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1961-05-23 第38回国会 参議院 商工委員会 第25号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十六年五月二十三日(火曜日) 午前十一時十一分開会
—————————————
委員
の
異動
本日
委員岸田幸雄
君、
鈴木万平
君、
相澤重明
君及び
近藤信一
君辞任につ き、その
補欠
として
野田俊作
君、
新谷
寅三郎
君、阿
具根登
君及び
江田三郎
君 を議長において指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
剱木
亨弘
君 理事 川上 為治君 古池 信三君 椿 繁夫君
委員
大泉 寛三君 大川 光三君 小林 英三君 斎藤 昇君
新谷寅三郎
君
野田
俊作
君 山本
利壽
君
政府委員
科学技術政務次
官 松本 一郎君
科学技術庁原子
力局長
杠
文吉
君
通商産業政務次
官
始関
伊平
君
通商産業大臣官
房長
樋詰
誠明君
通商産業省重工
業局長
佐橋 滋君
通商産業省鉱山
保安局長
小岩井康朔
君
中小企業庁長官
小山 雄二君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
石炭鉱山保安臨時措置法案
(内閣送 付、
予備審査
) ○
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
原子力損害賠償補償契約
に関する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
商工会
の
組織等
に関する
法律
の一部 を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、衆議
院送付
)
—————————————
剱木亨弘
1
○
委員長
(
剱木亨弘
君) これより
商工委員会
を開会いたします。 本日は、
石炭鉱山保安臨時措置法案
の
提案理由
の
説明
、
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
、
原子力損害賠償補償契約
に関する
法律案
及び
商工会
の
組織等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
の
補足説明
をそれぞれ聴取します。 なお、右の後、
機械類賦払信用保険臨時措置法案
の
審議
を行なう予定でありますが、
衆議院商工委員会
との
関係
で、
通産大臣
の
出席
がない場合は次回とすることといたします。
—————————————
剱木亨弘
2
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 初めに
委員
の
異動
について報告いたします。本日
相澤重明
君、
近藤信一
君、
岸田幸雄
君及び
鈴木万平
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として阿
具根登
君、
江田三郎
君、
野田俊作
君及び
新谷寅三郎
君が
委員
に選任されました。
—————————————
剱木亨弘
3
○
委員長
(
剱木亨弘
君) それではまず
石炭鉱山保安臨時措置法案
を
議題
とし、
提案理由
の
説明
を聴取します。
始関伊平
4
○
政府委員
(
始関伊平
君)
石炭鉱山保安臨時措置法案
につきまして、その
提案理由
及び
法律案
の
要旨
について御
説明
申し上げます。 最近相次いで
炭鉱
の
重大災害
が
発生
しましたことは、
政府
としてまことに遺憾とするところであります。申すまでもなく人命の尊重は、何よりも重要なことでありまして、
政府
としても従来ともこの方針のもとに
保安行政
を推進してきたのでありますが、最近の
状況
は、さらに徹底して
対策
の必要なことを痛感せしめるに至ったのであります。また
国会
におきましても事の
重要性
にかんがみ、
衆参両院
において
炭鉱災害防止
に関する
決議
が行なわれたのであります。
政府
はこの
決議
の趣旨を十分に尊重し、かつ
中央鉱山保安協議会
その他の
関係者
の
意見
をも勘案の上、
さき
に
鉱山保安確保
のための
具体的対策
と、当面必要となる
予算的措置
について
閣議決定
をいたしたのでありますが、そのうち
法律
を要する
重要事項
について、ここに成案を得て急遽提案することとなったのであります。
炭鉱
の
保安
をはかる
基本的方向
が、
鉱山保安法
、
鉱業法
の厳正なる運用にあることは申すまでもありません。
政府
としても常々この点に留意し、
保安監督
の
強化
をはかってきたのでありますが、今日における
中小炭鉱
の
実情
を見まするに、一方において
保安監督
の
強化
をはかるかたわら、他方各
炭鉱
の
実情
に即して抜本的な施策を講ずる必要があるのであります。このため
政府
といたしましては、このたび
石炭鉱山
