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1961-05-30 第38回国会 参議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十日(火曜日)    午前十時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大竹平八郎君    理事            上林 忠次君            佐野  廣君            成瀬 幡治君    委員            青木 一男君            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            梶原 茂嘉君            塩見 俊二君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            堀  末治君            山本 米治君            大矢  正君            木村禧八郎君            戸叶  武君            永末 英一君            原島 宏治君            須藤 五郎君   政府委員    大蔵政務次官  大久保武雄君    大蔵省理財局長 西原 直廉君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      宮崎  仁君    通商産業省企業    局工業用水課長 藤岡 大信君    運輸省港湾局計    画課長     宮崎 茂一君    自治省財政局理    財課長    佐々木喜久治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○大阪港及び堺港並びにその臨港地域  の整備のため発行される外貨地方債  証券に関する特別措置法案内閣提  出、衆議院送付)   —————————————
  2. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。  大阪港及び堺港並びにその臨港地域整備のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法案議題といたします。  御質疑のある方は御発言願います。
  3. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最初に、私の方が勉強不足でございまして、実は「法人に対する政府財政援助制限に関する法律第三条の規定にかかわらず、」こういうことがございますが、この「三条の規定」というのは、内容はどういうふうになっておりましょうか。
  4. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) なお申し上げますが、ただいま政府側よりの出席者西原理財局長亀徳総務課長堀込地方資金課長、通産省より藤岡工業用水課長運輸省より宮崎港湾局計画課長見えております。なお、自治省より佐々木理財課長が間もなく入る予定でございます。
  5. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 法人に対する政府財政援助制限に関する法律の第三条でございますが、これは「政府又は地方公共団体は、会社その他の法人債務については、保証契約をすることができない。但し大蔵大臣の指定する会社その他の法人債務については、この限りでない。」、こういう規定でございます。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 今までこういうふうに外債を借りました例というのは、何か関東大震災のときに東京都があるように承っておりますが、その辺はどうなっておりますか。
  7. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 過去におきまして、地方公共団体外債を借りましたときに政府保証いたしました例といたしましては、ただいまお話しのように、関東大震災のときと、戦前におきまして外債発行しました最初明治三十二年、これは神戸市の英貨債でございまして、二万五千ポンド、その次昭和二年に東京市の米貨債、これが二千万ドル発行いたしました。この間、東京市で五回、横浜で六回、大阪、京都市でそれぞれ二回、名古屋神戸市一回、計十七回、明治三十二年から昭和二年まで十七回に及んでおります。これを起債地別に見ますと、英国が十二回、発行総額が千九百万ポンド、フランスが三回、これは発行総額一億五千万フラン、米国が二回ございまして、発行総額が四千万ドルになっております。戦後におきましては、今度計画されておりますものが地方公共団体発行する外債としては初めてでございます。
  8. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 提案理由によりますと、七百七十億のうち関係地方公共団体が何か三百六十億ですか、そのうち九十億を本年度外債にとる、こういうふうなことになるわけですか。
  9. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) その通りでございます。
  10. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 政府予算説明の9ページなんですが、この中に「地方債」というのがございますが、この中にこれは含まれておるとするならば、どこに含まれておるのか。
  11. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) ただいまお話し地方債計画の中にはこれは含んでおりませんのでございます。その後に起こりましたことでございますので、地方債計画の中の数字には入っておりません。
  12. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この中に入っておらぬ、その後に起こった問題だ、こういうようなお話なんですが、ちょっとその点については私ども実は納得しかねるわけなんです。ということは、こうした総合整備事業計画というようなことは大阪からすでに出されておる問題であって、政府も私はある程度検討をされて、そして妥当であろうというようなことでこういうことを認められておると思うのです。従って、予算編成当時に全然話がないということは、ちょっと想像ができないわけなんです。ずっと話があったというふうに思うのですが、その辺の事情を御説明願わないと、入っておりません、それはあとから起きた問題だでは、どうも子供だましの御答弁のようにしか思えないわけですが、もう少し私は誠意のある、ほんとうの御答弁を願わなくちゃならないと思うんです。
  13. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) これは総額として七百七十億に及ぶ計画でございます。非常に大きな金額でございます。そのうち、この計画にございますように、約三百六十億を借入金をもって支弁しなければならない。これだけの借入金ができるかどうか、非常な問題でございます。ただいまお話のございました、予算を作成いたします当時におきましてそういうめどがなかなかついておりませんのでございまして、これだけの大きな金額でございますので、ある程度めどがつきませんと、やはりこういう計画を具体化するというわけには参らないということでございましたので、予算案を提出いたしますときにははっきりいたしませんものでございましたから、ただいま申し上げましたように、地方債計画の中には計上できなかった。その後これが具体化して参りまして、大体めどもついて参りましたので、この法律案としてお願いするようにいたしたわけでございます。  そういうような関係もございまして、この附則の第二項においてあれしておりますように、普通、三十六年度なんかで保証限度をきめます場合には、予算案が大体作成できますときにきまっておりますと、通常の例としては予算総則でこの保証限度というものをきめるようにお願いしておりますんでございますけれども、そういうような関係がございましたので、予算総則でなくて、この法律附則で三十六年度における保証限度をおきめ願うようなふうにお願いしたわけでございます。そういう事情でございますので、何とぞ一つ御了承願いたいと思います。
  14. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、地方債資金計画の中に入っておらぬとしますと、おのずからこれだけふえることになると思うんです。そういうふうに了承していいのか、いや、総額はある程度きまっているのだ、従ってその中から若干落とされていくというふうなのか、あるいはまた大阪に私はこの計画書を作られたときにはある数字を予定してお見えになると思うんです。そうしますと、大阪にはそれだけのものが、最初計画を立てられたものがいくのか、九十億来るからというので減らして、それを他に回そうとしておられるのか、その辺のところを御答弁願いたいと思います。
  15. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 地方債計画といたしましては、総額大体二千億というのを三十六年度として計画しているわけでございます。ただいま申し上げましたように、この大阪港及び堺港につきましての事業費の一部を調達するための起債計画というものは、その後に大体めどがついて参りました。これは全部外債によって調達しよう、そういうような関係がございますので、地方債計画として計上しております二千億というものに手を触れない。従いまして、この外債で調達できますようになりますれば、この資金だけはワク外と申しますか、プラスアルファということになるわけでございます。従いましてそういう関係から申しますと、二千億プラス九十億、二千九十億というのが地方債としての計画と申しますか、そういう会計を持ち得るとすれば、そういうようなことに申し上げられるんじゃないかと思います。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、大阪にはプラス九十億外債分だけ行くのか、大阪に対しては資金計画を作るときにはまだ配分をきめてないのだからどうなるかわからないというようなことなのか。ある程度の私たちは計画を立ててお見えになると思います。従って、大阪は、あるいは大阪市はどういうふうになるのか。
