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1961-03-28 第38回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十八日(火曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員吉田法晴君辞任につき、その 補欠として阿部竹松君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    理事            川上 為治君            古池 信三君    委員            赤間 文三君            大川 光三君            上原 正吉君            岸田 幸雄君            斎藤  昇君            山本 利壽君            阿具根 登君            岡  三郎君            近藤 信一君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            向井 長年君            加藤 正人君   国務大臣    通商産業大臣  椎名悦三郎君   政府委員    通商産業政務次    官       始関 伊平君    通商産業省通商    局長      今井 善衛君    通商産業省公益    事業局長    大堀  弘君    中小企業庁長官 小山 雄二君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業振興資金助成法の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業信用保険公庫法の一部を改  正する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○電気用品取締法案内閣提出)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。  本日は輸出入取引法の一部を改正する法律案及び電気用品取締法案について提案理由説明を聴取し、中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案について補足説明を聴取し、ついで中小企業関係法案について質疑を行なうことといたします。  議事の都合により、最初に、中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案議題とし、事務当局から補足説明を聴取いたします。
  3. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、主要な点を御説明申し上げます。  まず、題名の改正をいたすわけでございますが、中小企業振興資金助成法という名前中小企業振興資金等助成法と改めております。中小企業振興資金助成法は、その名称でも明らかな通り国及び都道府県が相協力して中小企業振興資金的な面から助成しようとするものでありますが、今回の改正によって、都道府県貸付対象資金工場集団化のための土地及び建物資金が加わったほか、新たに集団化のための工場用地買いかえの場合の課税特例措置規定されましたので、中小企業振興資金等助成法と「等」を加え、資金面のみならず税の面での助成措置をも含むものである旨を明確にいたしたわけであります。  次に、第一条の目的規定でございますが、これも同じ趣旨からいたしまして、「設備設置に必要な資金」に「等」を加えまして、「設備設置等に必要な資金」、「補助金を交付することにより、」に、これも「等」を加えまして、「補助金を交付すること等により、」と、それぞれ題目のところで申し上げましたと同じような趣旨を明確にいたしたわけでございます。  第三条は、国の補助対象となる都道府県貸付事業資金規定したものでありますが、工場集団化のために必要な資金について第四号を追加いたし、従来からの共同施設設置資金及び設備近代化資金のほか、新たに土地取得及び造成並びに建物建設資金を貸し付け縛ることといたしたものであります。イは土地及び建物組合所有の場合の規定であり、口は個人所有の場合の規定でありますが、イの規定によりまして、工場集団化に必要な土地組合が一括して取得し、団地の運営が軌道に乗るまでの一定期間、これを組合自身が所有し、所期の目的達成に資するよう運用をはかることができるようにいたしたわけであります。  集団化計画事業協同組合等が作成するものでありまして、その組合には中小企業等協同組合法において認められているところにより、従業員三百人または資本金一千万円の線をこえるところの中小企業者でない者も加入でき、従って、その計画自体は国の助成対象となり得るというものでありますが、振興資金助成法本来の趣旨からいたしまして、無利子貸付の恩典は、本号のイ及び口におきまして中小企業者事業の用に供するためのものに限定することといたしました。  また、集団化必要性ないしその効果にかんがみまして、組合資格事業製造業に限っておりますが、現在までに判明しております計画はすべて製造業に関するものでありますし、製造業以外の業種にあっては団地集団化するということはまずないと思われますので、実態に即して規定したものであります。政令で定める基準は、第十四条の課税特例措置を適用する場合の要件ともなるものでありますが、国の指導助成対象として適当な集団化計画内容とはいかなるものであるべきかという観点から、集団化する企業者の数が一定以上であること、集団化する企業者は同一業種または関連業種に属する事業を行なうものであること、団地ごと事業協同組合等を設立し当該団地集団化するすべての企業者をその組合員または所属員とするものであること、その他立地条件共同事業施設配置等について規定する予定であります。  第四条は、条文の字句の整理でございます。  第十四条は、工場集団化のために必要な工場用地買いかえの場合の所得税または法人税課税特例規定したものであります。まず第一項では、通商産業大臣事業協同組合等の作成する工場等集団化計画が第三条第一項第四号の要件に該当する場合には、その計画承認をすることといたしております。  次に、第二項において、前項の承認にかかる工場等集団化計画内容に従って当該事業協同組合等組合員または所属員たる中小企業者が、従来の工場用地譲渡し、かわり団地内に土地取得してその事業の用に供した場合に、現実に計画内容に従って譲渡取得をしたこと等について通商産業大臣証明を受けることにより、租税特別措置法に定める課税特例の適用があることにしたわけでございます。  次に第十四条において規定いたしております三つの政令事項について御説明申し上げます。  まず、「政令に定める日において中小企業者である者」ということについてでありますが、集団化一つのねらいは工場規模適正化という点にありますので、これにより移転によりまして工場規模が拡大することは当然予想されるところであります。従いまして集団化後も税の特別措置を受けるまでは中小企業者にとどまることを強制するというのは実情にそぐいませんので、たとえば集団化計画承認を受けた時点において中小企業者である者は特例措置対象となり得るよう政令で定める方針であります。次に、課税特例対象となる「政令で定める工場施設の敷地の用に供される土地」でありますが、ここにいう工場施設については、工場建屋、その付属設備または構築物のほか、事務所、従業員宿舎等個人用住宅を除いた広い範囲のものを政令で指定することとしております。さらに「その他政令で定める事情」とは、通商産業大臣証明を行なうにあたって検討すべき事項政令規定しようとするものでありまして、その内容としましては、工場施設計画通り一定の時期までに建設されていることあるいは適正に配置されていること等が考えられます。  本条二項では、単に当該譲渡にかかる収入金額または益金に相当する金額は、所得計算上総収入金額または益金に算入しないと規定しているだけでありまして、実体がわかりにくくなっておりますが、実体的な規定租税特例措置法の方にゆだねているわけであります。その内容を簡単に申し上げますと、通常は土地を売却しますと、その譲渡代金から、取得価額譲渡に関する経費等を差し引いた残りの譲渡益に対して、かわり土地を購入する、しないに関係なく直ちに課税されるわけでありますが、本条に基づく承認及び証明を受けた場合には譲渡代金をもって一定期間内にかわり土地を購入すれば、そのかわり土地買いかえ代金相当額譲渡代金から差し引き、なお譲渡益がある場合に、その部分に対してだけ課税するというものであります。  以上をもちまして補足説明を終わります。   —————————————
