが条件になっておる。さようなわけでありまするので、非常に残念でございます。われわれはこれを最も大きい関心を持って、何とか打開したいということを日夜考えておるのでございますけれども、残念ながら先方はそういう態度を変えないということが事実であります。見通しを申せと仰せられても、その点はなかなかこれは困難であるというふうにしか申せないのでございます。さように御了承願いたいと思います。
  104. 東隆

    ○東隆君 私は、今の日本の対米、対ソの外交のやり方からすると、なかなか平和条約を結ぶことはこれは困難なことであります、情勢はですね。そこで、向こうから要請してきておる電報の中にも、国際連合に提訴したらどうか、あるいは国際司法裁判所に提訴したらどうか、こういう問題を具体的に書いてきておるわけです。この件はどういうふうになりますか。
  105. 法眼晋作

    説明員(法眼晋作君) 第二の問題の国際司法裁判所に提訴するという問題につきましては、かりに日本がそう決意をするといたしましても、相手が合意しなければならぬわけでございます。しかるに、過去においてしばしばソ連側は物事を国際司法裁判所で解決するということに反対する態度を示しております。でありまするから、かりに日本がさようにしたいということをきめたと仮定いたしましても、これはなかなか相手が同意しなければ問題にならぬわけでございます。  第一の問題は、私は、ソ連はこういう問題を国際連合で議論をすることは好まぬということは、これはもう火を見るよりも明らかだと思います。と申しまするのは、領土問題に関する限り、議論は法律的にも事実的にも日本の議論が勝っているわけでございます。議論が勝っておるのですけれども、先方は占拠して離さない。でありまするから、この問題がそういった公衆討議という場に参りまするというと、これはソ連側が不利であることは言うまでもないのでありますから、これは応じてこない。しかも先方が応じなくても出すことはできますけれども、先方はこれをボイコットするということは火を見るよりも明らかであります。でありまするから、やっぱりこれは日ソ両国間の問題としてあくまでも解決するということになっていくのが筋であろう、こう現在のところは考えているわけでございます。
  106. 東隆

    ○東隆君 今のお話しを伺って参りますると、相手方が適当なときには拿捕する、こういうようなことが今後もずっと続いていく、そうしてそれに対して些少の見舞金を出したりあるいは保険の補償を受けたり、そういうことでもってこれはずっと続いていくのでありますが、しかし、ソ連の言い分というものがあるはずなんです。だから、ソ連の言い分をある程度こちらの方が受け入れるだけの条件というものをこしらえていくよりほかに方法はないと思うんですが、ソ連の言い分というのはいろいろあると思いますけれども、しかし、たとえば歯舞、色丹を返せばそこがすぐアメリカの残地になるのじゃないか、こんなようなことをよく言っておりますが、そういうようなことは今の安保条約その他の体制からいけば、アメリカの方は要求するおそれもありましょうし、いろいろな問題があろうと思う。そういうような点、それから沖繩の返還と歯舞、色丹の返還の問題、これは非常に相対的な形になっておるのじゃないか、こう思うのですが、こういう点はどういうふうにお考えですか。
  107. 法眼晋作

    説明員(法眼晋作君) ただいまの問題でございまするが、ソ連側の言い分がある、その言い分を大いに認めて聞いていけば何とかなるんじゃなかろうかというふうな御意見と拝察するのであります。しかしながら、この問題についてのソ連の言い分というものは、はたしていかなる点で聞き得るかということを考えてみますと、先方の言い分というものは、日本政府としてはこれはとうてい取り上げ得ないものであることは、これは従来の経過から見て明白でございます。でありますから、ソ連の言い分を聞くということが現在できるかどうかということを、ソ連の言い分の個々について検討して参りますと、これはほとんど聞けないということがこれまた明白でございます。つまり日本のとっておる外交政策の改変ということを終局においては求めておるわけでございます。でございまするから、これを聞くということは私は現状においては不可能である、こういうふうに思うのであります。でありますから、たとえば今の歯舞、色丹の問題につきましても、これは平和条約ができれば明白に返すということを共同宣言でおごそかに宣言しておるわけでございますけれども、ソ側は最近は安保条約にひっかけてこれを返さぬ。その言い分というものは、これは厳格な意味では共同宣言違反でございます。何となれば、共同宣言ができたときに安保条約が存在しているからであります。しかも共同宣言自身の中に、国際連合憲章五十一条というものが集団的個別的自衛権というものを認めているということをお互いに約束している。その自衛権がすなわち安保条約になるわけであります。でありますから、法律的に見る限りにおいては、先方の主張は横車である。いかにして聞くことが可能であるかということをわれわれは考えるわけでありますけれども、非常に残念でございます、遺憾でございますけれども、先方はその態度をとり続けておるということは事実でありますから、非常に本件は困難であるというふうに私は考えるわけであります。
  108. 東隆

    ○東隆君 外務省の方はまさにこれはお手上げの形でありますから、私は水産庁の方でやはりこの犠牲者に対して相当な補償を考えていく必要があろうと、こういうふうに考えますので、一つこれに対しては南方の方は非常にどちらかというと考えられておるわけであります、いろいろな関係について。北方の方は、実のところ申しますと、樺太初め千島その他について私は非常に力の入れ方が少ないんじゃないか、日本国民に対する……。非常に大きな犠牲を受けておるのですから、それに対する国が相当な力を注ぐことによって、そうして転業もすることができるし、ベストということはできないだろうけれども、もっとベターな形のものができると思う。そういう点について、一つ急速に考えをまとめて、そうして施策をやっていただきたいと、こう思います。これは要請をいたします。これで私の質問を終わります。
  109. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度にいたします。   —————————————
  110. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 次に、農林水産関係災害に関する件を議題といたします。  過般の梅雨前線豪雨、その他北海道及び新潟県等の集中豪雨、また九州地方の早魃並びに北美濃地震等による農林水産関係の被害の状況及びその対策について、まず農林省当局から説明を求めます。
  111. 中野文門

    説明員(中野文門君) ただいま議題になりました本年の五月以降の風水害の被害状況並びにこれに対する対策につきまして、私から御説明申し上げたいと思います。  本年は、五月から風水害が発生いたしまして、六月には長野県を中心にした梅雨前線の活動による集中豪雨の発生があり、次いで八月中旬までに北海道、新潟その他各地に同様の災害が発生いたしました。これらの被害概況につきましては、八月上旬までのものを申し上げますと、農地、林野等の施設関係被害では、各道県からの報告によりますと、四百五十八億円に達し、うち最も被害の大きかったのは農地関係二百六十二億円、次いで林野関係百五十二億円と相なっております。施設被害の中には、国有林、愛知用水等の二十七億円の被害が含まれております。農林水産物関係では、農作物の被害は、統計調査部の調査によりますと、約二百二十三億円と相なり、その他の農林水産物の被害は、各道県からの報告によれば五十三億円となっております。以上述べましたのは、五月から八月までの風水害によるものであります。  このうち特に被害の激しかったのは、六月に発生いたしました梅雨前線豪雨水害で、総額五百十億円と相なり、全体の七〇%をこえる被害となっております。なお、この中で最も被害の大きかったのは長野県でありまして、約百十三億円——これは農作物を除いたものでごさいますが——の多きに上っております。これらの詳細につきましては、お手元にお配りいたしました農林省の資料によられたいと存じます。以上が被害の概況であります。  次に、その対策について申し上げますと、被害発生以来、従来の例にならい、緊急事項についてはすでにそれぞれ措置して参りました。今回の災害には、その重要性にかんがみ、伊勢湾台風にとられた対策に準ずる方針をもって措置いたす所存でありますが、一昨日の衆議院災害対策協議会において、五月ないし八月の風水害に対し、農林水産関係については天災融資法による融資限度額の引き上げ、農林水産業施設災害復旧事業費の国庫補助に関する暫定法中、農地農業用施設等の補助率の引き上げ、さらに農地小災害に対する特別措置、湛水堆積土砂の排除等について特別立法措置を行なうよう決議がありましたので、これを尊重して今後の対策をすみやかに進めて参る所存でございます。  以上、今次災害における被害概況と、これらについての対策の概況を申し上げた次第でございます。
  112. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまの説明に対し、御質疑のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
  113. 清澤俊英