  17. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 大阪府とか市では、それぞれまた別の事業につきましての起債の必要とかあるいは計画がございます。で、そういうものとは関係なしに、この大阪港と堺港についての事業費の一部に充てるという意味でこの外債が計上されておりますから、これによってその他の計画のための資金調達というものに変更はないのでございます。
  18. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 こまかいことのようですが、そうすると、この起債計画を立てられるときに、大阪港あるいは堺港に関しての起債というものは予定していなかったのだ、それはあくまでも外債でまかなうのだと、こういうふうに了承していいわけですね。
  19. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 地方債計画の二千億円というものを計画いたしますときには、このただいま議題となっております大阪港及び堺港のこの事業費のための起債というものは、その中には計画しておりませんでした。従いまして、これは別のものでございます。プラスアルファになるわけでございます。
  20. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしますと、何か総事業費が一千百四十億、そのうち起債対象額は七百七十億円で、その七百七十億のうち三百六十億を外債でやるのだと。そうしますと、ここに約四百十億というものはどうしても地方債でまかなわなくちゃならぬということです。そうすると、今年度外債のほかに大阪港並びに堺港に対する起債はどのくらいあるのか。
  21. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 大阪港、堺港の事業計画といたしましては、起債対象計画、つまり三十六年度といたしましては九十億円の外債で調達しようというこの起債対象計画は、事業費として総額七百七十億でございます。この七百七十億のうち、まあ全事業といたしましては約三百六十億を起債でまかない、その他は一般収入とかあるいは付帯付属のいろいろな収入でまかなおうということになっております。この三百六十億のうちの三十六年度分が九十億でございます。従いまして、この起債関係では、七百七十億分の起債関係では、この外債外には起債計画はございません。あと一般収入とかその他の収入でまかなう。つまり、国内地方債起債しまして、それで調達するという計画はないわけでございます。
  22. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 どうも私は、まあ大阪の実情がよくわかりませんが、普通常識的に考えれば、少なくとも千百四十億要るわけです。従って、そのうち七百七十億は起債対象事業であって、その差額が一般の経費から投入されてくるものであって、七百七十億は外債を含めた起債対象であるというふうに了承をするわけなんです。だから、今年度かりに九十億の外債があっても、なお地方債というものはついているのじゃないかと。そうでないと、大阪はちょっと事業がやっていけぬじゃないかというふうに思うのですが、ことしはつかない、しかし来年はつけるというなら、また話は別になってきます。
  23. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 大阪、堺港の総合整備計画といたしましては、全体の事業は千百四十億でございます。これが二つに分かれまして、ただいま御説明申し上げておりました起債対象計画、との分が七百七十億、それ以外に現在も実施されておりますが、別途の地方債計画というのがございまして、この費用が三百六十九億、合計いたしまして千百四十億になるわけでございます。この七百七十億の起債対象計画事業につきましては、約三百六十億を外債をもってまかないたいという計画になっておりますが、もう一つの三百六十九億、約三百七十億の別途に実施いたしております事業計画については、それぞれまた、今のお話のように、別に国内での起債の分も幾らかあるわけでございます。そういう計画にはなっております。七百七十億の分につきましては、外債でそのうち三百五十八億でございますか、これを外債でもってまかないたいという計画になっておるわけであります。
  24. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ事の是非は別として、私は、大阪港あるいは堺港がこういうことをやられれば、また各地にこういうことが起こってくるのではないかということが一応予想されると思うのです。あるいは、もうすでにこういうような計画があって、あなたの方と事前折衝をされておるところがあるのじゃないか。あるいは政府はこういうものに対して相当思い切って認めていこうとする方針なのか、その辺のところはどうなっておりまし、占うか。
  25. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) この大阪港及び堺港以外につきましても、あるいは各都道府県等で相当大きな事業をいたします場合に、外債を募集したいという御希望のところもあるかと存じます。ただ、ただいままでのところ、私ども直接にまだこういう起債をしたいとかなんとかいうようなふうに、そういう御交渉と申しますか、お話を承っておりません。具体的にそういうお話が出て参りましたときに、それぞれの場合について考えなきゃならないと思います。そういうときに政府保証をするべきかどうか、その個々ケースにつきまして判断すべきだというふうに思っております。
  26. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 個々に出てくれば判断すると。まああたりまえのことと思うのですが、普通何とかあなたの方にも……。私はそう勝手なことで自治体がやるわけにはいかぬだろうと思います。その前に一つ、大体この外債はどのくらいの金利になるかですね、この金利の方を承って、そうして——私は安いと思うのですよ。安ければ安い方を取った方が得じゃないか。しかも、それを政府保証してくれるなら、連帯責任でいくよりかなお簡単に政府がやってくれるならありがたいということだからといって、各自治体がどんどん出してきたら、なかなか大きな問題にもなってくるのじゃないかというふうにも思うわけです。ですから、そういうような点で、出てくればケースケースによって処理していくのだというお話もわからぬことはないわけですが、しかし、そう大阪も、名古屋もやるわ、東京もやるわ、北九州もやって、太平洋ベルト地帯が全部かかるというようなことになれば、なかなか容易な問題でもないと思います。ですから、その辺については私はある程度のめどというものがおのずからあると思うのですが、その点が承りたかったから最初に申したのですが、金利の問題とあわせて、その辺のところを一つお答え願います。
  27. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) この大阪港及び堺港の事業費の一部に充当いたします外債が、マルク債を予定されているそうでございますが、どのくらいの金利になるか、これは具体的に発行になりますときのドイツにおける金融市場によってきまるわけでございますので、幾らになるかということは、ちょっと判断しかねるわけでありますが、ドイツ金融市場金利情勢と申しますか、そういうものはいろいろ変化がございます。一九五九年ごろには五分七、八厘あるいは九厘、あるいはもう少し下ぐらいに下がりました。昨年の末ごろには六分二、三厘を回っているというような状況でございます。これはドイツにおけるドイツ内国債金利でございます。これが外国債の場合に、一体どういう工合に当てはまるかどうか。ドイツといたしましても、こういうような外国債を扱うことはむしろ初めての例になるのじゃないかと思いますので、そういうような意味で、今後具体的に、ドイツにおける金融情勢によって、発行が具体化されるときに、どういう金利になるか、そのときにきまることでございますが、過去のドイツにおける金利の、ドイツ内国債金利情勢はそういうことでございます。  それから、各いろいろな地方公共団体でも、割合に安く、そうして相当多額に資金が調達できるということになれば、あるいはいろいろ希望が出て参るのではなかろうかと思います。先日も、あるいは東京都の方でもそういうような御希望があるようなふうにも、新聞などでも拝見いたしております。そういうようなものがあるかと思いますが、しかし、これもやはりなかなか相手のあることでございまして、こちらが希望いたしましても、それだけの額がそう簡単に必ずしも調達できるとは限りません。また、相手方といたしましても、政府保証があれば、それでは安心だということかと思いますけれども発行するもの自体の財政状況とかいろいろなものが、やはり向こうとしても、いろいろ検討と申しますか、気にかけるわけでございます。そういうふうな点から、やはりこちらの事情、それから向こう事情その他がございまして、そう簡単に発行できるということでもないのじゃなかろうか。いろいろ希望はあるだろうと思いますけれども、そういうことで、先ほど申し上げましたように、個々の具体的な話につきましてやはり検討さしていただくのが、一番いいのじゃなかろうかというふうに考えているわけであります。
