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1961-07-31 第38回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年七月三十一日(月曜日)    午前十時四十一分開会    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理 事            小幡 治和君            伊藤 顕道君            山本伊三郎君    委 員            石原幹市郎君            上原 正吉君            木村篤太郎君            下村  定君            一松 定吉君            鶴園 哲夫君            松本治一郎君            千葉  信君            横川 正市君            田畑 金光君            高瀬荘太郎君   国務大臣    国 務 大 臣 福永 健司君    国 務 大 臣 川島正次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    人事院総裁   入江誠一郎君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    総理府総務長官 小平 久雄君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等  に関する調査公務員給与に関す  る件)    ——————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  ただいま総務長官がおいでになりましたので、先にそれでは総務長官あいさつをいただきましょう。
  3. 小平久雄

    説明員小平久雄君) 私、今回総理府総務長官を拝命いたしました小平久雄でございます。当委員会皆さんには、今後何かとお世話になることと存じます。どうぞ何分よろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは速記つけて。  次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、公務員給与に関する件の調査を進めます。  関係当局よりの出席の方は、入江人事院総裁滝本人事院給与局長増子公務員制度調査室長でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人事院勧告関連して、二、三総裁にお伺いしたいと思いますが、人事院は、昨年公務員給与引き上げについて、五月一日から引き上げる旨を国会並びに内閣勧告したわけです。一方、政府としては、人事院勧告は尊重する、こう言い続けてきておったわけですが、実際には五月一日にさかのぼらないで、十月一日に実施したが、こういう点について総裁としてはどういうふうにお考えになるか、まずこの点からお伺いしたいと思います。
  7. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) ただいまお尋ねの問題につきましては、前総裁並びに私の方からたびたび申し上げました通り人事院勧告が五月実施をお願いいたしましたのに対しまして、十月になりましたことにつきまして、遺憾に思っております。しかしながら、現在の段階におきましては、国会において決定されたことでございますので、人事院といたしましてはやむを得ないと思っております。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 賃金調査については月分について実施したわけです。そうだとすると、その調査から民間産業労働者との賃金格差は、まあいい悪いは別として、一二・四、二千六百八十円という格差があったということである。従って、四月すでにそういう格差があったということは人事院自体が認められておる。それなら、なぜ四月一日実施旨勧告しなかったか。これは前の総裁に対してもお伺いしたのだが、どうもあいまいもことして、明確な御答弁がなかったわけです。これはまことに不思議なことで、四月に実態比較したらすでに一二・四の格差があったと人事院自体が認めておられるのだから、当然五月でなく、四月にさかのぼって実施旨勧告をすることが至当であると思う。この点当時の総裁としても説明はありましたけれども了解するに至らなかったので、この点明確にしておきたいと思います。
  9. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この問題につきましては、御存じのごとく、一昨年まで三月を基準として調査しておりまして、その当時三月一ぱいの、一日から月末までの民間賃金支払いを全部調査いたしまして勧告いたすわけでございますが、三月調査の場合に、四月一日から実施ということが各方面から御要望もございましたし、一月延びまして、四月の賃金を五月になりまして調べましたものでございますから、やはり五月から実施というのが適当と考えたためでございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この点はこういうふうに私どもは思うのですが、人事院が一昨年の勧告では、中だるみの是正を勧告したわけですが、それの実施時期が昨年の四月一日であったわけです。ところが、昨年のべース・アップの勧告が、人事院としては今四月一日に——どもとしてみれば四月一日にいたすべきところを、一昨年の勧告実施が昨年の四月一日になるので、一昨年の勧告実施と昨年の勧告実施がちょうどぶつかってしまう、そういう配慮があったのではないかと思うのです。その点はいかがですか。そして今年は四月一日から実施旨勧告されるのかどうか、そういう点についてはもうお考えがきまっておると思うのですが、この点についてもお考え一つ明らかにしていただきたいと思います。
  11. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 一昨年と昨年との関係につきましては、ただいま御指摘のようなことは全然考えませんでございました。やはり四月一ぱいにおける民間賃金支払い状況を五月になりまして調べましたものでございますから、五月一日から実施をしていただくようにお願いすることが適当であると考えたわけでございます。ことしの問題につきましては、まだ実は、二、三日前に統計局から大体統計資料が整いまして、現在給与局の方において、極力これを取りまとめ中でございます。その結論がどういうふうに出ますか、まだ見当はつきませんような状況でございますので、勧告内容あるいは報告内容につきましても、はたしてどういうふうになりまするか、はっきりと申し上げかねるような状況でございますので、まあ実施時期につきましても、いずれこれらの全般的な問題が出そろいましてから検討いたしたいと思っております。現在結論は出ておりませんのでございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、官民給与比較方法ですが、まず基本給については、本年はどういうふうな方法実施されるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  13. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 大体と申しますか、ほとんど前年同様と、こう考え願いますればと存じますが、やはり昨年同様、ことしも約六千の事業場、二十三万ほどの従業員につきまして、職種別階層別比較いたしまして、それを学歴及び年令で分析いたしまして、各職務の適当と認めます部分を総合して比較を出すわけでございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 同じく官民給与比較について、初任給については。
  15. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 初任給については、ことしだいぶ——これはわれわれの新聞その他の状況によった知識にすぎませんが、調査にかかります前後から、民間初任給がある程度ことしは上がっておるんじゃないかと思ったりいたしまして、少し詳細に調べたいということで、詳しいことは給与局長からお答えいたしますが、従来よりも職種別その他少し詳しく調査をいたしております。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、特別給について、この点を本年はどういうふうに考えておるのか、この点を明らかにしていただきたい。
  17. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 特別給につきましても、前年度と同様な方法で進めております。これがどういうふうに出ますか、まだ見当がつきませんけれども官民の間に相当開きがございますようでございますれば、善処いたしたいと思っております。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 特に特別給については年間三カ月をこえることが特に不適切であると考えて、いるわけではない、こういう意味意思表示がされたと思いますが、これはどういうわけで——ばかにややこしい表現で、いま少しはっきり表現したらいかがかと思うのですが、非常にややこしい表現であると思うのですが、この点いかがですか。
  19. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この点につきましては明確にいたしたいと存じますが、御存じのごとく、昨年三・一九という民間特別給の、統計が出まして、それに対しまして人事院は三カ月を勧告いたしましたわけでございます。そのときに国会その他から、O・一九の差をなぜ埋めなかったかというお尋ねがございましたので、これは民間特別給は、御存じのごとく、一種のボーナスと申しますか、そのときの企業の成績を反映いたしますが、公務員の方の期末手当は、多少恒久性と申しますか、変動しにくい性格を持っておりますので、民間特別給の出ました通りにいたすのはいかがか、むしろ若干控え目にいたすのがどうだろうかということを申し上げましたときに、三カ月の大台と申しますか、三カ月というものを一つのきめということを考えて、また将来民間状況によって善処したいということを申し上げましたので、人事院期末手当は三カ月ということで、民間がいかなる状況があっても増加しないかどうかというふうな御疑問が起こった。その点につきましては、決してそういうふうに考えているわけではございませんで、そのときに、やはり民間状況によりまして公務員期末手当についてもお願いしたいと思っております。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人事院生計費調査に関してですが、大体人事院のとっているマーケット・バスケット方式は、独自男子でも実際には生活できない、これが実態であろうと思うのですが、先進国の多くは、独身男子一人の生計費でなくて夫婦二人の生計費基準にしている国が多いわけです。英国のごときは夫婦子供三人、本人、妻、子供合計三人の生計費基準にして生計費を出しておる、こういう英国のごとき事例もあるわけです。それは特別としても、多くの先進国夫婦二人の生計費基準にしている。ところが、日本人事院男子一人の生計費基準にし、その男子一人の生計費も、実際には生活できない非常に低い生計費基準にしている。そこで日本公務員労働者の低賃金がこういうところからも出てくると思う。もうこの辺でこの生計費基準についても、十分人事院としても考えるべきだと思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  21. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この人事院調査していただいております方といたしましては、御存じのように、公務員給与は、大体民間給与基準としてきめさせていただいているわけでございますが、それと同時に、生計費につきましては、先ほど御指摘の十八才の青年男子、つまりちょうど新制高校を卒業いたしまして、初めて公務員になりましたときの俸給をきめます場合に、一定の標準生計保障金額と申しますか、新制高校出初任給をそこで保障すると申しますか、そういう意味において標準生計費を使っているわけでございます。そこで、その点は今後ともこの方向でやらしていただきたいと思っておりますが、まあ食えるか食えぬかということでいろいろ国会でも御議論のございましたことでございますが、食えるか食えぬかということは非常にむずかしい問題でございますが、この標準生計費で昨年きまりました新制高校の十八才の男子民間給与は、私ども標準生計費で出したものよりもちょっと低いのでありまして、民間の、公務員と同様の年令の者はそれだけの賃金でやっているということは事実なんです。と同時に、またこの標準生計費は、大体約六百世帯の生計費調査いたしまして、これの一つのまあ総合いたしたものと申しますか、これで出しておりますので、現にとにかく一般国民各位は、総理府統計局統計調査によりますと、その程度生活をしておられるということは、これは事実なんでございます。そういうわけでございまして、私どもといたしましては、いろいろ御議論がございましょうが、昨年は御存じのごとく、食費につきまして百二十九円七十銭というのがございましたが、それについて国立栄養研究所献立表何かも一応準備いたしておりますし、なかなか食えるか食えぬかという問題は、言葉としてはむずかしい問題でございますが、少なくとも国民一般の方が、それだけの俸給並びにその生活実態に基づいて生活しておられるということは一つ了解願いたいと思います。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 七月の二十五日に社会党として、入江総裁に、給与改善についての勧告をすみやかに取り計らっていただきたいという旨申し入れがあったと思うのですが、そのときに、やはり憲法に保障された生活を確保すること、こういう項目が一つあったと思うのですが、このこととも今の点結びつけて、はたして現在この憲法に保障されている生活が保障されているかどうか、こういう点はなはだ疑問だと思うのです。こういう点とも関連をもって、今の生計費基準についても、この際抜本的に考えるべきではないか、こういう時期だと思う。重ねてお伺いします。
  23. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) やはり公務員給与といたしましては、一般国民の御納得と申しますか、納税者の御納得を得る必要もあるという関係上、この標準生計費につきましても、先ほど申しました通り総理府統計局統計調査その他の調査によりまして、国民一般生活水準と申しますか、生活をしておられまするその実態に即応した生活を、最初に公務員になりましたときにも確保したいということで参っておりますので、もちろんもしその程度が上がりますれば、ことしはそれよりも上がることになりますけれども、その方向は今後といえどもまあ続けさせていただきたいと思っております。
