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1961-06-02 第38回国会 参議院 商工委員会 第28号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十六年六月二日(金曜日) 午後一時三十八分開会
—————————————
五月三十日
委員横山フク
君
辞任
につ き、その
補欠
として
大泉寛
三君を
議長
において指名した。 五月三十一日
委員
阿
具根登
君
辞任
につ き、その
補欠
として
相澤重明
君を
議長
において指名した。 六月一日
委員相澤重明
君
辞任
につき、 その
補欠
として阿
具根登
君を
議長
にお いて指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
剱木
亨弘
君 理事 川上 為治君 古池 信三君 椿 繁夫君 牛田 寛君
委員
赤間 文三君
大泉
寛三君 大川 光三君 岸田 幸雄君 小林 英三君 斎藤 昇君 鈴木 万平君 山本
利壽
君 阿
具根
登君 岡 三郎君
近藤
信一
君 中田 吉雄君 吉田
法晴
君 向井 長年君 加藤 正人君
衆議院議員
岡本
茂君
中村
重光
君
国務大臣
国務大臣
池田正之輔君
政府委員
科学技術庁長官
官房長
島村 武久君
科学技術庁原子
力局長
杠 文吉君
通商産業政務次
官
始関
伊平君
通商産業省企業
局長
松尾
金蔵
君
労働政務次官
柴田 栄君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
説明員
労働省労働基準
局労災補償部長
村上 茂利君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
割賦販売法案
(
内閣提出
、
衆議院
送 付) ○
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
原子力損害賠償補償契約
に関する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
剱木亨弘
1
○
委員長
(
剱木亨弘
君) これより
商工委員会
を開会いたします。 本日は、
割賦販売法案
、
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
及び
原子力損害賠償補償契約
に関する
法律案
の審査を行ないます。 最初に、
割賦販売法案
を議題といたします。これより
補足説明
を聴取するのでありますが、
本案
は、
衆議院
において
修正
されておりますので、初めに
内閣提出案
について
政府側
より
説明
を聴取し、引き続いて
衆議院
の
修正点
について、
衆議院
における
修正案提出者
から
説明
を願うことといたします。 それではまず
政府側
の
説明
を聴取することといたします。
松尾金蔵
2
○
政府委員
(
松尾金蔵
君)
割賦販売法案
の大綱につきましては、前に
提案理由
のときに御
説明
をいたしておりますが、なお若干の
補足説明
をさせていただきたいと思います。 この
法律
の
目的
は、第一条に掲げておりますが、これを要約いたしますと、
割賦販売
につきまして、その健全な
発達
をはかるということを
主眼点
といたした
法律
であります。しかし、この第一条の点につきましては、
衆議院
におきまして、この
目的
のほかに、
運用
上の
配慮
として、
中小商業者
について
十分配慮
をするようにという点が
修正
で加えられております。 第二条におきまして、この
法律
の
運用
の際の
定義
が下されておるのでありますが、まず第一に、
割賦販売
という
内容
につきましては、第二条の一項におきまして、現在行なわれております
割賦販売
につきまして、いわば最大公約数的な
意味
の
定義
を下しております。 なお、この
法律
において、
割賦販売
につきましては、その
商品
につきましては
耐久性
を有し、かつ、定型的な
条件
で販売する
商品
を別途政令で
指定
をいたす予定に相なっております。 次に、第二条の第三項に掲げております
割賦購入あっせん
と申しますのは、御
承知
のように、現在
チケット販売
と称せられておりますものであります。
チケット
の発行をする者と、その
チケット
をもって
商品
を購入する、いわゆる
消費者
と、また、その
チケット
によって物を販売する、いわゆる
加盟商店
、この三つの
関係
におきまして、いわゆる
チケット
による
割賦販売
が行なわれておるのでありますが、その
内容
のものを、ここにおきまして、
割賦購入あっせん
ということで
定義
をいたしております。 第二章は、
割賦販売
に関しまして、まず総括的なことを
規定
いたしておるのでありますが、第三条と第四条は、主として
消費者
のために
規定
せられた
内容
のものであります。御
承知
のように、
割賦販売
は普通の現金売りの場合と違いまして、その
販売条件
が違っておりますし、また、その
割賦販売契約
は、相当長期にわたる
契約
でございます。そういう
意味
から第三条におきまして、
割賦販売条件
を明示をすること。また、
割賦販売業者
は、
割賦販売
の
契約
につきまして
書面
を交付すること。いずれもこれは
割賦販売
に関する
トラブル
をできるだけ少なくするようにということを
趣旨
といたしまして、このような
規定
を設けております。しかし、この両
規定
は、いずれも
罰則
を伴わない
訓示規定
でございます。 なお、第四条につきましては、
あと
で出て参ります第七条の
所有権
に関する
推定規定等
の
関係
がございまして、
衆議院
の
修正
におきまして、もし
割賦販売業者
が
所有権
の問題につきまして、特別の約束をしております場合には、
書面交付
の際に、その
書面
の中に書き込むようにという
修正
が
衆議院
で行なわれました。 次に、第五条と第六条でございますが、この二つの
規定
は、いずれもやはり
消費者保護
を
中心
とした
内容
の
規定
でございます。 まず、第五条におきましては、現在行なわれております
割賦販売
におきましては、民法の
一般規定
の適用を受けます
関係
から、また、ある場合には、
割賦販売業者
がいわゆる
特約約款
によりまして、
割賦販売
の際の
購入者
が
賦払い金
の
支払い
を怠りますと、即日、あるいは非常に短
期間
の間に
契約解除
ができるような
仕組み
になっております。しかし、それでは、
消費者
の
保護
に欠くるところがあると思われますので、第五条におきまして、特に
書面
をもって十五日以上の
催告期間
を置いて、しかも、なお義務が履行されないときでなければ
契約解除
ができないというふうに、
契約解除
の
制限
をいたしております。 さらに、第六条におきまして、そのような手続を経て
契約解除
が行なわれました場合におきまして、
損害賠償
の問題が起きてくるわけでございますが、現在いろいろな
約款
におきまして、しばしば
購入者
のために不利な
約款
が行なわれておるようでございますので、第六条におきまして、
契約解除
の場合の
損害賠償
の請求し得る限度を
消費者
のために設けております。 なお、この第五条、第六条の
規定
は、いずれもいわゆる
強行規定
でございまして、これらに反する
特約等
はいずれも無効になります。第五条、第六条の
規定内容
が、
契約内容
として強行される
仕組み
になっております。 なお、第五条につきまして、
衆議院
の
修正
におきまして、先ほど申しました
催告期間
十五日以上という
原案
に対しまして、二十日以上というふうに
修正
をされております。 なお、第五条の初めの方にございます「(
購入者
のために商行為となる
契約
を除く。)」という
カッコ書き
がございますが、これはいわゆる
商人同士
の
割賦購入契約
の場合には、
商人同士
のことでございますから、
一般消費者
のような特別の
保護規定
を必要としないという
意味
で除かれているのでございますが、その
趣旨
においては変わりはございませんけれども、
衆議院
の
修正
におきまして、これを第三項に持っていきまして、読みやすくするような表現上の
修正
がなされております。 次に、第七条でございますが、第七条は、先ほど第四条に関連して申し上げましたけれども、現在、
割賦販売
が行なわれております際に、その
所有権
の
移転
の時期がいつであるかという点は、大部分の場合には、
約款
によりまして、いわゆる
賦払い金
の全部の
支払い
が済むまでは
所有権
の
移転
はしないというふうに書かれておるのが多いようでございますけれども、そうでない場合、また、その場合に関する
法律
上の解釈には、若干の
疑義
があるようであります。そのような
疑義
があることによって、
割賦販売
に対する
トラブル
が起こりやすいということもありましょうし、また、現実に
賦払い代金
の済まないうちに、かりに
購入者
の方が、これに対して不当な処分をしたり、あるいは第三者がその
割賦販売商品
について、何らかの
理由
で、これに対する
法律
的な攻撃をかけてきたような場合におきまして、
割賦販売業者
の方に対して、
賦払い代金
の済むまでは、やはり
所有権
の
留保
という
推定規定
を置いて
保護
する必要がある。この
意味
におきましては、第七条は
販売業者
の
保護
を
中心
とした
規定
でございます。もちろん、これは
特約
がございますれば、その
特約
に従いますし、何らそういうものがない場合に対する
推定規定
にとどまっております。 次に、第八条でございますが、これはここに掲げておりますような場合は、いずれも、いわゆる
割賦販売業者
とその
購入者
との間の
利害
が相反しないような場合、あるいは全体のこの
法律
の
仕組み
におきまして、
割賦販売
に対して
購入者
と
販売業者
との間の
秩序維持
、その
利害調整
の
規定
が、ここに掲げておりますような場合には、あるいは必要ではないか、あるいはそのまま適用することが適当でないというような場合を列挙いたしまして、この
法律
のこの本章の
規定
を適用除外いたしておるのであります。 次に、第九条と第十条でございますが、これは
割賦販売
に関しまして、
割賦販売
が健全な
発達
を遂げます際には、その
割賦販売
の
条件
につきまして、いわゆる行き過ぎがある、たとえば
割賦販売
に関する非常な過当な競争が行なわれるために
割賦販売そのもの
も、不健全な形に追い込むような危険がある。そういう場合につきまして、第九条におきましては、
標準条件
を
公示
をいたしました。もちろんこれは標準的なものでございますから、ある一定の幅を持った標準的なものを示して、健全な
割賦販売
のよるべき
基準
を示しておきました。もちろんこれ自体には強行するような、
強行規定
ではございませんが、そういうよるべき
条件
を示すというふうにとどまっております。また、そのような
条件
が示されたにもかかわらず、なかなかそれが行なわれにくい、そのために
割賦販売
の健全な
発達
に重大な
支障
を来たすというような場合には、さらに、これも
強制力
はないのでありますけれども、勧告をすることができるようにいたしております。なお、この第九条におきまして、このような
標準条件
の
公示
をいたします際に
公聴会
の
制度
によりまして
一般
の
意見
を聞くことに
原案
は相なっておったのでありますが、この
法律案
全体の
運用
に際しまして、やはり
審議会
を必要とするであろうということもございました。また
審議会
を作りますれば、この第九条の第二項の
公聴会
にかえて
審議会
の
意見
を聞いて
運用
をすればよろしいということに相なりました。その
意味
から、第九条の第二項の
