運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-03-23 第38回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十三日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員異動 本日委員松永忠二君辞任につき、その 補欠として武内五郎君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     増原 恵吉君    理事            小林 武治君            鈴木  壽君            基  政七君    委員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            白井  勇君            津島 壽一君            西田 信一君            湯澤三千男君            秋山 長造君            占部 秀男君            加瀬  完君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   衆議院議員            田中 榮一君   国務大臣     自治大臣   安井  謙君   政府委員     郵政省電気     通信監理官  松田 英一君     自治政務次官 渡海元三郎君    自治省行政局長 藤井 貞夫君   事務局側       常任委員       会専門員 福永与一郎君   説明員    林野庁林政部長 高尾 文知君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法及び地方財政法の一部  を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○地方財政法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○警察官職務に協力援助した者の災  害給付に関する法律の一部を改正す  る法律案衆議院送付予備審査) ○奄美群島復興特別措置法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送  付) ○公営企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○新市町村建設促進法の一部を改正す  る法律案内閣提出)   —————————————
  2. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日付をもって委員松永忠二君が辞任され、その補欠として武内五郎君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) まず、地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する法律案及び地方財政法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括議題として、提案理由説明を聴取いたします。
  4. 安井謙

    国務大運安井謙君) ただいま議題となりました地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  (一) 明年度は、新道路整備五カ年計画に基づく、道路整備事業を初めとする各種公共事業社会保障制度の拡充に伴う地方団体所要経費をまかなうための財源及び昨年十月から実施された地方公務員給与改定の平年度化等により増加する給与費に対応する財源関係地方団体に付与する必要があります。   また、明年度は、国税三税の大幅な増加や本年度からの二百余億円の繰り越しによって地方交付税総額相当多額の増加となりますので、この際、関係基準財政需要額を増額して将来にわたる地方行政水準の向上を企図することが適当と考えられるのであります。  (二) なお、昭和三十四年度実施された固定資産税制限税率引き下げに伴う減収を補てんするための地方債についても、地方団体財源充実地方交付税配分方法改正等と相待って昭和三十五年度限りこれを廃止することとし、地方財政運営正常化をはかる必要があります。  以上がこの法律案提案理由であります。  次に、この法律案内容要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方交付税法改正に関する事項であります。  その一は、単位費用引き上げ基準財政需要額を増額することであります。道府県分につきましては、   (イ) 新道路整備五ケ年計画に基づく道路整備事業実施その他公共投資充実に必要な財源を付与するため、「道路費」、「河川費」、「その他の土木費」、「農業行政費」及び「林野行政費」の単位費用引き上げ、   (ロ) さらに、投資的経費を包括的に算入するため、「その他の諸費」の「人口」及び「面積」を測定単位とするものにかかる単位費用を大幅に引き上げることとしたのであります。  市町村分につきましては、   (イ) 道府県分と同様、「道路費」の単位費用引き上げるほか、市町村財源の総体的な充実をはかるため、「その他の諸費」の「人口」及び「面積」を測定単位とするものにかかる単位費用引き上げ、また、   (ロ) 公共下水道屎尿処理施設等都市における環境衛生施設整備に要する経費及び農山漁村における投資的経費充実をはかるため、「その他の土木費」、「衛生費」、「農業行政費」及び「その他の産業経済費」の単位費用引き上げることといたしております。  さらに、道府県分市町村分を通じて、   (イ) 生活保護基準引き上げ結核予防行政充実等により増加する社会保障関係経費財源を付与するため、「生活保護費」「社会福祉費」及び「衛生費」の単位費用引き上げ   (ロ) 失業対策事業にかかる労力費資材費等単価引き上げにより増加する経費財源を付与するため「労働費」中「失業者数」を測定単位とするものにかかる単位費用引き上げることとし、そのほか、   (ハ) 給与改定の平年度化昇給等に要する経費財源基準財政需要額に算入するため関係行政項目単位費用引き上げることとしたのであります。  その二は、補正方法改正に関する事項であります。すなわち、財政力に比し公債費負担の大きい地方団体公債費負担軽減をはかるため、都道府県国庫負担金を受けないで施行した災害復旧事業財源に充てるため起こした地方債元利償還金基準財政需要額に算入するにあたり、新たに財政力補正を適用することといたしました。  なお、今後、補正係数を定めるにあたっては、弱小の市町村に対する財源傾斜的充実をはかるため、「その他の諸費」のうち「人口」を測定単位とするものについて、都市的形態の度合いに応じて定めている態容補正係数改正し、行政の質の差のあることを前提として行なっている割り落しを廃止する所在であります。  その三は、測定単位改正に関する事項であります。すでに申し上げました通り明年度におきましては、地方交付税の増額のほか、地方税等におきましても相当増収が期待されますので、これらの財源は当面急を要する行政水準引き上げに重点的に振り向けることといたしたのでありますが、他方、地方公務員退職年金制度実施に備えてその財源を留保するとともに、長期にわたる地方財政健全化を推進することも必要であると考えられるのであります。この意味において、昭和三十六年度限りの措置として一部地方債の繰り上げ償還を期待することといたしました。すなわち、昭和二十六年度昭和二十七年度及び昭和二十九年度におきまして給与改定財源あるいは道路財源として、一般財源充実にかわる特別の措置として発行を許可された地方債並びに国庫負担金を受けて施行した災害復旧事業にかかる経費または国の行なう災害復旧事業にかかる負担金に充てるため昭和二十六年度以前において発行を許可された地方債の繰り上げ償還額基準財政需要額に算入することとした次第であります。  第二は、地方財政法改正に関する事項であります。昭和三十四年度固定資産税制限税率を百分の二・五から百分の二・一に引き下げたことに伴いまして、その減収額を補てんするための措置として起債発行特例が定められたのでありますが、このような措置はあくまでも暫定的なものであり、恒久的な財源措置を講ずることにより、すみやかにこの解消をはかることが必要なのであります。幸いにして、明年度は、地方一般財源相当増収がありますので、この際、地方交付税配分方法を合理化することによって関係市町村に対し、所要財源を付与することとして、起債特例措置昭和三十五年度限りでこれを廃止することといたしたのであります。なお、昭和三十六年度及び昭和三十七年度においては、経過措置として昭和三十五年における発行額のそれぞれ三分の二及び三分の一の額の発行をすることができることとし、激変緩和措置を講ずることといたしております。  以上が、地方交付税法及び地方財政法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  ただいま議題となりました地方財政法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  地方公共団体証券発行により地方債を起こす場合におきまして、信用力を補完しその消化を容易にするため、二以上の地方公共団体が共同して発行することが適当な場合が生じて参っているのであります。  そこでこの際これを制度化し、この場合の法律効果を明確にしようとしたわけであります。まず第一に、証券発行方法により地方債を起こす場合においては、二以上の地方公共団体が議会の議決を経て共同して証券発行することができる旨を明らかにいたしました。次に、証券発行方法によります場合には、募集、売り出しまたは交付等手段により不特定多数の者を相手方とするものであり、かつ、当該証券は転々流通することが予想されるものでありますので、共同発行効果としてその償還及び利息の支払いにつきまして、連帯債務を義務づけることとしたのであります。  これにより債権者保護をはかるとともに、結果的には証券信用力を強め、その消化を促進することができるものと考えるものであります。  以上が、この法律案提案理由とその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 両案の質疑は後日に譲ります。   —————————————
  6. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、警察官職務に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。
  7. 田中榮一

