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1961-03-02 第38回国会 参議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二日(木曜日)   午前十時二十八分開会    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理事            石原幹市郎君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            山本伊三郎君    委員            大泉 寛三君            下村  定君            中野 文門君            一松 定吉君            千葉  信君            鶴園 哲夫君            横川 正市君            田畑 金光君            辻  政信君            高瀬荘太郎君   国務大臣    法 務 大 臣 植木庚子郎君    農 林 大 臣 周東 英雄君    運 輸 大 臣 木暮武太夫君    国 務 大 臣 西村 直己君   政府委員    内閣官房長官  大平 正芳君    防衛政務次官  白濱 仁吉君    防衛庁長官官    房長      加藤 陽三君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 塚本 敏夫君    調達庁総務部長 大石 孝章君    調達庁総務部会    計課長     鐘江 士郎君    日本専売公社監    理官      谷川  宏君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林水産技術会    議事務局長   増田  盛君    運輸大臣官房長 辻  章男君    郵政政務次官  森山 欽司君    電気通信監理官 松田 英一君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○運輸省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○法務省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○公共企業体職員等共済組合法の一部  を改正する法律案内閣提出) ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○国の防衛に関する調査  (昭和三十六年度防衛庁関係予算に  関する件)    ——————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会開会いたします。  二月二十八日予備審査のため本委員会に付託せられました運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。
  3. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  今回の改正の第一点は、本省付属機関である海技専門学院名称海技学校と改めることであります。海技専門学院は、船員に対し、船舶運航に関する学術及び技能を教授する機関でありますが、その教育内容は大学と同程度のものでありますので、実態に即するよう名称を改めることといたしたのであります。  次に改正の第二点は、本省付属機関である高浜海員学校名称変更でありますが、同校は、昨年十月、清水市に校舎の移転を完了しましたので、その名称清水海員学校に改める等、所要改正をいたすものであります。  改正の第三点は、本省付属機関である自動車審議会存続期限を一年間延長することであります。自動車審議会は、自動車輸送及び自動車保安に関する基本的な問題を調査審議するため設けられたもので、存続期限は本年三月三十一日限りとなっております。同審議会は、これまで十数回にわたる審議を重ねて参ったのでありますが、問題の重要性にかんがみ、その審議には慎重を期する必要があり、いまだ結論を得るに至りませんので、今回一年間その存続期限を延長することといたしたのであります。  改正の第四点は、伊勢湾地区における港湾緊急整備をはかるため、本省地方支分部局として、臨時に、伊勢湾港湾建設部を置くことであります。伊勢湾地区港湾整備につきましては、現在、横浜市にある第二港湾建設局所掌しておりますが、同局の管轄区域は非常に広く、その事業量は膨大なものとなっております上に、来年度からは伊勢湾地区港湾防災事業の量が飛躍的に増加することとなりますので、この方面港湾整備を円滑に、しかも能率的に行なわせるため、このたび愛知、三重両県を管轄区域とする伊勢湾港湾建設部を、本省地方支分部局として、臨時に設けることといたしたのであります。  このほか、ユースホステルセンターの新設に伴い、本省の権限及び所掌事務について所要の規定を整備することといたしております。  以上が、この法律案提案する理由であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  4. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。    ——————————
  5. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、二月二十八日予備審査のため本委員会に付託されました法務省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。
  6. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) 法務省設置法の一部を改正する法律案について、その趣旨説明いたします。  この法律案の要旨は二点でありまして、第一点は、国際連合日本国との間に近く締結される、犯罪防止及び犯罪者処遇並びに少年非行防止及び非行少年処遇の分野に関し、研修研究及び調査を行なうことを目的とする研修所日本国に設置することに関する条約に基づき、国際連合協力して行なう研修研究及び調査に関する事項を、新たに法務省所掌事務とし、同省付属機関である法務総合研究所に、右の研修研究及び調査を行なわせるものとすることであり、第二点は、東京入国管理事務所羽田空港出張所を廃止して、新たに羽田入国管理事務所を置くことであります。  まず、第一点についてであります。国際連合は、かねて、社会防衛に関する技術援助の一環として、アジア及び極東地域に、犯罪防止及び犯罪者処遇に関するアジア及び極東研修所を設置する計画のもとに、その招請国を求めておりましたが、昭和三十五年に至り、わが国がその招請国となることに特に関心を示して参りましたので、政府におきましては、慎重に検討の結果、国際的及び国内的に犯罪防止に寄与し、かつ、アジア及び極東地域諸国間の文化交流を一層活発にするため、右研修所わが国に設置して、その運営協力することとし、条約締結交渉を経て、近く、国際連合との間の、犯罪防止及び犯罪者処遇に関するアジア及び極東研修所日本国に設置することに関する条約に署名する運びとなりましたところ、従来、法務省犯罪の予防並びに行刑及び更生保護等犯罪者処遇に関する事項をその所掌事務としており、また、同省付属機関である法務総合研究所刑事政策に関する総合的な調査研究を行なうものであることにかんがみ、右条約に基づいて行なう研修研究及び調査に関する事項法務省所掌事務とするとともに、法務総合研究所に、右の研修研究及び調査を行なわせることとしようとするものであります。  次に第二点についてであります。近時、わが国と諸外国との交通は日々にしげく、外交、買切、学術研究観光等のため、本邦に入国し、または本邦から出国する外国人及び日本人の数もますます増加しておりますが、これらのうち半数以上の者が東京国際空港から出入国しておりますとともに、外国の元首、国賓等も、多数同空港から出入国しつつある実情でありまして、同空港における出入国管理事務運営の態勢を整備強化し、一そうの能率化及び適正化をはかることが必要となりましたので、東京入国管理事務所羽田空港出張所を廃止して、羽田入国管理事務所を置くこととしようとするものであります。  以上が法務省設置法の一部を改正する法律案趣旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
  7. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。速記をとめて。    〔速記中止
  8. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。  次に、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に続いて質疑を行ないます。関係当局からの出席方々は、森山郵政政務次官松田電気通信監理官谷川日本専売公社監理官山口鉄道監督局参事官須賀国有鉄道部財政課長吾孫子日本国有鉄道副総裁、八木日本国有鉄道厚生局長方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。速記を止めて。   〔速記中止
  9. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけ  て。  それでは、昨日予備審査のため本委員会に付託されました農林省設置法の  一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由説明を聴取  いたします。
  10. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案提案理由改正内容を御説明申し上げます。  第一は、大臣官房企画調査機能を強化することであります。御承知の通り政府は、農林漁業及びこれを取りまく条件の変化に応じまして、今後の政策方針を明らかにするための農業基本法を初め、その他の諸法案を今国会に提出しております。これとともに、今後における農林漁業政策に遺憾なきを期するため、行政組織整備につきましても、種々検討をいたしているのでありますが、とりあえず、大臣官房所掌事務整備してその機能を強化するものとし、農林畜水産業に関する基本的な政策及び計画の樹立並びにこれに関し必要な調査等事務大臣官房で処理することとするほか、振興局所掌である国土の総合開発等事務及び農林経済局統計調査部所掌である農林畜水産業に関する予測事業もこれに移管することといたすものであります。  第二は、農業に関する試験研究管理事務農林水産技術会議において処理せしめることであります。農業に関する試験研究機関管理事務は、現在、農林経済局農業総合研究所振興局農業技術研究所及び地域農業試験場畜産局家畜衛生試験場蚕糸局蚕糸試験場食糧庁食糧研究所をつかさどることにしており、また、研究企画については、それぞれ関係行政部局所掌することとされ、さらに、これらの試験研究基本的な計画企画立案及び総合調整につきましては、農林水産技術会議が担当することとなっております。しかも、試験研究内容によりましては、各行政部局における管理事務は互いに交錯いたしますし、また、技術会議との関係も複雑化して参っていること等を考えあわせますと、試験研究行政との関係については十分考慮を払うこととしつつ、試験研究管理事務はこれを集中して処理することがより効率的であると考えられるのであります。このような見地から、農業に関する試験研究機関管理関係事務農林水産技術会議に移管することとし、研究企画は、農林水産技術会議が各行政部局協力を得て設定する研究目標に基づいて、各試験研究機関で行なうことといたしたのであります。これに伴い、振興局研究部は廃止することといたしております。  第三は、農業に関する試験研究機関を再編成することであります。農業に関する試験研究体制は、蚕糸試験場家畜衛生試験場食糧研究所農業総合研究所及び放射線育種場が、それぞれ、蚕糸家畜衛生食糧加工利用農業経済及び放射線利用研究部門を担当し、その他の農事畜産園芸茶業農業土木経営等部門につきましては、農業技術研究所と八つの地域農業試験場がそれぞれ総合的に担当しているのでありますが、今後の農業の動向と農業技術高度化に伴う研究分化に即応して部門別研究効率化をはかりますためには、農林水産技術会議による総合調整機能充実を前提としつつ、農事畜産園芸茶業農業土木部門別試験場を分化新設する必要が生じて参っております。このため、地域農業試験場については、地域総合試験場体制を可及的に維持しつつ、農業技術研究所農業試験場特定部門を分離統合して、農事試験場畜産試験場園芸試験場茶業試験場及び農業土木試験場の五試験場農林本省付属機関として新設することといたしたのであります。  なお、この機会に食糧研究所食糧庁から農林本省に移管するとともに、農村工業指導所をこれに統合し、食糧加工利用研究を強化することといたしております。  第四は、名古屋市に植物防疫所を設置することであります。植物防疫所は、現在、横浜神戸及び門司の三市に置かれ、輸出入植物及び輸入病菌害虫の検査及び取り締まり等業務を行なっているのでありますが、わが国重要産業地帯一つである東海地区における業務量が、名古屋港を中心として飛躍的に増大しつつあることにかんがみまして、新たに名古屋市に植物防疫所を設置し、従来の横浜植物防疫所及び神戸植物防疫所管轄区域の一部をその管轄下に置くこととしたのであります。  以上がこの法律案提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことをお願いする次第であります。
  11. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。    ——————————
  12. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に続いて質疑を行ないます。関係当局からの出席方々は、先刻申し上げた方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと冒頭に、きょう大臣が見えておられませんが、何か御都合があるのですか。
  14. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 大臣は、今衆議院の予算分科会に出ておられるようです。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、この公共企業体共済組合法改正案に対する責任担当大臣として郵政大臣が当たっておられますが、基本的な問題で一つ質問したいと思います。従って、政務次官が見えておられるようですが、その責任者として一つ答弁を願いたいと思います。
  16. 千葉信

