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1961-02-23 第38回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十三日(木曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————   委員の異動 二月二十二日委員大谷贇雄君辞任につ き、その補欠として新谷寅三郎君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事            柴田  栄君            手島  栄君            野上  元君    委員            寺尾  豊君            最上 英子君            鈴木  強君            永岡 光治君            森中 守義君            奥 むめお君   国務大臣    郵 政 大 臣 小金 義照君   政府委員    郵政政務次官  森山 欽司君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    郵政省電気通信    監理官     松田 英一君    郵政省電気通信    監理官     岩元  厳君    郵政省電波監理    局長      西崎 太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    日本電信電話公    社総裁     大橋 八郎君    日本電信電話公    社計画局長   伊藤  誠君    日本電信電話公    社計画局次長  千代  健君   参考人    国際電信電話株    式会社専務取締    役       大野 勝三君    国際電信電話株    式会社取締役営    業部長     八藤 東禧君    日本放送協会会    長       阿部真之助君    日本放送協会副    会長      溝上 けい君    日本放送協会専    務理事     前田 義徳君    日本放送協会専    務理事     田辺 義敏君    日本放送協会専    務理事     小野 吉郎君    日本放送協会理    事総務局長   赤城 正武君    日本放送協会理    事経理局長   春日 由三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本放送協会昭和三十三年度財産目  録、貸借対照表及び損益計算書並び  にこれに関する説明書(第三十四回  国会内閣提出) ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (太平洋ケーブルの設置問題、オリ  ンピック東京大会における電気通信  サービスの準備及び電信電話拡充計  画に関する件)   —————————————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ただいまより開会いたします。  委員変更についてお知らせいたします。  二月二十二日、大谷贇雄君委員を辞任せられまして、その補欠として新谷寅三郎君が選任されました。   —————————————
  3. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 参考人出席要求に関する件を議題といたします。  本日、太平洋ケーブルの設置問題について意見を聞くため、国際電信電話株式会社専務取締役大野勝三君、同取締役営業部長藤東禧君参考人に決定いたし、その出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 日本放送協会昭和三十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  これより質疑に入ります。御質疑のおありの万は順次御発言願います。——別に御質疑もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 御異議ないものと認めます。
  7. 鈴木強

    鈴木強君 協会のただいまの議案につきましては、会計検査院からの御指摘を見ますと、別に批議事項等はございませんようでして、非常に私けっこうだと思います。ただ、昭和三十三年のこの年度は、非常にNHKの経営状態が窮屈な時代でありまして、委員会としても、当時予算編成に対してかなり意見を加えて承認をしているわけであります。従って、私、内容的に意見もございますが、きょうは議事進行委員長協力しますが、いずれ新しい年度予算等も提案されると思いますので、その際加えてそういった点も御質問したいと思いますので、そういう意味できょうは私はこれを承認したいと、こういうことですから、一応含んでおいていただきたいと思います。
  8. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 承知いたしました。  これより討論に入ります。——別に御発言もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。日本放送協会昭和三十三年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、異議がないと議決することに御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  10. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 全員挙手と認めます。よって本件は全会一致をもって異議がないことと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  12. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  前回に引き続いて、質疑の通告がございますので、これを許します。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 前の委員会で、私から、問題になっております太平洋海底ケーブルの問題につきまして資料提出をお願いしておきましたが、お出しをいただきまして、拝見をいたしました。その中でさらに、多少専門的にわたるかもしれませんが、わからない点がありますから、この機会にお聞きしておきたいと思います。  最初大臣お尋ねいたしますが、たしか御就任早々、この問題で政府としてのお考え方につきましてはお尋ねをしました。その際、大臣としても、国際通信政策基本方針に関連することでありますから、できるだけ政府としても協力したいと、こういうお話を承りまして、非常にけっこうなことだと私は思っておりました。で、その後お聞きしますと、近い将来すでにこの契約をATTとの間に締結をしようというところまでいっているようです。これに対して現在までの経過を見ますと、KDDATTとの間で直接交渉に当たっているようでありまして、政府は側面的におやりになっていると思いますが、この基本的な構想というものを、一つ明らかにしていただきたいのは、これを布設する際の資金計画ですね、それとこの帰属がどうなるのか、こういう点が非常に問題になると思うわけです。それともう一つは、御承知通り宇宙通信というものがかなり進みまして、聞くところによりますとあと二カ年くらいしますと、アメリカではこの実用化のためのスタートを切るというところまでいっているようでありますが、そういう宇宙開発との関係で、このケーブル布設ということが遠い将来まで考えた場合、しかもまた、遠い将来といいましても、そう十年も二十年も先でなしに、この宇宙開発とともにケーブルの価値というものがどういうふうになっていくのか、その点も私たちとしては多少心配になるわけです。ですから最初に申し上げましたような基本的な構想の中で、その所有権、それから資金計画、それと保守運営の面でどうなっていくか、そこらを大臣お知りでしたら一つお教えいただきたいと思います。
  14. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) まことに重要な御質問でございまして、国際電電株式会社にやらせているとは申しながら、これは特殊の会社でありまして、日本通信政策の一環でございます。そこで今お取り上げになりました太平洋ケーブルの問題について、私の承知しておるところでは、大体、布設費、また末端のいろいろな設備なんかを含めて、日本としては百億くらいの金が要るのではないか、そういうようなお金調達方法、その所要権問題等については、具体的に電電会社及び郵政省電気通信監理官の方で調査並びに折衝に当たっておりますので、これらの細部案についてはまだ私は伺っておりません。まだその段階にないと思いますので、その経過を両者から説明させていただきたいと思います。
  15. 松田英一

    政府委員松田英一君) お答え申し上げます。資金計画の問題につきましては、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、大体、日本側としては確定はいたしておりませんけれども、百億程度の金が必要だということで考えておるわけでございますが、しかしこの金は、まだ本年度としてはそれほど支出があるわけじゃございませんで、実際に支出いたしますのは来年度あるいは再来年度というように、工事の進捗に従いまして金が相当要って参りますので、目下のところといたしましては、国際電電としていろいろとそれに対する資金の対策というものを考究しているところでございます。もちろん百億のうちの、まあ半分程度といいますか、国際電電会社としての、自己資金でまかなえる見当もございますので、外部資金を借り入れなければならないという問題につきましては、どういう形でいくか、社債でいくか、あるいは借入金でいくか、そういう点についても国際電電としては検討いたしております。私どもも、そういうわけでございますので、これからことしのうちにいろいろと具体的な資金計画の立ちますに従いまして、各方面との連絡、あるいはそれに対する協力、そういうことについて運んで参りたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、その次に、所有権帰属の問題、それに保守運営の問題ということについてのお尋ねでございますが、これは大体、太平洋ケーブルの問題につきましても、その以前に大西洋におきましてすでにアメリカヨーロッパ諸国との間において新型の海底同軸ケーブルがしかれまして、一つの世界的なと申しますか、新しいこういうものの行き方の型というものが生まれておるわけであります。大体、私どもとしましても、そういう世界的な形に乗ったやり方で考えていかなければならないというふうに考えておりますが、具体的にはもう少し国際電電アメリカ電話電信会社との間の協約の内容が進展いたすに従いまして、私どもももう少し具体的にこの点を考えて参りたい。ただ、大体の状況として申しますれば、結局なお経費は、お互いの利用する回線数というものによりまして出し合う、その出し合った金の限度において、ある部分においては共有という形になりますし、またある部分においては共有ということではなくて、いわゆる破棄し得ない使用権といいますか、そういう形のもので、これは実質的には所有しているのとあまり変わらない状態使用ができるというような形のもの、そういうものを獲得してやって参る。こういうことになると思いますので、その点は具体的にどの部分をどうするかということにつきましては、もう少し検討いたしましてから確定して御報告させていただきたいというふうに考えるわけでございます。  それから保守関係あるいは運営関係でございますが、保守関係につきましては、やはり同様にその回線数によりました建設費出し分、そういうものに従いまして、保守お互い出し合う。そして経費はそういう形で持った上で、最も工合のいいようにそれぞれ両方で相談し合いまして、保守やり方を相談するということになるわけでございます。  それから運営の場合には、そういうことでございますので、むしろ建設費あるいは保守費というような点で、相互の支出分というものがきまって参りますので、実際の運営は、従来の海底線の場合と違いまして、大体通信料は半々という建前で、お互いにとるという形で行なわれていくというふうに基本的には考えているわけでございます。  それから宇宙通信との関係でございますが、この点は確かに将来宇宙通信の発展によりましてどうなるかということは、私どももいろいろ考えているわけでございますが、ただ、今の模様から申しますと、少なくとも宇宙通信ほんとう商業通信として利用されるという段階には、まあ数年は少なくも予想される。太平洋ケーブルというものが、そういう意味において宇宙通信ができるから太平洋ケーブルは要らなくなるというふうにはなかなか考えられない。  それからもう一つは、かりに宇宙通信ができましたといたしましても、宇宙通信によって行ないます通信の質あるいは特性というものと、海底ケーブルによります通信特性というものは、やはり違うという問題がございますので、国内の通信におきましても、あるいはマイクロ・ウエーブあるいは同軸ケーブルというようなもので、何と申しますか、二ルート主義と申しますか、そういう考え方通信の万全を期していくと同じような意味において、世界的な通信網においてもやはり違った種類の通信路において通信網を構成することが、ほんとう国際通信の行なわれ方であるというふうに私どもも考えている次第でありまして、アメリカ側でも同様に考えているというふうに、私どもは伺っている次第でございます。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 これを整理するために一つ一つ具体的にお聞きします。  まず資金関係でございますが、いただきました資料の三ページによりますと、建設費のところで、これはミスプリントじゃないかと思いますが、下から四行目のところの一番しまいの方に「八百九十億円の線を」と書いてありますね、これは間違いじゃないですか。
  17. 松田英一

    政府委員松田英一君) これは八百じゃございませんで、八、九十億円ということで、非常に書き方もまずうございまして、失礼でございますが……。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 すると点が入っているわけですか。
  19. 松田英一

    政府委員松田英一君) 点が入っているわけでございます、どうも申しわけございません。八十億円ないし九十億円ということでございます。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 今の御説明ですと、大体日本側、すなわちKDD負担にかかる資金は百億を予定される。そのうち自己資金と申しますか、自前でやるというのが五十億ぐらいですか、半分ぐらい、それから外部に依存するのが大体半分ぐらい、こういうようなお話ですが、大体そういうことですか。
  21. 松田英一

    政府委員松田英一君) 的確な数字は、実は私今確定的なものとしてここに持ってはいないのでございますけれども、ほぼその辺の見当のところでいろいろと国際電電に話を聞いておるわけでございます。国際電電の方といたしましては、あるいはもう少し詳細に組んだ——これもまあ一応の予想でございまして、まだほんとうアメリカ側との経費負担関係というものが確定的にきまったわけではございませんので、動く数字かとも思いますけれども、まあその程度というふうに考えておるわけでございます。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 大野さん、どうでございましょうか。
  23. 大野勝三

    参考人大野勝三君) ただいま松田監理官からお答えがありました通りでございまして、最終的にはこの数字がまだ固まっておりませんけれども、大体ケーブル自体に関しまして八十億ないし九十億かかるといたしまして、その半額くらいは御承知自己資金で、たとえば償却のほかに、あるいはそのほかの引き当て勘定お金とか、あるいは積立金をくずしてしまうというようなことを考えますと、半分ぐらいはまかなえるつもりでございますが、あとの半分は外部資金に頼らなければなりませんので、この方は長期の借り入れにいたしますか、あるいは社債の発行にいたしますか、目下いろいろと検討中でございます。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、かりに資金計画が非常にまだ最終的なものではないというのですが、資料を見ますと、ケーブルの、完成時期は一九六四年度に、昭和三十九年度中ごろというふうに完成を企図しておりますが、そうしますと、その下にあります、ケーブルルートをどうするかという問題にからんで、KDDATTとの最終的な決定ですね、これを五月ないし六月に予定をしておられるようなんですが、もう二月でございますから、そうしますとあと三カ月か四カ月しかないわけでございますが、もう大体その間に百億の資金が必要ということになれば、その半分ぐらいは自己資金に依存し、あと半分ぐらいは外部資金に依存する、これは大体決定的な結論としてお聞きしておいてよろしゅうございますか。
  25. 大野勝三