    衆議院議員田中榮一君) ただいま議題となりました警察官に協力援助した者の災害給付に関する法律の一部を改正する法律案提案理由並びにその内容概要につきまして御説明申し上げます。  まず、この法律案を立案いたしました理由を述べますと、その目的とするところは、水難山岳における遭難交通事故その他の変事に際し、みずからの危難を顧みず、職務によらないで人命救助に当たった者が災害を受けたとき、都道府県がその給付を行なう制度を確立するとともに、災害給付種類を改善することであります。  御承知のように、警察官職務に協力援助した者の災害給付に関する法律は、昭和二十七年、第十三回国会において議員立法として制定され、その後昭和三十四年の第三十一回国会におきましても、衆議院地方行政委員会提案法律案として、その一部改正が行なわれ現在に至っております。  本法により給付対象となる者は、第一に、職務執行中の警察官に協力援助したため災害を受けた者及び第二に、警察官がその場にいない場合に職務によらないでみずから殺人傷害等現行犯人の逮捕または被害者救助に当たったため災害を受けた者に限られております。ところが、他の法律の場合におきましては、広く犯罪に関係のない火災とか、海難等に際して消防吏員及び団員や海上保安官がいない場合でも、職務によらないで人命救助に挺身したため災害を受けた場合におきましても、それぞれ法の定めるところにより公的な救済措置が講じられている実情であります。  そこで、今回本法改正して、水難等変事に際して警察官がいない場合でも職務によらないで人命救助に当たり災害を受けた場合に、本人及びその遺族に対し必要と認められる給付を行ない、このような勇敢な行動に対する公的な救済手段を確立しようとする次第であります。  この法案が成立することにより、これまでの盲点が克服され、今後は、この種事案の発生について、おおむね全面的に救済手段が講ぜられることになるわけであります。  なお、人命救助に際しての災害につきましては、警察法第二条によりまして、一般的に人命保護の責務を負っている警察組織を通じて都道府県がその給付を行なうことが最も適当であると考えられますので、右の必要を満たしますために、本法の一部を改正するこの法律案を立案した次第であります。  次に、本案内容について御説明いたします。  その第一は、この法律地方公共団体とあるのを都道府県に改め、それとともに所要の法文の整備を行なっております。  これは現在の警察組織都道府県単位でありまして、この法律により現実に給付を行なう地方公共団体としては、都道府県のほかはないからであります。  次に、第二条を改正してこれに一項を加え、新たに給付を受ける者について定めております。すなわち、警察官がいない場合でも水難山岳における遭難交通事故その他の変事により人の生命に危険が及び、または及ぼうとしている場合に、みずからの危難を顧みず、職務によらないで人命救助に当たった者が、そのため災害を受けたときには、都道府県給付の責めに任ずることといたしました。ただし、法令の規定に基づいて救助に当たった者とか、被救助者家族等とか、みずから救助に当たることが当然であると認められる者につきましては、との法律による給付を行なうことは適当でありませんので、この法律対象から除外することとし、その除外される人についての細則は政令で定めることとしております。  なお、この第二条の改正に関連して、第三条の規定整備も行なっております。  次に、第五条を改正して、この法律による給付種類のうち、打ち切り給付を廃止いたしました。これは、先般、労働者災害補償保険法及び国家公務員災害補償法において打ち切り給付制度を廃止いたしましたことにかんがみ、この法律においてもこの制度を廃止し、負傷または疾病が続いている限り療養給付等を継続しようとするものであります。  このほか、附則においては、この法律施行を公布の日からとし、この法律地方公共団体都道府県に改めたことに伴い、関係法律整備をいたしたのであります。  本案施行に要する経費総額は約三百万円の見込みでありまして、国はその半額に相当する約百五十万円を都道府県警察に対する国の補助金として予算に計上しております。  以上がこの法律案の立案の趣旨及びその内容概要であります。  なお、この法律案は、衆議院におきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党の合意のもとに成案を得まして、国会法第五十条の二の規定により、地方行政委員会提出にかかる法律案として提案いたしたものでございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本案質疑は後日に譲ります。   —————————————
  9. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。  両案について御質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について伺いますが、自治省行政局から出された資料の中に、奄美群島産業別生産所得の推移というのがあります。それで見ますと、戦前は第一次産業が三九・三、第二次産業が二一・三、第三次産業が三九・四、こういう構成比であったわけです。それが三十三年になりますと、第一次産業が三八・七、第二次産業が一五・四、第三次産業が四五・五と、こう変化をいたしております。昭和二十八、九年の復帰当時から見ると、構成比がいろいろ変わっておるのですが、第三次産業が非常に大きく構成比の上ではなっておりますのは、これは何ですか、内容は。
  11. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 内容といたしましては、運輸等サービス業務並びに公務員関係比重がふえておるということがその内容をなしておるというふうに考えております。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 その第二次産業が一五・四、これは戦前から見ると非常に減っておるわけですけれども、これはいろいろの復興計画が結局進捗しておらないということにもなるわけです。その点について伺いたいのですが、奄美復帰問題が初めてこの委員会で取り上げられましたときに、現地の方が見えられまして、いろいろ事情を述べられた中に、奄美戦前産業として一番大きかった織物業あるいはカツオぶし製造、こういった第二次産業部門といいますか、黒糖製造もそうですが、これが全然だめになってしまったことがそもそも経済力が減退した原因だというふうなことを述べられて、それ以後、たとえば衆議院並び参議院地方行政委員会奄美の議案が通るたびごと附帯決議として盛られた中にも、今申し上げました点をもっと振興しなければならないという附帯決議が幾つかつけられておる。その中で黒糖製造の問題は、たとえばテンサイ糖などの問題については政府も非常に手を打っておりますけれども、黒糖の問題については、さっぱり手が打たれておらないように思われるわけです。この参議院地方行政委昭和三十四年三月十日、それから衆議院地方行政委の三十四年二月十九日に、黒糖について「長期且つ低利設備資金融通税負担軽減価格安定等所要措置を講ずること。」、こういう附帯決議がありました。その後、この附帯決議がどのように取り扱われたかと自治省に伺いましたところ、税負担の問題については、全国的な問題であるために特別な措置はしていないと、こういう回答、それでは価格の安定についてはどういう措置をしたか、低利設備資金融通についてはどういう措置をしたか、あるいは黒糖そのもの振興方法についてはどういう具体的な方法をとられたか、これらについてまず伺います。
  13. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 奄美基幹産業といたしまして、糖業の問題は非常に重要な事項でございます。そういうような観点から復帰後いち早くこの方面には努力を傾注をしてきたつもりでございます。本委員会においても、たびたびの御要請もございまして、できるだけの努力をいたしてきておるのであります。まず第一には、生産自体を何としてもこれを伸ばしていかなければならぬ、これによって群島民経済力というものについて安定性を付与して参らなければならぬということで、この方面には品種の改良その他夏植え栽培の奨励その他につきまして努力をいたしておりまして、との面については、相当実績が上がっているように考えておるのであります。すなわち、生産量にいたしましても、約五割方反当たりの収量がふえて参ってきておりまするし、また作付面積自体にいたしましても、相当程度にふえて参ってきておるのであります。しかしながら、なお島内のみならず全国的な砂糖需要、あるいは国際的な視野に基づきまする国内の砂糖の需給のバランスというような点から、国内産の砂糖というものについての振興策がとられるという国の方針もございますので、この方面についてはできるだけの努力を傾けて参りたいと、かように考えておるのであります。生産量といたしましても、三十三年で見ますると、その実績は十七万三千トンということになっておったのでございますが、これが最近ではずっと伸びて参りまして、二十五万トン程度に相なっております。さらに三十八年あたり目標といたしましては、これをさらに倍増いたすというようなことで五十万程度には持って参りたい、かように考えまして施策を進めておる次第でございます。  第二といたしまして、キビ価格の安定の問題がございます。この点につきましては、いろいろ苦慮いたしておるのでございまするが、一方におきまして砂糖自体種類におきましても、従来の含密糖というものをそう伸ばしていくという見通しもございません。おのずから需要にも限界がございます。そういうところから、大体の比重といたしましては、分密糖が七〇%、含密糖が三〇%というような目標で進めていくという方針をとっておるわけでございますが、これに関連いたしまして、やはりどうしてもキビ価格の安定をはかって参らなければ、農家の収入の安定を期し得ないということで、当委員会要望もございましたので、おそまきながら昨年の暮れには奄美におきまする糖業振興協議会といったようなものを作りまして、これに関係者の参加を求めまして、各種の角度から適正なキビ価格の決定ということに努力をいたしまして、大体の目的は達しておるように考えておるのであります。ただ一部には、まだその価格自体が非常に低過ぎるということで問題を起こしておるところもございますけれども、大体においては、それでもってまずまず順当な結果が得られておるのではないかと考えております。ただ黒糖の場合におきましては、御承知のように黒糖価格自体キビ価格がスライドしていくというような点もございます。そういう点において、黒糖の市価が非常によい場合におきましては、キビ価格も従って非常に高値に売れるということで、農家もそれで非常に潤うわけでありますけれども、一たん市況が悪化いたしますると、それにつれて非常に悪くなるというような点がございます。それに対比いたしますると、分密糖方面におきましては、ほぼ今の糖業振興協議会等におきましても努力をいたしておりまする結果、大体不満足ではございますけれども、安定を得ていく方向に今後も進んで参るのではないか、かように考えておるのであります。それ以上の、テンサイ糖その他と同じような措置をとって参るか、あるいは基準価格自体を法定をする、さらには買い上げの制度を確立をするというような点につきましては、今なおそこまで結論を得ておりません。この点は農林省当局ともさらに協議を続けまして、この農民所得の大数を占めますキビ価格の安定ということにつきましては、さらに今後とも一段の努力をしたい、かように考えておる次第であります。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 黒糖といいますか、キビ生産が上がったとしても、黒糖価格なり、キビ価格なりというものが安定しなければ、これはイモなんかと同じで、豊作貧乏ということにもなりかねない。問題は、北海道などのテンサイ糖に対しては、非常に政府保護する、まあことしの予算案を見ても、テンサイ糖に対していろいろの補助政策というのが出ている。ところが、黒糖に対する補助政策というのは昔から今まで政治力原因かどうか知りませんが、非常に少ない。奄美復興などを考えるなら、その中心である自治省あたり農林省に交渉して黒糖に対する保護政策というものをもっと政策的に打ち出してもらわなくては、ここにありますように価格協議会を設置したところで、それは奄美でのキビ生産現地において精一ぱい高く買い上げるというだけで保護政策が伴っておらないわけでありますから、これは生産がたくさんになれば、どうしても価格が落ちてくるということで、どうにもならないと思う。これは今まで農林省に対してどういうふうな自治省は交渉を重ねられておったか、黒糖に対する保護政策というものは全然ないわけですから、これをはっきりさせなくては問題の価格の安定というのはできないじゃないかと思われるのですが、これは経過はいかがです。それから、これからの自治省としての農林省に対する御要望はどんな点を考えていらっしゃいますか。
  15. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御指摘の点につきましては、ごもっともな点が多いわけでございまして、私たちといたしましても、もう少しキビ価格の安定というものをはかっていかないことには、どうしてもやっぱり奄美群島島民生活内容というものが安定しないということを考えておるのであります。そういうような見地から、農林省に対しましても、もう一歩やはり進んだ対策が必要ではないか、それが直ちに価格の公定をするとか、あるいは買い上げ制度というものに踏み切るかというようなところにまでいくかどうかは別問題といたしまして、もう少し一歩進んだ対策が必要なのではないかということで、よりより協議をいたしておるのであります。ただ遺憾ながら、今までのところ十分な対策が講ぜられておらないということは御指摘の通りでございます。ただ、この価格の問題につきまして、たとえば黒糖関係に限って申し上げますと、昨年の市況は御承知のように非常によかったわけであります。そういうようなために、一時的でございますけれども、黒糖関係に使いまするキビ価格というものが非常に今までと違ってよかったというような点もございまして、そういうふうに、一時的にいいときはいいんでありますけれども、今度悪いときにはどうにもならないというような点は、これはやはり放置ができない、いつまでたっても安定をしないということになるわけであります。一時的にただいいからといってこれをそのままに放置をしていくことはできがたいと思うわけでありまして、今後とも、今ここでまだ成案というところまで申し上げかねますけれども、さらに突き進んで、テンサイ糖その他にならうような措置というものを考究をしていくという方針で、さらに農林省当局とも協議を進めて参りたいと考えておる次第でございます。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 それは自治省の力の入れ方がもっと濃度を増してこなければ農林省もなかなか腰を上げませんので、といって、鹿児島とか奄美とか、現地だけの陳情とか請願とかいうものにゆだねておいて解決できるものでありませんから、よろしくお願いをいたします。  三十一年かと思いましたが、私ども現地を視察いたしましたときに、この林産関係の課長さんが非常に熱心で、シイタケの栽培、それからほとんど無尽蔵と言っていい木材を利用して、まき、炭の製造を奨励して、これを阪神地区に船で送ると相当の収益があるし、それから消費者には低廉で、他の生産地に比べて、奄美の製品というものは非常に優位性があるというので、非常に熱心な奨励をして指導をしておったわけでありますが、その後のシイタケ栽培あるいはまき、炭の製造というものと、阪神地区の販路といいますか、また、これを運搬する船の関係といったようなものはどのようになっておりますか。
  17. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) シイタケにつきましては、復帰当初はほとんど壊滅に瀕しておったわけでございますが、三十三年度実績によりますると、生産額にいたしまして三千万円以上ということに生産が上がってきております。これをさらに伸ばす計画で、現在いろいろの指導奨励をやっておりまして、三十八年度には、少なくともこれを生産額といたしましては五千五百万程度まで上げたいということで進んでおる次第でございます。  なお、まきの問題でございますが、これにつきましては、三十三年度実績が、生産額といたしまして七千三百万円。それから今後の目標といたしましては、これを一億以上に上げたいということでございます。目立った伸長を示しておるわけではございませんけれども、今御指摘になりましたような方向で県外移出等につきましても、漸次活況を見てきておる状況ではないかというふうに承知をいたしておる次第であります。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 カツオぶし製造などは、まことにどうも内地では見られないような原始的な製造方法で、工場化された工場というものはほとんどないという状態でございましたが、これは戦前には、カツオぶし製造というのは主産業の有力な一つであった。しかしながら、戦後はこれがさっぱり回復しておらない。しかも、このまわりにある漁場というものが、ほとんど奄美自身の船というものがなく、遠くの方から来て漁業をしておる、こういう状態でありましたが、カツオぶし製造はその後どういうふうになっておりますか。
  19. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) カツオ節の生産でございますが、これは金額にいたしましても、二十九年は三千百六十六万でありましたものが、だんだんと上向きに相なりまして、三十三年には四千六百八十万、こういうふうに相なっておるのであります。しかしながら、これは決して満足すべきと申しまするか、非常に不満足な状況であろうと考えておるのでありまして、こういう方面には、第二次産業比重について先刻御指摘になりましたけれども、こういうような点についてもやはり一つの原因があるのではないかと考えておりまして、他の産業ともにらみ合わせて、近海にそういう漁場の存在することでもございまするので、こういう方面につきましては、さらに一段の努力をして参らなければならぬのではないかと考えておる次第でございます。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 それは御承知通りカツオぶし製造黒糖、つむぎがまあ大島では三大産業といわれておったわけでありますから、その戦前の盛んな状態と比べて二十九年が三千万台、三十三年になっても四千万台、シイタケがまき、炭よりもむしろ価格の上からは低いということは、戦前、とにかくカツオぶし製造で生活を立てておった者がたくさんおった、それが戦後は戦前のようなカツオぶし製造をやっておっては生活を立てられないという状態に追い込まれているということにもなると思う。その原因はというと、船がないということなんです。船はほとんど、カツオぶし製造のもとのカツオをとるのに使った船はほとんど徴発されて返ってこない、その船をどうするということもずいぶん問題になりまして、漁船なんかの補助金なり漁港の改築なり、あるいは新設というものも、予算の中でたびたび要求されたし、また盛られているわけです。ところが、一体船はできているのかできておらないのか、少なくも戦前のような状態にできておらないということは明らかである。これは衆議院地方行政委員会でも問題になっているようでありますけれども、漁船の貸付金なんかが、どういう形で流れておりますか、それを一つ詳しく御説明をいただきたい。
  21. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 漁船建造につきましても、できる限りの優先的な措置を講じているつもりでございますが、実績によって見ますと、三十四年度までに建設をいたしましたものが、隻数といたしまして三十四隻ということに相なっておるのでありまして、これの融資は、大体において農林漁業金融公庫がその主たる融資主体と相なっている次第でございます。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 一体、戦前は漁船が何隻ありました。三十四年度でも三十五年度でも現在漁船何隻ですか、カツオ漁に従事できる漁船ですね。
  23. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ちょっと今戦前の資料がございませんので、後刻調査してお答え申し上げます。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 別にこの法案に反対しているわけじゃありませんから、しつこくやる考えはありませんが、問題は、戦前の漁船数から見ると、戦後はさっぱり復興しておらないですよ。ほとんどゼロと言ってもいい、少なくも昭和二十九年、三十年ころはゼロと言ってもいい状態であった。仕方がないから、水産関係の人に何をやらせているかというと、船がありませんから、あそこで真珠の養殖をさせているのです。カツオぶし製造を、どうしたらいいものができるかという研究はやらないで、水産試験場の分場では、真珠の養殖を一生懸命奨励している。こんなばかな話はないだろうと言ったら、船がありませんからカツオがとれませんと言った。昭和三十年は資金が供給されて、船が作られる状態になった。ところが、奄美の漁業関係にその資金が行かなければならないはずのものが、奄美の漁船ではなくて、焼津の漁船だの、別の地区の漁船が、漁業家がといいますか、船主がといいますか、奄美復興資金を借りて船を作っているという実情でしょう。ですから、奄美復興資金が船の関係で他の地区のものにどう流れておるか、その明細を一つ述べて下さい。どういう地区の何という者が復興資金を借りて船を作ったか。
  25. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点につきまして調査をしてみたのでございますが、船籍が奄美以外にあるもの、これはまあ融資をいたしましたものの中でございますが、これは一隻でございます。宝漁丸という名前の船でございまして、三十年度復興実施計画に計上されたものでございまして、これは当初、宇検村の宇検の遠洋漁業の協同組合長が農林漁業の金融公庫から一千四百万円の融資を受けまして建造に着手をいたしたのであります。その後建造をいたしておりまする途中におきまして、本人の資金繰りの都合もあって、鹿児島県の串木野市の川越という人に譲渡をいたしたという事実がございます。これは好ましいことではございません。そもそも公庫において融資をいたしまする際におきましても、そういう条件につきましては、十分な見通しをもってやらなければならぬ性質のものでございます。ただ建造中にそういうような事態になって参りましたので、金融公庫自体といたしましても、その取り立てが困難になってしまうということでも困りまするし、また基金自体も、そのうちで七百万円、半額のまあ保証をいたしておりましたというような点もございまして、これに踏み切ったという経緯がございます。まあこれらの点につきましては、そもそもの本来の目的というものが十分に満たされておるとは、これはいえないわけでございまして、こういう点につきましては、融資先を決定をいたしまする場合におきましても、その内容について十分に精査検討をするということを行ないますとともに、せっかくの融資によりましてやはり地元の産業が潤う、地元住民が直接間接的に裨益するということが一つの原則でございまするので、その方向に逸脱することのないように今後とも努力をして参りたいと考えております。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 自治省で調査したところは、宝漁丸一隻となっておりますけれども、もっとありましたよ。名目はこのようにはっきり転売された形でなくて、船籍は奄美に置いて、実際操業は他の地区、船のほとんど、まあ所有権とまでは言われなくても、占有の状態は、他の地区の船主によって操業されているという船が相当あります。そこで私は、これはゆゆしい問題でありますから、きょう回答しなくてもけっこうですから、融資した対象者と船籍と、それからその船が操業しているおもな地区、さらに、主として寄港している港、この一覧表を後日出していただきたいと思います。と申しますのは、焼津あたりでほとんど操業している。ですから、カツオをかりにとっておっても、そのカツオは奄美に揚げないのですから、原料がないわけですから、カツオぶし製造を幾ら奄美でやろうと思ってもどうにもなりません。ですから、直接的に奄美復興に何も役立っていない。おそらく奄美内容は、名義人だけ奄美の人にして、実際の資金その他の一切の船の権利というものはほかの地区の者というものもあるはずです。これはほとんど船が奄美に寄らないという、そういう操業状態を続けておって、従って、カツオの水揚量というものもほとんどふえておらないという状態で、これだけの資金の確保をして、しかも、その効果のさっぱり上がらないものを自治省が黙認しておるという手はないと思う。十二分に調べて適当な指導をしてもらわなければ、奄美復興にはほとんど役立たない状態でありますから、その点をお調べいただきたい。しかも、この船に乗っているのは、奄美の人は何人、他の地区の人は何人ということをも調べていただきたい。  次に、やっぱり漁業関係になりますが、真珠養殖などをしておりますので、鹿児島県に対して私どもは真珠養殖などをしておるよりも、もっと旧産業でなれたものを復活さした方がいいんじゃないかという勧告をしてきたわけでございますが、その真珠養殖のその後、それからカツオ船は今の通りさっぱりだめなんです。カツオ関係、カツオぶし関係に従事しておった漁民ですね、この人たちの現在の職業状態というのはどうなっておるのか、この点について伺います。
  27. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 先刻御指摘になりました資料につきましては、さっそく調査をいたしまして後刻御報告を申し上げたいと思います。  それから、私の承知をいたしておりまするところでは、融資漁船について乗り組んでおりまする者は、カツオ一本釣りのごく専門的な者十数名でございましたか、それを除いてはあとは全部奄美の土地の人々であるというふうに承知をいたしておるのでございます。  真珠養殖の点につきましては、今、古仁屋でマベ貝の試験養殖をいたしておりますけれども、これはまだはっきりした成果が出ておらないようであります。お話にありましたように、むろん、新しい産業部面に新規の開拓をするということもむろん必要だと思います。それが非常に現地の実情に合い、効果が上がるのであれば、これは私やっていっていいことだろうと思いますけれども、しかし、御指摘にもございましたように、もともと経験もあり、また実績も上がったような水産業の分野がある、そういう本来的なものが、そういう新規なことによって阻害をされるといいますか、十分に本来のものを伸ばし切れないで新しいものにただ目を向けていくというようなことになりましても、これは本末転倒でございます。そういう点につきましては十分考慮をいたさなければならぬと考えております。  なお、従来のカツオ漁業等に従事をいたしておりました者がその後どうなっておるかということにつきましては、具体的な資料を今手元に用意いたしておりませんが、やはり何といたしましても、この方面が不振でありまするために、それらの漁家自身が非常に困っておるというような点もございましょうし、そのほか、漁業では立ちいかないというようなことで、他に転業その他でもって生活の道を求めているというようなものもかなり出てきているのではないかと考えるのでございます。しかし、もともと経験のある従来の職場においてこの能力を十分に発揮せしめるというのが本来のねらいでもございまするので、それらの点につきましても十分調査をいたしまして、はっきりとした隘路というものが発見できますれば、これに対して一つ的確な指導と方策を講じて参りたいと考えておる次第でございます。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 それから、つむぎ製造に従っている者の工賃ですね、これが非常に安い。非常な熟練度と、それから何といいますか、時間的に日数を要するにもかかわらず、一カ月が二千円とか三千円とか、こういう安いものもあって、これはこの委員会でやはり指摘されたはずです。つむぎ産業の何か復興方針というものはどんなようにとられてきましたか。また、今言ったように、その関係者の賃金というものが非常に安いのですが、どういうように調整されておりますか。
  29. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ちょっとお待ち下さい……。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 いいです。お調べにならなければわからないということは、結局、公共事業などはうんと幅を広げて、それによって当面は潤っている点は確かに認められるわけでありますが、一体公共事業が終わったあとの産業構造を生活の向上のためにどう開発をしていくかという計画が、やはり、数年たちましても自治省においてもまだ確固としたものがないということに私はなろうと思う。であれば、つむぎ産業は二十九年はこうで、三十三年はこうで、三十五年はこうだ、将来はこうするということはわかるわけです。カツオぶしでもやっぱり同じ。どういう産業基幹産業にして、それをどう発展させるかという計画がもっとなければ、どんなに信用基金の業務を拡大したところで、どういう方向に産業を拡大していくかという計画がなければ私はだめだと思う。私たちが数年来見たところでは、それがないというところに、当面のやっぱり一つの心配があるのです。公共事業をやってもらうのはけっこうだ、しかしわれわれが、人夫が終わったあと何をするか、収入がないではないか、これでは困るから、この際産業開発にもっと金をかけてもらいたい。で、これは私は、今日におきましてもやっぱり問題が残っていると思いますから、その点さらに御研究下さいますようにお願いをいたします。  それから奄美が開発されない一つの理由に、地域条件のいろいろ悪い点がございます。たとえば、公務員の方が参りましても、医者がない、学校の設備が悪い、こういう生活状態が悪くてはそこに腰を据えてほんとうに島民のために開発しよう、あるいは生活の向上にサービスしようという気がまえもなくなってくるわけです。これによりますと、文教施設は七〇%よくなったといいますけれども、まだ三〇%は相変わらずの掘立小屋の校舎が残っておることになりますね。
  31. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 先刻のつむぎの点でございますが、二十九年におきましては三万二千八百反でありましたものが、三十三年では六万六千八百反、約二倍になっております。これにつきましては、やはり従来の伝統なり、そう今後伸びるとは思われませんけれども、ある一定した顧客層というものも国内にはあるわけでございまして、将来、まあ目標といたしましては、いろんな需給関係等も想定をいたしまして、約十万反程度にまで伸ばしたいということで考えておる次第でございます。  それから、今御指摘の点は、これはごもっともな点でございまして、医者にいたしましても、先生にいたしましても、また一般の公務員にいたしましても、どうしてもやはり生活環境というものについて、快適とまではいわれなくても、相当程度やはり文化的な環境が整備されませんことには、そこに落ちついた仕事が見られないということは、これは申すまでもないのであります。その点につきましてはもそう急激に変化を来たすというようなこともとうていむずかしいことでございますけれども、漸次環境改善というものが緒についておるのではないかというふうに考えております。  学校につきましては、まあ大体順調に復興事業が進捗を見ておるのでございますが、まだ残っておりますものにつきましては、掘立小屋式のものも、まだそのまま残存しておるところもあるのでございます。
  32. 加瀬完

