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1961-03-16 第38回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月十六日(木曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     増原 恵吉君    理事            小林 武治君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君    委員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            津島 壽一君            西田 信一君            湯澤三千男君            秋山 長造君            加瀬  完君            松永 忠二君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   国務大臣    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    自治政務次官  渡海元三郎君    自治省行政局長 藤井 貞夫君    消防庁長官   鈴木 琢二君    消防庁総務課長 山本  弘君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○市町村職員共済組合法の一部を改正  する法律案内閣提出) ○消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○新市町村建設促進法の一部を改正す  る法律案内閣提出)   —————————————
  2. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから委員会を開会いたします。  まず、市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案議題として、提案理由説明を聴取いたします。
  3. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ただいま議題となりました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。この法律案は、国家公務員共済組合法及び健康保険法短期給付制度との均衡上、市町村職員共済組合法にも法定短期給付のほかに附加給付制度を設けるとともに、分べんに関する給付について最低保障制度を設けるために必要な改正を行ない、また、現行市町村職員共済組合法における短期給付に関する市町村負担金についての特例措置の期限を一年間延期しようとするものであります。以下改正点の概要について、順次御説明申し上げます。  第一は、市町村職員共済組合法に新たに附加給付を設けることであります。現行市町村職員共済組合法におきましては、法定短期給付以外に附加給付制度が一般的には認められていないのでありますが、ただ、昭和三十年に市町村職員共済組合が発足いたしました際に健康保険組合権利義務を承継いたしました組合については、その健康保険組合が行なっておりました附加給付のうち市町村職員共済組合法法定給付以外のものは、経過的に、本年十二月三十一日までは、行なうことができるようになっております。一方、国家公務員共済組合法におきましては、昭和三十三年の改正以来、一般的に附加給付制度が設けられておりますので、市町村職員共済組合法におきましても、これに準じてこの制度を一般的に認めて、附加給付を行なうことができるようにしようとするものであります。  第二は、分べんに関する給付についてでございます。現行市町村職員共済組合法におきましては、組合員分べんに対しては分べん費配偶者分べんに対しては配偶者分べん費、また、組合員またはその配偶者分べんし、かつ、保育する場合には、保育手当金を支給することになっておりますが、これらの保険給付は、健康保険の代行としての性格を持つものでありますので、健康保険法に準じて行なうことにしております。このたび、健康保険法において分べん費配偶者分べん費及び保育手当金について、改正が行なわれることになりましたので、市町村職員共済組合法におきましてもこれに準じて改正を行なうこととし、分べん費につきましては六千円、配偶者分べん費につきましては三千円の最低額を保障し、また、保育手当金につきましては二千四百円を定額として支給することにしようとするものであります。  第三は、短期給付に要する費用についての市町村負担金に関する特例を認める期間を延長することであります。市町村職員共済組合法におきましては、組合短期給付に要する費用は、組合員の掛金と市町村負担金との折半負担建前といたしているのでありますが、市町村職員共済組合が発足いたしました際に、従来健康保険組合において被保険者負担する保険料より多額保険料負担していた市町村は、暫定的に組合員より多額負担をすることができることとなっております。この特例措置は、現在昭和三十六年十二月三十一日までとなっておりますが、地方公務員の統一的な共済組合制度の実施について検討が進められている際でもありますので、この期間をさらに一年間延長しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本案の質疑は次回に譲ることにいたします。   —————————————
  5. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、消防組織法等の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 加瀬完

    加瀬完君 この消防組織法の一部を改正する法律案内容は、この前の委員会で御説明がありましたように、常設消防ではない消防団運営については合理化をはかるという目的と、もう一つは、消防団員非常勤職員としてほとんど無報酬なので、これに対して顕彰制度といいすまか、報償制度を作るということで、それはわかる。しかし、消防組織法というものをさらに進めていくならば、一体常設消防というものを今後どう発展させていくのか、この計画というものがこういうことよりも先にとられなければならないと思いますけれども、この計画はどうなつておりますか。
  7. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 常設消防強化していきたいという考え方は、私ども以前から持っておりまして、少なくとも市街地としてある程度連檐地区を持っている都市におきましては、必ず常設消防を置くようにということを勧奨いたしているのでございますが、これを強制的にやるという問題になりますと、それぞれ都市財政問題あるいはその他の事情がございますので、現在のところでは、勧奨するという程度にとどまっておるわけでございますが、しかし、相当毎年会合があるたび、少なくとも市制施行地においては常設消防をぜひ置いてもらいたいというふうに強く勧めておる次第でございます。
  8. 加瀬完

    加瀬完君 そんなことを聞いているのじゃない。警察は一万名増員計画というもので年次計画増員をしている。こういう計画と同じよう計画消防庁は持っているかどうかということを聞いておる。行政指導したり、訓示をしたりしないかということを聞いているのじゃない。
  9. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) これは現在の消防法のあり方と申しますか、わが国の完全に自治体消防という形態をとっておりますので、警察ように一定の標準を設けて、これはそれに従ってやれというよう工合には現在の組織法ではいきませんので、先ほど申し上げたような勧奨というよう方法で強く勧めておるというよう方法をとっておるわけであります。
  10. 加瀬完

    加瀬完君 今度は消防庁もはっきりと自治省の中へ名実ともに入りました。担当は自治省大臣であります。財政計画なり、あるいは地方予算構成指導なりにおいて、常設消防をこれから拡大をしていく財政指導というものは十二分にできるわけです。それについては、消防庁自身も、こういう地域には常設消防が必要で、常設消防対象規模はこのくらい、費用はどのくらいという綿密な計画を立てて、これは大臣にその実現方をお願いをする努力を当然しなければならない義務があなた方にある。そういうことをなされておるかおらないかという点なんです。
  11. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防庁自治省の外局となりましたために、ただいまお話のありましたように、市町村財政指導をするという面には非常に便宜になったわけでございますが、消防組織をどういうふうに各市町村がやるかという問題につきましては、かねてから消防団及び常設消防運営基準と申しますか、それぞれの都市形態に応じて、人口規模に応じて設置すべき標準自治体消防発足の当時から設定いたしまして、これを勧告いたしておったのでございますが、たまたま昨年、現在消防庁長官諮問機関として設けられております消防審議会にその問題を諮問いたしまして、昨年八月、それの答申がありまして、その答申に基づいて現在消防基準消防団並び常設消防の数、それからポンプその他の消防施設程度というものを、それぞれ都市形態あるいは人口、面積の状況に応じて、この程度という標準を示して、ただいま大体でき上がりまして、近くそれを各市町村に勧告するつもりでおります。従来ありました基準の勧告は、いわば終戦後のアメリカの指導によってできたものでありまして、いささか現在の日本市町村財政状況とそぐわない点がありましたので、それを修正いたしまして、現在の市町村財政その他の状況に適応する基準を設けまして、ただいま申し上げたよう段取り基準を設け、近く勧告いたす段取りになっております。
  12. 加瀬完

    加瀬完君 あなたは消防庁長官は長い。そんなもの審議会にかけなくたって当然わかることなんです。近く勧告するなんというなまぬるいことで一体——この法案の説明の中にもありますが、消防計画が立つのか。消防団を今のままにしておいて、常設消防計画はさっぱり進めないで、消防計画が立つのか。高層建築ができる、いなかの町にだって相当の大建築ができる、ポンプを持っていって水かけただけで消防計画にならないように現実進んじゃった。これを旧態依然たる消防団組織をそのままにしておいて、特殊な訓練なり、経験のない者だけで消防計画を遂行することができないじゃないか、この点はどうですか。
  13. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 先ほど申し上げたように、従来ともうっちゃっていたわけではございませんので、消防団につきましても、消防署につきましても、自治体消防発足当時から基準を示しまして、その基準に向かって、それを目標として整備していくというようなことは指導しておったのでございますが、その当初作りました基準が、今日の状況から見て必ずしも適切でありませんので、それを修正して、いろいろ各般状況を研究して修正いたしまして、新しい基準を作ったわけでございます。ですから、従来、今あわてて作ったということではないのでありまして、相当今までの実地の経験、実績に照らして修正を加えたということでございます。  それから最近の都市状況あるいは人口状況あるいは文化の発展の状況に応じて、それぞれ消防対策を講じなければならないという点につきましては、この組織法にもありますように、防火関係基準を必要に応じて示しまして、従来その基準に従って整備もし、また訓練もするというよう方法をとっておった次第でございます。
  14. 加瀬完

    加瀬完君 整備もし、訓練もするといったって、もうこういうように火災対象なり、あるいはまた災害対象なりというものが変わってきてしまっては、消防団よう程度訓練では、整備では、あなたのおっしゃるよう消防計画を遂行できないような時代になっておるんですよ。建物に基準を加えたり、あるいは防火地帯とかいろいろの計画は進めておることはわかりますけれども肝心かなめ消防団を、常設消防程度技術訓練をすることもさっぱり手もつけないでおいては、消防計画を遂行できないじゃありませんか。もっと具体的に言うなら、東京都のような、あるいは大都市消防組織というものは、火災だけにとどまらず、もう急患の何といいますか、救護などに当たりましても、至れり尽くせりのわれわれの全く感謝せずにはおられないような百パーセントのサービスをしておる。いなかへ参りますと、市という形態をとっておったって、常設消防がなくて、救急車もなくて、ただ火事があったときポンプを引っぱってくる、こういう消防団では仕方がないじゃありませんか。それを一体消防庁はどう計画——国民、住民が受けるサービス格差があるのだから、この格差をうして埋めていくかという計画を一体お考えになっておるのか、なっておらないのかということを伺っておる。
  15. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 御指摘ように、小さな市町村では消防団だけのところが相当ありまして、訓練も十分いかないというまことに不完全な組織でおりますところが多いことは御指摘のところでございます。全体的に見ますと、消防の人的、物的設備が、われわれの先ほど申し上げました基準から見ますと、全国的に見ますと五〇%足らずでございます。ところが、六大都市初め大都市におきましては、お話がありましたように、大へん各般施設整備しておりまして、ほとんど大丈夫だといって安心のできる程度整備はいたしておりますが、貧弱な市町村に至りますと、まことに心細い感じもいたすのであります。結局はそれぞれ市町村財政問題に落ちてくるわけでございます。今後そういった貧弱な市町村における消防財政をいかに確立してやるかということが、これは消防としては一番重要な問題であろうとわれわれも感じておるわけでございます。この問題は相当重要な問題でございますが、将来とも財政問題をどういうふうに解決していくかということにつきましては、鋭意研究をして、遺憾のない方法をとりたい、さよう考えている次第でございます。
  16. 加瀬完

