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1961-05-23 第38回国会 参議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月二十三日(火曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————   委員の異動 五月二十日委員田中一辞任につき、 その補欠として荒木正三郎君を議長に おいて指名した。 五月二十二日委員徳永正利辞任につ き、その補欠として岡崎真一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大竹平八郎君    理事            上林 忠次君            佐野  廣君            天田 勝正君            天坊 裕彦君    委員            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            西川甚五郎君            林屋亀次郎君            前田佳都男君            前田 久吉君            山本 米治君            荒木正三郎君            大矢  正君            戸叶  武君            野溝  勝君            永末 英一君            須藤 五郎君   政府委員    経済企画庁調整    局長      中野 正一君    大蔵政務次官  田中 茂穂君    大蔵省主計局法    規課長     上林 英男君    大蔵省理財局長 西原 直廉君    大蔵省管財局長 山下 武利君    大蔵省銀行局長 石野 信一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    通商産業省企業    局産業資金課長 若林 茂信君    建設省計画局参    事官      志村 清一君    建設省道路局道    路総務課長   青木 美雄君    会計検査院事務    総局第三局長  白木 康進君    会計検査院事務    総局第五局長  平松 誠一君    日本国有鉄道施    設局長     柴田 元良君    日本国有鉄道管    財部長     山崎  武君   参考人    日本開発銀行理    事       吉岡千代三君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○租税及び金融等に関する調査  (最近における設備投資金融問題  に関する件)  (国有財産の管理と工事請負契約に  関する件)   —————————————
  2. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。  最近における設備投資金融問題に関する件を議題といたします。  これより本件に関して御質疑をしていただくわけでございますが、その前にお諮りをいたします。  吉岡日本開発銀行理事参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  4. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) では、順次御発言願います。  なお、ただいまの出席者石野銀行局長若林産業資金課長中野企画庁調整局長遠藤計画課長でございます。
  5. 野溝勝

    野溝勝君 一般的に知られておる問題なんですが、最近設備投資関係物価国際収支貿易等関係、それらを含めた経済動向に対し非常に国民心配をしているわけなんです。それらの動きに対し中堅諸君考えをきょうは忌憚なくお伺いしたいと思いまして、かような機会をお願いしたわけです。だから、ざっくばらんに説明され、われわれの認識並びに国民の必配しておる点の一掃に務めたいのです。  そこで、さっそくお伺いするのですが、特に経済企画庁の係官にお伺いいたしますけれども、最近、経済高度成長に伴って、むちゃな設備投資が行なわれている一方、これに関連して国際収支物価の問題などについて注目すべき動きが各方面から出ております。政府高度成長を主張し建前から、これらの異変に対し依然として強腰で進んでおるわけですね。しかし、金融界におきましても、あるいは産業界におきましても、強く警戒信号意見が出ておるわけです。本日の新聞などを見ても、紡績界などは政府設備拡大緩和方針に対し反対の意思表示をしておるわけです。  これは一つの例であるが、特に経済企画庁といたしましては、この動きをどういうふうに一体考えられておるのですか。この点、一つお伺いしたいと思います。
  6. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今の御質問の、最近の経済発展ぶりがどうも政府の方で見通しを立てておったものよりも少し行き過ぎておるのじゃないかということを、各方面で御心配をされておるわけであります。それで、最近の情勢を申し上げますと、まず三十五年度の——これはすでに終わっておるわけなんですが、われわれが一月に見通しを立てましたところから見ますと、幾分やはり食い違いが出てきております。その一つは、世間でも問題になっております、やはり設備投資行き過ぎつつあるのじゃないかという点が一点。それから、もう一点は、国際収支見通しが少し甘過ぎたといいますか、最近の情勢から見て少し違っているのじゃないか。それから、もう一点は、やはり物価関係でございますが、これは御承知のように、卸売物価消費者物価両面を見なければいけませんが、この両面とも政府見通しよりも少し上がっているのじゃないか、この点だろうと存じます。  で、全般的に見ますと、三十五年の経済というのは非常に順調な拡大を続けまして、まず数字的に少し申し上げますと、鉱工業生産面に一番端的に数字が現われるわけですが、これを見ますと、三十五年度鉱工業生産は、われわれが一月の時の見通しで前年度に比べまして二二・六%、二割ちょっとくらい大体上がるのではないかというふうに見ておったのでありますが、これはまだ三月の速報が出て確定数字ではありませんが、今言いましたように二二・六%くらい三十四年度に比べて三十五年度はふえるのじゃないかと見ておったのが、実績は二三・三%、これは〇・七%程度の差でございまして、大体、生産はわれわれが見ておったよりもちょっと上向いておるということでございます。ただこれも、たとえば最近の三月の数字は、昨年の三月に比べると大体二割アップくらいの数字になっておるわけです。ところが、その前は大体二五%アップというようなことに上半期の方は行っておりまして、従って二五%から二〇%というふうに生産も順調には伸びておりますか、上昇のカーブは下降しておるというふうにわれわれは見ておるわけでございます。  それから、設備投資でございますが、これは三十五年度は、御承知のように、民間設備投資で二兆八千五百億の設備投資があると見ておったのでありますが、これを大体今まで、十二月までの実績数字が出つつありますが、十二月までの数字と、それから一−三月のいろいろな諸指標を勘案して見ますと、これも世間で言われておりますように、大体三兆の線に近づいておるのじゃないか、こういう実績になってくるのじゃないか。そこに二兆八千五百億と見ておったものが三兆になったわけですから、千五百億ほど設備投資がふえた、こういう数字が出るのじゃないかというふうに見ております。  それから、もう一つ主要要因でありまする在庫投資でありますが、これは三十五年度中に七千五百億ほど在庫投資積み増しがあるのじゃないかというふうに見ておったのですが、これは最近の経済動きが、三十五年度については非常に落ちついた動きを示しておりまして、在庫投資積み増しというのは、見通しの線を大体二千億程度下回る、七千五百億といっておったのが千五百億ないし二千億程度下回るというふうになっております。これはどういう傾向かといいますと、要するに経済上昇に対しまして在庫積み増しというものがほとんど影響しなくなったということがいえるのじゃないかと考えております。それは需要の面からいいますとマイナス面でございます。設備投資がふえたということはプラス面在庫投資が減りつつあるのじゃないかということはマイナス面でございます。  それから次に、輸出入の関係でございますが、これは御承知のように、一億二千万ドル程度経常収支黒字が出るのじゃないかというふうに見ておったのでありますが、これは締めてみますと、三月末で御承知のように経常収支で七千万ドルの赤字。しかし、総合収支では、われわれは六億ドル程度黒字と見ておったのが、六億七百万ドルの黒字ということになって、これは総合では見通しは変わらなかったわけでございますが、経常収支ではマイナスになってきた。これは結局、需要要因としてはやはりマイナス要因になってくるわけであります。  そういうことで、一月の見通しでは、十四兆二千三百億ぐらいの国民総生産になるのじゃないかという見通しを立てておったのでありますが、今言ったプラス要因マイナス要因等総合してみますと、大体十四兆二千三百億を少し上回る、二、三百億程度上回る程度におさまるのじゃないかというふうに考えておりまして、経済成長率も、大体一月の見通しとそう狂いはないというふうに見ておるわけでございます。  それから、次に、物価の問題でございますが、これも卸売物価が大体〇・八%三十五年度は上がると見ておりましたのが、実績は一・八%上がりました。これは主として、そのうちの七、八割は、木材価格が非常に三十五年度一ぱい高騰したということが、非常な主たる原因であります。それから三月になりまして、御承知のように、鉄鋼価格が、これはもういわゆる公開販売価格という、いわゆる八割から九割程度のものが公開販売で、まあ一種の建値制のようなことで取引されております。これは全然上がっておりません。ただ、それ以外の市中問屋同士取引される仲間相場というものが上がったために、これは日銀卸売物価指数で、その要するに一、二割の市中物値段と、それから八、九割の公開販売制度に乗っておる大部分取引のものと、これを指数的には半々に見ておるわけでございます。従って、市中相場が上がりますと、それが五〇%卸売物価に響く、こういう計算をしておりまして、そういう関係で、三月になりまして鉄鋼価格が上がった。繊維がやや持ち直したというようなことから、三月には、二月に比べまして一・二%程度卸売物価が上がったために、相当これはやはり警戒をせなければいかぬということを考えまして、これはさっそく通産省におきまして鉄鋼業界と話をいたしまして、一番不足ぎみでございます中型形鋼、あるいは厚板銑材、こういうようなものについて増産の勧告をいたしました。業界の方でも、大体従来の数量よりも二割程度増産態勢を作りまして、四月に入っては大体値段落ちつきつつある。また、木材につきましても、御承知のように、輸入木材をふやす、あるいは国有林の伐採を相当ふやすというような手を打ちまして、これは非常に林野庁でも協力していただきまして、ようやく木材価格も最近になると落ちついてきたわけです。しかし、三十五年度中に非常に値上がりしたために、それが指数に響いて、卸売物価にはそういう狂いが来た。  それから、消費者物価でございますが、これは大体約三・二%ぐらい上がるんじゃないかというふうに見ておったのでありますが、これは三月末で締めてみますると、四%上がった。この四%消費者物価が上がったということは、ここ数年来なかった現象でありまして、大体ここ数年来は一・二%程度平均しまして消費者物価というものは上がってきたわけでありますが、それが三十五年度中に四%上がった。これは非常に家計にも御承知のように響いたわけでありまして、われわれの方は物価白書を出しまして説明をしておりますが、大体昨年一ぱいで、全家計で平均をしてみまして、昨年中に各家計でふえた支出のうちで四割は物価値上がり、今のいわゆる四%の物価値上がりで消されてしまった。従って、実質的には、支出がふえたうちの六割しか消費内容がよくならなかった。半分近く、物価の騰貴でこれが帳消しされたということは、相当なこれは家計にとっては影響じゃないかというふうに見ております。ただ、その中身を見ますというと、大体半分以上が、六割近くが肉、魚、野菜等食料費値上がりで、これもいろいろ季節的な要因、あるいは豚肉が非常に、数年前に値段が下がったためにみな豚を殺してしまったというような、一時的な要因もございまして、これに対してはいろいろ緊急輸入あるいは増産態勢流通機構整備等、いろいろこれは農林省で手を打ちまして、最近は御承知のように肉も非常に落ちついております。野菜も、最近はどっちかというと、地方によっては下落をして困るという声もございまして、だいぶ落ちついてきておりますが、大体五、六割は食料品値上がり。それからあと二割程度がいわゆるサービス料金。これはいわゆる散髪屋さんだとか、パーマネントとか、そういうふうなような、これは人件費コストのうちの相当部分を占めて、所得倍増の過程におきましてある程度値上がりを、コストが上がってきて上げざるを得ないというものでございますが、そういうサービス料金関係が二割。それから食料関係が大体五割以上、これが大体影響しておりますので、まあ政府でも、いろいろ消費者物価対策について手を打っておりまして、三十六年度はぜひ一%程度にこの値上がりを押えたい。これは相当無理じゃないかという御議論もございますが、政府としてもぜひそういうところに押えたいというふうに今鋭意努力してやっておるわけでございます。まあそういうところが少し食い違ってきた。  それから、国際収支には、先ほど申し上げましたようにある程度食い違いがありましたが、総合収支では大体六億以上の一もちろんその大部分短期資本じゃないかということで、議論はございますが、そういうことになってきた。結局、今後の見通しでございますが、先ほど申し上げましたように、三十五年度経済自身がわれわれの見通しよりもやや上に行っております。特に輸入は、最近の経済拡大テンポに見合って、われわれの予想よりも、三十五年度で約九千万ドル程度−一億ドル近く、予想よりも輸入が多かったわけです。それから、輸出の方が予想よりも少し少なかった。大体三千万ドル程度少なかった。で、この傾向が三十六年度中ずっと続いていくと、むしろそれが輸出の方は立ち直るといっても、そう明るくないのじゃないか。輸入は、なるほど政府が言っておるように、思惑輸入あるいは投機的な輸入というものはこれはございません。大体輸入のふえたものを見ましても、鉱工業生産拡大に見合う原燃料でございますね。それから、最近繊維原料相当ふえております。それから、畜産がふえたために、飼料が足りなくなったというようなことで、食料関係相当ふえておりますが、これは飼料輸入がふえておる。これも非常にいいことでございまして、従って、大体経済拡大に見合って輸入は行なわれていくのでありますから、その点では、三十二年のような思惑的なものはございませんので、その点は心配しておりませんが、ただ、成長が少し早過ぎた。輸入がだんだんふえていく。政府が言っておるように、これが落ちついて、在庫の補填が落ちついて、一巡をしてだんだん減っていく、ということよりは、そのふえ方が減っていくということになるかどうか。それから、輸出がアメリカの景気が二月を底にいたしまして上向いております。これはU字型の上昇か、V字型の上昇かという、いろいろ議論はありますが、最近の収支を見ますと、相当上昇を続けておるのじゃないか。で、これが日本輸出にどの程度いい影響を与えるかについては、いろいろ問題がありますが、ここらについても問題があるので、結局その政府見通しをしました経常収支で、三十六年度一千万ドルの黒、それから資本取引で一億九千万ドルの黒、合わせて二億ドルの黒字が出るというふうに見ておったんでありますが、これはちょっとなかなかそうはいかないんじゃないかと。従って、輸出について、もう少し輸出がやはり輸入の増大に見合ってふえていくということにならなきゃいかぬのじゃないかということで、先般来輸出振興ということについて政府も力を入れており、民間の方でも力を入れていきたいという空気になっておって、この国際収支の点がやはりポイントになっておりまして、結局、突き詰めると、そのもとはやはり民間設備投資行き過ぎつつあるのじゃないかということが言われておるわけです。  これは、またあと関係のところから御説明があるかと思いますが、まあわれわれが出した数字は、大体二兆八千五百億の三十五年度に対して、約一割程度増の三十六年度は三兆一千四百億ぐらいであろうというふうに数字を出したわけであります。これは三十四年、三十五年と大体前年度と比べて三割以上ずっと設備投資がふえてきておるわけですね。二年間もそういう高いレベルの設備投資が行なわれたんであるから、もうそろそろここらで落ちつきを取り戻すんじゃないか。また、落ちつきを取り戻すように政府も、あるいは民間の方もそういうふうにやってもらいたい。これは見通しのときにつけました政府経済運営基本的態度にそういうふうに書いてあったわけです。ところが、どうもその後の数字を見ますというと、そこらが少し食い違っている。先ほど申しましたように、三十五年度自身が三兆円ということに大体なりそうなんです。従って、この三兆円からかりに一割ふえるとすると三兆三千億ということになるわけでありまして、ただ、最近通産省調査あるいは経済企画庁投資予測調査というものを発表しておりますが、そういうものの数字から見るというと、世間では三兆六千ぐらいに、二割アップでございますね、それぐらいになるのじゃないか。これもそう確たる計算に基づいてやっておるわけじゃありませんが、まあいろいろの数字を加えましてやっておりまして、この今の設備投資の勢いというものをある程度これを鎮静をさせるといいますか、もっと落ちついた足取りに持っていきたいということを日銀あたりでは言っておられるわけでありまして、また、民間におきましてもだんだんそういう空気ができまして、特に所得倍増計画が昨年発表されまして、安易な成長ムードというものに踊らされて各企業が甘い考え投資をやるというようなことはこれはいけない、またいたずらにいわゆるシェア確保といいますか、シェア獲得といいますか、そういう意味のいわゆるむだな過剰な競争というものはやめるべきであるということで、これはもちろん各業種につきましていろいろ事情が違いますが、全般的にわれわれが見ておるところでは、現在いろいろな計画に出ておりまする数字というものは、これは一応の各企業の希望的なこういうふうにしたいという数字でございまして、これがそのまま実現されるとはわれわれ見ておりません。が、全般的に見ますというと、これは貿易自由化に備えての合理化なり近代化あるいは技術革新というようなものに備えての投資、あるいは産業基盤の拡充のための投資というものが大部分でございまして、その点については、投資内容そのものはこれは実は通産省の方で現在産業合理化審議会で各業種ごとにこまかく検討されておりますので、そういうところにおきまする調整というものを待ちましてわれわれの方はもう少し今の投資行き過ぎかどうかということは検討を加えたいと。今直ちにこれが行き過ぎである、どれとどれが行き過ぎであるというようなことは、まだわれわれの方は結論を出しておらない状況でございます。まあ設備投資行き過ぎておるんじゃないかというようなことが物価問題あるいは国際収支問題等でいろいろ議論されておるわけでありますが、そこらの点については今後さらに検討を続けていきたいというふうに考えております。
  7. 野溝勝