  24. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それじゃちょっと速記とめて。   〔速記中止
  25. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。  福永国務大臣並びに川島行政管理庁長官がお見えになりまして、それぞれ発言を求められておりますので、これを許したいと思います。
  26. 福永健司

    国務大臣福永健司君) 過般の内閣改造にあたりまして、私、労働大臣に任ぜられましたのでございますが兼ねて給与を担当する国務大臣、こういうことに相なりました次第でございます。至って若輩かつ至らぬ者でございますが、全力をあげて職責を果たし得るように努力いたしたいと存じますので、練達堪能の各先生方におかれましては、ぜひ御指導鞭撻を賜わりますよう、切にお願い申し上げる次第でございます。
  27. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) このたび第三次池田内閣の成立にあたりまして、はからずも行政管理庁長官を拝命いたしました。  行政管理庁は、御承知のごとく、行政の機構及び定員の管理を初め、統計基準の設定、行政監察等、このいずれもが行政運営の根幹をなす重要事項を受け持っております。私は、昭和三十年に一度行政管理庁長官を拝命しまして、今回は二度の勤めでございます。時代の進化とともに行政はいよいよ複雑化し、これに伴って行政管理庁の責務も一段と重大になって参りました。すなわち、複雑多岐にわたる行政をできるだけ簡素、能率化いたしまして、国民の利便をはかるは言うまでもなく、進んで国民の声を聞いて、これを行政に反映するなど、行政民主化を推進することがその最大の重点でなければならないと考えておる次第でございます。  私は微力ではございますが、以上の目的に沿うべく、今後鋭意努力をいたす覚悟でございます。つきましては、当内閣委員会皆さん方には、格別のお世話になることが多いと存じますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほど、ひとえにお願い申し上げてあいさつといたします。    ——————————
  28. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは質疑を続行いたします。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間もございませんので、最後に一点総裁にお伺いしますが、大体人事院は、いわゆる生計費あるいは物価、そして民間産業労働者との賃金格差、こういうものを総合して、五%格差があれば勧告する、こういう建前になっておりますが、この三つをそれぞれ検討してみても、生計費については、以上申し上げたように、日本人事院考えておる基準は非常に低い。それから物価についても、御承知のように、所得倍増どころか、物価倍増が近く実現するであろうと思われるくらい、ことほどさように物価はウナギ登りに上がっておる。それに伴って、また民間給与実態も相当はね上がっておる。こういうことから、当然大幅な賃金引き上げ勧告があるものと期待されるわけですが、その大幅な引き上げ勧告されるであろうということと、さらに大きな問題は、従来ともそうでありましたが、上厚下薄傾向が非常に強かった。特に昨年の給与体系によってこの上厚下薄傾向はますます激しくなってきた、そういうそしりが非常に強かったわけです。従って、こういう点をも考えられて人事院としては目下調査を進められていると思うが、この点について、ここで十分過去の批判批判として、公平厳正な立場から公務員の利益を守るという本来の姿に戻って、一つ上厚下溝の給与を一新して、信を公務員に問うべきだと、そういうふうに思うのですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておりますか、これを明確にしていただきたいと思う。
  30. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 先ほど申し上げました通り、どういうふうな結果が出ますか、まだ結論が出ておりませんのでございますが、しかし、この俸給体系と申しますかにつきましては、始終いろいろ検討いたしているわけでございまして、現在の俸給表が、ただいまお話のいわゆる上厚下薄とも必ずしも思いませんけれども、しかし、公務員実態につきましては十分考慮いたさなければなりませんので、ただいまの御指摘の趣旨も十分検討いたしたいと思います。
  31. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 昨年の八月八日の勧告からまた一年になるわけでございますが、従来、人事院は一年に一回ということで、非常に厳重に固執しておられたのでありますが、昨年ごろから、そういう空気もあまりないようでございますが、八月の八日ごろには勧告されるというふうに見ていいわけでございますか、あるいは若干ズレて十日ごろということになりますか、その点を伺っておきたい。
  32. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 人事院勧告が一年一回といいますのが、昨年の勧告までにいたさなければならないものかどうか、これは公務員法の問題としてはいろいろ論議がございます。しかし、その問題は別にいたしまして、昨年八月八日に勧告させていただいたわけでございますから、できるだけそれに間に合わせたいと思っておるわけでございますが、しかし、これは率直なところ、若干資料がことしおくれまして、われわれの作業の物理的な一つの能力と申しますか、そういう関係で八月八日に必ず勧告するということを、今勧告なり報告をいたすということを申し上げるということもちょっといたしかねますけれども、しかし、極力努力をいたしまして、十日ごろまでには結論を出したいと思っております。
  33. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に伺いたいのは、これは総裁がそういうふうにお考えだというふうには私も理解はしないのでありますけれども人事院の中に、一部今回の勧告にあたりましては、実施の時期を明示しない方がいいんじゃないかという考えがあるように聞いているわけです。もしそういうようなことになりますればこれはここでしばらく論議をいたしたいと思っているわけです。  一昨年から昨年にかけまして、この委員会におきまして、勧告については実施の時期を明示すべきであるという点について繰り返し論議をいたしまして、そうしてその結果が昨年の勧告にあたりまして、御存じのように、実施の時期を明示いたした、その実施の時期を明示するにあたりましての人事院理由も明らかになったわけでございます。つまり勧告文書の中に実施の時期を明示する理由を明らかにいたしておる。それですから、人事院の中に一部実施の時期を明示することを避けた方がいいというような意見があるというふうにも聞いておりますので、そういうことになるのかどうか。昨年せっかくああいうふうに実施の時期を明示されたのにそれをくつがえされるのかどうか、そこら辺の点について伺いたいと思います。
  34. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この問題につきましては、まだ人事院の中と申します史人事官会議その他におきまして、ことしの問題につきまして、まだ討議をいたしたことがございませんことが実情でございまして、いずれこの勧告をいたすかいたさぬか、どういう内容のものをさしていただくか、これらの問題が討議されることになると思いますので、そのときに一緒に検討いたすべきものと思っております。しかしながら、別段特別にこれに重大な変更をしようとかという意見がただいま具体的にございますわけではございませんので、その点はどうぞ御了承を願います。
  35. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今、総裁答弁の中にありましたように、人事院の中で極端に昨年の考え方を変えるというような意見があるわけではないということでございますので、その点で了解はいたしますけれども、念のために申し上げておきたいと思いますが、それは昨年の勧告の場合におきまして、文書の中にも明らかにありますように、これは理由ははっきりしているわけですね。勧告実施を明らかにするということがはっきりしている。それから昨年少しその点について問題がありましたのは、水田大蔵大臣がこの委員会におきまして、あの実施の時期を明らかにして、五月一日ということにすることについての疑義を、予算編成上この委員会において出されたことがあります。そういうものがあるいは人事院の中にも若干の影響があったのかというふうに私は思っているわけでありますけれども、しかし、これは御存じのように三公社五現業の仲裁裁定の場合におきましては、三月末に出たものをすぐ補正予算を組んでいるわけでありますから、そういう関係からいいましても、特にこの一般職国家公務員の場合において、何か五月一日から実施することはおかしい、そういうことをやられては困るという大蔵大臣の言明というものは、私は、仲裁裁定の場合においては、はっきり破れているというふうに思うのです。ですから、それ以外に特に実施の時期を明示することに対する障害というものはないのではないか。ですから、今、総裁のおっしゃいましたように、せっかく昨年は実施の時期を明らかにされたのでありますからして、そういうふうなことを特に変えるという空気はないということを承りましたので、その点で了解をいたしたいと思いますが。
  36. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この問題は、先ほど申し上げました通り、まだ人事官会議におきましては検討いたしたことはございません。それで、その勧告内容でございますとか、そういうものと一緒に検討いたすべきものと思っているわけでございます。大きい方向といたしましては、別段今までのところ特別な意向を持っておりませんが、まだ結論を得ておりませんということを一つ了解願いたいと思います。
  37. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、その勧告がどういう内容になるか、それとの関連でというようなお話、そうなるとまた妙な話になりますので、勧告はどういう内容になろうと、高くなればどうも実施時期をずらすという考え方が従来ややともいたしますとありましたが、そういう問題は別といたしまして、勧告内容はともかくとして、実施の時期というものを明示される昨年の考え方というものを変更されるということはないものと私は了解したと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  38. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 大体の方向は別段大きな変化はないと思いまするけれども、まだ人事院として正式に討議いたしておりませんので、私からこの席ではっきりと変更がないとかあるとかということをお答えいたしかねるということは一つ御了承願います。
  39. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 しかし、その総裁のお考えは、先ほどおっしゃったように、昨年の考え方を変える気持はないというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  40. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 昨年勧告いたしましたときに五月実施を希望いたしまして、それで五月実施がおくれましたことを遺憾に人事院として考えるという意味のことを前の総裁並びに私からも申し入れておるわけでございまして、その気持、その考えというものは別に変わりません。しかし、人事官会議で決定いたします前に、私の個人のこの問題についてのはっきりした意見というものをこの席で申し上げるということは御遠慮さしていただきたいと思います。
  41. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、引き上げの率につきまして、私どもが、また人事院の方で握っておられます数字の範囲内において若干御質問申し上げたいのであります。引き上げの率ですね、どの程度引き上げるかという点について伺いたいと思うのでありますが、人事院は労働省の毎月勤労統計調査これも重要な資料にいたしておられますし、また、総理府統計局で行なっておりますところの消費者特価指数の上がり工合、それから一般世帯の生計費の上昇工合、それと勤労者の本業収入の上昇工合、こういうような点をきわめて重要視しておられるわけでございますが、それの内容は、すでにこの四月現在の数字は明らかになっておるわけでありますので、そういう数字を通じまして、若干引き上げの率につきまして伺っておきたいと思います。と申しますのは、この引き上げの率について、私は、非常に今回の人事院調査並びに労働省の毎勤統計におきましては、見のがしてはならないという点があるというふうに思いますので、特に主張をいたしたいわけでありますが、まず生計費、消費者特価、それから勤労者の本業収入、これを見ますと、これは人事院も御承知通り総理府総計局が発表いたしておるわけでありますからして、昨年の人事院勧告の場合、一年一カ月の間に消費者物価は三・三%上がっておる。十三カ月の間に三・三%。昨年の四月からことしの四月、十二カ月の間に五・一%上がっております。これは東京都におきましても全都市におきましても同じ率、昨年は三・三%、ことしは五・一%という上がり方でありますし、それから生計費の場合におきましても、昨年は十三カ月で東京都が五%上がっており、全都市が九・八%、本年は東京都が八・九%、非常な上がり方であります。それから全都市は八・九、昨年よりちょっと下がっておる。それから東京都、全都市を全体として見ますと、生計費の場合におきましても、昨年よりも相当な値上がりを示しておるというふうに見て何ら差しつかえない。それから勤労世帯の本業収入でありますが、これは昨年は六・四%、ことしは東京都は実に一六・三%という上がり方です。全都市の場合は一一・三%ですから、この勤労世帯の本業収入は、昨年の六・四%という数字の約二倍半ぐらい上がっておる、こういう実情だと思うのですね。この消費者物価生計費、それから勤労者の本業収入等の関係からいいますと、少なくとも昨年の二千六百八十円、一二・四%という額をはるかに上回わるものでなければならないというふうに判断するわけなんですが、これらの点について人事院としてはどういうふうに分析をしていらっしゃるのか、これらの数字は、もうすでに二カ月ぐらい前にわかっているわけであります。今日すでに六月の数字が出ておるわけであります。そういう点についてどういうふうな考えを持っておられるか伺いたい。
