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1961-07-10 第38回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年七月十日(月曜日)    午前十時三十七分開会    ——————————   委員異動 七月五日委員西田信一辞任につき、 その補欠として青木一男君を議長にお いて指名した。 本日委員津島壽一辞任につき、その 補欠として西田信一君を議長において 指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     増原 恵吉君    理事            小林 武治君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            基  政七君    委員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            館  哲二君            津島 壽一君            西田 信一君            湯澤三千男君            秋山 長造君           小笠原二三男君            加瀬  完君            松永 忠二君   国務大臣    自 治 大 臣 安井  謙君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    警察庁警備局長 三輪 良雄君    防衛庁防衛局長 海原  治君    文部省管理局長 福田  繁君    厚生大臣官房長 高田 浩運君    農林政務次官  八田 貞義君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林大臣官房総    務課長     東辻 正夫君    農林省農地局災    害復旧課長   中村 武夫君    建設政務次官  田村  元君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省河川局次    長       鮎川 幸雄君    自治省財政局長 奥野 誠亮君    消防庁教養課長 上川  澄君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査  (集中豪雨による被害状況に関する  件)    ——————————
  2. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。七月五日付をもって委員西田信一君が辞任され、その補欠として青木一男君が委員に選任されました。    ——————————
  3. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 地方行政改革に関する調査を議題といたします。  まず、先般の集中豪雨による被害状況につきまして、資料が提出されておりますので、これについて簡単に説明を願い、引き続き質疑に入ることといたします。警察庁三輪警備局長
  4. 三輪良雄

    説明員三輪良雄君) お手元資料を差し上げてございますが、被害状況全般につきまして簡単に御説明をいたします。  六月二十四日から七月の五日にわたります間、梅雨前線本州の上空に停滞いたしておりまして、ちょうどおりあしくそこへまた台風六号が北上して参りますというようなことで、四国近畿中部関東東北、ただ除きます地域北海道だけで、北海道を除く全国各地で激しい集中豪雨がございまして、そのために四十四都府県にわたりまして大きな被害を生じたわけでございます。  一応七月七日までで集計いたしましたが、その後も大きな変化はございませんと思いますけれども、その状況で申し上げますと、人的の被害が、死んだ方が二百七十名、行方不明八十二名、これはほとんどなくなったと推定をされますけれども、死体が確認に至っておりません方々でございます。負傷者が千二百五十一名、罹災世帯が約七万八千世帯罹災者の数が三十六万七千人に及んでいるのでございます。建物被害につきましては、家屋の全半壊流失が約三千二百棟、それから床上浸水は七万二千棟、床下浸水に至りましては、実に三十三万二千棟に及ぶのでございます。道路が損壊いたしました所が八千三百個所に及びまして、橋梁の流失は約千八百個所、堤防の決壊が約二千八百個所、山あるいはがけくずれが約八千個所あるのでございます。  今回の被害は、先ほど申し上げましたような台風と申しますより、本州に長らく停滞をいたしました梅雨前線被害が大きいのでございますが、まず、六月二十日に四国の東部、紀伊半島を襲いまして集中豪雨があったわけでございます。次いで二十五日から六日にかけまして、紀伊半島南部から近畿阪神、それから東海地方にかけまして。それからさらに二十七日になりますというと、それが長野岐阜中心といたします中部山岳地方、二十八日は静岡神奈川中心といたします関東地方南部伊豆方面、それから二十九日、三十日には、さらにそれが北上いたしまして東北南部、それから北陸山陰地方に及んだのでございます。ちょっとそこでとだえましてもう済んだかに見えましたが、さらに七月三日から五日にかけて再び山陰地方中心にいたしまして、九州の一部にも相当の降雨があったのでございます。従いまして、前後十日間にわたって北海道と愛媛県を除く各地被害発生いたしたわけでございます。最も被害の大きかった県といたしましては、兵庫県、愛知県、三重県、岐阜県、長野県、静岡県、神奈川県、茨城県及び島根県というような状態でございます。  差し上げてございます資料うしろの別表に、各県別被害を載せてございまするので、ここでごらんをいただきまして、各県別被害につきましては御報告を省略をさせていただきます。  資料でごらんいただきましてまず第八ページの一番末尾からでございますが、今回の被害が従来の台風被害と違いまして集中豪雨に伴う被害でございまするので、第一に山くずれ、がけくずれが非常に多かったということが特徴であると思われるのでございます。これはこの中ほどに書いてございますように、過去三年の台風あるいは集中豪雨によりますがけくずれ、山くずれと比較をいたしまして、ことに昨年一年で全国で起こりましたものの実に倍近くのものが今回の一回の集中豪雨で起こっておるのでございます。結局、連日の雨で非常に地盤がゆるみましたところへ一日に二百ミリ三百ミリというような大へんな雨が集中して降りましたために起こったのでございまするけれども、それに加えまして兵庫県、神奈川県等の都会の中心地におきましては、これは宅地造成をいたしますために非常に無理に山をブルドーザーで削りまして、その補強が十分でないということもこれはあずかって力があったかと思うのでございますが、そういうところで相当にがけくずれがあったのでございます。その両県のごときは、そういう原因でなくなった方が非常に多いのでございます。それから第二番目に、小さな川の決壊溢水等が非常に多うございました。局地的に集中いたします雨のために、さばき切れない流水力の小さな河川決壊をいたしたのでございます。特に阪神間、神戸市内におきます河川などは、山から海までの距離が非常に短うございますし、そこに集中して降ったものでございますから、はけ切れないということで被害が多かったのでございます。第三番目が低地の排水不良によるものでございまして、これは市街地の一部、ことに名古屋あたりでは、いわゆる海抜零メートルというような所があるわけでございますけれども、これは排水ポンプの全能力を上げましても、その排水力よりも集中豪雨の雨の方がはるかに強うございましたので、排水ができませんので、相当浸水地域をふやしたということになったのでございます。それから農村がちょうど田植え期のために、水田の水路に濁流が一時に流れ込んだということでございまして、水田が全滅したというような所があるようでございます。専門家の方からの報告があるようでございますが、農村の方の被害相当に大きいと予想されるのでございます。  そこで警察といたしましては、この災害が起こりました管区警察局並びに府県警察本部あるいは警察署ではそれぞれ災害警備本部設置をいたしまして、延べ六万七千余り警察官が出動をいたしておるのでございます。消防団水防団、地元民その他関係機関と緊密な連絡をいたしまして、六月二十四日以来連日不眠不休警戒警備活動に当たったのでございます。  災害中心となりました関東地方中部地方近畿地方、それぞれその管区警察局におきましては、局長本部長といたしまして、管区局をあげての管区災害警備本部設置をいたしまして、災害情報の収集、その他全般被害状況の把握、警察活動調整連絡、あるいは警備資器材を必要とする方に他の県から応援を出すというようなことにいたしたのでございます。特にこの被害地付近道路状態などを知りたいというようなお尋ねがこの管区局それぞれの本部に殺到いたしまして、そういうところではそれぞれ刻々の状態をとらえて、そういう方々お尋ねにお答えをするというような努力もいたしたのでございます。  それから各県の警察本部は、もちろん府県災害警備本部設置をいたしまして活動いたしたわけでございますけれども、特に長野県の警察におきましては、梅雨期に入った六月の七日に「水害と警備体制の強化」ということを指示をいたしまして、各署でそれぞれ初動体制——事の起こりました最初の体制の確立に備えることにいたしておったのでございます。六月二十五日には各署ごと河川水位報告をさせるとかいうことをいたしておりましたし、なお、集中豪雨がその地域に来るというような予報がありましたので、必要な個所機動隊をあらかじめ派遣をしておくというような措置をとりましたし、飯田中心といたしまして被害がありましたので、警備部長を即刻派遣をいたしました。静岡県でも同様にやはり予報がありまして、あらかじめ警備本部を設け、伊豆方面に県の幹部を派遣をいたしまして、措置の万全を期したのでございます。  各署でももちろん今のようなことで非常招集によりまして全署員を動員をし、各河川警戒水位の測定、危険個所警備に当たらせるとともに、住民方々避難誘導広報活動水防活動への協力あるいは救出救護等関係機関一体となって活動いたしたのであります。ことに一、二の例を申しますと、長野県の警察では大鹿村の被害発生をいたしまして、これが山合いの深い所でございますけれども、そこで被害相当に起こったということでございまして、飯田市の災害警備に出動いたしておりました、あらかじめやっておりました機動隊のうち一個分隊が医薬品その他救援物資を携行して、同村の救援に向かったのでございますけれども、豪雨によって全く途中の道がこわれておりまして、その山岳地帯夜間九時間余り徒歩で強行突破いたしまして、六月三十日午前二時ごろに初めて現地救援隊として着いたということで非常に感謝をしていただいたというような事例もございます。あるいは六月の二十七日の午後十時ごろ、これは飯田線の川路というところでございますが、急な水のために駅の屋根に駅員が八名避難をいたしておりまして、非常な危険な状態でありましたものを、電柱をいかだに組んで署員二十名がこれを救出し、さらに同様な状態にありました付近住民約七十名を同じ方法救出をして夜間の暗やみの中で救出をするというようなことをいたしたと報告を受けておるのでございます。  静岡県の警察では、三十三年にあの有名な狩野川台風被害があったわけでございますが、この教訓を生かしまして、あの方面に今度の警備の重点を置きまして、あらかじめ避難の勧告をいたしたわけでございますが、これは地元住民方々がこの前のときにこりているというようなことももちろん相待ちまして、非常に適切な時期に避難を手ぎわよくやっていただいたということのために、あれだけの被害に比較いたしまして、この前に比べますと非常に人的な被害が少なかったといわれるのでございます。なお救命ボート等各地で救済をいたしました。  その他の例等につきましては、十二、三ページに掲げてあるのでございます。  それから各県といたしましては、自分の警備力、あるいは警備資器材をフルに使ってやったわけでございますけれども、長野県等で警備資器材が不足を告げるということで希望がありましたので警視庁から天幕、投光器あるいは発電機、そういうものを送りましたし、それから管区及び茨城新潟等の近県からハンディートーキー、ウォーキートーキーというような器材をそれぞれ大型自動車急送をいたしまして、被災地活動に使用したというような事例報告をされておるのでございます。  なお、昨日また山陰に雨が降ったということでございますけれども、まだ詳細承っておりませんが、被害は大きなものではないように思われます。従いまして、今回の集中豪雨被害は、大体これで終わりかと思いますが、冒頭に申し上げましたように、行方不明者というような方々がございまして、なお確認をされますと死者の数がふえるというようなことになろうかと存ずるのでございます。  あとお尋ねをいただきました中で、足りませんでした点を御報告いたしたいと思います。
  5. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) では次、厚生省高田官房長
  6. 高田浩運

    説明員高田浩運君) 厚生省関係説明申し上げたいと思います。  今回の災害原因なり特色、あるいは被害の大要につきましては、ただいま警察庁の方から御説明ありましたので、重複を避けまして、お手元に差し上げてあります資料に基づいて、私どもが現在までとりました措置について御説明申し上げたいと思います。  第一は、災害救助法適用関係でございますが、差し上げてあります資料最後から二枚目のところに表がございますが、それによってごらんいただきますように、今回の災害について災害救助法適用いたしましたのは、まん中の辺に総体の数が書いてございますが、十三県にわたっておりまして、三十六市、二十三区、五十五町村、そういうふうに非常に広範にわたっております。これらについて災害救助法適用して、たき出し、あるいは被服の給与その他の措置をとった次第でございます。なお長野県その他につきましては、さっそく係官を派遣をいたしまして、現地状況に応じた、この法律の適用ができるように十分現地県庁等とも連絡を密にいたしまして機宜の措置をとるようにいたした次第でございます。  なお申し落としましたが、人的被害あるいは住家被害につきましては、今申し上げました表の下の棚にございますが、人的被害につきましては、死者百七十二名を含む行方不明、負傷者等を含めまして千五百六十五名、それから住家につきましては、全壊、流失半壊床上床下浸水を合わせまして約二十八万六千戸というものが被害を受けている状況でございますし、罹災人員は約百二十八万七千という数字になっておる次第でございます。これらの救援活動をいたすにつきまして、物資の点につきましてはCAC物資でありますとか、あるいは日本赤十字社から衣料、あるいは特に乳幼児用衣料急送をいたしまして、現地要求にこたえることにいたしたのでございます。それから災害救助法適用いたしますにつきましても、現地において必要に応ずるように国庫負担金概算交付をさっそくいたした次第でございます。それからまた現地要求に応じまして、岐阜県、愛知県、長野県、茨城県の各県に対しましては、この災害救助法に基づきまして給水あるいはたき出しの期間がきまっておるのでございますが、現地状況に応じてこれの延長を認める特別の措置を講じたのでございます。  こういうような災害救助法適用に万全を期しますと同時に、もう一つ非常に大事な点は、伝染病発生を防遇し、あるいはまた、これに対する医療の面を十分にするということでございます。特に今回の災害が水を中心にした災害でありましたので、この防疫活動については十分気をつけて行なわなければならない、かような考え方のもとに防疫専門家関係の県にさっそく急派いたしますと同時に、伝染病予防法に基づきまして消毒その他の措置をとったのでございます。それからさらに、実際のそういった防疫活動をするについて、当該県だけでは十分の人手が得られないというようなところにつきましては、ほかの県から防疫班を編成をいたしまして長野県等に急派をいたしますと同時に、また、ほかの県につきましてもいつでも出動できるようにこの防疫班体制を整えておくように準備を進めた次第でございます。こういうような結果によりまして、お手元資料の一番最後の表の上の欄にありますように、大体において今までのところ疫痢その他の伝染病発生一は、そうきわだった発生はしていないという状況でございます。今後とも十分気をつけて参りたいと思います。  それからそのほか世帯更生資金と申しまして、これは小口でございますけれども、まあさしあたっての生活その他の資金に充てるための貸付金でございますが、これらにつきましては、さっそく関係の県について、補助額の増額をいたしますと同時に、そのあとに、二枚目の以下に書いてございますように、今後とらなければならない災害救助法あるいは防疫関係その他の福祉関係の諸措置につきましては、現地状況とにらみ合わせて鋭意目下検討中でございます。  以上御報告申し上げます。
  7. 増原恵吉