    清澤俊英君 建設省見えているのですか……。お伺いしますが、大体水防関係ですね、水防関係の資材の、使用資材に対する処置は、この衆議院の災害対策委員会で今配付せられた資料の中で三分の二大体支給する、こういうことになっているのでありますが、私の一つお伺いしたいことは、この適用は建設省関係の河川に限られでいるのだと思いますが、その点はどうなんですか。
  114. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまのお尋ねになりました点は、水防資材に対するこのたびの特例措置として考えられております措置がどの範囲まで及ぶかというお尋ねでございますが、この特例措置は、新たに法律ができまして、それに基づいて政令で水防資材の対象等を、伊勢湾の災害の際にとられました措置とほぼ同様な措置考えられると思いますが、こういう措置がとられましてから内容的には決定するわけでございますが、ただいまのところ、ほぼ私どもは従前のように考えておるわけでございまして、こういう点をもととしてお答えいたしますが、その考え方によりますと、水防資材は、ただいま御指摘になりましたような建設省関係の河川というわけではございませんので、水防資材としてこの考えられております対象に入ります限り、すべて適用になるわけでございます。しかし、中身については政令によって限定がございます。
  115. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、三十二年災などの際に新潟県の福島潟、鎧潟等が隘水しました。その際、あの広い湖面の大部分を二重くらいに俵を積みまして、福島潟だけで二千五百万円といわれている、だがしかし、その大部分をよく見ますと、それから出ている相当数の用排水がある、潟から通じている、潟へ入る排水路がある、潟から出る用水路がある、こういう用水路の隘水を防止するためにたくさん使ってある、これは大体河川法にいう水防対象にならない、当時そういうような解釈を受けておったのですが、今のお話しだと、そういう農林関係の用排水路等に使いましたものでも全部含まれるかどうか、いま一度これをはっきりしていただきたい。
  116. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 先ほど私が申し上げましたのは、建設省関係の河川といいますか、適用河川とかあるいは直轄河川、公共団体の管理するような河川もございますが、そういうすべての河川関係についてのことについて必ずしも適用河川、あるいは直轄河川のみではなくて、すべての治水を主として水防体制というのができておりますが、そういうものに対する水防資器材、こういうものは全部入るということに考えておるわけでございますが、ただいま御指摘の用排水その他のものに対する水防、これは私ども実際の状況よくわかりませんが、治水事業に関連をする水防ということになりますれば、その点は入るかと思いますが、用排水事業そのもののための水防と申しますか、そういうものの構造作業ということになりますと、それは入りかねるかと考えておるわけでございます。
  117. 清澤俊英

    清澤俊英君 私のお伺いしたいのは、その点を明らかにして……。それから、それではあなたの方の関係の河川に対する水防関係の資材ですがね、これは特例にしておく、特例によって処理するのはどうも少し間違い——間違いというよりは完全な使命を果たすことができないのじゃないかと、こう思われるのですがね。元来から見ますれば、水防法からいえばその河川について水防組合ですか、そういうものを作るなり、水防に要する資材等を貯蔵した場合に幾らかの補助ができる、そして実際水害に当面して使った資材というものは、今までのところ、これはもらえるかもらえないか一つの行政処置で取り扱われている、こういう形になっているのですが、だからこれははなはだしい例ですが、今度もあったのですよ、ある小さい貧弱な町村におきまして、どうも資材をここへかけてみてももらえるかもらえぬかわからないからというので、かけないでしまって、ついに破壊さしてしまった所があるのです。こういう危険性がある、だから実際問題として入り用のかかったものは、見ればわかるのですから、わかるから当然不当なものをかけるわけはないと思いますので、従って、水防法を改正して、そしてかかったものは全部くれると、これくらいのことは一つ考えてもいいのではないかと思うのです。ことに私はこのたびの水害で非常に経験しましたことは、梅雨前線の際、私は長岡ですが、長岡地区の信濃川の市街地先の堤防が決壊をする、これは要しますれば、自衛隊という一つの別な力がありましたからこれは防ぎ得たと思います。それからあなた方ももう御存じかと思いますが、例の問題の白根地区の水防の成功、これらのものもやはり自衛隊があったから防げた、大体今までわれわれが経験しているところによりますと、ある限度にいきまして、そして限度にきて、これはもうとうてい持ち得ないと、こうなるのです。もうわれわれの力ではこれは防ぎ得ない、こういうことになりますと、これはいろいろ水防美談等のことで、自分の家が流れてもなおかつ最後まで水防に従事したといって美談になっているのです。従いまして、大体の傾向は、もうこれはだめだということになりますれば、その災害地におる住民が多いので、大ていの人は逃げて行ってしまう、逃げて行くという問題はどうもおかしいですけれども、自分の方の防備が重要でありますから、何とかそこに格好をつけられる、なかなか完全な防ぎ得るものが防がれない、こういう関係ができてくると思います。だから私はいろいろ白根の問題等は大岡裁きとか何とか言われて、一応片がついたような形になっておりますけれども、ああいうようなものを見ますとき、もっと水防というものに対して災害のない前に完全にそれが防備できるような体制をとられることが一番いいのではないか、切れてしまったあとで何億円の損害と言っても、何百億の損害が起きたと、こう言ってみましても、これはあとの祭りだと思うのです。そういう重大な水防に対して、今の規定では、あなた方よく御存じの通り、常に常備したる水防資材に対して何割かの補助をしてくれる、これだけなんです。それから使ったものが、はたしてもらえるかもらえないか、まず第一にわからぬ。第二番目に、それに従事した者に対してもっと……、そういうことに従事して、不幸抵抗することができないで破堤した、そういう災害が起きた場合に、その従事者に対するある程度のものの補償が行なわれて初めて私は完備するのじゃないかと思う。最近におきましては自衛隊等の出動がありますから、それらの点はよく考えて、そうして国の法律で自衛隊の出動ならば出動をもっと簡易化するというのですか、合理的なものにしたらいいのじゃないかと思う。そういうふうにしますならば、相ともに切らぬでいいものは切らぬで済む、こういう結果が出るのですが、そういう点に対してどうお考えになるのか。私は建設省が進んで水防法を改正して、そうして水防の実態に沿うような法律をお作りになることが一番いいのじゃないかと思いますが、その御意見をお伺いしておきたい。
  118. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいま災害を未然に防ぐためにもう少し水防体制を整えたらどうか、また従来の制度では非常に水防体制が不十分であるというような御指摘がございましたのですが、これに対する建設省の考え方を申し上げます前に、今度の災害におきます状況とその後の応急的な対策状況を申し上げますが、ただいまもお話しがございましたように、本年の六月以降に発生しました災害に際しましては、水防団初め水防関係者及び先ほどもお話しございましたように警察あるいは自衛隊等、各方面の協力によりまして、災害を未然に防止するための水防活動が非常に活発に行なわれたことは事実でございまして、その成果も非常に上がっておるわけでございます。私どもはそういう面からも水防の重要性ということは、今度の災害におきましても痛切に感じておるわけでございます。それで建設省といたしましては、今次の災害に対しまして集中豪雨以降台風期を控えておるわけでございまして、今年度の出水対策というととが当面の問題でございますが、そのためにやはり水防体制を十分に整えなければならないということが当面の問題でございまして、まず第一には、従来各水防管理団体等で使用いたしました水防資器材を調査いたしまして、これにつきまして前に使ったものを全部充足をするという措置をとり、これに対する必要な国の援助等もいたすというようなことで、これはすでに処置済みでございます。それから第二番目に、水防管理団体——市町村などの管理団体だけでは水防資材も不十分であるという点もございますので、このたびの災害の経験にかんがみまして、都道府県に予備的な備蓄資材を備えてもらうというようなことを考えまして、これにつきましては大蔵当局とも話し合いがつきまして、都道府県にもそれに対する備蓄資材を備えてもらう、これに対する国家の補助も考える、こういうようなことで今年度の台風期に対する応急対策ということは考えているわけでございます。なお、水防活動その他についての十分なる体制を整えるというような一般的な問題もございますが、予算的にはそういうふうな措置をとっているわけでございます。  それから最後に、先ほど御指摘がございました水防——現在の水防の体制といいますか、水防に対する制度が不十分なところがあるのではないかという御指摘でございますが、この点、水防活動も非常に広範でございまして、水防のためのいわゆる河川における溢水を防ぐという水防活動のほかに、無線機その他の通信観測施設、こういうものを備えて、洪水の際の臨機な適切な措置をとるための資器材の整備という点もございますし、それから水防倉庫を作るという施設の面もございます。それから資器材をいろいろと準備するという、いろいろと水防資材についても整備をしなければならぬという面が各方面にあるわけでございます。それからまた、御指摘の水防活動に対する措置、こういう点がいろいろあるわけでございますが、こういう点につきまして現在の制度では十分補えない点としてこのたび特にそのうちの水防資材については三分の二の補助をしたらどうかという特例法が考えられておるということは先ほど申し上げた通りでございますが、なおそのほかの点につきましても建設省といたしましては、災害基本法等におきます考え方等もございまして、いろいろな制度的な問題につきましては、内部におきまして現在の予算措置のほかに、現在の水切体制が十分であるかどうか、特に第一線の市町村が水防の第一義的な責任者になっておりますが、そういう体制だけでいいかどうかという点も根本的に検討しておるという状況でございます。
  119. 清澤俊英

