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1961-06-06 第38回国会 参議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月六日(火曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   委員異動 六月二日委員永末英一辞任につき、 その補欠として赤松常子君を議長にお いて指名した。 六月三日委員佐野廣辞任につき、そ の補欠として大野木秀次郎君を議長に おいて指名した。 本日委員阿部竹松辞任につき、その 補欠として戸叶武君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大竹平八郎君    理事            上林 忠次君            成瀬 幡治君            天田 勝正君            天坊 裕彦君    委員            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            梶原 茂嘉君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            堀  末治君            前田佳都男君            山本 米治君            荒木正三郎君            大矢  正君            木村禧八郎君            戸叶  武君            野溝  勝君   政府委員    大蔵政務次官  田中 茂穂君    大蔵省主計局次    長       佐藤 一郎君    大蔵省主計局法    規課長     上林 英男君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    通商産業省重工    業局長     佐橋  滋君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省管財局国    有財産第一課長 三浦 道義君    大蔵省管財局国    有財産第二課長 細川 俊三君    大蔵省印刷局長    心得      小島要太郎君    大蔵省印刷局小    田原工場長   栗田 茂晴君    食糧庁経理部長 家治 清一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査  (印刷事業に関する件)  (食糧管理特別会計に関する件) ○機械類賦払信用保険特別会計法案  (内閣提出衆議院送付) ○税理士法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。六月三日付をもって委員佐野廣君が辞任され、その補欠として大野木秀次郎君が委員に選任されました。六月六日付をもって阿部竹松君が辞任され、その補欠として戸叶武君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 次に、印刷事業に関する件を議題にいたします。  質疑のある方は順次御発言願います。  なお、政府側よりの出席田中大蔵政務次官小島印刷局長心得、栗田小田原印刷工場長三浦国有財産第一課長細川国有財産第二課長でございます。
  4. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は大蔵省印刷行政について質問いたしたいのでありますが、最近、われわれから見まして、大蔵省印刷行政について非常に遺憾の点があるように見受けられるわけですね。いろいろ問題はあるのですが、そのうちで、われわれ気がついた点だけでも、おもなる問題が三つあると思うのです。この三つの点について、これら御質問をしていきたいと思います。その一つ印刷局土地売却の問題です。第二が共済組合の問題、第三が職員処分の問題、この三点について質問いたしたいと思うのです。  まず、土地売却の問題ですが、実は先日、印刷局職員処分の問題について、これは五月二十四日ですか、職員人たちが市ケ谷の工場処分の問題について抗議に行かれたわけです。そのとき警察官を二百人ぐらい導入しまして、かなりの険悪の空気がみなぎったので、混乱をしたり、あるいはけがをしたり、事態は悪化してはいけないというので、社会党の議員衆議院二名、参議院は二名参りまして、事態を収拾するためにわれわれ行ったのですが、そのとき、局長さんがいないわけなんです。局長さんは原局長です。どうして警察官を導入して非常な険悪事態になるか、ややもすれば流血の惨が起こるかもしれない、これはわれわれ極力避けなければいけない。そこで責任者局長さんに会いたいと言ったが、局長さんはいないと言ったのですね。不在だというのです。どうして不在かと聞きましたどころが、局長さんは土地売却調印式に行かれた、こう言われた。まず、その点から伺っておきたいのです。  きょうは小島さんですか、業務部長さんが見えておるようでありますが、小島さんは局長代理をされておるようでありますが、小島さん、その点局長代理として、当日、原局長不在の際、まあ責任者としてわれわれ国会議員に会われたわけですが、この点について、原局長土地売却調印に行かれて不在であったことが事実であるのかどうか、その点から伺いたいんです。
  5. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) それは事実でございます。
  6. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その土地売却と申しますと、印刷局はどういう土地をどこに売却されたのか、その事実を明らかにしていただきたいと思います。
  7. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 処分いたしました土地は、印刷局大手町に所有しておりました土地でございます。それから、当日処分いたしましたのは、国際電電会社でございます。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと聞き取れなかったのですが、もう一度……。
  9. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 国際電信電話株式会社でございます。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 印刷局売却された土地はそれだけでございますか。
  11. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) あの大手町におきましては、そのほかに、一連土地でございますが、区分いたしまして、その他にも数個に分割いたしまして、処分いたしております。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 印刷局は前に大手町にあったんですね。その土地売却されているんですが、この売却坪数ですね、全体の坪数、それをどこに売られたか、それを幾らで売られたか、この点全部明らかにしていただきたい。なるべく詳細にですね。
  13. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 輸出入銀行開発銀行、これが一つの売り払い先でございまして、これに対しまして坪数一千七十五坪——端数は省略いたします。売り払いの単価を八十万円で処分いたしております。これはことしの五月初めに処分いたしております。それから、日本経済新聞社に対しまして、これは坪数千四百十六坪でございまして、坪当たり七十四万円で処分しております。これは四月末でございます。それから、先ほど申し上げました国際電電に対しまして、これは四百七十八坪で、坪当たり単価六十万円、これを五月の二十四日に処分いたしております。売り払い処分いたしましたのはそれだけでございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大手町のこの前の土地は全体で何坪ぐらいあるのですか。
  15. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) そこの土地は、全体の坪数にいたしまして八千二百二十三坪でございます。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、日本開発銀行輸出入銀行には千七十五坪ですか、売却は。
  17. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 輸出入銀行開発銀行につきましては、千七十五坪でございます。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、まだ残りがあるわけですね。これはどういうふうに処理される御方針なんですか。
  19. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 以上処分いたしましたもののほかに、これは国民金融公庫その他四つ、合わせまして五つの公庫に対しまして貸付を行なっております。これが一千八百十八坪でございます。その残余部分につきましては、処分方針はいまだ未定でございます。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 未定といいますと、これはただそうやってほうっておくのですか。
  21. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) これはその印刷局のいろいろな歳出上の今後の動向にかかってくる問題でございますが、必要に応じまして今後売り払う、処分をすることが予想されます。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、まだ必要に応じて、まあ歳出上の状況に応じ売り払いする予定であるというお話でしたが、そこでお伺いしたいのは、まあわかり切ったことですけれども印刷局がこういう土地を、国有財産を払い下げる場合、その法的根拠をどこに求めて、どういう法的根拠に基づいてこれを払い下げたり売り渡しておるわけですか。
  23. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 予算決算会計令に基づきまして行なっております。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その通りだと思います。その前に、やはり国有財産処分する場合には財政法規定があるわけですね。財政法第九条の規定、これはまあ御承知と思うのですがね。規定というのは御承知でしょう。
  25. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 存じております。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その内容はどういうふうな内容になっているか、御存じですか。
  27. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 財政法第九条は、財産管理処分原則がうたってあるものと承知いたしております。「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで伺いたいのですが、この財政法九条では、「適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」となっておりますね。そこで、先ほど日本経済新聞日本開発銀行輸出入銀行国際電電売却され、そうして今後またさらに、歳出上の状況に応じてはまた売り払うかもしれないと、こういうことでございますが、もしその場合、売却価格が適正を欠いていた場合は、これは不当な処分だということになる。  そこで、さらに伺いたいのですが、これは公入札によったものじゃないですね。さっきの予算決算及び会計令に基づいたという、その大体九十六条に基づいておやりになったのですね。これは随意契約になるわけですね。で、原則としては国に損を欠けないように、適正な対価でこれを売却しなければならないのですが、なるべく有利にこれは売却した方がいいことは明白だと思うのです。そこで、売却する場合には、御承知のように、公入札指名入札随意契約とあるわけです。これはみんな随意契約によって売却されたと思うのですが、そうですか。
  29. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) さようでございます。随意契約によって処分いたしました。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これも公入札の場合、いろいろまた不便な場合があるのでしょうが、少なくとも指名入札はどうしてとらなかったのです。
  31. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 今般処分いたしましたものにつきましては、予決令第九十六条にいわれる随契適格というふうに、その中に書いてあるそのものずばりのもの及び随契適格と考えられるものでございますので、随契によって処分いたしました次第でございます。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 おそらくその御答弁は、九十六条の十一号によれば、その十一号において、電電公社とか、それから日本輸出入銀行日本開発銀行、これは随意契約によることができるということになっておるわけです。ところで、日本経済新聞の場合はどの規定によっておやりになったか。
  33. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 先ほどのお話日本輸出入銀行日本開発銀行等につきましては、仰せの通り第九十六条の第十一号の規定によっております。日本経済新聞につきましては、普通財産を総括する大蔵大臣が、予決令百二条本文の規定によりまして、国庫大臣との包括協議をして成立したうちで、放送事業予決令九十六条の二十一号の公益事業に該当すると認められておりますので、従いまして、内外政治経済ニュースの報道を目途といたしました新聞事業放送事業と同様の公衆性があると認められますので、予決令第九十六条第二十一号による公衆事業に該当すると認められたものでございます。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 新聞事業公益性が強いのですけれども、営利を目的とする法人であることは明らかだと思うのですね。そういう場合、もし競合関係になったときどうするのですか。日本経済新聞もほしい、ところが、あるいはほかのAという新聞社、Bという新聞社がこれがほしいという場合、随契によるよりは指名入札をやった方が公正じゃないですか。同じ二十一号を適用するにしても、じゃ、何か特殊の関係がある場合、そこで随意契約にして売却してしまうという場合——現にわれわれに聞くところによると、ほかの新聞社が非常にほしがっておったのを、日本経済新聞社の社長ですか実権者ですか、そういう人が国家公安委員ですか、そういうような地位にある人、そういう人が——どうもほかの政党人がまた介入して、どうも日本経済新聞に払い下げて売ったのじゃないかというような、いろんな憶測が飛んでるわけです。どこまで事実かわかりません。しかし、そういう説があるわけですね。何か非常に不明朗な気がするのです。そういう点について、どういうわけで日本経済新聞にこれを随意契約によって売却されたのか、その経緯を。そういう世上いろいろうわさがあるのです。そういううわさがある以上、あなたの方としても非常に不明朗な点でありますから明らかにする必要があると思うのですが、その経緯をお伺いします。
  35. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 私ども、この大手町土地処分する問題につきましては、昨年におきまして検討いたしましたものでございます。この輸開銀に対する売り払い、あるいは日本経済新聞に対する売り払い、それらは一連のものといたしまして、その検討をいたしました。その当時までに希望の出てきておりましたものにつきまして、検討いたしましたわけでございます。昨年の夏のことでございます。その当時に方針を決定いたしましたわけでございます。しかる後、その後におきまして、他の新聞社あるいは放送事業等からの希望の申し出も聞いたのでございます。これらにつきましては、なおその希望大手町土地という希望でございますが、大手町土地残余部分の処理もいずれ検討することになると思いますが、その際に慎重に検討する方針をとっております。   〔委員長退席理事上林忠次君着席〕
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この九十六条の規定は「随意契約によることができる。」となっているので、随意契約にしなくちゃならないということじゃないのですね。随意契約やってもいいということなんです。しなくちゃならないということじゃないのです。公正を期するためには、少なくとも指名入札ぐらいにしたらどうかと思うのです。で、日本経済新聞について、先に申し入れがあったから、ほかの新聞社があとからというのですけれども指名入札にすれば公開されますから、わかると思うのです。そういうことが周知されていなくて、随意契約でやるというと、何かそこに不明朗な疑念をわれわれ抱かざるを得ない。何かそこに高度な政治的なやみ取引でもあったのじゃないかというようなうわさが飛んでいるのですが、そういうことを私はどうも一がいに否定できないじゃないかという感じがするのですけれども、これはできる限りであって、どうしてもしなければならぬわけじゃないのですよ。ですから、公正を期するためには、やっぱり指名入札にすべきじゃなかったかと思うのですけれども、その点いかがですか。
  37. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) このような大地の処分の問題は、単に印刷局だけの問題と申しますよりは、大蔵省といたしましての非常に大きな問題であると考えましたので、本省とも慎重に協議いたしまして、協議と申しますよりも相談いたしまして、再三の省議を経まして、省議決定をもってこの方針をきめたものでございます。もとより、これは行政当局としてそのような判定を下したものでございますが、さっき申しました通り日経随契適格性を有するということと、それから日経の現況と、それは従来の事業所の散在、社屋老朽等諸般実情がございますが、それぞれの諸点から緊急性を認めまして、省議決定をもちまして日経処分することにきまったわけでございます。なお、その当時の希望者の中に、やはり随契という点から申しまして、有力なものといたしまして、日本電信電話公社がございましたけれども、これは日本電信電話公社土地必要性の問題は別途に解決される問題と判断されましたので、除外をしたものでございます。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その今のお話ですと、日本経済新聞社屋老朽その他を勘案して、緊急性を持つと認められたということですけれども、そういうことが売却の普通の条件になっておりますか。
  39. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 条件と申しますか、緊急性を認める一つ要素であったという次第でございます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもおかしいと思うのですがね。まあその次に移りますが、この売却単価ですね、これはどういうふうにして決定されたのですか。
  41. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) これは、私どもはあの土地評価にあたりましては、専門家評価を求めたわけでございます。代表的な信託銀行評価及び日本不動産研究所評価を徴しまして、これに基づいて処分価格をきめました次第でございます。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省にはそういう不動産を査定する係があると思うのですね。その業者に頼んだのですか、民間の業者に頼んで査定してもらったのですか。
  43. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) さようでございます。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大蔵省査定官がおるわけですね。査定官意見も徴されたのですか。
  45. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) もとより、それを徴しましたわけでございます。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで、これは適正とお考えですか。
  47. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 私どもはこの評価が適正であるとは信じております。なお、国の評価としましては、通常財務局が行なうこととなっておりますが、本件の土地につきましては、関東財務局に照会いたしましたところ、本土地評価は、都心地のいわゆるビル街であるので、普通財産評価基準によることが困難であるとの回答がございました。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどういう意味ですか、もう少し具体的に説明して下さい。
  49. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 国の評価といたしまして、私先ほど申しましたことでは足りませんので、補足申し上げます。  評価をいたします方法といたしましては、大蔵省所管国有財産取扱規程の第四十六条に規定がございまして、それにきめられておりますところによりますならば、第一が相続税課税標準価格でございます。第二が固定資産税課税標準価格でございます。第三が信託銀行不動産部評価等及び財務局長評価でございます。なお、そのほかに、第四といたしまして売買実例を参酌いたしまする方法がございます。それから、第五といたしましては精通者意見を徴する。これらの当該物件の品位、立地条件等を総合いたしまして、公平かつ妥当な価格を算出するということが、この定めている規定でございます。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この四十六条の定めによって、この何項によってやったのですか。
  51. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) ただいま申しましたところの第三番目のものによりましたわけでございます。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に、立地条件、公平妥当なる価格ということになっているのですが、やはり売買実例というものも、これは参考にしなきゃならぬと思うのですが、われわれが聞くところでは、日本経済新聞が七十余万円ですか、国際電電が六十万円、それから日本輸出入開発銀行が八十万円。不当に安いじゃないかといわれておるのですね。大体、今までこの三つとも値段が違っておりますが、この違っておるのはどういう意味か、これも伺いたいのですが、少なくとも百万円以上はすると思う。それで、売買実例がございましたら、伺いたいと思います。
  53. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) この評価が安いのじゃないかというお話でございますが、私どもは決して安いものではない、これが適正な処分価格であると信じております。お尋ねの点の三つ坪当たり単価が違っておりますのは、これはその土地、その土地実情が違っておるわけでありまして、それに応じまして評価をいたしました総合単価でございます。  それから、売買実例を私ども知りたいと思いまして探したのでございますが、最近の売買実例が、この近辺においてはございません。
  54. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと、関連して。先ほど答弁を聞いておりますと、四十六条のうちで三項だけでやったと、こうおっしゃるのですが、四項、五項と上がっておりまして、そういうものを適正な判断でやるというのが規定だと私は思っておりますが、違いますか。
  55. 細川俊三

    説明員細川俊三君) ただいまのお話でございまして、実は私たち大蔵省でございますが、各財務局で、いろいろ普通財産の売り払いの基準というものを本省できめまして、それでやっております実例から少し申し上げますと、今小島局長のお答えの少し補足になるかと思いますが、私たち普通財産評価いたしますときには、いわゆる相続税課税標準価格もととして算定しました価格一つ、それから固定資産税課税標準価格もととして算定いたしました価格一つ、それから売買実例が発見できれば売買実例もととした価格一つ、これらの要素を平均しまして一つ要素としております。それから、先ほど印刷局長の方からお話がありましたように、精通者意見というものを片一方で聞いております。これは非常に代表的な信託銀行不動産研究所というものから精通者意見として求めた、こういうお話がございましたけれども精通者意見を求めましたその精通者意見価格というもの、二者あるいは三者、そういうところの平均価格を持ってきまして、先ほど申し上げました固定資産税相続税売買実例、これらのものを平均して出しました平均価格をさらに平均しまして、まあ妥当な価格を求める、こういうふうな方法をとっているわけです。先ほど小島局長お話しされましたの、やはりそういう過程をもってやられたのじゃないか、こう思っております。
  56. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それはわかりますですが、たとえば固定資産税は、御承知のように、三年に一ぺんということなんです。それに対して大蔵省は毎年通達を出しておりますが、この場合やられたのは、今年度いつ売却されたのか日にちも知りませんけれども、そのできた年度のときの固定資産税評価基準を基とされておるのか。たとえばまだ大蔵省は持ち出していない、従ってきょう払い下げるというのは、去年のを基準にした——場所もどこだか私はわかりませんけれども土地というのは、御承知のように、ぐんぐんウナギ登りに上がっているのですよ。だから、どこでも、固定資産税を三年に一ぺんやるということで、固定資産税を一挙に倍にすることはできない。しかし、実情における売買は、発展するところは二倍も三倍もになっておるというところがあるんですよ。従って、固定資産税評価をする場合に、各市町村では非常に難儀をしておるというのが実情なんです。しかし、これは地方行政委員会で取り扱う仕事であって、どうこう言うことはできませんけれども、少なくとも固定資産税評価基準というものがあるところもありますが、動いているところは非常に差があると思うのです。そういうような点については、どういうふうに判断しておられるのか。  従って、私どもが一番聞きたいのは、常識的に、その辺の土地売買をされるときには、木村委員も、百万円くらいじゃないかというような話があったが、実際の売買価格というものは百万円よりもう少し高いと思う。国有財産の売り価格は、普通市価の六割ぐらいではないでしょうか。買ってから横に流すとき、何倍かに上がっている。一番いい金もうけだということは、私が言わなくてもわかっておる。しかし、普通の人にはなかなか払い下げない、何かのコネクションがなければ払い下げないというのが、私は実情だと思う。そういうようなことに対して、どういうふうにこれを売買実情に合わしていかなければならぬか、ここで私はなかなか苦心しておいでになると思う。しかし、それはうまくいっていないのじゃないか。実際は安く売られておる、六掛になっているじゃないかといわれておることに対して、あなたたちほんとうにどう思っておるのですか。これは適正だとほんとうにお思いになりますか。
  57. 細川俊三