公聴会
は削除をいたし、終わりの方で
審議会
の
設置
の
規定
が加えられるように相なりました。 次は、第十一条以下は、
前払式割賦販売
といわれるものに関する
規定
でございますが、御
承知
のように、現在、
前払式割賦販売
として行なわれておりますのは、
ミシン
及び
毛糸手編み機
につきまして、
代金
の全部を分割払いで
割賦販売業者
が預かりまして、その
代金
の全額の積み立てが終わってから
商品
を渡すというものが行なわれております。この場合には、
前払式割賦販売業者
は、
購入者
からあらかじめ
代金
を預かり、また
購入者
の方は
商品
を受け取らない
状態
で
代金
を預ける
状態
に相なりまするので、この場合の
購入者保護
のために、
前払式割賦販売業者
の
資力
、
信用等
に
瑕疵
のないことを努めなければならないわけでありますが、そういう
趣旨
のもとに第十一条におきまして、これを
登録
をするようにいたしております。またその
登録
につきましては、第十五条におきましていわゆる
制限登録
をするようにいたしております。 さらに、その後におきまして、その
資産内容等
につきまして、純
資産
が非常に減少いたしまして、先ほど申しましたような
保護
に欠くるところが招来するような場合には、この第三節の
規定
によりまして、それぞれかなり詳細な
監督規定
を設けております。 この
前払式割賦販売
につきまして、
衆議院
の
修正
といたしまして、この
修正
の第一点は、
前払式割賦販売
の
登録
につきまして、今申しましたようなむしろ
資産
、
信用
を
中心
に
制限登録
をいたすのでありますけれども、
中小商業者等
の
保護
のために
登録
を
拒否
し得る場合として、第十五条の第三項といたしまして、いわゆる
百貨店業者
、その他いわゆる
資本
の大きなものが、あまり大幅に
前払式割賦販売
に進出をして、
前払式割賦販売
をやっております
中小商業者
の圧迫にならないようにという
配慮
の
規定
が加えられております。 また十七条におきまして、
営業保証金
の
規定
がございますが、これも
購入者
の預けております金に対する
保証
のために供託をしてもらう
営業保証金
でありますが、その
最高額
につきまして、十七条では五十万円と相なっておりますが、これを百万円に
修正
されております。 次に第三章第三十条以下の
規定
におきまして、先ほど申しました
割賦購入あっせん
に関する
規定
の条章が設けられております。いわゆる
チケット販売
に関する
規定
でございますが、まず、その第三十条におきまして、
チケット
の譲り受け等の
禁止
の
規定
を設けております。御
承知
のように、
チケット販売
における
チケット
は、文字
通り
物を買うための
チケット
なんでございまして、これは当然当人の記名、捺印によって、物を買い得る
一つ
の
証拠書類
でしかないのでございますが、現在一部に、その
証票
の
チケット
に対しまして、いわゆる
チケット金融
が行なわれているようでありますが、これも
割賦販売
の健全な
発達
上、重大な
支障
がある、またその
態様いかん
によっては、
類似証券取り締まり
の
規定
にも触れるという
関係
もございまして、この第三十条で、この
禁止
の
規定
を設けております。 また三十一条以下に
割賦購入あっせん業者
につきましても、
登録制度
をしき、またその
資産
、
信用等
について
監督
の
規定
が設けられておりますが、この
趣旨
とするところは、前の
前払い式割賦販売
の場合には、先ほど申しましたように
購入者
に対する
保護
の
趣旨
でございますけれども、この
割賦購入あっせん
の場合におきましては、
割賦購入あっせん業者
と
契約
を結んでいる、いわゆる
加盟商店
に対する
保護
をねらいといたすものであります。この場合の
仕組み
は、
チケット
によって、物を売った
加盟店
は、その
チケット
をもって
割賦購入あっせん業者
から
代金
の
支払い
を受けることに相なっているわけであります。でありますから、その場合に、
割賦購入あっせん業者
の
資力
、
信用等
に
瑕疵
がありますと、いわゆる
加盟商店
が不測の
損害
をこうむるおそれがある。それに対する
保護
という
意味
で
割賦購入あっせん業者
の
資力
、
信用等
につきまして、
登録
その他の
制限
、
監督規定
を設けているわけであります。
あと雑則
、あるいは
罰則
、この辺は、特別に御
説明
を申し上げる必要はないと思いますが、最後の
附則
のところにおきまして、この
法律
は、
公布
の日から起算して六カ月をこえない
期間
に
法律施行
をするように相なっております。この点につきまして、先ほど申しました
チケット金融
の
禁止
、この第三十条の
規定
との関連におきまして、これもこの
附則
第一項の
原則
で申しますと六カ月をこえない
期間
に、この
法律
が施行されますと、その日から
チケット金融
は
禁止
をされるわけであります。しかし現在すでに
チケット金融
を行なっております若干の
業者
につきまして、その
整理等
の問題もあるでございましょうから、この点につきましては、一年という別の
修正
が
衆議院
で設けられたのであります。 以上が、本
法案
の大要と
修正個所
の御
説明
をいたしたものであります。
剱木亨弘
3
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 次に、
衆議院
の
修正点
について
説明
を聴取いたします。
岡本茂
4
○
衆議院議員
(
岡本茂
君)
割賦販売法案
は、
割賦販売
の健全かつ合理的な
発達
をはかるため、その
取引秩序
を整備することが
目的
でありますが、
割賦販売
は
事業
の性質上、
割賦販売事業者
と
購入者
との間に
紛争
を生じやすいので、その
紛争
を除くため十分の
配慮
を払う必要があるのであります。他面
一般消費者
及び
中小商業者
の
現状
は、なおその
利益
を擁護する必要があるのであります。よってこれらの観点から、本法の
運用
にあたって
配慮
すべき
事項
、
書面
の
記載事項
、
登録
の
拒否
、
割賦販売審議会
及び
施行期日等
について、
所要
の
修正
を行なう必要があると
考え
、
修正案
を提出した次第であります。 おもな
修正点
について申し上げますと、第一に、
目的
に、
運用
上の
配慮
を加えて、この
法律
の
運用
にあたっては、
割賦販売
を行なう
中小商業者
の
事業
の安定及び振興に留意しなければならないこととする。 第二に、
割賦販売業者
が
購入者
に交付する
書面
の
記載事項
として、
所有権
の
移転
に関する
定め
があるときは、その
内容
を記載すべきこととする。 第三に、
登録
の
拒否事項
を追加して、
通商産業大臣
は、
百貨店業者
(
百貨店法
第三条の許可を受けた者)または
指定商品
の
製造業者
が
登録業者
となることが、
中小商業者
の
利益
を著しく害するおそれがあると認めるときは、その
登録
を
拒否
することができることとする。 第四に、新たに
割賦販売審議会
の章条を設け、その
設置
、
所掌事務
、
組織等
について
所要
の
規定
を設ける。 また
審議会
を
設置
することとしたため、
公聴会
の
規定
は削除する。 第五に、
施行期日
は、
割賦販売審議会
の
規定
は
公布
の日から、
証票
の譲り受け等の
禁止
の
規定
は
公布
の日から起算して一年を経過した日から施行することとする。 等であります。 何とぞ御
審議
の上、御賛同下さいますよう御願い申し上げます。
剱木亨弘
5
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 以上で、
本案
の
補足説明
を終わったわけでありますが、議事の都合により、
衆議院
の
修正案提出者
に対する
質疑
があれば、この際行なうことといたします。 御
質疑
のある方は、順次御発言を願います。
近藤信一
6
○
近藤信一
君 御
修正
の
理由
は、御
説明
によってよくわかりましたが、なお、若干の点についてお
考え
を承っておきたいと思います。 まず、この
修正案
の第四案の中に「
所有権
の
移転
に関する
定め
があるときは、その
内容
」を加えると、こうございますが、私は、従来この点が、
一つ
の問題であっただろうと思うのであります。それはなぜかと申しますると、往々にして、
割賦販売
をやる場合に、
契約書
を取りかわす。その
契約書
の
内容
を
購入者
の方が十分に見ることなく、捺印して
契約書
をかわす場合が、従来の問題が起こった
一つ
の点であろうと思うのであります。そういう点で、ここに「その
内容
」を加えるということをお入れになったのは、そういうふうなことを御心配されまして、そうしてその
内容
は、こまごまと、
購入者
が読んでもちょっと判断のつかないようなことが、従来しばしばあったわけでございますが、簡潔に、明瞭に、わかるように
業者
が
内容
を明らかにした
契約書
というものが、今後の
割賦販売
については重要ではないかと、こう私は思うのですが、そういう点いかがですか。
岡本茂
7
○
衆議院議員
(
岡本茂
君) 大体おっしゃる
通り
でございます。四条の
記載事項
全体が、今おっしゃる
意味
でできているわけでございます。しかも、
原案
では重要な
事項
である
所有権
の
移転
に関することが入っておらない。これは七条の
留保
の
規定
もあるわけですが、非常に重要なことでございますので、これを挿入しなければならぬ、こういうことで
修正
いたしまして、挿入いたした次第であります。
中村重光
8
○
衆議院議員
(
中村重光
君) 私から補足して御
説明
申し上げます。
修正案
は、
共同修正
でございますが、この項に関しましては、
社会党
の
修正案
でございましたので、簡単に御
説明
申し上げますが、第七条に御
承知
の
通り所有権
の
留保推定
というのがあるわけでございます。
所有権等
の
推定
ということは、私が申し上げるまでもなく、
割賦販売
によって、
当該物品
を手取りましたが、
代金完済
までは
販売業者
の
所有
であって、ただ
購入者
は、
占有権
を持つに過ぎない、こういうことでありますが、実際問題といたしましては、その品物を買った、そのときは、自分のものであるという意識を持つことは当然であります。しかしながら、そのことは、この
法律
の第七条において、これを書いておるというだけであって、
購入者
は、その
法律
をよく
承知
いたしておりません。また
販売者側
は、そうした
内容
を
購入者
に
説明
をするということは、まれであろうかと思うのであります。 従いまして、第四条によりましてその
販売契約
が成立をいたしましたときに、
書面
を交付する、その
書面
の中に、第七条による
所有権留保
の
推定
がありますならば、当然そのことを、ここへ明記するということが将来において間違いを起こさない道である、このように
考え
たのであります。私どもは、第七条の
所有権留保
の
推定
は、これを抹殺すべし、このことは、
販売者側
にとって、これがあるということによって有利であるのではなかろうか、
販売者
の
立場
も
考え
、
購入者
の
立場
も
考え
、将来
トラブル
が起こらないようにという点から、るる主張いたしましたが、
社会党
において協議をいたしました結果は、
所有権留保
の
推定
はそのままとし、第四条による
書面交付
の際に、その
内容
を明かにする、こういうことに落ちつきましたので、こういうことにいたしました。
近藤信一
9
○
近藤信一
君 次に、第十五条の第三項をつけ加えられましたことでありますが、これによりまして
百貨店
または
メーカー
が
前払式
の
割賦販売