    加瀬完君 鹿児島県では、県庁関係奄美の公務員には二割からの特別手当を出しておるはずです。しかし、これは交付税では正式には計算できる基礎というものはないだろうと思う。貧弱な鹿児島で、それだけの形をとらなければ一般の公務員が奄美には行けない状態にあるわけですね。二〇%くらいもらったって、生活費が非常に高い。ですからお医者さんにしても、家族は鹿児島で御自分だけが大島、こういう方もおりますね。家族のもとを離れて、島の開発に従ってあるいは病院なり無医村の診療所などに参りましていろいろ仕事をなさるという方に対しましては、もう少し待遇の上で何か方法を考えてやらなくては、おれと言う方がちょっと無理ではないかと思うのです。そういう状態は、やはり先ほど交付税の説明がありましたが、何か自治省として鹿児島県に特別財源方法を考えてやらなければ、鹿児島だけでやれと言ってもちょっと無理じゃないかというような点が考えられます。たとえば無医村はまだ相当ありますね。まあ町村合併しましたから、広地域にすれば無医村ではないかもしれませんけれども、旧町村にすれば無医村は相当あるわけです。病院だって数少ない。それからハブというような特別の、内地では見られないものの被害というものもあります。こういう悪条件というものを解決しませんと、島のほんとうの開発というものはできない。それにはもう少し財源措置というものが考えられなければだめだと思う。  で、この委員会でも、たとえば「復興信用基金の拡充強化とともに融資対象の選定、貸付条件について配慮する」、あるいは「鹿児島県に必要な財源付与の方途を講ずる」といったようなことが附帯決議に出ております。私はこの奄美群島復興信用基金の額をふやしても、借りられるものというものは限度があると思う。借りたくても借りられない条件のものがたくさんある。しかし、そこまで借りられるようにおろしていかなければ、産業復興はできないと思う。それにはやはり地元の負担が幾らだの、県の負担が幾らだのと、こう言っておっても、この地域には通じない。だから、もっと鹿児島県に財源を与えて、一応鹿児島を通してやっていく、もっと鹿児島県に財源を与えて、鹿児島全体でもいろいろ問題があるところですから、奄美だけに特別の財源をつぎ込まなくても済むような裏づけを考えてやらなければ、いかに信用基金をふやしたところで問題の解決にならないと思う。  で、現行制度のワク内でできる限りの努力を払っておると、こういう自治省のお答えですけれども、現行制度のワク内ではどうにもならないから、必要な財源付与の方途を鹿児島県に講ずべしという附帯決議ができた。ですから、この附帯決議通りに現行制度というものを変えてもらわなければいけない。そのお考えはございませんか。
  33. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現行制度のワク内にはおのずからなる限度があるということはお示しになった通りでございます。根本的には鹿児島県自体の財政力というものを強化をしていかなければならない。それでなくても鹿児島県自体の経済力というものは、全国的にいってきわめて貧弱であるというような状況でございますので、それらについての配慮はやっていかなければならぬという問題はあると思いますが、ただ交付税その他の一般的な制度の中でこれを考えていくということに相なりますると、他に影響するところ、すなわち各県の数多くございまする離島等との均衡論というものもおのずから出て参ると思うのでありまして、それらの点で、なお、全く別個の一般的制度としてこれを打ち立てていくということにつきましては、まだ踏み切りができておらないということが実情でございます。しかしながら、県自体の財政力の問題も一つの問題がございますけれども、そのほかに、奄美群島内の市町村財政力というものにつきましても、これは何とかやはり考えて参らなければならぬ時期が来ると思います。全体の財政構造等が、これはどうしても一般の民度が、一般の経済力が低いというようなところを反映をいたしまして、財政構造がきわめて悪い。そういった場合に、何といたしましても、復興事業費で事業をやって参りましても、多かれ少なかれこれは地元負担が伴うということになってくるのでありまして、それらの地元負担に耐え得るような財政構造に持っていくためには、市町村の一人立ちでとうていやれない場面が出てくるのではないか、そういう場合にどういう対策を講ずべきかということも考えていかなければならぬ段階が私は来るだろうと思うのでありまして、それらの点ともにらみ合わせまして、財政当局ともよく打ち合わせをいたしまして、所期の目的が達せられるように、今後とも一つ考えて参りたいと思っておる次第であります。
  34. 加瀬完