  8. 山内一郎

    説明員山内一郎君) それではお配りしてございます資料に基づきまして御説明をいたします。資料は、縦に長い「昭和三十六年梅雨前線豪雨による被害概況」、建設省という資料でございます。  一ページ、二ページは雨量関係でございますので説明を省略いたします。  三ページに、まん中から上の方に、今まで地方建設局あるいは都道府県から入りました被害報告総計が書いてございますが、直轄災害三十二億九千六万百円、これが三つに分かれまして直轄河川直轄砂防直轄道路、そのうち河川が二十九億七千八百万円、砂防が一億五千二百万円、道路が一億六千六百万円、補助災害、つまり都道府県からの被害報告の合計でございますが、三百二十六億五千百万円、合計いたしまして三百五十九億四千七百万円と、こういうふうになっております。ただ、その後の調査の進捗に伴いまして、あるいはまた七月に入りましてからの雨量による被害報告がこれに加わって参るわけでございますが、この印刷の後におきましても、直轄災害が三十四億四千五百万円、補助災害が三百三十四億六千二百万円、こういうふうに加わって参っております。合計して三百六十九億七百万円と、こういうふうに相なっております。  この内訳が五ページから書いてございますが、五ページが直轄河川被害状況でございますが、ここに地方建設局名河川名、それから今回の水位水位関係がずっとその右に書いてございまして、一番右に被災状況、こういうふうに相なっておるわけでございます。これらの河川水位の非常に高かった河川、あるいは被災状況のはなはだしい河川名だけを一つ申し上げて参りますと、関東地方建設局では、富士川が三億四千二百万円。その一つおきまして、那珂川、久慈川、これは水位計画高水位と今回の最高水位、これを比較していただくとわかりますが、非常に高い水位が出ておりますが、被害の方は一番右にございますように、やや軽微になってる状況でございます。次は北陸地方建設局の信濃川でございますが、非常に高い水位が出まして、それによりまして、被災状況は七千万円でございましたが、長岡市の上流が非常な危険な状態になりまして、これが水防作業によって危機を脱した、こういうふうになっております。それから次は、一つおきまして千曲川、これは一億二千万円。  それから中部地建に参りまして、狩野川でございますが、これは上流の方は三十三年災のときよりも水位が低かったのでございますが、狩野川の黒瀬、これがその当時よりも水位が高かった、こういう状況でございまして、被災が一億二千万円、こういう状況になっております。六ページに参りまして、中部地建の長良川、揖斐川、藪川、木曾川、牧田川、これはいわゆる木曾三川と称しておりまする区域でございますが、被災状況は、百十カ所で七億一千四百万円、非常に危険な個所も多かったのでございますが、水防で食いとめた、こういう状況でございます。一つおきまして天龍川上流、これはいわゆる飯田地区でございますが、直轄河川の中で一番災害のひどかったのはこの地帯でございまして、三十二カ所、十億三千九百万円。非常に破堤の個所も多うございまして、今後復旧に大いに努力しなければならない、こういう状況でございます。  以上、直轄河川説明を終わりまして、七ページの直轄砂防のやりました施設の被災状況でございます。地建名河川名雨量被災状況が書いてございますが、総計で三十一カ所、一億五千二百万円、こういうふうに相なっております。  次の八ページは、これは道路局関係でございますが、一級国道指定区間被災状況でございます。ここにも同様に、地建名路線名県名個所金額被災状況と書いてございますが、総計いたしまして百二十五カ所、一億六千六百万円、こういうふうになっております。  九ページ以降は補助災害状況でございます。府県名被害中心地河川出水状況、おもな被害河川、海岸、道路等、一番右に個所金額が書いてございまして、このうち被害の大きかったところだけを一つ読んで参りますと、茨城県が九百七十五カ所、十一億三千四百万円、こういうふうになっております。千葉県が約十億台でございまして、九億九千八百万円。十ページに参りまして、山梨県でございますが、これが十五億一千二百万円。それから次が一番被害がひどかった長野県でございますが、九十億七千三百万円、こういうような巨額な被害になっております。次は石川県でございますが、これも約十億台で九億一千九百万円。岐阜県が二十二億一千六百万円。静岡県が二十六億六千五百万円。次は十一ページに参りまして、愛知県の二十億四千六百万円。次は三重県十六億九千四百万円。それから一番下に参りまして兵庫県が十六億三千六百万円。十二ページに参りまして島根県でございますが、これは七月に入りました出水によった被害でございまして、現在八億九千一百万円でございますが、先ほどの、その後の情報で十一億九千二百万円、こういうふうに十億を突破いたしております。それらを合計いたしまして一二百二十六億五千万円、こういう金額に上っております。  次の十三ページは都市関係災害でございますが、都市下水路、公園、街路の被災報告でございます。  十四ページは、住宅被害状況でございます。  十五ページ以降が、応急にとりました措置並びに今後の対策でございますが、災害発生後、直ちに建設省災害復旧促進本部を設けまして、二十七日から政務次官三重岐阜愛知静岡県の被災状況視察。それから六月三十日には、これは政務次官と書いてございますが、事務次官でございます。六月三十日に事務次官住宅局長と一緒に兵庫県に行っております。七月一日に技監長野県に、それから一日、二日住宅局長神奈川県、四日から建設大臣長野県にそれぞれ視察をされまして、応急措置を講じております。  措置のうち最も重要なことは、直轄河川の次の台風までの応急の手当でございまして、これは予備費から金を出す以外に方法はございませんので、至急とりあえず、ここに書いてありますように予備費より四億二千六百万円、これを閣議決定支出して緊急復旧を実施いたしております。道路関係も同様に八百万円支出して緊急復旧をやっております。  補助関係はさしあたり急ぎますことは、応急復旧指導設計の問題でございまして、ここに書かれておりますように、被害のはなはだしい県にはそれぞれ査定官を出しまして、復旧工法指導、それから緊急査定準備、こういうことをやらさしております。準備のでき次第緊急査定を実施して予備費から応急費支出をする、こういう段取りで現在進んでおります。  それから十六ページでございますが、上から三つ目に口というところがございますが、緊急砂防事業費関係でございますが、これも現在多少建設省では手持を持っておりますが、これを早急に支出をすること、足らない分につきましては予備費から出すべく現在緊急に調査を行なっております。  次は対策の関係でございますが、ただいま申し上げましたこともこの中に入っておりますが、なお、地すべり、崩壊のはなはだしい地域につきましては、特殊緊急砂防事業、こういうものをやるべく現在いろいろ関係方面と折衝並びに準備を進めております。  それから4の対策のイロハニのニでございますが、被害のはなはだしい所及び緊急な工事につきましては極力復旧の進捗をはかる。なお直轄の天龍上流地域につきましては、明年の出水期までに何とかしたい、こういう方針で現在努力を進めております。それから被害のはなはだしい所につきましては、一定計画に基づく復旧をやりたい。小災害の点につきましては、財政的な措置でいろいろ大蔵とか自治省にいろいろお願いをしております。それから水防資材の点につきましても、水防で活躍を非常に活発にやりまして相当水防資材を使っておりますので、それを何とか補助をしたい、こういうことでいろいろ折衝をしている段階でございます。  以上、資料に基づきまして河川局の関係を主として御説明申し上げました。
  9. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) それでは次、農林省昌谷官房長。
  10. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 今回の災害につきまして、一般的な様相は警察その他からすでにお話がございましたから、農林関係被害の概況、今日までわかりました概況と、それに対する当面の対策について御説明いたしたいと思います。  お手元に「三十六年梅雨前線豪雨による農林水産関係被害概況」、七月十日というのがお配りしてございますが、これに基づきまして、まず被害の今日までの概要を申し上げたいと思います。  施設に関係します施設関係被害と、それから農作物関係被害とに農林関係被害と申しますと大略分かれるわけでございますが、うち、施設関係被害は、資料に冒頭書きましたように、今日までに府県その他からの報告に接しましたものを累計をいたしますと、二百六十八億ということに相なっております。そのうち、おもなものは農地関係被害でございまして、農業用施設百四億、農地六十一億、計農地関係で百六十五億ということになります。それから次は林野関係でございまして、治山関係で六十五億、林道関係で十億、計七十六億の被害報告されております。水産は、幸い今回は金頭的には大した被害になっておりませんので、五千八百万円ということになっておりますが、被害の主たるものは、内水面漁業であります。それから共同利用施設、農業倉庫でありますとか、乾繭施設等、そういった共同利用施設が二億七千八百万円、その他畜舎、堆肥舎、鶏舎、サイロ等の農業用個人施設三億、以上が大体被害のありました各府県からの今日までの報告に基づいたものでございまして、山陰島根、鳥取等比較的被害あとになって受けました県につきましては、まだ若干報告が移動するものと考えております。そのほかに国有林の関係、あるいは公団事業の関係での被害が約二十億ございます。先ほど申しました林野関係の七十六億の被害と申しますのは、府県報告をいたしました国有林以外の公有林、民有林の関係でございます。国有林につきましては、この約二十億のうち十四億円が国有林の関係被害ということになっております。その他は愛知用水あるいは森林公団等に関係する被害でございます。以上の状況を府県別に取りまとめましたものが別紙1でございまして、各府県別にまとめましたほか、一番手の方に直轄関係あるいは海岸関係を加えまして、総体が二百四十八億、それに公団関係、国有林関係の約二十億を加えて、二百六十八億という被害になっておるわけであります。府県別に見ますと、やはり長野県の被害が一番額において大きな報告になっております。  以上施設関係被害に対しまして、作物関係被害は、一応各府県から被害直後に各府県ごとに報告に接しましたものを御参考のために別紙2として掲げてはおりますが、これにつきましては、御承知のように農林省は各府県に統計調査事務所を持っておりまして、さっそくそこが農作物被害調査に現在日夜当たっております。本省からも各被害関係の多かった府県調査事務所には応援指導人員を派遣いたしまして、なるべくすみやかに被害の把握をひたしますように努力をいたしております。大方今週中、つまり七月十五日ごろまでには第一次の作物被害概況が、各府県統計調査事務所から本省の方へあがってくる、集計ができるというふうな段取りで目下せっかく指導督励中でございます。それが判明いたしませんと、作物関係被害は統一的な目でながめました被害報告になりませんので、一応別紙2は、それまでの間大方の概要をつかみますための参考資料というふうにごらんいただきたいと思います。  なお統計調査事務所がとりあえず七月八日現在で報告して参りました田畑の冠水面積は約二十四万ヘクタールということになっております。それはもちろんこの二十四万ヘクタールのうち作物に被害を及ぼしますのは、何日かの日数持続的に湛水をするところになるわけでありますが、それらの湛水日数別の面積等は、先ほど申しました七月十五日の報告までしばらく御猶予いただきたいと思います。  以上が施設関係及び作物関係についての被害の概況並びに現在までの調査の進捗の工合でございますが、次に、とりあえず被害発生いたしまして農林省関係で講じました諸措置あるいは現在検討中の諸措置につきまして概要を御報告申し上げたいと思います。  それで何と申しましても、災害状況を早期に把握いたしますことが重点でございますので、施設関係災害につきましては、農地関係は今月一ぱい、林野関係は、奥地になります関係で若干ずれますが、来月中ごろまでに災害の第一次の査定をやりたいということで各農地事務局その他出先が府県連絡をとって目下着手いたしております。それらが判明いたしました上で施設復旧に関します法律のそれぞれの条章に照らしまして必要な財政措置を講じて参るというふうにいたしたいと思います。それから作物関係被害がわかりますれば、それに応じましていわゆる天災融資法の発動、地区指定等の諸準備、金融措置をまず第一段に行なって、それと同時に、農林漁業金融公庫の主務大臣指定施設災害復旧資金ワクの発動がございます。そういう順序に相なります。  なお、緊急の問題といたしましては、農林省も両政務次官にお願いをいたしまして関係各局の参事官、課長、担当官をつけまして、災害の多かった、一つは長野静岡、山梨を中心にした地区へ、もう一班は愛知三重兵庫岐阜というふうに二つに分けまして、両政務次官にそれぞれ直接現地指導あるいは慰問に行っていただいたわけでございます。  応急の処置といたしまして、農林省の関係では食糧の関係が問題になるわけでございますが、幸い今回の災害では政府手持ち食糧、政府倉庫に関する食糧関係の直接被害はきわめて僅少の報告に接しております。また各県庁の機能も、幸いにして十分活発に災害中も行なわれましたので、食糧に関します応急手配につきましては、内地米あるいは乾パンの応急配給の希望がありまして、若干そういう措置を講じましたが、おかげさまで、何ら不安なく応急措置が講ぜられたわけでございます。  なお、金融措置あるいは畜産、畜舎の消毒措置あるいは農作物の水が引きましたあとの病害虫防除措置等につきましては、急を要しますので、それぞれ担当官を府県派遣をいたしまして、実際の消毒防除作業に遺憾のないように指導をいたしました。  それから公共用施設の復旧用として国有林材の払い下げという措置を、こういう大被害になると講ずるわけでありますが、災害救助法の発動になりました地区につきましては、そういった公共施設の復旧用資材は国有材の方から供給するよう、現地市町村長あるいは府県等と現地の営林局の間で連絡をとらせております。  以上が、大体今回の災害に伴って講じました措置でございますが、なお緊急措置としては、このほかだめになりました水田のまき直しのための種もみの手配等がございます。これも種もみにつきまして、食糧庁が種もみ価格で買い上げて現地にそれを届けるわけでございますが、目下のところ、各県その他との連絡によりまして、不円滑な状況は来たしておらないような報告に接しております。  動物の飼料につきましても、政府手持ち飼料がございますし、また政府手持ち飼料の払い下げを受けました畜産関係の農業団体がそれぞれ現地に手配をいたしております。今後考えられます対策といたしましては、先ほど申しました融資関係がまず問題になります。また施設関係災害復旧の早期査定、早期復旧ということがありますほか、農業災害補償法によります保険金支払いの問題が生じます。これにつきましては、被害の態様等、まだ支払い事務に直ちに入るほどのところまできておりませんが、それぞれ仮払いあるいは非常に被害の激甚の所では、制度上概算払いの道が開かれておりますので、基金を、間をはさみまして、系統資金をそういった所要の所に振り向ける措置が、指導体制は整っておるわけであります。  なお、家畜の流失いたしましてなくなりましたものについて、事故認定を早くやりませんと保険の支払いがおくれますので、これは過去の災害でも講じた例がございますが、一カ月という期間と、市町村長の確認手続というものとによりまして、早期に家畜の事故支払いができるように措置を講じております。  なお、今後の問題といたしまして考慮いたしますべき問題は、林野関係災害復旧につきまして、治山の関係で必要に応じては特殊緊急治山というような措置も講ずる必要があるのではなかろうかということで、目下関係当局ともあらかじめ研究を進めております。それから施設災害のうち、一カ所の事業費が十万円に満ちませんいわゆる小災害につきましても、起債その他の措置によって対策を講ずる必要があろうと思います。今回の災害は、特に小災害の比率が大きいというふうに関係各県からも報告、要請に接しておりますので、これが取り扱いにつきまして、自治省、大蔵省等関係当局と目下協議中でございます。なお、小災害の概況の取りまとめは、目下農地局の方で各県に照会をいたしまして、一般の施設災害の査定とは切り離して速報を求めておりますが、今明日中には、府県の方から小災害の概況も農地局の方に一応報告が出そろうのではなかろうかと思います。そういった事前の関係各省間の相談と資料の収集と相待ちまして、早急に対策を決定いたしたいと思っております。  それからなおこのほか、特に三重県、愛知県、岐阜県等低地の耕地につきましては、長期間の湛水による被害の問題がございます。これはひとり農林関係の施設と申しますか、農地だけの被害と申しかねまずので、これが対策につきましては、都市排水、中小河川排水等の問題とも合わせ、総合的に研究していただく必要があろうかと思いますが、何分耕地で一週間以上も水につかっておるということでは、被害あるいは耕作の関係等も非常に憂慮されますので、これが応急排水の問題は、早急に事を運ぶ必要があろうと思います。もちろん各府県の方でそれぞれ対策を講じておられますけれども、これが助成のやり方等について、国としても目下研究中でございます。また相当日数、先ほど冒頭にも申しました湛水日数別の湛水状況等が地帯別に明瞭になることと並行いたしまして、対策を固めて参りたいと思っております。それから長野県の奥地等、何と申しますか、部落等が集団的に被害を受けまして、ほとんど原形復旧というようなことでは、事後の営農にもいかがかと思われるような地区もあるようであります。これにつきましては、狩野川台風、あるいは伊勢湾のときに講じました村ぐるみ新生復興のための総合措置といったようなことを、共同利用施設、農地等を中心にしてやった事例がございますので、そういった部落ぐるみ復興対策といったようなものを、農地関係あるいは農業関係の共同利用施設の関係中心にして、考慮をする必要があるのではなかろうかということで、目下これも対策を検討中でございます。  大体、以上が被害の概況、当面とりました対策並びに今後研究——今後と申しますと悠長に聞こえますが、被害の実態を把握しながら今後固めていくべき具体策の主要なものとして考えておるわけでございます。大体以上でございます。
  11. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) では次、文部省福田管理局長
  12. 福田繁

