○国務
大臣(
椎名悦三郎君) ただいま
議題となりました
輸出入取引法の一部を
改正する法難案につきまして、その
提案理由を御
説明いたします。
現行
輸出入取引法は、
昭和二十七年九月
輸出取引法として施行され、その後
昭和一十八年八月
輸出入取引法に
改正され、さらにその後二回の
改正を経て今日に至っております。その間
輸出入取引法は、
輸出入取引における秩序の確立についての基本法として、多大の役割を果たして参ってきたのであります。
しかしながら最近における世界貿易の
情勢を見ますと、諸外国においては、依然としてわが国の一部商品の急激な進出が問題とされ、
輸出取引秩序の確立のための
施策がますます強く要請されているのであります。さらに今後わが国の貿易の自由化が進捗して参るのに伴いまして、一部商品については輸入競争の激化が予想され、その
対策を整備する必要に迫られますとともに、低開発諸国との貿易促進のためには、これらの国からの物資の買付を
民間の協調体制のもとに進める
必要性も増大して参っております。
これらの諸
情勢に即応いたしまして、この
改正案を提案した次第であります。
次に
改正の主要点につきまして御
説明いたします。
第一は、
輸出貨物の国内取引に関する
生産業者等の協定に対する政府規制の
規定の新設であります。
現行
輸出入取引法におきましては、
生産業者等の
輸出貨物の国内取引に関する協定につきましては、
輸出業者の協定の場合とは異なりまして、アウトサイダーを規制する
規定を欠いておりますが、一部仕向地につきましては対日輸入制限運動が激しくなる傾向にあり、わが国としても
輸出取引秩序の確立のための体制を整備することがますます肝要とされております。従って
輸出取引における過当競争の
原因が国内の
生産分野等に存する場合には、必要に応じ
生産業者等の協定につきましてもアウトサイダーを規制することができるようにし、
輸出協調体制の確立につき万全を期せんとするものであります。
第二は、輸入貨物の国内取引における購入に関する
事項についての需要者等の協定の
規定の新設であります。
現行
輸出入取引法におきましては、相手国の売手独占等によるわが国の高値
買い等の弊害を除去するために、輸入業者の段階において協定その他の共同行為を行なうことが認められております。しかしながらわが国の輸入取引におきましては、国内の需要者等が輸入取引の
内容を実質的に左右している場合が多くみられる実情にかんがみまして、輸入業者による共同行為によってもなお前述の弊害を除去することが著しく困難である場合には、きわめて厳重な制限のもとにおいてではありますが、需要者等が輸入貨物を購入する場合の国内取引について協定を締結することができるようにすることが、これからはぜひ必要であると考えまして、この点に関する
規定を設けました。
第三は、
輸出入調整に関する
輸出業者及び輸入業者の協定の
規定の新設であります。
従来低開発諸国との貿易においては外貨
資金割当制度によってある
程度割高な物資の買付を行なって、わが国の商品の
輸出を容易にしてきた例が少なくないのでありますが、貿易の自由化の進展に伴い政府においてかかる措置をとることは次第に不可能となりつつあります。今後は貿易業者間の自主的な話し合いによりこれら低開発諸国との貿易の維持拡大をはかることが必要でありますので、
輸出入の調整に関する
輸出業者及び輸入業者の協定に関する
規定を設けることといたしました。
第四は、貿易連合の制度の創設であります。
中小の貿易商社が連合して、貿易取引を行なうということは、貿易取引の秩序の確立という観点からも、また、
中小貿易商社の健全な発展のためにも必要でありますが、現行法令における諸制度をもってしては所期の
目的を達成することが困難と考えられますので、今回連合して貿易取引を行なう貿易業者の社団に、貿易連合という名のもとに新たに法人格を賦与し、その助長をはかることとし、所要の
規定を設けることといたしました。
右のほか、今回の
改正案におきましては、輸入
組合の設立を容易にすること、
輸出組合、輸入
組合等の
事業内容を明確にし、非出資
組合を非
課税法人にすること等若干の
改正を行なうこととしております。
以上の
改正によりまして、
関係業界の協力と相まって、わが国貿易の秩序ある発展が期待されるものと深く確信いたしておる次第であります。
何とぞ慎重に御
審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
次に、
電気用品取締法案についてその
提案理由および概要を御
説明申し上げます。
最近における家庭電化ブームの進展に伴い、電気による火災・感電事故等の災害も漸増の傾向を示しておりますが、これらの災害の
原因は、主として電気工事の欠陥、電気用品の品質不良及び電気用品の使用・取り扱いの不適正によるものであります。
このうち、電気工事の欠陥による災害については、昨年第三十四回国会において成立を見た電気工事士法により電気工事に従事する者の資格が制限されることとなりましたので、これによってその防止の実効があがるものと期待されます。また、電気用品の使用、取り扱いの不適正による災害については、国民の電気知識の向上にまつところが大きいのでありますが、
電力会社による需用家
施設の定期検査を強化する等の方法を通じて、極力その防止に努めつつある次第であります。
ところで、電気用品の品質または安全度については、
昭和十年以来、旧電気
事業法に基づく旧電気用品取締規則により、製造免許及び型式
承認を主体とする取り締りが行なわれておりますが、この制度は発足後すでに相当の年月を経過し、近年における家庭電気用品の急速な普及状況に即応して災害防止の
目的を十分に達成することは、困難な実情となって参りました。このような
情勢にかんがみ、粗悪な電気用品による火災、感電事故等の危険を防止して一般家庭等における電気の保安に万全を期するためには、この際電気用品取締制度の全面的な改善
合理化をはかる必要があると考えられます。これが、この
法律案を提案するに至った理由であります。
次に、この
法律案の概要を申し上げます。
第一に、この
法律案による規制の
対象となる電気用品の範囲は、主として一般家庭において使用される電線、配線器具、電熱器、小型機器等であります。
第二に、電気用品の製造に関する規制といたしましては、製造
事業者の登録制を実施するとともに、電気用品の型式について
一定の試験を行ない、その試験に合格したもののみの製造を認める型式認可の制度をとることといたしております。これは、実質的にはほとんど現行の取締体制を踏襲するものでありますが、製造
事業者の義務を明確化する等
規定全般の整備をはかっております。なお、電気用品の輸入
事業者に対しましても、型式認可の制度を適用することにより、製造
事業者に準じた規制を行なうことといたしております。
策三に、一般消費者が安心して電気用品を購入使用できるようにするためには、製造及び輸入の規制のほか、販売の段階におきましても、不良な電気用品の流通を阻止する必要がありますので、販売
事業者が型式認可済みの表示のない電気用品を販売することを禁止することといたしております。
第四に、電気用品の製造の急激な増大に伴い型式認可の申請件数も著しく
増加する傾向にありますので、認可のために必要な試験の業務を円滑に処理するため、従来の国の試験機関のほか、
一定の基準に適合する
民間の試験機関を指定してこの試験を行なわせる道を開くことといたしております。
以上が、この
法律案の
提案理由及びその主要な
内容であります。何とぞ慎重御
審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。