    千葉信君 今の山本君の質問趣旨は、基本的な問題について担当大臣質問をしたいということです。だからその場合に、森山政務次官はお見えになっておりますけれども、郵政大臣のもとにある政務次官ですが、今回の問題の場合には、郵政大臣が、閣議決定されたこの法律案に対する担当大臣の代理をする資格については疑義があると思うのです。従ってこの際は、担当大臣をぜひ委員会に招致してもらって質問を始めてもらいたいと思います。
  17. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記とめて。    午前十時四十七分速記中止    ————————    午前十一時十一分速記開始
  18. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは速記をつけて。  郵政大臣の、三省にまたがります法案担当国務大臣として、閣議でどういう扱いになって決定になりましたか、その点を一つ官房長官から説明していただきます。
  19. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) この法律は、大蔵、運輸郵政の三大臣がそれぞれ主務大臣となっており、閣議も三大臣共同請議となっております。ただ、この法律案国会における提案理由説明につきましては、郵政大臣が三大臣を代表して行なうこととし、また、法案内容に関する御説明並びに御質問に対する御答弁につきましては、三公社共済組合に共通的な事項に関する場合は、郵政大臣が三大臣を代表して申し上げることとし、郵政省の政府委員が補佐いたし、一公社共済組合固有事項に関する場合は、所管の主務大臣またはこれを補佐する政府委員が申し上げるということに二月七日の閣議で了承されております。
  20. 千葉信