をしようとする場合に、それが
中小商業者
の
前払式割賦販売
に
不利益
を及ぼしそうなときには、その
登録
を
拒否
することができるのであります。これは、現在
百貨店
や
メーカー
の
前払式割賦販売
が、
中小商業者
に
不利益
を与えているのでございましょうか。それとも、将来、そのような事態を生ずるおそれがあるために挿入されたものと思いますが、あるいは現在そのような弊害が起こっているために、挿入したものであるかどうかということでございます。 それと申しますのは、現在
前払式
の
割賦販売
を行なっておる
百貨店
や
メーカー
について、
原則
として
登録申請
があれば、すべてこれを
登録
してよろしいとお
考え
になっているかどうか、このことをお伺いいたします。
岡本茂
10
○
衆議院議員
(
岡本茂
君) この
規定
を設けた
趣旨
は、今お読み上げになりましたように、
百貨店
あるいは
製造業者
の行なう
前払式割賦販売
によるところの
事業活動
が、
中小商業者
の
利益
を著しく害するおそれがあるとき、これを防止する、こういう
意味
でございます。今お話の、現在やっておるもの云々ということでございますが、
百貨店
は、現在その
実例
がないということを聞いております。
製造業者
の方は、先ほど
企業局長
から
説明
がございましたように、
手編み機
あるいは
ミシン
というようなものに、
実例
があるのであります。しかし、
現状
においては、著しく
中小商業者
の
利益
を害するという段階には達していないというふうに
考え
ておるわけでございます。むしろ将来、そういうおそれのあるということを
考え
て、この
規定
を挿入することにした次第でございます。
中村重光
11
○
衆議院議員
(
中村重光
君) このことに対しまして、簡単に御
説明
申し上げますが、
前払式割賦販売
というのは、御
承知
の
通りミシン
並びに
手編み機械程度
であります。しかし
個別割賦販売
におきましては、
電気メーカー等
を
中心
といたしまして、最近の
割賦販売
の動きは、主として大
企業
が大
資本
を利用いたしまして、大規模な
割賦販売
を営んでおるということが、伸びているところの最大の原因になっておるわけであります。この
前払式割賦販売
を行ないます場合においては、これが
登録制度
になって参ります。なおまた、この
登録制度
は、この業務を見ましても明らかなように、法人でなければならないということ、それから
前払式
は金を預かる
関係
上、その
依頼者
に対して、
購入者
に
損害
を与えないというような点から、相当
信用
度の調査ということが行なわれ、その上に立って
登録
を認める、こういうことになって参ります。従いまして、現在行なっていない大
企業
の
業者
といたしましても、あるいは
百貨店
といたしましても、将来この
登録
制を利用しないという
保証
はございません。私どもが、この案を
審議
いたしました際にも、相当各方面から陳情等がございますが、
百貨店
も、将来そのような
考え
があるように漏れ承りましたし、また
製造業者
、特に大
資本
を有するところの
製造業者
は、この
前払式割賦販売
を大いに利用しようというような動きがあるというようなことも
承知
いたしておるのであります。そのようなことを
考え
てみるとき、この
登録
制を利用して、他を排除するという形によって独占的な経営を行なって参りますならば、個別
割賦販売そのもの
が非常に圧迫されてくる。そのことは、中小
企業
の圧迫ということにつながって参ります。 従いまして、私どもは
原則
的には、
百貨店
並びに全国的に網の目のように代理店その他販売店を有するような
製造業者
は、
前払式割賦販売
を行なわしめるべきでないというような
考え
方も持つのでありますけれども、この
前払式
の
制度
そのものは、ただいま私が申し上げましたように、その前払
業者
の
信用
度ということが重点となって参りますので、この大
資本
を持っているところの
製造業者
を
前払式
の
割賦販売
からはずす、これを認めないということを打ち出して参りますことは、法体系からいたしまして矛盾をするというような点になって参るわけであります。そのようなことからいたしまして、この
修正案
に書いておりますように、
百貨店
並びに
製造業者
の
登録
を認めることによって、中小
企業
の圧迫になる、その
利益
を著しくそこなうというようなことがあると認められるならば、
審議会
に諮って、これを
拒否
するというような道を開いておく必要があるのではなかろうか、こういうようなことで、このような
修正
になって参ったのであります。
近藤信一
12
○
近藤信一
君
百貨店
や
製造業者
が、この
前払式割賦販売
の
登録
を申請してやる。そこで特に「
中小商業者
の
前払式割賦販売
の
事業活動
に影響を及ぼし、その
利益
を著しく害するおそれがあると……」こう
修正
されておるのですが、この「著しく害するおそれ」というものを、どの程度で判断をし、どこに
基準
を置かれた場合に、その
登録
を
拒否
することができるかどうか、この点いかがですか。
岡本茂
13
○
衆議院議員
(
岡本茂
君) お答えいたしますが、著しく
利益
を害するということは、非常に困難なことでございまして、最終的には、具体的に申請が出た場合に、これを審査して決定するということになろうと思います。
基準
をどこに置くかということでございますが、一応、まあ抽象的にならざるを得ないのじゃないかと思いますが、
中小商業者
の
事業
と、はなはだしく競合するというような場合、大体
百貨店法
に
規定
のございますような
趣旨
でございますが、そういう場合には、
利益
を著しく害するのじゃないか、かように
考え
るわけでございます。
近藤信一
14
○
近藤信一
君 私はね、従来
法律
の中では、字句の書きようがあまり明確なことを書くことを避けておられるが、特に問題は、
百貨店
それから
中小商業者
との
関係
に立って、こういう第三項が入れられたわけなんで、やはりこれは
中小商業者
の
保護規定
というふうにこれは
考え
られるわけなんで、ところが、やはり字句の上では「著しく」と判断しているけれども、実際の判断ということになると、大へんにこれはなかなかむずかしい問題だと私は思うのです。 そこで、やはり
中小商業者
の
立場
からいけば、この
利益
というものは非常に少ないから、若干のことでも大きな影響を与える場合があると思うのです。そういう場合の判定というものが非常に困難じゃないかと思いますが、
中村
さん、この点いかがですか。
中村重光
15
○
衆議院議員
(
中村重光
君) おっしゃる
通り
でございます。そこで私どもは、当初は
百貨店
並びに
製造業者
につきまして、
製造業者
並びにその人的、
資本
的支配を有する
販売業者
、いわゆる小売
業者
ですね、これも
前払式
の
割賦販売
から、はずすべしという
修正案
を出したのであります。しかし先ほど私が申し上げましたように、この
前払式割賦販売
というのは、
信用
のある
業者
を
登録
するのだ、
登録業者
というのは、そういうものであるが、これが法の体系になっております。 従いまして、大
資本
であるからということで、この
前払式割賦販売
をやらせないということになって参りますと、
信用
力の弱い
業者
を
前払式
登録業者
に
指定
しなければならないということで、法体系に矛盾してくるわけであります。そういうことからいたしまして、その法体系を乱さないというような形になって参りますれば、このような条文にならざるを得なかったのであります。 ただいま私が申し上げましたようなことで、
原則
としては、そういうような非常に中小
企業
を圧迫する、流通秩序というものをそこなってくるというような形は好ましくないのじゃないか、こういうことで、実は議論を続けて参りましたが、法体系として、こういうことにする以外にない。従いまして、私どもは私どもの理想としては、ただいま申し上げましたように、中小
企業
を守っていかなければならないのじゃないか、これは
消費者
と
販売業者
だけの
立場
を
考え
る、そういうことが流通秩序をほんとうに健全にしていくということにはならないのじゃないか、大
企業
と中小
企業
との
関係
、これは政策的にはなりますが、やはりそうした
関係
等も十分勘案して、法を運営していくということが、流通秩序を健全にしていくという形になるのじゃないか、もろもろの点を社会政策的な
立場
等から、いろいろ検討いたしまして、そこで、あげて
審議会
にゆだねて、
審議会
が、あらゆる角度から検討して、これは認める、これは認めるべきでない、こういうことで、その
審議会
において、これを決定をしていく、こういうようなことにする以外には、これは、どうにもやり方がないのじゃなかろうか。こういうことで、実はこのような非常に疑問を持たれたのでありますが、確かにこの条文からいたしますれば、「著しく」といったような点等は問題でありますけれども、要は、あらゆる角度から、これを検討して
審議会
において判断をしていくということ以外にはない、このように実は
考え
た次第であります。
川上為治
16
○川上為治君 関連して、今のお話で大
企業
である
百貨店
であるとか、あるいは大
メーカー
、これはよくわかるのですが、ここに書いてある
指定商品
の
製造業者
ということになりますと、
製造業者
の中には、大
企業
もあれば中小
企業
もあるのですが、この中小
企業
の方は、
中小商業者
と同じような
関係
なんでございますから、これまで規制するというのは、ちょっとよくわからないのですが、そこは、どういうわけですか、中小
メーカー
については、大体そういうあれはないということですか、それとも、中小
企業
メーカー
まで加えてあるのは、何か特別の
理由
があるのですか。
岡本茂
17
○
衆議院議員
(
岡本茂
君) 大体、流通体系といたしましては、
メーカー
から卸、卸から小売というふうにいくのが普通だろうと思います。そういう観念から、
一般
的に
製造業者
と書いてあるわけであります。精神はおっしゃるようなことで、それ自体が中小製造
メーカー
であれば、その相手の、つまり圧迫されるべき側の中小
業者
と、これは同じような
立場
に立つわけですから、問題は起こらないわけです。
拒否
するという事態は生じないと思います。
川上為治
18
○川上為治君 そうしますと、何かこの
審議会
で、そういう
審議
をするときの
基準
として、そういうものはやはり除くというような運営のやり方をやるというようなことになりますか。
岡本茂
19
○
衆議院議員
(
岡本茂
君) それは、ただいま
考え
ておりませんけれども、
審議会
を運営するにあたりましては、この
法律
で
審議会
の
審議
事項
として掲げている
事項
のほかに、今、
中村
議員からもお答えいたしましたように、これの
条件
とか
基準
とかというようなことをあわせて
考え
るべきだと
考え
ております。
川上為治
20
○川上為治君 私は、これは中小の
製造業者
という——特にまあ中小の中でも比較的小の部類に属するようなもので、こういう仕事をするものは、あまりないとは思いますけれども、しかしやはり、この
中小商業者
とそれから中小の
メーカー
というものは同じようなものだと思いますから、これは
審議会
あたりで
審議
基準
を作って、それを
運用
する場合においては、その点を
一つ
、十分気をつけるというようなやり方をとってもらわなくちゃいかぬだろう、こういうふうに
考え
ているわけなんですが……。
中村重光
21
○
衆議院議員
(
中村重光
君) ただいまの御質問の点が、実はこの条項にぴったりするというように御判断願えればいいんじゃなかろうかと思うのです。初めは大規模
製造業者