  28. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 自治体から見れば、大体六分五厘かないし七分くらいになるだろうと思う。一般起債よりも金利は安いわけです。ですから、むやみやたらに市町村まで——町村までいくとは思いませんけれども、少なくとも府と名のつくととろ、あるいは六大市のようなところは、やってもいいじゃないかという希望が起きてくるだろうと思う。空気が出てくるだろうと思う。地方議会からいっても、安い金利で借りるなら非常に得だからというようなことで、起きてくると思うのです。それから、資金の需要から見ましても、最近工場誘致の問題、あるいは土地造成等の問題がございます。東京都でいえば、オリンピックというようなものを開いていくと、相当な私は資金量がいろいろなことに要るだろうと思うのです。従って、ある程度のことは、なるほど外債を募集するということになれば、外地の金融情勢もあるだろう。しかし今までもそうですが、ホット・マネーが日本に相当流れ込んでいるという情勢のことはわかっておることですから、私は募集を本気にやるならば、ある程度出てくる可能性の方が強いと思うのです。しかも、政府保証するというととですから、いや、それはケースバイケースでやるのだというような——そういうものが何かそこには緊急的なものがあって、こうこうするときには許してもいいのだ、こういうときは一つ認めていくのだというような何か基準というものが、あなたの方になければならぬはずだと思うのです。いや、それはケースバイケースだとおっしゃれば、それまでですけれども、相当私は、地方では、これが国会を通りまして、大阪にこういう金が入ったとすれば、地方自治体も非常に関心を持つと思いますから、もう少し、こういう際ですから、私は明確にそういう基準というものがあるなら、置いていただいた方が、地方自治体に対して親切だと思うのです。重ねてこの点について御答弁願いたい。
  29. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 先ほど申し上げましたドイツ金利状況は、これは応募者の利回りになるわけでございますので、発行者といたしましては、やはりそれ以外に相当程度発行費用が上に乗るわけでございます。  それから、外債発行につきましての、何と申しますか、基準と申しますか、政府保証を行なう場合とかなんとかの場合の基準はどうかという点でございますけれども、まあ今後非常に起こってくるということになりますと、明確にそういう基準をいたさなければならぬと思いますが、大体今まで考えておりますものは、発行の目的であります事業が、やはり何と申しますか、時宜を得た適切なものであるのかどうかというようなことが、やはり一つの問題として考えなければならぬというふうに思っております。それから、第二に、政府の方で元利保証いたしましたことが、その外債の消化の促進とか、あるいは発行条件をより有利にするということに役に立つのかどうかということも、判断一つの材料じゃなかろうかと思うのであります。第三には、やはり外債発行いたします場合でも、ある程度、今のお話のように、合理的な条件ということが必要じゃなかろうかと思う。ホット・マネー的なもので入って参りますものは、割合に短期でございます。外債で十五年とか十年というように必ずしも限定すべきじゃないと思いますけれども、ある程度その資金の使途から見まして合理的な条件のものじゃないと、やはり工合が悪いのじゃなかろうか。そういうふうなことが、今後具体的に外債発行したいという希望が出て参りましたときに、私どもとしてどう判断すべきかということについての一つ基準になろうかというふうに思っているわけであります。
  30. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私は、政府一つ所得倍増計画、いろいろな問題に基づくところの財政投融資計画はあると思うのです。で、今年度は九十億ですが、これは来年どのくらいになるのか、あるいは再来年どのくらいになるのかということについて、一つ説明願わなければならぬと思うのです。従って、そういう公共投資的なものに対して大体投融資規模を、外債まで含めてどのくらいまで押えていこうというようなめどがあると思うのです。そういうのと関連して、それじゃ外債をどのくらいの総額に押えていかなければならぬか、国内でどのくらいだ、そうすると外債はこのくらいの規模になるのじゃないかというような角度から、一つ答弁を願えたら、およそ中身がわかってくるのじゃないか。これじゃ、どうなるのか、さっぱりわからないのですよ。次にたとえば名古屋が出す。大阪が出した。みんな許可されるのか、どういうふうになるのか、さっぱり見当がつきませんから、それじゃ一つ財政投融資と申しますか、所得倍増計画に基づいて、公共投資がどのくらいの規模になったら大体いいかというようなめどが、もしあるとしたら、この問題について一つ答弁願いたいと思うのです。  話は非常に前後して悪いわけですけれども、来年大阪はどうか、何カ年に大体償還していく方針なのですか。
  31. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) お話のように、いろいろこういう公営企業的なものとか、いろいろな港湾整備とかなんとかにつきまして、相当長期にわたる事業でございます。所得倍増計画その他から見ましても、ある程度の計画的なものを持たなければならぬというふうには考えているわけでございます。そういうようないろいろな点から、三十六年度財政投融資計画を見ました場合に、特に下水だとか、水道だとか、いろいろなことを考えます場合にも、ある程度これで、そういう人口の増とか、あるいは一応考えられている下水整備とか、水道整備とか、そういうようなものができるかどうかというようなことも、いろいろ研究し、またそういうことを一つ判断基準にもしたわけでございます。しかし、やはり他面、それぞれの年度計画になりますと、どの程度資金が一体調達できるのかどうか、全体の、郵便貯金その他の資金は一体どの程度財政計画の中に入れられるかどうかという点から、全体をやはり判断しなければならないと思います。これは各年度のいろいろな情勢によって、やはり変わってくることになります。それからまた、今のお話のように、外債とかなんとかで外貨をその資金調達の中に入れるということもやはり考えられることでございますけれども、これも外国市場において一体どの程度引き受けてもらえるかどうかということがはっきりいたしませんと、ただ計画だけいたしまして、それが実行できないということになっても、まことに相済まぬというような感じもいたします。そういうような点から、ある程度全体の事業としてこういうことをやらなければならぬということになりましても、それぞれを各年度どういうふうに実行していけるかどうか、またいくかどうかということになりますと、やはり各年度資金が一体どういうふうに全体としてまかなえるかどうかということを考えなければならない。両方考え合わせまして、大体の財政投融資計画と申しますか、そういうものを今まで組んで参ります、といいますか、計画を一応作って参っております。  そういうようなことから、三十七年度は一体どういうことになるかということになりますと、やはり三十七年度資金が一体どの程度調達できるかということは、まだちょっと予測はなかなかつかないと思います。やはりこれは大体の三十六年度の実績が出、経済情勢というようなことも大体わかって参りまして、そうしてこの秋くらいから三十七年度資金調達が一体どうなるかということを具体的に研究いたしまして、そして見ていくということにならざるを得ないというふうに思うわけでございます。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 もう一つの方の問題で、ことしはなるほど九十億なんですが、三十七年度あるいは三十八年度はどういうふうになるか。この三百六十億の中身をちょっと……。
  33. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) この大阪港及び堺港のこの事業に関する起債計画は、三十六年度は九十億でございますが、三十七年、八年が大体それと同額くらいそれぞれ必要かというふうに考えております。三十九年、四十年になりますと、約半分ずつくらいの事業に減るかというふうに、今後の具体的な建設とかなんとかの進み方によると思いますし、また今度の起債がうまくいくかどうか、そういうようなことによっての問題かと思います。一応そういう計画のようにしております。
  34. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは何年償還にしているわけですか。これは発行手続などはある程度話ができておると思いますが……。
  35. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 償還年限がどういうふうになるかどうかは、具体的には発行しますときのあれによってきまるわけでございますけれども、私ども希望としては、大体十五年くらいというようなことを考えているわけでございます。
  36. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最後に、地方自治体起債を起こすときには、地方自治体が連帯してこれをやると思いますが、今度は政府だけが保証するわけですが、政府がこういうものに対して何か担保をとるとか、そんなこともないだろうと思いますが、ただ政府保証する、国会の議決を経て保証すると、これで片づくわけですか。
  37. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 地方公共団体の、この大阪市が発行いたします本件につきましては、政府保証いたしまして、担保とか何か特にとるようなことはない、ただ保証するというだけでございます。