    説明員細川俊三君) ただいまお話しになりました点につきましてお答え申し上げます。実は固定資産税の台帳価格、あれは大体私たち今まで全国の例を取りましたところ、固定資産税の台帳価格は、時価にしまして約三分の一、四分の一、五分の一、これくらいの程度をとっております。それで、もしも固定資産税台帳価格がございますと、固定資産税台帳価格を基として時価をまた三倍、四倍、五倍とはね返らせて市価を求めます。それで、今お話がございました、固定資産税価格はその前にきまっているじゃないかというお話でございますが、一つ新しい年度の基準が出ませんと、前年度のやつを採用しなければならぬ。そういう場合に、不動産研究所のいわゆる土地価格指数の上がり方を見まして、そうしてそれにかけるというふうな現状であります。それから、固定資産税の台帳価格がもしもございましたときには、そういう価格を基として、時価はどのくらいが適当であろうかということは、毎年市町村に照会いたしまして、大体三倍、四倍、五倍、こういうような率を採用しなさいというふうなことで、回答を得まして、それに基づいて先ほど申し上げました相続税課税標準価格を基とするか、固定資産税標準価格を基とするか、売買実例を基とするか、これらの平均価格を求めますときの一応その算定資料といたしております。
  58. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 関連だから、あまり言わないけれども、私が言いたいのは、実際問題として、とにかく国有財産を買ったらもうかるというのが常識だということです。あなたの方はそれは適正だと、こうおっしゃるから、私たちはそうじゃないのじゃないかと、そう言いたくなる。だから、そのところを、はなはだそれは困難な問題だということは私はよくわかります。わかりますが、いやいや、これは高く売ったのだとは言えないかもしれない。言ったら、何んだということになるから、だから適正だとおっしゃるかもしれないけれども、それならそれに関連して、その土地でたとえばあれはいつだったですか、四十八・五倍か何かに一ぺんなっていますね。そして、それから年々修正をされておると思いますが、一体どれくらいに、固定資産税の標準価格指数、それをどのくらいに修正して、何倍にしてどうやったのだということについて、もしここにあるなら、一つ資料を——お答えを願えなければ、一つ後刻資料としてお出しを願いたいと思います。
  59. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) ただいまの点につきましては、印刷局のこの大手町の件につきましては、相続税課税標準価格固定資産税評価価格も、どちらもございませんので、これを用いておりません。
  60. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 用いていないという話ですから、それなら、この土地はどういう角度で算定の基準をされたかということについての具体的な説明を願いたいのですが、しかし、ここに今資料を持っておらぬというのなら、私の方も無理かと思いますから、後ほどそういうものについての資料を提出していただきたいと思います。  私は、先ほど大蔵省の方が関係の方で御答弁願ったように、三つ四つの項目を参酌しておやりになるのがあたりまえだと思います。それを三項だけでやったのだとおっしゃるなら、その点に対して疑義がありますから。
  61. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 私、先ほど申し上げました通り、ここの土地につきましては、それがございませんので、用いていないというわけでございます。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 不動産研究所に鑑定してもらって、それできめた。ですから、その資料を出していただきたい。  それと、さっき大蔵省側の答弁ですと、五つの四十六条の項目、それぞれを勘案してきめる。ところが、さっきの業務局長ですと、三項ですね、三項にのみわたっていると言っておる。ですから、大蔵省側とよく打ち合わせしてやっておるとも思えないのですね。大蔵省の方の意見もよく徴し、また関東財務局意見もこれはよく徴すべきですよ、その点。適正だ適正だ。——だれも不適正だと言う人はいないのですよ。不適正だと言えば、これは財政法にも違反しますから。それはその当事者としては適正だと言うのでしょう。しかし、これは客観的に見て不当であるという場合には、これは国にそれだけ損失も与えますし、それから特に営利会社、新聞社だって営利会社です。配当もしております。そうしてまた、あの辺はだれが見たって一等地ですよ。だれが見たって、大手町の以前の印刷局のあったあの場所は。それがですね、七十四万とか六十万、八十万、常識的に考えてそんなに安いということは考えられない。常識的にいってですよ。よくその資料を、ただ適正だと言われたんじゃわかりません。ですから、不動産研究所に依頼してやったというなら、それを出してもらいたい。  ところが、不動産研究所のそれだけではいけないわけであって、さっき五項目ですね、四十六条五項目に従って、それを勘案してきめなければいけない。ところが、何か不動産研究所の鑑定に待ってきめたようなことを言っているのですけれども、その点明らかになりませんから、具体的に資料を、不動産研究所はこういうデータによってこういうような結論になっているという資料を、はっきり出していただきたい。今後まだ処分されるように聞いているんでありますから、今後の処分にとっても、これは国に不当な損害を与えるということは、われわれとしてもこれは黙過しがたいのですから、具体的な資料を一つお出し願いたいと思うんです。
  63. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) ただいまのお話のうちで、まず最初の部分でございますが、この本省の管財局との協議が十分でないかのごとくお話しになりました点でございますが、これは最初にも申しました通り本省におきまして省議をもって十分に検討しておりますので、協議は十分とられております。ただ、私の御説明が不十分であったかと存じます。そのために管財局との連絡が不十分というような感をやや呈したかと思うのでございますが、十分に協議の上きめたものでございますので、釈明させていただきたいと思います。  資料の点につきましては、所定の手続に基づきまして行なうことにいたしたいと存じます。
  64. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと、それに関連して。国有財産であったから固定資産税評価基準がない、こういうふうに聞こえるんですが、ないないということはどういうことなんですか。
  65. 細川俊三

    説明員細川俊三君) 先ほどの説明がちょっと不足だったかと思いますので、補足説明させていただきます。国有財産の全国にいろいろございます普通財産処分いたします場合の評価の方式は、先ほど私が申し上げましたいろいろな要素によりまして求めたわけでございます。それから、先ほど小島局長の方から答えましたように、財務局に対してそれじゃ意見はどうかというようなお求めがあったのでございます。財務局意見はどうかということになりますと、今申し上げましたような方法によって、一般の普通財産でございますれば評価するという方法でやっておるんでございますが、先ほど小島局長から申し上げましたように、あすこは東京のどまん中でございます。ほんとうビル街でございます。従いまして、いろいろな要素で検討しました結果、まあ全国の津々浦々にございます国有財産の、一般的な国有財産評価基準というものをきめておりますが、それで評価するのは妥当でないというようなことで、私の方ではそういう解答を関東財務局から印刷局あてに出したわけであります。それで、印刷局では、今のお話をまとめて、精通者意見を聞き、採用して出された、こういうふうに聞いております。
  66. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと、あのね、心得さんの方に伺うんですがね、第三項の資料がないと、こういうお話なんですから、それはどういうことなんですかと、こういうことを聞きたいんです。わからないんです。固定資産税なりあるいは相続税の課税基準になるものがないんですということは、納得がいかない。
  67. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 私ども調べましたところ、あそこの土地につきましては、相続税課税標準価格固定資産税課税標準価格もありませんでしたので、そのように申し上げたわけでございます。
  68. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も、ないということはわかったのですよ。そこで、なぜないか、こう言っておるのですよ。それを、理由を聞くのに、ありませんというだけの答弁じゃなくて、なぜないのか、こう言っておるのです。国有財産で、そんなものがないなんというようなばかな話はないですよ。
  69. 細川俊三

    説明員細川俊三君) 今お話ございましたことに対する御説明になるかと思いますが、財務局でいろいろやりますときに、固定資産税の課税標準価格の基になるいわゆる路線価あるいは賃貸価等いろいろございますが、路線価がなければ、いろいろとかりの路線価を設定するというふうなことでやりますが、先ほど申し上げましたように、私たちの方で、いろいろと財務局意見を求められまして、算定しましてところ、都内の目抜きのところであり、ビル街であるということで、きわめて評価が困難であるということで、私の方の意見は出さなかったわけでございます。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっきの成瀬君の、なぜ固定資産税価格がないかということ、これにまだ答えていないのですけれども、さらに今、関東財務局答弁では、さっき業務部長の言われたのと大へん違うのですよ。そのビル街であり、東京のどまん中である、そういうところであるから、四十六条の規定のみによってちょっと判定しがたいという結論なんでしょう。そうなんですね。ですから、それはそういう一流の土地だから、私からいえば、結果論になるかもしれませんが、おそらく日経なり、国際電電なり、日本開発銀行輸出入銀行に払い下げたものよりもはるかに高かるべきである、そういう結論じゃないかと思うのです、私は。一般の、この四十六条の普通の国有財産の払い下げの規定では律しられないということなんですよ、そういう目抜きの……。そういうことじゃないですか。
  71. 細川俊三

    説明員細川俊三君) 今、木村先生のお尋ねでございますが、一つのものの考え方と申しますか、それをちょっと申し上げたいのですが、実は私どもの方で考えております評価基準の方式では、いわゆる村——村落地区ではどうするか、あるいは住宅地区ではどうするか、商業地区ではどうするか、工業地区ではどうするか、いろいろな地区の区別がございます。   〔理事上林忠次君退席、委員長着   席〕 それに基づきまして、全国にあります国有財産のその所在する場所に応じましていろいろと評価をしておりますが、今、木村先生からお話がございました通り、今の話になっております印刷局大手町は、東京のどまん中の、しかもビル街でございます。普通の商業地区というふうな観点から見ますと、先ほども、私、横から拝聴しておりましたのですが、表通りと、それから奥まれば奥まるほどやはり地価が下がる。普通の商業地区でございますと、表通りと奥の方を比べましたときに、奥まれば奥まるほど、いわゆる価格が下がってくる、こういうことで一つの考え方がございますけれども、しかしビル街でははたしてどういうふうにしたらいいかというふうなことになりますと、一般の、通常でございますと、いわゆる路線価方式というものを求めまして、奥地になりますほど非常に下がった形が出ますが、ビル街になったときに、ビル街の奥地をどう見るかというふうなことになりますと、私たち評価基準ではそういうふうなところでは、ビル街については、実はまだ定めておりません。これに対して財務局にわざわざ印刷局から問い合わせがあったのですが、財務局では、これに対して判断を下すことは適当でないということでお断わりをしたわけでございます。  従いまして、財務局では、私の聞いておりますところでは、不動産研究所、それから代表的な信託銀行その他の精通したところによる価格でやっております。従いまして、木村先生からお話がありましたような、財務局の、適当でないという要素は、もっと高くなるからではないかというお話でございますが、実はそういうわけではございませんで、非常に表通りはいい、裏通りは極端にいわゆる商業地区になりますと下がります。そういうことをビル街に採用していいかどうかという問題がございまして、私たちはそういうことで評価基準を定めておらないということでお断わりした、そういうことでございます。
  72. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、くどいようですけれども、なぜ……。お聞きすればするほど——東京のまん中ということはわかりましたが、私はほんとうのところ、大手町というのはわかりませんが、そういう大事な、少なくとも国の財産に、少なくとも算定基準になるところの土地に対する価格基準が全然なかったということは、どうにも納得いかないのです。そこで、どうしてそういうものがなかったかという理由をお知らせ願わなければならぬ。しかし、まあどうも課長さんじゃ、どうもいかぬ。昔からなかったのだから、なしできた。何か戸籍のない人があったようなものなんですよ。しかも、売った値が、そんなに超一流の場所だったものが、少なくとも百万円以下の価格というのは、どうもおかしいと思うのです。
  73. 細川俊三

