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1961-05-18 第38回国会 参議院 商工委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十八日(木曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員異動 五月十七日委員上原正吉辞任につ き、その補欠として大泉寛三君を議長 において指名した。 本日委員具根登辞任につき、その 補欠として相澤重明君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            川上 為治君            古池 信三君            椿  繁夫君    委員            赤間 文三君            大泉 寛三君            岸田 幸雄君            小林 英三君            山本 利壽君            近藤 信一君            中田 吉雄君            向井 長年君            加藤 正人君   衆議院議員            田中 武夫君            勝間田清一君   国務大臣    通商産業大臣  椎名悦三郎君   政府委員    通商産業政務次    官       始關 伊平君    通商産業省企業    局長      松尾 金蔵君    通商産業省重工    業局長     佐橋  滋君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○百貨店法の一部を改正する法律案  (衆議院送付予備審査) ○産炭地域振興に関する臨時措置法  (衆議院送付予備審査) ○自転車競技法の一部を改正する法律  の一部を改正する事業案内閣送  付、予備審査) ○小型自動車競走法の一部を改正する  法律の一部を改正する法律案内閣  送付予備審査) ○工場立地調査等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は、理事補欠互選を行ないました後、さき衆議院より予備審査のため送付されました百貨店法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興に関する臨時措置法案について、また一昨日内閣より送付されました小型自動車競争法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び自転車競技法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、それぞれ提案理由説明を聴取し、ついで工場立地調査等に関する法律の一部を改正する法律案及び機械類賦払信用保険臨時措置法案審査を行ないます。   —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 初めに委員異動について報告いたします。  昨十七日上原正吉君が委員辞任され、その補欠として大泉寛三君が委員に選任されました。また本日、阿具根登君が委員辞任、その補欠として相澤重明君が委員に選出されました。   —————————————
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それではまず理事補欠互選の件を議題といたします。  去る十六日理事吉田法晴君が委員辞任され、理事の欠員を生じましたので、その補欠を互選いたしますわけでありますが、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないものと認めます。それでは理事椿繁夫君を指名いたします。   —————————————
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、百貨店法の一部を改正する法律案(衆第三四号)を議題とし、発議者より提案理由説明を聴取いたします。衆議院議員田中武夫君。
  7. 田中武夫

    衆議院議員田中武夫君) ただいま議題となりました百貨店法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  百貨店法施行されてからすでに五年を経過して参りましたが、その実績を顧みまするに百貨店既得権益擁護のための法律と化し、一般小売業者利益は著しくそこなわれてきておるのであります。この事態を予想して社会党は、当時において修正案を提出し、百貨店法の遺憾なきを期したのでありますが、入れられるところとならず、わずかに付帯決議において法運用の適正を政府に求めたのであります。しかるに、この付帯決議すら完全に無視され、あるいはさらにそれに反するような措置すら行なわれて参ったのであります。  法制定時問題となりました、かけ込み新増設は、その後一段落をしたかに見えましたが、最近また、にわかに百貨店の新増設が活発化し、一般小売業者は重大な脅威を与えつつあります。すでに東京だけでも約二十万平方米売場面積の拡張が計画され、既存面積四十万平方米の五割に達する大幅なものであります。東京以外の地方都市においても、続々百貨店新設計画され、地元一般小売業者は、みずからの生活権を守るため、一斉に反対運動に立ち上がっていることは、衆知の事実であります。さらにそのほか、百貨店業者によるスーパー・マーケットの乱設、あるいは大資本による百貨店類似行為など、百貨店法脱法行為は枚挙にいとまないところであります。  こうして、乱設される百貨店は、その営業方法においても、資本的優位利用し、不当に中小企業を圧迫しておるのであります。商業活動を活発化し、消費者へのサービス向上をはかることは、もとより異論のないところでありますが、今日わが国産業構造ないしはその流通部門に占める一般小売業者の特殊な地位を考えるとき、当然そこに流通機構の適正な配置が考慮されてしかるべきであります。でなければ、一般小売業者経営安定を確保することは不可能であり、いわんやその近代化合理化はとうてい期待し得ないのであります。  そこで、一般小売業者生活経営の安定を確保する立場から、百貨店営業に対し必要な規制を加えようとするのが、本改正案目的なのであります。  以下、本改正案概要について御説明申し上げます。  まず第一に、現行法百貨店営業を行なう店舗床面積の計算において、当然含めるべき部分を除外している欠陥を是正するため、新たに食堂、貸店舗催し場店内事務所を加えることといたしたのであります。  第二に、許可基準を改め、前回特に付帯決議にうたわれながら、遵守されなかったターミナル・デパートの営業禁止を、ここに法文に明記することにしたのであります。  第三に、店舗の新増設にあたっては、資本的支配関係にある百貨店並びに百貨店類似営業についても、従来は脱法行為として行なわれたのでありますが、これを許可の対象といたしたのであります。  第四に、建物の工事停止命令を特に明記したことであります。従来、工事施行の既成事実を背景に、百貨店新設を無理やり認めさせる不当な行為が行なわれてきたが、これを是正するため工事施行中といえども、申請があった場合、必要あるときは一定期間工事施行を停止させることができることといたしたのであります。  第五に、百貨店営業方法について、特に一般小売業者への影響を考慮し、割賦販売委託販売出張販売積立式予約販売限定展示即売等特定営業許可中項としておるわけであります。  第六に、納入業者との関係において、百貨店業者がとくに優越した地位利用して、不当な取引強要する場合が多いので、返品、値引き、手伝い店員派遣等の事項について、あらかじめ一般的基準を定め、通産大臣の承認を受けさせるよう規制措置をとることにいたしたのであります。  第七に、国、地方公共団体、公社、公団はその所有する土地または施設を、百貨店業者店舗の用に使用させないこと。さらにまた展覧会、催し物などみずからの広報活動を行なう場合、百貨店利用しないことを明文化し、公共機関による百貨店営業に対する特別の便宜提供を禁止させることにいたしたのであります。  第八に、この改正法律施行の適正を期すため、必要な報告の徴収、立ち入り検査の権限を通産大臣に付与することにいたしたのであります。  第九に、一般小売業者利益が正当に反映され得るように、百貨店審議会構成改正し、中小商業者の代表を正式構成員に加えることにいたしたのであります。  最後に、罰則の追加等その他若干の改正を行なって、法律施行の万全を期しておるのであります。  以上が本改正案提案理由並びに内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実相のため御賛同あらんことをお願い申し上げまして提案説明を終わります。