  38. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 関連。政府保証するのでありますから、少なくともその債務の基本的な条件ですね、発行条件——金利がどうであるとか、償還の年限がどうであるとか、そういう基本的なことがきまっておらないと、ちょっと保証の仕方がないじゃないか。現実問題として、それがある程度の変化が起こるということは、これは考えますけれども、一体金利が幾らになるかきまらない、償還の年限はわからないということじゃ、率直にいって、保証の仕方がないような私は気がするのですが。事は外債に関するということでありますから、従来の慣例その他からいって、そういうものなんでありますか、どうなんでありますか、その点をちょっとお伺いいたしたい。
  39. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) お話の点、非常にごもっともな点でございまして、具体的に政府が元利を保証いたします場合には、もちろん、金利が幾らになる、それから償還年限がどういうふうになる、それから金額はどうであるということがはっきりいたしまして、そうして具体的に保証をしてほしいという希望があれば、これに対して保証するということになります。この法律といたしましては、そういう具体的な場合に、どういうようなふうにそういうことができるかどうかという権限を一つお与えいただきたいということでございますが、それにつきましても、やはり大体、まあたとえば、この件につきましては、三十六年度として九十億ぐらいの起債ができるだろう、これは一つの問題でございます。それから年限にいたしましても、ただいま申し上げましたような程度のことで、大体発行条件がきまる。問題は、一体金利がどうなるかということ、これは全体の金融情勢ということから見まして、具体的にそのときじゃないと判断がはっきりいたしませんが、まあこの程度ならばいいのじゃなかろうかという一応の客観的と申しますか、そういう情勢になるわけでございます。そういうようなことで、そういう程度まで具体化して参りましたので、この法案についての御審議をお願いした、こういう次第でございます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今、梶原さんの御質問したことに関連するのですが、これはドイツ起債するということが前提になっておりますね。そうしますと、御承知のように、マルクについてはまた再切り上げがあるかもしれないということもありますし、また、その金利がどうなるかということも問題ですね。ですから、その条件がはっきりしないで保証するということについて、どうもわれわれ納得できがたいわけです。  それから、これは予算総則に書かれてないわけですね。それで、こういうふうに予算総則に書いてなくて、それで法律によって政府保証する場合、これまでやった例があるのか、それで今後またそういう措置をとるのかどうか、その点……。
  41. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) この三十六年度における元利の保証限度を、予算総則でなく、法律附則において定めることにお願いしておりますが、過去の例といたしましては、日本海外移住振興株式会社の場合にもそういう例がございますし、それから愛知用水公団の場合にもそういうような例がございます。  それから、発行条件、特に金利の問題でございますが、これは非常に一番私ども関心のある点でございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、これは具体的な発行の際のドイツにおける金融市場から判断しなければならない。それがどう動くかということが問題でございます。先ほどちょっと申し上げましたが、ドイツにおける、ドイツのいろいろな事業債でありますか、これの既発ものの平均利回りがあるわけでございますが、これは月によりまして相当に動くわけでございます。五九年の一月はたとえば五分八厘ぐらいでございまして、それが五分七厘あるいは五分八厘というところでずっと動いておりますが、五九年の十二月になりましてから六分になったわけでございます。それから六〇年の一月に六分二厘、それがずっと続きましたが、六〇年の六月に六分四厘、七月が六分六厘、八月が六分五厘、九月に六分四厘と下がりまして、十一月に六分二厘、ことしに入りまして六分一厘から、六分を少し最近では割ってきている、こういうような情勢でございます。そういうようなことから、できるだけ私どもとして一番いい発行条件になりそうな時期をつかまえて発行するようなことを具体的には考えたいというふうに考えているわけでございます。  マルクの為替相場の問題でございますが、これは前々から一体切り上げをすべきであるとかなんとかという話がヨーロッパの方でございまして、それがずいぶんいろいろな長い話でございまして、この春五%の切り上げが行なわれたわけでございます。今後これがどうなるか、これはやはり非常な問題でございますが、しかし、スイスなんかで国際決済銀行やなんかいろいろの関係での各重要な中央銀行の総裁などが集まるときに、この切り上げ後の話がございましたが、今後こういうことをしないというようなことを言明されております。そういうようなことから、私どもとしてはそういうことはないというふうに見ているわけでございますが、その点について先般もドイツ・バンクのアブス頭取が見えましたときにも、頭取自身がそういうようなことは今後行なわれないということを言われております。そういうような点で、そういうものはないというふうに信じるわけでございますが、しかし、今お話しのように、そういう点は十分注意しなければならない点でございますので、今後の発行につきましては私どもとしてもできるだけの注意は払って参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こまかい技術的な点は質問いたしませんが、私はこの法律案で一番問題になる点は、大阪港と堺港の港湾整備について、特にこういう法律を設けて、外債資金をまかなった場合にはそれを許すということになると、これは今成瀬委員も質問されましたが、全体の計画の中でどういう位置を占めるのか、今後次々とこういう計画が現われてきた場合、それの適否をきめる基準をどこに置くのか、この点が一つ非常に重要じゃないかと思うのです。今後の地方開発計画をやっていく場合に、もし大阪でこういう例が開かれれば、私は次々に必ず出てくると思うのですよ。というのは、起債は財政計画で一応押えられているわけですね。ところが、これはそのワク外にあるということになれば、競って、私はこういう例が開かれれば、必ず出てくると思うのです。そのときに何を基準にして許したりあるいは押えたりするか、この点が一つですよ。  それから、もう一つは、国内資金調達ができないのか、外債という形でなければできないのかどうか。日本の金融情勢その他との関係があるでありましょうが。そうして全体として押えて、地域計画の全体の中で、大阪、堺港の港湾開発ということはどういう地位を占めるか、そういうことから勘案してやりませんと、これは今後の地域計画というのはばらばらになっちゃうと思うのです。それで、政治力の強いところ、特に割当をもらったところは、どんどん進む。そうすると、なるべく地域格差をなくすように、後進地域について開発を急がなければならぬという問題がありますし、アンバランスが非常に出てきちゃうと思うのです。私は全体として地域計画を進める場合に、国が外債発行して、その金でこの財政計画に従って配分するというのならわかります。ところが、特定の、大阪なら大阪というところが計画を立ててきて、それについて特にこういうワクを与えるということになると、今後の調整が非常にむずかしくなりますし、計画が均衡のとれた計画も立ちませんし、開発も非常にアンバランスになるのではないか。もちろん、こういう港湾整備ということ自体が悪いことではないし、いいことだと思うのです。しかし、資金の割当の問題が、成瀬委員も質問しましたが、どうも私そこのところ、国内の財政計画による起債の割当と、これをワク外にするという問題、その点がどうも先ほどの御答弁でははっきりしない。
  43. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 大阪港と堺港のこの計画は、大阪府市におきまして、阪神地域の経済的発展に即応しまして、今お話しのように、大阪港及び堺港の整備、それから臨港用地の造成、関連の工業用水と貨物鉄道の整備というようなものを、画期的に相当大きな資金、全体で千百億になるわけです、そういうような資金をもって整備するという計画を立て、その一部はぼつぼつと実行されていたわけでございますけれども、何分にも事業費全体が大きな金額でございますので、国内での従来のいわゆる地方債のワクの中では、なかなか事業を進捗させることがむずかしかったおけです。御承知のように、三十五年度におきましても、地方債を市中で公募できました分は約二百億ございます。そういうような金額の程度でございますので、国内資金でもってこれだけ大きな事業をするということはなかなかできなかった。たまたま、まそういう計画がございましたところに、ドイツでの起債というようなことは可能じゃないかというようなことで話が始まりまして、これが可能であるというふうになりましたので、大阪府市につきましてこういう起債を認めるということになったわけでございますが、お話のように、全体の計画の中で一体どういう地域での港湾整備とか、あるいは工場用地の整備、あるいは工業用水の整備、あるいは貨物鉄道とかそういう輸送設備等の整備等を行なうべきかということは、全体の中でもちろん考えなければならない。そういう事業としての適否から申しますれば、大阪府市の大阪港及び堺港の整備計画というものは適当であるというふうに考えられるわけであります。  それから、起債の、外債を一体認めるかどうかということになりますと、その点はやはり発行者自体が一体どういうものであるかということがやはり問題になると思うのであります。