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1961-08-01 第38回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年八月一日(火曜日)    午前十時三十六分開会    ――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理事            小幡 治和君            伊藤 顕道君            山本伊三郎君    委員            石原幹市郎君            上原 正吉君            木村篤太郎君            下村  定君            中野 文門君            一松 定吉君            千葉  信君            鶴園 哲夫君            松本治一郎君            横川 正市君            田畑 金光君            高瀬荘太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 福永 健司君    国 務 大 臣 藤枝 泉介君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    防衛政務次官  笹本 一雄君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    調達庁長官   林  一夫君    調達庁不動産部    長       沼尻 元一君    ――――――――――   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告 ○国の防衛に関する調査  (第二次防衛力整備計画に関する  件)  (国の防衛に関する件)    ――――――――――
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  去る七月上旬実施されました国の地方出先機関公務員制度及び自衛隊等実情調査のための委員派遣につきまして、その調査報告を求めたいと存じます。  まず、北海道班報告をお願いいたします。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは北海道班派遣報告を便宜私から申し上げたいと思います。  村山理事鶴園委員並びに私の三名は、去る七月二日より九日までの八日間にわたり、北海道庁を初め、北海道所在陸上自衛隊及び航空自衛隊北海道管区行政監察局及び旭川行政監察局人事院札幌地方事務所北海道開発局及び旭川開発建設部農林省帯広統計調査事務所北海道農業試験場畜産部帯広及び旭川の各営林局根釧原野に所在するパイロットファーム等を視察いたしましたので、以下、調査概要を簡単に報告申し上げます。  最初に、北海道庁から申し上げたいと存じます。道庁では、主として機構職員配置状況、特に定数外職員の処遇問題、自衛隊に関連する事項、国の地方出先機関との事務連絡改善要望される事項等について承ったのでありますが、道庁は、本年四月に本庁と一部出先部局機構改革実施して業務効率化をはかり、なお、総合開発を強力に推進するための体制をも取り進めておるとのことでありました。定数外職員に関しては、準職員制度を設けており、本年五月末現在で、定数内職員一万六千六百人余に対し、準職員は千九百人余となっております。準職員の処遇は、任用、給与服務等、すべて定数内職員の例に準じておりますが、任用期間は二カ月を区切り、通知のない限り、繰り返し更新することとなっておりまして、将来は国の取り扱い方針等を勘案しながら、逐次定数化を行なっていきたいとのことでありました。  自衛隊との関係は、概して協調的で、自衛隊災害派遣委託工事等を通じて協力しておるようでありますが、最近特に増加傾向にある委託工事については、北海道の気象上の特殊性から、十分にその要望が満たされ得ない状況にあるとのことでありました。なお、高射砲射撃訓練に伴う漁業損失補償ジェット機騒音防止自衛隊演習場等に起因する農業被害補償等の問題につきまして、現在統一的な補償算定基準がないので、自衛隊の場合も特別損失補償法に見合う法律を制定して、迅速適正な補償措置を講ずるとともに、施設改善等に要する予算措置も講ずる必要があるとのことでありました。  国の地方出先機関との事務連絡については円滑に行なわれておるので、特別に問題となる事項はないとのことでありましたが、今回も例年のごとく、陸運事務所について責任を明確にせられるよう要望がありました。なお、北海道特殊性を考慮して、寒冷地手当を一カ月分に引き上げられたい旨の要望がありましたが、このことは国及び地方公務員を含めた全般的な問題でもありますので、他の出先機関においても同様に受けた要望事項でありました。  次に、自衛隊関係について一括して申し上げたいと存じます。自衛隊視察先は、陸上自衛隊では北部方面総監部及び丘珠にある札幌飛行場、第二管区総監部、第五管区総監部及び美幌駐屯地部隊で、航空自衛隊では第二航空団でありました。御承知のように、北海道陸上自衛隊は、北部方面隊が設けられており、この方面隊方面総監部及び直轄部隊、第二管区隊、第五管区隊、第七混成団から組織されておりまして、各管区隊混成団はそれぞれ警備区域を分担しております。航空自衛隊は、第二航空団が千歳に設けられておりますが、これは青森県の三沢に司令部を置いている北部航空方面隊に隷属いたしております。自衛隊は、民生協力の趣旨から積極的に災害派遣を行ない、また、部外工事実施も逐年増加傾向をたどってきておりまして、国民に感謝されている向きも多く、演習場射撃場についても、北海道は比較的問題が少ないようではありますが、なお、一部問題の残っている地区もあるやに聞き及びました。  そこで、現地の各部隊を視察してみました結果、特に問題となった二、三の点について申し上げてみたいと存じます。  陸上自衛隊では、まず装備及び施設についてでありますが、各部隊とも、主要部品の数量は、おおむね百パーセントの充足率を示しておりますが、質の点になりますと、米国から供与された武器の大部分が第一次大戦当時のもので、すでに旧式で老朽化し、国内調達したものでも、古いものはやはり老朽化傾向が認められ、また、各部隊施設についても老朽隊舎が多く、私ども美幌駐屯地へ参りました際は、美幌町助役がわざわざ見えられて、隊舎の改築と幹部宿舎の増設について陳情を受けたような次第でありました。隊員の宿舎については、特に下級幹部や一曹クラスの住宅が不足しており、既設のものでも、老朽や凍害のために改修、建てかえの必要に迫られておるとのことでありました。  次に、さき国会防衛二法案の審議の際にも問題となりました隊員充足状況について見ますと、平均で七五%程度にとどまり、特に医官充足率に至っては、わずか二〇%にすぎず、最も悪い例をあげますと、第五管区隊においては、医官充足率が五%しかないとのことで、これは三十八名の定員に対して、現在員がたった二名しかいないということでありまして、業務上はもちろんのこと、隊員の生命にもかかわる由々しき問題であると存じました。さらに、隊員出身別に見ますと、その大多数がいわゆる内地出身者で、北海道出身者はわずか一三%にすぎない状態であります。従って、隊員募集には相当に苦慮したあとがうかがわれ、昨年度あたりから逐次向上し、募集目標を突破するようになったとのことでありますが、将来の見通しについては、一般的に経済成長ムード下にある現況と相待って、必ずしも楽観を許さないものがあると存じました。特に、せっかく応募目標を達成しても、受験率は五〇%、合格率は七五%程度ということになっておりまして、なお、合格しても入隊に応じない者もおると考えられますので、実際に入隊する者の率に至っては、きわめて低いものと思われます。  以上申し上げました諸点とも関連いたしまして、部隊当局より、予算増額実質給与改善休暇帰省旅費増額等について要望がありましたが、単にこれだけでは解決し得ない問題を含んでおるものと感ぜられました。  次に、航空自衛隊の第二航空団について申し上げますと、当航空隊はF86F三十二機、F86D十四機、T33A十二機を保有して北方周辺警戒の任に当たっておりますが、緊急迎撃のための出動回数は、昭和三十四年度には百回以上もあったのに、三十五年度は四十数回に減少し、本年度も減少する見込みであるとのことでありました。当面の問題としては、天候の急変に備えるため、気象レーダーを完備すること、ジェット機による防空の特殊性を考慮して、現行の航空法を改正すること、また、将来F104Jが配置される場合を考慮して、道内にジェット機用予備飛行場設置すること、騒音対策の一環として、特損法にかわる法的措置を講ずること等について要望がありました。  以上で自衛隊関係を終わりまして、次に、北海道管区行政監察局及び旭川行政監察局について申し上げます。両監察局においては、昨年度監察事項及び本年度監察計画概要業務運営状況等についてお尋ねしたのでありますが、比較的恵まれない条件のもとで、困難な業務に努力されておる様子が見受けられました。特に両監察局とも、内地と異なり、不便で、しかも広大な地域を管轄しておるにもかかわらず、職員数は、管区が五十一名、旭川が十九名で、職員構成から見ても、いわゆる中堅層が少なく、さらに業務部門においては、一監察室五名程度のところが多いので、中央からの計画監察実施に当たっても、人員不足のために種々の制約を受けることが多いとのことでありました。また、本年度監察業務運営方針で、特に行政実情調査及び苦情あっせん業務に重点を置くこととしておるが、本年度から発足する苦情相談協力委員設置と相待って、苦情あっせん取り扱い件数も飛躍的に増大するものと予想されるので、これらに対処するため、監察旅費増額を初め、定員増加、事務の能率化に必要な器具、車両等購入費予算の確保、巡回苦情相談所設置行政民主懇談会開催経費の確保、苦情相談協力委員制度の拡充と、委員に対する実費弁償額の引き上げ、効率的な人事交流のための赴任旅費増額等が必要である旨の要望がありました。  なお、この機会に、行政制度並びに運営抜本的改善を期するためには、さき国会審査未了となった臨時行政調査会設置法案次期国会で成立せられるようにとの要望がありましたことを申し添えます。  次に、人事院札幌地方事務所について申し上げます。  人事院は、全国に八カ所の地方事務所を置いておりますが、各地方事務所業務は、任用状況調査人事記録等の監査、各秘試験実施給与関係調査研究、服務、能率、公平関係業務等、多岐にわたっております。札幌地方事務所は、恒例の民間給与実態調査を去る四月二十五日から六月十三日までの間にわたって実施し、私どもが参りましたときは、ちょうど資料を本庁へ送り終わったところでありました。当事務所職員数が十九名程度でありますので、年間十数種に及ぶ各種採用試験募集試験実施が重なってきた場合には、道内の各出先機関から協力を得ているが、試験最盛期には、土曜、日曜を返上して業務に当たるので、職員は休むひまもなく、人手不足超勤予算の不足には苦慮しておるとのことでありました。  次に、農林省関係機関について申し上げます。農林省関係では、帯広統計調査事務所、林野庁の帯広及び旭川の各営林局を視察いたしました。なお、予定外ではありましたが、札幌営林局から御連絡していただきまして、北海道農業試験場畜産部に参り、畜産部長説明を受けた後、羊の種畜牧場を見学いたしました。  農林省関係機関職員定員化は、当内閣委員会においてもしばしば問題になってきておりますが、今回は帯広統計調査事務所において、現在十名に及ぶ定員外職員が四月一日に遡及して全員定員化される見込みであるとの朗報を承りましたので、多年の懸案を一挙に解決したような喜びを感じましたけれども、全般的に見た場合、全面的解決にはいまだしの感がありまして、各営林局においても、定員化数現地要望する数には満たないところが多く、また、さき国会で当内閣委員会附帯決議とした「職種により差別しないこと」についても未解決状態にあるようでありました。なお、要望事項として、統計調査事務所から、北海道は全般的に欠員の多いところであるが、勤務条件が悪いので希望者が少なく、ために人事交流の面で相当困難しておる状況にあるから、この隘路を解消するため、暫定手当本俸繰り入れ北海道在勤者に対する特別手当の支給、公務員宿舎増設等要望が述べられましたが、これらはいずれも北海道所在の各省庁の出先機関についても言える問題であると存ぜられました。  次に、開発局関係について申し上げます。開発局関係では、北海道開発局旭川開発建設部及び根釧原野パイロットファームを視察いたしました。北海道開発局は、昭和二十六年に設置されて以来十周年を迎えて、現在は第二次計画の第四年目となっておりまして、さき国会では北海道開発法の一部を改正する法律案審査未了となりましたが、三十七年度には組織改正を実現すべく現在取りまとめ中で、これが実現方について要望がありました。なお、その際、現在の地方開発建設部を、内地にある建設省の各地方建設局並みにしたいとのことでありました。また、定員関係につきましては、当局事業量が年々増加しておるにかかわらず、これに見合う定員増が認められず、職員過重労働を来たしており、今回の定員化問題についても、対象者の四分の一程度定員化されないままに残される可能性があるので、定員増全員定員化について強い要望がありました。さき国会で当委員会が行なった附帯決議に関連する「除外職種」の判定問題についても、行管の調査を待って協議するとのことでありましたから、これが解決は将来の問題になろうと存じます。  最後に、パイロットファームについて申し上げます。パイロットファームは、わが国では最初機械開墾方式により、今まで不毛の地とされていた根釧原野一大酪農郷を建設しようとするものでありまして、昭和三十年度から着工し、三十四年度に完了した床丹第二地区と、三十三年度から着工し、来年度に完成を目ざしている床丹第一地区とからなっております。この事業は、北海道開発局北海道及び農地開発機械公団の三者がそれぞれ分担して、開発局は道路、排水、防風林等建設工事を、道庁では、入植、訓練、資金の貸付、営農資材導入等営農指導の面を、また、農地開発機械公団は、機械開墾乳牛導入等の面を受け持っております。入植者床丹第二地区が百八十七戸で、一応の計画を完了し、床丹第一地区は二百六十四戸の計画に対し、現在は百五十戸で、本年度中に五十戸、来年度には完了する予定であるとのことで、現在は両地区の合計が三百三十七戸となっております。一戸当たり土地利用面積は、耕地が十三町歩から十四町歩で、その他を含めると、約十八町歩から十九町歩でありますが、昨年度営農実績を見ますと、おおむね基本計画を上回っておりますが、経営費生計費基本計画を超過しておるので、バランスは必ずしも好転していないとのことであります。また、入植者に対する融資も、当初は二戸当たり三百万円の予定であったものが二百五十万円に削られたので相当に苦しく、やはり三百万円程度は必要であるとのことでありました。現地では、各指導機関入植者は渾然一体となって協力し、いわゆるさいはての地で不毛の原野を切り開くことに努力しておられますが、最近のわが国経済事情などをあわせ考えますと、このパイロットファームの将来については、より一そう厳密な検討を要する問題がひそんでおるのではないかと感じた次第であります。  以上、簡単に申し上げましたが、なお、詳細についての御要望がございましたら、各視察先でいただいた調査資料を当委員会調査室で保管しておりますので、適宜ごらん願いたいと存じます。  以上で派遣報告を終わります。
  4. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、山陰班報告をお願いいたします。
  5. 田畑金光