    千葉信君 正式決定ですね。
  21. 大平正芳

    政府委員大平正芳君) そうでございます。
  22. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  23. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記を始めて。  それじゃ暫時休憩いたします。    午前十一時二十一分休憩    ————————    午後一時十九分開会
  24. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。  二月二十二日予備審査のため本委員会に付託されました防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。
  25. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由及び内容概要について御説明申し上げます。  最初に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  政府は、国力国情に応じて防衛力整備する必要があることを認め、防衛庁職員定員を一万三千五百三十四人増加し、現在の定員二十五万四千七百九十九人を二十六万八千三百三十三人に改めることといたしました。この一万三千五百三十四人の増加分のうち、一万千七十四人が自衛官で、残りの二千四百六十人が自衛官以外の職員であります。自衛官増加分は、そのおもなるものについて申し上げますと、陸上自衛隊については千五百人でありまして、施設関係部隊の増強のために充てるものであります。また、海上自衛隊における増員は、四千四百三十人でありまして、艦艇増加に伴い必要とされる人員の配置並びに航空部隊整備及び後方支援部門充実等のために充てるものであります。なお、航空自衛隊における増員は、五千百十二人でありまして、航空方面隊及び航空団の増置並びに保安管制教育補給等部門の拡充のために充てるものであります。  第二に、陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊の一そうの統合的かつ能率的指揮運用を達成するため、統合幕僚会議機能充実をはかることとし、出動時における自衛隊に対する指揮命令基本及び統合部隊行動についての指揮命令に関する補佐の職務を統合幕僚会議が行なうこととし、さらに統合幕僚会議統合幕僚学校を新たに付置することといたしました。  第三に、防衛大学校に従来の任務のほか、防衛大学校教育訓練を修了した者その他長官の定める者に対し、理工学に関する高度の理論及び応用を教育訓練する任務を新たに加えることといたしました。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  第一に、自衛隊組織及び編成等整備することといたしました。陸上自衛隊については、現在の管区隊六及び混成団四を、師団十三に改編し、その編成わが国の地形に適応させ、運用を軽快ならしめるよう改めることといたしました。海上自衛隊については、操縦教育の一元化をはかるため、新たに長官直轄部隊として教育航空集団を置くこととし、また、従来艦艇のみからなっていた自衛艦隊編成を改め、自衛艦隊は、護衛艦隊及び航空集団その他の直轄部隊からなるものとし、海上艦艇部隊海上航空部隊との一元的運用をはかることといたしました。航空自衛隊については、防空体制充実をはかるため、西部航空方面隊を新設し、第五航空団司令部の所在地を改め、第六航空団及び第七航空団を新設する等の措置を行なうことといたしました。  さらに陸上自衛隊海上自衛隊及び航空自衛隊のそれぞれの補給処における調達補給等業務効率的運用をはかるため、その統制業務を行なう機関として補給統制処を置くことができるように所要改正を行ないました。  なお、従来の練習隊群練習艦隊に改称し、自衛艦隊司令航空隊司令等名称を、それぞれ司令官に改めることといたしました。  第二に、防衛庁設置法における統合幕僚会議所掌事務改正に応じて、統合部隊行動についての長官指揮は、統合幕僚会議議長を通じて行なうものとし、これに関する長官命令は、統合幕僚会議議長が執行するものとすることに改めました。  第三に、予備自衛官の員数を二千人増加し、一万七千人に改めることといたしました。  第四に、自衛隊は、その任務遂行に支障を生じない限度において、国際的な運動競技会等に対し、必要な協力を行なうことができるようにいたしました。  第五に、自衛隊施設において、自衛隊のための作業に従事する隊員以外の者で、みずから食事をととのえることができない者に対して、自衛隊見学者の場合と同様に、適正な対価で食事を支給し得るようにいたしました。  以上両法案提案理由及びその内容概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願いいたします。
  26. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。    ——————————
  27. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、国の防衛に関する調査議題とし、昭和三十六年度防衛庁関係予算に関する件の調査を進めます。政府側出席方々は、白濱防衛政務次官加藤官房長海原防衛局長小野人事局長方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 防衛予算に関連して、長官に二、三お伺いしたいと思いますが、三十六年度から五カ年間、結局四十年度までの五カ年、第二次防衛力整備計画この面について、資料によって概要を御説明いただきたいと思うのですが、その第二次防衛力整備計画については一体どうなっておるわけですか。もうできておるのか、一つできておったら概要を御説明いただきたいと思います。
  29. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 第一次整備計画は、御存じ通り、三十五年度までの三カ年計画でありまして、これは一応は終了いたした形でございます。しかし、もちろんそれが全部達成できたわけではございませんで、その目標の残っておるものもございます。一方、三十六年度以降何カ年計画をもって次の長期計画を作るかという問題が次に出てくるわけであります。そこで、三十六年度以降の長期計画がある方が、これはあらゆる方面から見ていいわけでありまして、従いまして、すでに御存じ通り、一昨年でございますか、そういうような試案を赤城構想として、当時、次期防衛力整備計画というような名前で報道されたことがあるわけであります。その後御存じ通り、昨年中は安保問題をめぐる国会の問題、それから政変、続いて選挙等々が相次ぎまして、必ずしもその次期防衛力整備計画というものが十分に検討されない間に三十六年度予算編成を迎えることになったわけであります。そこで三十六年度は、三十五年度までに終了を目途とする一つ基本的計画でございますね、そのワク内でもってどういうふうに三十六年度以降の整備力を扱うべきかにつきまして、一応三十六年度次期防衛力整備計画そのものがまだ固まっておらないのに予算編成をいたさなければなりませんので、そのうちの重要事項だけは国防会議決定をいただくというので、去る一月十三日に国防会議決定いたしました。従いまして、三十六年度防衛力基本的な態度といたしましては、重要事項について国防会議決定を見、続いて単年度と申しますか、新年度としての第一次防衛力整備計画ワクの中で予算編成をいたし、ただいまの予算要求をいたしております。そうすると、これから先の長期計画はどうなるかということは、その一月十三日に行ないました国防会議決定方針に基づき、すみやかに防衛庁で案を作って、そして慎重審議政府国防会議一つ決定しようじゃないかというところにただいまあるわけであります。そこで、防衛庁としましては、次期防衛力整備計画をただいま部内におきまして検討をいろいろいたしておるわけであります。そうすると、その検討の対象になるものは何かと申しますと、多少時期等がずれ、あるいは時代も多少変わりましたけれども、前にありました一つの試案的なものを、参考と申しますか、そういうものを一つのものにしつつ、さらにいろいろな変わってきた情勢等も織りまぜてやって参らなければならない。で、これをめどをいつごろそれでは立てるのかと申しますと、防衛庁の意思決定、同時に、国防会議等において、できるだけ意思決定等をできる時期を五、六月ごろにめどを立てるような方向でいったらどうかと、こういうのが私の考えであります。内容等につきましては、防衛局長等もおりますから、さらに、ある程度数字等は別にまだ固まっている段階でありませんが、やや方向等は多少ずつ検討を加えておる段階でありますので、必要に応じまして防衛局長等から、一応の赤城構想ないしその後における情勢の変化等もありますので、まだ防衛庁自体の意見も固まってないんじゃないかと思いますが、その程度で、事務当局で検討しつつある経過等は、さらにしさいにわたって申し上げてもいいのじゃないかと思います。こういうふうに思います。防衛局長も来ておりますから……。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 長期計画が立って、その一環として明年というふうな防衛計画が立てられる、これが筋だと思うのですね。そして、また防衛計画が立って、その基本方針にのっとって業務計画が立てられる。この業務計画によって明年度予算が要求される、これが筋だと思うのです。長期防衛計画については、赤城さんの時代からすでに検討されておったと思うのです。ところが、いまだに決定をみない。おそらくお尋ねしたら、目下検討中とおっしゃるように私も想像しておった。まだできていないことは私ども確認した。そういうような意味で、かような赤城長官時代からすでに検討された国の防衛に関する大事な長期計画がいまだに立てられない、これはもう非常に怠慢のそしりは免れぬと思うのです。こういう点について、これは一体いつ最終的に決定されるのか、こういうこともまだはっきりしていないわけですから、目下検討中だけでは了解しがたいと思う。やはりものには順序があって、長期計画が立ち、短期の計画が立ち、そういう方針から来年度予算を要求する、業務計画が立てられる、こういうふうに私どもは了解しておるわけですから、その点納得いきませんので、さらに重ねて伺います。
  31. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 三十六年度は、もちろん無方針でやっておるわけじゃございません。三十六年度予算要求基本的な態度といたしましては、三十二年からの第一次の残った部分が相当ございます、艦艇あるいは人員増強等におきまして。それらのワク目標の中で予算要求をいたしておるわけであります。ただ三十五年は、一次までの目標でございましたのが一年済んだ格好で、目標が達成できていない部分を補いつついろいろやっております。と同時に、三十六年は、進みまして七年度以降の予算に関し、あるいは予算の基礎になるべき国防力整備長期計画等は、現在、従って三十七年度予算には、少なくともきちっと基本になるように、予算そのものにはございませんが、予算に対する一つ基本的態度になりますから、そういう構想というものは持ちたい。そこで、そのめどはいつごろまでに立てるか。次期防衛力整備計画のめど、大体私は五、六月ぐらいまでには最終決定をみたい、こういうのが私の考えでございます。  なお、赤城構想等が当時いわれて以来、昨年は、御存じ通り、安保の一つの論戦の激しい国会を終始し、その後において内閣がかわりまして、政変に続いて総選挙というような諸事情も入って参りましたので、それが停滞をしておったということでございます。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 赤城長官時代にすでに検討を始められたものが、主として大蔵省の国家財政上の立場からの強力な反対もあったと思うのです。それがまあ一年以上たなざらしになってきた。これは結局この辺に問題があろうと思うのです。なぜ一体おくれてきたのか。これは察するに、大蔵省の反対といえば財政上の反対であろうと思う。これは過度に自衛隊強化という面がその計画の中に打ち出されておるので、主として大蔵省は反対したと、こういうふうに一応考えられるわけです。この点はいかがなのか。また、今までたなざらしになっておった理由ですね、どうしてこう赤城長官時代から検討を始められたものがいまだに決定されていないのか、いろいろ理由があろうと思うのです。そのおもなものについてあげていただきたいと思います。
  33. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もちろん着任をいたしましたのは昨年の暮れでございます。赤城、江崎両長官の時代、ただ残念ながら、その時代には政治情勢は安保問題で御存じ通りの状態、続いて内閣がかわり、総選挙という政治上の一つの大きな理由があったと思います。それから問題は、最終決定をいたしますには、防衛庁の手を離れて、国防会議決定して初めて政府側の一応長期防衛力整備計画というものは最終決定するわけでございます。従って、防衛庁でもまだ固まらないというには、その間において積み上げた意見なり検討においては、各省間の意見の調整の済んだ部分もありましょうが、済んでいない部分もあると思います。その間にあってそういった激しい政治情勢の変化があったと思う。もう一つは、その後において、御存じ通り、給与ベースのアップもございました。これはたしか十二月に、皆さんの御審議によりまして、官公吏の給与ベース・アップの変化があった。ちょうどそのころにアメリカの政変もありまして、言いかえますれば、大統領中心のいろいろな考え方というものが流れております。それがやはり日本のある程度の将来へのいろいろな軍事援助関係にも関係してくるのではないか、これらの諸要素も勘案しながら今検討していこう、こういうのが諸事情だと私は考えております。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 国防の基本方針では、民生の安定という点を特に重視しているように思うのですが、そこで、今御説明のあった防衛庁の今検討中の案について、この民生の安定という点と両立しないような向きがあるのではなかろうか、こういうふうに考えられるのです。大もとである国防の基本方針に民生の安定ということを強く強調しておる以上、当然この立案に当たっては、そういう点が盛られておると思うのですが、この点についてどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  35. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 防衛力整備計画は、もちろんこれは国の財政そのものではございませんで、計画であり、基本的態度をきめるものであります。あるいは、ある程度の目標をきめるものでありまして、それ自体が直ちに予算化されるのではありません。従って、かりに次期防衛力整備計画がきまりましても、もとの第一次防衛力整備計画と同じように、その年度その年度の財政事情を勘案して、これを予算上あるいは財政上実行して参る、こういうことにおそらくなろうと思います。その財政上実行して参る場合に、国力、国情はもちろんのこと、国防の基本方針としてとっておる、何と申しますか、民生安定というものを、言いかえますれば、財政上における国防費の占める位置が、社会保障費あるいはその他産業助長等とどういうバランスをとるか、最も常識的に見て、比較的均衡のとれたような状態で予算編成をいたしていく、こういうことになろうと思います。同時に、また予算編成そのものでなくて、防衛力整備計画目標を定めるためにも、ある程度大づかみの方向というものが、財政措置として大きな方向が出て参ります場合に、大体国民所得の中でどの程度長期計画が一応占めたらいいかという見通し等は多少持たなければならぬと思います。それから、さらに細部へ入りまして、自衛隊自体が民生へ協力するという面もさらに考えて参る。その意味で、いわゆる災害出動あるいは建設画等にも寄与するような面を現在も入れておりますが、将来も入れて参らなければならぬというふうに、民生協力面に結び合わせて参りたいというのが考え方でございます。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前に御説明いただいた三十六年度防衛予算を見ますと、これは三十年度に比べまして約二倍になっておるわけですね。それを三十五年度に比べても約二百億増になっております。そのほか国庫債務負担行為とか、あるいはまた継続費、こういうものを全部加えますと膨大な数字になるわけです。一方、国外の情勢として、軍縮の必要が強調されておるおりから、逆に、防衛費の増額ということは時代に逆行するのではないか、基本的にこういうふうに考えられるわけですが、その点について御所見をお伺いしたい。
  37. 西村直己