    説明員細川俊三君) 今お話のありましたことでございますが、実は普通財産の売り払い評価基準というものを、実は国会でも決算委員会あるいは会計検査院からいろいろな指摘もございますものですから、国有財産普通財産の売り払い評価基準を作らなければならぬということになりまして、国有財産中央審議会に諮りまして、そこで専門部会を作りまして非常に長い間にわたって審議されまして、三十四年の八月二十四日に、中央審議会の議を経まして、全国の財務局にこういう売り払い評価基準でやれるということを流しまして、従いまして、ここに今、先ほど申し上げましたような村落地区とか、商業地区とか、工業地区とか、いろいろなことになります評価基準を、すべてこの評価基準で十分審議を尽くされたものでございますから、それに当てはまる条項がございますのですが、今、先生からお話ございましたようなビル街になりますと、それに当てはまる条項ということが予想されませんでしたので、私たちの方としてはそれに対しては、どうもこのような基準によって払い下げるということは妥当でないので、財務局から印刷局の方にお断わりをしたわけでございます。  今、先生からちょうど御指摘ございましたように、東京のどまん中のビル街評価基準がないのはおかしいじゃないかということについてでございますが、今まで全国のいろいろな情勢を調べまして、五つぐらいの地区に分類したところに入っておらないというようなことになったのでございます。
  74. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常なあそこは希少価値のあるところだと思うのですが、それについて今までの御答弁ではどうも納得いかないから、不動産研究所に調べてもらったということなんですが、その資料を一つ出していただきたい。  それから、ついでに伺っておきますが、国民金融公庫その他五つの公庫に土地を貸しているのですか。貸しているとすれば、賃貸料はどのくらいなんですか。
  75. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 申し上げます。その貸付料が、月額にいたしまして、端数をまるくいたしまして、五百十五万五千六百円でございます。
  76. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは坪当たりどのくらいなんですか。
  77. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 坪数は千八百十八坪でございますので、従いまして、その坪数で先ほどの月額を割りますと、約坪当たり月額三千円ばかりでございます。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その賃貸料はどういう基準で計算するのですか。
  79. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 申し上げます。その賃貸料を計算いたします前に、その土地評価いたします。評価した額は、これは坪当たり単価は六十三万円になっております。そこで、その坪当たり単価で計算いたしましたところの土地評価価格に対しまして、賃貸料の計算方法といたしましては、これは月額を計算するわけでございますが、百分の四をかけまして、その上に百分の一・四、これは市町村交付金の部分が百分の一・四でございますから、従いまして、百分の五・四をかけて賃貸料を出しております。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 六十三万円という評価は、どういうふうに計算したのですか。
  81. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) これは最初申し上げたかと存じますが、輸出入銀行開発銀行、それから日経等に対します売り払い処分土地評価と時期を同じくして、かつ同じ方法評価いたしました。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 国民金融公庫は、いつから貸しているのですか。
  83. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) ことしの三月からでございます。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、要するに単価不動産研究所の調査に依頼して、その結論によってきめた、大体結論としてはそういうことですね。
  85. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 日本不動産研究所及び代表的な信託銀行数社を使っておりまして、それの総平均をとっております。
  86. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その資料は出していただけますね。
  87. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 資料の提出につきましては、所定の手続に基づくことにいたしたいと存じます。
  88. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 委員長から要望いたします。
  89. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 先ほど来御要望がございました木村委員からの資料のお求めに対しましては、先ほど来お答えいたしておりますように、不動産研究所、それから権威ある信託会社数社の調査いたしました数字を総合的に検討いたしました案を持っておりますので、それをできるだけ早い機会に提出いたしたいと思います。
  90. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 関連。印刷局の、今のは土地の問題のようでありますが、印刷局自体の事業についてちょっとお尋ねをいたしたい。そうして資料をいただきたいと思います。それは、終戦後、印刷物が非常になかった時分に、紙がなかった時分に、政府では紙が入るから、従って、印刷局がいろいろな出版をやった。相当もうかった。ところが、今日は出版界は非常に活気に満ちている。はんらんをしているほどです。そこで、印刷局のいろいろ有益な、われわれ非常な参考になるようなものを出していただくことは感謝いたしておりますが、しかし、売れぬようなものも出ていると思います。従って、これらの点について、印刷局の経営、お上のやることというのは、なかなか、終戦直後のあの混乱時期においては、だれもかれも紙がなかったからほしかったが、今はセレクトされておりますから、そうではなかろうと思います。その点について一体どんな状況であるかということを簡単にお知らせ願って、そうしていろいろ印刷局の発行しているもの、また発行部数、さらに売れ行き、返送している、そういうものを、今みたいに、おそらく払い下げしてどんどんぞっき本にしてしまうのだろうと思うのですが、そういうような経営上の点について、詳細一つ資料をちょうだいいたしたいと、かように存じます。
  91. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) いろいろ大谷委員から御要望がございましたが、現在の印刷局内容の実態がおわかりになるための参考になる資料を御提出いたします。
  92. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの土地売却の問題については、まだ釈然といたしませんが、資料をいただいておいて、また再質問を近いうちにいたしたいと思います。どうもわれわれの感じでは、われわれもまたいろいろ専門家に聞いてみます。常識として、あそこは百万以下であるということは、どうしてもわれわれとしては、常識から見て、大手町のあそこのどまん中ですから、私はどうも不当に安いのではないか。特に日本経済新聞に対する払い下げの問題については、どうしても割り切れない面がありますので、これはまた機会を得て、資料をいただいてから、また質問いたします。  次に、印刷行政についての第二の質問なんですが、それは印刷局共済組合に関する問題なんですが、御承知のように、共済組合の事業計画とか予算は新年度前にきめるべきである。それにもかかわらず、印刷局共済組合は四月二十四日に至ってようやく経営審議会に提出するという、非常な業務に遅延を来たしているのですが、どうしてこんなにおくれてしまったのか、その点まず第一に。どうしてそんなにおくれてしまったのですか。
  93. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) これにつきましては、私どももとよりできるだけ早くやりたいと思っておったのでございますが、その準備に思ったよりもよけい日数がかかりまして、そのためにやむを得ずおそくなったものでございます。
  94. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 やむを得ずというのは、どういう意味ですか。
  95. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 事務的な準備にひまどりましたので、早く開くことができなかったので、やむを得ずおそくなったのでございます。
  96. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この共済の運営規則は、これは一昨年改正の議が持ち上がって、それから昨年五月には運営審議会に提出する、そういうふうに言明しておりましたが、さらにまた一年おくれているわけです。これは実際問題として、共済の付加給付の実施が実際おくれるわけですね。ですから、それは組合員が当然受けるべき給付がその期間だけ受けられなくなるということであって、組合員に対してこれは非常な損害を与えるわけです。そういう非常に重要な問題だと思うのです。そういうことは、印刷行政をやっていく場合に、これは非常な印刷行政に支障を来たすと思うのです、これは従業員に対して心理的にも、経済的にも。これはどうしてこんなにおくれてしまったのか、この点、私は非常に重要な問題じゃないか、印刷行政をやっていく場合にですよ。これはだれの責任なんです。
  97. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) おくれましたのが、事務的な準備にひまどりましたと先ほど申し上げましたが、そのおもなものといたしましては、この共済組合で保養所を買おうということを考えておりまして、これにつきましては、いろいろとその予備的な準備が進められておったのでありますが、ただ、これはその土地の地形の問題、地盤の安全性と物理的な調査等を慎重にやっておきませんと、あとで土地の崩壊とかいうような困った問題が生ずるおそれがありはせぬか、そういうような点に気がつきましたので、それでそれらの検討を始めた。また、その土地に建て増しを行ないたいところでありますが、その建て増しがその地形等から見まして建築技術的に可能であるかどうか、それらの点技術的に検討しなければならない。そういうようなことに気がつきましたので、それの検討を始めまして、それによりまして遺憾ながら思わぬ日数を費やしたわけでございます。  なお、付加給付の点につきましては、これは先般来、私どもといたしましても、何とか、早くやることができなかったことの補いといたしまして、さかのぼってこれを実施したいという気持のもとに、本省と相談いたしまして、すでに大臣の御了承もいただきましたので、これはさっそく一月にさかのぼりまして実施したいと、このように考えておりまして、目下その準備をいたしております。
  98. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは私は非常に怠慢だと思うのです、それは。それで、これからもあとでまた御質問したいのですが、どうも印刷局印刷行政を見ておりますと、従業員との間の円満を欠いている。ことに労務管理が非常に成績が悪いように思うのですね。それで、共済給付がおくれるというようなことなんか、これはもうほんとう印刷局の当局が印刷行政をうまくやるために従業員の労働条件なり生活を真剣に考えているかどうかを、われわれ疑うわけなんですよ。それで、今保養所の問題出ましたが、われわれ聞くところによりますと、箱根の湯本の保養所を買いかえることを決定しておったけれども、組合が賃金の配分等で活発に動き出した、そういう理由で、局長が報復的にこの保養所の買いかえを故意におくらせたと、こういうことが伝えられているのです。そういうことは一体事実であるかどうか。共済組合の代表である印刷局長としては、これは私は非常に、もしそれが事実であるならば、それは不都合なことだと思うのですが、そういう事実はあるのですか。
  99. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 私は存じませんが、まあそういう点につきまして、去る四月の共済の審議会の会合の際にも、そのような話をする人がございましたので、私は、いや、それは私はそうは思いませんので、それを否定しておきました。
  100. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう事実はないということですね。もしそういう事実があるとしたら、私は印刷事業の官庁の長であるということと、共済組合の代表であるということを混同していると思うのですね。これは混同しちゃならぬと思うのですが、この点は私はそう思うのですが、いかがですか。
  101. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 労働問題と共済組合の問題は全く別個の問題であると私は思っております。
  102. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その局長の立場ですね、局長の立場で管理者としての立場という場合と、それから共済組合の組合の長という立場、これは混淆しちゃいかぬと思うのですが、この点は意見としておきます。  それから、次に伺いますが、小田原に部長宿舎を建てたと。これは事実なんですか。それは三十四年九月に建設したと、共済組合でですね。
  103. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 小田原に昭和三十四年度に、役づき職員宿舎一戸を建設いたしましたことは事実でございます。
  104. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今ここにだれか住まっているわけですか。
  105. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 現在の時点におきましては、だれも入っていないようでございます。
  106. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十四年九月に部長宿舎を共済組合で建てて、それがいまだにあき家になっている、住まっていない、こういう運営の仕方は適当とお考えですか。共済組合が特定の官職を対象にして不動産投資をするということが、第一問題じゃないか。しかも、それが一年以上もあき家になっている。これは非常に私は不都合ではないかと思いますね。
  107. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) あき家の状態であることは好ましくないと存じます。この宿舎は、その当時管理部長というポストが新設されたのでございます。昭和三十三年でございます。その新設後、部長の宿舎がございませんので、それをこれのために建設したものでありまするが、たまたまほかにもう一つ転勤者がございまして、宿舎が一戸あいた。そのために、こちらの方に入っちゃったというのがいきさつのようでございます。ただ、このような現在あき家の状態でございますが、それは好ましくございません。この点につきましては、私、よく検討いたしたいと思います。
  108. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは検討もけっこうですが、一年有半も共済組合の資金をこういう特定の、今管理部長と言われましたけれども、管理部長の宿舎の建設のために運用していいのですか。
  109. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 私は、これは総体的な姿を判断すべきものと存じます。その問題の宿舎一戸でございますが、同じその年度に一般職員宿舎三十四戸を建設しております。従いまして、総体的な姿の中におきまして、こういう役づき職員宿舎が一戸建ったと。これは総体的な姿として見ますならば、差しつかえないのじゃないかというふうに私は考えます。
  110. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは非常に問題だと思います。そういう管理職の部長の宿舎を共済組合の資金で建てるというのはおかしいと思うのです。その上に、それがあき家であると、一年半も。何か印刷局の行政については、われわれそういう割り切れない点が非常に出てくるのですが、それはこの従業員の生活の問題をもっと真剣に考えられるべきで、そういうことが考えられていないのではないかと思うのです。当然管理部長の宿舎というものは予算で建てるべきじゃないですか、印刷局の。
  111. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) その点につきましては、私は必ずしもそうでなければならないということじゃないと思います。管理部長の宿舎だから予算で組まなければならぬと、共済組合では悪いんだという性質のものではあるまいと、私は私なりにそのように考えます。
  112. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこに印刷局のいわゆる労務管理の拙劣さというものがあるのですよ。共済組合が管理職の宿舎を建てて、それを一年半もあき家にしておくということは、これはどうしてもおかしい。そういう性質のものじゃないですよ。そこが根本的に私は考え方が違うと思うのですよ、頭の置き方がね。非常に何か官僚的な考え方。だから、労務管理等もうまくいかないし、印刷行政もうまくいかないのだと思うのですね。これは私は明らかに、かりに法的に違反じゃないとしても、不適当である、不都合であるということは、これは常識からいってだれだって認めざるを得ないでしょう。
  113. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) この点につきましては、お言葉を返しましてまことにおそれ入りますが、しかしながら、私どもは一般職員のための宿舎のために予算支出も行なっているのでございます。その辺を申し上げておきたいのと、それから最初に申し上げましたように、労働問題と共済組合問題とは別個の問題であると考えておりまして、この共済組合の中には労使の別というようなものはございません。管理部長といえども、役づき職員といえども、この共済組合の中の一員でございます。その共済組合の問題といたしましては、これは労働問題を離れまして、職員全体を組合員といたしておりますわけでありまして、それの公平な処理を考えていきたいと、このように考える次第でございます。
  114. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 考え方が非常に何か官僚的であるし、セクト的であると思う。私が言う労働問題という場合は、従業員の、労務者の生活全体を安定させ、向上させるということが、一つの労務管理の重要な仕事であり、それは共済組合ということもこの一環であるべきですよ。たとえば民間労働運動でも、社会保障の問題は、やはり社会保障ということを充実することによって労働者の生活を安定させる、それはやはり一般賃金の問題とも関連してくるのです。社会保障と労働運動と関係ないというような、共済組合の問題と労働問題と関係ないというような、そういう考え方は、私は非常に狭い考え方だと思うのです。だから、労務管理がうまくいかない状態が出てくると思うのです。大体、共済組合で管理職員の宿舎を建てるということの、その考え方自体がおかしくないと考えているところが、私はおかしいと思うのです。これはまあよく考えて、静かに考えておいていただきたいと思うのです。私はまあそういう意見を持っております。  時間があまりたつといけませんから、最後の問題に移りますが、小田原の工場長さんも見えておるようですので伺います。端的に伺いますが、小田原の栗田工場長さんですか、この前の三月二十三日ですか、三月二十三日に組合で職場大会をやったわけですが、そのときの問題と関連して職員処分しているわけですね。この処分は非常に広範にわたっているようです。七千名ぐらいの職員のうち約三千名ぐらい、三千名以上もいろいろな形で処分しているようですが、そのうち特に小田原工場において木村勇之助という書記長さんを、これを馘首したわけですね。そのときの責任者が小田原工場長栗田茂晴氏というわけです。その工場長さんに来ていただきましたので伺いたいのですが、この解職の理由ですね、その解職の理由はどういうところにあるのですか、伺いたいのです。工場長さんが任命権者になっておりますから、工場長さんから伺いたいのです。
  115. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) お尋ねの点は、懲戒免職者を出した、その免職の理由がどういうことかということであるかと思います。処分の説明書を読みます。  被処分者は木村勇之助。  「上記の者は、小田原工場作業部工作課機械掛員として在職するものであるが、全印刷局労働組合小田原支部書記長として、昭和三十六年三月、事前協議闘争などと称し、当局の警告をも無視して、三月二十三日勤務時間にくい込む職場大会を行ない、議長として大会を運営し、且つ当局の職務執行を実力で妨害した、また昭和三十五年十月にも勤務時間にくい込む職場大会を実践し、重要な役割を演じた結果、多数の職員をして正常な業務を欠くに至らしめた。このような行為は、国家公務員として不都合であるので処分したものである」、これが処分の理由でございます。
  116. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この処分の理由のうち、当局の職務執行を実力で妨害したという点でありますが、その点について、当時の現地でその状態を見ておった組合員の人から実情をいろいろ聞きますと、実情が非常に違うようなんです。それで、懲戒処分ということは一人の人間に死刑を与えるようなものですね。重大な、一番最高刑なんですよ。その最高刑を課する場合に、その理由として職務執行妨害、実力で妨害した、そういう事実認定について、それがもしそうでない、違っているような場合は、これは非常に重大な問題になると思うのです。それで、聞くところによると、印刷局の当局の方は、暴力行為を働いたということが処分一つの理由になっていると言われておる。それから、職務の執行を妨害したといいますけれども、当時の実情からいって、実際はむしろ当局の方から写真をとるというので非常に挑発的な行為を行なったので、この木村書記長がそういう挑発的な行為をやるべきじゃないと、そういうことをとめに行ったところが、当局側の方から、だれか突然横へ来て突き当たった。何をするかといって、そこでもめた。ところが、あとで一人のけがをした人もなし、何もないのに、何か暴力を働いたというふうに当局の方では説明をしているというように聞いておるわけです。この事実認定について、私も組合の方から資料をいただいております。従って、当局の方の言い分が正しいのか、あるいは組合の方の言い分が正しいのか、これは一人の人を死刑に処するほどの最高の処罰をしたのでありますから、もしこの事実認定に対して誤りがあったとしたら、重大な問題なんです。  そこで、まず当時の責任者局長の方から答弁を伺いたいのですが、原局長はやめられてしまったですね。そのやめられた事情も、私はどうも割り切れない。この問題について衆議院で社会党の平岡氏が大蔵委員会で質問をするというその前の日に、原局長がやめられてしまったのです。ですから、原局長に聞くことができないのですね。そこで、局長代理である業務部長さんに伺うわけです。業務部長さんは局長代理で全責任をもってここへ出席されていると思いますので、その点について、これは重要な問題でありますが、私も、組合の主張であるから、何でもかんでも、社会党だから、組合の言うことが間違っていてもなんでも、正しいんであると主張するわけじゃないんです。もしこれが事実認定において間違って処分したのなら、これは大へんな問題ですよ。私は組合側の言われる点も詳細に伺いましたが、非常にごもっともな点があるんです。どうもこの処分については割り切れない点がありますので、この死刑に当たるような最高の処分をするについては十分なる理由がなければならぬわけですから、その点を具体的に十分お聞かせ願いたいと思います。  それから、先ほどの小田原工場長さんの言う解職の理由については、この解職の処分書というのがあります。ここに書いてあるこれは非常に抽象的なんです、さっきもお読みになったが。それで、まず局長代理としての業務部長さんから事情を伺って、さらにまた栗田工場長さんにも御質問したいと思います。
  117. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 去る三月二十三日の勤務時間内食い込み職場大会がありまして、それにまた引き続きまして懲戒処分、このような事態になったのはまことに残念なことだと思うのであります。しかしながら、当時、これは印刷局だけの問題ではございませんが、労働組合の三月闘争の一環でございますが、私どもはこれに対しまして、そのような不幸な事態の生じないように望んだのであります。そして勤務時間内に食い込む職場大会という違法な行為が行なわれないことを職員一同に要請いたしまして、万一違法行為が行なわれますならば法に照らしまして厳正に処分せざるを得ないという厳重な警告を発しておったのでございます。しかるに、不幸にして違法行為が行なわれてしまったわけでございます。違法にわたる行為が行なわれましたからには、その事実に対応いたしまして法規に基づいて処分をせざるを得ないのでありまして、またむしろ処分をするのが当然だと存じます。  その懲戒処分の中におきまして一人の懲戒免職者を出しましたこと、これはまことに遺憾なことであったのでございます。この該当者につきましては、ただいまお尋ねのように、その事実関係につきまして当局の取り調べに間違いがあるのではないがというふうな疑念をかけられておるのでございます。私どももとより慎重の上に慎重を重ねまして、調査並びに量刑の判定を行なったわけでございます。その該当する職員は、小田原におきまして、小田原の職場大会の議長を勤めまして、大会の運営に当たられたわけでありまして、その違法な職場大会の運営につきましての責任が重大でございます。なお、それのみならず、その他の具体的な行動につきましても、当局の業務遂行上の行為に実力をもって妨害を加えられましたわけでありまして、当局職員が行なっておりましたところの写真撮影に対しまして、実力をもってこれを妨害するという行為があったわけでございます。私どもはその行為の責任を非常に重く考えておるわけでございます。
  118. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今実力をもって妨害したというんですけれども、ここに、そう長くなりませんから、組合側で調べた事実についての説明がありますので、ただいまの御答弁と非常に違う点があるんですよ。こういうふうに調査されておるんです。二十三日のことですね、三月二十三日、まず十数人の当局は一団となって芝生前の丁字路付近まで来て、八ミリを先頭にぱちぱち写真をとり出したので、委員長に注意され、一たん会場の後の方に引き揚げた。七時五十分ころ——工場の始まるのは八時だと思うんですが、七時五十分ごろ再びその一団が引き返してきて、タイムカード打字場というんですか、カードを打つところですね、の横で写真をとり出したので、このままにしておくと、組合員との間にトラブルをも起きると判断したので、演壇のところにいた書記長は一団のところまで行き、八ミリを持っている伊藤室長の前に立って、「あなた方に写真をとるなと言っても、とるだろうから、もっと要領よくとったらどうか、それではまるっきり挑発ではないか」と注意をしたら、室長は、「そんなことを言ったって、これだけ大きいものをどうして要領よくとれる」と反発された。そのときは、すでに書記長は当局の十数人に囲まれていた。なお、話を続けようと思っていたときに、右斜めうしろを軽く体当たりされたので、見ると、総務課長が腕組みをして立っているので、「何をするのだ」とどなったところ、苦笑しながら右横へ抜けていった。それを待っていたかのように、室長のうしろにいた職員掛長——山上という方らしいのですが、職員掛長が室長を押しのけて前に出てきたと思ったら、「公務執行を妨害するな」と言いながら、いきなり書記長の胸ぐらをとらえ、書記長はちょっと面くらったけれども、「君はおれと室長と何を話しているのかわかっているのか。おれはお前にそんなことをやられるおぼえはない」と言いながら、つかみ返したところ、ネクタイが指にかかった折、「まあまあ」と言いながら、書記長だけを背中から押えたので、すぐ引き離された。書記長が胸ぐらをつかまれてつかみ返し、皆が書記長を押えて引き離された。時間は約三十秒ぐらいだったと思う、こういうふうに書かれているのですね。われわれから判断すると、これには当局の方から何か挑発をかけて、そうして混乱が起こってきた、こういうふうに認定せられるわけです。こういう点はどうなんですか。
  119. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) ただいまお聞かせいただきましたところの内容につきましては、私が報告を受けておりますところから見まして、相当言っておるところがかけ離れておるように思うのでございます。その挑発という点につきましては、私どもは挑発というようなことは行なわれていないものと判断をしておるのでございますが、ただいまお聞かせいただきましたところのものは、それはそれとして私拝聴いたしましたわけでございますが、非常に疑問が多いと感ずる次第でございます。
  120. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、暴力を働いたというふうに御認定になっているのですか、依然として。
  121. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) まことに大へん失礼でございますが、ただいまちょっとよく聞き取れませんので……。
  122. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 依然として、木村さんという人ですが、書記長が公務執行妨害のために暴力を働いたようにお考えになっておるのですか。
  123. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 実は私ども、暴力という言葉につきましては、これは非常に微妙だと私は思っておりまして、暴力という言葉を使うのが適当であるかどうかという疑問があると思います。私どもは暴力行為があったのだというふうには申しておりません。しかしながら、最初に申し上げました通り、業務遂行に関しまして実力をもって妨害が加えられたというふうに私どもは認定しております。
  124. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 小田原の工場長さんは、暴力の点についてどういうふうにお考えですか。
  125. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) ただいま印刷局長心得から御答弁申し上げましたと同じような考え方です。
  126. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、暴力というふうには考えていない、そういうことなんですね。そうですか。栗田工場長さんに伺っている。暴力というふうには考えていない、こうおっしゃるわけですね。
  127. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) 職員の職務を実力をもって妨害した、そういうふうに。
  128. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 暴力とは認めていない、それでようございますか。そういうことでしょう、さっきの話を聞くと。工場長さんに伺っている。
  129. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) 暴力という言葉は用いておりません。
  130. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 じゃ、言葉を用いていないが、暴力というふうに解しているのですか、それとも名実ともに暴力ではない——言葉を用いておりませんから、暴力でないと認定されているわけですね。
  131. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) 私は、これが暴力であるというはっきり定義はないと思いますので、一般的に実力という言葉を用いております。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度の政防法との関係があるのですがね、暴力というのは、拡張解釈すれば幾らでもなるのですがね。常識的に考えて、大会があったときにおいて、だれかけがをしたとか、そのために負傷をしたとか、なぐられた、血が出たとか、こぶができたとか、そういうことがあれば、明らかに暴力と認められるでしょう。何らけがをした人も聞かないのです。そういう秩序のもとで暴力が——暴力という場合にそういうけがをしたり、あるいはこぶを出したり、ひどい場合には生命に危険があったりする場合があるでしょう。そういう場合には、もう非常な厳重な処分ということも予想されるのですよ。ところが、暴力でもないというのに、非常に最高刑を課しているのですよ。それだから、もちろんそこには悪質な暴力行為が、こん棒でなぐったとか、あるいは突き倒してけがをさしたとか、何かそういう乱暴なことでもなければ、暴力とは私は常識的に言えないと思うのですね。そういうことはなかったのでしょう。
  133. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) 今、木村先生のおっしゃいましたように、血を流したり、こぶを出したり、そういう事実は全然ございません。
  134. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでしたら、これは私の考えですけれども、とにかく死刑に相当するような最高刑を課しているのです。それから、事実認定についても、公務執行妨害と言いましたが、大体工場の始まるのは八時ごろからでございますか、出勤時間は。
  135. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) 一般に八時からでございます。ただ、昼夜勤の区分がございますから、これはちょっと違いますけれども、一般に概して八時からでございます。
  136. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、上の方の人は、八時前かもしれませんが、八時前に何か、特に工場で今日は特別早出しろとか何か言わない場合は、八時以前はそれは業務についていないわけですから、それは公務と言えないと思います。そうでしょう。そういう特に早出をしろと、こう言わなかった場合には、公務についていないと認定していいわけですね。
  137. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) そうでございます。
  138. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、この問題の起こったのは八時前なんですよ。八時前に、その写真を写すときにいろいろ威嚇したり、恐喝的なことをしている。これは公務ですか。
  139. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) ただいま工場長が八時以前の場合、それは公務でないと答えたように私思いましたが、しかしながら、八時以前といえども当然、その命令が出ておりますれば、それは公務でございます。
  140. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それじゃ、命令は出ているのですか、そのときはあらかじめ当日は特別出勤しろという。ですから、私はそういう特別の命令がない限りにおいてはと、ちゃんと質問を断わっておるのですよ。
  141. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) 早出の命令のない場合にはとおっしゃいましたから、公務じゃないと申しましたが、この場合には管理者一同早出命令が出ておりました。
  142. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでなければ私はおかしいと思うんですが、だから、特別なあれがない限りにおいては、八時前において、これは公務じゃないでしょうと聞いたら、公務じゃないと言われた。その通りでいいわけですね。ですが、そのときには早出のあれがあったわけですね、早出の命令が。こういうわけですね。
  143. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) 早出の命令を出しました。
  144. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう場合には、これは公務であると言うのですね。そこで、その点は、少なくとも何かあったのかなかったのか、そこのところはっきりしませんけれども、あったと言われましたから、信用して、あったことにいたすこととして、それからのことが問題なんですよ。さっきお話ししましたように、事実認定が非常に違うわけですよ。そこで、私がこういう質問をするのは、単に労働組合の書記長さんが首を切られた。これももちろん死刑に当たるような非常な最高刑ですから、事実認定について誤算があったらこれは重大な責任でありますが、そればかりでなく、私は今後の印刷行政の運営についてむしろ質問したいわけなんです。こういうことが今後の印刷行政にどういう影響を与えるか。今、滝野川は切手を印刷しているわけですね、滝野川の方は。そうなんでしょう。
  145. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 切手の印刷は滝野川工場でいたしております。
  146. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その印刷の業務の方はうまくいっておりますか。
  147. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 現在のところ、多少のおくれを見ております。
  148. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのおくれを見ている原因はどこにあるのですか。どういうところにあるのですか。
  149. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 現在、この今問題になっておりますところの処分問題の関係で、若干おくれておる、このように思います。
  150. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、小田原の方は、あれは紙幣の印刷ですね。それが主たる仕事だと思いますが、小田原の方は。
  151. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 小田原の工場は銀行券用紙等用紙類の製造と、主として銀行券の印刷でございます。
  152. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その業務の方はどうなんですか。円滑にいっておりますか。
  153. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) この方も多少のおくれを見ております。
  154. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 くどいようで恐縮なんですが、その原因はやっぱりどういうところにあるのですか。
  155. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 先ほど滝野川のところでお答えいたしましたところと同様のことだと思います。
  156. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 市ケ谷の工場は何を印刷しているのですか。
  157. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 市ケ谷工場は活版印刷全般をやっております。
  158. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 市ケ谷の方は、これは支障なくいっているのですか。
  159. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 大体支障なくいっております。ただ、季節的に非常に繁忙の時期でございますので、相当仕事に追われぎみでございます。
  160. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、大体、滝野川と小田原、それから市ケ谷、この印刷の業務の状況について伺ったわけですが、今市ケ谷の工場は順調にいっている、そういうお話がありました。それで、非常に繁忙であるということを伺ったのですが、前に私はその仕事を伺ったことがある、市ケ谷と、それから国会の中にあるもの、非常に超過勤務がひどい。ものすごい超過勤務ですよ、ちょっとよそに例を見ないほど。前に佐藤氏が大蔵大臣のとき、この超過勤務について私質問したことがある。これは今の質問とは直接には関係がありませんけれども、今の御答弁でも、印刷局の業務が円滑にいっていないことは明白ですね。その原因が、この処分に関連してそういうことが起こってきているというのですね、それで、今後印刷局としては、一体、業務をどういうふうに円滑に持っていこうとしているのか、その点を伺いたい。それで、特に私が感じたことは、労務管理が非常に拙劣ですよ、いろいろな点からいっても。  もう一つ最後に御質問したいことがあるのですが、警察官の導入の問題なんか、私は現に参りまして、それで総務課長さんですか、総務課長さんに私はあのとき会って、私は収拾に非常に努力したのですけれども、実際あのときのやり方は、あれでは事態を円満に処理するというやり方じゃないですよ。ああいう、私は現場にちゃんと突き当たってみまして、なるほど大蔵省印刷局の労務管理が拙劣で、そうして無用の労働争議を起こして、そうして無用の処分者を出して、そうして今承ったように、印刷行政が切手の方もうまくいっていない、それから紙幣の方もうまくいっていない。それはだれの責任です。重大な責任です。労働組合だけの責任じゃないですよ。労働組合だけの責任じゃないでしょう。その点はやはり労使一体になって、そうしてうまくやっていかなければいけないのであって、労働組合だけの責任じゃないのです。当局の責任もこれは非常に重大だと思うのです。業務に支障を来たしていることが今の御答弁で明らかになったのですが、その点を当局、(「そろそろ結論を」と呼ぶ者あり)まあ、そうあせらぬで。もう結論へ来ているんだから、そこは常識で。大体ここまで来ているんだから……。  その点を一つ答弁をいただきたいのです。
  161. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) お答え申し上げます。私、最近原前局長のあとを受けまして、印刷局長心得といたしまして、当面の印刷局の問題につきまして日夜その運営に心を用いておるところでございます。ただいま木村先生からいろいろお話承りました。その従来の事柄につきまして、これは前局長の代のことにつきまして、私がここで釈明をいたしますのも差し控えたいと存じますが、私といたしまして、まあいろいろ申し上げたいことはございますけれども、しかしながら、先生のお話の御趣旨の中に、いろいろ私としてよく考えたい点もあるように思うのでありますが、一々申し上げますことは差し控えたいと存じますが、今後の問題といたしまして、私が、この印刷局が官業、政府企業といたしまして、その与えられておりまするところの重要な任務の達成のために、局長以下工場職員一同まで、打って一丸となりまして、心を合わせてこの事業の向上のために尽くしていきたい、このように私考えます。これ、その管理者も、労働組合と申しますよりも、職員全体でございますが、これ、おのおのが努力すべき問題でありますことはもとよりでありますが、私ども管理者といたしまして、十分に労使の心を合わせてやっていくという点に十分な意を用いていきたい、まあそのように考えるわけであります。  で、この行なわれました処分、これはまことに残念なことであります。しかしながら、これは違法な事実がありましたからには、これに対しまして法に照らしまして適正に処分を行ないますることは、これ当然でありますが、しかしながら、今後このような不幸の生じないように、職員一同協力してもらいたい、そのために私自身といたしましても、大いに意を用いていきたい、このように存ずる次第でございます。
  162. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) いいですか。
  163. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう時間があまりないようですから……。
  164. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 簡単に最後に……。
  165. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう最後の質問ですからね、簡潔に質問いたします。  その業務部長さんのお言葉はよくわかるのです。しかし、遺憾なことには、当の責任者である局長さんがやめちゃっているのですね。ですから、業務部長さんとしては、前任の局長さんのことについては差し控えたいということは、これはもう人情として、また立場として当然なわけなんですよね。ですから、業務部長さんをここで私責めるということは、私としては非常に不本意なんです。なぜならば、局長代理として来られているから、どうしたってあなたに質問するよりほかないのですね。  それで、次官にちょっと伺いたいのですがね、なぜ原局長はやめられたのか。それで、衆議院で平岡さんが、大蔵委員会で大蔵行政のことについて質問する、で、この質問を取り上げる前の日にやめているのですよ。で、当の責任者がやめちゃっているわけですね。これはどうしてやめたのか。  それから、もう一つは、今この私の質問で、次官もよくおわかりだと思うのですが、あの滝野川の切手なり、それから小田原の方の紙幣の印刷も円滑にいっていないというお話だった。これはまあ調べればわかるが……。その原因はやはり処分にあったわけですね、今回の処分になって。で、みんなで大体七千幾らの従業員のうちで、三千百名ぐらい処分が出ているのですよ。そんなに処分が出れば、職員が、それはそれに対して抗議を申し込むのは、これは当然でしょう。それで、その中に小田原では首切られている。その懲戒免職について、事実認定について、いろいろの不満があるわけですよ。それで、当局の、私は暴力としての解雇が正しいのならば、たとえば小田原のあの、みな、女の工員さんが多いのですからね、それはものすごい憤激だそうですよ。それに対して、これは次官も一応よく実情をお調べになっていただきたいと思いますよね。そして、不法行為がたとえあったにしても、その事実認定に基づいて処分されたわけでしょう。その事実認定に間違いがあって、死刑に処分した。もしその人がその事実認定と違っていた。たとえばさっき言った、暴力を働いたという認定がない場合に、最高刑を課すという場合には、また違った考慮もなさなければならないと思うのです。  で、私は、ですから、最後に伺いたいのは、もう一つ警察官を導入した問題について伺いたいのですけれども、これは時間がないようですから、この点については非常な私は遺憾の意を表しておきます。当日私は、警察官を導入して激突したわけなんで、それを激突させないようにいろいろおさめたんですけれども、最後にですから伺いたいのは、もう一度非常に組合員が不満を持って、小田原でも、滝野川でも、あるいは市ケ谷でも、抗議運動をしょっちゅうやっておられるわけです。それで業務がうまくいかないのです。そういうところに原因があることは明らかなんです。そんなにひどい処分をしているわけです。ですから、私は、今後の業務をうまくやっていく上に、今後、今後ということを言われているけれども、今度の処分についても再調査をされる必要があるのじゃないかと思います、再調査を。それは事実認定が違っていると、こういう申し立てがあるのです。私もどうも認定については、これはあまり詳しくいうと、いろいろ差しさわりがあるといけませんが、小田原側、工場側と本省側との間にどうも食い違いがあるように聞いております、いろいろ。ですから、再調査される必要があるのじゃないか。そうして事実認定について、これがかりに間違っていた場合には、その処分——全然処分を撤回しろとは言いません。もしそういう理由があるならば、それはやむを得ないかもしれませんが、それについて認定が間違っていた場合に、再調査して、これは私は再考慮すべきじゃないか、こう思うわけなんです。その点について次官のお考えも伺いたいし、それから原さんがなぜやめたかということ、それから局長代理業務部長さんにも伺いたい。それから、せっかく小田原からお見えになった工場長さんにも、この点伺いたいのです。
  166. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 木村委員から、相当長時間にわたりまして、印刷局の問題につきましての御質疑があったわけでありますが、まず最初に原君の問題でありますが、原君は前々から後進に道を譲るという決意を固めておりまして、すでに私どもの方には五月の下旬にやめさせてもらいたい。またあとの行く先もきまっているということでございまして、これは偶然衆議院の大蔵委員会に呼ばれました前日にやめたというのは、これは偶然でございまして、故意に原君がそれを避ける意味でやめたということは全然ないと私は信じております。前々から、後進に道を譲るということで、五月の下旬にやめさせてもらいたいという申し出があったことは事実でございます。  なお、後任の局長の問題でございますが、これはおそくとも六月の二十日ころまでには、一般の幹部級の人事異動というものを発令いたしまして、新しい局長が任命されることに相なろうかと存じております。  それから、小田原工場の今回の大量処分者を出しましたことは、まことに公務員の労働運動の上からいいまして遺憾に存じております。日ごろ健全な労働運動を指導されておりまする木村委員に対しましては、私、日ごろ尊敬をいたしておるわけでございますが、今回の小田原工場などの労働行為というものが、非常に法を逸脱し、しかも公務員としての本分をわきまえなかった点もあるわけでございます。そういう点から、私も十分報告を受けておりますが、今回の措置は今のところやむを得ない措置ではなかったかと、かように存じております。しかしながら、先ほど来木村委員から組合側から聴取されました経緯につきましての御意見等がございましたが、私の方は管理者側の立場からの今回の経緯を聞いておりまするので、その辺食い違いがあるようにも思われまするけれども、一応処分者が正当な公労法を逸脱した行為であったということは、これは事実のようでございまして、その点については、管理者として一応ああいうような措置をとらざるを得なかった面もよくわかるわけでございます。  しかしながら、よって基因するところが、長年の労務管理が非常に拙劣な点があったのじゃないかという点につきましては、私も十分その辺の事情は詳細には承知いたしておりません。しかしながら、先ほどお話がございました共済組合の資金によって管理者の家を購入した、これは私はなるほどあまり好ましいことではないと思います。そういったことは、主として労働者の方の福利増進のために使われるべき共済組合の資金じゃないかと考えておりますが、やり方がまずかったのじゃないか。これはやはり国家が共済組合の金を借りて、政府で借りて、そして管理者の家を建てるべきじゃなかったか。しかも、現在あき家になっておるということは、これはやはり好ましいことではないと考えております。まあそういったことから考えまして、必ずしも従来の小田原工場の労務管理が適切な労務管理であったかどうかということにつきましては、これは十分私どもも調査をし、また今後の対策も十分指導すべきであると、かように考えておるような次第でございまして、最終的に今回の処分について再調査をする意図はないかというお話でございましたが、その点につきましては、私一存としてこの場で申し上げることはどうかと思いまするし、木村委員の御意見等も十分拝聴いたしまして、再調査をするしないということは、これは別途でありまして、今後の新局長もとにおける労務管理を抜本的に、労働者の方が、従業員の方が喜んで仕事ができるような、楽しく仕事ができるような方向に今後ともなお一そう持っていくように、私どもといたしましては指導をして参りたい。今後あのような、小田原工場のような不当な大量処分が出ないように、規律ある、また秩序ある労働運動がなされるように指導すべきであると、かように考えておる次第でございます。
  167. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 再調査についても、それは次官の御答弁がありましたが、今局長代理として来られている業務部長さんにも、小田原工場責任者にもそういう意思があるかどうか伺っておきたいのです。
  168. 小島要太郎