    田畑金光君 山陰班報告を申し上げます。当委員会の御決定によりまして、吉江委員長をはじめ、大谷委員田畑委員の三名は、去る七月二日より八日までの七日間、山陰地方並びに隠岐島に出張いたしました。視察先は、海上自衛隊舞鶴地方総監部海上保安庁第八管区海上保安本部鳥取県庁鳥取行政監察局島根県庁島根行政監察局航空自衛隊美保基地及び隠岐島における離島振興計画に基づく諸工事等でありまして、隠岐島と美保基地には、特別参加として石原委員が同行されました。  なお、島根県においては、たまたま七月四日同地方を襲った水害の被災地である出雲市、平田市、大社町の各市町村を訪れ、お見舞をいたして参りました。  以下、調査概要を簡単に御報告申し上げます。  第一に、自衛隊に関する調査でありますが、海上自衛隊舞鶴地方総監部及び航空自衛隊美保基地において、それぞれ隊務現況並びに要望事項を聴取いたしました。まず、舞鶴地方総監部において特に問題となった点を申し上げますと、同地方隊定員は二千二百四十三名であるにかかわらず、現員は千五百十九名で、その充足率はわずか六九%にすぎず、近年隊員自然減耗増加しており、一年に隊員の一割がやめていくとのことでありまして、これに対する対策必要性を痛感している旨述べられました。  次に、同隊においては、かねてから舞鶴湾口博奕岬警備所設置計画を持っており、本年六月から着工予定にしていたところ、着工寸前京都府知事反対意見があって、一時延期の状態になっておるので、なるべく早く着工できるよう取り計られたい旨、また、旧厚生省引揚援護局跡施設を利用して、ここに同隊隷下教育隊を移転せしめる計画を持っているが、これも地元舞鶴市の工場誘致計画と競合し、その打開策に腐心しているが、円満解決に御助力いただきたい旨、また、隷下新潟基地分遣隊基地隊昇格につき御配慮いただきたい旨の要望が述べられました。  なお、舞鶴においては飯野重工業株式会社に立ち寄り、同会社が引き受けている海上自衛隊艦艇建造修理作業現況について説明を受け、また、同工場を見学いたしました。  次に、航空自衛隊美保基地について申し上げます。同基地には現在輸送航空団が配置されておりますが、防衛庁では、この輸送航空団を他基地に移し、ここにF86Fの航空団を配置すべく、それがため中海埋め立て実施して、二千四百メートルの滑走路を新設する計画を持っております。それが本年度予算化され、いよいよ実施に踏み切る方針を定め、先般来、白浜政務次官等を派遣し、地元民の理解と協力を得るため説明会を各所に開催して参ったことは御承知通りであります。私どもは、最初輸送航空団司令より、同部隊の沿革、任務、教育訓練災害派遣等について説明を聞いた後、空幕監理部長より、美保基地滑走路拡張に対する防衛庁側意向を聴取したのであります。すなわち、地理的事情よりF86F航空団をここに配置する必要性ロッキード生産計画などよりこの拡張実施緊急性について、また、騒音の問題、漁業補償問題、地元干拓計画との関係船舶航行との関係あるいは観光の面等々より、地元反対意見が根拠のないものである旨、るる詳しい説明がありました。この美保基地滑走路延長問題に対しては、地元では中海にある大根島島民が絶対反対を唱えているなど、なお相当反対の声があるようであります。  私どもは、鳥取県、島根県において、知事並びに当局にこの問題に対する県側意向をただしたのでありますが、この際便宜申し上げますと、両県とも、結論的に言って、現段階では全面的協力はできかねる。すなわち、知事として納得させるのに骨が折れるのではないかとの意見が述べられ、島根県議会基地対策特別委員会でも、現段階では賛成できかねるので、善処方要望するという趣旨決議がなされているとのことであります。また、美保基地以外には適地がないという理由が弱いのではないか、滑走路を延長するにしても、埋め立てをやらずにできないか等の意見も聞かれました。私ども美保基地において、かかる地元意向も含め、さらによく検討されるよう要望して参りました。  第二に、国の各種地方出先機関に関する調査について申し上げます。  まず、鳥取行政監察局島根行政監察局でありますが、両監察局においては、主として行政実情調査苦情あっせん業務概況について説明を受けました。行政実情調査は、各行政監察局が、国民生活に密着した行政上の問題を苦情あっせん業務などより自主的に発見し、これを一つ一つ解決していくという新しい行政監察方式で昨年十月開始されたもので、これが非常に成果をあげ、国民各層より絶大な期待と感謝を寄せられているということであります。私どもは、その具体的な成果の実例につき詳しく説明を聞き、ともすればお役所主義に陥りやすい行政を末端から正していくためにも、この行政実情調査を一そう強力に推し進められるよう激励いたして参りました。一方、苦情あっせん業務も、昨年法制化されて以来、その受理件数も飛躍的に増大し、行政苦情相談協力委員制度も本年七月一日円滑にすべり出しを見たことと相待って、ますますこの業務を積極的に実施したいとのことでありました。それにつけても、この活動経費たる監察旅費が本年度相当増額されたが、まだ不十分で、巡回行政苦情相談制約を受けているため、増額方につき、なお一そうの御助力をいただきたい旨の要望が述べられました。その他、組織整備強化赴任旅費増額行政監察職員に対する特別俸給表の設定、監察官職に対する管理職手当支給図書購入予算増額等についての要望、また、鳥取行政監察局では、合同庁舎総合的管理制度を確立していただきたい旨の要望がありました。  次に、海上保安庁関係でありますが、その視察先は、舞鶴に所在する第八管区海上保安本部、その下部機構たる舞鶴海上保安部境海上保安部宮津海上保安署であります。第八管区海上保安本部において特に問題となりました点は、巡視船艇増強であります。巡視船並び巡視艇の中には、戦時中建造木造船等老朽船がいまだ半数を占めるという状況で、海上保安庁においても新船建造に努力しているが、建造予算は、防衛庁の七、八十億に対して、海上保安庁わずか六、七億という少額であり、この分でいくと新船との交代に十数年かかる見込みとのことであります。海上保安庁使命達成には巡視船増強が先決であると強調し、一そうの御配慮をいただきたい旨述べられました。また、同管区警備区域に入っている竹島に話が及び、昨年十二月巡視船より見たところでは、韓国側は三十名の警備員が半カ月交代で警備しているとのことであり、なお、同管区では、韓国政変以後、密航の取り締まりには一段と注意しているとのことであります。  その他、浜田海上保安部大社分室設置舞鶴海上保安部香住分室海上保安署昇格敦賀海上保安部国分室海上保安署昇格等機構整備庁舎整備等要望事項が述べられました。宮津保安署においては、同署は署長以下陸上職員三名、巡視艇一隻という配備状況で、緊急用務の際は民間から留守番を頼むという状況で、少なくとも定員八名程度小船艇二隻に増強していただきたい。また、宮津港に専用の桟橋を設置していただきたい旨の切なる要望がなされました。  以上が行政管理庁並び海上保安庁関係でありますが、その他私どもは、鳥取行政監察局においては、鳥取地方公安調査局長鳥取地方気象台長中国地方建設局長鳥取工事事務所長来訪を求め、また、島根行政監察局においては、中国海運局松江支局長来訪を求め、それぞれ当該業務概況と、当内閣委員会に対する要望事項を聴取いたしましたので、簡単に触れておきたいと存じます。鳥取地方公安調査局長よりは、対象団体の動向及び美保基地反対闘争現況について聴取いたしました。鳥取地方気象台長よりは、気象災害の多発より近時重要性を加えた防災業務のため、レーダー無線ロボット雨量計等観測器材増強防災面を担当する専任職員設置について、また現在の庁舎鳥取市の中心市街地より八キロも離れ、関係官公庁団体機関との連絡に便を欠くので、庁舎を移転していただきたい旨の要望がなされました。中国地方建設局長鳥取工事事務所長よりは、国道二号線、二十九号線等、道路改修事業、千代川改修等、河川事業の進捗状況について聴取しましたが、同時に、過去五カ年間において一人当たり事業費が三倍になっているので、ぜひ定員増をお願いしたい。本年度定員外職員の七割は定員化されたが、残りの三割をぜひ来年度定員化していただきたい等の要望がなされました。中国海運局松江支局長よりは、庁費関係が削減され、通信費にも事欠く事情や、現在労務官が兼任一名であるので、労務関係取り締まりに支障を来たす等、問題点の説明を受けました。  国の各種地方出先機関に関してはこのくらいにいたしますが、ここで共通して要望されたことを申し上げますと、第一点は、現在の暫定手当人事交流のネックとなっているので、暫定手当本俸繰り入れを促進していただきたいということ。第二点は、公務員宿舎をもっと増設していただきたいということ、この二点でありました。  最後に、鳥取島根両県庁に関する調査について一括して申し上げます。両県庁においては、定数外職員の処遇問題、寒冷地手当の問題、国の地方出先機関との事務連絡改善を要する事項等、さらに島根県庁においては、隠岐島の離島振興計画実施状況と隔遠地手当の問題について調査いたしました。  まず、定数外職員の処遇問題について申し上げます。御承知通り、先般の国会において、国家行政組織法の一部を改正する法律が成立し、国家公務員に対する国の取り扱い方針が決定されましたが、これに関連して、両県庁職員に対する取り扱いをただしたのでありますが、両県庁では、昭和三十三年度より、国の定員繰り入れ率に準じて定数外職員の定数繰り入れを実施してきたが、今回の国の方針に対しては、すでにこれを予想し、準職員制度を設け、定数外職員全部に試験実施し、その九割を準職員として、任用給与服務等、すべて定数内職員と同等に取り扱っているとのことでありました。さらに今後の定数化問題は、自治省の方針決定次第検討したいとの意向でした。  次に、寒冷地手当については、鳥取県では別に問題もないとのことでしたが、島根県では支給区分に不合理なところが少なくない。多少融通性を持たしてほしい等の要望がありました。隔遠地手当については、この支給区分が僻地教育振興法に基づく教育公務員に対する僻地手当の支給区分との間に均衡を欠いているので、この是正方につき要望されました。また、国の地方出先機関との事務連絡については、おおむね円滑に行なわれており、特別に問題となるべきものはないとのことでありましたが、両県とも陸運事務所のあり方につき、県にまかしてしかるべきではないかとの意見が述べられました。  次に、離島振興計画については、昭和二十八年離島振興法制定以来、昭和三十七年度にわたる隠岐島振興十年計画が同法に基づいて策定され、道路、港湾、電気通信、開拓、土地改良等、振興開発を行なってきたが、本年度までに計画の六〇%程度しか事業が進捗せず、あと一カ年ではとうてい達成し得ないので、この法律の効力期間を延長していただきたい旨の強い要望が述べられました。私ども隠岐島に渡り、開拓農地などを見て参ったのでありますが、隠岐島は人口約四万、半農半漁を主体としておりますが、耕地は二戸当たり四反歩、全国平均の半分以下であり、まだ道路が非常に悪く、港湾の改良も必要とされ、その上電力も小規模の発電所に頼っている状況で、順調でない等、幾多の問題をかかえているやに見受けられました。かかる後進性を打開するためにも、本土との連絡航路が国からの補助を受けているが、赤字続きであるので、ぜひ国営にしていただきたい旨、また、同島は観光資源に恵まれ、現在国立公園の指定を運動中であるが、これに対し助力していただきたい旨等の要望が述べられました。  日程の都合上、きわめて大急ぎで視察いたしましたので、十分にその意を尽さぬ点がありましたが、以上で調査の概略を御報告申し上げた次第であります。  なお、以上のほか、各視察先よりこまかい資料をいただいて参り、内閣委員会調査室の方に保管させてありますので、必要がありますれば、適宜その方でごらんいただきたいと存じます。  以上、御報告を終わります。
  6. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 以上で派遣報告は終了いたしました。  ただいまの派遣報告に対して、御質疑のおありの方は御発言願います。  なお、政府側からは、山口行政管理局長、原田行政監察局長、植杉林野庁業務部長、海原防衛局長、小幡教育局長、木村経理局長、久保装備局長、麻生防衛庁参事官が出席になっております。  御質疑ございませんか。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  7. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。  別に御発言もなければ本件はこの程度にとどめます。    ――――――――――
  8. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、国の防衛に関する調査を議題とし、まず、第二次防衛力整備計画について防衛庁当局から説明を聴取いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  9. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。
  10. 海原治

    説明員(海原治君) お手元に第二次防衛力整備計画についてと題します説明資料を配付してございますが、これ一応朗読して参りましょうか。
  11. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 要領よく一つ説明して下さい。
  12. 海原治