    加瀬完君 離島とのバランスということもありますけれどもね、それは離島を捨てておいていいとは私は言いませんけれども、奄美は条件が違うと思う。戦争という一つの犠牲によって、あった船がなくなってしまって、それからアメリカ軍が占領しておったために、ほとんど山林資源というのは切り取られてしまって、裸の山がたくさんできてしまった。しかも、既存の産業というものは、アメリカの政策が当を得ておりませんから、ほとんど衰退してしまった、こういうように、戦争と政治の犠牲がかぶさってきて、奄美産業構造というものがうんと生産力を減退させてしまった、そういう理由がありましたから、これは特別に措置を講じて復興しなければならないじゃないかという特別法ができたのです。だから、離島振興法のもっと濃度を増したものでなければ奄美はならないわけです。これは日本の政府の責任でもあれば、まあ戦争の責任でもありますけれども、アメリカの責任もありますかもしれませんが、一応日本の政治として何とかしなければならない問題なので特別法ができた。今聞いておりますと、戦前の位置まで行っていない産業がたくさんある。これは何とかしなければならないじゃないかというわれわれはさらに質問を繰り返しているわけです。で、提案理由説明の中にも、「同群島における経済基盤が脆弱であるため、産業資金の融通が円滑を欠き、このことがその復興の大きな隘路となっておる」ということはお認めになっておる。それならば、市町村に対する確かに財政力を援助するとともに、鹿児島県に対しても奄美復興に全面的に協力できるやっぱり財政の態勢というものを国が保証してやらなければ無理が出てくると思うのです。この点を強く私どもは要望をいたしたいわけです。お答えをいただかなくてもこれで質問を終ります。
  35. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記を起こして。
  37. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 奄美復興計画、それからその状況、大まかなもの一つ出ておりますが、もっと詳細に、前にはもっと詳しいものも出たことがありますから、そういうのに合うように一つお作りいただきたいと思うのですが、これはあとでけっこうでございます。  それから、いろいろ問題があるようで、私どもも昨年あたり現地の人たちからいろいろ事情を聞いておりますが、今、加瀬委員のお尋ねによっての御答弁によってもあんまりはっきりしないところがあるので、単なる復興計画、今お願いした復興計画の状況なり、そういうもののほかに、いろんなその産業の状況等について一つ何かまとまった資料というようなことでお出しいただければありがたいと思いますが、そういうことできますか。
  38. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御趣旨に沿うようなものができるかどうか知りませんですが、手元に資料もございますので、大体その線に沿いました資料を作成をいたしまして、できるだけすみやかに提出をいたしたいと思います。
  39. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  40. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、これにて両案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないものと認めます。  これより奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  43. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  引き続き、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  45. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました両案につきまして、諸般の手続等につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 速記起こして。  暫時休憩をいたします。    午前十一時五十七分休憩    ————・————    午後二時十一分開会
  48. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  新市町村建設促進法の一部を改正する法律案議題といたし、質疑を行ないます。
  49. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 午前からお待ち願っておりますから、まず林野庁の方にお尋ねしますが、新市町村に対する国有林野の売り払いの状況について、一つ現在までのところあらましお話し願いたいと思いますが。
  50. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) それではお手元にすでに配付してございます一枚刷りのものでございますが、「新市町村建設促進法に基く国有林野売払又は交換状況一覧表」という見出しでございまして、三月一日現在で作成いたしたのでございますが、その左の欄の営林局の次の欄に、国有林野所在市町村数というのがございますが、これは資料の関係で、三十六年の一月一日現在のものしか入手できませんので、これで掲記いたしたわけであります。これを営林局十四局別に書いてございますが、総計から申し上げますと、所在市町村の数は千六十六と相なっておるわけでございます。このうち右の欄に移りまして、売り払いまたは交換申請のあったものが、市町村の数にいたしまして総体で五百二十八、面積にいたしまして十七万一千二百町歩、その上のところにカッコいたしまして、国百四十八、民二百九十九という数字がございますが、これは摘要にもございます通りに、国の方から百四十八町歩を出して、民の方から二百九十九を受け取る、いわゆる交換の申請のトータルでございます。それからそのうち売り払いまたは交換契約済みのもの、これがトータルにいたしまして、市町村の数で三百九十七でございます。面積にいたしまして三万四千百二十四町歩、次の欄の処理中のものという、やや広い欄がございますが、その欄を二つに分けておりまして、売り払い承認済みというのと、処理中とさらに分かれておりますが、この売り払い承認済みと申しますのは、林野本庁の方ですでに売り払いの承認をいたしまして、契約がまだ未済になっておる、こういうものでございます。それから処理中と申しますのは、これは目下各営林局において検討中のものと、こういうふうに御判読願えれば幸いかと思います。売り払い承認済みのものは、市町村数にいたしまして四十八、面積にいたしまして三千八百五十七町歩、それから処理中の市町村数が十五、それから面積にいたしまして四千九百二町歩、そこに交換のものが百九、百八十とあがっておるわけであります。ここでちょっと疑問を抱かれると思いますが、申請数五百二十八の町村に対しまして町村の数が三百九十七、四十八、十五と相なっておりまして、この三つ足してみますと四百六十になるわけでございます。これを五百二十八から差し引きますと、六十八という数字が出てくるわけでございますが、これは却下をいたしました町村数でございます。それがここには正面からは出ていないわけでございますが、却下いたしました事由は、国土保安上の点からも保安林の買い入れ等でとったもの等を理由といたしまして却下いたしたのでございます。現在までの処理状況は大体そういうふうでございまして、それから申請の市町村数に対しまして処理をいたしました市町村の数は、大体八四%程度に相なっているわけでございます。ごくあらましでございますが、以上の通りでございます。
  51. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 この今のお話しいただいた資料のことですがね、市町村数は売り払いまたは交換申請のあった市町村数、あるいは売り払いまたは交換契約済みのもの、この市町村数は一市町村で件数が二以上あるもの、それをも一つと、こう見てのそういうまとめ方をした市町村でございますかどうか。
  52. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) お説の通りでございます。
  53. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 それから処理中のものというのは、検討中のものと、こういうようなお話でございますが、これは売り払いを前提としたものか、それともこれからいわゆる検討して売り払いするかしないかというようなことを含めた検討ですか、どちらでございましょう。
  54. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) ただいま先生のお話のありましたあとの方、すなわち各種のものを含んでおります。とにかく検討いたしておる、こういうものであります。大体の方向といたしましては、売り払いの方が大部分ではなかろうか、こういうことでございます。
  55. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ちょっとしたことでございますが、市町村数のうち、売り払いまたは交換申請のあったもの、それから売り払いまたは交換契約済みのもの、処理中のものの市町村数で、熊本のがちょっと違うようですが、申請のあったものは九十六、売り払いまたは交換契約済みのものが八十四、売り払い承認済みが九、処理中が四となると一つ申請より多くなるようですが、これは小さなことですが、まあいいです、これは小さなことですから。一つ違うようでございますが。
  56. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) この資料、先生の御指摘の通り、そういう点がございますが、これは処理中のものの方の町村の数というのは、件数を考えて町村の数を出しております。左の方は、ただ市町村の数、こういうことでやっておりますので、そこに食い違いが出ておるわけであります。なお、この点につきましての詳細な事情その他御必要ということであれば、あらためてまた作成いたしまして、提出してもよろしゅうございます。
  57. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあ大したことじゃないんですが、そうおっしゃると、さっき聞いたこととちょっと食い違ってくるようでございますから……。まあいいです、わずか一件の違いでございますから。あるいはあなたのおっしゃる通りかもしれませんけれども、まあその点はよろしゅうございます。そこで、実は現地で僕らが見たり聞いたりするところでは、この表からも私大まかにそういう方向が示されているというふうに考えられますけれども、売り払いの申請をしても、なかなか局の方で、あるいは署の方ですか、そこら辺のところははっきりしませんが、売り払いの契約の承認をしてくれないんだというととが一つと、それからいま一つは、承認を受けても、こちらから申請をした面積よりはるかに少ないものでやられる。しかし、それはあなたから保安林等の関係というふうなお話がございましたが、必ずしもそういうのだけでない。どうもいわば売り惜しみをするんじゃないかというようなこともいわれておるのでございますが、この表から見ますと、申請のあったものが十七万町歩をちょっとこしておりますが、売り払いの契約済みのものが三万四千町歩、契約までには至らないけれども、承認済みのもの三千八百五十七町歩、これを加えましても、大体五分の一程度しか承認されておらないわけなんですね。もちろん、これは売り払いを求める側からしますと、少しでも面積の多い方がいいというような気持もあるのでございましょう。ですから、百パーセントそのままを承認できるんだというふうには私も思いませんけれども、何か今言ったように現地の方では、はたして保安林とか、その他林野の経営計画、そういうものから見て、必ずしもそうでないところもどうも売り払ってくれないんだというような声があるわけなんでございますが、一応結果としてここまで出てきたのですが、これからまた新たに法の延長によって申請が出てくるところもあるのではないかというふうに考えられるわけでございますし、あなた方のこの資料の中でも、二百七十八の市町村を予想しておられるようでございますが、今度これからの売り払いの場合においては、やはり現地の状況もよくお調べの上に、また一方、林野庁としてのいろいろな経営計画もございましょうけれども、そういうものとよく勘案をして、地元の要望に沿えるように御努力を願いたいというふうに私思うのでございますが、言うまでもなく、これは単に売り払いを受けた場所を、立木を切って売って金にするとかという、そういう一時的のものではなしに、やはり将来への基本的な財産造成として考えられての売り払いでございますから、そういう点を考えて、新しい市町村の建設、育成という立場から、法にもこういうふうにはっきり認めておるところでございますから、その点は一つ私、要望という気持が非常に入ったことになっておりますが、ぜひ考えてやっていただきたいということを申し上げて、これに対するお考えを一つお聞きしたいと思います。
  58. 高尾文知

    説明員(高尾文知君) ただいまの鈴木先生の御指摘、まことにごもっともでございまして、従来とも林野本庁といたしましては第二十五条の趣旨というものにのっとりまして、合併市町村の基本財産の造成のために少しでも寄与し得るものがあれば、そういう趣旨に沿ってやっていくということで指導してきているわけでございます。従いまして、末端の局あるいは署において、ただいまお示しになりましたような、この法の与え方に背馳すると申しますか、そういう不行き届きがありますれば、これは本庁といたしましても十分調査の上、指導をするにやぶさかではないのであります。ただ、御参考までに申し上げたいと思いますが、従来の保安上の理由から却下いたした、あるいは国有林保有の経営の面から却下した、そういう点はもちろんあるわけでございますが、各市町村からの御要望の数というものが非常に過大なものがある。これは市町村自体でも相当な林野をお持ちになっている。そのほかにさらに非常に大きな申請が出て参っておる、そういう点につきましては、いろいろ検討いたしました結果、市町村の経営能力とか、あるいは諸般の事情を考察いたしまして一部減ずるとか、そういう実例もありましたわけでございます。ただ根本の精神は、あくまで市町村の基本財産造成にあるということは、よく林野庁の方でも明快にいたしております。ただいま御指摘のような不工合を来たさぬように、関係の事務当局と十分連絡いたしましてやっていきたい。それから市町村の希望自体というものの真意と申しますか、そういうものも十分に検討いたしませんと、売り払い後、若干の事例ではございますが、すぐ立木を切ってしまう。売り払いの精神、あるいは法の精神にも背馳する、こういう実例もままあるのでございまして、そういう点につきましては、自治庁の方の御協力も得まして、さらに一つ指導をいたしたい、林政上の点からも指導をいたしたい、こういうふうに考えております。
  59. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 お話でわかりましたが、これはあなたのあとのお話の中に、市町村の希望と、市町村の経営能力、そういうような面、中には立木を伐採して他人に売却するというようなところがないわけでもない。私も現にそれを知っておりますが、そういうものについては、これはよく一つ契約の際に、ある程度指導的な立場に立って、自治庁とも話し合われて、条件をつけられてもいいと思うのです。と同時に、そういうことは、今言ったようなことで極力規制していかなければならぬと思いますが、やはり林野の一つの経営というのは、相当面積がないと、これはあなた方御専門の方々に申し上げるのは変でありますが、相当な規模がないとできがたいということも、これは確かでございますから、そういう面からいって、今後の市町村の経営能力の向上をみんなでやるとともに、一方、そういう裏づけになる相当面積というものは、やはり確保してやることが必要ではないだろうかというようなこと、それからいま一つは、現実にほとんど営林署の方で手をかけないでおって、むしろ、それが市町村等に払い下げされることによってもっと適切ないろいろな経営の方面に役立てることができるというようなところもずいぶんあるわけなんです。これは遠い将来にわたっての経営計画というものの中にあるいは入っているかもしれませんが、はたから見ると、どうも何十年もほったらかしておるというようなところがずいぶんあるのでございますから、そういうところに対して、市町村は、それではこちらの方でこういう際に売り払いをしてもらってやろうじゃないかといって、払い下げの申請をする、しかし、それは認めてもらえないというところがあるわけなんですから、そういう点を一つ今後十分考えていただいて、今後の売り払い等のためにやっていただきたいということを私は重ねて申し上げておきたいと思います。  有線電話の問題ですが、一つ自治省の方にお伺いしたいのですが、現地では有線放送電話の接続問題が非常な痛切な問題としていろいろ論議されておるわけですが、これに対する自治省の考え方を一つ。
  60. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 有線電話の相互接続の問題につきましては、当委員会におきまする論議の中でも、そういう必要性について強く指摘をせられておりまするし、私たちといたしましても、地元の要請というような点から見まして、ぜひともこれは実現をさせたい、そういう方向で努力をして参っておるのであります。実は今回の建設促進法の一部改正案を作成いたしまする際に、この点をぜひ同時に実現をいたしたいということで郵政省の当局とも累次にわたっていろいろお打ち合わせもし協議をいたしたのであります。郵政省といたされまして毛、その必要性は強く認めておられるようでございまして、ただその点については、いろいろ技術的にも検討を加えて確信を得なければならぬという点も残されておるので、所要予算措置についても調査費等計上しておられるようであります。そういったことで、来年度一ぱいは検討を加えて、しかも、その検討も、方向といたしましては、相互接続が可能になるような方向で検討を加えるというふうに承知いたしておるのであります。そういう方向でございますならば、あえてこの際ぜひとも郵政省のそういうお考えに反対して、これを強行していくということもいかがかと存じまして、郵政省当局のそのような考え方なり、方向というものをわれわれといたしましても十分了承をいたしまして、今回の促進法自体には盛らなかったのでありますが、ぜひとも、すみやかに近い機会に相互接続ができまするように、各般の処置が講ぜられることを期待をしておるのであります。
  61. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 自治省で考えておるのは、たとえば新市町村建設関係でできた施設と、それから農林省関係でできたのがありますね、こういうものの接続ということですか。それとももっと一歩を進めて、何といいますか、統合といいますか、一本化といいますか、何かそういうことまでのことを考えておられるのですか。ただ二つの施設、同一市町村あるいは同一区域にある二つの施設を単に統合するということだけを考えておられるのか、そこら辺はどうですか。
  62. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) さしあたりましては、相互接続ということがまず第一に達成をしなければならぬところではないかと考えております。
  63. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 一般の電話との接続の問題は、これはどういうふうにお考えになっていますか。
  64. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 一般電話との接続についても自治省当局としては何とか一つ実現の方向に向かって研究をいたしたい。そうあってほしいという考えを持っております。郵政省当局におきましても、それらの点もあわせて御検討になるということを承っておるのであります。
  65. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 郵政省の方にお聞きしたいのですが、今、藤井局長からのお話で大体考え方はわかりましたが、従来は何かそういう接続の問題について消極的であったというふうに僕ら聞いておるのですが、現在のお考えはどうなんです。
  66. 松田英一