そういう点からは、大阪府市というのは、こういう起債をする団体としては適当だと考えなければならない。これがほかの都道府県の場合におきましてどういうことになるか。事業としては適当であると、しかし発行者としてはどうかとなりますと、いろいろそのときの財政状態その他で検討しなければならない。これは政府関係ということもございますけれども、同時に、外国においての発行を引き受ける方から見ましても、やはりそういう点が問題になるわけであります。その両方の点から具体的な問題になるのではなかろうかと思うのでありまして、今後こういう計画があるいは出て参るのじゃなかろうかと思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、相手方のあることでもありますし、その場合の具体的に出て参りましたときのケースバイケースということで判断しなければならないというふうに考えておるわけであります。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそこがおかしいと思うのですね。たとえば基準をきめる場合、大阪計画が適当であるという。たとえば北海道で釧路の港湾で今度建設する、そういう場合に、適当でないといえるかどうかです。何を基準にして……。所得倍増計画からいえば、後進地域を開発してアン・バランスをなくすということが一つ方針でありますね。そうなったら、そういうおくれている地域の港湾について、これを外債によって、国内では資金の割当がないから、外債によってこれを調達したいといったら、それを断わる理由があるでしょうか。大阪だから、それは資本にとって有利だから、もうかるからということ、いわゆる採算ベースばかり考えて、住民の利益ということから考えたら、基準のつけようが簡単につかないと思うのですね。ですから、いわゆる基準として適当であるかどうかということは、大阪港湾を開発することは、大資本にとって有利であるということなんですよ。大体太平洋沿岸ベルト地帯に重点を置くということは、資本の効率から考えているのですよ。資本の効率ということを考えて、これを判断基準とするかということになると、われわれとしてはそれだけではいけないのじゃないかと思うのです。やっぱり住民の利益を考えたら、資本の効率がかりに悪くても、その点は計画の中へ入れなければいけないのじゃないか。それでなければ地域格差が縮まらない。  それから、外債発行する場合の支払い能力の問題ですね、大阪府、市については交付団体でない、だから財政力はある。ところが、貧困府県ではそういう財政力がないから、そうした償還能力とか元利支払い等不十分だという点があるかもしれません。しかし、それは今度国の立場で考えます場合に、国がそういう措置を講じてやるべきだと思うのですね、それは。もしそういう貧困府県、市町村、財政力のないという場合には、やはり国がそれを外債発行して資金手当をしてやるということも正しいのじゃないかと思うのです。特に大阪だけを取り上げて、資金計画の別ワクでやるということについては、どうもそこにわれわれは割り切れない点がある。全体のワク内で、外債というものはワク内に入れて今後考えなければいけないのじゃないでしょうかね。ワク外ワク外といいますけれども、その点が一つ。  もう一つは、国内でなかなか資金調達ができない、計画が大きいし——こう言われましたが、これにも私は問題がある。たとえば財政投融資の原資、預貯金の伸び等から考えて、あまり大きい計画について原資が足りないという問題もあると思うのです。しかし、それにしても、最近の財政のあり方にもう一つの問題があると思うのです、金融について。たとえば三十五年度の自然増収はやはり千億も引き揚げ超過でしょう。そういう問題もある。これは金融を圧迫しますし、やはり資金の蓄積を阻害していろと思うのですよ。それから三十六年度でも、さっき委員長等ともちょっと雑談、話したのですが、かなりの自然増収があるとなると、それがまた資金蓄積を阻害すると思うのですね。そういうやり方にも問題があるのであって、全部なかなか郵貯の原資の伸びその他でまかなうことは困難であるかもしれませんけれども、やはり今の財政と金融の政策のやり方いかんによっては、もっと原資はあり得るのじゃないかということも考えられるのですね。どうも私は、外債ならワク外でいい、こういうことになると、全体の地域開発なり、それから資金計画なりが狂ってしまって、非常に不均衡になるのじゃないかということを心配するわけなんですが、繰り返して同じような質問をしているのですけれども、その点やはりどうしても割り切れないのですね。
  45. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) いろいろお話の点、私どもとしても研究すべきことは非常に多々、多いと存じますが、外債の場合に政府保証いたしますとしても、やはり引き受ける者とか相手方から見れば、どういうものが発行者であるか、発行者がやはり支払い能力があるということが、一番の問題じゃなかろうかと思うのであります。元利保証が……。政府があるのだから政府にすぐかかってくるというわけにも、向こうとしても参りません。これは最後のために保証を要求するということであります。発行者が支払い能力があるというのが、やはり問題になる。そういうような点で、その事業としては、いろいろな計画から見て、またほかの観点から見て、適当だというのもたくさんあると思いますし、またその事業を興すために非常に資金が要るということも、いろいろの場合にあると思うのでありますけれども、それを外債により得るかどうかということになりますと、相手方のやはり判断というものが非常に大きな力と申しますか、考慮すべき点になると思うのであります。そういうような点で、なかなかむずかしい問題だと思います。  外債がようやく地方公共団体として、戦後初めて大阪府市の場合に今度行なわれるかというような段階になったわけでございますが、今後もしこういうようなものがかりに容易にできるということになりますれば、今のお話のように、やはり地方債の全体の計画の中に組んでもいいという段階にあるいはなってくるのじゃなかろうかと思うのでありますが、ただ、今度初めてのことでありますし、これからあとどういうふうに、こういうようなものが容易になるのかならないのか、まだわからない段階でございます。今、地方債計画の中にすぐ組んでいいかどうかということについては、今後の成果に待つ方がいいのじゃなかろうかというふうに思っているわけであります。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 自治省の方は、どういうふうにこれを御判断になっていますか。こういう計画ワク外に、財政計画ワク外の問題ですね。さっき成瀬委員も御質問ありましたが、次々とこういう例が開かれれば、方々で要請があると思うのですね。財政計画を立てる上からいって、どうなんでしょうか。  それから、他の地域、たとえばさっきの北海道みたいなおくれたところで、港湾とか何かそういうものの整備のためのそういう計画を出してきたとき、これをまたそこで外債ならいいだろう、こういうわけにいきますかどうですか。
  47. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 自治省といたしましては、地方公共団体の財政需要、特に今問題になっておりますのは、公営企業並びに準公営企業関係資金の問題でございますけれども、財政需要があります場合には、その資金地方団体の期待する通り充足されるということがきわめて望ましいというふうに考えておるわけでございます。従いまして、外債によりましてその資金が調達できるというようなことになります場合には、私どもとしましては、できる限りそういう線で協力して参りたい、かように考えるわけでございます。  ただ、外債を募集するということになりましても、ただいま理財局長も申されましたように、相手方の方でその募集に応ずるかどうかというような問題がございまして、実は戦後も相当地方団体の方でも、資金募集の困難性から、外債というような問題も希望はあったわけでございますけれども、初めて今回のようなことができたわけでございまして、そう簡単に参るというふうには考えてはおらないのでございますが、これが契機になって、外債募集を希望しております団体が募集ができますようになりますことは、非常に私どもとしては喜ばしいことであるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、そういう場合に、たとえば今お話のありました釧路であるとか、そういうような後進性の強い地域において、はたして外債の募集が可能であるかどうかということになりますと、私どもとしましてもきわめて疑問に思うわけでありますが、ただ、そういう場合には、私どもとしましては、外債募集によりまして地方債計画上手がすいてくる部分の資金を、できるだけそういう地域に回して配分するというような措置によりまして、その資金の面で地域的な格差が生じないような措置をとって参りたい、かように考えるわけであります。それで、大阪府市の整備計画にいたしましても、現在考えております部分は、おそらく昭和三十七年あるいは八年以降におきましては地方債計画上は相当手をすかすことができるのではないかという感じがするのでありますが、そういう資金はできる限りそういう方面に資金の配分も行なって資金の効率的な運用をはかって参りたい、かように考えておる次第であります。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 しかし、それは実際問題としてそうなりますかね。大阪の場合、全部外債でやるわけじゃなくて、やはり国内資金でもまかなうということになるわけですから、手がすくからすいた分を後進地域の開発の方に振り向けるというふうには、それは観念上はそういうふうに考えても、実際問題として、たとえば東京都で大きな計画を立てて、それで一部を外債に仰ぎ、一部を国内資金調達するという場合、私はそうならないのじゃないかと思うのですよ。ですから、その点は、後進地域の開発等について、これは外債では発行できないでしょうから、もし今御説明通りだったら、それは非常にいいと思うのです。手がすいたのをすいただけ後進地域の開発の方に回すというけれども、実際にそうおやりになるでしょうかね、実際問題として。逆に、大きな計画を立てて、その一部を外債によってまかなう、その他の部分は国内資金調達するということになると、かえって逆に私は後進地域の方の資金調達を妨げるのじゃないか。逆ですよ。そういう点を私は考えなきゃならぬと思う。