    参考人大野勝三君) さようでございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、この資金の、まず自己資金調達方法でございますが、会社経営面を見ますと、これは一例でございますが、十五期の上期分の決算を見ますと、これは三十五年の四月一日から三十五年の九月三十日まででありますが、大体総収入が三十七億七千万円ぐらいとっております。それから総支出が約三十億で、利益金が大体七億七千万ぐらいあると思うわけですね。こういう利益率利益金でありますから、一年間にすれば十五億程度資金は考えられますが、問題は、私はこの自己資金五十億というものを大体想定される五年間に出すとすると、十億というものは目の子勘定で出てくるわけですが、そういう十億の金を自己資金として捻出をし、さらに国際電電が、会社努力し、国民期待に沿い得るように国際通信を円滑に運営できるかどうか。また片や能率も上がり成績も上がり、サービス向上している現在の国際電電内容からして、その生産性向上というものが、これはもちろん社長以下会社皆さん方の御努力と、そこに働いている職員のいろいろな協力があってこういう結果が出ていると思うんです。従って、それらの御努力に対する労働条件向上、これは厚生施設も含めて、もっと考えてやらなければならぬ点があるのじゃないかと思うんですが、そういうことを考えますと はたして自己資金五十億と想定されるものを出して、なおかつ国際電電というのが、国民期待に沿えるような運営方針を堅持していけるかどうか、これらも私は非常に問題になると思うんです。  御承知通り、こういう利益がありますと、一方から見ると、株主から配当を上げろという意見も出てくるでございましょうし、すでに御承知通り、八分から昨年五月以来一割に引き上げております。こういうことに満足せずして、なおこの利益というものを考えると、一面にはそういう苦情も出てくると思うのです。そういう点を克服して、はたして国際電電会社法に基づいてりっぱにやり得るかどうかという私は危具を持つわけなんです。この点については、絶対間違いないというふうに御判断をされて計画を立たれたかどうか、その点はいかがでございましょうか。これは大野専務からお聞きした方がいいかもしれません。
  27. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 非常に重要な事柄につきまして、示唆に富んだお尋ねでございましたが、私ども、今のお話を伺いまして、全くその通りに実は考えておるのでございまして、一面におきましては、当社の持っております重要な使命から、施設の充実あるいはサービス向上という点に十分に手配をいたしますとともに、このサービス向上あるいは施設拡充とタイアップいたします従業員の待遇の問題につきまして、つまり労働条件その他の問題につきましても、十分この職場をあずかって働くに値するだけの内容のものに常に維持していくことを心がけなければならぬと考えております。そういう面の経費も不足を来たさないように配慮をいたす必要がございます。  そこで、これからケーブルができますまで、将来五年ぐらいのところを勘案いたしてみますというと、ケーブル自体は、ただいまお話がございましたように、百億内外のおそらく新しい投資を必要といたすのでございますが、そのほかに、先ほどお話がございました宇宙通信の問題がすでに実現が迫られております。この方面につきましても、いよいよこれが実用化されるときにおいておくれをとらないように、今から、宇宙通信技術開発、これの研究について十分にまた意を用いなければなりません。その方の研究費に大体将来五年に十数億ぐらいを見込んでおるわけでございます。それからまた、現在もう主力になっております無線施設拡充、これがまた非常に大事でございますので、この無線施設拡充もこの五年間ストップするわけには参りません。この方の拡充改善にもおそらく数十億の金が要ることを予期しなければなりません。この方の手配も考える。それから、もちろんそれに関連をいたしましたいろんな諸経費の増加ということも、これは避けがたい面があると思います。それらのものを全部考慮いたしまして、この百億の新しい太平洋ケーブルのためへの投資をいかにしてまかなっていくかということが、非常に今御指摘通り重要問題になって参りますので、いろいろ全部総合勘案をいたしまして、無理のいかない範囲で、まず半額程度自己資金太平洋ケーブル関係の新投資がまかない得るという見当をつけておるわけでございます。  先ほども御指摘にございましたように、十五期におきましても、収支差額七億円余りを計上できておりますが、この収支差額それ自体は、御承知通り、この中から税金も払わなければなりませんし、また、配当金も出さなければならない。必要な積立金もしていくというわけでありまして、そのうちの特別積立金に回したものぐらいは、新投資にくずして使ってもよろしいかと思うのでございますが、これが現在までのところで特別の積立金が約十億円ほどでございます。これは新投資に充てられるものと考えておりますが、そのほかに、毎年、この十五期の計算書をごらん下さいましても出ておりますように、減価償却に四億五千四百何万円というのがございますが、これが年間にいたしますと、かれこれ十億近くのお金でありますが、これが減価償却一項目取り上げてみましても、この金は実は経費で落ちる金ではございますけれども、実際に現金支出があるわけではございません。御承知通り、このものを新しい設備のほうに投下していって、そうしてこれを内部的にそういう形で保留することは可能でございますので、これが新投資のほうに回せます。そうしますと、こういったようなお金経費面では経費として落ちるお金でございますけれども現金としてはほかのほうに投資してよろしいお金で、それから、たとえば退職引当金のごときも、全部ではございませんが、ある程度はそのほうに回せます。というようないろいろ内部的にいわゆる自己資金として使い得る金を、今のような償却とか引当金とか、あるいは利益のうちの余剰の分とか、そういうものをずっと五年間推算をいたしますというと、これは半分ぐらいは自己資金で行けるのではないか、こう考えております。しかし、くどいようでございますけれども自己資金を半分ということは、これは絶対の目安ではございません。まあ大体無理なく半分ぐらいはまかなえるであろうという予測でございまして、もしほかのほうに何か資金を投入しなければならないというような部面があったといたしまして、自己資金が予期の半額程度に達しなかったとすれば、その分は外部資金に振りかわるわけでございます。そういうふうにしまして、これは一つ予測としてそう申し上げたわけでありますから、あくまでもその半分は何が何でも自己資金を振り当てるんだという考えはいたしておりません。そういうわけですから、全体といたしましては、ただいまお話のありました通りサービス改善施設拡充、そのほか必要経費をまかなう、そういうことをしたあとでの資金計画を立てなければならぬ、こういう考え方で進んでおるわけでございます。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 お話を伺いますと、およそのめどで計算をされておるわけですが、私はできるだけ詳細に検討をしてみればみるほど、かりに百億かかる場合五十億の自己資金でまかなうという線はどうも非常に危険のように思うんですね。今お話にもありましたように、宇宙開発の点もかなり積極的におやりになるようでございますし、その面の出費も相当に組まなきゃならぬ。しかも、これは私はそんなに長い将来ではないように思うんです。宇宙ステーションを使っての電波の伝播ということはかなり近い将来じゃないか。あなたも御承知通り、もう二年くらいするとアメリカでも先ほど申し上げたように、実用段階に入るということでございますね。ですから、それも相当早い機会に動いて参りますと、乗りおくれるわけにはいかないので、積極的にそのほうに金を使わなきゃならぬ時代が来ると思うんです。ですから、ちょっと今いろいろ伺いましたけれども数字のことでもありますから、私は、その資金計画について大体自己資金でまかなえるという御構想を今ここで一々お伺いするのも時間の関係もありますから、できるならば一つ資料として出していただきたいと思うんです。おそらく、こういう変転きわまりない科学の進歩に対応して国際電電がおくれをとらないように絶えず配意をされておられると思いますが、そこには何か今後の国際通信に対する大きな御計画等は国際電電はお持ちじゃないのでございますか。そういう総合的な一つ計画をお持ちになって、その中で逐次解決していくというようなそういう御計画はないのでございますか。もし、そういう何か計画がありましたら、一つ教えてもらいたいと思うのでございますが、時間の関係でここで長くかかるようでしたら資料でもけっこうでございますから、そういう計画があったらお出しをいただきたいと思う。
  29. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 実は、昨年度から毎年その年度を初年度といたしました将来五年の見通しを立てますために、長期通信計画というものを会社だけで作っております。毎年の計画は、これは御承知のように、その年度の事業計画といたしまして、郵政大臣の御承認を毎年いただいておるわけでございますが、会社自体といたしましては、ただいまもお話がございました通り、少なくとも五年ぐらいの先を見通してやりませんというと困りますので、そういう計画を立てておるわけでございまして、ただいま三十六年度を初年度としました昭和四十年に至る五年計画をいろいろ検討中でございまして、そのために社内に長期通信計画委員会を設けまして、これがもう七、八割通り作業を進捗いたしております。三月の末までには完成する見込みでございます。ですから、それができましたら、またあるいは御所望がございますれば、アウト・ラインを別途差し上げることにいたしてよろしいかと思うのでございますが、ただいま申し上げました七、八割見当作業が進行しているというもののざっとを申し上げますれば、多少先ほど申し上げましたことと重複いたしますけれども、大体一番大きな計画はこの太平洋ケーブル計画でございます。これが資金としましては百億前後はかかるというもの。それから、それに第二の大きな項目は宇宙通信技術開発に関する研究開発費、研究開発でございます。これが十二、三億ぐらい、この五年間にその方に使うという計画を持って進めております。それから無線通信施設自体改善あるいは拡充でございますが、これは大体この五年間に三十億円ちょっと余りかと思いますが、それくらいの金をそっちの方に向ける計画でいろいろ作業を進めておるわけでございます。そのほかに現在の本社の建物、これは本社とは申しますけれども、実際は中には現業部門、機械設備など全部入れておる建物でございますが、これがまだ建って数年でございますけれども、いささか手ぜまになって参りました。これをまあ五割方拡充をいたします計画がございますが、何分あの辺の地価が相当上って参りましたのと、それから建設及び機械などの施設費にも相当の経費が要りますので、これがどのくらいになりますか、おそらく、やはり十数億かかるのではないかと考えております。大きな項目はまあそういったものでございますが、それらを全部集計、まとめ上げまして、それに対応する要員の配置の計画、あるいは収支の見通しの計画、そういったようなものができ上がりますと、この長期計画完成すると、こういう段取りになります。まあ、ただいまアウト・ラインはそういうことで進めておる次第でございます。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、その長期計画の御構想だけを承りましたが、一つスピード・アップして、できるだけ早く計画をきめていただいて、きまりましたら、委員長の方にもお願いしておきますが、それを国会の方にも資料として出していただくようにお願いしておきたいと思います。  一、二特に指摘をして伺っておきたいのは、配当率でございますが、今一割になっておりますが、これはどうなんでございますか。もう少しその利益が上がってきたら、少し配当を増すというようなお考え方を持っておるのか、それとももうこれ以上は上げないというのが御方針でございましょうか、それが一つと、もう一つは、私は十五期の半年分の上半期の決算しかよくわからないのですけれども、現在さっきお話のように特別積立金等も十何億かおありのようでございますが、現在即刻使える金というのはどの程度お持ちになっておるのでございますか。投資も有価証券等でやられておるようでございますが、そういうものも含めて、それがわかりましたら一つ教えてもらいたいと思います。
  31. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 配当問題でございますが、これは政府御当局の御方針もあることと存じますけれども、私どもといたしましては、当分この一割を持続することが精一ぱいではないかと考えております。それから現在すぐ使える資金がどのくらい手持ちがあるかというお尋ねでございましたが、これは十五期の貸借対照表をごらん下さると、ただいまごらんになりましたように、投資が十六億余でございまして、そのうちの有価証券八千七百万円余り、これが今年の三月末——つまり十六期の終わりになりますと、おそらく十五億ぐらいにはなるのではないかと考えておりますけれども、そのうち退職引当金のような、ある程度はぜひこういったもので保有しておかなければならないという制限のついたものもございますから、それなどを差し引きますと、少なくとも十二億ぐらいのものはいつでも現金化して、必要な部面に投資できるものと考えております。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 そこでちょっと大臣に要望になるかもしれませんが、一つ聞いていただきたいのは、今会社側からお話を承りましたように、これから相当長期にわたって国際通信の完璧を期するために努力をしなければならぬ命題が幾つかあるわけですね。そういう中で、先へいって日米合弁といいますか、共同で施設するということなんですが、問題はその資金動画を見ますと、自己資金に依存する分が大体五十億程度を予定されているようですが、それでも私は今の大野さんのお話を聞いておって、あとから資料出していただかないと、はっきりしたことは言えませんが、相当に困難性があるように見受けられますので、かりに五十億を外部資金調達したとしても、これの返済がどの程度に年間やられていくのか、その面の負担——これは借金ですから、そういう意味で大体その資金調達は困難になると思う。ですからあなたも協力をしてくれるというお話もあるわけですし、できるだけ今申し上げましたように、諸般の問題を解決するために、国際電電が本来の姿でその利益金の中から国民のためにやるというその使命を果たすということに重点を置くと、この資金計画はできるだけ政府が私は援助してやる必要があると思う。そういうときにおいて、この五十億を長期借り入れか、あるいは社債か、どちらかに求めなければならぬということなんですが、この辺については、返還方法も私はわかりませんし、最終的には御決定がないようですから、特に意見として申し上げておきたいのですが、もう少し何とか負担を軽減してやるような方法はないものでございましょうか。政府も公共投資についてはかなり三本の柱に出されておりますので、何とかこの点について郵政大臣の格段の御考慮がないと、なかなかこのケーブル完成がむずかしいように思うわけですが、この辺については一つ十分に資料等も私たちも拝見して、さらに意見を申し上げたいと思いますが、御相談の上で国際電電の本来の使命が少なくとも後退していかないように、さらに前向きにいくというような格好に御考慮を格段にお願いしたいと思うのですが、その点いかがですか。
  33. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) まことにごもっともな御意見でございまして、郵政省としても今の約百億負担しなければならぬというものについても、具体的に計数等当たりまして、できるだけの協力と申しますか、支援と申しますか、それを心がけたいと思っております。なお、国際電電株式会社の性質にかんがみまして、今仰せのような使命の全うできるように、協力といいますか、指導監督と申しますか、郵政省の役目を果たして参りたいと思っております。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと気になるのは時期でございますが、どうも五、六月ごろという最終決定のようですが、今の段階では、まあケーブルルートをどういうふうに配分していくか、使っていくかということだと思うのですね。資料によりますと、電話に全部使うと想定すると百二十八回線取れるようであります。これはおそらく自動式のケーブルを使うと思うのですが、このうちそこにも書いてあるように、TASIというのは、これは何か特別な機械で増幅できるらしいのですが、こういう機械を使って回線増をやることもできる、その場合に電信、電話、テレックス、賃貸回線、こういうものを含めて利用したいというような御方針なんですが、問題はルート使用部分についてまだ決定をしていないのですか。そういう決定のないままにアメリカとの間に五、六月ごろには契約を結ぼうとしているのか、ちょっと私は六四年の夏ごろまでの想定でございますから、かなり早目にやらぬと問題があろうと思います。私はこの資料を見ると非常に危惧するわけですが、そういう基本的なケーブル使用をどうするかというルートの配分について最終的に決定がない限りにおいては調印をして工事にかからないとおっしゃるのか、その点はあとにして、どんどん建設だけは進めていって、そのあとルートの配分についてはやろうとしているのか、その辺はどうですか、私わからないのですが。
  35. 大野勝三