の
実態
を総合的に
調査
することとし、その結果に基づいて
保安
に関する
設備
の
整備
の
促進
をはかるとともに、
保安
を
確保
することが困難な
石炭鉱山
に対し廃業を円滑に行なわせるための
措置
を講ずることといたした次第であります。 次に本
法案
の
要旨
について御
説明
申し上げます。 第一は、
石炭鉱山
の
実態
を
適確
に把握し、その
保安
の
確保
をはかるため、
採掘権者
または
租鉱権者
について、
自然条件
、
経理的基礎
及び
技術的能力
並びに
保安
に関する
事項
に関し
総合的調査
を行ない、その結果必要があるときは、
保安
に関する
事項
の
改善勧告
をできるようにするとともに、
保安設備
の
整備
に必要な資金を
確保
することに努めることとしたのであります。 第二は、
総合的調査
の結果
保安
を
確保
することが困難であると認められる
採掘権者
または
租鉱権者
に対して、
鉱業
の廃止の
勧告
をできるようにするとともに、
勧告
を受けた者が、
勧告
に従って
採掘権
または
租鉱権
を放棄したときは、
石炭鉱山整理交付金
を
交付
することができることとしたのであります。 第三は、この
交付金
について、
未払い賃金
及び
鉱害賠償債務
に優先的に充当するための
措置
を講じたことであります。そのために
交付金
は、
石炭鉱業合理化事業団
を通じて
交付
することとし、
石炭鉱業合理化事業団
は、
鉱業
を廃止した者にかわって
未払い賃金
及び
鉱害賠償債務
の
弁済
を行なうこととしたのであります。 第四は、今後新たに
保安確保
ができない
石炭鉱山
の
発生
を防止するため、
交付金
の
交付
を受けた者に対しては、n己の放棄した
採掘権
または
租鉱権
の区域に再び
権利
を設定することを禁止するとともに、
石炭鉱業合理化臨時措置法
の
坑口開設許可制度
を
改正
し、
保安
を
確保
するために必要な
経理的基礎
及び
技術的能力
を有しない者は、
鉱業
を行なうことができないように
措置
したのであります。 なお、この
法律
は、
石炭鉱山
の
保安確保
の
緊急対策
としての性格にかんがみ、
有効期間
を二年とする
臨時措置法
といたしました。 以上簡単でこざいましたが、この
法律案
の
提案理由
及びその
要旨
について御
説明
申し上げました。 何とぞ
慎重審議
の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
剱木亨弘
5
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 本案の質疑は後日に譲ります。
—————————————
剱木亨弘
6
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 次に、
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
、
原子力損害賠償補償契約
に関する
法律案
、以上二案を
一括議題
とし、
補促説明
を聴取いたします。
杠文吉
7
○
政府委員
(
杠文吉
君) まず初めに、
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
につきまして
補促説明
を申し上げます。
原子力
の
平和的開発利用
を進めるにあたりましては、
安全性
の
確保
が絶対的要件でありますことは申すまでもございません。
政府
といたしましては、
原子炉
の
規制法
によりまして万全の
対策
を講じて参っている次第でございます。また
原子炉
の
設置
にあたりましては、
安全性
の見地からする
審査
の一そうの
厳正化
を期するため、今
国会
におきまして
原子力委員会設置法
の一部
改正
について御
審議
をわずらわしまして、新たに
原子炉安全専門審査会
を
設置
することと相なったのでございます。しかしながら
原子力
は新しい
科学技術
の
分野
に属しまして、今日いまだ
未知
の要素も多い段階にあるのでございまして、
安全性
については十二分に留意いたしているのではございまするが、万が一の
事故
ということが
考え
られなくともないのでございます。かような
事情
にございますので、各国とも
原子力損害賠償制度
を確立しまして、
第三者被害
の
賠償
の
措置
について、
原子力
の
平和利用
の発展を円滑にはかろうとしている
状況
でございます。また、
国際原子力機関
などが中心になりまして、
損害賠償
に関する
条約案
を作成しようといたしておりまして、国際的な
賠償制度
の実現もはかられる機運が醸成されております。
政府
といたしましては、このような内外の情勢にかんがみまして、
損害賠償制度
の確立は、
原子力開発利用
の推進の上から、すみやかになされるべきものと
考え
まして、この
法案
を提案いたして、御
審議
をわずらわしている次第でございます。 以下条章を追いまして御
説明
申し上げたいと思います。 まず第一に、
目的
、第一条でございますが、この