  42. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 人事院公務員給与勧告の基礎になります基準といたしましては、御存じのように、民間賃金生計費、その生計費につきましては、先ほど来御指摘のありましたような標準生計費を調べまして、それを新制高校卒業者の公務員初任給基準にするというのが、これがまあ大きな柱でございます。そこで、ただいま御指摘のように、総理府統計局の家計調査からの物価あるいは収入等につきまして、これは確かに御指摘のように、物価が相当上がり、世帯の本業収入も非常に上がっておるということは事実でございますが、私ども民間賃金というものとどうして合わすかということを考えます場合には、まあ統計一つ基準としては、やはりこの統計として、その見地から調査いたしました統計によるべきものと思っております。また、たとえば毎月勤労統計は、御存じのように、労働省が約一万五千事業場につきまして、約百万の勤労者について毎月調査いたしておるわけであります。  それから、この人事院のことしのものといたしましては、約六千事業場につきまして、勤労者といたしましては約二十三万の勤労者の賃金を調べておるわけでございます。もちろん、この総理府統計局の家計調査も、統計として十分われわれ参酌いたさなければなりませんが、これはやはり家計を調査するという見地から調査されたものでございまして、たとえば、数字はちょっとはっきりいたしませんが、たしか勤労者について申せば、東京につきましては約四百世帯、それから全都市におきまして、たしか千数百でございますか、二千でございましたか、やはり毎勤が百万の勤労者を中心にして賃金を調べる。人事院が二十二万の勤労者を中心として調べております。やはり賃金を調べるということの見地に立った統計がそこにございますわけですから、やはりそれを基準にして公務員賃金考えることが適当であろうと思っております。
  43. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私が先ほど総理府統計局生計費あるいは消費者物価、それから勤労者の世帯の本業収入等の数字について申し上げたわけでありますが、これらの数字は、これは毎年人事院勧告の場合に詳細に利用しておられます。また、勧告の中にも理由づけとして十分活用しておられると存じますが、先ほど申したような数字から言うならば、二千六百八十円という昨年の額をはるかに上回るものを処理しなければならぬという、人事院としまして、また大へんな事態だろうと思っておりますが、しかし、何か総裁は、そこのところをするりとお逃げになったように印象を受けるのですけれども、もしそうならば、また別の角度から論議をしてもよろしゅうございますけれども、何か今申し上げたような、非常なこの上昇の歩合というものを軽視しておられるような気持が私はするわけです。消費者物価指数にいたしましても、これは政府全体が使っている消費者物価指数であります。昨年のやつよりもうんと上がっている。しかも、これは五月にちょっぴり下っておりますが、六月はさらに上がっている、こういうような数字ですし、さらに勤労世帯の本業収入も、確かに二十三万、百万という数字を出されておるが、総理府統計局として、その正確さを期してピックアップした調査をやっているわけですが、これなんかも本業収入からみますと、昨年の二倍以上の上がり方を示している。ですから、何か少し軽視されたような印象を私受けたわけですけれども、どうもあまり触れたくなよいうな気持じゃないかという印象を受けるのですが、あるいは人事院がお調べになっておられるように、二十三万の数字からいって、これらが少し上がり過ぎておるという観点から、何か少し総理府統計局の数字をネグレクトされるような印象を受けるわけですが、所見がありましたら承りたい。
  44. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) これは決して総理府統計局の今年度のただいま御指摘の結果というものを軽視する、そういうことは毛頭でございませんので、従来から御存じのように、人事院といたしまして、毎月勤労統計、ことに人事院民間企業調査というものを基準にして公務員賃金をきめます基礎にいたしておりますので、その点から申して、従来から総理府統計局のいろいろな家計調査というものを、私どものが標準生計費その他の公務員の生計の調査には使わせていただいておりまするが、公務員俸給表をどういうふうにきめるかという基準につきましては、今御指摘総理府の家計調査による本業収入の増減というものは関連いたしておりませんでございます。その意味で、今年もやはり従来通りに、人事院の調べます官民給与調査並びに毎月勤労統計というものを基礎にして、従来と同じ方針で進めて参りたいと、そう申しておるわけでございまして、決して総理府統計局調査を軽視するとか、今年に限ってこれを関連させないとか、そういう意味じゃ毛頭ございませんので、その点誤解のないようにお願いいたします。
  45. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、昨年の御勧告を詳細にもう一ぺん目を通してみて、人事院が昨年一二・四%という勧告をされるにあたって、総理府統計局資料、それから毎勤統計資料等をできるだけ有利に解釈しようという努力をなさっておられる。数字を昨年のやつをよく見てみますと、その意味では総理府統計局の数字、あるいは毎勤統計等に非常に寄りかかっておられる、非常に利用しておられる。何か今のお話ですと、できるだけあまり触れたくないようなお話でありましたので、申し上げたわけですが、ぜひそういうことのないように要望申し上げておきたいと思います。大へんな上がり方であるわけですから、これを放置されては、これは公務員としてなかなか納得しがたい点だと思います。  そこで、毎勤統計人事院調査との関連について若干承りますが、これは昨年の勧告の場合におきましては、労働省の毎月勤労統計では九・六%上がっておる。人事院がやっておられます職種別民間給与の純上昇率、これは一一・二%、こういう説明をされまして一一・二%、これは民間給与でありますからして、これを公務員の責任の度合い、学歴、年令、経験年数、こういうようなものに換算をすると、一二・五%ほど民間より低いという数字を出されたわけです。今年明らかになっております私どもが握っておる数字では、労働省の毎勤統計、四月は六・六%上がっておる、こういうことでありますが、この数字から毎年の勤労統計人事院のおやりになります職種別民間給与調査等から見ますと、これは人事院の場合は五十人以上になりますから、おそらく九%ぐらいになっておるのじゃないかと推定するわけです。そうして、これを、先ほど申し上げた民間給与でありますから、公務員の学歴、経験年数、年令、責任の度合い等に換算をいたしますと、おそらく一〇%をこしておるのじゃないかというふうに見るわけです。これらの数字は、内閣総理府統計局に電話をかけてみましても明らかなように、すでに人事院の手元に参っておるわけであります。どの程度の差が出てくるか、これを一つ承りたい。これは数字であります。何も手を加える、あるいは人事官会議でどうこうされるという問題ではなくて、具体的な科学的な数字として出ておるわけですから、その点が明らかであるならば承っておきたいと思います。
  46. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいま毎月勤労統計及び人事院調査によります資料の昨年のお示しがあったわけでございます。それはその通りでございますが、それからまた本年の毎月勤労統計の、昨年四月に対しまする本年四月の上がりが六・六%ということも御指摘通りでございます。まあそれから推計してことしの上がりがどのくらいになっておるであろうということをおっしゃったのでございますが、先ほど総裁から申し上げましたように、総理府統計局からは一応集計したものが参っております。しかし、これはそのままでははっきりいたしませんから、それを昨年の数字と比較するために、さらに再集計、集約して比較するとか、あるいは公務との比較をするというような計算を私の方でやるわけでございます。まあそういうことが出ました結果、この数字が出るわけでございますが、これはまあ現在のところ、それは部分的に出ているところもございますけれども、まだ全体的には出ておりません。しかし、これはもうそれほど長い期間がかかって出るものではないので、現在は出ておらないということでございます。で、先ほど総裁から申し上げましたように、人事院民間との格差がどれだけある、去年一二・五といった数字でございますが、これは主として人事院が行ないまする民間給与調査の結果から出て参る。で、それはただいま申し上げましたような状態でございます。まあここから先は憶測になりますので、いろいろ申し上げることはかえって恐縮なんでありますが、ただまあ労働省の六・六%というものが三十人以上の事業場の上がりであるということは御指摘通り、ただ、これは超過勤務手当も含んでおる数字であるということになる。それから人事院が行ないまするものは、これは御承知のように、事業場で支払った賃金というものではないので、事業場で調べあげました個々の個人票によって調査いたしたものを、職種別に、あるいは年令別に公務と対比して出すという性質のものでございますから、必ずしも同じような傾向が出るとは思いません。人事院でも事業場票というので集計して出す数字がございますが、これはまあ大体毎勤に似た数字になるわけでございます。これとても、先ほど申し上げましたように、毎勤では三十人以上で、超過勤務手当を含んでおる。人事院では五十人以上でありますが、いわゆる基準給与比較をしておるということで違いがあります。従いまして、六・六を基礎にして推計するということは、今の状態といたしましては、まあいろいろあるかと思いますけれども、まあただ言ってみるだけの話になるのでございます。どうしてもれわわれとしては、人事院が行ないました職種別民間給与調査の結果が出て初めてまあきまる。そして、その数字が出てみると、六・六%との関係というものは大体どういうふうになっておるかということがこれはまああろうかと思います。現在そういうことでございますので、目下極力作業を急いでおる状態でございます。御了承願います。
  47. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その点につきましては、土曜日、日曜日も御出勤で大へんな作業をなさっておられるのでございますが、近々日中に出ると思いますし、また、ここで推測の数字を申し上げても何でありますので、これ以上申し上げませんけれども、ただ大体一〇%ぐらいになるのじゃないだろうかというふうに思います点だけをまず申し上げまして、そしてその次に申し上げたい点は、ことしの民間給与実態調査の場合において、私は見のがしてはならない点があるのではなかろうかというふうに思いますので、その点を一つ付加して申し上げてみたいと思うのですが、それは労働省の毎勤統計ではっきり出ておりますように、毎動統計で見ますというと、大体三月から四月で少し上がりまして、五月になりますと少し下がる、こういうのが毎年の統計の例なんです。これは若干うなづける点がある。四月というのは、要するに民間賃金等が上がります月でございますので、四月は上がる、そして五月は若干下がるというのが毎年の傾向であります。昨年の例を申し上げましても、昨年は四月は九・六%でございましたが、これが八・五%というふうに五月は下がるわけですね。ところが、今年の場合におきましては、この点が非常に違うという点であります。それは先ほども局長がお話になりました四月は六・六%でありますが、五月はまた上がっているわけですね。五月はこれは前年同月此で八・七%という数字が出ている。いつもですと、これは六・六、七%、もう少し下がった五・何%という数字になるのです。ことしの場合には八・七%、逆にぐっと上がっている。二%か上がるのですね。これは管理、事務、技術、労働者のきまって支給する給与、こういう項目がありますが、毎勤統計の中にその数字を見ましても、四月は八・四%上がっている。ところが、五月は前年同月此ですが、一〇・六という数字ですね。例年ですとこれは下がるわけです。これが逆に相当顕著に上がっているわけですね。私はこの点を今回人事院が見のがしていただいては困る、こういう点を主張したいわけです。一体こういう数字はどういうところから出てきたのかという点を、けさ私、労働省に電話をかけて種々聞いてみたのですが、労働省としては、五月の数字をやっと三日ぐらい前に確定したという言葉を使っておりましたから、まあ最終的にきまったようです。どういうわけで最終的にきまるのか、問題はありますが、とにかく最終的にきまった、こういうわけです。従って、こういうふうになった点については、十分まだ究明をしていない、こういうことなんですが、私は、これは明かだと思います。これだけの明らかな顕著な違いが本年において現われたということは、これはことしの春の賃金の上がり方をごらんになりますと、いつも三公社現業が、民間の賃上げが終わったあとやっておったが、今回は三公社現業が先にやった、三月の末に。そして民間がそのあとを受けた。従って、ことしにおいては従来の年よりも、民間の場合においては、四月と五月にわたって賃金引き上げられたというふうに私は判断をしているわけです。総評に電話をかけてみますというと、総評もやはりそういう見解であります。つまり従来は大体四月を中心にして民間が上がったわけですけれども、本年においては、先ほど申し上げたような特殊な事情にあって、民間の場合においては四月も上がったが、五月もまた上がっている。五月に上がったところも相当にある、こういう観点ですね。従って、もし人事院民間給与調査をやられまして、四月の分だけで御判断になりますというと、これは俗に言う春闘相場の半分しか認めておいでにならない。五月の分はネグレクトされて来年の勧告に入ってくる、こういうような非常に困った状態になっていくのではないかというように私は判断をいたします。従って、ここで申し上げたい点は、四月の民間給与調査だけで御判断になるということは、ことしの春闘の俗にいう春闘相場の半分はネグレクトされる、そういう懸念があるという点を私は心配をしておるわけです。そこら辺のことにつきまして、もし人事院で御見解がありますれば承りたい。もし御見解を示されるならば、ここでこういうふうに四月から五月、ことしに限ってそういうふうに五月から上がっている。どれを見ましても顕著に上がっているわけです。その理由一つ説明していただきたい。
