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説明員(
昌谷孝君) 今回の
災害につきまして、一般的な様相は
警察その他からすでにお話がございましたから、農林
関係の
被害の概況、今日までわかりました概況と、それに対する当面の対策について御
説明いたしたいと思います。
お
手元に「三十六年
梅雨前線豪雨による農林水産
関係被害概況」、七月十日というのがお配りしてございますが、これに基づきまして、まず
被害の今日までの概要を申し上げたいと思います。
施設に
関係します施設
関係被害と、それから農作物
関係の
被害とに農林
関係の
被害と申しますと大略分かれるわけでございますが、うち、施設
関係被害は、
資料に冒頭書きましたように、今日までに
府県その他からの
報告に接しましたものを累計をいたしますと、二百六十八億ということに相なっております。そのうち、おもなものは農地
関係の
被害でございまして、農業用施設百四億、農地六十一億、計農地
関係で百六十五億ということになります。それから次は林野
関係でございまして、治山
関係で六十五億、林道
関係で十億、計七十六億の
被害が
報告されております。水産は、幸い今回は金頭的には大した
被害になっておりませんので、五千八百万円ということになっておりますが、
被害の主たるものは、内水面漁業であります。それから共同利用施設、農業倉庫でありますとか、乾繭施設等、そういった共同利用施設が二億七千八百万円、その他畜舎、堆肥舎、鶏舎、サイロ等の農業用個人施設三億、以上が大体
被害のありました各
府県からの今日までの
報告に基づいたものでございまして、
山陰の
島根、鳥取等比較的
被害を
あとになって受けました県につきましては、まだ若干
報告が移動するものと考えております。そのほかに国有林の
関係、あるいは公団事業の
関係での
被害が約二十億ございます。先ほど申しました林野
関係の七十六億の
被害と申しますのは、
府県が
報告をいたしました国有林以外の公有林、民有林の
関係でございます。国有林につきましては、この約二十億のうち十四億円が国有林の
関係の
被害ということになっております。その他は
愛知用水あるいは森林公団等に
関係する
被害でございます。以上の
状況を府
県別に取りまとめましたものが別紙1でございまして、各府
県別にまとめましたほか、一番手の方に直轄
関係あるいは海岸
関係を加えまして、総体が二百四十八億、それに公団
関係、国有林
関係の約二十億を加えて、二百六十八億という
被害になっておるわけであります。府
県別に見ますと、やはり
長野県の
被害が一番額において大きな
報告になっております。
以上施設
関係被害に対しまして、作物
関係の
被害は、一応各
府県から
被害直後に各
府県ごとに
報告に接しましたものを御参考のために別紙2として掲げてはおりますが、これにつきましては、御承知のように農林省は各
府県に統計
調査事務所を持っておりまして、さっそくそこが農作物
被害の
調査に現在日夜当たっております。本省からも各
被害関係の多かった
府県調査事務所には応援
指導人員を
派遣いたしまして、なるべくすみやかに
被害の把握をひたしますように努力をいたしております。大方今週中、つまり七月十五日ごろまでには第一次の作物
被害概況が、各
府県統計
調査事務所から本省の方へあがってくる、集計ができるというふうな段取りで目下せっかく
指導督励中でございます。それが判明いたしませんと、作物
関係の
被害は統一的な目でながめました
被害報告になりませんので、一応別紙2は、それまでの間大方の概要をつかみますための参考
資料というふうにごらんいただきたいと思います。
なお統計
調査事務所がとりあえず七月八日現在で
報告して参りました田畑の冠水面積は約二十四万ヘクタールということになっております。それはもちろんこの二十四万ヘクタールのうち作物に
被害を及ぼしますのは、何日かの日数持続的に湛水をするところになるわけでありますが、それらの湛水日数別の面積等は、先ほど申しました七月十五日の
報告までしばらく御猶予いただきたいと思います。
以上が施設
関係及び作物
関係についての
被害の概況並びに現在までの
調査の進捗の工合でございますが、次に、とりあえず
被害が
発生いたしまして農林省
関係で講じました諸
措置あるいは現在検討中の諸
措置につきまして概要を御
報告申し上げたいと思います。
それで何と申しましても、
災害の
状況を早期に把握いたしますことが重点でございますので、施設
関係災害につきましては、農地
関係は今月一ぱい、林野
関係は、奥地になります
関係で若干ずれますが、来月中ごろまでに
災害の第一次の査定をやりたいということで各農地事務局その他出先が
府県と
連絡をとって目下着手いたしております。それらが判明いたしました上で施設
復旧に関します法律のそれぞれの条章に照らしまして必要な財政
措置を講じて参るというふうにいたしたいと思います。それから作物
関係の
被害がわかりますれば、それに応じましていわゆる天災融資法の発動、地区指定等の諸
準備、金融
措置をまず第一段に行なって、それと同時に、農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設
災害復旧の
資金ワクの発動がございます。そういう順序に相なります。
なお、緊急の問題といたしましては、農林省も両
政務次官にお願いをいたしまして
関係各局の参事官、課長、担当官をつけまして、
災害の多かった、一つは
長野、
静岡、山梨を
中心にした地区へ、もう一班は
愛知、
三重、
兵庫、
岐阜というふうに二つに分けまして、両
政務次官にそれぞれ直接
