○天田勝正君 もう初めから、私は三点だけ
質問をいたしたい旨を
委員長に通告済みでありますが、他院からも至急に迎えに来られておるようでありますので、分けて
答弁を受けてまた
質問するということでなくして、引き続いて三点続いて言いますので、そのつもりで
一つメモをとってお答え願いたいと存じます。
第一点は、山林所得の分配とこの所得の均衡的拡大の問題であります。参考に
基本問題調査会の文書の十ページ、(2)のところにございますから、
政府側は全部御
承知だと思いまするけれども、要するにここへ書かれておるところは、正年
林業所得の伸長が非常に著しい。しかし、その
林業所得の伸びをささえているのは山林所得の
増大であって、素材
生産所得や
薪炭生産所得の比重は顕著に下がっている、こういうことを
指摘しておるのであります。そして、要するに、山林所得は少数の大規模
林業経営者に帰属する部面が多くて、その他の
林業経営者及び
林業労働者に帰属する部分は比較的少ないのだ、こういうことを
指摘しております。さらに、その次のページを見ますと、製炭はほとんど農業との兼業による自営製炭として営まれているが、その所得は実質的にはほとんど勤労所得である。この労賃部分以上の余剰は、林地の所有者の原木代、あるいは集荷業者の商業所得に支払われているんだ、こういうことが
指摘されているわけであります。そういたしますると、この原木が値段が上がりましても、多くの
一般の小さい経営者もしくはそこに働く人方という者には一向恵まれておらないということが問題である。これがずっと引き続いて述べられているわけですが、引例はその
程度にいたしますが、そういう状態になっているのでありまするから、
政府が今考えておられまするいわゆる所得倍増
計画、それからこれらに携わっている者というのは多くは農業者である、こういうこともここに書かれて、そこでこれを総括して農山村と、こう簡単にいうのだという断わりがこの文書の中にあるのでありまして、そこでこの
林業所得の場合は、
林業者全体の所得が他産業と均衡がとれるようになったといいましても、その中の格差がおそろしくはなはだしいのだということが
指摘されているのでありますから、ここにますますもって均衡的な拡大をはからなければならないという問題が生じようと私は思いますが、それに対する
大臣の
考え方は、どのようにしてこの所得の分配の問題を適正に直したり、また使われている、あるいは自己経営者でありましても小規模の場合は非常に低い所得なのでありますから、これを均衡的に拡大せしめるにはどうしたらよろしいか。この考えをまず伺いたいと思います。
第二番目の問題は、
木材価格の低落の方策についてであります。先ほど
木村さんの
質問に対して
林野庁長官が答えられて、
価格の
上昇の点が
指摘されましたけれども、まあ途中のことを基準にしてもあまり標準になりません。で、私が考えるには、やはりこういう
価格騰貴の問題を考える場合には戦前基準にした方がよかろうと思うんですが、戦前基準から見ますと、今たとえば
建築費、これを見た場合に、他の諸
物価はおよそまあ四百倍ぐらいでありましょうけれども、
建築ということになると、どうしても一千倍になっている。かつて千両普請なんという
言葉もありますが、これが坪数からしても、明らかに百万円になっております。その千倍になる中身は、結局
木材の高騰に基因する、私はこう考えます。そうして、これはこの問題とは別でありますけれども、それに対してさらに土地
価格の騰貴に至っては大まかにいって一万倍、これがいわゆる
一般大衆どころかかなり高給取りといわれている人でありましても、都会の中心部などにはとうてい住宅が作られない、こういう事態に立ち至って、ここに希望が、ボーダー・ライン層どころかわれわれに至るまで、もう住宅に関する限りは希望を失っているというのが実状でありますから、この観点からも、どうしても
木材価格の低落を何らかの方法でしなければならない。さらに、その低落というものが直ちに山林に働いている多くの人たちの所得を引き下げる結果になったのでは、これは大へんでありますけれども、ここの文書で
指摘されておりますように、これは立木あるいはこの製材というものを引き下げましても、それはここに書かれておる地代的な所得を受けております大規模経営者には影響はあるでありましょうが、小規模以下の人にはちっとも影響がない、こういうことが明らかなのであります。そうしますならば、どんどんこの
木材の
価格を引き下げても一向差しつかえないのである。ことに、さっき
木村さんが盛んに言われておりましたけれども、このいわゆる四十四億四千六百万円というものと、それから
一般会計に入れる二十三億、こういうものを考える場合に、利益はあがっておる、そうしてその中から
一般会計に繰り入れる、これは林政に使うということが表面でありましょうけれども、しかし、私から言うならば、これだけの余裕があって
一般会計に寄与するというならば、むしろこの財源をもってして
木材価格の引き下げ、こういうことを
政府が率先してやるならば、これは住宅建設の
価格を引き下げることもできる。こういうことから国民に希望が与えられるのではないかと思うわけでありますが、そういう考えにおなりになるのか、ならないのか、これが第二点であります。
第三点は、今の国有地でありましても、
国有林野でありましても、かなり放牧と共用しておる面積の多いことは、これも当局の方で御
承知のところであります。ところが、先般農業
基本法に関連いたしまして、いずれにしてもそうした地域にさらに農業所得を伸ばしていかなければならないという必要が必ず起きて参ります。その際に、山林なりに放牧はできないかというと、少なくとも欝蔽度七〇%までは放牧地たり得るということが研究の結果明らかでございます。そこで、そういたしますれば、急傾斜地以外のほとんどのところが何がしかの放牧地たり得る、こういうことであります。そうでありますから、この牧野共用林地、こういうものを開発をいたしまして、これを草地にいたさなければ、私は農業所得は上がらないと存じます。これに対しても、いろいろ私過日農林
委員会におきまして与野党からの
質問を受け、それを改良する予算まで実は申し上げたわけでありますけれども、最近の研究によりますれば、塩素酸塩素の除草剤を使いますれば、一番困難な禾木科であるササの退治でありましても、その薬代だけならば千五百円で済む、中和剤を含めても三千円、あるいは機械の消耗を一万五千円、労働力を一万円と見ても、二万八千円でできるというのが私の
結論であります。そこらは
政府側はどう考えられるか。これは数字の問題でありますから別でありますけれども、とにかくこうしたところを特別に開発することによって初めて、この水源林を確保するために阻害にならない範囲においても、七〇%の欝蔽度というのでありますから十分これが使える。このことが
林業労働者にも所得を
増大せしめるし、また農業の場合からいいましても所得
増大の
一つの大きな道であろうと、こう私は考えますけれども、これらについての御所見を
一つ承っておきたいと存じます。