  48. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この点は、やはりこういう賃金その他をどこで合わすかという問題につきましては、一定の基準となる月がはっきりいたしませんと、今後のと申しますか、将来にわたっての物価の変動でございますとか、あるいは賃金の上昇を見こして、それを一定の時期を基準といたしました調査に反映さすことは技術的にも困難でございますし、また、適当ではないかと思います。これはやはり、たとえばこれはこんなことを申し上げなくても十分御存じな問題でございますけれども、五月以降のかりに会社における支払い状況を反映さすといたしましたら、一体いつまでをそこで切っていいものか、これはなかなか六千事業場について将来にわたる見通しを反映させて、こちらの統計に反映させるということは非常に困難じゃないかと思います。やはりこの点は、将来の問題はやはり来年の賃金に影響するものとして、そのときに考慮さしていただくことにいたしまして、人事院といたしましては、いろいろ御見解はございますことでございますけれども、やはり四月中に支払われた賃金というものに基礎を置かしていただきたいと思います。
  49. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 かりに四月に調査になった民間の会社が六千ありまして、その会社の中の大体六割くらいのところが上がった。あとの残りの四割くらいは五月に上がったということになりますと、私は、先ほど申し上げましたように、春闘相場というものの大体半分しか人事院としては今度の公務員給与引き上げについてお考えにならないということになるわけですね。これははっきりするわけです。しかし、人事院としましては、四月の調査であるからして四月の分を考えざるを得ない、五月あるいは六月というふうに考えるわけにはいかないということでありますけれども、従来、もともと四月末の調査をとったという最大の理由は何かといえば、これは春闘相場から公務員が一年おくれるという懸念が一番やはり大きかったと思う。そこで、四月というものをとれば、大体春に、四月ごろに民間給与が大部分は上がるので、大体の民間の上がり方というものが公務員給与にも反映するというのだったのですが、ことしの場合においては、それではなかなか反映できない状態になっている。これはその数字で明らかな通りです。どうお考えになりましても、これだけ五月にぐっと上がったということは、私が申し上げたように、相当の会社においてはやはり五月に上がっているというふうに見なければならない。そうしますと、俗にいう春闘相場を半分はお軽めになった、あとの半分は来年の分だと、こういう懸念になりますので、ですが、そこら辺のことを国家公務員法で規定しておりますように、人事院が特に考える事情の中に入ると私は思う。特に考えなければならない事情の中にこれは入ると思う。そこら辺の御配慮はどうですか。
  50. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 詳細なことは給与局長からまた補足さしていただきますが、四月に調査を延ばしましたのは、これは御存じのように、三月には休みも多うございまして、若干従来の経験上、三月が此較的低い賃金になるおそれもございますし、四月が適当でないかと思って四月に出しましたわけで、この四月基準、春闘相場を反映さすということは非常に技術的に困難だろうと思います。たくさんの会社が、それぞれ団交が行なわれる時期も違いまするし、また、それが実施される時期も違いまするし、これをその反映さすという基準に立ちますと、これはちょっと実際問題として技術的にわれわれの調査を明確にすることができないのじゃないかと思います。この点を給与局長から。
  51. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいま毎勤の指数が例年では五月は下がるのに、ことしは上がっているということを御指摘になりまして、その理由が春闘相場の、春闘の結果が四月から行なわれなくて、五月になったものもある、その結果であるというふうに御規定になったわけでありまするが、われわれは、そういう数字につきましては、やはりいろいろ検討してみなければならぬというように思っております。現在検討が完了しているわけではございませんが、たとえば最近におきまする民間の中小企業の給与が非常に変動している。総体的に漸増している、あるいは初任給が上がっているというような状況が、場合によっては新陳代謝を差し引きましてさらに上がるというような場合だってあり得るし、御指摘のような要因もあるだろうというふうに思います。しかし、それがどれだけ作用しているのかどうかということは、これはもう少し検討してみなければわからないというように思うのであります。それから、また春闘とおっしゃるのですが、春闘で上がったところももちろん多いわけでありますが、場合によりましては、最近中労委であっせんがうまくいかなかった全繊同盟のごときは、あるいは現在ああいう交渉なり措置が行なわれているというようなことで、こういう場合には必ずしも五月からというわけではない。また時期がおくれるということもあるわけであります。まあ全国でいろんな事業場があって、いろんな事情で労使の交渉が行なわれます場合に、統一的にある時期を画して行なわれる場合もありましょうし、また、そうでない場合もある。そうすると、やはり賃金の上昇というものは、傾向としては年間を通じてあるというようにも考えられるわけであります。均一に行なわれるかどうかということは問題があります。従いまして、先ほど総裁からお話し申し上げましたように、やはりまあ予想を入れて数字を確定するということはなかなか困難であります。従いまして、われわれとしては、現在のところ、やはり民間で調べましたその現実に基づいて比較をやるということでないと工合が悪いのではないかというふうに考えているわけであります。たとえば公務員につきましても、本年の四月一日に施行に相なりました定員の繰り入れの問題のごときも、これもわれわれ現在どういう状態で一体繰り入れされているかという状況を詳細に調べているのでありますが、必ずしもこれが四月一日現在で全員繰り入れされているというものでもないのです。その辺の問題もいろいろございまして、そういうことはわれわれでき得る限り詳細に現在調査研究いたしている次第であります。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ給与局長のその説明のあげ足をとるのは恐縮なんですけれども民間給与が毎月ぼろぼろ上がっているようなお話ですけれども、なかなか数字としてははっきりしておらぬのですが、四月にぐっと上がるのですから、毎勤統計が毎年出しているように、四月になって上がるわけです。それで五月には下がる。ところが、逆に相当五月に上がっているのですね。ですから、その点については私が理由を申し上げまして、その点も今、滝本給与局長一つ理由としてお認めになった通りで、従って、私が先ほどここで申し上げましたように、かりに人事院が四月に民間給与調査をとって、それと公務員との差でものをきっちりと判断なさいますと、おそらく公務員の全体の人たちから半分近いものがネグレクトされたという批判を強く受けるだろうという点を一つ申し上げたい。しかし、それらの点について人事院国家公務員法でいっているように判断はできるわけですから、その場合において人事院において判断はできるわけです。昨年の上厚下薄に関しましても、人事院の判断においてそこら辺のところの判断はできるのです。人事院国家公務員法で指摘しておるように判断はできるのです。ですから、私としましては、そういうような賢明な判断をなさるように人事院に対しまして御要望申しげておきたいと思います。そうでない限りにおいては、先ほど申し上げましたように、これは半分は今年に限って明確にネグレクトされたという印象を非常に強く与える。この点を一つ申し上げておきたいと思います。この点についてはこれで終わります。ですが、判断をなさるかどうかという点について念を押しておきたい。その程度の判断ができないようじゃ困ると思うのです。
  53. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) つまり四月を基礎にした調査に五月以降の春闘によった結果を反映きせるという判断をするかどうかという問題でございますか。
  54. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうです。
  55. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この問題は、はなはだ遺憾でございますが、先ほど給与局長が申し上げましたように、この公務員の方にも毎月変動がございますし、民間の方も始終変動がございますし、なかなかこれは将来にわたったものを四月調査に反映させるということは、まあその年その年によって非常にまた事情が違いましょうし、これはやはり資料の正確を期しますためにも、四月できりをつけさせていただく。将来のものを反映させるということは非常に困難じゃなかろうかと思います。
  56. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、将来の問題ではなくて、ここに出ておるのですからね。これは人事院職種別民間給与調査にも出るに違いない、この数字は。ただ不幸なことには、人事院は四月しか調査されない。五月は調査されていないから出ないのです。ですから労働省の毎勤統計でも、五月というのは、どれをとっても五月は上がっておる。例年は下がるのですけれども、今年は上がっておる、相当な上がり方です。ですから、その程度の判断が立たないとは情けないと私は思うのです。ですが、まあ総裁のそういう御答弁ですから、重ねて私は要望いたしておきます。将来内閣においては、これは大へんな問題を引き起こすというふうに私は思います。こんなに下がったのでは困ります、四月から五月の間に。重ねて要望申し上げておきます。しかも、これは国家公務員法がいうように、できない問題ではない。人事院の判断において処理できる問題であるという点を一つ申し上げておきたい。  次に、今度は各論のこまかい問題に入りますが、上下格差、これは昨年ああいう非常に大きな上下格差をお作りになりまして、これは給与法の根本精神からいいましても、また、アメリカ、イギリスやフランス等の実情等からいってみても、また、民間給与の実情からいってみても、これだけの大きな格差が開かれたということには問題があるというような論議が本委員会においてもありまして、人事院とされましてはこれらの問題については善処されることになっておるのですが、今回においてこの点について善処なさるおつもりであるかどうか、その点を念のために伺っておきたいと思います。
  57. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 現在の給与体系と申しますのが、必ずしも上厚下薄であるとは思いません。しかし、公務員実態につきましては、十分われわれ考慮する必要がございますので、まあ今年の問題といたしまして、はたしてどういうふうな官民格差が出、どういうふうな勧告がされるかは、内容がわかっておりませんので、この際はっきりとこれを申し上げることは困難でございますが、とにかく下級、中堅職員といいますか、実際の実態から見て、民間給与状況もあわせながら検討いたしたいと思っております。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは善処する答弁になっておるのですがね、本委員会において。ですから、今の総裁の御答弁は、やはり善処されるものというふうに私としては理解をいたしたいと思います。  それから初任給の問題でございますが、この初任給は昨年、本年この委員会におきましても種々論議が行わなれておるわけでございますが、昨年は上級職を甲乙というふうに二つにお分けになったり、それから特殊な学部の卒業者に対しまして初任給調整号俸というものをおつけになったり、いろいろ苦労なさったわけでございますが、しかし、そのために今度は中級職、初級職との開きが出て参っております。先回昨年の十二月給与法が先国会通りますときに、附帯決議といたしまして、初任給をすみやかに検討すべきであるという附帯決議がついておりますが、この初任給については是正されるものというふうに、思っております。思っておりますが、ただ、その初任給調整号俸というようなものを、上級職も中級職も初級職にも拡大されるというようなお考えがあるわけですか。
  59. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 初任給につきましては、大体民間が相当上がっているような状況でございますので、いずれ何とかその結果を見て調整いたさなければならないと思っております。そのために今度は調査を少し詳細にいたしておるのでございますが、しかしながら、まだ民間の実情がはっきりわかりませんので、それに対応するわれわれの方針も、現在のところ白紙でございまして、ただいま御指摘初任給調整手当をどうこうするということまでまだ入っておらないわけでございます。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 昨年は上級職の甲についてだと思いますが、若干の職種について初任給調整号俸というものをお作りになった。しかし、これはどう言っても、やはり苦肉の策でございますから、ですから、昨年から問題になっておりますように、正式に初任給引き上げるという善処の仕方がいいんじゃないかというふうに思うわけです。それで確かに上級職の甲の特殊な職種の場合において、非常に採用が困難になっておるということも一昨年、昨年はありましたけれども、しかし、昨年あたりからことしにかけまして、全体にわたってそういうような傾向が出ているわけでありますから、そういう意味で、この初任給調整号俸というものを拡大されるという考え方が出てくるんじゃないかというふうに私は心配しているわけです。そういうやり方では、これはあすこのところを、初任給に近いところの人たちを非常に困難に陥れる。私はもっと初任給というものを正当に評価してあげて処理すべきものだと思いますが、初任給調整号俸というものを全体に拡大されるというやり方で処理されるという考え方があるのかどうか、もう一ぺん伺っておきたい。
