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1961-09-22 第38回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年九月二十二日(金曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     増原 恵吉君    理事            小林 武治君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            基  政七君    委員            小柳 牧衞君            館  哲二君            山本 利壽君            湯澤三千男君           小笠原二三男君            加瀬  完君   国務大臣    自 治 大 臣 安井  謙君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    警察庁警備局長 三輪 良雄君    経済企画庁総合    開発局長    曽田  忠君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    建設省計画局参    事官      志村 清一君    建設省河川局次    長       鮎川 幸雄君    自治省行政局長 藤井 貞夫君    消防庁教養課長 上川  澄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (災害に関する件)  (治安に関する件)  (基幹都市建設計画等に関する件)   —————————————
  2. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから委員会を開会いたします。  地方行政改革に関する調査を議題といたします。  まず、第二室戸台風による被害状況について、関係当局から簡潔に御説明を聴取いたします。警察庁三輪警備局長
  3. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 第二室戸台風被害につきましては、お手元資料を差し上げてございますので、これに基づきまして、ごくかいつまんで御説明さしていただきたいと思います。  この台風は九月七日に発生をしたのでございますが、九月十六日午前九時ころ室戸岬を通過をいたしまして本土に上陸をいたしまして、その室戸に上陸いたしましたときの瞬間最大風速は八十四・二メートルというまことにおそるべき風であったわけでございます。これは第一室戸台風伊勢湾台風等に匹敵いたします大型A級台風でありまして、今申し上げましたように、室戸岬から徳島阪神間を経まして能登半島から日本海に抜け、さらに北海道を通ってオホーツク海に出たわけでございますが、その通過いたしました各地に甚大な被害を与えましたのはもちろんでございますけれども、東側は三百七十キロ、西側百八十キロという非常に広い暴風圏内を持っておりましたために、ほとんど日本国中全部にわたって被害を及ぼすこととなったわけでございます。  うしろに表がございますので、この表をごらんいただきとうございます。この表の一枚目の一番左の計というところをごらんいただきますと、これが全国被害の私どもとしては最終の集計かと存ずるのでございます。なくなった方は百八十五人、行方不明が十五人、負傷された方が三千八百七十九人ということでございまして、家屋の全半壊が非常に多うございます。全壊いたしましたものが一万三千棟、半壊が四万棟に及びます。そうして一番下の方の欄でごらんいただきまして、罹災いたしました世帯が十七万世帯、実に七十三万人の方に被害が及んだのでございます。この中で特に罹災人口の多い県を拾って申しますと、最初に、この第一枚目の右から五つ目鹿児島県でございますが、室戸に参ります前に奄美群島を襲いまして、これに非常な被害を与えております。ここに書いてございます鹿児島県の被害の九九%は、実は奄美群島被害でございます。六十メートルというような風で、倒壊家屋ごらんのようになっておりまして、大体奄美群島の喜界島が一番ひどいのですけれども、全体を通じまして、全在住人口のほぼ一九%に当たる方が相当被害を受けたということでございます。  それから室戸岬、その周囲に若干被害を与えまして、徳島に入りますと、雨が少のうございましたが、徳島では山地に約七百ミリの雨を降らせまして、そのために吉野川中川等がはんらんいたしましたし、また徳島を通過いたしましたのがちょうど満潮の時期に一致いたしまして、高潮が入ってくるということで徳島、小松島あるいは鳴戸というようなあの一連の市はほとんど七、八〇%が倒壊または浸水被害を受けるという状態であったわけでございます。実に十万人をこえる罹災者があったわけでございます。ここでは主として浸水の方が多いのでございます。  次のページで見ていただきまして、南から申しますと和歌山でございますが、これが田辺、御坊、有田、海南、和歌山というような海岸沿いの市に非常な被害を与えております。ことに田辺周辺では大きな被害を与えまして、陸上交通が途絶し、事後の補給などは海上自衛隊の協力を得てやっておるというような状態でございまして、十万人近い罹災者があるのでございます。  兵庫では、これは淡路島が集中的な被害を受けました。相当長いこと三十メートルをこす風がありまして、淡路島だけで神戸の被害相当多くの部分でございます死者四名あるいは倒壊家屋が七百棟というようなことで、淡路島が非常な被害を受けて、ために通信が途絶して被害調査等も若干おくれたのでございます。  それから大阪に入りまして、これが最大の、全体の被害としては大きいことは当然でございます。瞬間最大風速五十・六メートルといいますが、四・一五メートルの高潮が参りまして、これが防潮堤を越すということで、二十六万人の被害者罹災者を出したのでございます。倒壊家屋ごらん通り多うございますけれども浸水をした家屋が非常に多いのでございまして、実は昨日の朝現在でも、まだ一万近い家が、ごく一部は床上、また床下浸水というのがあって、鋭意ポンプ排水しておるという状態で、西淀川が一番ひどいようでございます。  それから次のページを見ていただきまして、途中も被害がございますけれども裏日本に参りまして、新潟に参りましても実は台風の力がまだ衰えませんで、新潟でも四十四・五十メートルという風が吹きました。これは御承知のように裏日本では大きな雨は伴いませんが、この風のために家屋倒壊ごらん通り全壊が八百近く、半壊が四千近くということで、このためになくなった方の数が三十一人ということでありまして、全国の県の中でも一番多いということになったのであります。  そういうことで今年はこの資料の前に戻っていただいて十一ページでございますが、今次被害の特徴では、御承知のように風台風でございまして、風に伴って家が倒れるということが今申し上げたように非常に多かったのでございます。常の被害でございますと流失家屋というのが多いのでございますが、それが非常に少なくて倒壊した家屋が多いということでございます。河川の決壊、はんらん等が大きなところでは少のうございました。それから高潮もこの前の愛知のように海岸堤が壊れるということでなしに、防潮堤を越して入ってくるということで浸水発生したわけであります。従って、溺死者という方が非常に少なかったわけでございます。そういうことで台風の猛威に比較して人的被害がきわめて少なかったということはまことに幸いと思うのでございまして、十三ページの下の表をごらんいただきますと、第一室戸台風では三千人の人がなくなった、伊勢湾台風では実に五千人の方がなくなっているが、今回は百八十五人ということでありまして、きわめて人的被害が少なかったことは不幸中の幸いだと思うのであります。これは台風が通過いたしました大きな地域がほとんど昼間でございまして、あるいは雨も少なかったということ、それから満潮時とぶつかりました地域がきわめて限られたということ、そういう自然のためにもよりますけれども、また各機関からの事前の警報がよく行き届いておりましたこと、また各地住民の方が非常に警戒心があったと申しますか、自発的に避難をされるということが円滑に参りまして、たとえて申しますと、愛知県下では十二万人が避難をされたわけでございますが、そのうち十万人は自発的に秩序よく避難されたということでございます。警察の方の避難誘導にも実に秩序よく従われたのであります。こういうことと相待ちまして今回は人的被害がきわめて少なかったのであります。  警察庁といたしましては、これは被害のおそれが明らかになりましたときに、全国各地に通知を出しまして、関係機関との連絡強化警備態勢早期確立、それから装備資材点検整備、それから住民の方の早期避難誘導等というものにつきまして注意を喚起したわけでございます。警察庁はもちろん各管区警察、各警察本部にも災害警備本部を作りまして、延べ十三万人の警察官が出動いたしまして、避難誘導、救助並びに事後措置に当たったのであります。  非常に簡単でございますが、第二室戸台風説明を申し上げました。
  4. 増原恵吉

  5. 上川澄

    説明員上川澄君) それでは第二室戸台風被害状況を簡単に御説明申し上げます。  先ほど警察庁の方から被害のこまかい具体的な数字を御報告されましたので、あらためて申し上げることもどうかと思いますが、私どもがこの数字をとらえましたのは各県の東京事務所を通じましてとった数字でございます。現在までに——昨日の午後までにまとまった数字が第一表に総計として載ってございます。被害総額一等最後の(5)にございますが、二千八百二十八億四千九百八十六万円ということになっております。これは目下千葉東京と滋賀県が入っておりませんので、その分があとからふえることになると存じます。  次に、消防活動状況について二枚目に書いてございますが、十六日の午後に次官から各都道府県知事あてに、防災態勢整備について格段の配慮をしろという無電を入れまして、その結果、各市町村とも消防機関は、消防団員あるいは消防職員非常招集を行ないまして警戒に努めた結果、現在わかっております数字は、その下にございますように、消防職団員を含めまして六十万七千六百十二人の活動が期待できたわけでございます。その活動におきまして死亡した者が、長野県一名、徳島県一名、計二名でございます。負傷した者は他の府県でございますが、現在のところ二十一名発生いたしております。  それから台風下火災発生状況は、3に書いてございまするように、九十六件発生いたしまして、青森県に一件、福島県に一件、新潟県に二件、東京都に六十九件、大阪府に二十二件、富山県に一件、こういう数字で九十六件を数えておるわけでございます。特にこの中で新潟県の南蒲原郡田上村というところで百一むね燃えております。これはちょうど台風が通過いたしました直後のフェーン現象によって発生した火災でございまして、この火災を除いたあとはぼやの程度で、特に東京都の六十九件といいますのは、非常に風が強く、電柱においてショートを起こし、電柱火災発生した、これが六十件ございます。  以上が消防関係状況でございます。
  6. 増原恵吉