    説明員(福田繁君) お手元に差し上げております「昭和三十六年梅雨前線豪雨による文教関係被害および対策」という資料がございます。この順序に従いまして、まず被害の概況、それに伴いまして当面とりました措置、あるいは今後検討中の事項について、簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず、被害の概況でございますが、児童生徒、教職員の被害についてでございます。これは次のページの別紙1、人的被害という横に織り込んでいる数字をごらんいただきました方が早いと思いますが、茨城神奈川長野静岡愛知三重兵庫、以上の県につきまして、児童生徒の死亡が四十四名、行方不明が四名、負傷が十三名、合計いたしまして六十一名となっております。今回の災害で特に人的な被害がかなり多かったというのが一つの特徴のようでございます。ここにも書いてございますが、死亡者のうち一名は通学途上水死しておりますが、授業中学校で死亡したのではなく、大部分は家庭で、家庭の方の災害によって死亡したというようなことになっておるようでございます。教職員が死亡したのは二名でございます。それから教職員の方は、下の表を見ていただきますと、相当住宅の方をやられている教職員が多うございまして、現在までに判明いたしておりますのが、合計いたしまして五千百九十三名でございます。  それから次に物的被害で、ございますが、これも別紙2の横に折り込んだ表を見ていただきますと、その方がよくわかると思いますが、左側の欄が幼稚園、小学校、中学校等でございます。右側の欄が高等学校の被害でございます。最後に合計額が出ておりますが、福島、茨城、千葉、神奈川、山梨、長野、富山、石川、岐阜静岡愛知三重、滋賀、兵庫、和歌山、島根、岡山、徳島、こういうように非常に広範囲に被害が生じております。この中で現在までにわかっておりますのでは、長野の一億四千九百七十万七千円というのが最高でございます。大体四千万円以上の被害を見ますと、岐阜県の四千五百六十八万円、静岡の四千六百四十七万八千円、それから次のページになりますが、愛知の四千九百九十九万三千円、それから兵庫の四千七百三十九万一千円、大体そういうところが大きなところでございます。合計いたしまして公立学校だけの被害のトータルが四億一千九百二十万六千円、こういうようになっておりますが、今回の被害の特徴と申しますか、広域にわたっておりますが、特に土地工作物の被害がこの中での割合としては大きゅうございます。合計いたしますと、小中学校等におきまして一億四千九百九万三千円、高等学校におきまして七千百十八万三千円、こういうような数字になっておりますのは、洪水によって校地が押し流され、あるいは決壊したというような状況でございます。  それから他の省の御報告の中にもございましたように、小災害がかなり多いようでございます。これらにつきましては、まだ一応の調査でございまして、今後この被害の額の確定等をいたさなければならないと考えております。  それから国立学校関係でございますが、別紙3に書いてありますように、八大学について、ごく軽微でございますが、合計で二千四百六十五万五千円という被害でございます。  それから私立学校の施設でございますが、これも別紙3の(3)に書いてございますが、神奈川静岡兵庫について被害がございます。この中で特に兵庫県——神戸市でございますが、神戸市内の高等学校数校について、これはがけくずれによる被害でございます。計約三千六百五十三万円、合計いたしまして四千七十七万六千円、そういうようになっております。  それから社会教育施設につきましても約一千四百六十七万円程度の被害がございました。公民館その他でございます。  それから文化財にも若干の被害がございましたが、これはそう大した被害額ではございません。  それから学校給食物資でございますが、これは神奈川長野等におきまして若干のミルク、小麦粉が浸水をしたり、あるいは流失をしたというようなことが起こっております。  それから次に教科書関係でございますが、教科書を失った子供につきましては、現在各県の教育委員会を通じましてこれを詳細に調査いたしておりますが、まだ具体的に全体の調査が集まって参りません。で、ごく一部でございますが、岐阜県では小中学校の被災者約一万四千人の中で千五百人が教科書をなくしたと、こういうように報告が参っておりますが、その他も特に長野県等におきましては相当なくした者もあると思いますが、これは調査中でございます。  以上申し上げましたのが概要でございまして、物的被害につきましては、公立学校施設、国立学校施設、私立学校施設、社会教育施設等を全部合計いたしますと、一枚目の裏側に書いてございますように、四億九千九百五十七万七千円、これが現在までの総計でございます。  被害の額はその程度にいたしまして、次に、最後の紙に書いてございます災害対策の問題について申し上げたいと思います。  国立学校施設につきましては、これはもう従来の例によりますと、この程度の被害予備費等によって復旧することになると思います。  それから公立学校の施設につきましては、これは先ほど申し上げましたように、一応の調査でございまして、この豪雨による被害が起こりましてから、文部省といたしましては、各関係都道府県に係官を派遣いたしまして、被害状況の把握と、県あるいは市町村の教育委員会等との連絡に努めて参ったのでございますが、公立学校の施設等につきましては、これは最終的には大蔵省との実態査定によって被害額の確定をいたしますので、そういう手続をなるべく早くやってそうして復旧に支障のないようにいたしたいというつもりで相談をいたしておるわけでございます。  それから私立学校の施設について申し上げますと、私立学校は、ごく一部分でございますけれども、割合にひどい被害を受けておるわけでございます。で、私立学校につきましては、御承知の通り、私立学校振興会の融資の中に、災害等のためによりますところの特別貸付のワクがございますので、とりあえずこの程度の被害でございますと、迅速に対策を講ずる必要から、私立学校振興会の特別融資を行ないたいと、こういうつもりで希望の向きに対してはその措置をとるように手配をいたしております。  それから次に教職員に対する措置でございますが、今回の災害のように特に家が相当やられたというようなものにつきましては、やはり教職員の共済組合による災害見舞金あるいは貸付金等を迅速に行なう必要がございますので、別紙1の下に書いてございますように、共済組合関係の見舞金を支出いたしておりますのが現在までのところ約一千五十二万八千円でございます。それから貸付金額は一千八百五十万円、支部の資金だけで足りませんので、本部から千四百五十万円という程度の資金を回送いたしまして迅速にそれらの措置をとるようにいたしたのでございます。  それから次の問題は、この災害によって学校が休校いたしておりましたので、なるべく早急に開校ができるように措置をとる必要があったのでございます。従って、もし分校等におきまして教職員が死亡したというような場合に、教員の補充等が直ちに必要になりますので、そういう該当県におきましては、そういう措置をとるように県の方ともいろいろ相談をいたしたわけでございます。  なお教科書については、災害救助法適用地域におきますところの子供については、これは教科書、学用品の給与ができるわけでございますが、災害救助法適用地域以外の子供につきましては、その措置ができませんので、これについて何らかの救済をする必要がありますので、先ほど申し上げましたように、この被災者の中でそういう困っている家庭等につきましては、至急調査をいたしまして、今後できるだけ早く教科書、学用品の援助をいたしたい、かように考えて、これは目下調査中でございます。  それから学校給食でございますが、これはとりあえず流失等をいたしましたミルク等につきましては、これは補充が可能でございますので、そういう措置を至急いたしました。なお被災学校等について給食物資の必要な向きについては、その手配をいたすように準備をいたしております。  それから今後の問題といたしましては、国立大学に籍を置く学生につきましては、今度の災害によって被害相当受けたため学資に困難を来たしたというような向きにつきましては、後期分の授業料を免除するような措置を研究中でございます。公立の高等学校の生徒につきましても、同様そういう措置をとりたいというつもりで、各県に指示をいたしております。  それから被災学生等に対します育英資金の貸与等につきましても、できる限り学生の奨学資金の貸与について便宜をはかるように手はずを進めておるわけでございます。これもまだ具体的には実例は出ておりませんが、今後の問題でございます。  大体以上がおもなる事項でございますが、さしあたりの問題としては、生徒、児童の救済の措置と教職員の見舞あるいは救済、こういうような点にさしあたりの目標を置きまして、措置をいたしたわけでございます。施設その他につきましては、今後の確定を待ちまして、なるべくすみやかに復旧措置をとりたい、かように考えているわけでございます。
  13. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) では次に、自治省奥野財政局長
  14. 奥野誠亮

    説明量(奥野誠亮君) 自治省におきましては、とりあえずの措置といたしまして、お手元にお配りしておりますように、九月に交付すべき普通交付税の繰り上げ交付を行なったわけでございます。総額六十七億六千七百万円であります。七月三日現在における地方団体からの報告に基づきまして、公共施設の被害額の大きい団体の交付額を増額するというようなことで計算をいたしたわけでございます。今後地方債資金や特別交付税の配分につきまして、地方団体の所要額を充足するように努めて参りたいと考えております。
  15. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) では次に、防衛庁海原防衛局長
  16. 海原治

    説明員(海原治君) お手元に七月七日現在で、六日までの災害派遣状況が配付されております。昨日まで災害派遣の要請を受けまして陸海空の自衛隊が出動いたしました県の総数は十九府県になっております。本日現在で長野静岡島根この三県について出動いたしております。うち静岡島根県につきましては、明日ぐらいに部隊は撤退をいたす予定でございます。長野県につきましては、主としてこれは飯田地区でございますが、なお一週間程度は部隊が残留して諸般の活動を行なう、こういう予定でございます。派遣勢力は一ページにございますが、六日までの累計が、人員四万四千四百、車両四千五百六十、航空機百四十七、艦艇九となっておりますが、これを九日までのを累計いたしますと、人員が五万五千三百七十、車両が五千九百二十三、航空機が二百十二、艦艇は変わらずという状態でございます。今日午前十時現在で、先ほど申しました長野静岡島根三県で約三千四百名の人員が出動いたしております。  部隊の活動状況は、二ページに書いてございますように、いろいろなお手伝いをいたしたわけでございますが、三ページに特に今回の災害派遣の特徴といたしまして、(1)台風の場合と違いまして各地における被害発生後も引き続き降雨がございまして、雲が非常に低く、そのためにヘリコプターの現地派遣ということが必ずしも迅速に行なわれなかったという点が遺憾な点として考えられます。ただ(2)に書いてございますように、あらかじめ災害が起こりそうだということの関係府県の機関、警察、海上保安庁等からの御連絡がございまして、予防派遣的な出動をいたしましたために、被害発生を未然に防ぐことができた、そのために派遣期間が短期間でこれだけの実績が上がったというような点が特に目立っております。  以上でございます。
  17. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) それでは一応関係各省よりの御説明を終わりまして、質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  18. 松永忠二

    ○松永忠二君 まず最初に資料ですが、消防庁の方から全然その資料が出ていない。これは委員長に申し上げたいのですが、消防は各地で非常に活躍をいたしておるわけです。出動している人員が非常に多い、これに関連したいろいろな予算的な面の各市町村における支出というものが非常に大きい、こういうようなことについてやはり消防庁が的確に資料をつかんでないので、自然その措置について地方に依存してしまうというような結果になる。しかも非常に各地では、ここに出ている防衛庁あるいは警察庁と同様な、あるいはそれ以上の人員とかを出して働いているのです。これについては一つ消防庁の方から説明を聞くような措置要求します。
  19. 増原恵吉

    委員長増原恵吉君) 承知しました。
  20. 松永忠二

    ○松永忠二君 それでは最初に農林省と建設省とにだけお聞きをするのでありますが、今度の被害額というのは、今までの災害の中で、長期でなくて伊勢湾台風とか、あるいはチリ津波とか狩野川台風というふうに、一時に起こった災害と比較をしてみると、どういう一体位置にあるのか、被害の額、そういうことを農林省と建設省から一つお聞きをしたいわけです。
  21. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 過去の大きな災害との比較でございますが、二十八年の六月にやはり梅雨前線による豪雨災害がございましたが、そのときの土木関係の決定した工事費は約三百五十億になっております。先ほど申し上げましたのは、被害報告額でございますので、その点やや違った点がございますが、西日本のときは、被害報告額でいえば四百億少しこしたのではなかろうか。それから引き続きまして奈良、和歌山、京都ですか、この地方に非常な豪雨災害がございましたが、そのときはやはり復旧の決定額で二百三十億、こういうふうになっております。
  22. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 農作物関係被害は、先ほど申しましたように、ちょっとまだ比較ができませんが、施設災害関係で過去の災害の例と比較をいたしますと、今回の災害は、先ほど御報告いたしましたように二百六十八億ということになりますが、例の伊勢湾台風が、施設関係で八百七億でございます。これは関係県の少ない割合に非常に深さも深い災害でございます。それからその前の三十四年の五、六号、山梨、長野中心にやられたときの被害が四百五十九億ということになっております。今回のはその次くらいに位する被害額に達しておるようでございます。関係県の数から言いますと、今回の方が多いというように考えられます。なお三十三年の二十一、二十二号、これは狩野川であったと思いますが、これが二百三十三億という被害報告であったと思います。大体そういう位置にございます。
  23. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは一つ、建設者、農林省それから自治省にお聞きしたいのでありますが、各地では今度の被害に対して特別な措置をしてほしいという強い要望がある、こういう点について現在どういうふうな考え方を持っておられるのか。特にここには政務次官としては農林省だけ来ているわけですが、まず農林省の方から順次お答えをいただきたいと思うわけですが、   〔委員長退席、理事鈴木壽君着席〕 特に今お話が具体的に出てきているものとしては、小災害の問題あるいは特殊緊急砂防事業というような問題が出てきているようでありますが、その他いろいろあると思うので、そういう点について、現在までの状況から判断して、特別な措置についてはどういうようなお考えを持っておられるのか、三省から一つお聞かせいただきたいと思う。
  24. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) 先ほど官房長から説明しましたように、まだ具体的に調査ができておりませんので、それを待ちまして対策を講じて参りたい、こういうふうに考えているわけです。
  25. 山内一郎