  61. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいまも総裁から申し上げましたように、大体資料のもとになるものは一応集計して参っております。しかし、まだ現在の段階で全部できておりません。で、初任給に関する限りは、申し上げることは、各種のわれわれ調査しました資料以外の資料から得ている情報を申し上げるわけでございますが、相当上がっているようでございます。この点については附帯決議もあったことでございますので、われわれの方でさらに詳細に調べたものを、その結果を見ましてやはりこれに対処しなければならないことになるわけでございます。で、最近の傾向といたしまして、在職職員の給与改善の度合いと、それから労務需給の関係初任給が特に高くなるという度合いと、まあいろいろな職種を通じて平均がとれておらないのじゃないか、これはまだ推察でございますというようなこともまあ考えられるわけであります。従いまして、そういうようないろいろなことを想定して目下いろいろ研究をいたしておりまするが、原則といたしましては、俸給表というものは、やはりその初号が初任給になるべきものでございます。で、そういう形を整えるのが一番適当であると思います。俸給表は、これは一つ体系でございまするので、やはりたとえばこの年間の平均昇給率というようなものも大体バランスが前後左右とれているというようなことも、やはり俸給表一つ体系の要因であるようにも思うのであります。まあそれやこれやいろいろ考えられるのでございまするが、とにかく民間初任給が上がっているということはどうも確からしいので、やはり公務の方におきましても、それに合うような初任給、これはまあいろいろな、たとえば暫定手当のようなものも場合によっては含めて考えることが適当であろうかと思いますが、とにかくこの初任者の受け取る給与額というものが民間と合うということは、これは必要でございますので、そういうことはぜひやらなければならぬというふうに考えているわけであります。その方法等につきましては、現在どういう方法でやるか、これは結果を見てみなければわからない話でありまして、先ほど総裁から言われた通り、まだ現在のところきまっておらないわけでございます。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 現在きまっていないというお話でありますが、初任給調整号俸というようなやり方でおやりにならないように御要望申し上げておきたいと思います。みんな拡大してしまえば同じことなんです。こういう妙なというとおかしいですが、給与の中で、特殊なこういうような初任給調整号俸という形で初任給引き上げにならないように、一つ私としては強く要望申し上げておきたいと思います。  それから、次に期末手当でありますが、この期末手当は、先ほどもちょっと伊藤さんの方から出ましたけれども、昨年〇・一九という非常に大きな数字をネグレクトされました。人事院といたしましても、心中なかなか穏やかでないものがあったと思います。平均〇・一九というこういう大きな数字が今までネグレクトされたことはないのであります。しかし、二千六百八十円という、本俸を相当大幅に引き上げられたという観点もあって、〇・一九というものをネグレクトされたものだというふうに私は考えている。ですが、その直後、御存じのように、三公社五現業におきましても、〇・五月分という特別手当が三月末に出る。公務員はその際も完全に放置されるという形となって、非常に不満があったわけです。ですが、期末手当についての公務員の最大の不満はこういう点だと思うのです。これはこの委員会におきましても始終論議をいたして参っておりますが、人事院期末手当を計算されます場合に、職員と工員とのその期末手当を平均なさる。職員だけでいいますと、昨年の四月の人事院調査ですと三・七二月分、工員は二・六月分くらいですかな。ですから三・七二月分というものを下げる、職員の期末手当というものを、民間の職員の期末手当三・七二というものを下げるために工員をぶち込んで平均される、そうして三・一九という数字を出される、これは一番不満がある。最大の不満です。これは御存じのように、人事院が所管します三十八万の国家公務員というものの中で、工員とされる人は一万人ちょっとだといわれるのです。人事院もそういうふうに主張されているのです。工員というものはいないわけです。しかも、工員というものの大部分は職員に該当する人なんです。その意味からいえば、やはり公務員期末手当民間の職員の期末手当比較すべきだ。それを御存じのやり方におきまして切り下げるという点に最大の不満がある。そこら辺の点について、昨年〇・一九という大きな数字をネグレクトされて、ことしの三月の末に三公社五現業に〇・五という手当が出ておる。今申し上げました公務員の最大の不満、そういうようなものの関連で今回どのように善処されるのか、伺いたいと思います。
  63. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) まあ先ほど伊藤委員から御質問がございまして、総裁からお答え申し上げましたように、去年は〇・一増しまして三カ月分ということでやったわけであります。そのときいろいろ説明をしたわけでありますが、その後人事院は三ヵ月を固執しておるのかというようなある方面のお尋ねがございましたので、それは三カ月ということを昨年は言ったのであるけれども、やはり民間状況というものがよほど違ってきておるということならば、民間状況に合わすということが原則的にはやはりとらざるを得ぬ措置であるというようなことで、その点には固執しておらない。むしろ民間と合わすという趣旨のことを答弁されたのであります。で、ただいま問題になっております特別給につきましては、これはいわゆる俸給、あるいは基準給与というように、正確に比較がしてございません。そのことは御承知通りでございます。非常に大ざっぱな比較の仕方をしておるわけでございます。たとえば職種により、あるいは職種の上下の格差民間を調べて、それを公務に反映さすというようなことは現在いたしておらないのでございます。あくまで非常に大づかみの方法比較しておるということも御承知通りでございます。これはまた公務の特殊性でございまして、同じ特別給といいながら、民間におけるいわゆるボーナス等と大ざっぱな比較はしておりますが、これは多少性格の異なった公務の特殊性というものがあるわけでございます。そういう意味においてボーナス、いわゆる特別給に上下格差をつけるということが適当であるというようなことはわれわれ考えていない。従って、こまかいいわゆる俸給表上の給与民間比較するような方法はとっておらないのでございます。非常に大ざっぱな比較をしておるということも御承知願いたい。従いまして、そういう中において、ただ一つの区分だけを持ち込むということは、必ずしもこれは適当なやり方であるというふうにはわれわれは考えておらない次第でございます。いわゆる特別給につきましては、民間状況をこれを大づかみにうつす、そうしてその傾向を見る、こういうことでやるべきものであろうかと、このように考えておる次第でございます。
  64. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の問題につきまして、いつも私が今のような御質問をしますと、滝本給与局長は今みたいな御答弁をなさる。特に滝本給与局長のおっしゃった民間の場合にあっては上の方と下の者と期末手当が違う、しかし、公務の場合においてはそれを統一してあるというような意味のことがいつも入るわけです。私もその点は承知をいたしております。しかし、今全国を歩いてみて聞くのは、自分の娘より、自分の息子よりおれの方の期末手当は低いと、こういうことを至るところで聞くわけですね。私は、今おっしゃったようなずさんなやり方で比較をしておられるわけですけれども、先ほど申し上げました職員と工員のプラスで、平均で公務員期末手当を出しておられるというところに期末手当についての一番大きな不満が公務員の間にある。といって、ここで大幅に引き上げるというのも大へんでしょう。おそらくことしは四月分をこしてましょうから大へんでありましょうが、しかし、逐次やはりそういう意味努力人事院に要望いたしたいと思います。今回期末手当については相当引き上げられるというふうにいわれておりますし、これは当然だと思います。民間におきましては相当に上がっておりますからして、相当に引き上げると思いますが、それに加えて、先ほど申し上げたような公務員の不満も判断の中に入れられて善処されるように要望を申し上げておきたいと思います。  それから次に、人事院が八年ぶりに今回調査をされました通勤手当、それから扶養手当、それから人事院創設以来初めて調査をされた住宅手当、これらについて簡単に伺っておきたいと思いますが、この通勤手当の問題につきましては、おそらく引き上げられるものというふうに判断をいたしております。判断をいたしますが、これはまあたくさん問題がありますが、引き上げられるものと判断をいたします。問題は住宅手当でありますが、この住宅手当は本、委員会においても私、主張いたしましたように、近年民間の住宅手当というのは、現物支給という形が非常に強くなっておる。つまり敷地を買って社宅を建てて、そこに従業員を住まわして安い宿舎費を取っておるという形の住宅政策が顕著に前進をいたしております。その意味で、この住宅手当を調査なさっても、おそらく、はっきり目につくような住宅手当というものは出てこないのじゃないかと懸念をいたしておるわけです。ですが、現実問題としては、そういうような形に民間の住宅政策というものはなっている。また、公務員の場合におきまして、上級の者ほどやはり官舎に入り、あるいは公営住宅に入っておるわけですね、優先的に。これは地方の機関においてもそうです。低い者ほど官舎もなければ、あるいは公営住宅にも入れない。この矛盾は何といっても大へんな大きな問題であります。そういう問題をやはり幾らかでも解決していくという、そういう努力を行なわれることが、人事院のおっしゃる公務員の能率向上なんというものに稗益することが大きいわけです。この住宅政策についてどういうふうになさるおつもりか、伺っておきたい。
  65. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) ただいま御指摘のように、公務員といたしましては、まあ何といっても住宅費というものが最近の実情では相当負担になっておるのは事実でありますし、此較的上の方の公務員がいわゆる公務員宿舎に入って、下の方の公務員が入ってないということも、これは事実でございます。しかし、やはりまあ公務員給与、まあ手当も本俸も同様でございますが、まあ民間の実情に即応するということが、各方面の御納得をしていただくゆえんであると考えますので、まあこの住宅に関する手当と申しますか、というような問題も、ただいま調査といたしております結果によりまして、民間の実情に即応させたいと思います。これはまあ給与の問題と違いまして、いろいろ民間では現物支給と申しますか、大会社は自分でいろいろな金融方面の措置を講じて建てておりましたりいたしますけれども、これはなかなか御存じのように、国の場合には困難でございますし、まあ要は、民間の実情に即応して考えたい、そういう方針でございます。
  66. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今おっしゃったように、なかなか金額としては、調査をやられまして、どれだけの金を出しておるかという点については、出た場合、それを平均いたしますとちっちゃな数字になって、出にくいと思う。実際民間を回ってみて伺ってみましても、宿舎のない者に対しては、社宅のない者に対しては相当の住宅手当を出しておるけれども、ある者に対してはもちろん出してない。ならしますと、これは数字としては非常にこまかいものになってくるのじゃないか。そうしますと、総裁民間との関係で善処したいというお話ですが、実際的にはなかなかむずかしい問題になってくるのじゃないか。従って、そういう点等もやはりお考えになって善処されるように要望申し上げておきたいと思います。  それから、これも七、八年ぶりに調査された扶養手当、この扶養手当につきましても、ここ近年の動きとしまして、だんだん扶養手当が減少する傾向にありまして、おそらく調査をなさった場合においても、そう顕著なものにはなってこないのじゃないかという私、懸念をいたしておるわけであります。この委員会におきましても、扶養手当について論議いたしましたときに、滝本給与局長答弁としては、そういうようなのが出ておるわけであります。ですが、私は、これについてはやはり問題は、二十四、五から四十ぐらいまでの公務員の人たちが非常に苦労しておられるという点を私、主張いたしたいわけなんです。御存じのように、人事院調査でも明らかなように、二人家族、三人家族、四人家族、そういう家族の生計費が出ておるわけですね。その生計費給与とは全く結びついていないわけですね。結びついておるのはわずかに八千人ぐらいしかないところの、十八才独身者、青年独身者、あそこしか結びついていない。あとの給与の家計費調査というものは、これは全然俸給表とは結びついていない。従って、二人家族、三人家族、四人家族というところは結びついていない。非常にギャップが出ておるわけです。俸給がうんと低いわけです。俸給が。そこら辺、私は非常な矛盾じゃないだろうかという点を思っておるわけであります。そうしますと、そういう点を解決するには、やはり扶養手当というものを、あるいは養育手当というものを——養育手当というものは妻が入らぬわけですが、子供の養育手当あるいは扶養手当というものを考える必要があるのじゃないだろうか。二十五、六から四十才という、最も経験と知識と技術を身につける年代において、子供を養う、家族を養うということで、きゅうきゅうとそっちの方に精力が消耗されるということでは、本人にとっても大へんな一生の損害であるし国にとっても大へんな損害であろうと思います。そうしますと、俸給表生計費が結びつけられない。俸給表生計費が結びつけられないとするならば、扶養手当というものを考える必要があるというふうに私は考えておるわけです。そこら辺の点について根本的なお考えを承っておきたいと思います。
  67. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 扶養手当は、御指摘のように、今回詳細な調査をいたしております。その詳しい結果がいろいろな角度から出て参ると思います。これをよく見まして、これらの問題に対処しなければならぬというふうに思うのであります。ただ、今御指摘のように、二人世帯の生計費、さらに三人世帯の生計費と、それから俸給表との問題等を御指摘になったのでありますが、こういうところは、御指摘のように、そういう問題は十分重要な問題であることはわれわれも考えておりまして、そういうことに関して、やはりどうやるべきかというようなことはいろいろ研究もいたしておるわけでございます。ただ、その問題を扶養手当でやるかどうかということは、これはやはり扶養手当の民間状況というものを十分調査の結果を見まして、それをやるかどうかということはその上できまる。このような考えであります。
  68. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 確かに二十七、八になって家庭を持つ、これが第一大へんなんですね。公務員の場合におきましては大へんです。子供が一人できる。二人できる三人できる、大体四十前後の年代が非常に苦労しておる。そうして扶養手当を何とかしてもらいたいという熱心な要望なんです。これは言うまでもなく、俸給表生計費と結びついていないからだ。もし俸給表生計費と結びつけるならば、私は解決の道へ進むと思うのでありますけれども、それはなかなか大へんな面があると思っております。そうすれば、これは民間の扶養手当がどうなっているかということも重要でありますけれども、それ以外に、やはり人事院として扶養手当を考えるという精神があっていいんじゃないかというふうに思うんです。何かその精神が私は薄いように思うんですね。まあ重要な問題として気は使っておられるようでありますけれども、最後になりますと、民間との扶養手当の関係考えてというようなお話でありまして、これは大へんなんですよ。実際問題として、なかなかおわかりにくい点もあろうと思いますが、二人、三人という子供がおりまして大へんですよ。ですから、俸給表生計費とを結びつけられないというのであるならば、扶養手当というものを考えるという精神が要るんじゃないかと私は思っているわけです。もう一ぺんその根本精神について総裁に伺っておきたい。