  7. 鮎川幸雄

    説明員鮎川幸雄君) 資料によりまして建設省関係被害状況を簡単に御説明申し上げます。  お手元に、「第二室戸台風による被害概況」という、こういうつづりの資料を差し上げてあります。第一ページ気象概況でございますが、すでに第二室戸台風概況につきましては、警察庁の方から御説明があった通りでございまして、今回の台風は非常に大型台風であり、中心の地域はもちろん、暴風雨圏が非常に広範囲でありましたために、その被害全国的な被害を受けておるわけでございます。  二ページに参りますが、まず被害状況を申し上げますと、公共土木施設被害を受けた県は四十一府県に及んでおります。このうち、福井兵庫石川和歌山徳島岐阜鳥取の各県が特に甚大な被害を受けておるわけでございます。九月二十一日の十七時現在で被害総額は二百三十億円でございます。この内訳を申し上げますと、直轄関係災害、これが十八億五千百万円、それから補助関係災害が二百十一億五千二百万円で、合計いたしまして二百三十億円の被害になっております。  まず直轄河川災害状況を申し上げますと、被害を受けました河川は二十二河川でございまして、十八億余円になっておりますが、特に被害の大きかった河川は、淀川が六億円、それから吉野川、千代川、紀ノ川、那賀川、木曽川等でございます。ダムにつきましては、ごく若干の被害吉野川水系に起こっております。それから砂防につきましては、木曽川におきまして八百万円程度被害でございます。それから道路につきましては、十一号線と二十一号線が約千三百万円程度被害を受けておるわけでございます。  以上が直轄関係被害状況でございますが、次に、補助関係災害について申し上げますと、被害総額は二百十二億円でございまして、特に被害の大きかった府県を申し上げますと、福井県が四十五億余円、兵庫県が三十一億余円、石川県が十九億余円、和歌山県が十八億余円、徳島県が十四億余円、岐阜県が十一億余円、鳥取県が十一億余円となっておるわけでございます。  次に、四ページには、各直轄河川の出水と降雨の状況を掲記いたしておりますが、これについては省略いたします。ただ各河川ともほとんど警戒水位を突破いたしておるわけでございます。この表にその点は掲記いたしておるわけでございます。  次に、直轄河川被害状況のおもな河川につきましては、先ほど申し上げました通りでございまして、五ページには、各河川個所数被害金額等でございますが、直轄河川につきましては、個所数が百四十七個所で、十八億二千十万円になっておるわけでございます。特にこのうちには近畿におきまして淀川が六億円、高潮による被害でございます。それから大和川も若干の被害を受けておりますが、淀川筋が一番直轄河川では被害を受けておるわけでございます。  次に、国道関係は、先ほど申し上げた通りでございます。  それから七ページ以下に補助災害被害状況県別にここに掲げておるわけでございますが、特におもな被害、たくさんの被害を受けた県につきましては、先ほど申し上げました通りでございまして、八ページ石川県、それから岐阜県、福井県、兵庫県、九ページ和歌山県、鳥取県、徳島県等が甚大な被害をこうむっておるわけでございまして、十ページ被害個所の総数が一万六千六十六個所で、補助災害被害総額が二百十一億五千二百十七万円になっておるわけでございます。  次に、これは他局関係でございますが、あわせて申し上げますが、次に、十一ページ都市関係被害でございまして、被害総額が二億四百四十七万二千円、このうち大阪が特に大きな被害を受けておるわけでございます。  それからその次は、これは住宅局関係でございますが、先ほどもお話がございましたように、住宅災害が非常に大きかったわけでございまして、建設省の二十一日十七時までの報告によりますと、全壊流失、全焼、の合計が一万七千百二戸半壊、半焼が五万七千八百二十一戸となっておるわけでございます。  次に、十三ページ大阪市内における高潮被害について掲げておりますが、御承知のように、今度の台風阪神間に上陸いたしておるわけでございますが、このために、高潮による被害大阪付近一帯に起こっておるわけでございまして、九月十六日の十四時ごろ、高潮によりまして、西淀川の西島川が一部破堤をいたし、それから港区の安治川筋堂島川筋において高潮によって隘水をいたしまして、西淀川区ほか九区三千二百二十六ヘクタールの市街地が浸水いたしたわけでございます。これにつきまして、発生後、ここにもございますように、下水ポンプ仮設ポンプ等によりまして極力排水に努めまして、二十日二十一時には低湿地帯の一部を除き排水を完了いたしたわけでございます。仮設ポンプの一部を残し、ほかは全部ポンプの運転を休止いたしております。なお、低湿地帯については、二十一日の午前中までに排水作業を要しない状態に回復いたしておるわけでございます。  次の十四ページ、グラフがございますが、これは高潮大阪港におきましてどういう状況になったかという表でございまして、これは九月十六日のこの下の右の方が時間を書いております。それから左の欄が潮位を書いておるわけでございまして、一番下の線がこれは推算の潮位でございまして、潮位が普通ならばこういうふうなカーブで動いておる。普通ならば二メートル以下になっておるわけでございます。上に三本のカーブの線を書いておりますが、一番黒いのが第二室戸台風、それから黒い細い線が室戸台風、それから点線がジェーン台風の場合の潮位の変化でございます。ここにもございますように、この一番下の潮位台風低気圧のために変わりまして、この二メーターから三メーター、十四時には四メーター十五というふうに高い潮位になったわけでございます。これはちょうど第一の室戸台風ジェーン台風の中間くらいの潮位になっておるわけでございますが、こういうふうに潮位が高くなりましたために、大阪市の市内河川が一部破堤あるいは隘水等によってたくさんの侵水家屋を出したわけでございます。  その次の十五ページは、その当時におきます侵水の地域、その後の排水が刻々進行している状況の図面でございます。  それから十六ページ以下に建設省応急措置対策を掲げておるわけでございますが、二十一日には建設大臣関係官とともに大阪府及び和歌山県の被害状況の視察におもむいておられます。  それから公共土木施設関係直轄河川につきましては、大阪地区が、先ほど申し上げましたような淀川筋被害も多かったわけでございまして、係官を派遣いたしますし、また直轄河水の被害の大きなものにつきましては、早急に緊急復旧を行なうように予備費支出等手続をとっておるわけでございます。なお直轄河川災害につきましては、今月中に査定を完了するように準備をいたしております。道路につきましては、応急復旧工事を促進して交通確保に努めておるわけでございまして、必要の場合の予備費支出手続を早急に行なっております。  次に、補助災害でございますが、先ほど申し上げましたような被害激甚県につきましては、災害状況調査応急復旧工法の指導に当たらせますために九月二十日係官を派遣いたしました。それから復旧資金につきましては、公共団体の申請に応じまして早急に緊急査定を実施いたす考えでございますとともに、予備費支出をはかり、また不足分につきましては、補正予算を要求する予定をいたしております。  高潮対策でございますが、先ほど申し上げましたように、第二室戸台風におきましては、大阪市内浸水被害が大きかったわけでございまして、特に地盤沈下の著しい臨海低地域におきましては、特に高潮対策を十分に講ずる必要があるということで、これについては、私どももいろいろな観点からただいま検討をいたしておるわけでございます。  都市関係につきましては、これが復旧に関する諸方策をいろいろな調査を把握した後に立てる所存でございます。  なお住宅関係他局関係でございますが、ここに掲げてありますように、住宅金融公庫の融資、それから公営住宅建設等によってこれが復旧対策を講じておるわけでございます。なお資材確保につきましても、関係省との協議をいたして確保をはかっている。それからビル用水規制措置でございますが、ここに掲げてありますように、地盤沈下が今度の高潮影響いたしておるわけでございますので、このビル冷房用地下水規制をする必要があるじゃないかということで、前々からも検討がなされておったわけでございます。この用水規制については、今度の台風災害にかんがみまして、法的措置を講ずる必要があるということで検討をいたしておるわけでございます。  建設省関係災害被害概況応急対策概況は以上の通りでございます。
  8. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) では次、農林省昌谷官房長
  9. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 今回の第二室戸台風につきましては、お手元に九月二十一日の状況もとにいたしまして、とりあえず概況をまとめておりますので、不十分でございますが、それをもとにして御説明をいたしたいと思います。  最初気象概況の点は、警察その他からすでにお聞き及びであろうと存じますので、省略させていただきます。  次に、第二ページに参りまして農作物被害状況でございます。今回の台風特色といたしまして、後に申し上げます施設災害は比較的軽微でございますが、むしろ、ちょうど出来秋を控えておりまして、はなはだ残念でございましたが、作物被害の方はかなりの額に上るようでございます。そこで、作物被害概況でございますが、台風の進路の関係もございまして、やられました地帯は、ここに書きましたように、九州の南部——鹿児島、宮崎の一部でございますが、それから四国の東南部——高知徳島がそうでございます。それから中国の一部、近畿、東海、北陸、裏東北というふうに、かなり広範囲に及んでおります。作物といたしましては、やはり水稲被害が何と申しましても一番多いわけでございまして、これらの地帯出穂後であり、あるいは出穂後比較的間のないいわゆるおそ場地帯通りました関係もございまして、稲作被害はかなりあるわけでございます。水稲被害につきまして、ここではやや抽象的にいろいろ書いてございますが、私ども手元に二十日の朝現在で各県の統計事務所から電話でとりあえず概況を取りましたものによりますと、水稲の大なり小なり損傷を受けました面積は約百万町歩に及ぶということのようでございます。もちろん、現在各統計事務所ごとに本省の担当官も派遣をいたしまして、被害測定をやっております。風の被害が主でございますので、被害測定はかなり技術的にも困難なようでございますが、現在、来月早々にはある程度数字をつかむというめどで、技術的な尺度を作りまして検討いたしておりますが、とりあえずのところ、大なり小なり影響を受けました水稲面積は、先ほど申し上げましたように、約百万町歩、そのうち倒伏、倒れただけと申しますものが約半分の五十六万町歩ほどございます。この中には枯渇を誘発いたしましたものもございますが、あるいは倒れただけで事なきを得たものも出てこようかと思いますが、いずれにいたしましても、倒伏という報告に接しておりますものが約半数の五十六万町歩でございます。それから浸水、冠水は比較的少なくて約二万町歩、穂ずれ、もみの変色という報告に接しましたものが二十万町歩弱、これもこの後の被害と申しますか、稲の生育の関係でこれが非常な被害になるのか、軽微なものにとどまるのか、早急に被害をつかむことはなかなか困難な様相のようでございます。それから脱穂、いわゆる白穂として報告を受けましたものが約二万町歩ございます。それから南風に伴う潮風でいわゆる塩害、塩の害を受けましたものが比較的軽微でございますが、約三千町歩。それから刈り取りして、たんぼで乾燥中に流失を見ましたものが約三万町歩というようなことになっておりまして、田畑の流失、埋没は三百町歩というようなことで、ごく少ないようでございます。これらの被害状況から見まして、先ほど申しましたような測定を、計算を積み上げませんと、あまりしっかりした被害数字とは申し上げられませんが、まあこういう災害を何回か統計で衝に当たっております専門家の多数の意見を徴してみますと、すでに申し上げましたような約百万町歩もの影響を受けたこと、あるいは今回の特色等から技術者の非常に達観的な判断を求めてみますと、お米の被害は約三百万石程度に及ぶのではなかろうかということのようでございます。これは正確な統計調査の結果ではございませんが、そういった専門家の勘を交えた数字でございます。  それから水稲のほかでは野菜、くだものがかなり影響を受けております。野菜につきましては、大根、白菜等、秋野菜のちょうど時期でございますので、被害がかなりあるようでございます。果樹につきましては、なしは早場のところはすでに取っておりますが、やはりかなり落ちたものは相当手ひどく被害を受けております。それから、ミカン、ブドウ、リンゴ等、やはり枝を折られたり根こそぎ倒れたり相当ひどい被害がございます。  以上、達観いたしまして、三ページの一番下のところに注で書きましたように、先ほどのお米が約三百万石程度被害を受けておるであろうということ、それからくだものの被害の、まあ現象的な大体見た、達観的に見たところから申しまして、農作物被害は五百億に達するのではなかろうかというのが現状での専門家の感じでございます。御承知かと思いますが、先年の伊勢湾台風のときの農作物被害は約四百五十億円でござがます。従いまして、今回の被害は、施設の被害につきましては、伊勢湾が約八百億をこえておりますのに対しまして、今回は、後ほど申します約百五十億から二百億程度かと思いますが、作物被害は、時期の関係等がございましたので、伊勢湾に劣らないと申しますか、あるいは伊勢湾以上になるおそれもあるようでございます。  それから四ページから五ページにかけまして施設被害状況を申し上げてあります。で、農地農業用施設の被害で約六十三億円、水産関係被害が漁港の被害を含めまして四十二億円、それから林野関係被害が三十三億円、畜産の施設の関係で約十億円、合わせまして約百五十億円の被害府県から報告を受けております。これは九月の十九日の夕方までの調べでございますので、その後ここ一両日でやはり若干この報告数字も上がっておるようでございますが、しかし、大体百五十億ないし二百億と、まあ二百億には達していないというところのようでございます。施設の被害が少なかったことは、今回の台風特色でもございましょうが、せめてもの幸いだと心得ております。  なお、施設災害県別状況でございますが、やはり一番農林関係の施設の被害を多く受けておりますのは、和歌山県が一番大きいようでございます。引き続きまして徳島兵庫大阪福井石川といったようなところが施設災害の目立っております府県でございます。  以上がおよそ今日までに知り得ました概況を、推定を交えましたもので申し上げた被害状況でございますが、次に、資料の六ページから七ページにかけまして、当面やっておりますことを取りまとめて申し上げております。何と申しましても、作物被害が主でございますから被害概況を早くつかむことが必要でございますので、現在統計調査部から各県の統計事務所に応援を派遣いたしまして、技術的な指導に当たり、督励をいたしております。来月の七日ごろに第一回の被害速報をまとめることを目途にして、目下現場を回らしております。なお、この2で書いてございます被害農家の予後措置として、家畜の防疫でありますとか、植物の病害虫の防除とか、野菜の代作種子の手当でございますとか、こういった点は各県のそれぞれの担当部課が本省のそれぞれのところの指導を受けましてやっております。この1、2を通じまして現場の状況を把握したり、さらに督励していただくために、昨日中野政務次官に関西、それから中馬政務次官に北陸へ、それぞれ担当官を付しました二班を編成いたしましてお出向きをいただいて、督励なり連絡に当たっていただいております。  それから施設災害につきましては、とりあえずの概況の把握ができますれば、引き続きいわゆる査定に入らなければいけませんので、これも使途繰り等研究していただいて早急な査定をやりたいと思っております。農林省の施設被害は直轄が比較的少なくて、主として補助災害であります。直轄分につきましては、今回もごく小さな被害だと思います。これは建設省同様、被害が固まり次第いわゆる予備費支出していただくことにします。  次は金融措置でございますが、とりあえずは、六番目に書きましたように、関係の中金、信連、あるいは県当高等に局長通達を出しまして、つなぎ資金のあっせんに努めさしておりますが、被害が金額的につかまりますれば、直ちに天災融資法あるいは公庫の主務大臣指定の施設の融資の告示ということにいたしたいと思って用意を進めております。  次に七番目に書きましたのは、先般の集中豪雨等五月ないし八月の風水害につきまして講ずることといたしております立法措置をさらに今回の第二室戸台風に適用するよう立法の内容を検討する必要があろうと考えて、現在関係各省と相談中でございます。衆議院の災害の協議会でも、そういう御趣旨で御決議があったようでございますので、現在政府部内で、どの点を追加補正するか検討中でございます。  なお、これ以外に当面の問題といたしましては、予約概算金の延納、利子の減免問題、あるいは被害を受けられました農家に対する主食の供給の問題等ございます。それから農業共済の関係の支払いを急速に進めるための手配をいたしております。それからここには書きませんでしたが、被害を受けました直後の応急の食糧の手当等は、今回は大阪等大都市が被害を受けております関係で、乾パンあるいは応急用の米の放出等報告を受けております。幸いに順調にいったようであります。  それから国有林材を応急復旧用の施設のために供給することでございますが、これも各営林局長に即刻通達をし、現物の手配を命じてございます。約五十万石程度は即刻お役に立てられるように関係営林局の方に現物の手当がすでにあるようであります。なお、状況に応じまして、さらに十分御要望に応じ得るような態勢が整えてあるわけでございます。  以上が今回の第二室戸台風につきましての農林関係被害概況と、当面とっております対策の概要でございます。
  10. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) この際引き続き、去る八月の九州及び新潟地方における集中豪雨並びに北美濃地震の被害について、簡単に説明を聴取いたします。
  11. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 順序を追って、八月五日の新潟、福島両県の集中豪雨から御説明いたします。  八月五日の午前一時ごろから正午ごろにかけまして、新潟県の一部、それから福島県会津地方に集中豪雨がありました。続いて、新潟県中越地方から山岳部にかけまして雷雨を伴うにわか雨がありまして、そのために河川が急激に増水をいたしました。小河川はんらん等、山くずれ等によりまして相当被害が出たのでございます。被害の集計を申し上げますと、人的被害では、なくなった方が二十四名、行方不明一名、負傷者十九名でございまして、罹災世帯は約一万二千世帯罹災者は約五万八千人の方に及ぶのであります。倒壊流失家屋は約六百十棟、浸水をいたしましたものが約三万五千棟ということでございまして、水田、道路その他にも相当被害がございました。資料を提出してございますのでごらんを願いたいと思います。  ことに、この両県と申しましても新潟がひどうございましたわけでありまして、長岡のあたりでは約二百ミリ、見付に至りますると三百二十ミリというような雨が降ったわけでございまして、新潟県のうち、佐渡郡、出雲崎町、白根市、三条市、見付市、長岡市、三島郡というようなところにも大きな被害を生んだのでございます。  福島県の方は同じ一連の雨でございますけれども、只見で二百五十ミリの降雨量を示しておりまして、会津の高田町あるいは南会津郡、大沼郡などに被害が生じたのでございます。個別的な被害につきましては表にいたしておりますので、御承知をいただきたいと思います。  両県ではいち早く警備本部を設けまして、それぞれ現地の署を指揮して災害救助、予防措置に当たったわけでございますが、新潟は約二千名、福島につきましては、地域が狭うございますので、五百人の警察官を動員をいたしまして、そういう処置に当たったということでございました。  引き続きまして、八月の十九日に九州及び、また新潟に集中豪雨があったのでございます。九州北部に前線が停滞をいたしまして、八月十九日の夕刻から福岡県を除く九州の全地域に局地的な集中豪雨があったのであります。佐賀県の武雄、鹿島あるいは長崎県の下諌早、大村等では約百七十ミリ、熊本の天草で約二百四十ミリというようなわけでございまして、その他、宮崎、大分県でも百ミリに上る雨が降ったのでございます。そのために、あとで申し上げますような被害を九州各県とも生んだのでございますが、時を同じゅうしてと申しますか、二十日の夕刻から今度は中越、長岡付近に二百ミリに達する集中豪雨がまた襲いまして、これがまたまた新潟相当被害を生んだのでございます。  九州地方の人的な被害は、なくなった方はいずれもございませんで、負傷者は五名、全半壊流失が二十棟で、罹災世帯が約五百世帯、二千六百名ということでございますが、新潟県は集中をいたしました割に、負傷者七名、全半壊流失が五十棟、四千二百世帯、約一万八千四百名の罹災を生んだのでございます。  これまた九州各県におきましては警備措置をとりまして、九州各県の警察官延べ四百四十名、新潟におきましては七百名の警察官を動員いたしまして、この局地豪雨の警備救助措置に当てたのでございます。  続きまして、八月十九日、同じ十九日の午後二時三十三分、北美濃地方に地震があったのでございますが、岐阜県の西部でございますが、北緯三十六度、東経百三十六度八分と申しますが、そこに発生いたしました地震が福井、敦賀、名古屋、亀山、飯田、諏訪、津あたりで震度四、これは家が著しく動揺し、花ビンなどが倒れる、あるいは、歩いておる人が相当にからだに感ずるといった程度の地震でございますが、広い地域にそういった震度の地震でございますけれども、なかんずく、この震源地に近いところに相当被害が出たのでございます。被害は、なくなった方は十一名、負傷者は三十九名、倒壊、全半壊が二十棟、道路の損壊百十カ所、山くずれ、がけくずれ九十七カ所ということで、これが大体都市から離れておりましたために、こういった人的物的な被害が少なかったわけでございまして、震源地に近い福井県、岐阜県の山地では、山がくずれましたために、その工事現場等の小屋がこわれて人がなくなったというようなことで被害を生んだわけでございます。これはもちろん、現地に警察官を三百三十二名ほど派遣をいたしましたという報告のほかに、特に石川県白山におきましては、登山者の救援のために警察官を派遣したという報告があるのでございます。局地的でございましたし、大きな都市でございませんでしたので、被害のここに現われましたものは少のうございますけれども、山地におけるがけくずれ、山くずれは相当ひどかったものと聞いておるのでございます。
  12. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) それでは、以上の説明に連関しまして御質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 資料についてでありますが、警察の方と消防の方にお聞きしたいのですが、被害状況についての警察の方の数字消防の方の数字がかなり違うところがあるので、大体日時なんかも同じ時期にまとめたようでありますけれども、それぞれの系統によって調査されるのでございましょうが、何かあまり、たとえば罹災の世帯数やら罹災人員等になりますと消防の方の資料と、それから警察の方と、あまり違いが大き過ぎるような感じがするので、これはどういうことでしょうね。
  14. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 各省庁の調査が若干ずつ違うと思うのですが、警察は御承知のよりに、各県警察本部、各警察署、派出所、駐在所と、末端まで手足を自分で持っておりますので、その系統を通じまして、災害が起こりますと、いち早く、わかりましたものをどんどん送って参るわけでございます。中央でも私ども調査をいたしました刻々の調査はそれぞれ関係各省にも全部差し上げてございまして、おそらく当初はそういう数字でお考えいただいておるのだと思うのでございます。消防は今、御説明によりますと、各県の東京出張所ということでございまして、県庁側のお調べのように存ずるのでございますが、その系統をどういうふうにおとりになったかわかりませんが、たとえば罹災世帯などと申しますと、私どもは大体床下浸水というようなものはまあ罹災世帯に入れてございませんで、大体まあ床上浸水あるいは全半壊というようなところをとっておるというようなところで、現地それぞれ、多少、いろいろな、何といいますか、統計をとります、変な言い方でございますけれども、角度から、若干の評価が違ってくるということは、これはやむを得ないのじゃなかろうかと思うのでございますが、私どもの方では純粋に、何と申しますか、警察側で把握をした客観的数字と思われるものをとっておりまして、格別これを私の方からよそ様の数字に合わせてこちらを訂正するということは警察としてはやっておらないのでございます。しかし、こういう数字は全部各省に私の方からは差し上げておる状態でございます。
  15. 上川澄