    国務大臣西村直己君) せっかくの御意見でございますが、私どもといたしましては、むしろまだ日本の国防費は低い方であると考えております。これはまあ統計のとり方にもよりますが、世界年鑑等の基準によりましても、国民所得の、ソ連でいえば一六%、まあアメリカは御存じ通り一二%、これらは大国でございますが、そうでないようなインド、あるいはスエーデン、あるいはフィリピン、ドイツ、各国をとりましても、国民所得に対して、少なくとも二%以上ないし三%から七%前後で、私どもの方でただいま三十六年度に御審議願っておるのでも、国民所得の一・四%、国民所得に対して百分の一・四三ぐらいでございますが、私はその意味では、国防費というものが日本は多いよりは、むしろ低めではないかというふうに私は考えております。と同時に、軍縮ということは確かに人類の悲願でございます。また、世界各国もそれを唱えておりますが、同時に、当面する事態、現実の事態に対するあるいは抑制、あるいは備えとして、これはある程度の自衛力というものはやはり現存させなければならない、こういう考え方でございます。日本の場合におきましては、この自衛力の基幹、根本と申しますか、骨組みは作りつつありますが、さらにこれは国力、国情に応じて、漸次やはり肉をつけ、あるいは骨を正すということをやらしていかなければならぬのではないか、これが私の所信でございます。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 軍事専門家の説を拝聴しますと、これはあくまでも仮定ですが、ソ連がもしも五発ぐらいの原水爆で日本を攻撃したら、数秒の間に日本は全滅するという意味のことを発表しておるわけです。これはまあそれよりも下回るとしても、とにもかくにもこういう世界の軍事情勢の中で、今の自衛隊をさらに強化するということについては意味がないではないか、こういうふうに考えられる。この点についてはいかようにお考えになりますか。
  39. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 米ソのような大国が、大陸間弾道弾、言いかえればICBM、IRBMとか、長距離弾道弾等々をもちまして核武装をしていること自体が、私ども専門ではございませんが、判断として、世界の全面戦争を誘発するより、むしろ戦争の抑制力として両者がやっている、こういう判断をしております。と同時に、日本のような自衛でいかなければならぬような国におきましては、局地における自衛力、局地戦といろものに対する自衛力というものを中心に、しかもその中心は、やはり何と申しましても、わが国土の安全でございます。そういうものに対して安全感を持てる最小必要限度のものは私は保持しなければならない。それがそれでは十分であるかというと、私どもは、基幹と申しますか、骨幹、いわゆる骨組みはある程度できつつありますが、さらに骨組みに対し、必要な限度の整備ははかって参らなければならない、これが私の整備力漸増の所信であるのであります。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前々から防衛庁は、もしかりに日本に戦争が起きれば、大体三カ月ぐらいは持ちこたえる、その間にアメリカの第七艦隊が来援するという意味のことを言われておったわけです。こういう考え方については、その後の情勢の変化等を勘案して変わったのか、いまだそういう考えについては、そのままそういう考えを持っておられるのかというような点をまずお伺いしたいと思います。
  41. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 御存じ通り、陸上におきましては、もう現在、安全保障体制に基づく米陸軍というものは、補給以外にほとんどおらないのであります。現実のものは約五千名ぐらいと私は聞いております。従いまして、陸上の自衛につきましては、私ども自体が責任を持って自衛をしなければならない。これがはたして何カ月であるかということは、なかなか、戦争といいますか局地戦といいますか、あるいはその起こり方によって違って参ると思いますが、一応従来ある程度常識論として三月ぐらい、もちろんこれに対しましては、弾薬とか、あるいはその他備蓄の関係等も考えて参らなければなりませんが、備蓄の状況等も考えられるわけであります。それから事態の起こり方も考えられるのでありますが、そういったような方向的な考え方は、やはりそうひどく変わっていないと思います。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 防衛庁では、日本の防衛力防衛の本質からいって、量から質に転換するということを前々から強調しておるわけです。そこで、しかし半面、核兵器については持たない、こういうことをも言明しておるわけですね。こういう点については、その通りの考えというものに変わりはないのかどうか。
  43. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 核武装はいたしませんということは、これはもう政府がふだん政策としてはっきりいたしておるわけであります。ただ、装備の近代化と申しますか、古いもの、ことに艦艇などにつきましては、更新年令が次第に発生して参ります。それから先般辻委員からも御指摘がありましたように、陸上の装備品等についても、更新を必要とするものもあります。しかし、これを一挙に更新するということは、まだ国力あるいは財政上も勘案しなければなりませんが、しかしながら、この装備の更新あるいは近代化ということは考えて参らなきゃならんと思うのであります。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 二月二十八日の衆議院の予算委員会分科会で、海原防衛局長から、ミサイルについての答弁をされておるわけです。これは拝聴したわけですが、これによりますと、ナイキ部隊の編成配置についてまず説明されて、結局具体的には、ナイキの陣地として、千葉県と神奈川県に、それぞれ木更津、下志津、武山、こういう所に設置せられる、こういうことについての配置計画についての説明があったわけです。そこでお伺いしたいわけですが、現実にナイキを導入されるのはいつになるのかということをまずお伺いしたいと思います。
  45. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ナイキの訓練部隊を教育訓練のためにアメリカへ送るということは、すでに三十五年度予算におきまして御承認をいただき、三十六年度にもございます。現実には、三十五年度中には準備の都合上、三、四名しか先発は渡らないと思いますが、三十六年度になりましてから、ある程度のもの、百何十名ですか、アメリカへ渡りましてナイキの教育を受けるということは事実でございます。それから、それが帰りまして——詳細はさらに防衛局長から説明させますが、ナイキを一台ですか、受領するような計画もあるわけであります。ただ、それをどういう目的に使うか、また、これは核弾頭がつくのか、これはもう絶対に核弾頭などはつけない、ナイキ・アジャックスというような形のものを考えております。じゃ、その目的は何かと申しますと、台数が多いわけじゃございませんから、首都、京浜を中心にした防空に配置をする。ただ、その場所はどこであるか、一部の新聞は誤まり伝えておりますが、あれは分科会におきまして、横路委員の方から、こことこことに置くのかという、こういう御質問で、それは首都防衛ということだけについて考えておるのでありまして、具体的にどこへ置くということは、まだこれから先の問題であるわけでございます。防衛庁側としては、まだ位置等は決定してないわけでございます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この発射機が第一に問題だと思うのですが、アジャックスのナイキ型とユニバーサル、こういう発射機があろうと思うのですが、両方もし入れられるとすると、ユニバーサルについて、いわゆるアジャックスとハーキュリース、両方核弾頭がつく。ハーキュリースについても発射できると思う、兼用だと思うのです。この点をまず明らかにしていただきたい点と、それとこのユニバーサルについては一体どの程度入るのか。こういうふうなことについて予定の計画をお聞かせ願いたい。
  47. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 細部につきましては、政府委員が専門的に存じております。私から大綱を申し上げますと、私もしろうとで申しわけないのでありますが、なかなか用語が米語でございますものでございますから、わかりにくいのでございますが、ナイキは、御存じ通り、現在アジャックス型と、それからハ一キュリース型があって、アジャックス型は核弾頭がつかない。ハーキュリースの方はつき得る。それの発射台がランチャというのでないかと思うのでありますが、そのランチャは、アジャックスに向く、ハーキュリースに向くのが従来は置かれておったが、今日アメリカで作っておるのは、共通のユニバーサル型というふうに私は聞いておるのであります。そしてそのユニバーサル型の発射台にアジャックスをつける、こういう趣旨だと思います。もし私の説明が不十分でございますれば……。大体そういう説明事務当局の者がいいと言っておりますから、間違いないと思います。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このナイキ導入によって、米軍側から、いわゆる機密の方の責任を当然に強要されると思うのですが、そういう際、戦前に考えられたような軍機保護法、こういう問題も出てくると思うのですが、こういう問題については、現在どのようにお考えですか。
  49. 海原治

    政府委員海原治君) ナイキ一個大隊を導入いたしますことに関連いたしました秘密保持の点につきましては、まだアメリカの方との交渉の過程でございますが、私どもといたしましては、いわゆるマップ、アメリカからの武器援助で入って参りますものについての秘密保護協定制度がございます。これによってカバーできるものではないか、このように考えております。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今ミサイルの試射場としての新島が、非常に問題になっておるわけですね。ただ単なる試射場としても、ことほどさように問題が大きくなっておる。このミサイル導入、ナイキ導入ということになると、問題はさらに大きな問題となろうと思う。この具体的な面については、以下二、三お伺いしたいと思うのですが、こういう問題について、現在長官としてはどのようにお考えですか。
  51. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 数年にわたりまして、遺憾ながら、新島におきまして葛藤が続いておるのであります。あの本体は、私が不断に申し上げておるように、ミサイルの常時の発射場ではなくして、国産のミサイルの試験でございまして、実験場でございます。それから、そのミサイルはどういうものを扱うのかといえば、防衛庁にあります技術研究本部で試作をいたしたものを、年間二十日前後、二十回前後ですか、しかもこれには危険物は一切つけない。先には落下傘をつけまして海中へ静かに落としまして、これを回収し、中の物体を調べる。これがあそこのミサイルの試験場の目的でございます。その現物は、技術研究部にたしか三個できております。大きさは、大なるものが六メートル、小なるものは二メートル半ぐらいあるものでございます。飛ばすのは、結局海上へ十キロないし二十キロ、ロケットとミサイルはやや違いますが、御存じ通り、秋田県でやっております糸川さんの方は、海中ヘそのまま落としまして、しかも距離は二百キロないし三百五十キロ、そこで、少し地域が狭いのではないかといって、今鹿児島県へ移ろうかといっておられるわけであります。危険度から申しますと、飛び方にもよりますが、私どもの実験の方が危険度がないわけであります。あくまでも新島は試験場と考えて参ったのでありますが、不幸にいたしまして、一部の誤解等から、政治闘争にまで発展したような形になっております。そこで、私どもの方としても、基地でないということを十分に御理解いただいて、ただいま御存じ通り、自民党、政府、社会党との間でその話し合いを進め、その間あまり外部から部外者が行って、それぞれの立場において支援をしないようにということを、まあ三者、政府、自民党、社会党の間でやっているのが現状でございます。従いまして、ミサイルと申しましても、国民の御理解をいただけば、ミサイルにもいろいろな種類のミサイルがあると思うのであります。アトラスというような、大陸間を飛ぶ一万キロを超えるようなものもございます。核弾頭をつけ得るようなものもございます。また、技研で研究しているようなきわめて小型なものもあるわけでありまして、今日の非常に飛翔力の強い、音速を数倍するような航空機に対して、地対空のミサイルが、これを防空上の要件からいくと、従来の高射砲ではできないものをもってこの国土を守らなければならないというような意味から、技術研究本部等においてもミサイルというものを研究させ、同時に、また海外からも、必要最小限度のものは、多少ミサイルの小型のもの、あるいはサイドワインダーであるとか、タ一ターであるとかいうようなものを、予算上の御承認をいただいて購入しているのが現状でございます。要は、ミサイルに対する国民の御理解をいただくことも非常に必要ではないかと思います。ミサイルといいますと、直らに、ただアメリカあるいはソ連の持っているあの大陸間弾道弾そのものであるような印象——人によっては、ミサイルは即原爆であるような誤解を生じているということは、われわれも努力をして参らなければならぬ。また、国民の御理解と御協力も求めなければならぬのじゃないか、こう考えている次第であります。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このナイキの陣地については、一個中隊でも二十三万平方メートルの膨大な土地を要するような防衛局長から御答弁があったということに関連して、特定の部隊内でということであればまだしも、まだ土地については最終決定してない。そういうことになると、当然新たに土地を確保しなければならぬ。しかし、土地所有者並びに現地の住民は、当然反対すると思うのです。過去の情勢から見て、当然こういう物騒なものについては、猛烈な反対があろうと思う。そこで、まず土地の確保という点で混乱という事態が起きようと思うのです。それと、先ほどあった発射機自体も、アジャックスとハーキュリース兼用のものということになると、結局核弾頭をつけないからいいではないかとおっしゃるかもしれませんが、これはわずかの操作で核弾頭もつけられる、いざとなれば。こういう事態になることを非常に国民としておそれていると思うのです。こういうことについてどういうふうな見通しを持たれ、どういうふうに具体的に進めようとするのか、この点を一つお伺いしておきたいと思います。
  53. 西村直己

