○
政府委員(
瀧本忠男君) これは私から若干御
説明申し上げます。
ただいま
総裁からお話がございましたように、
寒冷地手当の
支給区分につきまして、若干の
是正をいたしました。これは
内閣総理大臣に対する
勧告でございます。
人事院は、前二回にわたりまして
寒冷地の
地域区分の
是正をいたしたのでございまするが、これは
人事院が
中央気象台の
資料に基づきまして、
寒冷地の各
地区分の格づけをいたすということをいたしております。その
資料に基づきまして、
人事院はこれ以上はできないであろうという
限度までやったのでありまするが、やはり多少その後に
調査資料を得ましたもり等がございまして、過去二回その
是正をいたしておるのであります。もう
人事院は、この
程度以上には
寒冷地の
地域区分を
是正することはむずかしい。なぜむずかしいかと申しますと、
気象庁の
資料なるものが全国至るところにあるわけでございませんので、これは数が限られております。その数が限られておりますために、その所在地における
条件は十分わかりますけれ
ども、その
管区気象台あるいは
県内観測所のないところにおきましては、
気象庁で作っておりまする、いわゆる
等温線というようなもの、あるいは雪の降ります
度合い、等
積雪度線というようなものによりましてこれを推定して参る。これは
中央気象台から出ておるのでございます。そういうものでやるより仕方がない。で、過去二回にわたりましてどういうところを拾ったかと申しますと、
等温線並びに等
積雪度線で見て参るわけでございまするが、たとえば風の
度合いでありますとか、
寒冷が非常に強い場合、風の
度合いが強い場合はこれは考慮を要します。あるいは日照時間の問題でありますとか、あるいは降雪の
深度が深くても、その
積雪期間が割合に短いという場合と、
深度は多少深くはないけれ
ども、
積雪期間が非常に長いというような場合があるわけでございます。そういうことをいろいろ見まして補正をいたすということにいたしたのであります。今回のわれわれの考えといたしましては、もう
人事院が現在の
資料に基づきまして考え得る最後の
修正をいたした、このように考えております。今回
寒冷地手当の
支給地域につきまして、
地域の格上げをいたしたわけでございまするが、その
地域数は全部で百六十三、との百六十三と申しますものは、
昭和二十七年の四月一日の行政区画によっております。なぜ新しい最近の行政区画によらないかということが問題になるのでございますが、最近の非常に広
地域にわたります行政区域を各単位として取り扱うことは、
寒冷地手当の場合にはどうも適切を欠くのじゃないか、やはり中を細分いたしまして、それぞれに適したような
措置を考える方が実情に適しておる、このように考えまして、われわれとしては二十七年四月一日の行政区画でやっております。それによると百六十三の
地域をそれぞれ格上げをいたす、こういうことになるのでございます。また、それには二十七年四月一日現在の行政区域内の中で、さらに字単位にものを考えた方がより適切ではないかという問題がございまするが、これは事実上その字指定をいたしていくということは、もうわれわれの能力の限界をこえるという問題でございまするので、われわれ二十七年四月一日現在の行政区画によってやったその結果は、お手元に差し出しておりまするような別紙についております
地域を、それぞれ級地の改訂をいたした、こういうことでございます。
なお、念のためにつけ加えて申しますると、昨年の
人事院の
給与勧告によりまして、おおむね一二・四%の
給与改善が行なわれたわけでございます。
寒冷地手当というものは、本俸に対する率で
規定してございまするので、従いまして、これは自動的になるわけでありまするが、
寒冷地手当の金額そのものは、本俸が上がっておりまするので、何ら
寒冷地手当の率の引き上げということを行いませんでも、これは一二・四、平均的な話でございまするけれ
ども、上がっておる、こういうことに相なるのでございます。そういうふうに上がっておるのでありまするが、さらに現在の
地域区分におきまして、いろいろな
条件を考慮いたしまして、上げた方が適切である。百六十三の
地域を、今回それぞれ別紙のような格上げをいたす、こういう次第でございます。以上が大体
寒冷地手当の
支給区分の格上げの御
説明でございます。
暫定手当につきましては、ただいま
総裁からお話がございましたように、かねて
国会の
附帯決議もついておりまするし、昨年の
給与法の
改正の際に、新たに
人事院に義務の
権限が付与されたわけでございまして、その後鋭意われわれ研究をいたしたのでありまするけれ
ども、現在抜本的にこの
制度を変えるというところまではなかなか研究が進まなかったわけでございまして、さしあたり一番困っておる問題は何かというと、これはやはり