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括議題として質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 中小企業金融公庫法を初めとしまして関連法案審議に先立ちまして、国民所得倍増計画における中小企業の問題、特に金融問題について少し御質問いたしたいと思う次第であります。  この国民所得倍増計画中小企業の小委員会答申並びに決定等を見ましても、廃業構造を十年間に非常に高度化する。しかし、中小企業国民経済に占める重要性、あるいは十年間に輸出を九十三億ドルに、年率一〇%ふやしていくというふうなことをした際にも、輸出貿易に占める中小企業重要性というものは、十年間にまあいささかも変わらぬという中小企業の占める位置を非常に高く規定しているわけであります。ところが、その際にいろいろな中小企業近代化をして、そして所得倍増計画に伴う地域格差企業格差等を是正せねばならぬということを規定して、いろいろの対策をあげて、そのうちに占める中小企業金融が最も重要になったということをして、しかも財政投融資の占める比率が非常に重要だというようなことが答申に基づいて所得倍増計画にうたってあるわけなんです。ところが、今度椎名大臣の当初の通商産業省重点施策一つでもそのことがまあはっきり第一番にうたってあるんです。ところがただいま問題になっています中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工組合中央金庫に対する財政投融資を見ますと、本年度に対しまして、当初計画で二百五億円ふえて、八百四十億というふうな、まあわずか二百五億の増なんです。ところが財政投融資全体の伸びに比べて若干率はいいようですが、これではすでに国民所得倍増計画の中で中小企業の占める重要性をうたい、その中で資金対策がもう根本だといいながら、そのうたってあることと、初年度計画としてわずか二百五億の増では十分じゃないのじゃないかという問題なんですが、いかがでしょう。
  6. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 中小企業に対する財政投融資につきましてのお尋ねでございますが、所得倍増計画の線に即しまして、中小企業近代化合理化いわゆる体質改善を進めて参りますことは重要点でございますが、昨年十二月末の現在におきまして、いわゆる全銀行その他金融機関全体の中小企業に対する融資総額は四兆七、八千億でございまして、それに対しまして、ただいまお話のように、本年度財政投融資が八百六十億程度でございますので、貸出残は五千億以上になるものと私どもは期待をいたしているわけでございまして、財政投融資必ずしも十分ではないと存じますけれども、一般の金融機関特に中小企業向け民間金融機関の協力と相待ちまして、近代化合理化体質改善のために必要な資金の確保が一応まあできるものと考えております次第でございます。  なお、ただいま御審議を願っております中小企業振興資金助成法でございますが、これは、今までの分で改定して参りますもの等がございますので、総額百四十数億のものが無利子の金としてそのほかに貸し付けられる、こういったようなことでございまして、不十分ではございますが、それで中小企業——当面緊要な中小企業近代化体質改善を進めて参りたい、かように考えている次第でございます。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 三十五年度の企画庁から出ています経済白書を見ましても、中小企業生産伸びは非常に伸びている、これは大企業よりもっと伸びている、しかし、生産上昇割合には利益率は好転しないということを、いろいろな角度から三十、五年の最新の経済白書で述べて、その中でいろいろな要因をあげて、やはり資金調達の面も一つ利益率が好転しない、原因になっているのですがね。生産は大企業よりもっと伸びている。大企業伸びより大だ。しかし、生産上昇割合には利益率は好転していない、こういうことを経済白書中小企業欄にもはっきりうたい、いろいろその原因について述べているのですが、ここでは金融問題だけに限定したいと思うのですが、去年は財政投融資全体が五千九百四十一億であったものが、ことしは七千二百九十二億になって、千三百五十一億——一二割増加です。それこれを比べますと、二百五億で若干パーセンテージはいいのですが、しかし、中小企業金融の持ついろいろな欠点を是正するために、財政投融資がもっと高い比重を占めねばならぬと思うのですが、答申等にかんがみても十分じゃないんではないですか。その点はいろいろ御説明もありましたが、この中にはいろいろうたっているのですが、金融機関全体の貸出総額のうちで、中小企業向けは現在二三%、設備においては。通報資金は四割七分。ですから、設備では、三二%を四〇%にふやさなければならぬ。運転資金は、四七%を五五%にふやすことが必要だということをうたい、特にこの半分を民間金融機関に期待して、そして財政投融資比率は、少なくとも国民経済に占める中小企業重要性——今後十カ年においてもそれは変わらない——金融の持つ特殊性からして、これを従来の倍にすることが必要だということを、これははっきりうたって、財政投融資の占める中小企業近代化合理化重要性をうたっているのですが、なお、全体の総額伸び、二割一分で割ってみますと、中小企業は三割くらいになっているようです。——若干はいいですが、すでにこの面からして、あとでもいろいろ申し上げますが、証券市場が非常に問題になりまして、いろいろな制約がありしているので、これをもっとふやして、中小企業金融の持つ問題を少しよくすることが必要じゃないかと思いますが、少なくともこれは従来の倍にすることが必要だということを言っているのですがね。いかがでしょうか。
  8. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 御指摘の点はごもっともでございまして、通産省の当初提出いたしました財政投融資に対する要求の案は、ただいまお話の線に近いものであったのでございますが、原資に限りのあります点、その他たとえば輸出入銀行資金といったような、いろいろそのほかの面にも重要な面がございますので、この程度に落ちつきましたことは遺憾でございますが、なお、年末金融というような問題も起こると思いますし、今後中小企業に対する財政投融資比重をもっと大きくするように今後努力して参りたいと存じておる次第であります。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいまの次官の御説明で、努力されたことはわかるのですが、一体これは当初幾ら要求してこういうふうに査定がきまったのですか。その内容について。
  10. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 当初要求いたしました数字を今申し上げますが、先ほど政務次官が申し上げましたような次第でございますが、これを多少数字的に申し上げますと、先ほど御指摘のように、倍増計画の中の中小企業対策としては、中小企業金融の面で、自然に伸びる、自然に伸びるままでは、設備更新あるいは経営健全化のための設備資金運転資金が足りないから、自然に伸びるよりもうこれだけふやさなければいかぬという予想のラインを引きまして、先ほど申し上げましたように、設備資金等では二三%を四〇%にしなければならぬ。運転資金では四七%を五五%にしたいという、その目標を設定しまして、その目標と自然の伸びとの半分をやはり財政投融資に期待しよう、半分は民間に期待しよう、こういうことで、数字的な、大ざっぱな計画ができているわけであります。そして、三十六年度は、大体その計画によりますと、中小企業向けのための、格差解消のためといいますか、そのための財政投融資関係融資目標額は千三百億ぐらい増さなければいかぬ、こういう計画になっております。今回決定いたしました来年度財政投融資計画は、御指摘通り財政投融資金額の純増が二百五億でございますが、これを貸付規程計算いたしますと、回収その他医関係がありますし、それから商工中金等は短期の金がぐるぐる回る面もあります。それを総計いたしますと、大体九百五十億程度貸付増になる。貸付規模増になるということでありまして、まだ足りないのでありますけれども、その差は二百五億と千三百億ではなく、九百五十億程度にとどまった、こういう関係になりまして、今後とも努力はいたしたいと思いますが、諸般の情勢上そういうところに落ちついた、こういう関係になっております。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 実際八百四十億だが、貸付増は九百五十億であり、御努力をされたことはよくわかるのですが、いただいた「商工金融」という雑誌の「中小企業金融位置企業間格差」という論文のようなものをちょっとけさ読んでみても、実際大企業はもっと資金調達能力もあるし、租税特別措置その他あって、私はやはり努力のいかんでは、特に大臣の一番重要な施策劈頭に、中小企業振興といろいろ言って、その企業間の格差地域間の格差を解消するということに比してはいささか努力が足らぬじゃないか、私、商工委員会に入るのは初めてで、そういうことを言っては恐縮ですが、通産省の持つ伝統的な大企業中心のこれまでの傾向が、実は私こういう経験があって、なるほど通商産業省は大企業立場を重視するということを身をもって経験したことがあります。