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1961-05-23 第38回国会 参議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月二十三日(火曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————   委員異動 本日委員岸田幸雄君、鈴木万平君、 相澤重明君及び近藤信一君辞任につ き、その補欠として野田俊作君、新谷 寅三郎君、阿具根登君及び江田三郎君 を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            川上 為治君            古池 信三君            椿  繁夫君    委員            大泉 寛三君            大川 光三君            小林 英三君            斎藤  昇君            新谷寅三郎君            野田 俊作君            山本 利壽君   政府委員    科学技術政務次    官       松本 一郎君    科学技術庁原子    力局長     杠  文吉君    通商産業政務次    官       始関 伊平君    通商産業大臣官    房長      樋詰 誠明君    通商産業省重工    業局長     佐橋  滋君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    中小企業庁長官 小山 雄二君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱山保安臨時措置法案(内閣送  付、予備審査) ○原子力損害賠償に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○原子力損害賠償補償契約に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○商工会組織等に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、石炭鉱山保安臨時措置法案提案理由説明原子力損害賠償に関する法律案原子力損害賠償補償契約に関する法律案及び商工会組織等に関する法律の一部を改正する法律案補足説明をそれぞれ聴取します。  なお、右の後、機械類賦払信用保険臨時措置法案審議を行なう予定でありますが、衆議院商工委員会との関係で、通産大臣出席がない場合は次回とすることといたします。   —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 初めに委員異動について報告いたします。本日相澤重明君、近藤信一君、岸田幸雄君及び鈴木万平君が委員を辞任され、その補欠として阿具根登君、江田三郎君、野田俊作君及び新谷寅三郎君が委員に選任されました。   —————————————
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それではまず石炭鉱山保安臨時措置法案議題とし、提案理由説明を聴取します。
  5. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 石炭鉱山保安臨時措置法案につきまして、その提案理由及び法律案要旨について御説明申し上げます。  最近相次いで炭鉱重大災害発生しましたことは、政府としてまことに遺憾とするところであります。申すまでもなく人命の尊重は、何よりも重要なことでありまして、政府としても従来ともこの方針のもとに保安行政を推進してきたのでありますが、最近の状況は、さらに徹底して対策の必要なことを痛感せしめるに至ったのであります。また国会におきましても事の重要性にかんがみ、衆参両院において炭鉱災害防止に関する決議が行なわれたのであります。政府はこの決議の趣旨を十分に尊重し、かつ中央鉱山保安協議会その他の関係者意見をも勘案の上、さき鉱山保安確保のための具体的対策と、当面必要となる予算的措置について閣議決定をいたしたのでありますが、そのうち法律を要する重要事項について、ここに成案を得て急遽提案することとなったのであります。炭鉱保安をはかる基本的方向が、鉱山保安法鉱業法の厳正なる運用にあることは申すまでもありません。政府としても常々この点に留意し、保安監督強化をはかってきたのでありますが、今日における中小炭鉱実情を見まするに、一方において保安監督強化をはかるかたわら、他方各炭鉱実情に即して抜本的な施策を講ずる必要があるのであります。このため政府といたしましては、このたび石炭鉱山実態を総合的に調査することとし、その結果に基づいて保安に関する設備整備促進をはかるとともに、保安確保することが困難な石炭鉱山に対し廃業を円滑に行なわせるための措置を講ずることといたした次第であります。  次に本法案要旨について御説明申し上げます。  