    参考人大野勝三君) ただいまの問題につきましては、すでに鈴木先生御推察の通りでございまして、どの割合の回線を共同使用にするか、その割合がきまりませんというと、最終的な契約の調印はできないと考えます。これが実は非常に大きな宿題になっておりまして、昨年米双方で真剣に検討いたしております。その検討の背景となりますものは、一体、ここたとえば十年くらいの先を見通しまして、どういう需要が太平洋ケーブルの上に乗っかってくるであろうか、その需要の見込みの問題であります。これはいろいろの見方がございますので、双方とも必ずしも意見が一致しておりませんけれども、これは最終的にはあるところで歩み寄りするほかないと思います。最近に私どもの方の意見は先方に申し送りまして、近く先方から先方からの意見がこっちへ申し送ってくるのではないかと思います。昨年の十一月、ニューヨークで私ども先方の当局者と相談をいたしましたときにも、一つの案についての討議を行ないましたけれども、それが最終的になっておりませんので、書面でお互い意見の交換を今やっておるところであります。これがきまりませんと、どれだけの建設費を双方で分担するかということがはっきりいたしません。また将来に至っては、運営費をどういうふうな割合で負担するか、修給費や保守費をどういうふうに負担するかということも、これは根本のものさしでございます。これはもう大体しかし追い込みの段階にきておりますから、そんなに治間がかからずに結論に到達するのではないかと思っております。当初はこれが十二月中くらいに片がつきますれば、四月早々くらいには最終契約の調印にいくのではないかと考えておりましたが、ただいま申し上げましたように若干延びておりますので、ことしの前半くらいまでにそこへ持っていければ非常に幸いだと、かように考えております。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常に基本的な問題になりますので、私は強い意見としてこの際申し上げておきますが、少なくともルート使用法がはっきりきまらぬ限りにおいて、私は契約するべきではないと思う。これは一つぜひ、そういう御趣旨のようですから、念を押してお願いしておきます。  それからTASIを使って回線増をやるらしいですが、その下に書いてあるように、電話、電信、テレックス、賃貸回線、こういうものはおそらく当然電話だけでなしにやる性格のものだと思うのです。従ってそれらの部分についてはどうなるんでございますか、特に賃貸回線というのはどういうふうな格好になるのか。たとえば電話の場合ですと、ATTKDDとなりますが、マッケイ、RCA、ACR、いろいろありますが、そういう会社がどういうふうにこれに参画してルート使用するかわかりませんけれども、そういう会社との折衝もある程度出てくるわけですから、そうしませんと、電話はどの部分、テレックスはどの部分、賃貸回線はどの部分と、そういうふうにならぬと思いますが、特に問題になるのは賃貸回線ですが、これはどういうものを予想されていますか。たとえば軍通信も当然予想されますが、これらの問題も当然新しく生まれるケーブルの中に入ってくるように私は思うのですが、それが政策的にどうこういうことは、私は今は論じませが、そういうものも入ってくると予定しておかなければなりませんが、それらの点でわかっておりましたらちょっと伺っておきたいと思います。
  37. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 初めにお尋ねのございました、このケーブルに電話以外の旭岳とかテレックスとか、その他のサービスを乗せるというときに、相手が違うがどうするかという問題でございますが、これはちょうどこのケーブル自体は、私どもの方とアメリカ電話電信会社とのいわば共同投資でできている施設でございますから、その上に他社が関係いたしますサービスを乗せる場合には、私どもの共同財産をそのサービスのために賃貸しといいますか、必要な回線を賃貸する形になろうかと思います。そこで、その賃貸を受けた、たとえば先方のRCAとかあるいはオール・アメリカン・ケーブル会社とか、そういった会社は賃貸料を弊社とATTの方に払い込みまして、それで、その回線は当然その賃貸した者の固有のサービスに使いますわけですから、電報なりテレテレックスなり何でも使ってよろしいわけでございます。その方のサービスからあがった収入は、これは今度は国際電電、私ども会社とその相手方のRCA、それからマッケイなりオール・アメリカン・ケーブル・システム、ケーブル・アンド・レイディオ・システム、そううところが分け取りいたしますというような形になろうかと思います。それで、この問題につきましては、先方のRCA及びACRと申します会社からは、ケーブルができたら、われわれの方としてはお互いサービスのためにケーブルの必要回線を賃借したいと思うという意思を表示いたしております。ですからこれは可能かと考えております。  それから次にお尋ねのございました賃貸線というのは、どういうものに貸しているのかというお尋ねでございますが、一つの型は、ただいま申しましたような非常に特殊なものですが、それがございます。そのほか、現在無線のサービスを賃貸いたしておりますのは、お話のございました軍用も現在無線のサービスでございます。それから現在は主として政府とそれから航空会社に賃貸いたしております。これは賃貸線といいましたが、要するに言いかえますと専用線でございますね。その専用線は、現在はおもな航空会社に貸しておりますけれども政府は、日本政府では外務省ですが、外務省が御利用になっております。ところがまだ非常に要望がありながら、そのサービスを開始してないのが民間の一般の貿易商社でございます。この貿易商社は、御承知のようにテレックスのサービスが始まってから、非常に電報よりもこれが便利でございますので、評判がよろしいのでございますけれども、しかしテレックスの方はある意味では線の時間貸しでございますね。三分刻みの時間貸しみたいなものでございますので、これではやはり不自由で、非常に通信のたくさんある商社の本社と出先というような間では専用線があればさらに便利でございますので、そこで専用線がほしいという要望が現にあるわけです。ところがいかんせん、現在は無線の回線が限定されているものですから、そういうふうに配線いたしますというと、一般のサービスに影響を来たして参りますものですから、まあ不本意でございますが、それはまだそのサービスはいたしかねております。しかしケーブルができますと、回線の余裕がうんとできますから、もしそういう一般の商社方面から専用線をほしいという御要望があれば、喜んでその御要望に応じて専用線をお売りすることができる、こういうことになるのでございます。ですから、ケーブルができてからの賃貸線を利用されるお得意先と申しますか、相手先と申しますか、新しく追加されるものとして考えられるのは、今の一般の貿易商社その他の方でございます。そのほかは、現在の無線のサービスを利用されている向きがケーブルの方に乗りかわられる、そういうものがあるかと予想しているわけでございます。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろややこしくなるのですが、そうすると、料金の徴収ですね、これはどういうふうになるのですか。今の折半制の場合はそういう原則が立てられると思うのですが、そうやってみると、損はいかないものですかね、ATTKDDの場合、そういうことがちょと疑問になるのですが、その点はどうですか。
  39. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 料金の収入をどのようにして分けるかということは、またこれは一つの大きな問題でございます。無線のサービスを現在やっております建前では、建前は原則として折半分収でございます。つまり双方であげました収入を半分分けにいたしているわけでございます。こまかいところはいろいろございますけれども、大ざっぱに申しまして折半です。そういうやり方ケーブルの場合にもそのまま当てはめますと、これはむろん有利だと考えております。私どもの立場は、なるべくその線を維持したいというのでございますが、これにはまた別の考え方もあるわけです。と申しますのは、無線と違いまして、今度は相当巨額の投資を必要といたしますケーブル施設でございますから、投資をする側から見ますというと、その投資に対するフェア・リターンといいますか、正当な何といいますか回収をはかるような合理的な分け方が考えられなきゃならぬという、これはまあもっともな立場だと思うのです。そこでその辺が一つの、これはまだ実は煮詰まっていない問題でございますが、この辺も今の回線の使用区分の問題に合わせまして、そろそろもう最終段階にきかかっておりますから、そう長い時間がかからないでも結論が出るのじゃないかと考えております。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 それからまだルートがきまらないと金の出し方もきまらないと思いますので、多少無理な質問かもしれませんが、さっき監理官からお話があったように、保守運営につきましては一部共有部分も出てくるだろうと思う。折半の部分も出てくるというお話ですが、ここで問題になるのは、たとえば日本に上陸して、日本に上陸した場合は、これはまあ国際電電の一方的なものになると思うのですが、そういう設備についても並行的におやりにならなきゃならぬと思うのですが、そういう点はどうなるかということ。ケーブル・シップを何か三千トンか四千トンか知りませんが、お考えになっておるようですが、そういうものをすでに準備しておるとすると、どの程度部分日本負担するのか、大よその見当がついていると思うのですが、これらはどうなりますか。もう一つ問題になるのは、この建設をだれがやるかということです、施設を。そういう場合にいろいろ動きがあるようですが、会社としてはどういう構想でやった方がいいというお考えですか。そこらを三つばかりお聞きしたいのですが。
  41. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 運営費とか保守費の分担でございますが、それは実はケーブルが陸揚げされましたその陸揚げ地点に端局ができるわけでございます。その端局の共用部分が終末点でございます。逆にいいますと、そこをスタートとしましてずっと海の中に入りまして、先方側の陸揚げ点の端局の共用部分、機械ですねその両方の端局の共用部分までが両端になりまして、その中がずっとすべて共同負担になります。それから外になりますと国内に入ってきます。たとえば陸揚げ点から、かりに相模湾なら相模湾の一地点に陸揚げ局ができたといたします。陸揚げ局から東京の中央局までの連絡線のようなもの、これは全部こちらの百パーセント責任であるし、負担であるわけであります。そういう行き方でございますので、その辺の費用の区分はかなり明確に契約書あるいはその付属文書で取りきめをする必要があると考えております。  それからケーブル・シップの問題ですが、ケーブル・シップにはお話通りどもの方でもまず四、五千トン級ぐらいのものを一隻作りたいと考えておりますけれども、先方では太平洋ケーブルの工事に使います目的で一万一千トンでしたが、二千トンでしたか、やや大型のケーブル・シップを今ドイツの造船所で建造中でございます。私どもの方はまだそこまで至っておりません。と申しますのは、先方の設計あるいは構造、いろいろな性能、そういうものをよく見きわめまして、それとうまくマッチするようなものを作りませんと、この工事自体が、これはまあ第三のお尋ねに関連をするのでありますが、工事自体が、この先方の作ります新造船のケーブル・シップと私どもの方で作りますやや中型のケーブル・シップと、これがパートナーになりまして、実際の布設工事に当たるという計画でございますから、ちぐはぐになっても困りますので、その辺は歩調を合わせていくという意味で私の方は少しおくれて建造に着手する計画で、今いろいろ設計の内容などを検討中でございます。現在専門家を先方に派遣しまして、先方の船の設計の詳細あるいはケーブルを繰り出して布設するときの機械装置、そういったようなものにいろいろ新工夫が今度は加えられることになっておりますので、それらの詳細を打ち合せ中でございます。これが帰って参りまして、さらに十分日本的なできれば研究工夫も加えまして、まあこの建造は、私どもの方としては布設工事が予定されますのが一九六四年の中ごろといたしますと、六四年の初めぐらいまでに船ができ上がればいいというぐらいに、あわてず、しかしまあしっかりと内容を固めていこうと、こういうふうに考えておるわけでございます。そういうわけですから、最後の工事は自前でやることになります。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 三つ目のケーブル布設機材の調達、そういうものについてはどう考えておりますか。
  43. 大野勝三