    説明員小島要太郎君) 私どももとより慎重に調べまして、この懲戒処分を行ないましたわけでございまして、現在のところ間違いはないと思っておるのでありますが、しかしながら、何事によりませず、調べるべきことはよく調べるということが正しいと私存じます。現在問題になっております小田原の事実の認定につきまして疑義があるとの話もございますので、念のためよく調べたいと存じます。
  169. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 工場長さん、どうですか、責任者……。
  170. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) 今、局長がたびたび申し上げましたように、事実について再調査されるものと存じます。
  171. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に一、二……。ただ、再調査されることを今言われましたが、しかし今の御答弁ですと、大体慎重にやったんで再調査する必要がないけれども、しかし今国会で問題——木村が言われたから、一応してみると、そういうような形式的な再調査じゃ困るんです。この処分が現在の印刷行政に悪い影響を与えているんですよ。将来印刷行政をうまくやっていくためにも、この再調査については考慮されなければならないと思うんですね、そういう点を。何でも大量に処分すれば問題が片づくと思ったら大間違いですよ。今まで、何でも首でも切れば労務管理うまくいったと思っているが、それが支障を来たして、切手の印刷も、それから紙幣の印刷も、支障を来たしているということは、はっきり業務部長言われたんですから、それが処分との関係もあると思うんですから、再調査をわれわれが要求した場合、ほんとうに誠意をもって、そして今後の印刷行政を円滑にやっていくという、そういうことも考えて再調査を僕はされなければ全く意味がない。ただ、きょうここへ出席して、再調査いたしますと、そういうように言いっぱなしで、そういうような無責任な御発言だったら、私はそんな御発言は必要がないと思う。
  172. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 先ほど、私が、再調査をいたすことにつきましては、私一存ではここで申し上げることはできないので、十分その問題につきましては検討いたしたい、かように申し上げましたのは、今御指摘のこの場でおざなりに再調査をすると言うことは避けまして、あくまでも大臣とも相談し、今後の印刷行政の上からいきまして、労務管理の上からいって、再調査をすべきであるということになりました場合には再調査をいたしたい、かような意味を含んで私は申し上げましたので、その意のあるところを一つお含み置き願いたい、かようにお願い申し上げる次第であります。
  173. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、私は再調査の結果を待って、また質問いたします。
  174. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 関連して一つ……。工場長さんに伺いますが、田中大蔵政務次官答弁を聞いておりましても、労務管理についてどうも拙劣である、あまりうまくいっておらないというふうに聞きました。私は木村委員の質問なりあるいは答弁、そういうことはわかりませんが、あなた自身は非常にうまく労務管理がいっておると思っておるのか、どうも自分としても反省すべき点があると、こういうふうにお考えになっておるのかどうか、その一点についてお伺いいたしたい。
  175. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) もとより、私ふつつかな者でございまして、労務管理が満点であるとは存じておりませんけれども、ただいままでのところ、われわれ管理者と組合側との間において大きな問題はなかったと存じております。
  176. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっきの業務部長答弁と違うじゃないですか。業務部長さんは……。
  177. 栗田茂晴

    説明員栗田茂晴君) わかりました。処分発令後のことではございません。その以前のことで申し上げました。処分発令後の状態におきましては、さっき局長のお答えいたしました通りでございます。
  178. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これでやめますが、どう見たって、これはやはり第三者の方がよく知っておいでになる。やはり私はあなたも責任を十分感じておられなくちゃならぬと思う。百点満点じゃないかもしらぬが、九十九点の労務管理をしておったという答弁はできないと思うのです。十分反省をしてもらいたいと思います。その点だけ申し上げておきます。
  179. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  180. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をつけて。   —————————————
  181. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 次に、機械類賦払信用保険特別会計法案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言願います。  なお、政府側出席者田中大蔵政務次官上林規課長、通産省より佐橋重工業局長が見えております。
  182. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは特別会計になっているわけですが、予算総額はどのくらいの規模になっているか、まず最初にそれをお伺いいたします。
  183. 上林英男

    政府委員上林英男君) 三十六年度の機械類賦払信用保険特別会計の歳入歳出額おのおの二億五千二百七十万円でございます。
  184. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それの大体保険料収入、あるいは運用収入、一般会計よりの受け入れ等の、予算の大づかみな説明はございます。そこで、この歳入の保険料収入はどのくらいだと、どういうふうでこれが算定をされたものか、算定基準を御説明願いたいと思います。
  185. 上林英男

    政府委員上林英男君) まず歳入でございまするが、保険料収入は四千五百万円を見込んでおります。これにつきましては、三十六年度中におきまする保険契約金額を百二十億円と考えまして、それに年率一%の保険料率をかけ、さらにこれは、この特別会計は本年の七月から施行をいたす予定でございますので、その期間の調整及び月賦期間による調整をいたしまして、四千五百万円、こういうことになるわけであります。それから、その次の収入といたしましては、運用収入として利子収入を七百六十万円計上いたしておりますが、これはこの会計の資本に充てまするために一般会計から二億円を入れることになっておりまするが、その運用利息収入でございます。この一般会計からの受け入れが二億円ございますので、そのほかに保険金の納付金の収入が若干見込まれまするので、それを十万円ほど計上いたしまして、合計二億五千二百七十万円が収入でございます。  それから、歳出の方でございまするが、歳出のまず第一は保険金でございまするが、これは今申しました保険契約の総額のうち、過去の今まで各民間のメーカー等が月賦払いでもって機械を売りましたときの事故率等を勘案いたしまして、それに期間の調整等をいたしましたものといたしまして、保険金としては千五百九十七万五千円を見込んでおります。さらに事務取扱費といたしまして七百六十万、その他の残額につきましては、今後あるいは保険事故が当初見込みました場合よりも上回るという場合もないではございませんので、すべて予備費に計上いたしまして、予備費として二億二千九百十二万五千円、こういうものを予備費として計上いたしました。合計歳出総額は歳入額と同じく二億五千二百七十万円ということになっております。
  186. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 保険契約高を百二十億にしたんだと、こういうお話でございまして、何かこの百二十億で、これで大体いいんだと、こう押えられた、数字をはじき出された根拠、それから契約高を百五十億にしておる、三十億ほどの余裕を見ておるんだというようなお話も聞いております。で、ここにあるこの臨時措置法のそういう最高契約をきめておると思うのですが、大体最近の情勢からいって非常に設備投資が伸びておるというようなことを聞いておるわけですが、十分織り込んで、そういうようなもので総合勘案して百二十億と。まあしかし三十億くらいの伸びがあるだろうということで、余裕として三十億持っておるのだと思いますが、その辺のところ、百二十億なら百二十億をはじき出したこのくらいのものが売れておる、あるいはまた保険契約高を百二十億にした場合にでも、私はたとえば機械類だと、普通いいましても耕作機械あり、プレス等あり、あるいは建設機械等があるというようなことになるなら、およそこれはこのくらいの割合は、どれくらい売れるかというようなことも大体検討されたのか、その辺のところ御説明を願いたい。
  187. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) お答えいたします。今回指定をする予定にしておりますのは、金属工作機械とプレス機械と建設機械の三種類でございまして、これの本年度の売上見込額を簡単に申し上げますと、金属工作機械の国内生産は本年度大体六百八十億と踏んでおります。それから、ブレス機械が百三十億、建設機械が七百六十億と、大体以上のような見通しを立てておりまして、その三業種を総計いたしますと大体千五百億円の売り上げがある、こういうふうに考えております。  で、このうちどれだけがいわゆる販売にかかり、どれだけが即金売りかということでありますが、われわれの推算では、千五百億のうち大体六百億くらいがいわゆる割賦販売になるのではないか、こういうふうに考えまして、この割賦販売が六百億でありますが、そのうちこの保険にかかるのは、さらにその半分と、こういうふうに計算をいたしまして、この保険の場合、御承知のように、頭金を取りました残りの額、大体頭金のあとを八〇%と踏んでおりますが、これを、六百億に加入率五〇%をかけ、さらに頭金のあとの八〇%をかけたものの、いわゆる保険の金額はその半分でありますので、こういうふうに計算をいたしますと、百二十億ということになるわけでありまして、それに若干の余裕を見まして百五十億契約の限度といたしたわけであります。
  188. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 千五百億の機械の販売高、大体その半分の六百億を見た、こういう話ですが、もう少し突っ込んで、といってはおかしいのですが、千五百億をはじき出された、たとえば工作機械六百八十億、プレス百三十億、建設関係は七百六十億とおっしゃいますが、私もどういうところに保険がたくさん使われるかよくわかりませんが、かりに工作機械の方がたくさん要るのか、あるいはプレス関係のが多く要るのか、その辺のところを、どうなんです。
  189. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) この法案は、目的に書いてありますように、機械工業の振興と同時に中小企業の設備近代化に資することを目的といたしておりまして、中小企業に売られる分を主として私の方は考えておるわけであります。大体千五百億のうち六百億は割賦にかかると申しました内訳は、建設機械が最も大きいのではないか、こういうふうに考えております。これも全くの推算でありますので、実績がどういうことになるかわかりませんが、一応われわれが試算をいたしておりますのは、工作機械が七十億、プレス機械が三十億、建設機械が五百億、合わせまして六百億、こういうふうに計算をいたしております。
  190. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それに設備投資のその後の伸びで百五十億と最高は踏んでおきめになるが、予算額は百二十億と見ておる、もしこれが百五十億までいっても、大体これは法律違反でもございませんし、やり繰りをつければできると思うのですが、従って、百二十億と押えるつもりでおきめになるのか、予算関係でいえば百二十億と大体おきめになるのですか。その頭を打たれるのか、百五十億までおゆきになるのか、運用ではどういうふうになりますか。
  191. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) この設備機械の割賦売りというのは、昨今ようやく工作機械あるいは建設機械について若干行なわれかけたばかりでありまして、どのくらいがこういう制度をすることによって実際この保険にかかるかということについては、全くの推算でありますので、一応ただいま御説明申し上げましたように、百二十億と考えておりますが、大蔵省との折衝で一応若干のゆとりを、三十億見ていただいておりますので、大体七月からこの制度を発足するわけでありますが、状況によりましては百五十億までいくことがあり得ると思いますが、その場合も当然現在の特別会計の予算の中でやり繰りが十分可能であろう、こういうふうに考えております。
  192. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次にお尋ねしたいのは、どういう機械を政令で定められることになっておりますか。それについてけさほど資料をいただきました。しかし、これも手紙によりますと、一応検討したものであるけれども、こうなるとはいえないけれども、というようなことをいって注意書きをしたものをいただいて……。これをお持ちでございますね。問題になるとするなら、この辺のところが問題になるというのをおっしゃっていただければけっこうだと思うのです。
  193. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 先生のところへ資料をお届けしておきましたが、われわれが政令で指定いたしますのは、お手もとにお渡ししましたような種類をやろうと思っているわけでありますが、実際の政令に基づきまして、機械のメーカーが国と保険契約を結びまして、それに基づいて実際の個々の割賦販売が行なわれるわけでございますが、われわれがまだ熟しておらぬと申しますのは、たとえば旋盤なら旋盤、ボール盤ならボール盤の中で、どれを買えるか。たとえば旋盤なら六尺旋盤とか、八尺旋盤、十尺旋盤、十六尺旋盤があるわけでございますが、そのうちでいわゆる中小企業の設備の近代化に役立つ、あるいは同時に機械工業の専門化に役立つのは、このうちでどれが適当かということでありますが、その点についてまだ最終的な案を持っていない、こういうことを書いたつもりであります。
  194. 野溝勝

    ○野溝勝君 ちょっと関連してお聞きしますが、これは中小企業の設備近代化はけっこうなんですが、これは最近、設備に対しまして非常に行き過ぎではないかというふうにいわれておるのですが、そういうものに対する調整というか、対象というか、そういうことは何も差しつかえない、こういう意味ですか。
  195. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 設備近代化の問題、過剰設備と申しますか、投資過剰の問題、いろいろ議論されておりますが、ここでねらっておりますのは、中小企業の設備の近代化でありまして、この設備投資の中でも、大企業に比べまして中小企業の設備の近代化は著しく立ちおくれておりますので、この自由化、所得倍増に備えまして、良質な廉価のものを作るためには、ぜひともこの部門については国が力を入れて資金を投入し、設備の近代化をはからなければならない部門だ、こういうふうにわれわれは考えております。
  196. 野溝勝

    ○野溝勝君 まことにけっこうな法案でございますが、大体六百億くらいでそんな大きなことができるのでございますか。もちろん、私はこの趣旨に賛成ですよ。ですけれども、財政投融資の対象は、こうした小さいものがあまり受けておらないし、特にその他資金関係においても、中小企業の方はあまり優遇されておらない、そういう点で、一つの金融の補強工作の意味においてもこれは必要なことでございますが、ただ問題は、一つのメーカーの関係ですけれども、大企業との間に相当私は競争が起こってきて、このくらいの保険の対象というかだけでは、なかなか太刀打ちもできないと思うのでございますが、これをフルに出してもわずかなことであるし、しかもまた、フルに出せばあまり効果もないし、そうしてみると、政府当局の方としては、建設、鍛圧、金属に対してそれぞれ処置するわけですけれども、大体これの一つの対象となるものに対して、どの程度の工場設備、あるいは能力、あるいは資金関係、そういうようなものに対するめどというものを大体置かれていると思うのでございますが、そんなことに対しては何も考えておられないのでございますか。
  197. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 中小企業のいわゆる設備投資のための資金繰りの問題でありますが、これは中小企業庁の方で、十分とはいえませんが、かなりの数量は見ていただいておりますのと、それから機械関係につきましては、従来開銀で大体年間二十億ないし二十五億の程度でありましたが、本年度からは開銀七十億、それから中小企業金融公庫三十億は特に機械関係の設備近代化のためにつけていただいたわけでありまして、その金はほとんど全部が、いうところの中小企業及び中堅企業に回るわけでありまして、この制度を併用することによって、かなりの部門、設備の近代化の促進に役立つ、こういうふうにわれわれの方は考えておるわけであります。  それで、本契約で、本法によりまして契約する相手方でありますが、売り手の方は私ども大体見当はついておりますが、買い手がどの程度になるかという数字につきましては、これは全然推算ができないわけであります。この本法による機械工業でいわゆる売り手の側で契約されるものは、現在全部企業数を洗いまして、大体三百程度ありまして、三百程度のうち本法の趣旨に沿って契約の相手方になるというのは、大体百三十くらいではないか、こういうふうに考えております。
  198. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 条文三条の一般会計からの繰入金は二億、これは二億ですね。それから十三条の三項の一時借り入れだかの方の問題は、これは何か国会の承認を経なければならないとなっておりますが、これは何かやってございますか、全然ございませんですか。
  199. 上林英男