    野溝勝君 通産省考え方一つ……。
  8. 若林茂信

    説明員若林茂信君) 通産省考え方でございますが、今経済企画庁から言われましたこととほとんど同じでございまして、所管産業設備投資動向につきましては、先般調べました結果に基づきまして、現在産業合理化審議会産業資金部会で各業種別にこまかく検討を加えております。大体は、今企画庁からのお話がございましたように、経済成長ないし貿易自由化に対応するための設備増強が主でございまして、その基調といたしましては私ども大体健全な傾向だと思っておりますが、ただ、業種別に、さらに企業別検討いたしますと、やはり若干問題がある点がないわけではございませんし、さらに、国民経済バランス関係等の問題、あるいは資金調達上の問題がございますので、その辺を総合的に勘案いたしまして目下鋭意検討を進めておるわけでございます。産業資金部会はすでに四回開きまして、また明日もあるわけでございますが、あと明日を入れまして四回ないし五回くらい開いて、前後十回くらい開いた結果結論を得たい。それに基づきまして通産省といたしましてもあらゆる手を使いまして極力行政的の措置で遺憾ないようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 野溝勝

    野溝勝君 私は、事務的の御答弁といいますか、気持を聞きたいと思ってお伺いしておるんですよ。上局になると政治性が出まして、政府の主張そのままを受け継いでお答えをする傾向にある。むしろ私は実際家の皆さんから偽らざる現在の経済事情に処する気がまえを聞きたいと思って質問しておるのでしてね。それを政治性を加えたようなお答えをされると、きょうのせっかくの開かれたこの委員会の意義をなくしちゃうと思うんです。それはいろいろの関係もあるでしょうけれども、事務的に見て現在の経済現象のとらえ方について心配しておるような点は、率直にお答えをしてもらいたいと、こう思っておるんです。  そこで、現に先般五月十二日に行なわれた審議会においてはこういう結論が出ておるのじゃないですか。第一部会、特に設備投資部会におきましては、本年度だけで設備投資が一兆八千億を突破した。それで、国際収支は、貿易不振のために経常収入においては毎月一億ドルの赤字を出しておるという結論が出ておるわけなんです。さらに、本日の新聞を見ると、二十日現在でもうすでに赤字が三千万ドル出ておる。こういう情勢が現実の姿なんですね。さらに、第三部会においては、経済企画庁大来佐武郎総合計画局長が特に部会の決定を発表しておる。それによるというと、所得倍増計画を作成した基準となったのは三一−三三年度であって、最近ではその経済構造に大きな変化を来たしておる、こういうことが指摘されておるのですね。さらに大来君は、三十四年度実績、三十五年度の推定及び見通し総合すると、基準年度三一−三三年度に比べて国民総生産占むる国民消費の割合は五九・五%から五五・六%に下がる。一方、設備投資は、これは政府企業を含んでおるのですが、一八・五%から二二・三%に比重が高まる。このように所得倍増計画作成基準と最近の経済情勢相当のズレが出ておると言っておりますね。なお、同君は審議会において、所得倍増計画大幅改訂経済情勢が異常なものであるから手直しをする必要もあると考えておる、こういうことを言われておるのです。この点は今企画庁中野調整局長お話とは、大体まあ似てはおりますけれども、大来君の方は相当の決意を表明されておるわけですね。私は大来君の言う方が事実だと思うのですよ。ですから、これから見るともっと私は強い意見が出ていいのじゃないですか。中野君の方は再検討中だというし、大来君の方はある程度発展をしておるわけですね。そういう点についてどういうふうに一体われわれは考えたらいいのか、人民は迷うのだよ。この点、一つはっきりお伺いしたい。
  10. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今御指摘の経済審議会において、御承知のように、ここで所得倍増計画を作ったわけでございますが、どうも最近の動きから見て、大体所得倍増計画の線に沿って今の経済が動いておるかどうか、そういう点は、これは私の方の迫水長官が再々言われるのですが、所得倍増計画の要するに作った責任者で、これを実施する何というか、番人というか、そういう立場にあるので、ぜひ所得倍増計画というものを、よくこれは御承知のように、大部分の人は民間の各界の専門の方、あるいは権威者の方が集まられて自分で作られたわけですから、ぜひこれを一つの目安というか指針にして、やはり各企業は運営をやってもらいたい。政府のやるべきことは、倍増計画に書いてあるように、ちゃんとはっきり書いてあるわけですから、その通りにやる、民間の方も所得倍増計画というものをよく見てやっていただきたい、こういうことを言っておられまして、今言われたように、最近物価なりあるいは特に国際収支の面でいろいろな問題が出てきておりますので、一度所得倍増計画の、長官の言葉でいいますと、アフター・ケアということを言っておられますが、そういうことをやらなければいかぬ。三十六年度所得倍増計画年度なんですから、初年度からでもいいから検討したいということで、総合部会というのを作りまして、そこで第一、第二、第三という国際収支設備投資あるいは物価、それ以外のいろいろ経済発展に伴う摩擦の問題、そういう問題を取り扱おう、そういうことでこの間はそういう部会を作るということをきめまして、発足して、これから実は検討していただく段階でございまして、実は新聞に出ましたことは、これはよくあることでございますが、うちの計画局長説明したことを少し強調し過ぎて、私もその審議会に出ておるわけですから、書いたように思っております。決してそこまで今のあれが倍増計画から見て行き過ぎである、これをその意味で再検討するという結諭でも何でもございません。  ただ、先ほど言われましたように、実は倍増計画、三十六年から出発させるわけですから、三十四年か三十五年の実績を見て、それから倍増計画というものをいろいろ、どういう設備投資民間の消費、それから政府投資政府の消費、いろいろなバランスが非常に、国際収支というものがどうなるかということを計算をすべきであったわけでございますが、数字は去年作業したわけですから、その通りでないわけです。それで、結局基準年次というのは三十一年から三十三年の間をとりまして、三十一−三十三年の経済がこういうバランスになっておる、それからこの十年間倍増ということにすればどういう姿になるかということを描いておるわけなんです。ところが、三十四年、三十五年の実績が最近はっきりしてくると、だいぶ基準年次と日本経済の姿が違っておるのじゃないかということがだんたんはっきりしてきたわけです。  それが先ほど御指摘になりました、たとえば企業設備投資基準年次では国民支出の一八・三%になっておった、これを目標年次の四十五年には二八・八%というふうに持っていこう、それでどっちかというと政府の方の投資相当ウエートを上げたいということが構想になっておるわけであります。それから、個人の消費支出は大体五九・五%ということで全体の総支出の大体六割近く、これを目標年次では五八%程度に見ておったわけです。最近の三十四年、五年の実績は、個人消費支出というのはやはり五五・六%ということになっているわけですね。それから、設備投資が二割三分から二割五分程度にいっている。それでははたしてこの三十四年、五年というこの姿と基準年次というものとの食い違いはどう解釈すべきかということは、非常にその審議会でも議論になりまして、従って、単純に四十五年の姿というものを現在に移して、三十六年のあるべき姿を描くということも実際に合わないのじゃないか、基準年次そのものがもう相当実際と食い違っている、倍増計画のスタートから、そういう点をむしろもう少し学問的といいますか、技術的といいますか、理論的といいますか、そういう点を各学識経験者あるいは各界の専門の方に集まっていただいて十分検討をしていただこう、そういう作業をこの間から始めようといういきさつになっているわけであります。
  11. 野溝勝

    野溝勝君 中野君、ねえ、君、先ほど君のお話では、アメリカ景気も二月で底をつくのだという展望に立っての構想だったけれども、二月どころか三月、三月どころか四月、五月二十日現在今日に至るまで、底ばかりついている。ですから、企画庁の見た経済観測は今日では通用しない。神様だって、それは何も信仰したところで御利益があるわけでもないし、いわんや人の考えていることに対して私はそのあやまちを突くわけでもないのですよ。諸君としては一応理論的な展望に立って策定された考え方ですから、われわれはそれを全部いかぬとか、悪いとかいうのではない。しかし、現実の経済事情動きは、国際的においても国内的においても、あなたたちの考えておるように動いておらないのです。ですから、そこに不安がある。さらに同じ経済企画庁における同僚が、少し言葉が強く響いたとか、それが新聞に載ったとか載らぬとか、そういうことはわれわれ人民からすれば迷惑な話です。  あなたから輸入関係の問題、国際収支の問題、物価に対する考え方の問題についてはあとでお伺いするとし、とりあえず設備投資動きに対し通産省の見解をあなたも御承知の通り御理解願っておることだと思うが、これは開発銀行も同様な考えを持っているらしい。現に発表されたところによると、千五百四十九社、本年一月末の投資計画は総額一兆七千九百億、三十五年度実績見込みより三五・三%の増加となっている。これは通産省関係だけです。その他造船だとか各関係省分を加えると、民間設備投資額は、あなたの方の考えでは三兆の予定でございますけれども、こちらでは三兆七千億をこえるものと見られているのですね。漸次ふえる傾向なんです。政府の間でも、経済企画庁考えとはよほど違っている。さらに、先般山際日銀総裁が五月十七日の相互銀行の大会の席上において、近時産業界企業先行をたてとし、設備投資増大の傾向警戒しなければならぬと言っておりますね。きょう、日銀総裁、関係者をお招きすることを委員長にお願いしたのだが、どうもこの間の事情から見ると、政府当局と考え方を異にした発言をしてはしっぽをつかまれるというような心配からかどうか知りませんけれども、出てこないことはわれわれ遺憾です。いずれあとで来てもらって、十分この間のことをお聞きしたいと思う。  なお、中野局長は、物価の基調は上昇傾向にあると、先ほど木材ばかりが上がったというようなことを言われておりますが、木材ばかりではない。食糧品も上がったし、あるいはサービス業も上がったが、特に消費物価は四%以上上がっておるのです。全く今ひずみの状態に来たということを宣言しておるのですね、日銀総裁もこういうことを言っておる。通産省もさような見解を述べている。経済企画庁がすでに  こういうことをタッチしておるわけなんです。もうこういうことをタッチしている以上は、今までの経済展望をそのまま固執しようとしないで、思い切って新たなる考え方をまとめて具体的に政策の中に打ち出してもいいんじゃないかと思うのです。この点について通産省も課長君だけではよくこの間の事情がおわかりにならぬようなんで、何でも経済企画庁の言う通りというようなことばかり言われておったのでは、これはたよりないので、幸い開発銀行の理事も来ておるようですから、理事の吉岡君にお伺いいたします。
  12. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 吉岡参考人
  13. 吉岡千代三

    参考人吉岡千代三君) 御承知のように、開発銀行におきましても毎年度定期的に設備投資調査をいたしております。それで毎年、本調査と申しまして、これは例年八月現在で延べ約二千近くの事業に対して調査を実施いたしております。それから、中間調査といたしまして、毎年三月二十日現在で延べ約九百社を対象に調査をいたしております。その最近の調査の結果が、先ほど野溝先生お述べになりました数字でございます。  数字につきましては、先刻中野調整局長からもお答えいたしましたので、省略をさせていただきますが、傾向といたしまして、三十五年度実績は、本行の調査対象である鉱工業を中心とする比率で申し上げますと、三十四年度に比べまして四四%の増になっております。これは昨年の八月に調査いたしました際にも、見通しとしてほぼその程度数字が出ておったわけでございますが、例年開発銀行の調査はいわゆる支払いベースで調査しておりますので、三月末で締めてみますというと、通常約一割程度計画に対して支払い繰り延べその他で実績が下回るのが通例でございます。それが昨年につきましてはほぼ昨年八月の調査と同じ程度実績を示しておるということは、やはり昨年、特に下期以降設備投資の意欲が相当積極化してきたんではないかというふうに判断せられます。  それから、本年度見通しでございますが、これはやはり企業から出して参りましたなまの数字で、先ほどお話しございましたように、三十五年度に対して三五%アップという数字が出ております。ただ、これを本年度の上期と下期に分けてみますると、上期につきましてはやはり前年度からの積極的な投資意欲が継続しておりまして、昨年の下期に対しまして本年の上期は、これは計画としてでございますが、約二〇%アップ。で、本年度の下期は上期に対しましてほぼ横ばいというような傾向になっております。そこで、かりにこの数字通りに推移するといたしますれば、まず民間設備投資意欲は、絶対額はこれは基盤が拡大して参りますのでもちろんふえるわけでございますが、傾向としては昨年の下期並びに今年度の上期をピークとしてほぼ落ちつく方向にゆくんではないか、この数字だけから見るとそのように判断せられます。  なお、各おもな企業の内容について見てみますると、御承知のように、民間設備投資のうちで最も大きなウエートを占めますのは、電力とか鉄鋼等でございますが、電力につきましては、御承知のように、現在並びに今後の見通しとしても現実に需給が非常に逼迫しておりまして、特に短期間に需用をまかなえる火力を中心として、これはどうしても速急に増強をはからなければならない。従って、その関係上、これは当然設備投資もふえざるを得ないわけでございます。これも比率で申しますと、今年度見通しでは、昨年度、前年に対しまして二六%増になっておりましたのが、今年度は一八%増という比率になっておりまして、この電力の設備投資は全体として今年度あたりは約四千億に達するわけでございますが、この数字は例年そう実績においても大きな食い違いはないわけでございます。従って、絶対額は相当の増加を示すことと思いますが、傾向としては前年よりはやや下回るように判断せられます。同様に、鉄鋼につきましても、昨年度投資額は前年に対しまして四九%アップになっておりますが、今年度計画としては前年に対しまして三三%アップ、これは計画自体やはり比率としてはやや低下しております。なお、自主調整ないしは役所の指導によりまして一部繰り延べをされるものが出てくると思われます。  なお、おもな個別の企業につきましては、先ほど通産省からお答えがございましたように、現在通産省産業合理化審議会の資金部会におきまして、本行からも委員が出まして審議をいたしておりまして、来月中くらいにはほぼ結論を得られるように伺っております。従いまして、たとえば石油化学というのは実に対前年に比べまして二〇〇%近い増加の計画を出しておりますが、これらは今後の製品の需給関係、技術導入の認可等の関係から相当繰り延べられるものがあるように思いますが、概観いたしますと、長期的に考える限りは、各企業ともやはり現に原油設備の稼働率が相当上昇しております。将来の産業構造の転換なり自由化を控えて、これに対処する意味での投資ということで、概括的に申しますれば、そう不健全と申しますか、そのようなものは含まれていないように考えますが、ただ、これの実施上のテンポ等につきましては、業界の自主調整なり役所の指導等によって、今後適当な調整が行なわれることを私どもとしても期待しておる次第でございます。
  14. 大矢正

    ○大矢正君 私は、あすの予算委員会国際収支の問題や設備投資の問題は質問する予定になっておりますから、議論をすることは避けまして、特に四点について統計の資料だけをこの際質問したいと思うのでありますが、まず第一点は、理財局の方に質問しますが、きょう四月分の国際収支がおそらく発表になるはずですが、まあ時間的にいって、おそらく午前中に発表になるか午後発表になるかわかりませんが、いずれにしても、きょう発表になるのですから、きょうこの席で一つ四月分の国際収支を発表願いたいと思うのでございます。  それから、第二点は、新聞の報ずるところによりますと、五月の信用状の収支面ではおそらく二千万ドル程度の信用状の赤字という説が出ておりますが、信用状収支の統計速報は五月二十日まで出ておるはずですから、この内容を一つ示してもらいたい。  次に、第三点は、経済企画庁の方に質問します。三十五年四−六月、それから七−九月、さらに十−十二月というこの三期の法人企業統計による資本金一億円以上の会社の設備投資の額というものは大体わかっているはず、固まった数字が出ているはずです。まあ六ヵ月——半年近く統計数字かおくれますけれども、大体私は固まっておるのじゃないか、こう見ますので、この三期それぞれの法人企業統計の資本金一億円以上の会社の設備投資の額の内容と、それから法人の一億円以下の会社の同じく設備投資の内容と、それから個人の設備投資投資額の総額、これを一つお答えを願いたい。  それから、通産省の方に対しましては、これは先ほど野溝委員もちょっと触れたようでございますが、三十六年度設備投資、これは産業別にあなたのところで調査をされたそうでございますが、約三〇%、前年度に対して三〇%設備投資の要求と申しますか、希望と申しますか、これが増加しているようでございますが、これは具体的に金融の裏づけ、たとえば社債とか増資とか、もしくは借り入れとか、こういった金融の裏づけを持った中において三割という設備投資の増加を予定されているのか、そうじゃなくて、金融的な裏づけは一切ない、ただ企業としての希望だけを固めた数字が三割になっておるのか、この点についてお答え願いたい。  以上について御質問いたします。
  15. 西原直廉