第一は、石炭鉱山実態適確に把握し、その保安確保をはかるため、採掘権者または租鉱権者について、自然条件経理的基礎及び技術的能力並びに保安に関する事項に関し総合的調査を行ない、その結果必要があるときは、保安に関する事項改善勧告をできるようにするとともに、保安設備整備に必要な資金を確保することに努めることとしたのであります。  第二は、総合的調査の結果保安確保することが困難であると認められる採掘権者または租鉱権者に対して、鉱業の廃止の勧告をできるようにするとともに、勧告を受けた者が、勧告に従って採掘権または租鉱権を放棄したときは、石炭鉱山整理交付金交付することができることとしたのであります。  第三は、この交付金について、未払い賃金及び鉱害賠償債務に優先的に充当するための措置を講じたことであります。そのために交付金は、石炭鉱業合理化事業団を通じて交付することとし、石炭鉱業合理化事業団は、鉱業を廃止した者にかわって未払い賃金及び鉱害賠償債務弁済を行なうこととしたのであります。  第四は、今後新たに保安確保ができない石炭鉱山発生を防止するため、交付金交付を受けた者に対しては、n己の放棄した採掘権または租鉱権の区域に再び権利を設定することを禁止するとともに、石炭鉱業合理化臨時措置法坑口開設許可制度改正し、保安確保するために必要な経理的基礎及び技術的能力を有しない者は、鉱業を行なうことができないように措置したのであります。  なお、この法律は、石炭鉱山保安確保緊急対策としての性格にかんがみ、有効期間を二年とする臨時措置法といたしました。  以上簡単でこざいましたが、この法律案提案理由及びその要旨について御説明申し上げました。  何とぞ慎重審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本案の質疑は後日に譲ります。   —————————————
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、原子力損害賠償に関する法律案原子力損害賠償補償契約に関する法律案、以上二案を一括議題とし、補促説明を聴取いたします。
  8. 杠文吉

    政府委員杠文吉君) まず初めに、原子力損害賠償に関する法律案につきまして補促説明を申し上げます。  原子力平和的開発利用を進めるにあたりましては、安全性確保が絶対的要件でありますことは申すまでもございません。政府といたしましては、原子炉規制法によりまして万全の対策を講じて参っている次第でございます。また原子炉設置にあたりましては、安全性の見地からする審査の一そうの厳正化を期するため、今国会におきまして原子力委員会設置法の一部改正について御審議をわずらわしまして、新たに原子炉安全専門審査会設置することと相なったのでございます。しかしながら原子力は新しい科学技術分野に属しまして、今日いまだ未知の要素も多い段階にあるのでございまして、安全性については十二分に留意いたしているのではございまするが、万が一の事故ということが考えられなくともないのでございます。かような事情にございますので、各国とも原子力損害賠償制度を確立しまして、第三者被害賠償措置について、原子力平和利用の発展を円滑にはかろうとしている状況でございます。また、国際原子力機関などが中心になりまして、損害賠償に関する条約案を作成しようといたしておりまして、国際的な賠償制度の実現もはかられる機運が醸成されております。  政府といたしましては、このような内外の情勢にかんがみまして、損害賠償制度の確立は、原子力開発利用の推進の上から、すみやかになされるべきものと考えまして、この法案を提案いたして、御審議をわずらわしている次第でございます。  以下条章を追いまして御説明申し上げたいと思います。  まず第一に、目的、第一条でございますが、この法律目的といたしましては、原子炉運転等によりまして、万々一原子力損害を生じました場合に、その損害賠償に関する基本的制度を定めておきまして、一人の被害者をも泣き寝入りさせないよう、その保護に遺憾なきを期しますとともに、原子力事業の健全な発達に資しようとするものでございます。  第二には、原子炉運転等、すなわち第二条第一項の関係でございます。この法案対象となりますものは原子炉運転。加工であって政令で定めるもの。あるいは再処理でございまして政令に定めるもの、燃料の再処理ということでございます。燃料の再処理のうち、政令で定めるもの。核燃料物質の使用であって政令で定めるもの。及びこれらに付随する核燃料物費の運搬、貯蔵、廃棄でありまして、臨界危険によりまして核的災害、すなわち原子核等によるところの災害を生じさせるものすべてを対象としておるのでございます。  第三には、原子力損害とは何かということでございますが、第二条の第二項の関係でございます。この法案原子力による特殊な災害、いわゆる核的災害に対する特別法でありますので、この定義におきましてもそれに限定しております。ただ、従業員の業務上受けました災害につきましては、現在労災保険法がございますので、今後これとあわせまして検討して参りまして、必要がございますならば特別の措置を講ずる考えもあります。とりあえずこの法律からは、第三者損害賠償ということでございまして、従業員ははずしてございます。  第四に、無過失責任及び責任集中ということでございますが、これは第三条、第四条の規定でございます。