    説明員山内一郎君) まだしっかりした数字はつかんでおりませんが、考えられますことは、特殊緊急砂防事業、これは三十四年災のとき実施いたしましたが、これをやる必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。なお小災害につきましては、県からの要望もございますので、何らか財政の措置を自治省と大蔵省にお願いしているという段階でございます。
  26. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 今後の公共施設の被害額が的確に把握されませんとわからないわけですけれども、地方財政計画に予定しております地方債資金の増額措置が必要になってくるのではないかというふうに存じております。それからもう一つ、地方団体が税の減免をいたしましたり、災害復旧対策に当てたりいたしました分につきましては、地方債資金を充当できる道を開く必要があるのではないか、こう考えているわけでありまして、その場合には立法措置が要るわけでありますが、そういうような点について検討いたして  おります。
  27. 加瀬完

    ○加瀬完君 議事進行について。今ほかの委員会が非常に立て込んでいるわけでもないのに、大臣なり政務次官なり、ほとんど来ておらない。これで質問しても、たとえば建設省なんか一番関係深いのですけれども、予算関係とかその他の問題、これからの施策について、課長に質問しても答えは出ませんよ。大臣が出ないのは、一体どういう関係でお出にならないのか。質問しても意味がないと思うが、その間の事情を一つ御説明いただきたい。
  28. 鈴木壽

    ○理事(鈴木壽君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  29. 鈴木壽

    ○理事(鈴木壽君) それでは速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩    ————・————    午後一時二十五分開会
  30. 鍋島直紹

    ○理事(鍋島直紹君) これより委員会を再会いたします。  午前中に引き続き集中豪雨による被害状況に関する件を議題といたします。  まず、消防庁から資料についてごく簡単に御説明を願います。消防庁の上川教養課長。
  31. 上川澄

    説明員(上川澄君) 三六・六集中豪雨による被害状況につきまして簡単に御説明申し上げます。これはすでに警察庁の方から資料として出ておるかと存じまするけれども、これとの関連におきまして若干相違点を申し上げます。  目下、まだ集計が最終的ではございませんので、この数字より若干追加があるやと存じますが、あらかじめ御了承を願います。死者の方は二百六十二名となっております。これはお手元に配付いたしました資料では二百五十六名でございますが、あとから島根県が六名ふえましたので二百六十二名ということになっております。行方不明が七十五名、これは六十九名となっておりますが、同じく島根県の六名増加で七十五名ということになっておるわけであります。負傷者の数は、やはりこの島根県の八名がふえまして千三百十名、こういう状況でございます。被害総額は、九百六十三億七千五百万円、これに島根県の四億四千万円が加わるわけでございます。警察庁との比率におきましては、死者において十六名、負傷者で十六名ほど私の方の調査が多いのでございますが、これは今申し上げましたように、との資料の右端の方に書いてございまするように、東京事務所の方から収集した資料関係上違いが出たわけでございます。  さらに消防吏団員の出動状況でございますが、これはお手元にございますように、五十五万四千二百四十二名。これが今回の集中豪雨に消防機関の職員、団員が出動して活動した状況でございます。  以上簡単でございますが御説明申し上げます。
  32. 鍋島直紹

    ○理事(鍋島直紹君) それでは午前に引き続き質疑を行ないます。  御質疑の方は順次御発言を願います。  なお、ただいま御出席の方は田村建設政務次官、安井自治大臣、八田農林政務次官、その他関係各局課長の方々でございます。
  33. 松永忠二

    ○松永忠二君 自治大臣の方にお尋ねするわけですが、その前にちょっと、午前中の出席の問題ですが、きょう自治大臣の出席を求めていないから、自治大臣は出席しなかった、こういう話を秘書官から聞いた。しかし、一体所管の委員会に大臣が出てくるのはあたりまえのことなので、ことさら大臣が出てくることを要求しなければ、大臣は出てこないという性質のものではないと思う。むしろ逆に、本日は大臣が出てこられないというときには、理事会、打合会等に連絡があってしかるべきものであると、私は思う。本日午前中に出てこられなかったのは、どういうふうな理由なのですか。
  34. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 本日の地方行政委員会に出席をいたしておりませんで、いろいろ審議の進行上御迷惑をかけました点を一つ深くおわび申し上げます、実は委員会のあることは存じておりましたが、直接私の方に関係があるかないか、もし直ちに出なくてもいいような状態ならば、その前にちょっと約束しておってほかに出かける先があったものですから、十一時ごろに帰って間に合うだろうと思いまして、そういうことで、私は秘書官と打ち合わせをしてちょっと出かけておったわけであります。十一時過ぎに帰って参りまして、いつでも出ようかと思っていたところ、今ちょうど審議中だから、もうちょっと様子を見たらよかろうというようなことで待っておったわけでありまして、その間手違いを生じました点はおわび申し上げますが、決して他意があってなまけておったというようなものじゃないことを御了承願います。
  35. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点一つ今後も今お話のように当然出てくるものであって、欠席をする場合には、秘書官を通じて、本日は出られないからということを言っていただきたいと思います。  先ほど農林それから建設、自治の各省から、今度の災害にあたって特に特別に立法等の措置によってやっていかなければできないと考えているものはどういうものだかということについてお伺いしたわけであります。で、建設省の方からは小災害の問題緊急砂防事業等の問題については立法措置が必要ではなかろうかという具体的な話があったわけです。自治省でもそういう点についてすでに検討されていると思う。一部ちょっとお話がありましたけれども、大臣から一つこういう点について、単に自治大臣としてだけではなくて、閣議においてどういうことが一体閣議決定なり、閣議了解としてなされているものだろうか。出席は当該の大臣としてただ一人ですから、やはりそういう立場から、一つ今度の災害については、先ほど話にあった通り、公共土木は、二十八年災といえば、これは明らかに各種の方面から特別立法をした当時の九州地帯への災害と同じですから、そういう点、特にまた広範囲にわたっているという点から、もうすでに相当な論議は閣議においてもなされている状態であるので、こういう点について大臣から、自治省の関係にとどまらず、政府の考え方というものについて一つ聞かしていただきたいと思うわけであります。
  36. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 実は今度の災害につきましては非常に広範囲に上っております。また災害の額も相当の程度に上っておりますので、被害地につきましては、まことにお気の毒だと存じております。政府でも手分けをいたしまして、それぞれ被害の多かった県には閣僚が見舞なり、実況視察に出向くといったような措置を総理の発意でやっておるわけでございます。私は兵庫県を担当いたしまして、兵庫県へ行って参ったわけであります。  そこで、全体の問題に移ります前に、自治省でやりますさしあたりのことは、おそらく財政局長からもお話し申し上げたと存じますが、まあ公共事業に対する起債ワクの拡張という問題が起きるであろう。それからさらに地方交付税の繰り上げ支給といったような措置、これはもう御承知の通りすでに措置をいたしたわけでございます。なお、ほかの同じ起債にしましても、特別起債の形で法律を要するようなものが今後生じる場合も想定されないでもございませんので、この点につきましては、いわゆる歳出、歳入の結果に対する交付税と申しますか、起債その他の金融的な措置の問題、あるいは小災害に対する特別起債、そういったような問題につきましては、今後の実態をさらに検討いたしました上で必要な措置をとりたいと考えておるわけであります。  さらに一般的に申しますと、今度の非常な被害の特徴には、これは私の専門というより、一般的にいわれておるものの中には二つあろうかと思いますが、一つは、宅地造成——都市中心にしました都市の近辺の宅地造成、これに非常に緊急な施設が行なわれておるために、豪雨に伴うがけくずれといったようなものが非常に出て参っておる。これは今までこれを規制する法律もございませんし、また各自治体におきましても、場所によっては条例等を作ってある程度規制はいたしておりますが、非常に徹底を欠いておる。そのために非常に危険なままでみすみすこれが見送られて、今度の惨事を引き起こしたといった例が神奈川兵庫といった都会地には相当ございました。これに対しましては、私ども所管ではございませんが、自治体を守っていくという立場から、相当しかるべき処置を建設省へも要望を今いたしておる最中でございます。  なおもう一つは、例のダムの建設に伴う河床の砂の盛り上がりといいますか、砂がだんだんと堆積していったために水深が浅くなって、そのためにする洪水の所がかなりふえるのじゃないかといったようなことも考えられるのじゃないか。まあ、そういった点につきまして、これはしかるべく一つそれぞれの当局で今後対策を十分に検討していただきたいというようなことも考えております。  なお、一応今度の災害を見て感じました中には、やはり前回とか、ずっと前に災害があってそれに対する改良工事をやっている個所については、かなり被害が少なかった、あまり起こっていない。ところが、前回そういう事情がなかったために、たまたま手を抜いておったといいますか、手当を十分にしてなかったとか、あるいはまだそれが完成に至っていない所が比較的やられておる。たとえば伊豆の狩野川上流の方、大仁を中心上流の方は堤防ができておりますために今度は被害がなかったが、下流の排水口の方がまだ不十分であったためにそこに水が流れたといったようなことがあって、これもまあ人工というか、手を入れることによって相当今後まだ防ぎ得る余地があるのじゃないか。むろん災害のことでありまするから、予知せざる場合、予知せざるケースによって起こってくるのも非常に多いと思いますが、しかし、あったものに対する手当をできるだけやっていくということによって、少しでも災害を防いでいけるというふうなものができるのじゃないかということも感じておりますので、そういう点にも十分今後留意をいたしたいと思っておるわけでありまして、予算の直接の措置とか、あるいは具体的な改良計画といったようなものにつきましては、まだ状況調査中で、各省ともいろいろ御勉強中であろうと思いますが、できるだけ時宜に即して一つ遺憾のない対策を今後講じていきたいと思っておる次第であります。
  37. 松永忠二

    ○松永忠二君 それで、閣議としては今度の場合に特別立法をして、たとえば話のあった小災害あるいは高率適用の問題あるいは金融の利子補給の問題等について、具体的に特別立法の必要があるということで検討をしていくことを了解されているのか、それともすべての調査ができてからそういう問題は考えるという態度なのか、現状一応の、総理大臣の代理が派遣をされて各調査を進められたわけです。従って、現在の把握した状況の中では、何としてもやはり特別な立法をして、高率な補助をしていかなければできない、こういうふうな考え方についてはすでにまとまっているのかどうか。一つ一つこういうものはどう、こういうものはどうということを聞いているわけではありませんけれども、特別立法の措置が必要だというふうなことは閣議において決定しているのか、了解されているのか。それともそういう点は全然まだこれから検討していくというようなのか、その点はどうなんですか。
  38. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 今申し上げましたように、対象によってはどうしてもこれは当然特別立法という問題が起こってくることはほほ私は了解いたしておると心得ていいと思っております。それじゃ何をどういうふうにやるかということにつきましては、詰めた話が具体的にはまだ出ていない、こういう段階でございます。
  39. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、今全般的な問題というか、新しい観点から検討を要するものに宅地造成の問題、ダムの河床の上昇の問題が出ているわけですが、ここで一つ、建設省にもまた自治省にも関係があるのでありますが、ダムの操作という問題ですね、こういう問題について今度のいわゆる災害と非常に関連があったというようなことで検討をしてみなければならないし、法的にもこれは検討すべきだというふうに私たちは考えているのですが、こういう点について建設省は具体的に、ダム操作について問題はあった、こういうところ、こういうところについてダムの操作について問題があったということを把握している、そういうものがあるならお聞かせをいただくし、この点について一体どの程度の建設省は考え方を持っておられるのか、お聞きをしたいわけです。
  40. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまダム操作の問題についてお尋ねがございましたが、今度の災害の場合に、特に問題になりましたダムは、天龍川の三峰川の受けます美和ダム、また天龍川の受けます泰阜ダム、この二つのダムがいろいろの点で論議になっておるところであります。この両ダムは中身が違っておりまして、美和ダムの方は、水道の目的その他いろいろな利水上の目的を含めたダムでございます。いわゆる多目的ダムでございます。それから泰阜ダムは、これは電源開発のためのダムでございまして、それが中身によって違っておるわけでございます。それで、泰阜ダムにつきましては、いろいろと土砂の問題等によって堆砂が多いのではないかというような点から、災害原因に大きな影響を与えるというようないろいろな議論は起きておるわけでございますが、その点につきましては、私どももただいまこれがその原因によってできたかどうかという点ははっきりまだ言明いたすほど調査は進んでいないわけでございます。この点についても今後十分調査は進めていかなければならない問題の一つかと思います。ただ、こういう電源開発用のダムにつきましては、それぞれ知事の監督を受けてダム操作規程というものを作りまして、それぞれの施設の建設者が操作をいたしておるわけでございますが、これはそれぞれの施設だけの立場でやっておるわけでございます。ところが、もう一つの美和ダムの方は、これは直轄のダムでございまして、建設省が直轄でその操作をしておるダムでございます。そのダムにつきまして、これもまだ詳細の全般調査が済んでおりませんので、これにつきましても、その内容について十分申し上げかねますが、私どもの聞いております範囲においては、直轄ダムの操作につきましては、操作規程というものをやはり作りまして、その操作によって、水の状況によってそれぞれ放流をするというような規定を設けておりますし、その操作規程に基づく操作には誤りはなかった。ただ、その後の雨量が非常に多かったために、操作規程を守ってやっておりましたが、その操作規程だけでは十分に律し得ないような雨量が来たために、操作規程で予想している以上に放流が行なわれたというような事実はございますが、操作規程は十分その責任者としては守っておるものというふうに私どもは考えておるわけでございます。しかし、なお、今お話がございましたダム操作の問題につきましては、いろいろな点から、私ども検討しなければならないという点もございますので、今後その内容を十分に調査いたしまして、電源開発のダムの操作につきましても、また直轄ダムの操作問題につきましても、今後十分にその検討及び対策を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  41. 松永忠二