    政府委員(西原直廉君) 第一点、第二点の国際収支の信用状、為替信用状でございますが、これは為替局の方の所管になりますので、その方に私の方から伝えるようにいたしたいと思います。
  16. 大矢正

    ○大矢正君 資料ないのですか。
  17. 西原直廉

    政府委員(西原直廉君) 理財局の方でなくて、為替局の方で主管しております。私の方で資料を持っておりません。
  18. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今、実は私の手元に一億円以上とそれ以下と分けた数字がございませんが、あとで、すでに十二月までは数字が、正確なところは七−九月までは出ておりますので、まあざっとした数字を申し上げまして、あと資料で提出したいと思います。  設備投資の法人が、これは法人企業統計、期報によって推計をいたしたものでございまして、実はわれわれの方の国民所得部の方で四−六と七−九月は発表済みでございます。それから十−十二月は近く発表する予定でございます。三十五年の四−六月が五千三百億、それから七−九月が六千八百億、それから十−十二月が七千四百億ということになっております。それからついでに、これは一−三月はお話ございませんでしたが、まあわれわれの推定では七千五百億ぐらいのベースになるのではなかろうか、こういうふうに見ております。  それから、個人につきましては、これは非常な推定が入りますが、四−六月が四百九十億、七−九月が八百八十億、それから十−十二月が千二百二十億円くらいな数字になるのじゃないか。  これを大体ベースにいたしまして、一−三月もまた推定を加えまして、これは投資財の出荷指数等とか、そういういろいろなものをあれいたしますと、上期が法人、個人を合わせまして一兆三千四百七十億くらいになるのじゃないか。それに第三、第四・四半期の下期が相当上がりまして、一兆六千七百億くらいになるのじゃないだろうかというふうに一応推定をいたしまして、上下合わせまして、上期が一兆三千四百億、それから下期が一兆六千七百億というようなことで、合計しまして大体民間設備投資は三兆円くらいになるのじゃないだろうかというふうに推定いたしております。  実績につきましては、資料であとで御提出したいと思います。
  19. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 委員長から一言申し上げますが、ただいま大矢委員の発言は、明日の予算委員会の資料として必要なことを前提としておりますから、なるべくすみやかに御提出を願いたいと思います。
  20. 若林茂信

    説明員若林茂信君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。御質問の、通産省調査に対しまして資金的な裏づけがあるかどうかという御質問であったと思いますが、私どもで一月末調査いたしました際に、各企業から設備投資計画の内容と、それをどうやって資金を調達するか、両面調査をいたしております。各企業から調査いたしました結果は、集計いたしまして先般公表いたしておりまして、それを資金の調達別にかなり詳しい資料を公表いたしておりますが、ただ、これは各企業から提出されました調査表をそのまま集計したものでございまして、各企業では、企業によって多少事情が異なって参りますが、調達の自信があるというところと、あるいはそれほどないというところといろいろまじっていると思いますが、そういう面もまだ検討いたしておりませんが、私どもの方といたしましては、最終的に資金部会の御意見を待ちまして、設備投資計画調整をいたします際には、各設備計画別の方針の検討も並行いたしまして、全体として資金調達がはたして可能かどうかという面の検討も一番最後にやっております。そのために産業資金部会にも特に金融界の方にも御参加願いまして、なお私の方もそれと並行いたしまして各方面の御意見を伺いまして、適切な調整をはかっていきたいということでございます。
  21. 野溝勝

    野溝勝君 私は、今関係機関でございまする開発銀行の吉岡理事からもお話がございましたが、まとめてあとで質問するといたしまして、最近、この設備投資ともやはり関連があると思うのでございますが、日本銀行で窓口規制を強める方針をもって、市中銀行九行に対し査定を通告したらしいのでございますが、これによるというと、市中銀行九行中、五月中の貸し出し増加希望が七百六十一億円、内訳が興業、長期信用が百三十一億、都市銀行七行で六百三十一億、これに対して日銀は二割以上を削ったというのですが、そうして五百九十億を査定したということでございますが、これは設備投資警戒しての処置だと思うのでございますが、銀行局長はこの間の事情をどういうふうに承知されておるのでございますか、お伺いしたいと思います。
  22. 石野信一

    政府委員石野信一君) お尋ねの日本銀行の窓口規制でございますが、これは今お話しの、五月の窓口における規制、資金の需要に対する日本銀行の貸し出しの方針、これはまあ現在の設備投資の問題とか、あるいは国際収支の問題とか、あるいは物価の問題、経済全体の現象を考慮に入れてのものでありますことは、これはもちろんでございますけれども、大体日本銀行の窓口規制と申しますのは、常に資金需要日本の国は非常に強いものでございますから、いつも大体において市中銀行の日本銀行に対する貸し出しの需要が大きいわけでございます。従いまして、今回こういうふうに削減をしたというのが、この際初めてやったということではありませんで、常にそういう需要と供給の関係がバランスしておりませんので、ある程度の目標を示した個々の実態が必ずしも日本銀行で削減した通りに押えつけるというふうに参らない場合がございまして、そういう意味で、そこの窓口での実際上の指導がどの程度強いか弱いかというようなことが金融の調整になっておるわけでございます。  さいぜんからのお話の通り、経済の諸現象にもいろいろ注目すべき点が出て参っておりますから、日本銀行といたしましては、やはり金融の調整上引き締めぎみにやっていく、こういう考え方を持っておるわけでございます。ただ、これは金融だけでやるということでなくて、やはり全体の考え方で、皆が行き過ぎないようにというふうに思想が統一されて、行政官庁の方でも、ただいま企画庁通産省からお話がありましたが、合理化審議会とか、その他でいろいろ検討しておられますが、そういったことについて思想が統一されて、各方面行き過ぎないようにというような気持になってやっていくということが、一番円滑に問題を処理していくということに相なりますので、日本銀行としては、そういうことを希望しながら窓口の指導を行なっていく、こういうことでございます。
  23. 野溝勝

    野溝勝君 私のこういう質問の気持は、以上の前提に立って質問しておるのです。もちろん、私自身設備投資に対して全部反対という意味で言っておるのではないのです。国際競争をするには、近代的な設備が必要でございますから、その点はよくわかります。ただ問題は、今のような無政府的な二重、三重の設備投資に対して、非常に心配しておるのです。特に過当競争が行なわれまして、二重、三重の投資が行なわれるというようなことは、絶対避けなければならぬことです。その点は、政府高度成長のうたい文句を設備投資の抑制ということで押えられたんじゃかなわぬ。そうすると、政策の破綻を来たすというようなとらわれが、無理があるように思っておるのです。ただ、高度成長を打ち出すときには、アメリカ経済がこういうふうになるとは思わなんだわけなんです。ですから、アメリカ経済がこうなって、二月に底をついたのが、二、三、四、五月と底を深めておるような状態なんですから、こういうときには政策上少し考えてもいいんじゃないか、再検討しなければならぬじゃないか、こういうふうに思って質問しておるわけなんです。  そこで、さらに質問をするのでございます、今銀行局長お話はいろいろな意味を持っている、こう思いますが、さらに最近市中代表銀行九行に対して、会社の百五十社に対し投資系列状況の調査をやられたようでございますけれども、これに対してはもうすでに資料が集まったのでございますか。
  24. 石野信一

    政府委員石野信一君) まだ調査をいたしておりまして、その資料は集まっておりません。調査が完了いたしますのは大体六月末ぐらいまでかかるかと思いますが、この調査の目的は系列化の調査のように御質問の中にございましたけれども、必ずしも系列化の調査ということではなくて、やはり設備投資を中心といたしました資金の需要について、今後銀行に対してどういう程度に資金需要があるか、また銀行の方でこれに対する資金の供給の見込み、また貸し出しの考え方をどういうふうにしているかというようなことにつきましての打ち合わせ調査をいたすことが目的でございます。これを考えましたのも、やはり経済そのものが、今大体九%の成長というようなことで考えられておりますが、それをこえて幾ら伸びてもいいというわけにも参りません。と申しますのは、御指摘の通り、過剰投資とか、設備二重投資というようなことになりますと、伸びるときに伸び過ぎて、またあとで過剰生産になるというようなこともございますので、その辺はできるだけなだらかに経済を伸ばしていくことがいい、そういう意味では資金の需要関係設備投資の実態等について、金融界でそういうものを全体としてつかんでいる必要がある。しかも、それがやはり大蔵省、日本銀行、それから金融界が同じ調査で、同じように思想統一をしていて、全体としての金融に対する対処の仕方について考え方が一致している、そういうことが何より必要だ。先ほども申しましたように、こういう場合に、お互いに責任をなすり合うというようなことで、ぎくしゃくするのは非常によくないことで、全体が適度に、あまり急激な物の考え方をいたさずに、適度にみんなで考え方を合わせながら調整をやっていくということが望ましい。そういう意味におきまして、大蔵省だけではなくて、日本銀行と一緒に各金融機関にも、いわゆる銀行の検査というようなことではなくて、調査をするということで協力を依頼いたしまして、ただいま申しましたような目的の調査をいたすことにいたしたわけでございます。結論は大体六月末ぐらいに出ると思いますが、その過程における話し合いも、今申しましたような意味で効果を持つのじゃないか、そういうふうに考えている次第でございます。
  25. 野溝勝

    野溝勝君 では、この際委員長に希望しておきますが、その資料ができたら、本委員会に示してもらいたいと思います。
  26. 石野信一

    政府委員石野信一君) 念のために申し添えさしていただきますが、調査の内容、具体的な問題になりますと、銀行、会社の業務の個別の内容になりますので、そういうものにつきましては公開いたしかねることになるかと思いますけれども、全般的な結果と申しますか、そういったものについて御報告を後刻いたすことにいたします。
  27. 野溝勝

    野溝勝君 次にお伺いしたいのですが、政府並びに各機関のお答えの中でうかがえることは、諸君も事態を非常に心配をされて、一日も早く統一した見解を打ち出してその対策を立てたいというふうに私は受け取っているのでございますが、さようあってしかるべきだと思うのです。池田総理が婦人会に行って、経済のことは私にまかせろ、物価の四%ぐらい上がったって心配するなというようなことを言われたというが、それはあいきょうとしてであろうが、今の経済事情心配は人民の常識です。国民は非常に心配しているのですから、単にこれは事業家だけの心配ではないと思うのです。このしわ寄せが結局労働者のところにも来て、やがて日本においては産業界全体の大きな問題になることを私は心配するのです。直接法案と関係なく大蔵委員会を開いて、中堅諸君の偽らざる一つお話を聞いて善処方を希望しようというのが私の気持なのです。  そこで、具体的に話を進めていくのでございますが、大体物価の四%というような値上がりに対しましては、木材がおもだ、こういうようなことを先ほど言われましたが、私は木材ばかりじゃない、農具、肥料、飼料、もうすべてが全部値上がり民間産業のもののみ上がったようなことを言っておりますが、政府事業そのものから値上げしておるのですね。政府事業から値上げしていれば、いきおい民間産業だって値上げせざるを得ないのだね。ここに金融政策なりあるいは経済政策なりを打ち立てるときの誤まりがあるんじゃないでしょうか。この点に一つも触れておりませんが、これは経済企画庁中野君からお聞きしますが、どういうふうに考えられておるのですか。民間産業だけが物価に対する値上がりですか。政府みずからも一つ、公共企業体なども値上げしておるのでございますが、この間今後どういうふうに一つ調整をし対策を練っていこうとするのですか。考えの一端だけでいいですよ、試案でいいから。
  28. 中野正一

    政府委員中野正一君) 先ほどちょっと四%物価が上がっているとおっしゃいましたが、これは消費者物価の方が四%でございまして、卸売物価の方は一・八%でございます。  それから、政府関係の機関、いわゆるこれはいろいろ種類はございますが、先般値上げをしました国鉄等がありますが、それ以外にも政府で要するに決定をする価格、それから政府が認可をする価格というようなものは、これはいわゆる公共料金というふうに言っておりまして、これは政府が認可なり決定をするものでございますから、これにつきましては十分慎重に検討いたしまして、できるだけ政府関係の機関の値上がりということで今御心配になった民間を含めての全般の物価値上がり傾向を刺激するということはないようにいたしたい。しかし、これはもちろん国鉄等につきましてもやはり公共の企業体でございますので、やはり独立採算制をとって、それで必要な施設もやっていく、必要なサービスも改善していくということでございますので、その点につきましては、必要な資金の一部につきましては当然やはりやむを得なければ値上げということも考えるわけでございますが、先般三月の七日に、御承知のように、公共料金の値上げについては、いろいろ理由はあろうが、これが先行するというような印象を与えて、そのために一般のいわゆる物価値上がりムードというものを刺激してはいかぬということで、当分の間公共料金についてはこれは値上げをしないという方針でおりますので、その方針に従ってわれわれは善処していきたい、こういうふうに考えております。
  29. 野溝勝

    野溝勝君 なお、局長から、公共料金に対する考え方お答えがありましたが、なかなかあなたの考えばかりにいかぬと思うのです。もうすでに今まで上がったもののほかに、まだ値上げをしようという動きさえあるのでございます。現に電力料などもその一つでございます。さらに、公共料金とまではいきませんが、これに準じたような独占事業も値上げをどんどんとしようとしておるわけです。だから、民間産業との関連において物価の対策というものを立てなければ、何ら意義ないと思います。特に先ほど来ばかに食料品値上がりを言っておりますが、これは食料品は農村がおもに作っておるということで、農村がいかにも農産物の釣り上げをし、不当にもうかっておるごとく印象を与えておりますけれども、農村などはほとんど物の上がったものはありません。市場に出て初めて価格の値が上がるような状態です。実際農民の所得というものはふえておらないのでございます。特殊なものは別でございますが。むしろ市場操作に対する十分な手が打たれていない。それを物価対策の中に考えないと、ただそれだけ見たんでは大きな誤りを犯し、農民の不満が高いのです。さらに、家畜の点などもそうです。非常に値上がったといいますが、一体飼料などばかに値上がってしまうんですよ。むしろ卵などは最近うんと下がって、農民生産者は一個六円です。市場では十二円から十五円。政府が新しい近代農産物の酪農の産業振興をやろうとしても、この飼料価格が解決されざる限り、乳価初めすべての解決は困難である。こういう点を総合的に考えないと、単に食料品が上がったというだけで、この点ばかり押えようとすれば、それは片手落ちとなる。いつまでたっても矛盾が出てくるんでして、農具、電力、飼料とか肥料とか、生産資材を総合的に政府関係機関が考えていかなければいかぬと思うのでございます。そういう点について一体考えておられるか、企画庁の方に聞いておきたい。
  30. 中野正一

    政府委員中野正一君) 今御指摘ありましたように、確かに食料品につきましては、価格の安定と、また価格が安定いたしませんと、先ほど御説明しました豚肉のように、ちょっと値段が下がると、みな豚を殺して、そのためにまた非常に次に価格高騰がある、こういうことでございまして、もう一つはやはり流通機構の整備ということも非常に必要なことでございます。こういう点につきましては、企画庁としては価格の安定ということを非常に望んでおるわけでございまして、その価格の安定のもとで農産物の需要構造の変化に応じた生産態勢、それから流通の態勢というものができ上がるということでなければ、御指摘のような食料の価格を安定する、またそれによって農民もこの所得がふえていくということはできないわけでございます。  そういう点につきましては、たとえば畜産品等につきましては、農林省で今度畜産品の振興事業団というものを作って、価格安定、また増産というようなことを恒久的にやっていくということを考えておられる。常にわれわれの方は、食料品がただ安ければいいという考えは毛頭持っておりません。そういう点で、企画庁の方に消費者物価連絡協議会というものを、これは役所の者だけが、大体各省の局長クラスが集まりまして、常に連絡をとりながらそういう対策をとっておりまして、農林省でも今そういう食料品の問題につきましては特に研究を進めておられまして、われわれの方としては農林省の方に、できるだけ一ついい対策を実行をして、価格の安定と需要構造の変化に応ずる増産ということを要望しておる次第であります。
  31. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちょっと関連。関連ですから、一言だけ伺いますが、今の農民所得の場合ですがね、まあ農民所得を上げるにはやはり畜産等に力を入れなければならない。そこで生産をふやすことによって、値段を上げるよりも、生産をふやすことによって農家は所得を増大せしめるわけですが、その際に肉がちょっと上がっていないなあ、こう思うと、たちまち緊急輸入というのがあって、これがたちまち引き下げられる。ところが、一方えさの方は三割から五割この数年間に上がっておるのは御承知の通り、そういう場合には一向緊急輸入をしない。農家のほしいものは緊急輸入しないで、農家が少し息がつく多少の値上がりがあったときには、直ちにそのものを緊急輸入をしてしまってこの値段をたたくということで、今企画庁、あなたのおっしゃる農民所得の安定などとはほど遠いと思いますが、こういう処置はどうされておりますか。各省と連絡をとってということですが、何の連絡をとっておられますか。
  32. 中野正一