    加瀬完君 考えているだけではだめですよ、考えているだけでは。問題は、経済といいますか、予算の問題だというけれどもね、それは警察庁消防庁とは違いますが、しかし、警察はこの物件費維持補修費、それから扶助費補助費と、事業費を除いても、超過負担というか、法律ではきめておらないけれども、県が負担をしている金が、昭和三十四年度の決算で見ると二十八億円です。二十八億を、警察は出さなくてもいいはずのものを出させるような形で——言葉は適切でないかもしれませんが、警察力の拡充というものをはかっている——これがいいか悪いかは別ですけれども、はかっている。裏を返せば、そういう強い行政指導というものがあるわけです。消防庁だってもっと行政指導を強く進めていけば、財政計画に少なくとも行政水準引き上げなどということを自治省は言っているのだから——行政水準引き上げだといって、手押しポンプ火事を消しているよう行政水準なんというのがありますか。また行政水準のその一つに、市なら、市制をしいているところは常設消防を設ける、こういった強い指導をすべきです。するよう基準というものをあなた方は大臣に対しまして示して要請をすべきです。そういうことが怠られているのじゃないかと言うのです。研究しています、研究していますといって、あなた長官になって何年になりますか。研究していますじゃ済みません。私は、批判めいて恐縮ですが、そう言いたい。この消防団員階級基準消防庁準則で定めることによって、消防団運営合理化をはかる、班長だのなんだのという六階級か何かきめて、それで合理化をはかるというのはどういうことですか。具体的にそれじゃ聞きましょう。階級章だけ別に定めて合理化がはかられるということは、どういうことです。
  17. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防力強化につきましては、年々補助金がふえて参っておりますが、まあわれわれの理想から申しますと、ざっと計算いたしまして、われわれが示しました基準に達するのにどれくらい市町村費用が要るかと申しますと、補助金だけでもおそらく四百五、六十億——まあ三分の一と見ましてもそれくらい——どもが十カ年計画を立てたときの数字でございますが、補助金だけでも三分の一の補助と見て、四百五、六十億——間違えました。全体の計画として四百二十億余りになるわけでございます。それの三分の一の補助金と見ましても百七十一億という計画になっているわけでございます。ところが、なかなか国の財政状況でわれわれの理想通りには参りませんで、まことに遅々としていまして申しわけないのでございますが、しかし、毎年少しづつ増加いたしまして、消防施設強化に役立っているわけでございます。打ちあけて申し上げますと、私ども予算折衝の際に一番頭を悩ましますのは、現在の日本消防制度が完全な市町村自治体消防ということになっておりまして、国とか都道府県は運営管理行政管理にタッチしてはいかぬというような条文が法律の中にございます。で、市町村消防について全部の費用を持てということが書いてあったりいたしますので、われわれは何もこれにこだわって知らぬ顔をしているというつもりは毛頭ないのでございますけれども、そういった点から、予算折衝の際にも非常に苦労を感ずるというような実情でございます。これはまあわが国消防制度の根本問題に関する問題でございますので、軽々に論議はできないと存じますが、そういった問題もあるということを、まあ打ちあけ話をお話し申し上げるわけでございます。しかし、そういうこととは関係なしに、御指摘のありましたよう消防力強化の点につきまして、われわれ従来もやっておりましたが、今後とも全力を尽くして、この消防力強化基準に近づけていくということに万全の努力を払いたい、さよう考えておるわけでございます。  消防団員階級基準を設けましたことは、従来は服装規程基準を示しただけで、大体階級がはっきりしておったのでございますが、最近町村合併等に伴いまして、いろいろ従来と違った名前階級らしきものが出て参りました。それでこの際はっきりといたしまして、ことに最近の災害が広域にわたって、他の市町村とも関係のする共同動作をとるような場合が非常にふえて参りました。で、町村によって階級がまちまちでありますと、そういう場合の共同動作をする場合に、非常に不都合を来たしますので、それでこの際一律に階級を一定しまして、そういう不都合のないようにしたい、こういうことが主たるねらいでございます。
  18. 加瀬完

    加瀬完君 おかしいじゃないですか、御説明が。自治体消防という建前で、各市町村異なっているから、県も国としても弾力な行政指導をするのにちょっと工合が悪いのだ、こういう御説明だったのです。ところが、町村町村が、自治体自治体一緒になって行動しなければならない場合もあるから、そのときに階級章などがまちまちだと困る。一緒になって行動する場合は、だれかこれは指導者なり指揮者なりという者がいるわけです。しかし、そういう建前をとっておらないはずです。それは隣接町村なんかで一緒にやるときには、顔と顔とのつながりがあるわけです。階級章があったから、なかったからといって、隣の村の上級者だからといって、自分の団でない消防団員下級者だからといって、指揮、命令することはできませんよ。そんなことは一つ合理化にならないじゃないですか。合理化というなら、もっとはっきりしたことを御説明いただかないと私どもうなずけない。結局、こういうことをすることが、階級章などをみな一律にすることは、結局、町村の区々とした場合の上で何か指導する体制というものを考えているというふうに勘ぐりたくもなる。こういう点はないですか。
  19. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) この階級準則は、消防職員については従来からありました。消防団につきましては、古くから大体慣習的にやってきた階級がそのまま戦後も引き継がれておりますので、服装規程だけで大体間に合っておったわけでございます。ところが最近は町村合併等があって、たとえば支団長とか連合団長とかいったような、いろいろな名前が出て参ります。わけのわからぬ名前が出ておりまして、これはまあ過渡的な問題だとは思いますけれども、いささか階級関係が乱れてきた格好があります。それとさらに処遇問題等につきましても、たとえば公務災害補償の場合には、それぞれの階級に応じて計算が違って参ります。その場合に支団長だとか連合団長だとかいうのが、副団長格なのやら団長格なのやらわからない場合が出て参ります。いろいろそういった問題についても支障が起きておりますので、この際、単に従来の慣習にまかせておかずにはっきりとここで規定して明確にいたそうというのです。
  20. 加瀬完

    加瀬完君 じゃ、その合理化というのは何ですか。消防計画に参加して何か犠牲者が出た、その賠償をする場合の格づけがまちまちではわからないから階級をはっきりさしておけば、どういう階級には幾ら賠償するという形の合理化がはかれるという意味の合理化ですか。消防計画上の合理化じゃないですか。
  21. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) まあ合理化というのにもいろいろ内容があると思いますが、当面われわれが考えましたことは、そういった町村合併に伴い、いろいろまちまちなものが出てきたということを整理しようということと、それから処遇関係についていろいろ不都合な、不便なことが出て参りましたので、それらを正確にいたそうという、それを合理化と、まあいろいろ含めまして申し上げた次第であります。
  22. 加瀬完

    加瀬完君 不都合、不便なというのはどんなことですか。
  23. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 先ほど申し上げましたように、支団長とか連合団長とかいう名前があって、それがどっちに属する、分団長なのやら団長格なのやらわからぬ場合がございます。それから、そうなりますと、たとえば公務災害補償で要求してくる場合に、連合団長、これは団長格だと、こういつてまあ一線では主張します。ところが、実際調べてみると、それが分団長クラスであった場合もあったり、ほんとうに団長——町村合併で従来団長だった者が、そのうちの一番上級の者に連合団長という名前を名誉職的につけたものがあったり、そういった不都合がございまして、まことに不便の場合、不都合の場合がまあそういった場合に出て参っておるわけでございます。
  24. 加瀬完