    説明員(海原治君) 先般、七月十八日の国防会議におきまして、第二次防衛力整備計画の決定を見たわけであります。お手元の資料には、その際に発表になりましたものを一応収録してございます。  この計画作成の趣旨は、冒頭に書いてございまするように、わが国内外の諸情勢の推移を見通して、わが国に対し起こり得べき脅威に対処して、有効な防衛力の計画的、かつ、円滑な整備をはかるために、国防の基本方針にのっとりまして、昭和三十七年度から四十一年度に至る二次計画を作成するものであるということがその趣旨であります。  この防衛力の整備方針を次に記載してございますが、まず第一に、現在の日米安全保障体制のもとにおきまして、在来型兵器の使用による局地戦以下の侵略に対し、有効に対処し得るような防衛体制の基盤を確立するというのが一つのねらいでございます。昭和三十六年度末までに達成されますところの防衛力は、一応骨組み的なものでございます。それを骨幹的防衛力と言っておりますが、その骨組みが整いました防衛力につきましてその内容の充実を行ない、あわせて科学技術の振興に即応した精鋭的な部隊の将来における建設を行ないまするための基礎をつちかうものである。それで陸、海、空の自衛隊の総合的な防衛力の向上をはかるというのが第一の方針でございます。この骨組みであるところの防衛力ということにつきましては、先般の国会におきましても、本委員会におきましていろいろと御質疑がございまして、お答えもいたした次第でございますが、この内容といたしましては、装備の近代化、それから逐次古くなって参りますところの装備品の損耗分を計画的に更新していく。さらにその更新に当たりましては、部隊の機動力というものを大いに増進したい。さらには後方支援態勢の強化、特に基地等の後方施設整備充実等をしていくというのがそのねらいでございます。特に、万一不幸にして有事の事態に対します場合には、おおむね一カ月分程度の弾薬というものは備蓄いたしまして、とにかく三自衛隊が独力で対処していけるようにしていきたいというのが第二の方針でございます。  それから、さらに第三といたしましては、現在各種の兵器がめざましい進歩をいたしております。特に誘導兵器の進歩に即応いたしまして、対空誘導弾の導入をはかる。これは具体的には、ナイキ、ホーク大隊でございます。その他近代的な装備の一部を整備し、なお、研究を要するものにつきましては運用の研究を行ない、その完成とともに部隊整備していく、こういうように考えておりますのが第三の方針でございます。  それから次に、以上のような具体的な陸海空自衛隊防衛力の向上ということのためには、さらに情報機能を整備充実し、あるいは技術研究開発を促進し、さらに国土、国民に密着した防衛力、前長官もしばしば申し上げておりましたが、国民の中の自衛隊というためには、災害派遣であるとか、公共事業への協力というような民生の協力面の施策を推進して参らねばなりません。特に飛行場の周囲におきますところの騒音の防止対策というものにつきましては、重点を置いて取り上げていく、これが第四の方針でございます。  以上のような整備方針に基づきまして、昭和四十一年度末におきますところの目標を次のように設定いたしたわけでございます。  陸上自衛隊につきましては、制服の自衛官十八万人、これで五方面隊、十三個師団を編成いたします。予備自衛官三万人、海上自衛隊については、艦艇十四万トン、航空自衛隊につきましては、航空機約一千機をもちまして二十四隊を組織し、そのほかに地対空誘導弾部隊四隊、これはナイキが二個大隊、ホークが二個大隊、こういうのが内容でございます。  以上のような目標を達成いたしますためには、今後四十一年度前後、経費の増額が必要になって参ります。これにつきましては、一応事務的な推算といたしましては、今後毎年平均百九十五億円ないし二百十五億円程度増加というものが必要になってくる、このように考えております。ただし、その毎年の防衛庁費の増ということになりますと、当然国会で御審議をいただくわけでございます。各年度予算の作成に当たりましても、そのときどきの財政経済事情というものを十分に勘案いたしまして、民生安定その他一般の諸施策との均衡を考慮してこれは決定していくというのが、一応経費を推定いたしましたときの条件でございます。  さらに、この計画実施に伴いましては、何分にも五カ年の長期にわたる計画でございますので、その間にいろいろと情勢の変更、条件の変化等もございましょうから、内外の情勢の推移等に伴って、戦略構想等に基づきまして長期的な見通しを絶えず持ちながら、時々折々に再検討していく。その必要ある場合は、すみやかに国防会議の議に付しまして、そしてこの計画は修正していくものであるというのが私どもが現在考えております、先般御決定になりました二次防衛力整備計画につきましての事務当局としての考え方でございます。  さらに、若干数字的な点を敷衍して御説明申し上げますと、現在陸上自衛隊につきましては、一応十七万一千五百人というのが自衛官の定員でございますが、これを十八万にいたしまして、八千五百人の増をお願いしたい。予備自衛官の定員は現在一万七千人でございます。これは年末におきまして三万人、一万三千人の増をお願いする、こういうふうに考えております。この人員をもちまして、先ほど申しましたように、基幹部隊としましては五方面隊の十三個師団、これを編成して参りたい、十三個師団につきましては、先般の国会におきまして関係法律の御制定をみたわけでございます。  海上自衛隊につきましては、先ほど約十四万トンと申しましたが、具体的に申しますと、一応十四万三千七百トン程度のものというものを見込んでおります。この数字は昭和四十一年度末までに着工いたしますものが出て参りましたときの数字を含めておりますので、四十一年度末のところでとってみますというと、約十二万トン程度になるわけでございます。その内訳は、護衛艦艇といたしましては約九万三百トン、潜水艦が一万六千五百トン、掃海艦艇が約一万五千七百トン、海峡、港湾防備等の艦艇といたしまして約二万一千二百トンというのが海上自衛隊十四万三千七百トンの内訳でございます。  海上自衛隊につきましては、このほか航空機を二百三十五機保有することに予定いたしております。  さらに、航空自衛隊につきましては、先ほど申し上げました二十四隊は、おおむね六百五十機程度の実用機をもって編成いたすものでございます。その内訳を申し上げますと、全天候の戦闘機部隊が十一隊、昼間戦闘機部隊八隊、偵察機部隊一隊、輸送機部隊が二隊、飛行及び電子監査隊が二隊、これが一応の予定でございます。航空自衛隊につきましては、このほかにいわゆるサイトとして御存じの航空警戒部隊、各地における第一線にレーダーで航空警戒をいたします部隊を二十五隊編成いたしたいと考えております。なお、いわゆるバッジとして考えられました半自動になります警戒要撃組織というものは、一応計画の当年度におきまして完成をいたしたい、四十一年度末までに全国を一セクターといたしました組織を持ちたい、このように考えております。このほかに、先ほど申し上げましたような地対空の誘導弾部隊、ナイキ一個大隊、ホーク二個大隊というものがございます。  以上が第二次防衛力整備計画のごく重点と申しますか、重要な事項につきましてのあらましを申し上げた次第であります。
  13. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 以上で説明は終了いたしました。ただいまの説明及び他の防衛問題について御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  14. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 議事進行について。もちろん今、防衛局長から説明されたのだが、第三次池田内閣ができて、防衛庁長官も新任された。たまたま第二次防衛計画がそのときに発表されたのですが、従って、質問はたくさんあるのですけれども、きょうは基本的な問題だけやろうと思うのだが、やっぱりこういう重要なときだから、局長に事務的に質問してもいいのだが、きわめて政治性が強いから、閣議がいつ終わるかわからぬようだが、こういう事情を説明して、前からわかっているのだから、すぐ大臣を寄せてもらいたい。
  15. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記  をとめて。   〔速記中止〕
  16. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけ  て。  次に、藤枝防衛庁長官、笹本防衛政務次官及び林調達庁長官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。
  17. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) このたび防衛庁長官を拝命いたしたのでございます。過去一年間、総務長官として、内閣委員長並びに委員の皆様には非常に御厄介になりました。引き続いていろいろと御指導をいただくわけでございます。まことに不敏でございますが、皆さんの御指導をいただいて職務を全ういたしたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
  18. 笹本一雄

    説明員(笹本一雄君) このたび防衛政務次官を拝命いたしました笹本一雄でございます。防衛関係につきましては、まことにふなれでございましてしまするが、長官のもと、一生懸命その職務に精励するつもりであります。どうか委員の皆さんにおかれましても、格段の御支援と御指導をお願い申し上げます。  一言ごあいさつ申し上げます。
  19. 林一夫