法律
の
目的
といたしましては、
原子炉
の
運転等
によりまして、
万々一原子力損害
を生じました場合に、その
損害賠償
に関する
基本的制度
を定めておきまして、一人の
被害者
をも泣き寝入りさせないよう、その
保護
に遺憾なきを期しますとともに、
原子力事業
の健全な
発達
に資しようとするものでございます。 第二には、
原子炉
の
運転等
、すなわち第二条第一項の
関係
でございます。この
法案
の
対象
となりますものは
原子炉
の
運転
。加工であって
政令
で定めるもの。あるいは再
処理
でございまして
政令
に定めるもの、
燃料
の再
処理
ということでございます。
燃料
の再
処理
のうち、
政令
で定めるもの。
核燃料物質
の使用であって
政令
で定めるもの。及びこれらに付随する
核燃料物費
の運搬、貯蔵、廃棄でありまして、臨界危険によりまして
核的災害
、すなわち
原子核等
によるところの
災害
を生じさせるものすべてを
対象
としておるのでございます。 第三には、
原子力
の
損害
とは何かということでございますが、第二条の第二項の
関係
でございます。この
法案
は
原子力
による特殊な
災害
、いわゆる
核的災害
に対する
特別法
でありますので、この定義におきましてもそれに限定しております。ただ、
従業員
の業務上受けました
災害
につきましては、現在
労災保険法
がございますので、今後これとあわせまして検討して参りまして、必要がございますならば特別の
措置
を講ずる
考え
もあります。とりあえずこの
法律
からは、
第三者損害賠償
ということでございまして、
従業員
ははずしてございます。 第四に、
無過失責任
及び
責任
の
集中
ということでございますが、これは第三条、第四条の
規定
でございます。
原子力事業者
の
賠償責任
につきましては、民法の特例といたしまして、これを
無過失責任
とし、かつ
原子力事業者
に
責任
の
集中
をいたしております。これは
原子力
の
分野
におきましては、無
過失
であっても
災害
が生じ得る
可能性
がないとはいいきれませんし、また
過失
の有無の立証ということはきわめて困難であるという
事情
を考慮したものでございます。ただし、ここで異常に巨大な
天災地変
、すなわち
関東大震災
を例にとりますならば、それの三倍も四倍もに当たるような、そのような
天災地変等
がございましたおり、それによって生ずるところの
損害
がもしも
原子力施設
から生じたという場合には、
原子力事業者
に
責任
を負わすということはあまりにも過酷に失しますので、そのような際には、超不可抗力というような
考え
方から、
原子力事業者
を免れさせる。しかしながらこのような場合におきましても、やはり国は
被害
の
拡大防止等
に努力をする
責任
を持ちますことは当然のことでございます。また、
原子力事業
はきわめて広範にわたるところの
総合産業
でありまして、その
発達
を期するためには
関連産業
による
資材
などの
供給
の
円滑化
をはからなければならない、及び
被害者
に対する
賠償
の迅速かつ過正をはかるなどの便宜を考慮いたしまして、
原子力事業者
に
責任
を
集中
いたしております。なお、
原子力事業相互
間の
核燃料物質
の
輸送
につきましては、
輸送
に関する国際的な
商慣習等
を考慮しまして、
発送人
でなく、
受取人
の方に
責任
が
集中
しております。 第五には、
求償権
の
規定
でございます。これは第五条でございますが、
求償権
は
一般第三者
に対しましては、
故意
または
過失
があるときは
求償権
を認めておりますけれども、
サプライアー
につきましては、つまり
資材
の
供給等
をいたす者につきましては、
資材
の
供給
の
円滑化
をはかるために、
故意
の場合に限りまして
求償権
を認めております。ただし、これを
強行規定
といたしますときには、いろいろ物資の
供給
に阻害をきたすというようなこともございまして、これも国際的な
商慣行
に従いまして、
特約
をするということを認めております。
特約
によって、すなわち
サプライアー
はその
資材
の
供給等
によって
第三者損害
が生じた場合の
責任
を免れる。ただしこの場合といえども、
供給者
は免れますけれども、
原子力事業者
は免れ得ないということに相なっております。 第六には、
損害賠償措置
でございますが、これは第六条、第七条
関係
でございます。
原子力事業者
は
損害賠償措置
を講じていなければ、
原子炉
の
運転等
をしてはならないことといたしておきまして、
賠償責任
を担保させ、
被害者
の
保護
をはかっております。
損害賠償措置
の
内容
といたしましては、
原子力損害賠償責任保険契約
及び
原子力損害賠償補償契約
、後ほど御
説明
申し上げますが、この
補償契約
を
締結
するか、あるいは
金銭等
の
供託
をするか、あるいはこれらに相当するその他の方法によりまして、一工場、または一
事業所当たり
、すなわちこれを
ワン
・
サイト当たり
と申しておりますが、
ワン
・