    加瀬完君 一つも不便、不都合ではございません。自治体消防なのだから、その自治体支団長ときめようが、旅団長ときめようが、それでいいと言ったら不都合じゃない。不都合というのは、あなた方から考え不都合だ。不都合という理由はまだ隠されているのではないですか。具体的に伺いますよ。この常設消防でも、一つの完全な独立体を成しているよう東京みたいなところでは、安保闘争みたいなときでも、警察態度というものと消防庁態度というものは厳然と違っておる。手錠かけた人を、けがをしているのに手錠をかけるとは何事だと消防庁はこれをとめて、手錠をはずさして救急車に運んでいる、こういうのもありますよ。しかし、半鐘鳴らして消防ポンプ引き出して、勤評闘争なんかのときに消防団が学校に押しかける、こういうのもある。少し古くなりましたけれども、ある県で公安条例を適用しようとしたときに、なくなりましたが、大山郁夫さんが来て講演をする、大弁論が行なわれるのではないかというので公安条例を発動しようというので警察で企画をいたしました。そのとき、その市の消防ポンプを全部出していつでも水を引っかけられるように用意をして、こういうばかなことまで行なわれている。こういう不合理をそうではない消防本来の目的合理化をすることこそ、組織法として考えなければならない問題だとあなた方も知っているでしょう。勤評でごたごた大ぜいの者がやるからといって半鐘鳴らしていいですか。消防ポンプで水を引っかけるという準備をしていいですか。消防法で許されていますか、そういうこと。そういうことをやっている。だから、そういうことができないよう合理化をするというならわかる。そういうのはそっちのけにして、支団長旅団長があって困ると、そんなくだらないことを言っているようでは、これは賛成しようと思っても賛成できませんよ。そうするとあなた方は、いや警察庁と違いまして消防庁はそういう行政の強い指導権というのはありませんと言う。なくて階級章だけ整備するだけで、行政指導力がないならば、消防庁の存在というものをもう少し考えてもらわなければいけない。これは政務次官、どうお考えになりますか。
  25. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) ただいま御指摘建築構造その他が変わって参りまして、消防に科学的技術的な専門的知識が入り用になったということは御指摘通りでございまして、私たちもできるだけこの要望にこたえるために、常時からそういった特別な訓練を受けられる常勤の消防施設を下部まで組織していかなければならないということは、御指摘通りでございまして、だんだんそのようになりつつあろうと思います。これの計画につきまして、的確な基準を設けてやってはどうかという御指摘でございまして、仰せの通りやりたいのでございますが、財政事情その他もございまして、現在まだそこまでは至っておりませんが、だいぶんこの方面の改革もできたのではなかろうかと思います。また一方、昔からの非常勤の消防団組織にいたしましても、私の知る範囲内では、町村合併等に伴いましてだんだんと組織が簡素化され、今までは各旧町村にございました消防団員を、そのまま残っておったのをだんだんと市一本にまとめ、機構も簡素化するとともに、これに対する機敏な活動ができるよう訓練されつつあるのじゃないかと、かよう考えているのでございます。また器具等にしましても、今までのように旧式器具でございましたら、相当多数の人員が必要でございましたが、これも近代設備の器具に変更されるに従って、非常勤の消防団員にしましても、人員が少なくて済む。しかし、それだけに訓練回数も多くなるけれども、この器具を操作することも簡素化されていくというふうな方向を常設消防でなくてもとりつつあるのじゃなかろうかと、かように期待しているのでございますが、御指摘通り、できるだけ常設消防を少なくとも市程度までは行なうということば御趣旨の通りでございまして、幸い消防庁自治省に入りましたので、この部面、地方財政等の許す範囲内におきまして、仰せの通り今後とも指導を行なうべきでなかろうかと、かよう考えている次第でございます。本年度の財政計画におきましても、わずかながらも消防の人員増加等に対しまして経費を増額させていただきました。なお常設消防施設に対しますところの財政需要額等にあげられました数字が、どの程度まで実行に移され、どの程度市町村にまでそれができ上がりつつあるかという概況につきましては、後ほど事務当局から御答弁させていただきますが、大体そういった方向に向かって進んでいるのじゃなかろうかと、まあかよう考えているのでございます。  なお、ただいま御指摘ございました消防団の政治活動と申しますか、活動範囲外の活動という問題につきましては、私は、ただいまのよう常設消防をもって建築構造の近代化等に合わして近代防火施設に対して対処していくという方向とは別に、当然消防団も常勤であろうが、非常勤であろうが、市町村行政機関の一つでございますから、厳に慎まなければならない、このよう考えている次第でございます。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 で、消防庁の企画のような一応の基準というものを整えるためには、まあ百七十一億程度補助金が要る。しかし、百七十一億というものは、一時に出さなくても、年次計画にすれば、これが百七十一億を何年かかれば出せるだろうという一応のめどというものがつくと思うのです。いずれの方法にしても、常設消防をふやしていく、そのためには財政的にも、財政計画等で十分今後考えていくんだと、了解してよろしゅうございますか。
  27. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) 私もさようにやらなければならないと考えておりますので、消防庁自治省に入りましたこの機におきましても、強力にそういった指導をしなければならないと考えております。  それからなお、ただいまの百七十一億ですかの数字は、あれは施設の面でございまして、常設消防の経費等につきましては、財政需要額におきまして、他の財政計画の部門とあわせまして、消防施設の分に対する財政需要の額として繰り入れていく、かよう考えております。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 行政局長に、行政水準というものを一応考えているようですけれども、ある程度作業も自治省ではなさっているようでありますけれども、この常設消防なんかの問題は、行政水準内容として構想の中におありなのですか。
  29. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 私の考え方といたしましては、常設消防のあり方あるいは各市町等において常設消防というものがどういう形のものでなければならぬかというような点は、当然行政水準の一環としてその内容になるべきものだと考えております。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 では、自治省にそのような方向が今後おとりいただけることを期待いたしまして、不本意でありますが、これは賛成するということにきまりましたので、私はあまり質問をしないことにしてやめます。
  31. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 消防が防火についてのいろいろの活動をすることは当然だと思いますが、従来の火災予防は、いかにも昔ながらの火の用心を連呼するよう程度で、足が地についていないのじゃないかというような感じがするのですが、最近火災の原因を見まするというと、断然多くなったのは、文化的生活であるガスとか電気の取り扱いが不十分であったために出るのが非常に多い。これは一面、家庭等におきまして文化生活が普及したのだとも言えますけれども、文化生活が普及して一方においては火災が起きるのでは、実にどうも変なものだと思うのです。  今朝、新聞を見ますと、日光の薬師堂が焼けた。それも何か電気コンロの過熱、また火災報知器がほんとかうそかわからぬといってぐずぐずしておったから焼けたと新聞に伝えられております。真偽はむろん知りませんが、もしはたしてそういうことであれば、三百年以上の建物が文化生活によって焼けたということは、実に皮肉な現象だと思うのです。これは決して一時の問題でなく、各方面にそういうことがあるのだとすれば、火災予防等につきましても、防火宣伝等においても、文化生活につれてどういう考えを持って進むかということが非常に必要になってきているのじゃないかと思います。防火宣伝と文化生活との関係についてどういう考慮を払っておられますか、お尋ねいたしたいと思います。
  32. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) ただいま御指摘ように、文化生活が発達するに従って火災も多くなってくるということは、統計上も現実に現われておる事実でございます。まことに遺憾でございますが、結局、私どもが火災の発生原因をいろいろと調査いたしてみますると、文化生活——ガスとか電気とかプロパンガスとか、非常に日常生活が文化化していろいろその材料ができてくるわけでございますが、それにそれを使用する者の知識が伴っていかないということと、それから中身だけが、台所口とか、居間だけが文化的になって、建物全体がちっとも進まないで、まあこれは住宅事情が根本的に悪いわけでございまして、雑居生活みたいなところほど、簡単な煮たきのできる道具をそろえるというようなことで、かえって文化的な資材を使っておる。そこに非常にアンバランスがございまして、そこにかえって文化が発達するに従って火災の件数が多くなってくるという実情があるわけでございます。それらの実情に基づきまして、毎年春、秋の防火週間におきましてはもちろんのこと、常時予防査察を励行いたしまして、これもなかなか数——家の数と消防職員の人数とが必ずしもバランスがとれておりませんので、徹底的に参らぬ感はございますが、できるだけ予防査察をいたしまして、一歩々々指導して歩くということに努力いたしておるわけでございます。さらにプロパンガスにいたしましても、ガス、電気等につきましても、その器具を売る方法に注意を喚起いたしまして、売る際には、使用方法をよく教えてやれというような、あらゆる機会にそういうことを業者、組合等を通じてお願いしているわけでございます。また予防査察の際にも、単に一家の主人なり主婦だけがそういった取り扱い方を覚えておくだけでなく、家の者で特に使用人等に十分徹底するよう指導しておかなければいかぬというふうなことで予防査察をいたしまして、それやこれやで火災を予防することに努力いたしております。
  33. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 火災原因の第二として昔ながらに多いのはたばこだと思う。たばこの吸いがら等の取り締まりについては、外国には相当やかましい法令もあるようであります。しかし、日本の現状から考えまするというと、規則をこしらえても直ちに取り締まりが実行できないということになってはなにもならないと思う。結局、文化生活に対する国民の心がまえなり、また、たばこに対する国民的なしつけが必要だと思う。そういうふうに考えまするというと、火災予防というものは社会教育にうんと関係をもってやらなければいけないじゃないか、こう思うのです。また、もっと皮肉な例は、最近公共建物の焼失が非常に多くなってきた。ことに学校の火災が多い。しかも、学校においては少年消防団というものを創設され、優秀なるものは表彰されているというふうに活動しておりますが、こういうような教育と消防関係をもっと密接にして国民のしつけをもっと高度に高めていかなければ、単にお祭り騒ぎと言ってはあるいは言い過ぎるかもしれませんが、防火宣伝だけではとてもいかないのじゃないか、こう考えられるのであります。従って、もっと社会教育と防火との関係について十分な考慮を払う必要があると思うのですが、その点についていかがですか。
  34. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 御指摘ように、結局、火災を少なくするためには、一般国民のこれに対する認識を高め、常時火に対して注意をするという心がけを作ることが一番大事だと思うのでございまして、そのために、毎回の予防週間等につきましては、その火災予防思想のPRに重点を置きまして認識を深めることに努力いたしているわけでございまして、最近新聞、ラジオ、テレビ等も非常に協力してくれまして、御承知のように、テレビあるいはラジオ等はほとんど毎日火災のことについて、ことに最近のような乾燥期におきましては、どこかの番組に火事の問題を取り入れて非常に協力していただいております。また私どもの方で指導いたしております少年消防クラブ等もだんだん全国的に増加して参りまして、小学校あるいは中等学校の初級の子供たちに科学教育とあわせて防火思想を吹き込み、それを家庭にだんだんと浸透していくようにということで、少年消防クラブの指導に力を入れてやっておるわけでございますが、これらも国民の社会的訓練には非常に役立っておるのではないか、かよう考えております。
  35. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 公共建物の火災予防等につきましては、火災責任者ですか、これを管理者に改めるとか、いろいろやってはおるのですが、実質においてはどれほど効果があったかと疑われるのでありますが、公共建物、ことに学校の火災については、どれだけの注意を、政府の所管の方に喚起するなり、それぞれの手を打っておらなければならぬと思いますが、その点についてはどういう注意を払っておりますか。また、その効果が上がっておりますかどうか。
  36. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 公共建物、特に学校の火災が割合に多いことは御指摘通りでございまして、われわれもこの対策には心を悩ませておるわけでございますが、常時文部省とも連絡をとり、学校等の防火管理の徹底を期するように文部省にもお願いいたしておるわけでございます。その効果が一般官公衙については現われておるのですが、残念ながら学校については、ずっと統計を見ますと、それほど成績が上がっておりません。まことに遺憾なことでございますが、率から申しますと、私立よりも官公立の学校の方がどうしても火災の率が多いのでございます。必ずしもいい成績が上がっておりません。この点につきましては、いろいろ学校の管理の問題が一番問題になるわけでございますが、今後とも文部省と十分連絡をとり、また地方消防当局にもそれぞれの現地において十分連絡をとって、学校火災を防止するよう努力いたしたい、さよう考えております。
  37. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 火災の予防は非常にむずかしい問題でしょうが、いずれにしても社会教育との関係が密接であります。その文部省所管において、社会教育をしておる文部省所管において一番火災が多いというのじゃ、これはずいぶん皮肉な話なんですから、もっともっとこれは厳粛に考えてもらわなければならぬと思う。それから消防庁には消防大学校がついております。早々の際ですからその活動なり、そういう点についてあまり多くを期待することは無理とは思うのですが、今の火災予防等について、相当考慮を払わなければならぬものだと思うのです。ことに消防団員の教育をやっております大学校においては、それらの点には最も力を入れなければならぬのじゃないか。消防大学校の設備その他を完備するということは、もちろん大切でありますが、教科内容についても、もっと考究をする必要があるのではないか。それから消防研究所も非常によく勉強していると私は思っております。ですけれども、設備が非常に悪いのです。また、その試験研究の結果を実際に応用するという連絡においても、きわめて不十分、また、いろいろ参考品等もたくさんあるようでございますが、日本における今の貧弱なものを少し並べておる程度で、諸外国のりっぱなものを一向見ることができない、こういう点を数え来たりますというと、どうもすべてが非常にまだ整っておらないように思うのです。今度組織法を改めて、一そうその点に乗り出す機会ですから、こういうような方面にも一段と御活動していただきたいと私は思っておりますが、一言申し上げておきます。
  38. 西田信一

    ○西田信一君 消防庁長官一つお聞きしたいのですけれども、これは、お聞きしたい点は、最近頻発しておる都市の交通麻痺と消防活動の関係なんです。私は非常にこれは不吉なことを申すようで悪いのですけれども、非常に心配をしておるのです。東京都内でも、個所数はわかりませんが、何カ所か、しかもきまったように、毎週何曜日かの同時間というくらいに交通麻痺が起きておる。大阪なんかで、道路の狭い所で三時間もものすごい交通麻痺が起きたということも聞いておる。ああいうことを考えてみますると、数千台、あるいは数千台じゃない、おそらく万をこえるだろうと思うような自動車がからみ合ってしまって、全然交通ができないという状態が起きておる。私はああいう場合に、そういうときに、そういう地域で失火がないという保証はつかない、そういう時間に、そういう時期に大きな強風が吹かないという保証はつかないだろうと思う。そういうことを考えてみますと、一朝不幸な事態が起きたとするとどうなるかということを想像してみて、そうして私これはえらいことになると思う。あのそうでなくてもからみ合っておる自動車というものは、もしそういうことが起きたら、自動車を投げて、その運転手さんは逃げ出す以外に方法がない。そういうところへ消防自動車が走れるかというと、消防自動車が走れないことは明らかです。消火栓が使えるかというと、消火栓も使えないという状態です。そうしますと、今度一朝大風のときに失火があったとすると、木造家屋が並んでおるこの日本ではどんなことが起きるかということはおそらく想像できると思うのですね。避難しようったって避難もできないことも起こりやせぬか。そうするというと、これも大災害がそういうときに起きないという保証がつかぬという気がするのですね。そういうことに対して、一体消防庁としてはどういうふうな対策なり、あるいは処置を考えておられるのか、これは非常に私はそういう場面に何回もぶつかって常に感ずることで、いつかその機会があったらお聞きしたいと思っておったのですが、これはどういうふうに対策を考えておられますか。
  39. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 御指摘の交通の麻痺状況と、消防活動に非常に支障を来たしておるということは、まことに困ったことでございまして、ことに東京旧市内が一番ひどいのでございますが、次が大阪、そういった大都市、現在では大都市だけの問題でございますが、全くこれを解決するには、根本的に道路問題あるいは自動車関係行政整備していく以外には根本的な解決はないわけでございますが、消防としてはそれを待っておるわけにはいきませんので、消防としてできるだけの対策を東京及び大阪等におきましては講じておるわけでございます。と申しますのは、なかなか麻痺状態になった自動車の行列を追い越すわけにも参りませんので、結局、消防署あるいは出張所というようなものの配置をもっとこまかくして、いわば活動範囲を短くするということと、それから火災で出動する場合、従来なら第一出動で七、八台程度出ておったものを、最初から第二出動をかけて十四、五台を出す、どれかがどこかの道を通って現場に到達するだろうということを期待いたしまして、従来の普通の倍も出動させる、消防署の配置を勘案することと、出場態勢を変えていくという、まあそれでも十分とは申せませんが、現在消防としてなし得る態勢を整えておるわけでございます。さらに警視庁とも連絡をとりまして、東京におきましては、火災のあった場合には、まあできるだけの交通整理に努力をしていただくということで、消防警察で十分協議をいたしておるような次第であります。現在の状態におきましては、根本的な交通対策を講じない限りは、どうしても根本的な解決にはならないわけでございますが、消防として単独でできるそういった方法をいろいろ考えて対策を講じておるような次第でございます。
  40. 西田信一