  69. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 確かに何と申しますか、三十才あるいは四十才ぐらいまでのところがなかなか生活が苦しいということは、私どもも周囲の状況から見て認識いたしながら苦慮いたしておるわけでございますが、この公務員給与というものは、やはり民間給与に合わすということで各方面の御納得を得ておるという実情がございまして、先ほど来この俸給表の問題で、伊藤さんなり、鶴園さんからのお尋ねがございましたが、まあこれは結果がどういうふうに、出るかわかりませんけれども、そういう点も実はまあできるだけ考えたいと思っておるのでございますが、この扶養手当という問題も、それはそれに関連させて、鶴園さんから御指摘の点はごもっともと思いますけれども、どうもこういう手当の問題につきましても、いろんな小さい、特殊勤務手当というのは、これは別として、民間にあります手当については、やはりこれとある程度即応いたしませんと、公務員の方で独走いたしますということは、なかなかこれはまた御納得を得にくい点もあるので、これらを総合して、やはり扶養手当については民間の実情をよく見まして一つ考えたいと、そういうふうな線で今はいっておるわけでございます。
  70. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 なかなかこれはきょう時間が短い関係もありまして、この点について私非常に不満でありますけれども、ぜひ実際問題としても、今の公務員子供を一人、二人、三人かかえまして非常な苦しい状況にあること、従って、先ほど私がるる申し上げておるように——るるというより、るるになりませんが、簡略に申し上げまして恐縮ですけれども、これはどうしても俸給表、と生計費を結びつけられないというのでありますならば、その点はまた困難な面もありましょう。それがこの扶養手当を考えるということが、今の公務員給与民間よりも低い状態にあるその公務員の実情というものを幾らかでも救済していく道だと思うんですね。一番いい方法だと私は思っているんですが、そこら辺について重ねて御要望申し上げまして、最後に伺いたいのは、研究職あるいは特殊な俸給表の人たちを特に今回優遇してあげられるというお考えがあるかどうかという点と、それから暫定手当の問題もことし一ぱい結論を出されるということになっておりますが、あるいは隔遠地手当、特殊勤務手当等々の問題についても何らかの結論を出さなければならぬわけでありますが、その問題も今回に含められるお考えであるのかどうか、その点を承って終わりといたしたいと思います。
  71. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 研究職と申しますか、科学技術関係と申しますか、そういう面の問題も、やはりこの初任給の問題でございますとか、いろいろ中堅職員の問題と申しますか、そういう問題とあわせて、重要な問題として研究いたしたいと思います。  それから暫定手当でございますとか、そういう問題につきましては、今後十分国会の御要望もございますので、検討いたしたいと思っておりますが、少なくとも今回の勧告には間に合わないと思っております。
  72. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先般人事院から寒冷地給の引き上げについての勧告が行なわれたわけでありますが、それに基ずいてのあとの総理府令の改正というか官報の告示というかがまだ行なわれていないようでありますが、御承知のように、寒冷地給の問題は、たしか交付税の配分基準にも非常に影響、関連があるのじゃないかと思うのであります。今月かあるいは来月の八月の中旬ぐらいまでに告示の改正がないと、交付税の配分基準もやはり直さなければならぬというようなことで、引き上げ勧告のあった地方は非常に心配しているわけでありますが、その後どういうふうになっているのか。なぜまたこういう手続がおくれたのか、そういう点について御説明を願いたいと思います。
  73. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この問題は、交付税との関係は、実は自治省からも何も聞きませんで、率直に申して私ども認識を得ておりませんでした。ただ、これが今まで延びておりましたのは、御承知のように、八月末が支給日でございますので、それに間に合わしたい。石炭手当の関係もございまして、どっちもこの八月末なものでございますから、勧告作業が終わりましたらと思っておりましたのが実際の実情でございます。ただいま御指摘のように、八月中旬というお話でございましたが、勧告作業終了早々手続をいたしたいと思います。
  74. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これはただ事務的の手続じゃないかと思うのでありますが、勧告作業等と僕はあまり関連があるように思わないのですね。総理府令の改正とか官報告示の訂正ですから、すでに勧告が行なわれているので、新たに政策として研究するわけじゃないと思うので、そこらについて、どうも勧告の準備の関係でこういう改正がおくれているとは私は解せないのですが、どういうわけですか。
  75. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) 御承知のように、石炭手当につきましては、石炭のトン当たりの価格というものを人事院調査いたしまして、北海道に対しまする石炭手当の手当額を変える必要があるかどうかというまあ勧告を毎年いたすことに、これは総理府に対していたすことにしているわけでございます。われわれの方は、多少広範囲に流れたきらいはございますが、二度も三度も勧告をしてやるよりは、同じ法律に基づきまするものでございますから、石炭手当、薪炭手当、それから寒冷地手当の法律に基づきますいずれも勧告でございますから、これをまあ一緒にやったらいいのじゃないか、それには時間も十分ゆとりがあるだろう、このように考えておったのが事務上のわれわれの考え方だったのであります。御指摘のような点もございますので、まあ十分急ぎますことにいたしたいと思います。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ時間もだいぶ過ぎましたので、重複を避けて簡潔に質問を二、三したいと思います。  まず最初に政府に聞きたいのですが、給与担当大臣がおりませんが、室長がおられますから、一つ私の質問を控えて、あした文書でもいいから政府の一つ答弁を出していただきたいと思います。それは人事院勧告は、おそらくもう旬日のうちに出るということは私信じております。それがために当委員会もあした実はこの問題については審議されませんので、特にあしたその答弁を得ておきたいのであります。というのは、人事院勧告をしたその性格ですが、政府はどうもその態度があいまいなんだ。と申しますのは、本会議でなり総理なんか、人事院勧告を尊重すると言うけれども、尊重するその度合は事によって違う。従って、政府は、人事院勧告をどう考えておるか、すべてを公務員給与については人事院に委任しておるような考え方でおるのか、それとも勧告が出たものを見て、政府の都合でそれを取捨選択してやるのかどうか、どちらか、この点をはっきり一つ政府の態度を勧告の出る前に、あした一つ態度を明らかにしてもらいたい。でないと、公務員の諸君は、現在人事院の存在すら非常に問題にしておるのです。と申しますのは、人事院公務員の三権を現在まあ負われておる。それから人事院公務員給与とかそういうものを一切引き受けて公務員の立場でやるという考え方でおるのですが、どうも入江総裁、前の浅井総裁なんかの答弁を聞いておりましても、どうもその点納得できない。私らが納得できないばかりではない。公務員一般納得しておらない。従って、政府がすべて人事院にまかしておるのだと、こういう態度がはっきりすれば、公務員諸君はいろいろと人事院と交渉するだろう。しかし、また人事院人事院でそういう態度でおらない、勧告するだけだ、あとできめるのは国会なり政府なんだ、こういう答弁をしておる。それでは公務員は何によって自分らの給与について意見を述べ、自分らの主張をどこでやるのか、この点があいまいだ。一応、政府の態度をはっきりしてもらいたい。もう一ぺん言いますが、人事院勧告は政府の一つの態度をきめる資料としてとるだけだ。それか、あるいは人事院公務員給与については、すべてその勧告にまかしておるのだ、どちらか、この点をはっきりと政府の態度を一つ明確にしていただきたい。たまたま給与担当大臣がかわられたのですから、政府の意向をはっきりしてもらいたい、これがまあ第一点。その点について、室長何か、あなたの立場で答弁できる余地があれば一つ
  77. 増子正宏

    説明員増子正宏君) ただいまの御質問でございますが、私ども今まで、従来担当大臣その他上司の指揮を受けて処理しております方針から申し上げますと、申すまでもなく、公務員給与は、現在の公務員法の建前から申しますと、最終的には国会で決定するということになっておるわけでございますが、法案の提出あるいは予算の関係等からいたしまして、実際問題としては、政府がその給与改正についての法案を提出するということにいたしておるわけでございますから、その点に関する限り、つまりそういう角度から見ますと、内容の決定、少なくとも原案の決定は政府の責任において処理するということになっているわけでございます。ただ、法律の建前から申しましても、公務員給与がいかにあるべきか、また、現状がどのようであってどう改めるべきかということについては、人事院が絶えず諸要素について研究いたしまして、その結果を国会並びに内閣報告し、必要に応じて勧告するということになっておるわけでございます。そういう点をあわせ考えますと、原案の作成はもちろん内閣としていたすものでございますけれども、その原案の作成にあたりましては、人事院調査研究、その結果による報告なり勧告というものが最も重要な要素になるというふうに考えておるわけでございます。従いまして、ただいま御指摘がありましたように、人事院勧告というものは、政府の態度を決定する単なる一資料にすぎないかという御質問、あるいは逆に、一切を人事院にまかしておるというのかという御指摘、これはそのいずれでもないというふうになるのではないかと思っております。
  78. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃあなたのそういう見解は、一応これはまあ論議しません。担当大臣の意向をあしたはっきりと答弁してもらいたい。そこで、あなた言われたから私言っておきますが、私言っておるのは法律上の問題を言っておるのではない。法律上からいくと、一応人事院勧告して法律案を作って国会できめる、これは法律上の建前です。僕の言っているのは政府の態度。政府はどういう態度で臨むか、こういうことなんです。従って、その点が今度の第三次池田内閣給与担当大臣の方針として明示してもらいたい、これです。その点は一つはっきりと今言われたような大約は要りませんから、私が今言ったことをはっきりとどちらかその点を明らかにしていただきたい。  それから人事院一つ尋ねます。実は先ほどから伊藤鶴園両委員の質問に対する答弁を聞いていると、非常にあいまいな答弁をされているのですが、私の見るところでは、もうすでに勧告が旬日に迫っているのですから、調査も終わっておる、こう見ている。最終決定はまあできているかどうか別ですが、しかし、そういうことは押し問答いたしません、重複いたしますから。数字もここであげません。ただ一つここで押しておきたいのは一昨年の勧告は約一カ月おくれた。これはわれわれも認めている。調査期間を三月から四月にずらした。われわれの要求を入れてやられたからそれはいいです。しかし、今度の場合はそうはいかない。先ほどの答弁を聞いていると、同じ四月のデータでやっているということですから、従って、法律で一年の間でやらなくちゃいかぬから、私はこの八月の八日までに勧告はされなくちゃいかない、私は違法だというのですが、その点どうですか。
  79. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 八月八日。従来一年というのが暦年で申すべきか、前に勧告いたしてから一年以内ということで解釈すべきかについては論議がございます。私どもも、これは従来御存じ通り、これはきわめてまれな例でございますけれども、従来の先例といたしましても、おくれたこともございまして、必ずしもおくれたことが、即公務員法違反とは必ずしも考えません。この点はいろいろ法制局なんかの意見もございますようでございますが、まあしかし、これが公務員法違反であるかどうかということはさておいて、とにかくまあ昨年八日に勧告いたしましたわけでございますから、できるだけ間に合わせたいと思っておりますのでございます。ただ、ことし少し統計資料なんかがおくれまして、物理的というとあまりぎょうさんでございますけれども、まあどうしても一両日間に合わぬということがありはせんかという心配もございますので、実は大事をとりまして十月ごろまでということを申しているわけでございます。
  80. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その点は今後の問題があるから、これははっきりしておきたいと思うのです。年一回ということがはっきり明示されておりますね、年一回。従って、これがあなたのようなあいまいな解釈でいると、今までは大体一年一回で、前の勧告日までに大体同じくらいにやられておった。ところが、だんだん延びていくと、おそらく十二月の三十一日をこえるということはちょっとできない、あなたの言葉からいくと。しかし、そうなってくると問題だから、われわれとしては違法かどうか、法制局の意見も聞かなくちゃいけませんが、われわれはそういう見解にいるのです。昨年の場合は国会でも問題になったのが、七月十六日ですかまたは無理である。だから、それは一応八月に入ってもやむを得ないというわれわれは態度をとっておったことは事実です。本年度の場合はそうはいかない。従って、少々労働過重になるかもしれませんのでお気の毒ですが、少なくともこれは、八月の八日までに一応意思表示をしてもらわぬと困る。勧告はどうなろうと、内容の問題は別です。早く出したから悪くなるということは言えない、この点もう一回、どうですか。
  81. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 率直に申しまして、人事院といたしましても、これをおくらすということは思わしくないと思っております。でございますから、ことしでございますと八月八日まで何とかして間に合わしたいというのが本心でございます。ただ、これがまあ表立って法律上の問題として公務員法違反であるかどうかというふうになって参りますると、八月の八日から一日おくれても違反であるということは申し上げる自信がございません。