サイト当たり
五十億円を
原子力損害賠償
に充てることができる、充てなければならないというふうにしております。また
原子力損害
を
賠償
したために、
損害賠償措置
の
金額
が減少した場合には、
科学技術庁長官
は、所定の
金額
に復元させるということも命ずることができるようにいたしてあります。 第七には、
原子力損害賠償責任保険契約
の
規定
でございます。これは第八条、第九条の
関係
でございます。
原子力損害賠償責任保険
につきましては、
国内保険プール
では七億五千万が現在の
適正消化能力
でございますので、五十億ということから見ますと、足りませんので、残額四十二億五千万円というものは、ロンドンの再
保険市場
に出しまして、消化するということに相なっております。また
責任保険
の
保険金
につきましては、
被害者
に
優先弁済
を受ける
権利
を与えまして、その
保護
に遺憾なきを期しております。 第八には、
原子力損害賠償補償契約
、第十条、第十一条の
規定
でございます。
原子力損害賠償責任保険
におきましては、
地震
、あるいは
正常運転
、正常な
原子炉
の
運転
をやっている場合、あるいは
後発性障害等
の
損害
というものは填補しないことになっております。そのような場合におけるところの
損害賠償
に備えまして、
政府
は
原子力事業者
と
補償契約
を結びまして、いわゆる
保険
で見ないところの
保険
の
穴埋め
をすることといたしまして、者の
保護
に万全を期したものであります。この
内容
につきましては、同町に御
審議
をわずらわしておりますので、この
原子力損害賠償補償契約
に関する
法律案
に
規定
しておりますから、その際に御
説明
申し上げます。 第九には
供託
でございます。第十二条から第十五条の
関係
になりますが、
損害賠償措置
は、大部分は
責任保険
及び
補償契約
という形になろうかと存じておりますけれども、これに限りませず、
供託等
によりましてもいいということにいたしております。
供託
につきましては、
金銭
または特定の
有価証券
に限り、また
被害者
に
優先返済
を受ける
権利
を与えるということなど、
被害者保護
に十分留意しております。 第十には国の
措置
でございまして、これは第十六条、第十七条
関係
でございます。五十億円以内の
損害
につきましては、以上申し上げましたように
原子力事業者
が講ずる
損害補償措置
、すなわち
保険
並びに
補償契約
、あるいは
供託等
によりまして完全にカバーされますけれども、
万々一
これをこえる
損害
が生じた場合におきましては
政府
は
被害者保護
と
原子力事業
の健全な
発達
というこの
法律
の
目的
を達成するために必要があると認めるときは、
原子力事業者
に対し、
国会
の
議決
によりまして、
政府
に属させられた権限の
範囲
内において必要な
援助
を行なうことといたしまして、一人の
被害者
も泣き寝入りすることなく、かつ
原子力事業
の健全な
発達
を阻害することのないよう配慮をいたしておる次第でございます。また異常な巨大な
天災地変等
によりまして
原子力損害
が生じた場合には、
原子力事業者
に
責任
をすべて
集中
的に負わせるということはあまりにも苛酷でありますので、そのような場合には免責をいたしますけれども、
被害者
の救助及び
被害
の
拡大防止
のため必要な
措置
は
政府
が講じまして、住民の不安を除くということにいたしております。 第十一には、
原子力損害賠償紛争審査会
の
規定
であります。これは第十八条でございます。
原子力損害
の
賠償
に関しましては、常時資料の
整備
あるいは想定に基づくところの検討などを行ないまして、迅速、的確な
措置
をしたいということはもちろんでございますけれども、
紛争
が生じた場合におきまして、その迅速、適正な
処理
をはかるために
科学技術庁
に必要に応じて
原子力損害賠償紛争審査会
というものを
設置
いたしまして、和解の仲介並びにこのため必要な
損害
の
調査
及び評価を行なわせることといたしております。 第十二には、
国会
への報告及び
意見書
の
提出
でございまして、これは第十九条でございます。相当規模の
原子力損害
が生じた場合には、その
処理
につきまして
国会
の意思が十分反映されることが適当と
考え
られますので、
政府
はすみやかにその
損害
の
状況
及びこの
法律
に基づいてとった
措置
を報告するとともに、
専門的立場
からするところの
原子力委員会
が
損害
の
処理
及びその
防止等
につてい
意見書
を
提出
するということを予定いたしております。その
意見書
が
提出
された折には、
政府
はその
意見書
を
国会
に
提出
しなければならないということにいたしております。 第十三には、第十条第一項すなわち
補償契約
及び第十六条第一項国の
援助
の
規定
の
適用関係
でございまして、これは第二十条でございます。国の
補償契約
及び国の
援助
につきましては、時限立法的に
考え
まして
昭和
四十六年末までに
原子炉
の
運転