    ○西田信一君 大へんむずかしい問題ですから、明確な対策を期することは困難かもしれませんけれども、交通麻痺というのは偶発的に、いつどこに起きるのかわからないで起きるのじゃなくて、ほとんどきまった場所にきまった時間に起きるというよう状況であろうと思うのです。従って、それに対する対策というものは、立てようによっては立てられる、今伺って非常に御苦心があるようですけれども、もっといろいろ関係方面との具体的なこの対策に対する協議なり、あるいはその他の方法を講じられますならば、もっと根本的なこれに対する対策というものは立てられないと、私は、そういう不幸な事態が起きなければけっこうなことでありますが、そういうことが起きないという保証はないので心配があるわけでありますが、それで今あえてお尋ねしたわけであります。私は希望を申し上げておきますが、もう少し突っ込んで、少なくとも、おそらく相当広範囲の所がにっちもさっちも動かないという状況は、私はこの際、火災、災害の拡大を防止するという意味から申しましても、これはぜひ一つ対策を立てていただきたい。もっと根本的な対策を立てていただきたいということを、きょうは希望を申し上げておきます。できましたら一つ適当な機会に、この対策をお立てになった結果というものを機会がございましたら一つ御報告を願うということをお願いしておきます。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 先だってお願いしました資料を見て、それについて少しお伺いいたしと思います。  一つは、最近どうも火災の件数が多くなってくると同時に、死傷者がだいぶふえてきているようであります。特に火災のために気の毒にも死んでしまうというようなことがあって、三十三年と三十四年の比較においては、死者が一二・三%もふえておるというようなことになっておるのですが、これについても対策はどうかということをお尋ねして、その資料をお願いしたわけでありますけれども、ここに昨年十二月二十六日付でいろいろな注意を促したことが書かれておりますが、もっと根本的に、一体、最近の火災のふえる原因、特に死者の出る原因についてどのようにお考えになっておられるのか、そしてまた、その対策についてどうなのか、お考えを聞かしてもらいたいと思います。
  42. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 最近、火災のあるたびに非常に死者が多くなって参った傾向は、まことに遺憾に存ずる次第でございますが、これは、先ほども火災原因について御説明申し上げましたのと関連いたすわけでございますが、住宅事情が悪くて雑居生活が非常に多い、しかも、その雑居生活の建物がまことに不完全なバラック式なものが非常に多いということ。それからまあ最近景気がよくなってきたために、キャバレーとか、カフェーとかが大へんはやる、それだけに使用人も多くなってくる、その使用人を寝せる場所がないものですから、従来物置に使っていた三階を無理して寝室にするというような現象があるわけであります。これは建築基準法から申せば違法なわけでございますが、そういったことをやっておる。あるいは下請工場が非常に景気がよくなって参ったので、臨時の工員をたくさんふやす、その臨時の工員は、まことに仕事にはなれていない上に、また、その使用人を寝せる場所がないために、無理して事業所の裏屋根みたいな所に寝せる、そういった景気がよくなったこと、人口がふえてきたことと設備なり居住関係が伴っていかないというところに、火災の原因も多いと同時に、非常に死者が多いということだろうと観察されるのでございます。最近、ことにことしに入りましてから非常に死者が多いのは、それにもう一つ加えまして、非常に乾燥度が激しくて、通常の時間の半分くらいの時間で、つまり、ぼやで済むやつがごく短い時間で炎上火災になってしまうというようなことがございまして、これは一線の消防としては非常に苦労をいたしておるわけであります。そういったいろいろな原因が重なって最近死者が多くなっておるわけでございまして、まことに遺憾な点でございますが、これも先ほど申し上げましたような予防査察によりまして、そういった建物の違法使用をやめるよう指導するとか、あるいは老人、子供の寝る場所を必ず一階にするような処置をとれと指導いたしましたり、その他人命保護に関する指導を予防査察においてやっております。一方、消防におきましても、人命保護ということを消防活動の第一の重大な要件といたしまして、東京初め火災の多い都市におきましては、特別にこの人命保護の対策本部等を設けまして、いかに消防活動の力を人命保護の方に集中するかということに努力いたしておるわけでございます。まあそのほかに、それぞれの建物に人命救助のはしごとか、救命袋とか、その他の施設を作らせること等にも努力いたしておるわけでございます。今後は、昨年消防法改正をいただきまして、この四月一日から施行されます消防法改正におきまして、各そういった建物に防火管理者を設けることとなりました。また消防施設等も政令で相当厳重な施設を設けさせることになっておりますので、将来の対策といたしましては、改正消防法の執行を厳密にやることによりまして効果を上げていきたい、まあさよう考えておるわけでございます。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 今のお話で、これはまあなかなか大へんなことでありますし、こういうものが最近ふえたといっても、特に今直ぐききめのあるような対策というものも、これは非常な大事なものだと思います。ただ、この中で一つは、建築の上からいわば不法な建築があるのじゃないかと、また不法とまでいえなくとも、避難の設備とか、そういうものをもっと取り入れたものにしなきゃならぬというような、そういう点においての不十分さがあるのではないかと。さらにいま一つは、施設の面におきましても、いわゆる消火施設の面におきましても、今、長官お話しあったように、何か備付があることによって、大きくなることを未然に防ぐというようなことも可能であるように思うのです。従って、こういうものに対して、これは建設省の関係もあると思います、この建築の不法であるとか、あるいは違法の使用とかいろいろあると思うのですが、これは十分一つ連絡をとって、そういうものの根絶を期するということを特にやはり力を入れてやっていただかなければいけないのじゃないかと思うのです。それから今の消火施設等の問題につきましては、今度政令等のいろいろな問題もありますし、また防火管理者の問題につきましてもお話があったわけでありますが、こういう問題についても、もっと早く、去年の改正からもう四月に施行しなければならぬというそういうときになってまだ出ておらぬというのは、私はやはりこれは、私はどこに問題があるのかわからぬのですけれども、ときがときだけに若干怠慢のそしりというのは言葉がちょっときついのですが、少しスローモーじゃないかと思うのです。いろいろあなた方だけできめかねるようなところもあるように聞いておりますが、それにつきましても、先だっても申し上げましたように、これは早くそういうものをやって、対策として手落ちなく進められるように特に私は必要であろうというふうに思うのですが、重ねてその二点についてお伺いしたいと思います。
  44. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 御指摘ように、やはり建築基準法に違反した建築が非常に多いのでございまして、これは建設省所管でございますが、消防庁といたしましては、予防査察によって、やはりその違反建築を摘発いたしまして、建築当局に連絡をとって法的措置をとってもらうということに努力をいたしておるわけでございますが、なかなか建築当局も人手不足で十分にいきませんので、まことに遺憾な点が多いのでございますが、今後とも十分連絡をとりまして違反建築をなくするために努力していきたいと考えております。  それから各防火対象物に対する消防施設の問題でございますが、これは昨年改正をいただきました消防法の一部改正の施行令がこの四月一日に実施されるわけでございます。大へん長い時間かかってまことにお恥ずかしいのでございますが、四月一日施行ということに法律できまっておりますので、まあそれは間違いなく四月一日に施行するようにいたします。ただ、これは昨年の消防法改正並びにそれに伴う政令の施行によって初めて防火対象物に消防施設を置かなければならないということになったわけではないのでございまして、これは本改正のときにも御説明申し上げましたように、従来、市町村条例でそれらの義務づけがなされておったわけでございます。ただそれが、やらない町村が多くて非常に不徹底であるということと、全国的にまちまちでは大へん不便を受ける人が多いというような観点から、これを政令段階に持ち上げて全国斉一な規定にしようということにしただけのことでございまして、従来打っちゃっておいたわでけではなく、また今度初めてこれをやるわけではないのございまして、四月一日から施行いたしますが、その四月一日以前はブランクだというわけではない問題でございまして、その点は大へんまあおくれておって恥ずかしいのでございますが、その点については、実際問題として特に支障がございません。また今後のこの法律、政令の施行につきましても、それぞれ法律のでき上がりとは別に、現地各県市町村とは連絡をとっておりますので、政令が施行された後のこれの実施につきましても、特に支障があるとは考えておりません。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 後段のことは少しおかしいと思うんですよ。私もあなた方がおっしゃるような政令が出る出ないによって、従来、現在まで全然ないというようなことを考えて、あるいはそういうことを前提として私ものを言っているのじゃない。しかし、法律ができて政令その他によって少なくともきめなければならぬ、それによって一そうの整備をはかる、充実をはかる、心配ないような態勢にしなければならぬということだと私は思うのですね。とすれば、もう二週間かそこらで政令のいわゆる四月一日から発足しなければならぬ、実施されなければならぬというときに、まだもたもたして出ないというようなことがおかしい、こういうことなんです。やはり実施するには、それなりの相当な準備期間というものも必要だし、法の徹底というようなことも必要だし、しかも、あなたが言われるように、まちまちであったり、不十分であったりするんだから、それをできるだけりっぱなものに引き上げようというそういう性質のものなのですからね。それを私は現在まで何もなかったとか、全然そういうことに対して手を打たなかったとかいうことを私指摘するのじゃなくて、新しいそういう段階を迎えようとする際に、なおかつ、いつ出るかわからぬというような形では少し心もとないから、それを早くやるべきじゃないか、こういうことを言ったのです。それに対してお考えなり、あるいは見通しがあったら、こういうことで私お聞きしたのであります。ですから、何も私現在までやられておらないとか、どこにもそういう消火施設等のものがなかったというようなことを前提にしてものを言っているのじゃなくて、すでにあったんだが、さらにもっとりっぱなものにするためにあなた方今考えているというのですから、その考えている政令なり、その他関連する施行令なり、規則なり、こういうものをできるだけ早く出すことがいいのじゃないか、こういうことなんですから、一つ誤解のないように御答弁いただきたいと思います。  発火の原因に関連をしまして、電気器具の問題が最近いろいろ取り上げられているようでありますし、私どもそういうものが原因となって火災が起こるということをしばしば見聞しているわけでありますが、聞きますと、通産省で電気用品取り締まり法というような、正確な名前は私わかりませんが、そういうものの準備を進めているというようなことを聞いているわけでありますが、そこで、これは私ども委員会で、この前の消防法改正の際だったと思いますが、電気器具の問題あるいは電気工事の問題、こういう問題について附帯決議をつけましたですね、附帯決議に基づいて電気工事士法のそれは出て参りましたのですが、電気器具の不良器具の追放というような観点から今通産省がそういういうものを国会へ出そうとしているのか。だとすれば、消防庁としてどういう通産省との間に話し合いを進めておられるのか。特にその法案の骨子となっているものがどういうものであるか。もし御承知であるならば一つ説明願いたいと思います。
  46. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 電気用品取締法の問題につきましては、今までの折衝の経過をあとで総務課長から御説明を申し上げたいと存じますが、政令がおくれておりますことは、まことに申しわけないのでありますが……
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 その点はいい。
  48. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) その点は十分急いで公布するようにいたしたいと思います。
  49. 山本弘