    説明員上川澄君) 消防庁の方から。ただいま三輪警備局長から御説明がございましたので、何も申し上げる必要もないのでございますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、各県の東京事務所を通じましてこの情報をとったために、警察は御承知のように無電を通じて刻々情報をとっておりますので、若干県の出先の方で、今申し上げました数字の違いが私ども手元に入っておる、こういうことになったのかと存じます。
  16. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 若干の違いは私もあると思いますし、まあ発生してから間もない今日の報告でございますから、あるいは完全に全貌をつかむということもなかなかむずかしいと、そういうこともあると思いますから、まあ多少の違いはこれは何もここで私はどうのこうの言うべきじゃないと思いますけれども、ただ、たとえば死者の点でも、あるいは行方不明でも違う。行方不明なんかそんなに違わなくてもいいんじゃないかと思うんですがね。それから特に負傷者が、警察の方では三千八百七十九名、消防の方では六千七百六十四名、それから罹災世帯数の方では、警察の方が十七万七千に対して、消防の方では五十八万余と、罹災者の数も、警察の方が七十三万に対しまして、消防の方の数字では二百六万と、これはまあ相当な、倍とか三倍とかいうふうな、世帯とか罹災者の方になりますとそういうふうなことになってくるものですから、僕らはどういうふうでこんな違いが出てくるのか、ちょっと不思議に思うわけなんです。ですから、さっき警備局長から話があったように、たとえば罹災世帯というようなものを、床下浸水警察の方では含めないと、こういうお話であります。ところが、警察の方で含めないその床下浸水がどのくらいあるかというと、床上、床下合わせても三十二万です、消防の方のお調べじゃ三十二万。警察の方の調べではこれは三十万ですね。これを入れて考えても、なおかつ大きな狂いがあるわけなんですね。ですから何かこう、ちょっと僕らこういう両方から違った数字をもらうと、一体どっちがほんとうなんだというふうなことも言いたくなるし、それからもう一つは、たとえば今の警察の方のお話のように、床下浸水は含めないなら含めないという、やっぱり政府の各機関でばらばらなそういう調査をしたり、報告をしたりするというふうなことはちょっとおかしいんじゃないかと思うのですがね。そういう点もちょっと不思議なんでございます。これではあまり数字が違い過ぎますね。
  17. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 ちょっと関連。今の災害統計ですね、各省が目的がそれぞれ違うでしょうから、従って、見方も違ってくるということ、まあやむを得ないと思うのですが、まあそういうふうなことはあり得るでしょうけれども、しかし、非常に共通的なものもあるわけですし、役場等について見ますると、一番区々であり、実際困っておるのは、半壊とか半流失といいますか、そういうようなものの標準が非常に区々であると思うんです。これはまあどうしても何かの機会に十分に徹底させる必要があると思うのですが、それに伴って今度損害価格の判定がずいぶんルーズじゃないかと思われる点は、たとえば半壊と申しますと半分の価格のように大体思われるのですが、しかし、実際損害というならば、半壊全壊も大体違わぬくらいの損害だと思うんです。そういうようなものについての認定が非常に区々であり、またルーズであると思うのでずが、これらについて相当将来改良を要すると思うのですが、いかがですか。
  18. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあこれは今の段階で私これ以上言ったってしようがないと思いますが、いずれ、たとえば十八号台風のやつは全貌が判明次第またお知らせ願いたいと思いますが、そのときは一つあまりこういう食い違った数字でないものをお願いしたいと思います。それからこれは最終的にはどこかで一本にまとめてやるというようなところないものでしょうか、これは。
  19. 上川澄

    説明員上川澄君) これは現在の段階では警察庁の情報を第一義に扱うということに一応なっているようでございます。
  20. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 警察の情報を第一義に取り扱う、まあそれはそれでいいでしょうが、しかし、各省でそれぞれこうやっているようでありますから、そういうものを私はやはり政府機関としてですね、最終的にこうだというようなものがあってしかるべきだと思うのですがね。それを直接取り扱うところがどこか、こういうことなんです。ないですか。
  21. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 先ほど申しましたように、まあ私どもはただ早いというのがその値打でございまして、各省にも差し上げて、それをもって各省の初度の御準備には当たっていられると思うのでございますが、従来の例でも、最終的にこの数を合わせまして、政府としてこうだという認定をするという関係の役所というものはないかと存ずるのでございます。それぞれ事業をやりますところ、それからいろいろ補助金等を出しますところ、いろいろな立場によって認定が違ってくるので、これを最終的に何百何十というところまで合わせるということになりますと、各省でいろいろ主張があろうかと思うのでございまして、今のところ、おそらく今までの例でそういうことで最終的に合わして、こういう数だということにした例がないかと思うのでございますが、御趣旨のところは、それぞれ帰りまして各大臣に申し上げまして御検討願うことにしたいと思います。
  22. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 しつこいようでありますが、これは対策を立てる場合に、私は数字が一違ったとか、十違ったとか、そんなことを問題にするのじゃなくて、こんなに大きな数字の食い違いというものは必然的に対策のそれに関係してくるのですからね。おれの方はこれしかないのだ、いやいや、こっちはこれだけあるのだ、そんなことを言ったって万全な対策というものは講じられないのですから、そういう面から言っても、私はこまかい数字、一違ったとか、二違ったとか、そんなことは私は問題にするのじゃありませんから。しかし、いずれ全体としてこうだというものがなければならないと思います。どうもいろいろお話を聞いておっても、いや建設省はこうだという、農林省はこうだという、警察はこうだ、消防はこうだ、別々の関係機関報告をそれぞれ違った数字をもってというようなことになると、これはやはりこっけいなことになると思うんですから。ですから私はそういう点から言っても、何か最終的な内閣の調査室でも、あるいはまあ対策本部が作られる場合には対策本部でこれはやることが一番いいだろうと思うのですけれども、いずれ何かのそれがないと、やはり困るじゃないかと、こういうふうに思いますから、一つその点、まあそれぞれ私は善処されるべきであろうと思いますから、お伝えいただいて、御検討いただきたいと思います。
  23. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連して。聞き漏らしましたが、消防庁の方は各都道府県の集計したものを受けるという話でしたね。警察の方はその数字を集める経過はどういうことになるのですか。
  24. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 第一次的には、各県にございます警察署で管内の分を集めるわけでございます。これが派出所、駐在所等の手足がございますので、そこで集めまして、これが警察署から県本部に報告をされ、県本部から管区を通じて警察署の警備本部に集まるわけでございます。これはもちろん広い中の調査でございますから、最初に起きまして、半日の調査と一日の調査、二日目の調査と、ずんずん変わって参ります。しかし、数日後になりますというと、大体管内の被害というものは警察なりに固まったものになると思うのでございます。ただこれはくどいようでございますけれども、なくなった方、あるいはけがをされた方、全壊半壊なんということは、私ども、まあ治安の問題といたしましても直接関心を持つわけでございますけれどもあと田畑の流失でありますとか、作物被害でありますとか、それぞれこれは御専門の観点からなさいませんとわかりませんのでございます。そういうわけで、一応私どもは、現地で何町歩の田畑が流れ、道路がどれだけ損壊したということを、わかったものをあげますけれども、しかし、各省庁のそういう専門的なお調べが進めば、それによってあげることが妥当かと思います。
  25. 加瀬完