その他の
行為
を開始したものについて
適用
するものといたしております。この限時法といたしました
理由
は、
原子力
の
研究開発
の
促進
によりまして、
安全性
につきましても一そうの
確保
が可能になることも
考え
られます。それからまた
民間責任保険
につきましても
填補範囲
が拡充される、あるいは引き受け
能力
が増大するというようなことも
考え
られます。また国際的にも
賠償制度
が拡大充実されるということも予想されることでございますので、大体十年間というものを限ってこの
法律
の
適用
を見るということにいたしておきまして、その後今申し上げましたような
改善措置
がなされるには、また
改正
をお願いしたいというふうに
考え
ております。 以上ただいま御
審議
をお願いいたしております
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
の全条にわたりまして、その要点を御
説明
申し上げました。 次には、
原子力損害賠償補償契約
、もう一つの方でございます。
補償契約
に関する
法律案
につきまして
補足説明
申し上げます。 第一には、
原子力損害賠償補償契約
、すなわち第二条の
規定
でございます。
さき
に御
説明
申し上げました
原子力損害
の
賠償
に関する
法律案
におきまして、
原子力事業者
に
損害補償措置
を講じさせることといたしておりますが、その一部である
責任保険
は、外国の再
保険市場
の
関係
もございまして、
地震
その他による
原子力損害
を填補いたしませんので、
政府
といたしましては、これら
責任保険
の填補しない
損害
をいわゆる
穴埋め
をするために、
原子力事業者
と
原子力損害賠償補償契約
という一種の
国家保険契約
とも見られるようなものを
締結
いたしておきまして、
被害者
の
保護
に遺憾なきを期しておる次第でございます。 第二に、
補償損失
の
規定
でございます。これは第三条でございます。
政府
が
補償契約
によりまして補償する
損失
といたしましては、
地震
または
噴火
によるところの
損害
、それから
正常運転
によるところの
損害
、あるいは
事故
があって十年以後に
賠償請求
がなされたもののほか、
政令
で定めるものをその
対象
とするということになっております。
地震
、
噴火
につきましては、
原子炉設置
の際十分これを考慮しております。
先ほど
も申し上げましたように、異常巨大なと申しますのは、たとえて申しますならば、
関東大震災
の三倍も四倍もというふうに
考え
られまして、
関東大震災
のほぼ二倍程度というようなものがあっても大丈夫であるというような
審査
の
内容
にはなっております。ところが、
万々一
にも起こり得ないものとは
考え
ておりますけれども、もし
発生
した場合に対処しまして国が補償することといたしております。地力
噴火
によるところの
損害
は補償することにいたしております。
正常運転
と申しますのは、許容された、すなわち許された水準以下で放射能を放出している場合でございまして、現在の
科学知識
ではこのような場合に
損害
が
発生
することは予想し得ませんけれども
未知
の
分野
が多いところの
原子力
のことでもございますので、
万々一
の場合に対処するために
補償契約
で埋めるということにいたしております。 また
事故
があってから十年以後に
賠償請求
がなされたものといいますのは、
保険
の
経理
上は一応一年間ということで成立する必要がございますけれども、その間に
請求
はされてないけれども、
病気
が
発生
した、すなわち
後遺性傷害
と称しております
病気
が
発生
したというような場合におきまして、その人が泣き寝入りすることがないようにということでございまして、その
保険
でみないところの十年以後のものも
補償契約
の
対象
といたします。ただし、これは時効の
関係
がございまして二十年間ということに相なっております。 それから
政令
におきましては、このほか
保険
の填補しないもの、すなわち
保険会社
から申しますといろいろ
施設等
を変更したりしたときには
通知
か何かしなければなりませんけれども、それを
原子力事業者
が怠った、そのために
災害
が起こった、そういった場合におきまして、
保険業者
としてはめんどうみませんけれども、国との
補償契約
におきましてそのようなときにめんどうをみるというような
内容
の
政令
を定めたいというふうに
考え
ております。 次には第三に、
補償契約
の
金額
、第四条
関係
でございます。
補償契約金額
は、原則として
損害賠償措置
の
金額
ということに合わしております。かりに
供託
その他の
措置
が一部講じられている場合には、
補償契約
とこれらの
措置
と合わせて
損害賠償保険金額
となるようにいたしております。非常にこまかないろいろな表現は用いておりますけれども、
内容
はただいま申し上げた
通り
であります。 第四、
補償契約期間
でございます。これは第五等でございますが、
補償契約
の填補する
期間
は、
