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清澤俊英君 私は、大体農林問題について、少しこまかい問題ですがお伺いしてみたいと思います。あとで同僚の
鈴木君から固定資産税についてはまた詳しい御
質問があると思いまするので、農林問題だけを
中心にしてお伺いしたいと思います。
その前に申し上げておきたいことは、今も
小柳さんがるると言われるようにですね、
積雪地帯というものが特別の社会的、経済的な不利な立場に立っておる、こういう認識が非常に不足しているんじゃないかと思う。常に約半歳雪の中にある。これが大雪であろうと大雪であるまいと、豪雪地帯というものは固定的に昔からある。これがもうすでに一般の社会人から見るよりは、三割なり四割も経済的に不利な立場に立っておる。そういう人が
災害を受けるのでありますから、従って考え方が、今現在ありますようないろいろの
災害に対する法律だけで考えてもらっては、全くこれは救済ができないということなんです。従いまして、別の角度に立っていろいろ考えていただきたい、こういうことをまず第一番にお願いしてかからなければならぬと思います。
小柳さんが言われ、いろいろの人が言うておる
通り、もう大体おわかりだろうと思う。
そうして、しかもですよ、その雪があるために電気なんかが非常によくできる。そうしてこの間のように数日間列車がとまる。この列車の沿線の住民は全部、ほとんど協力しております。たき出しもやっておる。しかるに、公社の総裁も
運輸大臣も、一ぺんも来て見たことがない。こういう状態でありますならば、あるいは伊勢湾台風だ、狩野川台風だ、こういうものがありまするならば、続々と
大臣諸公が来て見て行く。雪に限ってはたまたま企画庁
長官が来られただけだ。
政務次官の
井原さんが見えただけで、こんなばかげた話はないと私は思う。電車などは、一番もうかるところは、
新潟で作った電気を持ってきてこの
国鉄沿線を回しておるから、もうかっておるのだ。
被害だけはこっちでやれ、もうけだけはわれわれがもうけるのだ。あとの
災害があったときは、お前らの足をなにするのだから、人夫は出て来い、たき出しはしろ。こんなばかな話で政治は完全になるとは思いません。米は全国の約一割生産をあげている。供出もその
通りなんだ。長い間
新潟県からどれくらいの恩恵を受けておるか。だから、米に対する特別の考慮もして、幾らかの金も出してくれと。
政府はそれを認めておるでしょう、
部分的には。
大体、私は、
雪害地帯の特殊情勢だということはおわかりになっているだろうと思うのですが、ほんとうの苦しいところはおわかりになっていないのだと思います。考えてみましても、
積雪寒冷法を作るとか、
積雪地帯の畜産の貸与並びに譲与をするとか、あるいは
東北振興法も作って
地方開発をやっていくとか、あるいは寒冷地手当は出ておりますが、
積雪手当というものは出ておりません。今年の雪のために、一人の労働者が受けましたものは相当額かかっておりましょう。だから、個人の会社で一万円も出した、二万円も出したというのはざらにあります。ところが、今
小柳さんが言われた
通りだ、住民はそれに対して何ら考慮をしてもらっていない。そこにおります会社ならそれを出しております、力のあるものは。こういうばかなことを今長く続けておってもらっては困ります。私はそれだけでいいのです。だから、もっとしっかりした
積雪地帯の窮迫に対してお考えを願いたいと同時に、これから私のお伺いします点について、ただ法律がこうなっておるからという御返答でなく、こういう状態であるから
一つ行政的に何か考えなければならぬ。先般私は農林
大臣にこの点についてお伺いしましたところ、それは
清澤君、そこは何とか実情がそうであれば行政的に何とか考える、こう言っておられるのです。それがほんとうだろうと思うのです。そこで二、三点お伺いしたいと思います。時間の
関係上一括してまず申し上げてみたい。
第一番に要求しておりますのは、まだ事件として陳情は出ておらぬと思いますが、大体
委員長の
手元にあります
通り、四月三日にはまだ山のごとく雪が積もって、一メートル以上の雪が積もっております。従いまして、これの除雪がおくれる。こういうことでもって耕作期間がおくれる。減収は目の前に来ておる。これは三十二年災のときは、これに対しまして散土費だけをちょうだいしました。土採り費だけはちょうだいしました。これじゃ私は問題にならないと思う。まず、やはりとりました土を散布する人夫賃くらい考えてもらいたい。これがまず第一点です。