附帯決議もついておりまするように、非常に広い行政区域内におきまして、この
暫定手当の
支給割合が違っておるということのために、人事交流等に非常に困難がある。それを何とかしよう、これが一番の問題点でございます。同一行政区域で級地がいろいろ違っておるものがどれぐらいあるかと旧しますると、現在全体の
市町村数が三千五百ある中で、百七十九あるわけであります。そのほかのものは四級地なら四級地ということで、同一行政区域内は統一されておる。従って、同一行政区域内における
異動というものは、その限りにおいて困難でないということがあるわけでございまして、とにかく
一つの区域内に
支給率の異なっておるような
市町村が幾つあるかというと、百七十九ある、こういうことになるわけであります。今回は、ただいま
総裁が御
説明になりましたように、同一行政区域内におきまして
支給率の異なっておるものがありまする場合には、
最低の部分を一
段階ずつ上げる、こういう
措置を講ずる
勧告をいたしたのでございまして、その結果、百七十九のうち、百二十五はみな同一
支給率に相なり、残るのは五十四ということでございまするが、五十四も従来よりも
段階が一
段階圧縮された形で残る、こういうことに相なるのであります。五十四を全部片づけてしまったらどうだという御指摘もあろうかと思いまするが、同一行政区域で、たまたま隣りとほとんど
条件が変わっていないのに、片方は三級地を含む
市町村、市に合併されたために、一挙に三級地になってしまい、片方はそのままであると、別の意味のアンバランスを起こすということがございますので、
人事院といたしましては、いろいろこの点を
検討し、熟慮いたしたのでございますが、そういう別の意味の不均衡を起こす場合もあわせ考えまして、現在におきます同一行政区域内における級地の
是正をいたします際に、一
段階だけ上げる。そのことによりまして百七十九のうち、百二十五が解消する、こういうことになるのでありまして、まず、さしあたりはこの
程度で一応問題の解決をはかることを考えなければならないのではなかろうか、このように考えている次第であります。なお、そのほかの同一行政区域内で
支給率の異なるものを含まない場合におきましても、その全体的な人事交流にはやはり困難があるという事情に変わりはないわけであります。それをどういうふうにやるかということをいろいろ考えたのでありまするが、現在ある人が
異動するという場合に、その困難が直接現われてくる。そうして級地の高いところがら級地の低いところに
異動いたしますると、これは
給与の額が減るわけでございます。
異動に伴いまして
給与が減る。しかし、生活習慣というものは、新しい任地の生活習慣に必ずしも
最初からなじまないということもありまして、まあその点は非常に困難があろうと思うのであります。これは六カ月ぐらいもすれば、その新しい任地の生活慣習にもなれるであろうということを一応期待いたしまして、今後
異動の際におきましては、六カ月間は従来の
異動前の高い級地の
暫定手当額を保障するという
措置をあわせて講ずることにしたらいかがなものであろうか、こういう
勧告をいたした次第でございます。なお、
薪炭手当につきまして、
最高額七千五百円という金額を
勧告いたしたのであります。この
薪炭手当の金額を幾らにするかという問題につきましては、いろいろ各方面におきまして御研究があったようでありまするが、
人事院といたしましては、やはりこの
寒冷地手当、
薪炭手当合わせまして、北海道におきましては
石炭手当、
寒冷地手当と合わせて、これはいわゆる
寒冷のための増高費に対しまして出される手当でございますが、そういう
関係から、
寒冷増高費というものが全体として幾ら要るものであろうかということをいろいろ研究をいたしました。しかし、これはなかなか
資料不十分でございまして、その計算にはいろいろまた御批判もあろうかと思いますが、とにかく
人事院はそういう研究をやってみたわけであります。そうしますと、大体七千円から七千五百円、内地における五級地におきましては、大体その
程度薪炭手当を増額するということがどうも適切であるというような一応の目安を立てたのであります。たまたま公社現業におきまして現在
支給されておりまする金額をながめて見ますると、七千円ないし八千円というところの金額に相なっているのであります。この両者をにらみ合わせまして、七千五百円という数字が適当であろうというふうに考えた次第であります。今回準
世帯を設けまするが、その準
世帯につきましては五千円ということになって、
現行の五千円と同額でありますので、準
世帯を新たに設けたということによって、そういう人々が実額が減るということにはならないような工夫もいたした次第でございます。
以上、簡単でございましたが、
寒冷地手当、
薪炭手当、
暫定手当について
勧告の御
説明を申し上げた次第であります。