    ○加瀬完君 それで、警察署単位に集めるわけですね。  警察署は駐在所等の出先を使って集めるというのですけれども、たびたびこの委員会で問題になりましたように、昔と違いまして、駐在所といいましても、欠番になっている所もあれば、なかなか一つの駐在所の範囲が広くなったりいたしまして、さらに駐在所は、その被害調査をしなければならないような場合は、ほかのもっと重要な任務につかなければならないのですね。だから、どこかで市町村と連絡をとった方がこの数字が確実になると思いますが、市町村と連絡をとる方法は、今までおやりになっておらないですか。
  26. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) これは、私お答えが非常に行き届きませんでしたけれども、駐在所が全部自分で見て回り、自分で判断するということは、もちろんこれは事実上できませんし、お話のように、その場合に、駐在所があけられて、あとに家族だけで守っているというふうな場合もあるわけでございまして、それぞれ県本部におきましては、そういう場合に県の知事のもとに警備本部ができまして、そういう中の公安部という中に入るわけでございますし、それから各警察署は、各地元の市町村とは災害については密接に連絡するということになっておるわけでございます。従って、末端におきましてその被害調査をいたすときに、それぞれ市町村なりあるいは消防庁なりと御連絡をして、そして、警察にその現地であがりました、わかったものが集まってくるわけでございまして、警察が他の機関の協力をいただかずに、警察が自分の目で見て来て集めたものだということを申し上げることはございません。
  27. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 応急のいろいろな物資が、今報告によって承ったのですが、そのうちで、災害復旧に必要なトタン板だとかあるいはガラス、セメント、そういうようなものの材料が非常に不足だということ、従ってまた、直ちに値上がりをするというようなことが現実に多いのですが、そういうようなことについては、これはどこの所管ですか。どんなふうに抑制する、取締まり、そういうことをやっておられるか。
  28. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 物資を流しますのは、それぞれ通産省、建設省その他の各省から各府県の商工部というようなところを通じて流れるわけでございまして、ただいま御指摘のように、ある地域で応急の物資を罹災者がほしがるままに非常な暴利によって取引されるということにつきましては、これは警察も関心を持つわけでございます。物価統制令というのが実はまだ生きているということになっておりますけれども、これによって取り締まるということがなかなかむずかしゅうございますけれども、現実に非常に著しく足もとにつけ込んで暴利をむさぼるということにつきましては、各警察で警告をするというふうな措置をとっておりますけれども、現在までに物価統制令違反、暴利だというふうなことで、ことに今回の場合取り締まったという例はまだ聞いておりません。
  29. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 今の問題は非常に早急にやらなければならぬというのと、しかも、それが中央から離れている地方に特にその度がひどいのであります。なかなかそう資材のストックが地方にあるわけではない。従って、それに伴う物価騰貴は当然なことであります。これは何とか中央において、あるいはまた地方においても、それらの用意をする事務的な系統をよく立てておかなければいかんじゃないか、こう思うのですが、それについてお考えはありませんか。
  30. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 所管でございませんで、大へんあいまいな御返事を申し上げて恐縮でございます。物価統制令というのが生きておる。これは先ほども申し上げた次第でございまして、暴利行為等の禁止というのは、まだ法律上生きているわけでございます。従いまして、特に目にあまって暴利をいたすものにつきましては、第一次的には警告をいたしまして、これによって措置をいたしておりますが、特にそのはなはだしいものにつきましては、この統制令違反で送致したということにつきましては、私、今手もと資料を持っておりませんので、的確なお答えができません。
  31. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 今の問題は、地方においてはことにどうしていいかわからぬ。まあ市役所なり役場が何とかやってくれるだろうというようなことで、いろいろ要望もあるようですが、しかし、この問題はそう簡単な問題じゃないと思うのですから、もっとこの問題に力を入れて、系統的に事務の処理をするように、あらかじめ用意することが必要だと思うのでございまして、その点について特に御配慮をいただきたいと思います。
  32. 加瀬完

    ○加瀬完君 一つをもって全部を推しはかるというわけには参りませんが、こういう被害地域になりますと、救援物資といったようなものの配付がはなはだ円滑を欠くというのが今までの例だろうと思う。今度も、テレビなんかで見ておりますと、あるいはラジオなんかの報道によりましても、どうも罹災地の救援物資が、行く所へは行っているけれども、行かない所には一つも行かないというふうに、はなはだ不円滑だ。特に、先ほどの御説明でも、奄美大島なんかが一番の被害地だというふうなことになりますと、これはどういう状況で救済策がされているのかということが、遠いのでよくわからないので、鹿児島の県庁を通しておやりになるということになりましょうけれども、この離島とかあるいは僻陬地といいますか、そういう点の救済状況というものは、これは厚生省の管轄かもしれませんが、一応地方庁を通じて自治庁が掌握していると思いますが、大丈夫ですか。心配なく救済策が行なわれておりますか。
  33. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 今のところ、私の方もまだ所管ということではございませんのですが、特に救済救助関係は、これは厚生省の仕事の範囲になっておるのであります。ただ、自治省といたしまして、実態を掌握する立場から、それらの問題についても総括的な状況把握というものは必要ではないかというようなことでございますが、その点につきましては、今度災害対策基本法案が提案されるという運びになりまして、大体準備を進めておりますが、この法案が成立をいたしますという運びに相なりますると、それらの点についても、自治省自体がやはり総括的に把握をしていくという態勢に一歩を進めていくことに相なるのではないかと考えておるのであります。現在のところは、救済の実態その他について、私といたしましてはつまびらかにいたしておりませんが、奄美につきましては、御指摘がございましたように、鹿児島県を通じてこの仕事を行なわしておるのであります。ただ、今回の場合、非常に災害程度も激甚であるということに報告を受けておりますので、私の方といたしましても、現在調査官を派遣をして、実態をつまびらかに掌握をするということで、鋭意調査を行なっている段階でございます。
  34. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、調査官を奄美に派遣をしておるのですか。
  35. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 奄美群島復興の関係を所管をいたしております立場上、現在奄美に調査官を派遣をいたしまして、実情の把握のため調査をいたさせております。
  36. 加瀬完