  82. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、これはなぜこういうことを言うかといいますと、これは一つの習慣になるとルーズになってしまう、これは一つのけじめをつけておかなければならぬ。人事院の内部を見ましても、いわゆる何日まで出さなければいかんという考えでやるのと、少しぐらい変わってもいいというのとでは、人事院自身の考え方もやはり変わると思います。法律上違反であるかどうかということは一応別として、われわれの態度はそうでありますから、もしそれをこえて出された場合は、一応その問題を私は国会で追及する一つの問題として予告しておきます。できるだけできるだけでなしに、やはり一年一回ということは、昨年の勧告を出された日までに、こういうことをわれわれは要望しておきます。  それからもう一つですね、実はいろいろと資料をわれわれとっておるのです。人事院の最終決定ができないということになれば、これはそれ以上追及できないのです。先ほどの答弁を聞いておると、できないが、おそらく一週間あまりで出さなければならぬものですから、もうすでに最終結論は、公表はできないけれども、持っていなければならぬ。そういう段階でまだ結論出ていないということは、立場上言っておられると思いますが、われわれの資料を見ましても、一昨年、昨年、あるいは昨年から本年というあらゆるデータを見ても、鶴園委員が先ほど数字を示しましたが、もう昨年よりも数字がふえておることは事実なんです。従って、われわれとしては、少くとも昨年より以上の民間との格差があるという一応の断定をしておる、われわれの内部で。もし本日人事院総裁なり局長が、少なくともわれわれ代表者に対して、国会でこうなっておるのだということを説明されれば、きょう私はここで討論しょうと思う。従って、それをひた隠しにされておるので、それで勧告がばっと出てしまう。それで問題が起こるのですね。少なくともこれは問題があるだろうけれども、こうするという勧告内容まで言わなくとも、現在資料はこうなっておるのだということでやってもらいたいと思う。でないと、われわれはこう思っておるのに、出されたやつは非常に予想外であるということになると問題である。従って、われわれは質問の内容はこういうふうに断定しておるのですが、あなたの方は今も全然何もわからないということはないと思うのですが、昨年と本年との大体民間との格差と申しますか、比較してどの程度に動いておるか、こういうことぐらいは言えないのですか。
  83. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) これはなかなかどういうふうに出ますかということが、実は非常な今度の勧告のわれわれのいろいろな問題をきめる基礎になりますわけで、実際これを決して隠しておりますわけではございませんで、例年統計局から部分的にだんだん資料が参りまして、その部分的な資料に基づいてわれわれ最後に官民格差が出たときにどういうふうにやるかということをだんだん積み重ねていくというのが毎年の例でございます。それでこれは決して釈明するわけでも何でもございませんが、結局その結果、勧告ぎりぎりにきまりますので、あとでいろいろ御批判国会その他において仰ぐということになりますけれども、私ども出て参りました資料に基づき、そのまま考え方をきめるわけでございまして、この点きょうこれを提出できませんで、御批判を仰ぐことができませんことは、これは残念でございますが、これは十分一つ出ましたら御検討願いたいと思います。
  84. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これがいつも問題になるのですけれども、出てしまって、それでいろいろ昨年のように問題が出て、あるいは衆議院で初任給が低いということで、それもわずか百円くらい上げるということで、とにかく政府の態度をきめるときに関連性があるのですが、結局勧告が出てしまうと、その勧告一つ基準となって、国会で御審議を願いたいといいますけれども、審議するだけであって、それは現実の事態を動かせないのです。御存じのように、そこに問題があるのです。私の言いたいのは、ある程度民間格差は、昨年はいわゆる一二・五%あった。ことしはわれわれはそれ以上にあると見ておるのです。われわれの一応狭い感覚、調査からいって、ほんの狭い一、二の会社のデータをとり、まあ会社も部分的でございますけれども、出ておるのです。それが一二%あるいは一三%、あるいは一〇%でもいいのですが、それが出たときにどういう措置をとるかということが問題です。昨年は一二・五%の格差が一二・四%に是正された。やりようによっては、あるいは公務員諸君も納得した場合もあるかもしらぬ、率直に申しまして。しかし、その格差は一応出たけれども、その措置が相当問題があった。人事院がひた隠しに隠して、そして発表してしまって、政府がそのまま尊重するということで法律にした。そこで、そういうことがあるので、私は特にあなたにきょう来てもらって、私はあなたの意向を聞いて、あなたはここでこうすると言わないけれども意見を言ってもらいたい、意見はすでに出ておりますから言いませんけれども、それを十分参酌してもらいたい。そうでないと、出たあとで問題を起こしますよ。せっかく人事院が苦労し、あるいは政府も財源を費やしてやったやつが問題が起こるから、これが問題だと思う。給与担当を労働大臣が兼ねておりますれば非常にやりやすいのですけれどもね。三公社、国鉄の裁定の場合でも、必ずしも国鉄の諸君は満足してはいないのですけれども、一応ああいうシステムになっておるから、組合の意向と公社側の意向を交渉をやって、最後に労働大臣が強制仲裁裁定を出してやっておるから、それで一応国鉄職員もしぶしぶながらやむを得ぬだろうということで解決しておるのです。公務員の場合はそうでない。意思の入るところは一つもない。そこで、人事院公務員の諸君はいろいろ交渉に行っておると思う。しかし、口をかんして言っておらないらしい。また、あなたの方も言う義務もないという立場であったらしい。そうすると公務員が、あなたの方で調査をして、一方的に、独断とは言いませんけれども、客観性はあると思いますけれども、やられたものによって規制されてしまう。そして国会へ出た場合に、ほんの修正するといってもほとんど修正できない、こういうことであるから、私はあなたの方でどう言われても、もうすでに結論は出ておると思う。それを発表すると問題があるから、いや、まだ結論は出ておらないと言うのでしょうけれども、常識で考えて、四月のデータで五、六、七、三カ月かかって、あと旬日の間に出そうというときに、まだ結論が出ておらないということは常識上考えられない。しかも、総裁がそういう点については一向何もわからぬということはないと思う。大体こういう程度だろうということはわかっておるのですけれども、言われないというだけのことですね。その点どうですか。
  85. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) まあこれはもう旬日の後に迫っておるのだからわかっておるはずだと、こういうふうにお話しになる。これもごもっともでございますが、実際まだ実はいろいろ部分的には次々と調査をいたしておりますし、いろいろ検討いたしております。しかし、結局この問題は、御じの通り俸給表勧告と申しますのはいろんな部分的なもので、しかも、各職種、各等級の俸給表をどういうふうにきめるかということが基本になります。それについては民間との格差がどうなるかということが基本になりますので、まだこういう公の席におきまして申し上げるような確信のある資料を実際持っておりません。これはほんとうでございますから、どうか……。
  86. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しつこいようですが、人事院のそういう勧告の事前に知る方法、すべが全然ないですよ。従って、そこまで言えないことはわかっておるが、格差はもう出ておるんでしょう、ないならないと……。民間給与調査はもう終わって、公務員との調査はやっておる。これはやっておるということを聞いておる。
  87. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 格差が出ておりません。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 格差が出ておらないということは、格差がないということ……。
  89. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 格差がないということは、官民同額であるという意味でございましたら、それはもちろん格差が出ておりません。出ておりませんというのは、われわれがつかんでおらぬわけでございますから、つまり官民格差がないということもわかっておりませんし、どの程度あるかということもわかっておらないわけです。
  90. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは禅問答のようなことで進みませんが、常識上これはあなたが立場をかえても、それじゃ先ほど私が言ったけれども、八月までに出しにくい事情があるかどうか知らぬが、おそらくもう八月に出さないというわけではないでしょう、実際問題として。それなのに、まだ、民間調査を終わって、その公務員との官民格差があるのかないのかわからないということは、常識上僕ら考えられないのですが、それほど人事院というものは、無能とは言いませんけれども、あれだけ有能な人がおられるのですが、そうじゃないでしょう、言えないというだけじゃないですか。それはどうですか、言えないという……。
  91. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) ほんとにこれはわかっておりませんので、もし山木さんが人事院の仕事をかりに御一緒にやっていただいておれば認識されると思いますけれども、これはいいかげんにただどのくらいの格差であろうというふうなわれわれの常識でございますとか、あるいは毎勤その他現在のいろいろな資料から参ります一つ格差に対するわれわれの感覚、こういうものはやはりきめ手になりませんので、問題はやはり俸給表をきめます場合に、その基礎になるのがきちんとどれだけということがきまりませんことには、われわれの正確な作業はできません。その格差がまだ出ておりませんのでございます。ちょうど一昨日、二十九日でございますか、二十九日に、大体これは統計局の方も十分御存じでございますが、統計局から資料が全部参りましたのが二十九日でございます。それで、それによりまして給与局が、各省それぞれ給与局長から答えさしていただいたらよろしゅうございますが、専門的に集計と申しますか、整理しておる段階でございます。その格差が出ますれば、ある程度あとの作業が簡単に参りますわけで、実際出ておりませんのでございますから……。
  92. 滝本忠男

    説明員滝本忠男君) ただいま総裁からおっしゃるように、一応の集計表を統計局からもらっております。これはしかし全部でございません。さしあたり勧告のときに従来必要とします最小限度の資料をもらっております。これは御存じのように、どういう資料かと申しますと、非常に細分してありまして、それで、たとえば、どういう職種のどういう俸給表の、どういう等級に対応する年令別の人員がどうなっておる、その給与総額がどうなっておるという程度資料は、非常に細分された集計結果をもらうわけです。それで、われわれの方は各年令別、各俸給表別、各等級別の、これは全部ではございませんけれども、そういう作業もある。給与を算出し、そしてこれを従来の方法により、一つ俸給表を等級別に官民比較するという方法をやるわけです。そういう作業を目下やっておるのです。総裁がおっしゃった意味は、一つ俸給表の等級でそういう作業をやる。その等級を全部重ねて一つ俸給表としての官民格差というものを算出し、全部総合して官民格差を算出する、こういう作業をやるのです。二十九日にもらった資料の一部は、事前にもらったものもあります。従って、これは作業を進めております。従って、これはまあ非常に限られた期間にわれわれ作業をやらなければならぬので、これはもうほとんど昼夜兼行といってもいいくらいの作業をやっているわけでありまするが、もちろんこれがあと一週間もかからなければできないということじゃ間に合わぬので、そういうことじゃないので、これは出す手順になっている。ごく部分的なものは出ているかもしれませんが、まだわれわれ当局としては全体は出ておらないわけであります。そういう状況でございます。これは従いまして、総裁がおっしゃった通りの現在状況にあるので、従って、官民格差というもの、われわれがよりどころにいたしますものが現在まだ把握できていない、格差があるとかないとかいうのではない、できていないという現在の段階でございます。まあそういうことでございます。
  93. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 じゃあもう一つだけ念を押しておきますがね。民間との格差がかりにどう出るか、われわれの断定通り出るか、推測と申しますものであるかは別といたしまして、出た場合には、それを基津に勧告するという態度は今まで通り変わっていないのですね。その点どうですか。
  94. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) その通りでございます。
  95. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体数字というのは、まあ統計の取り方にだいぶ問題がありますけれども、いろいろありますけれども、一応やはり昨年と、同じ方法でやられたということは、先ほど言われた通り確認していいですね。
  96. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) けっこうでございます。
  97. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃそういうことでほかの委員の方からこれに対するいろいろ内閣委員の要望が言われましたから、私は言いません一つ、その点は特に考えてもらいたい。  それから最後に一つ、先ほど鶴園委員への答弁にちょっとあなたの方の態度がはっきり出なかったように思うのですが、前の科学技術庁長官の池田さんが、何か人事院に申し入れされたようなことで、研究職に対して特に考えよという意向の申し出があったと新聞紙上で見たのですが、人事院はそれに対してどういう態度であるか。先ほど答弁されたようだが、ちょっとはっきりしなかったので、その点一つ