    ○松永忠二君 今、美和ダムと泰阜ダムの話が出ているわけですが、佐久間ダム、科葉ダムについても実はこういう問題がある。私は委員調査に参ったわけですが、佐久間町あたりでは、明確にその放流当時の流量を報告されたものと、その後町長が問い合わせをして訂正をした流量というものが二つあるわけです。一体、どちらがほんとうなのか実はわからない、こういうわけなんです。しかも、予備放流というものが一体適当に行なわれたのかどうか。そうしてまた、いよいよ洪水時のときの発表流量というものが妥当であるのかどうかということについて、非常な問題を地元で持っておるわけです。特に非常な降雨時に急激な放流が行なわれる。これは一定の予告の時間もあるのだけれども、それが敏活に市町村の住民に徹底をしていない。従って、市町村の人も非常な不安を持って、水かさが増してきて、一体、ダムは大丈夫なのか、一体、放流は適当に行なわれておるのかどうなのか。全く一方的に、ただ電源開発の責任において行なわれておることである、これを確かめるということもできない。こういう点で、実は堰堤操作について、非常な地元民としては不満と不安とを持っておるし、これについて改善の措置をしてほしいという強い要望が実は出ておるわけなんです。この河川法に基づいた河川堰堤規制等にも、はたしてこの操作が妥当であったかどうかということについて、何らの調査をする権限もない。単に操作規程というものは知事に提出をすることであり、必要あるときには前項の規程の変更を命ずるということであって、はたして妥当な操作が行なわれたかどうかということを検査する権限というようなものも実は規則には出ていないわけです。これは、単に建設省関係だけではないと思うのです。実は市町村当局は非常な洪水時におけるダム操作については、何とかして市町村自体が関与する権限を与えてほしい、こういう要望も強く地方自治団体から出ておるわけなんです。こういう点について、やはり今の河川法自身は、御承知の通り、明治二十九年に作られて、小修正を除いて根本的な修正はほとんどやっておられない。だから、河川法自身の中にも問題があるし、河川法に基づく規則についても、この際改める必要があるというふうなことは明確だとわれわれは考えておるのです。こういう点について、電源開発の操作、そうしてまた今言う美和ダムの操作等がどういうふうに具体的に行なわれたのか、その報告建設省としては求めて、それに基づいて調査も行ない、具体的に法律的な整備もするというような、そういう考え方を持っておるのかどうなのか。自治省としては、そういうふうなことが地方住民にどういう影響を与えておるかということにどういう把握をされておるのか。この点について一つ、まず建設省から御答弁をいただいて、大臣の一つ御答弁もお聞きをしたいわけなんです。
  42. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいま御指摘になりましたダムは、主として電源開発に関する、まあ水を利用するという立場からのダムなどについてそういう事例が多いかと存ずるわけでございますが、この点につきまして、実は建設省といたしましても、昨年来、ダムの操作と、それから治水上、河川管理上にどういう影響を与えたかというような点を、昨年度もいろいろそういう点について、問題もございましたので、検討をいたしておる現在の段階でございます。そのようなダムにつきまして、河川法で申しますと、河川法の十七条によりまして、工作物として設置の許可をいたすわけでございます。工作物の設置をいたしますものには、これは御承知のように、それぞれ河川を利用する立場の、たとえば電気事業者などがこれについて資金を投下いたしまして、主として水を利用するという立場から許可願いを出すわけでございますが、治水上の立場、河川管理上の立場は、その工作物が河川法のいろいろな管理の面から妥当であるかどうかという点を調べまして、そうしてそれに支障がないという場合には、河川の治水に影響を及ぼさないような操作をしてもらいたいという条件をつけまして河川の工作物を許可いたしておるわけでございます。ところが、いろいろな条件によりまして水がふえたり、大量の集中豪雨等がございますと、そのダムがすぐにその原因であるというふうに受け取られるような場合がございますが、はたしてそのダムの操作自体が非常な影響であったかどうかという点については、実は今度の集中豪雨関係につきますダム以外に昨年度五、六件ございました。そういう点のデータ等を集めまして、各府県の担当者等が集まりまして実はいろいろ検討いたしておったわけでございます。ところが、はたしてどの点がダムの操作と河川管理上非常に工合が悪いかという点についての結論もまだ得ていないというような状況でございます。と申しますのは、操作自体にはそれほど誤りはなかったのじゃないかという場合がございますし、異常な集中豪雨が影響したという場合もございますし、いろいろなその内容については各ケースごとによって違っておりますが、今のところ十分こういう点についてどうすべきだというはっきりした結論に至ってはいない状況でございます。しかしながら、先ほど来御指摘がございましたように、今度の豪雨におきまして、先ほどの二ダムのほかに佐久間ダムや秋葉ダム等にもいろいろ問題がございますので、私どもはさらにいわゆる利水専用ダムが河川管理上どういう影響を及ぼし、また、どういう点を規制すべきかという点は非常にこれは重要な問題の一つと考えておりますので、今後さらにこれは技術的な問題あるいは法律的な問題、いろいろな点から検討いたしまして、この対策は十分に講じたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 今建設省から御説明がありましたように、ダムを建設いたしますについて、また、それを操作するにつきましては、基本的には当該自治体とも非常に関係の深い、利害関係も多いものでございますから、その際十分に事前の協議をいたし、それぞれの取りきめはやる建前になっております。しかし、今回起こりましたような異常な降雨、そういった特別の事態に際してどういうような相互の話し合いを進めるとかいったような点については、あるいはまだ不十分な点もあるかもしれません、お話のように。そういう点につきましては、今後とも一つ十分検討いたしまして必要なものは改めてゆきたい、こう思っております。
  44. 松永忠二

    ○松永忠二君 建設省にその点を、今度の災害の処理としてそれを結論を出すのですか。それとも検討するというだけでは、これと関連をして結論を出すのか出さないのか。
  45. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ダムの操作の問題につきましては、昨年来いろいろ検討いたしておるところでございまして、さらに今年度におきましても、そういうダムの問題が非常な災害について起きておりますので、この点についてまず私どもは実態を明らかにする——どういう点に河川管理上留意すべきである、また、どういう技術的な問題があるかとか、そういう点をまず検討することには十分に力を入れまして、その結論を得次第、いろいろ先ほど申し上げました技術上の問題から法制上の問題についても結論を出すように力を注ぎたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 松永忠二

    ○松永忠二君 少し話はこまかくなるわけですが、これはあなたそんなことをおっしゃいますが、これだけでできないことはもう明確でしょう。堰堤規則にもただ届出をするということだけで、それからまた変更を命ずるというだけである。では今度の降雨量にあたって操作の責任を持っておる者は、どういう一体気象観測に基づいてどれだけの予備放流をやって、どれだけの時間にどういう放水をしたかということを、調査する権限はどこにもないわけです。だから、そういうことについて調査をする権限を持つことは当然なことである。それからまた、そういうことについて一体緊急時に市町村に伝達をする方法についても、これが不備だということは明確です。だから、どういうときにどれだけ放流をしなければならないというような、そういうことについては、科学的な調査は必要だと思う。しかし、これでは不備だということだけは明確になってきていると思うのです。だから、こういう点についてはやはり今度の災害を通じて結論を出すべきだ。特に美和ダムは建設省の所管である、これが操作規程をそのまま実行したから結局水害に関係があったということは相当周知の事実なんです。こういう点については、そういうことでなしに今度の洪水についてちょうど宅地造成と同じことです。この問題については法的なとにかく整備をすべき段階に来ていると思うわけです。  なお私お尋ねをするのですが、実は佐久間等についても、一万トンの放水に耐えるということを説明をして護岸工事が行なわれたわけでしょう。ところが、現実的に電源開発が発表している数字を——初めは六千二百二十九という六千トンの放流をしたとそのときには町へ発表しておいて、あとから調べてみたらそれは間違いで四千八百二十六だと、こういう修正をしてきているわけです。これについて私も聞いてみたが、流量については記録が残っておるそうだから、この記録を明確に調べればどうだということが明確になるわけですが、そこで一万トンの放流について妥当な護岸だと説明してきたものが六千トンの放流をしたところが、それでもって沿岸の護岸は大破した、そうして家屋は流失をしたり、全壊をした、こういう事実が明確になってきているわけです。こういうことについては、一体護岸の工事とダムの建設といったような問題と関連をもって工事が行なわれたものかどうか、こういう点についての建設省は一体権限というものはどこまであるのか。
  47. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまのお尋ねはダム建設と河川の工事との関係についてでございますが、私も佐久間ダムの今御指摘の点についての内容をつまびらかにいたしておりませんので、適切なお答えはできかねるかと思いますが、発電ダム等について建設いたします場合には、その建設資金というものが電気事業者から負担されるわけでありまして、一応電気事業に必要な負担金の及ぶ範囲においての施設をするわけでございます。治水事業というような治水事業に要する費用は負担をいたしておりませんので、従いまして、原則的に申しますと、電気事業者は河川管理の費用は負担いたしておりませんから、その他の治水事業、河川管理の費用は公共団体あるいは国が負担してやっておるわけでございます。ただ電気事業者の工事をやります際に、関連工事、付帯工事としてそういう事業が必要な場合は当然その事業者が原因者あるいは付帯工事として実施いたしておるかと存じておるわけでございますが、現在の御指摘の点がはたしてどういう費用負担関係で行なわれたか、私も今のところはっきりいたしておりませんが、原則として申し上げますと、そういうふうに負担区分が異なっておるという状況でございます。
  48. 松永忠二

    ○松永忠二君 私の聞いておるのは、その負担をどういうふうにするということではなくて、今の大体護岸というものは発電の工事、その部分的な放水の量とか、そういうものについて結局検討されて護岸というものがなされておる。どういうふうな雨量に対して、それがどういうふうにそこの放水が加重してきて、その護岸に対して影響を与えるかなどというようなことについては、法的に検討される河川法ではないわけです。だから、そういう点についてこの今のやり方は不利だというふうになるわけです。しかも、明らかにその河川法では、こういう場合の補償については請求できるように明確に規定をされておるわけです。この第三十一条に「営業ノ結果ニ因リ特二河川ニ関スル工事ノ必要ヲ生セシムルモノアルトキハ其ノ営業者ヲシテ其ノ費用ノ一部ヲ負担セシムルコトヲ得」——あなたそんなことをおっしゃいますが、第三十一条に明確に営業による工事を行なう場合には、これは工事者が責任をもって負担をする、させるということが明確になっておるわけです。しかも、補償についても、そういう場合に出てきた被害についても補償させるところに河川法がなっている。従って、ダムの建設にあたって護岸とダムの関係というものを明確にして、しかも、責任をもって施工させていくということが行なわれなければできないはずだと思うのです。こういう点についてのいわゆる建設省はどういう一体関与をしてきたのか。私の言っておるのは、佐久間ダムについてもそうだし、秋葉ダムが明確です。こういう点については、要するにその工事を施行しているそのものにまかせてしまったのか、それともどういう護岸については、明確に一万トンの放流に耐えるということを建設省自身が認めたのかどうなのか。
  49. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 数字的な点については、ただいま資料がございませんのでお答えできかねますが、河川工作物を設置することによりまして、治水上、河川管理上に影響を及ぼします場合には、当然河川工作物の施設を建設する者がその原因者として、かりにそれが治水上のものに関連いたしましても、その原因を与えるわけでございますから、その範囲において当然工事等を行なわなければならないというふうに考えておるわけでございます。佐久間ダムの場合など、その河川におきましては河川工作物の許可をいたします際に、工作物の設置河川管理上どういう影響があるかという点を、いろいろ河川管理者の点から調べまして、そのダムの工作物はもちろん、そのダムの工作物の操作によって起こるいろいろな河川管理上の影響というものを調べまして、そういうものの影響を及ぼす範囲については、これはダム建設者の方の負担においてその工事を施行してもらっておるものと私は解しておるわけでございますが、なおそれ以外の場合にも、先ほど御指摘があったように、営業によって新たに河川管理上の問題が起これば、これもそういう工事ができるわけでございますが、この場合には、河川工作物を河川法において認めます際に、いろいろな角度から検討されて、その検討された範囲内において工作物自体はもちろん、それらの影響の及ぼす河川管理上の施設についても、建設が行なわれておるものというふうに考えておるわけでございます。
  50. 松永忠二

    ○松永忠二君 次官がそこに見えておるので、この今のダムの放水量と護岸の関係について、やはり明確に調査をしてほしいと思う。一万トンの放水に耐える護岸だと説明をして、地元において工事が行なわれた。ところが、今度の間違ったといって発表しているそういう量であっても、六千トンの放流が行なわれた、ところが、それによって非常に大きな波が起こって、護岸がめちゃくちゃに決壊をしているわけです。同時に、家屋も損壊をしている。はたしてこの護岸は一万トンの放水に耐えるのか、耐えないのか。もう明らかに耐えないということが地元では明確になっている。しかし、それを科学的に調査してもらうところがない。こういうことについてやはり明確にして、地元民の不安も除去するし、また、それに伴ういわゆる損害について、電源開発等で十分な補償をして護岸の建設をするというようなことについて、積極的に建設省も一つ調査復旧について責任をもって当たってほしいということなんですが、いかがですか。
  51. 田村元