原子力事業者賠償責任につきましては、民法の特例といたしまして、これを無過失責任とし、かつ原子力事業者責任集中をいたしております。これは原子力分野におきましては、無過失であっても災害が生じ得る可能性がないとはいいきれませんし、また過失の有無の立証ということはきわめて困難であるという事情を考慮したものでございます。ただし、ここで異常に巨大な天災地変、すなわち関東大震災を例にとりますならば、それの三倍も四倍もに当たるような、そのような天災地変等がございましたおり、それによって生ずるところの損害がもしも原子力施設から生じたという場合には、原子力事業者責任を負わすということはあまりにも過酷に失しますので、そのような際には、超不可抗力というような考え方から、原子力事業者を免れさせる。しかしながらこのような場合におきましても、やはり国は被害拡大防止等に努力をする責任を持ちますことは当然のことでございます。また、原子力事業はきわめて広範にわたるところの総合産業でありまして、その発達を期するためには関連産業による資材などの供給円滑化をはからなければならない、及び被害者に対する賠償の迅速かつ過正をはかるなどの便宜を考慮いたしまして、原子力事業者責任集中いたしております。なお、原子力事業相互間の核燃料物質輸送につきましては、輸送に関する国際的な商慣習等を考慮しまして、発送人でなく、受取人の方に責任集中しております。  第五には、求償権規定でございます。これは第五条でございますが、求償権一般第三者に対しましては、故意または過失があるときは求償権を認めておりますけれども、サプライアーにつきましては、つまり資材供給等をいたす者につきましては、資材供給円滑化をはかるために、故意の場合に限りまして求償権を認めております。ただし、これを強行規定といたしますときには、いろいろ物資の供給に阻害をきたすというようなこともございまして、これも国際的な商慣行に従いまして、特約をするということを認めております。特約によって、すなわちサプライアーはその資材供給等によって第三者損害が生じた場合の責任を免れる。ただしこの場合といえども、供給者は免れますけれども、原子力事業者は免れ得ないということに相なっております。  第六には、損害賠償措置でございますが、これは第六条、第七条関係でございます。原子力事業者損害賠償措置を講じていなければ、原子炉運転等をしてはならないことといたしておきまして、賠償責任を担保させ、被害者保護をはかっております。損害賠償措置内容といたしましては、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約、後ほど御説明申し上げますが、この補償契約締結するか、あるいは金銭等供託をするか、あるいはこれらに相当するその他の方法によりまして、一工場、または一事業所当たり、すなわちこれをワンサイト当たりと申しておりますが、ワンサイト当たり五十億円を原子力損害賠償に充てることができる、充てなければならないというふうにしております。また原子力損害賠償したために、損害賠償措置金額が減少した場合には、科学技術庁長官は、所定の金額に復元させるということも命ずることができるようにいたしてあります。  第七には、原子力損害賠償責任保険契約規定でございます。これは第八条、第九条の関係でございます。原子力損害賠償責任保険につきましては、国内保険プールでは七億五千万が現在の適正消化能力でございますので、五十億ということから見ますと、足りませんので、残額四十二億五千万円というものは、ロンドンの再保険市場に出しまして、消化するということに相なっております。また責任保険保険金につきましては、被害者優先弁済を受ける権利を与えまして、その保護に遺憾なきを期しております。  第八には、原子力損害賠償補償契約、第十条、第十一条の規定でございます。原子力損害賠償責任保険におきましては、地震、あるいは正常運転、正常な原子炉運転をやっている場合、あるいは後発性障害等損害というものは填補しないことになっております。そのような場合におけるところの損害賠償に備えまして、政府原子力事業者補償契約を結びまして、いわゆる保険で見ないところの保険穴埋めをすることといたしまして、者の保護に万全を期したものであります。この内容につきましては、同町に御審議をわずらわしておりますので、この原子力損害賠償補償契約に関する法律案規定しておりますから、その際に御説明申し上げます。  第九には供託でございます。第十二条から第十五条の関係になりますが、損害賠償措置は、大部分は責任保険及び補償契約という形になろうかと存じておりますけれども、これに限りませず、供託等によりましてもいいということにいたしております。供託につきましては、金銭または特定の有価証券に限り、また被害者優先返済を受ける権利を与えるということなど、被害者保護に十分留意しております。  第十には国の措置でございまして、これは第十六条、第十七条関係でございます。