    政府委員(山本弘君) ただいま御指摘の電気製品取締法案、通産省提出予定の消防庁との折衝の状況を申し上げたいと思います。これは、第三十一回国会におきまして、参議院地方行政委員会で、消防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議として、電気工事者に対する資格試験の実施と、それから不良電気器具の排除等に関する火災防止の見地からの決議がございます。その決議に基づきまして、昨年、電気工事士法が通産省から出されたのでございます。続いて今国会に電気製品取締法案を出そうとしているものでございます。現在までの折衝の結果は、通産省案によりますと、電気製品を製造しようとする者は、通産大臣の登録を受けまして、そうして製造しようとする製品の型式ごとに承認をさらに受けます。そうして製造するのでございます。製造したものは、通産省の技術上の基準に適合しなければなりません。そうして適合した場合におきましては、それを明示する証票を張って店頭で売るということになるわけでございます。  そこで問題は、製造段階の規制はそれで十分であろうかと思うのでございますが、販売段階における規制の問題について、現在、通産省と消防庁との間において若干意見を異にしているのでございます。と申しますのは、製造段階で押えて、しかも、証票を張ったものを売らすんだから、それ以上販売まで規制する必要はないんじゃないかというのが通産省の考え方のようでございます。われわれといたしましては、結局、販売店から最終消費者に渡りまして、それが家庭その他で使われる場合に、その不良のゆえに火災が起こるということが問題でございます。そういう意味で、いわゆる販売規制が何らかの形で加えらるべきである。それも消防吏員の権限において、それの取り締まりが行なわれるようにしなければ、結局この法律がざる法になるであろうということで折衝いたしているよう状況でございます。その点につきましては、最終的な話がついておりません。  以上のよう状況でございます。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、これは製造段階における通産省の検査とか、これはその通りでいいと思うので、問題は、今あなたがおっしゃったように、消防吏員が商品を、何といいますか、検査するといいますかね、そういうことをあなた方が要望しておられる。しかし、それに対して通産省の方は簡単に納得しないような状態であるというようお話でしたが、通産省の前の電気用品が取締実施要綱というのが出ておりますね、前から。この中には、通産省がこれは製造段階においてももちろん検査をするんだが、店頭においても通産省の方で検査するんだ、こういうことが書かれて、それのもとに現在までこれはやられていると思うのですが、さらにあなた方は消防吏員によるいわば立ち入り検査みたいなことを要望しておられる、こういうことなんですか。
  51. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 御指摘通りでございまして、むろん通産大臣地方の商工局に係員を持っております。そしてそれが店舗において取り締まりをするということになっておるのでございましすが、非常に全国の販売店舗は、数はちょっと忘れましたが、おそらく万をもって、あるいはそれ以上の数になるかと思いますが、一々通産局の係員をもってしては十分なる販売規制がなし得ない。また、それを府県の商工部門を担当する者に委任をいたしましても、係員はきわめて微々たる数で、おそらくこれも全国通じて何百名の数字であろうかと思うのでございます。多分そのくらいの数だろうと思います。そういう状況でございますので、消防におきましては、第一線におきまして、消防吏員を相当持っております。従って、そういった不良電気製品を取り締まるため、火災防止の任務を持った消防吏員が取り締まるということが適当であろう、この法律を実効あらしめるためには必要であろう、かようにわれわれは考えておるのでございます。
  52. 鈴木壽

    鈴木壽君 お考えもわかりますが、どうでしょうかね。消防吏員がこういうような電気機器に対するみんな知識を持って、それこそ抜き取り検査みたようなことをやって効果を上げておられるようなことになっておるのかどうかですね。もちろん、お話ように、今どんないなかへ行っても、こういう所にまでと思うような所に電気用品を扱う店ができておりますね。特に最近はやっている電気がまとか、洗たく機とか、いろいろ、ああいうテレビ、ラジオはもちろんですね。ですから、通産省の方では手が回りかねるというようなところも私おっしゃる通りだと思いますが、さればといって、今申し上げましたように、消防吏員で、市町村の末端における消防吏員でそういうことがはたしてなし得るかどうかということが私ちょっと疑問なんです。その点、どうです。
  53. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 実は、消防吏員の行ないますところの、立ち入りによって行ないますところの取り締まり——大げさな表現でございますが、取り締まりの内容は、一々電気製品を取り上げまして、その技術的な問題を検査するというようなむずかしい問題じゃなしに、先ほども申し上げましたように、通産省の案によりますと、合格したものは一定の証票を張られて売られるわけなんです。そういうものでなくちゃ売っちゃならないということになっておりますから、消防吏員が店に入りまして電気製品を見まして、その証票が張ってあるか、張ってないかということに著目して取り締まりをすればいいのでございまして、特別な技術的な問題も生じないということで、消防吏員におきましても十分に趣旨を生かす取り締まりができる。つまり先ほど申し上げましたように、証票をつけたものでなくちゃ売っちゃいけないという規制なんでございますから、それを店頭において消防吏員でできる、さようにわれわれは考えておるのでございます。非常に技術的な問題であるのでございましたら、それはなるほど店頭において消防吏員がどうこうというようなこともあるいは起きるかもしれませんが、さように存じておるのであります。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、あれですか。レッテルがあるかないか、そういうことだけを見て歩く、こういうことなんですか。
  55. 山本弘

    政府委員(山本弘君) さようでございます。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 その程度は、何かもっと別に考えなければいけないと思うのですね。だから消防吏員が、もちろんその火災の原因になる問題でありますから、関係があるし、心配だし、火災予防という見地からやるということが、レッテルのあるなしを調べるのだったら、これは別にあなた方の関係消防吏員がやらなくても、何かの方法があると思うのですがね。  そこで私思うことは、もっと突っ込んだ、たとえば回路がどういうふうになっておるのか、接触がどうなっておるのか、抵抗がどうなのかというような、そういうようなことまで調べなければ私はほんとうの調べ方でないと思う。それは中央で製造所の段階において検査がパスしておっても、途中でまたいろいろな故障が起こらないとも限らないものですし、そういう意味におけるいわゆる性能なり、あるいは特に電気の回路等についての十分なやはり検査をするのだというようなことだったら必要があるし、しかし、それをやるとすれば、さっきも言ったよう消防吏員の判定能力と言っちゃ悪いけれども、そういう今の消防吏員の方々の段階からして、そういうことが可能であろうかどうか、こういう心配をしたわけなんです。お話を聞くと、いや、そうじゃなしに検査証があるかないかということだけだ、そうすればこれはまた必ずしも消防吏員がそこへ行ってどうのこうのというふうなことまで必要じゃないんじゃないかとも思うのですが、これは私も実はそういうふうなお話を聞きますと、もっと考えてみなければいけませんが……。
  57. 山本弘

    政府委員(山本弘君) むろん今申しましたように、電気製品取締法案の骨子が、登録を受けさして型式の承認をして製品について技術上の基準に適合したものを証票をつけるということでございますから、その限りにおきましては、これらは十分に性能がいわゆる火災防止の面から考えまして心配のないものであろうと考えられるのでございます。十分な保証はあろうと思うのでございます。ところが問題はそういったものじゃなしに不良電気器具、すなわち、そういうルートをくぐらずにいわゆるやみと申しますか、そういう登録承認を受けずに作って店舗に売り出してくるというものがおそらく非常に多いだろうと思うのでございますが、そういう場合におきまして、われわれはとにかくそういう不良電気品が売られないように見て回るのでございまして、従いまして、証票の張ってあるものならばこれは大丈夫、張ってないものはこれはいわゆるルート外のものだからいけないというようなことで選別していくわけでございますので、消防吏員にも十分なし得るし、また不良電気品の追放という、不良電気品を家庭に売らさないようにするという意味で実効の上がるものである、かように感じておるのでございます。その点、非常に消防吏員が製品の取り締まり、店舗に出入するということにつきましては、いろいろな角度からのまた問題も実はあろうかとも思うのでございます。そういう意味で、われわれは現在は火災予防のために立ち入り調査が行なわれておりますが、これが製品の販売のために立ち入りするということになりますから、若干また角度が違ってくるかとも思いますので、この立ち入り調査につまきしては、これは十分に注意をしなければならない問題であるということを同時にあわせ考えておるのでございます。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 今、私も申し上げましたように、また、あなたもおっしゃるように、これは火災予防という見地からやるという気持は十分わかりましたが、店頭に立って商品の立ち入り検査という形になるでしょうし、一体その場合に、検査票があるない、これを見て、ないものについてどの程度それなら消防吏員が販売させないような権限があるのかないのか、こういう点はどうですか。
  59. 山本弘

    政府委員(山本弘君) この点は非常にむずかしい問題でございまして、実はその点のところの法律的な詰めがまだ十分できていないようなことでございます。と申しますのは、通産省関係で製造からずっとやって、販売のおしまいのところだけがいわゆる消防でやるわけでございます。その場合に、売った場合にどういうふうな罰則をかけるかということになるわけでございますが、それもさらにまたいわゆる販売停止命令のよう行政的な措置というものをなし得るような余地をどういうふうに開くのかどうかという問題もいろいろあるわけでございまして、そういう点は一応法理論的にも若干の疑義もないわけではございませんので、話し合っているよう状況でございます。ただいま申し上げましたのは、店頭における取り締まりが結局抜けてしまわないようにする、通産省系統だけの取り締まりあるいはまた、都道府県知事さんの商工系統だけの応援を得ての取り締まりだけじゃ不十分じゃないか、消防まで使ってせっかくそういう不良電気製品を追放するという趣旨でお作りになる法律であるならば、積極的に消防も関与する道も開いた方が実効が上がるんじゃないかという点を主として話し合っているわけでございまして、ただいまの問題につきましては、なお十分まだ法理論的にも詰めねばならぬ問題があると存じております。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の最後の点、特に法的に一体どの程度規制する力があるかどうかということは大事な問題であると思いますとともに、むしろそういう面でやるよりも一般の方々に対する啓蒙宣伝といいますか、各家庭の心得として何かほかに考えないと、ただ、そこに消防吏員が行ってあるなしを見ただけじゃあまり効果は上がらない、もっと効果を上げるためには法的にきちっとしたものがなければならない。そうなるとむずかしいと思いますが、今、私も自分自身の結論がつきかねるので十分に検討いたしたいと思いますが、一応気持はわかりますけれども、何とかしてそういう不良なものを排除して火災の防止のために役立たせたいという気持はわかりますが、今言ったような問題もありますから、さらに相当研究すべき問題だと思います。これは大事な問題でありますから、あわてないで検討してもらいたいと思います。むしろ私は今の段階じゃ使用者の取り扱い上のいろいろな問題あるいは使用者の電気器具に対する、あるいは電気知識についての不足さが大事に至らせるということが私は大部分であろうと思っております。中にはテレビから火事が起きたというそういう例もありますけれども、大部分が取り扱い上の不注意——こんろをつけ放しにしておいたとか、アイロンのスイッチを切らないで置いたとかいうようなこと、それから取り扱いのための知識がなかったためにへまをやってしまったというようなことで火事になる、あるいはその他の事故が起こるということが多いのじゃないかと思うので、一つそういう面で国民に対する啓蒙が特に必要な段階であると思うのですが、そういう面とも今の問題は関連するわけですから御研究願いたいと思います。  時間もないようでございますから、最後に消防協会に対する委託の資料が出て参りましたので、これで少しお聞きしておしまいにしたいと思いますが、この資料についてお尋ねする前に、消防協会は年間どのくらいの経費で運営されているか御存じありませんか。
  61. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防協会の会費は、団員が直接会員になっておりますので、団員が一人当たり五円でございます。百七十万といたしましても七、八百万円程度の会費収入でございます。それから現在は御承知の虎の門のあの会館を運営いたしておりますが、この運営状況が計数上どんなふうになっておりますかは、私は十分承知いたしませんが、純粋の消防協会としての経費は、先ほど申し上げました一人五円程度の会費でやっているということであります。
  62. 鈴木壽