ということを一応書いてみたのであります。しかしそういうことも適当ではない。そこで私どもは、この小さい
製造業者
、これに
前払式割賦販売
をかりに認めるということになりました場合に、いわゆる著しく小売商に対して影響を与えるということにはならないのじゃないか、こういうことで、
一つ
御判断願えれば、おのずから
審議会
の、この問題に対する運営というものは答えが出てくるだろう、このように
考え
るものであります。
川上為治
22
○川上為治君 了解しました。
近藤信一
23
○
近藤信一
君 もう
一つ
、このいただきました第四に、新たに
割賦販売審議会
の章条を設けることになったわけです。そこで、ここに書いてありますのは、その
設置
、
所掌事務
、組織、任期、勤務、これは省令への委任に関する
規定
を設けると、こうありますけれども、この
割賦販売審議会
の構成ということについては触れてないのですが、それはどういうところでおきめになりますか。この点伺っておきます、
審議会
の構成です。
岡本茂
24
○
衆議院議員
(
岡本茂
君)
審議会
の構成でございますが、大体
割賦販売業者
とあっせん
業者
、それに
消費者
、学識経験者、これらのうちから適任者を選定する、その人員の配分等につきましては全体のバランスを
考え
て公正を期する、こういう
考え
でいるわけであります。
近藤信一
25
○
近藤信一
君 次に、第三十条の
証票
、すなわち
チケット
による金融、これは
原案
では六カ月の猶予
期間
をもって
禁止
することになっておりましたが、これを一年の猶予
期間
ということに
修正
されましたが、
チケット金融
禁止
については、いろいろと賛否両論が今まであったと思うのです。そこで相当問題にされたと思うのですが、この六カ月を一年間の猶予
期間
ということにされました
理由
、これはただ短かいからまあ半年くらい長くすればいいんじゃないか、こういうふうな簡単な
理由
であるか。それとも、まだほかに何かの
理由
があって、この半年間ということを延ばして
修正
されましたのかどうか、この点伺いたいと思います。
岡本茂
26
○
衆議院議員
(
岡本茂
君) この
チケット金融
業者
というのは、現在東京、大阪で八百数十名ありまして、その融資の額は七億ぐらいに達しておるのでございます。従って、これを一時に
禁止
するというようなことになりますと、影響するところは、すこぶる大きいのでございまして、これは大部分は回収不能に陥らざるを得ないのじゃないか、かように
考え
るわけでございます。 従って、これは相当整理
期間
をおいてやらなければいかぬだろう、その整理
期間
は半年がいいか一年がいいかという問題でございますが、大体
チケット
をカタにとっての金融でございますから、実質的な担保もない。従って、短期の間に回収することは容易でない。何回もころがしていかなければ回収を完了しないのじゃないか、それにはまあ一年ぐらいの
期間
を見なければいかぬのじゃないかということで、こういう
修正
を加えたわけでございます。
近藤信一
27
○
近藤信一
君 私はただ、この三十条のところの
チケット
の問題で、この
期間
だけを延ばしたということでなくして、これは
中村
さんもよく御存じだと思うのですが、信販と
チケット
業者
との両者の問題は、いろいろとあって、両方からも、いろいろと私は陳情があったと思うのです。 そこで、この三十条の問題については、特に
チケット
業者
は、強く
修正
を要求されておったと思うのですが、この点に触れられていないということは、何かそこに問題がありましたですか。この
修正
を触れなかった、他面
修正
はされましたが、この点については、
修正
はされなかったという点でございます。
中村重光
28
○
衆議院議員
(
中村重光
君) やはり
チケット
を質入れをする、まあこれを担保にして金を借り入れるというふうなことは、これは正しくない。やはりこれは
原案
を認めなければならぬと私どもは
考え
ます。しかし現に
チケット
を質入れをしている、これを担保にして金を貸しているという金融
業者
がおるわけでございます。これに対しましては盆、正月といった月給取りのボーナスの
期間
ということもあるわけですから、そういったような点と、これから商売をやらないその整理
期間
という形で、どうしても二回ぐらいのボーナスの
期間
というものがかかるようにしてもらわなければならぬといったような、もろもろの陳情があったわけなんです。その陳情によって動かされたというわけではないのでありますが、これから新しい営業をやらない、単に整理をするということだけであるから、これは半年を一年に延ばすということは、この法そのものを乱すことにはならないのじゃなかろうか、整理
期間
として、それだけの余裕を与えるということは差しつかえないのではないか、こういう結論に達しまして、半年を一年に延ばしたということでございます。
近藤信一
29
○
近藤信一
君 最後に、これは
修正
と、あまり
関係
ない問題でございますが、付帯決議について、
信用
保険のことがありますので、これは一体、どういう形のものをお
考え
になっておられるか、ついでに教えていただきたいと思うのですが。
岡本茂
30
○
衆議院議員
(
岡本茂
君)
割賦販売業者
が貸し倒れ等のために
損害
をこうむるという場合に、これの損失を補てんする道を講ずる必要があるわけです。これは
割賦販売
の健全なる
発達
をはかるためには必要だと思うわけであります。 そこでまず、その補てん
制度
でございまするが、先ごろ
衆議院
を通過いたしました機械類の賦払
信用
保険
制度
というものがございますが、大体まあ、あれに類似したような方式の保険
制度
ということをわれわれは
考え
ておるわけなんです。
椿繁夫
31
○椿繁夫君
近藤
委員
もお触れになりましたが、一点だけお尋ねをいたします。 この
法律
は、
原案
では流通秩序の円滑化と健全化ということだけがうたってありましたものを、
衆議院
の方で
修正
を願いまして、第一条の二項として、「この
法律
の
運用
にあたっては、
割賦販売
を行なう
中小商業者
の
事業
の安定及び振興に留意しなければならない。」ということが追加せられ、そしてこの
審議会
の
制度
ということが追加されたのでありますが、従って、私は、
審議会
の構成、その
委員
は、通産大臣が任命をし十人となっておりますが、付帯決議の中で、
一般
小売商
業者
並びに
消費者
の代表をそれぞれ任命することとございます。この十名のうち、小売商
業者
並びに
消費者
の代表を、どういう比率でお選びになる腹案ですか。相当数入れなければ——せっかく第一条に、
原案
になかった点を御心配になって、
中小商業者
の
事業
の安定と振興ということに留意をするようにということを追加された
修正
の御
趣旨
は、私も賛成であります。そうなりますと、この多くの部分が政令にまかされ、あるいは
審議会
の今後の答申にかかるわけであります。その際に
審議会
の構成ですね、小売商
業者
の代表、
消費者
の代表を入れるようにせよということはございますけれども、十名のうち、どのくらいお
考え
になっておりますか。
岡本茂
32
○
衆議院議員
(
岡本茂
君) その点は、先ほど
近藤
委員
の御質問に対してお答えしたときに申し上げたように、この
委員
といたしましては、
販売業者
、それにあっせん
業者
、それから
消費者
、なお学識経験者を加えると、こういうことでございますが、どの部門から何名ということは、まだきまっていないわけでございまして、大体、全体のバランスを見て適正なる配分を行なうべきものと、かように
考え
ておるわけです。具体的にどんな比率ということまでは決定していない。
中村重光
33
○
衆議院議員
(
中村重光
君) 当初私どもの
修正案
には、人数を書きました。大体
消費者
、
販売者
が同数、学識経験者、こういう形で実は
修正案
を出したわけであります。この種の
審議会
を法文化する場合に、そういう区別を書くということが、実は例がないのだというような
説明
等もございました。いろいろ注文もつきました。たとえば
消費者
代表としては、消費生活協同組合の代表である、あるいは婦人団体である、そういうもの、
販売業者
といたしましては、
チケット
業者
である、あるいは専門店会も入るわけでありますが、中小
企業
の個別割賦である、そのような人たちに入ってもらう。全体のバランスをとって、この
委員
の任命をしてもらう、こういうことを強く注文をいたしました。それで、この中では何名というようなことにいたさなかったのであります。
質疑
の過程におきましては、そのような
内容
でありましたので御了承を願いたいと思います。
椿繁夫
34
○椿繁夫君 なるほど
法律
に学識経験者何名、商
業者
何名、
消費者
代表何名を合わせて十名、こういう
法律
はなかなか、それはできにくいだろうと思いますけれども、せっかく
衆議院
で御
修正
になり、しかも、一条を設けて
審議会
の
制度
を作って
公聴会
をはずす、こういうことになれば、その
消費者
の意向をこの
運用
にあたっては、やはり十分取り入れる、小さい
業者
の意向も十分にくみ入れなければならぬ、そういうことから一条に対する二項の追加があり、さらに今度の
審議会
の構成などが行なわれたのでありますから、
法律
の条文の中に人数を入れることは、あるいは立法技術上できないかもわかりませんけれども、そういうお話はあってしかるべきだと思うし、また、御相談もあったのだろうと思います。 そういたしませんと、近時、
審議会
の
委員
の任命にあたって、当然入れなければならぬ人を入れてなかったり、また、従来入っていた者が削られて、だんだん御用的な
内容
に変わってきつつある傾向を見ておりますから、よほどバランスのとれた
審議会
構成にしなければならぬということを
考え
ますので、これを重ねてお尋ねするわけであります。
中村重光
35
○
衆議院議員
(
中村重光
君) 先ほど私が答弁をいたしました
通り
でありますが、
質疑
の過程におきましては、そういうことが論議されたし、なお、それだけでは足りないということで、付帯決議の中に、特にこのことに対しましては触れたわけであります。
椿繁夫
36
○椿繁夫君 政府はちょっと、おられますが、今の問題、これは、
あと
でもいいようなものですけれども、話のついででありますから、この機会に、こういう
衆議院
の
修正
並びに条文について、どういうふうな
審議会
の構成にしなければならぬとお
考え
になりますか。
松尾金蔵
37
○
政府委員
(
松尾金蔵
君)
衆議院
におきましての付帯決議の
趣旨
は、もちろん十分尊重いたしまして、
運用
する場合に
考え
ていきたいと思います。また、事実問題といたしまして、このような
法律
の
運用
にあたりましては、当然
消費者
代表、また
割賦販売
に
関係
の小売商の代表、その
意見
を十分取り入れなければならぬことは、いわば当然のことでございます。私どもも、特にそのような御発言を待たずして、当然そういうつもりでおります。
消費者
代表、小売商代表、あるバランスをとって入れるつもりでございます。
吉田法晴
38
○吉田
法晴
君 一点だけお尋ねしておきたい。
衆議院
の
修正
をしていただきました
委員
の方、おいでいただくのもこの機会しかないと思いますから、一点だけお伺いいたします。 それは、前払い式月
割賦販売
の場合、動産といいますか、品物が
消費者
に渡される前に全部払ってしまわなければ、
所有権
を
移転
しない、こういうような
規定
になっておって、民法の動産の即時取得の重大な例外になっている。そういう点では、法理的にも問題がある。それからほかの商慣習を見ておりますと、大体半分ぐらい払えば、
所有権
を
移転
するというのが実情じゃないかと思います。これを詳しく述べるひまはありませんが、それを、全部払わなければ