    参考人大野勝三君) ケーブル自体が非常に新型のケーブルでございまして、非常にむずかしい設計あるいは仕様になっているものだそうでございますが、しかしこれはそのための必要な機械を新設いたしますれば日本でも製造できますから、日本にこのための御承知の新しいケーブル製造会社もすでにできておりますから、この会社がその必要な新機械を輸入しまして製造に当たれば少なくとも相当部分日本で製造できるのではないかと思っております。つまり相当部分日本の国産——国産といいますか、技術は全部向こうから輸入するのでございますけれども、そういうケーブルが使える見込みでございます。それからこのケーブルに二十マイルごとに御承知の中継器をくっつけます。これが非常に一個十万ドル以上もするような高い機械でございますが、それだけ非常に複雑な、何といいますか、性能の微妙なものらしゅうございますので、これだけはどうも遺憾ながら国産はむずかしいそうでございます。ですから、ただいまのところは、これは先方側の供給する機械を購入するということでございます。それから島伝いに参りまして、その島ごとに電源の設備とか、あるいはそのほかの端局装置とか、そういういろいろなこまかい機械がありますが、それらの機械は少なくともある程度日本側でもできるのではないかと思っておりますから、日本側の方の端局施設とかあるいは電源の機械類とか、そういうものはある程度国産で調達していく見込みでございます。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 これもまあ要望になると思いますが、今お話のように、できるだけ国産品を使うという方針で一つやってもらいたいと思います。  それから関連をしてきますが、もしこのケーブルが布設されて参りますと、国内の現在の国際通信のシステムに変革がくるのじゃないかと思うのですね。たとえば国内の電報の自動中継化とか、あるいは送受信所のリモート・コントロールですね、こういった点が考えられてくると思うのですがね。ですから、このケーブルの布設によって国内の通信方式というものに変革がくるという僕は相定をするのですがね。そういう点も当然考えられるのでございましょう。そこにも金は要るというふうになると思うのですが、その辺はどうでございますか。
  45. 大野勝三

    参考人大野勝三君) ただいまお話のございました無線の施設のある程度の自動化と申しますか機械化、たとえばリモート・コントロール、そういったようなものは、実はケーブル施設とは直接の関係はございません。直接の関係はございませんけれども、技術革新の非常に激しい国際通信界におきまして、そういう方面にもまたおくれをとることは、結局相対でよりよきサンブスを供給しようというこれは組織でございますから、その方面にも十分手を尽さなくちゃならぬのは道理でございますので、ただいまも、先ほど申しましたように将来五年間に少なくとも三十数億ぐらいの資金は投入しなければならぬと考えておるわけでございます。ただし、リモート・コントロールというのは、これは実はやや少し違った観点から今研究をいたしておるのでございますが、と申しますのは、御承知の無線の施設は送受信所、受信所に非常に広大な土地を必要といたします。その土地が現在も関東でも関西でも大へん窮屈になって参りまして、これ以上の拡張はなかなかむずかしいという状況に追い込まれつつあります。しかも無線の施設はますます拡充しなきゃならぬ。拡充するということは、送受信所におきましては一番土地を食いますのがアンテナでございます。アンテナの柱を立てる土地がないために非常に参っておりますので、そうなりますと、現在はそれでよろしゅうございますけれども、将来はもっともっと僻遠のところで、もうほんとうにそこへしかもアンテナが一つだけできてもいいというようなものをばらばらにでも考えるということをしなきゃならぬ。そういう場合は居住条件なんかをある程度犠牲にしなきゃなりませんから、居住条件を犠牲にしても、なおかつ拡充するという場合には、このリモート・コントロールが非常な威力を表わすのではないか、こういうふうに期待をいたしております。まだ現在さしむき実用化すという段階に至っておりませんし、そういう計画はないのですが、将来としてはそういうことがあり得ると思っております。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 かなり通信方式等にも変革を来たしますし、特に、ケーブル・シップを作って今後保守等も大部分やらなきゃならぬということになってきますと、現在の国際電電の組織機構ですね、こういうものにもかなり修正を加えなきゃならぬ時期がくると思うのですが、そういう点はどうお考えになりますか、構想をお持ちですか。——当然そうしなきゃ、今の組織機構じゃできぬでしょう。
  47. 大野勝三

    参考人大野勝三君) あるいはお尋ねの御趣旨に沿わないのかもしれませんけれども、私どもは現在の国際電信電話会社会社という組織でスタートいたしまして、今日までやってきておるわけでございますが、この規模からいいますと、現在、太平洋ケーブルで取り組んでおりますアメリカ電話電信会社などに比べますと、まことに、それは先方があまりにも大き過ぎるものですからそう感じるのかもしれませんが、非常に小さいものなのでございます。ですから、これが太平洋ケーブル完成し、そのほかの無線施設拡充していって、ある程度の規模に成長いたしたといたしましても、私どもといたしましては、現在の会社営の形で進めていって少しも支障がないし、むしろそれによってますます会社営による長所が発揮できるのではないかと考えております。しかしこれは、私どもがあまり自画自賛みたいなことを言っても権威もございませんし、大方針はやはり究極、政府御当局の御指導に従うということになろうかと思いますけれども……。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 いや、そういう、国際電電を民営か、国営に戻すか、あるいは公社形態にするかという論ではなしに、私はその点は一応おいておきます。わが党は政策上ちゃんときめておりますけれども、それはおいでおいで、私の聞きたいのは、そうじゃなしに、現状の会社運営するという立場をとって考えた場合でも、当然この太平洋ケーブルの布設によって、今の本社機構なり、あるいは一般的な現業までの機構というものは、やはりそれにマッチするような格好に編成がえをしていかなきゃならぬじゃないか、そういう構想があるのですか、あったら聞かして下さい、こういうことなんです。
  49. 大野勝三

    参考人大野勝三君) それはもうお察しの通りでございまして、新しいサービス部面がだんだん加わって参りますから、それを処理しますために必要な組織は追加していかなきゃならぬかと考えております。また、全体に管理運営の事務量がふえて参りますれば、本社機構にも若干の改正を必要とすることが起こってくるかもわかりません。しかし、まず端的に起こってきますのは、それは現業の面でございましょう。無線と、同軸ケーブルはこれは有線でございますから、全然違いますので、そういうことは予想されると考えております。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、いろいろ御構想を承りましたが、いろいろな変革がこのケーブルの布設によって出てくると思うのですが、特に労働条件その他の問題につきましても、かなり影響が出てくると思うわけです。ですから、こういう御計画を推進する場合に、国際電電会社にも労働組合があるわけですから、そういう労働組合の方々にもできるだけ計画内容等もお示しになって、今日までおやりになっていると思いますが、現在まで何回くらい説明されたのですか。
  51. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 何回ぐらいとおっしゃいますと、そうそんなにたくさんな回数ではなかったかと思いますけれども、必要なつど、団体交渉その他の席上で連絡はいたしております。なお、今後も、今の御趣旨はよく承りまして、遺憾のないようにいたしたいと存じます。
  52. 鈴木強

    鈴木強君 特に私が心配するのは、まだ最終的ではございませんけれども、特にケーブル・シップをもう建設をして海上に乗り出そうと、こういうことですね。ですから、これがかりにグアムまで行くのか、あるいはウエーキまで行くのか、私はわかりませんが、特にケーブル・シップの運用についてはかなり問題が出てくるように私は思います。現に、電電公社の場合でも、季ラインを越えての修理にからんで問題が起きております。いつ何どきどういう事態が起きるか、これも想定できませんことですから、そういう場合にも通信の確保というのはこれは至上命令ですからおやりになるのでございましょう。ですから、そういうことを考えると、特にその面から言いましても重大な労働条件の変更に私はなると思うのです。ですから、これは専務も言われておりますように、労働組合側のやはり協力を得ませんと、これはできないことですから、私はぜひ一つ今後におきましても、できるだけこの組合側に意のあるところを御説明いただいて、意見も聞いて、いいところはこれを取り入れていくというふうな工合に、労務対策の面で特段の御配慮をしていただきたい。きょうは社長はお見えになっておりません。これはもちろん私は社長を要求しなかったから、しかし専務が見えております。この点は一つ大臣も御同席でございますし、監理官もおられるわけですから、あまり面子にとらわれることなく、一つ話すべきことは話して、協力態勢をしいていく、こういう工合に一つぜひ格段の御努力を願います。もう一度重ねて答弁を求めておきたいと思います。
  53. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 御趣旨は全く私どもも同感でございまして、よく承りました。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 それから最後に一つ宇宙通信のことについてお尋ねしますが、何か聞くところによりますと、東海村に十四万坪くらいの土地を選定して、電電あるいは電波研究所、それらとタイ・アップして、資金も投下し、施設も整備し、研究開発のために努力されるようでございますが、この際問題になるのは、宇宙開発は御承知通り米ソ二つの国がありまして、それでどちらかというと、アメリカでも盛んにやっているし、ソ連でも盛んにやっているということで、宇宙科学については残念ながらソ連の方が一歩先んじているという状況の中にあるわけです。ですから、この電波というものを文化的にどう使っていくかということになりますと、これはアメリカだけの方式でいくというのもおかしなことですし、ソ連だけの方式でいくというのもこれはおかしなわけで、両国のいい点は、これは民族や思想が違っても、やはり万民の共有物として相談をして、こだわることなくやるという方向の方がいいと思います。ですから、これはなかなかむずかしい問題でしょう。何か聞くところによりますと、一つ打ち上げるに百万ドルかかる——三億六千万円かかるらしいです。それが五年持つか、十年持つか私はわかりませんが、いずれにしても一つ打ち上げるのに相当の金がかかるわけです。一つで済むか、二つ打ち上げなければならぬかは、そこら辺は今後の研究によるだろうと思いますが、いずれにしても、そういう立場に立って広く全世界的に宇宙研究というものを進めていくようにお考えだろうと思いますが、日本の場合では、外交は何かアメリカ一辺倒でやっておりますから、政府の外交方針に基づいていくと、どうも国際電信電話もそちらの方に顔を向けているという気がする。これは大へん失礼な言い分かもしれませんが、そのことがなければけっこうですよ。これからの宇宙通信の開発についてどういう構想でいこうとされているのか、基本的な方針をまず承りたい。これは大臣の方がいいかな。
  55. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 宇宙通信につきましては、残念ながらわが国は相当おくれていることは認めざるを得ないのですが、今御指摘のようにソ連邦またアメリカでどんどんこれの開発をやっております、日本でもこれは大事な問題でありますから、今御指摘のようにパラボラ・アンテナ、それを建設する経費昭和三十六年度予算で計上いたしております。方針といたしましては、私どもはこれは宇宙開発でございますから、そして事が非常に科学技術的の問題であるので、片寄ることなく、できれば両方のいいところをとって参りたい、こういう考え方であります。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 これは通信政策のやはり問題に関連しまして、大臣にぜひ考えていただきたいのは、これからKDD、それから郵政省電波研究所、それから電電公社のりっぱな研究所がありますね。そういうところでおそらく集計をとってやると思うのですがね。問題は、こういう責任をだれが持っていくかということですよ、これを。大元締めの責任者はだれになっていくかということですよ。国際は国際で十四万坪払い下げを申請して、これは許可になればけっこうだと思うのですが、そういうふうに三つなり四つなりあるいは二つなりにして、共同研究という格好でいくならわかりますが、金の使い方からいっても、もう少しこれを掌握して、責任体制を明確にして、どこか責任を持って、日本政府がやはり宇宙開発のために、これは通信だけじゃないと思うのですよ。いろんな、気象もありますから、そういうものの元締めになってやっていくところはどうなるんですか。その研究は三つに、お前のところ、お前のところやってみろ、ときどき相談してやれ、こういうことでいくのか、もう少し責任体制を明確にして進んでいこうとするのか、これはどうなりますか。
  57. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) ただいまお尋ねの件につきまして、私の承知しておる範囲でお答えさせていただきたいと思います。  日本において宇宙開発をどういうふうにやっていったらいいか、いわば宇宙開発に対する日本の国策といったものを作る必要があるということで、この大きい問題につきましては、総理府に宇宙開発審議会というのがございまして そこで総合的な検討をいたしておるわけであります。それでそのうちの宇宙通信というブランチにつきまして、どういうふうに今後考えていくべきかということにつきましては、宇宙開発の一環という考え方から、そこの審議会でもある程度検討はいたしておるようでありますが、しかし事通信ということになりますと、これは当然郵政大臣の所管である。今御指摘電波研究所にしましても、また国際電電にしましても、あるいはまた電電公社の研究所にしましても、これは郵政大臣の所管下にあるわけであります。やはり郵政大臣が主宰されまして、その協力態勢というものを従来以上に強化していく必要があるということで、今その協力態勢につきましてはいろいろ部内において検討しておる段階でございます。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 これはちょっとおそいのじゃないですか。この電電公社の予算を見ましても、東海村にそういう研究に着手しようとして——もうやっていましたかな、拡充していこうというような考え方も出ておりますしね。それから郵政省電波研究所の場合もそういうふうな方向で進んでいる。それから国際電電も、お話のように土地の物色を始めているというような段階なんです。こういう計画が先走っちゃって、それをどうしていくかという組織、運営について後手じゃないのですか、もう少し私はこういうものを明確にして、それぞれの分野を与えて、それが不離一体になってどういうふうに進んでいくかという、やはり電波行政の一環としてはっきりしたものを立ててやってしなければ、非常におくれているように思うのです、私は。もうすでにあんた一方で予算が進んでいる、その構想なるものを聞いてみれば、これは郵政大臣の監督下に置くから、それは本質的にわかります。わかるんだが、それをどういうふうにうまく運営をしていくか、そういうものはじゃあまだきまってないんですか、今検討中だというのですか。これはちょっと怠慢じゃないですか。
  59. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) 確かに後手と言われればその通りであると思いますが、しかし、現在この宇宙通信の問題について、直接研究いたしておるというのは、郵政省電波研究所と、それから国際電電研究所でございます。この両者は常に緊密な連絡をとってやっているわけでありまして、大体考え方といたしましては、郵政省電波研究所では、宇宙通信だけでなくして、宇宙に関するいろいろな電波研究というものの基礎的な研究をするという考え方でいるわけであります。国際電電研究は、先ほども専務からお話がありましたように、将来これが国際通信幹線の一環になるのだという考え方から、この実用化研究と申しますか、こういったことをねらいとして研究される、こういうふうにわれわれは承知いたしております。そうして先ほど申し上げましたように、場所につきましても比較的近接した場所を選んで、その間緊密な連絡がとれるといったようなことを念頭に置いて計画を進める、そういうふうになっておるわけであります。しかし御指摘のように、もっと大規模に協力態勢というものを至急確立する必要を認めまして、先ほど申し上げましたように、いろいろ今検討いたしておるわけでございます。
  60. 永岡光治