その大体の面積が、簡単に申し上げますと、
新潟県の総面積、雪の降りました面積は、七万八千二百二十八町歩のうち、水田三万九千七百十五町歩、畑が一万五千五百七十五町歩、五万五千二百九十町歩が現在一メートル以上の雪の中に入っております。それの散土除雪で、これを早目に消やして、種まきに間に合わせられる土地が三万三千百七十四町歩。散布だけでは間に合わない。従いまして、早目の苗しろがよい、あるいは早く掘り出してレンゲの原種圃を作っていかなければならぬ、あるいは果樹を掘り出していかなければならぬ。今、まだあなた方の
手元へは桑園の問題が出ておらぬと思います。果樹の問題は出ておるけれども、桑園の
被害がまだ明確になっておらぬと思います。ようやく桑園が頭を出しただけで、その惨たんたる
被害はこれからなんです。こういうようなものに対しましては、少なくとも根掘りをして手当をしていかなければならぬ。今まではこういうものに対しまして、いろいろの要求が出まして、予防薬を補助してくれ、あるいは肥料の追加を
一つ補助してもらいたいというようなことがありましても、これらは全くお取り上げにならない。こういうことは、現に非常な経済的の立場の悪い中にある人が、これだけの特殊の
被害を受けました際には、これくらいのものを私は補助してやって、そうして耕作が満足にいくように努力してやることがあたりまえの話だと、こう思うのですが、この点について
一つお考えをお伺いしたいと思います。
第二番目としましては、今の、いろいろ
国鉄の運送の肥料の問題でありますが、これもやれば運送ができるのです。現在は相当額、これにも書いてありますが、
国鉄で出ております
資料から、いただきましたものでも、
上越線の一部及び飯山線では、まだ雪のため道路状態が悪く、主として小運搬
関係で予定
通りの入荷ができない模様で、県庁及び経団連等でこの
対策を講じている、こうなっている。そこで、いろいろこれを、少なくとも四月の二十日くらいの肥料
年度の配分を終わりますためには、これをそり運搬すれば完全に持っていかれます。そりの運搬をやったらどれくらいの
経費がかかるであろうと、こういうので調べてみますと、大体におきまして一トンに対しては千百円の運賃がかかります。そのほか、今まで倉庫に入っているから、倉庫のとめ置き料であるとか、あるいは出し入れの
経費であるとか、保険料であるとか、こういうものを全部計算いたしますと、いま少しこの率はふえると思います。こういうわずかの地帯で、今ありますのは大体三月の七日で四千百六十七トン入っておる。少しばかり、この肥料に対する運搬に対して、何らかの道を開いていただきまするならば、何も二十日までに肥料が間に合わぬということはない。この運搬に対しまする助成をぜひお願いしたい。二法案を作って、そうして少なくとも生産費を安定させるため安い肥料を渡そうということは、これは考えてみまするならば、農民の耕作を助けていく
一つの方法じゃないかと思う。しかるに、
災害をこうむったからというので、そりで引っぱって、非常に高いものを持ち歩かなければならぬという、そういう片寄った
部分的な負担をさせるということは、私は二法案の精神から見ましても、これは間違いじゃないかと思います。わずかの問題です。これは大体が八キロから二キロの間差で、一番まん中を取ったのがこの数字です。八キロというごく長いところになりますると、まだ二千円くらいかかります。これが実態なんです。これらに対する
一つ補助金を、ぜひこれは何とか考えていただきたい。
それから、第三番は、雪の中で作っております二毛作です。これがレンゲが、大体今年はレンゲを作っているところで被雪があった。そのおもなる原因は排水路の梗塞による水害であります。たんぼの中に水が入ってきている。これが一カ月も入っているのでありますから、全部全滅している。とういう状態のために、全体のレンゲのうちで四割くらいの減収が見込まれているのであります。これを飼料価値に直しますと、飼料価値としては大体七〇%を、最近は二毛作としてやっているのであります。二毛作としてこれを刈りまして、青干しをやって、そうして豚を飼ったり牛を飼ったりしておるのであります。これは
一つの例でありますが、中之島村の大沼小沼という地帯です。これは名前が示す
