○鈴木壽君 これは前の答申が抽象的であったり、それからその答申に対して各派の意見が一致を見なかったのだ、そのためにやれなかったのだということのようであります。しかし、これは前の三十四年の十二月二十六日の
選挙制度調査会のこの答申は、これは抽象的とは言えませんね。これは問題をはっきり打ち出しているわけなんです。
一つは、
選挙の公営を拡充すること、それからまあ幾つもありますが、たとえば
選挙の腐敗を粛正するために次のような
措置をとらなければならないということをはっきり一、二、三、四と、こう書いてありますし、あるいは立候補の自由を乱用するとか、そういうことについての規制をするためにはこうしなければならないとか、あるいは高級
公務員の立候補についてはこうすべきであるという、これは抽象的でない、きわめていわば具体的、法
改正までには及んでおりませんけれども、
改正の条文までには至っておりませんけれども、
指摘している事項はすこぶる具体的です。これをしも抽象的だからやれないということになりますと、一体今度の答申でどういうものが出てくるか、これは将来のことでわかりませんけれども、こういうこと以外に答申として一体どういうことが書けるのか。私は抽象的なるがゆえに法
改正までに至らなかったということについては、これはおかしな言い方であろうと思う。それからいま
一つ各派の意見がまとまらなかったということが述べられております。確かに昨年の秋の段階におきまして、十分ないわゆる各党派の間の同意というものが得られなかったことも事実であります。しかし、答申が、今後の答申であれ、過去における答申であれ、答申そのもの全部各党派で異議なく
承知できるというようなことが、はたしてあり得るかどうか。たとえば、先ほど来小林
委員が問題にしておりましたし、あなたもお答えになりましたように、
選挙区
制度の問題になりますと、これは必ずしも簡単じゃないと思う。各派の意見の一致ということは、必ずしも私は期待できない。今のものの
考え方からすれば、そういうことが言えると思う。各派の
考え方が一致しないばかりでなしに、同じ党派の中ですら、あなたの自民党の中ですら小
選挙区制がいいと言う者、あるいはそれじゃ困ると言う者、これはいろいろ意見のあることは、あなただって御
承知だと思う。一体そういうことになりますと、各派の意見の一致を見ない限り、いかなる答申が出ても、それに基づいた、それを取り上げたところの法
改正を行なわないのだということになりますと、一体いつ
選挙法の
改正をおやりになるのか、これは私は問題だと思う。ですから、もちろん大事な問題についての意見の一致を見ないということもありましょう。しかし、少なくとも意見の一致を見ている、あるいは
世論が望むようなそういう
改正案は、これは
政府の責任で、あなたの責任で出すべきだと思う。そういうことをしないで、特に避けてやるというところに私は少し
考え方について納得できないところがある。少し長くなりまして恐縮でありますが、たとえば
選挙の公正を期するためにどうすればいいのか、こういうことはみんな問題が出ているのです。事前運動の取り締まりなり、あるいは金をかけないようにするためなり、あるいは罰則の強化なり、いろいろ問題が出ているのです。過去の答申にも出ておる。少なくとも
選挙の公明を期するための、あるいは腐敗せる
選挙をやめさせるための少なくともそういうことだけの
選挙法の
改正だけにとどまってもいいから、ともかく私はそういうものを出すべき段階だと思うのです。おそらく昨年あなたが
政府を作ったときには、そうしてまた去年の
選挙をごらんになってそういうことをお
考えになっておったのじゃないかと思うのですがね。その点どうも私はあなたのおっしゃるように、答申が具体的でないとか、あるいは各派の意見が一致しないということで、何かずるずるになってきた、そこに法
改正の、そうして公明
選挙をあくまでもやっていこう、それによって
民主政治の基盤を作っていこうという熱意といいますか、決意に欠けているように私は思わざるを得ないわけでありますが、重ねてその点いかがでございますか。