    政府委員中野正一君) その点につきましては、これは農林省の方が十分そういう点は考えまして、緊急輸入をする場合にでも、農村のそういう生産なり価格に非常な急激な変化を与えない、またそういうことをやったためにせっかく増産の気がまえがだめになるというようなことがないように、これはわれわれ企画庁の立場からいうと神経を使い過ぎるくらい考えております。  それから、もう一つ、御指摘のようなそういう飼料等の原料等が不足する、こういう点につきましても、企画庁としまして、そういう点も、むしろ相当大幅な飼料輸入を農林省は今実行しておるようであります。そういう点は、もしなおそれで不十分だというふうな御意見がございますれば、われわれの方でなお農林省と連絡をとりまして、十分対策をやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  33. 野溝勝

    野溝勝君 飼料の問題なぞは審議庁の専門でないからおわかりにならぬが、輸入飼料はトンネル会社でぼろいもうけをし、配合飼料でさらに利益させておいちゃだめですよ。ああいうのは徹底的にマージンを少なくして、そうして生産者に有利な格安の値段でさばくようにしなければだめなんで、これは専門的な話になりますから、天田君にしても、私にしても、この次にしましよう。  そこで、私は質問の向きを国際収支に移すのですが、アメリカとの貿易というものは先が明るいとは思えないんですね。そうするというと、この貿易に対する輸出増強に対しまして、閣議なども輸出入銀行を強化して云々という、馬力をかけておるようでございますが、アメリカではドル確保のために努力をする方針でやっている以上は、そうなかなか対米貿易一辺倒的なやり方では、日本経済発展はかんばしくないと思うのですよ。そうすると、勢い海外貿易というものをどこに求めるかということになるのでございますが、この点について特にまじめな事務当局の考え方は、貿易の振興をどの方向に向けるかというような努力を払われておるのでございますか、その点一つ。これは責任あるお答えでなくてもいいのですよ。
  34. 中野正一

    政府委員中野正一君) 確かに今御指摘のように、日本輸出の三分の一がアメリカに依存しておるわけでございます。それで、昨年の暮れぐらいから、特に目立って対米輸出が前年度に比べてだんだん減ってきた。まあ最近は、先ほど申されましたが、アメリカの景気も大体第一四半期でございますね、この一月から四月で、停滞傾向は終わって上昇カーブに移っておるということは、いろいろの数字なり指標などを見ますと、確かに言えるわけであります。しかし、それかといって、どんどん対米貿易がこれから伸びていくかということを見ますと、最近の対米輸出信用状なんかの状況を見ますと、これも大体二月を底に上向いてきつつあるのじゃないかというふうにだんだんなってきております。信用状も前年に比べて大体六割程度くらいというやつが、大体八、九割、だんだんよくなってきつつあるように思いますが、しかし、これは現在の数字だけを見て非常に楽観はできないと思います。そういう関係で、しかし、まあ相当のウエートのある対米輸出でございますので、また向こうの景気が少しよくなってくれば、過去の例からいうと、相当やはり日本貿易も伸ばし得るわけでございますから、これは日本品に対する輸入制限等の問題もございます。こういうものを、まあ問題を惹起しないように、要するに着実に対米輸出を伸ばしていくという、これは官民とも非常に努力をしておるわけでありまして、そういう効果がだんだん現われてくるのじゃないかというふうにわれわれは見ております。  それから、それ以外のヨーロッパ、それから三分の一はやはり東南アジアでございますから、これに対するやはり経済協力なり、そういうものを通じて、特にプラント輸出等はやり方によれば相当まだ伸び得る余地があるわけでございますから、そういう後進国に対する経済援助、経済協力等と相待って、そうい5東南アジアの方面には特に力を入れていきたい。また、ヨーロッパ方面相当伸びております。それと、貿易は大体アメリカ関係は非常に悪いんですが、アメリカ以外はそう悪くないわけです。そういう意味で、特に東南アジア方面も最近はだいぶ原料等が割りと少し強含みの市況も出ているようでございますから、そういう意味で努力次第によっては伸ばし得るのじゃないか。  それから、いわゆる共産圏の貿易にしましても、対ソ貿易等はだんだん、見本市をやって以来、相当これはまた情勢が変わってきて、相当伸びる余地もあるわけでございますから、中日貿易、あるいはソ連貿易、あるいは東欧諸国との貿易という方を、とにかく世界各国、あるいはインド、アフリカ、中近東、そういう方面にとにかくたゆまざる政府民間も努力を続けて、各方面に要するにこの輸出を伸ばしていくという努力をやっていくということが、やはり日本経済政策の根本じゃないだろうか。また、そういうふうに、またわれわれそういうつもりでいろいろ根本的にその対策をやっているわけであります。
  35. 野溝勝

    野溝勝君 中堅吏僚の諸君が案を作る諸君ですから、諸君に希望しておくのですが、私は思想と経済とごっちゃに考えるという、その政治的偏向は反対なんですよ。経済問題を解決しようとするときには、経済重点にいかなきゃいかぬと思うんですね。その場合、現実において対米貿易が思うようにいかないというならば、他に貿易販路を拡大するとか、あるいはこのために努力するということは、案を策定する諸君が政府首脳を動かすぐらいの気魄を持ってもらいたいと思うんです。いれられる、いれられぬは別としても。そういう努力を払うことが日本の国のためになるのです。その点、最近どうも優良なる官僚諸君は少し虚脱状態になりゃせぬかと思うんですが、苦言ではございませんけれども、一言呈しておきたいと思う。この点は日本としては今大事な時期だと思うのです。  特に、政府の楽観論をウ呑みするけれども、本日の新聞を見てもうなずける通り、綿紡業者などは輸出振興を阻害する方針だということを打ち出しておる。その理由といたしまして、操短を緩和すると。要するにこれは設備投資をむちゃくちゃにやるという意味に私は解しておるのですが、こういうことを言われておるのです。操短緩和、日本紡績協会も調査特別委員会でこういうことを言っておる。「一、操短緩和は需給の安定を乱すだけで輸出振興には役立たない。二、それだけでなく、海外市場の買い控えや、既契約のキャンセル、不当なクレームを招き輸出を阻害する。三、最近の綿糸布輸出は船積み状況からみると昨年より一七%多く、成約も一、二月の不振を脱し、最近は増加のきざしが現われている」、こういうようなこと、その他数項にわたって意見が開陳されておるのでございますが、こういう点から見ても、私は、十分国際収支、もちろん設備投資、これは関連を持っておりますが、反省しなければならぬと思っておるのです。  さらに、先ほど開発銀行の吉岡さんがお話しになりましたし、さらに企画庁中野局長からもお話しになったのですが、大体木材関係などは設備投資のむちゃくちゃなやり方から値をつり上げておると思うのですよ。これはもうすでに通産省では、パルプ連の要請もありまして、自主調整の建前からこれ以上設備を増強するということは実に危険であるということが警告されておるわけですね。しかるに、これをむちゃくちゃにやっておる。たとえば、私先般九州へ行ったんです。九州へ行ったところが、九州でパルプ原木が大体総量において闊葉樹が二万七千石、そのうち松材が石当たり本年は二千円、昨年は一千五百円、三割以上ですね。で、闊葉樹が石当たり昨年が七百円、本年は千二百円、三割以上です。こういうべらぼうな値上がりをしている。これはむちゃくちゃな設備拡大にあるのです。特に、最近聞くところによるというと、中越パルプなどは鹿児島の川内というところに工場を設けて、さらに原木の足りないところへもってきて、また最近隼人というところに工場を建てるとか、それを開発銀行に資金の要望を出しておるそうですが、先ほど来お話を聞きますると、十分こうした工場投資に対しては警戒をしていかなければならぬというようなことを言われておるし、原木に対しては輸入にも力を入れている現状から見て、木材のこういうばか値の上がり方というものは無計画設備投資が先行する結果にほかならない。通産省はすでにこの点に対して警告を発しておるのでございます。開発銀行はこういうものに対して資金の運用を頼まれておるようでございますが、中越パルプ工場増設が、パルプ界の申し合わせを押えてまで開銀が融資するの必要があるのか、開銀の考えを伺いたい。
  36. 吉岡千代三

    参考人吉岡千代三君) 開発銀行の融資にあたりましては、御承知のように、関係各省と十分連絡をとりまして、各省の推薦を受けまして、その上でさらにただいま御指摘のような点を検討して処理しておるわけでございます。  中越パルプの点につきましては、具体的の企業の問題になりますが、当初川内に工場を新設する予定でおりましたのを、その後いろいろの関係から隼人に計画を変更いたしたように承知いたしております。申し込みは御指摘のように昨年来ございますが、ただいま情重に検討中でございます。御指摘のような点を十分検討いたしまして、ただいま御指摘のように、パルプ関係につきましては、年度当初通産省として一応自主調整ないしは行政指導によって既定の方針を立てておりましたが、ただいま指摘のような原木の急激な値上がり等の状況もございましたので、さらにこれを再検討するということでございまして、まだ承諾の手続はとっておらないわけでございます。
  37. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  38. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記を始めて。
  39. 野溝勝

    野溝勝君 私の質問はもうあと二、三で打ち切りますが、今吉岡さんのお答えでは、私が申し上げました通りもう皆さんすでに認めておるわけです、木材の市場価格値上がりということは。ですから、それはどういう理由から起こるかというならば、需要関係がもう明らかに示しているのです。さらに、原木の値上がりというものは、これは想像以上なんです。私はそういう点から見ても、考えられて、さらに各社におきましても設備投資に対しては十分慎重を期するということになっている。さらに、通産省その他でも真剣に考え、あるいはその他業界でも自主調整をやるということになっている。特に先ほど申した通り、これが国際的の関係近代化するという必要に迫られた場合においての設備投資ということは、私どもは公式的に反対するものじゃないということを申しておるわけです。この点は、頼まれたからどうとか、あるいはいろいろな有力な者が動いているからどうとかというようなことだけで政府資金の融資判断を誤らぬように、一つその一角からくずさないように、十分慎重を期されんことを希望しておきます。  次に私が申し上げたいことは、最近株式市場が、経済界の異変から出ているのだと思うのですが、東証ダウ銘柄二百二十五種類中約一割が中小型の株に移っている。それで、株式市場においては優良株がほとんど動かない。要するに結果は思惑株が動いているわけなんですが、こういう点について、これを政府がどうするこうするということはできませんが、下手なことをするとまた投資者に対して非常な迷惑をかけることにもなるのですけれども、よい傾向ではないと思います。貿易の不振、国内における投資設備が限界に来たという点、そういうような諸点で投資者がこの方面に向いていくと思うのでございますが、いずれにしても、政府といたしましてもこの間の事情はよくわかっていると思うのでございますが、最近聞くところによると、大蔵省で手を打つとかなんとか言っておりますけれども、どういう手を打つのか私よくわからぬのですけれども、政府の施策、高度成長論の反省が第一義ではないか。この点一つ理財局長からお話を聞きたいと思います。
  40. 西原直廉

    政府委員(西原直廉君) ただいま野溝さんからお話ございましたように、最近の株式市場の動向から見ますと、いわゆる大型株というのはあまり動きがなく、むしろ小型の株が割合に上下をするとか、あるいはそういう動きが多いという状況でございます。私どもといたしまして、今お話しのように、いろいろな情勢から見まして、こういう点は十分注意しなければならないというふうに考えております。そういうようなことから、直接こういう株式市場の事の管理に当たっております取引所の方に、いろいろとそういう点で適切な措置をとってもらう、たとえば報告銘柄にするとか、まあそういうようなことで、変なと申しますか、まあなるべく正常でないと思われるような取引にならないようにということを注意しておるわけでございます。今後はどういうふうにするかということにつきましては、これはまあ現在の状況では一応ある程度おさまってきておるような点もあるかと思います。今後の情勢によって、いろいろなことを一つ考えるべきことになりましたら、考えなければならないかと思いますけれども、幾らか、全体の傾向としては穏かになりつつあるのではなかろうかというふうにも見えますので、情勢を十分注視して参りたいというふうに考えております。
  41. 野溝勝

    野溝勝君 きょう私は明確な御答弁を得たいとか、あるいは得なければならぬというような気持で質問をしておるのじゃないのでございますが、私の言わんとする、また考えておる点は、大体、中堅の皆さんには想像がついたと思うのでございます。ですから、この気持を政府首脳に伝え、またあなた方も一つ国家のために、現下の国際情勢、国内情勢の点を、率直に認めて、そしてその上に立って一つの案を打ち出して、政府首脳の反省をうながすようにしていったならばよいという気持で、私は意見を述べておるわけです。特に、政府は大体楽観論が多くて困る。六月以降、下期には米国の景気が回復するだろう、そうすると、対米輸出もふえるだろうというようなことを期待しておる。さらには、新設の設備が完成すると、日本商品の国際競争力は非常に強まる。次には、輸入原材料の在庫補てんが一巡したから、これからは輸出増勢に転化する。これはしろうとをだますのにはいいんでございますけれども、現実は、先ほど申した通り、それとは逆の方向に出ておるわけですから、私は真剣に考えていかなければならぬと思う。先ほどから言った通り、政府だって何も万能の士じゃないのでございますから、そういう点は、おおらかな気持で対応する用意を持ってほしいんです。野に遺賢ありというような気持で、中堅官僚の諸君が十分この間の事態を誤らぬように、一つ案の策定をしていただきたい。かように申し上げまして、私の質問を終わります。
  42. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  43. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をつけて。  次に、国有財産の管理と工事請負契約に関する件を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。  なお、政府側の出席者は、大蔵省より田中大蔵省政務次官、山下管財局長上林規課長、会計検査院より秋山第一局長、白木第三局長、平松第五局長、建設省よりは志村参事官、同じく青木道路総務課長、運輸省より須賀財政課長、日本国有鉄道より柴田施設局長、山崎管財部長の各位がお見えでございます。
  44. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は、まず先般、委員長を通じて資料をお願いをいたしまして、いまだ出ておらないのであります。すなわち、せめて東京都内だけでも国有財産が不法占拠されている資料を提出願いたい、こういうことを申し上げ、委員長からも念を押していただきまして、提出されることになっている。その後、大蔵委員全員に差し上げなければならないだろうかという意味の相談が私にございましたが、その辺については私がいいとも悪いとも答えかねることでございまして、少なくとも私が質問をする前までには私の手元に届けてもらいたい、こういうことを申し上げてあるわけですが、いまだそれが提出されないのはどういうわけか、委員長から一つ念を押していただきたいと思います。
  45. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 委員長より田中政務次官に申し上げます。ただいま天田委員発言の資料要求の件は、なるべく急いで本委員会に御提出を願います。
  46. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 先般の天田委員からの御要求の資料につきましては、目下調査中でございまするので、できるだけすみやかに調査を完了いたしまして、資料を天田委員にお届けいたしたい、かように考えております。
  47. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 天田委員、よろしゅうございますか。
  48. 天田勝正

    ○天田勝正君 その資料が提出されました際、さらにこの問題を本委員会で取り上げていただくことにいたしまして、とりあえず、本日は私の手元にある資料によって質問をいたしたいと存じます。  この問題は、本委員会におきまして幾たびか、他の法律案審議の際に必ずといっていいくらい、問題になって参ったのでありますが、ようやくこれが世論の問題にもなりまして、本委員会でこの問題を本日取り上げると決定されました後に、五月二十一日の各大新聞夕刊には、それぞれ国有地を種の詐欺であるとか、「国有地タネに詐欺」であるとか、「不動産業者もだます」云云というようなことで、私ここに持ってきておりますが、すべての大新聞が掲載をいたしているくらい国有財産の問題が重視されて参ったことは、まことに喜びにたえません。  そこで、まず第一にお伺いいたしますが、建設省側に伺いますが、国有財産のうち道路につきまして、昨日の読売新聞の夕刊、三面のトップに、「不法占用、九百余件」という大見出しで、道路の不法占拠が報ぜられているわけでありますが、これに類似いたしました道路の不法占拠はどこにどのくらいあるか、まずお答え願いたいと存じます。
  49. 青木美雄