    ○加瀬完君 厚生省の所管かもしれませんけれども住民に直接、厚生省の所管事項の救済のいろいろの手当が届くのは、これは地方の県なり市町村なりというものを窓口にして行なわれるわけですね。ですから、自治省としては、特にああいう離島のような所の救済策はどう立てたか。実際の救済効率がどう上がっておるかということ、これは県庁を督励して、つまびらかにしておいていただきませんと、一方ではまあ長期計画の離島振興法なり、あるいは奄美復興のいろいろの予算というものが来る。しかしながら、目の前に災害があったときには、その災害に対する救済の手ははるかに届かない遠い所にあるということでは困ると思うのです。調査官を派遣していただいたそうですから、臨時国会でも始まりましたら、一応鹿児島県庁を通しての状況の把握でもけっこうですから、この委員会でまた御説明していただくことにお願いをしまして、質問はやめておきます。おわかりになりますか。
  37. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) ただいまのことに関連しまして、私の今受けております報告では、奄美群島では、浸水地帯はすでに解消いたしまして、ただ家屋の損害がはなはだしいものでございますから、一部の人はまだ公共施設、知人宅等に避難をしておりますが、救援物資は、これはごく最初のものだと思いますが、昨二十一日に全島に配分をされたということを報告を受けております。
  38. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 自治省にちょっとお伺いしたいのですが、いつか、大臣の所見だと思いますが、集団移住のことが出ておったようでありますが、今度の災害を見ると、局地的に見ると、谷あいの村なんか、ほとんど全滅しておる。こういう所には、はたして将来引き続いて家屋を建築することがいいかどうか、いろいろ批判の余地もあるだろうと思いますが、しかし、これは早急にやらなければならぬことじゃないか。しかし、一面移住ということは、父祖伝来の土地を捨てるのですから、なかなか容易でない。また行き先がはたしてよいかどうか、慎重に検討されなければならぬこともありますので、この問題について、何か自治省の方で具体的に計画を進め、検討をされていることがあるでしょうか。
  39. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 集団移住の計画並びに計画の促進に関する諸措置につきましては、先般の特に災害に関連をいたしまして、長野県の伊那谷地区につきまして、そういう問題が具体的に起こっております。これらの地区については、地区自体が危険でございますし、再度また災害を受けるという、危険性がきわめて濃厚である、そういう場合においては、地元の住民の意向もございますけれども、これを安全なところに集団的に移住せしめる諸措置を講じますことが大局的にはいいのではないか、また、公共事業で災害復旧を行ないます場合においても、それが場合によっては非常にむだな投資になってくる可能性もある、そういう投資に要します経費というものを、むしろ集団移住に必要なところに回していくというような方法をとることによっていい結果が出るのじゃないかというような点もありまして、現在これについて何らかの措置を講じたいということで、私の方で現在それに関する問題点をいろいろ検討し、法案作成の準備を進めております。ただ、お話にもございましたように、災害を受けました当時においては、もうこういう土地はだめだというような気持になることもございますけれども、しばらく落ちついて参りますると、何分にもやはり父祖伝来の土地であり、農民といたしましても、農地というのは、これはほんとうの生活のかてでございます。そういうような点から、集団移住といいましても、なかなか当初の予定通りいくことができない点も出てきております。それらの点について、どういう措置を講じていくことがいいのかということについては、いろいろ問題点がたくさんあるわけでございます。この点、各省でも現在話し合いを進めている段階でございます。
  40. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 今の問題はお話の通りであります。しかし、その被害地によりましては、いろいろ、はたしてそういうことが急速にできるのかどうか、心配しているようですから、そういう点を考慮されて、もしそういうことがどうしてもやることが必要となったとするならば、急いでその所信あるいは計画を発表されるようにして、地方の人にあまり心配させないようにしていただきたいと思います。
  41. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 警備局長、今、小柳委員からの発言がありました暴利取り締まりの関係ですね。結局は、何といいますか、物資の流通の問題ではあるのですけれども、この間私は、災害のすぐあと新聞を見ておって、暴利取り締まりをやるのだということで、何か相当に効果を上げておるような記事をどこかで見て、大へんけっこうだと思ったのですが、やはり暴利取り締まりの関係は、警察でもどうしても関与してもらわなければいけない問題だと思うが、関係省と打ち合わせをされて、実効の上がるように一つやってもらいたいと思います。  本件についてはこの程度といたします。   —————————————
  42. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、治安に関する件について質疑を行ないます。  まず、先般の大阪府釜ケ崎集団暴力事件について警察当局から説明を聴取いたします。
  43. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 八月一日に起こりました、いわゆる釜ケ崎地区の集団暴力事件につきましての概要を報告いたします。  釜ケ崎と申しますのは、大阪の西成区の一部と、そこに接続いたします浪速区の一部でございまして、いわゆる簡易旅館のドヤ街という所に、そこに住んでおります人たちが一万二、三千人でございますが、それを中心にして、それに関連する方々がそこに集中しておる。約三万八千人ほどの方の住んでいる、〇・八平方キロと申しますか、そういう地域を俗に釜ケ崎と申しているようでございます。ここは、いわゆるドヤ街の住民でございまして、そこに住んで、いおゆる日雇いに従事する者、あるいはまた、相当によそで犯罪を犯した者がそこに入り込んで一時身を隠すというようなことがあって、いわゆる大阪でも特殊な地帯のように見られている所であります。  ここで、八月一日の午後九時五分ごろに、タクシーが一人の老人をひき殺したのでございます。即死事故でございましたけれども、おりから非常に暑い時期でもありますし、毎夜寝られないままに、その辺の住民がたくさんその地域に出ておるという状態、そこでそういう事故が起こったわけでございます。現場へ警察官がすぐ参りまして、もう脈もありません、呼吸もありません。耳と口から血を吹いておるということで、即死と判断をし、同時に、大勢集まって、運転手に対して危害を加えまじき様子であったということから、あれこれ措置をとって現場の検証をし、その他やっておりました間、わきの歩道ではございますけれども、現場に遺体を三十分近く置いたのでございます。地元の人たちから見るというと、これは釜が崎の住民だから特にそういうつれない扱いをするんだ、早く持っていけば助かったんじゃないかということを言っておったようでございます。そういうことで、交番のその措置が悪いということを大勢集まって参りまして抗議をしたのが事の起こりでございます。結局、しばらく時間をおきましてからパトカーを呼んで、パトカーで病院に送ったわけでございますけれども、その措置が非常に悪かったということで抗議をしておったわけでございます。説明をいたしましても、なかなか納得をいたしません。そこで、機動隊を交通整理ということで呼びまして、整理をいたしまして、九時半に病院に持っていったわけですが、十一時ごろまでにほぼ、まあ散ってはいませんけれども、それ以上にむずかしくなるという状態ではないということになったようでございます。  そこで従来とも、いろいろ何か検挙するというようなことになると、二、三百人たちまち集まってくるというような状態でございましたので、大きくなるという判断は現場でもされなかったようでございまして、そういう状態で推移いたしますうちに、とまっておった自動車のアンテナを曲げたのがあるということで検挙する。あるいはそういう状態を写そうということで新聞社のカメラマンがフラッシュをたいたということに激高をして、また午前零時ごろからだんだん雲ゆきが荒くなりまして、次第に抗議も激しくなり、石を投げる者も出て、そういう状態で、だんだん人がふえていったようでございます。警察では、そこに逐次機動隊なり署の署員を持って参りますけれども、なかなかそういう勢いづいて参りました状態がとまりませんで、そして夜中になりまするというと、群衆は三千人くらいになったのでございます。事の起こりましたのが東田町の巡査派出所でございますが、そこへ投石をいたしますそのうちに、手車のようなものにいろいろ物を詰め込んで、火をつけて交番の中に押し込んでくるというような状態で、もう交番にいることも危険でもあるし、そこにいられないということで、そこにおりました者がうまく脱出して、そこから三、四百メートル離れております西成の本署の方に引き揚げて参りました。これを追って、そこにおりました群衆が今度は西成署にやって参りまして、これまた石を投げる乱暴が繰り返されたのでございます。遂に同署の前にありましたパトロール・カー、鑑識車というものも引きずり出して、これを倒して火をつけるというような乱暴をやったのでございます。これに対しまして警察としては、ガス筒を三発、ついで一発投げましたけれども、実はガス筒というのは、ああいう広い所で三発や四発投げたのでは十分な効果はありません。しかしながら、そこがずっと民家がある所でございますので、十分な措置ができないままに、警察署の前でそういうようなものが焼かれるというような不始末をしでかしたわけでございます。次第に警察力も増援されまして、結局明け方に実力行使をし、さらに二十九名、一部の暴徒を検挙いたしまして、どうやら夜が白むとともに解散をしたわけであります。  第二日目、つまり二日夜から三日夜にかけましては、警察といたしましても、二千五百近くの警察官を動員をいたしたわけでございます。しかしながら、今度は、最初の晩にそういうことをやって勢いづいたと申しますか、遠くからもこれに応援、見物というようなものもまじえまして、第二日目には四千人くらいの群衆になりました。これが日暮れとともに集まって参りまして、暗くなると署に投石する。警備部隊にも弾幕のような投石をする。ちょうどおりあしく、すぐそばに南海鉄道がありまして、そこに上がっていくと、とがったような石が幾らでもあるのでありまして、それを取っては高い所から投げる。また、今申しましたドヤ街というのが一ぱいあるわけでございますが、そういう所へ逮捕の者を追っていくと、屋根の上から、窓からガラスびんを投げつけるというような状態で、この晩も警察官としては相当なけがをしております。約二百四十名もけがをするという状態でございました。警察といたしましては、ほんとうにやるつもりでやっている、いわゆる暴徒といっている人と、これを見物しているという人と、なかなか区別がつきません。そこで、実力行使をやる際には警告をして、見物している人はどいてくれということを盛んに言いますけれども、実は相当の部分は、警察が向こうを見ると見物人だが、うしろを見ると物を投げるというような状態であるということで、なかなか思い切った措置も第二日目にはとりにくかったようでございます。そのために、第二日目には、あるいは電車の線路にすわり込むとか、電車に石を投げつけるとか、あるいは通りがかりのタクシーをとめてひっくり返し、火をつける。あるいはごみ箱、看板を持ち出して火をつける。見さかいのない方法が繰り返されまして、あたりの民衆には非常な恐怖感を与え、疎開をしなければならぬというようなことまで、私テレビ等で見ましたけれども、言っている方まで出てきたわけでございます。  そこで、第三日目は、これは早くから、昼間のうちから広報車、ラジオ、テレビ等にも御協力をいただき、あるいは印刷物等も配りまして、きつい実力行使をするから、関係のない方はそこには、巻き添えにならぬように、出ないでもらいたい。あるいは何カ所も検問所を設けまして、そこに入らないで済む人は入れないようにするというような措置をとる一方、日暮れとともに総員六千名余りに及びます警察官、これには大阪府の警察官のほかに、兵庫、京都の機動隊合わせまして二百二十五名、幹部学校の生徒にも別に応援を求めまして、合計六千四、五百になったと思いますが、その警察官を動員いたしたわけでございます。そこで、何回も警告を繰り返し、今度は石を投ずつけてくる暴徒に対しまして強力な警備実施を行なったわけでございます。そのために、一時五千人ほどの数にもなりましたが、これが次第に分散をし、ちぎれちぎれの小さな集団になる。そうなると大したこともできませんで、これは夜中の午前一時ごろに事なく終わりまして、第二日が五十名検挙、第三日目はそういうことで時間も短こうございましたし、検挙いたしましたのは十八名でございます。そういうことで、午前一時ごろに平静に帰したわけでございます。  第四日、五日と、同じ程度の警備をいたしまして、若干署の回りに集まってきた者もございますけれども、四日以降は、散発的に暗やみから石をぶつけるというような者のために若干のけがはありましたけれども、自来大きな事故はございません。次第に警備力を減らしまして、九月初めごろまでには二千近くの警察官を動員するというようなことで、今機動隊を常置をしている以外には増援をいたしておりません。そういうことのために出動をいたしました警察官が、八月一ぱいで数えましても九万八千名に及びます。また、負傷いたしました者が警察側では六百九十八名、うち重傷二十二名になっているのでございます。そのほかに一般の方、消防士の方も、あるいは新聞記者の方も、あるいはまた実際に石を投げておった者、あるいは見物しておった者も入っているのでございましょう。そういう者のけがをされた方が百九十三名ということでございます。そういたしまして、検挙をいたしました総人員は百七十五名に及んでおるのでございます。その間に物的損害といたしましては、派出所が全壊、全焼、半壊いたしたもの、半焼いたしたもの、警察署のガラスがほとんどやられましたり、それから、先ほど申しましたパトロール・カー、鑑識車がやられるというようなことで、金額に換算いたしまして、ほぼ五百万円の警察が損害でございます。一般の方々の乗用車、タクシー等が三台焼かれたもの、あるいは付近の民家のガラスをこわされたもの、あるいは類焼したものでございますが、若干燃えたところもございますが、そういうものを入れまして、ほぼ二百二十万円の損害を見込んでおりまして、七百二十万ほどの損害だという報告を受けておるのでございます。  この事件を顧みますというと、事の起こりは、交通事故の取り扱いが地元の方から見るというと適切でないということに憤激をされたということから起こっておるのでございます。なるほど交通事故の取り扱いの指導といたしましても、まず被害者の救助に当たれということになっておるわけでございますけれども、この場合、即死事故であることが明らかだと判断をし、そこでこれを直ちに救援する措置を怠ったということが地元の方々を非常に刺激をしたということでございます。すでに即死をしたものであるか、あるいはまた回復するものであるか、それを軽々に判断すべきではない。また、かりにほんとうに即死をされたとしても、それに対しまして、長くそこに置くというようなことは礼を失するわけでありまして、そういうことがないように、この機会に各県の警察本部長に特に警察庁長官から指令をしたところでございます。しかしながら、事の起こりはそういうことでございましたけれども、さらに基礎的なことを申しますと、八月一日というのは、実は昨年山谷で起こりました日と全く同じでございます。暑さの盛りで、非常にごみごみしたところにおるわけですから、夜おそくまでとうていうちに入っては寝られないということで、大ぜいの人がみんな表に出ておるわけでございます。しかも、前の日が給料日で、一日が一部の職人等が休みの日だそうでございまして、相当に酒を飲んでおる者が多いのでございます。また、近ごろいろいろ土木事業等があちこちで行なわれて、人手不足でもございますので、ここの住人たちがいわゆる手配師の手配によって工事現場等に参りますと、千円ないし千五百円になる。そこで、笑い話ですけれども、しょうちゅうを飲んでいた者がビールを飲むようになったということを言うのですけれども、そういうことで、実は酒を飲んでおった者も相当おられた。しかも、ここに住んでおりますのは、先ほど申しましたように、いわばいろいろなことに失敗をしてそこに入ってきたという人もございますし、あるいはまた、何らかの事情で犯罪を起こして、ここに身を隠しているという者もありますし、またその中には、麻薬密売、売春その他の事柄をかてとしている暴力団というものも、実は山谷にはあまりありませんわけですけれども、ここは非常に多いのでございます。またこの中には、いわゆる臓物故売を平気でやります古物商、くず屋等がたくさんありまして、関西一円で物が取られれば、まずここに行けば出るというくらいな所で、各県の警察もここに行って臓物を探すというような状態で、非常に犯罪も多い。そういうようなことから、実は三十四年に、この西成警察署は四百二十人ほどの大きな警察署でございますけれども、そこに特に暴力団のこういった売春でありますとか、その他麻薬でありますとか、そういう暴力行為を目がけてやる警視以下六十三名の特別の機動隊というようなものをそこに置きまして、これが常時そういうものに目を光らし、検挙をびしびしやるという態度をとっておる。そういうことが非常にうらみを買っておったというような面もあったようでございます。もう一つは、先ほど申しました手配師というものがここにおりまして、これがいわゆる私設職安でございますが、そこの住人を集めて、これを工事場にもっていく、そこでピンはねをするわけでございますけれども、それにしても、いわゆる町の公共の職安へ行くよりは実入りがいいというようなことで、その手配師の手配を受けながら、しかもピンをはねられているというようなことで、そういうものに対するうらみもあるというようなことから、とにかく事を起こすということに関心を持つ種類の人が非常に多い地域であることは間違いないのでございます。  そこで、事の起こりは、先ほど来申しますように、交通事故の扱いが不行届きでございましたけれども、そういうことで火がつきましたのをあおり立てた者は、おそらくはそういう警察にうらみを持つものだろうと思うのであります。と申しますのは、ここで検挙を見ました者の数の中で、いわゆる暴力団といわれるものに属する者が相当の数に及んでいるのであります。しかも、あおり立ててみましたものの、石が飛びますというと、その一部の暴力手配師に対してふだんからうらみがございますので、かえってその手配師の方に今度は石が飛んで行くということで、今度は自衛のために武器を持って集まるということがございまして、持凶器集合罪でこれを検挙したということもあるわけでございます。そういう意味で、非常に偶発的なことのように見えますけれども、事の起こる素地は今のようにいろいろあったわけであります。そこで、警察といたしましては、一面、先ほど申しましたように、六千数百という大きな警備力を持っていって、起こりましたその暴力行為については、これを鎮圧するということをいたしたわけであります。しかし、これが最終的な解決というわけには参りませんわけであります。大阪市、ことに市がおもでありますが、府知事、市長にもお願いをし、また両機関でそれぞれ熱心に、ここに対して社会施設、福利施設というものを置いていきたいということで、今それぞれ検討しているわけでございまして、そういう福祉施設と相待って、起こりましたことに対する警察の強い警備というものが両輪のごとく行くいとうことが、今後そういうことの再発を防ぐことになると思うのであります。  御参考のために、昨年山谷で起こりまして、今度こういうことが起こったので、またはね返りで山谷でどうかという御心配も一部あったようでございます。ことし地元のいろいろな機関の御協力もありまして、この暑い間なるべく不愉快なままそこへ置いておくということはいけないというので、できる限り公園に集めて、納涼映画会あるいは警視庁の音楽隊を持っていって、音楽を聞かせるということをやりまして、また一面、水飲み場でありますとか、あるいは相談所でありますとか、そういったのを徐々にではありますが、整備しつつあるということと相待って、山谷の方はおさまってきているのであります。これまた振り返って見まして、そういう施設と警備力が両輪のごとく行くことが、これを今後根本的に解決していくところの問題かと思っているのであります。
  44. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 御質疑のある方はどうぞ。
  45. 加瀬完