    政府委員(松田英一君) お答え申し上げます。実はこの問題につきましては、有線放送電話が正式に法律によりまして認められましたときの考えと申しますか、いろいろいきさつがあるわけでございまして、さかのぼって申し上げて非常に恐縮でありますが、実は有線放送電話がいろいろとこういう形で発展して参りましたときに、国会方面でもいろいろと問題になりました。本来電話というのは、その当時までの考え方としては、大体電電公社が、いわゆる公衆電話——公衆用の電話というものは全部独占をしてやるという建前である。ただ、それに対しまして、何と申しますか、特別な事業体の専用の電話あるいは特別に密接なものの間の電話、そういうものは特殊なものといたしまして認めているけれども、そうでない一般的にいわゆる他人の人格の違う間の通信というものは公衆用の通信として全部電電公社がやるという建前のものであるというような考え方できたので、法律施行されておったのであります。従って、こういう形の有線放送電話というものは、そもそも違法ではないかということをずいぶん逓信委員会あたりでも問題になりました。ところが、自治省といたしましては、実際地方農山漁村におきましては、現実に電電公社の電話はそれほど普及いたしませんし、また地方の実情からいたしまして、有線放送というものと結びついたごく簡単な簡易な設備でありますけれども、とにかく話ができる。そういう形の有線放送電話というものが非常に農山漁村の実情に合って普及して参りますものですから、そういうものの普及というものはどうしても認めなければならない実情がありまして、この二つをどういうふうにして調和さしていくかということが問題になったわけでございます。そこで現在の法律としてとりました考えは、結局、公衆用の電話、つまり公社の電話というものは、大体今の観念で申し上げましたように、一つの単位、まあ人格というと少し理論的には正確でないかもしれませんが、一つの単位と他の単位との話というものは、これは公衆用電話でなくてあくまでもそれに対しては電電公社が臨むという建前である。しかし、その単位というものを少し範囲が広がってやるということも、これも農山漁村の今のような事情からいえば必要性があるとして認めなければならないのではないかというような見地から、現在の法律にございますように、まず第一の制限といたしましては、同一市町村内ということで、それ以上にまたがるというものはこれは認められない。それから農村の共同体といいますか、ある限定された範囲内で、その中での通信というものを可能にして簡易の電話でもって話し合うということであれば、それは一つの単位の拡大されたものとして考えていいのではないかというような見地から、有線放送電話というものを郵政大臣が許可をしていく形で認めておるわけでございます。従いまして、そういう見地からその当時の必要性から認められたわけでございますので、そのために現在の法律の態勢といたしましては、それ以上に出るということは、電電公社による電話というものを一元的に経営しなければいかぬという見地から非常に例外であると同時に、従って、その範囲というものも厳密にしなければならないというようなことで、これは基本的な法律といたしましては、有線電気通信法というのがあるわけでございますが、その中で有線放送電話と、それから電電公社の電話との接続も、それもとめて、それから有線放送電話お互いの間の接続ということもとめるというふうな観点で、そういった農村における特殊な事情に伴うある限られた地域内の人たちが互いに話し合う電話を例外的に認めていくので、その地域というものをほかの地域とつなぎ合わせたり、あるいは電電公社全体の電話とつなぎ合わせたりというふうなことで広がっていくという考えは、それは有線電気通信についての基本的な観念とは相いれないものであるという形で実は法律が作られているわけでございます。そこで、その後、実際有線放送電話というものが非常に発展して参りましたし、数もふえて参りまして、また技術的に申し上げましても非常に進歩もして参ってきたという状況を考えまして、さて現在、では、どういうふうに考えていかなければならないかという段階にきておるわけでございます。そこで私どもが考えますのは、そういう現実の必要性というものはやはり考えていかなければならない。と同時に、われわれは電話に関する政策、通信政策といたしまして、やはり通信というものは二元的にいろんな体系のものが国内に錯綜し合ってできるということは、一つには何と申しますか、国費の、あるいは国の全体の経費の乱費とも考えられるわけでございますし、それから一方においては、非常に電電公社というものが農村においても、あるいは都市においても、電話というものをどんどんこれから発達させていかなければならないというような見地から考えましても、そこのところを自由に踏み切るということが非常に将来電話の体系の混乱を起こしまして、将来の日本のためにならない。そこで、そういう将来の電話の体系というものを混乱させないような形においてこれを解決する必要があるということで考慮しているわけでございますが、そのためには現在の地方要望というものをもっと正確に把握する必要があり、また、そういう調和された形に作り上げるのにはどういう技術的な条件、あるいはどういう業務上の条件というものを考えてこの間を措置していかなければならないかということを、この一年間実際に当たりまして、みっちりと検討もし、また場合によっては、必要な状態も試験的に作ってみまして、その結果によっても判断をして最後の結論を得たいということで、本年度実は千二百万円の予算も郵政省につけるように、大蔵省とも話し合いがまとまりまして、国会にお認めを願っている状況であるわけでございます。従いまして、この際問題として考えられますのは、一つには、電電公社との電話を、当然これは制限がつかなければなりませんけれども、どういう条件のもとで電電公社の電話とつないでいくかという問題が一番問題でございまして、それからこの有線放送電話同士の接続というものを一体どう考えていくか、これにつきましては、この接続をどんどんと認めていくということは、結局、電電公社の電話と別の体系の電話が広がっていくということになりまして、ある地方におきましては、そういうことになると電電公社の電話にも加入しなければならない、あるいはそういった有線放送電話というものにも加入したければならないというような二つの体系が錯雑し合いまして非常に不便を起こすものでございますから、そういうことのないように考えていかなければならない。そういうことから考えて、一体有線放送電話として現在あるものをもう少し広げるとすれば、どの程度に考えていくべきであるかというような問題、それぞれの重要な問題でもあり、またお互いに関連し合った問題でもございますので、目下、ことし一ぱいかかりまして、十分に検討を遂げて来年度には結論を得て必要な法律措置もそのときには考えたいというふうに考慮しておる次第でございます。
  67. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いろいろお話をお伺いしましたのですが、郵政省の考え方としては、三十六年度一ぱい、調査費もついたんだし、いろいろ検討したいと、こういうお話のようですが、有線放送の接続を認める、そしてまた一方、一般電話との接続を認めていくという方向なのか、あるいはまあそういうことには全然白紙で、これからいろいろ調査をし検討した結果どういう答えが出るかわからぬと、こういう方向なのか、ちょっとお話がそこら辺はっきりしなかったようでございますが、これはどうなんでしょう。
  68. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その問題につきましては、実は今までの状態で申し上げますと、ことし一ぱい具体的にいろいろ問題を検討しなければ、最後の結論的には申し上げられないわけでございますけれども、まず第一に、私どもは有線放送電話というものの、全体の電気通信体系との調整ということを考えます場合に、どうしても電電公社の接続という問題を考えていかなければならない。それにはいろいろと技術的に業務的に必要な条件というものが考えられなければなりませんので、そういった条件を一体どういうふうに考えて、そしてこの問題、つまり電電公社との接続の問題を考えなければならないかということを検討して参るのが第一でございます。そういうことにいたしますと、今度は電電公社の体系というものにつながりまして、ある地域の範囲内においては相互に話ができるという条件になるものでございますから、それと別に有線放送電話同士の接続というものを一体どう考えていくかということにつきましては、これはどちらかといえば、例外的なケースでございますので、現実に一体どの程度の必要性があり、また、どういう解決方法をとればそれが解決されるのかという問題としてこの問題は検討して参りたい、こういうことでございます。
  69. 小林武治

    ○小林武治君 今の調査費ですね、一般会計でとったんですか。
  70. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その通りでございます。
  71. 小林武治

    ○小林武治君 そうすると、接続をすると、こう言っても、違った体系をつなぐ、こういうことと、電話を電電公社の系統の一つとして統合すると、こういうこととあると思うのですがね。ただ、つなぐというようなことはちょっとできない。つないでそうしてほかとの公衆通信ができるというようなことはちょっと考えられないと思うのですが、つなぐという以上は、電話を電電公社の組織の中へ入れてしまう、こういう方向に当然持っていくべきだと思いますが、どうですか。今のように有線放送同士を別につなぐなんということは考えられないことじゃないかと思う。われわれとしては、今の通信政策の上からいっても、つなぐ以上は有線放送そのものも電電公社の組織の中に統合して入れてしまうと、こういう方向に当然行くべきものじゃないかと、こういうふうに思うが、その点どうですか。  それからして、今の農村の放送電話というものは、農林省補助金と、こういうふうな形になっておりますが、前においても、それは電電公社の一つの仕事、あるいは郵政省の一つの仕事として郵政省がその補助もしてやるんだと、こういうふうな話がついたとかつかぬとかいうことも聞いておりますし、これはまあ方向として公社がそういう補助金も当然出すべきものだというふうに思うのですが、調査の方向としては、郵政省はそういう方向でもってお考えになっておるんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  72. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 小林先生の御質問の第一点でございますが、電電公社との電話の接続を考えます場合に、実は体系としてはいろいろなことが考えられるわけでございます。一つには、ただいま先生のおっしゃいましたように、電電公社の現在の体系の中の一部にしてしまうという考え方もあるわけでございますけれども、それにいたしましても、実は電電公社の体系の中に有線放送電話が入るということは、話ができるというシステムの中へ入ることは、この点は間違いないわけでございますけれども、あと、人格と申しますか、あるいは経営体と申しますか、そういう考え方といたしまして、現在電電公社の電話が行なわれております一つの形、これもいろいろなものがございまして、たとえば、いわゆるPBXと言っておりますが、構内交換電話というようなものは、だれがどういうふうにやってもかまわないという体系でございますが、また団体加入電話というふうなものもございまして、これは一つの組合のような考えをとりまして、公社の電話の経営の一部として作らしている。そういう末端の形というものはいろいろに考えられるものですから、その形というものを、現在の有線放送電話の運営主体というものとどういうふうに結びつけて考えるかということで考えていくのが一つの考え方であります。それを、電電公社のそういった体系の中のものであるというふうにして考えていくか、あるいは有線放送電話というものの現在の運営主体というものをつかまえまして、これを電電公社の電話の組織、電話のネットワークというものと接続をするという見地で事柄をさばいていくということも一つには考えられるわけでございまして、そのどういう方法をとれば最も将来のためにいいことであり、また、お互いに満足のいくような解決方法であるかということを、この一年間によく検討したいというふうに考えている次第であります。ただ、いずれにいたしましても、私どもはその場合に、一体どういう技術的条件でなければならないか、それから運営をする電話交換の実際の状況、どの程度までつなげるかとか、どういう時間にどういうふうにするかというような業務運営上の問題、これはいずれも、どういう形を組むにいたしましても、結論を得なければならないものでありますから、そういう問題ももちろんこの一年間に検討するというわけであります。  それから第二の問題といたしまして、補助金の問題でございますが、これは確かに今まで、農林省の方からは、いわゆる新農村建設の一環として補助を出しておられますし、また自治省におかれましても、新市町村の建設のために補助金を出しておられるわけでございます。ところが、これはそれぞれの、おのおのの目的のために補助を出しておられましたために、通信系列としては一貫性がないし、また、おのおのの目的のために沿うということから、それぞれの地方の実情に合わして、実情の必要とするものにやるということで、必ずしもこれだけのものを、有線放送電話というものをやるという考えで、いわゆる役所側の方から計画的にやられたものでもないわけでございます。  そこで私どもは、その発達して参りました現在の実情から考えまして、相当地方では必要があるのにもかかわらず、まだ整備されていないところもございますし、また整備されているところもあるというようなことで、日本全体としての、日本全体に対する通信のネットワークの広がり方というものを通信政策の面から考えなければなりませんので、そういう面から考えて、やはり有線放送電話というものは、現在の電電公社の電話の伸び方からいたしますと、やはり電電公社と並行してこの有線放送電話というものも普及していかなければならないという考えに立ちまして、郵政省といたしまして、一元的に計画的な有線放送電話の普及をはかっていきたいと考えておりまして、実はこの三十六年度に対しましても予算要求をいたしたわけでございますが、従来の各省との関係、特に農林省との関係でございますが、調整、いろいろとむずかしい問題もございまして、私ども自身といたしましても、先ほど申し上げましたような、有線放送電話全体についての持っていき方ということにつきましても、まだ十分な基礎というものが固まっておりませんでしたために、ここ一年十分に検討いたしまして、しっかりとした基礎のもとに、来年以後そういう問題についても取り組んで参りたいという覚悟でいるわけであります。
  73. 小林武治