  8. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本案質疑は後日に譲ります。   —————————————
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、産炭地域振興に関する臨時措置法案議題とし、発議者より提案理由説明を聴取いたします。
  10. 勝間田清一

    衆議院議員勝間田清一君) ただいま議題となりました産炭地域振興に関する臨時措置法案につきまして、提案者を代表して、その提案理由説明をいたしたいと思います。  御承知通り産炭地域におきましては、社会的、経済的に石炭鉱業への依存度がきわめて高く、石炭鉱業の好、不況は、直接的は産炭地域経済、社会に波及しております。特に朝鮮事変後のわが国経済不況を境といたしまして、石炭鉱業合理化法の制定以来、一般経済活況をよそに、石炭鉱業は停滞の一途をたどってまいりましたが、こうした動きはそのまま産炭地域を深刻な苦境に追い込んでいるのであります。  大量首切りと、閉廃山を進める合理化の進展は、産炭地域におびただしい失業者を滞留させまして、大きな社会問題を現出しているばかりでなく、地方財政をも極度に逼迫させ、今日では産炭地域における地方自治体は、まさに危機的症状を呈するに至っているのであります。  しかるに政府は、この危機を倍増する合理化政策の強行にたいしては、異常な熱意を見せておりますが、産炭地域振興といった面につきましては、捨ててかえりみなかったのが、現状であります。  政府がとなえる所得倍増高度成長政策も、後進地域産炭地域振興面は犠牲といたしまして、太平洋ベルト地帯や、既開発地域高度成長策を、優先的に取り上げているのでありますが、このような考え方で、どうしても二重構造地域経済の格差の解消が実現できるでありましょう。  わが国産炭地域に見られるように、多数の失業者が集中的に発生し、また発生するおそれのあるような地域に対しましては、諸外国でも、国の施策として、強力な振興措置を講じていることは、すでに知られているところであります。  たとえば、ニュー・フロンティア精神を標榜するアメリカのケネディ大統領は、慢性不況地域開発のための立法化と、大幅な財政措置を講ずることを約しておりますし、イギリスにおきましては、有名な工業配置法をさらに発展させた地方雇用法を制定し、不況地域振興に、本格的な取り組みを見せているのであります。特にイギリスにおきましては、すでに一九三〇年代に石炭、造船、鉄鋼が不況に悩んだときから取り上げられているのであります。一九三四年には特別地域開発及び改善法、一九三六年には特別地域再建協定法が制定され、石炭綿業等に依存していた不況地域が、これらの法律によって振興されたのであります。  第二次大戦後におきましても、一九四五年の工業配置法、一九四七年には都市農村計画法、一九五〇年には一九三七年特別地域法改正等の一連の立法で、再開発が進められ、一九四五年から五〇年までに設立された新工場の過半数は、開発地域におけるものであったといわれているのであります。さらに一九六〇年に制定された地方雇用法は、工業用不動産経営公団をも設けて、不況地域産業振興をはかっているのであります。  しかるに、わが国におきましては、産炭地域経済が、今日見られるような苦境に追い込まれているにもかかわらず、何らの施策も講じなかったことは、こうした諸外国の例を引き合いに出すまでもなく、政府の怠慢、これに過ぎるものはない、と言わざるを得ないのであります。  政府はようやく今国会産炭地域振興臨時措置法案提案して参ったのでありますが、その内容振興の名に値するものではなく、全く空虚な法、案にすぎません。今年度もわずかに三千万円の予算が、この調査のために計上されているのでありますが、一体、政府産炭地域苦境などのように考えているのか、産炭地域関係者ならずとも、そのあまりにもひどい認識不足ぶりに、あきれるものであります。  このように政府が、羊頭を掲げて狗肉を売るに等しい産炭地域振興法で、当面の糊塗策に出る以上、社会党といたしましては、真の振興策をここに提案することが、当然の責務であると考えまして、本法案を提出した次第であります。  以下、簡単に本法案内容について御説明申し上げます。  第一にこの法律は、現在多数の失業者が発生しており、また、発生するおそれのある産炭地域において、産業開発を促進して雇用の増大と石炭の需要の安定的拡大とをはかり、もって地方経済発展に資することを目的としております。このため、産炭地域振興審議会の意見を聞いて、産炭地域振興基本計画及び振興地域毎に、産炭地域振興実施計画を定めることといたしました。なお、開発すべき産業は単に鉱工業のみでなく、農業をも含めることにいたしました。  第二に、産炭地域振興を効果あらしめるためには、国の強力な助成がなければならないことは申すまでもありません。このため用地の確保、建築の補助、産業関連施設整備の促進、資金確保減価償却特例等助成措置を規定いたしました。一般産炭地域は、他の地域に比して、その産業立地の面で劣っているため、産業開発に困難をきたしているのでありますが、かかる施策が講ぜられますならば、疲弊にあえぐ産炭地域にも、再び活況を取り戻させることができると確信するものであります。  第三は、特に本法案目的達成のため、最も大きな役割を果たさせるために、産炭地域振興公団を設けた次第であります。この公団は、振興地域内の産業開発を促進するために必要な産業関連施設整備や管理をするばかりでなく、みずからもその雇用拡大に資する諸事業経営し、投資、その他の助成をも行なわせようとするものであります。  産炭地域振興につきましては、もはや調査段階ではありません。すでに実行の段階に立ち至っているのでありまして、このためには、寸刻の猶予も許さないのであります。その緊急性と、しかも、ある程度長期の計画のもとに促進する必要があるとの考えから、私どもは、この法律の期限を十年の臨時措置法といたしました。何とぞ慎重御審議の上、本法案に御賛同下さいますよう切望する次第であります。
  11. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本案質疑は後日に譲ります。   —————————————
  12. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、自転車競技法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案小型自動車競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、以上二案を便宜一括して議題とし、提案理由説明を聴取いたします。
  13. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま議題となりました自転車競技法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  本案は、自転車等機械関係事業振興をはかるため、日本自転車振興会が、競輪施行者から売上金の一部の交付を受けてこれらの事業振興に関する事業を行なうという現行制度を、さしあたりさらに一年間存続させることを内容とするものであります。  現行制度は、昭和三十二年の第二十六国会において成立した改正法律に基づいて定められ、昭和三十五年の第三十五国会に一部改正されたものでありまして、この資金交付及び支出の方法に関する制度については、今後さらに検討を加える必要があるという見地から、施行の日から四年を経過する日、すなわち、昭和三十六年十月一日以後においては、別に法律で定めるところによるとされております。  従いまして、昭和三十六年九月三十日までに、この制度をいかにするかについての立法措置をいたさねばならないのでありますが、競輪等公営競技全体につきまして根本的に検討を加えるため、昭和三十五年十二月二十八日施行総理府設置法の一部を改正する法律に基づき、総理府公営競技調査会を設けまして、競馬、競輪小型自動車競走及びモーターボート競走に関する現行制度検討を加え、関係諸問題を調査審議している次第でありますので、自転車等機械関係事業振興に関する制度を今後どうするかにつきましては、この公営競技調査会結論を持って、競輪制度全体について御提案いたす際に、その一環としてその中に織り込むことが適当と考えております。  ところで、公営競技調査会は、当初の予定よりおくれ、昨年末の第三十七国会において設置がきまりましたため、その結論に従った立法措置を今国会中にとることがきわめて困難な見通しにあります。  従いまして、公営競技調査会結論が提出され次第すみやかに立法措置を講ずることとし、この際は、さしあたり現行制度をさらに一年間だけ延長いたす法律案を提出いたしまして、御審議いただくことにいたした次第でございます。