    説明員(田村元君) 私的な工作物というような面もありますから、その点で若干の障害があるいはあり得るかもしれませんけれども、建設省としてできる限りの調査をいたしたいと思います。
  52. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連。建設省に伺いますが、ダムの建設をいたしますね、その場合にこの建設に伴うもろもろの影響ということについての責任というものは、これは直轄河川の管理者であります政府が持つわけですね。従いまして、今、前の委員が質問をいたしましたように、たとえばダムを作る、AならA、BならBのダムを作ると、ダムの影響によって下流にいろいろの影響を生ずる、そういう場合に、そのダムの建設を許可しているからは、従って、許可の条件というのがあるわけですから、今言った流水量幾らに耐えるとか、どうといったようなことは、それはもう下流の、何といいますか、住民の方からいえば保護施設といいますか、少なくとも今度のような水害によって被害を生じないような工事というものが当然前提となって行なわれて、そのダムが許可されるという経過をとるのでしょうね、その点どうですか。
  53. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 先ほど申し上げましたように、ダムを大きく分けますと、二種類ございますが、それは治水上の目的を含めて建設されるダムと、主として利水を目的として建設されるダムと、二種類あるわけでございます。ただいまのお尋ねは後者に属するダム建設について、下流に及ぼす影響とか、その他治水上の問題がどうかというようなお尋ねかと存じますが、前者の場合、まあこれは御参考までに申し上げますと、たとえばダム法、治水上の目的を持つダム法によっては、放流をいたします場合には、下流の方に通報をする義務とか、責任を負わしてやっているわけでございまして、必要な措置を十分やっているわけでございます。ところが、利水を主とするいわゆる専用ダムにつきましては、ダムを建設する際に、河川の管理上十分であるかどうか、まあ治水上その他についてどういう影響を与えるかという点を考慮されまして、そういう点と、それからダムの操作規程、これを守ってもらいたいという点の注文をつけまして許可をいたしているわけでございまして、従いまして、守っている範囲において、いろいろともちろん影響等、下流等の連絡等に必要のある場合においてはやってもらう、いろいろなこともお願いしているわけでございますが、必ずしもそれが全部のダムについて十分であるというような点に至ってない点はあるわけでございます。そういう点も今後は十分検討しなければならないというふうに考えているわけでございます。
  54. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、今、松永委員が指摘しました秋葉ダムですか、これは一万トンの放流に耐え得るということであった。放流したのは一万トンにはるかに及ばない低い数字ですね、六千トンだという、実際は四千何百トン、それでしかも一万トンに耐え得るものが四千何百トンの放流に耐え得なかったということになりますと、責任はだれが持つのですか。ダムの放流の関係者は、別に一万トン以上を放流したわけではありませんから、一応責任はないわけですね。そうすると、一万トンの放流に耐え得るということで許可をした河川管理ということに問題がありませんか。河川管理の責任は、こういう場合起こらないですか。
  55. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 今、具体的な数字と現実の操作がどういうふうに行なわれたか、私もよく存じませんが、一万トンの放流に耐え得るというもの自体が、ダムそのものなのか、ダムの下流に対する影響なのか、その点、私今ちょっと明らかにわかりかねる点もございますが、要するに、非常な雨が降って参りますと、ダム自身を守るためにも、ある一定量満ぱいいたしますと、水があふれてくるわけでございますが、そういうあふれてくる水が非常に多いと、ダム操作と関係なく下流に影響を及ぼす場合もございます。そういう全体の状況がどういうふうになっておったか、また、ダム自体の施設と、それから下流に対する影響というものは、状況と内容をよほど調べませんと、私はその責任の所在云々ということについてはちょっとお答えできかねると思います。と申しますのは、これは資料を提出してもよろしゅうございますが、昨年もいろいろ調べたわけです。各ダムの影響につきまして、各地のダムがどういう影響を及ぼしたかということを調べましたが、現在のところ、こういう点がどうであったというほどの明確な結論が出ていないような非常にむずかしい問題がたくさんあるわけでございます。
  56. 松永忠二

    ○松永忠二君 話の出ているのは、一万トンの放水に耐える、つまり平常時に確かに一万トンの放水に耐えるということであって、今度洪水にあたって六千トンの放水をしたわけですね。ところが、こういう洪水の際に六千トンの放水をすればどれだけの一体護岸に影響があるかという科学的の調査の上に立った護岸施設でなかったわけです。そういうことについては、法律の第十九条に責任が明確にしてあるわけです。「流水ノ方向、清潔、分量、幅員若ハ深浅又ハ敷地ノ現状等ニ影響ヲ及ホスノ虞アル工事、営業其ノ他ノ行為ハ命令ヲ以テ之ヲ禁止若ハ制限シ又ハ地方行政庁ノ許可ヲ受ケシムルコトヲ得」と、こういろふうに明確になっているのです。だから、今言ったような問題について明確にして責任をとらせることは、法律的に明確になっている。従って、今のお話のような平常時に一万トンの放水をした場合、こういうような場合に、六千トンの放水をした場合と、おのおの護岸の工事に対して違いがあるでしょう。しかし、そういうことについて、やはり護岸をして一万トンの放水をすることの機能を持っているダムなんですよ。だから、秋葉ダムはもっと放水することができるはずです。今度の災害で六千トン放水をしてそういう結果をよんだのだから、一万トン放水することができることになっているのだから、一万トン放水した場合にはこれ以上の災害が起こるわけだから、こういう点について、いわゆる護岸と放水との関係を明確にする、そういう工事が行なわれて、それが科学的に責任を持って実施をされるということが必要だということを私たち言っておるわけです。こういう点については、その責任の所在を明らかにしてほしいということであって、あなた方はそれを具体的に調べて明確にいたしますならいたしますということの御返答があってしかるべきだと思う。今ここで責任があるとかないとかいうようなことを言っておるのではなくて、責任を明確にするということについて要求をしておるわけです。
  57. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまの点、私も内容をはっきりいたしませんので、十分なお答えはできかねるわけでございますが、私も河川管理者の立場といたしまして、現在の佐久間ダムが今度の災害についてどういう立場にあったか、また、その護岸工事がどういうふうにして行なわれたかという点は、河川管理者の面から十分に調査をいたしたいと考えております。
  58. 松永忠二

    ○松永忠二君 農地局の方が少しあれされておるというお話ですから、愛知用水の問題を少し伺いたいと思います。愛知用水の今度の災害相当金額になっておる。今資料をいただいたのでは六億となっておりますが、私たちが現地で公団からいただいた資料では、もう少し大きな金額を示しておるようです。そうして、この災害復旧並びに改良工事、そのほか用地及び補償費等を合わせると八億五千万という金が必要だということを明らかにしておるわけなんですが、この愛知用水の被害については、どういうふうなところに問題があるというふうにお考えになっておられるのか、どういう調査が進められておるのか、この点をまず一つ次官から御説明衣聞きたいわけです。
  59. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) ただいまの御質問に対しましては、実はまだ調査が十分にできていないそうでございまして、調査を急いでやりまして、御報告申し上げたいと存じます。
  60. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは、農林省としては、愛知用水については、調査に出して明確に現地調査をやられるということを考えておられるのか、その点はいかがですか。
  61. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) 農林省からの指示によって公団の方で調査をいたすわけでございます。
  62. 松永忠二

    ○松永忠二君 私のお聞きしたのは、農林省自身がこの愛知用水の被害についてはみずから調査をされるのかどうかということをお聞きしておるのです。
  63. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) 公団の方の調査報告を待ちまして、そうして必要あれば農林省から派遣したいと、こういうようなことで準備をいたしておるわけでございます。
  64. 松永忠二

    ○松永忠二君 それについては、はなはだ不満どころではなくて、私たちは農林省みずから調査をする責任があると思うのです。それは、四百二十三億という非常な金額を投じて愛知用水が作られ、しかも、いよいよ落成を明日に控えたその際に、こういうふうな災害が起こって、しかも、その用水の堤防が決壊したために、周囲の農民に対して被害を与えた。しかも、これは非常な日本の誇るべき農業用水の工事として宣伝もされてきた。こういうものが、逆に大きな被害を考えるということになれば、何かそこに地元の人たちとしても、あるいは一般の国民としても、原因を明確にしてもらわなければならないという気持が強く起こると思うのです。これは単に、公団が調査をされて、それを聞くということじゃなくして、これだけの大きな工事を、しかも、目の前に、落成の水入れをする、その翌日にこういうふうな被害が起こっておる。しかも、ここで予算の要求をされておるところを見ると、被害の改良工事に二億四千万も要ると、こういうような復旧の予算の要求が出ておることになれば、はたして、今までやった工事が、こういうことを予想し、あるいは排水路なり、そういうこととどういう一体関連を持って工事が進められたのかということについても、根本的にやはり検討する必要があると、また愛知県をたずねても、愛知県の知事等も、関係者も、その問題については非常な関心も寄せておるわけなんです。こういうことは、農林省みずからが責任を明確にしていくべきだと私たちは考える。さっきお話の出てきている、いわゆるダムの操作の問題等についてもそうであります。やはり明確な調査をして、そして公団のものと同一であればけっこうであるけれども、独自な調査をすべきだと私たちは考えておるのですが、こういう点は、どういう一体お考え方を持っておるのか。    ——————————
  65. 鍋島直紹

    ○理事(鍋島直紹君) 答弁の前に、ただいま委員異動がありましたので御報告いたします。本日付をもって津島壽一君が委員辞任され、その補欠として西田信一君が委員に選任せられました。    ——————————
  66. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) 実は、公団の災害復旧でございますが、これは公団法に基づきまして、災害復旧を講ずるというようになっておる建前から、公団の報告を聴取して、国としてやらなければならぬ、たとえばお話のような改良復旧の件等につきまして、国が負担すべきものについては負担しなければならぬ、その場合には、法的措置を考えていかなければならぬ、こういうようなことで、公団法に基づきまして、公団の災害調査、そういった対策を、報告を求めておる状態にあるのであります。
  67. 松永忠二

    ○松永忠二君 報告を求めておるのは当然だし、報告をすることは当然でありましょう。たまたま今度のこれだけの、八億の金について、開発銀行なりから融資を受けることが必要なんだから、当然農林省の関係の、あなたの方の所管でもあるのですね。農地局の方へそういう話があることは当然だと思うのですよ。ただしかし、そういうことについては、もちろん事前に調査をするということは別としても、この問題については報告を受けるけれども、同時に、農林省としても、みずから調査をするいわゆる気持を持って、この問題については明らかにしていくし、いかなければできない性質のものだと考えておられるかどうかということを聞いている。
  68. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) 今おっしゃる通りに運んで参ります。
  69. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ちょっと関連。政務次官愛知用水公団はあなたの方の所管でしょう、そうですね。そうしますと、もちろん公団それ自身として仕事をやってきたし、その限りにおいて、災害があった場合に十分調査をし、あるいは国に報告をするということは当然のことだし、あなた方も報告を求めることも当然だと思います。実は、愛知用水の問題については、従来いろいろ、真偽のほどはわかりませんけれども、うわさがあった問題ですね。現在までの総工費等についても、追加みたいな格好で四百何十億かになっている。私ども、今いろいろなうわさについて、とやかく申し上げるつもりはありませんけれども、ともかくそういう問題をはらんだと思われるような公団で仕事をやってきて、今回の豪雨の際に、通水の式か何か、そんなものをやる前にこういうことになってしまったということなんで、何か世間では、一体こんな工事やって、どこかに手抜きがあったのじゃないかとか、あるいは計画なり、あるいは設計なり、そういう面で手落ちがあったのじゃないかというようなことも取りざたされているのです。ですから私、今の質問に関連して、ちょっとだけお聞きしたいことは、単に公団に調査させ、その結果を報告をさせる、あるいはその結果をあなた方が求めるということだけではなしに、もっとやはり根本的に愛知用水公団の仕事そのものについても、これは徹底的にあなた方所管の立場として見ていく必要があるのじゃないかと思います。何かうやむやという格好でこういう問題を過ごされると、やはり世間でいうように、これは天災ではなくて人災だなんという言葉もまた出てきます。ですから私は一つ、要望めいたことでありますけれども、この際、公団の現在までのいろいろな仕事のやり方なり、そういうようなことについても、単に今回の被害あるいは被害額という問題だけではなしに、現在までの公団の仕事のやり方なり、あるいは今後の復興の仕事も当然含まれるわけでありますが、そういうことについて、もっとやはりはっきりした態度で臨んでもらわないと、外部にいろいろ流れているうわさとか、あるいは変に取りざたされているような、そういうことを払拭する意味においても、私は必要な段階であるように思うのですが、その点少し話がくどくなったようでありますけれども、いかがでございましょう、あなた方の態度として。
  70. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) ただいまの御意見の通り、農林省といたしまして十分な調査をしなければなりませんから、さっそくその手配をいたしたいと考えております。
  71. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そうしますと、さっきお答えがありましたように、単に愛知用水公団からの報告を求める、あるいは報告させるということだけではなしに、やはり農林省としても積極的に一つ調査をしてみる、こういうことをおっしゃったものと了解してよろしゅうございますか。
  72. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) 報告のほかに、今度の事態に対しまして、農林省として十分調査しなければならぬ面もあると考えますので、その措置をやっていきたいと、こういうことであります。
  73. 松永忠二

    ○松永忠二君 農地局については、御用があるというお話ですが、よろしゅうございますか。それでは建設省の方へなお一つお尋ねをしたいのですが、これは自治省にも、どういう考え方を持っておられるのか。ゴルフ場の設置ということと災害というものとが関連を持っているというようなことについて、どういうふうな考え方を持っておられるのか。特にそのゴルフ場設置をするにあたっては、それが農地法に関係をするというような場所であればそういう関係、あるいは保安林とかそういう点について関係があれば当該の自治団体にも関係をしてくるわけだけれども、そうでない場合には、このゴルフ場を買収してどんどん工事を施行していく、で、非常にたくさんの数ゴルフ場の設置をして、それが土砂のいわゆる崩壊というか、そういう点で非常に関係を持っているというようなことが指摘をされているわけです。こういう点については、やはり検討をするというような用意があるのかどうなのか。これやはり宅地造成と関連をして、何かこういうふうな規制というものについてはしていくべきではないかというようなことをわれわれとしては考えているわけなんだけれども、この点について建設省としてはどういう考え方を持っておられるのか、お聞きしたいわけです。
  74. 田村元

    説明員(田村元君) 宅地造成に関しましては、これはもう当然規制しなければならぬ面がありますから、まあでき得れば次の臨時国会でも提案の域にまでこぎつけるように今検討を命じておりますけれども、ゴルフ場の場合は、私、はなはだうろんな話でありますけれども、どうも今初耳でございまして、さっそく具体的にどういうような姿になっておるかということを調べまして、もし規制すべき必要があるとするならば、当然宅地造成と同じような扱いをするように研究してみたいと、かように考えます。
  75. 松永忠二