原子炉
の
運転等
をやめるときまでといたしまして、
核的災害
が
発生
する危険がある間は填補することといたしております。そして
被害者
の
保護
に欠けることのないようにという考慮をいたしております。 第五に、
補償料
、すなわち第六条でございます。
補償料
の算定につきましては、
損害発生
の見込みがどうであるかということ、それから国の
事務取扱費
がございます。それなどを勘案いたしまして定めることといたしております。今後
保険料率
とも合わせまして、すなわち
責任保険
の
料率
とも合わせまして検討して参りたいと存じております。
原子力事業
の健全な
発達
に支障を来たさないように適正な
料率
を
政令
で定めていきたいという
考え
でございます。 第六は
補償金
でございます。第七条でございます。
政府
が補償いたしますのは、
補償契約期間
内に
原子力損害
を
発生
された
原因
となった
行為
があるものについて
補償契約金額
までとしております。
原因行為
が
契約期間
内にあれば填補することといたしましたのは、高
活性災害
に対処したものでございます。また、
責任保険料
を一部支払われている場合につきましては、それを控除して支払うものとして、公平を期しております。二重に払うということのないようにはいたしております。 第七には、
補償契約
の
締結
の
限度
でございます。これは第八条でございますが、
補償契約
の
締結
の
限度
は、
国会
の
議決
を経ることとしておりますが、本年度は、さしあたりまして、
債務負担行為
といたしまして、
予算総則
に二十億円を計上しております。 第八には
通知
、第九条でございますが、
原子力事業者
に対しまして
原子炉
の
運転等
に関する重要な事実を
通知
させるものとしておりますが、これは
保険契約
の
告知義務通知義務
と同様なものであります。
先ほど
御
説明
しましたように、
保険契約
において、
通知
義務を怠った場合に
補償契約
で見ると申しましたが、
補償契約
の面におきましても、告知義務、
通知
義務と同様に
規定
をいたしております。
通知
義務に違反しました場合には
補償契約
を解除し、あるいは、
補償金
を返還させることといたしております。 第九には、
補償金
の返還、すなわち十三条でございます。この
補償契約
におきましては、
被害者保護
の見地から、補償
範囲
を広くして、かつ免責をしませんので、公平を期するために、
原子力事業者
に重大な責めに帰すべき事由があるときには、国は、
補償金
を支払った後、それに相当する
金額
を
原子力事業者
から、返還させることといたしたのであります。
補償金
を払いますけれども、重大な
過失
等があった場合には、
原子力事業者
から国は取り上げます、ただ払うだけではございません、という
規定
でございます。第十三条第一号に申しますところの、「第三条第四号に掲げる
原子力損害
のうち
政令
で定めるもの」と申しますのは、
原子力事業者
が
責任保険
契約に違反したため、
保険
が填補しないで、国がかわって補償する場合をさしております。また
通知
義務違反につきましては、この
法案
で、特に重要な
事項
は国に
通知
させることといたしておりますが、これに違反した場合であります。また解除後に与えた
損害
につきましては、本来これは即時解除すべきものについて、
被害者保護
のために九十日の猶予を置いたのでありまして、本来は即時解除すべきところでありますけれども、
被害者
を
保護
するために九十日間の
有効期間
を持たしておる、余裕を置いたのでありまして、
原子力事業者
に恩恵を与える必要はありませんが、
被害者
の
保護
という見地から、九十日という余裕を置いて返還させるということにいたしたのでございます。 第十には解除でございます。第十四条、第十五条の
関係
でございます。
政府
は、
補償契約
の相手方である
原子力事業者
が、
保険
——
先ほど
申しました
責任保険
及び
補償契約
以外、
供託
による
賠償
措置
を講じました場合には、
補償契約
の解除をすることができます。これは二重に
措置
をする必要はないという意味から、
保険
並びに
補償契約
につきましては解除をすることができるというふうに
規定
いたしております。また
損害補償措置
を講じないで
原子炉
の
運転等
をした場合、
補償料
の納付を怠ったとき、あるいは
通知
義務に違反したとき、
保安
のために講ずべき
措置
を講ずることを怠ったときなど、
原子力事業者
の重大な業務違反があったときに、
補償契約
を解除することといたしました。この効力は九十日後に
発生
するものといたしまして、その間に
原子力事業者
に危険
措置
の除去など適切な
措置
をとらせることといたしました。
被害者
の
保護
に万全を期しております。 最後に、第十一でございますが、過怠金、すなわち第十六条の
規定
でございます。
原子力事業者
に重大な義務違反がある場合には、返還あるいは解除することといたしておりますけれども、軽微なものにつきましては、
原子力事業者