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御替成あらんことをお願い申し上げます。  次に、小型自動車競走法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  本案は、さき提案いたしました自転車競技法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案と同様に、小型自動車等機械関係事業振興に関する制度をさしあたりさらに一年間存続させることを内容とするものであります。  本案につきましても、自転車競技法の場合と同様に、今後この制度をどうするかにつきましては、小型自動車競走制度全体について御提案をいたす際に、その一環としてその中に織り込むのが適当と考えておりますので、この際は、とりあえず現行制度をさらに一年間だけ延長いたす法律案を提出いたしまして、御審議いただくことにいたした次第でございます。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  14. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 両案の質疑は後日に譲ります。   —————————————
  15. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、工場立地調査等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  速記をとめて。    午前十一時七分速記中止    ————————    午前十一時二十七分速記開始
  16. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 この間ちょっと質問したのですが、通産省からいただきました「工場立地調査等に関する法律の  一部を改正する法律案関係資料」ですね、「工場立地現状動向」ということで百六十六カ所ですか、御調査をされて、その結果が要約されて分析が示されているかけですが、一ページにあります、工場工場を呼んで大消費地に近い所にますます工場が集中するというような、いろいろなことが要約されているのですが、その下の表に  「四大工業地帯全国工業生産額に占める比率」というので、ずっと四大工業地帯にどれだけ工場が集中しているかという度合いが示してあって、昭和五年のころはなんですが、終戦以来、四大工業地帯にますます集中する、集積するトレンドになっている。これは三十二年までなんですが、その後一そうこの傾向が強いじゃないかと思う。この傾向は、全国的な調査ですから大へんですが、あるかと思うのですが、これはどうなんでしょう。
  18. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 三十四年につきましては、この比率を出しました基礎であります工業統計がまだ正式のものができておりませんので、同じ調査比率が出せない、現在はそういう状態でありますが、傾向といたしましては、おそらくこの集中傾向はさらに強まっておるものであろうと考えます。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、ただいま局長が言われたように、最近の四大工業地帯関連産業が集中している度合いは非常に大きいと思うので、こういう傾向から見ても、早くやはりもっと強力な措置——次官もまだ十分自信もないので、手固い方法でというような御説明もありましたのでわからぬこともないのですが、昨日も稲葉秀三さんと同じく工場立地をどう配置するかということで、少なくとも諸外国を最近回ってみても、オランダ等を見ても、非常にそういう合理的な配置という問題をやっているということで、私は、企画庁からも出ていますので、そのときに総合的な質問をいたしたいと思うのですが、この傾向からしても、私はこの問題は特に先般も申し上げましたように、外国のように土地の広いところでしたらけっこうですが、日本のような土地の狭いところに無計画配置されたのをもう一ぺん配置がえ、再編成するということの困難性を考えますと、これは緊急を要する問題じゃないか、そしてこの統計表トレンドを伸ばしていくと、一そうその感が深いんじやないかということで質問しようとしたのですが、まだのようですから、その点はそれにしておきまして、この百六十六ヵ所のきめ方を少し……。各県に通産省から委任されて、そして審議会にかけてきめられたと思うのですが、それをどういうふうにしてやられたかということと、私地方行政委員会に所属しまして各府県動向を見ても、なかなか各府県とも熱心に地域経済発展を期そうという、その前提として基礎調査をたくさんやっておりますが、当局が見られて、全国的にどのような府県がモデルケースといいますか、参考にするに足るようなりっぱな調査をやり、総合計画を立てているか、私の知っているのでも若干通産省企画庁その他からやめてもらって、県庁に来て、そういう作業をやっているところもあるのですが、そういうところがあったら、一つ知らしていただきたい。
  20. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 従来調査を進めて参りました調査地域は、いずれも新しい工場立地条件の整った、あるいはその他条件のいいところであって、いずれも甲乙はないと思いますけれども、しかししいて申し上げますれば、族成工業地帯は別といたしまして、新しい地帯につきまして、府県の方でも特に熱心だという意味で、たとえて申し上げますれば、静岡県でありますとか、あるいは三重県でありますとか、ほかにもあるいはたくさんあると思いますが、特にこの辺のところが御熱心で、また工場も御承知のように続々と進んでおるというような、状況ではないかと思います。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 これまでいろいろ調査をされ、各府県工場誘致に非常に熱心で、工場敷地造成等をしたりしておるのですが、最近宮崎県は非常に広大な土地造成して、計画がそごしたり、工場誘致もできぬ、知事の命取りとも言いませんが、非常に困っているのですが、この調査に関する本法律と、いずれそういう計画を立てようとするときには、ここに指導の部屋があるのですね。そういうところでいろいろ指導されたと思うのですが、せっかくたくさん造成して、必ずしも財政の豊かな県でないのですが、デット・ロックに乗り上げて困っておるが そういうこととはどういう関係にあるのですか。
  22. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 現在までの調査資料利用は、今お話しでございましたように、工場建設をやる方の側だけでなくて、工場誘致その他について地元の方でも資料利用がされております。おりますけれども、この立地調査の点は今例におあげになりました宮城県のある地域について、その地域はすでに調査を終わっておりますが、調査をいたしましたときに、すでにもう埋め立てが終わっているというふうな時間的にそういう関係になっております。もちろんこの工場地帯造成、たとえば埋め立て等地元でおやりになります際には、周囲の状況といいますか近くの府県状況等ももちろん考慮に入れて計画を進められると思いますが、そういう場合に現在の調査資料利用されると思います。ただいまおあげになりました宮城県の例は、調査資料の結果、埋め立て造成をされたという時間的関係にはなっておりません。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういう関係でなかったにしても、善後措置として何らかの相談に乗って、先にも申しましたように、あそこは必ずしも豊かな県財政ではないのに、何とか僻遠の地だが、工場誘致をしようとせっかくしたのですが、あそこの立地にふさわしいような工場を何とか世話をしてやるというような相談はまだないのですか。