    政府委員上林英男君) 三十六年度におきましては、これの規定によりまする一時借入金をすることを見込んでおりませんので、三十六年度においては別にこの借入限度を予算をもって国会の議決をいただいておらないわけでございます。
  200. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それでは、次にお尋ねしたいことは、今、御答弁を伺っておりましても、メーカーの方は、買い手の方がどうなるかわからぬということですが、これはメーカーの方にも大中小おのおの種々雑多だと実は思うわけです。そこで、これを運営される場合に、メーカーは全部入るのか、どういうふうになるのか。金額で片一方は押えられて、実際売買されるものは千五百億だ、しかし対象になるのは六百億だということになれば、はずれるのは大体そこに七百億あるということなんですね。だから、どういうところがその保険の対象になって、どこがはずれるか、そこら辺のところをどういうふうにあなたの方で選別されるのか。それは買い手が希望するのじゃなく、私はメーカーの方が希望すると思うのですね。ですから、そこの識別というのですか鑑別というのですか、その取捨選択をされるところはどこがおやりになるのか、これはもしそういう基準があるとするならば、その基準というようなものもあわせて承りたいと思います。
  201. 野溝勝

    ○野溝勝君 関連して。さっきの百三十の工場の選別の仕方という点ですね。
  202. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) この産業種で千五百億と申し上げましたのは、これは産業種の三十六年度の全売上高であります。このうちいろいろ、たとえば工作機械につきましても、あるいは建設機械にしましても、非常に大容量のもの、中小企業あたりがほとんど使用することのない機械等もあるわけであります。こういうものがかなりの数量あります。こういうものはほとんど大企業から大企業へ即金で売られますから、この対象からははずれるわけであります。中小企業向けに主として売られる機械の中で、われわれ考えておりますのは、中小企業の優秀な新鋭機械を備えつけさせたいというのが念願でありまして、たとえば工作機械を作るメーカーが七十社くらいあるわけでありますが、この七十社のうちでも、伸ばしたい企業といいますか、中小企業に備えつけさせたいような旋盤なり、ボール盤なり、中ぐり盤を作っておるメーカーを相手にしまして、さらにそれぞれの機種の中でも中小企業向けの、いわゆる小型のものばかりではありませんが、そういうものを対象として選び上げたい。いわゆるまあ種類の選定、あるいは業者の選定等につきましては、機械工業振興臨時措置法というのが現在施行されておりますが、それに機械工業審議会というのがありまして、これにそれぞれの部会があるわけでありまして、ここでそれぞれの専門化なりいわゆる性能の向上なりという基準等を審議させる機関でありますが、これに諮った上でしかるべき基準を立てて、ただいま先生のおっしゃいました選定をいたしたい、こういうふうに考えております。
  203. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これはこの割賦保険に加入したい、あるいはこうしてほしいということを希望する人は、やっぱりメーカーの方から出るか、あるいはまあ中小企業の方の人からも——とんとん売るようにといったって、メーカーが売らないというようなときに保証をすることになりますから、両方から希望が出るか、私、実情がよくわかりませんから、もう少ししろうとにわかるように御説明いただくといいと思うのですが、最終的には審議会、部会できめていくと、こうおっしゃいますが、その場合には、もう工作機械の七十社のうちで、この会社のこの機械は、中小企業の人が買った場合にはもちろん近代化し、設備を更新するものであるからということですが、この会社のこの機械と特定をされ、特定されたものの売買についてはこれは保険の対象になるのだというふうにリストをお作りになり、おきめになる。そうすると、買う方の側からいえば、そのリストを見てこれでいこうときめると、メーカーの方ではそれでよろしいという運用になるのか、どういうふうになるか、私わかりませんので御説明していただきたい。
  204. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 私の方もこれが初商売でありますので、どういう形になるかなかなか現在はっきりいたしませんが、ただいま申し上げましたように、機械工業振興審議会で大体旋盤なら旋盤のこういう型式のものは割賦販売にしたらいいのじゃないかという案が出ますと、その中でかりにまあ同じようなものを十社作るのがあった場合に、七社の製品は非常に堅牢であり、新鋭機械である、これを伸ばしていきたいといった場合に、国がその七社と契約をするわけであります。国が契約をして、その当該業者が当該製品を売る場合にはこの保険がかかる、こういうことになると私たちは考えておるわけであります。
  205. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 天田委員も御質問があるようですから、もう一つお尋ねして、またもしあればあとでお願いしたい。  保険はできましたね。しかし、保険のかかる方は、ただ単に頭金を二〇%出せば、それだけで、国が契約してあるから、無条件で、買う方、いわゆる中小企業の買う方の側は保険の対象というか、契約に参加できるものか。何かそこには、担保物件というようなものを設定をしておらなければこれに入れない、何か私は買う方の側にも条件というものがなければならぬと思うのですよ。そういうような点はどうなりますか。
  206. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) この保険の一番のねらいは、担保だとかいうようなものを取らないところに非常に活用の範囲が広いと考えておりますが、国と保険契約を締結いたしますのは、売り手であるメーカーとやるわけでありまして、メーカーが国と包括契約を結びますと、その契約に基づいてメーカーが需要者である中小企業に売っていく。中小企業の方はこの法律では何も縛られておらないわけで、その場合に設備機械でありますので、安いものでも百万円とか二百万円とかいう金がさになるわけでありますが、その場合にいわゆる所有権の移転とかいうようなものは、それぞれの契約できまるわけであります。普通頭金二〇%を取ってすぐ機械を引き渡すわけでありますが、その場合に、普通の場合は、現在の機械の取引の場合には、所有権は相手方に移転しておる実例が多いようであります。ただ、場合によりますと、いわゆるあとの八〇%を完済し終わったときに所有権を移転するというような留保条項をつけておるような場合もあり得るわけで、われわれの方はその残りの八〇%の割賦代金の不払いが生じた場合、どういう事故であろうと、不払いが生じた場合に、国がその損害の五〇%を補てんするわけであります。そこで、結局その場合には、当然売りました機械を処分するなり何なりして、国が払いました五〇%の保険金というものの回収に努めると、こういうことになるわけであります。いわゆる抵当権とかいうようなことでなくて、機械自身がもう現にあるわけであります。中小企業の方はその機械を買うことによって頭金を払ってすぐ機械を引き取って、その機械で製品を作って、かせぎによって逐次割賦代金を払っていくということで、いわゆるユーザーとしての中小企業の方は非常に少ない資金で新鋭機械が手に入ると、そして稼働によって割賦代金を払っていくという便がある。もしも何らかの事故で不払いが生じた場合には、その機械を売り手の方で処分するなり、あるいは損害賠償の請求をするなりしまして、国から保険をつけた保険金の回収に努める、こういうことになるわけであります。
  207. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大体わかりましたが、心配しておりました点は、あなたが指摘されたように、メーカーが金を取らなくても、五〇%損するといえば損ですが、ですから、所有権の問題は一つの制限がそこにされるのか、その点もちょっと明瞭でなかったのですが、所有権は結局、割賦代金を全部払ってしまった、保険代金を支払った後に買い手の方に名義が移管していくと、それまでは所有権は一応保険のこの特別会計のだれか責任者が持つことになるのか、売り手の名義になっておるのか、何か制限をおつけになるだろうと思うのですが、その辺はどうなりますか。
  208. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 国が、この特別会計が所有権を持つとかいうことはありませんので、いわゆる売り手が持つか買い手が持つかということになりますが、これはいわゆる相互の契約ではっきり売り手と買い手の契約で、所有権の移転の時期というものははっきりすると思いますが、われわれは、まあこの法律施行にあたっては、おそらく所有権を売り手の方に完済まで留保するような指導をするかと思いますが、もしもそういうことが漏れました場合には、現在参議院で御審議を願っております割賦販売法というのがあるわけでありますが、割賦販売法にもこの指定機種が指定をされるということになりますと、そういう約款がない場合には、完済までは売り手に所有権があるという推定規定があるわけでありまして、それに該当するかと思いますが、いずれにしろ、われわれは約款でその点をはっきりさして指導するつもりでおります。
  209. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、その賦払い債権、売り手の義務というものは、だれが負うことになるのですか。
  210. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 国が保険金を払いましたあとは、普通の、まあ商法によります保険の場合だと、その支払いました保険の限度において、いわゆる保険者が代位をするわけでありますが、この法律では代位を排除いたしておりまして、保険金をもらったいわゆる売り手がこの回収義務に努めるという回収義務を課しておるわけであります。
  211. 天田勝正

    ○天田勝正君 何にしても、この法律は資金が少ないのでありますから、所期の効果が上がるかどうかは疑問といたしましても、いずれにしても、少ない資金をもって、その機械を働かせながら返済していくということでありますから、まことにけっこうであります。ただ、私がこの際伺っておきたいのは、この特別会計それ自体は、事務規定でありますから、そう問題がないのであって、親法である機械類賦払信用保険臨時措置法、これとの組み合わせによってこの効果を上げるのでありまして、従って、片方が臨時措置法と、こうなっておりますと、いつこれが終わるのかと、こうなるのですが、この点は親法の法律を見ればわかるのですが、私、今ここに持ってきておりませんので、いつまでの時限になっておりますか、これは。
  212. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 機械類賦払信用保険臨時措置法の有効期限は五年ということになっております。
  213. 天田勝正

    ○天田勝正君 今もらったこの別刷りの資料によりますと、鍛圧機械、液圧プレス、機械プレス、こう書いてありますが、これは何ですか、エア・ハンマーやスチーム・ハンマーとかを含めるということですか。そういうことですか、含めるのは。
  214. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) われわれが現在この法律で指定しようと考えておりますのは、液圧プレスと機械ブレスでありまして、エア・ハンマーは考えておりません。
  215. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、これは諸外国よりもおくれをとっておる、要するに自動車工業や何かを下請としての中小企業者もやれるように、そういう計らいをしよう、こういうふうにとっていいのですね。
  216. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) ただいま大体御指摘の通りでありますが、われわれが考えておりますのは、現在まあある程度割賦の実績のあるものと。いわゆる割賦売りということが全然設備機械について行なわれていないものについては、われわれの準備態勢、あるいは資金の関係もありまして、一応今回は除外をして考えておりまして、できるだけこの下請関係その他で、いわゆる外国製品に追い着き得るようにということを主眼に考えておるわけでございます。
  217. 天田勝正

    ○天田勝正君 私の聞いているのは、確かにこのプレス関係は著しく諸外国からおくれておる。自動車の車体を一つ見ましても、外国製品は波も打っておりません。日本の製品は残念ながら、平らのごとくに見えながら、波を打っておるのです、いささか。ですから、こういう措置でそういう面が改良されるということは、私も大いに賛成なんです。ただ、これが効果の上がるやり方か。単に大きなところだけそれを集中してやるという方向と、それからスイスの時計ではありませんが、部分々々に分けて、ある一つのものは、機械さえ備えつければ、中小企業において反復同じ仕事をするがゆえに、かえって精度のいいものができる、こういうことがあり得る。ですから、私が今聞いたのは、そういう目的で、この鍛圧機械なぞをここに入れたのではなかろうか、そういうふうに考えたものですから、質問したのですが、その点はどうなんですか。わかりませんか。わからなければよろしい。
  218. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) 先ほども答弁申し上げましたように、今回はいわゆる店開き早々でありますのと、八カ月の期間でありますので、従来若干でもいわゆる割賦売りをした実績のあるというような品種を主としてとらえておるわけでありまして、ただいま先生の御指摘のように、エア・プレス等につきましても、そういう実績が若干でもできて参りますれば、今後の追加の問題として考えたい。ただ現在では、プレス関係では、液圧プレスと機械プレスがこういう割賦販売の形態を若干ずつでも備えておるということと、それから中小企業に早く備えさせたい、こういう両面から、現在のところでは、プレスに関しましては二種類を考えておるわけであります。
  219. 天田勝正

    ○天田勝正君 そこで、今中小企業の話になりましたから、重工業局長に聞くのもあるいは無理かどうか知りませんけれども、しかし、重工業には違いない中小企業、こういう範囲で質問するのですが、今あなた方の方で指導しているのが精度の高い工作機械であるならば、私が今たまたま鍛圧機械のところで指摘いたしましたように、必ずしも大きな仕事が中小企業でできないというのではない。ただし、これは単純化さなければならない。たとえば精度の高いプレーナーならプレーナーというもの、これは小さい工場では必ずプレーナーは備えているのは、今の形は大部分は、小さい工場なら小さい工場なりに、小さいのを使っている。ところが、そうでない、よろず屋式にやらぬで、たまにはそういうのがあるのですが、ものすごい大きなプレーナーを、その一つの建物一ぱいのようなプレーナーを二台しか備えていないというところもある。しかし、この方が、反復してそのプレーナーという機械の仕事だけをさせるために、全部が技能者になってしまうというと、非常に仕上がったものが精度の高いものができる、こういう効果があるのです。これでりっぱに業績をあげているところもあるので、だから、私にすれば、今後そういう小さいところをほんとうに近代化していったら、また経営者も従業員もともに所得も十分大企業と同じように確保されるのは、そういう専門業種式にやっていかなければ、これは僕はだめだと思う。そうでなければ、他に太刀打ちはとうていそれはできっこないと思うので、せっかくこういうおもしろい——おもしろいと言っちゃあれですが、斬新な保険制度を作った、そうであれば、その方面の指導も私はしてもらいたいという希望を持っておるわけなんでありまして、従って通産省の方でそうした機械の中小企業の育成、こういうことについて今どういうふうに考えておられるか。単に今までのように平らに、下請だから下請なりにあれをするというのじゃなくて、少しく構造のそれこそ改革をやらせて専門化する、こういうことも、これは考えてほしいというのが私の方の希望ですが、今通産省ではそういう点をどう考えておられますか。
  220. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) この信用保険臨時措置法でも、この点は若干ねらっておりますが、ただいま先生の御指摘の点につきましては、機械工業振興臨時措置法というので、主として御指摘の点を解決するように努めておるわけであります。これは現在機械工業のいわゆる共通部品とか、あるいは基礎機械だとか、あるいは今度改正いたしましていわゆる完成機械も若干ずつ追加しておりますが、主として基礎部品、共通部品といったもののいわゆる合理化、近代化をねらって、過去五年間施行して参ったわけであります。今度はそれをさらに拡充いたしまして、機械工業審議会にかけまして四十業種を指定しておりますが、それぞれの部品につきまして、どういったような種類のものに単純化し、それをどれくらいの生産規模にし、どれくらいの性能のものにし、どれくらいの価格のものにしろという一定の基準を示しまして、その示しました基準に合致するものにいわゆる開銀あるいは中金の金を優先的につけて新機械を備えさせるというふうに指導して参っておるわけであります。
  221. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは希望でいいのですが、私は、さっきから指摘した点につきましては、よく一つ通産省でも研究してもらいまして、せっかくこういう制度ができたのですから、それと組み合わせによって精度の高いものを作って、中小企業も、中小企業の作ったものだから悪いのだというのじゃ困るのであって、いいものを作りながら所得も確保できると、こういうふうにしてもらいたい。  たとえば、この間も機械の専門誌に出ておりました。ネジ一つ切るにしても、あらゆる機械が、今まで日本のネジを使うと、ネジ山の精度が一定しておらないがために、ゆるんでくる。これは御承知通りです。ところが、残念ながらドイツ品なんかは、これはゆるまない。ネジ山の精度がいいという一点にかかりておる。ところが、それをそれぞれの工場で今までのところ丸棒を勝手に削っておる。ところが、これは資材の損失も激しいのであって、この間雑誌に出たところによれば、まず最初におおよそのネジ山に該当するような形をプレスかなんかで作ってしまう。あとわずかなところをねじ切っていくのだからして、資材にすれば六〇%くらいで済む。四〇%はくずにならないというのですね。そういうことで、なおかつ資材を節約しながら、かつその精度の高いものが作れる、こういう実績もあるのだから、こういう制度と組み合わせるということに一つぜひ御研究を集中してもらいたいと思うのです。  次に、もう一点、これも結果は御注文申し上げるという結果になるかもしれませんが、工作機械は先般、今度の制度の中へあなた方の方で組み入れられておる。ところが、過日まあ定盤の例を引いて私が指摘したのですけれども、機械一般が大てい鋼材部門と鋳物部門と二つに分かれる。もっとも汽車の連結機みたいなものは鍛造品一方ということになるわけですが、多くは鋳物部分と鋼材部分。そうしますと、一番狂うのが鋳物部分で、これが、なかなか機械工業というのは急速な発達はむずかしいというのはここにあるので、素材を三年くらい枯らさなければ狂わない品物ができないはずなんです。それを熱処理等で半年くらいに切り上げるということは、必ずしも不可能ではありませんけれども、しかし最低まず鋳物を鋳ってからでき上がるまで一年くらいかからなければ、まずだめだ、どういう処理をしても。ところが、こういう制度によってせっかく中小企業に安い、精度のいい機械を与えてやろうという企画はいいのだけれども、このことのために、今度は枯らさない鋳物を使った粗雑な機械がたやすく渡るようになったのでは、今度は、われわれも賛成し、あなた方も指導するところがくずれてしまう。やはりあくまでも精度の高い機械をやすやすと中小企業に与えてやるということを貫かなければ、この親法である賦払臨時措置法もこの特別会計も所期の目的をあげることができない、こういうことになります。ですから、それらについての監督はどうしますか。それですよ、問題は。
  222. 佐橋滋

    政府委員(佐橋滋君) ただいま御指摘のように、工作機械は明らかに鋳物部分と鋼材部門になるわけでありますが、鋳物部分について、先般も先生から、いわゆるシーズニングの問題があったわけであります。御承知のように、鋳物関係というのは、刀かじと同じように、父子相伝のようなやり方でずっと小さな企業が乱立しておったわけでありますが、名古屋の試験所でも、川口の試験所でも、最近総合鋳物センターを置きまして、従来のいわゆる勘による方式から科学的な管理方式に変わってきつつあるわけでありまして、先生御指摘のシーズニングの点につきましても、大部分は現在七百度程度の熱処理をやることによってシーズニングの期間を非常に短縮するというようなこともやっておるわけであります。そういう技術面での指導を十二分に行き届かせまして、粗雑な機械をこの制度に乗せるというつもりは毛頭ありませんので、優秀な新鋭機械を中小企業のお手元に配りたいというのがねらいでありますので、先生の御指摘の点につきましては、十分目を行き届かせまして指導していきたいと、こういうように考えております。
  223. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  224. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  226. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は、ただいま議題となっております機械類賦払信用保険特別会計法に賛成をいたします。  これは親法であります機械類賦払信用保険臨時措置法、すでにこれはあがっておりますが、この法律と抱き合わせによって日本の中小企業の近代化を促進する効果を上げるわけでありますが、これを実施する場合に、新しい制度だけに、私はなかなか運営は困難であろうと存じます。  特にこの際希望いたしておきたいことは、今日までわが国の中小企業が作りまする工作機械類が、東南アジア地域に輸出されておりましたことはもうすでに三十年も前からでございますが、そういう際に、残念ながら欧米の機械類と比較いたしまして非常にひずみが多いのでありまして、かりに同じ工場で同じ素材を使って、そして同じ技術者と同じ設計をもって作った機械十台持ってきた場合に、三年たったときにはアフター・サービスにある部分部分品が破損したからそれを送れ、こういうような場合に、それを送ってやると、どれ一つにも当てはめることができない、こういう実情にあったのであります。ここにこの新しい制度によってこれらも払拭していくということが、将来の私は大きな日本の機械工業の目的でなければならない、こういうふうに考えるのであります。そこで、その前提としては、中小企業工場に対しても、すべて精度の高い近代化な機械が手に入るように、これがまず先に行なわれなければ、その次のこの機械輸出などということも十分になし得ないと思うのでありまして、これらのことを考える場合に、特にここに三種類、工作機械、それから鍛圧機械、道路建設機械、こういう三つの分類になっておりますが、特に工作機械の場合は今後の監督も厳重にしてもらいまして、中小企業が手に入れる新たなる機械が案外この制度で売れるというところから、メーカー側が粗雑なものを作る、こういうことでありましては、この制度の目的がくずれてしまうのでありまするから、これらの点について商工当局においては十分監督を厳にいたしまして、常に機械を作るもとの工作機械が精度の高いものであるということだけは、これは確保していただかなければならない、こう存ずるのであります。  こうした希望をつけまして、どうか親法である臨時措置法とこの信用保険特別会計法との有機的な組み合わせによって、中小企業の近代化のために資していただきたいということを申し述べまして、賛成の意を表するものでございます。
  227. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も、社会党を代表しまして、本法律案に賛成をいたします。  本法律案が中小企業の設備の近代化、あるいは機械工業の振興というような目的で作られ、そうして二億円という予算が計上されております。中小企業のための政府の出資としてはこれは非常に少ないといえば少ないのですが、まあ今後もっと大きくなるとか、あるいはどうこうなるということは、今後の経済界における、あるいは日本の機械工業化の方向であると思うわけですが、問題は、初めてのことである、こういうふうに重工業局長も質疑で率直におっしゃいましたのはまさにその通りであると思います。審議会で運営をやっていって、そこで設備機械、メーカーのリストができ、機械のリストができるということが明らかにされました。ほんとうにすべり出しというものが非常に大切だと思いますし、そういうようなことが審議会の運営の仕方であってみたり、あるいは政令のよしあしにかかってくると思いますから、一つそういうような点については十分御配慮を願いたい。  なお、これらの運営の衝に当たられるお方たちが、何か職員の方が十八名ということも、何かのときに読んで承知しておりますが、ほんとうに十八名の方がまじめに一つ中小企業の振興のために御努力されていただくならば、この上もない幸いだと考えます。十分一つ中小企業のために今後りっぱな運営のできますことを心から希望をいたしまして、賛成の討論を終わります。
  228. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。機械類賦払信用保険特別会計法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  230. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。  速記とめて。   〔速記中止〕
  232. 大竹平八郎