    鈴木壽君 事業収益等がありますか、今の会館の方も含めまして。
  63. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 詳しい数字は忘れましたが、日本消防協会は会館自体を事務所へも貸しておりますし、また日消ホールというのがございまして、いろいろ劇にも貸しておりますが、その点の事業収益はございますが、これは特別会計として運営されているように私は承知いたしております。
  64. 鈴木壽

    鈴木壽君 このいただいた資料を見ますと、千五百万のうち、それぞれ仕事を委託してそれに応じた金の出し方をしているようであります。しかしたとえば、ここにも一覧表がございますが、別表二というのにパンフレットとか資料展示室こういうものがまだ計画中というようなものがありますが、もう三月で、パンフレットが何も出ないとか、展示室が何もできておらない、まあ何心できておらないというのはあるいは言い過ぎかもしれませんが、とにかく計画中だと、こう言う。これは一体どういうことなんでしょうかね。
  65. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) その資料のうちの別表第二に計画中というのが二つございますが、これは大体でき上がっているのでございますが、いろいろ疑問の点、あるいは修正すべき点を修正さして、最後のすっかりでき上がったところで金を出すということになっておりますので、大体計画はできてもう進んでいるのですが、そういう関係計画中ということで、もう三月もおしまいでちょっとおかしいのですが、そういう意味で計画中となっておりますが、この点御了承を願います。
  66. 鈴木壽

    鈴木壽君 パンフレットなんかまだ計画中だというのは、これはいつ出すパンフレットなのですか。三十五年度の仕事としてやるべきことで、これが五月六月に計画中とか七月、八月にまだ全貌ができておらないというならまだ話はわかりますが、これは何のためのパンフレットなのですか。あなた方はいつ出させるためにそういう仕事を委託したのか。
  67. 山本弘

    政府委員(山本弘君) パンフレット、リーフレットにつきましては、これはまあここにも書いてございますが、消防協会、あるいは教育委員会を通じて啓蒙宣伝を行なうために発走をいたしているのでございますが、これにつきまして、もう年度は終わりになっているのでございますが、火災予防運動の期間を中心に行なうということになっておりまして、大体二月、三月という時期になっておりまして、それでこれにつきまして計画をいたして、あるいは出ているかとも思うのですが、ちょっとこの計画中というのは、何と申しますか、金を払ったということではっきりしているものと、そうでないものと分けているのだと思います。
  68. 鈴木壽

    鈴木壽君 別表一によりますと、パンフレットによる啓蒙宣伝ということは、各都道府県消防協会及び県教育委員会を通じて行なう仕事である、そうして六十万円の計画でこれはやっている、教科書的パンフレット二十万部、一部三十円、計六十万円、こういうことになっておりますがね。これはいつ——これは一部三十円、二十万部もあるよう計画がまだできないということでは、一体何のためにこういうものを——私は時期がこういうものには大事だと思うのです。パンフレットですから。それが予算がきまって、新しい年度がずっと経過していって、もう次の年の年度になるというときにまだ計画中じゃ、おかしいじゃないですかね。
  69. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) これは計画中というのが二つございますが、これは私はだんだん事業は執行しておって、金の支払いがおくれておるので、こちらからまだ予算を出しておりませんので計画中となっておるのだと思いますが、これはちょっとわかりませんので、なお、あとでこれらの計画中のものの内容を詳しく御報告申し上げたいと思います。
  70. 鈴木壽

    鈴木壽君 それじゃあとでお調べいただくということですから、まあ時間もありませんから、お調べのついでに、どのようなパンフレットなのか、これはおそらくお話によると、できているのじゃないかと思う。ただ金を支払うか支払わないかという問題だけなんですから、いつ発行したのか、これは一つできたら原文もあったらほしいと思うのです。  それからもう一つは、資料展示室でありますが、これは五十万円の予算でやりますけれども、これも計画中で、一体部屋に今何か資料を展示しておりますか、おりませんか。
  71. 山本弘

    政府委員(山本弘君) これは日本消防協会内におきまして、消防のいろいろな歴史的な文献とか、そういうもので、消防の広報のために——地方から日本消防会館にのぼって参って泊る人もございますし、また見学に参る方もございます。そういう人のために資料を設けるという意味で、この三十五年度において予算を計上いたしまして、現在いろいろな資料を集めまして展示すべくやっておるわけでございます。そういうものでございます。
  72. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから、これも今もう年度終わりのときに、そういう部屋があって、まあ資料の多い少ないは別にしても、そういうものができておるかどうかということです。
  73. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) これらにつきましても、あとで詳しい資料を提出いたしたいと存じますが、先ほど申し上げましたように、この資料展示室もまだ支払いが済んでいないので、こちらかう予算を執行しておりませんので、計画中と書いてあったのだろうと存じます。なお詳しくは先ほど申し上げましたように、あとで内容の詳しいところを御報告申し上げたいと存じます。
  74. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 委員長からも要望しますが、資料を出されるときには、明確な答弁ができる用意をして資料を出してもらいたい。
  75. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあ委員長からお話がありましたのですが、私のお聞きしているのは、それは予算を、金を支払ったか支払わないか聞いているのじゃなくて、部屋ができて、何か資料をそこに飾られてあって、いわゆる資料室としての機能を果たしておるかどうかと、こういうことなんです。それで、これは政務次官一つお願いみたいな、要望みたいなことですが、来年度の予算にもこの資料展示室のやつが五十万円上がっておるのです。まだできないこんなものに金をやる必要はないと思うし、それから今のパンフレット等についても、今度は来年度は百万円です。どういうものに使うか。これも三十七年の三月になってもまだできないというような、そういうむだな役にたたない、要らないものだったら、一つ国民の大事なこれは税金から持っていくのですから、よく研究して、はたして出していいのかどうか、国の予算があるから出していいのだということでなしに、ほんとうに委託ですから、私補助金だったら言いません。この前もちょっとお聞きしたので、補助金であるというなら、これはある意味において、考えようによってはやむを得ないということもあると思う。こういう仕事をしている消防協会というものがある、それに対して助成をする、補助をするということだったらいいのですが、委託金として出す、事業の委託ですから、どのように仕事がなされておるかというようなことについて、ずさんなやり方であっては私は許されないと思う。よく監査をして、委託された事業をどのように忠実にやっているかどうか、これは一つお調べの上に、今後の支出等についてやっていただくように、これは当然自治省の所管でございますから、あなたも一つきちっとやっていただくように私は要望したいと思います。  さらに私は、実質的にこれらの金は人件費等に相当回っているんじゃないかと思う。そういうことがあるのかないのか。これは人件費等の、さっき私ちょっと、協会がどの程度の経費によって運営されているか、お聞きした場合に、会費は八百五十万程度しかないようですね、五円の百七十万といいますと。こういうのを、会館の事業収入は別途会計とすますと、どのくらいの人間がおって、どのくらいの経費がかかるかということは、これは今のところ、自分では調べておりませんけれども、こういう点についても想像しますことは、こういう金がもっともらしいことになって出ていますけれども、何か運営あるいは人件費等に相当使われているのじゃないか。これを見ますと、人件費なんか一円も出ないよう説明であります。だから補助なら補助委託費なら委託費、これははっきりお互い割り切ってやらないと私は困ると思いますから、その点一つ政務次官からも、十分にお調べの上に善処していただきたいということを私申し上げて、いずれ、あとの機会にまた調査の結果出てくるでございましょうから、また、そのときに関連してお聞きすることにして、きょうは時間も時間でございますから、消防組織法の法案に関連した質問としては一応終わっておきます。
  76. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) 御指摘の点ごもっともでございますので、十分調査いたしまして、御要望の線に沿うよう善処いたしたいと思います。
  77. 秋山長造

    ○秋山長造君 二点お尋ねしたいのですが、今の消防協会の委託費の問題は、鈴木委員からだいぶ御質問があったんですが、私も全く同じ感じを持つ、まあ相当各事業項目の間で流用も行なわれているに違いないと思う。また、人件費等に相当出ているのじゃないかと思いますが、その中で事業費の最後の方の世論調査というのは、どういうことをやっているのですか。世論調査、百二十五万ですか。
  78. 山本弘

    政府委員(山本弘君) 消防に対して国民がどう思っておるかと、いうことで、それを基礎にいたしまして、いろいろな消防行政の報告も書かなければなりませんので、世論調査は政府が直接するわけにはいきません。従いまして、たとえば消防協会の委託費を通じまして調査をいたしております。これは日本調査社でございますか、政府が一般に世論調査の場合に委託している調査社でございます。それに対して委託をいたしまして消防の世論調査をいたしておるのでございます。
  79. 秋山長造

    ○秋山長造君 まあどう思っているかというようなばく然としたことを言われても、これははっっりしないのですが、毎年同じような経費をかけてやっておるのですが、どういうことをねらってやっているのですか。ただばく然と、国民が消防をどう思っているかというような調査程度ならば、まあ私の感じでは無意味じゃないかと思う。こんなことは、全然国民がどう思おうと、思うまいと、大体消防の任務とかなんとかというものはよくわかっておるわけなんです。だから、その結果を見せてもらいたい。  それからもう一つは、それは、各役所が個々ばらばらにこういう調査をするのでなしに、やはり内閣の調査室というのがあって、あそこにずいぶん膨大な、しょっちゅう国会でも問題になりますが、膨大な予算を組んで、あそこで大体政府関係の世論調査というものは一まとめにしてやっておるはずです。内閣調査室の世論調査の内容にも問題があるけれども、とにかく、あそこで一まとめにしてやっておることになっておる。それをまた各役所で別々に相当な経費を使ってそうして、今おっしゃる程度では、ぜひ百二十五万円毎年組んでやらなければならぬ調査かどうか、また、それをやったことがどれだけ実質的に消防の仕事にプラスになるかどうか、ちょっと疑わざるを得なこ。どうですか。
  80. 山本弘

    政府委員(山本弘君) だんだんのお話もございますように、消防に対しましては、国民の火災予防にいたしましても、すべて消防に対する関心ということが重大な問題になります。だから、消防に対する国民の関心とか、あるいは消防に対する国民の要望はどこにあるのだということもよく見きわめまして、施策の一斑にしたいということで世論調査をいたしておるわけでございます。そうして、主要項目につきまして、数十項目にわたりましてしておりますが、今年度の結果につきましては、もうでき上がっておりましてまとまっておりますので、後刻お目にかけたいと思うのでございます。なお、内閣機関において総合的にやっておるから、それと一緒にやったらどうかということでございますが、何と申しますか、日本消防協会を通じて広くPRもいたして、消防の、火災防止等のPRをやっておるわけでございまして、世論調査も、ひとしくこれもPRの一環でございますので、日本消防協会の委託費として組んであるということでございますので、御了承願いたいと思います。
  81. 秋山長造