    国務大臣西村直己君) まずミサイルは、まだ日本におきましては、国産化の前の試験開発の段階でございます。しかも、それは国土防衛に必要最小限度のものの試験開発をいたしているのであります。いわんや核などの研究は、これは原子力基本法に基づきまして、当然科学技術庁の別の面の仕事になっております。ミサイルは、国土防衛の必要最小限度の、わが国情に適したものを開発研究の段階であります。一方、またナイキというようなものに対しましての訓練も必要であるという意味で、ナイキの訓練の隊と申しますか、隊員をアメリカへ送り出す段階になっております。これが現実化して参るのはまだ先のことであると私は考えております。ただこれに対しまして、ナイキを受領したときにおきましては、当然据えつける場所、その目的は、京浜なり首都なりの防空に充てるということになりますが、いずれかの地へ土地を求めなければならぬということは事実でございます。そこで、それはできる限り自衛隊施設の中を使って参りたい、こういう考え方でございます。かたわら、ナイキその他防空上の近代的な、しかも、世界各国でもう使っております普通の兵器であります。これは御存じ通り、ナイキ程度のものは、もう各国でも使っております。特にわが国におきましては、ハーキュリースでないアジャックスを望んでおることは、核弾頭の誤解を生じないようにという消極主義をとりつつも、しかし、防空上の必要最小限度の需要を満たす、こういう面から考えまして、ミサイルの内容、また、ミサイルというものの意義というものにつきまして、できる限り国民の御理解を求め、御協力を願って参りたいというのが私の基本的態度でございます。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 アジャックスは核弾頭をつけられないものだからいいじゃないかというようなことになろうと思いますが、従来も防衛庁としては、この核兵器については、核弾頭をつけられないものだからいいじゃないかということ、そしてこれをだんだん進めていくと、核弾頭をつけられるものでも、つけなければいいではないかというふうに進展すると思う。それから、また、さらに考えられることは、核弾頭をつけても使わなければいいではないか。で、最終的には、核弾頭を使ってもいいではないか、こういうふうに一歩々々進められるというふうに、そういうことも考えられるわけですね。だから、今アジャックスは核弾頭をつけられないからいいじゃないか、今はそういう段階にあろう、それは私もわかりますが、それをだんだん糸口として一般にナイキの陣地を作って、だんだん一歩々々進めて、ついにはハーキュリースも導入する、こういう段階になるであろうことをわれわれはおそれているわけです。こういう点について明確に所信のほどを伺っておきたい。
  55. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 御存じ通り、原子力基本法というものがございまして、原子力基本法は、核ないし核爆発は平和目的に利用するとはっきり書いてございます。従って、かりに自衛隊がなしくずしでいいかげんに核を導入して核を使うということになれば、やはり原子力基本法の関係になって参るのじゃないかと私は思います。そういう点からも、ちょうど自衛隊の海外派兵という問題がございました。しかし、自衛隊任務というものは自衛隊法できまっております。だから、いかに憲法上の解釈がどうであろうと、自衛隊法自体の問題が一つ制約がございます。また核弾頭の問題も、おそらく私は深くは存じませんが、原子力基本法というものが、一つ原子力の利用の形でございますから、私は、そういうところにも一つの国民に御理解をいただける基本が立っているのじゃないかと思います。ただ、ミサイルそのものは直ちに核ではないことは先住方御存じ通りでございまして、ミサイルに対する国民の御理解というものをもっともっといただかないと、一般の国民の方々の中には、ミサイルは即原爆であるような不安感、また、一部に事実そういうような不安感を醸成する方があれば、これはますます国民は惑うのではないかと私は考えます。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ私から二間具体的な問題を一つ防衛庁長官質問したいと思います。  まず、その前提として、自衛隊のいわゆる服務と申しますか、それについて、まあ旧軍人は政治に干渉しない、これは厳然としてやられておったのだが、残念ながらああいう結果になってしまった。軍人が政治に関与したためにああいう大東亜戦争に発展し、日本がこうなってしまった。  そこで、実は具体的に福井県に例があるのですが、地方連絡部の相当な地位の人が政治に関与しておるような現象が聞かされておる。もちろん新聞にも出ておりますが、具体的に申しますと、紀元節の復活に対して、いわゆる相当積極的に動いておる。紀元節復活の問題が今日政治問題になっておることは御存じだと思うのです。そういうことについて、防衛庁長官は、自衛隊員として妥当であるか、法律に照らし合わせてそれでいいと思うかどうか、これをまず最初にお伺いしたい。
  57. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 具体的事実は私は存じておりませんが、ただ御理解をいただきたいのは、自衛官といえども国民でございます。選挙権も持ち、また投票権も持ちますから、私は、その限度におきまして、個人として政治的な発言をすることは自由であろうと考えております。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 知らないということはちょっと僕も——西村長官は、相当熱心にそういう点を研究されておるのですから御存じだと思うのですが、これは本年の二月十三日の福井新聞です。地方新聞ですから、皆さん読んでおらないといえば別でございますが、建国記念としての復活、これを論争した記事が載っておるのです。名前はあとで言えといえば言いますけれども、福井県の地方連絡部の業務班長をしておる人なんです。これに対して相当積極的な意見を書かれておる。国民の一員として、私は、そういういろいろ紀元節の復活について意見を述べることはいいのでございますが、それが先頭に立って、いわゆる指導的役割を演じておる事実があるのです。そういうことは、なるほど国民の一員として、自衛隊であろうと、言ってもいいのじゃないかといいますけれども、今日の自衛隊法の第六十一条から見ましても、それに対して違法な行為だと私は断じておるのですが、これでもいいという防衛庁の指導方針であるかどうか、この点をはっきり聞いておきたいと思います。
  59. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 自衛隊法の六十一条にもちろん制約はございます。「政令で定める政治的行為をしてはならない。」はたしてこの「政令で定める政治的行為」に該当するか否かの問題だろうと思いますが、私がただいまお話を承った程度では、別に具体的内容、あるいは具体的な行動をも照らし合わせなければわかりませんが、この制約にはずれておるとは考えておりません。
  60. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは福井新聞の二月の十三日の一節を読みます。「紀元節の音頭取る自衛隊地連班長」という見出しで載っておる。「十一日は旧紀元節で県護国神社などで昔なつかしい「雲にそびゆる……」の歌が合唱されたが、例年この紀元節行事の音頭取りは自衛隊福井地連の何々某。同氏は地連の業務班長を勤めるかたわら県郷友会の世話役、日本国会議の県協議会結成準備会の世話役のほか歌人で俳人という忙しさ。県下の旧軍人のブレーンとして口八丁手八丁の活躍ぶり。「右翼がかっているのじゃないか……」とひやかされても、本人は「オレはいうなれば民社系統だな……」とすました顔。」こういう記事が出ておる。厳格な意味において今言われたが、自衛隊法六十一条に違反するしないと言われるが、こういう行為が、自衛隊自身として県民に与える影響というものを私は追及しておる。こういうものが許されるとなれば、自衛隊はますます——わが社会党と自民党の間には、自衛隊について根本的の考え方の違いがあるといたしましても、こういう行為そのものを、防衛庁として、長官として認めておるのだということになれば、われわれはそれはゆゆしき問題であると思う。その点について、これが違法でないというはっきりした答弁があったのですが、違法でないけれども、こういう措置が許せるのかどうか、この点をはっきりここで言ってもらいたい。
  61. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もちろん民主主義の社会でございますから、いかなる立場に立つ者でも、なるべく私は政治的に自由に潤達に動くことが民主主義のほんとうの正しい姿だと思います。そういう意味から、個人の意見は、その職務上、法令上制約は受けておりますが、その限度をこえるという場合においては、私どもも大いに反省し、あるいは注意も与えたければなりませんが、ただ、その新聞に出た行動等が、はたしてどの程度のものであるかということによって、一がいに私は防衛庁長官として、これはけしからぬと言って、自衛隊をいたずらに卑屈な気持に陥れる気持はございません。むしろ私は、今日の自衛隊全体が、いま少し伸び伸びとした気がまえを持ってもらいたいぐらいの確信を持っておるのでございます。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、もちろん具体的な問題を例に長官に尋ねておるのでございますが、こういうことが全国的に自衛隊の思想傾向といいますか、活動傾向になってくることを私は憂えておる。  そこで、私は言いますが、私の知る範囲においては、新聞では郷友会の世話役と言っておりますけれども、実質的には事務局長のような仕事をしておるということを私は聞いておるんだが、もしそれでも防衛庁としてはいいのだ、こういうことをおっしゃるかどうか、これを一つはっきり……。
  63. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 郷友会そのものは、防衛庁が認可をしております財団法人でありまして、私は、これは政治結社だとは思いません。そして、これは国防思想の普及、また、正しい民主主義下においてのそういった国防思想を普及するということは、私はけっこうなことだと考えております。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、そういう行動というものは、防衛庁としては、今のあなたの答弁から言うと、奨励しておるやの感じを受けるが、そうとっていいんですか。連絡部の仕事はそういうものも含まれておるのだということにとっていいんですか。
  65. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は、奨励するのじゃなくて、全般として自衛隊というものは卑屈にならぬように、民主主義下における個人としては自由濶達であり、意気盛んであってほしい、こう言うのでありまして、何も地連部長そのものが、直ちに郷友会の事柄をかついで歩いているわけでもないと思いますし、また、郷友会も、国防思想を普及する。また、地連部長の職責も、国防思想、国を守ることは大事なことですよということを普及して歩く役目を持っております。その意味では、地連部長の一つの本来の仕事として、平素においては地連部長は、国防思想のいろいろ普及宣伝、PR等はやっておると思います。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の聞いておる焦点が合っておらないんです。私の言っておるのは、自衛隊のいわゆる地方連絡部の仕事として、いわゆる班長と申しますか、現職にある人なんです。そういう人がそういう仕事をしてもいいという自衛隊方針であるかどうか、私はそれを聞いておる。そういうことを、自衛隊が卑屈になるといかないんだから、活発にやってもらうためにやむを得ないということでなくて、私の聞いておるのは、防衛庁方針として、連絡部のそういう職責にある人が、郷友会なり、また、紀元節復活の運動に対して積極的に働きかけてもいいんだ、こういうことであるかどうか、こういうことを聞いておる。
  67. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私が申し上げますのは、地連部長でありましても、民主主義下における国民でございます。そうしてそれがいわゆる国防思想を普及し、あるいは同時に——これは地連本部の私は仕事の一つだと思います。同時に、紀元節を取り上げるいなかの問題は、私は個人の自由の問題だと思います。たとえ地連部長でありましても、個人の自由の問題であります。しかも、それが職務に支障があるならば、また私どもの方はあえて積極的な注意もいたします。職務上支障がないなら、これは個人の自由はやむを得ないと思います。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それを言わぬからいけない。私はその次それを言おうと思っておったのですが、自衛隊といえども、やはり公務員であり、公務員よりももっと厳格な、要するに自衛隊として規定されておる職務があると思う。その職務を離れてやっておるところに問題があるのです。あなたが先ほどから言っておられるのは、公務員といえども、時間外において、自分の自由な時間において何やろうと自由だ。自衛隊であろうとも公務員であろうとも、できるというのがわれわれの主張なんだ。ところが、自分の職務の時間においてそれをやっておる事実があるから、もしそれがあった場合に、防衛庁としてはそれもいいんだ、こう言われるのかということを私は追及しておる。
  69. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は、国防思想の普及は地連本部長の本来の任務一つでもございますから、その限度におきましては、これは職務行為と考えられる面もあろうと思います。たとえば郷友会が地連と御一緒になりまして国防思想を普及しようということは、これは職務の一部にもなるわけであります。従いまして、必ずしも職務外であるというふうに考えるわけにいかないと思うのであります。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私の言っておるのはそれだけじゃない。今言っている紀元節復活の運動というものは、これは私は自衛隊の職務内容に入っていないと思っておる。もしそれが入っておるというなら、はっきり言ってもらいたい。そういう者が現実に職務内においてやっておる事実がかりにあったとすれば、長官どうしますか。
  71. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 自衛隊の地連部長等の立場の人たちというものは、相当な官職でございます。階級も上級でございますから、もちろん職務の制約を受けておりますし、同時に、また自分の任務も十分心得ております。その限度内において国防思想を普及するというような限度内においてやっておることについては、私はあえてとがめる必要はないのじゃないかと思います。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたは何とか言って悪いことは逃げようとしますけれども、私は、紀元節の復活運動というものは自衛隊の職務内容でないという判定をしておる。それはあなた認められると思う。いや、入っておるというなら、そう答弁されたらいい。それを時間内にやった場合には、私は自衛隊員としての職務違反であると断定しておる。公務員の問題でもいつも問題がある。公務員においてそういうことをやったら、いつもチョンですよ。気の毒だがチョンです。ところが、自衛隊の場合にはそれは許されていいのかどうかということを長官言ってもらいたいと、こう聞いておる。
  73. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 紀元節復活運動は、これは一つの政治的なテーマでございます。従って、執務時間中にそれが音頭をとって非常に激しくやるならば、これは一つの注意するべき問題でございましょう。ただし、紀元節の運動自体も、個人の自由の面がございます。従いまして、職務執行中でありましても、社会常識で許される程度ならば、これはあえてかれこれ言うべきじゃないと思います。たとえば、たとい公務を持っておる人間でも、いろいろ社会常識上公務をはずしていく場合もあるのでございまして、必ずしもそれを一々とがめ立てしないのが現在の社会の常識でございます。公務だから一日中ということでなくて、社会常識上許される事柄はあろうと思います。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうもあいまいな答弁ですね。私ははっきりしておきたいと思うんです。重要な答弁だと思うんです。公務員といえども、一日がらそれをやっておらなくても、ある程度自由を与えるような発言だと思います、長官としては。現実はそうであるかわからない。そういうことをやっておるか知りません。しかし、少なくとも一番今問題になっておる紀元節復活運動、県下では相当な問題になっている。自衛隊の、しかもある管理職の班長という人がそういうところに入っていくことが、国民の受けるいろいろの問題から、長官としてはいいんだということを言われるとすると、私は自衛際自身の統制もつかなくなると思うんです。それも認めるということですか、それをはっきり私は聞いておきたい。
  75. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私は、従いまして、具体的な事案になりますと、事実を認定して、しかもそれを一つの常識なり法令から限度をきめて参らなきゃなりません。従って、一般論としてここでは御答弁申し上げるわけであります。一般原則といたしましては、自衛際員でありましても、政治上の問題に対して、発言の自由、行動の自由のある場合もあるのであります。その限度内で、しかも職務に支障がないならば、私はあまり異を立てるほどのことはない、これが私の解釈でございます。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ具体的に押える、押えるというのはおかしいが、言っておきましょう。二月十一日はかりに日曜日でない、自衛隊として休みの日でもない、本人が休暇もなにもとっておらない。その場合に、本人が一日中そういう音頭をとってその行動に参加しても許せるのだ、こういうのですか。
  77. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 仮定の問題でございますから、仮定を前提にお受け取りをいただきたい。一日中それにつききりで、しかも先頭に立って、しかも旗差物でアジテートでもするなら、これはわれわれとしても大いに注意しなければならないと思います。しかし、社会常識で許されている、たとえば何かの機会にちょうど神社の祭礼があるとか、何かの機会に職務をはずして神社にちょっと、あるいは先輩の行事があるからそれに参るとかというのと、社会常識でおのずからきまって参ると思う。それに対する私は判断をして参るという考えでございます。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 問題の焦点をちょっとはずすようなきらいがあるのですが、一日中であってはいけない。八時間勤務とすると、八時間はだめだ、(「土曜日だ」と呼ぶ者あり)土曜日だったら半日でいい、そういうことではこの問題の焦点ははっきりしないと思うのです。長官、あなたは何か笑いごとでそういうことを言っておられますが、これが全国的に波及した場合は、自衛隊そのものに対する県民の反感は相当大きくなると思う。もちろん政治的な運動だからそれに賛成する人は喜ぶでしょう。喜ぶけれども、県民全部が、常識がある人から見ると、自衛隊の指導部にある人があくまでやらなくてもいいじゃないかということを私は思いました場合、社会党から言えば、自衛隊はだんだんと不人気になればいいというものの、私はそういう意味で言っておらないんです。そういうことが今後日本の社会に及ぼす影響はどうか、これが進んでいくと、紀元節復活以外・にもいろいろな問題に入っていくきらいもあります。私は、歴史を見まして、今のアジア・アフリカの革命の実情を見ましても、今の革命の実力を持っているのはみんな軍隊です。軍隊の介在しない革命というものは成り立たない実情です。私はそういう憂いをするから、自民党が今自衛隊を育成しておられるようだが、その自衛隊によって自民党の諸君は首切られるかわかりませんよ。そういう憂いもあるんじゃないかということを私は親切に言っておる。そういう点を何か茶化すようなことでこれを糊塗していいならそれでよろしい。私は、本日の質問はこれでやりませんけれども、そういうことが自衛隊内部に、いわゆる制服の自衛隊内部に横溢したときにどういう結果がくるかということは、現在の防衛庁長官、あなたはそのときは責任をとらなければなりませんよ。私に対してはいろいろ言っておられますけれども、部下に対する愛情としての長官答弁としては了解するけれども、どこに波及するかということを十分反省して、この問題についてより調査をして、ここで悪いから改めますということは言えないと思う。言わないけれども、もしあなたにそういう私の言うような危惧の念が一まつでもあるならば、そういう点について直すようにやりなさい。私ももう少しこれを調べて、具体的にこういう点でこうだがどうかということをやりますから、この点について、私の言ったことについて何か言うことがあったら言って下さい。
  79. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私も、実は軍の将来ということについて、御説の通り、私も全くその点は同感の面があります。軍というものは民主主義下にある軍でございます。そこで、シビル・コントロール、言いかえまするならば政治優先でございます。この点だけはやはり確立いたさなければなりません。ただ、ただいま御質問になりましたのは、仮定の面もございます。また、事実認定のお互いにそごもあろうと思います。私どもの方は私どもの方として、ただいま御質問のあった面は、事実は事実として認識をいたします。ただこの席を通じて、仮定の事実についてそれがいいとか悪いとかいうことは、防衛庁長官として軽々に私は判断できない、こういうことを私は先ほどから御答弁申し上げましたことを御了承願いたいと思います。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは第二問。最後に言うことを最初に言っておけば、僕もそう大きい声を出さないのですが、なかなか政治家というのはずるいと思うのです。だから、その言葉は相当反省されたから、十分調査して下さい。  そこで第二問は、これもまた福井は災難でございますが、福井の鯖江市の問題であります。施設部隊が、この法律案が通れば向こうへ施設大隊を持っていくということが、相当福井の鯖江市を中心に、市民の方々から問題になっている。ところが、県や鯖江市当局の言っていることと実際は、住民との間に若干意見が違っている。従って、その意味においてきょうは二、三について具体的に質問だけしておきます。  福井県の鯖江市に、現在農林省の管轄である国有地があるのですが、ここに施設部隊を持っていきたいという意向であると聞いているのだが、おとといですか、門叶次官に聞くと、県、市の方から盛んに誘致の運動があるが、防衛庁としてはまだきめておらない。まだ法律が通らないからきまっていないだろうが、こういうことですが、長官から、あらためて防衛庁ではそういう設置する場所についてはまだきめてないならないと、こういうことだけ伺いたい。
  81. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 建設関係の部隊は、各方面から全国的に非常に激しい誘致運動があることは事実でございます。部隊をふやせとか、あるいは持ってこいとか、たまたま福井県におきましても、前々から県、市でそういう声が上がっていることは聞いております。ただ福井県に置くとか、法案が通る前にどこへ置くということは、私どもはまだ決定は軽々にすべきじゃない。それは、ただ何と申しましても、隊が行く以上は、民間のものを買い入れて隊の敷地にすることは相当な費用もかかるので、何か国有地があるし、そういうような面と、福井県あるいは市の方面の要望とかね合わせて一つの有力な候補地になっているのではないか。細部につきましては政府委員がおりますから……。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 防衛庁長官の大体の意向はわかったのですが、しかし、現実にこの場所を防衛庁は、まだきまらんから見てないわけですか。見られたかどうか。
  83. 海原治