  233. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 次に、税理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  234. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まず最初に、公式には問題にならなくて、プライベートに問題になりました「当分の間」ということです。附則の項のうち、前は「三十一年七月一日から五年間に限り」というのを、期間が来たから、今度は「当分の間」と、こういうふうにするという今度政府案が提出されておりますが、「当分の間」とせられた理由、それから当分の間というのは何年くらいを、あるいはどのくらいを予定してお見えになるのか、御説明願います。
  235. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) お答え申し上げます。今回税理士制度の改正の一部といたしまして、特別試験を延長する提案をいたしているわけでございます。原案では「当分の間」とありますが、この点につきましては、従前税理士会連合会としばしば打ち合わせいたしまして、今後の試験制度並びに税理士制度のあり方全般の問題について、今後政府と業界と十分に検討していこう。その上で将来、試験制度、税理士制度全般を含めまして成案を得たら、いずれ上程する見込みであります。そのおよその目途としては、三年くらいかかるのではなかろうかということをお話し合いしておったわけでございまして、政府といたしましても、もしできれば、この税理士制度全般を調査するために、来年度は特別調査会のようなものを設けさせていただいて、そういう公式な機関にかけまして詳細に検討を行ないたいと、かように考えておるのであります。  何分、その調査会を予定しておるものでございますので、はっきりしたことはこの調査会の検討を待たないと言えませんが、大体今後三年間くらい、調査会ができてから二年間くらいの間には成案が得られるのではないか、こういうつもりでおったわけでございます。従いまして、今の腹づもりでは今後三年くらい、こういう見込みでございます。
  236. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 特別調査会を設けられるというようなところは、私は前に、五年に限るというときに、何かの私は結論を得られるものと実は期待しておったのです。五年をまるまる何もされずに遊んでおられた、と言ってはあるいは言い方が悪いですが、事この問題については何もやってお見えにならなかったのかどうかという点ですが、まあそれとともに、今後特別調査会を設けてやると、こうおっしゃいますが、その特別調査会というのは、何か大蔵省の規程といいますか、法律といいますか、省令といいますか、そういうようなものに基づいておやりになるのか。そうではなくて、ただ単に特別調査会という格好でおやりになるのかどうか。その次は、もし調査会というものを設けられるとするならば、どういう構成でおやりになるのか。単に、今ちょっと伺っておりますと、税理士の会の方ときめてやっていこうというだけの問題かもしれませんが、この問題は、実は、御承知のように、特別試験の問題とからんでおりまして、現に国税庁の職員人たちも重大な関心を持っておる問題だと思うのです。そういうような点も何かの反映をされる私は必要があるだろうと思いますから、その構成はどういうふうになっておるのか、あわせて一つ承わりたい。
  237. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 前段の、過去五年間何を勉強しておったかというお話でございますが、この前、三十一年のときに特別試験制度を経過的に設けていただいたわけでございますが、その際の理由といたしましては、何分にも現在の税理士試験制度というものは筆記試験を中心にしておる。従いまして、どうも、かりに税務あるいは会計に明るくても、答案技術という点からいいまして、どうも年配の人は筆記試験をすると落ちるという問題がある。これから入る若い人たちは一般競争試験で入るわけでございますが、当時四十才から五十才、五十八才ぐらいまであるわけでございますが、その辺の方は十分なる知識を持ちながらも、なかなかうまくいかない。それらの年令層のため、いわば実務試験を中心にして、一般試験には口頭試験はございませんけれども、この特別試験におきましては口頭試験という制度を導入いたして、そこで実際の形にとらわれずに、はたして実力があるかどうかということを試験するような制度を作らしていただきたい。およそ年令層を見て、五年ぐらい見ればそれらの年配の人たちが一巡するのではなかろうか、こういうことで設けさしていただいたわけでございます。  そこで、当時といたしましては、税理士制度全般のあり方との関連においてこの試験制度を考えるということはなかったのでございますが、そのときは、最近におきますいろいろな試験のあり方、その他及落のあり方とか、こういうものを問題を見てみますと、その辺がやや問題だ。もう一つは、この税理士制度と申しますのは、たとえば公認会計士制度とかそういうものと違いまして、業務範囲が非常に広いのでございます。一番簡単な業務といいますと、申告書を単に作成してやるという司法書士的な業務から、税務相談に応ずるという税理士固有のものから、いわば公認会計士でいう監査証明にやや類似した高度のことまであるわけでございます。従いまして、その事業の形態を見ましても、一人でやっておられる方もありますし、それから五十人以上の使用人を使ってやられる方もある。極端になりますと、百人以上の使用人を使ってやられるという形態もあるわけでございます。そうなりますと、一体税理士の資格を与えて税理士の仕事をやっているとはいうものの、その辺の限界はどういうものだろう。それから、非常に何といいますか、簡単な事務から高度の事務までこれを一律の試験でやるということ自身がどういうものだろうか。また試験制度一般といたしまして、今のような筆記中心の、しかも理論に偏した——偏したと申しますと語弊がありますが、そちらにウエートのかかった試験をやるというのはいかがなものであろうか。こういう税理士制度全般の問題と、それから試験制度のあり方の問題、これらが非常な疑問になりまして、この問題は、やはり将来いい税理士制度を作るために根本的に検討せざるを得ないんじゃないか、こう思いまして、今回はその意味もありまして、とりあえず当分の間、まあ腹づもりでは三年間ぐらいということは話してあるわけでございます。  それから、後段の、調査会というのはどんなものかという問題につきまして、ただいま考えておりますのは、もちろん、これは法律に基づく調査会を来年度提案して通していただいて、その上で人選ということになると思います。従いまして、まだ人選その他のあれは具体的には考えておりませんが、おそらく試験制度の問題、業務のあり方の問題でございますので、まあ公法、私法全般的に各界の学者にその方面で当然知恵を拝借せざるを得ないだろうと思いますし、またその実務の経験のある方々、こういう方々にも入っていただく。それから、税理士会の方からも当然、事情精通者でございますので、こういう方にも入っていただく。そうして各般の方面の人たちに入っていただきまして、人選を根本的に検討しないと無理じゃなかろうか、こんなふうに考えておるわけであります。
  238. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、特別試験を残す方がいいのか悪いのか、あなた方の御意見はどうだ、こういって聞きたいのですけれども、御答弁はなかなかしにくいかもしれませんが、まずこれを一つお答え願いたいというのが一つと、二番目にお答え願いたい点は、大福帳から簿記に変わり、そして税制が申告と申しますか、自分の方から進んで納税をするというような方向でいろいろとあなたの方では御指導になっていると思うのですが、一体税理士さんが普通の事業世帯数に対してどのくらいあったら大体いいものか、先進国家までいかないのですけれども、中進国家ぐらいの日本としては、税理士さんがどのくらいあったらいいかというようなことについても、私は当然調査会で問題になり、これがひいては試験制度にもからんでくると思いますが、どういうようにお考えになっているのか、まずその二つをお答え願います。
  239. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 今後特別試験を暫定的に残していただきたい。その趣旨は先ほど申し上げましたが、まあそれは絶対に残さなければならぬというふうなことは、まだ今のところ非常に疑問がある。そこで、将来は改正の方向にいかざるを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。そういった意味で、やはり従来の特別試験のようなものはこの際は残していただくのが穏当ではなかろうかというのが、われわれの偽らざる気持でございます。  それから、どれくらいあったらということですが、これはなかなかむずかしい問題でございます。  現在登録をされておる税理士の数は全国で約一万一千ございます。その中で活動なさっている方が、おそらく七千人くらいかとわれわれは推定しております。それくらいあります。どれくらい一体関与をして——関与といいますか、納税者に関係しているかといいますと、個人の営業所だけ取ってみますと約四十万、法人六十万でございまして、そのうち税理士さんが関係されておる件数は約五〇%で、一人当たりの件数にいたしますと五十六件程度でございます。全般的に一体どれくらいの需要があるかということになりますと、なかなかわかりませんし、おそらくまだ過剰ということはないと思います。  それから、もう一つ、関与の仕方の問題でございます。一つは非常に簡単な関与の仕方でございますと、これはそんなに要らないと思います。申告期に申告書を書いてやるというような仕事でございますと、これは税理士会でも無料でやっているようなところもございますし、その他の機関もございます。ただ、ほんとうに納税者の利益をはかって、現行の税法を全部読み通して、この人には最もいい経理の方法はどうかという関与の仕方までいきますと、これは非常にむずかしい。特に少し大きなものになりますれば、何件も受け持つわけにはいかないだろうと思います。まあ、一人の方が五十六件というようなことを見ましても、関与の度会いがまだ非常に実際納税者の望んでいるところよりも浅いのではなかろうかというようなことを、われわれはうかがわれるわけでございます。まあ全般として過剰であるとは、まだ思っておりません。
  240. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次に、改正の大きな点として、税理士会連合会が自主的にいろいろなことをおやりになるんですが、御承知のように、弁護士会は一つの大きな権限を持っておるわけですが、将来税理士さんたちの地位を高めるために、方向としては弁護士会のような方向へもっていこうとしておいでになるのかどうか。ここではまだ不十分なことはよくわかりますが、指向している方向はどういう方向であるか。
  241. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) おっしゃる通り、将来は、弁護士会と法律的の性質は若干違いますが、その自主性の強さにおきましては、弁護士会に匹敵するようなところまでもっていけるような状態が出現することを望んでおるわけでございます。と申しますのは、具体的に申しますと、最後には、今の懲戒権はまだ国税庁が留保されておるわけでございますが、そういう権限まで税理士会は持ってもうまくいくと、こういうような状態になれば非常にけっこうなことではないかと思っております。
  242. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 法案の四ページの二十四条の二ですね。「登録を拒否された場合等の異義の申立て」ということで、長官に申し立てができるわけですが、これは書面審査を行なうことになると思うんですが、私はこんなことを自分がおやりになるとは思わないわけです。何か長官の下にあるどっかのセクションでおやりになるのか、それとも何か国税庁長官の下にこの異議申し立てについて審査をされる機関を設けられるのか、どういうふうな運営をされるか御説明していただきたいと思います。
  243. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは税理士法の第二十四条に登録の拒否事由ということが法定されておるのでございます。これを今度の案でいきますと、連合会がこの拒否事由に照らしてみてこれは登録の拒否をすべきである、こういう判定をした場合に、当人に異議があるときの申請でございます。従いまして、法律で書いてございまするたとえば懲戒処分により弁護士の業務を停止された者で、現にその処分を受けておるものとか、こういう事項は非常に簡単なわけでございます。それから、報酬のある公職についている者、国会議員は除くとか、こういうことが書いてございます。それから脱税犯の行為があってから二年を経過しないもの、こういったものはいずれも機械的でございます。ただ、五号六号で、五号では「心身の故障により税理士業務を行わせることが適正を欠く虞がある者」、六号では「税理士の信用又は品位を害する虞があり、その他税理士の職責に照らし税理士としての適格性を欠く者」、この二号あたりがかなり実績の判断を要する問題だと思うわけでありまして、この点について先生の御心配があるんじゃないかと思いますが、出て参りましても、これは従来でも国税庁みずから取り扱って参りましたが、これは下部に特別の税理士係がございまして、これが全部調べまして、各方面に照会いたしまして、それから本人にももちろんいろいろの陳弁を聞くわけでございます。そういたしまして、国税庁で関係の全体の会議を開いて、その上でどうすべきかということをきめておるような実情でございますので、実際問題として五号、六号を発動したというのはまだ私は存じませんですが、これの形としては全体の関係会議を開いてきめるので、御心配ないと思います。
  244. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと話が前後して悪かったのですが、十ページの四十九条の十七の第五項に「会長が、大蔵大臣の承認を受け」となっている。それで先ほど、まあ税理士会連合会というものを一つ自主性を高めていこうという方向にある、懲戒権が実はまだなくて大蔵大臣か国税庁長官が持っているという話ですが、こういうふうに「会長が、大蔵大臣の承認を受け」と、実質的なことは別として、形式的にこういうようなふうに、たとえば弁護士会もなっているのか、あるいは司法書士の人たちも私は問題があると思うわけですが、司法書士のことは、これは法務委員会か何かになると思いますが、形式はみんなこんなふうになっているのか。何かこう見ると、大蔵大臣が非常に監督権を発動するようなふうで、どうも格好が悪いように思いますが、何かこれは特別な意味があるというのか、どういうような運営をされようとするのか。
  245. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは弁護士会につきましては、今登録事務は全部弁護士会そのものが持っているわけでございますし、それで従いましてこういう事項は当然ないわけでございます。司法書士の方は、今ちょっと記憶がございませんが、後刻調べてまた御報告申し上げますが、税理士法でこういうふうにいたしましたのは、実はいろいろ税理士会とも相談したのでございます。それで、まあ一つは認可という問題と、それから会長全部にまかすという問題と、どの辺がよかろうかということを率直に会と相談したのでございますが、現在の段階では、やはり一ぺん目を通してもらって、慎重に運営していった方がよくないか、こういう、ちょうど今の税理士会の、何といいますか、自主性の発達の程度が、ちょうどこの辺じゃなかろうかというふうに考えまして、この辺が両方の連絡もいいしということで、この辺に落ちついたわけでございます。
  246. 天田勝正

    ○天田勝正君 私、一点聞きたいと思うのですが、まあ国家試験のうち、新制度が開かれる場合に、旧制度のもとにおられた人を切りかえる、そういう場合に若干クッションを置かなければならない。こういうことは他のすべての試験制度でそうなんでありますから、まあこれはやむを得ないことなんです。ただ、その特別な扱いをするということが、主税局長は立場上、いろいろあっちからもこっちからも陳情を受けるものだから、しようことなしに中をとったようなことで、しばらくの間一つ特別扱いを存続するというくらいの答弁をされるにきまっているのだけれども、私からいえば、どうも実務はえらく達者だけれども、答案技術が下手だからというのでは、とてもおかしいと思っている。主税局長自身も、そう答弁しながら、およそおかしいと思っておられるのじゃないかと思うのです。それは一般試験、進学試験のようなもの、入学試験のようなもの、こういうものなら、確かに学校出てすぐ次の試験を受けた方が都合がいいし、何年もたってしまえばこれは工合が悪いということは、だれもの常識なんです。しかし、ある特定の職業についているという場合は、前の学校を出たときよりも、はるかに高い知識も得られるのですよ。それが普通なんです。それがなければおかしいのです。われわれごときものであっても、これは小学校しか出ません。あと何も知識が付加されないといったら、ここで皆さんと話をすることもできない。ところが、やはり銀行に勤めてみたり、会社に勤めてみたり、自分で事業をやってみたり、さまざまなことをやった。ですから、学校時代の理屈を忘れるどころか、それがますますみがかれて、その上にはるかにプラス・アルファなりベーターなりというものがついた。ついたから、皆さんの仲間入りをしている。ですから、特別試験といったって、理論的なのものを忘れてしまって実際だけができるなんという、そんなことはおよそおかしな話なんです。これはほんとうは何でしょう、結局しばらくそうしておかなければ、なかなか不平があって工合が悪い、そういうことになるのじゃないですか。それはどうなんです。
  247. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 天田先生は試験の上から御質問でございましたが、先ほど申しましたように、われわれは税理士業務の内容の上からこの試験制度のあり方を考えたのでございまして、おそらく個人所得税の税務相談でありますと、むずかしい会計技術ですね、複式簿記とかそういった知識はあまり要らない。むしろ税法に関する知識が中心になるのだろうと思います。法人税のようなことになると、税法ももちろんでありますが、同時に、会計に関する高度の知識が必要であります。それから、資産税になりますと、これは会計事務は要らないはずであります。ただ計算ができればよろしい。固定資産税あるいはそういったものも、やはり同じようなものだろうと思います。現行の制度は、会計学と、それから税法ですね、すべて一律に課しているわけなんです。この辺にやはり若干の問題があるのじゃないか。それから、これは何と申しますか、特別試験がどうだとかということが問題ではございませんが、試験の出題傾向にもよるかもしれません。われわれよく聞くわけでありますが、税務官庁でも年をとってだんだん課長になって、署長になっていくわけであります。課長あたりが一番知識も経験も深くなっている。この人たちが割合と合格率が少なくて、入ってしばらく、二、三年たって一生懸命勉強した人がよく通る。これを何と見るか。見方はいろいろあると思いますが、そういう税理士業務の内容というもの、それを試験の結果から見まして、やはりわれわれそこにもっと根本的に考えなければならない問題がひそんでいるように思われるわけでありまして、それだから、特別試験は永久化してやると申しておるわけではございません。ただ、この問題は、やはり真剣に検討をするに値する問題だというふうに考えておるわけであります。
  248. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最後に、私は主税局長さんの答弁を、非常にあなたとしては言いにくいことだが、特別試験は残した方がいいか悪いかということについて端的にお話し願いたいと言いましたら、現時点とおっしゃったのか、いわゆる当分の間特別調査会で結論を出すまでは残しておいた方がいいというものじゃなくて、事後もずっと残した方がいいんだというようなそういう御意見だというふうに受け取ったのですが、間違いはないでしょうね。
  249. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 先ほど申し上げましたのは、その結論が出るまでは少なくとも残していただきたい。その結論が出ますれば、どういう結論になるか知りませんが、これらの全体の問題について全部まとめた一つの答案が出るだろう。そのときはその段階で考える。答案が出る期間として、およそ三年ぐらいというふうに考えておるわけでございます。
  250. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 僕は当分の間ぐらいのことは、あなたから説明されなくても、この法律案が提案されているから、そんなことは聞く必要はない。だから、それ以後のことを聞いておるのです。わかったような答弁はいいですよ。それ以後のことをどうされるかということを、非常にあなたは言いにくいだろうが、御答弁を願いたい、こういうことなんです。
  251. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) これは調査会でどういう結論が出るかによりまして、調査会の意見はまあ尊重してやるつもりでございますが、個人的の見解として調査会の意見に完全に賛成かと言われますと、そうでない場合もあるかもしれませんが、その後のことは、今からちょっと予測で申し上げるわけにいきかねるのでございます。
  252. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いやいや、調査会の結論が出たら、それに賛成か反対かといって聞いているのじゃないのですよ。現在あなたの心境としてはどういうふうにお考えになっておるのか。これは三年先の話ですよ。
  253. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) 端的に申しますと、今の特別試験でやっておりますような実務を中心とする試験制度を、一般試験の中に導入すべきではないか、こう考えるのでございます。
  254. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、附帯決議案は討論中に御提出願います。
  256. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 社会党を代表して、本法律案に賛成をいたします。  賛成の第一は、税理士会連合会が、今回その自主性を高めていく方向に法案を提出されたという点については、非常に賛成でございます。とかく脱税の相談相手ではないかというようなことをいわれる方もおられますけれども、私は多くの税理士はそうじゃなくて、まじめに税務行為をやっておいでになる。従って、そういうお方たちに対しまして、まあ弁護士会が非常に自主的にうまく運営をしてお見えになりますが、そういう方向に今後行政指導をされて、最終的には弁護士会のようなふうに自主規制をされていくならば、非常に日本の税法全体についていい結果をもたらすものとして、まず第一に賛成をするものです。  第二番目の問題につきましては、「昭和三十一年七月一日から五年間に限り」ということになっておりますから、三十六年の七月一日から特別試験の問題がなくなってしまう。それに対して特別調査会をもって今後十分検討をしていく、その方向は実地試験というようなものに重点を置いた方がむしろ適切ではないだろうかというような主税局長の御答弁も承わりまして、それが何を意味しておるかというようなことも、大体この雰囲気から私どもは察知するわけでございます。従いまして、十分こういうような点については、今度はもう延ばすということのないように、十分一つ調査会の方で検討をされ、結論を出していただく、そうしてこの委員会がどの方向に希望しておるかという点を十分一つ反映をされるということを期待を申し上げまして、賛成をするわけでございます。
  257. 天田勝正

