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政府委員(加藤陽三君) ただいまお尋ねになりました点でございますが、日米共同防衛体制をとっているわけなんでございます。大きな見地から申しますると、われわれは日米共同安全保障体制というものも、米国の持っておりますところの大きな戦略的な打撃力と申しますか、これと相待って
日本を侵略から抑制をする。もしも攻撃があれば、大きなアメリカの力というものを背景にして報復される、そういうことによって侵略の企図というものを防ぎまして、侵略の起こらぬようにする、こういうのが一番大きなねらいでございます。その意味におきまして私は日米間の分担というものがあると思うのです。
日本側で戦略的な打撃力を持とうというようなことは
考えておらないのであります。その面は、これは米軍の力に依存する、それ以下の
事態に対しましてどうするかということが問題になるわけでありまして、私どもは侵略のないことを期待しておりまするけれども、もしありました場合におきましては、それはまあ局地戦――世界戦争ということになれば、これは問題は別でございますが、局地戦以下の侵略に対しましては、できる限り相当範囲のものは
日本が独力で対処し得るような力を持ちたい。それ以上になると、これはもう米軍の応援を得まして、共同で当たるということを
考えているわけでございます。個々の演習とかその他につきましてどうかというお尋ねでございますが、根本の方針といたしましては、
日本の防衛につきましては、米軍と
日本とは同一司令部を設けない。日米それぞれ司令部を別にして、相互に緊密な連絡を取りながらやっていこうということを根本に
考えているわけでございます。それならば作戦の区域なり何なりの
協定があるのかということでございますが、これはやはりなかなか現実の問題となって
考えなければならないのでありまして、第一どういう侵略があるかということを一面において想定をしなければなりません。これが予想の
通りでありますれば、これはもう勝つことは間違いないのでありますが、なかなか現実はそうはいかない。と同時に、
日本にそういう
事態が起こった場合におきましての極東の情勢というものがどうかということもまた
考えなければいけないわけであります。アメリカは太平洋に太平洋軍というものを持っております。太平洋空軍、太平洋陸軍、太平洋海軍、それぞれの部隊を持っておりまするけれども、これの担当している区域というのは、御
承知の
通りと思いますが、非常に広いわけであります。第七艦隊について申しましても、これはアリューシャンからインド洋までの警備を担当しております。太平洋空軍には二個軍ございますが、これもやはり
一つは
日本に司令部があり、
一つはフィリピンにある。そして相当の担当区域を持っております。陸軍については、これは朝鮮に二個師団、それからハワイに一個師団、それから沖繩には海兵師団、空挺部隊というようなものを
配置しておりまして、
日本に侵略があった場合にどの地域がどうするということもあわせて
考えなければいかぬわけです。
日本だけで単純に
事態が起こるならば、アメリカとしても相当これくらいのことは
協力できるということは言えましょうけれども、なかなかそこの想定というものがむずかしい。で、根本的にいろいろな場合を想定いたしまして、幕僚間におきまして意思の疎通をはかりまして、どういう
事態につきましても、一応何とかやっていけるというふうなことは
考えておりまするけれども、具体的にそれではどこにどれだけの兵力を集中していくかというところまでは、実際問題としてはできないのであります。演習につきましては、長官がおっしゃいましたが、われわれが米軍との合同の演習をやっておりますのは、これは二つの目的でやっておるのであります。
一つは、
先ほど長官がおっしゃいました
通り、飛行機にいたしましても、まだわが航空自衛隊で持っております飛行機は一マッハ以下で、早いスピードの飛行機は持っておらないのであります。早いスピードの飛行機をいかにしてレーダーでとらえ、いかにして早く要撃するかということになりますと、米軍の持っております飛行機を借りなければならない、こういう
関係もあります。潜水艦につきましても、長官のおっしゃいました
通りであります。そのほか掃海等の訓練等も一緒にやっておりますが、これはアメリカのすぐれた掃海技術というものをわれわれが習うという意味で演習をやっておるわけでございます。演習そのものが、大きくは作戦の計画に結びつくわけでございますが、それぞれそれがすぐに作戦計画に具体的に結びつくということにはなっておらないわけでございます。