昭和二十九年に、衆参両院自社共産党、超党派的に中国に参りまして、ある染料を作る中メーカー進出口公司と取引したいというので、カタログを持っていってほっておいたのですが、そしたら帰ってみたら、五千万円の中メーカーに対する発注がすでに来ておった。ところが名前は言いませんけれども、今どこか政府関係金融機関の重要な地位にいっておられますが、五大メーカーがいいと言わねば出さん、許可しないというのです。三井、三菱とか日曹とかいう五つの染料を作るメーカーを呼んで、そしてそのオーケーがないとしない。こういうことで二カ月くらいすったもんだして、それでは予算委員会一つやろう、勝負しようというようなことを言っている間に、ドイツのイーゲーがすぱっと入れて、もうそこでやっとこさ通産省五大メーカーの了解を得て、それで結局トン当たりだいぶ下げてやっとこさ、商機を逸して、損はせなんだがもうけにもならぬという形で出した。今度の鉱山局などを見ても、アラビア石油をどうするかというようなことを見ましても、やはり外国資本が入ったなにのプレッシャーがかなりかかって、最初は、秋田や新潟の油田がアラビアに行ったようなものだから、国産と同じように無為替で入れさせるということを開発課説明しておったのですが、いろいろないきさつもあって、最近きまったようですが、そういう点を見ても、なかなか強い力関係等もありまして、一挙にはできにくい点があると思うのですが、私、そういう伝統的な、こういうことを中小企業庁で懸命な努力をされておる皆さんに申し上げては恐縮ですが、何といっても国民所得倍増計画産業構造は高度化しても、国民経済における比重年率一〇%、九十三億ドル出すんでも、輸出における重要性もいささかも変わらぬと、こういう規定をして、しかも財政投融資を少なくとも従来の倍にふやす必要がある、こういうことを所得倍増計画でうたって、私たちは初年度、少なくとも、この計画のきまるときと予算折衝の段階と差があって、ズレがあったりして十分了とはしますが、あとでも若干御指導いただきたいと思うのですが、いろいろな制約があるので、それを克服するためには、何といっても投融資をもっとふやさねば、千三百億と言われましたが、少なくともそのくらい、大臣劈頭重要施策にうたっておられるのですから、やってもらいたいと思うのですが、これはむしろ私は通産省の伝統的ななんで、粘り強い折衝が十分でなかったんじゃないかと思うのですが、くどいようですが、いかがでしょうか、次官
  12. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 中小企業のために御鞭撻をいただきましてまことにありがとうございます。通産省といたしましては、大企業本位の考え方をして中小企業あと回しにするのではないかというお話でございましたが、そういうことではございませんので、たとえば基礎産業といたしましてきわめて重要な電力部門なども、電発を別にいたしますと、九電力その他分として二百十億ばかりになっております。これなんかも、電力債その他の売れ行き等を考えまして、具体的に資金調達情勢を勘案いたしまして、そうきめましたわけでございまして、必ずしも資金配分等において大企業中心にやっておるということではございませんので、その点は御了承いただきたいと存ずる次第でございます。  なお、法律上の狭い意味の中小企業に属するかどうかは別といたしまして、後ほどに法案が出まして、機械工業というものが、御承知のように、所得倍増計画の中で非常に特殊な重要な立場に立っておるのでございますが、これなんかも大企業中心というよりは、むしろそれ以下の中なり小なりの規模のものを中心助成をして参ろう。開発銀行並びに中小企業金融公庫から七十億と三十億の特別の助成資金が出るわけでございます。それからなおアメリカの輸出入銀行から二千五百万ドルの外貨を導入いたしますが、これも大きく申しますれば、中小機械メーカー近代化のために出されるわけでございまして、大企業中心にやりまして、中小企業あと回しにしておるというお話は、必ずしも当たらないと思いますが、御注意の点は十分に注意いたしまして、今後やって参りたいと存じております次第でございます。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 この所得倍増十カ年計画で、十年に国民所得を倍にする、輸出を九十三億ドルに、年率一〇%ふやす、そのためには行政投資を十六兆一千三百億ぶち込む、こういうことになっていますが、これらの中で、中小企業向けはどういうふうに変わってきますか、行政投資は。
  14. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) ただいま御指摘の十六兆の中で、中小企業向けにどうかという細目の決定はまだなされておりませんのでございますが、簡単に申しますと、本年度認められました額よりももっと大きい割合中小企業向けに振り向けて参りたい、またそういう努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  15. 中田吉雄

    中田吉雄君 私、農業方面少し関係があるのですが、十六兆円の中で、農業に一兆円ですか、二兆円かやるということで、これは自民党の農政議員の人も、農業団体も話にならぬということで、だいぶもう問題になっておったようですが、長官の方から、一体十六兆円というものはまあ積み上げてやってあるかどうか、その辺わかりませんが、中小企業向けは一体その中でどうなっているということを一つ説明いただけないでしょうか。
  16. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小企業関係は、その中で積み上げて計算はしてないわけであります。これは今、産業別にいろいろ見ていって計算して、中小企業という仕切りはしてない。別途中小企業関係は、先ほど申しましたように、年々の増加額を目安に置いているわけですが、それをその中で占める割合、逆から見ますと、四十五年度までに約二兆、一兆九千億程度のものが中小企業向けにふえていくという勘定になっております、中小企業自体から積み上げていった計算ですけれども。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ企業総数に占める割合からいっても総生産に占める割合からいっても、十六兆円も投資がありながら一兆九千億というのでは、私やはり日本の経済を一回りも二回りも大きくするには、何としても隘路である中小企業農業をもっと高い水準にして格差を小さくせぬと、それがブレーキになって、やはり大きな発展はまあ不可能だと思うのですが、これはやはり一兆九千億では、農業に二兆円ですか、少なくてしようがないということで、だいぶ自民党でも問題になったようですが、まあ逆算をされたのでも、あまりにもこれは少ない。これで二兆円に近くなれば、財政投融資は従来の倍にするということになるわけなんですか、これはどうなんです。
  18. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小企業関係が非常に企業規模によって、まあ生産性といいますか、所得といいますか、非常に違うおけなんでありまして、まあ大企業の、従業員千人以上のものにこれを比べますと、大体従業員百人前後のところで生産性半分、従業員が十人前後のところでは四分の一というような現状なわけであります。それをまあ全部大企業並みの生産性に上げるということになりますと、これはまあ大へんなことなんでありますが、十年計画で、この所得倍増計画では、十年がかりで、一番下の層をせめて半分に持っていくという目安で、いろいろのもくろみを立てておるわけです。先ほど申しました来年度財政投融資増加額を約手三百億、十年間の増加総計約二兆と、こういう計算は、まあその計算とその能率と、これは金融、投資の面ばかりじゃございません、これはすぐつながるか、どうかは別といたしまして、まあ大体そういう目安で今後計画を立てていくわけでありまして、まあそれにはこの程度で、まだ、それにさえ、この程度で不十分だという感じもないではないのでありますが、全体のバランスその他からいいまして、そういうように現在考えておるわけであります。現実の、多少、来年度あたりの財政投融資額もそれにまだ達しないという状況ですが、今後とも少なくとも、あるいは、できればそれ以上に、これは全体の十年の見通しでありますから、その後の経済を見て手直しをして、足りない分は大いに増強するという手を打ちまして、せっかく努力して参らなければいかぬと考えております。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 「国民所得倍増計画」の二百三ぺ−ジに、中小企業向け貸し出し増加目標というのがありまして、先に申しましたように、設備資金では現在二三%だが、四〇%にする、運転資金は四七%から五五%に引き上げることが望ましい、その半分を民間金融機関の協力に期待するとしても、財政投融資はもう従来の倍にしなければいかぬ、これは言っておるのですが、十年——いつから倍にするのですか、三十六年から倍ということなんでしょうね。終局の最後の年に、昨年六百三十五億であったものを倍にしなければいかぬ、こういうことになるということを、言っておるのじゃないかと思う。そうすれば、千三百億でちょうど合うのですが、そういうことを言ってあるのですが、増加分の半分を民間銀行に期待するとしても、なお、国民経済に持つ中小企業重要性、また、三十九億ドルの機械を輸出する目標としての、やはり機械産業等でも、なかなか高い比率中小企業が占めるということもうたって、それには、とにかく、財政投融資を従来の二倍にしなければいかぬ、ということをはっきりうたってあるのですよ。これはいつから二倍にするというのですか。三十五年を基準にして二倍にするということですか、どうなんですか。