    ○加瀬完君 今、局長のお話のように、いわゆる釜ケ崎事件と称する暴動の経過は大体よくわかるし、御説明通りだと思いますが、世にいう不快指数が非常に高くて、何かあればと待ちかまえておったにしても、もう一つ治安当局としては、どうしてそのはけ口を警察に求めてきたか、警察を相手にしたというのは一体どこにあるのだという点を究明してみなければならないと思う。この点は、何か警察の方では思い当たるいろいろな点があるのですか。
  46. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) これは、警察側から見ますというと、先ほども申し上げましたけれども、西成区自体が、実は大阪でいろいろな犯罪が第一位であるということ、また、その大半が釜ケ崎地区で行なわれているということ、いわゆる麻薬の密売その他暴力団が、青少年不良団を含めまして、非常にたくさんの暴力団がある、それが今のようにかてにいたしております売春でありますとか、麻薬でありますとか、そういうものをびしびし取り締まられている、そういうことに対して警察側に非常に反感を持ったということは、これはもう確かにあることだと私は思います。それとこれは同じではないのですけれども、一般にあすこの住民が、いわば社会の底辺と申しますか、いろいろなことに失敗してあすこに入ってきた。何か将来に対する絶望、現在に対する不満というようなものを持っておりまして、いわば非常にひがみがあるわけでございます。警察なんかの扱いや言葉が悪い、今のような交通事故の扱いなども、ほかで行なわれたら案外問題にならぬようなことでも、われわれだからこういうふうにするのだろうという見方をする、そういうことも一般のここの住民にはあるようでございます。そこで、警察側としては、そういうことがあるということを前提としてこれを扱うというふうなことが必要であるわけですし、そういう意味では、大阪府本部も、また署長としても、そこにおける警察官には、特に老練な者で、そういうことが手ぎわよく扱える者を配置したように聞いておりますけれども、しかしながら、それは警察が思っていることであって、住民から見るというと、先ほど申し上げましたような、警察だけが何か別な部隊を置いてびしびし取り締まりをねらって始めた。一方、何か別に社会福祉の施設ということがそれと並行して伸びてこない、何か警察力だけで押さえつけるという印象を受ける面が相当あったろうと思うのであります。そういう点は、警察のやり方のここの不行き届きな点もあろうと思います。そういう点は反省いたしますけれども、同時に、またやはり助長行政面もこれに一緒になってやっていただくということでございませんと、なかなか警察に向けての不満というものも解消できないんじゃないかと思います。
  47. 加瀬完

    ○加瀬完君 この事件が警察の責任だということを毛頭申す意思はございません。ただし、この交通事故に対する取り扱いというものは当を得ていないと私は思う。今、局長は、他の地域であれば問題にならなかったとおっしゃいましたが、他の地域で自動車でひかれた者を、このように簡単に医師でもない警察官が即死だと判断して二十分でも三十分でもそのままにして置くということは、ほかの警察署の場合は、あまりこういう取り扱いというものはないんじゃないか。ですから、やはり差別感というものはふだんから感じておりますから、ひがんで見るという原因をとにかくこの交通巡査は与えたということはいなめないと私は思う。一応即死だとだれが見ても考えても、即死とか即死でないかは、検視のお医者さんならば別ですけれども警察署の警察官が判断すべき問題ではない。病院に連れて行って医師が判断すべきもので、それを即死と判断して二十分でも三十分でも置いたというのは、こういうことが警察官の通例として行なわれるということであれば問題だと私は思う。この点はどうですか。
  48. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) 先ほどのお答えの中で、三十分そこに置いたということが、ほかの地域ならば問題にならなかったということを申し上げたのではなくて、一般論として、ほかでは看過されるようなことでも、そこではおれの方がこういうことだから、ということになるのだということを申し上げたわけでございます。一般論といたしましても、御指摘の通りで、即死であるというふうに判断するのは、首と胴とが飛んでしまったというならば別ですけれども、これは微妙な問題があると思うのであります。ただ、そういう扱いの中で、被害者の救済をまずやれということになっておりますけれども、それが即死事故である場合にはもう仕方がないのだから、証拠保全をやれと解釈できるような文句でもあるものでございますから、そこで、現実にそういうことが誤られていてはいけないということで、先ほど申しましたように重ねて、これは一見即死しておると思われても、それはもう直ちに病院に運んで、そうして救済の処置をとる、そのあと交通事故としての採証活動をやるのだということを明らかにするような意味で、はっきりこのことを通牒を出した次第であります。
  49. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 本件についてはこの程度といたします。
  50. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 次に、基幹都市建設計画等に関する件について質疑を行ないます。   —————————————
  51. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 時間も、もうだいぶたっておりますし、それから大臣もすぐ出なければならぬというところがあるようでございますから、結論めいたことだけを今お聞きして、いずれあらためてそれぞれの構想なり考え方なりというようなものについてお伺いしたいと思っております。  実は、自治省でいろいろと考えておられる地方開発基幹都市の問題、それから建設省での広域都市建設の問題、これは今言ったように、もっと内容をお聞きしたいのでありますけれども、まあきょうはそうでなしに、ただ、どうも考えてわからぬと思うのは、先月の十八日に、建設省、自治省、これはどういうお話し合いがあったのか、私もよくわかりませんが、それぞれ発表なさいました。で、構想と、それに伴う調査地域のいわば候補地でございますか、そういうものの発表をなさっておるんですが、これは一体あれですか、別々にこういうそれぞれの立場に立った考え方によって、一つは基幹都市である、一つは広域都市であるというような形で地方開発を進めると、こういうのですか。その点は一体どうなんです。
  52. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 地方の開発につきましては、今お話のように、自治省が考えておる考え方、建設省が考えておる考え方、あるいは通産省、企画庁と、それぞれ自分の主管事項に対する考え方があるわけでございます。いずれこれは法律で一本にしまして、扱い方というようなものは一本になるべき性格のもので、その作業を今進められておるわけであります。ただ、とりあえず地方開発をなるべく早く調査もし、手をつけなければいかぬじゃないかということで、ことしの予算に、建設省、自治省、別々に調査費がついておる。従いまして、とりあえずその調査費の精神に基づいて調査すべき個所を一応それぞれ想定しておるというわけであります。いずれこの方向は、法律で整備されれば一本になって行なわれることに相なろうと思います。
  53. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いずれ一本になると、こういうお話でありますし、私もそうなければならぬと、こう思うわけでありますけれどもね。しかし、一方、先ほど申しましたように、建設省建設省としての案を発表する、自治省は自治省としての案を発表する、あるいはまた通産は通産で、工業の適正配置ですか、こういうものを考えておる。また、聞くところによると、企画庁でも何か作業を進めておるというようなことも私も聞きますのですが、一本にするというのは、各省ばらばらといっては悪いかもしれませんが、各省の考え方にはいろいろあるようでありますから、それを一本にするというのは、どういうことなんでしょうか。一本にするということについてもちょっと変な感じがするのですが、もっとその点何か突っ込んだ話はできませんか。
  54. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 今ばらばらになっておるとというのは、目標は一つなんですが、各省でやる内容が違うわけです。自治省でやる場合と、建設省が、道路や、橋梁その他の計画を立てるということを目標にしてやる場合、それから通産省が工場の分散をはかるというようや建前からこの工場適地の調査をやるというのが、しかし、いずれはこういうものが総合的に運営されることでなければならぬので、法律で一本化されまして、今後総合運営になると思いますが、とりあえずそういった実態的な調査のためにそれぞれの省に調査費が今ついておりますので、それぞれの目標に従った調査を現在とりあえず進めよう、こういう段階であります。
  55. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあ私自分の考えを端的に申し上げますと、現在各省でおのおの調査費を持っておる、こういうことが少しおかしいと思うのですね。これは国として、政府として地方開発を進めるというような場合には、仕事の具体的なこまかい内容についてはそれぞれの所管も違いますし、現在の政府の機構からいって、あるいはいろいろな行政の仕組からいって、それぞれ違いますけれども、そういうある地域を指定してあるいは地域を定めてそこをどういうふうに持っていくかということになりますと、これは私はやはり最初から一本のものでなければならぬと思うのです。それを各省ばらばらに、あなたの方でも一千万円か一千二百万円ですか、調査費がある、建設省も一千万円調査費がある、通産省にももっと多くの調査費がある。こういうことでばらばらにやっておるということが私はおかしいと思うのですが、まあそれは今とやかく言ってもしようがないことかもしれません。ですから、これについてはこれ以上申し上げませんけれども、一体一本になる場合に、どこでこれを一本化する作業をし、そうしてその窓口がどこになると、こういうふうな見通しなんですか。
  56. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) これは窓口をどういうふうに扱うかということが、今正直な話、検討中なんであります。ただ、いずれにしましても、地方団体が相当中心になってこの計画を立てなきゃならぬ。また、実施主体は地方団体自体であるというような意味から、この扱い方というものはおのずからきまってくるのじゃなかろうか。で、それぞれ仕事が違うものでありまするから、地方団体のなすべき分野、あるいは行政的な計画、財政的な処置、そういうものにつきましては、これは今度はこういうふうに自治省の仕事の分野としてやらなければなりませんし、それから道路計画なり橋梁の計画その他の立地そのもののこの具体的な進め方については、これは建設省自体がやらなければならぬ問題であります。それから工場そのものの分散配置をどう計画するかということになりますと、これは通産省なり企画庁が自分の責任において考えなければならぬ。しかし、それがみなばらばらでやっておっていいということでないので、今のお話のように、いずれはそういうものを総合的に考え、一本の法律にまとめたいということで今作業が進んでおるわけでありますから、従って、今窓口をどうきめるというようなことになると、また正直な話が、権限争いだ、窓口争いだということになりますので、仕事の実態を詰めていって、自然にこうなっていくじゃないかというところに話をまとめようというのが今の段階であります。
  57. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今のお話の中に、事業といいますか、こういう仕事をやる主体は地方団体だ、こういうふうなお話がありましたが、そういうことについては各省の間で話がまとまっておるのですか。あなたの方でただそういうふうに考えておるということなんですか、どっちですか。
  58. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) これはまとまるまとまらぬにかかわりませず、たとえば自治体を解消をいたしまして、一つのエリアを別の自治体のようにして合併でもして作るとか何とかという問題になるか、あるいはその地域の行政、あるいは仕事を国が直轄してやってしまうというような問題が起こってくれば、これは別でありますが、現在地方で仕事を始めます場合の全体のこの企画、あり方というようなものについては、これは国が計画を全体の立場からいたしますが、遂行する責任者はあくまで自治体であるということには、もうこれは変わりはなかろうと思う。ただ、そのうちの、またこれはものの考え方でいろいろ検討いたしました結果、ある部分については、これは公団なら公団のような組織がいいじゃないか、ある部分については、これは政府が直轄をしてやればいいじゃないかという問題はその中に出てくることはあり得ると思いますけれども、しかし、あくまで地方開発をするそのいろいろな実施の実体は、地方自治体そのものであるということには、これはもう各省の意見の一致とか一致でないにかかわらず、事実の問題であると思っております。
  59. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあ事実の問題として、事業の主体が地方自治団体であると、これは各省間の意見の一致を見る見ないにかかわらず、そうなんだということだとしますと、私は、これは何も問題なくとっくにまとまっておったことじゃないだろうかと思うのです。それが自治省としては、大臣としての考え方はそうであるかもしれませんが、そうでないところに今まで一本化ができないで、各省ばらばらの形において仕事を進めていこう、こういうふうに、まあ少なくとも僕らにはそういうふうに見えるのですがね。だから、これはどういうことなんですか。ですから私お聞きしたいのは、あなたが考えておられるように、地方自治団体が仕事の主体であるべきだし、その方向に向かって今話がまとまりつつあるというようなふうであるとすれば、それはそれなりに一つの考え方で私はいいと思うのです。いずれ私はあらためてもっとお聞きする機会がほしいと思っておりますが、どちらに軍配を上げるという格好でなしに、そういう考えならそういう考えで私はまず了解できると思うのですが、そうでもないわけでしょう。そこまで煮詰まったことでもないでしょう。いかがです。
  60. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) その仕事の実体がそれぞれ違うものでありまするから、各省ともそこをどう組み合わせるというか、総合するかということは、なかなか厄介な問題がというか、にわかに片づきがたい問題が実際あるわけですが、そこで、今言いますように、主体は自治団体であることは、これはもう間違いない。ただ、その仕事をより完成させる具体的な方策において、まあこの部分については、こういう面については、これは公団の方式をとった方がいいじゃないか、それじゃこういう面については国が直轄的な形式でやった方がいいじゃないかというような問題がやはり残されてくると思うのです。だから、そういうような問題をそれぞれ提起しまして解決していくためには、若干時間を食っておるような次第であります。
  61. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そうするとあれですか、主体はあくまでも地方自治体である、しかし、仕事の実体、もっとより具体的な仕事の問題になりますと、仕事の進め方について、場合によっては直轄工事というようなものも考えられる。場合によっては公団みたいな格好で仕事を進めていくということもあり得ると思うのです。ですから、どの部面についてそういうふうな格好をとるかということについて今話し合いを進めておるのだと、こういうふうにお聞きしたのでありますが、そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  62. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) それでけっこうだと思います。
  63. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 一体そんならば十八日に発表なさったあなた方の建設省と自治省の案の中に、いわゆるさっきも申しましたいわば候補地として発表なされたものの中に、建設省の方には五十四カ所、広域都市の方の予定地はですね、候補地といいますか、それから自治省の方は四十九カ所だったと思いますが、ダブるものも——タブるというか、両方から一致したものもありますが、違ったものも出てきているというようなことは、これは少しおかしいことになるのじゃないですか。今の大臣の話だと、実際の作業といいますか、仕事の進め方、具体的に港湾をどうする、あるいは道路の問題をどうする、上下水道の問題をどうするというような問題について、それは直轄で行なわれるのか、あるいは公団等を設けて、そういう手で建設を進めていくのがいいのかというようなことは、これは私は当然考えられていいと思うし、現にまたそのある行政区域の中にある港湾を直轄工事として何年も仕事を進めているというようなこともあるのですし、道路の問題だってそういうことはあるのですし、そういうことは私はあまり大した問題でないと思うのです。むしろ私はそういうことで大体方向がまとまって、最後の具体的な事業の進め方なり、あるいはどういう仕事をどうするかというようなことについてのいわば全体的な調整ができておらないという、そういうのであるとすれば、何も十八日にああいうものを発表したものの中に、一つは、これは建設省関係だと、こちらのある町、あるいは地域というものは自治省関係だと、そういうばらばらな、同じ政府機関でそういうものを出す必要はないと私は思う。そういう点はどうなんです。
  64. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 今お話になっております点は二つ問題があるわけでありまして、一つは、本年度の予算で各省に計上されております調査地域の選定の問題、それから調査地域というものがはっきりきまって参りまして、それが将来の基幹都市なり広域都市の区域というふうになりました場合に、それを土台にしてどういう建設計画を立て、どういうふうに進めていくか、今二つの問題があるわけでございます。建設計画の立て方なり進め工合なりというような点を含めまして、現在関係各省でいろいろ相談をいたして、なるべく煮詰めて一本の法律で持っていきたいということで、最後の努力をいたしておる段階でございます。その前提といたしまして、本年度から調査にかかるということで、各省にも予算がついておるわけでございますが、この関係につきましても、今お話がございましたように、なるべくは、むろんこれは関係各省というものが地域等については一致していく、それぞれの調査の態度、また、調査の内容というものについては重点が違いますけれども、区域については、やはりできるだけこれは一致をさしていくというのが当然のことでございます。そういう意味で、特に私の方といたしましても、建設省とは緊密な連絡をとりまして、いろいろ地域についても調整をはかって参っておったのであります。ただ、御承知のように、われわれの方と建設省の方では、若干のニュアンスと申しますか、そういう差異があることはあるわけであります。と申しますのは、これは建設省の方から御説明があるかと思いますけれども建設省はいわゆる地方拠点としての広域都市を建設するということについての調査とともに、大都市圏調査というものを並行してやっておられるわけであります。大都市の再開発というようなことに関連をして、そういう地方拠点の都市建設というものをどういうふうに組み入れていくかという問題が一つあるわけでございます。自治省といたしましても、むろん大都市の再開発等について、これは無関心でおるわけではないのであります。ただ、建設省自体といたしましては、そういうように地方基幹都市、あるいは広域都市自体も、大都市の再開発と直接にからみ合わせてこれを解決していくということも重要ではないかというような観点に立っておられますために、若干私の方で予定をいたしておりませんものについて建設省が予定をしておられるということもあるわけであります。ただ、全体的に見ますると、事務的にいろいろ折衝をいたしました結果、大体予定をいたしております地区につきましては、そう大きな相違はないというふうに考えておるのであります。ただ、これにつきましても、本年度からやりますについて、そう各省がばらばらにやっていく——大部分は一致していると申しましても、これが二つでも三つでもばらばらに進めていくということにつきましては、これはやはり努力をして一つの一本化した方向で進めていくべきではないかというふうな考え方でおるわけであります。その点について建設省と私の方では、まだこの間の段階では最終的な意見の一致を見ないままに、時期的な問題もございますので、企画庁にこれを送り込んだという格好に相なっておるのであります。私たちといたしましては、企画庁においてこれらの点を含めて調整がはかられることを期待をいたしておるのであります。その場合におきまして、私たちといたしましても、全体の立場からいろいろ考えるべき点は再考していくという点についてはやぶさかではない、こういう態度をとっておるような次第であります。
  65. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そうしますと、今の段階では、建設、自治の両方の省の間では話が煮詰まらぬと、調停役みたいな、その行政として企画庁を考えておられるし、企画庁にすでに送り込んでおられると、こういうことのようでありますが、企画庁ではあなた方の考え方、意見を聴取し、それについて調整する作業を実際今進めておられますか。
  66. 曽田忠