五十億円以内の損害につきましては、以上申し上げましたように原子力事業者が講ずる損害補償措置、すなわち保険並びに補償契約、あるいは供託等によりまして完全にカバーされますけれども、万々一これをこえる損害が生じた場合におきましては政府被害者保護原子力事業の健全な発達というこの法律目的を達成するために必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、国会議決によりまして、政府に属させられた権限の範囲内において必要な援助を行なうことといたしまして、一人の被害者も泣き寝入りすることなく、かつ原子力事業の健全な発達を阻害することのないよう配慮をいたしておる次第でございます。また異常な巨大な天災地変等によりまして原子力損害が生じた場合には、原子力事業者責任をすべて集中的に負わせるということはあまりにも苛酷でありますので、そのような場合には免責をいたしますけれども、被害者の救助及び被害拡大防止のため必要な措置政府が講じまして、住民の不安を除くということにいたしております。  第十一には、原子力損害賠償紛争審査会規定であります。これは第十八条でございます。原子力損害賠償に関しましては、常時資料の整備あるいは想定に基づくところの検討などを行ないまして、迅速、的確な措置をしたいということはもちろんでございますけれども、紛争が生じた場合におきまして、その迅速、適正な処理をはかるために科学技術庁に必要に応じて原子力損害賠償紛争審査会というものを設置いたしまして、和解の仲介並びにこのため必要な損害調査及び評価を行なわせることといたしております。  第十二には、国会への報告及び意見書提出でございまして、これは第十九条でございます。相当規模の原子力損害が生じた場合には、その処理につきまして国会の意思が十分反映されることが適当と考えられますので、政府はすみやかにその損害状況及びこの法律に基づいてとった措置を報告するとともに、専門的立場からするところの原子力委員会損害処理及びその防止等につてい意見書提出するということを予定いたしております。その意見書提出された折には、政府はその意見書国会提出しなければならないということにいたしております。  第十三には、第十条第一項すなわち補償契約及び第十六条第一項国の援助規定適用関係でございまして、これは第二十条でございます。国の補償契約及び国の援助につきましては、時限立法的に考えまして昭和四十六年末までに原子炉運転その他の行為を開始したものについて適用するものといたしております。この限時法といたしました理由は、原子力研究開発促進によりまして、安全性につきましても一そうの確保が可能になることも考えられます。それからまた民間責任保険につきましても填補範囲が拡充される、あるいは引き受け能力が増大するというようなことも考えられます。また国際的にも賠償制度が拡大充実されるということも予想されることでございますので、大体十年間というものを限ってこの法律適用を見るということにいたしておきまして、その後今申し上げましたような改善措置がなされるには、また改正をお願いしたいというふうに考えております。  以上ただいま御審議をお願いいたしております原子力損害賠償に関する法律案の全条にわたりまして、その要点を御説明申し上げました。  次には、原子力損害賠償補償契約、もう一つの方でございます。補償契約に関する法律案につきまして補足説明申し上げます。  第一には、原子力損害賠償補償契約、すなわち第二条の規定でございます。さきに御説明申し上げました原子力損害賠償に関する法律案におきまして、原子力事業者損害補償措置を講じさせることといたしておりますが、その一部である責任保険は、外国の再保険市場関係もございまして、地震その他による原子力損害を填補いたしませんので、政府といたしましては、これら責任保険の填補しない損害をいわゆる穴埋めをするために、原子力事業者原子力損害賠償補償契約という一種の国家保険契約とも見られるようなものを締結いたしておきまして、被害者保護に遺憾なきを期しておる次第でございます。  第二に、補償損失規定でございます。これは第三条でございます。政府補償契約によりまして補償する損失といたしましては、地震または噴火によるところの損害、それから正常運転によるところの損害、あるいは事故があって十年以後に賠償請求がなされたもののほか、政令で定めるものをその対象とするということになっております。  地震噴火につきましては、原子炉設置の際十分これを考慮しております。先ほども申し上げましたように、異常巨大なと申しますのは、たとえて申しますならば、関東大震災の三倍も四倍もというふうに考えられまして、関東大震災のほぼ二倍程度というようなものがあっても大丈夫であるというような審査内容にはなっております。ところが、万々一にも起こり得ないものとは考えておりますけれども、もし発生した場合に対処しまして国が補償することといたしております。地力 噴火によるところの損害は補償することにいたしております。  正常運転と申しますのは、許容された、すなわち許された水準以下で放射能を放出している場合でございまして、現在の科学知識ではこのような場合に損害発生することは予想し得ませんけれども未知分野が多いところの原子力のことでもございますので、万々一の場合に対処するために補償契約で埋めるということにいたしております。  