○国務大臣(
椎名悦三郎君) ただいま御提案になりました
商工会の
組織等に関する
法律の一部を改正する
法律案について
提案理由を御説明いたします。
中小企業問題につきましては、かねてから諸般の施策を講じて参ったところでありますが、従来各種の施策に均霑するところの薄かった小
規模事業者に対して特に施策の手を差し伸べるために、主として郡部の町村単位に、その地域の商工業の総合的な改善発達をはかるための組織として
商工会を
設立し、この
商工会とすでに都市部にできている
商工会議所との行なう小
規模事業者のための事業活動に対し、助成
措置を講ずることができるように、
商工会の
組織等に関する
法律が第三十四国会において成立し、約四億円の国庫補助額を計上し、昨年六月十日に施行されましたことはすでにご
承知の
通りであります。
この
法律の施行後本年二月末までにすでに全国で千六直五十四の
商工会が
設立され、
昭和三十六
年度中にはその数は約二千三百に達する
予定でありますが、これらの
商工会は比較的単位が小さく、その組織もいまだ強固なものとはいえず、期待されている事業の円滑なる実施と事業内容の一そうの充実をはかるために、これらの指導連絡に当たる組織を確立する必要性が痛感されて来たととろであります。
右のような必要性から、すでに全国四十二の都道府県
商工会連合会及びその上部組織としての全国
商工会連合会が、任意団体または社団法人の形で誕生しておりますので、これを法制化し、その組織及び運営について定めるとともに、これが事業活動についての助成
措置を講ずる必要があるわけでありまして、すでに昨年四月、現行法が衆議院において可決されました際、附帯決議として、
商工会の連合会組織の法制化をすみやかに実現するよう要請されていたところであります。
このような事情から今回本改正
法律案を提案することといたした次第でありますが、その内容の概要について以下ご説明いたします。
この
法律案の骨子は、都道府県
商工会連合会及び全国
商工会連合会の組織について定めるとともに、これらの連合会の行なう指導事業の一部について国の助成
措置を規定するものであります。
第一に、都道府県
商工会連合会は、都道府県ごとに一個とし、その会員たる資格を有する者は、当該都道府県の地区内に主たる事務所を有する
商工会としております。また、全国
商工会連合会は全国を通じて一個とし、その会員たる資格を有する者は都道府県
商工会連合会としております。
第二に、
商工会連合会の事業については、
商工会の組織または事業についての指導連絡、商工業に関する情報または資料の収集及び提供、商工業に関する調査
研究、展示会等の開催またはそのあっせん、技能または
技術の普及または検定、
関係経済団体との提携または連絡、
意見の具申または建議、その他
商工会の健全な発達をはかるために必要な事業を行なうこととなっております。
第三に、
商工会の都道府県
商工会連合会への加入脱退は任意でありますが、都道府県
商工会連合会は全国
商工会連合会へ当然加入することとなっております。
第四に、都道府県
商工会連合会は、地底内の
商工会の二分の一以上が加入し、全国
商工会連合会は二十五以上の都道府県
商工会連合会が加入するものであれば、
通商産業大臣の認可を受けて
設立することができることと定めてあり、その管理、運営等についても所要の規定が置かれております。また、連合会の公共的性格にかんがみまして
通商産業大臣の所要の監督規定も設けられております。
第五に、
商工会連合会の
商工会に対する指導に要する経費の一部について国が助成できるように定めておりますが、この国の助成を行なうための
予算措置といたしましては、三十六
年度において約二千三百万円を計上いたしておる次第であります。また、このほかにも
商工会または
商工会議所に対する補助として七億六千五百万円が計上され、その他を含めて総額八億二千五百万円の
予算をもちまして、小
規模事業者のための対策の拡充強化を期している次第であります。
以上本
法律案の
提案理由及びその内容の概略を申し述べましたが、何とぞ慎重御
審議の上、御賛同あらんことを