  20. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 三十六年度から二倍にするということでございます。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 始関次官を初め、小山長官等も非常に努力をしていただいたと思うのですが、これはやはりもっとふやしていただかぬと、そうしてまた、これなんかの論文を見ても、あるいは経済白書を見ましても、最初企業に対しては租税特別措置で援助してきた、それを、財政投融資で、もう租税特別措置は大企業に必要なくなって、だんだん財政投融資の方にかわってきた。しかも、それも大企業はいろいろな面で調達能力もあるしというようなことで、むしろ、中小企業等にもっとウエートを置かなければいかぬというようなこともうたってあるし、私なんかも同感ですが、かれこれ申し上げるというのでなしに、ほんとうに所得倍増十カ年計画をやって、そうして隘路であります農業中小企業を、もっと大企業との格差を縮めるには、何としても国の援助の手を差し伸べなければいかぬし、それには、特に資金の出資というものが、中小企業その他庶民のなんになるものですから、私は、ぜひとも、この所得倍増計画というものは、こういう面からでも重要なまあ隘路になって、計画通りには、池田さんおられませんが、なかなかこれはいかぬと思うので、この問題はこれくらいにしますが、来年はあるいはまた八百億の自然増収というようなことも最近出ていますし、もっと思い切ったやはりこの三つの金融機関に対して投融資をふやしていただきたいということを、一つ始関次官に特に希望申し上げておく次第であります。  それから今度の三法案、ワクをふやし、借りやすく、特に中小企業の持っています高金利というまあ問題ですね。それに対してもいろいろ金利を下げ、手は打ってあるのですが、この中小企業の金利負担の実情について小山長官からもう少し、これも大へんな隘路になって、私たちも若干有権者等から頼まれ、金融のあっせん等をやってみまして、いかにも高金利で資本の蓄積はもう全くできんで、相互銀行やその他小さい銀行を育てるようなことに奉仕するほど高いので、その問題について一つ説明を願いたいと思う次第であります。
  22. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小企業の金利負担は相当ばかにはならないものがあるわけであります。政府関係金融機関はまあ中小企業金融を補完するといいますか、量的にあるいは質的に、補完する意味でできている機関でありますが、しかもまあその機関が全中小企業金融で果たしている役割というものは割合少ない。貸出残高でいいますと、中小企業金融の中で政府関係三機関の占めている割合というものは一〇%足らずなわけであります。そういう分量でございますが、これは政府関係機関は設立の趣旨から申し上げまして、金利の面も質的にこれを補完するという意味におきまして特にいろいろ配慮しています。特に最近の金利引き下げの動きにはまず一番初めに政府関係金融機関はリードという意味も含めまして、ことしの一月一日から貸出金利の引き下げを行ないましてやっているわけであります。これは大体この短期の金は割に高い、安くないとはいいますけれども、長期の金、特に設備資金金融につきましてはほかの機関に比べて相当安くなっているわけであります。簡単でありますから申し上げますと、中小企業金融公庫は、これは長期の金ばかりですが、年九分三厘を九分に下げております。国民金融公庫は長期も短期も九分に下げております。商工中金は短期の金が多いわけでありますが、これまた長期と短期平均三厘がた下げまして、長期の金で九分七厘ないし九分九厘、短期の金で日歩二銭六厘であったものを約平均日歩で一厘、年で一二厘程度下げております。一般の金融機関の貸出金利も逐次下がっております。市銀、地方銀行、都市銀行も貸出金利を一月の三十日から引き下げております。ただこういう面におきましても大企業が借りる金といいますか、金高のまとまった金よりは、金高のまとまらない場合の金利というものが少しずつ高くなっておりますので、その面中小企業者は不利だということはいえます。中小企業者がもっぱら利用するといわれております相互銀行、信用金庫、信用組合、こういうものの金利が割合高いわけであります。これらの機関もそれぞれ金利引き下げの趨勢に応じまして、引き下げは実施して参っておりますけれども、相互銀行で申しますと、やはり日歩で三銭五厘から一厘程度引き下げで三銭四厘にした。年に直すと一割二分七厘から一割三分四厘程度になります。それから信用金庫、これも自主規制の最高限度を下げております。それでも二銭四厘でありまして、年利一割二分程度になります。それから信用組合に至りましては最高限度は日歩五銭だったわけですが、四銭九厘程度まで下げましても、年に直すと一割八分二厘が一割七分八厘程度になるかと思います。これらの機関は要するに組織の面それから資金を集める面、その他すべてコストが高くつくというような仕組みになっておるわけでありますが、急にこれをうんと下げるということはなかなかむずかしいということでございます。これは一般のこういう機関の指導の面から申しまして、できるだけ経営の合理化等を進めて金利を引き下げていくという方向に指導して参らなければならないと思います。直接には大蔵省の問題でございますが、それ以外に中小企業というのは、いわゆるもっともっと商い金利のものを往々にして借りて、その場をしのがざるを得ないという面が相当多いわけでありまして、これらのものはそういうものはやめて、できるだけ普通の民間機関あるいは政府関係機関から用を便じて、それらの非常に不自然な、非常に高い金利負担というものはなるべく避けていくというふうに指導して参りたいと思っております。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいま説明をいただき、業務方法書をいただいて、同じ制度金融であります農林漁業金融公庫だと、農業の収益率も非常に低いことは低いのですが、私は中小企業も似たりよったりだと思うのですが、私はこれはけたはずれに、ただいまのように下げても九分くらい。ところが農林漁業ではその据置期間、償還期限等を見ましても、これはもうけたはずれです。ところがたとえば養鶏等ははなはだしく早く返せるのです。ですのにこれをずっと見ていっても、ものによっては利率は五分ぐらいです。あるいは造林資金等は、長いのですが、四分で二十五年以内に返せばいいというような非常に据置期間も長いし、償還期限も長くて利率も非常に安いのですが、農林漁業は、それでもわれわれ農林水産委員会で高いと言っているのです。それに比べてやはり中小企業の据置期間、償還期限、利率というものは、少なくとも実情から見て、据置期間一年で五年以内に返すというようなことでは、なかなかこれは私困難だと思うのです。こういうことが、経済白書に言っているように、生産は非常に伸びた、だけれども利益率はちっとも伸びていない、事態は好転していないということを白書もうたっている一つの大きな原因じゃないかと思う。少なくとも市中銀行あるいは信用組合、信用金庫、相互銀行等をコントロールすると言っては語弊がありますが、意味からいってもそれは小口でコストが高くなるわけですが、少なくとも政府の三つの中小企業向け金融機関は、私は農林漁業金融公庫等と比較して、据置期間、償還期限、利率というものを、そう本質的に農業対象にしたものと異なるとは思えないのです。ことに最近の養鶏、酪農その他を見ても、はなはだしくこの面は、農業団体等の働きかけ等と比べて、中小企業のそれが弱いというようなことはないと思うのですが、九分でしょう、商工中金では一割近い九分七厘ですか、据置期間も一年で、五年以内の償還というようなことで、農林漁業金融公庫等と比べてけたはずれの差があるので、そういう点はやはり新しい角度から、据置期間、償還期限、利率というものを一つ考えていただくことが重要じゃないかと思うのですが、これは大蔵省等出ていただいて言わねばいかぬと思うのですが、現状でいいと思われますか。