    ○小林武治君 もう一つ、今、電電公社の農村電話というのは非常に普及してきているわけですね。いわゆる無電話部落というようなものもおいおい解消してきている。すなわち電電公社の仕事の伸びが少ないうちは、今のような農村電話とか有線放送というものが必要だったのだろうと思いますが、今のように、電電公社の仕事がどんどんやられると、そして無電話部落もどんどんなくなってきている。実際地方においては、相当電話の普及はしてきております。従って、こういう電話施設というようなものは、どうしても一元的というか、統合的に施設しなければ、非常に全国的にへんぱなものができてしまう。そういう意味からもぜひ一つ、これは一元的にやってもらいたい。と同時に、今の農村の放送電話というものは非常に普及してきておるから、もうこの程度で、ある程度将来の行き方というものを考えなければ始末に負えなくなるというふうに思うのです。要するに、電話通信施設というものを総合的にやれと、各省別にそんなことをやるということは、それこそ非常にむだも出るし、こういうことになりますから、ぜひ一つ早く、もうこの発展の段階において行き方というものをきめなければ、相当将来混乱を来たすと思う。せっかく調査費がとれたなら、私どもの言うような方向で、ぜひ一つやってもらいたい、こういうふうに思いますが、どうですか、その見通しの問題は。
  74. 松田英一

    政府委員(松田英一君) ただいま小林先生の御意見、まことにごもっともでございまして、私どももそういう面からこの有線放送電話と電電公社の電話の関係も考え、有線放送電話全体の取り扱いについても、今後十分検討して進めて参りたいと思っているわけでございますが、ただ、現在の公社でやっております、いわゆる農村電話と申しますものは、まあ大体が農山漁村というのは非常に電話がまだ普及しておりませんために、現在公社でやっておりますものも、大体主とした行き方といたしましては、まず、いわゆる公衆電話、先ほど申しました公衆用の電話という意味じゃございませんで、東京のいわゆる公衆電話、ああいう農村公衆電話を電話のない地方に引っぱっていって作っていくということがまず第一のねらいでございまして、そういうものを利用して、それにぶら下げて若干の電話というものをつけることによって、従って、これは共同電話の形になりますが、そういうことによって、農山漁村の電話というものを普及して参るという考えで電電公社は進めているわけでございます。そういった進め方は大いにやっておりますけれども、それ以上に広く広がって参ると申しますか、そういう意味での電話の普及というものは、農村におきましては、やはり農村の地域と、そこにいる人口との関係等もございまして、なかなか普及をいたしませんし、この点はあるいは農山漁村の実際の電話をつけるという方の負担力といいますか、有線電話というものに対して、電電公社に金を払って電話を利用するということとの意味合いにおいての要望というものも、都市と農村と比べまして、やはり相当違った面もありますというような面から考えまして、今のいわゆる、たとえて申しますれば、線でもって広げていくような電電公社のやり方だけでは、なかなか農山漁村要望というものは十分には満足されない。しかし、そういうものは将来の発展の手がかりといたしましては必要でございますから、電電公社としてもその面を大いにやって参りますが、もう少し現実の農山漁村要望というものに合うものを、いわば安い金で、あるいは安い運営費で、とにかく一応通話ができるという形、しかも、それが有線放送と結びつきまして、現在の有線放送電話という形が非常に受けているわけでございますので、そういうものは、やはり現在の日本の農山漁村が要求しているものというふうに考えまして、私どもも、並行してこの面を進めて参りたいというふうに考えておるわけであります。ただ、その両者を将来非常にむだにならないように、あるいは将来混乱を起こさないようにということを考えながら、十分調整をとって郵政省としては進めて参りたい、こういう考えでございます。
  75. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 藤井局長にお尋ねいたしますが、農林省関係の新農山漁村振興計画ですか、それに基づいた今の有線放送のやつと、新市町村関係で町村の持っているそれとこれとの結びつきについては、農林省といえども、何も異存があるわけじゃないでしょう。この点はどうですか。
  76. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 本質的には異論がないのであります。ただ本質的と妙な言い方をいたしましたのは、話し合いの経過におきまして、農林省としては、実は技術的な点といたしまして、設置主体が異なっておるので、それをただ便利だからということでつなぐということになった場合に、いずれもこれは補助の対象になっておりますので、会計検査院の検査はどうかとか、何とかそういうようなことは申しておりますけれども、本質的にいって両者をつなぐということによりまして便利になるということは疑いのないことでございますから、その点については異論がないと思います。
  77. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 農林省の方、来ていますか……。それから、つなぐことについては、本質的には反対でない、一本化することはどうですか。この点になるといろいろ考え方があるでしょうから、むずかしいでしょうね、農林省の考え方としては……。
  78. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 一本化いたしますことにつきましては、御指摘のように、なお調整をはかって参らなければならない面があると思います。それと、今、郵政当局の方から述べられましたこの有線放送をどういう体系に組み入れていくかという点とも関連いたしますので、それらの点については、まだ最終的な詰めはいたしておりません。
  79. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私もとりあえずまず相互の接続ということ、それからいま一つは、一般公衆電話との接続、この問題をまずやるべきじゃなかろうかと思いますが、先ほど来いろいろ郵政省の方からお話がございましたので、大体方向はわかりましたが、これは私、念を押してお聞きしたいと思いますが、今の有線電気通信法の規定から、あるいは成立当時のいろいろの話し合いといいますか、そういうことからすると、この法の建前なり、そういう面ではちょっとむずかしいところに来ていると思いますが、しかし、これは先ほど来のお話で、今後どういうふうな形になるか、それは一応別にしましても、接続なり一本化の方向あるいは一般の電話との体系下に入れるというような問題がいろいろあると思いますが、とにかくそういう方向へ踏み切るのだ、そのために調査費が出て、今後一年間研究をしていくのだ、こういうふうにお考えになっておるというように理解してよろしゅうございますか。
  80. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その点は、私どもも従来のような形では、現在の有線放送、電話の発達その他から見まして、すましておれないということで、最もいい解決方法というものを生み出すために、今後は調査費をいただくことにお願いをしておるわけでございますから、その結果によりまして、最も合理的な妥当な解決方法でそういう線に進んでいきたいと、かように思います。
  81. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ちょっと心配なのは、私、農林省がきょう来ておりませんので、ちょっと考え方をお聞きするわけにいかないのですが、農林省の方では、まあいわば目的が農事関係を中心とした、そのために補助金を出してやったというような発足からのそういういきさつもありますので、接続はともかく、先ほど来いろいろあなたも、あるいは小林先生もお話があったような一体化とかなんとかということになりますと、これはいろいろ考え方の上でちょっと渋るのじゃないかというような気もいたしますが、そういう点で農林省とは何か話し合いをしておられますか。
  82. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その点につきましては、農林省ともいろいろ話し合いを進めております。それで基本的には、農林省も有線放送電話を郵政省が通信政策の面からいろいろ考えて調整をしていかなければならないということについては異存はないようでございます。ただ、今までいわゆる新農村建設というものを農林省で進めて参った点から、それが途中で、何と申しますか、欠けてくると申しますか、そういうことになると困るのだというような話でございまして、有線放送電話そのものは当然通信の一環であり、その意味において郵政省が統合的に考えているということは御異存ないと私どもは了承しているわけです。ただ、もちろん農山漁村に関連するものでもありますししますから、実際にどういうふうに普及をし、どういうふうに考えていかなければならないかということについては、農林省とも密接な連絡をとらなければなりませんし、その意味においては、あるいは自治省の方とも密接な連絡をとって、実際に地方要望というものを考え合わせながら調整をしていく必要があると私どもは考えております。その点ではそう根本的な意見の食い違いがあると私ども考えていないわけでございます。
  83. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 考え方は大体わかりましたからこれでやめますが、やはり一般電話の普及が農村の方にまでだんだん及んでいるというようなことも、これも確かでございますけれども、しかし、実際は住民がそれによってうんと利便を得るという程度まで至らないことは、これは先ほどあなたのお話の中にもあったと思うのですが、そういう意味で有線放送、有線電話というものが非常に住民から便利がられ、そしてこれがさらに他の施設との接続、あるいは一般電話との接続ということを非常に強く望んでいるわけですね。ですから、あくまでもやはり現在のいろいろな法規の点、あるいは出発の点に、当時いろいろないきさつについてはわれわれも多少知っておりますけれども、しかし、今の事態、あるいはこれからのそういう事態に処していくためには、やはりどうしても住民のそういう利便というものを第一に考えていくことが私は本筋じゃないだろうか。もちろんこれはてんでんばらばらな格好でということも、私は何もそんなことを考えていませんけれども、やはり有機的な統一的な体系において行なわれなければならぬという根本的なそれはあると思いますが、そういう面でとりあえず、少なくとも同一区域内における相互の施設の接続なり、あるいは一般電話との接続というものはやはり早急にやらなければならぬことじゃないだろうか。そのために必要であるならば法の一部改正もやはり私は必要であろうというふうに思うのですが、そういう意味で私は要望みたいな形になりますけれども、今のような意見を持っておりますものですから、一つそういう面でお進めいただきたいということ。そして三十六年度にその調査費というものを使うにあたって、今、私どもが要望しているように、そして住民が強く望んでいるような方向で一つできますようにということを私お願いをして質問を終わりたいと思いますが、もしそれについてお考えがありましたら一つ最後にお聞かせ願えれば……。
  84. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 先生の御趣旨よくわかりましたので、今後私ども十分にこの機会に検討して参りまして妥当な結論を得たいと思っております。
  85. 小林武治

    ○小林武治君 今、有線放送電話の施設ですね、これの監督とか監査とか、業務の監督とか、こういうことはどこでやっておりますか。
  86. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 本省におきましては、私ども電気通信監理官が監督しておりますが、地方におきましては、地方に全国十カ所地方電波監理局というのがございまして、そこで有線放送電話の監督、あるいは監査等をやっております。
  87. 小林武治

    ○小林武治君 あれは農林省補助金でやっておるのですが、施設のでき上がった検査とか、そういうようなことはどこでやっていますか。
  88. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 技術的な面と申しますか、有線放送電話の基本的な面では、有線電気通信法に縛られておりまして、非常に最小限の技術的の縛り方でございますけれども、そういう点もありますので、そういう面につきましての監督というのは、これは先ほど申し上げました電波監理局でやっておるわけであります。農林省といたしましては、補助金を出された関係上、その補助金の締めくくりと申しますか、実施上の問題について監督はしておられると考えますが、私はその点の詳細は存じません。
  89. 小林武治

    ○小林武治君 今の施設の、たとえば有線の長さ、そういうものはどのくらいかわかっていますか、全国の施設の市町村の現況ですね。
  90. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 一番新しいところでございまして、全国におきます施設数でございます。これが二月末で二千二百三ございます。それで、これはいわゆる有線放送電話を一つのものと見ましての施設の数でございますが、その中にぶら下がっております加入者と申しますか、電話機と申しますか、そういうものの数は大体百二十四万ばかりございます。それから線路亘長はちょっと手元に資料がございません。
  91. 加瀬完