    ○永岡光治君 たまたま、今宇宙通信の問題が出ましたが、私たちながめておりまして、特に郵政大臣にお願いしたいのですが、あなたの所管事項というのは、非常に日本通信を中心とする限り、大きな使命があるわけですが、ながめておりますと、あまりにも遠慮し過ぎているというか、放置し過ぎているというか、そういうもので、どうも郵政省の監督ということで、あまり制約をする方向にいっちゃいけませんけれども、指導、援助、発達という方向についての、積極的な政策というものは私はないように思うのですね、これはおそらく皆さんが痛感されていることだと思うのですが、今たまたま鈴木委員からそういった発言がありましたから、私はこの際に郵政大臣に要望しておきますが、重要なあなたは職能を持っている、責任もある、権限も持っておいでになるわけでありますが、一つ郵政省の所管事項として、重要なそういう問題については、積極的にあなた方が指導して、援助して、どんどん発達させるように、特にこれを私要望しておきたいと思います。今たまたま宇宙通信のことが出ましたが、電電公社の問題にしても、またその他の問題にしてもしかりと思います。非常にたくさんあると思いますから、特に一つ機構がその問題について必要となれば、どんどん検討して、予算が必要となればつけるべきであると、こういうふうに考えておりますので、要望しておきます。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  61. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 地上から宇宙全般へ通じての今の底本的な総合的な通信政策を持つべきであるということは、私も痛感いたします。しかし、ただいまのところ、御指摘になりましたような点は、何分にも昭和三十六年度の予算、あるいはまた政策決定が、昨年の夏に行なわれたものですから、その後、今手おくれじゃないかというような御批判を受けるのも当然かと思いますが、これから郵政省もあげてその方針に、今御指示のような方計に向かって進んで参る。また一方、予算その他について国会からの御支援もいただきたいと思っております。
  62. 永岡光治

    ○永岡光治君 従って今後国会における質問の際にも、一々電電公社あるいはまた国際電電の管理者がおいでにならなくても、郵政省の所管の事項に携わっている担当官に聞けばわかるように、わかっておいでになると思うのですけれども、ぜひ一つそこまで、知識を持っておいでになるし、また責任ある答弁ができるようにしていただきたいということを要望しておきます。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 西崎監理局長お話もありましたが、所管というものを間違っちゃ困ると思うのです。あなたの所管は、設置法の十条の二に、ここに二十五に分けてあります。これを監督するのは郵政大臣だと思うのです。その中で「電波の利用に関する研究及び調査をし、又はこれを部外の研究機関に委託すること。」、こういう項目もありますね。従って、本来郵政省が、電波監理局が責任を持って電波事業に対する研究というものをやらなければならない使命を持たれているというならば、電電公社とか、あるいは国際電電というのは、電電は電電の特殊性に基づく事業運営の必要から研究所を持っておる。国際もまた同じように研究所を持っておるわけですから、そういうものを総合的にやはり郵政省がめんどう見ていく、指導していくという立場にあるわけですから、何だか他人のふんどしで相撲とっておるような格好になっちゃう。だからこういう予算を持って、それぞれ一画は進んでおるのだが、それじゃその一つをどういうふうに一体にして、よりよい調査をするための指導の方針があるかと言ったら、それは研究中だ。そういうことでは、私はまことに郵政本来の職務分掌から見ましても手おくれのように思うのです。  これはあなたをここで責めようとは思いませんけれども、正直にまずい点はまずい点と認められて、さっそくにでもあなたの所管に基づいてこの幾つかあるものを統合してやるような組織が必要だったら、組織を作ってやるべきじゃないですか。そういう基本方針がないままにスタートしているから……。チャンネル・プランでもそうですよ。そんなこと今さら言いたくないが、FM放送もそうです。この前質問したときも、確たる方針がなくて、何かそのときばったりでやるような、そういうことは私は許せぬと思います。ですから、それはもうあまり申し開きしないで、まずい点は率直に、これは人間だから間違いもあるし、手おくれもあるでしょうから、今後私はそういう方針を早急にやってもらいたいという趣旨で言っておるのですから、その点を一つ了とされて、今私の言った点についても、東海村にできる敷地をだれがどうあっせんしているか知りませんけれども、もうちょっと大所局所から御配慮いただきたいと思うので、この点は一つ大臣に特にお願いしておきたいと思うのです。  それから、これから電波監理局で問題になるのは、短波通信と、今のケーブル通信、国際的にですよ。それからもう一つ、スペース宇宙通信、この三つが出てくるわけです。今は無線に依存してやっておる、日本の対外通信のほとんどは。今度はケーブルがしかれ、宇宙通信というふうになると、二つが重なってくるわけです。将来無線通信というものがケーブルになり、スペース宇宙通信が実現したときには、短波通信の占める位置というものはどういうふうに変わってくるか、海底ケーブル線と宇宙通信とによって、どういうふうに変わっていくか、それを併用する場合にどういうふうになっていくか、そこまで、私は十年、二十年光まで考えておかぬとおくれを来たすように思うのです。幸い通信的な関係は国際連合というものがあります、通信の。国際的にもそういう機関もあるのですから、私はちょっとよけいなようなことを言ったのですが、アメリカなりソ連なり、そういう論議を戦わす場所というのもあるわけですから、そういう国際通信連合というものを基調にして、日本研究、開発というものはあくまでもいかないと、一方に片寄ったような形では私はまずいと思う。そういう場所を十分活用していただいて、今後悔いのない電波政策というものを打ち立ててもらいたいと私は思いまして、このことを最後に、これは大臣にも強く要望し、また国際の方におきましても、今申し上げましたような三つの通信方式というものが出てくるわけですから、それに対応されてどうなっていくか。そういうことも長期計画の中で、まだ資料を私いただいておりませんし、完成しておりませんので、検討中であればあるだけに、そういったことも十分配意していただいて、長期にわたる計画も立てておいていただきたい。そう申し上げまして、この件については私は終わります。
  64. 森中守義

    ○森中守義君 少し先ばしった質問になるかもわかりませんが、大野さんに一、二聞いておきたいと思います。今回のこの太平洋ケーブルによりますと、出資の比率が三分の二対三分の一という状況になっておるようですね。それで出されているこの説明からいきますと、当然両者が協定して、その協定は対等の立場に立っておるというようなことのようですが、運用上はどういうようなことになりますか。大体通念的に考えられるのは、やはり多く出資した者が発言力が強いというようなことは当然のことでしょうけれども、今回のこの協定によって、運用上の問題等については多少の話し合いが進んでおりますか。
  65. 大野勝三

    参考人大野勝三君) 投資の割合は、お互い使用する回線の数によりまして、それに比例してきめられることになっておりますけれども、それはあくまでも投資の割合をきめるというだけのことにとどまっておりまして、運用上まあフィフティ・フィフティでないということのために、何らかそこに不平均な、あるいは均衡を欠いた面が生ずるということは、ただいま予想いたしておりません。
  66. 森中守義

    ○森中守義君 もちろん、こういう質問は、さっき申し上げましたように一種の仮定的な話であり、多少先ばしっているきらいもありますけれども、もう一つ聞いておきたい。それはなるほど、今御説明になったようなことが具体的に実行に移されていけば何をか言うところはない。しかし実際問題としては、こういうことが当然起こり得ると思う。たとえば専用回線をどの程度にとどめておくのか、それもまだ具体的な計画があるかないか知りませんが、一例を専用回線にとった場合に、たとえば今日電電公社が提供している米軍の施設、これはもう電電公社は必要としない、全部このケーブルでいこうというようにアメリカの方の態度が変わった。それで専用回線を、たとえば三分の一よこせとか、あるいは二分の一太平洋ケーブルの中にほしいということが米国内の問題として移ってきて、それを具体的に日米間の話し合いになった場合に、日本の場合には、あくまでもこれは公共の通信だから、そういうように大量に専用回線を取られちゃ困るというようなことで意見が食い違う場合もあるでしょう。そういう際に、出資の額が多い少ないということで発言力が強かったり弱かったりすれば困るじゃないか。こういうように私は思うのですが、どうでしょう。具体的な一つの問題として考えた場合……。
  67. 大野勝三

    参考人大野勝三君) ただいま計画中でございます太平洋ケーブルは、先ほど来からも申し上げました通り電話回線が百二十八ございます。そこで、ここ十年くらい先を見通しましても、あらゆるサービスをこのケーブルを通じて提供するといたしましても、相当の余裕がございます。ですから、専用回線は現在はせっかくその需要がございましても、無線では回線に限りがあるものですから応じられないという面が出ておりますけれどもケーブルができますれば、その面は、当分多々ますます弁ずると申しますか、そういう格好でございます。それで、もし百二十八回線が全部使われたと仮定しまして、さらにその上に需要が出たと予想いたしますと、その場合にはTASIという新装置を両端局に加えますと、そのことによって、ほぼ回線数は倍に上昇することができます。そうしますれば、電話の一回線は御承知通り電信に直しますと、少なくとも第一段階において二十二回線あるいは二十四回線ともいわれておりますけれども、そのくらいに使用できます。ですから、これを電信サービスに使いますと、百二十八回線全部を電信サービスに使えば、百二十八の二十二倍、最低限度使える、大へん大きな容量を持っております。そういう関係でございますから、ただいまの御設例のようなことは現実に起こらないのではないかと考えております。
  68. 森中守義

    ○森中守義君 NATO構成国の関係でこの種問題はお調べは済んでおりますか。
  69. 大野勝三

    参考人大野勝三君) NATOの組織とケーブル関係につきましては、実はまだ承知いたしておりません。
  70. 森中守義

    ○森中守義君 私が大体お尋ねしようとしておる趣旨はおおむね御了承いただいたと思う。従ってこの際、そういう先行きの問題として考慮さるべき問題が私は多分にあると思いますが、いずれかの機会でけっこうですから、NATOを構成しておる国が、この種問題についてどの程度の専用回線を軍通信に提供しておるかというようなことを一応お調べいただきたいと思います。  それから大臣に、これはあなたの認可事項ですが、KDDATTといろいろ話をされても、結果的に日本側はあなたの認可を必要といたします。そういう場合に、大臣の方では、不当にこれを軍用通信に利用される可能性がある。ことに、ここに言われておる。将来は極東地域を連鎖的に全部継ぎ合わせる、こういう構想も発表されておるわけです。そういうことになれば一段と軍通信に利用の可能性は多く出てくるのではないかというように考えるのですが、今大野さんのお話だと、実際問題としてその心配はない、こういうことですが、これもあわせて、実際そういうことがなければけっこうだと思うが、あった場合にどの程度のものをそういうものに利用させるのか、一応この際お考えがあれば聞かしていただきたいと思います。
  71. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 今国際電電の方から説明申し上げたように、大体大丈夫、十分なものはとれると考えておりますが、今の御趣旨はよく考えまして、この海底電線設立の趣旨を逸脱しないように、一方的に片寄ることがないように、私といたしましては許可するつもりでございます。
  72. 鈴木強

    鈴木強君 その次に、この前昭和三十九年度に開催を予定されております東京オリンピックの通信対策についての資料を拝見しました。それでかなり周到な配意をもって政府当局も準備を進められておるようでありますが、問題は、大臣に伺いたいのは、政府が大会の組織委員会等と十分連絡をとって、この開催については協力をするという方針をきめられておる。それで通信関係については郵政大臣が、これまた責任者にならなければならないと思うのですが、その先端をになっていくのは、やはり電電公社だと思うのです。この電電公社がオリンピックの通信施設の整備、配備については、相当準備しなければならないと思うのですが、一体政府協力するというこの態度は、要するに資金的にも、あるいは技術的にも、いろいろの面があると思うが、特に資金については、政府協力するということはどういうことなんですか。一切その必要な資金政府出して、それでオリンピック村に電話をつける、それから会場にニュース取材の放送設備を作るとか、そういうような必要な費用はかなりかかると思うのですが、そういうものは政府から出してもらうのですか、どうなんですか。
  73. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) オリンピック関係通信整備につきましては、総括的にやはり政府協力するということは、政府が直接やる部分もありましょうし、大体私は日本電電公社にやってもらうということになると思います、地上の通信は。そうしますと財政投融資その他で、この点を私の方が見ていくのが筋……。具体的にはもちろん個々に解決していきたいと思っておりますが、大筋のところはそういう方針でおります。
  74. 鈴木強