  24. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) ただいまお話のところは、いずれも具体的なケースの場合でございますので、若干申し上げにくいところもありますが、 現実に地元、県も、またしばしば知事の御上京の機会にも私どもの方と連絡をとっていただいております。私どもの方でも従来若干の候補というような問題は御相談したこともございますが、何分にも私どもは今御指摘のその地域は、自然的条件あるいは水の問題その他は相当いい地域だと思っております。ただ現在工場が敷地を求めます際の傾向といたしましては、御承知のように、なるべく消費地に近い所というような傾向がまだまだ抜け切れません。そういう意味から従来必ずしも成功いたしておりませんが、私ども当然あれだけの立地条件を整えてやっておられるわけでございますから、今後ともできるだけ工場の建設がああいう所に行なわれるように、お力添えをしたいと思っております。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういうふうにこの調査の百十六カ所調査された傾向としても、大消費地近くの輸送コストの節約できる地帯に立地するという傾向が出ているということですが、そういう点では高崎は非常に不利な所であります。しかし国内消費でなしに、かりに輸出産業あるいは先に言われた水の問題その他で輸送上の不利をカバーすることができるいい立地であるか、その点の比較較量をやれば、立地すべき工場というは若干のヒントが得られるのじゃないかと思いますが、私地方行政を長らくやっおりまして、各県とも熱心にやって そういうことのないように、三重県等にもありますが、そういうことのないように、やはり調査は各府県に委嘱してやっておられるのですし、いずれはあそこも何らかの措置がとられると思うのですが、私はああいう窮地に入らないような一つ措置を期待しておきます。  そこで二、三先日のと重複するかと思いますが、工場立地調査法の施行状況についてですが、工場立地に対して大臣の助言ができるというのは本法の第一条にあるのですが、これまで実際どの程度の助言をされてきたかということについて、もう少し御説明をいただきたいと思います。
  26. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) お手元の配付資料の立地指導室利用状況の数をお配りしてありますがこういう指導室の利用の際には、私どものこの関係のものがいろいろ御相談には乗っております。そういう気持でもって、事実上の助言というと言葉が過ぎるかもしれませんが、御相談にはその都度、実際、事実上の相談なり助言をいたしておりますが、法律上の助言、つまり法律上の正式な助言を求められて、従いまして法律に基づいて助言をいたしました例は、従来まだそういう件はございません。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、第一条にありますのは、いただきました資料のような、工業立地指導室利用状況というようなことで、実質的な助言をやったということですか。
  28. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) その通りでございます。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、今までの「助言」とありましたのを、今度改正法にありますように「助言又は勧告」を行なうことができるようになっておるのですが、この両者は非常に深い関係にあると思うのですが、届出制と勧告制を必要とするに至った——なぜこれまでのような助言、実質的な相談に乗るのだけで不十分で、こういう措置をなぜ必要としたか、なかなか助言、相談では応じないで、当局の意向を無視して、工場立地配置上、好ましくないというような例でもあって、こういうふうにされたのでしょうか、その点はいかがですか。
  30. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 従来も現行法の運用におきまして、御指摘のような問題は、私どもそういう問題に当面したことはございません。調査資料を見て、私に相談をかけます分は、いずれ会社自身が自分でものを判断する場合に、私どもの方から資料の提供なり助言をいたすのでありますから、その間にトラブルは何らございませんでした。ただ現行法の立場は、たまたまというと言葉が過ぎるかもしれませんが、たまたま資料の提供を求められ、助言を求められる、指導室を利用される場合だけの問題でございます。しかし従来このような新しい立地条件調査資料を公開をいたしておりますが、もちろん利用されておるのでありますけれども、実際にその結果、どういうふうに今の百六十六カ地点の調査地域工場建設が行なわれたかという点は、制度としては何ら私どもの方に知る方法がないわけであります。あの地域にはその後こういう工場ができたそうなということを伝え聞くという程度であります。従いまして現実に私どもの方の助言なりあるいは事実上の行政指導で、立地指導をうまくやります際にも、たまたまお見えになった人しかできないということで、非常にそこには不徹底と申しますか、範囲が狭くなると思います。そういう意味で、工場建設の、小さなものは別でありますが、少なくとも大きなものにつきましては、その現状把握をまずやりたい、それによってできるだけ行政指導も行ないたい。さらに今回の改正で、勧告という点まで触れておりますが、これはよほどの場合でなければ、この勧告ということは発動いたしませんけれども、しかし勧告という制度法律上設けるのには、その勧告をする動機が、全国的に把握しておらなければならないわけでございますので、法律的にも勧告という制度を設ける以上は、届出をしていただいて、たまたま見つけたものに勧告するというわけに参りません。そういう意味で届出、勧告ということが今回の改正の趣旨になったわけであります。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 勧告の法的な効果の問題ですが、法律的に規定せぬでも、これまで勧告、相談といいますか、行政措置としていろいろたくさんやっておられると思うのです。通産省はいろいろ行政措置でやられるのでもやっておられると思うのです。いろいろ鉄鋼、紡績その他やっておられるのに、こういう措置をされるのですが、行政的な措置によってやるのと、法律的に規定してやるのとどういう違いがあるのか。また罰則規定はないのですが、はたして思いとどまるかどうか。相当、届出するまでにはすでに準備万端整えてやると思うのですが、その辺の関係はどうでしょう。
  32. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) この勧告を、実際に法律上の勧告という場合は、かなり今御指摘のようにむずかしい場合であると思います。従来、勧告ということでなくとも、行政指導、助言で相当程度はいけるはずでありますけれども、しかしこの第九条にも勧告制度の要件としておる、予定しておる、考えております場合は、この条文にもありますように、「きわめて」とか、あるいは「著しく」どうというように、立地条件その他について、非常に問題のある場合に限定いたしております。そういう場合には、おそらく当該会社の立場からいいまして、まあそうやすやすとは聞きにくい。自分の会社の立場からいえばやすやすとは聞きにくいというような場合であると思います。しかしそういう場合でありますだけに、単なる助言あるいは単なる行政指導だけではいかないような場合を想定いたしますと、やはり罰則はありませんけれども、法律制度として正式の勧告という形をとった方が実際上の効果があると思います。ただ罰則がないから事実上守られないのではないかという点も私どももその点は懸念をいたしましたけれども、しかしただいま申しましたように、他方、立地条件の云々の見地からいうと、極端に困る場合を限ってこの勧告の運用をいたします。そういう場合にはおそらく世間一般の見る目も、やはりなるほどほんとうに困るというような極端な場合であるだろうと思いますので、そういう状況の場合に、法律に基づく正式の勧告が出されますれば、その会社もそういう状況下においては、少なくとも勧告を守らなければならないような立場にあると思います。そういう意味でやはり法律制度として正式なものがあった方が、あることが必要であろうという意味で、この勧告の規定を置いたわけであります。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 地方行政で、よく町村合併に応じないものを勧告する、応じないところには地方交付税をやらぬぞ、起債をつけてやらぬぞというような、なかなか伝家の宝刀がありますから……。私は、たとえばガスとか、いろいろ料金等でお世話にならなければならないところは、これはなかなか後難をおそれて勧告を聞くと思うのですが、私は、そう通産省にあまりお世話にならぬというようなところは、なかなかめんどうじゃないかと、こう思うのです。事業によってこれは非常に差があろうと思うのです。電気とかガスとかいうようなことですと、料金値上げ等でお世話になるので割合に後難をおそれてよく聞くと思うのですが、私はなかなか問題であろうと思うのですが、じや、こういう場合はどうなりますかという仮定の質問で何ですが、同じ地域に二つの企業が競合して届出をしてきた。実際これは一つでいいというようなことになったら——これはまああらゆる場合を想定して勧告という問題を考えられたらどうかと思うのですが、一体これはどうなりますか。