現地の
指導あるいは慰問に行っていただいたわけでございます。
応急の処置といたしまして、農林省の
関係では食糧の
関係が問題になるわけでございますが、幸い今回の
災害では政府手持ち食糧、政府倉庫に関する食糧
関係の直接
被害はきわめて僅少の
報告に接しております。また各県庁の機能も、幸いにして十分活発に
災害中も行なわれましたので、食糧に関します
応急手配につきましては、内地米あるいは乾パンの
応急配給の希望がありまして、若干そういう
措置を講じましたが、おかげさまで、何ら不安なく
応急の
措置が講ぜられたわけでございます。
なお、金融
措置あるいは畜産、畜舎の消毒
措置あるいは農作物の水が引きました
あとの病害虫防除
措置等につきましては、急を要しますので、それぞれ担当官を
府県に
派遣をいたしまして、実際の消毒防除作業に遺憾のないように
指導をいたしました。
それから公共用施設の
復旧用として国有林材の払い下げという
措置を、こういう大
被害になると講ずるわけでありますが、
災害救助法の発動になりました地区につきましては、そういった公共施設の
復旧用資材は国有材の方から供給するよう、
現地市町村長あるいは
府県等と
現地の営林局の間で
連絡をとらせております。
以上が、大体今回の
災害に伴って講じました
措置でございますが、なお緊急
措置としては、このほかだめになりました
水田のまき直しのための種もみの手配等がございます。これも種もみにつきまして、食糧庁が種もみ価格で買い上げて
現地にそれを届けるわけでございますが、目下のところ、各県その他との
連絡によりまして、不円滑な
状況は来たしておらないような
報告に接しております。
動物の飼料につきましても、政府手持ち飼料がございますし、また政府手持ち飼料の払い下げを受けました畜産
関係の農業団体がそれぞれ
現地に手配をいたしております。今後考えられます対策といたしましては、先ほど申しました融資
関係がまず問題になります。また施設
関係の
災害復旧の早期査定、早期
復旧ということがありますほか、農業
災害補償法によります保険金支払いの問題が生じます。これにつきましては、
被害の態様等、まだ支払い事務に直ちに入るほどのところまできておりませんが、それぞれ仮払いあるいは非常に
被害の激甚の所では、制度上概算払いの道が開かれておりますので、基金を、間をはさみまして、系統
資金をそういった所要の所に振り向ける
措置が、
指導で
体制は整っておるわけであります。
なお、家畜の
流失いたしましてなくなりましたものについて、事故認定を早くやりませんと保険の支払いがおくれますので、これは過去の
災害でも講じた例がございますが、一カ月という期間と、市町村長の
確認手続というものとによりまして、早期に家畜の事故支払いができるように
措置を講じております。
なお、今後の問題といたしまして考慮いたしますべき問題は、林野
関係の
災害復旧につきまして、治山の
関係で必要に応じては特殊緊急治山というような
措置も講ずる必要があるのではなかろうかということで、目下
関係当局ともあらかじめ研究を進めております。それから施設
災害のうち、一カ所の事業費が十万円に満ちませんいわゆる小
災害につきましても、起債その他の
措置によって対策を講ずる必要があろうと思います。今回の
災害は、特に小
災害の比率が大きいというふうに
関係各県からも
報告、要請に接しておりますので、これが取り扱いにつきまして、自治省、大蔵省等
関係当局と目下協議中でございます。なお、小
災害の概況の取りまとめは、目下農地局の方で各県に照会をいたしまして、一般の施設
災害の査定とは切り離して速報を求めておりますが、今明日中には、
府県の方から小
災害の概況も農地局の方に一応
報告が出そろうのではなかろうかと思います。そういった事前の
関係各省間の相談と
資料の収集と相待ちまして、早急に対策を決定いたしたいと思っております。
それからなおこのほか、特に
三重県、
愛知県、
岐阜県等低地の耕地につきましては、長期間の湛水による
被害の問題がございます。これはひとり農林
関係の施設と申しますか、農地だけの
被害と申しかねまずので、これが対策につきましては、
都市排水、中小
河川排水等の問題とも合わせ、総合的に研究していただく必要があろうかと思いますが、何分耕地で一週間以上も水につかっておるということでは、
被害あるいは耕作の
関係等も非常に憂慮されますので、これが
応急排水の問題は、早急に事を運ぶ必要があろうと思います。もちろん各
府県の方でそれぞれ対策を講じておられますけれども、これが助成のやり方等について、国としても目下研究中でございます。また
相当日数、先ほど冒頭にも申しました湛水日数別の湛水
状況等が
地帯別に明瞭になることと並行いたしまして、対策を固めて参りたいと思っております。それから
長野県の奥地等、何と申しますか、部落等が集団的に
被害を受けまして、ほとんど原形
復旧というようなことでは、事後の営農にもいかがかと思われるような地区もあるようであります。これにつきましては、
狩野川台風、あるいは伊勢湾のときに講じました村ぐるみ新生復興のための総合
措置といったようなことを、共同利用施設、農地等を
中心にしてやった
事例がございますので、そういった部落ぐるみ復興対策といったようなものを、農地
関係あるいは農業
関係の共同利用施設の
関係を
中心にして、考慮をする必要があるのではなかろうかということで、目下これも対策を検討中でございます。
大体、以上が
被害の概況、当面とりました対策並びに今後研究——今後と申しますと悠長に聞こえますが、
被害の実態を把握しながら今後固めていくべき具体策の主要なものとして考えておるわけでございます。大体以上でございます。