  49. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 大阪港、堺港の整備計画の千百四十億のうちで、別途計画になっております約三百六十数億の事業費は、ほぼ大部分のものが本年から来年にかけまして完成する部分でございます。それで、こういう資金は現在の地方債計画上はこの計画内の資金で調達するということにしておりますけれども、こういう資金がこの場合には来年以降だんだん手がすいていくことになるわけであります。そういうことで、私ども地方債計画上は、そういう部分を後進地域に回すということができるかと思っております。  それから、七百七十億のうちで三百六十億の資金外債で募集をするということになっておりますが、これは外債だけで七百七十億の事業ができるという内容のものでございまして、その差額の約四百億というものは、工場用地の造成に伴いまして、土地の買却収入等でその財源の調達ができるものでございます。それで、約三百六十億の資金があれば、七百七十億の事業ができる、こういう形になっておるわけであります。現在の大阪港及び堺港の港湾関係の経費は、今後約五年間はこれでまかなおうということになるわけでございますから、本来地方債計画上当然将来予測しなければならなかったものが、それだけ手がすいてくるということになる、私どもはかように考えておるわけでございます。
  50. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もうこれで終わりますが、この特例措置はですね、今度初めてなんですか。政府財政援助制限に関する法律のこの特例措置は、これが初めてですか。「第三条の規定にかかわらず」というやつ、今回が初めてですか。
  51. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) こういう政府の特例措置は、愛知用水公団あるいは道路公団、そういうのにございます。
  52. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっき、予算総則規定しないで法律によってこういうことをやることができると。その点について、さっき愛知公団の例があると言われましたが、第三条の規定です。昭和二十一年法律第二十四号ですね、「第三条の規定にかかわらず」云々と、この例外規定でしょう。ね、これが今度初めてかということ。大阪、堺港に適用するのが初めてですか。
  53. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) ただいま御質問の、法人に対する政府財政援助制限に関する法律の第三条は、「政府又は地方公共団体は、会社その他の法人債務については、保証契約をすることができない。」という規定でございまして、この本文の方の例外規定といたしましては、いろいろな公団の元利保証とか、この規定に今まで例外があるわけでございます。
  54. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 地方公共団体に対してですね。この場合そうなんですよ。
  55. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 地方公共団体に対しましてはこれが初めてです。
  56. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 初めてですね。いや、それだけにですね、非常に重要視するんですけれども、今後もですね、さっきもこれは成瀬委員も質問しておったが、今後もやはりこういうような特例措置をとる考えでおられるのかどうかです。
  57. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) それは、先ほどからのいろいろなお話で、具体的な案件について個々検討されるべきことだと思いますが、お話のように、これが前例になり得ることもあり得ると存じます。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その前例になることもあり得ると。何だか非常にあいまいなんですがね。これは次から次に出てくることは必至だと思いますよ。ですから、何か非常にあいまいな御答弁ですから、私はどうも満足できないのですが、まあはっきりしたお答え得られないようですから、成瀬委員も御質問しましたから、私もこの程度にとどめておきます。
  59. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 委員長より理財局長に、成瀬、木村両君の質問に関連いたしまして、お尋ねいたしますが、御両君の質問の中にもございました通り、こういうことが今後各地方において起こり得るということについて、いろいろ御答弁がございましたが、主として、聞いておりますと、何か政府部内のようなことのようにのみ聞こえるのでありますが、今回の私ども聞いておりまするこの問題につきましては、いろいろ理由があると思いますが、ことにドイツ側が最近非常に外貨が激増しているということと、客観的情勢によってどうしても後進地域に投資をしなければならぬ、そういうような事情から考えると、日本側に投資するということは一番安全だ、こういうように聞いているのでありますが、そういう点において、しかもドイツの考え方とするならば、大阪とかあるいは名古屋とかいうことに限定しての考えでなくて、日本国の保証ということを前提としてやっているのですから、両委員がお尋ねするようなことが起きても、あるいは国自身が保証するならば、案外スムーズにいくのじゃないか、こう考えているのですが、交渉の過程におきまして、そういう点について政府側はどうお感じになられているかどうか、その点を一つ聞きたい。
  60. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) ドイツの方といたしまして、最近非常に外貨がたまって参りました。そういうような事情から、低開発国への援助をしなければならない、また戦後初めてだと思いますが、ドイツといたしましても、日本に対しても投資をしよう、こういう気運になりましたのは、委員長お話通りであります。そういう場合に、問題は、ちょうどそういうようなことがございましたときに、大阪府市の相当大きな計画もあり、それがちょうど、何と申しますか、うまくマッチしたようなことになっておりますが、大阪府市以外のものでも政府保証があればいいのじゃなかろうかということにつきましては、やはりまあ結局、大阪府市の外債でございますが、これを引き受けるのがドイツにおけるいろいろ保険会社あるいは年金基金、一般の大衆とかでございまして、発行者がだれであるかが問題になります。もちろん、お話のように、政府が元利保証をしている点が非常に大きなウエートを占める点だと思いますけれども発行者が相当ちゃんとした名の通ったものであるというようなことが、一番最初としては問題になるのじゃなかろうか。この発行が具体的にどういう成果をあげますか、その成果いかんによって、今のお話の点とかなんかも今後いろいろ検討されていくことになるのじゃなかろうかと思いますが、今まで先方との折衝の過程におきましては、やはりまあ大阪府市のこの計画自体だけを取り上げて論議しておりますので、ほかの場合がどうかというようなことについてまでの話は今のところは起こってはいなかった、そういう事情でございます。
  61. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) いま一点、宮崎港湾局計画課長にお尋ねいたします。大阪港及び堺港のいわゆる整備計画というものはどの程度まで今いっておるのか、ごく簡単でよろしゅうございますから。
  62. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) 大阪港並びに堺港の計画は、ただいま議題になりました七百七十億のほかに、全体で千百四十億くらいでございますが、これは三十六年度を初年度といたしまして、港湾の五カ年計画というものを全国的に検討をいたしておりますが、大体この計画が、今議題になりました計画が、まあおおむね五カ年計画の中に入るのじゃないか、かように考えておるのでありまして、この計画ができ上がりますれば大体間に合うのじゃないか、かように考えております。なお、そのほかにも、ほかの港の計画もございますが、現在の進捗状況というのは、大体初年度でございますのでそんなに進捗していない。この外債の問題が、この計画通りますれば、予定通りまあ進捗する、進むはずでございます。
  63. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 少しく質問をいたしたいと思います。  まず最初大阪港、堺港を中心とする臨海工業地帯造成の事業計画はどのようになっているのか、今委員長もこの点に触れられておりますが、重ねて伺いたいと思います。外債政府保証するのに、当然事業計画ができており、政府検討されたはずだと思うのです。政府はその計画を認めておるのかどうか伺います。