  24. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 先ほど小山長官が御説明を申し上げましたように、本年の一月一日から、三機関につきまして、それぞれ若干の引き下げをいたしましたけれども、これで私ども十分である、満足すべきものとは考えておりません。ただいまお話のように、中小企業に対する金利負担は、むしろ相互銀行その他には非常な大きな問題があると存じますが、こういうものに対しましても、一つの誘導的な役割を持つと思いますので、今後金利その他の貸付条件をさらに引き下げるように努力をして参りたいと存じております次第でございます。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは一つ農業中小企業、特に最近の進んだ酪農、養鶏、果樹というようなものの収益力と中小企業と比べて、決して中小企業が据置期間が短くても償還期限も短くて高利率でも十分資本の蓄積をやって近代化し、その劣勢をとりもどせるほど果樹、園芸、酪農等に比べていいとは私は思わぬので、ただいまの御言明もありましたが、ぜひこの問題は御検討をいただきたいと思う次第であります。  それからただいま小山長官がいろいろ申されましたのは表面上で、私たちが実際関係してみて、それはもう想像以上に高い金利負担をして、しかも二カ月くらいで踊らされて、実際もう特に個人の金貸し業者なんかから借りたら、どうにもならぬというような状態なんです。ところが一般の市中銀行等でも歩積みと両建てをなかなかやらしておって、たとえば私の知ったのでも、百万円貸して五千万円預けさしているのですから、預金の利息と借りる利率との差は大へんなもので、非常な高金利になるわけでございます。そういう点で中小企業庁とされては、そういう表面的なことでなしに、歩積みや両建て等の、特に会社等では年度末とか各期ごとの預金の吸収のいろいろ競争等をやっているときに当たると、必ずひどい割合で預金をさせる、しかも大へんな金利になるのですが、そういうことの調査をやられた結果並びにその対策はどうしておられるか。
  26. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 歩積み、両建て、これは実際は相当行なわれているようでありまして、そういうことをされちゃ困るので、実は一般の銀行関係につきましては、大蔵省銀行局あたりがやかましく銀行局としてもいろいろ通達その他もやっておりますが、ほんとうに歩積みをやっているかやっていないかというところは、なかなか実際は巧妙にやっているような面もございまして、なかなか跡を断たないという実情でございます。この政府関係金融機関はもちろん預金を受け入れませんし、そういう問題はないわけでございますが、先般衆議院でも質問がありましたが、商工中金が歩積み、両建てをやる、これはそんなばかなことはないわけでございます。商工中金は預金を受け入れるから、広い意味の余裕金があったら預け入れて下さいということは言っておりますが、貸し出しに関連しての歩積み、両建てをやるということは絶対にさせてはならぬわけでありまして、これは大臣もそういうことをさせないようにするということを言明いたしております。一般の市中金融機関につきましては、これは直接には大蔵省にやかましく頼んで警告し、そういう傾向をなくしてもらうということに今努力いたしているわけでございます。私どもの方では、中小企業金融実態というものをアンケート的にずっととりまして、それで歩積み、両建ての状況も調べております。これは今ちょっと資料を持っておりませんのですが、詳しい数字はもし何だったら、のちほど申し上げますが、やはり金融が詰まってくると、これが多くなってくる、金融が緩慢になるとずっと少なくなるということであります。  実際、四半期別にとっております報告で、私の記憶しておりますところでは、年末は金融——三・四半期の実績、最近新しいものが出ておりますが、三・四半期は前に比べますと、金融が割に年末は好調に推移いたした関係もありまして、歩積み、両建てはちょっと減ってきた。これはアンケートでありますから、全般の傾向はわかりませんが、年末までの三・四半期——十月から年末にかけては、少し減ってきているという感じであります。今後ともこういう面につきましては、われわれも気をつけ、また要望する向きにはやまかしく要望しまして、極力そういうことのないようにいたしたいと思います。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは中小企業庁の問題より大蔵省の問題でしょうし、しかし、そういうのをコントロールするために、私はやっぱり三つの金融機関にワクをふやして、その面からやはり次官が言われたように誘導するような措置をせぬとなかなかめんどうで、まあさっきも申し上げましたように、百万円借りて五十万円預金させている。あるいは百万円借りて、三十万円返しても、それを元本から引かずに預金として受け入れて、そうしてそのさやをかせぐ、これはもう三十年の十二月ですか、全国の銀行連合会は自粛決議をし、統計から見ますと、若干減ってきているようですし、また中小企業庁等で調査されるということで、わかったら、銀行にいじめられたら悪いというようなことでなかなか実際を言わぬのですが、実際の中小企業の金利負担は、これはもう中小企業の持つ収益力等をはるかにこえるもので、私はこれが白書で言っているように、生産は非常に伸びている。大企業伸びているが、ちっとも中小企業は収益力はよくなっていない、好転していないという企画庁の白書が物語っている一つの大きな——商工中金であるとは言いませんが、必ずしもないとも言えないので、私もそういうことを言うと、すぐどこの金庫かわかったりするので言いませんが、なかなかこれは大きな問題で、そういうためにもしてもらわなければ、私は投融資をふやしてもらわなければいかぬと思いますし、それから最近の生命保険と証券投資ですね、これは私は非常にこの中小企業向け融資の問題として見のがすわけにいかぬほど重大な問題だと思うのです。私は鳥取県ですが、五大証券等がなかなかりっぱなビルを建って、そうして盛大な披露宴をやって、そのために鳥取、島根等では預金の伸びが非常に鈍化したというようなことは銀行当局からも聞きます。しかも生命保険、あるいは証券投資等の金が中小企業の方にはなかなか流れないのです。私も、まあ生命保険の会社から、ある人が金を借りたいというようなことで、苦労をして、工場全員を生命保険に入れたりして、そうして借りるようなことをやっているが、なかなかこれも金利が高くついて、大へんな金利負担になる、そういうことはどういうふうに見ておられますか。この投資ブーム、生命保険の異常な伸びというようなものと中小企業向け金融との関連をどういうふうに見ておられますか。
  28. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 最近公社債投資が非常に伸びまして、これが中小企業金融を圧迫するということで問題になっておるわけです。で、公社債投資が一月と二月で八百億くらい出ておるわけです。この金はお話通り中小企業には回ってこない金です。従ってそのあふりを食って預金が集まらぬ、あるいは預金を引き出すということで、一般の金融機関の預金がぐっと減る。一月は都市銀行も地方銀行も相当の預金の減であります。去年に比較しまして預金も相当減っております。ただそのときいろいろその影響その他も議論されたわけですが、もう少し様子を見ないと、公社債投資そのものの成り行きもわからないということで、大蔵省あたりとも話をしておったわけでありますが、二月になりますと、その預金の増加額は相当去年等と比べましても回復して参っておりまして、去年よりむしろ市銀等は多くなっております。地方銀行も多少でございますが多くなっております。そういうことで公社債投資等の影響はどの程度具体的に中小企業金融に及ぼすかということはいましばらく情勢を見まして、これがまあ基調的なもので長く続くというようなことでありますと、これはいろいろな対策、手を打たなければいかぬ、こう思います。ただもう一つの問題は、実はこの影響を間接に受けて商工中金等の割引債の売れ行きが悪くなった、こういう問題もあるわけであります。一般中小企業金融に対する影響と並んで金融債の債券投資の競争もあり、金融債の売れ行きが悪い。金融債の中でも興長銀の方は割に歴史も古いし、いろいろ因縁といいますか、顔もきいて割にいいのですが、商工中金の方への響きがひどい、こういう問題もありまして、この問題についてもいろいろ対策を検討しておりますが、これもまたもうちょっと推移を見まして、それが基調的なものである、ほうっておけないという事態でありますと、いろいろ手を打っていかなければいかぬということを大蔵省あたりとも話ししております。生命保険の金もお話通り、これはなかなか中小企業へ回ってこない。