  98. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) これは特にということをどういうふうな御趣旨でおっしゃいますか、先ほども鶴園さんからそういうお話がございましたが、私どもといたしまして、これは科学技術庁からお申し入れがあるなしにかかわりませず、現在の日本のいろんな実情から申しましたり、あるいは実際職員の需給関係というものから見まして科学技術系統につきましては十分考えなければならぬ。しかし、特にというのが、もし研究職だけを特別に考えろと、こういう御趣旨でございますと、われわれはやはり研究職を考えると同時に、たとえば大学の教官も考えなければなりませんし、それからまあ率直に申しまして、大学の教官の中で、理科学系統だけ考えて、法文学部系統の大学の教官を考えぬでいいかということも、そうも実際問題として参りません。また、たとえばお医者さんの問題も、需給関係なり民間賃金のいかんによりましては考えなければならぬとか、いろいろこれは御存じのごとく、公務員の中にはその特別な職種だけを特別に——特別というのは重点的に考えるということは、これは考えるべきことでございますけれども、やはり公務員の内部のいろんなバランスの問題も考えながら、全体の俸給表の改善について考えたいというのがわれわれの方針でございます。しかし、少なくとも科学技術系統というものにつきまして、十分考慮いたしたいということは考えたことは事実でございます。
  99. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕はそういうごたごたは別として、やはり今度の勧告の中で、そういう科学技術に関する職員または大学教授でもいいし、そういう一連のそういう方々についての勧告については、やはり考えているということは間違いないですね。
  100. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) その通りでございます。
  101. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃわかります。  その次。先ほどもちょっと鶴園君が言われたが、ちょっと確認してはっきりしてもらいたいのですが、暫定手当の勧告、それから寒冷地手当の問題これはもう先ほど石原委員も言われました、この給与勧告には間に合わないということはわかりました。この前からそう言っておられましたから。で、来年度の予算に間に合うようにやってもらいたいとい強い要請をしておきましたが、その点は間違いないですね。
  102. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 来年度の予算に間に合うようにという、そこらのところがちょっとはっきり自信ございませんが、この勧告が終了いたしましたら、さっそく一つこの問題に取り組みまして、なるべく早く、国会の御要望もございますから、結論を出したいと思います。
  103. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 何から何まであなたに責任を負わすようですが、あした給与担当大臣がどういう答弁をするかわかりませんが、やはり給与の問題に関しては、人事院としては一応政府との間においては大きなウエイトを持っていることは事実なんです。ですから、その点においてはっきりと言えないけれども、もう腹の中ではわかっていると思いますから、一つ今言いました暫定手当なり、あるいは寒冷地手当——われわれは級地の是正、そういう意味じゃないですよ。附帯決議についているように、いわゆる底上げのことを言っているのです。その点を十分確認しておきたい。その問題です。
  104. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) ただいまの御指摘は、おそらく暫定手当については、底上げと申しますか、現在の段階をどういうふうに今後やるかという問題、それから寒冷地手当につきましては、ただいま級地区分の是正じゃないということですから、おそらく支給割合の問題じゃないかと思います。それで、これはたびたび申しげましたように、暫定手当につきましては、これは一挙にする、これはなかなかいろいろ問題がございますが、しかし、そういう方向に向かって一つ検討いたしたいと思います。  それから寒冷地手当のいわゆる支給割合の変更ということにつきましては、ただいまのところでは、実はたびたび申し上げておりますように、人事院としては消極的でございまして、支給割合を変更することにつきましては、さらに一つ慎重に検討させていただきたいということでございます。
  105. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これはそういうことだったら、この前の議事録を持ってきて、一つあなたの答弁を再確認したいのですが、暫定手当については、段階的解消、今のやつに若干つけて本俸に入れる、そういう趣旨で答弁されていると思う。それははっきり具体的に言っておきます。でないと、またあとでそういうことは言っておらぬと言われてはいかぬから。寒冷地手当も、大体最高位八割ですね。それをわれわれ十割にしろということで、国会でだいぶ言っているのですが、この前の国会では、一応それも考慮するという意味における、私の質問であるか、あるいは千葉委員の質問であるか、この点を相当追及して、あなたの方もそれを含めて考慮するという答弁だったと私は思うのです。で、政府はそういう点について考慮をめぐらしつつあるのですよ、その問題については。この問題は、人事院でそういう消極的な態度であるなら、人事院は横を向いてしまって、寒冷地手当については、わしの方は知らぬと言ってもらいたい。もうそんなことはやれないから、政府で勝手にやってもらいたいというふうに言っていただきたい。
  106. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 寒冷地手当は、私どもといたしまして、この前から、たとえば御存じのように、支給方法俸給の定率になっているものでございますから、この前の給与改善によって八〇%のところが九四%になったという関係もあり、これがほかの寒冷地諸給とあわせ検討いたしたいということを申し上げているのでございます。それで、もちろんこれは全然検討せぬとか何とかという問題じゃございませんけれども、今の暫定手当の底上げの問題と一緒にあわせて御質問になりましたが、暫定手当の問題ほどこの問題は、現在具体的にどういう方向に向かっていこうという実はわれわれ確信もございませんので、現在のところでは、やはり寒冷地手当の支給割合を改善するということについては、よほど考えなければならぬと思っておるのでございます。
  107. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうことではちょっとわれわれとしては理解できない。人事院がそういう態度を表明すると、これは御存じのように、議員立法でできた政令二百号の問題だから、人事院としては一つ意見のあることは認めておるのです。これは人事院としては、滝本局長あたりでもいろいろ意見があると思う。寒冷地手当の問題についてはあるのだけれども、不合理が生じていることは事実なんです。大体その後全部——全部じゃないが、最高限度までずっと級地を上げてきていますから、最高限度の中で、また寒冷度合の問題が相当あるのです。新たに積雪度の問題が出てきて、長岡とか、あのあたりの一帯は、寒冷はそれほどでないけれども、雪の積もりが非常に多いので、これが冬の間の生活費に非常に影響するという場合があるのです。そういう要素もあるので、最高限度八割ではいけないというものも出てきておる。そういうものも含めてわれわれは検討してもらいたいということで、この前の国会でも相当追及して、あなた方そういうことは検討しようということで、できれば一できればということではない。来年の予算の編成に間に合うたうに勧告をしたいということを私は聞いたと思うのですがね。これはどうなんです。
  108. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) おそらくそういうふうに考えたことはございませんから、人事院といたしましてそういうふうに申し上げてはおらぬと思います。これはまあ記憶の問題でございますが、しかし、どちらにいたしましても、暫定手当の問題につきましては、一つ極力早く取り組すで検討いたしたい。寒冷地の問題も、もちろん全然知らぬとか何とかいうことを申すわけじゃございませんけれども、暫定手当と並べて今御質問なものでございますから、暫定手当と同様な時期なり方法においてやって参るということは、今お約束はいたしかねておるわけでございます。
  109. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 区分しましょう。暫定手当の方は、一応それであなたの方でやるということで努力する、これはいいです。寒冷地手当の問題、あなたは全然考えたことがないと言うけれども、この前の寒冷地手当の問題のときに、本委員会で附帯決議をつけておるじゃありませんか。あれはあんたは見られたですか。その点どうです、全然知らぬですか。
  110. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 私どもも、もし間違っておりましたらお許し願いたいのでございますが、附帯決議は衆議院でたしかつきまして、しかし、本委員会におきましても、いろいろ附帯決議とか何とかという問題ではなしに、寒冷地給の問題につきましては、またわれわれと関係なくいろいろ御議論があることも伺っております。そういうことは十分存じながらただいまのような答を申し上げておるわけでございますが、暫定手当と一つ切り離して検討するようにいたしたいと思います。
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはあなた重大な失言ですよ。衆議院ではついている、本院にはついていない。入江総裁も、少し暑いから、そういういい加減な、何ですよ、答弁じゃ、あんた責任を追及しますよ。
  112. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 今のお答え、これはついておりますようでございますから、お答えは取り消さしていただきます。大へん失言でございましたが、この附帯決議ももちろんございますことでございますから、十分もちろん検討いたします。しかし、暫定手当とは切り離して検討さしていただきたいと思います。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕は、あまり言われたのを追及するのはいやですがね。ここで一つ大声を上げて言うところだけれども、言いませんがね。十分趣旨はわかっておると思うのですよ。人事院の立場はよくわかるけれども、今度は真剣に一つやってもらいたい。きょうは時間の関係もあるので、この程度で、あなたがそう言われたのだから、それにめでて、ここで終わります。
  114. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 関連一つ。ただいまの山本委員の暫定手当の底上げの問題、それから寒冷地、石炭、薪炭手当のいわゆる支給の割合の問題、こういう点で今質問があった。さらにそれに関連して一点だけこの際お伺いしておきたいと思うのです。  暫定手当にしろ、寒冷地、石炭、薪炭手当にしろ、今後人事院としては、いわゆる級地の引き上げとか地域の拡大、こういう点で不合理、不均衡があればさらに検討して是正しようとするお考えがあるのかないのか、この点だけはっきりお伺いしておきたいと思います。
  115. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) あるいはただいまの御質問を取り違えましたらお許し願いたいと思いますが、結局この暫定手当なり寒冷地手当につきまして、支給区分のいわゆる不均衡の是正という問題と、それから制度全体と申しますか、暫定手当につきましては、逐次これを底上げといいますか、底上げの方法による寒冷地手当については支給割合といいますか、いわゆる額を変える。その二つの方法につきまして、後者の方法考えるべきであって、支給区分の是正というものは、これはなかなか際限がないと申すとは、はなはだ何でございますが、まあ寒冷地手当につきましても、支給区分の是正というものは、前回の勧告で一応できるだけきりをつけるべきじゃないか、まあ特別なものは別でございますけれども、暫定手当については、これのいわゆる支給区分といいますか、個々の地域における支給区分の是正というものは、国会の暫定手当にされとときの御趣旨もございますから、避けて参りたいということでございます。
  116. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 お考えはわかりましたが、ただ、こういう実例があるわけです。二十九年に、地域給の級地の引き上げについて人事院国会並びに政府  に勧告をしたことがある。それについて国会は、これを受けとめて、衆議院は可決決定した、人事院勧告通り。ところが、参議院に送られれば、当然可決決定されたであろうそういう情勢の中で、政変があって国会は解散になった。そこでそのままになってしまった。そういう地域が現在あって、しかも、法律はそのままになりましたから、そこで、公社、いわゆる国鉄、電通、専売については、その法案はそのままになりましたけれども、そういう事情から現在支給になっている。ところが、国家公務員並びに地方公務員については法律によることになっておりますから、その人事院のせっかくの勧告も、また衆議院を通っておりながら、参議院を通らなかった。これは政変で、そういう特殊事情でそのままになって、きわめて不合理に考えられる。そういう特例も、現在一つの例としてあるわけです。これは非常に、どなたがどう考えても不合理不均衡きわまると思うが、そういうことについても人事院としては一切考えようとはなさらないのか、そういう点があれば考えてもいいとそういうふうにお考えになるのか、お考えをこの際お伺いしておきたいと思います。
  117. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) ただいまの御指摘の問題は、たしか高崎でございましたかにもそうふうな類した問題がございましてこちらの勧告国会通りませんでしたために、何かそれに準じて現業関係でやられましたものとの間に相互の不均衡が起こったという問題がございます。これもこういう問題もわれわれいろいろ苦慮して検討いたしたのでありますが、なかなか地域給というのは、せっかく国会でああいうふうに地域区分の問題が起こりまして、政治的にも非常に困りましたのでああいうふうな暫定手当にしたわけでございますが、これをまた暫定手当の地域の支給区分を是正しかけますと、これは非常に収拾がつきにくいというようなことも起こる問題もありまして、何とかあの問題を現業関係の中で一つ解決できないものだろうかと、たしか給与局長からも聞いたともございますが、とにかくこの暫定手当の今地域の支給区分を変えるということは、これは非常に影響が大きうございまして、これはよほど慎重にいたさなければならないのではないかと思っております。
  118. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十六分散会