また事故があってから十年以後に賠償請求がなされたものといいますのは、保険経理上は一応一年間ということで成立する必要がございますけれども、その間に請求はされてないけれども、病気発生した、すなわち後遺性傷害と称しております病気発生したというような場合におきまして、その人が泣き寝入りすることがないようにということでございまして、その保険でみないところの十年以後のものも補償契約対象といたします。ただし、これは時効の関係がございまして二十年間ということに相なっております。  それから政令におきましては、このほか保険の填補しないもの、すなわち保険会社から申しますといろいろ施設等を変更したりしたときには通知か何かしなければなりませんけれども、それを原子力事業者が怠った、そのために災害が起こった、そういった場合におきまして、保険業者としてはめんどうみませんけれども、国との補償契約におきましてそのようなときにめんどうをみるというような内容政令を定めたいというふうに考えております。  次には第三に、補償契約金額、第四条関係でございます。補償契約金額は、原則として損害賠償措置金額ということに合わしております。かりに供託その他の措置が一部講じられている場合には、補償契約とこれらの措置と合わせて損害賠償保険金額となるようにいたしております。非常にこまかないろいろな表現は用いておりますけれども、内容はただいま申し上げた通りであります。  第四、補償契約期間でございます。これは第五等でございますが、補償契約の填補する期間は、原子炉運転等をやめるときまでといたしまして、核的災害発生する危険がある間は填補することといたしております。そして被害者保護に欠けることのないようにという考慮をいたしております。  第五に、補償料、すなわち第六条でございます。補償料の算定につきましては、損害発生の見込みがどうであるかということ、それから国の事務取扱費がございます。それなどを勘案いたしまして定めることといたしております。今後保険料率とも合わせまして、すなわち責任保険料率とも合わせまして検討して参りたいと存じております。原子力事業の健全な発達に支障を来たさないように適正な料率政令で定めていきたいという考えでございます。  第六は補償金でございます。第七条でございます。政府が補償いたしますのは、補償契約期間内に原子力損害発生された原因となった行為があるものについて補償契約金額までとしております。原因行為契約期間内にあれば填補することといたしましたのは、高活性災害に対処したものでございます。また、責任保険料を一部支払われている場合につきましては、それを控除して支払うものとして、公平を期しております。二重に払うということのないようにはいたしております。  第七には、補償契約締結限度でございます。これは第八条でございますが、補償契約締結限度は、国会議決を経ることとしておりますが、本年度は、さしあたりまして、債務負担行為といたしまして、予算総則に二十億円を計上しております。  第八には通知、第九条でございますが、原子力事業者に対しまして原子炉運転等に関する重要な事実を通知させるものとしておりますが、これは保険契約告知義務通知義務と同様なものであります。先ほど説明しましたように、保険契約において、通知義務を怠った場合に補償契約で見ると申しましたが、補償契約の面におきましても、告知義務、通知義務と同様に規定をいたしております。通知義務に違反しました場合には補償契約を解除し、あるいは、補償金を返還させることといたしております。  第九には、補償金の返還、すなわち十三条でございます。この補償契約におきましては、被害者保護の見地から、補償範囲を広くして、かつ免責をしませんので、公平を期するために、原子力事業者に重大な責めに帰すべき事由があるときには、国は、補償金を支払った後、それに相当する金額原子力事業者から、返還させることといたしたのであります。補償金を払いますけれども、重大な過失等があった場合には、原子力事業者から国は取り上げます、ただ払うだけではございません、という規定でございます。第十三条第一号に申しますところの、「第三条第四号に掲げる原子力損害のうち政令で定めるもの」と申しますのは、原子力事業者責任保険契約に違反したため、保険が填補しないで、国がかわって補償する場合をさしております。また通知義務違反につきましては、この法案で、特に重要な事項は国に通知させることといたしておりますが、これに違反した場合であります。また解除後に与えた損害につきましては、本来これは即時解除すべきものについて、被害者保護のために九十日の猶予を置いたのでありまして、本来は即時解除すべきところでありますけれども、被害者保護するために九十日間の有効期間を持たしておる、余裕を置いたのでありまして、原子力事業者に恩恵を与える必要はありませんが、被害者保護という見地から、九十日という余裕を置いて返還させるということにいたしたのでございます。  第十には解除でございます。第十四条、第十五条の関係でございます。政府は、補償契約の相手方である原子力事業者が、保険——先ほど申しました責任保険及び補償契約以外、供託による賠償措置を講じました場合には、補償契約の解除をすることができます。これは二重に措置をする必要はないという意味から、保険並びに補償契約につきましては解除をすることができるというふうに規定いたしております。