    鈴木強君 何ですか、財政投融資で援助するというのはどういうことなんですか。
  75. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 建設その他について、特にオリンピックならオリンピックの分として必要が出てきますと、電電公社の自己保有金だとか、そういうものでは無理でございますから、そういう場合には財政投融資でその分を増加したいという考えです。なお、具体的な問題については監理官から申し上げます。
  76. 松田英一

    政府委員松田英一君) 実は、ただいままでの段階といたしましては、公社といたしまして非常に基礎的な設備、つまりオリンピックの施設ができますようなところに基本的に大きな容量の電話局あるいはケーブル、その他のものを持っていなければ、その場で急にどうという問題が起っても処理ができないものでございますから、そういう基礎的な部面というものを目下準備している段階でございます。そこで、そういう血につきましては、三十六年度予算にもその計画とにらみ合わせました関係のものがいろいろ載っておりますけれども、それは特にこのオリスピックのためにどうという、直接につながらないものでございますが、一般的な計画といたしまして、電電公社の三十六年度の建設計画の中に入っておるわけでございます。今後だんだんと発展いたしました場合に、あるいは個々の施設等についても計画をし、問題にしていかなければならないと思うのでございます。大体そのときに、私ども今まで承知しておりますのは、オリンピック経費としていろいろと見ておられる、その運営全体としてのいろいろな各方面協力があるのでありまして、公社が通信設備を提供し、利用させるという問題につきましては、その運営経費を支弁する、そういう経費を支弁する面からしかるべき使用料と申しますか、そういうものをもらうことにして、公社はいろいろと電話の通信設備をやっていくということになっていくと思いますので、その面について特に政府で補助をするとか援助をするとかいうことは、特別な形ではおそらく起こってこないのではないかというふうに考えておる次第でございます。ただ、その点は、実はまだ全体の計画もきまっておりませんので、今ここで断定的にこうということは言えないわけでございますが、全体の進め方のあんばによって、公社がそういう通信の準備に万全を期し得るように、私ども協力をして参りたいとこう考えておるのでございます。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 資料によりますと、郵政省では事務次官を総務委員の中に加えておる。オリンピックの総務委員会というのですか、組織委員会というか、そういうところと連絡をとると思うのだが、具体的に来たるべきオリンピックに備えてどういう構想をお持ちになって、それに対して、協力するというふうに書いてあるが、その協力するということは、政府が一括してオリンピック組織委員会か、あるいは総務委員会か知りませんが、そういうところに必要な金を渡して、組織委員会の方からそういう格好になってはね返ってくるのか、その点がよくわからないのです。だから監理官、オリンピックの開催に対して、そういう点をどう整理して、電電公社は電電公社として、その立場に立ってどう協力していくか。NHKはNHKとしての関係があるでしょうし、また民間放送は民間放送として関係があるでしょう。特に海外になると国際電電が相当の役割を果たす。そういういろいろな関係機関に対して、資金的にはどう措置するからやってくれというふうな基本計画をお持ちになって、この準備を進めているというように私は理解するのですがね。そういう構想を聞かしてくれればわかるのですよ。
  78. 松田英一

    政府委員松田英一君) 実は私のお答えは非常に不十分で申しわけないのでございますが、私が面接関係もしておりませんし、また聞いております話からいたしまして、非常にそういう点で御満足のいく回答ができかねるわけでございますが、ここに書いてございますように、「関係委員会には郵政省・電電公社、国際電電・NHKなどから関係者を入れる」と書いてございますが、大体全体としての総務委員会でございまして、それからいろいろな施設の問題を扱います委員会がございまして、そこに郵政省——私の方からは、実は浅野電波監理局次長と西原電気通信参事官が入っておりまして、それから電電公社その他の関係のものも、その委員会に入っておりまして、どういうふうに施設を進めていけばいいか、施設計画をどうすればいいかということよりより協議して進めているわけです。  その中で特に通信関係については、私ども十分注意をしなければいけないと思いまして、関係のものが相談いたしまして、施設全体を扱う委員会の中で、特に通信関係を扱う小委員会のようなものを考えてもらいまして、そこで通信についてこういう工合に計画を持っていけばいいというようなことを、いろいろ計画しておる段階でございます。  それにつきまして、全体の費用の払い方がどうなるか、どうするかということにつきましては、実は私、直接参画しておりませんので、まことに申しわけございませんが、よく知らないのでございますけれども、現在の段階では、まだそういうものを特別に、こういうふうに費用を出していく、あるいはめんどうを見ていくというような話し合いの段階まで来ていないように承知しておるのでごいますけれども、あるいは電電公社から参画しております千代次長も来ておりますので、そういう方面で何か話が出ておれば、あるいは千代君あたりからお答えさしていただければとも思いますが……。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 大臣に僕は聞きたいのですよ。政府において協力することになっている。郵政省は次官を出して、それに関与している。大体オリンピックの開催までに全世界から集まる人たちに対して、不便のないように通信の提供をやろうという構想を持っていると思うのですね。そういう構想大臣どうきめたのですか。そしてその構想に基づいて、各委員会にそれぞれ分担をさしてやっているのじゃないかと思うのですが、その辺はどうなんですか。その場合に、では、必要な資金はどうするとか、そういうことまでやはりきめてかかっていると思うのですがね。ただ、やるからそれぞれやれ、こう言っているのですか。それとも、そういう基本方針を示してやっているのですか。どうなんです。
  80. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 官房長から……。
  81. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 政府といたしましては、昨年のたしか十一日だったと思うのでございますけれども、各省事務次官を中心にいたしましたオリンピック協議会というものを、政府だけの組織といたしまして決定されて、組織されております。その場合におきましての主たる議題が、オリンピックの種目をどういうものを決定するか、あるいは競技の開催の場所をどこに置くかという具体的な内容につきまして、まだ組織委員会の方におきましてもきまっておらないようでありますし、そういうようなことから、今後の道路の計画だとか、宿舎の配置計画だとかいう基本問題がまだきまっておりません。そこで政府側といたしましても協議会によって、そういう基本問題につきましても、はっきりとした、関係の次官、たとえば建設省等を中心にして、あるいは交通関係を担当する警察方面の主管の専門委員会というようなものを作りまして、この問題を推進するというようなふうになっておるわけであります。  なお一般的な政府並びに民間の構成としまして、組織委員会の中におきましての総務委員会あるいはまた幹事会というようなことで、具体的に、さらにそういう部会をその中において設けまして、刻々と事務連絡があるわけでございますが、郵政省の立場は、先ほどからお話のございましたように、電信電話の施設をどうするかということでございますが、これらにつきましては、先ほどお話にございましたように、電電並びに国際 NHK倶のそれぞれの専門の担当の部局がございまして、問題点を刻々連絡して具体化し、進めておるというわけでございます。  なお、郵政省の立場から、オリンピックの推進のために、通信ばかりでなく、資金の面におきましても、いろいろの面において協力しなければならないということも要望されておりまするので、それらの点につきましても内部的におきまして協議をしておるというのが、今までの実情でございます。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 競技種目は十八種目を予定しておるということは、これは最終的には五月のIOCの総会で正式に決定されると思うのですが、しかし前回等の経過からして、この種目でいくということは、大体肯定される。また競技場にしても、今、ボート・レースを相模湖にするか、河口湖にするか、あるいはどこか、箱根の方の芦ノ湖にするか、いろいろあるようですが、大体しぼられてきて、相模湖にするか、河口湖にするかというところにきて、大体河口湖になるのじゃないかという気がするのです。部分的には決定しないかもしれないが、大体、日本政府がきめたものがIOCの総会では自動的に承認になると思うのです。それはこっちの準備ですから、よその国が、つべこべ言ったところでしようがない。そういうことで、種目もきまっておるし、開催の場所もきまっておるのじゃないですか。  それに即応して、どんどん準備を進めていかなければ、今のように、委員のメンバーを官房長が読み上げたようだが、そういう基本的な方針というものが、まだきまっておらない、事務的に何か話しておるという程度では、はたしてオリンピックに備えて万遺憾なく準備していますか、その責任はどうなんですか。大臣、大丈夫ですか。
  83. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 施設に手間取る——専用電話等につきましては、すでに基本的な計画として資料に差し上げたような手当をしております。なおそのほかNHKあるいは国際電電——電気通信ですか、電電公社の方でも、必要な設備はさせて参りますので、私は通信関係について、間に合わせるつもりでおります。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 それは間に合わしてくれなければ困るのです。せっかくやるのに、日本に来て電信も電話も、思うようにならないというのでは、大臣は笑いものになりますよ。一生懸命やらなければいかぬと思いますが、それで、道路の問題もあるし、いろいろひっかかりもあるのだが、やはり郵政省郵政省として、こういう計画でいくということはきめてあるし、大まかな点は、ここに私拝見しておりますから、準備をしていないとは言いません。しかし問題の資金の手当にしたって、足りない分は、財政投融資からみるということになっておるのですけれども、具体的に総予算はオリンピック関係で幾らかかるのか、そうしてその部分で、電電公社が将来にわたって、オリンピック開催と同時に準備した局が、続いて日本国民の需要に供せられるというような場合には、多少資金繰りは電電公社にめんどうを見てもらってもいいと思うのだが、そうでなくて、使ったら、今度は廃品になって撤去するというような場合もあるでしょう。そういう場合に、みすみすオリンピックのために使う費用ですから、そういう点については、政府がめんどうをみるとか、何かそういう方針は、きまっておるのでしょう。それを僕は言っておるのですよ。
  85. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 私、昨年ローマで見てきた私の感じから申しますと、やはりできるだけあと、引き続いて有効に使えるように設備をやっておるようであります。  しかし今おっしゃったように、競技の種類と、競技場の設置場所によって、あるいはオリンピック終了後撤去しなければならぬというようなものも出て参りましょう。それらは至急場所の選定並びにそのあと設備の利用等を考えまして、そういう撤去しなければ、あと役に立たないおそれのあるようなものについては、やはりこれは国家資金かなんかで、各省の予算で——通信については私どもの方の予算で措置しなければならぬのだというような考え方のもとに案を練っておるのであります。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、ここでしっかりした返事を聞こうとは思いませんが、一つの思想として、将来にわたって利用できるような方法でぜひやってもらいたいし、むだのないようにやってもらうことは、大臣意見賛成です。その場限りで使いものにならぬというものが必ず出てくると思いますが、そういう面については、特別の政府資金の手当てをしてくれるのですか、してくれないのですか、そこだけよく聞いておきたい。
  87. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) それは、事の性質上、当然やはりそう考えなくちゃいかぬと思っております。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、せっかくのオリンピックですから、せめて通信ぐらいは一つ完璧を期したいという私は強い気持を持っておりますから質問しているのですが、これは電電公社の千代計画局次長が、昨年行かれたのですが、ローマ・オリンピックのそういった貴重な体験も、時間があれば私はこの委員会でもお聞きしたいと思いますが、どうも私だけがあまり長く時間がかかっても失礼ですから、詳細な点は、また別途機会を見て聞きたいと思いますが、大体、今は政府の方針が、まだはっきりきまっておらないようなんですが、すでに電電公社では、かなり積極的に三十六年度予算にオリンピック対策費というものを計上してやられておるようですが、次長さん、これはどうですか。あなたのローマの経験からして、大体三十九年六月までに、少なくともローマに劣らないくらいの設備の準備はできるようになりますか。
  89. 千代健

    説明員(千代健君) 今鈴木委員お話のように、三十九年の六月でございますが、大体こういった設備は三十八年の十二月までに仕上げるという心づもりでやっております。大きなところが、幸いに五カ年計画が本格的に進みますと、それで基礎設備がカバーできますので、大きいところでは心配はないと思っております。  ただ、先ほどお話がございました河口湖の問題、あるいは戸田にきまるか、このところの問題がちょっと大きうございますので、その前には別段事を急いで計画を繰り上げてやるというようなこともないのじゃないかというように考えておりますが、いずれにしても、三十九年までには間に合うつもりでございます。  それから、ローマとの比較の問題でございますが、非常に技術の進歩がオリンピックごとに激しい、オリンピック通信では非常に新しいものが使われますので、あと二、三年後になると、少なくともローマよりもいいものができるのじゃないかと思います。ただ、日本が海で囲まれた国でございますので、陸続きのローマのようなわけにはいかないと思うのですが、ローマでは、特に新聞、通信等が、いろいろと評判になっておったようでありますが、あれ以上のことは、何とかやっていかなければならぬと、またどうにかできるのではないかというように考えております。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 関連して、国際の方はオリンピックに関係する準備というのは、どんなふうになっておりますか。
  91. 八藤東禧