  64. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) この七百七十億の中には港湾整備計画というのは百二十億程度でございまして、そのほかは工業用地の埋め立ての計画でございます。政府といたしましては、大阪市府から出されました計画検討いたしまして、大体先ほど申し上げましたように、この全国的な五カ年計画というものはあるわけでありますが、目下のところ大体この程度でいいのじゃなかろうか、かように考えております。
  65. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その計画は、私たちには何もわからないわけですが、政府の方で知っているならば、もう少し具体的に説明をしてもらいたいと思います。
  66. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) それでは、御説明をいたします。全体計画でございますが、大阪港につきましては、港湾整備が三百十億でございます。工業用地の造成百七十八億で、工業用水道が五十一億でございます。それから臨港鉄道でございますが、これが十三億で、合計いたしまして五百五十二億程度になります。それから堺港につきましては、港湾整備が二十六億、工業用地の造成が三百七十億、工業用水道が百四十八億、臨港鉄道が四十二億、合計いたしまして五百八十八億程度。この全体計画と申しますのは千百四十億に見合う分でございます。
  67. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大阪府市の議会でもまだ十分に検討していないように私は聞いておるわけです。知事、市長がどんどん進めていて、議員には何も知らされていない、こういうふうに言われているわけですが、その通りでしょうか、どうでしょうか。
  68. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 千百四十億の全体について議会の議決を経ておるかどうかということにつきましては、まだそのうちの一部については議決の終わっておらない部分があるかと思います。たとえば港湾整備計画につきましては、これは従来からの取り扱いによりまして、毎年度予算の議決に・よりまして施行しておりますので、当該年度分の事業費については議会の議決は完了しておると思います。それから、工業用地の造成につきましては、大阪府、大阪市とも、それぞれの基本計画をもちまして、全体の計画はすでに議会の議決を完了しているというふうに考えております。  それから、工業用水道につきましては、すでに施行しております大阪の府営工業用水道、それから府市合同でやっております臨海工業用水道事業は、これはすでに基本計画をもちまして、議会の議決を完了していると思いますが、今後の、三十七年度以降の計画になっております府営の工業用水道並びに大阪市の工業用水道事業につきましては、現在関係各省との折衝中でございまして、まだ認可が完了しておりませんので、完全な議決、いわゆる正式の議決というものはとっておらないかと思います。  大体そういう状況でございまして、このほとんどの基本的なものは議会の議決は完了している、こういうふうに考えているわけでございます。
  69. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私、昨日大阪市の議員が東京へやってきたわけですよ。それで、こういう問題が今国会にかけられるんだが、一体大阪市会でもこれが問題になっておるのか、それで市会の意見はどうなんだ、こういうことを尋ねたところが、市会では問題になっていないと言った。何も知らないというわけです。ただ、この間西ドイツから調査団が来て、そして大阪を見て帰ったということだけ新聞で見た程度で、まだ市会では市当局から知らされていないのだ、こういうことだったわけです。そこで、現地が何も知らないうちに、大阪府、市長並びに政府当局の間だけでこの話が進められている、こういうように私は理解したわけなんですが、それは少しおかしいではないか。やはり府市会でもっと府市会の議員に知らされて、そこで検討されて、そしてもっと話がまとまってきてから、私は国会で取り上げていい問題ではないだろうか、こういうように考えたんで、その点、あなたに意見を尋ねたわけです。重ねて、どういうふうに考えておりますか。
  70. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 当初この外債発行につきましてのドイツ側との交渉が始まりました場合には、その成否につきまして府市の当局といたしましても確たる見通しがなかったわけでございますので、交渉の開始にあたってその具体的な計画の内容についてまで議会の議決は完了はしておらなかった、かように考えております。ただ、この事業計画の三十六年度施行分の必要なものにつきましては、議会の議決は完了しておるはずであります。ただ、今度の発行額が一億マルクというふうに大体まとまって参りますと、その金額に相当する事業量全部が議会の議決にかかっておるかといいますと、まだ完全にその事業費全体についての議決は終了はしておらない、これは近い機会におきまして議会に提案をするという予定になっているというように聞いております。
  71. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大阪港、堺港などの臨海工業地帯の埋め立て造成はどの程度進んでおるのか、現在の状態を説明していただきたいと思います。
  72. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 大阪港につきましては、南港の地域におきまして、現在の計画で、この外債によります部分が約百万坪ありますが、これはまだ未着手でございます。ただ、従来やっておりましたいわゆる一区、二区と称しております約七十万坪の土地につきましては、大体三十六年度をもってほぼ完了し得るというふうに考えております。これは大阪市の議会におきましてアラビア石油等に売却の議決が完了しているはずでございます。  それから、堺港につきましては、二区の北、南、三区、四区の部分が完了をいたしております。これが約七十万坪——六十数万坪になるかと思いますが、大部分は完了しております。それから、第五区につきましては現在工事が進行中、かように考えております。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 臨海工業地帯の造成埋め立てが無計画に行なわれていると言われておりますが、実情はどうなっているのか、政府の全体的な開発計画との関係はどのようになっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  74. 宮崎茂一

    説明員宮崎茂一君) 大阪や堺の港湾計画でございますが、運輸省では港湾審議会というものがございまして、そこで民間の学識経験者も全部集めましていろいろと計画をしておりまして、現在議題になっております臨海工業地帯の計画もその審議会を通りまして、運輸大臣に答申されているわけでございます。なおまた、全国的な問題につきましては、大蔵省の方から御答弁があると思います。
  75. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 御承知のように、所得倍増計画におきまして、今後十カ年間の工業用地の需要というようなことで、一応全体としての計画めどはできております。大体一億坪ちょっとこえる程度の用地造成が必要であるということになっております。ただ、これを地域別に具体的に下ろす段階になりますと、いろいろ問題もございまして、御承知のように、現在経済企画庁においてそういった地域的な配分問題を検討いたしておる、こういう段階でございます。ただいま議題になっております大阪の埋め立ての問題につきましても、そういったものの一環として考えられておる、こういうふうに私どもは承知いたしております。
  76. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは通産省の資料なんですが、「大阪南港および堺港の工業用地造成について」、「1、大阪南港商港一区、二区、三区二百十三万四千坪が計画され、一区、二区はアラビア石油の立地が決定している。三区については今後機械、造船、窯業等の企業を市では誘致したいと考えている。2、大阪府が堺二、三、四、五、六、七区四百六十一万坪の埋立計画を考え、二区は八幡製鉄、三区はセントラル硝子ほか五社、四区は大和ハウスほか八社に売却決定し、五、六、七区について現在住友グループ、三井グループ、関西経済連合グループによって電力、石油、石油化学等のコンビナート工業地帯造成のため払下げ競願になっている。」、こういう資料が、きょう私の手元に届いているわけですが、この埋め立てたものの対象になっているのは日本の独占資本と言われる大きな会社だけでありますが、この大体埋め立て費用ですね、総坪数はどれだけか、それでそれに対する費用は一体どれくらいになっておるか、坪当たりどのくらいについておるのかという点、それからこれをこのような大きな会社に払い下げる場合、大体どのくらいの費用で、坪当たりどのくらいで払い下げることになっておるのか、それからもう一つ……。まあそれだけまず聞きましよう。
  77. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 通産省の担当の方の方が今おられませんので、私かわって申し上げますから。実は専門家でございませんので、若干その突っ込み不足のことがあるかもしれません。  大阪港の工業用地造成の事業は、ここに出ております全体計画千百四十億に対応します面積は、これは平米で聞いておりますので、恐縮でございますが、五百九十八万三千平米ということになっております。そのうち、いわゆる借款対象事業になりまするのが三百六十八万三千平米、これに必要な事業費としましては百三十二億八千七百万ということでございますから、平米当たりにいたしますと大体四千円程度である、こういうふうに考えます。で、坪当たりにいたしますときには、これに三・三倍をしていただけば坪当たりになるわけでございます。堺港の工業用地造成につきましては、全体計画が千二百十八万六千平米でございまして、借款対象になりますのが九百二十三万七千平米、これに必要な事業費が三百一億ということになっております。で、現在までできました埋め立て用地につきましては、一部すでにもう会社がきまりまして売却している分があるようでありまするが、大体聞いておりますところでは一万円前後であるというふうに聞いております。今回の計画の分も堺の分の方が若干高いようでありまするが、大方その見当ではなかろうかと考えております。