    政府委員海原治君) ただいま長官からお答えいたしましたように、具体的な設置場所については、まだ一切きまっておりません。ただ、部隊の方といたしましては、それぞれ現在、先ほど長官からお話がありましたように、地区施設隊の設置につきましては、いろいろと設置してくれという陳情がございますので、部隊といたしましては、かりに設置されるとするならばどういう所がいいかという意味の調査はしたことはあるかとも思います。具体的には承知いたしません。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 調査したこともあると思うと言うが、見た人はここにおられないのですか。
  85. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 内局の方から出かけて行って調査をしたという事実は、私の知る範囲ではまだございません。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 防衛庁としては、まだ現場を、それは個人的に見たということは別としまして、防衛庁としましては、まだ調査したということはないのですね。
  87. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 防衛庁方針としてはということではございませんで、先ほど防衛局長からお答えいたしましたように、下準備として、あるいは地方の部隊等から見に行った、地形、地勢等を見に行ったということはあるかもしれませんが、何か中央から指令をして準備をさせたというような事実はございません。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうもそういう点は非常に——防衛庁の内部を知らないのですが、防衛庁の、こういう部隊を作るということが一応方針としてきまっておるのに、出先が調べたかもわからぬ、私は、こういうことは、どうもこう何か口の中にふわふわしたものがあるように思うのです。実際防衛庁の方で指令もしておらないのに勝手に出先が見たのだということが実際あるのですか、そういうことが。
  89. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) これはまだもちろん法案も通過しておりませんし、予算も御承認いただいておりませんので、この段階において本庁からとかくの指令を出すということは、これはあり得ないことでございます。ただ、地方の部隊等で、自分の管轄地域と申しますか、所轄地域内に部隊の隊員を出張させまして、そうしてどこが適地か、あるいはそこの民情はどうだというようなことの調査をしておる場合もございますので、その辺をまだこちらの方としては、こちらの発令でなくて、地方の部隊の発令でそういうこともございますので、先ほどお断わり申し上げたようなわけでございます。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それが相当地方で誤解を与えておる。御存じのように、前の防衛庁政務次官をしておった小幡さんが福井の出身なんです。そもそもそういうところから根源があるらしい。そういうことは私はここで言いませんが、従って、防衛庁はもう方針もきまって、この調査もしてということで、相当具体化しているように住民は受け取っておる。従って、私はそういうことはない、法律もまだ通らぬのに、かりにそういうことを防衛庁が言われれば、それこそ国会無視で私は追及するのだが、幸い、していないということで通されるから、私はここでおさまりますが、地元ではそれが問題になっておる。そこで私は言いますが、地元の情勢というものは相当複雑なんです。県、市の上層部は来てもらいたいと言う。いろいろの利害関係が言われておるのですよ。私から言ったらこっけいなようなことを言われて、施設部隊が来ると道路を引いてやる、市町村の財政が悪いからただやってくれるんだ、施設部隊が来たら直ちに道路がよくなるとか、橋がよくなる、子供みたいなことを言って宣伝している。これまた市会なんかへそういうことを得々として報告しているらしいのです。私は、自衛隊法を見ましても、災害出動の場合を見ましても、自衛隊がそういう土木工事や何かをやるとは思っていない。学校や幼稚園の整理なんかをやることは特殊の場合だと思っております。そういうことを宣伝しているから、私は見に行かれたのかということを聞いたのですが、そういう誤解がある。  それと、もう一つは、今予定されておる農林省管轄の国有地は、半分以上はすでにもう農地として耕されておる所が半分以上ある。一万八千坪のやつが一万坪ほどそうだ。その中を国道何号線か縦貫するようになっておる県の計画もあるらしい。従って、どうもそこでやるとしても、住宅はその予定地のすぐうしろにもう二百戸ほど建っておるらしいのですが、そうすると、前から住宅の建っておるところに、保育所とか、その他住宅に必要な幼稚園とか学校を建てるということの計画で進んだらしいのです。鯖江市としては。ところが、たまたま施設部隊が来るということで、そこにやるということになると、住民の人はそれは大へんだということで問題になっている、こういう実情でございます。まあそういうことがあるので、まだきまっておらないと言われるならば、ここでこれ以上押せないけれども、そういう点十分よく法律案が通ればそういう点は一つ考えてもらいたい。これを私言いたいのです。この点についてどうですか、長官
  91. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ただいま防衛庁といたしましては、かねがね比較的部隊が存在していないような県でございますとか、たとえば福井県、富山県等も御協力願えれば置きたいという気持を持っておりました。ところが、建設部隊というものが今度増勢になりますれば、その機会に、ぜひ各方面で建設部隊は全国各地でほしいという声がありますが、私といたしましては、比較的部隊の今までない方面へという気持を持っております。そこで、福井県の中でということになりますと、県、市方面の御意向がそういうことでありますれば、有力なる一つ鯖江は候補地になるのではないかと思います。もちろん自衛隊は、しかし国民のものでございますから、国民の非常な強力な反対を受けてまであえて——特によそでも来てほしいという建設部隊誘致運動が盛んでございますから、また一面におきまして、部隊のない所に建設部隊等がありますときには、災害等の場合にも相当お役に立つと思います。そこで、できるだけ私は福井県の中で、しかも地元の御協力を得られればどこかに置きたい、その中の有力な候補地として鯖江市が取り上げられているということは私も十分聞いているのでございますが、まだ未決定の問題でございます。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一つだけ、これは念のために、これだけの関係ではないのですが、施設部隊を設置するということになると、地方でいろ・いろ問題が言われるのですが、この施設部隊の工事委託と申しますか、これに対する法律的な根拠と、それの範囲、ほとんどが市町村の公共事業に対して出動されているようでございますが、出動する場合には、どういう経路で、どういう場合に自衛隊として応じられるのか。この点はこれは長官でなくても、詳しい人がおれば答弁してもらってけっこうでございます。
  93. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 自衛隊が土木工事等につきまして地方公共団体等から委託を受けて、そうして出動して各地の工事をするということは、自衛隊法の百条に規定がございます。大体のこの規定の内容を簡単に御説明を申し上げますと、「国、地方公共団体その他政令で定めるもの」、鉄道でございますとか、あるいは土地改良区、港務局、これは港の管理をいたしております港務局等から長官に、土木工事あるいは通信工事「その他政令で定める」となっておりますが、防疫——伝染病の防遇でございますが、防疫事業、あるいは輸送でございますとか、そういうような事業をやってもらいたいという御依頼があります場合に、長官命令で部隊がこれらの工事をいたすことに相なっております。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体まあその通りであると思いますが、「自衛隊の訓練の目的に適合する場合」という一つの条件がついておりますね、この法第百条に。そこで、私が聞きたいのは、どれでもこれでもやるというわけではないと思います。そこで、実際長官が、これだったらいいんだという、そういう内規と申しますか、そういうめどがあるかどうか。  それともう一つ、その場合に自衛隊が出動をして工事を請け負うというのはおかしいのですが、やった場合に、その費用の補償というものは、これは全然自衛隊は受けないで、自衛隊の費用として従来やっておられるのかどうか、こういうことです。
  95. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 今申し上げた方々から防衛庁に対して御要請がございました場合に、どういう基準でお引き受けをするかという御質問でございますが、これはその近辺の部隊の繁閑等がございます。非常にそういうお申し出が多いときには、これは受けたくても受けるわけには参りません。それから、訓練の目的から全然はずれたような工事の場合でございますね、全く自衛際がお引き受けをするに適しないような工事、そういうような場合には、これをお断わりをいたさざるを得ないと思います。それ以外に、大体自衛隊施設部隊でもってお引き受けをするに適当な工事であって、しかも、その部隊が現在それほど混雑しておらないという場合には、原則として喜んでお引き受けをする、こういうことになっております。  それから第二の経費の問題でございますが、これは施行令の百二十四条にこまかい規定がございます。大体簡単にその内容を申し上げますと、隊員の給与、これは旅費は別でございます。隊員の給与とか、あるいは隊員の糧食費、それから自衛隊の車両、航空機、船舶、機械及び器具の修理費、こういうものは自衛隊の自弁でもって行ないます。従いまして、いろんな材料の輸送費でありますとか、あるいは車両を動かすにつきましての油代でございますとか、そういうものは実費をいただくことになっております。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで大体わかったんですが、そうすると、大体出動については、もう認定範囲というものはほとんど長官にまかされておる。従って、長官は一々そういうものを決裁されないと思うのですが、これは施設部隊の隊長が大体やるようになっているんですか、あるいはどういうささいな問題であっても、長官が一応決裁することになっておるのですか、その点はどうですか。これは内部の問題ですが。
  97. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私の知っているところは、工事量等でいろいろ制限があって、それによって段階的に私から委任しているのではないかと思います。なお細部わかりますれば……。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではこれで私、質問を終わります。ただ、ここで一応長官に、長官といいますか、防衛庁当局に、ここで確認といいますか、はっきりしたことは大体福井県鯖江市に持っていくことについては考えられておるけれども、もちろん法律が通らないから結局は通らない、それから、そういう調査に行っておらない、防衛庁としても正式な調査に行っておらない、ただし、出先の部隊で行っておるかもわからない、これは行ったとは言っておられない、行ったかもわからない、この点は一応調査をしていただきたいと思います。出先の部隊に行ったかどうか。それから、施設部隊の件については、今聞いた通り、これは法律、施行令にありますから。  そこで、最後に希望ですが、ちょっと質問の間に言いましたけれども、非常に自衛隊施設部隊の、率直に申しまして受け入れについては、県下、特に鯖江市では微妙な動きをしております。賛成、反対が相当あるようです。しかし、ただ、今私が聞く予定されておる国有地の近辺の住民については、これは絶対に反対だと、こう言うのです。その付近の住民は反対だと言う、その理由としては、先ほど申しましたように、そこは保育園とか学校とか幼稚園なんかの施設をしてもらいたい、また、そういう計画であるということで住宅を建てたのに、今さら施設部隊が来るということで、遠いところまでバスに乗って学校に通うことは耐えられない、従って、反対だという意向でございます。従って、県なり市の全体の方針としては賛成の決議案も通っているようでありますが、国民の自衛隊といわれておりますから、そういう地元の人々の意見というものを十分聞かなければ、私は、軽率に防衛庁としてこうだという決定はいかないと思うので、これは答弁要りませんが、私の希望として長官一つ言うておきたいと思います。
  99. 下村定