お願いいたします。
次に
産炭地域振興臨時措置法案につきまして、その
提案理由及び
法律案の要旨について御説明を申し上げます。
産炭地域の経済は御
承知の
通り全面的に石炭鉱業に依存しているところが多く、石炭鉱業の盛衰がその地方の経済に及ぼす影響はきわめて著しいものがあるのであります。一般
産業界の好況にもかかわらず、石炭鉱業の構造的不況はこれらの地方の経済に大きな打撃を与えているのでありまして、炭鉱失業者は雇用機会のないまま産炭地域に滞留し、鉱害その他の産炭地域特有の事情と相まって社会不安の原因となり、産炭地域は甚だしい疲弊にあえいでいるのであります。
このような
状況を反映して地方財政もまたますます逼迫の度を高めつつあるのでありまして、石炭鉱業の合理化そのものも次第に困難となってきているのであります。
これらの複雑かつ困難な諸問題の解決のため、
政府は従来とも離職者対策その他の施策を推進してきたのでありますが、御
承知のように、炭鉱失業はややもすると集中的かつ大量に発生するおそれがあるのみならず、その地域全体が失業するという事態の発生する危険が少なくないのであります。さらに失業者の過去の生活環境、年令構成、技能
程度から見て、これを労働に対する
需要の大きな地方へ移動せしめるという対策には、重大な限界があることを認めざるを得ないのでありまして、そのためにはどうしても現地において雇用の機会を創造し、
増加させていくという施策が必要になるのであります。
また石炭は、産炭地域においては、今日でもなお競合エネルギーに対し経済的優位を保っているのでありまして、今後の石炭政策という見地からも石炭
需要を産炭地域において極力確保するため、産炭地発電の推進、その他の対策を進めてゆく必要があるものと考えるのであります。
このためには、単一経済地帯である現在の産炭地域に新しい
産業を導入し、育成し、多角的な
産業地帯を作り出してゆくという方向が選ばれなければならないのでありまして、これはひとり
わが国に特有の事情ではなく西欧諸国においても産炭地域の振興には、特に力をいたしているのであります。
この
法律案は、このような考え方のもとに産炭地域を振興するための基本的方向と具体的
計画を定め、国の施策を統一的かつ集中的に進めてゆくことを企図しているものでありまして、これがこの
法律案の内容の第一の点であります。このため、
通商産業大臣は、産炭地域振興基本
計画と同実施
計画を定めることといたしておりますが、この基本
計画には国民経済的観点または実施
計画相互の関連等の観点から実施
計画策定の基本となる事項について、また実施
計画には各地域の特殊性をも十分考慮に入れた具体的事項について
計画を定めることといたしております。なおこれらの
計画の策定にあたっては、産炭地域振興
審議会の
意見を聞くとともに、
関係行政機関と十分協議をする建前をとっており、また実施
計画は、その緊急性にかんがみ、
法律の施行後二年以内に定めることといたしました。
内容の第二点は、
通商産業大臣は、これらの
計画を策定するために必要な調査を行なうこととしたことでありますが、本
年度の調査のため三千万円の調査費が
予算に計上されております。この種の
計画を定めるためには、事前に十分調査をし、真に実効性のあるものとする必要があるので、調査地域、調査方法等についても
審議会の
意見をきくことといたしたのであります。
第三点は、国の助成
措置に関する規定であります。産炭地域振興のための具体的な事業およびその推進の方法については、今後の調査と、これに基づく
計画によりきめられるわけでありますが、この
法律案におきましては、地方税の減免に伴う
措置、減価償却の特例その他一般的な
措置として当面必要と考えられるものにつきまして規定いたしました。
なおこの
法律は、産炭地域振興の緊急性にかんがみ、有効期間を五年とする臨時
措置法とすることといたしました。
以上簡単でございましたが、との
法律案の
提案理由およびその要旨について御説明申し上げました。
何とぞ慎重御
審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。