    清澤俊英君 私の申し上げておることは、そういうこまかしいことはまた別として、使った資材の問題で三分の二なんというのはおかしいじゃないか、こういうことなんです、一口に言えば。全部出してやったらどうか、これくらいの考えがいいのじゃないか、こういうことを言っているのですが、と申しますことは、信濃川のような大きな川を持っております所で、一つ間違い——破堤の危険性にさらされますときは、これはなまやさしいものじゃないのです、金が。あなたの方はよくわかるでしょうが、おそらくあすこにかけたのは百万や二百万使っているのじゃないかと思う。私はしろうとだからどのくらいかかっているということはわかりませんが、大へんなものがかかっていると思う。こういうものを貧弱な町村で集めて持ってこいといったって無理なんです。だがしかし、あとで国がくれるということになりますれば、また別だろうと思う。それが三分の一ぐらいだ、こういうことになりますれば、あと三分の一の幾らかは特別交付税からお願いするようになって同じことじゃないか。どうせそれは持ち切れないで、そこに穴があくのですから、貧弱町村等では。そういうことを考えますと、一つ起きた際に、いろいろめんどうして三分の二くれる、あとはこういうめんどうを交付税でするというようなことをしないで、初めから全部かかったものはやるのだ、使っているのですから、使ったものはちゃんと……。県の土木出張所ぐらいのところから責任者も行って指揮すれば、新潟の場合のごときは、長岡の信濃川事務所の所長が付きっ切りで徹夜で付いてやっているのですから、余分なものを使ったか使わないかはすぐわかると思うのですよ。そういう人が付いて誘導をして、ああいう方法で、こういう方法で使ったものが三分の二というのはおかしいじゃないか。なぜに初めから全部くれるのだ、だから一生懸命やりなさい、切れぬようにやりなさい、こういう方法が考えられないか、こういうことを私は言っているのです。
  120. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 水防資材に対する三分の二というのは少な過ぎるので、全額国が負担したらどうかというお話しでございますが、先ほど申し上げましたように水防活動といいますか、水防資器材というのは、広い範囲において行なわれるわけでございまして、そのうちに無線機、通信施設その他については、直轄河川のような大きな河川については全額国が負担して、水防資器材の整備に当たっておるわけであります。その他水防のための資材というものはいろいろあるわけでございますが、これについて、現在の水防法では、都道府県が水防の管理団体に補助をするような建前になっておりまして、その補助をしたものに対して国がまたさらに援助を与えるという仕組みになっておるわけでございます。従いまして、そういう全般的な水防の資器材をどういう負担関係にするか、また、市町村とか都道府県、国の責任区分をどういうふうにするか、いろいろの点を考えませんと、水防資材だけを全額ということはなかなかむずかしいんではないかと思いますが、しかし、私どもは先ほど申し上げました通り、現在の制度だけで十分かどうかという点は、根本的には検討いたしておるわけでございまして、まあ当面の災害に対しましては、まず、現在三分の一の負担になっておる国の制度、これを補助率を三分の二にするということで、当面の災害の対策としては考えておりますような状況でございます。
  121. 清澤俊英