所有権
を
移転
しないというのは、私は特例中の特例と思う。その点についての御論議があったようですが、この点は
修正
されないで、前のままになっているのは、どういう
理由
であったのか、そうして
修正
された
中村
さんに、その点
一つ
御
説明
いただきたい。
中村重光
39
○
衆議院議員
(
中村重光
君) 御質問の点は、
前払式割賦販売
ということよりも、むしろ
個別割賦販売
の第七条の
所有権
移転
の
留保
ですね、これの
推定
ということに、むしろ問題がある、このように
考え
るわけであります。
前払式割賦販売
ということになりますれば、両者がこれを
契約
いたしまして、
代金
の全部または一部というのを前払いするわけであります。現在の
割賦販売
が伸びておるという
状態
の中で、よほど
購入者
に好
条件
がない限り、品物を引き取る前に、わざわざ
代金
の全部または一部を払い込み、
あと
で品物をもらうという
購入者
はほとんどないと思います。私たちが
前払式割賦販売
を特に問題にいたしましたのは、この大
企業
のいわゆる系列下の
業者
というものが、好
条件
をもって
消費者
に、中間経費を除いて
消費者
に安く品物を売る。
消費者
は、なるほどこれは安いものが入りますので非常に喜ぶわけでありますけれども、
個別割賦販売
の中小
業者
というものが、そのために痛めつけられるということで、
前払式割賦販売
の場合を心配をいたしまして、先ほどの
修正
に触れたのでございます。
所有権
の問題は、
前払い式割賦販売
は、そのような前提
条件
がございますので、私どもは大して問題にしませんでした。むしろ第七条の
所有権
の
留保
の
推定
というのは、御指摘の
通り
、私どもそのように
考え
るわけでございます。まあ判例からいたしましても、まだはっきりした
所有権留保
の
推定
が、これが正しいというような的確な判例が出ておりません。また学説も二分いたしておるのでございます。従いまして、特にこの条項では、
所有権留保
の
推定
ということが書かれております。このことを私どもが翫味いたします場合に、やはりここで
販売契約
が成立をした、その金は、
あと
で払うか、金はどういう形で払っていくかという、そういうことは方法論の問題であって、すでに
販売契約
が成立したときに、
所有権
自体は
購入者
の方に移るということに見なすことが正しいという議論が行なわれる。いや、そうではなく、やはり金を払ってしまわないのだから、その品物を
購入者
の方に移してしまうというのは、これは途中であるとか、あるいは
代金完済
後であることの方が正しいのではないかというような、もろもろの議論がされたわけでございます。しかしながら、あらゆる角度から検討いたしまして、
所有権留保
の
推定
は、
原案
の
通り
これを認め、行政指導等において、十分この点に問題が起こらないようにやってもらう。こういうことで、先ほど申し上げました第四条の
書面
の交付の中において、これを明確にしておる、こういうことで、
トラブル
を起こさないようにしていくということがよろしいのではなかろうかと、こういうことで、実は落ち着いたのであります。
剱木亨弘
40
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 別に御発言もなければ、
衆議院
の
修正案提出者
に対する
質疑
は、これにてとどめます。
本案
の
質疑
は、次回に譲ります。
—————————————
剱木亨弘
41
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 次に、
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
、
原子力損害賠償補償契約
に関する
法律案
、以上二案を一括議題とし
質疑
を行ないます。 御
質疑
のある方は、順次御発言を願います。
吉田法晴
42
○吉田
法晴
君 時間が十分ございませんので、要領よく答弁をしていただきたいと思います。 問題の第一は、この前参考人、来ていただきましたときの問題になった原子力災害の範囲の問題に対して、アイソトープによる災害については、この
法律
の範囲外だと、こういう御答弁があったわけです。これについて、どういう手当をされるつもりであるのかまず伺いたい。
杠文吉
43
○
政府委員
(杠文吉君) アイソトープにおきまして、はずしましたと申し上げましたのは、まだ第三者
損害
というものが
考え
られない国内における使用状況でございますので、そこではずしたわけでございまして、そのときのいろいろ
損害
につきましては、普通のやはり民法上の不法行為等の場合ならば、もちろんその
通り
でございますし、民法上の適用でいくということに相なると
考え
ております。
吉田法晴
44
○吉田
法晴
君 これは後発性の症状、それからいわゆる遺伝的なもの、それからこの前の一柳参考人の言われた土地建物の汚染等、そのときに事故が起こったけれども、被災の状況が表に出ないもの、こういうものと関連をいたしますからお尋ねをしたわけであります。たとえば白血病なら白血病になるということであれば、これは
あと
からおくれても、そのときに、とにかく発見されたということで問題になると思うのですけれども、そういう現われにくいところの、あるいはずっと後になって現われる、あるいは被災は十二レム前後である。そういうものを、災害として認めるかどうか、こういう問題と関連をいたしますので、それらを含むという点は、これは直接
損害
であろうと、間接
損害
であろうと、全部みるということですから、その抽象的表現では差しつかえはないわけですが、それらを、それは
損害
の範囲に入れるのだ、問題のありますところを入れるのだという点を解釈法規と申しますか、あるいは政令で入れるとか、疑いないようにしておかなければならぬと思いますが、そういう措置については、どういう工合に
考え
ておられるか。
杠文吉
45
○
政府委員
(杠文吉君) ただいま、いろいろ例をおあげになりましたのでございますが、それらの場合等、確かに原子力災害の範囲として
考え
なければならない例ばかりでございます。今後原子力災害の種類あるいはその評価等をいたしますために、原子力
委員
会におきまして、現に発足しております原子力災害補償部会というのがございまして、その補償部会の議題といたしまして、十分に検討して参りたいというふうに
考え
ております。 そして、もしもその検討の結果、おそらくはその範囲として入るとは予想されますが、入るということでございましたならば、その際に、はっきりと解釈を確立するような措置を講じたいと
考え
ております。
吉田法晴
46
○吉田
法晴
君 その措置は、どういう方法でおやりになるかということを最後にお尋ねをしたいのですが。
杠文吉
47
○
政府委員
(杠文吉君) その措置につきましては、本法を施行するにあたりまして、施行のための政令を出さなければならないというのが、第一の問題でございますが、その施行政令の中に載せるとか、あるいは、この施行のための規則を詳細にわたって
規定
しなければなりません問題がございまするから、その規則の中に載せるというような方法を取りたいと
考え
ております。
吉田法晴
48
○吉田
法晴
君 第二の問題は、因果
関係
の問題ですが、事故があった場合、あるいは事故その他のとにかくオッカランスといわれるような事態があり、それから今問題にいたしました広範囲の災害があった場合に、その原因と事故、それから事態を含みまして、原因と結果との間には、因果
関係
の
推定
がなかなか困難だと言われましたけれども、これを法上
推定
をするなり、あるいは擬制をするなりということが必要だと思うのですが、その
推定
なり擬制の措置は、どこではっきりせられますか。今のような、あるいは政令なり規則でやられますか、その点が無過失
賠償
責任の中の重要な要素だと思うのですが、その因果
関係
の
推定
なり擬制をどういう方法で法上はっきりされるかという点を承りたい。
杠文吉
49
○
政府委員
(杠文吉君) たとえば放射線の障害でございますから、これは放射線を何レム以上受けた場合には、そのための
損害
として、症状には現われなくても、当然に後発あるいは続発等において、そのような症状が現われるということは
考え
られますので、たとえば何レム以上受けたものにつきましては、当然にその間に因果
関係
があり得る、その後病気をしたというようなことがございましたら、当然に、その何レム以上受けたことによるのだというような
推定
を立てるというような方法を取りたい。それは同じく規則等において、当然うたわなければ、客観的なことに相なりませんので、そのような措置はとるということをお答え申し上げておきます。
吉田法晴
50
○吉田
法晴
君 先ほどあげました中で、この前の参考人の口述の中にも出て参りましたけれども、土地、建物の汚染等は、これは含まれるわけですね。
杠文吉
51
○
政府委員
(杠文吉君) もちろん含まれると
考え
ます。人的のみならず、物的ということも
考え
ております。
吉田法晴
52
○吉田
法晴
君 第三の問題は、補償の第一が責任保険、そうして保険でカバーできない
理由
に基づくもの、あるいは事案については補償をすると、こういうことですが、自動車
損害賠償
保険等を見ますと、保険会社が、これは国内のもの、あるいは再保険を含みまして、保険でやはり一応損をしないように査定をすると申しますか、原因、それから因果
関係
、それから責任の範囲、こういうものを一応査定をするんだ、そのことが、国の補償も、いわば責任保険を補償するような直接の形になっているだけに、それが国の補償に影響をしやしないかということが心配されるわけです。そういう心配はないとおっしゃられますか。あるいはその範囲等について、政府の補償が万全を期せられるように、どういう工合に補償の完全についてされますか、承っておきたい。
杠文吉
53
○
政府委員
(杠文吉君) ただいま御質問の要旨は、補償と保険との
関係
というふうに受け取ってよろしゅうございますか。——もちろん補償と保険というものは、相関
関係
は十分にございます、ございますけれども、補償ということを
考え
ましたのは、保険の穴埋めということでございますから、たとえば地震、噴火等によるところの
原子力損害
、あるいは正常運転によるところの
原子力損害
等でございまして、いわゆる保険の対象外にされているものについてのみ
考え
ます。しかしながら、その間の相関
関係
と申し上げましたのは、保険の
関係
におきまして、いろいろの要素を取り上げております。そうして、この要素については、これは会社内の秘密
事項
に属するようでございますけれども、この要素については何点与え、この要素については何点与える、従って、このような保険料というものがかけられる、ということに相なっておりますから、その要素に当たるものにつきましては、また従って保険金額の
支払い
というものは当然になされるというふうに
考え
られます。それと同じような要素について、やはり補償料においても取り上げていくというふうに
考え
ております。 従いまして、相関
関係
であると同時に、それは補完の
関係
に相なるというふうに
考え
ております。
吉田法晴
54
○吉田
法晴
君
一般
的な問題じゃなくて、保険が免責事由とした後発性障害であるとか、正常運転であるとか、そういうものを国が補償するというのはわかっているのです。そうじゃなくて、保険が一々査定をいたします。あるいは因果
関係
とか、責任の範囲について、保険がかりに査定をして打ち切ったとしても、政府は、その保険が全部カバーできないものは独自に調査をする。そうして、その全
損害
について補償をするという責任をはっきり負うか、こういうことです。
杠文吉
55
○
政府委員
