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山田節男君 これは今大臣も、
答弁をお聞きになったと思うのですが、先ほど新谷
委員から御
質問を加えられて、私も申し上げたいようなことを言われて、繰り返しませんが、最初に私が申し上げましたのは、これは、はなはだ
NHKに対して御無礼かもしれませんけれ
ども、三十三年度のあの危機を辛うじて三十四年度から
ラジオの八十五円、二割五分の値上げによって、どうにかやってきている。しかし同時に、
ラジオ経済に関しては、もうこれは漸減じゃなくして、激減の状況になっています。今申し上げたように
NHKの当初計画しているものとは、たとえば三十六年度では三百五十万違うわけですね、こういう状態で、今回のこの
予算が、幸い
テレビは予想以上の伸びをいたしまして三百万をこえている、しかも
料金は、これは一
受信者に対しまして三千六百円、これも百八億の増収があったもんですから、どうにか、これはつじつまが合っているわけです。
しかし、この前にも申し上げましたように、この
テレビも、かりにこれが一千万とすれば、日本としてはピークになるんじゃないか、そういたしますと
ラジオの
受信者が減ると同じような傾向が、数年後に現われるものと見なくちゃならない。そういうような見地から見ますと、この
NHKの三十六年度の
予算は、非常にこれは長い目で見ますというと、不安定な
予算である、やはり新谷君の言われた
通りに非常に不安定な、長期の
見通しのない
予算である、大臣は、この
意見書の中に、きわめて妥当のものであるというように
意見を述べておりますけれ
ども、非常に私は不安定なものだと思うのです。
そこで
ラジオの将来の
見通しを見ますと、過日、大平官房長官の失言問題、放言問題で問題になりましたが、これは与党の政務
調査会でも問題になったように、今日の民放が発達して参りまして、
テレビが普及すれば、
ラジオはあまり聞かないんだというようなことから、
ラジオに関しては、もう
受信料を全免しろということも、これは確かに
国民の中には、一部にはございます。その現われとして、これまた与党の政調で、いろいろ問題になったと思うのですけれ
ども、三十六年度からは、この有線放送による
ラジオの
受信者は全額免除、これが三十六万ということになっております。それから貧困な身体障害者に対して、これまた四十六万
世帯の免除、さらにまた盲人に対しては貧困であるといなとを問わず、これまた十一万
世帯免除する。そういたしますると、これだけでも九十数万というものが、全額免除になってくる。そういたしますと、先ほど私申しましたように、
NHKがこの三十六年度の
予算でここに出ておりますように、
契約者の数は一千百十数万に出ております。これは三十七年の
予算を出すときにはおそらくもう千万を下っちゃって、悪くすれば六百万か七百万になるのじゃないか、これは必須の趨勢だと思うのです。
そこで私は、大臣にお伺い申し上げたいと思いますことは、こういう不健全な、これは、はなはだ悪い言葉だと思うけれ
ども、準禁治産的な、もうどうにかなるのだと、
テレビから金が入ってくるのだから、三十六年度は
ラジオも
テレビも共通経済にする、これは私は非常に問題で、
ラジオと
テレビの経済を、三十六年度から一緒にいたしまして、それゆえにどうにかつじつまが合う、これを
ラジオと
テレビの経済が分立いたしております場合、最初の行き方として尊重しておった場合どうなるか、
ラジオは、当初に比べて約半額になってしまう、
テレビの方は倍になってしまう、こういうバランスですね、これは幸い、彼此相流用するということに三十四年度いたしましたから、今日の場合、財政がどうにかつじつまが合う、しかしこれは、非常に危険なやり方だと思います。そこで私は大臣にもお伺いしたい。先ほど各
委員からも、いろいろ
お話がありましたし、私も抽象的に御
質問申し上げたように、何とかして、公共放送は、
国民のものですから、安定した財政的な基礎に置いて、しかも日進月歩の技術を利用して、よりよい放送を
国民に与えなければならないという絶対義務がある。しかも財政的な安定というものは、非常に矛盾と申しますか、困った問題が起きつつある。どうしてもその結果、やはり
受信料の問題ですね、先ほど新谷君からも御
質問ございましたように、他の
委員からもありましたが、結局しぼるところ、
NHKに健全なる財政をやらせるためには、この
放送法三十二条の
受信料をどうするかという問題、この問題は、せんじ詰めればその問題であり、また
受信料をどうするかということになれば、これは今日の、ああいう自由
契約と申しますか、
NHKの放送を聞かない
受信機であれば、金を払う必要はない、そういうものを、
NHKの
経営の財政基礎を与えるには、これを変えなくちゃならない、これをどういうふうにするかといえば、結局
受信料を、今日二千万あるいは三千万といわれる
ラジオを持ち、
ラジオをときには聞くというような、
ラジオを今日やはり受信する人からは、全部とる、それから
テレビも、とにかく
受信機を持てば、全部とるということになると、——これは現行法ではできないわけです。そこで、問題をこの前
放送法の改正のありましたときに、前大臣にも私いろいろ御
意見申し上げているように、どうにも踏み切らないということは……この
受信料を強制徴収にするということに、政府が踏み切らない、それから
NHKが、当時まだ踏み切らないという問題ですが、今大臣は、先ほどの新谷君の御
質問に対して、これは
調査会かなんか緊急設けて
研究するとおっしゃいますけれ
ども、しかし、これはもう時すでにおそいんです。ですから問題をせんじ詰めれば、
受信料は、それじゃどうするかということになれば、結局今日の通念からいいますと、ああいう無線を受信するんだという、受信免許料とするか、あるいはある国がやっておりますように、物品税の形でこれをとるか、この三つしかございません。そういう一種の強制的な徴収ということを結局行ないませんと、
NHKのこの状態で参りますと、
ラジオ経済が行き詰まり、ひいて
テレビの経済も行き詰まってきます。この点が、私は一番ポイントだと思うのですが、大臣は、できるだけ早くそういったような
調査会をお作りになるんですか、この問題は、大臣としては初めてかもしれませんが、この問題はすでに五、六年間の問題なんです。こういう点についての今日までの大臣の、いろいろ御勉強なさって、
NHKの建て直しをどうするかということにつきまして、御所信、御所見があれば
一つ承りたい。