    ○天田勝正君 私も、税理士法の一部を改正する法律案に賛成をいたします。  その賛成のおもな理由は、まず第一に、戦後わが国は非常に国家試験の数が多くなったのでありますが、その数々の国家試験のうちでも、弁護士、公認会計士、税理士、技術士、あるいはまた特許弁理士等は、いわゆる知識労働のトップ・クラスにあるものでございまして、そうした地位の方たちが自主性が十分当該団体において発揮することができないということは、もともとこれはおかしいのでありまして、今回この法案の改正によりまして、少なくとも税理士連合会は一歩前進して自主性を確保することがここにできたわけでありますが、そういう点からも、むしろただいま成瀬委員からも指摘されましたように、この自主性は拡大こそすれ、これを逆戻りをさしては相ならぬ、こう考えおりますが、いずれにしても、自主性を付与されたのでありますから、この法案はぜひとも通したいと、こう考えます。  第二の点は、これはやむを得ざる措置でございまして、本来からいいますと、この特別試験の制度は、かつて五年前に衆参両院の大蔵委員会において全会一致をもって、議論の後に、五年間あるならばこれは十分なりという観点に立ち、そういう当局側の説明であり、われわれもそれを了承して賛成をしてきた。ところが、すでに今日その結果が、結論がここに出ておらなければならないわけでありましたけれども、現在まで出ておりません。出ておらなければ、つい七月になりまするというと、この特別試験というものは消えるという結果になる。そういたしますれば、またあらためて法律を提出するという方法もございますけれども、一応ここに中断するということは、この際結論が出ないままでは妥当ではないと考えます。そこで、いずれにしても、この法律の示すごとく当分の間これを存続せしめまして、今後しかるべき検討をしなければならないと存じます。そこにおきまして、私は、この特別試験を今後どうするか、このどうするかの細部まで本委員会において差し示すことは困難でございますけれども、ここに附帯決議を付しまして、次のごとくしたらいかがかと存ずるのであります。  附帯決議案を朗読いたします。  こういうことであります。従いまして、その意味するところは、三年間で全部打ち切るということを意味しておるわけではございませんで、三年間のうちに十分検討をして、今の特別試験制度をいかがするか、こういう意味でありまするから、何人もこれは御異議はなかろうと実は自負いたす次第でございます。どうかこの附帯決議案に御賛成下さいますようお願いいたしまして、私の賛成討論を終わります。
  258. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  259. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。税理士法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  260. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中に述べられました天田君提出の附帯決議案を議題といたします。天田君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  261. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 全会一致でございます。よって、天田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
  263. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) ただいまの附帯決議案に対しましては、御決議の趣旨を尊重いたしまして善処をいたしたいと思います。   —————————————
  264. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 次に、食糧管理特別会計に関する件を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  265. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をつけて。
  266. 野溝勝

    ○野溝勝君 米価が、この六月決定になりますので、本委員会といたしましても、食糧管理特別会計問題がすでに議題になりまして、一応質疑は相当行なわれたわけでございますが、この際、これに関連いたしまして質問をしておきたいと思うのであります。  特に、食管特別会計によりますると、本年度の、三十六年度の国内米の売り払い代金が四千百六十六万一千二百万円、三十五年度は四千百九十一万三千四百万円、前年度よりは売り払い代金が少なくなっています。さらに、国内米買い入れの歳出と対比して見ると、三十六年度は三千九百五十三万七千八百万円、   〔委員長退席理事上林忠次君着席〕 三十五年度が三千七百九十四万九千二百万円。そこで、この米の売り払い代金でございますが、三十五年度よりは三十六年度の方が少ないというのは、一体どういうわけでございますか、この点一つお伺いします。
  267. 家治清一

    説明員(家治清一君) お答え申し上げます。御指摘のように、三十六年度は三十五年度に比べまして買い入れ代金がふえておりますのに、売り払い代金が減っておりますのは、これはこまかくいろいろ理由がございますが、おもな理由を申し上げますと、第一は、政府の売り渡し価格が卸、小売の販売手数料の引き上げの関係がございまして、そのために政府の……。
  268. 野溝勝

    ○野溝勝君 ちょっと忠告しておきます。本質問は与党委員の注意を促す重大な問題でございます。この際、与党の諸君も聞いておいた方が非常に参考になるのでございますから、出席を促すよう注意してほしい。
  269. 上林忠次

    理事上林忠次君) きょうは特別な行事のある人が多くて大へん……。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  270. 上林忠次

    理事上林忠次君) 速記をつけて。
  271. 家治清一

    説明員(家治清一君) そういう関係がございまして、政府の売却価格が引き下げになりますので、そのために減りましたことと、それから、これは工業用途に向けます米の価格を、三十六年度は三十五年度に比べまして若干政府の売り渡し価格を引き下げております。こういうような原因が、前年度に比べて三十六年度の方が、通年十キロ配給にいたしましたことによりまして、配給量がふえる見込みを実は上回りましたために、売り払い代金が減ったのでございます。買い入れにつきましては、これは一応三十六年度、これは補正をいたしました額に比べますならば、三十五年度よりは少ないのでございますが、当初予算に比べますと、買い入れ量が三十五年度に比べて三十六年度はふえておるのでありますが、補正いたしました予算に比較いたしますると、三十六年度は三十五年度に比べまして実質は減っておるのでございます。
  272. 野溝勝

    ○野溝勝君 われわれは現われた数字から判断をし、質問をするのでございます。今の経理部長の御説明のようなことがここに説明的にも書いてない。またカッコして、それが補正予算の分が入っておるというようなことも、ここに説明的になっておらないのでございますが、今後は説明を少し付記しておいた方がわれわれの検討に便利になるのですから、その点は一つ御注意願いたい。  次に、私、経理部長にお伺いしますが、大体本年度の米価がきまらぬのに、すでに予算に三十六年度の米価が百五十キロ当たり一万四百五円、主食用配給量は一人一カ月十キログラムとして、ここに算定をされて数字が出ておるのですが、これは予算でございますから、一応こういう数字を出されるのでございますが、もし米価審議会におきまして価格決定をした場合には、どうなるのですか。
  273. 家治清一

    説明員(家治清一君) お尋ねの点は、これは非常に政策的の問題でございますので、私から的確にお答えするのは口幅ったいのでございますが、ただ、今の例から見ますと、予算米価は一応やはり予算の歳入歳出、それである程度の歳入の見通しをつける上で必要でございますので、ある基準、たとえばことしの米価でいいますと、三十五年産米の基準となりました三等の価格、これを一応とっております。とっておりますが、現実に決定するときには、これは米価審議会の意見を聞いて、政府が検討をされてきめる。その際、予算できまっておりまする単価そのものが特別に拘束をするというようなことでなく実施されておりますので、本年度の米価がどういう工合にどうなるかはちょっと私からは、今のところ何ともお答え申し上げかねますけれども、過去の例に照らしますならば、予算米価は実行米価を厳重に規制するということにはなっていない、こう思っております。
  274. 野溝勝

    ○野溝勝君 ここに問題があるんです。予算米価がきまった後、米価審議会が開かれるのは、いわゆる百姓のおなぐさめにできているということになるんでしてね。いつも審議会で米価をきめても、政府では予算をたてにして審議会の答申に応じない傾向にあるんです。ですから、米価審議会はいつも無力となり、不平満々なんですが、こういう点は間違っていると思うんです。もちろん、政策的の問題でございますから、あなたに追究し、また質問をしても、大臣でないから、明確なお答えもないでしょうから、いずれこの問題は後刻大臣なり食糧庁長官をお招きしてと思うんですが、あなたに私の意見も聞いてもらい、またあなたも意見のあることについて率直に答えてほしい。米価決定のやり方は長い間問題になっているんです。ですから、米価審議会で、予算米価との結合関連が不明瞭である。前年度と同じ数字でなく、あなたの方で大蔵当局と相談をされて、弾力のある数字を示されておいた方がいいと思うんです。と申しますのは、すでに物価も、消費物価は四%上がり、卸売物価が一・八%上がっていることは、これは現実に認めているんですから、経済企画庁においても。また与党におきましては、すでに本年度は米価を三百円ないし四百円上げなければならぬ、そういうことを言われているわけなんです。あまりにも私は予算米価との開きが大き過ぎる。結局はこの予算米価を基本にして、今の百姓の米価に対する生産費の所得補償に対する要求を押えようとする謀略というものがここにあると思うんです。食糧庁長官と十分相談をされて、あとでお答えを願いたい。  そこで、あなたにお聞きするのは、今日まで私の申したことが問題になっておったかどうかということを一つお伺いいたしたい。   〔理事上林忠次君退席、委員長着席〕
  275. 家治清一

    説明員(家治清一君) お答え申し上げますが、予算米価がきまるときに、特別に実行米価はかくあるべしという意図をもってきめるが、こういう点についてお答えしたいと思いますが、これは先ほどお答え申し上げましたように、特別に内外産米をこの価格に押しつけるのだとか、あるいはこの価格でやれば十分だとかいうような、特別積極的な理由をもっているのではございませんで、一応予算を組みます以上は、何らかの予算単価を計上しなければなりませんし、予算を編成いたしますときには、実は相当前の時点でございますので、その後の変化を織り込むということはなかなか困難でございます。従いまして、一応現在ある、つまり予算編成時におきまして、現在ある唯一の価格というものは、前年産米の、三十五年産米の買い入れ価格でございますので、それを予算の単価にしたと、こういうことでございまして、それ以上の特に強い積極的な理由は単価に関しましては私はないと思っております。  ところで、それで予算がきまった以上は、やはりこれをもとにして損益が積み立てられますし、それから全体の歳入出の規模がきまりますので、そこで、もし実行米価を決定いたしますときに、それと相当違った場合にそれはどうするか、ないしは、そういう違いが出ないように、結局予算米価が実質的に拘束するのではないか、こういう点でございますが、これは今後は、先ほど申し上げましたように、今までの例からいいますと、必ずしも厳格に予算米価が決定される米価を拘束したという事実は私はないように思っております。少なくともここ二、三年の間におきましては、そういう事実は具体的にはないように思っておりますが、ただ、全体として、国家財政とかあるいは自給度とか、あるいは生産費とか、いろいろな関連を総合勘案されます際に、もちろん国家財政に対する影響はある程度それは考慮される、そういう事実はあったろうと思います。
  276. 野溝勝

    ○野溝勝君 部長さん、予算米価をそのまま押し通したことはないと言われますが、基本米価以外が鼻くそほど変更しただけで、大体予算米価にとらわれておるので、それは今日までの経緯から見て明らかになっておる。あなたは、予算米価から見て少しふえた、だから必ずしも予算米価を固執したわけでないと、こう言うけれども、実際はそういうわけなんです。  そこで、あなたに私が今注文をしておくのは、この予算米価と米価審議会との関連ですが、この米価審議会というのを予算編成のあとでやってもだめです。ですから、予算の前に米価審議会を開くようにした方が、問題が明るくなり、また理解ができるのです。この点、大臣及び食糧庁長官が来ないのでまことに残念ですけれども、いずれも委員長は後刻これを招致するというわけでございますから、私は質問を留保しておきますが、あなたの考えをお答え願っておきたいと思います。それは米価審議会を今後予算のきまる前に開いた方がいいと思うが、その点に対してあなたはどういうふうに思っておるかということですね。
  277. 家治清一

    説明員(家治清一君) 私も、意見ということになりますと、実ははなはだ恐縮ですけれども、きわめて事務的な意見になるわけでございますが、実は予算の編成の時期は非常に早いのでございますので、かりに米価審議会をその前に開いて、そしてそこで出たものを予算単価にするという方式をもしとるといたしますると、これは非常に何といいますか、知られざる、アンノン・ファクターをたくさん前提としなければならぬように私は思いますので、相当これは問題ではないかと私は存じます。
  278. 野溝勝

    ○野溝勝君 この問題は政策問題も含まれておりますから、これはまた後日にすることにいたしまして、事務的の質問をこれからいたしたいと思います。  食管特別会計には、取り扱い品目の価格、数量等について、前提に立つ予算を編成している。これが建前ですね。そこで、本年度の買い入れ数量は三千八百万石で、五百七十万トン、それは間違ないですか。
  279. 家治清一

    説明員(家治清一君) その通りでございます。
  280. 野溝勝

    ○野溝勝君 数量を減らすというようなうわさも出ておりますけれども、どうですか。
  281. 家治清一

    説明員(家治清一君) 国内米に関しましては、これは食管法の買い入れは現在の通りでございますので、建前としましては、生産者は政府以外に売れないと、こういうことになっておりますから、これは見込みは三千八百万石、五百七十万トンでございますけれども、実際のできがそれよりふえて参りますれば、それ以上買うと、こういうつもりでございます。
  282. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこでお尋ねしておきたいのでございますが、昭和三十五年度における政府買い上げ及び消費者への配給数量はどんなふうになっておりますか。
  283. 家治清一

    説明員(家治清一君) 三十五年度におきます国内米の買い入れは、トン数にいたしまして六百十四万トン程度でございます。それで、これは一応予算の損益のときに見込みました見込みをもとにして申し上げております。最近の実績は決算が済みませんとちょっとはっきりいたしませんので、予算の見込みを基礎として申し上げますと、三十五年度におきましては六百十四万トン余り、これは玄米トンでございます。それから、売却の方でございますが、売却の見込みといたしましては、六百十四万トン余り買いまして、五百六十万トン余りを売る予定にしております。三十六年度の予算といたしましては、先ほど御指摘がありましたように、五百七十万トン、三千八百万石を買い入れまして、売り渡す見込みといたしましては、五百七十六万トンということになっております。
  284. 野溝勝

    ○野溝勝君 消費者への配給数量はどのくらいですか。
  285. 家治清一

    説明員(家治清一君) この内訳でございますが、ちょっと手持ちが見当たりませんので、三十五米穀年度の表でございますけれども申し上げたいと思いますが、消費者に対しましては、これは一般配給でございますが、一般配給といたしましては、三十五米穀年度では四百六十五万トン、それから工業用が二十九万トンの精米トンであります。先ほど予算で御説明したのに対応した消費者向け一般配給と総体の配給量は、ちょっとあとで調べてお答え申し上げます。
  286. 野溝勝

    ○野溝勝君 それでは、あとで調べて資料として示されたい。  そこで、卸売業者への売り渡しの量はどのくらいになっておりますか。大体でけっこうでございます。
  287. 家治清一

    説明員(家治清一君) 今申し上げました三十五米穀年度で例をとって申しますと、精米トンで四百六十五万トンと申しますのは、これはすべて卸売で売りましたものでございまして、それが小売へ行き、小売が消費者に現実にどの程度配給したか、こういう数字でございますが、私どもとしましては、大体この卸に渡したものが小売に行き、それから小売から消費者にはその程度に大体行っておる、こういうように考えております。
  288. 野溝勝

    ○野溝勝君 それからが問題なんです。私はお聞きするんですが、その通りいっておればよいのですが、実際はそこにあなたの考え通りにいっていないんですね。それはこれから質問するとして、現行の流通過程とその間における手数料の関係はどんな内容を持っておるか。
  289. 家治清一

    説明員(家治清一君) ちょっと正確に金額が……。あとで調べてお答え申し上げますが、大体八%移度が卸と小売双方合わせましてのいわゆる販売手数料でございます。
  290. 野溝勝

    ○野溝勝君 今お答えによりますると、大体八%くらいだと言いますけれども、この内容につきましては、またあとでお聞きするといたしまして、卸売業者の登録状態は円滑に運営されておりますか。もっと具体的に申せば、大体卸売業者の方々は登録更新の時期があるわけでございますが、登録更新が行なわれておらぬということを聞いておるんでございますが、その状態の内容はどうでございますか。
  291. 家治清一

    説明員(家治清一君) お尋ねの点は、小売屋さんの卸に対する登録、卸・小売の結びつきの関係のお尋ねと思いますが、これはもちろんその登録変更ができないわけではございませんけれども、実際問題といたしましては、卸と小売の間に、特別の事情のない限りにおきましては登録の変更はしないということで、非常に何といいますか、強い結びつきをそのまま維持しておりまして、最近においては卸・小売の間の結びつきが変更されるというようなことは大体ございません。
  292. 野溝勝

    ○野溝勝君 きょうここに委員である自民党の梶原委員がおられると参考になると思うのですが、梶原君がおらぬのは残念ですが、昭和二十六年に食糧公団が廃止されました。民間企業にその営業を移して登録制度ができ、通帳による配給制度が確立したわけです。そこで、生産者と集荷登録業者は二、三年ごとに全面登録の更新をやるということになっておりますね。消費者と小売業者は毎年登録更新を行なって、——もっとも人口増加に伴っては店も増加しておる。小売業者と卸登録業者は、昭和二十七年以降約十年間、一度も更新が行なわれておらない。家治経理部長はだね、あいまいな御答弁をされておられますが、内容はうまくいっていないといわれておるわけです。これはせっかく昭和二十六年に食糧公団を廃止して民間企業に移し、以上申したような内容で配給をやっていくということをきめておりながら、それが円滑にいかないということは、食管制度運営に非常な支障となると思うのです。  一方、卸売業者には問題があるのでございまして、特に昭和十六年に企業整備で整理された全穀連の方々には、卸売業者と別扱いの冷遇を受けているわけなんですね。これが約全国三千軒あるわけです。企業整備で犠牲を受けた諸君が冷遇され、少数卸売業者だけが特権を与えられている。それも十カ年間に一度も更新されたことがない。これは食管制度行政の大きな誤りを犯していると思うのでございますが、こういう点に対して、当局はそのままでそれを放置をしておくということはよくないと思うのでございます。どういうわけですか。
  293. 家治清一

    説明員(家治清一君) この点も実は私の答えが、あるいは、直接に主管しておりませんので、若干間違いもあるかと思いますが、私の承知しておりますのでは、これは先生も御指摘になりましたように、二十六年に一ぺんやって——一ぺんといいますか、そのときにはこういう小売と卸の結びつきが変えられたわけでございますが、そのとき以来やっていないということでございますけれども、そのときに、実は二十六年度にやりましたときに非常に、何といいますか、不公正な競争がございまして、その競争の弊害ばかりが多くてプラス面があまり出なかったという、あまりよくない経験がございます。そういう点が今においても非常に心配でございますこと、それからもう一つは、現状、これは特権を与えたといえばいえるわけでございますけれども、しかし一応配給機構の安定ということがやはりいろいろ需給あるいは輸送、そういったことを行ないます上においても必要であり、また消費者の側からいいましても必要であると思いますので、そういう点の安定性、なども考える必要がある。こういうことでございまして、現状必ずしも十分であるということは言えないかと思いますけれども、さりとて、これを卸・小売の結びつきを自由にいたしまして競争を行なわせれば、非常にいい結果が生まれるかどうかというのは、非常にこれは問題でございまして、何もほおかぶりをするつもりではございませんけれども、なかなかむずかしい問題で、よく検討しなければならない。そういうことで、従来とも検討しておりますけれども、まだ結論が出ておりません。
  294. 野溝勝

    ○野溝勝君 経理部長は一時そういうことを考えて、企業整備犠牲にあった諸君にもやらしてみたけれども、うまくいかなかったと言われるが、それはいつのことをさすか。しかし、現実に今の配給機構のもとにおいて、卸売業者の意識的失態は数々あるのですよ。一つの例をあげると、千葉県船橋のヘルス・センターへ六千俵政府米を売り込んだ。さらに淡路島においては、一万俵やみ流しの事件が目下検察庁で取り調べられておる。これは一例でございますが、そのほか大阪、鳥取、各地にあるのです。これでもまだ今の配給機構がよろしいということは、当局としては怠慢だと思うのですよ。特に農民である生産者は、米価すらも、生産費を補償されていない、安い米価で押えられ、不満が強いのに、かような悪質な事態を生産者、消費者が知ったときに、怒りを出すのはあたりまえである。監督官庁は反省しなければならないと思うのです。  あなたにお聞きするのは、現在やみ流通の実相について、各地において政府米のやみが横行しておるのですが、このやみ価格に対する動きを当局も承知しておると思うのでございますが、どんなような動きになっておりますか。
  295. 家治清一

    説明員(家治清一君) やみ米の動向は、これは実は食糧庁としてもある程度——との程度正確につかめるかは別にしまして、つかんでいなければならぬということで、調査をしております。それで、最近の事例は、私持ってきませんでしたから、ただ私の記憶にある数字で申し上げますと、精米一升の換算でいきまして、まあ東京では百三十円内外、それで前年に比べては上がってはいない、こういうように考えております。関西の方も、大阪とか和歌山、非常に高いところは、前年に比べてことしの方が少し下がっているように思います。もっともごく最近の例は、実は持っておりませんが、若干変わっておるかと思いますが、そのような程度にはわかっております。
  296. 野溝勝

    ○野溝勝君 いま一つお尋ねしておきますが、この内地米の受配率は、三十五年度においてどういう結果になっておりますか。
  297. 家治清一

    説明員(家治清一君) 実は年度の関係は、ちょっとまだ数字を固めておりません。それで、米穀年度で見ますと、三十四年産米、つまり三十五米穀年度での受配は、たしか七〇%ちょっとであったかと思います。
  298. 野溝勝