(杠文吉君) これはどうも、私の受け取り方が少し足りませんで相済みませんのでございますが、やはり保険会社にまかせる——査定はすべてまかせるということはいたしませんで、原子力
委員
会の
損害
補償部会におきましても、平素からいろいろな要素を取り上げまして、その評価等を行なっておく、そうして万一の場合に備えるという措置を講じます。同時に独自の調査をいたすこともいたしますし、またこの場合に、
紛争
等が起こりましたときには、この
法律
の
規定
しておりますように、
紛争
審議会
なるものも設けまして、そこに特別
委員
等も任命いたしまして、災害の査定等をいたすということに相なっております。 従いまして、保険会社にまかせっきりというようなことはいたさない。だがしかし、あくまでも、それは保険会社に、
政府側
から要求をして出させるというような措置は、第一次的には講じますが、どうしても保険のみるものでない、その境界線であって、見るべきものでないというような場合におきましては、やはり補完的
関係
にあるところの補償
契約
によってみる、国がみるというようなことにいたします。
吉田法晴
56
○吉田
法晴
君 そういたしますと、今の場合には、保険でも、保険の対象になるものについては、範囲その他についても完全を期させるが、——それが第一。もし保険で全部カバーできなければ、独自調査した範囲について、政府が補償するということですね。
杠文吉
57
○
政府委員
(杠文吉君) その
通り
でございます。
吉田法晴
58
○吉田
法晴
君 次の問題は、補償の基礎です。補償料の算定については、全然
規定
なりが今まで述べられたこともございませんが、どういうふうに計算をされ、そうして補償に万全を期せられるか。
杠文吉
59
○
政府委員
(杠文吉君) 補償料の算定基礎といたしましては、まず第一に問題になりますのは、原子炉の型式でございます——形式でございます。それと熱出力、またその用途、たとえば研究用であるか、発電用であるかというような用途、あるいは核燃料を、いろいろな燃料を用いますので、天燃ウランの燃料であるか、あるいは濃縮ウランの燃料であるか、あるいは炉の核的な、あるいは熱的な特性ということがございます。その特性、あるいはその施設の総体的な危険度ということを
考え
ます。また次には周辺人口の密度、動産、不動産の価格、あるいはその気象
条件
、河川、湖沼、地下水など、その施設のいわゆる立地
条件
、また三番目には、運転及び保安に関する
事項
、これは保安
規定
等を設けておりますけれども、その保安
規定
の
内容
等につきまして、また廃棄物処理の方式、廃棄物はどのような処理の仕方をするかというようなことを要素として取り上げまして、保険の料率とも十分に相関
関係
を持たしつつ決定していくということでございます。
吉田法晴
60
○吉田
法晴
君 そうすると、問題は補償の性格にもなりますが、補償料をとって、いわば国がやるけれども、保険的な性格なのか、それとも、補償料は手数料みたようなもので、それで填補すべきものは、補償料のいかんにかかわらず填補すべきものか、本質は、国の費用で
損害
の全部をまかなう、こういう、補償の性格とも関連をいたしますが、その点はどういう工合に
考え
ますか。
杠文吉
61
○
政府委員
(杠文吉君) これは国家保険的というふうに御理解いただけばいいかと思います。と申しますのは、先ほど申し上げておりますように、保険の補完でございますから、保険と全然離れたところの
制度
としては
考え
ておりません。従いまして、私
企業
によるところの保険、それから国家によるところの保険というふうに取り扱っていきたいということでございます。
吉田法晴
62
○吉田
法晴
君 そういたしますと、これはまあ事故が起こらないことに、災害が起こらないことに最善の努力をする。そのための措置、体制等について最善を期していただくように、この問題については一番最初にもやったわけですけれども、万一あるいはその確率が一千万分の一であろうと何百万分の一であろうと、その場合にも心配はないのだ、完全な補償をするのだ、こういうことで、事故が起こらないようにという体制として
損害賠償
制度
ができておるわけですが、ところがその様相を
考え
ますと、深刻にして広範、それから直接間接
損害
、あるいは間接
損害
の中の精神的
損害
もあり、あるいは一番最初に申し上げました遺伝的なもの、後発的なもの、あるいは人間あるいは物を含めて相当潜在的なあれもあり、それから給付金についても、一時金で済ませられるようなものでもない。そうすると、保険、補償を一本にして、保険は民間が補償する、あるいは補償
関係
は国がやる、こういうことでなしに、一本で、あるいは公団でやるのか
事業
団でやるのかわかりませんが、国が全責任を負うという体制で、しかもあるいは五十億をこすかもしらん、可能性については、一兆円もこすという確率も例としては出ているわけですし、それからそれを長期にわたって給付しなければならぬものもあるということになれば、民間保険、あるいは国の補償というものも保険的な性格を持っておるというならば、一本にして、補償体制の万全を期するということが私は当然出てくる構想だと思うのですが、いかように
考え
られますか。
杠文吉
63
○
政府委員
(杠文吉君) 確かにお説のように、なるべく補償体制は単一化するということは当然のことでございますけれども、ただいまのところ、日本におきますところの保険の能力というものが限度がございまして、興国の方へ大部分再保険せざるを得ないというような状況にございますので、そこで英国の保険
事業
としましては、やはり私
企業
の体制でございますから、日本における保険会社との結びつきということを
考え
ておりまして、その保険がどうしても英国の保険においても見ませんものにつきましては、やむを得ず、今の国家保険的な補償
契約
を結び、それによって完全
賠償
を行なおうということでございます。
吉田法晴
64
○吉田
法晴
君
法案
の
制度
を、完全なものでないということはお認めになったようですが、この点については池田大臣、担当大臣、これはだれが
考え
てみても、これで万全だとは言えないのですから、今後の体制、
制度
の問題については検討をする用意があるかどうかお答えいただきたい。
池田正之輔
65
○
国務大臣
(
池田正之輔君
) 御
承知
のように、放射線障害につきましては、これはいろいろな場合がございますし、また先般来しばしば問題になりましたように後発性の障害でありますとか、それから病気の多様性でありますとか、それから遺伝というような影響等、そういう特殊性があり、また放射線障害を業務上生じたものであろうというようなことや、それから放射線の被曝によって起こったものであるかどうかということも、その
関係
の程度や療養を要するものかどうかというようなことにつきまして、認定上かなり困難な問題があるわけでございます。これらの特典性に対処するためには、これは当然放射線障害の認定権者の補佐機関につきまして、医学的な診断のほかに健康物理学でありますとか、あるいは放射線衛生医学でございますとか、そういう総合的判断を可能とするように
配慮
することが当然でございまして、それに従って従業員の身体
状態
、つまり健康
状態
等に関する過去のいろいろなデータですね、これを記録いたしまして、被爆量と、これを関連して、そういう資料を常に用意していくということが非常に大事なことだと思います。従って認定
基準
の具体化については十分これは検討し、これからも努力したい、こう
考え
ております。
吉田法晴
66
○吉田
法晴
君 読み上げる資料が違っておりますよ。
池田正之輔
67
○
国務大臣
(
池田正之輔君
) それから国際条約につきましても、先般来、この間も国際条約についての会議がございましたが、これはこれからしばしば開かれるであろうところの会議におきまして、各国がこれを鋭意研究を進めておりますので、十分わが国といたしましても考慮し、これに対応していくという体制はとっていきたいと、かように
考え
ております。
吉田法晴
68
○吉田
法晴
君 これは保険とそれから保険でカバーできないものは国が補償するということになっているが、範囲は広範囲にして深刻、しかもそれを国が全部見る、しかし第一次は保険が見るということになっているならば、民間の保険と国の補償
制度
とを一本にして、一時金でなくて長期給付等も必要であるから、この
制度
については一応これはこれで認めるけれども、今後補償
制度
の点については、金額もありますが、さらに万全を期するために検討を加える用意があるかどうかということを聞いているのであります。
池田正之輔
69
○
国務大臣
(
池田正之輔君
) 御
承知
のように世界各国におきましても、また日本におきましても、特に民間保険を大体主体としてやっており、また
考え
ているわけであります。それでなおかつ足りない部分については国家がこれに対して当然できる限りの補償ないしは援助をするという
考え
方でございます。
吉田法晴
70
○吉田
法晴
君 原子
力局長
なり政策課長なり、あなたのスタッフは、足らぬところがあって、もっと改善すべきであると言われるのだから、それを認めて鋭意研究努力すると言われれば、これはあなたの答弁にはなるが、(笑声)質問と答弁が一緒にならないのですが……。 次の問題は、いわゆる延長の
制度
によってカバーすべき部分ですが、巨大な地震、噴火等自然災害、あるいは動乱に対しては、これは免責条項になっておりますから、原子力事
業者
の責任は問わぬ、これは国も保険もカバーしない、補償しないということになっておりますが、ただ災害の拡大の防止に努力するとか、あるいは救助について努力をするということは、これは天災の場合の災害救助と本質的には法的な性格も変わらないし、それから措置についても、今までのようなあるいは毛布を支給するとかバラックの建物を建てるとかというような従来の救助措置ではいかぬ部分が相当にあると思われるが、この救助なり災害防止の方法については、どういうふうに今後
考え
、あるいは法的な措置をされていこうとしているのか、その点をお伺いしたい。
杠文吉
71
○
政府委員
(杠文吉君) ただいまの御質問は第十七条と第三条との
関係
が
一つ
ございます。そういう場合はもちろん災害救助法の御指摘の
通り
発動がございます。普通の災害と違いまして、相当に災害が長期化して参ることもございますので、そのような場合には単に一時的に金を、一時金を渡すとか、あるいは毛布等その他とりあえずの物品を被害者に対して与えるというようなだけでは参りませんので、やはりその長期にわたるところの療養等は十分に見ていくというふうにいたす
考え
でございます。
吉田法晴
72
○吉田
法晴
君 長期療養を含んで災害救助法といわれますが、それはたとえば災害救助法の特例でいかれるのか、あるいは
原子力損害
賠償
法の中に
規定
せられぬとすると、どこでとにかくそういう具体的な措置をきめていかれるのか、あるいは書いていかれるのかということをお尋ねしたい。
杠文吉
73
○
政府委員
(杠文吉君) やはり災害救助法の発動においても足りない、また長期療養の措置等をいろいろ
考え
て参りたいと申し上げたのでございますが、それらの補償といたしまして、やはり特別の立法が必要であるというようなことにも相なろうかと思いまして、そのような際にはやはり当然にまた立法措置を講じまして国会の御賛成を得なければならぬというふうに
考え
ております。
吉田法晴
74
○吉田
法晴
君 そしてその精神は少なくとも国の補償と同じ程度にはやりたい——これはこの
原子力損害
の対象である国民、それから原因については、この異常な云々というのですけれども、やっぱり法の
目的
云々の点からいけば同じでありますが、その
内容
については、補償といいますか、国が起こった事態についての救助あるいは災害の防止について最善を尽くし、心配をかけないという精神からいえば、補償とこれは近いものになるだろうと思うのですが、その点はどうですか。