    参考人(八藤東禧君) お答え申し上げます。  国際電信電話からは、御車知のように、メルボルン、それから先般のローマに、それぞれ技術者、あるいは業務担当の者を派遣いたしまして、つぶさに現地において所要の状況等につきまして勉強して参っておる次第でございます。  来たる東京オリンピックに対する準備状況につきましても、オリンピックの施設準備委員会の方にも参画さしていただいておりますし、郵政省の御所管になっております通信専門部会にも参画さしていただきまして、諸般の情報、あるいはいろいろな計画等に、国際電電としてなすべきことについて遺憾ないように、ただいまよりいろいろと努力したいと思っております。御承知のように、国際電電で申し上げますと、大ざっぱに見まして、三種類のオリンピック通信があり得ると思っております。  第一は、申し上げるまでもなく、新聞及び通信社によるところの通信であります。第二番目は、日本に参りますところの役員、選手、あるいは観光客等の発するところの個人的な電報であります。それから第三番目は、これらの外国に関係ないと申しますと言い過ぎですが、日本から外国に向けて、東京オリンピックの状況を積極的に知らせるという、三つの部面があるように考えておる次第であります。  最後から申しますれば、国際放送、海外放送、要約すればそうなるわけでありますが、これにつきましては、NHKと、過去の経験及び将来の東京オリンピックの見込みなどにつきまして、よりより相談をしておる次第でございまして、この点につきましても、十分御協力を申し上げていかなければならぬと思っております。それから新聞及び通信社の問題でありますが、この問題につきまして、ローマのオリンピック大会で気づきましたことは、以前のヘルシンキ、あるいはメルボルンの大会と違いまして、大口にお使いになる通信社、新聞社は、みな専用線に変わってきた。これが非常に大きな違いではないかと思います。一般の電報の中に割り込むということになりますと、いろいろなめんどうな問題が起きるというようなことも聞いておりますが、専用線に変わってきておる。日本通信社は、みなそうであります。また、UPでもAPでも、そうでございます。おそらくこういうような形態は、もしも外国が日本のジャーナリズムのごとくオリンピックに興味を持つとしますならば、やはりこのようなローマの大会におけるような現象は、東京においても起こり得ると思っております。しかしこれは、非常にむずかしい問題と申しますか、なかなか、新聞社が専用線を借りるという御決断をなさるのが、相当詰まってからおやりになる。日本の新聞社も、皆さんそうでございまして、これは今から、一体どのくらい専用線を申し出られるかということは想像がつきません。しかしこれは、もう申し上げるまでもなく、今後、日本通信社ばかりではなしに、外国の通信社につきましても、早く一つ申し入れなければ施設が間に合わないぞというような意味で、アンケートあるいは種々の連絡をとって、十分市場調査には、ぬかりのないようにいたしたいと思っております。最後の一般通信の方は、これは役員、観光客、選手等が相当数参ると思うのでありますが、これは私どもも、長期計画の中で、それぞれその際において予想されるような一般通信ども織り込んで、一般公衆通信にも支障なく、せっかく来るそういうオリンピック関係の公衆需要に対しても支障のないようにやっていく、このような三つの目標を定めまして、ただいま諸般の準備の状況に参画さしていただいておる、かような状況であります。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 電電公社では、オリンピック関係設備に伴う予算としては幾らみているのでございますか。そうして、そのうち政府から多少なり援助してもらえるというのは、どの程度予想しておるのですか。
  93. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) オリンピック全体の予算というのは、まだきまっておりませんので、従いまして、金額もきまらないのでございますが、三十六年度分につきましては、私ども二十三億を予定いたしておりまして、これはオリンピック直接ではございませんで、オリンピックに伴いまして、主として東京でございますが、東京の道路整備が急速に行なわれまする関係上、今のうちに管路を整備いたしておきませんと、将来に非常に禍根を残すということから、主として管路整備のために、二十三億円を三十六年度予算としてみておるわけでございます。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 お話によると、三十八年度末までには、大体完成しなければならぬという計画のようですが、ですから、総体的に、どの程度かかるか。三十六年度の予算は拝見しておりますから承知しておりますけれども、まあ大体、三カ年計画くらいで進められると思うのですが、総予算に、どの程度に見込んでおるのですか、それに対して今のところ、政府がどの程度措置をしてくれるか、そういうことを聞きたいのです。
  95. 千代健

    説明員(千代健君) 大へんむずかしい御質問でございますが、将来一般の需要に使われるものということを考えますと、オリンピックにじかに使って、そのまま廃棄するというようなものを、今取り出すわけには、ちょっと参らないわけでございます。と申しますのは、端末設備と申しますか、競技場内へ引き込むというようなところが、まだ全然未決定でございますので、そこいら決定いたしますとはっきとすると思います。大半の基礎的なものは、全部将来これは一般事業に使えますので、問題ございませんが、あるいは競技場の中で電話ボックスを使うとか、あるいは新聞記者のプレスの、特にテレタイプ等置くとか、そういった端末設備といったものが、いろいろ出てくると思います。  これらについては、数量的にも場所的にも、まだ具体的なものを持っておりませんが、ただ想像しますと、私その金は、そう大きな金じゃないかと思います。と申しますのは、ちょうどローマの大会で四十四億リラをオリンピック通信というもので大ざっぱに使っておりますが、その中で放送関係が約三分の一、これはテレビ関係が主であります。四十四億リラは、邦価で二十八億円ぐらいでございますが、三分の一くらい放送関係、これも将来むだにならないものがおもでございますが、ごくわずかが国際通信の二、三億リラでございますが、アンテナ整備、送受信機とかに使っておったようでございます。それ以外は、大半のものがイタリアの国営の逓信省の方と、その下にございますローマの周辺地域を持っております別の企業でございますが、こういったものが約二十二、三億リラ使っておりますが、それも私ども拝見しましたところでは、第二市外局の設備を、今後使うものをオリピック通信に間に合わしているといったものが多うございまして、実際上使った後、そのまま投げ出してしまうような設備というものはごくわずかなものだったと思います。  主として競技場の通信設備、これは日本の場合と違って、イタリアはオリンピック終了後も、ある程度トトカルチョの大会なんかで使いますので、そうむだにならぬといっておりましたが、それとプレス・ハウス、プレス・センターと申しておりますが、新聞社、通信社の一つの大きなたまり所でございますが、その中で、いろいろな設備をやっていまして、その機械類はオリンピック終了後は、もちろんほかへ転用するのですが、実際やった工事の工費というものは、持ち出しになった、こういう話だと聞いておったのであります。おそらく四十四億リラの中で、二、三億リラがたかだか持ち出している、こういう工合に考えています。これもわれわれの方では、なるべくむだにならないようにということで、大へんけちな考えでございますが、むだにならぬということを基本線にしていますので、それほど大きな持ち出しにならないだろうと思います。  それから、これは御参考まででございますが、ローマの場合は、いろいろ臨時電話等に架設費をとっていますが、これは普通国内でとっているものより、少し高いものをとっておられる、そういうような場合があったようです。これはおそらく、向うの経営上の要請であったのじゃないかと考えております。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、今度のオリンピックは、幾ら金がかかるのですか、政府協力する金は。
  97. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) それは、まだ私は承っておりませんが、関係各省の中に少し昭和三十六年度に入ってると思いますが、総括的な予算は、まだ私承知いたしておりません。われわれの方の分担の通信関係について、まあ準備を進めているので、全体の金額は、まだ私承知いたしておりません。
  98. 鈴木強