    ○野溝勝君 これは三十六年四月十三日の兵神新報の記事でございますが、その記事と、それから農林時報の資料を見ますと、三十三年——三十五年の米穀年度の内地米の各府県受配率が出ております。各県別ごとに申し上げませんが、平均をとると、九五%の配給率に対して八〇%しか受配しておらぬのですね。そうすると、辞退分はどこへ一体処理されたのですか。受配辞退に対してです。
  299. 家治清一

    説明員(家治清一君) お答え申し上げます。先ほど七〇%と申し上げましたのは間違いでございまして、八〇%ちょっとでございます。それで、その残りの二〇%、どこへ行ったかという御質問でございますが、実はこの受配率という言葉を私ども使っておりますが、これはある意味においてはちょっと不正確だと思います。これは一応政府が売り渡したものに対して、それがその現実に売ったものが消費者に幾ら入って、その差が二〇%だというものではなくて、政府がワクを与えたもの、つまり消費者にとっていえば、十キロなら十キロとれるというワクをもとにして計算して、あるA県ならA県に何万トンというワクを与えた。そのワクに対して現実にとりましたのが、その八割しかとらなかった、こういうことでございます。そこで、政府が現実に需給を組んでおりますが、その需給は、ある程度これまでの経験によりまして、まあたとえば八割平均であれば、八割ちょっとこしたくらいのものをもとにして用意すれば、間に合うという程度にして、卸の申し込みに対応するわけでございまして、従いまして、現実に政府が売っておりますのは、常に一〇〇%分を売っておって、そうして受配しないものが、つまり八〇%でいえばあと二〇%は、常に卸がどこかへ流しているということではございませんで、大体八〇%の受配率でありますれば、その八〇%に見合う程度のものを卸が買って、それを小売に売って、小売が消費者に売っている、こういうように考えているわけでございます。
  300. 野溝勝

    ○野溝勝君 三千八百万石の石高を扱っておって、そうして今の受配辞退の分、そのほか横流し等を入れますと、大体卸売業者は三百万石以上を横流しをしているということが数字に出ているのでございます。一石当たりの手数料を約四百円、換算いたしまして十二億円、それにやみ利益を加算すると、一石当たり卸業者利益は六百円となる。トータルで三十億円ぐらいは卸売業者がもうけておる。  なお、受配辞退したものに対する横流しをしておる。その米はすし屋や高級料理店に売り込んで、悪質米を消費者に売って辞退するのを待っているというこのやり方ですね。こういうことの具体的に数字が現われておるし、私が先ほど船橋センターの問題や淡路島の問題を申し上げたのも、検察庁の手に移っておるんです。こういうような事実があって、さらにその上に政府、農林当局はその反省もなく、今の国会にまた、この食管特別会計のうちでマージンの内訳を見ると、二十三億円増額計上してておる。まるで追いはぎどころじゃない。政府資金、国民の金をもらっておる団体がやみをやってぼろいもうけをしておるというようなことは、断じて許すべきでないし、生産者として、農民として、消費者としても、我慢できない。耐えがたい不満です。こんなことがあからさまになれば、これはゆゆしきことになるのでございます。家治経理部長は、あなた一人を責めるわけじゃございませんが、経理をやっておるあなたがこうしたことを感づかないはずはないと思うんです。その点、新進官僚である人格者である家治君は、この不正事実に対して対案を出すべきものだと思うのでございますが、食糧庁ではこの事実を改めようとしないのか、対案を持たないのですか。
  301. 家治清一

    説明員(家治清一君) 先生御指摘の点でございますが、これは私どもが持っている資料といいますか、あれと若干違っている点がございますので、ちょっと釈明さしていただきたいと思いますが、卸屋さんが、これは小売屋さんを含めまして、全部りっぱな人ばかりで何も悪いことをしないんだと言うほど、それほど自信はございませんけれども、しかし、卸自身が横流しをしたという事例を残念ながら私どもは実はあまりつかんでいないのでございます。それで、今例示せられました二つのケースは、実は卸が横流しをしたというケースというよりは、むしろ、一つは卸の中の職員が確かに経理をごまかして、その卸会社の経理に穴をあけたというケースでございます。もちろん、その際に横流しもあったと思いますが、それは卸自身がやったというんじゃなくて、卸の不心得な職員がやったというケースと聞いております。それからもう一つの方は、これは保管業者が横流しをやりまして、これはまあ政府の保管管理についての指導監督の責任の上からいいまして、まことに申しわけない事態でございますけれども、これも正規の卸屋さんが横流しをしたというケースではないと承知をしておるのでございます。そう申し上げたからといって、卸屋さんが横流しをした例が全然ないということを申し上げるほど自信がございません。一部確かに横流しをいたしまして、警察問題になった事件もございます。ございますが、実態といたしましては、大都市に近い所で地域的な消費者価格の段差が大きい所では、どうもそういうことが起こりやすいので、私どもとしましても十分府県を通じて注意をしているのでございますが、そうでない地帯におきましては、実はむしろ正規の配給ルートを通じて来た米がなかなか売れなくて、そうでないやみの米がばっこする、それで経営上非常に困るという話はよく聞くのでありまして、まあ実態もある程度知っておるのでございますがそれを横へ流すにも流す相手がないというので困っているのが、中間府県ないしは生産県における卸・小売の実態のようでございます。大消費地におきましては、これは今私ども承知している限りにおいては、卸から特にやみ流しをして利益をあげておるという例は、若干はあるいはあるかもしれませんけれども、まだ承知をしていないのでございます。
  302. 野溝勝

    ○野溝勝君 家治君、君一人を私は追及して快しとするものじゃないのですが、特に経理部長をやっておられる関係から、あなたには非常な責任があるのです。ですから、きょうは私は質問というより忠告の意味で、食糧庁が反省をしてりっぱな食糧行政をやってもらいたいという意味で申し述べるのですから、言いわけ的でなくて、すなおに受け取った方がいいと思うんですよ。  先ほどあなたは、卸売業者、配給業者の一部にはあるが全部じゃないと言いますから、私は一回や二回ぐらいの問題、あるいは新聞や雑誌にたまたまに出たぐらいのことだけで、これを取り上げるものじゃない。「政界ジープ」の五月号にも出ています。「白昼公然まかり通る政府米、うわさされる政府与党と卸間の腐れ縁」、こういうのが出ておる。ちょうど梶原大蔵委員なぞの名もここに出ておるから、いた方がよかったのでございますが、それらの記事ごらんですか。
  303. 家治清一

    説明員(家治清一君) いいえ、内容は見ておりません。目録は見ました。
  304. 野溝勝

    ○野溝勝君 それじゃ、内容を見なきゃいかぬです。私はこれは参考として見ただけですが、その後いろいろ調査をしてみると、先ほど二つの具体的な事件の問題を申し上げたが、そればかりじゃないのです。大阪のやみ米としてうる米の玄米ですが、六十キロ横流ししています。さらに湘南方面で三等五千円、播州、讃岐方面におきましては、但馬米、徳島米、三重米等がみな横流しされておるんです。具体的の数字とか証拠がないと、あなた方は言を左右にする癖がある。一体、政府米というものは、検査票が俵についておるわけでしょう。あなたにあとでお見せしますが、どうです。検査票をつけたのがどんどんと横流しされておる。これを見た人民が怒らざるを得ないのです。「政界ジープ」ではないけれども、白昼公然と政府米が横流しされておる。こういうようなわけで、一部の横流しというようなことでは済まされないのです。それにまた、その弊害を改めようともしないで、政府はまたここに二十三億もマージン予算を計上し、その補強をはかろうとする。さらに先ほど申したように、これだけでも三十億の利益をあげておるのです。  それでは、その卸機構及びどんな諸君によってやられておるかというと、全糧連、協同組合組織、これが政府米七〇%扱っている。全糧連の会長が自民党の梶原茂嘉君、あと名前を発表することはこの際遠慮しておきましょう。一人だけにしておきましょう。全米商運、株式組織、これが政府米三〇%、会長が木村、実権力のある副会長が山種といわれております山崎証券の社長、以下名前はこの際控えておきましょう。こういうような事情です。以上述べたように数々の問題を起こし、現在やみの食管会計が一つも改めようとしないで前の機構がそのままでよろしいということは許されない。ことに企業整備によって犠牲になっている三千人の諸君は、職を失ってその生活にも困っておる。この諸君がやれば相当に成果を上げる。今よりはマージンも少なくてやっていけるという意見を、要請書を出しておるのです。しかるに政府はこれに対してほおかむりでおるわけなんですが、こういう諸君に職を与えて、問題のある食管行政なり配給ルートなりを円滑にやろうという考え方はないですか。これについては大蔵当局も十分その間の事情を知っておると思うのです。
  305. 家治清一

    説明員(家治清一君) 御指摘の点でございますが、全体といたしましては配給量がふえたのでございますが、ただ、労賃その他の引き上げ、値上がり等によりまして、どうしても小売屋さんにいたしましても、卸屋さんにいたしましても、なかなかやっていけない、こういうのがまあ今回主として人件費の増ということを基礎にいたしましてマージンの引き上げを行なった原因でございます。ただいま先生の御指摘がありましたが、ほかの人たちが新しく卸になれば、もっと経費が少なくてやれるのだという話も実は私ども承知はしております。ただ、これには実はある程度前提がございまして、その特定の、たとえば大都市の交通の便利なところ、そして比較的集中して小売屋さんをつかめるところにおきましては、これは確かにその通りでございましょう。ただ、郡部を含めましてその担当地域を平均いたしますと、なかなかそういうようにはうまくいかないのではないかという点もございます。陳情の点を決してないがしろにはしていないのでございますけれども、いろいろ検討いたしましてみましても、現実、現在の卸の数がもう少な過ぎるということがない状態におきまして、新しくたくさんの卸を入れるということは、これはなかなか考えものではないかということで、いろいろ検討しておる、こういう現状でございます。決して現実の卸あるいは卸の組合というものに、食糧庁が特に何か関係を持って、そして現状をよしとしているということではございません次第であります。
  306. 野溝勝

    ○野溝勝君 大蔵省の見解を伺たい。
  307. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) いま一度、ちょっと再質問を。
  308. 野溝勝

    ○野溝勝君 食管特別会計と関連して、配給制度の事情をお伺いしているわけなんです。今の配給制度では、卸、小売それぞれ機関があるのですが、特に卸売制度に不正があり、それを改めず、さらにマージンでぼろいもうけをしているわけです。大体一石当たり約四百円程度の手数料が入っている。そのほかに、表向きではないが横流しをして、相当もうけている。なお、配給方におきましても、配給を受ける方の辞退が多い。一〇%以上もある。取り扱い数量にその分も入ってくる。そうすると、いい米と悪い米を操作して、悪い米を消費者に、いい米を高級料理店やすし屋へ回す。そこでまたぼろいもうけをする。寝てももうけ、起きてももうけ、こういうわけです。さらに、今国会では食管会計で二十三億マージンをふやしている。卸の不正事実を匡正して、この節配給機構を改める必要がありはしないかということが一つ。それに対して、大蔵当局は配給制度の欠陥はわかっておると思います。そういう点については大蔵当局としては、国家資金を使うのですから、農民も消費者も不満にたえない配給機構をそのままほおかむりしていることは許されぬから、その点については、政府資金を出す以上は、農林当局と食管制度の問題について話し合いをし、かつまた警告を発し、あるいは考え方があるかどうか。
  309. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 今、野溝先生のおっしゃった通りに思っております。実は今度の手数料の引き上げについても、すでによく御存じのことと思いますが、大蔵省の方はむしろ非常にそれについてはシビアというか、そういう一貫した気持で臨んでおるつもりなんです。おっしゃられるまでもありませんし、私たちとしても少しでも、これだけの巨額な赤字ですから、それをできるだけ少なくしたいという考えを持っておるわけでして、特に中間マージンについては米価審議会なんかにおきましても従来からいろいろ議論ございまするから、できるだけそういう方面の膨張を防ぎたいということで農林省と話しております。まあ、問題が非常に複雑でむずかしいものですから、今、野溝先生の御指摘になったような問題は、一般論もしくは新聞等へも出ておったり、一般の話としても私はちょくちょく聞いておるわけです。そういう話も出るわけなんですけれども、これを全体としてどう的確に把握するか、これは一つ農林省にもなお今後も勉強をしていただかなきゃならないと思っておるんですが、いつもできるだけそういう点については私どもも同様にお話し申し上げておるわけです。
  310. 野溝勝

    ○野溝勝君 私は大蔵当局に、最初からの質疑の点などについては、あらためてまたやることも会期切迫でできませんから、速記録をあとで十分ごらんを願いたいと思うんです。  次に私申し上げたいのは、卸売業者は石当たり約四円、年間二億ぐらいを今の全糧連とか全米商連へ出しておるわけなんです。この人たちは、だれが幹部になっておるかということは、私はきょうは遠慮をしておるわけです。そうそうたるお役人の人々、政党の幹部の方々、これらの諸君が、もしこれが事実とすると、国民の前に明らかにしなくてはならない。こういううわさがあるということは、この二億がその方面に回って、そのほかに三十億もうけたうちからまた回るんだから、ということが飛んでおるわけなんです。そういうようなうわさだけでなくて、雑誌にまでも出るようなわけですから、行政上非常にまずいです。だから、私は、そういう問題が具体的事実でないと言うならば、こういう点に対して行政指導をやるあなた方がまじめに考えにゃいかぬと思うんです。それはむしろこのうわさになっておる諸君のためでもあるし、一つには、生産者は米価の最底保障を何とかしてもらいたい、これじゃやっていけない。消費者も不満。この諸君に怒りを感じさせる、不満を起こさせる行政だと思うんです。こういう点を長い間知らぬ顔しておくということは、これは大蔵当局も農林当局もおかしい。本日は関係人がおらぬから、控へ目に言うがね、非常によくないですよ。だから、今主計局次長も、問題になっておるから何とかしなけりゃならぬということを農林当局に言っておるというんだけれども、言っておるだけじゃ何にもならぬじゃないか。どうするんだね。いつまでもほっておけないではないか。僕がきょうここで発言した以上は、法案でなくても、熱意のある一つお答えを二人から願いたい。さもなきゃ、発表しちまいますよ。
  311. 家治清一

    説明員(家治清一君) この配給機構の問題は、実は非常にむずかしい点がございます。これは、今先生が例にお引きになりましたような問題で、たとえばいろいろなコネクションがあるんでむずかしいということではなくて、その安定性、それから競争そのものの弊害をどう除去して、競争によるその効果をどうおさめるかというような、技術的なむずかしさ等を含めまして、いろいろまあ慎重に検討しなきゃならぬ点がたくさんございます。それで、実は私、配給機構そのものには直接なにしておりませんものですから、的確に先生の御疑問に対してお答えできない点もあるのでございますが、ただ、その配給機構そのものは現状でいいんだ、ただじっとしているんだという、そういう消極的なもので申し上げているつもりではございませんで、問題点についてはできるだけ明らかにして、そしてちゃんとしたものにしなければならぬということは、これは感じているわけでございます。ただ、非常に古くからある問題ではありながら、なかなかそのむずかしさがございまして、今まで解決はしておりませんけれども、しかしこれで投げるという意味で申し上げているのではございません。従いまして、いろいろうわさにつきましては、私はそういう事実はないと信じております。おりますけれども、しかしそういうことが出るその前提としていろいろ問題があるじゃないかという点につきましては、今後も十分検討していかなければならぬと考えております。
  312. 野溝勝

    ○野溝勝君 家治君、君、今まで僕が話したこと、それからその問題が具体的になっており、さらに主計局次長、政府米の横流しに対する資料が、証拠書類、政府米検査証がちゃんとあるのです。うわさというような受け取り方では済まされない。だから、少し経緯を見て、改まらなければ、大蔵大臣、農林大臣、長官を呼んで、一つ徹底的に質疑をかわさなければならぬのです。  さらに、私がさっきから申しているのは、既設卸の全糧連、全米商連だけにまかせて政府米の配給をやっているから、こういう問題が起きるのですから、昭和十六年から企業整備で犠牲になっている企業者だった約三千軒の人人が、安いマージンで配給の完全を期するということを陳情しているのだから、こういう諸君に配給機構の一機関としてやらせ、配給機構全体を再編成して完璧を期するという熱意があるならば、私は今までのことを一切これで水に流して皆さんの御意見一つ聞くことにしたいのですが、それが得られぬようなことであるならば、この事実が明確になるまでさらに食管会計に疑いのあるすベてを明らかになるまで糾明することを申しあげ、皆さんのお答えを願いたいと思う。
  313. 家治清一

    説明員(家治清一君) 先ほど私がうわさと申し上げましたのは、先生が御指摘になったうちの一部、つまり雑誌に載った云々のところを申し上げたので、先生のお示しになりましたデータそのものを全然うわさだと申し上げているつもりではございません。その点、取り消します。それから、卸になりたいといっている方々、それは自分たちでやれば適正にしかもマージンがもっと少なくてやれるんだという陳情をなさっておられる方々につきましては、これはそれぞれの陳情にございますような内容につきまして、いろいろそれぞれ主管の部課でお話も聞き、それからいろいろ調査検討もしなけりゃならぬと思っておりますが、ただ、今それをそのまま認めるかどうかということになりますと、これは恐縮ですけれども、この前にお答え申し上げましたように、現在の卸あるいは小売を含めましても数が少な過ぎるという状態ではございません。その中に行く先法的な検討をつけないで混乱を起こして割り込むということについては、これは慎重に考えなきゃならぬという気がいたしますので、今ここで直ちにその点、先生のおっしゃるように、入れます、あるいはいたしますということは、この席ではお答え申し上げかねる次第でございます。
  314. 野溝勝

    ○野溝勝君 政府資金を出しておる関係があるだけに、先ほどの数々の不正事実並びに失態が大きな問題なんです。企業整備にあった諸君が、マージンが少なくて配給機構の完璧を期する、それで消費者にも生産者にも期待に沿うように努力したいと思います、こういう熱情をもって陳情しているわけなんです。それを依然として前のままの配給機構そのものを続けていくということについては、われわれは承知ができないわけなんです。そういう点を今農林当局に聞いておるわけですが、大蔵当局はどういうように考えますか。こういう点について全体の検討をしようとか、あるいは問題の起こっておるような事態に対して、特に政府資金を出す大蔵当局は、その間に立って農林省との折衝をしたことでもあるんですか。
  315. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) こういうふうに実は考えております。一つの問題は、私どもはとにかく食管会計を財政負担の見地から主として考えておるわけであります。それで、先ほどちょっと野溝先生にも申し上げましたように、具体的なうわさというようなことは、私たち現場を離れているものですから、よく承知いたしておりません。ただ、一般論として、どうも米屋が横流しをするというようなことは、これはよく一般論としてちょいちょい出て参る次第であります。そういうようなことは、もちろん農林当局が厳重に取り締まるべきものだと私は考えております。それから、不必要なコミッションを出すなんていうことは、これはもちろんもってのほかですから、これについてももちろん農林省として十分注意をしていただいていることと私は思っております。まあ一ぺん整備を受けた人たちの問題をどう扱うかということは、だいぶ昔に一ぺん陳情があったのを私自身記憶いたしておりますが、そのときにこういう陳情があったがどうだろうというようなことで、今家治さんの言われたようなお話を承っております。  財政負担の立場に主としてわれわれ立っておりますからして、新しい方法でうんとマージンが減るということがきわめて明白にわかるということであるなら、もちろん農林省に対しても大いに再考していただかなければなりませんが、農林当局としてはそう明確な結論も出ているのではないというお話ですし、それからまた、この問題は財政ばかりでなく、農林行政の一つの問題でございますからして、農林省のお立場としまして他の要素、たとえば配給機構の混乱を来たすとかなんとかという今お話でございましたが、そういうような他の行政的な要素をあわせて考えた上で、御判断なさる問題でも同時にあるわけですからして、それらを総合的に考えられて具体的な案等をもし用意されるようでしたら、われわれもちろん十分御相談にあずかるのにやぶさかでないというふうに考えております。
  316. 野溝勝

    ○野溝勝君 なかなか、全米商連だの全糧連だのの幹部は、先ほど申した通り、有力なメンバーがそろっておられるし、政治的背景もあると思うのです。しかし、正しい行政をやっていくのには、権力や力におびえたのでは、民主政治は泣き出すのです。ですから、経理部長、主計局次長に、こうするという具体的なお答えは、理論的にわかっても政策事情で得られぬかとも思いますが、先ほど来私が申したことでも十分おわかりだと思うのです。ですから、あとで、関係大臣やその他大蔵当局と十分話をされて、配給機構の完璧を期し、われわれが納得できるように、一日も早く改めるようにしてもらいたいと思うのです。家治経理部長、主計局次長は、積極的に大臣並びに食糧長官と折衝してみるということのお答さえ得れば、それ以上具体的なお答えがなくても仕方ないと思うのですが、その点だけを一つお伺いしておきたいと思います。
  317. 家治清一

    説明員(家治清一君) 先生からの御忠告を含めた御指摘の点につきましては、長官、大臣によく御相談申し上げまして、その先生の御趣旨とされるところをできるだけ正確にお伝えして御相談申し上げ、善処いたしたいと思います。
  318. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これにて本日は散会いたします。    午後七時二十六分散会    ————————