池田正之輔
75
○
国務大臣
(
池田正之輔君
) この補償の問題は御
承知
のように、先ほども申し上げましたように、国際的にもまだ
意見
がまとまっておりません。ついこの間ジュネーブで開かれた会議においても、結論が出ないままに実は帰ってきているような
状態
でございます。しかし、だからといって、こういう
法律案
を皆さんに御
審議
を願う場合に、われわれの態度といたしましては、当然にこれはあらゆる場合を想定して実態に即して、今後も、不備な面もあるかもしれませんけれども、そういうような血はどんどん御指摘願えれば、これをどんどん
修正
し、つまり実態に即した
賠償
、そうして一人の被害者もなくする、つまり、泣き寝入りをなくする、国家が救助の手を差しのべるというのがこの精神でございます。
杠文吉
76
○
政府委員
(杠文吉君) ただいま精神について大臣からいろいろ申し上げましたのでございますが、吉田先生の御指摘になりましたように、やはり異常、巨大なる災害の場合におきましても、国は特別立法等をする際には、当然にこのただいま御
審議
願っておりますところの
損害賠償
法と同様の立法をいたすべきだと
考え
ております。
吉田法晴
77
○吉田
法晴
君 次の問題は
紛争
審査会ですが、
紛争
審査会の構成なり機能、それらの点について構想、
考え
方があるならば承りたい。
杠文吉
78
○
政府委員
(杠文吉君) 各界におけるところの権威者、すなわちたとえば医学界から、あるいは保健物理学界から、あるいは原子炉の権威者、それからあるいは
法律
問題もございますので、
法律
学者であるとか、いろいろな方々に審査員をお願いいたしまして、そうしてこの
法律
に書いてございますように、
原子力損害
の
賠償
に関する
紛争
についての和解の仲介、あるいは必要な
原子力損害
の調査、評価等を公正、妥当にやってもらうという
考え
でございます。
吉田法晴
79
○吉田
法晴
君 最後に、一番問題の
賠償
の補償とそれから労災の問題です。従業員の災害の問題です。——いや補償じゃない、援助の問題について、援助の性格は、参考人に伺いましたときに明らかになりましたように、これは法的な責任ではないわけです。そうすると、法的には救助と大して変わらぬ性格を持っておるのですが、それを先ほど長官から言われたように泣き寝入りをさせないように、完全に補償をしたものと近からしめる、こういうことになりますと、言明だけでなくて、実際にそれが完全に補償されるに近い具体的な体系を作っておかなければならぬと思うのです。一番いい方法は
修正
をすることでありますけれども、
修正
ができないとすれば、
修正
が間に合わぬとすればそれにかわるべき
制度
をちゃんと作っておかなければならぬと思う。補償部会のところでありますとか、あるいは
法案
を推進してこられたところでは、国の補償とすべきであったのですが、五十億で補償が切られた。そこで国会の議決と、それからその議決によって権限を与えられた政府が
法律
の
目的
を達成するため必要があると認めたときは、その権限の範囲内で行なうものとする、こういうことになっておる。それでもなお足りない心配があるから、
委員
会から
意見
書を出すことができる、こういうことになっておるわけでありますが、しかしその
意見
書というものも、これは
法律
的な拘束はない。あるいは
制度
的な拘束はない。そうすると
損害
の全額について、あるいは
賠償
の
支払い
計画について、その他
損害
の全部が補償を支払われるに近いように態勢を整えておかなければならぬと思うのですが、これは最初からの課題でありますが、どういうように
考え
てこられたか、承りたい。
池田正之輔
80
○
国務大臣
(
池田正之輔君
) 吉田
委員
の御心配になることは、これは当然でございまして、ただいまの御
趣旨
を体しまして、十分に施行、政令等に盛り込んでいきたいと、かように
考え
ております。
吉田法晴
81
○吉田
法晴
君 具体的に政令に盛り込む
内容
はどういうように
考え
ておりますか。
杠文吉
82
○
政府委員
(杠文吉君) やはり
意見
書につきまして、たとえば被害の総額でございますとか、あるいは災害の状況についての明細な
事項
等につきまして当然に盛らなければならぬ、その
意見
書には一切書かれなければならぬというような
規定
の仕方をしたいというふうに
考え
ております。
吉田法晴
83
○吉田
法晴
君 この総額については、おそらく項目別に出されるだろうと思うのですが、その
賠償
の
支払い
計画についてはどうですか。
杠文吉
84
○
政府委員
(杠文吉君)
支払い
計画につきましても、今後やはり検討をしていき、具体的にしておきたいという
考え
です。
吉田法晴
85
○吉田
法晴
君
法案
審議
を始める前に伺いましたところによると、国会の議決によって政府に属される権限の範囲内で具体的になされる財政的な措置とはどういうものかということを、これは私、尋ねましたところが、予算措置、あるいは財政投融資、あるいは
一般
市中銀行の金融あっせんと、こういうまあ
説明
を聞いた。これは
衆議院
段階で
説明
をされたわけですが、財政的な融資だとか、あるいは
一般
的市中銀行の金融あっせんとかいうものは、これは借りる金をあっせんする、国が責任をもって出すというわけでありません。それはまあその例として、一億を越した場合とか、あるいは万を越した場合に云々という話がありましたが、それは原子力事
業者
が保険の担保を含めて
事業
主が
支払い
得る範囲内であればそうかもしれない。しかし、問題になりますのは、その
支払い
能力あるいは担保能力を越す、あるいは補償を越した分でありますから、当然にこれは予算措置でなければならないと思う。その予算措置がどれだけの災害に対してこれだけの金額になる。その
支払い
方法はこうこうだ、こういう明細がはっきりしてなければならぬと思うのですが、それは予算措置のみを
中心
にして今のような
支払い
方法が
意見
書に出、それが国会の議決になるだろう、それから政府の予算になるだろう、こういうように
考え
られておりますかどうか、どうですか。
杠文吉
86
○
政府委員
(杠文吉君) その
通り
でございます。
吉田法晴
87
○吉田
法晴
君 最後に、労働者の災害補償問題ですが、この
法律
によって労災にまかされておる。で、労災でまかなえないだろうということは、これは科学技術庁も、それから労働省も、これはお認めになったところです。で、問題点は認定の
基準
の問題、それから因果
関係
の
推定
あるいは擬制の問題、それから予防を含めて治療、療養の
内容
、その療養について万全を期するための態勢、態勢については若干この間触れました。特に放射線障害を含んで原子力災害を職業病の中に入れるかどうか、その職業病の中に入れる範囲、それからその補償の問題、これは労災補償保険に関連があると思うのでありますが、それの問題、特に後発性の障害、あるいは無精子になるとか、あるいは奇形児が出るとか、こういう問題については、今の労災ではもちろんまかなえません。それらの点をどういう工夫にするか、ここで具体的な問題点と、問題点解決の方法を明らかにしていただかなければ、私どもはにわかにこの
法律
に賛成しがたいということも申し上げてきたわけであります。打ち合わせられての結果を
一つ
御発表願いたい。
杠文吉
88
○
政府委員
(杠文吉君) 労働省の方から次官もお見えになっておりますことでございますから、お答えを願うのが本筋だろうと思うのでございます。
あと
でお答えをいただこうかと思っておりますが、私の方といたしましては、やはりただいまおあげになりましたような遺伝的影響等につきましては、現行の労災において取り上げることはできませんので、そのような点につきましては、今後いかように扱うかということにつきまして、十分に労働省との間に打ち合わせを遂げて、そうしてそのような災害につきましても、従業員災害につきましても救済し得るような措置を検討して参りたいというふうに
考え
ております。
村上茂利
89
○
説明員
(村上茂利君) 私ちょっと御質問を拝聴しておりませんので、的違いの答弁になるかとも存じますが、労災保険ではいわば労働者のこうむりました所得能力の損失を填補するという
制度
でございます。従いまして、労働者が被曝いたしまして、業務上の疾病等と解せられるような
状態
になりました場合には、労災保険によりますところの療養補償を行なう、で、なおるまで長期にわたって給付をするということになりますが、遺伝とか、胎児とかというお話があったようでございますが、この問題につきましては、当人の労働者自体のこうむりました労働能力の喪失度合いに応じました所得能力の減少しました部分を填補する、こういう
制度
でございますから、この何と申しますか、生殖能力の減耗であるとか、胎児の問題が所得能力にどのように影響したかということは、労災保険法の建前から申しまして、にわかにこれを採用するということには、理論的にも非常な困難があると思います。
吉田法晴
90
○吉田
法晴
君 労災に関連いたします問題に入る前に、労災と認められない被曝の何といいますか、三レム以上でしたか、被曝について、これは団体交渉の範囲内ですが、合意に達し、理事長に提出をしてあるという問題、それから今のこれは無精子云々という点は労災に関連をいたしますが、これは
あと
でやりますが、労災ではまかなえないものがあるだろうという点は、この前の参考人のあれからいっても、それから今の労災補償部長の話からいっても、あれでありますが、それらの点についてはどういう手当をするつもりなのか、労災に関連する以前のもの、あるいはその以外のものについて伺いたい。
杠文吉
91
○
政府委員
(杠文吉君) ただいまおあげになりました三レム以上被曝したものにつきまして、どのような措置をとるかというようなことでございますが、これは日本原子力研究所におきまして、そのための研究の会合を持っております。その会合を持っておりますが、まだ正式に日本原子力研究所の方から私の方へ連絡はございません。しかしながら、組合等その他から聞くところによりますと、そのような際には、やはり予防措置として金銭の給付等を必要とするのではないかというようなことでございますが、これは今後とも検討していくべき問題であろうというふうに
考え
ております。
吉田法晴
92
○吉田
法晴
君
一つ
答弁を落としましたのは、無精子、あるいは胎児、あるいは子供等の奇形云々という点は、これは労災の範囲に入りにくいところ、あるいは越すところ、それについてはどういう態度でありますか。
杠文吉
93
○
政府委員
(杠文吉君) ただいま御指摘になりましたところの点につきましては、今後十分に検討はいたして参りますけれども、ただいま具体的措置としてどのような措置を講ずるか、また講ずる
考え
であるかということでございますけれども、残念ながらこのようにするのだということをお答えするまでに至っておりません。
吉田法晴
94
○吉田
法晴
君 それは従業員の原子力の災害補償について今後検討するということでそれは了承いたします。 労災法に関連する部分でありますが、問題はこの前、あるいは参考人に来ていただいて論議をいたしましたところ、大体労働省も御
承知
だということです。大綱については打ち合わせられた上で、こういう点に問題がある、それから大体こういう方向でいこうという点については、科学技術庁と労働省とで相談になって、大体合意に達したと、こういうふうに聞いておる。文書は、「原子力
関係
従業員災害補償についての問題点」というものでいただいております。それで、これらの点については、少なくとも、ここまでは遺伝的な影響、胎児に対する影響等を含んで相談をされたと私は思うのです。だから少し今の労災補償部長の答弁は、これらの点について打ち合わせられた云々という点からいえば、不満足のようであったのでありますが、これは後刻相談をしていくということで了承をいたします。 労災に直接関連をいたします部分は、職業病の範囲あるいは労災の範囲、それと放射能といいますか、あるいは原子力災害との