    ○下村定君 防衛庁関係年度予算について若干質問申し上げたいと思います。  まず、その前に、先ほど山本委員のお話になりましたあれについて、一言私の意見を申し上げたいと思います。福井県に起こりました実際的な事件につきまして、あるいは新聞報道でありますから、はたして正確かどうか、確かめる必要があると思います。それから、あれをやりましたにしましても、音頭をとってやったのか、休暇でなくしてやったのか、また、護国神社に一市民として招待されて、その帰りにやったのか、こういう点の問題が残ると思うのですが、先ほど防衛庁長官が一般論として仰せになりましたことは、私は全面的に御同感であり、また、正しいと信じております。それから郷友連は政治結社ではございません。この会員は、各政党党派を通じて入っております。それだけ申し上げておきます。  次いで本題に移ります。本年度防衛関係予算につきましては、前回私が申し上げました通り、その編成の過程におきまして、政府、党内で慎重なる審議を遂げられ、また、防衛庁長官御自身も、非常な御尽力されました結果できたものであります。その結果は、私としましては不満足な点もむろんありますけれども、おおむね妥当なもの、また、積極、消極両面から見まして、やむを得ない程度であろうと存じております。従って、この際、長官に対しまして、大きなところで御質問をいたすことはいたしません。ただ、若干の問題につきまして、これは主任の政府委員の方から伺いたいと思います。  その第一は、前回申しておきましたが、訓練に関する予算でありますが、これがどういう程度になっているか、前年度に比較してどうであるか、それをお調べを願ったことでありますから、この際簡単に御答弁願いたいと思います。ただし、予算のいろいろな費目の中から、訓練プロパーの費用を拾い集めるということは、これば技術上困難だと思います。大体の目安でけっこうでありますから、ただいま申しましたこの概略の輪郭と前年度の比較、これについて御答弁いただければありがたいと思います。
  100. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) お答え申し上げます。ただいま仰せになりましたような訓練には、いろいろな弾薬とか油はつきものでございますが、こういうものを除きまして、教育訓練費として特計をしてございます分だけを御説明いたしたいと思います。三十五年度教育訓練費の総額が十七億五千四百三十八万三千円でございます。三十六年度要求いたしております金額が二十九億四千四百十七万一千円、そのほかに、三十五年度におきましては、国庫債務負担行為として九億五千六百万七千円を要求いたしております。それから三十六年度におきましては、やはり国庫債務負担行為といたしまして七億四千四百十三万五千円の要求をいたしております。差し引きいたしまして国庫債務負担行為につきましては二億一千百八十七万二千円の減でございます。それから歳出におきましては十一億八千九百七十八万八千円の増でございます。
  101. 下村定