  34. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) ある地域に二つの工場が競合して建設予定ということで届出をされた場合、その場合一つでいいという、今のお話の、一つでいいという理由が一体どういうことかということまで具体的にならないと判断は非常にしにくいと思いますが、かりに一つでいいというのが、ただ一般的にそこに二つの工場をしいて作らなくともいい、あるいは二つよりは一つの方がいろいろな場合に、いろいろなことから考えて適当であるという程度であれば、これはもちろん九条の勧告は出しようがございませんけれども、たとえば、その地域には今後とも工業用水の問題にいたしましても、今後いかに工業用水の開発をやっても、そういう多量の水を使う二つの工場が、その地域にやられたんでは、一つならどうにか間に合うけれども、将来とも二つの工場はとても無理だという次第で、その工場がおのおの自分のところだけは水が取れるというような想定で、競合して届出があるというような場合をかりに想定いたしますれば、その場合には当然両会社の話し合いで解決をつけてもらうというのがまず第一でございますけれども、どうしても話し合いがつかないというようなことになりますれば、まあ事実問題でありますけれども、その間に政府の方でいろいろあっせんその他をいたしましょうが、その最後のところには、あるいは第九条の勧告ということも考えられるのではないかと思います。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 この指導室というのですか、これはやはり私は相当充実して、まあこれは業者の立場からいっても、全般の立場からいっても何だと思うのですが、今どういうスタッフがおられるのですか、そこでいろいろ出しておられるような調査物というようなものはありますが、その点一つ……。
  36. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 立地指導室に常時何人いるかという意味でありますと、あまり多くはございませんが、立地指導の関係で指導室の担当をいたしております者は現在七名ほどおります。しかしこれはそれぞれ具体的の場合にいろいろ御相談がありますれば、立地指導室だけではなくて、私ども立地課の者があそこへ出向いて相談をいたしております。  なお、出版物その他の資料と申しますれば、資料その他はそのつどでございますけれども、最近のものは、これは前にごらんになっておるかもしりませんが、「我が国工業立地の現況」こういうものか最近出したものでありますが、もう少し前には、こういう産業立地のシリーズもやっておりますが、もちろん出版物その他の方はそう決して多いものではございません。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 一つシリーズをいただきたいと思います。その点希望しておきますが、最後に、工場立地と軍用飛行場との関係なんですがね。実は鳥取、島根両県に関する問題なんですが、美保の飛行場をジェット機基地化する、そして淡水化しょうとしている海に二千四百メーターの滑走路を作って、まあ二年六カ月くらいで二十三億くらいかける、こういう問題で、しかもこの企業局で調査された「我が国工業立地の現況」、 白書ですね。これでまあ鳥取、島根両県で将来とも相当近代的な工場が立地する可能性のあるという分析の結果がまとまっておるのは、この中海の臨海工業地帯なんです。境港から米子、松江、安来、この地帯だけが工場立地の適地だと、これはまあ開発銀行のかなり充実した調査部でやったのでもそうなっておるのですが、そのどまん中にジェット戦闘機の基地ができるのですが、これは一体両立するものでしょうか。実際これは、まあイデオロギー的な問題は別にして、島根、鳥取両県の二百万近くの県民——ここだけが調査された結果でまあこの調査動向でも、海に面したところでないとほとんど近代的な工業は発展していないという結果からいっても、いい港湾を持つただ一つの地帯なんですがね、そのまん中にジェット戦闘機の基地ができると、しかも工場が立地してしまってからできるというものなら、まあなかなか立ちのくということもできぬでしょうが、たくさんの、多大な投資をして、非常なリスクも計算せねばならぬというようなことで、これは非常に心配して、はたして両立するかどうか、こういう問題を調査されたことがありますか。そういうことについて局長の一つ所見を——一体その工場立地の百六十六カ所の中の、鳥取、島根、両県の中でただ一つの工場が立地する可能性のある地帯なんです。それで国民所得倍増計画にも有力な地帯として載っておるのですが、その点で、まあイデオロギー的な、政府のやることだからというふうな問題でなしに、これはまあ多大な投資をたしてするだろうかというような心配はもあるのですが、あるいは騒音等の関係、そういう関係は一体どうなんでしょう。そういう調査がありますか。
  38. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 今お話の中海臨海工業地区には工業地区としての調査を私どもやっておるだけで、それ以上のものは実はないわけであります。いわゆる飛行場の関係では、いわゆる民間機の航空法の運用の際には、これは運輸省との間に、飛行場の地域の指定、告示等は相談を受けるように覚書で運輸省との実際上の連絡はとっております。今御指摘のジェット機の飛行基地の点は、これは私ども事実問題として防衛庁その他から話も伺っておりませんし、内容も許しく存じませんが、いずれにしましても、おそらく土地買収の問題が出てくるのであろうと思いますが、その辺のときに、一体今お話しのように、せっかくの臨海工業地区として、中海臨海工業地区としていい条件を持っておる地域をそういう形で利用されるということとの間の調整ができるのかできないのか。できないということであれば、これは地元としても、やはり土地買収その他の点にいろいろお考えなりお話し合いがあると思います。私どものところで現在までのところは今お話しの点は具体的な問題としてはまだその事実を承知いたしておりません。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは実は私社会党で、陸地にこれまである飛行場を延ばすということに反対しておったが、今度は海の中に出るわけであります。淡水化する海の中に出る。陣地の延長でない方向に飛行場を拡張することになったんです。その土地の競合ということは割合ないんです。ただまあそういう境港から米子、安来、松江と、こういう臨海工業地帯の中心にくる。そういうことが、騒音——万一の場合のリスク等を考えて工場が立地するだろうか、投資する企業家が出るだろうかという心配が非常にわれわれ——これはイデオロギーを別にして問題なんです。そういう危険なところにこれから埋め立てして、そして水の問題、淡水化し、多目的ダムを作って工場用水を確保し、港湾を修築しておるところにくる。そういうところに、まあ最善の立地ではないんです。表日本ベルト工業地帯とは違って、ベストの工場立地ではないのに、なおそういうリスクがあるかもしれぬというようなところにくるかどうかという問題です。まあなかなか局長さんとしてはめんどうな問題ですが、角度を変えて、小松もたしかこの調査の中に入っているんですがね、小松にもできたんですが、あれはいろんな小松製作所その他があるんですが、あれは飛行場との距離はどうなっているんですか。それから浜松にもあるんですが、木田技研ですか、本田何とかがありますが、これは飛行場との一体距離はどの程度離れているか。防衛庁は、まあ浜松の例をあげて、何とかオートバイの会社があるかだらいじょうぶだ、影響ないというような説明をこの前やっているんですが、そういう点はどうなんです、そういう点は。これまでできた飛行場のそばにどんどん立地してくる会社があるか、というような形では答えられませんか、小松、浜松等。
  40. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 小松の例は私あまり詳しく実情を承知いたしておりませんが、浜松の例は、御承知のように三方原を中心に最近今お話のある本田技研その他工場建設が非常に急速に進んでおります。これも浜松の飛行場にかなり近い、まあどうせジェット機のことでありますから、もう距離が少しぐらいの差でどうということではないと思います。私たまたま三方原の工場建設のところを見学したことがございますが、なるほどジェット機はしょっちゅう上空で爆音を立てておるようであります。しかし浜松地区には——今お話しの三方原地区は従来は水が非常にとぼしいところでございます。従いましてあの地域に農業開発をやるのにも非常に困難だし、しかしそれをあえてしてあそこに農業用水を持ってきて農業開発をやろうという計画も現在ございますけれども、おそらく現状では、あの三方原地域は、それより先に工場建設の方が行なわれるのじゃないかと、われわれは想像できるほど工場建設がかなり急速に行なわれているわけでございます。まあその例がすべての例に当てはまるかどうかわかりませんけれども、少なくとも三方原のあの例はジェット基地が近くにあるということは、あまり重大な支障になっているとは私は考えませんでしたけれども、これは一般的にそのまま言えるかどうか、現実問題としては三方原には工場建設が続々行なわれているという実情のようであります。