関係
、これはその範囲として塵肺とも関連がございます。労災の範囲をどこまで広げるかという問題が
一つ
、それからその点について職業病として、あるいは労災として範囲を拡大をしなければならぬという点はお認めいただいておるのだと思うのです。そうしますと、
あと
の因果
関係
の
推定
について、この間お話が出ておりましたのは、事故あるいは放射能の放出等があれば、平生記録をしておって、その放射能なり事故あるいは事態、こういうものと災害との間には、因果
関係
論証の方法が困難であっても、それは因果
関係
があるものと
推定
をしなければならぬ、あるいは
法律
上認定をしなければならぬ、こういう問題があるわけです。それを法上はっきりするということが
一つ
。 それからもう
一つ
は、療養と休業補償といいますか、生活の保障について、これは職業病あるいは塵肺その他についても、労災部長は、これは個人の
意見
かもしれませんけれども、足りない点が特にあるんじゃなかろうかという疑問は、この前御表明をいただいております。労災補償保険
制度
との関連もありますが、後発性あるいはその深刻さ、それから長期療養を要する。療養の方法にしても、今まで
通り
の療養であってはいかぬ。これはほかの職業病あるいは塵肺等にもあるかもしれませんけれども、きまっておる。栄養だけをやっておるというだけでは工合が悪い、あるいは輸血をしなければならぬといったような事態もある。そしてしかも、それが範囲が今までよりも広くなるのが
考え
られると一緒に長期的になる。それから本人、家族を含めて生活の保障問題について、もっと万全を期さなければならぬ、こういう問題があると思うのですが、それらの点について、認定
基準
の問題であります。どういうふうに検討をし、それから万全を期する御決意であるか、御用意であるか、それを承りたい。
村上茂利
95
○
説明員
(村上茂利君) 幾つかの点がございましたが、まず第一に、職業病としての範囲という点からの御質問がまず第一でございます。職業病と申しますのは、
法律
用語としてははっきりいたしておりません。従来業務上の疾病の中で災害性の、突然の災害によりまして病気になるという災害性の疾病に対しまして、長
期間
特定の有害な職場で働くことによって生じますところの業務上の疾病を職業病と言いならわしておるのでありますが、現在の労働
基準
法上の建前から申しますと、労働
基準
法の施行規則の第三十五条に、第一号から第三十八号までの疾病名を掲げておりまして、将来新しい職業病が起こりましても、全部これを網羅できるような形になっております。従いまして、日本の場合は職業病の範囲が狭いじゃないかというのは、これは誤解でありまして、むしろイギリスとかドイツとかフランスの場合は、職業病を
法律
上限定列挙しておりまして、しかも、その疾病名と発生場所、特定の職場といったようなものを限定的に列挙しておりますので、新しい職業病が起きた場合に、そのつど
法律
を改正しなければならぬ。非常に手続上困難が生ずるわけでありますが、日本の場合は、労働
基準
法施行規則の第三十五条に網羅しておりますので、新しい職業病と
考え
られるものが発生いたしましても、この
規定
によりまして処理することができるわけであります。すでに原子力災害につきましても、労働
基準
法施行規則の第三十五条第四号の
規定
によりまして、「ラヂウム放射線、紫外線、エックス線及びその他の有害放射線に因る疾病」という疾病が業務上の疾病になるということを掲げておりますので、当然業務上の疾病として災害補償を受けることができるわけであります。ただ問題は、その場合に業務上であるかどうかという因果
関係
の判断の仕方でございます。原子力のみならず、職業病につきましては、その因果
関係
が非常に困難なるものが数多くあります。先生御
承知
のようなけい肺などもその
一つ
でありますが、漸次、専門医師の協力を得まして、その医学的な因果
関係
を明らかにしたい、こういうことで努力しておるような次第でございまして、この原子力災害につきましても、今回の
法案
の成立を機といたしまして、われわれといたしましては、さらに業務上の認定
基準
をより明確なるものにいたしたいというふうに
考え
ておる次第でございます。 次に、御指摘の点では、補償の程度が足らぬのじゃないかという
意味
のお話がございましたが、私どもとしましては、疾病にかかった場合の療養補償の問題につきましては、これは各国と比較いたしまして、何ら遜色はないのでありまして、必要な療養をなおるまで継続して行なうという態勢は労災保険法でできておりますので、これは各国に比較いたしまして、いささかも劣るものではありません。 それから休業補償の
内容
が低いのじゃないかという
意味
の御指摘がありましたけれども、これもドイツやフランスその他と比較いたしまして、また、ILOの条約の
基準
と比較いたしましても、これは決して劣るものではございません。 ただ問題は、遺族補償につきまして、一時金
制度
が多少問題になるということをこの前の機会に申し上げたのでございますが、しかし、その問題は、原子力災害のみならず、全産業、すべての産業において問題になることでございますので、先般来先生が御指摘なさっておりますことは、私どもも十分了察できるのでありますが、事柄は全産業に関連する非常に重大な問題でございますので、この際、十分慎重に検討さしていただきたい、かような
趣旨
をこの前も申し上げたような次第でございまして、今後、われわれといたしましても、外国の法制等を参考にいたしまして、かつまた、経費を負担いたしますところの
事業
主の経済的負担能力なども総合的に勘案いたしまして検討を進めて参りたい、かように
考え
ておる次第であります。
吉田法晴
96
○吉田
法晴
君 最後に、次官においでいただいておりますから、その件についてお伺いいたします。今の労災部長の答弁の中には、療養補償についてもあるいは休業補償についても、外国あるいはILO条約に比べてそう遜色はない、こういうお話ですが、この前参考人に来ていただきましたときに、原子力従業員の災害補償を含めて詳しい金沢さん、それからこれはけい肺の方の専門ですから日本の労災補償
制度
についてもよく御存じで、あるいは国外の
制度
についても御存じで、その金沢さん等もはっきり日本の療養補償、休業補償の態勢が労働
基準
法あるいは労災補償法で十分であれば労災法にまかしていいんだけれども、不十分だから云々というお話がございました。そこで、補償部会の答申の中にも、やはり今までの労災では不十分だとはっきり書いてある。そこで原子力災害なりあるいは労災補償
制度
全般について、これは再検討をし、完全なものにし、あるいはさらに万全を期するいい機会だと思います。私どもも
あと
で決議をいたしたいと思いますが、労働省として、この原子力災害なりあるいは
一般
的な労災補償
制度
の万全を期するために検討をする用意があるかどうか承りたい。
柴田栄
97
○
政府委員
(柴田栄君) ご指摘の点に関しましては、一応
現状
におきましてやや満足すべきであるという
考え
方も当局としては持っておるわけでございますが、いろいろ産業の伸展に伴いまする災害に伴う補償の実情等からいたしまして、御指摘のような点は、さらに検討を要する点があるかと、われわれも認めざるを得ないのでございます。特に長期給付あるいは遺族対策等も含めまして、安心して産業に従事していただくような
規定
を持つということはもとより当然でございます。労働省といたしましても、積極的に検討を続ける覚悟があることだけを申し上げておきたいと思っております。なお、原子力
関係
の
事業
に関しましては、まあ今後非常に急速に発展してくる産業分野と
考え
まするだけに、これに対しまする対策としては、できるだけ早期に的確な資料を整備して、対策に遺憾のないような進め方をいたしたいと、かように
考え
ております。
剱木亨弘
98
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 他に御
質疑
はございませんか——他に御発言がなければ、両案の
質疑
は終局したものと認め、これより討論に入ります。 御
意見
のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
椿繁夫
99
○椿繁夫君 私は日本
社会党
を代表し、先日来の
審議
の経過にかんがみまして、次のような付帯決議を付して両案に賛成いたします。 附帯決議(案) 政府は、本法施行に当り、左の諸点の実現に努力すべきである。 一、本法の適用除外になっている原子力
事業
の従業員災害については立法その他の措置により被害者の
保護
に万全を期すること。 二、
賠償
措置額をこえた
原子力損害
に対する国の措置については、被害者を全面的に救済
保護
できるよう遺憾なきを期し、特に原子力
委員
会が
損害
の処理・防止等に関し国会に提出する
意見
書については、被害総額は勿論災害状況を明細にすると共に、原子力
委員
会の意志を具体的に表示し、以って国会の
審議
に資するよう措置すること。 以上を付帯決議として本法に賛成いたしたいと思います。皆さんの御賛成をお願いいたします。
川上為治
100
○川上為治君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま椿
委員
より提案の付帯決議案も含めまして本
法律案
に賛成いたします。
剱木亨弘
101
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
、
原子力損害賠償補償契約
に関する
法律案
、以上二葉全部を問題に供します。両案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
剱木亨弘
102
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 全会一致と認めます。よって両案は全会一致をもって
原案
通り
可決すべきものと決定いたしました。 次に、討論中に述べられました椿
委員
提出の
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
付帯決議案について採決いたします。 木付帯決議案に賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
剱木亨弘
103
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 全会一致と認めます。よって本付帯決議案は全会一致をもって本
委員
会の決議とすることに決定いたしました。 なお、ただいま議決いたしました二案について
議長
に提出する報告書の作成等につきましては、慣例によりこれを
委員長
に御一任願いたいと存じます。 先刻の決議に対し池田
科学技術庁長官
から御発言を求められましたので、これを許します。
池田正之輔
104
○
国務大臣
(
池田正之輔君
) ただいま御決議になられましたこの付帯決議の
趣旨
につきましては当然、ことにこの第一の問題、これは
衆議院
においても同様の
趣旨
の付帯決議がございましたし、私もこれは当然だと思っております。 それからまた第二の点につきましても、これまたきわめて重要なことでありまして、これは先ほど
質疑
応答の際に申し上げましたように、施行、政令等において十分に検討し、これを万遺漏なきことを期したい、かように
考え
ております。
剱木亨弘
105
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十八分散会 ————・————