    ○下村定君 ただいまお述べになりました中には、地方住民ないし公共団体に対する演習のための損害補償、あるいは特別の演習のための手当というものは入っておるのでありますか、いかがですか。
  102. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) ただいま仰せになりましたような経費は入っておりません。
  103. 下村定

    ○下村定君 次の問題、新しい戦闘機の採用、それからミサイルの導入、これに伴います教育の面において、本年度予算をもってどの程度のことが進捗されますか、お尋ねいたします。
  104. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) 訓練費の関係は、全体でございましょうか、F104関係の訓練費でございますか。
  105. 下村定

    ○下村定君 たとえばアメリカに訓練のためにやるとか、そういう人員の教育用の費用であります。
  106. 木村秀弘

    政府委員(木村秀弘君) ミサイル関係の訓練費でございますが、三十六年度におきましては、ナイキの訓練部隊、これが百五十六人分といたしまして、これは旅費でございますが、三千三百二十一万二千円、そのほかにF104関係の訓練旅費といたしまして三千十二万四千円、これだけを要求いたしております。
  107. 下村定

    ○下村定君 米国に派遣される人員及びその期間、いかがですか。
  108. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) お答えいたします。  ナイキにつきましては、ただいま答弁がありました通り、百五十六名が参ります。これは約二カ年の予定をもちまして教育することになっております。  それから104Jパイロットにつきましては、六名が約四カ月の予定をもちまして渡米いたしまして、帰りました上で内地で教育の部隊を組織しまして、そこでパイロットを養成するということになっております。なお、整備要員につきましては、約五十名が十数種のコースに分かれまして渡米いたしまして、期間には長短ございますが、おおむね半年から一年前後の間隔で教育を受けて帰って参ります。
  109. 下村定

    ○下村定君 最後に御質問申し上げますが、今度西部航空方面隊司令部ができますが、この司令部の隷下に属すべき航空団、その機数、それから機種、これについてお伺いいたします。
  110. 海原治

    政府委員海原治君) 西部方面隊は新田原に司令部を置きます第五航空団でございます。これにつきまして、飛行隊は第六飛行隊と第十飛行隊を予定いたしております。
  111. 下村定

    ○下村定君 多分そうだろうと思いました。第十というのはあるのでしょうか、第十航空団というのは。
  112. 海原治

    政府委員海原治君) 第十という名前のつきますのは飛行隊でございまして、これは新編いたします。
  113. 下村定

    ○下村定君 私の質問は終わります。
  114. 辻政信

    ○辻政信君 私は、きょうは質問はやめておきます。政府委員答弁資料が整っておらぬようでございますし、具体的に相当詳しい問題をやりますから、これはあらためて予算委員会分科会で御質問いたします。
  115. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ほかに御質疑ございませんか。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十九分散会    ————————