から過怠金を徴収することといたしております。 以上、
原子力損害賠償補償契約
に関する
法律案
の全条にわたりまして、その要点を補足御
説明
申し上げました。
剱木亨弘
8
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 両案の質疑は次回に譲ります。
—————————————
剱木亨弘
9
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 次に、
商工会
の
組織等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
とし、
補足説明
を聴取いたします。 なお、本案は衆議院において修正が加えられておりますが、右修正点につきましても、便宜
政府委員
より
説明
を聴取することといたします。
小山雄二
10
○
政府委員
(小山雄二君)
商工会
の
組織等
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
補足説明
を申し上げます。 本
改正
法律案
の趣旨の
説明
は
提案理由
で尽きておりますので、以下条文を追いまして、主要な点を御
説明
申し上げます。 まず、第一条の
法律
の
目的
でありますが、これは
商工会
連合会を法制化し、かつこれを助成の
対象
として加えたことに伴う当然の
改正
であります。 次に、第二章の二として
商工会
連合会の童を新設したわけでありますが、その第一節は通則について定めております。 第五十五条の二は
目的
に関する
規定
でありまして、
商工会
連合会は、
商工会
の健全な
発達
をはかることを直接
目的
とし、ひいては商工業の振興に寄与することを間接
目的
としております。 第五十五条の三、連合会は、都道府県
商工会
連合会と全国商工連合会の二棟類とし、いずれも第五十五条の四によって特殊法人としての法人格を与えられております。 第五十正条の二は、名称、第五十五条の六は、数に関する
規定
でありまして、たとえば都道府県連合会の場合、何々県の連合会ならば何々県
商工会
連合会という名称のものが県内でただ一つできることになります。 第五十五条の七として、現行法第六条を準用し、連合会は、営利を
目的
とせず、特定の個人または法人その他の団体の利益を
目的
としてその事業を行なってはならず、またこれを特定の政党のために利用してはならないことを
規定
しております。 第二節は、連合会の事業について定めております。 第五十五条の八第一項は、都道府県連合会の事業でありまして、第一号の
商工会
の組織または事業について指導または連絡を行なうことが、都道府県連合会の最も中心的な事業であります。その他、都道府県連合会の
目的
達成のために、各種の事業を行なうことになっております。 第二項は、全国連合会の事業であります。第一号の、都道府県連合会の組織または事業について指導または連絡を行なうことが、全国連合会の最も中心的な事業であることは、第一項の場合と同様でありまして、その他、
目的
達成のために、各種の事業を行なうことといたしております。 第三節は、会員に関する
規定
であります。 第五十五条の十、第五十五条の十一、及び第五十五条の十二は、それぞれ、会員の資格、加入及び脱退について定めております。都道府県連合会の場合は、当該都道府県内に主たる事務所を有する
商工会
が会員資格を有し、
商工会
の場合と同じく、加入及び脱退は任意であるとの原則をとっております。ただ全国連合会と都道府県連合会との
関係
は、これらが一応別法人であるとはいいながらも、単位
商工会
の指導を有効に、かつ徹底して行なうためには、一体的に活動することが必要でありまして、近い将来において二千数百にも達する単位
商工会
を直接指導することが不可能なところから、いわば府県連という中二階を設けたものでありまして、両者はちょうど本部と支部の
関係
に近いと
考え
られること、等の
理由
から、中小企業等協同組合法における都道府県中央会と全国中央会の例にならって、都道府県連合会は全国連合会に当然加入することとした次第であります。 第四節は設立に関する
規定
であり、ほぼ
商工会
の例にならっております。ただ
商工会
の場合は発起人の数は十五人以上でありますが、連合会の場合は会員資格を有する者の数がはるかに少ないので五以上となっております。また第五十五条の十五によりまして、認可要件のうちの組織率の
規定
を準用しておりますが、これにより、都道府県連合会は、会員資格者の二分の一以上、全国連合会は、有資格者の二十五以上の加入を要件としております。 第五節は管理等に関する
規定
でありまして第五十五条の十六は定款、第五十五条の十七は役員について定めております。全国連合会の理事を十人以内といたしましたのは、会員総数が最高四十六しかないからであります。また第五十五条の十七第二項において、理事については必要がある場合には定数の五分の一以内に限り、いわゆる員外役員を認めております。 次に第三章以下の
改正
