○
政府委員(
稲益繁君) 今回私の方で
関税関係の
改正法案で御
審議いただきたいと思っておりますのが三件ほどございます。お手元に「
関税関係法律改正案の
概要」という
要綱を差し上げてありますが、大体この
概要について御
説明を申し上げたいと思います。
第一の
法律案は、
関税定率法の一部を
改正する
法律案であります。第二は
関税暫定措置法の一部を
改正する
法律案、第三が
関税定率法の一部を
改正する
法律の一部を
改正する
法律案であります。主たるものは第一の
関税定率法の一部を
改正する
法律案でありますが、これにつきましては、
中心をなしますものは、
関税率そのものの
改正と、これに伴います若干の
関税制度の
改正であります。
まず、
関税制度の
整備でありますが、今回新たに、従来ございませんでした
緊急関税制度並びに
関税割当制度を設けたわけであります。
で、第一に、
緊急関税制度でありますが、
貿易が
自由化されて参りますると、従来、為替なりあるいは
貿易の面で直接的な
統制手段がありまして、これでもって必要な場合には
輸入制限を行なうといったような
手段が、現在ございまするし、また従来あったわけであります。今後、
貿易が
自由化されて参りますると、たとえば
特定の
産品が
外国から急に、
海外で
価格が下がったといったような場合には、
わが国で急激に
輸入が増大して参る。
自由化されておりまするので、
輸入の
制限といった直接的な
統制の方法がないわけであります。かような場合に、もっぱらこの
調整をいたしますのは
関税だけということになって参るわけであります。そういう
事態に備えまして、
特定の場合に
一定の
条件をつけまして、
政府限りで
関税の
引き上げ、あるいは
ガットの
譲許率の
撤回修正といったものが行なえるようにしたいというのが、この
制度の
趣旨であります。
御
承知のように、
憲法で
租税はすべて
法律によるということになっておりましても、もちろん、
関税率そのものの変更ににつきましては、本来でありますると、一々
関税定率法を
修正する、
改正するという形で
国会の御
審議を仰ぐべきでありますが、かような場合に、
憲法の八十四条でありますか、
租税法定主義の場合におきましても、ある
条件があれば必ずしも
法律によらなくてもいいという解釈があるわけであります。さような
規定があるわけでありまして、これによりまして、非常に今回は
要件を限定いたしまして、
特定の
要件が備わりました場合には、
関税改正についての幅につきましても厳重な
制限をつけまして、
政府でさような
条件が満たされる場合に
関税率の
改正をするという権限を
国会から委任を受けたいという
趣旨であります。
要件といたしましては、ただいま申し上げましたように、
特定の
産品が
海外で
価格が下落するといったような
事情で
わが国に
輸入が急増して参る、急激に増加して参るといったような場合でございます。その場合に、
わが国でその
特定の
産品と同種または類似の
商品を生産しております
産業、これが非常に大きな損害を受ける、あるいは受けるおそれが非常に顕著であるといったような場合であります。で、しかもなお、そういう場合でありましても、
国民経済全体の
立場から見まして、緊急やむを得ないという認定が下せる場合、以上のようなおおむね三つの
要件を
規定いたしまして、さような場合に
特定税率の
引き上げなり、あるいは
ガット税率の
譲許の
撤回なりあるいは
修正、あるいはいま
一つは
ガットの
譲許の
撤回に伴いまして代償として必要とされる
譲許税率の逆に
引き下げ、かようなものを
緊急関税として発動できるということを
内容として
規定しております。
で、
緊急関税につきまして、いま一点御
説明申し上げたいと思います点は、問題がまあ緊急に発生したということのために、
国会の御
審議をいただかないで一応
政府に委任していただく。非常にまあ
要件は限定されております。
要件をしぼっておるわけでありますが、さような
緊急事態に処するものであるという
建前からいたしまして、そういう
緊急関税を必要とする
事態が相当な
期間をこえて、いわば長期的に、恒久的に必要とされるというような
事態になりました場合には、
関税定率法別表そのものを
改正いたしまして、その方に繰り入れるということが必要であるということを
規定いたしておるわけであります。これによりまして、この
制度そのものがそういう緊急の
事態に処するためのいわば臨時的な