    清澤俊英君 ここで同じことを言うようですから、この問題はとりやめますが、大体、信濃川が切れたとします。被災地域は長岡地区だけじゃないんです。少なくとも三条ぐらいの地区までは被災地区となって及ぼしていきます。それから他町村に及ぶ、こういうことなんですが、それを防ぐんですから、一つの町村だけが、その当面したる町村だけが三分の一というものを残されることは、これ一つで私は不合理だと思うんだ。今度の中小河川ですね。見附市です。見附市の六本木という所が切れました。これはとうとう破堤しちまった。破堤したものはどこへ行ったかというと、三条市のそばの坂井村という所へ行って湛水して、一番の被害は坂井村があっている。約七日から十日間ぐらいの湛水です。切れた所よりは、かえって別な所がひどい目にあう、こういうような非常な大きな関係を持つと思うのです。それが幸いにして防備することができたとしたならば、見附は三分の一の町村負担をしなけりゃならぬ。県もいろいろありましょうが、そういうこまかいことは私は言いません。現在の水防の資材に対する補助の仕方から見れば、表からいえばそういう形で残る。助かるものは坂井村だ、こういうことになる。そこに非常な不合理もありますから、従いまして、関係するものはもうこまかく言いましたら非常な大きな関係を持ってくると思います。そういう点から考えたならば、水防資材等の使ったものはわからぬことじゃないんだから、そこにちやんと積んであるんだから、だからごまかされることのない品物でありますので、全部をこれを国なり県なりが補助するというような形をとってもらいたいと、これは私の意見ですが、ということをお願いして、この質問は打ち切ります。  次に、幸い、河川の水防に対する基本法というのですか、そういうものをお考えになっておられるというので、それで私は先般も、梅雨前線の際に、山内局長にちょっと質問かたがた、自分の意見を吐いておったんでありますが、それは、最近、上流にダムができる。ダムができまして、年のうち約三分の二くらいが渇水している。たまたまの降雨期等に土砂が流れてくるとすぐ——これはまあ夕立ぐらいの雨で流れてくる。それが付近にたまるんですね。たまって、そして長い間の天候に続かれるので、固定してしまう。そこへ州がいろいろな形ででき上がる。そういう州ができることによって水勢が変わって、そして、次から次と破堤の原因を作っている。土地の者は、ああいうところに州ができたから今度はあぶないとちゃんと知っている。これはしばしば問題になって、建設省に県会議員等が県の土木部を通して意見を言うている。常にそういうものを排除してはどうか、こういう意見を言うておりますが、いまだかつて常時流水を整理するという問題は一ぺんも片づけておられない。これは一つの災害があって何千万円の損害が生てくる、何億という損害が出てくる。その百分の一、千分の一のわずかの金を出しまして、常時、町村単位でよろしいが、ある地域を定めて、県が統括したる流水整理、河状整理、そういう名前はどうでもいいのですが、そういうものを作って、たまった土砂等を常に流して整理をする。こういうものを行ないますならば、非常に私は不時の破堤等を防止することができるのではないかと、こう思います。それについてただ単に自分の思いつきでなく、われわれが記憶しますところでは、この鉄道のまだ架設されない信濃川を利用しまして、長岡から約十六里、南魚沼郡の六日町、中魚沼郡の十日町、こういう所に米を約二百五十くらい積める船を数十人の人間が引っ張って来る。だれからも金はもらわない。どこからも補助金をもらわないで、自分で営業を助けるために常に川を船頭さんは掘って、そして船を通えるようにして置く。常時そうしますと、そこにたまりました小砂利等がしょっちゅう下流に流れてくる。さらさらと流れてくる。従いまして水の通りは非常によろしい。だからそういう時代の方がかえって中魚沼あるいは南魚沼の人たちの話しを聞きますと、その当時の方がかえって破堤等がなかった、こういうことを言っております。こういうことを考えますと、常に河川内にでき上がります自然的な障害物、これは多くの場合、今申し上げました通り最近のダム等によって、ある場合によっては人造的といわれるかもしれません。そういうものができ上がって、そして非常に国も損をすると同時に沿岸住民も一つの恐怖にさらされる。だからこれくらいの、私は河状整理が常に行なわれる組織をお考えになることができないだろうか、こう思う。先般来山内さんはこの際予算がないからと言われた。私は山内さんがそう言いましたので、予算なんというのはおかしいじゃないか、天から降るものでもなく、地からわくものでもない。こうことがいいとなれば、予算はいつからでもつけられるだろう、そういう一つの組織も持ち得るだろうと思う。災害の何千分の一、何万分の一、これを出したならば、これはしょっちゅうできる。こういうことを考えなければならぬということを申し上げておきましたが、これは一つ十分考えて、基本法を作られるならば、その際に十分考えていただきたいし、われわれとしましても、もっと今あなたがおっしゃった気象の問題とかあるいは堤塘等の老朽化等によって常に危険性を感じているような問題、いろいろそういうものを総合した一つの河状整理というようなものの単独立法等を考えなければならぬ時期と、こうわれわれは考えているわけでありますが、次長さんとしてそれがどうというようなことはちょっと言いかねるかもしれませんが、できますならばそういうことも考えていただきたい、こう思いますが、御意見どうですか。
  122. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいま河川にいろいろな原因によって土砂がたまったり、あるいは州ができて非常に河状が整ってない、そのために洪水その他の原因になっておるんじゃないか、これを早く排除したらどうかというようなお話しでございますが、今度の災害におきまして、特に長野県下その他におきます河川におきましては上流部における土砂が相当に河川に流れ込んだりいろいろなことによって今度の洪水時の大きな事故を発生している原因になっていることは、先生承知通りでございます。また御指摘のようないろいろな川につきまして河状がいろいろな点で水の流れを阻止するようなことになっておるという御指摘がございました。そういうような川もあるわけでございますが、建設省といたしましては、今度の災害の経験に徴しまして、河状の掘さくや土砂の排除ということにつきましては、どちらかといいますと消極的に従来やったわけでございますが、今後十カ年計画におきましては、まずこの原因となる砂防事業、こういうことにも十分に力を入れる、特に緊急砂防事業等を実施いたしまして、との根源となる対策をさらに力を入れてやる、また川の掘さく等につきましても、今まで以上に力を入れてやったらどうかというようなことで、従来の河川の治水の根本的な対策につきましても再検討を加えまして、結果的にはこれは予算の問題にかかるわけでございますが、そういう点もそういう事情から、私どもといたしましてはいろいろな点から、河川改修が進みますように十カ年計画の繰り上げ施行ということで、そういう点の対策考えて参りたいというように考えておるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほどのお話しもございましたように十分その点も考慮して、いろんな点の対策を進めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  123. 清澤俊英