でありますが、この部分は新旧対照表二〇ページ以下をごらんいただくとわかりいいかと存じます。 まず助成に関する第五十六条の
改正
でありますが、現行法では
商工会
または
商工会
議所の行なう経常改善普及事業のみを、都道府県を通ずる間接補助の
対象
としていたのでありますが、今回の
改正
により、経営改善普及事業に関し都道府県連合会が
商工会
を指導するのに要する経費をも間接補助の
対象
に加えたわけであります。さらに第二項を新たに追加して、経営改善普及事業に関し、全国連合会及び
商工会
及び都道府県連合会を指導するのに要する経費を直接補助の
対象
として加えております。なお法文には第一項、第二項とも経費の一部を補助することができると
規定
されておりますが、
昭和
三十六年度予算におきましては、第一項の間接補助の場合は都道府県の補助額の二分の一、第二項の直接補助の場合は経費の二分の一を国が補助することとし、
商工会
及び
商工会
議所に対する分が七億六千五百二十五万円、都道府県連合会に対する分が二千五十九万円、全国連合会に対する分が二百三十六万円、その他を合わせて小規模事業
対策
推進費の総額は、八億二千四百六十八万円となっております。 次に第六十二条ないし第六十六条の
改正
では、いずれも罰則
規定
に関する当然の
改正
であります。 最後に付則でありますが、大別して五つの
事項
を
規定
しております。 第一は、附則第一条の本法の施行期日の
規定
であります。 第二は、第二条の経過
措置
に関する
規定
でありまして、名称の使用禁止について一年間の猶予
期間
を設けております。 第三は、社団法人の都道府県
商工会
連合会への転移に関する
規定
であります。現在府県連合会で社団法人となっているものが十二ありますが、これらはその
目的
、事業及び構成員において、この
法律
に基づく都道府県連合会とおおむね同様のものと認められますので、解散及び清算等の煩瑣な手続を経ることなく、本法に基づく特殊法人に転移し得る道を開いたものであります。 第四は、
商工会
連合会に対して
商工会
と同様の免税
措置
を講ずるための各種税法の
改正
規定
であります。 第五は、
商工会
議所法の一部
改正
及びこれに伴う経過
措置
であります。
商工会
議所法第六十六条は、日本
商工会
議所の会員に関する
規定
でありまして、会員資格を有する者として第一項の
商工会
議所のほかに第二項でいわゆる定款会員として
商工会
議所に準ずる団体をあげております。しかしながら今回の
法律案
におきましても
商工会
連合会には定款会員を認めておりませんし、日本
商工会
議所に定款会員の道を今後も残しておきますと、両方の組織の上に無用の混乱を生ずるおそれもありますので、この際、日本
商工会
議所につきましても定款会員の道を閉ざすことにしたわけであります。ただ、現在この
規定
に基づいて日本
商工会
議所の会員となっておりますのは琉球
商工会
議所ただ一つであり、これにつきまして組織の混乱を生ずるおそれも皆無でありますので、第九条の経過
措置
でこれを例外として取り扱うこととした次第であります。 以上をもちまして
補足説明
を終わります。 次に、本
法律案
は、衆議院で一部修正を受けましたので、
委員長
の御指示によりまして便宜私からその修正点につきまして御
説明
申し上げます。 この修正の提案者は、自由民主党、日本社会党、民主社会党、三派による共同提案でございます。話は実は社会党の方からございまして、三派でいろいろお話し合いの上、案がまとまりまして、趣旨の
説明
は自由民主党の小川
委員
の方から御
説明
がございまして、この
改正
点を含めまして、原案が全会一致で可決されたような次第でございます。 修正の
内容
は、都道府県連合会の省外理事の数について、理事定数の「五分の一以内」とあるのを「十分の一以内」に改めること、こういう趣旨でございます。 その修正の
理由
は、
商工会
連合会の自主的かつ民主的な運営を
確保
する必要性が強いことにかんがみ、その設け得る員外理事の数を必要最小
限度
にとどめるため、都道府県連合会の員外理事の数が理事定数の「五分の一以内」となっているのを「十分の一以内」に改めるものであります。 なお、全国連合会につきましては、都道府県連合会と同等以上の高度の指導性が要求される反面、理事定数は十名以内でありまして、員外理事の数を「十分の一以内」と修正いたしますと、員外理事は一名しか置けないことになりますので、都道府県連合会と同様二名程度の員外理事を設け得るようにするため、その員外理事の数は、原案
通り
「五分の一以内」ということにされた次第であります。 以上が
改正
点の
内容
でございます。 以上をもって
補足説明
を終わります。
剱木亨弘
11
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 本案の質疑は、次回に譲ります。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
剱木亨弘
12
○
委員長
(
剱木亨弘
君) 速記を始めて下さい。 本日はこれにて散会いたします。 午後.零時二分散会