制度であるという性格を明確にいたしたわけであります。
以上が
緊急関税の
概略でありますが、次に
関税割当制度であります。この
関税割当制度と申しますのは、
わが国では今回初めて取り入れたわけでありますが、
外国ではすでにアメリカを初めドイツその他でも現に採用されております。
制度の
概略を申し上げますると、
特定の
物資で
一定の
数量ワクをきめまして、その
ワクの
範囲内のものが入って参ります場合には無税あるいは低い
税率を適用する。その
一定量をこえて入って参りまする分につきましては、
国内産業保護の
見地から高い
税率を課する。いわば
一つの
商品に対して二重の
税率、
二つの
税率ができるわけであります。
この
制度を設けました
趣旨でありますが、一面におきまして
外国との
競争でまだ
競争力が十分でない、弱いというような
商品でありまして、重要なものにつきましては、一般的には今回の
改正におきましてもある程度の
保護税率を盛るということを考えたわけであります。ところが、このような場合に、その
商品の、何と申しますか、
需要者側から見ての
重要性というものが非常に高い場合があるわけであります。そういたしますると、その
商品の
生産者の
保護をはかるというために全般的に高い
税率にいたしますると、これを使う側、
需要者ないし
消費者側が非常な迷惑をこうむるわけであります。従いまして、たとえば
国内の
需要が一〇〇といたしました場合に、
国産で大体六〇まかなえる、あとの四〇が必要な
輸入量だといたしますると、その必要な
輸入量の四〇につきましては低い
税率を適用いたしまして、これによって
需要者ないし
消費者の
利益を擁護するということを考えるわけであります。その四〇をこえました分につきましては、つまり
国内のいわゆる適正な
需要量と思われまする一〇〇をこえるわけでありますから、その分につきましては、
国産の
保護のために高い
税率を課すと。まあ実質的には現在の、何と申しますか、外貨割当なり、そういった
統制とかなり実質的には似ておるわけでありますけれども、一応
貿易を
自由化いたしまして
輸入は自由であるという
建前をとりました場合に、なお
国内のそういったおくれた
産業を一面で
保護いたしますると同時に
需要者側の
利益を擁護する、こういった
生産者と
需要者とのそれぞれの
利益を
調整するという必要のために生まれて参った
制度であります。かように御了承いただきたいと思います。
それから、第二の問題は、そこにございまする再
輸出減税規定の創設であります。これは、たとえば
外国から日本が
プラントの
輸入をしたというような場合であります。その
プラントの組み立てのために一時的に
輸入されて、また再輸出されるといったようないわゆる
工具関係があるわけであります。で、そういうものにつきまして、従来の
規定によりますると、そういう
工具につきましても全部
関税を課しておったわけであります。ところが、
実情から見まして、さような
工具は
一定の
期間使用後にはまた再輸出されるわけであります。向こうへ戻されるというような性質のものであります。従いまして、かようなものについてその全体に
課税をするということは酷である、
実情に沿わないといったような
事情がごごいまするので、今回は、そういうものが
輸入後
一定の
期間内に輸出される、大体二年ということを考えておりますが、二年内に輸出されるといった場合には、これについて
全額課税をしませんで、ある程度の
減税をする。
国内で使用されました
価値部分程度に
課税をするといったように考えておりまして、
実情に合うようにいたしたいという
趣旨でございます。
それから、
最後に、
関税定率法の
改正法案の中で、いわゆる
輸入映画、
書籍等の
取り扱い手続の改善の
規定を設けたわけであります。いわゆる
関税定率法の二十一条でありますが、「
公安又は
風俗を害すべき
書籍、図画、
彫刻物その他の物品」というようなものを、従来の
規定によりますると、これが
輸入禁制品ということになっておりまして、第二項で、
税関はそういうものが
輸入された場合に「没収して
廃棄」する、あるいは「
当該貨物を
輸入しようとする者にその積みもどしを命ずることができる。」という
規定になっておったわけであります。で、この点につきましては、一昨年でありますか、衆議院の
大蔵委員会でも問題になりまして、こういうものを
税関限りで、行
政府限りで没収して