また損害補償措置を講じないで原子炉運転等をした場合、補償料の納付を怠ったとき、あるいは通知義務に違反したとき、保安のために講ずべき措置を講ずることを怠ったときなど、原子力事業者の重大な業務違反があったときに、補償契約を解除することといたしました。この効力は九十日後に発生するものといたしまして、その間に原子力事業者に危険措置の除去など適切な措置をとらせることといたしました。被害者保護に万全を期しております。  最後に、第十一でございますが、過怠金、すなわち第十六条の規定でございます。原子力事業者に重大な義務違反がある場合には、返還あるいは解除することといたしておりますけれども、軽微なものにつきましては、原子力事業者から過怠金を徴収することといたしております。  以上、原子力損害賠償補償契約に関する法律案の全条にわたりまして、その要点を補足御説明申し上げました。
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 両案の質疑は次回に譲ります。   —————————————
  10. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、商工会組織等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、補足説明を聴取いたします。  なお、本案は衆議院において修正が加えられておりますが、右修正点につきましても、便宜政府委員より説明を聴取することといたします。
  11. 小山雄二

    政府委員(小山雄二君) 商工会組織等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。  本改正法律案の趣旨の説明提案理由で尽きておりますので、以下条文を追いまして、主要な点を御説明申し上げます。  まず、第一条の法律目的でありますが、これは商工会連合会を法制化し、かつこれを助成の対象として加えたことに伴う当然の改正であります。  次に、第二章の二として商工会連合会の童を新設したわけでありますが、その第一節は通則について定めております。  第五十五条の二は目的に関する規定でありまして、商工会連合会は、商工会の健全な発達をはかることを直接目的とし、ひいては商工業の振興に寄与することを間接目的としております。  第五十五条の三、連合会は、都道府県商工会連合会と全国商工連合会の二棟類とし、いずれも第五十五条の四によって特殊法人としての法人格を与えられております。  第五十正条の二は、名称、第五十五条の六は、数に関する規定でありまして、たとえば都道府県連合会の場合、何々県の連合会ならば何々県商工会連合会という名称のものが県内でただ一つできることになります。  第五十五条の七として、現行法第六条を準用し、連合会は、営利を目的とせず、特定の個人または法人その他の団体の利益を目的としてその事業を行なってはならず、またこれを特定の政党のために利用してはならないことを規定しております。  第二節は、連合会の事業について定めております。  第五十五条の八第一項は、都道府県連合会の事業でありまして、第一号の商工会の組織または事業について指導または連絡を行なうことが、都道府県連合会の最も中心的な事業であります。その他、都道府県連合会の目的達成のために、各種の事業を行なうことになっております。  第二項は、全国連合会の事業であります。第一号の、都道府県連合会の組織または事業について指導または連絡を行なうことが、全国連合会の最も中心的な事業であることは、第一項の場合と同様でありまして、その他、目的達成のために、各種の事業を行なうことといたしております。  第三節は、会員に関する規定であります。  第五十五条の十、第五十五条の十一、及び第五十五条の十二は、それぞれ、会員の資格、加入及び脱退について定めております。都道府県連合会の場合は、当該都道府県内に主たる事務所を有する商工会が会員資格を有し、商工会の場合と同じく、加入及び脱退は任意であるとの原則をとっております。ただ全国連合会と都道府県連合会との関係は、これらが一応別法人であるとはいいながらも、単位商工会の指導を有効に、かつ徹底して行なうためには、一体的に活動することが必要でありまして、近い将来において二千数百にも達する単位商工会を直接指導することが不可能なところから、いわば府県連という中二階を設けたものでありまして、両者はちょうど本部と支部の関係に近いと考えられること、等の理由から、中小企業等協同組合法における都道府県中央会と全国中央会の例にならって、都道府県連合会は全国連合会に当然加入することとした次第であります。  第四節は設立に関する規定であり、ほぼ商工会の例にならっております。ただ商工会の場合は発起人の数は十五人以上でありますが、連合会の場合は会員資格を有する者の数がはるかに少ないので五以上となっております。また第五十五条の十五によりまして、認可要件のうちの組織率の規定を準用しておりますが、これにより、都道府県連合会は、会員資格者の二分の一以上、全国連合会は、有資格者の二十五以上の加入を要件としております。  第五節は管理等に関する規定でありまして第五十五条の十六は定款、第五十五条の十七は役員について定めております。