    説明員(林一夫君) このたびの異動によって調達庁長官を拝命いたしました林一夫でございます。浅学非才、大臣の御指導によりまして、全力を尽くしたいと思っております。どうか御親切なる御指導と御鞭撻をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  20. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) あいさつが終わりましたので、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは新任の藤枝防衛庁長官に、まず第二次防衛整備計画について、時間の関係で具体的に率直に質問いたしまするが、その点一つ新任防衛長官としてはっきりと御答弁を願いたい。  まず最初に、先ほど防衛局長から、第二次防衛力整備計画についての内容の説明があったんです。もちろん長官これは御存じだと思う。その前文に少し気になることがあるんです。と申しますのは、ここにこういうことがある。「わが国内外の諸情勢の推移を見通し、わが国に対し起り得べき脅威に対処して」、 こういう文言があるのです。これはまあすらっと読めば別に問題がないようであると思いますが、今まで第一次の防衛計画なり、その他防衛法案の審議の法案を見ましても、こういう文字はあまり見られなかったと思うのですが、池田さんがアメリカへ行かれて、今度の政府として国際情勢の把握が変わったのじゃないかという、われわれそういう受け取り方をするのですが、具体的に、この「起り得べき脅威」というのは、一体どういうものを具体的に想定してこの第二次防衛力の計画をされたか、この点をまず最初に聞いておきたい。
  22. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) のどを悪くしてお聞き苦しいと思いますが、お許しを願いたいと思います。  もちろん防衛と申しますか、わが国の安全を確保するための態勢、防衛力の充実というようなものは、未然にそうした問題を抑制すると申しますか、要するにわが国に対してのいろいろな脅威が起こらないということを前提にすることは申すまでもないのでございます。しかしながら、いろいろなことを考えますると、やはりそうしたわが国に対して脅威があり得る場合も想定しなければならない。そういう意味において、そういう脅威に対して有効な防衛力を作るということでございまして、ただいま御指摘のような、総理の訪米によって特に情勢の判断を変えたというような意味にはお取りにならないで、すらっとお取りいただいてけっこうだと考えておる次第でございます。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうはいかない。というのは、これが一般的な総理の国会における施政演説とか、そういうものであれば、ある程度そういう解釈もできるのですが、具体的に日本の防衛力を五カ年で年間約二百億の国費を使って増強しようという具体的な案の前文なんです。それに対して起こるべき脅威という、これはわれわれだけじゃないのです。今日世界情勢は、若干いろいろ複雑な様相を呈しているのですね。従って、はたして政府がこの計画を作るときに、国防というのはそういうものだと思っている。私は、何かそこに一つのものを、仮想敵国とはいいませんけれども、そういうものを一つの目標として、そうして国防計画というものは立てられるものですね。そうでなければこれは意味がない。従って、前文にそういう「脅威に対処して」というのは、これは具体的にわれわれが一応憂える点は、いわゆるソビエトと北朝鮮との軍事同盟がある、あるいは中国と北朝鮮との軍事同盟が結ばれておる、韓国におけるクーデターもあった。要するに、そういう身近かな脅威というものを――脅威と言いますか、不安というものは日本の国民は感じておると思うのですね。そういうときにこういうものを出されたことについては、今言われたそういう一般的な説明では私は納得できないと思う。従って、具体的にこの国防計画を立てられるときに、どういう想定のもとにやられたかということを聞きたいというので私は質問をしたのです。従って、その「起り得べき脅威」というものは、その場合があるというふうな考え方でこれはおそらく立てたのではないと思う。率直に一つどういう脅威が起こり得るか、それがためにこの第二次防衛計画を立てられるのか、この点を一つはっきりしてもらいたい。
  24. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 先ほども申しましたようなことでございまして、もちろんわが国を取り巻くいろいろな状態があろうかと思います。しかしながら、特にどういう勢力がどういう形でわが国に対して脅威を与えるというような、特定ないわゆる仮想敵国とか、そういうものを考えて想定しておるのではないのでございまして、わが国の安全を守る上におきまして、いろいろな状態、すなわち、間接侵略もありましょうし、直接侵略もありましょうが、そういうものを考えながら対処していくという意味でございまして、ただいま御指摘のような、切迫したいろいろな国際情勢というものを具体的に想定してやったものではございません。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは聞きますけれども、われわれ不安な原因はそれだけじゃないのです。一昨日の新聞で私ちょっと拝見したのですが、政府は、今まで厳として、憲法上は核兵器は持ち込み得る、違憲でないという答弁をしております。しかし、政策上としては絶対核兵器は持ち込まない、こういう方針を堅持されておったと思う。新聞を見ると、自民党の方では、核兵器を導入するやにわれわれ受け取れるような発表が新聞紙上見られるのですが、はたしてその点は防衛庁長官なり今の池田内閣としては、はっきりとどういう考えであるか。巷間伝えられるようなそういうことが考えられておるのかどうか、この点をはっきりしてもらいたい。
  26. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 歴代の内閣がそうでありますし、池田内閣も同様でございますが、核兵器の持ち込み、あるいは核装備、こういうものは絶対にいたさないという大方針には変わりはございません。ことにああいう報道がございましたので、私さらに総理並びに外務大臣とも意見を交換いたしまして、そういうことは絶対ないことを確認をいたしておる次第でございます。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 防衛庁長官からはっきり、政府の方針は核兵器は絶対に持ち込まない、こういうことでありますが、しかし、実際、戦前から、国防、軍備というものがたどってきた経過を見ると、非常にそういう点でわれわれが危惧する点がたくさんあるのですね。軍備というものはそういうころがり方をするのです。最初はそういう気持でなくても、それがいろいろな事情で一つころび出すと、だんだんそれがふくらんでしまって、もう池田さん自身でもそれをとめることのできないような結果になるのですよ。おそらく今そういうことを言っておられますけれども、過去のこの自衛隊の歴史を見ましても、警察予備隊から保安隊、その当時はまだよかったのですが、その後自衛隊になってからこの方というものは、だんだんとその方向が変わってきておると思う。従って、核兵器についても、そういう国会においては言明をはっきりされておるけれども、そういう不安が国民の中にある。私、休会中に山陰道をずっと遊説に回りましたが、島根で一人の農夫がこういうことを、私が防衛法案についていろいろと話をしたあとで言う。山本さん、どうも私は戦争が起こるような気がして仕方がない。一体どういうことかというと、あの美保基地の問題は言わない。私の田地の前に大きい道路がついております。このいなかに舗装道路のああいう太い広いものが通ってくることは、どうも私は不安でならないということを言われた。私も予想外であった。それほど今、日本の農民層といいますか、非常に政治に直接関係ない人もそういう不安を持っている。そういう際に、こういう国防計画の前文に、情勢の把握として「脅威に対処して」というような前文がつくと、何だかもう戦争でも起こるのじゃないか、それがため防衛力を増強せぬといかぬのじゃないか、こういう受け取り方をすると思う。従って、この点については政府はよほど考えなければいけない。もう一回私は念を押しておきますが、核兵器、これはもうわれわれ自衛隊については、もちろん基本的な反対意見を持っているけれども、戦争の災害を考えて、日本が絶対核兵器を持ち込まない。これは単に政府だけでなくて、自民党――今の政府を構成する自民党自体もそうであるということが言えますかどうか、その点はっきり答弁して下さい。
  28. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 私から自民党はどうだということをお答えするのは、あるいは不適当かと存じます。しかしながら、この内閣の根本方針でありまする核兵器は持ち込まない、核装備はしないということにつきましては、十分与党である自民党と打ち合わせた上のことでございますので、その方針は変わらないと申し上げて差しつかえないと思います。
  29. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しつこいですが、この点は非常に問題が全国的にあると思いますので、もう一回、あなたのまあそういう力でやれるかどうか知りません。総理の力でやらなければいかぬかしれませんが、一つ適当に最近の時期に――政府の意向はきょう表明されました。これはわれわれ了解いたしました。自民党との間で十分この点を打ち合わして、ああいう不安めいた報道が間違いであるということについて、自民党と政府と十分責任をもってそういう発表ができるかどうか、この点どうですか。
  30. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 十分御趣旨に沿いまして、ああいう国民をまどわすと申しますか、不安に陥れることのないように、十分に今後も打ち合わせをして、はっきりした態度を表明いたしたいと考えております。
  31. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃ、もう一点だけ。いろいろと問題があるのです。あるのですが、もう一点財政上の問題について聞いておきたいと思うのですが、この計画によると、大体年平均百九十五億ないし二百十五億程度増額が見込まれている。大体五カ年で一千億というものに計算上なると思う、事務的に見まして。しかし、そのつど臨時に再検討するということなんですが、この計画は大体五カ年で一千億となっておりますが、その際に、四十一年度において国民所得とこの防衛費のパーセンテージ、それから総予算におけるパーセンテージはどうなるという推測でやられておるのか。この点ちょっと説明を願いたい。
  32. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) かりに先ほど御説明いたしました年平均が二百十五億程度、高い方をとりますと、四十一年度におきます推定国民所得に対する割合は一・五二%程度です。総予算についてはどうかということでございますが、これにつきましては、私の方は推算を持っておりません。
  33. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 長官、どうなんですか。大体これは国民所得を基準に考えることも必要ですが、国費をこれに費やすのですから、予算規模との関連性がなくちゃいけないと思うのですが、大体五年後には政府予算が大体どのくらいになるという見積もりでこれだけの増強計画を立てられたか、この点どうですか。
  34. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) ただいま防衛局長から申し上げましたように、この計画を立てます際のいろいろな財政的な関連につきましては、推定の国民所得を基準にして考えたのでございます。御承知のように、その年その年の財政規模というものは、もちろんある程度のカーブはありましょうけれども、いろいろな事情によりまして動いて参ることを考えますので、国民所得を中心にしてこの計画を立てたわけでございます。従いまして、今申し上げましたように、その年の財政規模がどのくらいになるかということは試算をいたしておらない次第でございます。
  35. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはどうも長官ね、われわれ常識で考えまして、もちろん国民所得から見るということも、これは一つの目安となることは事実なんですよ。しかし、国民所得即国の財政ということとは、これはある程度並行するけれども、そうでない場合がある。その均衡ということは国会においても問題になると思う。それを、全然そういうものを考えずに大体こういう五カ年計画というものを立てられたということについては納得できないのです。この点全然話にならなかったのですか。われわれとしてはきわめて不満なんですがね。
  36. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) 御承知のように、この国民所得につきましては、政府としまして、経然企画庁が中心になりまして、将来の長期の見通し、たとえば五カ年なら五カ年後の見通しというものを立てております。しかし、財政規模につきましては、ただいま長官から御説明申しましたように、その年々の歳入と見合って規模がきまってくるものでございまして、長期の見通しというものは別に立てておりません。その関係で当該年度一年々々をとりまして、当該年度につきましては、その全体の歳出予算の何%になるかという数字は、御参考までに毎年国会に提出いたしておりますが、こういう長期の計画を立てるにあたりましては、第一次の計画もそうでございましたが、特にその歳出予算との比率というものは出しておらないのが過去の実例でございます。
  37. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 過去については一応言わないが、今後これは問題になる重要な点だと思うのですよ。従って、国の財政というものを一応考えずに――考えておるけれども、そういうものは一応水準の中に入れずに立てた。その場合に、この計画は、かりにわれわれがこれを論ずる場合に、はたしてその当時国の財政規模と国防費がどういう関係にあるか、これが妥当な国防計画であるかどうかということをわれわれ財政上から考えるのが国会においても常道だと思うのですね。その場合に、これははっきりしたものでないことはわかっておりますよ。わかっておるけれども、大体この程度予算規模になる、それに対して一二%程度の国防費である、こういうやはり説明が必要だと思うのですがね。では聞きますけれども防衛庁当局はこういう計画をして、四十一年度には今の総予算から見てパーセンテージは大体その程度でやると、こういう見通しですか。それとも、うんとウエートが上がってくるという、そういう考え方ですか。長官どうですか。
  38. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 年度ごとの予算規模については、将来の予想はなかなかむずかしいのでございますが、おそらく国民所得に対しての防衛費の割合というものが、先ほど申し上げましたように、大きい方をとりまして一・五二ということでございますので、まあまあ国民所得に対して、そのときの税の総収入というものも、ほぼ率がある程度均衡がとれたものになると思いますので、そういう意味からいって、今から見通しを申し上げるのははなはだ大胆過ぎるのでございますが、おそらく財政規模に対しては、現在とはあまり変わりない防衛費になるものと考えております。
  39. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私がこの問題を尋ねておるのは、もちろんこの国民所得は上がり得る趨勢にある、これはもう事実だと思う。所得倍増計画がこれでいけるかどうかは別として、上がります。しかし、私はこれを危惧するのは、国防費が上がることによって、当然減税すべきものも減税できない。いわゆる国防費にそういう国費が食われてしまうというわれわれ非常に危惧をするのです。昨日これをもらったところですから、そういう私は計算をしておらない。当然われわれは、国民所得が上がって、それが減税されて国民の生活を豊にするということが、われわれ国民所得の上がるいわゆる一つのねらいであり、われわれ希望しておるところなんです。それが国の財政との関係を見ないでやられたということになると、多くのものが国防費に使われてしまうという危惧をするのです。そういう意味において私は尋ねておるのです。それが政府がまだそういう点ははっきり答弁がないのです。私はここで言っておきますけれども、四十一年度になったときには、私は、今の国防費と総予算とのこのパーセンテージ、比率というものは大きく私は上がってくるという見方をしております。その推定について否定せられますかどうか、その点を一つ。
  40. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、国民所得が上がりますと、その上がった率よりも、そのままの税率を適用いたしますと、税の上がり方の方が多うございます。たとえば一割上がれば、税は一割二、三分というようなことでございます。従いまして、そういう意味においては年々減税は行なわれて参るというふうに考えておりますので、そのときの国民所得に相応した税の収入というものは、現在の税率よりもずっと下がったものというふうに一応推定されるものでございます。従いまして、そうした中における財政規模においての国防費というものは、この総予算の中のウエートが非常に上がるというようなことはちょっと想像できないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  41. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、そういうことよりもね、はっきりこの防衛計画を立てられた当初において私は言っておきたいのです。私は、こういう計画がこのままこれが実施されると、四十一年度予算の実情を見ると、今よりも必ず私は国防費の比率が上がってくる、こういう見方をしておるのですが、しかし、これも一つの推定ですから、私の言うことがそれが当たるかどうかわからないですが、この計画を立てられた防衛庁当局としては、そういうことはないという確信があるかどうかを尋ねておるのです。従って、そういう点は防衛庁当局としては、立てるときにどういう考えを持っておられたか。
  42. 木村秀弘

    説明員木村秀弘君) これはもちろん防衛庁で立てました原案を、国防会議におきまして大蔵省その他関係各省との間にいろいろ協議をいたしました結果、大体この程度ならば国民所得に対する取り分というものはそう高くないであろう、まあ全体の予算を国防費のために過度に圧迫するということもあるまいということで、全体の関係各省の相談の上できめられたものでございまして、防衛庁といたしましても、まずまずこの程度ならば、不当にほかの歳出を圧迫するということはあるまいというふうに考えております。  なお、この文章の中にございますように、年度々々によっていろいろ歳入の状況等も変わって参りますので、そういう際には機械的にこれをきめるということをいたしませんで、歳出のほかの部面でふくれるような要素がある場合にはこちらを減らす。また、ほかの部面で比較的余裕が出てくるというときにはこちらをそれだけふやすということで、弾力的に実施して参りたい、こういう考えでございます。
  43. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 防衛庁にこれ以上追及するのは無理かと思いますが、しかし、国民所得との比率から見ても、一・五というのは、現在から見るとちょっと上がっていますね、これはどうなんですか。
  44. 海原治

    説明員(海原治君) 現在のところでは一・四程度でございます。少し上がっております。事務的に推算した限りにおきましては、先ほど経理局長から御説明いたしましたように、ほぼ同じ程度と申しますか、比率ということが一応事務的な結論ではございます。
  45. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 厳格に国民所得というのはなかなか計算しにくい。この点は私はわかるが、〇・一も上がっておるということも、これは私は規模の方に返ってくると、相当金額的に大きくなってくると思うのです。これはここで幾らやったところで、これは一つの論議に終わりますけれども、これは二、三年たったときに一つの問題になるから、この国防計画が発表された当初に私は言っておきます。従って、これは防衛庁当局としては私の言うことに反対だと思うのです。もっともっとやってもらいたいという計画だと思うのですが、これは国の財政を担当する大蔵当局とも一ぺん話をしなければならぬと思いますが、これはこの程度においておきます。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この第二次防衛力整備計画、今、海原局長から説明願ったわけですが、これだけでは詳細具体的な説明がないわけですから、そこで、まず冒頭お願いしておきますが、これの説明できる資料があろうと思いますので、これを一つ当内閣委員会全員に早急に御配付いただきたいということをお願いできるかどうか、まずこの点をお伺いします。
  47. 海原治