ただ生命保険協会あたりで生命保険会社に話しして、少し中小企業へも回したらどうかということで、少しずつ最近は回すようにいたしておりますが、これは何といたしましても意識的に回しておる、政策的といいますか——というような関係金額等も少ないわけでありますが、そういう中小企業の金を吸い上げて大企業に回すとよく言われるわけでありますが、そういう問題につきましても、生命保険の問題は前からの問題でありますが、投資信託の関係中小企業金融関係というようなことにつきましては、推移を見ますとともに、手を打つ必要のある場合には一つ関係方面とも相談しまして対策を見つけて措置しなければいかぬかと、こう考えております。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 国会からいただきました国会統計提要の三十六年度版を見ましても、財政金融のところで、最も伸びておるのは信託投資と生命保険なんです。これはもう非常に伸びておる。この問題は、私はやはり財政投融資をふやす問題と、この二つをどう中小企業とリンクするかという問題を考えられていかれることが、まあ今度国会では農業に対しましては、農業協同組合等の持っておるのに対しまして、やはりそれを農村資金に出すように措置がとられていますが、私はやはりどうしても、私たち農村に出てみましても、予想外な人が、山林地主等が、これまで銀行に預けておったのを半々、三分の一くらいにして株を買っておるというようなことで、もう想像以上に証券投資が盛んなんです。ですからイギリスですか、のように商工業金融会社というようなものを作って、そういう証券投資と中小企業を何らかの形でリンクするような措置を私は中小企業庁としてどうしても早急にとられぬと、これはまあ財政投融資といいましても、なかなか限度もあるし、今度農村資金農業近代化資金として信連の持っている金を政府、県が利子を補給して出すというような措置が出されているのですが、私はぜひ財政投融資をふやしていただくと同時に、これは私は基調的なものになると思うのですよ。特に証券投資というものは、信託公社債というものは、これをまあ長期的に見てどんなものであるかということを見て考えるということですが、私はやはりこの金をどうして中小企業にパイプをつけるか。私、鳥取県ですが、相当鳥取県でたくさんの生命保険に契約して払い込んでいるのですが、まあ私の知っているのでもごく指折り数えるほどしか還元融資はしていない。また生命保険としてもなかなかそれを貸すとコストが高いものですから、しかも相当信用力のある大きな、中小企業のカテゴリーに入らぬようなものに貸しているのが数件、私の知っているのがあるのですが、どうしても私は財政投融資をふやすと同時に、生命保険なり証券市場中小企業をリンクする措置を考えていただくことが、特に今度農業に対しては三百億ですかぐらいを初年度国と県で利子補給して出すというような制度がとられるようになったのですから、またあとで御質問しますが、三法案もさることながら、そういう問題を一つ早急にやっていただくことか中小企業近代化のためにぜひ必要じゃないかと思うのですが、次官どうですか。
  30. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) ただいま全く新しい観点からの中小企業金融対策につきまして貴重な御意見を拝聴いたしまして、十分一つ調査、研究、検討いたしまして、善処して参りたいと考えております。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 この一般的なことはそれだけにしまして、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案ですが、今度理事二人ふやされる、理事二人ですか、増員されるというのですが、この三つの金融機関の出身別の役員名簿ははっきりしていますか。
  32. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小企業金融公庫は総裁、副総裁と理事四人でございます。これを今回二人ふやすということでございます。総裁は大蔵省出身でございます。中小企業金融公庫ですね。副総裁は通産省出身でございます。理事は一人は通産省の出身、一人は日銀の出身、一人は興銀の出身、一人は商工中金にいた人ですが、商工中金育ちの人でございます。それから商工中金でございますが、これは理事長、副理事長と理事五人でございます。これは理事長は通産省と地方団体の知事をした方であります。それから副理事長は大蔵省の出身でございます。理事は五人おりますが、一人は日銀の出身でございます。一人は通産省の出身、それからあとの三人は純然と商工中金で育ってきた人ということでございます。国民金融公庫はちょっと大蔵省所管でありますから資料がありませんとわかりません。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは一つあしたでもいいから氏名と出身別のをお出しいただきたいと思うのです。この中小企業金融公庫通産省の専管ですか。
  34. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 通産省と大蔵省の共管でございます。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 共管ですか。この総裁の選び方はどうなっているのですか。順ぐりですか。そういう点はどうなんですか。
  36. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 総裁は形式的には主務大臣が、両大臣が任命するわけですが。交代とかそういうことは全然ございません。慣例も何もございません。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 中小企業金融公庫の総裁は通産省の番だというようなお話を聞いておったのですが、これはどういうわけですか。その人がなかったということですか、適任者……。
  38. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 共管でございますけれども、大体共管でもいろいろななにがありまして、イニシアチブは通産省がとるような格好になっています。商工中金もそうでございます。それでまあ私どもは通産省出身の人がなってもらった方が、そういう面からいってもいいとは考えておりますけれども、それはそのときどきの事情でございまして、首脳部が御相談の上、具体的に適任者を探す、こういうことに実際問題としてなっております。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 えらい互譲の精神を発揮されて森永君がなっているわけですが、この理事はどういうふうに職務の分担をきめておられるのですか。
  40. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 理事は現在四人おりますが、現在の分担は一人の理事が総務給与関係、それから第三の理事は業務融資、業務融資というのは言葉がちょっと変ですが、業務というのは中央支店の直貸し融資というのは本店の直貸しのことを言っているそうです。要するに、蔵、貸しの仕事と代理貸し付けを扱っています。それから第三の理事は経理、監査それから庶務、第四の理事は調査と審査、こういうふうなことになっております。
  41. 中田吉雄

    中田吉雄君 まだ少し聞きたいことがありますが、もう昼ですから、それだけにして午後にしますが、始関次官にお願いしたいのです。通産省でも企画庁でも科学技術庁でもなかなかいろいろな調査をされている資料が出てこない。まあ、最初にいただいたのは、私まあ地方行政や外務、予算その他やっておったのですが、初めてきて、何ですか、巡回見本市のカタログみたいなもの、そんなものが最初にきて……あとなかなかこないので、 たとえば今度工業立地の一部改正法案いろいろ見ていると、工業立地白書がある、通産白書もあります。いろいろ調査が、たとえば中小企業でも文献を読んでみますと、中小企業総合基本調査あるいは三十四年には中小企業金融実態調査というようなものがあるのに、秘書に交渉させたら、まあサービスセンターに売っているから買ってくれ、こういうことなんですが、それで私が政府委員室に、それでは一体どういう基準で——同僚その他には通産白書も、工業立地白書も……企画庁の諸君なんかはみな持っているが、どういうわけだ、配付基準を示せと言って、やっとこさあわてて行ってもらってきたというようなことですが、これは一ついろんな法案審議に際しましては、何はともあれ関係委員会には、基本的な、調査されたものは、そう三拝九拝せぬでも——これでも官庁サービス・センターに行って買ってきたのです、というようなことのないように、まあ何部ももらうわけではないのですから一つ、幸い中小企業庁の方ではいろいろいただきましたのでなんですが、次官法案審議を促進する意味からいってもお願いしておきます。