    清澤俊英君 今度農林省のどなたか、官房長官、おられるのか、今の問題で。というのは、今もあなたがお聞きの通り、最近は非常に七里とか十里ぐらいの用水路ができましたね。川幅も十間もしくは十五間ぐらいのものもあります。そういうようなものがあるんだから、これが用排水でいっているんです。そういうものがあばれ出して隘水するのです。というようなものに対しては何ら今水防の方法がとられておらない、これに対してそういう溢水等を見た場合に資材を使ってやった場合には農林省としてはとうお考えになるのか、私は当然建設省が考えていると同じ方向で考えていただくことがほんとうじゃないかと思っております。このたびの長岡における市内の浸水のおもなるものは、私はやはり福島潟あるいは新大江等の破堤、隘水だろうと、こう思います。それが相当の大きな力で市内に流れ込んだんじゃないか、何せ福島潟のごときは一尺ぐらいの溢水をやってどんどんと流れてきているんですから、こういう場合だれも手はつけない、何とかする考えはないか、これが一つ。  それからその次は、大体私よりはあなた方の方がよう考えられるんですが、こういう完備したる用排水はあとから出てきたのです。その前には各地区でいろんな用水路を利用して、村ごとに用水関係の組合を持って、そして水路を持っておった。それらが統合せられて、そこで一つの何里という用水路の中には、大体用水と排水と両方加わっている。そこで用水の場合が大体中心で、いろいろの工作物が作られているのです。そうしますと、大体川の幅が十間あるとするのだ、十間ある川に対して用水が六つなら六つあると、こうしますのです。そこに用水の施設を作りまして、そうして閘門というのですか、わしら閘門と言っておりますが、こういうものをつけてとびらを上げ下げする、これは非常に不完全である。同時に足がつく、十間の場合としますと大体五尺か四尺のとびらがつくのだろうと思う。四尺なり五尺の足が九枚つくわけです。約半分水路を押えていくのです、水路を抑えていきます。排水というときになりますと、これは用を足さないことになる、こういうものが四つも五つも長い間につけられる、こうなりますと実際上流において湛水した場合においては、これはもう排水の価値を失ってしまう、こういう問題が出てきております。だからいろいろ話し合いをしまして、そうしてその用水をしないで済むような水や、他の方法でその用水路の下をくぐらして、その用水——閘門を使う地区に水を送っているのです。そうしてその用水路をこわす約束でやっても、今のような様子ならそれはこわしはしない、なかなかこわさない、これは別な昔からの習慣による一つの水防用水組合の施設でありますけれども、管理しておる者が、習慣によって別な者が管理しておるからこわさせない、こういうはなはだしい例さえ残っているのです。だから私はとこまで来ました用排水路に対しては、一つ統一できる何かの法律を作って統一していかなければならぬ、そういう両用を兼備した形でなければうまくいかないのじゃ、ないかと思う。これは実例として一つの川を指摘しまするならば、われわれのところに猿橋川という川があります。これは長さは約昔は二里半ぐらいのものだった、ところがそれを約一キロ半くらい、六キロぐらい下へ下げて、そうして信濃川の分水まで下げている、そういう川がある、そういう用排水路がありますが、そこにつけられたせきというものは二つあります。閘門は二つあります。第一番のせきは長呂というところにある、これでまず一つつっかえてしまう。第二番目は真野代というところに、最後のところにある。今度の水害で私はその長呂までは行って見ることはできませんでしたが、真野代までは行くことができた。もう時期がおくれてせきを上げることができないで、一枚はとうとう水圧のために上げることはできないで死んでおります。それから十分上げることはできないから、いろいろな障害物がかかって、そうして水差は約二尺五寸ぐらいある、われわれの目で見たところで二尺五寸、これじゃ何ら用をなさないと思うのです。こういうものに対して私は総合的な用排水の管理の法律を作って、そうして不当な問題を解決すると同時に、用水敷などを作る場合には、これは一つ排水というものがある限りにおいては、やはり排水路を考えて、そこだけ広くするなり、何するなり考えなかったら、さあというときの排水というものは全然問題にならないと思うのです。こういう点に対してどうお考えになっているのか。何か新聞などを見ますと、衆議院において新しく立法せられる中に排水という問題がある。いろいろ石田君などに聞きますと、まあ君の言うようなことも加味して、今農地法で、土地改良法の中に入れていくか、特別立法でいくか、いろいろ研究しているなんという話しは聞きますが、農林省としてはこれに対してどうお考えになるか。私はもうその時期にきていると思うのです。ほとんど不統一の中に行なわれておる。上流はいまだ一反千六百円も取って猿橋川用水組合がこれを管理しておる。その長呂のせきから下は中小河川になっておる。こういう状態ですから、その長呂の下が、行ってみましても、上流では十五間くらいの川になっておる。長呂の下に参りますと、三間くらいになっておる。それから一キロくらい下りますと六十間くらいになっておる。こんなばかげたものを作ってやってみたところでこれは問題にならないと思うのです。こういう点についての御意見をお伺いしたいと思います。
  124. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 専門的な事柄につきましては後ほど農地局の堀参事官から補足してお答えいたしたいと思います。ただいま御指摘の幾つかの事例に徴してのお話しは、私ども制度的に考えますと、でき上がりました灌排水施設、用排水施設の維持管理の問題のように承ったのであります。従来の小規模の施設でありました当時と違いまして、最近のように建設技術の進んで参りました今日でございますから、おのずからその灌排水施設についての平常心の維持管理方法、あるいは維持管理体制といったような問題についても、それにふさわしい体制を至急に検討しなければならぬというふうに私ども常々考えております。先ほどお話しにありましたように、土地改良法の中でそういうことを補う、あるいは別途さらに考えるか、それぞれ国営、あるいは県営、団体官等、現在はでき上がりました場合には、主として結局は土地改良区が維持管理する建前になっておるように承知しております。だんだん施設が大きくなりますれば、維持管理主体というもののあり方を十分検討いたしまして、それにふさわしい体制が整わないというのが御指摘の要点であろうかと思います。私どもその線で早急に検討いたしたいと思います。
  125. 堀直治

    説明員(堀直治君) 井せき等の施設が、今般の災害の一つの大きなじゃまになっておる原因になっておるという御指摘と思いますが、井堰の古い形式のものにつきましては、確かに一部流水を阻害いたしまして、そこにごみが引っかかり、その他の障害物が引っかかりまして、上流の洪水を高める。あるいはまた樋門の操作が不完全なために洪水時に樋門が十分に開き切れずに流水を阻害しておるということがたまたまあるわけでございます。こういうものにつきましては極力指導いたしまして、新しい形の施設に改善するように努めておるわけでございますけれども、地元の負担も伴うことでございますので、土地改良区の、あるいはその他そういう維持管理をしている団体の協力がないとなかなかそういう改善が早急に行なわれないというのが実測でございます。ただいまやっております土地改良法その他の手続によりまして改善をいたして参りますときには、用水、排水をかれるような場合には、必ず排水を基本にいたしまして、とびらの開閉あるいはとびらの大きさその他を検討いたしておるわけでございまして、新しくできたものについては、ただいまの御指摘のようなことがないわけでございますけれども、従来からのものについては、そういう問題はございます。またもう一つ、地元の負担だけでございませんで、水門の数を増すとか縮めるとかいう場合には、必ず旧来の水利慣行というものと抵触してくるわけでございまして、これも地元の各位の同意が得られませんというと、なかなか県その他が指導するような通りの水門に改修することが困難だということもあるわけでございます。しかし御指摘のように、こういうことが大災害の原因にもなるわけでございますから、私の方といたしましては、極力こういう問題を解決するように今後進めていきたいというふうに考えております。
  126. 清澤俊英

    清澤俊英君 堀さんの言われるのはわかります。わかるし、そういうめんどうもあることはわかる。それだから何か強力な法律で統制をとっていったらどうか。こういうことなんです、私の言うのは。と同時に、今申しました通り、同じ用排水施設の中で、猿橋川は、長呂の下は中河川になっている。それがずっと狭まっている。こういう場合は、まあ河川法によってこれを広げてもらうということも考えられると思うのだが、そういうことを幾ら言ってもやろうとしていないのです。だからこれは結局何かの法律で統制して、そしてがんこな農民感情というのですか、を緩和しなかったら、これはうまくものがいかないのじゃないかと思うのですが、そういうことが考えられぬかどうか。こういうことを聞いている。
  127. 堀直治