    説明員(曽田忠君) お答えいたします。名前はいろいろ出ておりますけれども、要するに企画庁といたしましては、全国総合開発計画草案にもございますように、都市の過大化の防止と、あるいは地域間格差の是正という意味で、拠点的な工業の開発、あるいは都市の規模の拡大ということを考えておるわけでございますが、現在われわれとして考えております点は、できるだけ数をしぼって重点的にやる方がいいのじゃないかという構想を持っておるわけでございます。考え方といたしましては、全国を数個の経済圏に分けまして、そこにいわゆる大規模な大拠点の工業地帯を設計するというのがねらいでございまして、まあ今までのいわゆる四大工業地帯に準ずるといいますか、それほどの大きな規模ではないかと思いますけれども、その四大工業地帯の規模に準ずるような大きなものを拠点として設計いたしたいという考え方を持っております。従いまして、数もおのずから各経済圏ごとに一ないし二というふうに考えられておるわけであります。そういう状況にありまして、まあ先般自治、建設両省におきまして、大体五十前後の調査の構想でございますが、そういう構想を発表されたわけであります。われわれといたしましても、いささかちょっと構想が違っておりますもので、実は面くらっておるわけでありますが、とりあえずの本年度の調査地域といたしましては、大体それの半数程度のものが自治、建設両省から私どもの方に参っております。また、私どもといたしましては、約五千万円の調整費を持っております。その企画庁に与えられております調整費は、大体各省にできるだけ共通なものでございまして、たとえて申しますと、約二万五千分の一の図面を作りまして、それを基礎といたしましていろいろな基本計画の資料にするというような問題、あるいは特にボーリング、地下構造の調査、そういうものをやりまして、各省のいろいろな調査の参考にしたいというようなわけで、それらの事業が、実は一カ所にしましても数百万円の金がかかるというようなわけで、おのずから区域が限定されるというような段階でございまして、実は企画庁の五千万円の口につきましては、そういう事情でできるだけ個所をしぼって使わざるを得ない。しかしながら、各省にございます費用はいわゆる一般調査でございまして、これは一カ所当たりそう多くの額は要らないのじゃないかというような気持もいたしまして、まあわれわれといたしまして、現段階におきまして、今予定されております自治省あるいは建設省の本年度の調査予定個所を企画庁が考えておる程度にしぼれということもいかがかと思いまして、まあ現在どういうふうに持っていったらいいかを検討中でございます。  以上が現在の段階でございます。
  67. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ちょっと肝心の企画庁の考え方がまだはっきりしないようで、これ以上伺ったってしようがないんじゃないかと思うわけですが、まあ、今のあなたのお話の中に、あなたの方の考え方と違ったものを持ち込まれて面くらっているという話があったんですが、そもそも私は出発が少しおかしいんじゃないかと思うわけで、それは先ほども調査費の問題について申し上げたことと関連するわけでありますが、そうすると、企画庁はあれですか、今、自治省あるいは建設省があなたの方に持ち込んだこういう案をもとにして、独自な立場で、あなた方が従来考えておったような形に案を作っていくというふうに考えておられるのか、あるいは両案をつきまぜて何らかの一致点を見出した場合には、いわば折衷案みたいな格好でそれをやっていく、こういうふうに考えておられるのか、どっちでございましょう。そこまでまだ言えない段階ですか。
  68. 曽田忠

    説明員(曽田忠君) 先ほど申し上げましたように、私の方の預かっております五千万の調整費、それの使途について先ほど申し上げたわけでございますが、たとえばボーリングにいたしましても、それから地図の作製、それにいたしましても、まあ一カ所当り相当な金額が要るわけでございます。そういう関係もございますし、まあ企画庁としてとりあえず重点的にやるべきものは、まあ相当数も制限すべきじゃないかという考えを持っておるわけでございます。
  69. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そのいわゆる調査予定地と申しますか、あるいは候補地と申しますか、それの数の問題だけでありますか、あなたの方のいわゆる調整しようとするのは。しぼってやる、経費の関係でしぼらなければならぬということを先ほども申されましたし、今もおっしゃっておりますが、そんなにたくさんの数を持ち込まれても困るから、金の関係もあるし、だから個所を、たとえば十カ所になるか二十カ所になるかわからぬけれども、個所をしぼってやると、こういうことなんですか。
  70. 曽田忠

    説明員(曽田忠君) 先ほど申し上げましたように、まあいわゆる企画庁で考えておりまする拠点開発構想といいますのは、大体全国を五つないし六つの経済圏に分けまして、その中に一ないし二程度のまあ拠点地帯を設定いたしたいという考えを持ったわけでございます。で、まあ考え方といたしましては、数はできるだけしぼりたいという構想でございます。
  71. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 実際に調査する個所は、まあ多くなるのか少なくなるのか、私は大した問題じゃないと思う。これはいろいろ経費の関係もありましょうし、時間的な問題もありましょうし、ことにこれから調査するなんといったって、この年度というのは残りわずかでございますから、私はそういうことよりも、先ほどまあ実は時間があれば建設当局から、建設省のいわゆる広域都市というものの構想なり、具体的に何を考えておるのか、そういうことを聞きたかったし、自治省からは基幹都市の問題について同じようにお聞きしたがった。時間がないから省略しましたが、ただ、いただいておる刷り物からしまして、あるいは先ほどの大臣の話からしまして、私は、二つの示された案の中には、何かこう非常に考え方において食い違ったものがあって、簡単にまとまりそうにないというようなふうに感じておるわけなんで、それを一本化するんだということですから、方向としては私はそうなければならぬと思いますけれども、しかし、一本化する場合に、一体どこでやるのかといったら、企画庁でやっているんだ、これからやるんだという、こういうふうな話ですから、企画庁では、一本化の考え方についてこの相当異なる二つの案をどう、いわば調整をしていくのか、私はそこをお聞きしたいわけです。調査所が五カ所になるとか十カ所になるとかということは、私は大した問題じゃなくて、違った考え方の、それに基づいて作られた案というものを一体一本化するにはどうすればいいのか、どういう方法で一本化するのかということを、もし考え方があるならばお聞きしたい、こういうことなんです。  それからもう一つは、さっき窓口というような言葉をちょっと使ったようでありますが、一体どこでこれを所管するのか、そういう問題、あるいは同じ地域に、一つは広域都市の調査予定地、一方では基幹都市の調査地域としての予定地として、こういうふうに発表されておるところがたくさんあるわけであります。どういうふうな名前になるのか、これは名前のことなんか最終的に何とでもいいようなものだけれども、これもちょっと私どもからしますと、変な格好じゃないかと思うわけでありますから、そういう点からいってどうこれを一本化するのか、その作業を実際あなた方がおやりになるのかならぬのか、そういうことをお聞きしたいわけなんであります。
  72. 曽田忠

    説明員(曽田忠君) 先ほどお尋ねがあり、また私がお答えしました調整の問題は、実は本年度におきまする調整費の、何といいますか、考え方の問題でございまして、今、三省から出ておりまする法案につきましては、経済企画庁といたしましては、三省の法案を調整してどうこうするというようなことは、現在の段階におきましては考えておりません。
  73. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 さっきあなたのお話の中に、企画庁として、一つの考え方で調査費もつけて、あるいは調整費といいますか、そういうものをつけてあるので、それによって調査していこうと考えておるところに、実は相当考え方の違う案を持ち込まれて面くらっておる。面くらっておるだけで、これを調整することでないということだとしますと、さっき藤井さんは、今、企画庁へ送り込んで一本化のためにやってもらっておるのだと、こういうのですが、それはどうなりますか、やれますかやれませんか、企画庁として、あるいは藤井さんの方として。あなた方せっかく送り込んでも、企画庁としては今お聞きしたようなことなんですよ。
  74. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 今、曽田局長の方からお答えがございましたように、法律作成の段階においては、これは企画庁がとりまとめるとか何とかということでなくて、関係各省の間において意見の疎通をはかりまして、できるだけこれを一本化の線の、筋の通ったものに持っていきたい、現在それを努力しておる段階でございます。調査費の点につきましては、企画庁に調整費がございます点もありまして、調整費の使い方その他の点については、なおいろいろ御相談をしていかなければならぬ面がございますけれども、私たちといたしましては、今度の調査費自体が計上せられました経緯その他から見まして、やはりできるだけ調査をする地区がばらばらになってしまうというようなことは、これは望ましいことではございません。国の施策としてやっていくからには、一つの一本通った筋の上にこれが進んで参らなければならぬというふうに考えておりますので、企画庁におきまして調査費あるいは調整費の配分等を通じまして、それらの区域ができるだけ一本の線にまとまっていくということを期待をいたしておるのであります。しかし、その点現在なお話し合いを進めておる段階でございまして、今のところ最終的な結論には至っておらないのであります。
  75. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 発表されて間もないことですから——間もないといっても一カ月にもなるのでありますけれども、あまり時日がたっておりませんから、現在のところ一本になっておらないというあなたの後段のことはわかりますのですが、ただ、さっき一本化するんだ、しなきゃならぬ、そのために企画庁へこれを送り込んであるんだと、こういうお話でございますが、企画庁で、一本化のために、いろいろ異なる考え方も、だんだん話をし合っていく間に煮詰まってきているし、それこそ一本化されるであろうというふうにまあ私期待をしておったものが、企画庁ではそういう考え方はないんだ、自分の方は五つか六つの地域に分けたその地域に、まあ一カ所か二カ所のいわば地域を定めてそういうものを調査していくんだということで、これまたてんでんばらばらのような考え方でございますから、一体この広域都市あるいは基幹都市、両方の案を出して一本化するという、その一本化の行方がどこになるのか、ちょっとお話を聞いているとわからなくなりましたね。
  76. 加瀬完