  41. 中田吉雄

    中田吉雄君 農林省に対しましては、防衛庁は、中海干拓の計画があるのですから、計画の全貌を話し協力を懇請しているんですが、農林当局に聞いてみると聞きおくだけだ。それが将来干拓して酪農その他にどういう影響を及ぼすか。水産等についてはこれから検討するということですが、通産当局の方には何もなかったのでしょうか。その点お伺いいたします。
  42. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 特別な話は何もありません。
  43. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは一つです、島根、鳥取両県でいろいろ調査をされて、まあただ一つといってもいいほどな立地なんです。そういう点で、実際そういうことと両立するかどうかということは、これはまあ具体的にその地区の問題でやらねばならぬのですが、そういう問題を一つ将来相談してもらえますかどうですか。一つ純粋な技術的な問題で相談に乗っていただきたいと思います。私の質問はこれで終わりたいと思いますが、せっかく数年かかって調査をやられて、大体の傾向はわかってきているんですが、再三くどいほど申しますように、私はもっと日本の、工場をどう配置するかということについては、まあ企画庁、建設、自治省、関係するところが多いのですが、早急にやはりもっと強い線を出されることが必要じゃないかということを申し上げて、私の質問を終わります。
  44. 椿繁夫

    椿繁夫君 この機会に関連して一点だけお伺いいたしますが、この高松のこのあれによりましても、工業立地の予定地になっていますが、あすこに相当な埋立用地が、数年目にあちらへ行ってみても、工場が建っていない。政府工場立地調査を始められる以前のあれは埋立地であったかもしれませんが、あそこに工場が数年建たないというものは何か欠格の要件があるのではないかという気がいたします。地元で聞いてみましても、やはり工業用水の不足のためになかなか工場誘致ができないというようなことを聞くのですが、政府所得倍増計画から申しましても、工業の地方分散というようなことをいろいろお考えになっている。しかもあそこは港湾、鉄道など相当この工場立地条件はいいと思うのですけれども、数年目にここに行ってみても工場が建っていない。どういうふうな欠格の条件があるのでしょうか。
  45. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 工場立地関係で、いわゆる瀬戸内海地区という意味では、その位置としては決して悪くない位置であろうと思いますが、私どもの方で承知いたしております限りでは、今お話しの中にございましたが、やはり水の問題が一番あの地区の重要なマイナス点であると思います。あの地区では、大部分現在地下水のくみ上げてまかなわれているようでありますが、あの地区の近くには大きな河川が御承知のようにございません。小さな中小河川は四つ、五つほどあるようでありますが、これらの中小河川は、いずれも水の量が非常に乏しくて、従いまして、表流水による工業用水の求める源にも、水が第一自然的に乏しいということが一番重要な問題のようであります。この地区内にも、現在もちろん工業用水道の施設はございませんが、計画としては将来パー・デイで三万六千トンくらいの工業用水を作りたいということであります。現在私どもが聞いておりますのでは、やはり地下水を求めて、あるいは一部下水処理の還元をやって、全部計算をしても、将来三万六千トンくらいの工業用水の計画ができるか、できないかというような状況にあると承知いたしております。そういう意味で、いわゆる用水型の工場があの地区に工場立地を求めることは非常にむずかしい、おそらくそういうところにも一つの大きなまあ問題があるのではなかろうかと思います。
  46. 椿繁夫

    椿繁夫君 この水が不足しているために工場適地としての条件に欠ける。現地では県ですか、市ですか、吉野川から工業用水道を誘致するようにしたいというようなことを言っているのを聞いたことがあります。そういう計画がすでに企業局の方に出されているかどうかということが一点。  それからあれだけの、どれくらいございますか、相当な地域でありますが、あすこで工業用水を地下水に求めるというような場合に、尼崎とか大阪あるいは東京の江東地区、新潟等に見られますように、工業用水を地下水にその源を求めるというようなことで地盤沈下の心配はないか、この二点お尋ねいたします。
  47. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 第一の吉野川からの水をという点は、四国全体といたしまして吉野川開発、むしろ四国開発といった方が適当であるかもしれませんが、そういうことは御承知のようにいろんな計画がございます。四国通産局でも吉野川開発、同時に四国開発の問題は、従来かなり現地での御相談、その他には入っているようでありますが、何分にもこれらは先生十分御承知と思いますが、四国四県の間の水の問題というのは、多年のいろんな問題がありまして、現在その話がついていない。そういう意味で吉野川から高松に水を引くということは、そういう意味からも非常にむずかしいでありましょうし、また、かりに水源の問題が吉野川に求めることで、解決いたしましても、まあ、はたしてどの程度の値段になるか、その辺は私どもまだ十分な検討をいたしておりません。  それから地下水をくみ上げることで地盤沈下のおそれはないかという点でございますが、現在私どもの承知いたしておりますのは、地下水は現在十八メートルないし七十五メートルの深度で用水、地下水のくみ上げが行なわれているようであります。現状では地盤沈下の徴候はございません。ないと信じております。地下構造その他を調査しなければ、最終的なことは言えないと思いますけれども。まあむしろ高松地区で地下水のくみ上げを過度に行なわれた場合のことを想定いたしますと、地盤沈下よりも塩水混入の危険と申しましょうか、その度合いの方がはるかに心配されるのではないか、現状では私どもその程度のことしか判断いたしておりません。
  48. 椿繁夫

    椿繁夫君 名古屋が伊勢湾台風の洗礼を受けて、初めて地盤の沈下状況というものを本格的に調査することに取っ組まれるようになった。ところが、今の高松の工業用水を地下水に給源を求める点で、現在までのところあまり下がっていない。あの程度工場はほとんどないのですから、地下水をほとんどくみ上げていないじゃないかと思います。ところが、あれだけの工業用地を造成いたしまして、そしてその地下水が相当工業をまかなうことができるというような程度にくみ上げられるようになりますと、これは沈下することは必至だと思います。大阪、尼崎等におきましては、地上から十メーターか十二、三メーターまでの砂地、伏流水の還流する可能な深度の地下水のくみ上げというものは、沈下の影響はないのです。四十メーターから五十メーターの深度の地下水が、冷却用などには一番温度が適しておるし、番盤沈下のためにはその層の。その地域の水のくみ上げということが一番大きな原因になっておる。ですから工業用水道法におきましても、地上から百メーターとか、百五十メーターとか、深度を定めておりますのはそういうところにあるわけです。高松のあそこが、十メーターから七十メーター程度のところに地下水のくみ上げを行なって工業水をまかなっておるということでありますと、これは現実に測定いたしますと、下がっておるのではないかという気がいたしますけれども、ちょうど名古屋が伊勢湾台風の洗礼を受けて、初めて気がついて、本格的な調査にかかったと同じように、ちょうど高松は台風の裏側になっておりますから、内海でもありますし、高潮等の経験、危険というものも直接今日まで受けていない。そういうことから、私は、地盤沈下の調査というものはどの程度やっておられるのかということを実は知りたいのです。もし本格的な調査をやられて、なお地下水を地上から深度五十メーター、七十メーターというところの地下水をくみ上げて、下がっていないということであれば、これは別でありますけれども、大阪、尼崎、また江東地区等の経験からいたしますと、高松でやっております深度の層の水のくみ上げが、地盤沈下のためには一番影響の大きい深さの水であるということを私承知しておりますので、別に香川から頼まれて言うておるわけではないが、あれだけのものを造成しながら、数年かかっても工場の建設が目立たない、何か条件に欠けたものがあるのではないかということを気にいたしますので、ちょっとお聞きしたわけです。どうでしょう、本格的な調査を、地盤沈下をしないと断言できるような調査をやっておるのでしょうか。