廃棄するといったようなことは少し酷ではないか、行き過ぎではないかといったような御
意見があったわけであります。その当時、
委員会の
決議といたしまして、こういう
処理は慎重にやるようにという
決議があったような次第であります。今回の
関税定率法の
改正の機会におきまして、この点につきましても、私どもその
決議の
趣旨をよく体しまして、やり方を若干改めたいという
趣旨で、今回の
改正法案を作ったわけであります。
改正案の
趣旨は、従来でありますると、
税関で、たとえば
映画でありますが、
公安なりあるいは
風俗を害するといったようなものが入って参りました場合に、現実の問題としましては、
東京税関におきまして、一応
税関限りで任意に作ったものではありまするが、
輸入映画審議会というものを
諮問機関として設けまして、これに諮った上でこのような
措置をとっておったわけであります。今回の
改正におきましては、要点は二点ございまして、このような
輸入映画等審議会といったような、
学識経験者の
意見を聞くという
意味でのそういった
諮問機関を法制上の
機関とするというのが第一点であります。今回はっきり
法律にそういうものを設置するという
規定を置いたわけであります。それから第二点は、従来はそういう
審議会に諮りまして、
規定上は二項で没収して
廃棄するというような
規定になっておったわけでありますが、これを改めまして、一応そういう疑いのあるものが入って参りました場合には、
税関長の方で
輸入者の方に、これは
輸入禁制品に該当するということを通知いたしまして、
輸入業者の方で、いや、自分はそれに不服だというような場合には、
税関長に
異議の
申し立てができるということにいたしたわけであります。しかる後に、
税関長は、
異議の
申し立てがありました場合には、先ほど申し上げました
審議会に諮りまして、その
意見を尊重して、さらに
輸入業者に、なおかつ
輸入禁制品であるということになった場合には、その旨を通知いたします。これによりまして
輸入業者の方が自発的にその
貨物を積み戻すなりあるいは任意放棄するといったような
措置をとってもらうというように、運営を非常に民主化して、なおかつ最終の没収、
廃棄といった
規定を今回はやめたわけであります。
以上、大体
税定率法の
改正の
制度的な面並びにその他の面でありまするが、一番今回の
改正の
中心をなしますのが、二の
関税率表の改訂であります。
関税率の
改正につきましては、この
要綱の冒頭のところにございますように、「
昭和二十六年の
輸入税表改正以来の
本邦産業構造の
変化等にかんがみ、また、あわせて
貿易自由化に対するため」、これが今回の
改正のいわば
趣旨でございます。御
承知のように、
昭和二十六年以来約十年たっておるわけであります。この間に非常に大きな
産業構造上の
変化があった。これに対応いたしますと同時に、一面、
貿易の
自由化ということが進んで参っております。それにも対処できるようにということを
中心に考えまして、
税率の
修正を行なったわけであります。
その前に、
現行の
関税定率法でありますが、その中の
税表を見ますると、
税目数がそこにございますように九百四十三
品目になっておるわけであります。これは諸
外国の例を見ましても非常に少ないわけでありまして、現在の
税表でいきますると、非常に古い
分類になっておりまして、たとえば、最近の新しい
石油化学関係の
製品、その他非常に多くの新しい
製品が特掲されておらないわけであります。一面また、現在では
輸入実績もないといったようなものが旧態依然として残っておるといったような、非常に不合理な点がある。従いまして、今回はそういった
税表の
分類を根本的に改めまして、いわゆる
ブラッセルの
関税分類、これに準拠して、
細分類の点におきましては
わが国特有のものを加えております。しかし、大きな
分類、中
分類までは
ブラッセルの
税表分類に従いまして、新しい
税表の
分類を行なったということが
一つの
特色であります。
そういたしました結果、総
品目数が、そこにございまするように、二千二百三十三
品目に分かれたことであります。ただいま申し上げましたように、
ブラッセルの
関税分類と申しますのは、非常に合理的にできておりまして、国際的にもまた、各国の
専門家が集まって作ったというようなものでありまして、非常に国際的にも通用するといったものであります。従いまして、今回の
改正の中でも
一つの大きな
特色をなすものであろうかと思います。二千二百三十三