    説明員(堀直治君) 今度の災害にかんがみまして、特に災害防除という点を強調した事業を起こして、今も言われるような仕事を解決していきたいというふうに考えております。
  128. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 実は私たち委員長と棚橋委員と今度二十一日から長野県の上伊那地方と下伊那地方、この両地方を見て回ったのですが、大体被災地における市町村を代表する人たちの声というものはたくさんありましたが、その中で集約しますというと、小災害復旧事業についての特例法を設けていただきたい。というのは、現在の市町村の財政がきわめて逼迫しておるので、単独でこれを従来通りのいわゆる起債あるいは補助で行なう場合においては、非常に大へんなことになるので、何とかこれを国庫負担を大幅にしていただきたい。こういう要請がありました。  それからもう一つといたしましては、災害地における被害者の集団移住の問題でございます。これにつきましては、たとえば土地は民有地が取得されても、それをこれから造成していくところの経費というものがほとんど被災者でありますから、持ち合わせがない。そういうような立場からいたしまして、一つ総合的に、これらの問題を関係者、特に建設省あるいは農林省等において十分に対処していくところの特例法案を作っていただきたい。こういう声がございました。  それからもう一つの問題といたしましては、現在第三次査定まで終わっておりますけれども、当時ちょうど八月の下旬に、二十一日参りましたから八月の下旬に第三次査定が終わり、第四次、第五次につきましては、九月の下旬になるのではないかということが言われました。しかし、査定が完了しないというと、臨時国会等の問題もありますので、そういう点を考え合わせますというと、査定の完了しないままに臨時国会を迎えるというような事態になりますというと、災害の復旧の対象にならぬような場合も考慮されるというようなことで、実は査定を早急に完了していただくように手配してほしい、こういう要望がございました。この点について一つどういうお考えを持っておりますか、両省の方から、特に査定等の問題について、その他の小災害あるいは集団移住等の問題につきまして、現在までの考え方一つお教え願いたいと思います。
  129. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 先ほど政務次官から冒頭に災害についての御説明がございまして、その中でも衆議院の災害対策協議会の対策要綱にも触れられまして、農地等の小災害について特別の立法措置をとることにきまっておるので、その線で政府としても緊急に対策を講じたいというふうにおっしゃったわけでありますが、小災害につきましては、今回の災害を契機といたしまして、関係省で相談をいたしました結果、普通の場合でございますれば農地については二分の一、農業用施設については六割五分の起債を認めまして、その起債財源につきましては一定割合をもって国が元利補給をし、残余は特別交付税その他でもって地方財源の裏打ちをするという基本方針が政府部内でも固まっております。来たるべき臨時国会に自治省の方から一連の起債事項の特例法としてお願いをし、私どもの方でも予算の手当をするということになろうかと思います。  それから災害査定の進捗状況でございますが、七月上旬までの梅雨前線集中豪雨までの災害査定は多少でこぼこがあるかと思いますが、ほぼ八月一ぱいに完了を見たはずでございます。おそらく順調に進んだと思います。若干残った所があるかもしれませんが、おおむね終わっております。なお、その後に発生いたしました災害につきましては、農地の関係で申しますと、北海道の下旬の災害につきましては、やはりこれも八月末でほぼ完了を見ております。その後の新潟につきましては、若干、あちこちにありまして手が回りかねた関係もありまして、九月に入ると思います。それからその他の地域につきましても、同様九月一ぱいには査定を完了いたすということで目下手当を進めております。  それからもう一点、集団移住といった問題でございますが、この件につきましても、さきの衆議院の災害対策協議会におきまして、そういった集団移住を援助するための措置について、要すれば立法措置を講ずるという趣旨の御決議がございました。で、目下政府部内におきましては、関係各省が多いわけでございますが、便宜自治省がそれの第一次案の作成に当たっております。出られる前の職業について申しますれば、大半は農林業であろうかと思いますが、集団先選定、職業の選定等の関係から申しますと、移住先では必ずしも農業に限っていない、援護の手段も相当、何と申しますか、一律には参らないといったような点もございますので、農林省でどの面を担当すべきか等、今後まだ政府部内において検討すべき問題が多々ございますと思いますが、私どもの従来の経験では過剰入植地帯の入植者のいわゆる間引きといったような措置がここ二両年予算化した経験もございます。また狩野川台風のときに、これは移住はいたしませんでしたけれども、新しい村作りというような意味で必要な共同利用施設を助成したというような経験も持っております。それらの経験等も徴しまして、早急に今申しましたような手順で政府部内で成案を得たいと思っております。
  130. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 小災害の問題及び集団移住の問題につきましては、ただいま農林省からお話しのあった通りでごさいますが、査定の問題について申し上げますと、六月に起きました集中豪雨による災害等につきましては、八月の中旬ごろおおむねの緊急査定を終わりまして、これに対する所要の措置ができるようになっておるわけでございます。七月以降に起きました災害につきましても、目下査定中のものもございますし、また終わってないものも九月の上旬程度ぐらいまでに終わるようなことで査定を急いでおるわけでございまして、そういう査定に基づきましていろいろな措置をただいま考えておるような状況でございます。
  131. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、緊急査定はこれは終わったわけでありますけれども、残った査定については建設省も農林省も大体臨時国会までには全部間に合わす、こういうことで確認してよろしゅうございますか。
  132. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 奔走の進捗状況は先ほど申し上げた通りでございまして、臨時国会までに予算措置、法律措置をお願いいたしますまでについて必要な限度の資料は十分間に合わすように考えております。
  133. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それからもう一つの問題点ですが、実はこれは中部電力の天龍峡の下流の泰阜ダムとその上流における飯田市の川じりの川路という所がありますが、あそこの農民と中部電力の係争問題でありますが、行って状況を見ますというと、確かに河床は上がっておるに違いないと思います。その河床が上がったために、それに洪水が出てきた。ところが横の方から名もない支流が結局非常に水がはんらんして、結局本流へ流れ込むことができなくて、よどみが出ちゃってみんな冠水した、こういうような状況ではないかと、こう思うわけであります。従って問題の焦点は、ダムを撤去しろとか、いや中部電力ではおれの方の責任ではないというようないろいろな問題があって、この争いはおそらく相当深刻化しつつあるようでございます。こういうような問題につきましては、やはり政治上の問題といたしまして、おそらく中部電力と川路の農民の間では結局片がつかない、こういうように判断できるわけなんです。従って、私の方の考え方といたしましては、こういうような問題につきましては、むしろ長野県知事と愛知県知事を含めて、同時に建設省、農林省が中に入って、そうしてこの農民あるいは中部電力を含めましてその中で意見の調整を見ていくことが問題の解決の一番のポイントではないか、こういうように考えたわけなのでございます。そういう点につきまして、どういうようなお考えを持っているのか、一つ、今後もこういう問題が泰阜ダムだけの問題でなくて、最近ダムの被害が洪水のために多い、こういうような事例から見まして、きわめて重要な問題でありますので、一つその点についての考え方を両省からお聞きしたいと思います。