  49. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 工業用水法の運用に際しまして、指定地域という問題とも関連して、現在ある地域を限って調査をいたしております。現在、たとえば静岡でございますとかは、一部そういう意味の調査を、地質調査を中心にやっておりますが、現在高松地区についてはあまりそういう問題は深くやっておりませんので——従来やっておりません。必要の緩急順序は、全国的に判断しなければなりませんが、現在高松での地下水くみ上げ、あるいは下水処理による工業用水道計画というのも、まだ単なる計画段階でございまして、その計画がさらに具体的になるということになりますれば、当然今の地質調査をやる、地下構造調査を十分にやる、それからでなければそういうことには手をつけられない。なお、地質調査なり地下構造調査は、三十五年度、六年度を通じまして全国的に少しずつではありますけれども進めておりますので、そういう際にも、高松地区を現実にどうするかということはちょっとここでは申し上げられませんけれども、今後の問題として検討さしていただきたいと思います。
  50. 椿繁夫

    椿繁夫君 もう一点だけだいぶ前、三月でしたか、地下水は一体だれのものかということで政府の見解をただしましたが、明確な御答弁がない。松尾さんは、どうも地上権を持っておる者の支配権が地下水に及ぶのじゃないか、そういう判例があるのじゃないかというふうなことを答えられたことがありますので、私もその後ちょっと調査をしてみました。ところが、そういう判例はございませんで、逆に大審院が昭和十三年の六月二十三日でありましたか、地下水の支配権というものは地主にあるとされておるが、公共的な性質を多分に持っておるものであるから、そのように措置すべきであろうというような見解を示しておることが見つかりました。そこで高松が現に下がっていないと言われるが、よく聞いてみると調べていないということでありますから、これは調査を願わなければなりませんが、あれだけの工業用地を造成して、しかも工場の誘地ができない。政府工場の地方分散を計画しておる。そういうところから見ますと、いかにも屋島の上から見ると、もったいないような気がいたします。そこであれが工場適地として活用のできるようにいたしますためには、やはり水の問題を片づけて上げなければならぬ。その問題は、吉野川に水源を求めるかどうかは別といたしまして、四国のあのもめごとというものを政府も早く片づけるようにして上げなければいかぬと思いますが、地下水のくみ上げが、工業用であろうと建物の冷房用であろうと、それが沈下の著しい原因になっておるということは、大阪、尼崎等におきましてはもう明確にデータが出ておるのであります。たとえば終戦になって産業が停止状態にある二十年の下期、二十一年などは、ほとんど沈下が停止しておるのであります。それから一年間を通じて見ますと、冬は沈下の度合いが少なくて、夏に四センチも五センチも多く沈下をしておるというデータが出ています。それからさらに日でいいますと、おもしろいのですが、正月の休みが続きますね、このときには沈下の度合いがずっと縮小しておりまして、十日ごろになって産業活動が開始されてきますとまた沈下をしている。でありますから、地下水のくみ上げが地盤沈下の重要な原因、重要という以上に九十何パーセントかの原因をなしているということは、大阪などの調査によっても明らかです。  そこで、工場立地調査、工業用地の造成というふうなことに関して政府は、やはり地下水のくみ上げ、これは冒頭から規制してかかるという強力な対策をとられる必要があると私は思う。西ドイツでも地表から十メートル以下の深度の水をくみ上げる場合には許可主義をとっている。オランダでもそうです。カリフォルニアでも、そうです。ですから政府は、下がってから防潮堤の積み上げに補助金を出すというふうなことではなくて、沈下の原因が地下水のくみ上げし建物の冷房用あるいは工業用水のくみ上げの原因によって沈下が起こっているということをお認めになるのなら、何とかすみやかに強い規制措置をとられることが必要だと、本法の一部改正などにも関連して強く私は考えられる。重ねて御見解を承ります。
  51. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 地下水の問題につきましては、前にも椿先生から今の点についてはお話を伺いました。そのときにも地下水の法律関係はどうなるかという点のお話がありましたし、そのとき私は十分にお答えができないでおりましたが、その後すぐその関係は、私ども手元の資料調査いたしまして、一応要約したものを持っておったのでありますが、私実はきょうそれを持って参りませんので、あまり詳しいことを御説明できないのでありますが、この問題は、工業用水法の制定当時にも、私どもの方でもかなりその点の検討をいたしております。現在地下水の法律関係は必ずしもはっきりいたしませんが、通説といたしましては、今もお話がございましたように、いわゆる浸透水、流れない溜り水が地下に浸透して、それをくみ上げるというような意味の地上水は、これはいわゆる私物、私物といいますか、私の所有権の問題になるようでありますが、いわゆる伏流水、地下流水等は、いずれもこれは公共的な性格の強いものである、公物と言い切れるかどうかわかりませんが、公共的な性格の強いものであるということが現在の通説であるようであります。一般的に地下水といいます場合には、伏流水なり地下水が大部分でありますから、そういう意味から申しますと、地下水の大部分は公共的な性格の強いものであるということは、これは工業用水法の制定当時にも、そういうことも問題になったようであります。今、そういうことから考えまして、諸外国立法例等を引いて、これに規制を加えるべきではないかという御意見は、私はその通りに納得できると考えております。  ただ現実問題としては、先ほど御指摘のございましたように、問題が重大化しないとなかなか、そうしてまた、重大化した、その地域についてはそういう規制が納得されるけれども、的にいきなり規制ということになりますと、なかなかその点については実際問題としていろいろな問題が多いと思いますけれども、考え方の基本は、今お話ししたような線は、私どもも十分納得のいく考え方であると思います。
  52. 椿繁夫

    椿繁夫君 この機会に政府に私望んでおきたいのですが、地下水の水脈調査というものは国にはありません、一つもやっていない。それから地下水の管理、規制についての法律は、工業用水法と工業用水道事業法、この二つでわずかに触れておるだけでありまして、国土保全の見地からも実に重大だと私どもも考えられるこの地、下水の管理、規制について、国の意思というものが定まっていない。ですから、なるほど地下十メートル程度のものでありますれば、河川の水でありますとか、あるいは雨でありますとかいうようなものによって還流するようでありますけれども、それ以下のなにについてはほとんど調査がなされていないのでありますが、今度の工業立地調査ということになりますと、初めてこれは地下水を工業用に使っていい地域であるかどうかという調査ももちろん今度やられるでしょう。これまで一つもない、いかがですか。
  53. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 地下流水調査の点は、これは現在では地質調査所におきまして、若干の地区について手をつけております。ただこれは全国的に見ますと、まだ手をつけたばかりのところでございますが、流水調査はかなり手数のかかる、また専門的な調査を必要といたしますので、地質調査所のような機構でないとできないと思います。そういう意味で若干手をつけております。この調査法に基づきましての地域調査の場合には、そういう資料がたまたまございますれば、当然資料の中にその調査を織り込みますけれども、この調査で特別に地下流水調査ということは従来はやっておりませんが、今後はやはり地質調査所を中心に、なるべく全国的にこの調査の範囲を拡げていくということで進めなければならないと思います。
  54. 椿繁夫