    説明員(青木美雄君) 今御質問の数字は、ただいま持ち合わしておりませんが、調査いたしまして提出したいと思います。
  50. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは、この新聞に出ておりますのは、場所まで明示され、写真付きでありますから、このことは御存じでありますか。
  51. 青木美雄

    説明員(青木美雄君) 存じております。
  52. 天田勝正

    ○天田勝正君 その実情は新聞通りで間違いがないのか、あるいは多少違ったところがあれば、その点を御指摘願います。
  53. 青木美雄

    説明員(青木美雄君) おおむねその通りであると考えております。
  54. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは、これは、「都立大学駅前マーケット七十軒も放射三号線(目黒−碑文谷−等々力)の用地に終戦直後からはいっているものだが、区が入居のときに許可したのをタテに」云々、こういうふうに書いてあるわけですが、この処置はどうなさるおつもりですか。
  55. 青木美雄

    説明員(青木美雄君) この道路につきましては、道路管理者は都知事でございます。都の方と相談をいたしておりますが、できるだけ早く、これはオリンピック関係の道路でもございますので、できるだけ早く道路の効用を全うするようにいたしたいというふうに都と相談を現在しております。しかし、現在不法占用をしております人々につきましては、実情を調査しまして、できるだけ早めに他の場所に移転をあっせんするというようなことでもって、なるべく円満に移転をしてもらいまして、できるだけ早くどいてもらうというふうに協議を進めております。
  56. 天田勝正

    ○天田勝正君 そのできるだけ円満にという手続はけっこうでありますけれども、しかし、そういう場合に、国民の財産が不当に占拠された後に、それが一つの、習慣は権利を生ずるという形から、これがまた円満な解決という名のもとに、今度は国民の税金がそれに不当にまたもや支出される、こういう結果になると思うのですが、そういう円満の話し合いの処置ということの内容はどうなんですか。
  57. 青木美雄

    説明員(青木美雄君) これにつきましては、まず第一番に住宅等のあっせんがおもなる内容になるかと思います。従いまして、住宅費を払うとかなんとかということじゃなくて、その金はもちろん住民が払うわけでございます。従いまして、そういう他の場所に移転をする、あっせんをするというようなことでもってできるだけ解決したい、こういうふうに考えております。
  58. 天田勝正

    ○天田勝正君 大蔵省管財局長に伺いますが、この二十一日の夕刊に、大新聞のすべてといっていいくらい出ましたこの国有地、これは大蔵省管財局所管のものですか、どうですか。
  59. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 私、今初めて新聞を見ますので、ちょっと的確なお答えをいたしかねますが、具体的に管財局の所管しております国有地につきましてこういう事実があるということは、現在のところは承知いたしておりません。
  60. 天田勝正

    ○天田勝正君 話は飛びますがね。このフォトという雑誌はもともと、「政府の窓」という解説版と、それから写真版と、二つ出しておったものを、今度は名前を変えて、時事通信で出しておる形はとっておりますけれども、これは内閣広報室から各議員に送られる文書であります。当然政府のかつての写真版による「政府の窓」のあとを引き継いだものであることが、これが送られてきた初めに明らかにされておるわけであります。その本を見ますというと、「不法占拠の対象となる〃公共用地〃の管理に問題がある」ということがまず指摘され、さらに、「社会の寛容といえばよくひびくが、実際は怠慢である。日本の社会の怠慢は、言葉を換えていえば〃官僚の怠慢〃」である。こういうことが指摘されているわけであります。で、私はこの国有財産を所管しておられる役所で、一つ、二つの地方新聞に出たということならばいざしらず、朝日、産経、読売、東京、毎日等、まあ全部の新聞にかなり大きく、少なくとも三段、四段抜きで出ておるようなことを御存じないというに至っては、今ここの政府の広報室が監修しておりますフォトに出ておる「言葉を換えていえば〃官僚の怠慢〃」であるという指摘にきわめて該当すると思うのであります。ここに私は問題があると思う。  そこで、御存じないといえば次の質問ができないわけでありますが、これを見ますると、いわゆる詐歎を働いた丸山という者が「元子爵K氏をよく知っており、自分は伯爵家の出身で関東財務局長の親友だ」、こういうことさえ言っておるのです。新聞は、むしろこれは、必ずしも政府側にこれに関係した者があるという書き方はいたしておりませんけれども、現職の関東財務局長がこれに関係があるかのごとき詐歎師がかりに出たとしたならば、直ちに私は声明でも出さなければ、新聞の文面だけ見た国民はそこに疑惑を持つと思うのです。これについては新聞でも関係があると言っておりませんが、全く関東財務局とは関係がございませんか。それは新聞を今見たから、それもお答えができないと思いますが。
  61. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 関東財務局にただしましたところが、本件は全く関係がございません。
  62. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、関東財務局は少なくともこれについてもう少し調べておられると思います。今これを審議中でも、確かに関東財務局の所管の土地であるのかいなか、これだけは電話ででも聞けると思いますから、ほかの質問を続けておる間にお調べ願いたいと存じます。よろしいですか。  次に、フォトに、今私が指摘した、こういう「公共用地の不法占拠」という、論文とまではいきませんけれども、まあ解説を書いておられるのは、都立大学の磯村英一氏でありまして、この方は単なる象牙の塔の人でなくて、都の民生局長までした方でありますから、実際もよく御存じの方であります。この人の指摘によりますれば、いろいろな不法占拠の実例をあげたあとに、たとえば田町駅付近のかり小屋のできかけを私は知っている、こういうことをいって、それも初めはつつましやかに小屋作りをしたのが始まりであって、だんだん今日ではそれから煙突までついて、その煙のためにあべこべに汽車や電車が一瞬見えなくなることさえある。やがて多額の補償を要求することであろう、こういうことを指摘され、さらに、国鉄がすみやかに撤去させたなら、現在のような姿はおそらくできなかったと思う。役人の怠慢といって悪いであろうか、こういうことを指摘しているわけでございます。そこで、国鉄当局も施設局長、管財部長が見えておられますが、国鉄関係でこの種の不法占拠がどのくらいございますか。
  63. 柴田元良

    説明員(柴田元良君) 三十五年の十二月で調べました件数は、全国で約二千件でございます。面積にいたしまして約九万八千平米、関係いたしております相手方の人数約三千七百人ということに現在なっております。
  64. 天田勝正

    ○天田勝正君 その不法占拠されておる場所の多くは、私の知っておる限りでありますと、戦災を受けた都市の大部分の駅の周辺だ、こういうふうに思いますけれども、その通りですか。
  65. 柴田元良

    説明員(柴田元良君) 先生の御指摘の場所だと思いますが、特に東京、大阪付近でございます。
  66. 天田勝正

    ○天田勝正君 その不法占拠のために、本来あるべき駅周辺のあき地がなくして、従って、今日の通勤着等の激増によりまして駅前広場等拡張するならば乗客の便利は一方ならないものがありますけれども、それが不可能に陥っておると私は承知しているのですが、そういう状況ですか。
  67. 柴田元良

    説明員(柴田元良君) そういう例もございます。
  68. 天田勝正

    ○天田勝正君 かつて本院の運輸委員会で大きな問題になりました神田駅周辺の不法占拠の問題は、その後どう処置されましたか。
  69. 山崎武

    説明員(山崎武君) 神田駅の不法占拠は、先生御指摘の点は、多分、渥美という人じゃないかと存じておりますけれども、二十八年以前は不法占拠になっていたわけでございますが、その後使用承認をいたしました。ところが、山手線と京浜線の分離をする必要がございまして、その退去を申し入れたわけでございますが、なかなか言うことを聞かなかったわけです。二十八年十二月に提訴いたしました。ところが、裁判の結果は、和解という結果になって参ったわけでございます。  和解条項を簡単に申し上げますと、いずれにしても、国鉄の用地であるからすみやかに退去せよ、ただし高架下ができ上がった場合には中に入るという条件でございました。その後、架高下ができ上がりましたので、現在は中に入っておる、こういう状況でございます。簡単に申し上げますと、そういうような状況でございます。
  70. 天田勝正

    ○天田勝正君 私が国鉄について知っておるのは、大かた初めは不法占拠なんです。やがては、この今言うように、つじつまを合わせて、不法占拠でない、契約をしたのだ、こういうことになってしまう。不法占拠を結果においては追認をする、こういうことになっておる。追認をするから、そこに居住権が生じて、そうしてこの乗客のために駅前広場等を広げたり整備したりするという場合に、今度はそれができない。大かたその追認の形でこれを貸すのでありますから、およそ普通世間と違ってきわめて安い賃貸契約を結んでおる。それで、今度はいざ公衆のために立ちのいてもらおうとしたところが、莫大な補償金を要求されてしまう。不法占拠されること自体が、さかのぼれば国民の血税をむだに使っているということになり、さらに今度は補償するということになれば、これもまた国民の税金、いずれも駅の周辺ですから、その都市においては第一級の土地に間違いない。東京などでは第一級の土地が方々にあるでしょうけれども、いなかなどではもう大てい、二十万以下の都市である限りは、駅の周辺というのは第一等地なんです。その第一等地を不法占拠して、今の神田の場合は、裁判の結果というのですからやむを得ないとしても、追認するというのは一体どういうわけですか。私にはどうもそれがわからない。だから、ごね得という結果になってしまう。
  71. 山崎武

    説明員(山崎武君) 実は土地の不法占拠の問題は、国鉄内部におきまして実は施設局担当でございますけれども、使用料の問題ちょっと出ましたのでお答えいたします。先ほど施設局長から約二千件あるとお答え申し上げたわけでありますが、これは実は戦後のどさくさに土地、建物、高架下を浮浪者などが占拠したというのも相当あったわけでございます。その後そういうものを追い払いましてほかの連中が入ったわけでございまして、それの解決方法としましては、ただいま先生御指摘になりましたように、どうしても国鉄でこれは必要だという土地は絶対撤去させるわけでございます。それからその次に、実はそうい5場合に国鉄の台帳が焼失してしまったわけでございます。不法占拠ということを考えなしにやっていたのもあったかもしれない。その後、台帳を整備いたしましたところが、向こうの土地より国鉄の土地に少し出ているというのがある。これも不法占拠であるからすぐに撤去せよということも相当あるのでございます。いろいろ調べまして、場合々々によりまして、そういう場合に国鉄の用地で貸しても差しつかえないというものについてはあとで追認をしたということがございます。どうしてもこれは退去してもらいたいというのは裁判にかけて撤去を求める、こういうことでございます。なお、国鉄の用地でも、物によりましては売り払ってよろしいというところを不法占拠されたのがございます。それにつきましては、これは売り払いという処置をとっているわけでございます。現に二千件ありますのを、次々とそういう処置をとって参ったわけでございます。  御承知の、先生ただいま神田駅の例をお話しになりましたが、よく御存じだと存じますけれども、上野のあめ屋横丁というのがございます。これは実は不法占拠が八十件ございます。それは国鉄が正式に貸したところのガードにひさしを張り出したりなどしたわけであります。それをかれこれ集めますと八十件ございますが、これは全部退去をしてもらいたいということで、こう申したのでございます。一時は立ち入りの国鉄職員が身体の危険もあるというような状態でございましたが、その後訴訟に勝ちまして、三年半たちまして、ようやく判決が出たんでございますが、その結果を見ますと、やはり居住権という問題、それから時間が非常にかかるから和解をしたらどうだという勧告がございました。  まあわれわれといたしましては、不法占拠については事情々々によりまして、これは売り払ってもよろしい、これはまあやむを得ないので貸しつけてもよろしい、これは絶対に退去してもらいたいというのに分けてやっておるわけでございますが、最後はやはり訴訟にかけて退去を迫るわけでございます。それにしましても、最近は和解というのが非常に多いわけでございます。和解の結果は、やはりある程度譲歩してやらなければいかぬ。先ほど先生御指摘の、神田の件でございますけれども、退去のあとはやはり高架下ができたら入れてやれというような勧告が出ております。結局、それに従わざるを得ない、こういうことでございます。  それから、追認をいたしました場合におきましては、現在土地建物貸付規則によってきめております正当な要求も受理しております。これは私どもといたしましては、土地を評価いたしまして、付近の賃貸実例によってやっておりますけれども、それができない場合におきましては、資本利子七%をとるということで新たに契約をいたしておるわけでございます。
  72. 天田勝正

    ○天田勝正君 このことにも指摘されているように、この不法占拠が貧困生活者による者ばかりではないということが指摘をされております。今秋が指摘をしているのは、貧困生活者のために万やむを得ぬというのをあげているのじゃない。駅周辺などで商売をしているなどというのは、貧困者のために万やむを得ないなどいう例は一つだってありません。どこの町に行ったっても、駅周辺といえば、料理屋を経営するとか、パチンコ屋を経営するとか、おそろしい収益をあげているのです。東京あたりだって、みな駅の周辺なんというのはそうなんです。だから、かわいそうだからそれを置いてやるという社会政策の対象になるようなものではないのです。ずる賢いのですから、どちらかといえば。むしろ葵部落の例を見ましても、あれらは当時、三十一年でしたか、どの新聞にもみんなルンペンまかり通るなんという新聞記事が出まして、そういうのを、むしろ都の圧力に負けてというのか、何というのか、いずれにしても、荒川放水路に移っていっちゃった、堂々と。それを訴訟にまで持ち込む連中などは、これは裁判のことは私ども立法府におる者は言いませんけれども、そういうものを追認をして権利を認めるということなんか実にけしからんと思うのです。  今裁判の結果そうだというのが一番答弁の場合には楽でしょうが、ところが、ここに、私は磯村さんの書いたもので実におもしろいことが書いてあると感心した。それはこういうことが書いてある。「しかし同じ鉄道沿線であっても、私鉄の場合にほとんど不法占拠のできないのはどういうことであろうか。」、こういうことを言っている。なるほどこれを見て感心したのは、大都市の周辺には私鉄がたくさんありますけれども、その私鉄の場合は不法占拠というのはないのです。そこに管理が行き届くのと行き届かないという違いが私はあると思います。私鉄はそんなのんびりとしたことをやっていては、たちまち破産してしまいますから。片方、親方日の丸で損をするのは自分たちじゃないという、まさか皆さんが意識しているとは思わないけれども、知らず知らずのうちにそういうことで見のがしておるんじゃないか。私は必ずしもこの問題で幹部ばかりをここでつるし上げるつもりはない。むしろ、もう少し私は真実を語ってもらいたい。つじつまを合わせるということじゃなくて。私鉄の場合はどういうことかといえば、駅に勤める人でも何でも、なるほど経営者と争議の場合は堂々と戦いますけれども、しかし、やはり自分たちの会社ですから、それが赤字になった場合には、幾ら条件を取ってみたところでそれが実行されない条件になってしまう。だから、大てい、スパイであるとか、そういう意味ではなくして、自然のうちに通報制が確立されておるのですよ。命令も何もないのに、よい意味の通報制が、だれかあそこに小屋を建て始めたというと、それはいかぬじゃないかということで、見た者がすぐ注意をする。それで聞かなければ、さっそく管理部なり何なり会社のそういうしかるべき係りが行って、それを注意するなり、立ちのかせるなり、それが集団になってしまったり本建築になってしまったりするまでには至らない。だから、私鉄にはそういうことが起きない。ところが、国鉄の場合はそうでない。何十軒というものができてしまうまで、駅員もだまっていて、駅長さんもだまって見ている。できてしまったものだから、仕方がない、ほったらかしにしておく。こういう順序が今のようなことになるのであって、それでありますから、私鉄にできないものが国鉄にできる。結局そのしわは、当初日本鉄道、帝国鉄道、そうしてやがて鉄道院、今日の日本国有鉄道、もともとは国民の税金でできたもの、そうしてその補償もまた、今度は運賃という形でありましょうけれども、国民の負担になって返ってくる、こういうことの繰り返しじゃないですか。
  73. 柴田元良