  134. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまお話しがございましたように、天龍川水系にたくさんのダムがございまして、今度の災害におきまして泰阜ダムやその他のダムについて、ダムが原因でいろいろ災害が発生したのではないかというような、いろいろな疑念を持たれるような問題が起こっておることは事実でございます。特に泰阜ダムにつきましては、私どもも静岡県その他を通じましていろいろ調べておるわけでございますが、まずダムの操作について間違いがあったかどうかという点が問題になるわけでありますが、ただいまのととろ、ダムの操作そのこと自体には特に誤りがあったということは、私どもの調べました範囲におきましては、ないわけでございます。そういたしますと、ダムそのものと申しますか、ダム自体の問題か、あるいは天龍川におきましては先ほど申し上げましたような土砂の排除が非常に多いわけでございます。特に泰阜ダム付近におきましては堆砂が非常にございます。さらに河川の掘さく部等もございます。河川そのものによりいろいろな災害を起こしやすいような地形、地質の所でもあるわけでございます。そういう点がございまして、今度の災害特に泰阜ダムだけについて申し上げますと、そういう災害の原因がそういうダムによるものであるか、河川そのものの地形、地質によるものであるかどうか、あるいはまた今度は御承知のように異常な降雨量でございました、その降雨量がこういう災害をもたらしたか、いろいろの点から調べなければならない点が残されておるわけでございます。建設省といたしましては、今度の災害はもちろん、昨年以来そういう関係の問題がございましたので、いろいろとダムの管理、特に発電等を主とするダムの管理等につきまして、いろいろと調査を進め、その対策検討しておるわけでございますが、特にこのような今度の災害におきまして、ダムの問題につきましては関係各省とも相談いたしまして、協議会等も作りまして、そうしてそれによっていろいろな原因その他対策等も検討いたしたいというようなことで、ただいま建設省といたしましては、そういうようなことでその対策をさらに進めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  135. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 災害地の地形を見ますというと、今のままで護岸の工事を行なうために、堤防を入れてもおそらく上砂が十メートル以上堆積しているわけですからこれは不可能だと思うのです。また、よしんばそういう堤防を作っても、それがまた押し出してくればこれは流れる道がないわけでございます。そういうことをやっておりますと、結局耕地の復旧なんかいつになるかわからない。堤防を作らないと耕地の復旧はできない、そういう状態の中で中部電力と争っているわけです。従って、もちろんこの問題につきましては技術的に建設省で研究し、耕地の復旧は農林省と早急に立てなければならないと思うが、問題の焦点が中部電力との争いになっておる、ですから中部電力にある程度補償させるということも一面考えなければならぬと思うのです。でないと問題の片はつかぬと思う。そのためには、やっぱり政治的に両県の知事を入れて、建設省と農林省が積極的に乗り出して問題の解決をはかってやる、こういう親切さがなければならぬ、こういうふうに私は考えておるわけです。特に、あの地方を視察いたしてみますと、中部電力は結局愛知用水の上流の牧尾ダムから下流はほとんど関西電力にそのまま持っていっておる。中部は将来愛知用水が工業用水としてどんどん使う場合、それで臨海工業として発展して、足らないときは中部電力は別の所を水源としなければならない、そういうようなときに、その建設をめぐって建設省にもかなりめんどうを見てもらわなければならない場合が出てくると思う。そういうような将来の大問題を考えますと、積極的に建設省あたりもこの問題については口が出せる立場になるのじゃないかというふうにも判断できるわけです。そういう意味で、何とか解決しないと、問題はいつまでたっても耕地の復旧ができない。現在のまま推移すると、土砂が十三メートルの高さで、堤防を築くわけにいかない、そういうことを考えますと、耕地の復旧とか、堤防を作ることが土地の住民の要望にこたえていく、こういうことについては高度の政治性の中から将来を見通して積極的に解決していかなければならない、こういうように判断した。それ以外に解決の道がないと思う。ですから、そういう立場に立って今後一つできるだけ善処していただきたいということをお願いしたいと思うのです。このことを私はやはりこうしたらいいだろうという冗談まじりに住民に言ったら、そういうことができたら非常にいいのだという代表者の答えもあったわけなんです。ですから、そういう方向で紛争をこれ以上拡大させないで、そうしてできるだけ早くお互いに誠意を披瀝して問題の焦点をしぼることが大切じゃないか、こういうように考えるわけでございますけれども一つ十分考えて善処してほしいということを要望しておく次第であります。
  136. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 だいぶ時間も迫ったので、私は簡単にお尋ねしますが、今度の災害対策として考えておられる、ここにも出ておりますが、この中味で、伊勢湾台風に対する措置と違うところがあったかどうか、まずそれを伺います。
  137. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 基本的には伊勢湾台風の際にとられました措置に大体ならいまして、それに準じてやっておるわけでございますが、ほとんど相違点がございませんが、詳細になりますと、従来と今回の災害との特殊事情等も加味いたしまして、若干の相違点はございます。  そのおもなものについて申し上げますと、まず一つは、これは非常に形式的なことでございますが、伊勢湾のときには、北海道には特別の措置がなかったのを今度は北海道にも被害がございましたので、北海道にも例外措置を講じ、内地二十万円を限度として貸し付けるほか、北海道には二十五万円ということになっております。組合等の経営資金の融資でございますが、伊勢湾の場合には共同利用施設について特例を設けるほどのものがなくて、本法そのままの貸付限度額で融資したわけです。今回は組合等の中にも相当大きな被害をこうむったものがございますので、組合等に対する貸付資金ワクが現行法の五百万、一千万とありますのを一千万、二千万というふうに倍額に引き上げてあります。  それから小災害につきましては、伊勢湾の場合には、全額起債の認め方は同じでございましたけれども、認めました起債の償還財源の裏打ちの場合に、全額を国庫の元利補給ということになっております。その点は自治省が全額元利補給ということで実行した行政経験等も組み入れまして、今回は実質上農民負担あるいは市町村負担は同じでございますが、その起債財源のうちの約三分の二を国が元利補給をし、残余の三分の一、正確に言うと二十八億ぐらいだと思いますが、これは市町村の財源、ただしその財源については基準財政需要額に算入をして、要すれば特別交付税を交付するということにいたします。そういう点が違っております。  なお、暫定措置法、農林漁業施設災害等の復旧に関する暫定措置法の高率適用につきましては、今回はまだ詳細についてはもう少し詰めさしていただきますが、一律一挙に高率を適用いたしますのではなくて、一定の基準を設けまして、超過累進的に高率の適用をしていくというのが新たな構想として加わっております。  大体以上が大きな相違点であると思います。
  138. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連して。今の小災害の場合、自治省の扱うあの場合、伊勢湾台風のときは二百メーターなんかの距離を一つの災害と見るとなっておりましたね。たしか二百メーターだと思うのですが、原案といいますか、現法は五十メーターになっておりますね。五十メーターというのはなかなかそう数続いてあるわけではないのですが、二百メーターを一括した総額の起債か何かになっていると思うのですが、ここのところはどうなんでしょうか。
  139. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 御質問の趣旨を多少違えておるかもしれませんが、小災害の対象となります事業は、事業費につきまして十万円未満の、いわゆる暫定措置法の対象にならない災害につきまして、三万円以上十万円未満の被害につきましては、現在では、助成の道がないわけでございます。御指摘のメーター云々の件は、おそらく一般の暫定措置法の場合の災害の採択の場合に、多分、たしか五十メーター未満を一つの基準にしておったかと思います。もちろん特殊の事情によって、一括見なければ価値のないといったようなものについては、その制限をこえても採用できることになっておりますけれども、それで、むしろ小災害というのはそれでは落ちこぼれてしまった結果、いわゆる補助対象にならない、従って、十万円以下というようなことで取り残される、その距離の中間にあるものが問題になるわけでございます。それを救うために、小災害について市町村が事業をやるということで、そういった距離で制限を受けるため一括救えないで残る災害を私どもは小災害というふうに理解をしております。二百メーター云々というのは、ちょっと私よくわかりません。
  140. 清澤俊英