    説明員(海原治君) 先ほど私が御説明いたしました程度資料でよろしゅうございましたならば、早急に作成いたしましてお手元にお届けいたします。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではこの整備計画に関連して新長官にお伺いしますが、まだ新任早々でもありますので、詳細については後日に譲るとして、本日は一点だけお伺いしておきたいと思います。この説明によりましても、装備の近代化を初め、いろいろな施策によって陸海空の内容を充実する、こういう内容でありますが、そこで、そのことに関連してお伺いいたしますが、先日北海道へ一週間ほど行きまして、主として陸上自衛隊航空自衛隊状況を視察して参りました。そのとき一そう明らかになったことは、自衛官の応募率について、大体応募率は一〇〇%近いけれども、いざ試験を受けられるのは激減して五〇%程度になり、そのうちでいわゆる合格率は大体七五%、そうすると、五〇%のまたその七五%ということになると、大体三七・五%程度に低下するわけです。で、現在御承知のように、陸上自衛隊だけについて言いますと、現在の欠員が大体二万名はあるわけです。防衛二法の成立によって、さらに自衛官が一万一千七十五名増員、このこと自体も問題があるわけですね、大いに。現在二方の欠員があるのに、それを補充できないままに、さらに一万一千七十五人の自衛官を増強しようとするそのことは、予算編成上も非常におかしいわけですね。従って、その予算にも、この二万何がしかの欠員については予算化がないわけです。それをそのままにして、新たに一万一千七十五人の自衛官を増強しようという問題、これは大きな問題があって、防衛二法の際にも追及したわけですが、答弁は明らかでない。まあそれはさておいて、ここでいわゆる装備の近代化を初め、陸海空を強化しようという、こういう計画に基づいて第二次防衛力整備計画を達成しようとしておられる。ところが、こういう装備の近代化を初め、これを運営する人的資源のその自衛官が現在のような状況では、これは運営できないと思うのです。現在の二万何がしかの陸上自衛官すら補充できない。そういう中で、北海道の陸空自衛隊の実情は、先ほど申し上げましたように、結論としては三七・五%というような実情になるわけですね。これは応募率は大体一〇〇%であっても、実際に受ける者は五〇%しかないということは、これは正しい意味では応募者五〇%と言い得るわけです。実際に受けないんだから、実際に受けなければ意味ないんですから、そういうような実情と第二次防衛力整備計画を結びつけて考え合わせるとき、これを運営するのは人的資源である、こういう見方からして、こういう計画はただ空文に終わって、なかなか実現できないのではないか。その第二次防衛力整備計画を進めることの可否は別として、こういう計画はただ単なる計画に終わってしまって、これを運営する人そのものがなければ意味ないと思うのですが、その点を一点要約してお伺いしたい。
  49. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 自衛隊定員と申しますか、欠員がある、そうしてなかなか募集が困難であることは御指摘の通りでございます。ことに最近の経済の非常な活況によりまして、それと競合するというようなこと、労働力不足と競合するというようなことがあるわけでございます。  まず、募集の緊急の対策といたしましては、地方連絡部の増強でありますとか、あるいは試験場を増設して便利にするとか、あるいは大都市においては常に試験をやる、中間都市においても、できるだけ試験の回数を多くする、あるいは合格しても、それが入隊するまでに他に引き抜かれるということがございますので、合格した者をできるだけ早く入隊させるというような当面の問題をやっております。  それからもう一つは、実は自衛隊のある任期がきて退職した者が、安心して他に就職ができて再スタートできる等、しかも有利な条件でできたというようなことになれば、まず自衛隊に入って、そうしてさらに一定の年限を勤務して再スタートするというようなことになりまして、安心して応募できるというような問題もございます。幸いに産業団体の方もこれについては十分な協力をいたしてくれることになりまして、連絡を深めておるような次第でございます。いずれにしましても、一方の経済の活況とこの自衛官の募集というものの競合をどう調整していくかということは、なかなかむずかしい問題でございますが、今申し上げたようなこと、あるいはまた昇進制度の改正というような問題もございますが、そうしたことをいろいろ総合的な施策をいたしまして、欠員の補充、さらに増員の充実のために今後も努力して参りたいと考えておる次第でございます。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 陸上自衛隊だけについて考えますと、先ほどの説明があったように、従来一万七千の予備自衛官を、さらに今回三万人に増員する。これも自衛官応募者の低下ということから出てきた窮余の一策であろうと考えられる。それはそれとして、だんだん応募者が少なくなれば、大ぜいの中から優秀な者を選ぶということはできないと思うのですね。ただ計画だけがりっぱに立っても、これを運営するのは人間だということになると、これは多くの問題を将来も残すであろう、そういうふうに考えられる。特にここで人道上の問題として考えなければならぬのは、自衛官自体がそういう応募状況で、さらに人命をあずかる医官については、先ほどの視察報告でも申し上げましたが、大体少ないところは五%程度しか医官がいないということ、三十七名のうちで二名の医官しかいないというところもあるということですね。いいところでも大体二〇%程度、こういうことになると、これはゆゆしい問題だと思うのですね。自衛官もこれは人間ですから、当然憲法で保障されておる人権尊重の立場から、病気になっても医者にもかかれないという事態が現在ただいま起きておるわけですね。これはほうっておけないゆゆしい人道上の問題であろうと思うのですが、こういう点に対して新長官としてはどのようにお考えか。
  51. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) これはすでに御承知のように、一般の公務員におきましても、医療職の確保に非常に骨を折っておるような次第で、昨年の国会におきまして、医療職については、他の一般職よりも相当なベース・アップをお認めいただいたわけであります。ところが、自衛官の方の医官につきましては、一般の公務員の医療職とは多少違った形になりまして、むしろまだまだ一般の医療職よりは、多少は上でありますけれども、上がり方が少なかったというような事実もございます。待遇だけが問題ではないと思いますけれども、そういう点につきましては、さらに十分な研究をいたしまして、待遇の改善その他をいたしまして、人命をあずかります医官確保には今後さらに努力をいたしたいと考えております。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 先ほどの説明にもありましたように、防衛庁としてはナイキ・アジャックスとかホークの導入、それぞれ二個大隊導入する、こういうことは当然防衛庁として考えられることだと思いますが、それよりも優先して、まず今の医官の増員強化ということがこれに優先して考えられなければならぬと思うのです。この点どういうふうにお考えですか。先ほども申し上げたように、病気しても医者にもかかれないという現実の姿がただいま起きておるわけですね。これは三十七名のうち、二名の医官しかいないというような状態では、とうてい適切な措置は打てぬと思うのですね。より医官の充実強化こそ、こういうホークあるいはナイキ・アジャックスの導入、こういう兵器の近代化に優先して当然考えられなければならぬと思うのです。このままではなかなかこういう点は解決しないと思うのです。そういう基本的な問題について新長官としてはどのように対処されようとされるのか、決意のほどを伺っておきたい。
  53. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 何分大ぜいの人を預っておるのでございますから、それらの人々の衛生の問題は、これはもう何をおいても考えていかなければならぬことでございます。残念ながら、医官の充実状況は御指摘もございましたようなことでございますが、ただいま申しましたような待遇の面その他を総合的に考えまして、ぜひとも衛生方面の充実には最善を尽くして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  54. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ具体的な問題で、一つ調達庁関係に主としてなると思うのですが、幸い防衛庁長官も新任されましたので、前のその前の江崎長官からの確認を一つしておきたいと思うのです。北富士の問題です。  三十五年の八月九日に、当時の江崎防衛庁長官が、文書で、返還並びに入会権について尊重するという文書の約束をされておるのですが、これについて新藤枝長官も、この点については、もちろん池田内閣――いわゆる第三次池田内閣といえども同じ系統ですから、これは間違いないと思うのですが、一応これを確認しておきたい。
  55. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 北富士の問題について日本政府への返還の問題、さらに入会権慣行を尊重するという当時の江崎長官の言われましたことは、引き続いていたしておる次第でございます。はなはだ残念でございますが、いろいろ米軍、自衛隊並びに地元、いろいろな利害が錯綜いたしまして、今まで解決しておりませんことは遺憾でございますが、私といたしましても、鋭意この打ち出された方針に従いまして、早期に解決するべく努力をいたしたいと考えております。
  56. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まずそれで私も、一応新長官としてそういう確認をされたことについてはいいと思います。そこで、その後昨年から今日までいろいろ問題が地元で起こっておることを聞かされておるのです。従って、これは私も実は当時委員長と同行して視察もしておりますので、これは一日も早く解決しなければならぬという私自身も熱意を持っておるのです。ところが、今日まで地元ではいろいろまだ問題があることは御存じの通りだと思うのです。  そこで、具体的に聞きますが、実は七月五日に県の方から地元に行かれて、いろいろ説得というか、交渉されたらしいのです。そのときにいろいろ問題が起こっておるようなんです。私も聞いておるのですが、その際に、一つ重要な問題がここに提起されてきたので、これは私大へんだと思って、実はきょう特にこれを防衛庁長官並びに調達庁長官に聞いておきたいのですが、その際に、口頭であるけれども、政府が、先ほど確認された返還並びに入会権について尊重するという二原則は、これはもう政府みずから無視することに方針が変わったのだ、こういう発言を地元でされておるのです。これは県の一課長、部長だと思うのですがね。それであると、われわれとしては、国会でこれほど真剣に論議をし、視察までしておるのに、そういうものがどこで変わったのかとわれわれとしては疑っておるのですが、特にその本人を証人として呼びたいと思ったのですが、そこまで現在事態が変わってきておるように聞いておるので、そういうことを私もしたくないので、長官に一つこの点だけをはっきりと確かめておきたいと思うのです。そういうことはあるのですか、どうですか。
  57. 林一夫

    説明員(林一夫君) 北富士の返還問題につきましては、調達庁としましては、御承知のように、米軍から返還を受けまして、自衛隊施設として米側に随時使用させるという方針で交渉いたしておるのであります。この返還については、こういう方式のもとに返還の交渉をせっかくやっておる次第でございます。また、先ほどお話のありました入会権を尊重しない、入会慣行を尊重しないというような発言があったかに伺ったのでありまするが、入会慣行を尊重するということは、これは一貫して変わらない方針でございます。今後折衝の段階におきましても、十分にこの入会慣行を尊重するということは変わりないと思います、この点は。
  58. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは一部のことで説明されたのです。私が尋ねたのは、一番最初に、昨年の八月九日の返還、並びに今の新長官が確認された返還並びに入会権を尊重するという政府の大方針を、これは池田総理も院内で口頭で地元の人に言っておられる。その方針を具体的にこれは無視するのだという発言があったということは、これは間違いであるかどうか。そういうことはあり得ない、防衛庁としてはそういうことは全然知らない、調達庁も知らない、こういうことであるかということを簡単に一つはっきり聞かしてもらいたい。
  59. 林一夫

    説明員(林一夫君) 入会慣行を尊重しないという発言は間違いであります。調達庁の方針は、入会慣行を尊重するという方針をとっております。その方針には変わりございません。
  60. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  61. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。
  62. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 調達庁長官、あんた入会権ということには力を入れられておりますが、約束されておるのは、返還並びに入会権という二つの問題があるのですね。それについて県庁の派遣された人が、これはもう政府は無視しておるんだという発言をされておるんです。従って、それは同時に間違いである。そういう発言をしたということは御存じなんですか。
  63. 林一夫

    説明員(林一夫君) そういう発言なしたかどうかということはまだ伺っておりませんが、かりにそういう発言をしたとしましても、入会慣行を尊重するということは間違いないと思います。これは変わりのない方針であります。
  64. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 長官から一つ答えてもらいましょうかね。入会権だけにえらいこだわっておられるんですが、私の伺っておるのは、返還並びに入会権について池田総理も尊重する、努力すると、これは林長官さっき言われた通りなんです。それを私は言っておるので、これはたびたび言いますが、この入会権だけを言われるから何回も言わなければならなくなる。返還並びに入会権ということで文書回答があるんです。それを言っておるのです。どうなんですか。
  65. 林一夫

    説明員(林一夫君) 返還につきましては、富士演習場の返還を受けまして、これを自衛隊施設としまして、米側に随時使用させるという方式でもって返還の折衝をしておるのであります。その方針には変わりはございません。
  66. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、これちょっと長くかかるから、労働大臣に……。
  67. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  68. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。  次に、昨日の委員会において、公務員給与に関する件の質疑中、山本委員より福永国務大臣に対し要求があり、それに対して福永国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  69. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) 昨日私に対する御質疑をなすったその内容は、人事院の勧告に対してこれからの政府がどういう態度をとるかというような御趣旨に承りましたのでありますが、私はこのたび給与を担当する国務大臣ということに相なりましたのでございますが、給与問題の重要性につきましては十分認識をいたしまして、人事院の勧告につきましては、できるだけこれを尊重するという方針を続けたいと存ずる次第であります。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ここでまたそれで質疑をやっていると非常に時間がかかるのだがね。大体はいいんです。大体はいいんだが、できるだけ尊重するという、これはいつもあとで困ることなんです。それは、その表現は大臣としては言わざるを得ないと思う。人事院勧告そのままやるのだということになれば法律上の問題があるんだということを言おうとしておられると思うのだが、その点についてはまだ問題ありますが、一応大臣の言われた答弁について、きょうは了解しておきます。
  71. 田畑金光

    田畑金光君 関連。今の点、まあ私簡潔にお尋ねしますと、石田前労働大臣の方針を踏襲されるのかどうか。言葉をかえて言うと、仲裁裁定とかいう問題については、政府はこれを履行する、ただし、労働組合は法を守ってもらいたい、これが簡単に言うと石田さんの方針であったと思うんですが、福永労働大臣もそういう方針で今後とも対処されるのかどうか、これだけ一つ明確に承っておきたいと思う。
  72. 福永健司

    ○国務大臣(福永健司君) ただいま田畑さんの御質問の点につきましては、御発言のようなことが望ましいと存じます。ただ、具体的な問題の処理につきましては、これからいろいろの事態も出てくるかと存じますので、一般方針といたしましてそうした考えでいきたい、こういうことに御了承願いたいと存じます。
  73. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで、先ほど調達庁長官は、何か自衛隊のやることを云々言われましたが、そういう説明を、私別の問題として聞きたいんですが、それはいいんです。私が確認したのは、江崎長官が文書でやられた返還と入会権については尊重するという文書約束は、こういう話があるけれども、政府としては、そういうものはかりにあっても間違いであり、そういうことではない、こういうことはいいんですね。
  74. 林一夫

    説明員(林一夫君) 江崎長官から発言のありました返還の意味は、先ほど私が申し上げましたように、日本政府に返還せしめた上、自衛隊施設に切りかえて、米軍にこれを共同使用せしめるという意味の返還の意味でございます。そういう方針のもとにやっておるのでありまして、その方針については変わりはございません。
  75. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは文書をお読みになったですか。あのときに江崎長官が、地元の組合長何とかに、名前は忘れましたが、それには何も自衛隊に使わすとか、国に返還するとか、そういうものは一切入っていませんよ。ただ説明で、国会で言うておられますけれども、そういうものは入ってないですよ。その点新任の長官、ちょっとまた問題をこんがらかすようになりますから、それをはっきりして下さい。
  76. 林一夫

    説明員(林一夫君) 江崎長官が発言された返還に努力するという返還の意味は、ただいま申し上げました返還の意味でございます。このことは国会においても、その他地元の方々にも十分に説明をしておるはずでございます。
  77. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 林長官、あなたは新任だから、私これ以上追及はしません。質問の要点をはっきり――問題がいろいろ波及するからね、その点を区切ってやってもらいたいと思う。私の言うのは、文書で江崎長官が出されておるんです。その文書にはそういうものは入ってないんです。返還に努力する、入会権に努力するということはある。返還した後に自衛隊に使わすということは、これは国会で前の丸山長官も西村長官もたびたび言われたり、それは論議しておる。私は、文書でそういうものはないから、文書の上のことを言っておるんです。文書にはそういうものがありますか。その点一つ……。
  78. 林一夫

    説明員(林一夫君) 文書にはそういうことはありませんが、口頭でそういう発言をされております。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 将来もあることですから新長官に言っておきますが、そういう政府の方針の先入観を持って答弁されては困りますよ。われわれはそれを論議しておるのですよ。論議しておるのですが、文書にはそういうものはない。返還に努力する、そういうことで米軍が問題を起こしたときに一応解決したのです。なかなか問題だったのです。そういうことですから、その点はっきり覚えておいて下さい。  そこで、そういうものを確認した上で、一応この問題については私はおきますが、しかし、これは国務大臣として長官どうですか、私もこれは聞いただけですから、これが真なりということはあえて断定しません。しかし、少なくともそういう立場の人が地元に行ってそういうことを発言されることは、国政上からいっても、また地元の紛糾をよけい助成するのじゃないかと思うのですが、この点国務大臣としてどういう見解をとられますか、もし真なりとすれば。
  80. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 当時の山梨県庁の職員がそういうことを言われたということについては、私承知いたしておらないわけでございますが、先ほど来調達庁長官がお答え申し上げたような方針でございますので、それに反するような、そうして地元に紛糾を招くような発言があったとするならば、それははなはだ残念なことでございまして、もしそれが地元に紛糾を巻き起こしているようなことでありますならば、防衛庁並びに調達庁の考え方を十分理解していただくような努力は払いたいと思います。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点は大体それで了解しました。それで問題は、やはりこれをどう解決するかということだと思うのです。国会ではそれほど突っ込んではいろいろ言えないのですが、私聞くところによると、九月に再び米軍が北富士で演習を実施するというように聞いておるのです。まず政府としてはそういうことを知っておられるかどうか、ちょっとそれを先に聞いておきたい。
  82. 林一夫