    説明員(柴田元良君) 国鉄用地の不法占拠の問題は、大体昭和十九年ごろまではこういう問題はございませんでした。で、戦争がだんだん苛烈になりまして、当時用地をおおむね管理いたしております局あるいは現場の区の関係者は、用地管理の問題はこれはまあ当時としては不要不急の業務である、そういった考え方から逐次動員されまして、用地の関係に関します事務は、終戦の前後におきましてはほとんど事務としてなかったわけでございます。その後終戦のときに、先ほど山崎管財部長が申しましたように、一番用地管理に必要でございます用地の用地図と、それから用地台帳の三割ないし四割を焼いてしまったわけでございます。従いまして、こういったもとになりますものがございませんために、それと、用地の関係者が、当時なかなかもとに勢力的に戻らなかった、こういったことが、ただいま御指摘の用地の管理が非常にまずくなった一つの原因であろうかと思うのであります。  その後、戦後間もなく、戦災都市につきましても将来の改良計画をいたしまして、当時都市計画その他協議をいたしまして、特に駅前の用地などにつきましても計画を進めたわけでございますが、その後輸送の変化によりまして、部分的にはそういった計画の変更などもございまして、結果としてそういった場所で一部鉄道が使わないというような土地も出て参っております。こういったところなどが、そういった管理の悪い機会に、戦災によりまして住宅を失なった人たちがそこに住みつく、その後申しわけないことでございますが、十分の管理をできなかった、こういうことから、戦後こういった状態が出て参ったわけでございますが、昭和二十八年ごろからできるだけこういった実態の調査をいたしまして、こういった個々の事例につきまして解決をいたしますように努めて今日参っておりますが、やはり、もとになりますそういった用地の台帳がないとか、あるいは用地の境が明確でないための、相手も御存じのない不法占拠というような事例も多々ございますし、こういったものは極力お話し合いによりまして、境界線の立ち会いなどをやって、今後十分解決ができる見通しもございますし、また不要でございます土地もございますので、こういった土地につきましても、できるだけお買い取りの能力のある方には適正な値段で引き取っていただく。またどうにもならないような場合については、やむを得ず訴訟というような方法によりまして、解決をする、こういった状態で、われわれ今日現場機関並びに本社も全力をあげてこの解決をはかっておる次第であります。
  74. 天田勝正

    ○天田勝正君 戦災で住宅がなくなったというような話になると、私は多くの委員各位も誤解されると思います。私はそういうものを指摘しておらないのです。さっきからこれは言っておりますけれども、そんなのではないのですよ、駅の周辺を不法占拠するなどという連中は。うちがなくて貧しい行き場所がないなどという人たちは、そういう所を占拠しないのです。これは大都会、六大都市なんかは、ごちゃごちゃしておりますから、わからないということもありますけれども、もう東京を離れたほかの都市などという所では、そういうものは絶対におりません。私はそれを指摘しておるのですから、誤解なきように願いたい。ほんとうに貧しくてまじめな人なんというのは、松原の隅の方に行って小屋がけしてみたり、そういうのです。それで、駅の周辺なんかに行くのは、もともとその町でずる賢い連中にきまっておる。  東京ならいざしらず、田舎では二十万あろうが三十万あろうが、ほんとうに市街地を形成しているのはわずかの面積なんですから、そこで自分の土地とひとの土地がわからないということはあり得ない。必ず国鉄では、どんなしるしでも、枕木の古でも何でも立てておる。戦災で幾ら焼けたって、私の住んでおる熊谷なんか見ても、熊谷というのは最後の日に焼けたんですが、その例を見たって、あれですよ、東京で私も焼け出されたが、その例を見ても、あれだけのくいならば地下三寸まで燃えると必ず消えちゃう。ですから、境がわからないなどということはあり得ないのですから、ですから、私にあえて言わせるならば、どうしてその私鉄の職員のごとく、自分のものとして、あそこは駅のものだというふうに、一軒の掘っ立て小屋ができたときに指摘しないのか。また、しても、国鉄のえらい人の方はそれを受け付けないのだろう。初めにできたときに私鉄のように取り計らう処置をとっておるならば、そういう問題は起きない。ところが、結局それを黙って見ておるから、やがて本建築と、こうなっちゃう。それがまた数が二十軒、三十軒と、こうなるから、集団の力になってしまって、どうにもならない。貧しくて細々と生活している人などが、駅の周辺などにいるものですか。これは市の中でも収入にいたってはトップ・クラスです。あとでそうなったか、初めからそうかは別といたしまして、とにかく現在はあらゆる人よりもよけい収益を得ている連中です。だから、結局そこに管理の不備がある。私の聞いたところによりますと、今になりますと駅長さんなどは、どこへ行っても、みな困っておる。駅の周辺を拡張すればどれほど乗客に便利を与えるかわからないのに、どうしても立ちのかせることができない、こういう状態になっておるわけなんですね。  そこで、戦災都市各地では、大てい多かれ少なかれこの何があるわけですが、一体あれですか、一番不法占拠の多いガード下というものは、結局国鉄の方じゃ、下は地方公共団体とか国のものだ、こういう考え方になるし、地方公共団体の方では、あるいは国の方では、それはガード下なんで、国鉄のもんなんだから、要するに自然の形で管理の不行届から無主物みたいな扱いにお互いにしちゃっているんじゃないですか。どうですか。
  75. 山崎武

    説明員(山崎武君) ただいま御指摘のガード下それ自体の不法占拠と申しますのは、最近では四件ばかりしかございません。一般の土地の不法占拠が非常に多いわけです。先ほどあめ屋横丁の例をちょっと申し上げましたが、これもガード下それ自体は相手方に対して承認してあるわけです。もちろん、その承認の経過につきましては、戦後非常に浮浪者が入り込んだ。その浮浪者を追い立てるために、ある程度その付近の有力者に貸したというような点はございますけれども、ガード下それ自体は現在有効に承認されているわけです。たまたま、その前のひさしを出すとか、あるいは前に置き台を置くとかというのを私の方で不法占拠と申しておるわけで、こういうのが非常に多いわけです。  それから、ガード下は、これは当然私の方の財産でございます。これにつきましては、かつて昭和三十二年国会におきましても、ガード下の管理が非常になっていないということを御指摘になりました。その後高架下刷新委員会、あるいは土地建物貸付規則というものを全部整備いたしまして、それから現場の職員が何をしましても手が足りないということが、これが一つの原因でございまして、それを管理いたしますために、現在では一般の土地は保線区と申しますところで管理しておりますが、特に高架下などのためには管財区というものを設定いたしまして、これは東京、大阪を中心にいたしましたものですが、それまで四十六人しか現場職員がございませんでしたのを、百十四名にいたしまして、約七十名の増加をいたして毎日これがパトロールして回っているような状態でございます。ただいま先生御指摘になりました、戦後のどさくさによって現在残っている不法占拠と申しますものの処理につきましては、まことに遅々として進まない、非常に進んでいないというおしかりを受けるわけでございますけれども、その後の不法占拠というのはございません。特に高架下につきましては、まあ私たちが不当であると、国鉄から借りた土地をまたよそに貸してしまうとか、あるいは建物を作ってその一部を間貸しをするとかいうような、あまりよくない状態、これも国会で御指摘を受けたんでございますが、今までも六百件ございましたが、すでに二百何十件ばかり整理いたしました。今年度も整理いたしまして、なおすでに二年ばかりたっているわけでございますが、最後は訴訟にかけてやらなきゃならぬ。現に訴訟にかけている先ほどのあめ屋横丁の例などもございます。私の方としましては、今までの整備につきましては、なお残っているのでございますが、現場職員の毎日のパトロールなどによりまして増加はいたしておらないわけでございます。
  76. 天田勝正

    ○天田勝正君 私はずいぶん知っているんだけれども、まあ政府で出した文書の方がよかろうと思って、内閣広報室から送られた本を基礎にして質問しているんですが、これによると、田町駅近くの陸橋下、東京だってこれ一つだけしかあげてないんですが、そればかりではない。私もずいぶん知っている。名古屋駅の裏側、京都駅の南側、それから大阪駅の周辺等々、等々という言葉を使っている。鉄道用地のかなりの坪数が占拠されている。それで、私が知っている限りでは、東京ではたった一つしか例をあげていないが、私の住む埼玉だって、これは戦災都市だからざらにあるということを申し上げているのに、五件しかないというお話なんで、まことに私はおかしいと思う。それは管理の特別の職種を作るとか、そんなことをしたって、ないよりましでしょうけれども、いい意味の通報制があって、そこの駅なり、駅に勤めている人が、あるいは鉄道の駅に小屋がけした、こういうことをちょっとでも言えば、私は済むのではないかと思うのです。始まりが大切です。それを指摘している。小屋がけのときが大切だ。さっきの田町の例もそうです。初めは小屋がけでささやかにやっていた。そのうちに黙っているので、だんだん本建築になって、しまいには煙突が高くなって汽車も見えなくなる。逆になってしまうのです。そういう人たちは、本建築をするような人たちは、貧しくて、どうにも行き場がないなんというまじめな人たちではないのです。でき得べくんばただで入りたい。ですから、そういうほんとうに行き場のない貧しい人というのは、政治全体の貧困ですから、ほかの面であれすべきであって、自分が困っているという理由で、国民の財産というものを勝手に使っていいというなら、何人でも困る人は一人もないですよ。十五年もただ不法占拠して、ただでいられれば、今度はりっぱな家を建てるだけの金はちゃんと残りますよ。ですから、ここで私につるし上げられるなんという気持でなくして、別に私もそのつもりで質問しているのではない、実態を聞きたいのです。結局はまじめな納税者がそれによって損害を受けないようにというのが私の質問の趣旨なんですから、実際ほんとうのことを答えてもらいたい。  それで、質問の観点を変えますが、私の聞くところによりますと、なぜ追認のような形が起きたかということにつきましては、会計検査院からただで貸しておくのはけしからぬじゃないかというような形で指摘される。そこで、やむを得ずして、ここに追認というもので賃貸契約を結ぶ、以降は不法占拠にあらず、こう帳簿上はなってしまう。それがお役所仕事です、私に言わせると。それが居住権を生じて、再び今度は国税によって、ただ使わしたのに、むしろ恩を着なければならない立場の者が逆に過大な土地の補償を受ける。補償をする場合には、もう繁華街、駅の中心ですから一等地、こういう補償をしなければならない。一体まじめな納税者はどういう立場に立つのか、こういう気がするのです。そこで、事実は、私はそういうふうに国鉄を一つの例にとるのですが、そういう場合に、会計検査院がそういう指摘をするのですか、しないのですか、どうなんですか。
  77. 平松誠一

    説明員(平松誠一君) ただいま国鉄関係が議題となっておりますので、私から国鉄関係について御答弁申し上げたいと思います。  今の国鉄関係のガード下その他の固定資産の不法占拠等につきましては、私ども常時検査をいたしておりまして、これは三十年の検査報告には、総論の方におきまして、ガード下の不法占拠されている例が多い。そこで承認を要するものにつきましては承認の措置をとり、承認するのに支障があるものにつきましては適当な措置をとるように、こういうことを要望いたしておるのでありまして、まあ私の方の考えといたしましては、何でも形式的に承認をしてしまえばいいというつもりの指摘はしておりません次第でございます。  なお、そのような注意、並びにその後国会におきましても決議をされた関係上もございまして、国鉄当局におきましても、ガード下刷新委員会等の制度を設けられまして、ガード下刷新要綱というような規則等も整備されまして、鋭意その整備に当たっておられる状況でございますが、ガード下につきましても、また整備されたものは、これは三十四年度末の状況につきまして申し上げますと、三〇何%というような状況で、必ずしもはかばかしい進捗状況ではございませんが、これは処理が怠慢であるというようなことばかりではございませんので、あと処理の残っておる事態につきましては、なかなか使用人、あるいは第三者に貸しておるというような関係で、非常に複雑なものがありますので、なお残っているような関係にあるかと考えております。  なお、検査院から承認をどうしてしないかと言われたために承認を促進しておるというようなお話もございましたのですが、しかし、この点は、今のガード下の不法占拠の処理の進捗状況から見まして、何でも処理してしまえばいいということならば、もっと進捗しておるはずでございますが、まだ必ずしも十分処理が済んでいないという点につきましては、当局におかれましても、いろいろな事態につきまして適切な処置を講じておられる結果、そのような結果になっていることだというふうに私ども見ておる次第でございます。  〔委員長退席、理事佐野廣君着席〕
  78. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は、言葉は多くなくてもいいから、端的に答えてもらいたいと思う。会計検査院は各省の不正、不当な国費の使用については指摘をされて、工事等につきましても、私は、地方に至るまで橋梁などの不正についてはかなり指摘をされておる、こういうふうに思っておる。そのために衆参両院の決算委員会でも、幾たびか会計検査院強化の意味の決議をなさっている。ところが、国有財産については、今適切々々という言葉がありましたけれども、あまり適切じゃないのではないか。会計上要するに賃貸契約にすれば、それが帳簿上は不法占拠でなくて済むということから、私が言ったように、ただで使わしているとは何事だという指摘があるものだから、片方は、どうも来年も会計検査院から指摘されたのではかなわぬというので、賃貸契約を結んでしまう。再びこれを国が収用しようという場合に、多額の国民の税金をまた使わなければならない、こういう悪循環をしているのだと私は思う。ところが、そういう指摘でなくて、もし会計検査院が、国有財産はいやしくも国有として必要なるがゆえに持っているのだから、ことに、ただそれを保存財産としてやがて払い下げるというものじゃなくて、国有鉄道が持っておるものなどは、これは営業用に使わなければならない。駅周辺の土地にしても、これは言うならば乗客のために使わなければならないので持っておる、こういう観点に立って、さようなことに使わせるべからずという指摘をすれば、国鉄側も私は取り上げるに骨をおるだろうと思う。取り返すために骨をおるだろうと思う。国鉄あたりが民間にどんどん貸すような財産を持っている必要はありませんよ。国鉄本来の目的に使うか、あるいは駅前を整備したりなんかして、交通事故が起きないように、乗客、通勤者の便益の用にその土地を使用してしかるべきなんです。その本来の目的に使われておらないのだから、これから、ただで貸すとはけしからぬという指摘ではなくて、本来の目的に使いなさいという指摘ができないか、その点、どうなんですか。
  79. 平松誠一

    説明員(平松誠一君) ただいまの点につきましては、先生のおっしゃる通りでございまして、私ども、ただ使用料を取っていないから取れという趣旨で、指摘しておりません。事態によりまして、すみやかに撤去して、不法占拠の事態を解除すべきものはすみやかに解除する、こういうような指摘をしておる次第でございます。
  80. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちょっと質問の相手を変えますが、建設省側にお願いします。これはすでに十年ほど前に、衆参両院の決算委員会及び社会労働委員会で問題になったけれども、さらに過日本院の決算委員会で相澤重明君が指摘されたはずでありますが、あれだけ一時両院とも不正を指摘いたしました虎ノ門の児童公園、これがいつかその児童公園になるだろうと思って私ども見回っておりましたけれども、児童公園は今日もどこにもなくて、一体どこが虎ノ門公園の跡なんだろうと言わざるを得ないぐらいに、しかも鉄筋コンクリートの家が建っておるわけであります。あの始末は一体どうなっておるのですか。
  81. 志村清一