    ○加瀬完君 同じことで関連して。総合開発計画というものをふんまえて、その拠点になるべきところに基幹都市というものを考えて、その基幹都市の内容として、建設省の考える広域都市の構想、通産省の考える工場適正配置という二つの足で基幹都市を強化していく、それが結論的には総合開発を進めたことになるというふうな話はわかる。何にも関係がないでしょう、基幹都市という、ありましたね、お出しになりました。しかし、これでは現在の自然発生的な、たとえば九州の五市の合併みたいなものとあんまり違わない。それがさらにいい意味で拍車のかかるように、建設省なり通産省なりの現在の、何といいますか、所管事項の中にも網がかかって、基幹都市というものの中に建設省も協力する、通産省も協力するということならわかるけれども、一つの政府で全然関係のないものをばらばらに出して、われわれどう判断しますか、これは。私も非常にその点は疑問なんです。しかしながら、基幹都市的な性格というのは、もうずいぶん進展しているんですね。これに法律がいろいろ補助をしてくれるというなら、援助をしてくれるというならば、もっと基幹都市というものを中心に通産省なり建設省なりというものが具体的に援助をしてくれる内容というものが盛られてこなければ困る。ところが、そういうことは、この基幹都市の試案を見ては出ておりませんよ。あるいは広域都市の建設計画でも、これは基幹都市を作るということにはなりませんよ。工場適正配置も、これは別なものを次元の別なところでいろいろ議論を進め、計画を立ている。自治省がどんなに希望的な観測を——先ほどから大臣も説明しているけれども、私たちは納得できません、そういうことでは。こういうものを一つの政府で何ら関連もなく発表することに、もっとこれは——行政局長の責任とは言われませんけれども、責任も政府は感じてもらわなければ困る。こんなでたらめなものを幾ら出されても、聞けば話がまちまちで、一つも連絡ないでしょう。これ審議できますか、こんなもの出されたって。おかしいですよ。
  77. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) これは資料として御要求がありましたので、一応用意いたしておりますものを出しておるわけでございます。
  78. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはわかっております。しかし、こんなものを出されたって審議にはならない。
  79. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 従って、このままの状態でこれをどうかということは、これは審議をお願いする方が私は無理だと思います。従いまして、この点はやはり各省ともいろいろ立場の相違はございましょうけれども、やっぱり想定をするところはおのずから共通なものがあり得るだろうと思うんです。大都市のこれ以上の人口の集中を排除するとか、地域格差を是正するとか、あるいは地方開発の中心拠点を作るとか、そういうような点につきましては、これはやはり各省といたしまして、その方向において私は何ら異論のあるべき筋合いじゃないと思っております。それに近づく方法論にそれぞれの立場々々の主張があるわけであります。私たちといたしましては、こういう現在の形だけでやっていくというようなことは、これは全く不統一のきわみでありまして、こういうことではやはり国の意思としてもそれは受け取りがたいものになって参ります。大体地方がそれでもって非常に迷惑をすることに相なって参りますので、この点現在調整に努力をいたしております。調査地域の問題等におきましても、日ならずこの法案をどういうふうに進めていくかという点で、私の希望的観測かもしれませんけれども、そう遠い将来でなく、意見の調整というものはつくのではないかというふうに考えておりまして、それらを背景といたしまして、調査区域についてもある程度の歩み寄りというものがなされるのではないかというふうに考えているのであります。
  80. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 建設省の方にちょっとお聞きしたいのですが、私も簡単なものの聞き方をしますから、時間もあまりありませんから、簡単でけっこうです。あなたの方ではどういうふうに考えているか。やはりこれを一本化してやっていかなければいけないのだというふうに考えていらっしゃるのじゃないのですか、その点どうですか、自治省との関係
  81. 志村清一

    説明員(志村清一君) 私の方は、かねて広域都市建設の構想というものを発表しておりますが、建設省といたしましては、先ほども自治大臣からお話がございましたように、道路とか河川とか住宅とかいう各種の施設について、責任を持っていろいろ仕事をさせていただいております。そのほかに国土計画、地方計画、都市計画というプランニングの分野を担当しております。かねてからこういった都市建設ということをわれわれの本来の仕事といたしましていろいろ考えて参ったわけであります。その意味で広域都市建設に関する立法というものもかねて考えておったわけでございますが、これにあわせて地方行財政の問題なり、あるいは通産の工場をどう持っていくかというような問題について御協力をいただければ、はなはだありがたいと考えております。
  82. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 やはり今のこれは簡単でございますから、あるいは私の聞き取り方が悪いかもしれませんから、悪ければ直しますけれども、何かお話を聞くというと、やはり広域都市というものの建設を中心にやっていくんだ、それに対して地方行財政の立場から協力してもらいたいのだ、こういうことで、中心はあなたの方の仕事があくまでも主だというようなことになっているようでございますね。私今何べんも申し上げますように、時間がないから、ここでいわば政府で考えている、あるいは一般の人方も考えて期待しているたとえば過大都市の抑制であるとか、あるいは地方開発のための格差をなくするための地域開発というか、そのために拠点になる場所を作ってまずやっていこう、こういう考え方については、あまり違った考え方じゃ私ないと思うんです。そこで、そういう考え方に立てば、私は何もばらばらに、おれの方は建設省だとか、おれの方は基幹都市だとか、おれの方は工業都市だとか、そんなものをばらばらな格好でやる必要はないと思うんですがね。具体的な仕事の内容としては、建設関係もあれば、工場関係については通産省ももちろんこれは一枚入らなければならぬ。しかし、おれの方はこれだ、おれの方はこれだということで、そこばかり抜き出して考えたような考え方でいきますと、何か私どもこれはちょっと理解に苦しむのでありますがね。そうしてさっきも言いましたように、あなたの広域都市のそれと建設省のやっと、それから自治省のこれは食い違ったところがある。せめてこの一致しているところだけについてでも早急にいわゆる一本化してもやっていくというのであれば、これは私どもわかります。何かてんで性格が違うからやむを得ないじゃないかといえばそれまでですが、同じ政府で地域開発を考えていく場合に、私はてんでんばらばらなことでは許されないと思うんですがね。まあしかし、きょうこれは聞いておってもなかなかこれ以上進まないようだから、いずれやはり両方の大臣にも来てもらって、あるいは企画庁の方からも担当の大臣に来てもらって、一度よく考え方というものをお聞きしなければならぬように感じますから、私はきょうはこれでまずやめます。
  83. 加瀬完

    ○加瀬完君 その建設省の考え方というのは、広域都市というよりは、むしろ都市条件というものをどうするかというところにねらいがあるのじゃないですか。結局現在の都市の条件が、建設省的な見方から見れば、非常に道路にしても上下水にしても、あるいはあらゆる点から非常に都市条件を備えておらない。だからこの都市条件を建設省的な見方で理想化していくのだということなら話はわかる。しかし、建設省の管轄内だけの問題じゃないんですね、都市行政というものは。ただ広げればいいというわけには参りませんよ。行政官は住民の福祉というものを考えなければならぬ、住民の利便というものを考えなければならぬ。そういう点を抜きにして、いきなり広域都市構想というものをかりに建設省が出すとすれば、私はちょっと筋違いじゃないか、そうではなくて、やはり全国の総合開発というものをはっきりと政府が出されて、その中の拠点的なところとして基幹都市なり、あるいは広域都市なりというものが考えられて、その中で建設省の持ち場、あるいは通産省の持ち場というものが作られていくということでなければ私はおかしいと思うんです。で、どうも建設省が広域都市を作るといろ考え方は、もう少し私は歩み寄っていただかなければならない必要があるのじゃないか。ところが、自治省だってはっきりと、都市というものは単に都市の形態だけで都市じゃないんですから、広くしただけではたして行政的にプラスかマイナスかという問題も残るわけです。もう少し新聞で発表するなら、新聞で発表する前に、こういう質問が出ても八〇%くらいは話が合うように相談をしてもらわなくちゃ困るんですよ。これは試案ですからここで出されたといったって、新聞に発表してある。新聞に発表してあるものは、もう一般の関係者は大きな問題としておる。そうすればここで取り上げられるのは当然だ。発表しておいて、発表されたものを聞かれて、まだ打ち合わせができませんでは、できないようなものをなぜ発表したんだと私どもは文句をつけたい。その点がもっとはっきり政府の意思表示をしてもらわなければ困ると思う。  それから、まあ鈴木委員の方から、やったってしようがないということですけれども、私は基幹都市の内容だっておかしいと思うんですよ。区域の要件というものがありますね、第十条に。この要件が備わっておるような所は、もうすでに基幹都市にもなっておれば広域都市にもなっておる。こういう条件の未熟な所に政府が援助をして、基幹都市を形成して広域都市を作っていくということでなければならないわけです。やる気はあるんですか、本気で基幹都市というものを自治省は。それにしても、どうもこの内容というものはずいぶん疎漏のように感ずるんですがね。感想になりますから、まあやる気があるかないかどうかをお答えいただけば、あとは質問は後日に譲ります。
  84. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 初めにお話がございましたように、表面に出ておりますのは、大へん各省がどうも意見が不一致であるように見えております。そういう面もございますけれども、実は大筋は一致しておるのですから、八〇%までは実は一致しておるんです。そのあとの二〇%というのが、実はいろいろ困難な問題があるものですから、その点の調整に今努力をいたしておるということでございます。基幹都市なり広域都市の構想につきましては、私たちはこれは現在の最もやはり緊要な要請であると考えておりまして、ぜひともこの趣旨は一つ進めていきたいというかたい決意を持っております。
  85. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 やめようと思ったけれども、二〇%というところはどこなんですか。
  86. 藤井貞夫

    説明員(藤井貞夫君) 大きな方向といたしまして、広域都市、基幹都市という名称はいろいろ各省の立場上違いますけれども、こういう方向でもって都市作りを拠点的に設定していこうという方向は、これは私は各省とも異存のないところだろうと思っております。この大筋がきまりますれば、あとはそこへ近づいていく方法論ですからして、私は分量としてはごくわずかな分が残されている。それは各省の立場からいろいろむずかしい点もございますけれども、しかし、仕事の全体の量から申せば、未解決の部分は非常に小部分ではないかというふうに、これは比喩的に申し上げたのであります。
  87. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私ども今まで聞いたところによると、八〇%どころじゃなくて、大筋のところがきまらないからきまらないのです。そうでないですか。自治省の今のお答えだと、今の藤井さんの考えていることと違うのですよ、根本的に。おれの方ではこういうことをやるのだ、行財政の方に少し援助してくれ、こういう考え方。一方は、やはり一つの行政単位なり、あるいは何といいますか、地域の地方団体というものを中心にした——さっき大臣もはっきり言っておりましたが、公共団体が中心になってその地域をどうするかということなんだ。だとすれば、これはやはり違いますよ。地方団体の仕事のところで、建設省の仕事や、あるいは通産省の関係する工業の問題やらいろいろな問題があるから、ただそれを具体的にどうするかということのために意見が違うというのであれば、私はそれはそれなりで了承します。そうじゃない。建設省の考えているのは、わずかしか発言しておられませんでしたから、あるいはさっきも言ったように、誤って私受け取っているかもしれません。おっしゃっている限りは、私が今申し上げたようなことだと思います。そうしますと、これは大筋の八〇%じゃなくて、大筋がきまらない。おそらく八〇%、九〇%がまだきまらないのじゃないか、逆のような感じがするのです。それから第一、大筋があなたのおっしゃるようにきまっているということだとしましても、一体これをどこで、いわば関係省庁たくさんあるわけでございますけれども、一体俗な言葉で言えば、どこが窓口になるのかというような問題も、そのことによってもやはり一つ性格というものは出てくると思いますから、そういうことが残っているとすれば、肝心のところはやはり残っておる、こういうふうに私ども思わざるを得ない。それから企画庁の方でも、これはほんとうに全体の立場に立って、何といいますか、国土開発とか、あるいは地方開発なんか進めなければならぬというふうな役目を持つだろうと思うのですが、これを持って全然自治省の考え方、あるいは建設省の考え方とは別な考え方でやっているわけですね。そういうふうに私はさっきの局長の話を受け取ったのでありますが、だとしますと、これは両省の間で話し合いを進めていって一本化する、こういうふうなことなんですか。どこへ持ち込んでこれは一本化するのですか。藤井さんは企画庁へ持ち込んだというけれども、企画庁はさっぱり熱心じゃない。どうもちょっと私はわからぬと思うのですが、私はもっとこのことはそんなにむずかしいことでないと思うのですがね。まあいずれあれします。きょうはこれでやめて、いずれあらためていろいろお話もまた聞いてやらなければならぬと思いますから、きょうはこれでやめます。
  88. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) では、本日はこれにて散会をいたします。    午後一時十分散会