    加瀬完君 新市町村の建設促進法の効力を延長することは賛成でありますが、市町村の建設について三点ばかり伺います。  一つは、同一市の中で暫定手当にいろいろ階段が生じまして、特に教職員の異動などには非常に困る状態がありまして、これは逐次訂正するということでございますが、やっぱり訂正されないで残っている部面があるわけでありますが、今度の財政計画では一応そういったようなものの解決をするという計画が盛られておりますが、この点はどうなりますか。
  92. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) お説のように暫定手当の不均衡ということにつきましては、非常にいろいろな面で支障がございますので、これの解消のために漸次改善措置を講じて参っておることは御承知通りでございます。大体問題は少なくなって参りましたけれども、なお依然として同一市町村内において暫定手当が異なっているというようなものがございます。それに対しましては、来年度からはさらに一歩進めまして、異級地——級地の異なるものにつきましては、最低の級地を一段階上げるという措置を一つ置いております。  もう一つは、級地の上のところから級地の低いところへ行った者については、その人に関連いたしまして、異動してから六カ月間は従前の級地によります暫定手当を保証していく、この二つの方途を講じておるのであります。国家公務員についてもそういう措置が講ぜられますので、地方公務員についても同様の措置を講じたい考えでおりまして、財政計画上もそういうものを組み込んでおりまして、私たちの方からも、この点がはっきり財政措置がきまりました暁には、国と同じような方針で指導の徹底を期したいと考えておる次第であります。
  93. 加瀬完

    加瀬完君 一番下を底上げする、それから高い方から低い方へ行った者は、六カ月、前の高いものをそのまま残すというのでしょう。しかし、六カ月過ぎればだめなんですね。特に学校関係などにその影響が非常に多く出まして、中心部の優秀な教員を町村合併などによって新たにその地域に入りましたところに異動させようと思いましても、なかなか異動しないのです。強引に異動すればこれは左遷だという本人が感じを持ちますから、必ずしも行政能率が上がるというわけには参らない。そうすると、町村合併しましたけれども、中心部と、僻陬部と言っちゃ悪いけれども、辺境のところと行政較差が生じてしまう。だから、もぐり入学といいますか、学校差をみずからそれとなく父兄が認めて、自分の地域でない他の学校にもぐり入学をどんどんさせる。もぐり入学させられる者はいいけれども、させられない階層というものは、結局そこで残されるわけです。異動の上でも、実際の義務教育というものを完全にする上でも、較差が残っていてどうにもならない、こういう問題が底上げをした程度では解消されません。これは国でもやはり同じだと思う。大体の市では、仕方がありませんから、暫定手当の差を市で負担をしているという形をとっております。しかし、これは正当な方法ではありませんから、当然財源措置というものを国の方から仰ぐというわけには参りません。しかし、実質的にはそういうことをしなければどうにもならない。もっとこかまいことを言うならば、通勤費も遠くに行けば高い。しかも、不便ではある。学校の場合は、子供の質も中心校よりは僻陬地の学校の方が必ずしも条件に恵まれておらないということで、勤務条件も悪くなる。ですから、やむを得ませんので、今言うようにやみ差額をつけてバランスをとっているという状況でありますので、これはやみ差額などをつけないで、結局ほんとうの意味の行政較差がなくなるように、何か御研究をしていただきたいと思います。  第二点は、今の問題にも関連しますが、市町村合併をして大きくしましたが、必ずしも住民の利便というものは向上しておらないという、いろいろの問題があります。たとえばこれは自治省関係ではありませんが、文部省関係で盛んに学校を統合する。しかし、その学校統合に一つの目的と指導性というものがない。たとえば中学校なら十五学級から二十学級というのが、大体理想の規模だというふうに押えている。ところが、三十五、六学級になるような大学校を統合でやる。それも各住民のいろいろな意見を聞いてやればいいのに、市会が先にきめて、教育委員会があとでそれを受けて学校統合をやるものだから、学校統合をすると、ハチの巣をつついたようにわいわいわいわい反対が出てくる、こういう現状もございます。それから、一応出張所みたいなものを残しておきましても、行政経費がかさばりますから、なるべく中心地に、出張所を廃して、役場なら役場、市役所なら市役所というものを一カ所にしてしまう。そうすると行政経費は助かりますけれども、個人の負担というものは容易なものでない。学校も同じです。歩いて通ったものが自動車で通う、自転車を買ってやる。出張所がすぐそばにあったときには都会がよかったけれども、今度は汽車に乗って行かなければならない、バス代を払っていかなければならない。これは確かに行政経費は節約されるかもしれませんけれども、住民の経費というものは必ずしも節約にならない、こういういろいろの不合理があります。住民が納得の上でやっていればいい。しかし、住民には何も話さないで適当にやる。これは県の指導——教育委員会を含めて県の指導がはなはだ私は適切を欠いていると思う。こういう点、実情をいろいろ持ち込まれて御存じでしょうけれども、どうお考えになっております。
  94. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御指摘のような点は確かにございます。なかんずく、今具体的にお示しになりましたような学校統合、あるいは支所、出張所の廃止等に伴いまして、住民間から非常に不満が起きる、このことはまた紛議を醸成するというような点は、まだ全国的にかなりの数に上っておるということは私も承知をいたしております。むろん町村合併自体のねらいの一つでもございますので、学校が統合されてそれで教育内容が改善されていく、あるいは支所、出張所というものが廃止されて、行政経費というものが節減をされて、そのことによって、投資的経費に充てる費用を捻出をしていく、それは新市町村建設自体の一つのねらいでございまして、その方向は今後なお進めて参らなければならぬと思いますけれども、そのやり方につきましては、やはり十分考えていかなければならぬ面があると思います。一つは、やはり計画的にやっていかなければならぬという意味は、学校統合がいいからといって、他の条件を全然度外視してそのことだけをやっていくというようなことはやはり考えていかなければならぬ事柄じゃないか。支所、出張所の廃止ということはそれ自体はけっこうでございますけれども、それによってこうむりまするところの住民の不利、不便というものを全然無視していくということでも、これはやはり特に住民に密接した市町村行政として正しいあり方とは思えないのであります。やはりやる限りには、それによって派生をして参りまするところの諸条件、学校等におきましては、通学の利便を他の方法によってどういうふうにやっていったらいいか、道路もよくする、通学のバス等の整備をやる、あるいは支所、出張所の点に至りましては、それにかわる方法として連絡員の制度を合理的に設ける、そういう前提条件を満たした上においてそういう計画を遂行していくという配慮が私はなければならぬと考えるのであります。いわんや、今御指摘になりましたような学校統合について、まず議会が主導権をとってきめてしまって、あとで教育委員会との間に紛争を起こすというようなことになりましても、これは住民の協力を得ることはきわめて困難な問題でございます。そういうような点につきましては、御趣旨きわめてごもっともでありまして、従来といえども、われわれといたしましては、方向は方向として、そのやり方等について十分の道を尽くしていかなければならぬというように指示はいたしておりますけれども、遺憾ながら、場合によりましては、若干の紛争がなお残っておる、あるいは新しい紛争が起きておるということも事実でございまして、そういう点につきましては、今後十分気をつけてやり方について十分の配慮をいたしまして、円満に事が進めていきまするように今後とも気をつけて参りたいと思います。
  95. 加瀬完

    加瀬完君 この分村問題とか、学校の統合問題とかいったような、住民の不満で紛争が行なわれております市町村が、今数にしてどのくらいございますか。
  96. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 紛争の問題でございますが、これには新市町村建設促進法の二十六条関係で、市町村の事務所の位置とか、あるいは財産処分、今の学校の問題も入って参りますが、これらの件について争論がありました場合に、調停あっせんの手段がございます。この件数は未解決のもの現在で八件でございます。それから、いわゆる新市町村とこれに隣接する市町村との間の分離問題、境界変更の問題については、これは二十七条関係で調停あっせんが行なわれるわけでありますが、これは現在なお係属をいたしておりまするものが四十四件、形式的には四十四件、その四十四件のうちで十五件は事実上大体争論が終息をしておるものというふうにこちらでは把握をいたしております。全国的には約三十件程度がなお未解決で残っているという状況でございます。
  97. 加瀬完