    説明員(林一夫君) 九月から米軍の演習が行なわれるということは承知しております。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、もしそうなると、再びまた昨年のような問題が私は起こるのじゃないかと思うのです、今のような状態であれば。従って、調達庁当局として、特に経理局長なり、また不動産部長あたりは非常に苦心されておるようです、私実際に聞けば。この点私は熱意はよくわかるのです。わかるのですが、今のままであれば、なかなか私は解決までいかないと思うのです。従って、これについて新任の調達庁長官はどういう措置を考えられておるのか、一つその点新任長官として示されるならば、どういう方向でこれを解決したいかという、その点を一つここで言えたら言ってもらいたいと思うのです。
  84. 林一夫

    説明員(林一夫君) この返還問題は、現在全力をあげて折衝しておるのであります。何分にも、その間自衛隊の使用、また、米軍の使用の条件というような使用条件について折衝をし、さらにその反面、これが与える地元の被害、これに対するいろいろの措置、あるいは地元の方々の民生安定のことも総合的に考えなければならないというようなことでございます。そういう点を総合的に考えまして、現在極力折衝しておるのであります。なるべく早くに解決したい、こういうように考えております。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私としては、そういう答弁は、抽象的なものです。実際にいつも言われることなんです。私そういうことを聞きたいとは思っておらないのですがね。いろいろ地元では複雑な問題があることは知っておりますが、総合的に考えて努力するという、これはもう今までやっておられると思うのですが、なかなかいかないのです。その根本はどこにあるかということを剔抉して、防衛庁なり調達庁としては、打つべき手を果敢にやはり打っていかなくちゃいかぬと思います。そうでなければ、今度米軍が来たときには、この前来たときと違った要素が入ってくるきらいがありますよ。昨年の場合は、地元のいろいろの方々が、純経済的な問題でいろいろやられておったが、今度は米軍の演習については、相当変わった要素が入ってくるということを考えなくちゃいかないと思う。というのは、冒頭に防衛計画に言ったように、だいぶいろいろ国際情勢の判断を政府もしておられますが、一般国民も敏感に知っておるのですね。その場合に、現在の新安保条約によっていろいろ問題があるときに、沖繩からアメリカ軍が来て向こうで演習をやる、これは変わった響きを国民に与えてきますよ。従って、こういう問題について、今言われたような答弁で、総合的に判断をしてやるのだとか、そういうことでは、もう一カ月に迫っておるときに、政府としては考えなくちゃ、やはりそのとき責任を追及されると私は思う。去年からもう一年になりますから、これについて自信があるかどうか、これを一ぺん聞いておきたい。
  86. 林一夫

    説明員(林一夫君) ただいま申し上げましたように、いろいろの面を考慮する、総合的な考慮のもとに、ただいま全力をあげて折衝をしている過程でございます。なるべく早く解決したいという覚悟で当たっておるわけであります。
  87. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 新任早々で、これ以上言ってもそれは無理だと思います。だから言いませんが、一つ防衛庁長官も、これについて十分考えてやってもらわぬと私困ると思うのです。  そこで、時間も進みますから、具体的に一、二尋ねて終わりますが、米軍が大演習をやられるというときに、私はこのままいけば必ず問題は起こると思うのですが、その際に、実は今聞いておると、向こうですわり込みをして、その何日か前に予告されておる。これに対して県庁からは、何か文書で、命令的と申しますか、きわめて地元に刺激するような文書で、すわり込みを解いてもらいたいとか何とかやっておるらしいのですが、防衛庁としてはこれに対してどういう考えがあるか、現実の問題にどういう工合に対処するか、具体的に聞いておきます。
  88. 林一夫

    説明員(林一夫君) 今までも、すわり込みとかいろいろの事例があったのであります。われわれは今度こそそういうことのないように、円満に解決したいと思って努力しております。そういう事態がないように大いに期待しておるわけです。今後大いに御指導を得まして、円満に解決したい、こう思っております。
  89. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 どうですか。これはあなたを非常にいじめるようで悪いんですがね、もう目の前に迫った問題で、これをどうするかという、たとえばですよ、私からサゼスチョンするわけじゃないのですがね。たとえば現在県がいろいろそういうおせっかいしているらしいのですが、それもいいと思いますが、政府としては積極的に話し合いをするとか、正式にいろいろそういう方法でやるとかという、そういう考え方があるのですかないのですか、そういうことを私は聞きたいのです。
  90. 沼尻元一

    説明員(沼尻元一君) 現在、北富士の立ち入りの件については、県を通じて、その立ち入りをやめてくれるよう、いろいろお願いをしておるわけでございますが、これを国が――調達庁がさらに関係者と直接折衝するとかいうことも、われわれとして今これは横浜調達庁を通じて、またそういうお願いもしておるわけでございますが、ただこれが解決として、やはり補償金や何かの増額とかというような問題とも関連してくる。ことに入会権に基づく補償金の増額とか、そういう問題で従来地元間にいろいろな感情問題にまで発展しているという現在においては、やはり山梨県にそういういろいろな利害関係を調整していただくというのが一番いい考え方ではないか。そこで、やはりこういった問題は県を通じて何とか円満に解決したいという線で努力しているわけでございます。
  91. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、県を通じてやることが、これは必ずしも悪いとも何とも思っておらないのです。しかし、今の事態を解決するためにそういう方法が最善であるかどうかということは、やっぱり調達庁内部でも検討されなくちゃならぬと思うのです。で、それはいろいろ向こうにも複雑な問題があることは僕は知っておりますが、今の場合はおそらく政府も県も譲り合っているような状態じゃなかろうかと思うのであります。現に私は視察に行ってわかっていますが、だれそれどうこうということは言いませんが、今の実情は、県には解決の私は能力はないと思っておる。というのは、法律的にも実際的にも私はそう断定せざるを得ないと思うのです。県を通じてやっておると言われておりますが、やっておられることは事実でありますが、さっき言ったように、こういうむちゃな発言をしてやっておるのですから、おそらく地元は納得しないと思います。そういう実情は私は防衛庁も知っておられると思うのですが、もう政府としては打つ手というものを考えておらないのじゃないかと思う。少なくとも、これは総理大臣まで一応中に入ったというようなケースですから、一調達庁の問題じゃなくて、政府自身これは一つ何とか解決しなければならぬというところまでいけぬかどうかということが最後のあなたに聞きただしたいところなんです。率直に言って防衛庁長官でも、私はあなたの腹のうちはわかっておると思うのです。今の政府が手を出すと県がむくれる、そうするとかえって厄介になるから、県を通じて何とか県の顔も立てよう、そうして地元の顔も立てて解決したらどうかというような腹の中じゃないかと思うのです。しかし、それじゃだめだと思うのです。政府自体が、国務大臣でも防衛庁長官でも出て、で、こういうことなんだ、何とか話し合いをできぬかということを、僕は政治的にもう少し力を持ってやらなければいかぬじゃないかと思う。これは相当現在のところはそういうめどでいけると思うのですが、将来はこれはこじれてくると、それだけではいかない大きい問題に私は発展するきらいがあるというので、私は親切に言っております。そういう考え方があるかどうかということを聞きたいのです。
  92. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 北富士の問題、御指摘の通りでございまして、ことに内閣委員としても御視察になって、事情は十分御承知通りでございます。従いまして、一調達庁その他防衛庁ということではなくて、政府全体の責任といたしまして解決に努力をいたしたいと考えておるわけでございます。ことに九月の演習を控えておりますので、それまでにすべてをすっぱり解決するというわけには参らないかもしれませんけれども、少なくとも、政府が非常な誠意を持って事に当たっているのだということを、一歩でも前進するような方向で努力を続けたいと考えておる次第でございます。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 政府もこれは非常に忙しいから、これだけに国務大臣が奔走することは私はできないと思うのですが、少なくとも、やはり一歩前進した形に努力しなければいけないと思うのです。根本的な問題として、返還の問題について私は追及したいのですが、新任早々ですから、新任あいさつしたあとで山本が非常に追及したということになっても、あなたの将来もあると思いますから、私はまあ言いませんけれども、返還の問題でもあなたはまだ十分把握されておらない。これはもう丸山長官もずいぶんそれは御苦労願ったのです。やめられて私は気の毒だと思うのです。苦労しがいがなかったと思っているのです。しかし、私はこれはやむを得ぬと思うのです。あそこに演習場を置いてどうこうするという問題は国政上の大きい問題だと思うのです。こういう問題と今取っ組んでおるのです。その解決に対して池田内閣も相当力を注がぬといけないと思うのです。そういう点において、今言われたように、自衛隊がこれを使うという条件で返還をやるのだ、アメリカ軍はそれじゃないと許さぬと思うのですよ。しかし、そこまで発展してくると論議が発展するから、私はきょう言いません。言わないけれども、なぜアメリカの第七艦隊に属する沖繩の海兵隊なりそういう人が来て向こうが演習しなければならないかというこれも、私は国民感情から問題があると思うのです。従って、早くその線を断ち切って、自衛隊でやるということになれば、これは国政問題なんです。自衛隊演習場を作るかどうかということは、一つの国内問題として国会でもこれまた論議されると思う。とりあえずアメリカの演習場を返還してもらう、これはもう大前提ですよ。これが私は日本政府は非常に腰が弱いと思うのですよ。もう日本の象徴というのは富士山でしょう。そのふもとの広大な地域がアメリカ軍が来て向こうが演習して、しかも、政府にも相談せぬでやってくるのですよ。そういうことはありますか。政府も一応OKを与えるか知りませんけれども、協議する権限は一つもないのでしょ。そして向こうへやって、九月ですから登山客は少なくなっておるけれども、それは非常に国民感情としてはこの問題は大きな問題なんです。それが一年かかっても二年かかっても一歩も前進しておらない。  従って、私はきょうは言いませんけれども、具体的に北富士演習場の問題の特別委員会というものがあるはずなんです。その中でどういう討議をされておるのですか。向こうが言ったからそうですかと言っているのか、相当反発されておるのか。もしそういうことを政府がやらなければ、国民的な反抗運動をやりますよ、国民的な力によって。私はそれを言っておるのです。そこまで発展させないうちに政府がなぜアメリカ軍と対等の立場で積極的にやらぬか、もし政府がそれをやらなければ国民運動に発展しますよ。それでもそのときになって政府はどういう手を打つか、そういうことを頭に置いて政府に追及しておるのですから、この点は十分考えておかなければ、おそらく臨時国会まで内閣委員会は開かれないと思いますが、もうすでに九月に迫っておるから、その点だけ私はここではっきり聞いておきたい。これは質問でないから、私の言うことを十分かみしめて判断してもらいたい。  そこで最後に、県庁の方であっせんなんかされておるようですが、白紙委任をやれば、北富士関係の入会組合はたくさんありますね、忍草とか、あるいは新屋とかたくさんありますが、そういう白紙委任状を与えたら、数字はちょっとはっきりわかりませんが、数十億の金を一応政府から出さすから、そういうことで一つ納得してもらいたいというようなことも言っておるようであるのですが、こういう問題が、非常にわれわれとしては聞いても判断できないように地元を惑わしておると思うのです。その具体的な問題だけ、一つそういうことがあるのかどうかということだけ聞いて私の質問を終わりたいと思います。その点どうですか。
  94. 沼尻元一

    説明員(沼尻元一君) 県からそういう話があったかどうかは私聞いておりませんが、おそらく県としては、東富士演習場の問題で、これは地元との再建連盟といろいろ政府としては地元協定等も結んで、改善等のいろいろな施策もやるというようなことで、東富士のそういう民生安定対策のためには二十数億の金をかけても――まあこれは全体の計算でございますが、やるというようなことでこれまで進んでおりますので、山梨県の方としても、地元がばらばらになっておったのではなかなか国に総合施策をやってもらえない、やはり地元の利害関係者が一体となって政府にお願いすれば、東富士に似たようないろいろな民生安定政策を講じさせることができる、そういう意味で言われたのではないかと存じます。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたこれは今言われた、そういうことば政府としても考えられるということを一応確認された答弁と聞いていいですね。
  96. 沼尻元一

    説明員(沼尻元一君) まだ私、これは北富士の方にどの程度、そういうことに経費を国として捻出し得るか、そういう点を責任者と相談をしておるわけではございませんが、東富士についてあのような施策をしておる。やはり北富士についても、公平な立場から申せば、それに準じた考え方を将来国として施していかなければならないだろうということを抽象的に考えております。
  97. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この解決については、私はここで具体的には言いませんが、防衛庁、調達庁としても考えておると思うのですが、これははっきりと問題点をより分けて、そうして具体的にやはり折衝して解決するという道を見出さなければだめだと思うのですよ。従って、問題は、最初言われたように、返還は一応今論議しましたが、入会権についても、入会権はどうか、それの補償はどうか、その上に立って民生安定はどうか、こういうことではっきりと区切りをして、これをはっきり解決しなければ、漫然と県を通じてそういう宣撫工作というとおかしいのですが、説得工作にしても、私は複雑な様相を呈しておる今日、それはだめだと思う。従って、その点はもっと調達庁としては考えておるということは聞いておるのです。聞いておるが、なかなか進まないというのは、いろいろな雑音があると思うのですが、私はその点を納得すればいいのですからね。納得をできないところに問題がある。従って、返還の問題も入会権の問題も、納得させるような具体的に今努力をされると言っておりますが、臨時国会まで待っております。そのときまでもされておらなければまた追及いたしますが、具体的にこれは一ぺんやってみなさい。やって、そうしてできないならば、どういう点が問題になっておるのかということを把握をして、一歩進まなければこういう問題は解決しないのです。これはまあ新任防衛庁長官もおられるから、この点私は親切に言っておきますが、そういう努力が新調達庁長官やる、ここでは具体的に答弁できないけれども、そういうものをやる腹があるのかどうか、これを最後に一つ聞いておきたいと思います。
  98. 林一夫