    ○秋山長造君 その程度の御答弁では了承できませんけれども、どういうことをやられたのか、資料をまたいただくときに、いろいろな問題について御質問したいと思います。  それからもう一点は、寄付金のことですが、この資料を見ますと、三十三年までしか出てないので、私がほしかったのは、最近の資料なんですけれども、ちょっと古いのですが、しかし、この古い資料によっても、相当消防寄付というものがあるわけですね。たとえば昭和三十二年度を見ますと、市町村予算に計上されただけでも八億円あるでしょう。それから予算に計上されていないものが十三億六千万円、ちょっと十四億ばかりある。おそらく私は、その実態はこういう数字よりもはるかに上回った数字だろうと思う。なかなか性質上正確に捕捉することはむずかしいから、こういう数字になって出ておるのだろうと思う。しかも、三十一年、三十二年、三十三年と三年度間にわたる終計だけ見ても、年々やはり減らずにふえておる。予算に計上されておる寄付金だけですけれども、ふえておる。おそらく、計上されていない寄付金なんというものも、同じようにふえておるのじゃないかと思う。そういう点について、消防庁としては、この消防寄付というものをどういうよう考えておられるか、また、どういうよう指導しておられるのかということを聞きたい。といいますのは、ちょうど昭和二十八年にすでに消防施設強化促進法ができまして、そうして、年次計画でもって消防施設を画期的に整備強化していこうということになったわけです。あの当時、今の長官が当時おられましたか。——その当時、私、ちょうど委員会におりまして、この法律案審議をするときに一番問題になった一つは、今の情勢の中でこういう強力な法律を作ってやるのはけっこうだが、その反面、消防寄付というものがやたらにまたかさんできて、非常にこれが地方住民の大きな負担になるのではないかということが非常に問題になった。そのときにこの委員会で附帯決議をつけたかどうかまでは覚えておりませんがね。とにかくこの法律をやることは、あくまで公費をもって消防施設強化はやるべきであって、いやしくも消防寄付がこれによってますますかさんでいくというようなことは絶対避けなければならぬということは、これはもうこの委員会でも再三再四確認されたことだし、当時の当局者もこれは口をすっぱくして、そういうおそれのないよう指導する、そうしてその消防寄付というものは、終戦直後のあの混乱時代の、やむを得ない必要悪だったので、まあだいぶ情勢が落ちついてきたので、消防寄付というようなものは、これはもうできるだけ押えていく、なくしていく、こういう約束だったと思うのですね、ちょうどその当時同じよう警察法が出ておりましてね、警察法とも関連して、やはり警察寄付という問題が非常に問題になったのですよ。この委員会警察寄付についてもこれは非常にやかましく議論されて、そうして警察庁の方でも、これは絶対に押えていこうというような約束だった。今日の実情を見ますと、警察寄付の方はだいぶこれは少なくなってきていると思う。ところが、消防寄付の方は、こればわずか三年度の間の表を見ましても、これはふえる傾向が見える。だから、おそらくこれば減っていないと思うのですね、今日。だから、この施設整備はまことにけっこうなんです。また、これは大いにやらねばいかぬことだが、しかしその反面、表面に出ていない地方住民に対する経済的負担というものは、依然としてふえこそすれ減ってはおらぬということを私は確信しているのです。だから、そういうことでは非常に困るので、これはPTAの寄付、その他自治省関係のいろんな寄付がすべてそうですがね。中央の話を聞いていると、そういう寄付はだんだん減っていかなければならぬはずですけれども、実際地方へ行ってみると、寄付はますますふえるという傾向なんです。消防寄付なんか、その性格からいいますと、これは、いわれたらなかなかいやだということは言えぬ性質のものなんです。これは目に見えない一つの圧力というものがあるのですから、消防優先だというて。だから、そういう点についてどういう指導をしておられるのか。また、はっきりこれは、数字には出ないけれども、現在どの程度のものか地方住民の負担にかかっているのではないかということと。何かばく然としたことでもつかんでおられるのではないか。今後どうされていくのかということについて御答弁いただきたい。
  82. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防関係の税外負担みたいな寄付が非常に多いことはまことに遺憾でありまして、これは私ども消防施設整備に、財源を寄付に求めるという点は極力押えております。三分の一補助金を出す場合にも、その財源計画が全部出て参りますので、その際寄付金が財源になっております場合は、特別な寄付、弊害の全くない寄付は別といたしましても、一般の住民から税金みたいな形でとるような寄付は、全くこれはまあ弊害がございますので、そういうものを押えて、そういう財源をやらせぬよう指導いたしております。しかし、実際問題としてこういつた計数にはっきりと予算に現われている分だけでも八億、予算に未計上の分、これは必ずしも確実なものではございませんが、推計も入れまして、大体三十二年度で十三億余りというものが出ているわけであります。合わせますと二十億余になる寄付金がございまして、これは極力、施設強化の財源として寄付金を財源にするということは、先ほど申し上げましたよう補助事業につきましても、極力押えるように努めております。また、その他の費用に充てる寄付金についても、何と申しましても、こういった種類の寄付を半強制的に求めるというようなことがありますと、かえって住民の消防に対する熱意と申しますか、興味をなくす結果になりまして、消防運営上も非常な支障を来たしますので、機会あるごとにそういった財源の調整の仕方をしてはいけないということを一線の消防署に対しては指導をいたしております。一番大きな額になる消防施設につきましては、補助金の際に財源の処理につきましても十分調べまして、そういった不都合な財源を財源としないよう指導いたしておる次第でございます。
  83. 秋山長造

    ○秋山長造君 抽象的に指導してきたとおっしゃるのですが、これは抽象的な指導ということもやられるでしょうけれども、やはりこれはただそういう通り一ぺんにできるだけ指導してきたということでなしに、何か形をとった、あるいは通達とか、あなた方の方でいろいろな形式があるでしょう、そういう何か形に現われた指導をやってこられたのかどうかということ。で、消防施設強化促進法ができた二十八年度以降でけっこうですがね、消防庁の方で地方公共団体に対してこの消防寄付を抑制するために打ってこられたいろいろな手、いろいろな対策、そういうもので形に現われたものがあれば、また後刻でけっこうですが、資料として出していただきたい。いいですね。  それから、やはりあなた方としては、消防の経費はあくまで公費でまかなうべきであって、個人負担というようなものは取るべからずという方針はこれははっきりしておるのですかどうですか。やはり事を、整備の方を急ぐあまり、どうせ補助金の単価なんかも、この中にあるこれを見ますと、これは小学校や中学校の単価と同じことで、実情にそぐわぬ単価なんです。だから、そういうところからどうもギャップができる実情……。そこらはまあとりあえず寄付でやっておけとは言わぬまでも、そういう気持があればやはり以心伝心で、向こうはこれをやりますからね。そこらははっきりしておいてもらいたいと思うのですね。
  84. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 寄付を財源にするということはまことに困ったことでありますが、このことにつきまして、特に消防の経費について寄付金を財源にしてはいけないという通牒等を出したことはございません。先ほど申し上げましたようないろいろな機会に、そういう無理な財源の調達の仕方をしてはいけないということを申しておるだけで、改まった通牒を出したということはございません。と申しますのは、消防運営は、それぞれ町村によっていろいろ財源的にも、あるいは市町村民の消防に対する協力の仕方もいろいろまちまちでございまして、私ども一番指導上困りますのは、こっちの町で新しいりっぱなポンプを作った、隣の町の消防団がおれの方も作ってくれというので、みっともなくて訓練に出られないということで、部落全体が何とかして隣の町に負けないようポンプをほしいということで、単に消防だけの希望でなしに、隣の町と張り合うような気持で、みんなで何とか一つ金を出して隣りの町に負けないようなのを作ろうじゃないかという場合もあり得るのでございまして、そういうのが絶対にいけないのかということになりますと、私どもそんなこと絶対やっちゃいかぬということをちょっと言い切れない場合がございます。それでその点が自治体消防であり、財政市町村財政で見るということになっておって、国庫補助というものが主体になっているわけではないものでございますので、そこまではっきりと財政計画あるいは財源をこういうところに求めちゃいかぬ、こういうところに求めろということをちょっと言い切れない立場にございます。またあまり深く財源のことまでとやかく古いますと、あまりにも市町村の自治消防に干渉するような結果になります。その辺、大へん私どもといたしましては立場のつらい点もございます。現状はそういう点でございます。
  85. 秋山長造

    ○秋山長造君 そんなことを言っておったらこの金額はふえる一方です。厳禁するということはできぬことはわかっています。わかっていますけれども、やはり指導、勧告、助言というなにはあるのだから、文部省は指導、勧告、助言ということを口実にして何でもやっておるじゃありませんか、あの通りやってもらっちゃ困りますけれども、やはり指導、勧告、助言ということはきちっとあるのだから、厳禁ということで寄付金を取ったら処罰というのじゃないですから、消防建前としてはこうしなければならぬ、だから、国の方としてもそう考えてやっていく方針だから、地方団体においても極力抑制して消防の経費は公費で負担するこう方針を貫くべきだというくらいの指導は、やりなさいよ。そうでなければ、大学校まで作って指導しておる意味ありゃせぬ。
  86. 松永忠二

    ○松永忠二君 ちょっと関連。その答弁を伺う前に、私もそれと同じ実は具体的な例を持っているわけなんです。たとえばある町で購入費が百八十二万かかった、一般財源は全然なしで、補助金を五十三万出して寄付金が百二十九万、こういうようなのが出ておるわけです。あるいはある町は二百六十八万の消防ポンプを作るのに、一般財源で二十七万、補助金が六十二万で寄付金が百七十九万、こういうのがある。こういうような例は幾つもあるのです。そうすると今秋山委員に御答弁になったようなことは事実上徹底をしていない。ほとんどいわゆる割当で、それを各県が配分をするような形をとってそういうことをやっておる。そういう意味では、そういう場合があり得るのではなくて、それがほとんど慣例になっているのじゃないか、だからこの際徹底的に指導する必要があるんですよ。そういうことを一つ明確に答弁をしていただきたいことと、もう一つ次官にそういう点について、もう一つの点からいうと、たとえば三十四年度決算額に対して三十四年度の消防の需要額というのは一体どのくらいな割合になっているというよう考えておられるのか、こういう点を考えて、地方財政法の一部を改正して府県が市町村負担をさしてはならないというようなそういうふうな財政法の一部の改正もできたので、政令に今後これを入れて消防関係のものについて住民負担をかけてはならないというようなそういう点に拡大する考え方を持っておられるのかどうか、本年度は財政需要額でどのくらい一体余分に消防関係を見ているのか、この点あわせて関連して御答弁を願いたいと思うのです。
  87. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) 消防審付の問題でございましたが、昨年度九十億ですか財政計画に組みました。そのうちの二十億は府県から市町村に事業その他で負担金を出しておる分を、おのおのの財政運営の責任というものを明確にするために、一部直轄事業その他については、当然県が持つべきものは市町村にかけてはならないということを指導いたし、残りの七十億をたしか学校関係あるいはただいま御指摘消防警察等の雑多の税外負担をできるだけ行なわないように、財政需要額を財源を与えて増加することによって、これを指導運営して参ったのでございます。ただいま法的に規制しろということがございましたが、学校関係におきましても維持修繕費については、税外負担を課してはならないというところまではできますが、建築費につきましては、財政等の事情もございますし、まだそれまでいっていないというような次第でございます。なお法律で禁じられたのも三十五年度の実績をながめまして、三十六年度から法律でこれを禁止するという方向をとりましたので、本年度も財源の増加に伴いまして当然こういった措置を進めていくべきでございますが、昨年度行ないましたこの制度、いかに実施されたかということを検討する必要もございますので、本年度は昨年度とりましたような方向によっておりません。ただ本年度は三十四年度の決算をながめまして、決算と財政計画の中の差から、実際におきまして、補助金の金額が足りないために余分に地方自治体が持っているもの、あるいはただいまのような寄付金によっているものとの差額をあげまして一般財源を増加することによってこれらの方は自発的に禁止していくという方向で、単独事業の経費につきまして四百四十八億増額したような次第であります。こういう財源の賦与もできるだけ実情に応じて与えることによって、ただいまのような弊害をなくしていきたいと考えております。  消防につきましては、ただいま長官から答えられましたように、何といいますか、当然市町村の持つべきものでございますが、また一方、従来からの慣習等もございまして、ただいま御指摘になりましたような事例が、寄付金によっていることは私もよく承知いたしておりますが、一般財源の動向と相待ちまして適宜こういったものをなくするよう指導していきたい、かよう考えているような次第であります。  なお、財政需要額は、消防に対する分がどのくらいふえているかということは、ただいま私手元に数字を持っておりませんので後刻報告させていただきます。
  88. 秋山長造