    鈴木強君 まだ競技種目、さらにその場所等も最終的な決定がございませんので、私はきょうは、この程度にいたしておきますが、一つ最初から申し上げておりますように、せっかくの機会でございますから、特に日本のすぐれた通信技術等も、海外に紹介するのには非常にいい機会だと思うわけです。ですからそういう意味において、ローマ大会、メルボルン大会その他の大会も、貴重な経験にしていただいて、一つ完璧な態勢を今からしいていただくように、大臣以下関係皆さん方に御奮闘いただくようにお願いしておきます。  それから公社の総裁に、ちょっとお尋ねしたいんですが、大へん時間がおくれまして、どうも恐縮です。例の外資七十二億でございますが、これはもう二月も二十日を過ぎまして、大体三十五年度の導入は絶望と、こう判断をしてよろしゅうございますか。
  99. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 私ども、まだ絶望とまでは考えておりません。まだ交渉中と申し上げていいかと思います。ただしもうだんだん日がつまって参りましたから、今後よほど急がない限り、今お話のように年度内に金を手に入れるということはむずかしいという事態が生ずることも考慮に入れておかなければならぬと存じております。
  100. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、かりに三十六年度予算を見ましても、大体七十二億は見られているようですから、まあ四月以降の問題は別としまして、三月までに入らない場合には、第二次五カ年計画の拡大修正をした三万個ですね。これはあれですか、ちょっとできないことになるわけですか。これはどういうふうになりますか。
  101. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 三十五年度の三万個は、御承知通り昨年の十一月でありますか、弾力条項によりまして、すでにやることになっておりますから、かりに本年度内に予定の外債が成立いたしませんでも、四十万個は、十分年度内にできることになるわけであります。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、その三十六年度に七十二億が入ってきた場合、これを想定して三万個をやはり三十五年度と同じように計画しているわけですね。もしそうだとすれば、三十六年度に入ったと仮定しても、五十万個架設するという線は、ことしと同じように多少伸びますか。三万個くらいは弾力でやれるというようなことになるのですか、ならないのでしょうか。それは見通しですから、ちょっと困難かもしれませんが、三十七年度の拡大修正、この前に御質問申し上げたように、池田内閣の経済成長に即応して三十七年度は、かなり変えなければならぬということをおっしゃっておりますから、それとの関連で私は聞いておきたいのです。
  103. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 三十六年度といたしましては、御承知通り三十六年度の外債二千万ドルを予定いたしまして、それを合わせて五十万個の新設をやる、こういう決定になっております。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、もしそれが既定方針通り入ったとします。ことしは入らなかったが四十万個はつけたということで、三万個は弾力で資金のやりくりをしてきて、約束した通り四十万個はつけたわけです。今度も、そういう調子で三十六年度で、かりに入ってこないような場合があっても、五十万個というものは確保できる見通しなんですか。  これはちょっと見通しですから困難だと思いますけれども、その辺は、どうでございましょう。
  105. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 三十六年度計画としては、これは御承知通り予算で、外債が入るものということを、はっきり予算面に表わして、これに見合うべき三万個というものがすでに計上されております。  従いまして、もし来年度においても、この外債が成立しないということになりますと、単に本年度と同じように、非常に初めに予想した以上の収入その他の点があって、別の弾力を発動できるということにならない限り、それだけ困難になる、こういうことになるわけであります。しかし、来年度、はたして外債が成立しないかどうかということは、これは私どもは成立し得るものとしてやっております。ですからそれ以外に、さらにことしと同じように百億なりなんなりという弾力が、さらにそれ以外に別にできるかどうかということ、予想はちょっと、今のところはいたしかねます状態であります。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろ、私ども国会の立場におる者は、比較的理解がしやすいが、一般から見ると、七十二億の外資を導入するという想定の上に立って、もしそれが入れば四十万個、これが入らなければ三十七万個ということだった。しかしこれはまだ一カ月ばかりありますから今から論ずるのはどうかと思いますが、大体私たちの見通しだと、無理だろうという想定を立てざるを得ないと思うのです。そうなると、外資は入ってこなかったが、三十七万個でなしに四十万個ついたじゃないか。従って公社としては、かなり資金的にゆとりがあるのではないかというような印象を持つわけですよ。だから三十六年度計画を見た場合に、国民は、五十万個引けます、こういっておる。外資導入があれば引けます、こういっているのです。三十五年度との関係で、まあこれがなくても、五十万個は引いてくれるのだろう、こういうふうに、ものを連関的に考えやすい。そのときに、もし不幸にして四十七万個だったということになると、また文句が出てくるということが想定されますね。  ですから、三十五年度と三十六年度では予算の組み方が基本的に違うのだという点をはっきりしておかないと、非常に誤解を受けると思うのですよ。ですから、その点を私は、やはり国民に向かっても、はっきりしておかなければならぬということを言っているのです。三十五年度の場合には、四十万個というのは、七十二億こなくても引けたわけですからね。だから、そういうふうに安易にものを考えていると思うのです。  そこで私は、かりに七十二億が入らない場合においても、四十七万個というものが多少動くかどうか、これは別の弾力という総裁の御答弁があるように、そういう措置でもない限りにおいてはできないことです。それは今から見通しできない。どの程度の収入があるのか、想定されている二千六百五十五億というのは、どの程度上ってくるのか、これにかかってくると思うのですが、そういう見通しが困難としても、その辺をもう少しはっきりしないと、今引きたいという人は、たくさんおるわけですから、また公社は、なんだかわけがわからぬというような非難が出てくる危険性があると思う。そういう点で、私は確かめておきたかったと思うのです。
  107. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) その点は、予算の内容をつぶさに検討しない方は、一般国民としては、多少そういう疑問があると思います。ただいま鈴木さんのおっしゃった通り、精細に皆さんのように検討していただく方は、その辺誤解がないはずなんで、三十五年度の予算としては、予算面は三十七万の新規架設をやる、これが正式に国会で認められた確定、ほとんど確定的の予算歳入であり、歳出である。そのほかに予算総則において七十二億円、つまり二千万ドルの外債が入る。もしこれが成立した暁においては、これに見合うべき建設をさらに三万個やる、こういうことが明瞭に記載されておるわけです。これはまあ一つの何といいますか、成立いたしたときには、そういうことが認められるということなんで、正式の予算では三十七万個つけるということなんです。  ところが三十六年度の予算はこれと違いまして、ただいま御指摘通り、今度は、予算の歳入にもちゃんと載せられた二千万ドルの外債、こういうことになっておるから、性質はすっかり違うものであります。同じ外債でも、この点は御指摘通りなんです。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 それは私は、老婆心から言っておるのです。三十七万個というやつが、外資が入らなくても四十万個ついた、弾力発動で去年の暮に。そういうようなことで、資金というものが、ある程度収入が伸びていくから、多少の幅があるのではないか。そういううがった見方をいたしますね。そういう点七十二億というものが今になれば非常に害をなして、そうしていろいろな誤解を与えることにもなると思う。私はだから外資、外資といって外資に頼って、しかも見通しは大丈夫だと何回も国会で答弁されておりますから、われわれは何とかいくだろう、基本的には反対しておったのだが、いくだろうということで、一つの見通しを持っておったが、なかなか無理ですよ。総裁、三月三十一日までの導入は無理のような気がしますね。これはあとのことだから、そんなにこだわる必要はないのですがね。  そこで三十五年度計画については、大へん総裁以下御苦労なさって、馬力をかけてやって下さっていることは私は認めますけれども、基礎工程、サービス工程を見て、サービス工程の場合、四十万架設というのが、外資の七十二億が入ってこなくてもやれる、基礎工程の方については、どういうふうに進んでおりますか。これも予算に基づいて大体方針通りいっているのでございますか。サービス工程、基礎工程に分けて、もし資料がありましたら、最近のものを知らしてもらいたいと思うのです。
  109. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) ただいま資料は持ってきておりませんけれども、私ども基礎工程につきましては、大体その年度の加入者増設に必要なものと、さらに将来にわたりまして必要なものと、両方をこの基礎工程でやっているのでございまして、その意味におきまして、三十五年度におきましては、大体その年度におきまして四十万ついても差しつかえない。さらに将来のことも考えてやっていくということになっておりますので、外債が入らなかった場合でも、基礎工程に、どういう影響を受けるかという御質問でございますれば、端的に申し上げまして、特に三十五年度につきましては、もうすでに先ほど総裁から申し上げましたように、弾力によりまして資金の補充をいたしておりますので、特に三十五年度につきましては問題はないというふうに申し上げて差しつかえないと思います。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 工事の進捗状況というのはどうでございますか。今資料がそこにないのですか。基礎工程、サービス工程に分けて、大体既定計画からみて、どの程度まで大まかなパーセンテージは進んでいるのですか。
  111. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 工事の進捗状況から申しますと、これは概数の速報でありますから、多少あとで狂いが生ずるかもしれませんが、一月末現在で、全体の工事幅の六三・五%だけは完了いたしております。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 サービス工程、基礎工程両方ですか。
  113. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 両方合せての数字でございます。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 それを分解してわかりませんか。
  115. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) 今、具体的な資料は持ち合わしてございませんけれども、大体、私どもが予想しておりましたような、サービス工程と申しますか、加入者増設工程につきましては、予想しておりましたような進捗を示しておりまするし、総裁が申し上げました全体の支出も、昨年度の同期の率を上回っておりますので、従いまして基礎工程、サービス工程ともに予定通りいっておるというふうにいえるのではないかと思うのでございます。
  116. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、大体、国会で承認を与えた計画通り年内消化できる自信は十分あるというふうに確認しておいてよろしゅうございますか。
  117. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) 大体、そういうふうに御了解願って差しつかえないかと思います。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、ちょっとお尋ねしたいのですがね。今公社が進められている計画を見ますと、市内外とも、自動即時化を非常に進捗されているようでして、本年度の予算を見ますと、大体三十六年度会計年度末には、市外の即時が六九・三%で約七〇%にいくように考えておるのですがね、これは、ここに書いてあるのは違いますか。
  119. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) 先ほどの御質問の中で、予定通り進捗していると申しますのは、繰り越しが全然なくなるというわけではございませんで、私ども予定している繰り越し程度は、もちろん残りますけれども、それを含めまして、予定通り進捗しているというふうに御了承願います。  それから、ただいまの即時が六十数パーセントになるというお話でございますが、これは手動即時も含めましての即時でございまして、自動即時は、そう大きな数字にはなっていないのでございます。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 自動即時は、どのくらいになりますか。
  121. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) 今、資料を持って来ておりませんが、大体三十六年度末のお話だと思いますが、一〇%前後じゃないかと思います。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 それで、まあ金の使い方にも関係すると思うのですが、どうも最近、まだ電話がなかなか引けないという苦情が来まして、私どもは非常に困っているのですが、設備投資というものが、設備が非常に近代化しておりますから、自動にしたならば、それで非常に局舎も金がかかる、機械設備にも自動になれば非常に金がかかるということですけれども、実際に地方を回ってみても、都会を回ってみても、もっと加入電話というものをふやしてもらいたい、多少自動即時はおくれても、もう少し電話を早くつけてもらえないかというような要望がかなり強いと思うのです。これらをどういうふうに——一方では、そういう積滞している電話をできるだけ早く消化してやる、なおかつ、市外をできるだけ即時にしてやるということになると、なかなかむずかしいことになるのですけれども、その比重というものをどちらに、どういうところに置いてやっていかれますかね。私はもう少し電話の、加入電話というようなものがふえるような格好の方に、重点を置いたらいいのではないかと思うのですけれども、一方、市外にかける人から見れば、早くかかる方がいいのですからね。電話を持てば、そういう欲望が出て来るし、これをどううまくコントロールしていったらいいのか。非常に私は悩んでいるのですけれども、公社はその力点は、どういうところに置いておられますか。
  123. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) 非常にむずかしい問題でございまするけれども、御承知のように 加入者を、できるだけ多くつけるということのためには、現在の状態におきましては、自動式に改式しない限り、そう大幅な加入者増設ということは不可能なんでございまして、従いまして、私ども加入者増長のためには、自動局を作るということをまず考えているわけでございます。  で、これは御存じのように、第二次五カ年計画を改定いたしました線以上に需要が出ておりますので、それをできるだけ充足いたしたいということから、三十六年度につきましては、予定よりも、計画よりも七万上の加入計をつけておる。これによって、やって参りたいということでございます。  それから市外関係でございまするけれども、これは最近までに、非常に市外の即吟が進んで参りまして、現在の状態で、市外の方から重点を抜くということにもしいたしますると、まあ相当の大きな非難が出てくるのではないかというふうに考えられるのでございます。従いまして、私ども、今の段階におきましては、第二次五カ年計画を改定いたしました線に沿いまして、即町も、当初考えました線に比べますると、若干即時の進展は後退しておる。当初と申しまするのは、五カ年計画の改定以前の、私どもの目標に比べまして改定後の即時化計画というものは、若干後退しているのでございますが、少なくともその程度のものは、今後も進めて参らなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 たとえば小都市なんかに参りまして感ずることは、たとえばそこが共電式の方法をとっているとか、あるいは磁石式の方法をとっているとか、小っちゃいところに行きますとあるわけですけれども、その場合に、まあ郵政受託になっていることもありますね。で、五十台なら五十台の交換台が入っている。ところが積滞が三十、四十になっても、なかなかそれを百台の交換台にしてくれない。そうすると、いつまでたっても電話がつかない。共電式の場合にも、そうですね、まず公社は自動化ということを前提に考えておるから、建物もそういうように考えておるから、共電式の場合にも、スペースがない。従って、その電話は自動までは、ちょっとお預けだということで、その間は、なかなか電話がつかないという苦情がある。  ですから私は、自動化していくという方針についても、いろいろ要員の問題ともからんでむずかしい問題もあるでしょうが、やはり磁石であっても共電であっても、あるいはそれを自動化する場合であっても、できるだけ将来の展望の上に立って、局舎設計なり規模、設計という点を考えていただいて、どうもその局舎も、自動にならなければ変えてくれないということで、きたない局舎でもって狭い所で仕事をしている。一方加入者からは、そういう非難を受けるということが出てきているのですが、この点を多少でも緩和する政策というものを打ち出していかないと、やっぱり、待ち切れぬという気持になるのですね。それは根本的には、大臣に何回も私は言っているように、資金計画との関係はあると思いますけれども、今の、ことしで言うならば千何百何十億ですか、この建設資金というものをどういうふうに効果的に使って、そういったいろいろの点も配慮しつつ総体的に前進していくのかという、こういう点に対する方針を、もう少し私は明確にして、国民に納得していただくかどうかそれはわかりませんけれども、やりませんと、そういうしわ寄せを食っている小都市、あるいはいなかの方面なんかは、かなり不満があるようですがね。これらに多少の手心を加えるということはできないものでしょうかね、実際問題として。
  125. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) 電話局を自動式にいたしますのは、実は自動式だけが目標でございませんで、現在の電話局では、あるいは郵便局の調査では、全然電話がつかないというような所が非常にたくさんございまして、それを救済するために実は自動改式をやっておるのでございます。従いまして、現在手をつけておりまする所は、大体におきまして二年あるいは三年、ほとんど一本もつかないというような所が計画に乗ってきておるのでございまして、それ以外に、若干でも電話のつく所は、現在の方式のままでやっておるのもございます。  従いまして、自動になりまする際におきましては、非常に長い間たまっておりまする電話がございますので、その分につきましては、ほとんど大部分自動になりましたときに解消しよう、そういう関係から、一般の局に割り当てられまする電話の数は、自動に改式になりません局に割り当てまする電話の数は非常に制限されてくるのでございます。それが現在、お話のような苦情となって表われてきているというふうに考えるのでございますが、やはり数年来、一本もつかないという所を解消する、解決するということに、やはり当分重点が置かれなくてはならないのじゃないか、これが、相当多く自動改式の範囲が拡まって参りますれば、だんだんと局を新しく作らなくても、電話を入れられるというような状態になってくるというふうに考えるのでございますが、これが前々から申し上げます通り、大体昭和四十七年度あたりまで参りませんと、そういう状態には達しない。従いまして、当分はやはり、電話を新しくつけますために、改式を相当やって参らなくちゃならないのじゃないかというふうに考えておる次第であります。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 まあ先ほどからのお話の中でも、何とかそこを重点に考えなければならぬということですから、その点を、ぜひ一つ政策の中で、少しでも前に出していただくようにしていただけば、その点の多少の緩和になっていくのですが、今お話のように、全然自動改式までつかぬという所もかなりありますよ。それから局舎計画を見ましても、非常に苦情のあるのは、自動即時にならぬと、大体、局舎はよくなっていないですよ。磁石とか共電の所に行って鉄筋の建物というのは、ほとんどないですわ、私が回って見ましても。これは会計検査院あたりから非常に指摘をされておるようですが、まあ自動改式が、かりに五年先であっても、それに対応するような、やっぱり局舎というものは、あらかじめ早くに計画を立てて、そうして局舎設備をどんどんやっていく、そういう中でスペースも広がってくれば、多少の磁石や共電の加入者も入ってくるということになると思うのですね。それが純経済的にみると自動になって、機械を今の古いやつをふやしておくよりも、自動できたときにやった方が、経済効果からいえば、わかるのです。この経営する立場に立ってみると、それじゃやはり国民享有ということで、電話に対する批判が出てくるわけですから、非常に苦労されているし、私もわかっておりますので、無理なことは言いません。言いませんが、そういう全般的なやはり事業の今の経営の実態というものを、国民に理解していただくとともに、多少なりその点を、さらに推進していただくようにお願いしておきたいと思うのです。  ですから、将来の自動化というものに対して、市内の自動化、あるいは市外の自動化というものも、そういう点を十分考えた上で、私は、もう少し何か金の使い方を、国民が喜ぶような方向に使えないものかという一つ考え方を持っておるわけですが、さっきも申し上げているように、市外を、そうかといって、いつまでも待時にしていいかということになると、また問題ですから、その辺を一つ、金が生きるような格好で使っていただくようにしたらどうかという気持があるわけですから申し上げたわけですが……。
  127. 伊藤誠

    説明員(伊藤誠君) 私ども計画して参りますにつきまして、非常に貴重な御意見でありますので、できるだけそういう点も取り入れてやって参りたいと考えます。
  128. 鈴木強

    鈴木強君 それではだいぶ私、一時過ぎから長いことやっておりましたし、まだ質問は残っておりますけれども、きょうはこの程度で……。
  129. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ほかに御発言もなければ、本日は、これにて散会いたします。   午後四時二分散会