    ○松永忠二君 これも私たちは具体的に、たとえば函南を中として十三のゴルフ場が開かれて、そのゴルフ場がいわゆる保水というような点においても非常に欠陥があるし、また川の土砂についても非常に崩壊に関係があって、それが河床を上げることに大きな影響がある、だから、ゴルフ場設置というような問題についても、もう少し治水というような面と関連をして、地方の自治団体が何らか関与できるというようなことにしていくべきではないか。単に農地法に関係があって、それが農耕地であるという場合には、これについての関係が出てくる。造林というような関係で出てくることであって、そうでない場合には、どのくらいの範囲であろうが、それを買収されればそれがゴルフ場に設置をされていけば、それをただ治水上工合が悪いというような、そういう権限は何にもない、こういう点、あるいはまあわれわれのところではスカイ・ラインのような問題が、山の中腹をぬっていくと、こういうことと、一体水害等の問題とか、科学的に検討されて行なわれておるものなのかどうかという点について、やはり疑問を持っているわけです。やはり一応こういうふうなものの設置全体に反対をするのじゃないけれども、やはり総合的な施策というものがないのではないか、無法的に行なわれておるのではないかというような点で、やはりこの際問題を法律的にも何か関係をするような工合に検討すべきではないかというような意見も実は出ておるわけです。こういう点については、なお一つ検討してほしいと思う。  なおもう一つ、建設省お尋ねをしたいのですが、具体的に一つ申し上げると、天龍は鹿島という所まで直轄河川になって、そうして上流また長野直轄河川になる。一体ああいう天龍のような川がその途中を準用河川にするというような考え方は妥当なのかどうなのか。今度天龍川筋で大体被害千億といわれているわけです、この県の関係する道路は。護岸というようなものの被害十億といわれているわけです。天龍川自身を直轄河川にしてほしいというような要望は、前々から多く地元にもあったし、われわれはあのくらいの河川直轄河川でないということ自身についても、むしろ非常に不思議だと思うくらいなことだと思うのですが、準用河川直轄河川にする、そうしてまた、小河川を準用河川にするというようなことについて、もう少し積極的に実施していくということは必要じゃないかと思うわけです。特に具体的に一つ、天龍川をどういうわけで準用河川にしておくのか、そうしてまた、準用河川直轄河川にこの際するということを、全般的に河川について各府県について検討して、積極的な措置をとる用意があるのかどうか、この点について一つ、お尋ねをしたいわけです。
  76. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいま天龍川の直轄河川の区域と準用河川とのつながりの問題でお尋ねがございましたが、建設省の治水計画としましては、天龍川の場合につきましても、大きないろいろな河川につきましても、原則的には水源から河口に至る一貫した治水計画というものを作りまして、その治水計画に基づいてそれぞれの工事区分、管理区分は若干異なっておりますが、計画洪水量その他の治水上の計画におきましては、一貫した計画でやっておるわけでございます。ただ、工事をする区域等につきましては、河川法に基づいて二府県以上にまたがる場合とか、あるいは設計上非常にむずかしい場合、いろいろな場合にはこれは主務大臣が直轄の工事をやるということにいたしておるわけでございまして、全体についてこれを直轄区域としてやることは、御指摘のようにこれは最も望ましい姿かと思いますが、現在のところは、都道府県知事が河川管理の原則的な責任者になっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような場合に、直轄区域としてやっているわけでございます。しかしながら、今後はそういう治水上の計画に合わせて工事その他についても、いろいろな災害状況、あるいはそれに河川管理の全般的な面から見て必要な場合は、そういう点は今後とも各地域の実情に即して直轄区域の幅を広げる、あるいは直轄区域に編入するという点については十分に検討して、その内容によっては直轄にするということは考えていかなければならぬというふうに思っておりますし、また、そういうふうな方向で私どもも検討いたしておるわけでございます。
  77. 松永忠二

    ○松永忠二君 ちょっと、あなたの言ったことと逆でしょう、河川法では。一体、川というのは国が管理するというのが建前であって、それを特別な場所について地方に委任していくという考え方でしょう。逆なんであって、そういう考え方で河川法というものは作られている。第一条にはそういうことが書いてある。だから、むしろ河川については、準用河川は委任をしているのだという考え方を持っているわけです、地方の行政機関に。そういう考え方を持っているのであって、直轄河川にしていくということをこの際検討していくべきだと、これは思うわけです。政務次官に、この際、河川の小河川、準用河川直轄河川について検討する用意があるのかどうか。御承知のように今度のものについては、小河川が非常に大きくはんらんをしてきてしまって、そうして市町村では小河川復旧工事が非常に困難だということは、もうあちこちに指摘をされているわけです。だから、できるならば、小河川から準用河川にして、この際、責任を一つもう少し財政力のある都道府県でこれを行なう、また非常に大きな主要な河川については、建前として直轄河川として実施をしていく。今の説明のように、ただ仕事を地方にさせている。予算的にはそういうことになっているという説明もあるので、この際やはりもう少し小河川、準用河川直轄河川の区画というものについて、区画、区域というものや、あるいはどこをどうするかということについて検討する必要があるのじゃないか。それでなければとても地方の市町村では、自治団体では、その負担にたえられない。もう都道府県にしてもこういう点についてやはりこの際検討すべきものについては所轄を変えていくというような、そういう考え方を持っていってほしいという気持を持っているわけなんです。検討する用意があるのですか。
  78. 田村元

    説明員(田村元君) 実は仰せの点、われわれ十分痛感しておる面もあるわけで、実はつい最近でありますけれども、河川局長に治水計画の長期計画を再検討してみろと、そして根本的にもう一ぺん考え直してみろと、こういう指示を与えたばかりであります。そういうふうにしても、まあ結局予算が根本的な問題になりますから、でき得れば来年度の予算要求の際に、新しい治水計画というものを打ち出したいと——実はこれは中村大臣と私と全く同意見でありまして、そういうふうに河川局長に強く指示をいたしたわけであります。さっそく検討をいたすことだろうと思いますが、仰せのような考え方も非常に参考になるわけでありまして、われわれも痛感しておりますから、十分そういう点を勘案しながら、新しい計画に一ぺん取り組んでみたい、かように考えておる次第でございます。
  79. 松永忠二

    ○松永忠二君 これは農地局に関係するし、また厚生省にも関係をするわけですが、この今ダムの河床が上昇したために一村移転をしなければいけないとか、あるいは地すべり等が起こっているために、今の場所にとてもいられないと、この次雨が降れば、今度はまた大へんなことになるというので、緊急に避難をしたいという気持を持っているところが相当あっているわけです。具体的に、たとえばこの土肥町の八木沢というところの松原といろところなどは、山の頂上が崩壊をしてきて、今度の災害でもうちがつぶれたり、あるいは土砂が中へ入ってしまって、十何軒かがどこかへ、とにかくここを移りたいというような気持を持っているわけです。そのうちでも九軒ぐらいを明確に考えて、一時場所を移す、それについては災害救助法応急住宅では、これは適用できないわけなんです。従って、まあ新しい措置を法的にやってもらって、この避難の場所について国の補助を受けて住宅を建てて、そしてそこへ一つの部落が避難をしたいというような強い要望も起こっているわけです。これについては長野あたりにもそういうふうな要望があって、この点について何か法的な措置をすべきではないかというような気持が起こっているわけなんですが、こういう点について災害救助法ではこういう措置はできないので、関連の省でもってこれは建設省にも住宅局があるわけなんですが、こういうことについて何か具体的な話し合いは進んでおらないのか。まあ自治省も大へん、関係はすぐみんな市町村民のことなんですが、こういう点についてやはり何か国庫補助をもらって、短い期間でも、一年とか二年とか避難をしたいというふうな、そういう要望が強く出てきて、あるいは部落を移したいという気持が出ているので、これについて何か関係省の間で法的な措置をしていきたいということを考えておられるのか、これをお聞きをしたいわけです。まあ大臣から答弁をしていただければ、それもけっこうです。いかがですか。
  80. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 今の今度災害を受けたようなある地域について、これを復旧をしてみてもまたやられるであろうというような特別の地域については、部落移転というような問題も起こり得ると思うのでありまして、私どもも、まあ直接これはどの省が担当いいたすか、正直なところ区分ははっきりいたしませんが、まあ主として建設省、自治省が中心になりまして、そういう対策につきましては今後十分に検討をして、必要ならば立法措置も考えなければなるまいと思って、寄り寄り相談中でございます。
  81. 松永忠二

    ○松永忠二君 建設省もそうですが、どうです。
  82. 田村元

    説明員(田村元君) 災害復旧住宅とか、その他公営住宅という面で要請に応じるとか、あるいは金融公庫の方と話し合うとか、いろいろな問題があろうかと思いますが、今ちょっと住宅局の者が参っておりませんので、いずれ自治大臣とも相談をして、そういう問題、具体的にあれば善処いたしたいと思います。
  83. 松永忠二

    ○松永忠二君 具体的にあればでなくて、具体的にあるんですよ。これは新聞にも出ていることであって、災害救助法応急住宅では間に合わぬ、一村とにかく河床が上がってしまっているので、危険だから部落を移転したいというところもすでに長野でも起こっている。例の、ここでも問題になった由比の地すべり等でも、やはり住居を移すということを行なっているわけなんです。これはやはり市町村でそういうことはとてもできないし、そうかといって府県でもそこまでは手が回らぬということで、どうしてもやはり国の助成措置というものをしてほしいという強い要望がある。大臣のおっしゃったような方向で、やはり緊急に一つ検討していってほしいし、衆参両方でもやはり関係委員会でいろいろな話が今後出てくると思うので、そういうようなことに呼応して、一つ緊急に措置をしてほしいと思う。  だいぶ時間がたちましたので、もう二点だけ承りたいと思うのでありますが、農林省農地局の方へ、農地局ということではなくて、これはむしろ金融関係ですから、今話の出ている天災融資法であるとか、自作農の維持創設資金であるとか、あらゆるものを借り尽くしていると思うのです。災害を例年受けているところは全く一戸三十万から五十万の金を借りているところへまた災害が起こってきてしまって、制度金融そのものについても幅がない。しかも、制度金融では金を返さなければできない時期に遭遇しておるわけです。それにまた金融をしてもらわなければできぬということになれば、幾ら天災融資法を発動してもらっても、実はそれではもう借りられぬということになってしまっているわけです。従って、こういうような制度金融の償還の問題とか、あるいは融資の額をふやすとかというようなことについて、農林省としてもすでに検討されていると思うのですがね、この問題。  それから麦について、これはおそらく関東のほかの地方にもあると思うわけですが、浸水をしたために供出をするというか、売り渡しをしようとしている麦が被害を受けてしまって、そのために現金収入が全然ないという地域が麦作の地帯にはもうできているわけなんですね。こういうふうな問題について、農林省としてはどういった措置を検討しておるのですか。
  84. 八田貞義

    説明員(八田貞義君) 償還期限の方の延長はやって参る考えでございます。  それからもう一つ、麦の問題でございますが、これは保険の方でやっていく、こういうふうな対策をきめております。
  85. 松永忠二

    ○松永忠二君 そんなことではだめだと思うのです。いわゆる共済制度で救おうというようなことではなくて、麦の質が少しぐらい変化していても、大体それを買い上げをするというような措置をするとかという具体的な方法を講じなければだめだ。償還期限の延長をしても、金融の金額を広げなければ借りることはできないじゃないですか。だから、こういうことについては今検討していると僕らは思うのですがね。どういう検討をしているのですか。
  86. 東辻正夫

    説明員(東辻正夫君) 今、政務次官からお答え申し上げましたように、災害発生いたしまして、直ちに各金融機関につきましては、旧来借りておりまする債務につきましての今後の返済条件の緩和等の措置指導いたしたわけでございますが、今お話の通り、これを将来、今後制度的にどういうふうにもっていくかということにつきましては、さらに検討をしなければならないと思いますが、従来借りておりまするものにつきましては、こういったような場合に、それぞれの借りておる人の状態に応じまして、ケース・バイ・ケースで、具体的に措置して参りたい。なお、今のお話の点につきましては、今後さらにそういったような事情に対応する措置は十分考慮して参りたい、かように考えております。  なお、麦の問題でございますが、実は今回の災害につきましての農作物その他産物等の被害につきましては、今目下各地方の統計調査事務所を中心に検討しておりまして、大体十五日ごろには農作物関係被害状況が詳しくわかることになっております。で、その状態によりまして、それぞれ金融その他の対策をまた進めるというふうに考えておるわけでございますが、今の例に出ました麦の問題につきましては、とりあえずいわゆる共済金あるいは保険金の仮り渡し、また必要がございますれば、これに伴いまして共済基金からの融資なり、あるいは特別会計からの概算払いというものを行ないまして、いわば金融的に被災者の再生産に必要な、支障のないようにというふうに考えておるわけでございますが、なお今後当該麦の買い入れ等につきましても、これは災害に直接関係はないかもしれませんが、そういう方向で検討いたしておるわけでございます。
  87. 松永忠二

    ○松永忠二君 まだ調査の段階だというようなこともありますので、この程度にその点はしたいと思うのですが、単に償還期間を延長するということではなくて、制度金融のワクを広げるということについて、制度的に検討してもらうというようなことについては、ぜひ対処願いたいと思うわけです。  最後に、自治省にお尋ねして終わりたいと思うのですが、自治省の資料について、やはりこういう資料をほしいと思うのですよ。各市町村が今まで災害を受けたためにいろいろ財政的に無理をしているわけなんです。償還にあたっても、非常に財政的に圧迫を受けているわけです。今度の被災というものが、そういう市町村について、なおどういう一体影響があるのか、そういう点について明確なものを用意してほしいと思うのです。たとえは、具体的にいえば、私のところでいえば、函南という村は、これは狩野川台風にやられて、そのための公共事業の負担、あるいはいろいろなものについて起債の償還等について財政的に相当な圧力を受けているわけです。また今度そういう災害が起きて、それをまた今のことで被災の額を考えていけば、また市町村にどれだけの財政的な圧迫になるという予想ができると思うし、こういうようなデータの上に立って起債の特例の措置とか、小災害の問題等も検討してもらうということは必要だと思うのです。われわれはまた、一体連年の災害で地方自治団体がどれだけの圧力をこうむっているのか、もう私たちの見聞きしている範囲では、とてもこれでは関連の改良復旧をやって市町村に負担をさせていくということでは、とてもやり切れない。何とかしてもらわなければできないという危惧が非常に強く訴えられているのだが、具体的にそれを数字の上で明確にしていくということが必要だと思うのです。こういう点について、局長もおられるわけですが、一つ十分資料を整備されて、災害と地方財政に対する影響というようなものを明確にして、そういう中で、地方自治団体のために関係方面へ特例の措置等を積極的に働きかけてもらう、そういうことによって自治省が市町村の信頼を得ると私たちは考えているわけです。自分らのできることはただこれだけだということではなくて、市町村の一体特別立法をしてほしい、高率補助をしてほしいという気持はこういうところから出ておるのであって、むしろ自治団体を守るという意味からいえば、自治省自身が災害基本法の精神に基づいて、関係方面と接触をしていく、折衝をしていくという気魄は僕らほしいと思う。単に本日のような、一枚のような交付税の繰り上げ措置という程度のことでは、私たちはそれだけの気魄をこの資料の中から見るととはできない。こういう点について一つ資料を出していただくとともに、特に連年の災害を受けている、都道府県よりむしろ市町村です、市町村がもうたえられない。改良復旧になれば、当然地元負担が出てくるという状態の中で、小災害がどの程度一体取り上げられてもらえるのか、それも明確になってきていないというようなことでは、とてもこの段階でなお立ち上がるという気持はない。私たちのところあたりでは、実際のところ、もうこれではたまらないと思う。とう災害が続けてこられてはやりきれないという気持で、実は意欲も相当むしろ減退しているという状態です。そういう中心の所管の省としての活動を一つ私たちは期待をするわけです。資料並びにそういう点について、一つ大臣から御答弁を願いたいと思うわけです。
  88. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) お話の点は重々ごもっともだと存じます。災害によって、ことに地方団体の負担が年々ふえていくということもございますし、ことにやはり災害復旧だけでなくて、どうしても改良ということが必要になってくると思うのであります。それに対する地方団体の負担の過重というようなことにつきましては、今後でき得る限り一つ幅を広げて善処するように努力をしていきたい。あと資料につきましては、でき得る限り、今目下全体を取りまとめ中でございますが、でき次第提出をいたしたいと思っております。
  89. 加瀬完