    ○秋山長造君 相当きびしい指導をやらないといけませんよ。
  89. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点、長官の方から答弁して下さい。
  90. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) ただいま政務次官からお話がありましたことで蛇足を加える必要はないかと思いますが、前々から申し上げましたように、私ども消防関係で寄付金を取って非常に不愉快な感じを住民に与えるということは、消防運営上も非常に困りますので、何とかこれを少なくするようにあらゆる機会に努力いたしたいと存じます。ことに強制的な——強制的と言ってもいろいろあるかもしれませんが、非常に強制的な寄付金等につきましては、これは断然やらせないような措置を講じたい、かように思っております。
  91. 松永忠二

    ○松永忠二君 一番もとはやはり財源措置だと思います。そういう点が、今お話がありましたが、やはり政令を拡大していく方向で、特に教育費と消防費、警察費、これはみな税外負担の一番おもなものであることはわかり切っているので、そういう点がやはり政令を拡大する方向にこれは行くべきだと思うのであります。特に長官には、今お話のあった点で、そういうふうな一般財源も何も持たないで寄付金と補助金でやっているというようなことについて、実態を調査される等、こういうふうなことでは補助金を与えることはできないというようなことについて、当前にやはり指導される必要があると思う。ただそういうことを言われているだけでなくて、事実上、指導されるべきだと思う。また同時に、よく言う消防施設税というようなことについても、野党でも明確な案を出しているのですから、そういう点について消防庁が、消防庁としてはこういうふうな考えを持っているということをやはり検討して、具体化していくということでなければ、何をせられても効果は上がらないと思うのですよ。結局、政府の言うような今のようなやり方だと、みな陰に隠れて、事業はふやすけれども住民負担はどんどんふえていくという形で、しかも、それは予算に計上されない額の方が計上された額の八倍もあるというような、そういう形の中でふえていくわけなんだから、そういう点についてはもう少し実態を調査されて指導されることと、もう一つ長官に伺いますが、消防施設税なんという問題について、一体どういうふうに考えておられるのか、その二つだけお聞きしておきたい。
  92. 鈴木琢二

    政府委員鈴木琢二君) 消防強化の問題、それに伴う寄付金問題の解決、結局、消防財源をいかに調達するかということに帰するわけでございまして、御指摘ような特殊な財源を求めるということも、私ども消防財源にあるものなら、いわば何でもほしいというくらいな気持で、たとえば消防施設税の問題が出ましたときにも、われわれとしては、何とかこの税金を実現して、消防施設強化の財源に充ててもらいたいというふうな考えを持っておったのでございますが、いろいろな事情で今日まだ研究の段階を出でないよう状況で、まことに遺憾に存じているわけでございます。  さらに私ども、もう少しこの貧弱町村に対しては、特に消防施設の現在の補助率の三分の一では、とてもあとの三分の二をまかなうということが事実上非常にむずかしい問題でございますので、少なくとも二分の一の補助ということを毎年予算のたびに事務的には強く折衝いたしているのでございますが、国の財政の都合でそれがなかなか実現できませんのは、まことに遺憾でございます。私ども消防庁としての希望といたしましては、三年前に消防審議会から答申をいただきました、消防費全体について——人件費も一切含めた消防市町村消防費全体について、二分の一国庫で負担すべきものだという答申が出されておりますが、そういった方向に何とか持っていってもらいたいという、まあ消防庁としての希望は持っております。  いずれにいたしましても、非常に消防財源が詰まっているというところにいろいろなそういった問題が起きますので、今後そういった消防国庫補助の額の引き上げの問題、あるいは補助対象の範囲の拡大の問題、あるいは消防施設税のごとき特殊財源の問題、あるいはまた日本損害保険協会の起債の引き受け等、そういったようなあらゆる面で消防財源を獲得していくことに努力していきたい、さよう考えております。
  93. 鍋島直紹

    ○鍋島直紹君 最後に一言、実は自治省に意見を申し上げましてお答えをいただきたいのですけれども、先ほど加瀬委員の御質問の中に、常設消防の拡充強化、あるいは一般消防施設強化ということについて、消防庁として全国的に現実に基礎を置いて、五カ年計画とか三カ年計画とかという、実際この程度は最低限必要だというはっきりした計画というものが何かあるのやらないのやら、明確化を欠いていたように思うのです。しかし、これは今の消防財源の問題に関しましても、消防庁とされてもそういったものは当然私はあってしかるべきではないか、それを基礎は予算を要求せられ、あるいは補助金のベース・アップといいますか、率の三分の一を二分の一にする、この主張をせられ、あるいは地方公共団体に対しても、少なくともこの程度はことしはやりたいがどうだろうという御指導なり助言がある、そのベースがない。ただ設置基準はあっても、どの程度ずつやりながら、五カ年間たてばどの程度までいけるのだというような、とにかく正確なそういった計画というものがあるべきじゃないか。警察等における一万人増員計画施設拡充の計画、いろいろあります。三カ年計画、五カ年計画、そういう点を一つ、幸いにまあ自治省に入ったわけですから、消防庁の方と御協議いただき、それによって進めていただくことが一番いいのじゃないかと思いますし、どうもその点明確を欠いたので、あるのかないのか。もしなければ、ぜひ一つお立てを願いたい。簡単に一つ御意見だけを伺っておきたいと思います。
  94. 渡海元三郎

    政府委員渡海元三郎君) 御指摘の点、ごもっともでございまして、実は施設の方につきましては、前の消防審議会答申等に基づきまして、施設整備の十カ年計画に基づいて国の予算も要求し、これを実行に移しておる次第でございます。その細部につきましては、長官の方から御答弁賜わりたいと思いますが、加瀬委員の御指摘になりました消防組織のあり方、特に非常勤の消防団員常設消防団員、現下の近代生活に合わしての消防体制のあり方というものにつきましては、逐次町村合併等にあわせまして実質的には行なわれつつあるのでありますが、全国的に見合ったよう計画をただいま持っておりません。幸いにして自治省に入りましたので、そのおもなる財源は、これは全部が地方財源で持たれるものでございますから、財政等とも勘案いたしまして、整備された計画のもとに、そういったものの整備をはかっていきたい、かよう考えておる次第でございます。
  95. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。  消防組織法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  98. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  100. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案議題といたします。
  101. 加瀬完

    加瀬完君 新市町村建設促進法をある程度効力を残しておくということについては、賛成です。ただ急速に市町村合併をいたしましたので、その作用のために、反動といいますか、反作用が起こっている。たとえば山形県の東田川郡の櫛引村です。ここで職員の分限に関する規程というものを作りました。それを見ますと、第二条で、職員が左の一に該当の場合は、退職しなければならない。そうしてその五に、年令男子五十五歳、女子四十七歳に達した場合、六には、採用後結婚した女子の場合は、二カ年以内。それから申し落としましたが、第一条には、生活を同じくする同一の家族間においては、男女を問わず二名以上の採用をしない、こういうことがきめられておるのです。これは明らかに地方公務員法二十七条の違反だと思いますが、いかがでしょう。
  102. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) ただいまの御指摘の点につきましては、私の方も一応そういう事実があるということを聞きました。で、現在県を通じて資料等を取り寄せて検討いたしておる段階でございますが、今具体的にお述べになりました点を前提にして、それについての見解ということでございますれば、この点は明らかに法律的に問題があると思います。
  103. 加瀬完

    加瀬完君 問題があるということではなくて、明らかに違反じゃありませんか。たとえば二十七条には、職員はこの法律で定める場合でなければ、その意に反して、降任され、もしくは免職されないとある。五十五歳だから、四十七歳だから、あるいは結婚したから、同一家族であるからということで採用されないという、あるいは退職しなければならないという条件がつけられた場合は、これは明らかに地方公務員法二十七条の、今私があげた条文に明白に違反しているじゃありませんか。
  104. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 年令を区切って、その年令に達した場合には、当然に退職をしなければならない、そのことが直ちに職員について法的に効果を生ずるというものでありますれば、これは二十七条違反でございます。この点は御承知のように、定年制自体についてもいろいろ論議がございますけれども、私たちといたしましては、現行法の建前からは、定年制というものは法律改正でなければできないということをはっきりと申してきておるわけであります。
  105. 加瀬完

    加瀬完君 もう一つ。その第二条というものは、職員が左の一に該当の場合は、退職しなければならない、こう大づかみにきめてある。地方公務員法の二十八条には、これを降任または免職することができるとなっている。しなければならないということと、できるということとは違いますね。そうすると、櫛引村の、最初に引例をいたしましたこの第二条の文言も、二十八条に違反するということになりませんか。
  106. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 御指摘になりました点に限ってだけ申し上げますれば、これもやはり二十八条との関係では違反になると思います。
  107. 加瀬完

    加瀬完君 最後に一つ。この前、これも町村合併で百万都市とかいう大構想のもとに、北九州に門司その他四市が合併をするという前提から起こった問題だそうでありますが、私も数字をそれから問い合わせてみますると、初任給が若干国家公務員よりも高い市もございますけれども、平均給は、八幡を除きましては、全部四つの市は国家公務員より低い。それから個々を調べてみると、初任給は高いけれども、中だるみがありまして、中の方は非常に国家公務員よりも低い。ですから、非常にその国家公務員よりも高いからこの際どうこうという条件にはないわけです。それから財政状態を調べてみますと、財政状態もみな不交付団体でございますし、財源がないと言われない。それから全体の予算と給与に対する比率、あるいは税収入と給与に対する比率というものを見ても、他の町村と比べれば、むしろ低くても、高いと言われない、こういう条件にあるのにもかかわらないで、四月一日以降に、自治省の勧告にもかかわらず、昇給を延ばそうとしておるわけでございますが、この点について伺いましたら、理事者も上京しておるから十二分に指導するということでありましたが、この結論はどうお出しになりましたか。
  108. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) まだ具体的に結論は出しておりません。ただいま資料が出そろいましたので、それに基づきまして分析その他でほんとうの資料を整えておる段階でございます。
  109. 加瀬完

    加瀬完君 仄聞するところによりますると、そのときに、自治省の係官は、自治省の勧告をどうしても聞かなければならないものか、こういう五市の理事者の質問に対して、法律的に、あくまでも自治省の指示通りに、十月に遡りまして昇給させなければならないという拘束力はない。それでは、上げる上げないというのは、最後の線ではわれわれの自由じゃないか、こういう質疑応答がなされたと言われておりますが、上がる上げないは自治体の自由じゃないか、だから、おれの方は上げないのだ、こういう結論をもし五市が出された場合、それを自治省はお認めになりますか。
  110. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) 係官との間にどのようなやりとりがあったか、私、承知しておりませんが、内容の分析をよくやりまして、私たちといたしまして一定の結論を出したいと思っておりますが、その結論がやはりいろいろな面から見て、四月からというのは、これはいけない、十月に遡って実施すべしということになりますれば、そういう意味の指導をいたします。勧告をいたしたいと思っております。
  111. 加瀬完

    加瀬完君 今、それぞれ市会が開かれておるそうでありますが、市会はおそらく月末をもって終わるでしょう。その市会に間に合うよう自治省は、結論が出ましたら勧告をしていただけると了解してよろしゅうございますか。
  112. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) できるだけすみやかに結論を得たいと思っております。
  113. 加瀬完

    加瀬完君 くどいようでありますが、市会に間に合うように、結論を早く出して勧告を出していただけると考えていいですね。
  114. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) その線でやりたいと思います。
  115. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本日はこれにて散会いたします。    午後一時十六分散会    ————————