    椿繁夫君 水資源の開発促進法と公団のことで政府が大へん長い間もめておりまして、ようやく経済企画庁がまとめ役になられて、一本にするということに最近政府の方針が定まったように伺いますが、工業立地の調査をいたします際には、私は工業用水の問題、道路、鉄道、港湾、こういうふうなものが総合的に行なわれなければ、工業用地ということにならぬように思うのです。地上を流れておる水の調査は今度の法律でやられるようですけれども、地下を流れておる、しかも年々大阪などは十五センチから六センチ、市役所の所在地の中之島は沈下しておる。これは条例によって指定をいたしまして調査したところ、指定地域の建物用水としてくみ上げるものが年間四千万トン、これだけの地下水を、大阪でも一部でありますけれども、くみ上げをやっておる。これは建物の場合、工業用水の場合は、最近工業用水道の計画政府の御援助もあってだいぶ進んではおりますけれども、なお西大阪の臨海地区は十七センチもひどいところでは年々沈下いたしておるのであります。今回、工場立地調査等に関する法律の一部改正を御提案になって、私は工場立地条件が、先ほど申しました通り、工業用水のごときは重大な用地の条件になると思うのですが、その調査は地質調査所の方にまかせておりますので、この調査からは対象にしておりませんということでは、政府はあまり、目に見えたものだけしか追わない、そうして国土保全に対しても熱意がないということに断定せざるを得ませんから、もう少しそのことについて、工場立地の基本条件の一つです、これは。用水の供給源をどこに求めるか、そういうことについての調査が第二次的、三次的に考えられるということは、はなはだ不満であります。もう一ぺん重ねて一つ局長、次官も、大体先ほどから説明しておりますから、私の意の存するところはお聞き取りいただいたんじゃないかと思いますから、一つ所見を伺いたい。
  55. 始関伊平

    政府委員始關伊平君) いわゆる工場立地条件の中におきまして、工業用水の問題がきわめて重要でありますし、だんだん困難になりつつあるということは、ただいまお話の通りでございます。地下水、地下にございます資源の一つといたしましての水に対する着意と申しますか、従来非常に不十分であったということは事実でございます。で、水の問題が重要になればなりますほど、地下水につきましても、ただいまお話がございましたように、水脈調査、その他これが活用なりあるいは管理、規制等につきまして、今後さらに一そうの力を注いで参らなければならないことはもちろんでございますが、ただ、これは先ほど局長が申しましたように、非常に技術的な問題でございますので、直接担当いたしますところといたしましては、地質調査所にやらすわけでございますが、また、現に地質調査所の中に工業用水課というものがございまして、この方面を担当いたしておりますので、企業局といたしましては、この方面と連絡をいたしまして、たとえば取水可能量がどの程度であるかというような点等につきまして、急速に一つ調査を進めて参りたいと存じております。ただ、今お話の中にございましたが、企業局の調査自体におきまして直接に地下水の調査にまで入りますことは、これは役所の機能上と申しますか、困難であるわけでございますので、同じ通産省の中に地質調査所がございますので、この方面と十分に連絡をとりまして、なお、予算の獲得等につきましても協力いたしまして、御趣旨に沿うように今後進めて参りたいと存じておる次第でございます。
  56. 椿繁夫

    椿繁夫君 地質調査所で調査を進めていただくということでありますから、今後の御努力を期待いたしますが、局長も触れられましたように、地下水脈の調査ということは、なかなか技術的にむずかしいものであると承っております。ですから、このちょっと予算を相当思い切ってなにしないというと、これは完全なものにならぬのではないか。どこでも、全国至るところやらなければならぬということを主張しているのではございません。百数十カ所にわたる工場適地安どの水の問題、これは地上の水、地下の水含めて調査をされることを私は望んでおきます。
  57. 加藤正人

    ○加藤正人君 ちょっと簡単に一点だけ。最近全国至るところにコンビナートができまして、諸方に問題をかもしているようであります。その中でも、今候補地になっている西宮に問題があるのであります。特に同地方はいわゆる灘五郷、代表的な酒の醸造元の多いところであります。それが今椿委員の言われた用水に非常に影響を来たすのであります。あの辺は昔から宮水といって、これは化学的に分析すればどういう結果で豊潤な酒のもとをなすかということは、まだきわめてないようでありますが、とにかく、ほかの水よりもいい液ができることは御承知通りであります。ところが近くに今、日本石油を中心としたコンビナートができかけております。これで酒造業者が非常に脅威を受けております。今そういうことであなた方の方にまでいろいろな陳情がいっているかとも思うのでありますが、単に酒造業者ばかりでなく、あの一円は文化住宅都市として、今あそこにその目的で移住した人が多いのであります。ところが、その前面の沿岸に大きな石油工業を中心とした工場ができますと、これは酒造業者ばかりでなく、一般市民が署名運動をして非常に反対をやっているのでありますが、その勢いで日本石油も計画の縮小を考えている。一部を網干、高砂の方面に求めているというようなことで、僕は間接に、そういう候補地はないかという相談を受けたこともあるのでおります。まあこれは徳山にもそういうことがあった。しかし企業は大きな金を市役所あたりにやっているために、割合に静かになっているのでありますが、どこでもこのコンビナートの誘致に対しては、地方団体が固定資産税や何かの収入が多い。特に西宮なんかは四億円くらい違うというので、非常に魅力を感じている。一般利益を犠牲にしてもこれをやろうというようなことで、住民と市長あたりとの考えが違うらしいのであります。こういう問題について、あなた方の方にどういう陳情がいっているかということをついでに伺いたい。
  58. 松尾金蔵

    政府委員松尾金蔵君) 今お話の中にございました西宮に日本石油が工場建設をやりたいということで、私どもの方も地元から話を伺っております。あの地区は、今お話のございましたように、灘地区のいわゆる酒造関係との問題だけではなくて、もっと一般的に見まして、あの地区は実は水のない地区でございます。それに対しまして、どういうわけで日本石油が本来非常に水を必要とするような石油精製あるいはコンビナート基地を作ろうとするのか、私どもは客観的に見ますとどうも合点がいかないというくらいに、あの地区には水の問題で非常に困難な事情があるはずであります。そういう意味で、私が直接日石に話したわけではございませんが、石油の関係を担当しております鉱山局等でも、この問題をかなり心配をいたしております。ただ私どもが聞いておりますのでは、日石もその後この問題についてはかなり計画を、今お話もございましたけれども、決定的なものにしていないというふうに聞いております。まああの地区に石油の販売基地を設けるというような程度のことであれば、これは水の問題とあまり大きな関係はございませんが、そうでなくて、今伝えられているような問題であれば、あの地区にそういう用水型の工場基地を設けるということは、われわれは常識的ではないと思う。そういう意味で、幸いに日石の方でもだいぶいろいろ考えておられるようでありますので、私どもも原則的にはあまり常識的でない計画だというふうに、会社の方にも、もちろん公式ではございませんが、そういうことも話しました。そういう実情でございます。
  59. 加藤正人

    ○加藤正人君 大きな川もありませんし、用水に非常に困難だと思う。また今のたとえば地下水に求めるというようなことになると、椿委員の心配されたことがあそこでも行なわれる。これは単に西宮だけでないので、企業がみずから用水の前途を考えて、このコンビナートの中から脱落——みずからドロップするという傾向が所在にあるようでありますが、徳山などはまだ問題が残っている。ただ西宮のように署名運動などないから、やむを得ず黙っているのが、これは全国至るところに私はあると思う。ちょっとコンビナートが少し多過ぎるのではないか。これは地方団体が税金の収入に目がくらんで、前途のことを考えないでやるので、これは通産当局は大いにこの点はブレーキをかけていただきたい、こう思います。私はこの程度で終わります。
  60. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御質疑はございまんか。——他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  61. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。  ちょっと速記やめて下さい。    〔速記中止
  62. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。  本日は、これにて散会します。    午後、零時四十九分散会