    説明員(林一夫君) いろいろやり方はあると思うのでございますが、なるべく全体的にうまくまとまる方法を考えまして、今大臣が言われたように、もう少し政治的な方面も考えて解決に進みたいと思っております。
  99. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと僕は林長官に、これは国会でもいろいろとやるのですが、まあ初めてだから、そういう何といいますか、憶病というか、きわめて抽象的な答弁をされるのでしょうが、そういう答弁で今後いけるのだと思われたら大間違いですよ、委員会で。御承知だと思いますが、あなた言われるようなことでこれはいけるのだというような考え方できょう山本は終わったと思ったら大間違いですから、もっと私は具体的に追及したいのだが、他にもいろいろ質問者がありますからやめておきますけれども、私はそういう答弁を聞きたくない。ほんとうに政府がやろうという腹があるなら、具体的にこうだというくらいのことを示さなければいけないので、それだけ言い添えて私の質問を終わります。
  100. 田畑金光

    田畑金光君 先ほどのにちょっと戻りますが、私きょうは大きな点だけ二、三防衛庁長官にお尋ねしておきたいと思うのですが、きょうは初めて新任早々の内閣委員会でもあるし、新防衛庁長官の方針等についてお話を承ることができると期待しておりましたが、ただ単によろしく頼むというあいさつだけで、内容は何もないわけです。西村前長官の在任中は、いろいろ西村さんの独自のやはり持ち味というものを出しておられたわけですが、新長官としては、今後の防衛方針についてどういう点を重点に置いて取り組んでいかれようとしているのか、この点をまず一つ大きな点でありますが、方針について承りたいと思います。
  101. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) なかなかむずかしい問題でございますが、要は、わが国の安全を守るということにつきまして、一面において常に国防の基本方針にもありまするように、国連中心、そうして日米安保条約の体制のもとに、わが国に起こり得べき脅威に対処し得る態勢を整えていくということでございますが、それと同時に、やはり国民全体の方々に国防についての深い御理解を得まして、そうしてその態勢のもとに与えられたわれわれの任務を遂行していくことにあると存じます。
  102. 田畑金光

    田畑金光君 西村前長官の時代は、愛される自衛隊であるとか、信頼される自衛隊とか、こういう言葉でいろいろ表現されておりましたが、新長官の方針の中に、国民に対しもっと防衛という問題について考えてもらうような態勢等も作っていきたいということですが、具体的にそれはどういうことを意味しているのか。と申しますのは、この間の国会でも問題に私は取り上げましたが、与党の国防部会で一つの方針を出しているわけです。あの方針は、具体的な内容等について触れておりますが、ああいう考え方で防衛問題を進めていこうとするお考えであるのかどうか、この点一つ承りたいと思います。
  103. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) わが国の置かれた、ことに第二次大戦後のわが国の置かれたいろいろな立場、そうして、また、それに対する国民の皆さま方の考え方、いろいろ複雑な点はあろうかと思います。しかしながら、やはり民族の誇りを持つという意味におきまして、十分わが国防衛という問題について、国民の皆さんに深い理解をしていただくということが基礎にならなければ、いかに防衛力そのものを整備いたしましても、それだけではだめなんでありまして、そうした御理解を深めるためのあらゆる努力をしつつ、また、われわれに与えられた任務を遂行していくということであろうかと存じます。
  104. 田畑金光

    田畑金光君 先ほど山本君の質問にお答えになって、この点は了承しましたが、ただ、私たち新聞を通じて見ておりますと、ことに池田・ケネディ会談以降の政府の方針を見ておりますと、たとえば岸内閣時代には、外交の基本方針として、自由主義陣営の一員であるということと、それからアジアの一員であるということと、さらに、また、国連中心の外交、この三つの方針をとっていたわけです。池田内閣もその方針に変わりがないということできておりましたが、しかし、ことに池田・ケネディ会談以降、国際情勢の危機に対する認識が一そう深刻になされた、こういうような経緯を経て、ことに新内閣の外交方針は、自由主義陣営ともっと緊密な関係を保っていこうとする方向にあるように見ているわけです。このことは、重要な問題等については、国際問題等については日本にも相談すれば日本の意見も聞く、こういうアメリカの態度の中にも現われておると見ておるわけです。言うなれば、西ヨーロッパにおけるイギリスの地位を、アジアにおいては日本に期待しておる、これが今日のアメリカの態度のようにも見受けるわけです。してみますと、経済問題についても、後進国援助等については、日本は一そう積極的にこれに取り組まなきゃならぬ、こういう課題にもなってきましょうし、また、軍事面においても、当然イギリスがアメリカの核兵器、核基地等を許して受け入れておると同じように、当然日本においても、核兵器の問題等については、従来とおのずから変わってくるような態度に出てくるであろう、こうわれわれは推測するわけです。まあそういう際に、先般新聞に出たというようなお話がございましたが、私は、やはりあの新聞記事というものは、池田・ケネディ会談以降の、今後の池田内閣の一つの方向を正直に示しておるものだと、こう見るわけです。そこで、先ほど防衛庁長官は、核兵器の持ち込みとか、あるいは核兵器による自衛隊の武装とか、従来の方針は変わりがない、こういうお話でありましたが、承っておりますと、あの新聞が出たので池田総理に聞いてみたところが、いや、従前と変わりがないのだと、こういう話でございますが、新池田内閣の方針として、あくまでも従来の方針は変えないということであるのかどうか、それが新内閣の方針として閣議決定、あるいは与党も含めて、政府与党の方針として、あの新聞記事に出たようなことは一切とらないのだ、従前と変わりないのだ、こういうことなのかどうか、これを明確に承っておきたい。
  105. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 従来の核兵器の持ち込み、あるいは核武装につきまして、従来の方針と何ら変更をいたしておらないわけでございます。どういうことでああいう記事が出たか、つまびらかにいたしませんけれども、この従来の方針は変わらない、そういうことをはっきりと申し上げる次第でございます。
  106. 田畑金光

    田畑金光君 この間、新聞でこれも拝見しましたが、小坂外相がこの間の渡米のおり、ラスク国務長官と話した際に、これは非公式ではあるが、ポラリス潜水艦が日本の港に寄港することについての話し合いがあったやに聞いておるわけです。これは事実であるかどうか、さらに予測されることです、これは。イギリス等においても、現にポラリス潜水艦がちゃんと寄港することはもちろん、基地も認めておるわけですから、寄港するということは、あるいは基地という概念とは異なってくるでしょう。で、かりにそういうような場合には政府はどういう態度をとろうとする方針なのか、これを承っておきたい。
  107. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) ポラリス潜水艦の寄港の問題につきましては、私ども防衛庁といたしましては、そういう話を承っておりません。
  108. 田畑金光

    田畑金光君 話を承っていないのではなくて、すでに新聞を通じて話が出た、しかし、今回の会談で取り上げるにはふさわしくない、こういうようなことで一応正式の議題にならなかったということは、われわれもその通りだと思いますけれども、ポラリス潜水艦の寄港ということは、だんだんアメリカの方では、国際情勢に対処するため、ますますこの種潜水艦をたくさん作るでしょう。当然それは極東にも、アジアの方にも派遣するということになってきましょうし、やはり日本に寄港を求めてくることも予測されるわけです。そういうことに対して政府はどのような態度を持って臨むのか、これを承っておるのです。
  109. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど申しましたようなことでございまして、ただ、核武装をしない原子力を動力とする潜水艦の寄港の問題等については話があったということは聞いております。しかしながら、わが国のおかれた特殊な事情、ことに原子力に対するいろいろな国民的な感情、そういうものもございますので、その点については賛成しがたいという話があったと聞いておりまして、従いまして、今後の問題といたしましても、それらの点を十分考慮して善処をして参りたいと考えております。
  110. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  111. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。
  112. 田畑金光

    田畑金光君 今の点ですね、長官は、要するに核兵器を持った原子力潜水艦については、国民世論等のことも顧慮されるので、国民感情等も顧慮されるので、寄港についても応じないという態度であるのか、あるいはそれについてはまだ政府部内においても検討済みでないとおっしゃるのか。もう一つは、原子力で動かしておる、動力として原子力を使っておるが、核兵器は積んでいない潜水艦等については、これはまた寄港等についても認めるのだというお話であるのか、答弁が明確でございませんが、その辺一つ分けてお答え願いたいと思います。
  113. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) この核兵器で武装した原子力潜水艦の話は、外務大臣の渡米の際にも出ていなかった。ただ、その核兵器を持たない原子力を動力とする潜水艦の問題が出たけれども、それについても、いろいろ特殊な日本の国民の感情もあるので賛成しがたいというような話し合いが行なわれたということでございまして、従いまして、核兵器を積まない原子力を動力とする潜水艦の今後の寄港の問題につきましても、十分そうした日本の国民感情等も考えて善処をしたいということを申し上げた次第でございます。
  114. 田畑金光

    田畑金光君 それから先ほど、これも山本君の御質問で大体わかりましたが、財政と防衛費の関係国民所得と防衛費との関係、これは先ほどの質疑応答でわかりましたが、今度の新防衛五カ年計画、第二次五カ年計画に盛られた内容を実施するためには、五年間に総額幾らの予算が必要であるのか、さらに第一次計画の総額は幾らであり、第二次五カ年計画の総額は幾らになるのか。さらにもう一つは、MSA協定によるアメリカの無償援助というものはどのように見ているのか、それとの関係はこの計画とどうなっているのか、この点一つお答え願いたいと思うのです。
  115. 海原治

    説明員(海原治君) この五カ年間の防衛庁費の総額は、先ほど御説明いたしました一応年平均百九十五億円増の場合と、年平均二百十五億増の場合と、この幅をもって考えておりますが、毎年かりに百九十五億円の増額があったとします場合には、総額において一兆一千五百億円になります。同時に、毎年二百十五億円増ということになりますと、総額におきまして一兆一千八百億円というのが一応の推定でございます。次の第一次の計画でどの程度の金が要ったかという御質問でございますが、手元に資料を持ち合わせておりません。第一次の計画は一応五カ年の計画でございましたが、ただ、御参考までに、従来警察予備隊――今日までの警察予備隊、保安隊、自衛隊、この間におきまして、大体総額におきましては、日本の経費といたしまして一兆一千億程度を支出いたしております。第三のマップの予想でございますが、この五カ年の間には、毎年平均五千万ドル、すなわち五年間で九百億円程度というふうに見込んでおります。なお、今日までのマップの総額は五千二百億円程度になっていると私は承知いたしております。
  116. 田畑金光

    田畑金光君 そこで、私、防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、この第二次五カ年計画というのは、まあ五年間のいろいろな情勢の見通しの上に立って、また、国力国情に応じて立てられたものだとは考えられますが、いろいろ今後の国際情勢の発展等がどう変わるかもわからん、そういう予測されざる事態等も見られるわけです。この計画の中にも、最後の方に、「必要ある場合はすみやかにこれを修正する。」というような言葉もありますが、この計画というものは、そういう角度からどの程度の権威を持つものか。これはこれに基づいて五年間をやるということでしょうが、また、いろいろな情勢の発展、変化がある場合には、この計画はさらに増額するとか減額するとか、そういうようなことも考えている計画書なのかどうか、この点一つ承りたいと思います。
  117. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 現段階において予想し得べき各種のデータを入れて作りましたのでございますから、現在で五年後を予想した場合には、大体この計画を遂行していけばよろしいという考え方を現在持っております。しかしながら、今御指摘のように、いろいろな状況の変化もございましょうから、そのときには随時再検討するということでございまして、現在予想するこの五カ年間の見通しでは、これでやっていけるというふうな考え方でございます。
  118. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 最初に、まず委員長に御注意申し上げておく。きょうの日程は、御承知のように、第二次防衛力整備計画説明を聞いて若干質問をする。それと太田・大泉飛行場返還の問題、北富士の問題、そして質問者はだれだれと通告があったのです。それによってやって、時間があれば質疑の通告のない人にも当然やるべきであろうと思う。順序を主客転倒しておる、はなはだ運営上芳しくないと思います。注意があってしかるべきだと思う。  そこで、時間ももう予定以外にたっておりますので、ごく要点だけを簡潔にお伺いしたいと思いますので、防衛庁長官、政務次官、そして調達庁長官、それぞれ簡潔にお答えいただきたい。この問題は、赤城、江崎、西村、三長官にわたって、各長官それぞれの立場からこの国会の場で確約があった問題であるが、いまだに解決していない。こういう問題について新長官としてはどのようにお考えになっておるのか、まず決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  119. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 途中のいきさつはもう御存じのことでございますから申し上げません。要するに、この太田・大泉の飛行場の返還の問題は代替地の問題一点にしぼられているわけで、従いまして、この代替地を早急に米軍と調整をいたしまして求めるということにしぼって、早期に解決して参りたいと考えておる次第でございます。
  120. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 返還についての決意のほどは伺ったわけですが、そこで、そういう決意は持たれて、具体的にはどのようにこれを解決なさろうとするのか、各赤城長官以後三代にわたった長官がそれぞれの立場から、さらには、また、丸山調達庁長官が繰り返し繰り返し、いつごろまでには返還しなければならないと思うから、最大限の努力をする、こういうふうに期日まで明示して確約をしていたわけです。それがいまだに解決していない、これは無能か怠慢か、いずれかに考えられるわけです。そこで、具体的には一体どういうふうに取り進められようとするのか、この点を具体的にお伺いしたいと思います。
  121. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) この返還問題は、ただいま申しましたように、代替地の問題でございますが、その代替地を米軍と調整をして至急に求める、この一点にしぼって目下検討もいたしておる次第でございます。
  122. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この代替地云々の問題は、今お言葉ではございましたが、江崎長官時代も、そして丸山長官が繰り返し繰り返し、問題は代替地にしぼられておる。丸山長官については、特に昨年も、一つの代替地にしぼられて、もう具体的に早急に解決の見通しもある、そこまで言われておるのですね。日米それぞれの立場から、それぞれ専門家がそろって、この代替地は適当であるかどうかということについては、もう昨年からの問題であったわけですが、いまだに解決しない。これはおかしいじゃないですか。代替地の問題というふうに今御説明になったわけですが、この代替地の問題は、もう年余にわたってしばしば繰り返されて、いまだに解決しない。しかも、両者それぞれ専門家を立てて調査検討してきたわけです。一体アメリカ側としてはどのような要求を出しているのか、具体的にはどういうことですか。
  123. 沼尻元一