通り、ほんとうのデルタ地帯です。それを排水路の整備によりまして、そうしてそのデルタ地帯が今二毛作地になっている。それが一カ月間も冠水した。それがために全滅してしまったのです。全滅して、今レンゲを相手にしてやっておりまする飼育頭数というものは、乳牛が五十頭、豚が千頭なんです。これをそういうデルタ地帯で今飼っておる。これが全滅しているのです。そういう地帯が全県を通じますると約四割ある。そうしてこれを飼料価値に使うものとしては、約七〇%を、四割の減収の中から考えられる。三〇%を肥料の価値として考えてみますと、大体において一億五千七百万円ぐらいの損害が起きている。こういう大きな損害を受けているのであります。従いまして、何もこれを全部何とかしてくれとは申しません。非常に困っておるのでありますから、せめて種子ぐらいは
一つ補給してもらいたい。これは千七百万円ぐらいを
一つ補給して種子をまかしてもらいたい。どうしても、もう県内だけの畑地では入手しかねる。非常に大きい数の何でありまするから、これがしかねる。こういう状態でありますので、これらは、まあ今までならば、あまりこれに何とかしてやろうなんてことは考えられなかったのでありますが、こういう点は
一つ何とかして種子の補給をしてもらいたい。
その次には、この
雪害の雪どけ後いろいろな病気が出て参ります。従いまして、これらに対する予防であるとか、あるいは手当であるとか、いろいろな方法を指導していかなければならない。特別の指導が要る。これは最近も
新聞に出ておりましたが、この間の、果樹が倒れたでしょう。これは
農林次官よく見られた。あれが、枝が割れたところから雪が入りまして、そうして腐っていくのであります。この腐るのをとめるために、アルコールをつぎ込んで、そして何か手当てしますと、その腐敗が予防できる、こういうような発表がなっておるのであります。だから、親切な指導をやれば、この後の減収というものを相当私は食いとめることができると思うのであります。従いまして、そういったところの指導費が足らぬから、これを
一つ何とかしてもらいたい、こういう陳情なんです。
これらは新しい陳情で、まだ詳しいものは
農林省の方へ来ておらぬと思いますが、私はこれに対しましては前回とれました三十二年の散土消雪費用としての土採り費、並びに苗しろの
対策費とか、こういうようなものは、もはや当然考えていただけると考えておりますが、それにつけ加えて、飼料並びに農薬、今の指導費、こういったものを付加してお考えを願いたいと同時に、私はこの二毛作に対する熱意を失わせぬために
一つ飼料の種子の補給をお願いしたい。それから二十日ぐらいまでに、完全に
一つこれを運般するためには、これは少しやってもらえば、建設省から出るか、自治省から出るかこれはわかりませんが、少なくとも、もうブルを動かしてやりますれば、相当の農協にある地区ぐらいは、村道といえども、あるいは県道といえども、全部開さくはできるんじゃないかと思う。その費用を出すか、あるいはそりで持っていく費用を補助してくれるかというような、手の届いた方法を早急に
一つ考えてもらいたい。どちらでもよろしいです。
さっきも
武内君が言う
通り、国道
幹線は何とかしてあけますが、それから先はあけないから、こういう問題が起きているのです。やればやれるんだ。やれることをやらないんだ。だから、われわれ
新潟県の住民としましては、事実こういう問題に対しては不満にたえないのであります。利益はみんな中央へ持ってきてしまって、そうして
災害と——水害もやってきますよ、
災害と苦痛だけをわれわれに負わして、何ら考えておらないのであります。国がこれぐらいのものを出してくれてもばちは当たらないと思うのです。官房
長官、どう考えておりますか。それくらいの特別の考え方をしてもらいたい。
大蔵大臣は、いつでも
大蔵省はこれに対して渋るのです。だから、このたびはぜひ——まあ水田さんが出ておられなければ、鹿児島の暖いところで、ほんとうの実感のない次官が出てきて、
一つゆっくり見ていただきたい。まさか干死ぬようなことはありませんから。(笑声)そして、ほんとうの種子
対策を立ててもらいたい。
農林省も、特別お願いすることは、そう遠慮することは要らないと思うのですよ。
一つも遠慮するととはなく、
一つ大蔵省へどんどんと要求して——この間農林
大臣はちゃんと言いました。私は実例をあげて、こういうことがあると言いました。ところが、いや、法律ばかりでない、法律にはなくとも、実際を考えて、行政的のわずかのものだから
措置は講じますと、はっきり言っておられるのです。遠慮することはない。官房
長官、
一つうんと馬力をかけてもらうと同時に、一日も早く
農林省としても、散土消雪地等の問題については、視察に
大蔵省と一緒に出てきてもらいたい。以上。