    説明員(志村清一君) 虎ノ門の公園につきましては、先生も御承知の通り、東京都が管理しておる公園でございまして、戦前は公園としてあったのでございますが、戦争に負けました後駐留軍がこれを接収いたしました。その後ニュー・エンパイヤ・モータース株式会社が、当時のGHQといろいろ話し合いをいたしまして、ここを使わしてもらいたいということになりまして、戦後のああいった特殊な事情のもとにやむを得ず一時使用につき都がこれを認めたわけでございますが、その後一応使用期間を過ぎましても、なおこの会社がこの土地を返しませんので、東京都としましては累次会社に返還の請求をする等の手続をやって参ったのでございますが、御承知の通り、なかなか思うにまかせず、また関係の向きから、公園を除籍して普通財産にしたらどうかという御意見も、相当何回か建設省の方に照会として参ったような経緯もございまして、二十八年に一応公園を廃止いたしまして、普通の財産として大蔵省に引き渡したわけでございます。ただいまこの国有財産の返還につきましては、国側から訴えを提起いたしまして係争中の段階でございます。
  82. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあこの問題は後ほど須藤委員も御指摘になるそうですから、私はまああまりこの点には深入りいたしませんが、とかく私が見ておると、今御答弁になりましたように、今度は公園ではなくして普通財産にしてどこへ引き渡すと、これでまあ表向きのつじつまが合うのですね。そういうことをしてはならないと思うのですよ、私は。もともとあれは児童公園にするというのが目的で、国や地方公共団体がよけいなものを持つ必要はないのです。最初の目的に使用するがゆえにこそ持つ価値があるのであって、その他のものにちょろちょろ営利会社みたいに帳簿の上を右左と動せば、それで解決だということにはなりません。特に東京などは世界のどんな都市から見たって公園の面積は少ないのだし、そこで先進国のように不燃住宅ばかり並んでおるならばいざ知らず、まだ可燃住宅ばかりがそろっておるような東京で、われわれの若いときの関東大震災を見ても、たちまち一夜にして十何万の人間が死ぬと、そのあとへ横網公園か何か建てた。歩いてしまってから行き先を考えるような始末でありましたけれども、それでも公園なんというものは単なるレクリエーションの場所、いこいの場所のみではなくして、避難の場所としても非常な意義があるのです。それを、たとえ少しの場所であっても、普通財産に直したからどうという考え方は、この際官僚の各位にもやめてもらいたいと私は指摘しておきます。  それから、観点は違いますけれども、これも初めて週刊誌で取り上げて、三月三十一日号の週刊朝日、これに「ゴネ得はごめんだ」というので、いろいろな事例がここに掲げられております。私なんかまあ幾らか話してくれた人に遠慮して、場所や名前は言わずに質問しているわけですが、雑誌社ですから、一向遠慮会釈なしに、名前も実名で全部、場所もすべて指摘をいたしております。これは必ずしも不法占拠の問題ではなくして、公共用地として取得する場合のことでありますが、ここにたとえば足立の西新井橋付近で、ちょうど週刊誌程度の大きさだそうですが、その大きさのところへ二百三十万円払った。これはだれにもそういうふうに支払われているのならば、平等の原則でありましょう。ところが、最初に協力した人は坪当たりでもわずか三万円ぐらい、こういうことなんです。ある人には、それがその人の持ち地でなくして借地であるにもかかわらず、週刊誌大で二百三十万円。こういうことをするところに、およそ何を基準にしてこの予算を使っているのかわからなくなる。  あるいはまた、その前には「わたしはバカをみた」という題で、茨城県藤代町のことが出ておりますけれども、これにもほかの人が四、五十万円の場合二百万円、それも百八十万円で手を打とうと思って、まあもう一ぺんねばってやれと思ってねばったところが、ぽんと二十万円出した。建設省というところはおよそ気前のいいところで、ぽんと二十万円出された。出された方がたまげたと書いているのですね。  こういうふうに、さっき言うように、国有になったら、その管理ときたら、まずおよそでたらめきわまるものである。取得にあたっては、この雑誌で指摘しているように、こういうふうに一つには週刊誌大のもので二百三十万円、一つには一坪で、自分が使い、そうして自分が所有しているそういう一坪に対して三万円、こういう差は何を基準にして一体建設省は出すのですか、これをお聞きしたい。  〔理事佐野廣君退席、委員長着席〕
  83. 志村清一

    説明員(志村清一君) 西新井橋の問題につきましては、私の記憶、正確ではないかと心配するのでございますが、おそらく東京都の土地収用委員会にお願いしまして、その裁決によって出た額ではないかと考えるわけでございます。土地の値段等につきましては、御承知の通りいろいろ問題がございまして、作り出せるものでないために、一つの物が一つ値段を持っている一物一価でございまして、いろいろその間の周囲の状況その他によりまして値段が非常に異なるわけでございまして、建設省などの仕事をやって参ります場合におきまして、用地の価格をどうきめるかという点についてはしばしば頭を痛めるところでございますが、結局公平な第三者にこれを御判断願うというのが一つのいい方法ではないかという趣旨におきまして、土地収用委員会にお願いいたしまして、土地収用委員会においていろいろ専門家の方々が御議論をされ、必要に応じて参考人あるいは鑑定人などもお呼び願って御審議願って、そうして出すということが非常にいい場合が多いかと存じます。この西新井橋の場合はそのような意味の、東京都の収用委員会の慎重な御検討の結果ではないかと思うのであります。  その場合の用地の補償の原則でございますが、土地につきましては正当な価格を補償する。近傍類地の価格などを参考にいたしまして考えて参るわけでございますが、そのほか、その土地の上で営業いたしております場合に、その土地が取られることによって営業上の損失があったというような場合には、その損失をも公正に判断して加えるというような、いろいろな問題が加わります。また、一団の土地でございますと、一部が取られましても、残りの土地があっても、残りの土地が従前の用に供し得なくなるというふうな場合におきましては、残地の補償と申しまして、残地の補償を考えるというようなことになっておりまして、そのような諸原則は、一応土地収用法上にうたわれておるわけでございますが、さような原則に立ちまして、西新井橋の用地の価格が、収用委員会において慎重に検討された結果出たものを考えております。
  84. 天田勝正

    ○天田勝正君 再々繰り返すのですが、きょう私が各官庁の人に来ていただいたのは、ここでつるし上げるというような気持はないわけです。問題は、不合理が各地にあるし、国有財産というようなものの管理が何としても万全でないということから、お互いにここでいろいろな事例を指摘して、現行法でもこれが改善し得るものならば、それはそれでよろしいし、改善し得ないで、どうしても法の不備やなんかあるとするならば、立法府におるわれわれとしては、また別の考えをしなければならぬ、こういう観点なので、普通の答弁といささか趣きを変えて答弁を願いたいと私は思うのです。必ず、質問すると、私は今の答弁のようなことを覚悟しておった。これは東京都の管理でございます。虎ノ門公園の場合も、これは東京都の管理でございますと、まず最初に、セクションを言う。そんなことは必要ないのです。だから、私はきょうも、成瀬委員も自治省を呼んだらどうだというお話も過日あった。なぜ国政の場で、ここに東京都側をいきなり呼ばないか。それは起債の場合だっても、建設省も関連をいたしますに自治省も関連をするのです。あるいはまた平衡交付金の場合だって、大きな支出については、大体そうした国の機関に上申もしておるはずなんです。そういうものがなければ、めくらめっぽうで平衡交付金をやったりなにかする結果になる。そういう関連があるから、国がやることは、地方公共団体それぞれが右へならえという形になるので、私は質問しているわけなんです。  西新井橋の問題は、とにかく、まあ営業補償やいろいろあるでしょう。あるでしょうが、同じ場所に営業している人で、自分の地所を使って自分がそこで営業している人と比較して、今度は自分の地所ではない、借りている地所を使って営業している人と、こう比べた場合には、一体どちらを重きにすべきかということは、常識でもわかる。これは借りている方で、週刊誌大のところで二百三十万円払うということがあり得ますか。ほかの人は、その道路ができることによって町の人全般が便利になるということで、三万円で協力している。もしそれが起債の対象になっているとすれば、これは中央官庁である建設省なり自治省なりというものが、それは不当ではないかという指摘をしてこそ、中央官庁としての役割は果たせると思う。これはあまり時間をとりますと、他の委員に迷惑になりますから、東京都所管のことはこれでやめておきますが、さっき質問しました藤代町の場合などはどうなんです。  これは明らかに陸前浜街道、国道ですよ。藤代町。もし読んでおらなければ、これだけ多く、各電車の中では「ゴネ得はごめんだ」という広告で出されたから、役所でも御存じだと思うのですけれども、御存じなければ、これをお貸ししますから、読んで、一つそれはどういう処置になっているのかお答え願いたいと思うのです。
  85. 青木美雄

    説明員(青木美雄君) 藤代町の国道につきまして、用地補償の交渉につきまして、ごねました結果得をしたということでございますが、これはこの対象になりました水本という家につきましては、これは商売をやっておりまして、その関係で営業補償を見たということで、額が上がったということでございます。この飯島という歯科医が少ないというまあ訴えがあるわけでございますが、これは歯科医というものにつきまして、営業権ということにつきまして、そうそれを見なかったということで、金額の相違が出たということと、もう一つは、この水本という多額補償しました家と用地交渉がなかなかまとまらなかったということでございまして、時間的に多少おくれたということで、そのときになって地価が上がったという事情もございまして、この水本の方に多く行って、飯島さんから見ますと不当に補償したのじゃないか、こういうふうな結果になったわけでございます。
  86. 天田勝正

    ○天田勝正君 これも何か議会答弁という式な答弁なんで、実情は全くそれと違います。そういう認識をされているなら、とんでもない。そういう考え方でいくから、なかなか今後の国有地の、今度は取得の場合でも国民の協力を得られないことになるのですよ。それは何か、片方が高いからおれの方が安過ぎるというので、個人が腹を立てたように印象される答弁をされているんです。実情はそうじゃないのです。この飯島さんというのは、その部落における代表者となって、国道ができるについての町の協力委員の一人なんです。名前は別ですけれども……。そして町が一括して関東地建と協議をしておった事件なんです。しかるところ、それでみんな、これは国のためなんだし、新しい国道ができるならば、そこを通る人全部が、町の人のみならず全部が利益を受けるのだからということで、協力をしてきた。そしてむしろ飯島さんは自分個人の問題でなくして、その十九名の代表者でありまするから、この十九名の人の利益を守るために、他が不当に高いというと、その人らに今度はあとで追及された場合に処置がないものだから、ですから、あとで承諾をした人が高ければというので、条件をつけたはずです。町もそういう条件をつけている。しかるところ、今度は町とは縁を切ってしまったのだ。建設省は町と縁を切ったのですよ。縁を切って、あるボスを仲介にして、その水木という個人だけを相手にして、そして解決したのです。町はあっけにとられているんですよ、これは事実は。何か個人対個人の、隣が倉を建てたからおれの方が腹が立つという、そんな実情ではないのです。町を相手にして、町全般としての協力を得るために、もともと関東地建は町に頼んでおったのに、町をのけものにして、ボスの顔を立てるために急に上がったんでしょう。  営業補償というのは、飯島さんが歯科医だから、営業するのにかまわないという理屈は一つ成り立つでしょう。しかし、他の人だって営業しておるんですよ。だが、水本さんだけが営業権があるように、この委員会では皆さん印象を受ける。そうじゃなくて、ほかの人も同じ条件にあっても、水本何がしという人だけが、これはボスが仲介したために、また役場を間に入れないで直接取引になったために、そういう気前のよいことを関東地建でやった。  こういう使い方こそ、私は会計検査院などは指摘してもらわなければならぬと思うのです。そういう方は建設省が所管してやったんでしょうなんという答えであるならば、私は本院でも衆議院でも、その建設省強化論を盛んに決議してきたことなんて何の価値もなくなってしまう。せめて今の政府の直接の機関でない——政府の機関には違いないけれども、別建てになっております会計検査院、裁判所こそ、最後にわれわれが信用をしておるところなんです。話は会計検査院のところへ飛びましたけれども、そういうことについての監査はいたされるんですか、いたされないんですか。
  87. 白木康進

    説明員(白木康進君) お答え申し上げます。公共用地の取得、特に補償価格等につきましては、建設省所管に限らず、もちろん会計検査院で十分に検査いたしております。ただ、結果的に申しますと、検査報告等にも指摘した事項はほとんどございませんが、これは先ほど天田委員から御指摘がありました、一体どういう基準でこういう補償価格をきめておるかということでございましたが、私の方でも、普通の場合の土地の売買と違いまして、用地の補償価格という場合には公共的な強制力と申しますか、単純な売買と違うようないろいろな要素もあるわけでございまして、正直に申し上げますと、私どもが批判をする価格評価の基準が、私ども実は非常に困るのでございます。それで、非常にばかばかしいような補償価格というような事例もたびたび検査の結果報告も出ておりますが、最終的にこれは不当であるというふうに断ずることが、非常にほかの場合と違いまして困難な現実がございますので、結果的にはそういうことになっております。ただいま御指摘のような問題につきましては、私ここに明確な資料がございませんので、的確にはお答え申し上げかねますが、あるいはありきたりの答弁でおしかりを受けるかもしれませんけれども、やはり公共用地の取得制度自体に改良すべき点があるんじゃないか。むしろごね得というようなものを、われわれが不当な事態として指摘するよりも、そういう面で処理すべき面が多いのではないか、率直に申しましてそういうふうに考えておるわけであります。検査としては十分にやっておりますし、今後も用地の補償については十分検査するつもりでございます。
  88. 天田勝正

    ○天田勝正君 この問題につきましては、やがて休会中になりましても、委員長にお願いしまして、調査案件としてまた本委員会の問題にしていただきたいと思いますから、今指摘いたしました通り、藤代町の補償の問題については会計検査院御記憶願って、それが一年後になるか、あなた方の検査がどうなるか知りませんけれども、ぜひいつなりと答弁ができるように御用意願いたいと思うのです。  それで、建設省の方には、今私が指摘した通り、結局それはあれでしょう、町及び協力委員会というものを相手にしていたけれども、水本さんだけについては別扱いにしたのでしょう、やはり有力者が間に入って……。
  89. 青木美雄

    説明員(青木美雄君) 関東地建で用地補償の交渉をやりました際には、もちろん水本さんのうちも対象にしまして、部落全体一本で交渉をしたわけでございます。飯島さんがその代表者の一人として交渉されまして、その誠意につきましては建設省としても感謝しているわけでございます。しかし、水本さんとの交渉がなかなか話し合いがつかなかったということで、あとに残って解決したという事情があったようでございます。
  90. 天田勝正

    ○天田勝正君 それはあなたは事情をよく御存じないのですから、関東地建でよく調べて……。私の指摘したところには間違いがない。それで、週刊朝日の調べたところに間違いがない。これは金額であろうと、場所であろうと、人の名前も全部実名ですから、いいかげんなことを書いてあるのではありません。私もその後このことについては若干の調べをして質問をしているのですから、間違いがないと私は信じているので、次の機会までにちゃんと具体的に調べてお答えを願いたいと思います。  それから、最後に一般論でありますが、国道といい、また国が補助をしております地方道、こういうようなものも、ことに市街地の場合は、今日ますます幅員を広げつつあります。ところが、幅員を広げると、これがまた不法占拠の対象になっている。昔の銀座八丁にあった夜店のように、あれが一つ夜の銀座の景物というような形で、まあ日暮れどきから十一時までなり、十二時なり、時間を切って店を出すというのは、これは歩行者が今よりも少なかった当時には、決して国民に迷惑をかけない。ところが、今日は歩行者に不便ということになったから、あれもやめさしたことなんです。そういう公共性を道路なんというものはもともと持つべきなんです。しかるところ、戦後においてそういうところへ住みついてしまって、一時的に出店というのではなくて、もう居ずわりなんです。そうすると、一体道路を拡張したのが、ある特定の人たちに店舗を提供するために道を広げたのか、わからなくなってしまう。これは大蔵省側とすれば補助ということになるだろうし、起債の場合は建設省も自治省も関係するだろうし、どのみち国の予算というものの何がしかが回っていくわけなんですが、そういうことに対しての国の処置というものは、一体あるのですか、ないのですか。これは別段建設省と限らない。私は政府側から、どなたでもいい、答弁してもらいたいと思うのです。  なお、付言しておきますけれども、必ずそういうものを許可する場合には警察署長とか、市長とかというのが、えらい名声を博するのです。ばかな話です。市長も署長も、びた一文金を出しているのであるまいし、それが人情署長だとか、人情市長だとかというので、結局市民の税金なり国の税金なりを使って作ったものを、ある特定の者に貸してしまう。それで名声を博して、人情署長だとか市長だとか言われて、さて居ずわったら、今度は立ちのくときはさっきと同じで、国民の税金、市民の税金でとほうもない金を払わなければ立ちのかない。責任は何人も負わない。この際負わないどころか、署長なり市長なりというものはえらく人情があるとして、たたえられるだけなんです。損害は市民なり国民なりが負う、こういうことになっておる。こういう点は、それは大臣が来ておらないから、政務次官にでも聞くよりほかしようがないと思いますが、どうなんでしょうかな。
  91. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 管財局長からお答えいたします。
  92. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 道路につきましては、道路法の規定に基づきまして、国または公共団体が占用の許可をいたしますわけでございます。行政財産の使用でございますから、その目的に反しないように十分公正な取り扱いをするということに、各省に対しては所轄大臣として十分に要望しておるところでございます。
  93. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあこれはさきに申し上げたように、質問すれば一日だってあるのですけれども、限りがありませんから、一応この程度でやめますが、答弁の残っておる点については、あとで取り上げられるときにこの問題はすぐに答えられるようにしておいていただきたい。これは、まあ半分委員長にお願いしておきますわけです。  最後に、請負検査の問題について建設省に伺いますが、一体、国の建造物を請け負わせてそうして検査する場合に、木造なら木造、それが木造モルタル塗りならば二十年なら二十年、三十年なら三十年というものを、また鉄筋コンクリートならば何十年、そういう一つ基準を置いて、そして検査をされるんですか、されないんですか。続いて言いますけれども、もし木造で二十年という耐用を、ここに一つのものさしを置いて検査をするとすれば、その場合に三年ぐらいでそのうちがひび割れてしまったりなんかする場合には、だれが一体責任を負うのでしょうか。  それから、さらに続いて、ここでももうすでに私は四、五回指摘したのですけれども、われわれの議員会館の四号館の、わずかなことでありますが、流しの水がいつまでも引けないと思ったところが、三尺先にあるマンホールには鉄管はちっともつながっていないで、ただ縁の下の土へ突き刺さっていただけなんです。だから、一時間もたつというと水は引けてくる。自然、縁の下に水が一ぱいになるまでは引けない。まあこうなんです。それは私が言って直さした例があるのですけれども、そういう不正工事とはっきりわかるけれども、そういう者は次の指名にはもうしないと、これは過日の大蔵省の法規課長の答弁です。答弁だけれども、しかし、その請負者は依然として各官庁の指名は受けておる。名前をあげないったって、この会館をやったのですから、すぐわかります。そういう責任は、これはまたどこでも負わない。どうしたんだろうかということで、私どもは不思議にたえない。結局きめ手になるような答えは一回も得られないでおる。  これらのことについて、官庁営繕についてどういう方針で臨んでいるんだか、それこそ今の法規が足らざるならば、それはわれわれも大いに考えなければならないんだし、政府の方も考えておいてもらわなければならぬ。単にうまくここを答弁するんじゃなくて、実情を一つ知らしてもらいたいと思う。
  94. 志村清一