  78. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、埋め立てに、坪大体一万三千円余りかかったものを一万円前後で売るといえば、これは大企業に対して府市がそれだけ費用負担するということになる。その費用負担がやっぱり府市民の方にかかってくるということになるんじゃないですか。
  79. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) 若干説明不十分で申しわけございませんでしたが、従来作っておりました分につきまして、これを売りますときには、もちろんそれはコストで、それに適正な金利その他も見まして売っておるわけでございまして、この事業といたしまして企業者が損をするということはないわけでございます。今後の計画の分につきましても、ただいまの数字があるいは若干不正確な点を申し上げたかもしれませんが、計画上も大体一万円程度になっておるというふうになろうかと思います。今の数字申し上げましたものを割っていただきますと、大体その辺の見当になるのであります。
  80. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなた先ほど何か四千円と言ったでしょう、坪じゃないけれども。それを坪にすれば、それに三・三かけると言ったでしょうが。四千円に三・三かけたら一万三千円になるじゃないですか。
  81. 宮崎仁

    説明員宮崎仁君) ちょっと暗算をやりまして、間違いまして申しわけございません。三百六十八万三千平米、それに対しまして事業費が百三十二億でございまして、平米当たり三千円でございます。
  82. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 堺などで一番問題になったのは工業用地の問題なんですね。たくさんの工場が来てくれて、市の理事者は大へん堺が潤う、こういうふうに言っておるようですが、堺市民はそう考えていないわけですね。というのは、八幡製鉄が来るということで、今堺が埋め立てをやっているわけですが、製鉄ができれば労働者がたくさん雇ってもらって堺の市民が喜ぶだろう。ところが、案に相違して、八幡製鉄は本社の方から労働者をつれてくるらしいのですね。そうしてこのごろはオートメーションが発達しているから、そう労働者も数多く要らない、本社からつれてくるので。そういう点においても堺は何も別に潤わない。ただ煙をかぶるだけで、堺市民は何ら利益ないということも堺では言われておるのですね。そこへもってきて、堺で一番問題になるのは、今でも工業用水がたくさん使われるというので、水道の問題があるわけですが、今度そういうふうにたくさんの工場ができたら、ますます水困難が来て、市民の飲み水に事を欠くような状態にならないだろうか、こういう不安がある。そこで、堺市の方でも、必ず工業用水を確保しますからということで工業誘致をやっているようなわけなんですが、それには相当の費用が要ると思うのです。  それで、ちょっと尋ねたいのですが、工業用水を確保するために要する費用というのは、どのくらい見ていらっしゃいますか。
  83. 藤岡大信

    説明員藤岡大信君) お答えいたします。堺港のこのたびの工業用水道の必要量は約四十万トンとされております。ただいま説明のございました七百七十億の中に百二十億を工業用水道計画に予定をいたしております。
  84. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ちょっとお尋ねしますが、四十万トンというのは、一日の使用量ですか。
  85. 藤岡大信

    説明員藤岡大信君) 一日の使用量でございます。一日平均四十万トンということでございます。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その工業用水を確保する方法をあなたたち持っていらっしゃるだろうと思うのですが、具体的に説明して下さい。
  87. 藤岡大信

    説明員藤岡大信君) 淀川から引きまして、布施市のところを通りまして堺港に持っていくという計画になっておるのでございます。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そのたくさんの金をかけた工業用水を、大体工業用水はトン当たりどのくらいの価格につくのか。そうして、それを工場に対してどのような価格で売るのか、承りたいと思います。
  89. 藤岡大信

    説明員藤岡大信君) これは一トン当たり予定の料金は五円五十銭になっておるようでございます。
  90. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いや、いや、それではちょっと答弁が半分しかされていないと思うのですがね。この工業用水を確保するのに要する費用をトン当たりに割ったらどのくらいにつくのか。一トンの水を確保するのにどれだけの費用がかかるのか、そのかかった費用を、その金のかかった水をトン当たり五円幾らで売るということなのか。そこを聞きたいのです、両方を。
  91. 藤岡大信

    説明員藤岡大信君) 地元の計画によりますれば、一トン当たり五円五十銭で売る計画になってございます。もちろん、これにはかかった費用全部をこれにかけるわけではございませんので、一部は国庫補助金その他を考えておるようでございます。国庫補助金につきましては、来年度のことになりますので、来年度この予算要求をしてそれを確保されるという計画は地元が持っておるものでございまして、われわれは来年の予算のときにその点は話し合いしたいというふうに考えております。
  92. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 どうも、話聞いていますと、私が最初疑問を持っていた点が釈然としないわけですが、どうも金をかけて埋め立てた土地を、それを原価を割るような価格で大資本に売り払う。それから、うんと金のかかる工業用水もこれをトン五円五十銭という、一般市民が使う水よりもうんと低い価格でこれを大資本に売る。要するに、今度のこれは、目的は大資本に対する奉仕と、そういうふうに私たち考えられるわけです。  そこで、もう一つ尋ねたいのですが、今度の西ドイツからの外債が、まだ金利もきまっていないし償還年限もきまっていないというふうなあやふやな条件なんですが、これが思うようにまとまらなかった場合、政府はその責任を持つのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  93. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) 結局、まあ今までのところとしては、発行条件等がどういうふうにきまるかということによって、全体の資金コストとかあるいは用地のコストとか何かきまってくることになると思います。今のところ、まあ売却価格とか何かを一応の計算で、先ほど御説明申し上げましたようなふうに言っておりますけれども、具体的に一体どの程度の値段で売るかということになりますと、御指摘のように、今後の発行条件がきまります。そういたしますと、発行者資金コストがはっきりいたしますから、それで具体的な事業費とかなんとかを算出いたしまして、ここのところとしては、やはりできたものを売ってそれで返還することになりますので、十分採算のとれる値段で売却価格をきめると、こういうことになる予定になっております。
  94. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一点。これはまだ話がまとまるとも、またその外債をつのってそれが十分に満たされるとも、まだきまらぬわけでしょう。きまらなかった場合に、政府がきまらない分に対して責任を持つのかどうかということ。  それから、政府保証するについては、何にも条件はつけないわけですか。もちろん、さっき担保は取らないとおっしゃいましたが、そのほかに大阪府市に対して政府として何か条件をつけていらっしゃるのかどうかということ。この点を伺って、私の質問を終わります。
  95. 西原直廉

    政府委員西原直廉君) この本件の計画としましては、外債が大体予定通りにできるようにと私どもとして努力いたしております。まあそういうような見込みが相当ついて参りましたので、この法案を提出した次第でございます。  それから、大阪府市に対しましては、政府といたしましては、まあ元利保証いたしますときに、担保を特に要求いたしません。その他条件はつけないことにしております。
  96. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をやめて。    午後零時二十五分速記中止    ————————    午後零時五十分速記開始
  97. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。大阪港及び堺港並びにその臨港地域整備のため発行される外貨地方債証券に関する特別措置法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  100. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会