    ○加瀬完君 簡単にこまかい点を四点ばかり伺います。  建設省に伺いたいのでありますが、お出しいただきました資料によりますと、直轄災害よりも補助災害が非常に多い。この補助災害の非常に多い原因をどう把握されておられるのか、その点をまず伺いたい。
  90. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 御指摘の通りこのたびの災害では、総額から申しますと、補助災害の方が非常に多くなっておりまして、直轄災害の方は少なくなっている、こういう点で、原因はどうか。非常にむずかしい問題でございますが、御承知のように建設省といたしましては、先ほど政務次官からもお話がございましたように、現在の治水上の根本的な計画といたしましては、治山治水の緊急措置法に基づきまして、治水の十カ年計画というものを作って、直轄河川、あるいは補助河川等について今後十カ年に大幅にこれを、治水上の効果を表わすという基本計画で、実は昨年から出発して現在に至っておるわけでございます。ちょうど三十六年度が二年目になっておるわけでございます。で、五カ年を経過いたしますと、ほぼ目的のはんらん面積につきまして、相当被害を減少するという段階にいくわけでございますが、まだ治水計画も二カ年目を迎えたばかりでございまして、この数字から申しますと、直轄河川補助河川ともにまだ十分な段階に至っていないというのが全般状況でございます。今度の災害は、特に連続的な集中豪雨等ございまして、地すべり等、いろいろな現象も起こしましたし、中小河川におきまして相当被害が起きておるわけでございます。また砂防なども問題があるわけでございまして、治水事業というのは、全般的な問題に問題があるわけでございます。原因というものは、さらに私どももこの全体について、やはりいろいろな角度からこれを検討して申し上げなければならないわけでございますが、先ほど政務次官もお話がございましたように、今の治水計画が大丈夫である、また、これをもう少し検討したらどうだというようなお話もございまして、さらに河川局といたしましても、今度の豪雨及び過去の災害の経験を十分に検討いたしまして、現在の治水上の計画について、いろいろな点に不備の点があれば、これを十分に直していくように努力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  91. 加瀬完

    ○加瀬完君 私は対策を聞いているのじゃないのですよ。直轄災害に比べて補助災害が非常に多い。その原因は何かと、その原因が究明されなければ、対策は立たない。調査中というのであれば、来月の委員会がまたございますから、それまでにできるだけの補助災害原因と思われるものを御検討の上で、資料として御提出をいただきたい。この点お願いいたします。  それから農林省に伺いますが、先ほど、私の聞き間違いではないと思いますが、小災害は起債で処理するというお話がございましたが、具体的にどういう方法をおとりになるのですか。
  92. 中村武夫

    説明員(中村武夫君) お答えいたします。小災害対策につきましては、二十八年災害のときにおきましては、暫定措置法の限度を、十万円の限度から三万円まで下げまして、補助災害としてとったことがあるのでございますが、そのときにまあいろいろ問題が起こりまして、三十三年以降につきましては、市町村営のもののみにつきまして起債によって処理しているわけでございます。三十三年、三十四年の大災害のときには、自治省の方で特別立法を、起債の特例法を設けていただきまして、元利補給の制度をとっていただいたわけでありますが、本年の災害につきましては、そこの起債をどういう措置でやるかという点につきましては、今大体二十二億ないし二十五億程度の小災害発生しておるということがわかっている程度でありまして、このうち市町村の財政負担がどの程度になるかというような点をよく検討いたしまして、さらに関係各省とも御相談申し上げて処置するようになると思います。
  93. 加瀬完

    ○加瀬完君 それから文部省でありますが、二つ文部省には伺いたい。それは補助対象になります義務教育学校等の校舎が、被害の内容にありますね。で、この前の国会のときに、文部省では、木造を、たとえば二万七千二百円というのは合わないのじゃないかという委員会での質問に、結局現実的に非常に離れているならばこれは修正するという、年度内でも修正するという御答弁があった。今度の災害などで当然これは問題になってくるわけですけれども、たとえば例をとれば、木造一坪二万七千二百円というものは修正なさいますか。
  94. 福田繁

    説明員(福田繁君) この前の当委員会におきまして、公立文教施設の単価の問題を御質問になりました。その際私申し上げましたのは、文部省として昨年の補正予算等について実績単価を調べましたところ、若干高い県も出ておりますが、全般としては、大体、現在のところ大して支障はないように思います。今後、三十六年度の予算の執行にあたって、いろいろ単価の問題もいわれておりますので、そういう点については十分調査をしたいということを申し上げたことを記憶いたしております。従って、今御質問のございました木造二万七千二百円という単価でございますが、実は私どもごく最近、各都道府県を通じましてさらに実績単価を調査いたしております。従って、その結果を待ちまして十分検討いたしたいと考えております。
  95. 加瀬完

    ○加瀬完君 もう一点は、この災害対策要項の11に「被災学生等に対する育英資金の貸与」というのがありますね。これを見ますと、高等学校に対しまして七十四人、大学生に対しまして二十二人を見込んでいる。この計算の基礎はどういうことですか。
  96. 福田繁

    説明員(福田繁君) この数字でございますが、これはやはり誤解を生ずるおそれがあるのかも存じませんが、単なる推算でございます。御承知のように実際には各該当者からの申請を待って貸与をいたしますので、その申請に出てきた数字が一応正しいわけでございますので、現在までのところ、まだそういうなにができませんので、一応従来の罹災家庭におきまして高等学校の生徒あるいは大学の学生の割合等を推算いたしまして、大体過去の発生から申しましてこの程度ではなかろうかという数字を参考までに掲げたものでございますから、これはあるいは誤解を生じないように、変更される数字でございますので御了承願いたいと思います。
  97. 加瀬完

    ○加瀬完君 変更さるべき数字にしても、ちょっと的はずれもはなはだしいと思う。というのは、一番被害状況を客観的につかんでおりますのは建設省であり、警察庁だと思う。今、建設省被害中心地というのがここに出ておりますので調べてみますと、そうすると郡で二十六、市で七十、町村で五十五、これだけの数が数えられた。この郡の中には、たとえば県南部地方という幾つかの地域をも含めたものも入れて概算、郡に相当するものが二十六、市が七十、町村が五十五、一時のことであるかもしれませんが、大体こういう計算が成り立つ。それで、この全地域にわたって被害地の中心地がこれだけですね。そうすると中心地一区域あたり一人に当たっておらないのです。多い方の高等学校の生徒でも七十四人、ですから推計なら推計らしき基礎があるはずです。建設省でこういうものが出ておるのだから、これだけの被害中心地があって人口がどのくらいという計算が出るわけですからね。見込みにしても七十四人の二十二人なんという数字は出てこない。こういうのはもっと政府間でよく連絡をして、推定数字というものを立ててもらわなければ、どうもいい加減なことをやっているような印象しか受けられない。今、局長のお話では、これは申し込みに対しまして幾らでも応ずるようなお話でありますから、それならそのように書いてくれればいいのです。大学生のうち二十二人といったら宝くじをひくようなものです。出したってだめだろうとだれも申し込みません。だから二十二人以内になるかもしれない、こういう不親切なやり方は改めてもらいたい。希望を申し上げまして注文をつけておきます。  自治省に伺うのですけれども、先ほども質問をいたしましたが、単独事業とか、補助事業とか、直轄事業以外のものは非常に被害が大きいということは、逆に考えれば財政計画の上で単独事業や補助事業の計画というものをもっと重視しなければならないのじゃないかと私たちは思うのです。この点どうでしょうか。
  98. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 私も同じような気持を持っておるわけで、どちらかといえば、財政が困難なときには、一応国の計画をいたしましたことで精一ぱいになりかねないわけでございます。そういうこともございまして、単独事業についての財源措置が十分でなかったというような過去を持っている。今後はそういう点につきましても財政の好転と相待ちまして十分な努力を払っていきたいというふうに考えております。
  99. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは建設省に伺うのですが、直轄事業というのはあなた方、読んで字のごとく直接的な監督のもとに行なうわけでありますから、これは数も少ない割に監督も行き届いておるかもしれない。しかし、実際の被害補助事業や単独事業にあるといたしますと、単独事業は省くとしても、補助事業の補助の幅というものを広げて、それぞれの自治体に重点的にやらなければならない点をやらせるだけの財源を与えてやる、こういう措置を講じなければ、私はこの被害というのはなかなか解消されないと思う。直轄重点で、補助事業というものに対してやはり国の事業の直轄的なものでないというので若干軽視しておることも今度の被害件数の多い一つの原因じゃないかと私たちは邪推をするわけです。もっと補助事業というものを直轄事業同等に重視をして、どういう補助事業を対象にして、どういう災害に対する防御態勢を整えるかということを地方の自主性にまかせる、こういうバック・アップをお考えになりませんか。
  100. 田村元

    説明員(田村元君) 別に補助事業を軽視しておるということはないのでありますけれども、補助率の引き上げ等につきましては、それは引き上げるにこしたことはないわけでありますけれども、財政のワクその他いろいろなやっかいな問題がある。しかし、特に治水関係におきましては仰せの点も当然でありまして、今後もなお補助事業がよりスムーズに、より確実に強化されるようにわれわれも十分指導もし、また検討もいたしたいと考えております。
  101. 加瀬完

    ○加瀬完君 もう一つついでに、悪いのですけれども、伺いますが、建設省と農林省の間で、治水治山関係で若干意思の疎通が十分でない点が見受けられるように思われるのです。たとえば農林省からすれば干拓とか開拓とか、いわゆる増産計画というのが今まで非常に必要でありましたから、治水関係からすれば当然遊水池として残しておかなければならぬ所、あるいは河川敷としてそのまま残しておかなければならないような所まで耕地化するという傾向が強くなっていると思う。あるいは河床なら河床として残しておいてそとが一つのプールのような役割をするという所を干拓計画でどんどんほしていく。ところが、治水関係からみれば、これは建設省では必ずしも賛成しない。そういったような政府としてみたときの一貫性を欠くような点が、両省の間で意見のそごする点が若干見受けられるのですけれども、こういう点が今度の災害なんかの一つの因をなしているということはございませんか。
  102. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 建設省、農林省とも計画を作成する段階におきましては、それぞれの省の立場でいろいろ検討し、また意見があるいは違う段階もあるかと思いますが、実際に事業をやります際には、両省ともいろいろな点について相談をしてきめて、それによって仕事を実施いたしておるわけでございまして、その過程におきましては、いろいろな意見の懸隔はあるかと思いますが、実施面において、それほどそごがあるというふうには私どもは考えていないわけでございます。
  103. 加瀬完

    ○加瀬完君 さらに今度は用水公団か何かできまして、利水関係というものを一本にするとかいろいろ問題がありますね。こうなって参りますと、また通産省関係も中に入って、水の関係で早く流したい者もあれば、そこへためたい者もある。ほしたい者もあれば、今度はさらにそこをプールにしたい者もあるということで、今までのようなやり方では治水関係という点からいっても、利水関係という点からいっても、私はどうも必ずしも意思が疎通して住民の福祉に直結した計画が進められるというようには考えられない。心配なんですけれどもこの点大丈夫ですか。
  104. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまお話の点は水資源を開発する場合と、河川管理との関係がどういうふうになっておるかというお尋ねかと存じますが、この点につきましては、先般の国会に水資源開発公団法案及び水資源開発促進法案が国会に上程される前におきまして、政府部内におきましても、各省寄りまして検討いたした点でございます。御指摘の通り水を利用するだけの面から川を管理するということになりますと、治水上にもそごを来たします。また治水の面だけを強調いたしますと、水の利用も十分にできない。この両者をどうして調和して治水上の目的と利水上の目的を果たすか、こういう点が一番むずかしい問題として非常に私どもも関係各省として相談して問題になった点でございますが、先般の政府部内の一致した意見として出ております案は、水の利用と河川管理、特に洪水防御の機能の増進をはかる、こういう点ではその目的を調和させて、そうしてできるようになっておる、私どもはそういうふうに考えておるわけでございます。
  105. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうであるならば、さきに松永委員が質問をいたしました秋葉ダムですか、その関係について、工事その他について河川管理の上から責任は十二分に尽くされているのだ、今度の災害についても工事の施行の上での監督は一点非の打ちどころがなかったのだ、こういう十二分な説明書を先ほど要求した資料と一緒に御提出をいただきたい。
  106. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 専用ダムとしてこのたびの災害関係しましていろいろ問題があった点は、また新たな施策としての水資源開発の問題と若干異なった面を持っておるわけでありまして、電源開発その他これを直接に目的とするようないわゆる水資源、河川の工作物ですね、これについて過去においてどういうふうな建設をし、また、それが洪水時にどういうふうな影響があったか、この点については別途の角度から私どもも十分に検討をいたさなければならない点でありまして、先ほども申し上げましたように、私どもこれについてはあらゆる角度から十分な検討が必要でございまして、たとえて申しますと、洪水時においてその電源閣発ダムが放流等のいろんな作業をします場合には、そのダムだけではなくして、上流部におけるダムとの相互関係、あるいは下流部に、もしこれを放流します場合には施設をしなければならぬ。その施設の費用負担の問題、あるいはそれを技術的にも十分な工事の、技術的に施設の操作をしなければならない。いろいろな角度からこの河川工作物が完全に施設としての運営がうまく行なわれるというようないろいろなことが考えられなきゃならない。そういう費用負担の問題もありますし、また現在の施設がだいぶ前に作られたものもありますし、土砂の問題等もあるかと思います。いろいろな角度から検討しなければならない点がございますので、今すぐこうだというような十分な資料が提出できるかどうかですが、私どもといたしましては、私どもができる範囲において検討いたしました資料は提出いたしたいというように考えておるわけでございます。
  107. 鍋島直紹

    ○理事(鍋島直紹君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  108. 鍋島直紹

    ○理事(鍋島直紹君) 速記を起こして。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十二分散会