全国連合会の理事を十人以内といたしましたのは、会員総数が最高四十六しかないからであります。また第五十五条の十七第二項において、理事については必要がある場合には定数の五分の一以内に限り、いわゆる員外役員を認めております。  次に第三章以下の改正でありますが、この部分は新旧対照表二〇ページ以下をごらんいただくとわかりいいかと存じます。  まず助成に関する第五十六条の改正でありますが、現行法では商工会または商工会議所の行なう経常改善普及事業のみを、都道府県を通ずる間接補助の対象としていたのでありますが、今回の改正により、経営改善普及事業に関し都道府県連合会が商工会を指導するのに要する経費をも間接補助の対象に加えたわけであります。さらに第二項を新たに追加して、経営改善普及事業に関し、全国連合会及び商工会及び都道府県連合会を指導するのに要する経費を直接補助の対象として加えております。なお法文には第一項、第二項とも経費の一部を補助することができると規定されておりますが、昭和三十六年度予算におきましては、第一項の間接補助の場合は都道府県の補助額の二分の一、第二項の直接補助の場合は経費の二分の一を国が補助することとし、商工会及び商工会議所に対する分が七億六千五百二十五万円、都道府県連合会に対する分が二千五十九万円、全国連合会に対する分が二百三十六万円、その他を合わせて小規模事業対策推進費の総額は、八億二千四百六十八万円となっております。  次に第六十二条ないし第六十六条の改正では、いずれも罰則規定に関する当然の改正であります。  最後に付則でありますが、大別して五つの事項規定しております。  第一は、附則第一条の本法の施行期日の規定であります。  第二は、第二条の経過措置に関する規定でありまして、名称の使用禁止について一年間の猶予期間を設けております。  第三は、社団法人の都道府県商工会連合会への転移に関する規定であります。現在府県連合会で社団法人となっているものが十二ありますが、これらはその目的、事業及び構成員において、この法律に基づく都道府県連合会とおおむね同様のものと認められますので、解散及び清算等の煩瑣な手続を経ることなく、本法に基づく特殊法人に転移し得る道を開いたものであります。  第四は、商工会連合会に対して商工会と同様の免税措置を講ずるための各種税法の改正規定であります。  第五は、商工会議所法の一部改正及びこれに伴う経過措置であります。商工会議所法第六十六条は、日本商工会議所の会員に関する規定でありまして、会員資格を有する者として第一項の商工会議所のほかに第二項でいわゆる定款会員として商工会議所に準ずる団体をあげております。しかしながら今回の法律案におきましても商工会連合会には定款会員を認めておりませんし、日本商工会議所に定款会員の道を今後も残しておきますと、両方の組織の上に無用の混乱を生ずるおそれもありますので、この際、日本商工会議所につきましても定款会員の道を閉ざすことにしたわけであります。ただ、現在この規定に基づいて日本商工会議所の会員となっておりますのは琉球商工会議所ただ一つであり、これにつきまして組織の混乱を生ずるおそれも皆無でありますので、第九条の経過措置でこれを例外として取り扱うこととした次第であります。  以上をもちまして補足説明を終わります。  次に、本法律案は、衆議院で一部修正を受けましたので、委員長の御指示によりまして便宜私からその修正点につきまして御説明申し上げます。  この修正の提案者は、自由民主党、日本社会党、民主社会党、三派による共同提案でございます。話は実は社会党の方からございまして、三派でいろいろお話し合いの上、案がまとまりまして、趣旨の説明は自由民主党の小川委員の方から御説明がございまして、この改正点を含めまして、原案が全会一致で可決されたような次第でございます。  修正の内容は、都道府県連合会の省外理事の数について、理事定数の「五分の一以内」とあるのを「十分の一以内」に改めること、こういう趣旨でございます。  その修正の理由は、商工会連合会の自主的かつ民主的な運営を確保する必要性が強いことにかんがみ、その設け得る員外理事の数を必要最小限度にとどめるため、都道府県連合会の員外理事の数が理事定数の「五分の一以内」となっているのを「十分の一以内」に改めるものであります。  なお、全国連合会につきましては、都道府県連合会と同等以上の高度の指導性が要求される反面、理事定数は十名以内でありまして、員外理事の数を「十分の一以内」と修正いたしますと、員外理事は一名しか置けないことになりますので、都道府県連合会と同様二名程度の員外理事を設け得るようにするため、その員外理事の数は、原案通り「五分の一以内」ということにされた次第であります。  以上が改正点の内容でございます。  以上をもって補足説明を終わります。
  12. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本案の質疑は、次回に譲ります。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  13. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後.零時二分散会