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鈴木強君 新谷
委員の御質問にお答えいたします。
私はお答えする前に、
一つ現在の日本電信電話公社の経営形態、公共企業体という性格についてちょっと触れておかなければならぬと思うのでありますが、御承知の
通り、国有国営から、
昭和二十七年の四月、公共企業体に移行いたしましたが、その際、一番問題になりましたのは、私は当時の国会の議事録等も詳細に拝見させていただきました。私は当時議席がなかったわけでありますが、その経過をよく勉強させていただきましたが、その際、一番大きくいわれているのは、公共企業体というのは国有であるが、その経営については経営の自主性を認めていく。で、大幅に
政府の干渉を排除して、機動的に事業を遂行していく、そのためには、国有の長所と、それから従来国有経営の中で欠けている短所を補うために、民間のよき経営方式を取り入れて、国有のいいところと民間のいいところを取り入れて、もう少し機動的に動かなければならぬじゃな
いか。特に荒廃に帰した電信電話事業を再建し、発展し、拡充していくには、国有国営という型にはまった経営方式よりも、今申し上げた方がよろしいというようなことが主になっていると私は思うのであります。従ってそういう基本的な立場に立っての公企体のスタートでありますから、われわれはこの公企体に移行すると同時に、従来の長い間、明治二年からやって参りました国有国営の形式の中に、思い切った私は民間的な経営を入れてもらいたい。そういう気持を実は持っておるわけであります。
ところが、この
法律の基本的な考え方に立って経営
委員会が発足をしております。私はもちろん現在の経営
委員会の内情につきましてもいろいろ調査をしてみました。特に昨年は古野
委員長にわざわざ御出席をいただき、現在の電電公社の経営
委員会における経営の
委員がなされておるそういう実態もお尋ねしたのでありますが、どうも任命されている
委員が非常勤でありますし、二週間に一ぺんですか、月二回程度お集まりを願って、いろいろと経営
委員会として決定すべき事項について御審議をいただいているようでありますが、実際問題としては、経営
委員会そのもの自体がほんとうにこの公企体の精神に基づいて、みずからこの公企体をどうしたらい
いかというようなそういう基本問題に対する討論を、論議をやる、そのことが、古野さんのお話を聞いてもなかなかやりがたいと、こういうことを率直に言っておられました。私はこれを無理ないと思うのであります。従って公社の予算というものは国会が承認をいたしますが、その決定された予算に基づいて計画実行してゆくのは、これは経営
委員会でありますから、全責任を経営
委員会が持っておる。従ってその経営
委員会がみずからの方針をきめて、これを示して、むしろその方針に基づいて公社が実行をしてゆくというような方法でなければならぬと思うのでありますが、残念ながら、今の経営
委員会の実態ではそこまで荷が重過ぎるように私は思うわけであります。従ってこの際、経営
委員会というものを少し刷新強化するという私たちは立場に立って、長い間
検討いたしたのでありますが、現在の経営
委員の任命を規定しております公社法上の規定を見ましても、第十二条のところにございますが、現行法では「
委員は、両
議院の同意を得て、
内閣が任命する。」、こういうことになっております。私たちは今申し上げたような立場に立って見ます場合に、
一つには、ぜひこの
委員の中にほんとうに公衆電気通信事業というものをみずから長い間経験をされて、卓越した識見を持っておられる、経験を持っておられる人がぜひ一名入っておいた方がいいのではな
いか、こういう気がしたのであります。そしてそういう方々と純民間的な経営の経験のある方々と一緒になって、そうしてそこでいろんな御
検討をいただいて方針をおきめになる方がよりベターであろう。さように考えまして、これまでの実行を見てみますと、なるほど現在の大橋電電公社の総裁も初代のたしか経営
委員長であられたと思いますが、現在も大和田悌二氏が入っております。こういう形が実行の面では確かにあると思いますが、しかし、厳密にこういう点を
法律で規制をして
委員任命の際に、少なくとも今申し上げましたような公衆電気通信事業に経験を持った人が必ず入っておらなければならぬ、こういう規制をしておきませんと、もしこれが五人の経営
委員の方がそういう経験を全然お持ちにならないというようなことでありますと、さっき申し上げましたようないろんなお仕事をしていただく上に不便であろうと、かように思いまして、
いかなる事態になりましても、どういう事態になっても、一名はそういう方を必ず
法律で規制して入れるという道を開いていただきたい、これが
一つでございます。
それからもう
一つは、今申し上げましたように、経営
委員の方々は相当に実業界においては経験も豊富でありますし、また重要な地位にもおられる方でありますから、できれば私は常勤制度というものをも考えましたが、これはなかなかそう簡単にはゆきませんでございましょう。そこで今公社では一回経営
委員会に出られると、
委員長に二千二百円……。