  42. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) ただいまのお話承知いたしました。大体通商白書その他発行いたしましたつど両院の商工委員会その他にお配りしておると思うのでございますが、過去に発行いたしましたものでも、非常に審議関係のあるというようなものにつきましては、余分のございます限り御配付申し上げるようにいたしたいと思います。
  43. 中田吉雄

    中田吉雄君 最初秘書に交渉させたら、サービス・センターに行って買ってくれと、それで私は何言っておる。どういうことだと言って、政府委員室にやっと行って、あわてて通産白書と工業立地白書をいただいたような次第で、そう人によって、秘書は一心同体の者ですし、そういうことのないように、ただいまの点は善処してもらいたいと思います。
  44. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  45. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。  それではしばらく休憩をいたします。    午後零時二十三分休憩    ————————    午後一時五十七分開会
  46. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。  まず、輸出入取引法の一部を改正する法律案電気用品取締法案、以上二案を便宜一括議題とし、提案理由説明を聴取いたします。
  47. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) ただいま議題となりました輸出入取引法の一部を改正する法難案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  現行輸出入取引法は、昭和二十七年九月輸出取引法として施行され、その後昭和一十八年八月輸出入取引法改正され、さらにその後二回の改正を経て今日に至っております。その間輸出入取引法は、輸出入取引における秩序の確立についての基本法として、多大の役割を果たして参ってきたのであります。  しかしながら最近における世界貿易の情勢を見ますと、諸外国においては、依然としてわが国の一部商品の急激な進出が問題とされ、輸出取引秩序の確立のための施策がますます強く要請されているのであります。さらに今後わが国の貿易の自由化が進捗して参るのに伴いまして、一部商品については輸入競争の激化が予想され、その対策を整備する必要に迫られますとともに、低開発諸国との貿易促進のためには、これらの国からの物資の買付を民間の協調体制のもとに進める必要性も増大して参っております。  これらの諸情勢に即応いたしまして、この改正案を提案した次第であります。  次に改正の主要点につきまして御説明いたします。  第一は、輸出貨物の国内取引に関する生産業者等の協定に対する政府規制の規定の新設であります。  現行輸出入取引法におきましては、生産業者等の輸出貨物の国内取引に関する協定につきましては、輸出業者の協定の場合とは異なりまして、アウトサイダーを規制する規定を欠いておりますが、一部仕向地につきましては対日輸入制限運動が激しくなる傾向にあり、わが国としても輸出取引秩序の確立のための体制を整備することがますます肝要とされております。従って輸出取引における過当競争の原因が国内の生産分野等に存する場合には、必要に応じ生産業者等の協定につきましてもアウトサイダーを規制することができるようにし、輸出協調体制の確立につき万全を期せんとするものであります。  第二は、輸入貨物の国内取引における購入に関する事項についての需要者等の協定の規定の新設であります。  現行輸出入取引法におきましては、相手国の売手独占等によるわが国の高値買い等の弊害を除去するために、輸入業者の段階において協定その他の共同行為を行なうことが認められております。しかしながらわが国の輸入取引におきましては、国内の需要者等が輸入取引の内容を実質的に左右している場合が多くみられる実情にかんがみまして、輸入業者による共同行為によってもなお前述の弊害を除去することが著しく困難である場合には、きわめて厳重な制限のもとにおいてではありますが、需要者等が輸入貨物を購入する場合の国内取引について協定を締結することができるようにすることが、これからはぜひ必要であると考えまして、この点に関する規定を設けました。  第三は、輸出入調整に関する輸出業者及び輸入業者の協定の規定の新設であります。  従来低開発諸国との貿易においては外貨資金割当制度によってある程度割高な物資の買付を行なって、わが国の商品の輸出を容易にしてきた例が少なくないのでありますが、貿易の自由化の進展に伴い政府においてかかる措置をとることは次第に不可能となりつつあります。今後は貿易業者間の自主的な話し合いによりこれら低開発諸国との貿易の維持拡大をはかることが必要でありますので、輸出入の調整に関する輸出業者及び輸入業者の協定に関する規定を設けることといたしました。  第四は、貿易連合の制度の創設であります。  中小の貿易商社が連合して、貿易取引を行なうということは、貿易取引の秩序の確立という観点からも、また、中小貿易商社の健全な発展のためにも必要でありますが、現行法令における諸制度をもってしては所期の目的を達成することが困難と考えられますので、今回連合して貿易取引を行なう貿易業者の社団に、貿易連合という名のもとに新たに法人格を賦与し、その助長をはかることとし、所要の規定を設けることといたしました。  右のほか、今回の改正案におきましては、輸入組合の設立を容易にすること、輸出組合、輸入組合等の事業内容を明確にし、非出資組合を非課税法人にすること等若干の改正を行なうこととしております。  以上の改正によりまして、関係業界の協力と相まって、わが国貿易の秩序ある発展が期待されるものと深く確信いたしておる次第であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。  次に、電気用品取締法案についてその提案理由および概要を御説明申し上げます。  最近における家庭電化ブームの進展に伴い、電気による火災・感電事故等の災害も漸増の傾向を示しておりますが、これらの災害の原因は、主として電気工事の欠陥、電気用品の品質不良及び電気用品の使用・取り扱いの不適正によるものであります。  このうち、電気工事の欠陥による災害については、昨年第三十四回国会において成立を見た電気工事士法により電気工事に従事する者の資格が制限されることとなりましたので、これによってその防止の実効があがるものと期待されます。また、電気用品の使用、取り扱いの不適正による災害については、国民の電気知識の向上にまつところが大きいのでありますが、電力会社による需用家施設の定期検査を強化する等の方法を通じて、極力その防止に努めつつある次第であります。  ところで、電気用品の品質または安全度については、昭和十年以来、旧電気事業法に基づく旧電気用品取締規則により、製造免許及び型式承認を主体とする取り締りが行なわれておりますが、この制度は発足後すでに相当の年月を経過し、近年における家庭電気用品の急速な普及状況に即応して災害防止の目的を十分に達成することは、困難な実情となって参りました。このような情勢にかんがみ、粗悪な電気用品による火災、感電事故等の危険を防止して一般家庭等における電気の保安に万全を期するためには、この際電気用品取締制度の全面的な改善合理化をはかる必要があると考えられます。これが、この法律案を提案するに至った理由であります。  次に、この法律案の概要を申し上げます。  第一に、この法律案による規制の対象となる電気用品の範囲は、主として一般家庭において使用される電線、配線器具、電熱器、小型機器等であります。  第二に、電気用品の製造に関する規制といたしましては、製造事業者の登録制を実施するとともに、電気用品の型式について一定の試験を行ない、その試験に合格したもののみの製造を認める型式認可の制度をとることといたしております。これは、実質的にはほとんど現行の取締体制を踏襲するものでありますが、製造事業者の義務を明確化する等規定全般の整備をはかっております。なお、電気用品の輸入事業者に対しましても、型式認可の制度を適用することにより、製造事業者に準じた規制を行なうことといたしております。  策三に、一般消費者が安心して電気用品を購入使用できるようにするためには、製造及び輸入の規制のほか、販売の段階におきましても、不良な電気用品の流通を阻止する必要がありますので、販売事業者が型式認可済みの表示のない電気用品を販売することを禁止することといたしております。  第四に、電気用品の製造の急激な増大に伴い型式認可の申請件数も著しく増加する傾向にありますので、認可のために必要な試験の業務を円滑に処理するため、従来の国の試験機関のほか、一定の基準に適合する民間の試験機関を指定してこの試験を行なわせる道を開くことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