品目に分かれたわけであります。
この中で、大体
税率としまして
引き上げになりましたものが、二百五十一
品目ございます。従来の
税率から
引き上げになりましたものが二百五十一
品目、それから、従来の
関税率から逆に
引き下げました
品目が、
品目の数としましては三百八十六
品目でございます。従いまして、残りの千五百九十六
品目が
現行の
税率と同様、つまり
据え置きの
税率ということに相なるわけでございます。もう一度申し上げますると、
引き上げ品目が二百五十一、
引き下げ品目が三百八十六、
据え置き品目が千五百九十六であります。合計二千二百三十三
品目という
構成になるわけであります。
この
引き上げました
品目でありますが、先ほど申し上げましたように、今回の
税率改正の一番大きな眼目が、二十六年以来の
産業構造の
変化、なおまた今後の
産業構造の
高度化と申しますか、そういうものを
中心に考えておるわけであります。いま一点は、
自由化を円滑に進めるために、
税率の
調整をするということであります。従いまして、この
引き上げになりました二百五十一
品目について見ましても、要するに、今後積極的に
産業政策の
立場から
わが国として育成していかなければならないような
産業、そういったものにつきまして、ある程度の
引き上げを行なう。たとえば農産物で申し上げますると、バター、チーズといったような
酪農製品でありますとか、あるいは
鉱工業品で申し上げますると、
工作機械の一部でありますとか、そういったものがこれに該当する。要するに、今後積極的に
わが国として育成していくべき
産業といったようなものについて若干の
引き上げを考慮したわけであります。それからまた、
自由化との関連におきまして、
貿易の
輸入の
自由化を行ないますると、一時的にかなり
衝撃を受ける
産業もあるわけであります。かようなものにつきましては、そういった
衝撃を緩和するという
意味におきまして、ある程度の
保護を必要とするといったようなものも出て参るわけであります。例が適切かどうかはあるいは問題があるかと思いますが、たとえば、ごく間近に
自由化を控えております大豆でありますとか、あるいは、中には
非鉄金属の中の一部といったようなものにつきまして、そういった
配慮から、つまり
自由化の
衝撃をできるだけ緩和したいといった
配慮から
引き上げが行なわれたといったようなものが、大体この
引き上げ品目の
内容であります。
次に、
引き下げた
品目でありますが、数で申しますと
引き上げ品目を上回っております。この中にも大体
考え方としまして
二つほどありまして、
一つは、すでにもう十分に、何と申しますか、
産業として成長した
産業である、
対外競争力も非常に強まっておるといったような
産業の
物資であります。たとえて申し上げますると、前回の
改正の
昭和二十六年当時におきましては、まだ
保護育成しなければいかぬという考えで、かなり高
税率を持っておりましたような塩化ビニール、
酢酸ビニールといったようなもの、かようなものは今日では十分成長いたしまして、
輸出産業になっているわけであります。かようなものにつきましては、それほど
保護は必要じゃないという観点から、若干の
引き下げを行なった。それから、いま
一つの範疇でありますが、
引き下げの中で、従来
奢侈関税といった観念で、高い
税率を持っておったものがあるわけであります。たとえば
貴金属製品でありますとか、あるいは
毛皮製品でありますとか、そういったものが
奢侈抑制と申しますか、
奢侈関税という
考え方で、かなり高い
税率を持っておった。たとえて申し上げますると、腕時計でありますが、これがステンレス側のものでありますると従価三〇%、これが金あるいは白金の側のものになりますと五〇%といったように、非常に高い
税率を貴金属関係に課しておったわけであります。かようなものにつきましては、そのときどきの奢侈品に対する考えもあるわけなんでありますが、今日の時代におきましては、それほど奢侈品なるがゆえに高い
関税を課するというのもいかがであろうかという考えであります。と申しましても、全然奢侈の観念を払拭するというところまではまだ踏み切るのは早いのじゃないかということでありまして、かような奢侈品の
関税として、従来かけられておりました五〇、ないしものによっては四〇%、そういったものを約一〇%程度下げまして、四〇ないし三〇の
税率を持つようにしました。これが
引き下げ品目の中でかなり多くを占めているわけであります。