    清澤俊英君 この五十メーターと、こうなっている分がこの前の伊勢湾台風のときには二百メーターに延ばしたと思うのですがね。延びておりませんか。
  141. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 今回も衆議院の災害対策協議会の小委員会で御審議をいただきました過程で、五十メーターとありますのを百メーターというふうに本法を直したらどうかというふうな御議論は、小委員会の段階で、あったのでございます。五十メーターだということになると、いわゆる小災害が落ちこぼれるからというような御趣旨であったかと思います。しかし、小災害について、先ほど御説明いたしましたようなふうで、救済の措置がとられますので、本法の五十メーターの方は延ばす必要はなかろうということで、そのままなになっておりますが、伊勢湾のとぎの例も小災害を取り上げておりまして、本法の五十メーターを動かしておりません。
  142. 中野文門

    説明員(中野文門君) 先ほど私が、梅雨前線豪雨その他北海道及び新潟県等の集中豪雨に関する被害の状況対策措置等について申し上げたのでございますが、早魃発生状況について、この機会に申し上げたいと思います。  本年の早魃被害は、五月下旬、東北、関東地方に発生し、六月九日現在で十一万四千ヘクタールに達し、その後の降雨により被害は漸減しました。しかしながら、植え付け期のおそい中国、九州地方に被害が拡大いたしまして、八月十五日現在で二万八千ヘクタールとなっております。なお現在までに行なった応急対策事業は、揚水機の購入、借り入れ、井戸の開さく、水路の整備、その他用水確保のための工事及び燃料費等で、県の報告によりますと、十二億一千九百万円となっております。昭和三十三年あるいは三十五年度と同様の助成を行なうといたしますと、その所要国費は三億九千八百万円と推定されますので、目下大蔵省とその助成について折衡中であるのでございます。  なお、八月十九日、岐阜、石川、福井に震度四の激しい地震がありまして、死者、行方不明者も出たわけでありますが、被害は特に山間部に多く、農林省関係でも林野関係に最も被害が出ております。目下、被害調査中でありまして、本日お手元に差し上げました配付資料の中の、これに関する数字も、印刷後さらに林野の被害額の追加報告があり、被害額はさらに増加を見ておるような次第であります。これらの被害の復旧につきましては、緊急分は県の設計が進んで参りましたので、至急にその査定を行なって復旧を急ぎたいと思っておる次第でございます。  はなはだ失礼でございましたが、私先ほどの御報告にこの点を失念いたしておりましたので、この機会にあわせて御報告を申し上げたいと思います。
  143. 清澤俊英

    清澤俊英君 これだけの災害に、農林水産で視察に行く必要はないのですか。予算がないというようなお話しが理事会の方にあったそうですが、これ、何とか追加予算を適当な時期に請求して行ってでもおそくないと思うのです。今私の申し上げたような、河状整理の問題とか、あるいは用排水の実情の問題等は、やはり見て回った方が一番わかるのじゃないか。そうして場合によりましては、当委員会の決議等で善処を促すことも一つの方法じゃないかと思いますので、この点、委員長はどうお考えになっておるか、一つ委員長のお考え方をお伺いしたいと思います。  それからいま一つは、大事な問題を落としましたが、水害のあと、広範な地域が、二カ村、三カ村にわたっての水害で、さっと通っているところがあるので、一日かあるいは二日ぐらい水に侵水した、こういうような場所を、直ちに県などがこれを復活するためにヘリコプターで四日間かかって病虫害切除をやっておる。こういうものを大蔵省の考え方というので、ほとんどこれは問題にされない。これはどうもおかしいと思うのですね。正常な耕作を続ける場合に、当然自分の責任において病虫害を防除していくということは、これはあたりまえのことだと思うのだけれども、今まではこれにさえ補助が出ておったと思いますが、これが、こういう災害でほうっておいたら、予測せざる次の災害、いわゆる病虫害という流行病に襲われて、大きな障害が出てくる、こういうととが前提となって防除を行なう。これにどういうわけで大蔵省は金を出さぬというのでしょう。今度の衆議院の段階においても、これはほとんど触れられなかった点です。私は雪害のあと、防除器具に対する補助に対していろいろお骨折りしていただいたのですけれども、これらが大蔵省のごく下っ端においてけられておる。そんなばかな話しはないと思います。私はできますならば河野さんでも出てもらって、一つ御意見を、そういう状態ならば伺いたいと思っておるんだが、この点に対して官房長どうなんです。官房長はだいぶ理解して雪害対策のときはお骨折りをしていただいておるんですが、二十八年まではもらえたのですよ。原君がずいぶんがんばりましたが、保利農林大臣はどうしても出すんだ、こういうて保利さんはがんばられた。そこで原君を私らもつるし上げたが、人間が、かりに流行病におそわれるならば、いやだというのに注射を打つじゃありませんか。しかるに病虫害という流行病がこれからはやるというのに、しかも災害のあとにそういうものが出てきておる。こういうことをほったらかしておいておる。流行病というものに二つあるかというんだ、とう言ってとうとうこれは出されました。これは農林大臣ががんばってくれたから出してもらえたんですが、今度私は河野さん出ていただけぬのはまことに不満にたえないのです。幾ら官房長いじめてみてもこれは問題にならない。これは一つよく官房長腹をきめて、河野さんにがんばるように言うて下さい。そうして雪害対策のときの金も約束したものくらいくれられるように、ぜひ御尽力をお願いしたいと思います。河野さんならがんばるだろうと思う。そんなばかな理屈はありませんですよ。  最後に、ただ質問のしっぱなしじゃ質問になりませんから、農林省としてのお考え方、官房長としてのお考え方はどうなんですか。出すのは私は正当だと言われるに違いないと思う。
  144. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) さきの衆議院の協議会は、御趣旨が主として立法事項に関することに対策の焦点をしぼって御審議なすったために、一応その他の対策についてはこれは詳細触れておられないというふうに承知をいたしております。農林省の事務当局といたしましては、かねがね御説明をいたしておりますように、種子対策とか苗対策とか、あるいはその他のただいま御指摘の防除対策とかにつきましても、県でどの程度の財政負担が行なわれたか、またそれが特別の交付税その他による財源付与だけでまかなえる範囲のものであるかどうかといったような点も十分考慮いたしまして、大蔵当局とまとめて交渉いたしたいと思っております。ただ、だいぶ前には、まだ新しい技術として農家がなかなか採用いたしませんでした初期の段階では、防除薬剤の補助まで行なわれた事例もございますけれども、最近では大体薬剤はほとんど普及もいたしましたしいたしますので、ああいった消耗的な、と申しますのは、どれだけ使ったかについて事後把握のしようもございませんし、そういったいろいろ技術的な意味も含めまして、いわば消耗的な意味の肥料、農薬につきましては、なかなか対策としての助成を行なうことは、そういったことも含めまして困難でございます。防除器具の不足を補うために、災害対策のために新規の追加購入された分でありますとか等、そういった後に残る施設についてなるべく助成の許す限りやって参りたいというのが私ども考え方でございます。  なお、御趣旨に沿って大蔵当局との交渉を続けて参りたいと思っております。
  145. 清澤俊英

    清澤俊英君 それならもうヘリコプターの、各県の大小によって二つか三つくらい備えた方がいいと思うのです。こういうことも農林省はやはり農村に関係があるから……。ひどいところになりますと、今度の場合など五日、六日間くらいちっとも連絡がない。つぶれたのか、完全なのか、わけわからない。五日くらい見てようやくこの地区が大へんな災害が起きているというようなことになるのですから、現実は宇宙飛行の時代に、ばかな話はないと思うのですよ。できれば県と各町村の、そういうところくらいはもう無電装置くらいがちゃんとできているくらいのことが考えられないか。これは農林省ばかりでないのです。自治省の安井さんにでも出てもらって、いずれ臨時国会始まりますから、大いにやりたいと思っておりますけれども、もし何だったらヘリコプターくらい一つ何とかして下さい。
  146. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) ヘリコプター防除は最近かなり一般にも普及して参りましたし、また災害後の緊急防除に非常に活躍したように聞いております。これにつきましても県内で、その地点で防除に当たります直接的な費用だけでございますれば、むしろ動力とか、通常のものに比べれば、薬剤の節約等の関係もあって、必ずしも農家の負担は重くならないと聞いておりますが、災害等の関係もございますし、遠隔地から特にヘリコプターを応援に派遣するような際の県外移動の費用といったようなものは見たらどうかというような意見も、県の方からも伺っております。それらにつきましては、先ほど申しましたように、県の負担能力その他の事情をもう少し見きわめました上で考えてみたいと思います。
  147. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度にいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  148. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記をつけて。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十七分散会