    説明員(志村清一君) 私、営繕並びにこういった工事請負契約の担当でございませんので、先生の御質問にお答えする知識がないわけでございますが、ただ、建設省が工事を請け負わせまして、でき上がったときにどう検査をするかということについては、当然、請負にするときには設計等相当こまかいところまで配慮いたしまして、その配慮に基づいた設計通り行なっているかどうかということをまあ検査いたしている実情かと存じております。従いまして、耐用年数等も、木造なら木造なり、耐火造なら耐火造なり、それ相応の耐用年数は当然設計通りできるならば持つというふうに考えております。まことに蕪雑でございますが、私、担当外なのでこの程度で……。
  95. 天田勝正

    ○天田勝正君 この間、高田参事官ですかお聞きになっておられて、きょうはここに見えておられないので、これではしょうがない。またあとへ残すというよりしようがないのですが、これも一つよく調べて、次の機会にはお答え願いたいと思う。  とにかく木造で二十年という一応のものさしがあるならば、それならば議員会館なども一つもひび割れずにいなくちゃならない。私の知る限りでは、一年目にひび割れてしまった。ことに五号館、六号館に至っては、これはひどいものなんです。ひどいものだ。だけれども、だれも責任をとった人はいない。こういうのでは、何を基準にして検査が通ったというのか。検査が通りさえすれば、もうあとは翌日にひびが割れてもかまわないという筋のものなのか、あるいはまたここの法制局が今使っている建物にしても、あれを議面で使っているころ、今の位置に移転するときに、下へレールを通して移転してきた。あの穴をあけたときに、土台が全部腐っている。だから、建物はひびが割れないにしても、そういう四年ぐらいで土台が腐るものを使ったということ自体が、私からすれば不正なんだろうと思うのです。そういうものの検査が通ったということで済むのか、あるいはそうなればその通したというだれかが責任を負わなければならぬと思うのだけれども、責任を負ったということは一回も聞かない。こういうことも、会期末ですからそう多くは要りませんから、次の機会までには、また質問しますので、御用意願いたいと思います。  それから、委員長、これも私、委員長にお願いして、過日閉鎖機関令の問題につきまして資料の要求を申し上げたはずであります。それで、その一部は出て来ました。一部は出て来たけれども、これではとても不十分なので、朝鮮銀行、台湾銀行等について清算をし、新しい会社を作って、そうしてその際に株主には三十倍ぐらい、役職員等には何の規定もないのに当時の規定のまあ百倍にも近い金を与えている。ところが、ひとり預金者のみには三分の二とか、あるいは利子は四分だとか、そういうことにしてしまった。その実情の一つ資料を出してもらいたいということを、委員長を通じてお願いをいたしたわけです。ただ、これはここに来たのは、特殊清算決算報告書というものだけが来ているのです。これじゃ今日質問してもしようがないので、またきょうの議題としてなっておりませんから、次の機会ですが、さらに大蔵省側に一つこまかく申し上げたいと思うのです。私は、大ざっぱにいえば、もう当然来るものだと普通の場合認識していたのです。そこで、今申し上げることを一つ大蔵省側に書いていただきまして、朝鮮、台湾両銀行とも出していただきたいと思います。  まず、終戦に伴う営業停止時における預金者の数及び預金の総額、二番目に、閉鎖機関令により支払った預金者数及び総支払い金額、営業停止時の役職員に支給した退職金、これは本来の規定のものですね。それから次に、特殊名目について支給した金額、この特殊名目によるというのが問題でありますから、こういうものがわからなければ資料は価値がないのです。  次に、解散または離職等の手当の名目をもって役職員に支給した金額、この支給の根拠となった役員会の日時及び出席の役員名、そして当時の決議録があるはずでありますから、それを提出されれば、事柄ははっきりして参ります。次に、閉鎖機関から特殊清算機関に移された際の貸借対照表の提示、これが第一に出てくると思ったら、これにはない。それから、所在不明の株主の持ち株の処理をどう処理したのか。そして次には一括して、こうした朝鮮、台湾銀行のほかに、日本系の銀行がそれぞれに数行ずつあったはずであります。これらは、ある銀行については内地銀行並みに、むしろ清算をするんでありまするから、金利を十割付するとか、むしろ特別の措置をしながら預金者を守っておるという例もあるのであります。でありますから、それらの実情についてできるだけ詳しくお知らせ願いたいと存じます。  それから次には、総督府の関係でありますが、朝鮮、台湾における簡易保険の処理はどういうふうにしておるか。それから同様に、郵便年金はこれはたな上げしっぱなしのはずでありますが、この処理はどうなっておるか。それから朝鮮、台湾におきまする日本人の振替郵便貯金の残額はどのようになっておるか。  それから朝鮮、台湾におきまする地方吏員、これは当然内地へ帰って官庁に勤めた場合は継続されるとか、とにかく優遇というよりも通常の処置が講ぜられた。ところが、この外地の日本円が等価に使われているような場所でありましても、それは日本に帰った場合には縁が切れてしまってストップになっておるはずでありますが、それらのことについて資料を提出願いたいと思います。  大体以上を出していただきますならば、閉鎖機関令の問題の質問をいたしたいと思います。
  96. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  97. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をつけて。  大蔵省側、よろしゅうございますね。
  98. 田中茂穂

    政府委員田中茂穂君) 非常にたくさんの資料要求をお求めになりましたが、ここで全部お出しするということは、私としてはここではお約束できませんが、十分天田委員の御趣旨を尊重いたしまして、早急に関係官を集めましてできるだけ御要望に沿うような資料をまとめたい、まとめて天田委員に提出したい、かように考えております。
  99. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  100. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をつけて。
  101. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 皆さん食事もしていらっしゃらないようですから、私はできるだけ簡単に質問いたしたいと思います。大蔵省が国有財産を払い下げる場合、私が今問題にするのは土地、建物の問題ですが、何か条件をつけて払い下げるようでありますが、どうですか。
  102. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 国有財産の払い下げにつきましては、重要なものにつきましては、法律できまっております国有財産審議会に諮問いたしまして払い下げを決定しているわけでございます。条件をつけるかどうかという御質問でございますが、これは個々のものにつきまして、あるいはつける場合もあるし、つけない場合もあるというようにお答えするほかないと思います。原則として申しますというと、適正な時価で売り払います場合につきましては、原則として今のところは条件を付しておりませんが、法律の規定に基づきまして、無償あるいは減額譲渡するというような場合には、その用途に一定期間使うということを条件にいたしている場合が大部分でございます。
  103. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 払い下げるとき、ある目的のために払い下げた場合、払い下げた物件が目的以外に使用される場合、これを取り上げるというようなことになっているわけですか。
  104. 山下武利

    政府委員(山下武利君) ただいま申し上げましたように、時価でもって売り払います場合には、現在のところは原則として条件を付しておりませんが、特に法律の規定に基づきまして、減額して売り払うといったような場合には、一定期間その目的に使うという条件を付している場合が大部分でございます。
  105. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私きょう皆さんと議論をするつもりでこの問題を出すわけじゃないんですが、実は昨日、全生連の新宿生活と健康を守る会の書記長境鶴雄という人と、それからこれは今問題が係争になっているので、その弁護士になっている渋田幹雄、それからその建物に入っている婦人と、この三人が私を尋ねて参りまして、以下の問題について訴えをして参ったわけです。ここに文書がありますから、この問題ずっと知っていただくために少し読んでみようと思うから、聞いていただきたいと思うんです。「戸山町一番地、新宿体育館の前を少し入ったところに「日の基社会事業団、牛込寮」経営者栗田久男、寮長−石田善次郎(旧陸軍の鉄筋コンクリート2階建)があります。この大きな建物の中に昭和二十三年以来母子世帯をはじめとして今日まで生活困窮者を社会事業の美名のもとに東京都から「宿所提供施設」の指定を受けて収容してきております。もちろん東京都から収容者一人当り一、〇一九円の経費を貰っておるので、五人家族で五千円位ですから一般のアパートの家主と収入の変りはなく、それどころか建物を大蔵省からタダ同様に借りているのでボロイ商売であるわけです。」  次に、「昭和三十二年、収容している母子世帯の意志に反して、都民生局、新宿福祉事務所、日の基の三者が強制的に遠くの施設に転寮させようとしたことから母子世帯の怒りを買い、それまで迫害に迫害を重ねていた数多い事実が明るみに出ました(生活扶助金のピンハネ、児童給食費の着服、母子更生資金の不正流用、電気料水道料一を実費の三倍とる……等)これは刑事問題になりましたが、民生局や福祉事務所は人事の大異動ともみけしをはかり、当時、新聞やラジオで「日の基母子寮事件」として与論に叩れました。」  「本年三月、いきなり十数名の人夫の手をかりて巨大な鉄筋コンクリートを一階から、どんどんブチコワシはじめました。(現在一階の三分の二を破かいしている)国有財産であったはずの建物を勝手に破かいすることが不可思議であるばかりでなく、ひどい音きょうと振動のため、電灯は消え、ラヂオはこわれ、寝ている病人は苦痛を訴える等、たまりかねた在寮者数名が石田寮長に抗議をしたところ……その中の三名に対し四月三十日深夜十一時二十分頃に、本日限り退寮処分にすると書面をつきつけ、十二時を過ぎれば五月一日であり、不法占拠になると、おどかした。四十分の余裕しか与えない立退きがどこにあるか、又理由に寮費未納としているが、以前三倍以上の寮費を不当に取っておいて、その精算をすれば、おつりさえくるんだと、在寮者は怒り、深夜三十数名の支援を得て抗議し、居住権を守るため、翌日、メーデー帰りの区内労働者、民主団体百余者が三時間に亘り抗議集会を開き寮長石田に抗議しました。しかし日の基側はいささか反省する色も見せず、近くの狭い道端に立てた不完全な建物にどんどん在寮者を強制的に移しはじめました。寮内にある「日の基明るい暮しの会」とそれを支援する人々は、社会事業の美名にかくれ十数年に亘って貧困者をしぼり、いじめ抜き、そして又今国有財産を私物化しようとしている事実に対して、これ以上許しておけないと、黒田壽男法律事務所の弁護士の方々の援助のもとに関東財務局をはじめ東京都民生局などに抗議してまいりました。」  これに対しまして、関東財務局管財二課はこういうことを言っているそうです。「三十四年八月に払下げました。しかしそれはあくまで、社会事業の宿所提供施設をやると言う約束で、ちゃんと契約書に記載されております。もし万一他の事業に使用するとしたら、契約条件の使用目的に違反しますので、早速調査して事実とすれば、当然返還させます。」、東京都民生局においては、「日の基社会事業団が勝手な解釈で在寮者を転寮させ、工事を進め、宿所提供施設を廃止したいとは、あまりにも一方的で都として納得できない。事態がはっきりするまで、すべて中止してもらう。六年前に貸付けた母子厚生資金は、石田寮長がデタラメな運営をしたので「貸付の目的に反して使用し母子世帯を更正させる見込みがない」として、すでに三十二年九月に即時返還するよう命令したが、今だに返還されていない。」  まあこういう文書を持って私のところへやってきたわけなんですよ。そして、いろいろ話を聞いてみますると、こういうことらしいのです。この福祉法人日の基社会事業団、この理事長栗田久男という男が、今申し述べましたように、大蔵省から旧陸軍の建物を借りて、そこへ更生寮を作って、置いておったわけです。ところが、いつの間にかこの日の基社会事業団に高野将弘という理事が入ってきたわけです。ところが、この高野将弘という理事は、日本駐車ビル株式会社の一員、あるいは社長とか、まあ責任者なんですね。これが入ってきてから、この栗田久男という理事長は、高野将弘氏にこの建物を売ったというわけですね。ところが、売るには、関東財務局からの払い下げを受けなくちゃならぬ。そこで、昭和三十四年八月に関東財務局から払い下げを受けたわけです。で、払い下げるやいなや、今年の五月十一日、栗田はこの個人に売ったか——栗田という個人の名前で売ったか、そこはわからないのですが、日の基社会事業団の理事長の栗田久男が、日本駐車ビル株式会社の責任者高野将弘に、五月十一日にこれを売り渡したということが、昨日はっきりわかってきたわけです。その結果、まあ取りこわしをやり、そして入っている者を追い出して、そしてそのあとに駐車場を作ろう、こういうことらしいのです。はたしてそういうことが妥当なのかどうかという意見一つ聞きたいと思います。
  106. 山下武利

    政府委員(山下武利君) どうも突然のお尋ねで、少し財務局等について当たってみませんというと、的確なお答えはできかねると思いますが、私の想像ではなはだ恐縮でございますけれども、法律の根拠といたしましては、国有財産特別措置法の第四条に基づきまして、社会福祉法人に初めは貸しつけておって、それを後に譲渡したというようなケースではなかろうかと思います。今お読みになりました中に、関東財務局としての意見で、用途指定がついておるのであるから、用途指定に反する場合には契約を解除して取り戻すといったような趣旨のものがあったかと思いますが、私もそういうふうなことではないかしらぬと思っております。もう少し財務局に当たって、よく調べてからお答えしたいと思います。
  107. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もしもこういうことがあった場合ですね、私はやはりこの関東財務局の意見通り、こういうのはやはり取り返すべき性質のものだと思うのですよ。そういう目的じゃなしに、社会福祉事業のために払い下げたものでございますから、それがいつの間にか二年ぐらいたつ間に、ほかの営利団体に売り渡されて、そしてそこに入っている人をいやおうなしに追い出す。しかも非人道的ですね。入っているうちに下をこわしてがんがんやるというようなことは、これは実に非常識だと思うのですが、そういうことが平気でやられておるということは、許しておいてはいけないことじゃないかと思うのです。そして、事実は昨日わかったことですが、五月十一日に、栗田からその高野という男に売り渡したということがはっきりしたのですが、高野という男に。それには一つ条件がついておるというのです。大蔵省の認可があった場合という条件をつけて売り払った、こういうことが昨日裁判所でわかった。この出ていけ、出ていかぬで、今裁判で抗争中なんです。裁判所でそういうことがはっきりわかったといいますが、大蔵省はまだ認可しているのか、また認可しようとするのか、認可してしまったのか、その点を私は聞いておきたいと思います。どうですか。
  108. 山下武利

    政府委員(山下武利君) 実地に財務局で当たってから的確な御答弁をいたしたいと思いますが、普通の場合でございますというと、こういうふうな社会福祉事業には減額でもって譲渡ができるようになっておりまして、減額で譲渡いたしました場合には、原則として七年間、減額譲渡を受けるときの目的に使わなければならないという条件を付してあるわけでございます。大蔵省の認可と申しますのは、その条件を変更するとかいうふうなことではなかろうかと思うのでございますが、その辺のことにつきましては、今後財務局等につきましてよく調査いたしまして、お答えをさせていただきます。
  109. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ突然のことで、あなたもいろいろのことは知っていらっしゃらないようですから、私これ以上言う必要はないと思うのですけれども、こういう事情にある問題ですから、もしも大蔵省にその許可申請があった場合は慎重に扱ってもらいたいと思うのです。もと社会福祉事業のために売ったものであれば、その目的以外に使うことはこれは不当ですから、そういう場合には認可しないようによく配慮してこの問題を取り扱っていただきたい。これが私の希望なんです。どうぞそういうふうに扱っていただきたいと思います。
  110. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時十一分散会