それから、
据え置きの
品目でありますが、その中にも二種類ありまして、十分個々の
品目につきまして国際
競争力なりその他の点を調査いたしまして、なおかつ
現行税率と同じ
税率におさまったというものが大部分であります。ただ、一部のものにつきましては、たとえば米、小麦、そういった主食関係でありますとか、あるいは
非鉄金属の一部であります銅、鉛、亜鉛といったようなものでありますが、こういったものにつきましては、今日の段階では、たとえば主食関係で申し上げますと、現在の食糧管理
制度というものを前提といたします限り、
関税率の検討が非常にむずかしいわけであります。
自由化の時期といったようなものも全然まだ見当がつかないわけであります。そういった重要な基本的な政策がまだ未定である。いま
一つ申し忘れましたが、石炭、石油についても同様であります。総合的なエネルギー対策と申しますか、そういったものがまだはっきりこの段階ではめどがついておらないということのためにも、今回は一応検討を見送りまして、その
意味で見送り的な
据え置きになったというのがただいま申し上げましたような
品目であります。従いまして、こういった
品目につきましては、また次の機会におきまして、そういう基本的な点がはっきりいたしました際に
改正を考えるということに相なったわけであります。
以上、
引き上げ、
引き下げ、
据え置きといったようなおおむねの
考え方を申し上げたわけでありますが、育成
産業である、あるいは
自由化の
衝撃を緩和するといったような
建前から、若干の
保護関税として
引き上げを行ないましたものにつきましても、ただ
保護を受ける
産業の側の
立場だけでなくて、その
商品の
需要者と申しますか、あるいは
消費者といった
立場を十分考慮いたしまして、ある程度その
産業に合理化も十分織り込んでもらう——織り込むと申しますか、何と申しますか、ある程度のそういう
産業のこれからの合理化の努力といったようなものも織り込みまして、できるだけ
一つ需要者なり
消費者の
立場を考えまして、
引き上げの場合でも極力それを低い程度にとどめたいということを十分考慮を加えたつもりでございます。なおまた、一面、国際的な
関税が問題でもありますので、たとえば
ガットとの関係そういった
配慮も十分加えたようなわけであります。
以上をもちまして、第一の
関税定率法の一部
改正につきましての
概略の御
説明を終えまして、次の問題は暫定
措置法であります。
この暫定
措置法はおおむね、従来の暫定
措置法で申し上げますると、一年を限って暫定的な減免を行なって参ったわけでございます。毎年御
審議をいただいておる
法案ですが、この三月三十一日でその関係のものがまた期限が参るわけであります。そういった関係のものがそこの1にございまするような重要
機械類、給食用脱脂粉乳、あるいは農林漁業用重油、肥料製造用の原油、製油用原油といったようなものであります。これにつきましては、なお今日の情勢におきまして、さらに一年間延長することが適当であると思われますので、これについての延長を、さらにその中でたとえば給食用の脱脂粉乳でありまするが、主として学童の給食用脱脂粉乳であったわけでありますが、今回若干
範囲を拡げまして、幼稚園の園児でありますとか、あるいは福祉施設関係の児童でありますとか、そういったものに若干
範囲を広げたいというのがその
趣旨であります。
それから、今回の暫定
措置法の中で新たに追加いたしましたものとして、2にございますガス事業用の原油がございます。御
承知のように、ガス事業で最近だんだん原油を使用する率が高まって参っておるわけでございますから、油の関係と石炭の関係はエネルギーの総合的な対策が今日まだはっきりめどがついておらないために、今回見送ったと申し上げたのでありますが、このガス事業に使われまする油の場合には、ガスが御
承知のように原料炭を使用しておるわけでございます。いわゆる電力なんかの使います一般炭と違いまして、需給もかなり窮屈な状態であります。従いまして、この方面の免税を行ないましても、いわゆるエネルギー対策としての石炭に対する影響がない、あるいはありましても軽微なものである。かたがた、こういう都市ガスが非常に公共性の強いもので、でき得ればこのような都市ガスの使いまする油を免税いたしまして、公共料金の
引き下げに資する方法でありたいという
趣旨で、今回新たに追加いたしたわけでございます。
なお、従来の減免
措置につきましては、そのほか若干の