    説明員(沼尻元一君) 具体的にというお話でございますが、どういう場所と申し上げることは、いろいろ支障がございますが、日本側からは、このような所はどうだ、また、米側からは、このような所を代替地として使いたいというような、それぞれ米側は米側なり、日本側は日本側としての適当な土地をお互いに出し合って、過去相当検討したわけでございますが、日本側が提案した個所は、なかなか向こうの条件に合致しない。また、向こう側がここを使いたいという所は、これはまた日本の国内情勢からなかなか簡単にいかないというような問題がございまして、まだ結論に達しないわけでございます。私たちとしては、そういう過去のいろいろな経過に徴しまして、現在また新たに代替地を提案いたしまして、相違点を検討しておるわけでございます。
  124. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人口密度の非常に高い、しかも、国土が非常に狭小であるという、こういう日本の国土内に、空から物資を投下しようという、そういう適地が日本全国至るところにざらにあろうとは考えられない。従って、おのずからその適地については、もうしぼられてきておるはずです。丸山前長官もその点についてはしばしば御指摘があったところです。特に太田・大泉の場合は、御承知のように、周辺はいわゆる地方の都市であって、人口密度も相当高い。そういう状況の中で、空からときにはジープが落ちたり、あるいは電気通信機が落ちてきたり、あるいはまた他の部品が落ちたりして、再三こういうあやまちが繰り返されたわけです。そこで、こういう狭い日本の国土内で空から物を投下するという、こういう危険千万な訓練が引き続き現在も行なわれでおるわけです。そこで、またあやまちを繰り返さないために、一つこの際代替地が決定するまで訓練だけは中止さしたらどうですか。そして、一方、具体的に代替地を早急に決定する。で、アメリカ側に対しても、アメリカ本土のように広莫たる平原を持っておるわけじゃないので、おのずから制約があるから、そう膨大な高度な要求に対しては、十分調達庁としても防衛庁としても、強力な態度でこれを論駁できると思うんです。これがいまだに解決しないということは、結局交渉の過程において強力な態度で臨んでいないんではないか、こういうふうにしばしば疑わざるを得ないんです。そこで、結論としては、代替地が見つかるまでは、そういう物騒な訓練は一切やらない、そういう強力な態度、しかも、そう高度な要求に対しては、十分過去の経過からして、この辺でもうピリオドを打つべき段階にきておるんじゃないか、こういうふうに思うんです。いかがです。
  125. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 米側の演習を一切とめるというようなことはなかなか困難かと思いますが、誤投下のあるようなおそれについては、十分こちらからも注意を促しておるし、今後もやって参りたいと考えております。また、第二段の、非常な高度な要求とおっしゃられておりますが、米側もその点は十分日本の国内のいろいろな面積その他の事情も承知いたしております。また、われわれといたしましても、十分その辺を説明いたしまして、早急に妥結をいたしたいと考えております。
  126. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この基地問題については、日米合同委員会施設委員会調達庁長官が主として出席されて論議する、こういうことになっておる。その合同委員会施設委員会は隔週の火曜になっておるわけです。そこで、林調達庁長官にお伺いしますが、あなたはまだ就任して日も浅いので、そうしばしばそういう機会もなかったと思いますが、それにしても何回か施設委員会を持たれておると思います。そこで、林長官としてはどのような発言をされたのか、そうしてアメリカ側の回答は一体どういう意向であったか、これを簡潔にお聞かせいただきたいと思います。
  127. 林一夫

    説明員(林一夫君) 施設特別委員会は隔週行なわれており、本日もその施設委員会があるのであります。過去において私が出席しましたのは一回でございましたが、そのときにはこの太田・大泉の問題については話はなかった。ただ、従来しばしば返還については要望し、その結果、米国側から、他に適当な代替地の提供があれば返還するということの回答もあるのであります。そういうような趣旨に基づきまして代替地を決定するという一点にしぼってわれわれは大いに努力してきたわけなんです。ただいまもお話がありましたように、誤投下というような問題があります。今後はこういう点も十分注意して使用するよう要望いたしたいと思います。
  128. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 せっかくそういう場がただ一回にしてもあったわけですが、そういうところで多年の懸案であるこの問題が議題にならなかったということについては、遺憾の意を表さざるを得ないわけです。たとい一回であっても、多年の懸案でありますから、当然追及すべきであったと思う。  さらに藤枝、林両長官について特にお伺いしますが、それぞれ防衛庁長官が三代にわたって、この国会内閣委員会の場で私に確約しておる、期日まで明示して。それと丸山前調達庁長官についても、これは一そう直接の責任者として、もう数えるにいとまのないくらいしばしば期日を明示して確約されておる。こういうことに対して藤枝、林長官といたしましてはどのように責任を感じておられるのか。前任者だから関係ないということはないと思う。同じ内閣の同じ前任者であるという考えから、当然責任があろうと思う。この点いかがです。
  129. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 歴代の長官が当委員会において確約をされておることでございます。従いまして、私といたしましても、これら前長官のお答えになったことを現実に一日も早く実現するということに努力を集中して参りたいと考えておる次第でございます。
  130. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはまあ御承知でもございましょうが、赤城元長官は、一昨年ですから三十四年です。三十四年の十二月に、この内閣委員会で私にこういう結論的に答弁されたわけです。おそくも明春三月までにはぜひ返還するようにいたしたいと、丸山前調達庁長官についても同様の確約があったわけです。それと、江崎長官については、昨年八月十日、九月一日、十月十一日、それぞれの当内閣委員会で、最初段階では、おそくも二、三ヵ月の後には、あとの段階では、おそくも一、二カ月の間にはぜひ解決しなければならない問題だと痛感しておるので、その期間には返還するよう最高度の努力をしたい、こういう意味の御答弁があったわけです。それと西村長官については、特に期日についての明示はなかったわけです。ただし、そういう期日をお約束するよりは、具体的にこの問題と取り組んで、早急に期待に沿うよういたしたい、こういう意味の確約があったわけです。これは議事録を見ていただければよくわかりますが、それぞれ三長官がその立場からこういうふうな責任ある御答弁をなさっておるわけです。丸山長官については、先ほど申し上げたように、もう繰り返し繰り返しその場でそういう意味の御答弁があった。特に昨年の十二月、丸山調達庁長官は、昨年の言葉で、年内には解決したい、まあおそくも、最悪の場合でも、第三十八国会中には何とか解決したいと、こういう繰り返し繰り返しの御答弁があったはずです。こういうふうに国会の場で、結局こういう問題について審議を進めて、いやしくも国務大臣ともあろう方が、国会の場で確約されたことに対して何ら責任をとられていない、これは言うなれば、行政府が立法府を軽視しておる、そういうそしりも免れないと思うわけです。あまりにも長過ぎる、もう一昨年からの懸案である。しかも、それぞれ先ほど申し上げたように、期日を明示して確約されておるわけです。こういう問題がいまだに解決しない。しかも、先ほど藤枝長官は、代替地の問題にしぼられておる、こうおっしゃったけれども、そのことは先ほど指摘申し上げましたが、江崎長官時代に、江崎長官、そうして丸山調達庁長官が、もうそのときすでに一点にしぼられておる、しかも、代替地についても一点にしぼられておる、そこまで具体的に言われておる、あと一息だということであった。それから年余経過しておる。こういうことでは、なかなかもってこういう国会の場で審議をやっても意味がない。何回か繰り返して責任ある大臣が答弁してもそれが実現しない、こういうことでは、 なかなかもってわれわれとしては、国会の場でも質疑が全く無意味に終わってしまう、何ら意味がない、こういうふうに考えざるを得ない。もしそうだとすると、これは重大問題だと思う。この点について一つ重大なる決意をもってお答えいただきたいと思う。
  131. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 歴代の長官が御確約のお答えをいたしておったのがいまだに実現しないということについては、はなはだ残念に存ずるわけでございますが、私それを引き継ぎまして、あの飛行場についてのいきさつは十分私も存じておるつもりでございます。従いまして、先ほど来申し上げたような意味において、早急に実現するように最善の努力を集中いたしたいと考える次第でございます。
  132. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは長官も、それから笹本政務次官も、私が言うまでもなく、地元の重大問題として、十分頭にあろう問題だと思う。従って、藤枝長官については新任だから、笹本政務次官についても新任だから、この問題はまだ研究していないという問題ではなかろうと思う。相当頭に入っておる。百六十万群馬県民が、あげてこのことを熱望しておる。特に超党派で群馬の県議会でも返還についての決議がなされておる。特に地元の熱意は相当なもので、首都圏整備法に基づく衛星都市建設の一環としての工場誘致、ところが、赤城長官、江崎長官が私に確約された。それを地元では当然信頼している、大臣の発言ですから。そこで、いろいろ計画を立て準備を進めて今日までやってきた。ところが、実際問題としてなかなか返還が実現しない。そこで、大工場、大会社等の一部については、もうあきらめて、太田・大泉飛行場の返還はものにならぬということで、計画を変更して他に転出してしまったものもある。こういう中で地元民の物心両面にわたる損害については、はかり知れないものがあろうと思う、これは長官も政務次官としても十分御承知であろうし、また、林調達庁長官としても、当然こういう実情は御理解のことと思うわけです。こういう経過の中で、今日依然として、ただ、代替地があれば返還する、こういうことで一歩も前進していない。先ほど北富士の問題で山本委員からいろいろお尋ねがあったわけですが、それにもまして、ずいぶん日時を経過している。こういうことで、よほどの決意をもって具体的に真剣に取り組まれないと、これはなかなか誠意をもって努力するというような、通り一ぺんの御答弁では解決しないと思うのです。その点についての一つ重大な決意をもっての決意のほどを伺っておきたい。
  133. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 繰り返して申し上げるようでございますが、漫然と代替地について議論をいたしているのではないのでございます。相当突き詰めてこの問題をやっているわけで、従いまして、その現在の努力をさらに詰めまして、そうして早期の返還を実現をいたしたいという決意を持っている次第でございます。
  134. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間もございませんし、もう昼食時もはるかに突破していますから、最後に一点だけお伺いしますが、藤枝長官は、七月二十九日群馬県庁内で記者会見をされておろうと思います。その際、こういう意味の御説明があったと思います。間違ったら御訂正いただきたい。太田飛行場の返還については、調達庁とも米軍要求の代替地について意見調整を行なっている、代替地としては、現在ある基地も考えられている、見通しは明かるい。これはそんな見通しの明かるい問題なら、そう御答弁にも苦慮される心配はなかろうと思うのですが、はたしてこういうふうに言われたのかどうか。もしそうだとすると、大へんけっこうなことで、見通しの明かるい問題であるならば、あまり苦慮される心配もないし、これ以上追及する必要もない。そこで、その見通しがはたして明かるいのかどうか、こういう点について確認しておきたいと思います。
  135. 藤枝泉介

    ○国務大臣(藤枝泉介君) 多少の言葉の違いはあろうかと思います。要するに、太田飛行場についての返還問題は絶望ではないという程度かという記者諸君の御質問でございましたが、いや、そんなものではないのだ、大いに努力をして返還を一日も早くやるということでやっているというお答えをいたしたわけでございます。十分この点につきましては、さらに努力を重ねて参りたいと考えている次第でございます。
  136. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは最後に要望申し上げておきたいと思うのですが、これは長官も先ほど言われたように、もちろん問題は代替地にしぼられていると思うのです。そこで、この代替地について米軍としてはいろいろの要求があろうと思うのです。広さとか、座間に近い距離がほしいとか、いろいろ要求があろうと思う。また、日本側としてもいろいろ希望があろうと思う。そこで、一つ代替地にしぼられているという点だけは一致しているわけなので、いわゆるその代替地の話し合いで、一つ強力な態度をもって、一つ一挙に解決するという不退転の決意で臨んでもらいたい。どうも日米合同委員会施設委員会の顔ぶれをこの前資料として出していただいたのですが、これを拝見しても、向こうはいわゆる武官がずらっと並んでいる。こちらの最高責任者は調達庁長官、もう顔ぶれからいって向こうは武官を主体にしておりますから、威圧を受けているのじゃないか。やはりこういう問題は対等の立場で、対等の決意で、あくまで不退転の決意で当たらなければ、もうとてもどうにもならぬ問題だと思う。それはなかなか完全に意見の一致をみるということはあり得ないと思う。そんな簡単な問題なら、今までにもう解決しているはずなんです。相当希望、要求についての意見の食い違いが出たと思う。そこで、一挙にこれを解決するためには、よほど決意をもって臨まれないと、なかなかこの問題は具体化しないと思うのです。もうすでに三年経過しているわけです。もう質問する方も相当疲れているはずです。もうこれ以上質問せぬで済むように……。最近私も国へ帰っても非常に信頼がない。伊藤内閣委員会で確約してきたって、そんなことを言っても信用されない。こんな私のつまらない顔はつぶれても問題じゃございませんが、群馬県としても超党派でやっている問題で、何々党だからということでなくして、群馬一県民として、また、九千万国民の一人としての熱望であるわけです。こういう点を十分かみしめていただいて、要は、特に林調達庁長官が当面の責任者であられるので、一つじっくり皮帯を締めて、不退転の決意で早急に解決していただいて、もうこの次の委員会では、きん然として御答弁ができるように、そういうことを強く熱望申し上げまして、時間の関係もございますので、本日のところはこれで終わっておきたいと思います。
  137. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会