    加瀬完君 おそらくこれは一市町村内の学校統合の問題等でごたごたしているものまでこの中の数には入っておらないと思うのです。私たちが視察をした範囲における県は、合併には非常に強力な指導をする、ところが、合併後の建設というものについては、合併はさせたけれども、それをさらに発展させるといった指導になりますと、私は準備も努力も非常に欠けていると思う。たとえば、具体的な例を出すと、半径が六、七キロもあるような純山間部と、今度は反対側の半径の頂点の純漁村部、これをまん中に統合中学を作る、たとえば職業教育というものを一つ考えたって、どういうような職業教育をするんだか見当がつかない。しかし、こういうことが行なわれておりますと、当然問題が起こるわけです。しかし、こういうことに対しては、統合中学の形式をとどめれば補助金を出す。起債もつける。補助金も出て起債もついたから統合しなければいかぬということだけで、県が強引にかぶせていく、こういう例もあります。これでは住民の意思というものは、あらゆる教育条件からも、あるいは町村合併の趣旨からも、住民の利益というものを考えていかに主張したところで全然通らない。形式的指導だけにとどまっている、こういう点が非常に私は多いと思う。学校統合をいたしましたけれども、実質的な学校統合でなくて私立学校みたいに私設学校を作って、生徒が四カ月も五カ月も統合の学校に通わないという例もございます。もっと、建設促進法を作った当時の趣旨からいって、統合、合併をいたしまして、さらにその住民の利益が増進されますという形にまで私は県が指導してくれなければ困ると思う。そういう点を一そう何かの機会に自治省の方で御指導をいただきたい。  第三点は、この促進法が年限が延長されたわけでありますので、年限の延長されている間にもう一つ解決してもらわなければならぬ問題が残っている。それは農地の問題であります。何と言いましょうか、分割、合併をした町村でですね、たとえばA村というのが分割合併してB町の方にA村の二分の一が入ったとしますね、入った人たちは元のところに、元のA村の方に農地を残している。耕作している場合はいいのですけれども、これが耕作権が一応他に移って所有権だけが残っているという場合には、不在地主になりますね。それが今度は所有権を移転するようなときになりますと、不在地主でありますから、これは買収請求が出れば、当然買収請求に応じなければならない、この問題がまだそのまま残っております。それでだんだん時がたてば、その権利者の名義も変わってきますから、早いところ何かの便法を講じておいていただきませんと、今度は農地でもってまたいろいろの問題が起こってくるおそれがございます。この点は今度の改正法の中に別に入っておらないのですが、何か農林省の方と解決の方法を研究していただきたいと思います。これは希望としてお願いします。農林省がこの前のときにも、この不在地主の形で残しておくことに非常に反対をいたしましたので、今の権利をそのまま持続させるということには問題があろうと思いますので、こういう法律が問題になりましたときに自治省の方として適切な処置をしていただきたい。  これで質問を終わります。
  98. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは法の延長ということは、さらに新市町村の建設を促進するという建前でやっていくということにあると思いますが、一つは、今までの建設促進のために、市町村へ施設の補助を出しておりましたが、これは三十六年度からなくなりますね、もう必要がないということなんですか、それともどういうことなんですか。
  99. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ただいままで自治省関係といたしましては、施設整備補助金という名目で、毎年新市町村に対して補助金の交付をいたして参ってきておるのであります。これは本年度、三十五年度をもちまして、全市町村に対する配付を終わりました。そういうことで来年度からはこれと同種の補助金を出すということは考えておらないという意味でございます。
  100. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 考え方はそうだろうと思うのですが、ですから私お聞きしたいのは、いわゆる施設整備のために、もう国の補助が要らない段階へ来たんだ、こういうことなんですか。
  101. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この点は見方もあると思います。と申しますのは、補助金自体の額が一市町村当たり大体二百万平均というようなことでございまして、その金額自体がそもそも過小ではないかというような議論もあり得るかと思います。これは当初平均六十万程度でありましたものを、それではまあ話にならぬということで、二百万程度引き上げをお願いいたしたというような経緯もございます。一応目的は達したものと考えておりまして、施設整備補助金という形をもって今後補助金を考えていくということについては、もうすでにこの段階ではわれわれとしては考える必要はないのではないかということを思っておる次第でございます。
  102. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今後もあれでしょうね、いわゆる新市町村の建設計画の調整ということが引き続いて行なわれ、その調整されたいわゆる計画によってさらに建設を促進していかなければならぬということにおいては、これは変わらないと思うのですが、その点どうですか。
  103. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点につきましては、お説の通りであります。
  104. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そこで私、考えてもらいたいことは、確かに今まで相当の、トータルにして約五十億近い金が出ておるようであります。一町村平均二百万くらいで、多いときは七百か七百二、三十町村というようなことで出ておるわけでありますが、その意味の金は一応私は三十五年度でけりがつくと思う。しかし、それによってほんとうに新市町村の育成、新しい市町村の建設をしていくということにおいて、もう国のそういう意味での援助というものは要らないのだという段階にあると私は市町村の事情からいって思えないわけなんです。あなたのおっしゃるように、二百万円という額が、はたして新市町村のそれにとって一回限り二百万円がどの程度の額であるのかということも、これは私申し上げるまでもなくおわかりだと思うのです。同じ名目ということは言わないにしても、何かやはりほんとうに、あなた方が新市町村の建設を促進し、新市町村の育成という立場に立つならば、そうしてまた合併を指導した当時のいろいろないきさつからいたしましても、もっとやはりこういう意味での国の援助というものは、私続けられなければならぬのじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、この点は、やる必要がないというふうにやはりお考えなんですか。
  105. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 私は今後の新市町村の建設指導という面につきましては、建設計画の達成率というものをできるだけ高めていく、そのために関係各省が協力をいたしまするとともに、県等を督励をいたしまして、その方向に国の施策全般を近づけていくという努力が最も根本的な問題ではあるまいかというふうに考えております。建設計画自体の達成率は、当初は非常に悪かったのでございますけれども、その後漸次上がって参りまして、集計ができました三十四年度では八四%程度にまで達しております。しかし、これとてもなお一〇〇%にはほど遠いのでありまして、従来の達成率が非常に思わしくないということから見ますると、合計額自体といたしまして、達成率がまだ七〇%には至らないという状況でございます。町村合併が一段落いたしました今日こそ、これらの建設計画というものの達成率を高めていくということに重点を入れていかなければならぬのではないかと考えております。ただ、施設整備助成金にかわるような何らかのことを全然必要がないか、考えておるのかと言われますと、その点は、私といたしましても、全然自治省関係で、そういう助成措置は今後一切やる必要がないのだというふうには、私といたしても考えておらないのであります。それをどういう点から把握していくか、新市町村の持っておる共通の問題というものがどういうところにあるか、その問題自体を全部直ちに解決することはできないにいたしましても、自治省の立場といたしまして、どの点についてある程度の援助措置を講ずるならば、全体の問題解決へ大きく動き出す、そういう隘路がどこにあるかということの発見については、私はおそまきながら、これから一つ本腰を入れて考えてみるべきではないか。特に今後促進法を延長していく、この時点に立ちまして、それらの点の問題の所在というものを明らかにしていくという努力をやっていくべきではあるまいかと考えておるのであります。その一つの試みといたしまして、御承知のように、来年度におきましては、新しい予算措置といたしまして、事務処理の改善、合理化ということの推進をいたしますために、全国、大体一県平均二カ所の市町村を指定いたしまして、これにモデル地区の名称を付しまして、これを中心といたしまして事務処理の改善、合理化ということのサンプルを打ち立てて、それにならって経営改善、事務処理の合理化をはかって参りたい、かように考えておるのでありますけれども、これらの推移によりましては、そういった事務処理の合理化というような点について、さらにもっと範囲を広げていくということも考えの一つではあるまいか。事務処理態勢の整備をはかりますことが、あらゆる行政施策の根幹をなすということになりますれば、そういう点について、何らか国といたしまして援助措置を講ずることが、全体としての行財政能力を向上せしめることの糸口になる、そういう確信がつかめますれば、それらについての援助措置を拡大していくということも一つだと思います。その他、この時点に立ってなお検討を加えまして、適切なる方途が発見され、自信を得まするならば、その方策の実現に向かって今後とも勢力いたすにやぶさかではございません。
  106. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあ来年度予算で事務処理の指導のために、能率化の指導のために一億何がしの予算もついているしと言いますが、確かにお話のように、まあ一つの行政のいわば根幹をなす事務処理の合理化の問題、これは必要なことだと思います。ただしかし、私、今の新市町村の現実からいって、もちろんそういうことは取り上げて積極的に推し進めなければならぬと思いますけれども、いわゆる新市町村の一体性とか、あるいは産業基盤の育成とか、住民の福祉向上というような見地に立ってしなければならぬ仕事がたくさんあるんじゃないか、単なる事務とか、行政的な運営とか、経営とかいうことでなしに、そういう面で、従来の金がそういう面では多少役立ってきたと思うのです。さらに私は、今後そういう意味での助成を、財政的な措置をすることによって、さらに新市町村がもっとりっぱになっていくのじゃないかと、これはもちろん根本的には町村財政の問題に帰着するかと思うのですが、それから交付税等においても、いろいろなまあ何といいますか、補正やら特例やらを与えておりますけれども、しかし、なおかつ現在の多くの市町村の財政の実情というのは、私が今さら申し上げるまでもなく、十万、二十万の金に困ってぴーぴーしていると、赤字が出ないのは、仕事をしないからなんです。いかにして赤字を出さないかということになると、仕事を全然しないで、手をあげて、ほうきをかかえてやっていることが一番いいという、極端にいえばそういうような状態が相当あるわけなんですね、こういう点を考えますと、私はやはりせっかく合併されて、そして今度新しい市町村を作っていくんだぞと、こういうところに立って現在まで来た、これをさらにやはり国としてもっと育成に尽力できる方向に、特に財政的な問題を含めて私は考えてもいいのじゃなかろうかと、そういう意味で私は、名目はあるいは施設整備の補助とか、そういう形でなくとも、何かやはりそこに必要だということを、私、いなかに住んでいなかの実情を多少ともわかっている私からすれば、そういうことを強く感じるわけなんですが、この点、単に行政事務の合理化とか能率化とか、そういう点だけでなしに、私は当然考えるべきだと、こういうふうに思うのですがね、政務次官どうですか、その点は。
  107. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) ごもっともであろうと存じます。ただ、これを従前のようにわれわれが行なって参りました施設の補助としての形でやるか、あるいは財政計画市町村財源を与えていくかという観点に立ちますとき、従来予定しました施設補助に対する予算は、一応本年度で終了いたしましたので、このようなことを引き続き行なうかどうかという点につきましては、なお、今、局長が答えましたように、検討の余地がございましたので、このたびは持っておりませんが、一方、町村財政を充実することによりまして、この新市町村を強力に進めていくという措置を行なうとともに、他面、市町村の建設計画に上っておりますような事業につきましては、それぞれ主管の各省に十分考慮していただきまして、その実現を期し、新市町村の一体の実をあげていくということに邁進しなければならないと、このようにまあ県並びに市町村も指導していかなければならないと考えておる次第でございます。なお、御趣旨の点もございますので、財政付与という点につきましては、今回提案しております交付税法等によりまして、相当増額になりました地方交付税を、貧弱な町村の財源をふやすように財源措置を交付税法の改正によって行なった次第でございます。また、今まで新市町村にございました特例措置も、それじゃやめてしまったじゃないか、こういうふうな点もあろうと思いますが、この点に関しましては、いつまでも旧町村によるよりも一体の実をあげさせるためにも、こういった特例は除きまして、そのかわりに、この特例によって与えられておった財源はそのままそれらの新市町村に行くように、金額そのものは全体の市町村にやって、その市町村の財政需要額の計数を引き上げることによって、全体として総合的な財源力を与えた次第でございます。しかしながら、なおそうやりましても、激変する地方の——不交付団体等もございますので、それらにおきましては特別交付税におきまして漸減的にこの激変を緩和していくというような措置をいたしまして、財政面からも新市町村の合併の実があがるように指導していきたいと、かように考えておるような次第でございます。
  108. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは私も申し上げましたし、今あなたもおっしゃるように、単なる補助的なことだけではできる問題では私ないと思います。従いまして、市町村に対するほんとうの意味での財源付与といいますか、財政の確立というようなことが根本的な問題です。しかしこの点は、まあ口ではそういうふうに言ったり、あるいは考えたりするけれども、私まだ今度の交付税のやつは詳しく見てはおりませんけれども、どういうふうになるかまだこれからよく調べてみたいと思いますが、それにしても私ある程度の限度があると思うのですね、ワクの中でいろいろ操作するだけで、まあことしは少し交付税がふえておりますけれども……。ですから、やはり私は、そういう面で根本的な対策を立てると同時に、やはり従来行なわれたようなそういう意味での何かやっぱり国での措置というものがなされなければいけないのじゃないかということが、私強く考えられるわけなんです。  いま一つは、これと関連することなんですが、いわゆる新市町村の建設計画の調整という、その調整の案を、まあ最終的の案を私ある市町村のやつを見ましたがね、現在の市町村の財政に合わす、あるいはやや見通されるそういうような状況に合わして、ただ、今まで多少ふくらんでおった計画を切って、これに序列をつけていって、五年なり七年というようなことをやっていったと、こういうのにすぎないのがあるわけなんですね。ここに一つ発展的な、何かほんとうに新しい市町村に関しての将来だんだんよくなっていくというそういう意味の発展的なものが見受けられない、まず金のワクがこうこうである、これだけあるのだと、これに対応するためには、これだけの仕事しかできないのだ、これからはずれるものはどうも今回は見送ろうじゃないか、まあこういうような形で調整が行なわれているようなところも私現に見ているのですがね。これはもちろん、財政に全然関係なしに、やる仕事だけを並べるということはいかぬということはもちろんでございますが、私そこから考えまして、もっとやっぱり新しい市町村を作っていくために、いろいろそういう仕事をしていく場合の金の問題を考えていかなければならぬというふうに思うのです。そういうふうなことから、何べんも申し上げますように、名前は施設整備のための補助というようなこと、それに必ずしもこだわる必要はないと思いますが、何らかの意味での助成の金を当然出すべきじゃないだろうかというふうに思うわけなんです。一つこれは、先ほど局長は今後のいろいろな建設計画なんかとにらみ合わせて考えていきたいということなんでございますが、私は、まあこれは市町村にすれば、今すぐでもほしい金なんです、ほんとういえば。今すぐにもほしいのです、これは。ですから、これは早く御検討いただいてそういう方向で解決していただきたいというふうに思うわけなんですが、重ねて一つそういう面で次官からお考えがもしあるとすればお答えいただければありがたいと思います。
  109. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) 御要望の点はごもっともでございますので、十分検討さしていただきたいと存じます。
  110. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 関連してちょっとお聞きしたいのですがね、この新市町村建設促進法の第五条、第六条、第七条、第八条あたりですね、これは先ほど加瀬委員からもお尋ねがありましたが、何か調整とか、あるいは建設計画の今後の進め方、あるいは組織、運営の合理化というこういう点だけを今の町村が先ばしって、できるだけ経費を詰めようとかいうようなことだけを考えていっている。そして半面、この法にも書いてありますが、住民の利便が低下するというようなこともあまり考えないで計画が進められているというような傾向もないわけじゃないと思う。これは具体的に先ほど加瀬委員がおっしゃったように、こういう点についても一つやっぱり、私は加瀬委員の質問に関連をして申し上げたいのですが、やっぱり指導の面でこれは県の地方あたりでよく実際の場合にあたって指導しなければならぬと思いますから、よくそういう点については、あなた方の方からも十分これは気をつけてやっていただくように御配慮願いたいと思うのです。そうでないと、支所あるいは出張所というものがなくなった、あっても二、三人しか人がいない、用が足りない、こういう格好で本庁の方まで出向かなければならぬというようなことが起こる。私はいろいろな事務の合理化とか、あるいは今いったような機構の整備というような問題は、やっぱりあくまでも住民の利便なり福祉なりにつながるそういう基本的なものがなければならぬと思うのですね。そういうものを度外視して多少経費が節約になったとかというようなことがあってもこれはおかしいと思うのです。ほんとうに住民から喜ばれるような組織なり、あるいはそういうような運営が行なわれるとすれば、これは住民もそういう意味では多少の経費の負担というものは喜んでしますよ。ところが、多くの場合はそうでない方向に来ている。こういうことを私はやっぱり加瀬委員と同じように心配をするものであります。中学校の統合でもけっこうそういうようなことで地元に何やかにやトラブルが起こっておる、こういうような問題もあるわけでございますから、この法の延長については、私ども趣旨については異議はございませんけれども、この法をどのように今後——実際問題、運用の場合にですね、やっていくかということについては、一つ私も十分注意してやっていただきたい。そうでないと、どうもせっかく法は延長になった、しかし一方においては、住民が新市町村のそれに賛成できないというようなそういう事態も私は起こりかねない情勢になってくるのじゃないかということを心配するものですから、そういう点を一つ含めて申し上げておきたいと思います。  ただこの際に、ちょっと長くなるようで恐縮でございますが、特に私ども必要だと思われる経済団体、農協の統合なんかあまり進みませんね。これは農業団体とか生産関係の団体とか、経済的なことに当然プラスになるのだと思われるようなことは、しかしなかなか進まないというようなことが一方にあるわけなんでしてね。そうでない役所的なそういうものは先ほど来申し上げたような格好でどんどん進んでいくというような、ちょっと矛盾したような姿がある。これはもちろん農業団体等のことにつきましては、あなた方直接の関係はございませんでしょうけれども、全体としてやっぱり正しい意味での新しい市町村が一体化していく、そういう姿に持っていくように、こういう点も一つ農林省あたりと十分話し合いをして進めてやらしてもらえばありがたいと思うのです。
  111. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  114. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会