品目につきまして新規に追加ないしは削除を行なっております。さして重要な
物資ではございませんが、そういう
品目について若干の
調整を行なっております。
そのほかに、暫定
措置法で今回新たに取り上げましたものに、そこに4と5にありますようないわゆる暫定増税あるいは暫定
減税といった、今回の
関税率の全面
改正に伴いまして起こって参りました暫定
措置関係があるわけであります。
一つは、そこにございますように、
貿易の
自由化により急激な影響をこうむるおそれのある物品について、必要な
期間暫定的に増税しまたは
関税割当制度を適用する。これは先ほども申し上げましたように、
自由化によって、それが急がれる場合に、かなり
衝撃を受けるというような物品であります。かようなものにつきましては、もちろん、ある
期間たちますと、その
企業の努力なり合理化の進行によりまして、それほど高い
関税を必要としないということが考えられるわけでありますが、ある
期間を限って
保護する必要があるというようなものであります。このようなものにつきましては、
期間を二年なり三年、おおむね三年でありますが、その程度の
期間を区切りまして暫定的に高い
税率を課するというようなことにいたしたわけであります。あるいはニッケルのごとく、その際に
関税割当制度を適用するということにいたしたものもあるわけであります。
それから、一方の暫定
減税でありますが、この方は、
国内需要者の負担の増大を避けるため、
関税定率法の
改正により、
税率の
引き上げが行なわれることとなる物品のうち
所要のものについて、暫定的に
現行税率を適用する。
自由化を前提といたしますると、ある程度
保護を必要とする、つまり高い
保護関税を必要とするというようなものが出て参るわけであります。かようなものにつきましては、一応今回の作業は
自由化を前提として作業をいたしておりまするので、高い
税率を課さざるを得ない。ところが、
自由化が直ぐに行なわれるということでありますれば、直ちにその高い
税率を施行すればいいわけでありますが、一年なり二年なりそのような
自由化がずれるというようなものもあるわけであります。そのようなものにつきましては、その間高い
関税を課しますと、
需要者なり
消費者が非常に迷惑を受けるという点を考慮いたしまして、暫定的に
自由化するまでの間は
現行の低い
税率で参りたいというのが、この関係の暫定
減税であります。
以上をもちまして暫定
措置法の
説明を終わります。
第三は、定率法の一部を
改正する
法律の一部を
改正する
法律案でありますが、そこにございますように、従来沖繩から参りますいわゆる土
産品でありますが、これについては免税ができるようになっておったわけであります。しからざれば免税ができないものにつきましては、全くの
外国並みでありまして、全面的に
関税をかける。そのいずれかというふうになっておったわけであります。ところが、最近、沖繩におきまして
外国から原料を入れまして沖繩で加工をする、そうして日本に輸出するといったようなものがぼちぼち出て参っておるわけであります。数量が多くありません場合には、日本の
産業にこれが非常に重大な脅威になるといったようなことがないわけでありますが、将来のことを考えますと、だんだんあそこで加工
貿易、そういった形の加工
貿易が盛んになって参りますと、日本のいわゆる
国内産業との、何と申しますか、関係が非常にむずかしくなって参るわけであります。かような問題を
処理いたしますために、今回新たに、そういう
外国からの原料を
輸入いたしまして沖繩で加工をいたしまして日本に輸出する、こういったようなものにつきまして、いわゆる
外国から買いました原料分にだけ日本も
課税が行なわれまするが、つまり沖繩での付加されました価値部分については免税をするということが行なわれますように、新たに
減税の
規定を設けたわけであります。現在直ちに発動するというほどの差し迫った
事態にはなっておらないと私どもは見ておるわけでありますが、そういう
事態が全然予想されないわけでもございません。従いまして、
法律上従来のままにいたしておきますと、そういう場合に全面的な
課税をしなければならないという
立場にありますので、できるだけ沖繩の特殊性を考慮いたしまして、そういった
減税の道を開いておきたい、これがただいまの
改正案の
中心でございます。
以上
概略の
説明で恐縮でございますが、一応今回
提案いたしております
法案の
概略の
説明を終わります。