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国務大臣(
西村直己君) 数年にわたりまして、遺憾ながら、新島におきまして葛藤が続いておるのであります。あの本体は、私が不断に申し上げておるように、ミサイルの常時の発射場ではなくして、国産のミサイルの試験でございまして、実験場でございます。それから、そのミサイルはどういうものを扱うのかといえば、
防衛庁にあります技術
研究本部で試作をいたしたものを、年間二十日前後、二十回前後ですか、しかもこれには危険物は一切つけない。先には落下傘をつけまして海中へ静かに落としまして、これを回収し、中の物体を調べる。これがあそこのミサイルの
試験場の目的でございます。その現物は、技術
研究部にたしか三個できております。大きさは、大なるものが六メートル、小なるものは二メートル半ぐらいあるものでございます。飛ばすのは、結局海上へ十キロないし二十キロ、ロケットとミサイルはやや違いますが、
御存じの
通り、秋田県でやっております糸川さんの方は、海中ヘそのまま落としまして、しかも距離は二百キロないし三百五十キロ、そこで、少し地域が狭いのではないかといって、今鹿児島県へ移ろうかといっておられるわけであります。危険度から申しますと、飛び方にもよりますが、私どもの実験の方が危険度がないわけであります。あくまでも新島は
試験場と考えて参ったのでありますが、不幸にいたしまして、一部の誤解等から、政治闘争にまで発展したような形になっております。そこで、私どもの方としても、基地でないということを十分に御理解いただいて、ただいま
御存じの
通り、自民党、
政府、社会党との間でその話し合いを進め、その間あまり外部から部外者が行って、それぞれの立場において支援をしないようにということを、まあ三者、
政府、自民党、社会党の間でやっているのが現状でございます。従いまして、ミサイルと申しましても、国民の御理解をいただけば、ミサイルにもいろいろな種類のミサイルがあると思うのであります。アトラスというような、大陸間を飛ぶ一万キロを超えるようなものもございます。核弾頭をつけ得るようなものもございます。また、技研で
研究しているようなきわめて小型なものもあるわけでありまして、今日の非常に飛翔力の強い、音速を数倍するような
航空機に対して、地対空のミサイルが、これを防空上の要件からいくと、従来の高射砲ではできないものをもってこの国土を守らなければならないというような意味から、技術
研究本部等においてもミサイルというものを
研究させ、同時に、また海外からも、必要最小限度のものは、多少ミサイルの小型のもの、あるいはサイドワインダーであるとか、タ一ターであるとかいうようなものを、
予算上の御承認をいただいて購入しているのが現状でございます。要は、ミサイルに対する国民の御理解をいただくことも非常に必要ではないかと思います。ミサイルといいますと、直らに、ただアメリカあるいはソ連の持っているあの大陸間弾道弾そのものであるような印象——人によっては、ミサイルは即原爆であるような誤解を生じているということは、われわれも努力をして参らなければならぬ。また、国民の御理解と御
協力も求めなければならぬのじゃないか、こう考えている次第であります。