  48. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 両案の審議は後日に譲ります。   —————————————
  49. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括議題とし、午前に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  50. 近藤信一

    ○近藤信一君 中小企業金融公庫昭和二十八年に発足してから、中小企業金融公庫を利用する利用者というものは、もう年々ふえてきておることも御承知の通りでございますが、特に私どもが中小企業金融公庫、それから国民金融公庫、この利用も非常に増大してきておると思うのです。しかしこの借り方が増大してきておりまするけれども、この利用者の要求を満たすということがなかなか困難に私はなっていっておると思うのです。それは資金源が非常に少ないということが一つ原因になっておるのでなかろうかと私は思うのです。これらの機関の資金源というものが毎年若干ずつふえておりまするけれども、急にこう需要者がふえておる現状において、需要者の需要を満たすために、もっと大幅な増額というものを政府は考えなければならぬと私は思うのですが、この点いかがですか。
  51. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘通り資金源が需要に伴って増加しないというところに、資金量の点においてなかなか満足な状態になっておらぬという原因があると思うわけでございますが、郵便貯金とかあるいは簡易保険積立金でありますとか、その他の従来この方面に回っておる政府資金をしからばどういうふうにして増大するかということにつきましては、いろいろ金融政策上の問題として工夫をすべき点が多々あるとは思いますけれども、遺憾ながら現状においてはふえておらない。結局資金源がふえなければ資金中小企業に回す割当率を高めてもらうという以外にはないと思うのでありますが、これらの点につきましては、大蔵省と十分今後折衝して参りたいと思っております。
  52. 近藤信一

    ○近藤信一君 三十六年度の当初予算では、大臣どれほど要求されたのですか。
  53. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 三十六年度決定は、財政資金四百二十五億でございますが、一番初めに要求いたしましたのは七百六億実は要求したわけであります。
  54. 近藤信一

    ○近藤信一君 まあ当初要求された額の二分の一ちょっと多いという額なのですね。ところが先ほども申しましたように、需要者が逆に二分の一ぐらいふえてきておるのではないか、こういうふうに私感ずるわけなんですが、この点応じ切れないという大よその件数はどのくらいあるのですか。
  55. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) お話しの通り、借り入れの申し込みをいたしまして、全部応じ切れない状況はずっと続いております。その状況を数字的に申し上げますと、三十五年度でとりまして、一・四半期は六二%、充足の率といいますか、二・四半期は五二%、そのときどきによって数字が少し違いますが、三・四半期は年末を控えまして、年末の資金の追加投資をやりました関係で、やはりさばけが多うございまして八七%程度出ました、こういう状況でございます。なお、この率の引き上げということにつきましては、私どもも資金の手当その他ともからみまして、兼ね合わせまして努力いたしたいと思っております。
  56. 近藤信一

    ○近藤信一君 年末のときは別といたしまして、その他の月はただいま御答弁のように五〇%から六〇%内外とすると、四〇%から四五%ぐらいの人が申し込んでも借り入れすることができない、こういう結果になるわけですね。そこで私どもがよく聞くことは、中小企業金融公庫という一つの機関があるけれども、ここではなかなか需要を満たすことができない。そうすると、必然的にその中小企業が走っていく場というものは大よそ——先ほどの話でないけれども、相互銀行に走るわけだ。そうすると、みすみす需要者が、中小企業金融公庫でこれを全面的に受け入れる態勢がないのによって、やはり相互銀行の方にお客が行ってしまう。こういう状態が私は現在どこの地方でも続出しておるんじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
  57. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この政府関係金融機関は、そもそも中小企業者がいろいろな関係上なかなか金を借りられない。市中の一般の金融機関から金が借りられない。そういうことでは困るということで、それで量的に、質の面でもそうでございますが、補完するという意味でこういう機関を作り、それに財政資金を投入して、中小企業者の便宜をはかっている。振興に間接的に役立たせていると、こういうことでございます。ただ今お話のように資金ワクの関係その他から、そういう機関があるのならということで、そちらに融資申し込みをしてくる中小企業者が、資金ワクの関係からはみ出す。金を借りられないというものがあるわけでございますが、これはまた回り回って市中の機関に行くというものも相当多かろうと思います。ただ先ほど申しました数字は四割見当のものが融資を受けられませんが、まあ順送りになっていくという面で、少し時間がそれだけずれますけれども、そこでこなしていくという関係のものもありますので、個々の中小企業者にとってみれば、どういうことになりますか、うちで断わられたからすぐ相互銀行に行くというものもありましょうが、そういう関係は個々の中小企業者にとってみれば、いろいろあろうと、こう考えます。
  58. 近藤信一

    ○近藤信一君 申し込み者の希望を満たせないということで、申し込み者は必然的に相互銀行の方に足が向いて行く。相互銀行はおおよそ二割、二〇%ないし三〇%くらいはこの据え置きということで預けられるわけですね。実際三十万借りても三十万全部が中小企業者の手に入らない。先ほど同僚中田議員が言われておりましたように、三十万のものが二十五万または二十四万と、これしか実際の金は利用することはできない。こういう状態が出てくるわけなんです。私はやはり政府が中小企業一つ振興策として、中小企業金融公庫というものを発足した以上は、もう少し政府としても十分に満たせられる方途というものを考えなければならんかと思うのですが、この点来年度の腹がまえといいますか、腹づもりといいますか、その点大臣いかがですか。
  59. 椎名悦三郎

    ○国務大臣椎名悦三郎君) 三十六年度において当初七百億余りの要求をしたのが半分になった。そうしてその結果は充足率はやはり半分。でありますから、当初の要求が通っておれば、大体において希望を達成することができたということになるわけでございますが、これは今後におきましても、できるだけ従来の実績にかんがみて資金量をふやすということに努力したいと思います。
  60. 近藤信一

    ○近藤信一君 中小企業金融公庫では、直接貸しと代理貸しと二本建てであるわけですね。そこで、やはり私は人手が足りないから、代理貸しで、他の市中銀行の窓口に委託しておる、こういう状況だと私は思います。  そこで、やはり私は、今度の改正の中に、役員の問題も出ておりまするけれども、役員の増員という前に、私はやはり職員の増員ということも考えなければならないと思うのですが、この点いかがですか。
  61. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  62. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて。
  63. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 直接貸しは割合に少なくて代理貸しが多い。これは年々直接貸しをふやす努力をいたしております。今年度は、大体実績見込みで、二二%ぐらいが直接貸しで、七八%ぐらいが代理貸しでありますが、来年度は、これを四%ぐらい、五%近く上げまして、二六%程度を直接貸しにし、残りを代理貸しにする、こういうことをやって参りまして、毎年四%ないし五%ぐらいは、直接貸しをふやしていくという努力を年々やっておるわけであります。  そういうことの見合いといたしまして、今お話のように、役員をふやすより、まず職員をふやすというお説、ごもっともでございまして、これもまた年々増員して、その仕事の充実に資しておるわけであります。  来年度も、職員を百四十六名増員するということで、支店あるいは出張所等の増設、要するに支店網の充実に努めるということとともに職員の充実ということは、役員増員の前の問題として、年々努力しておる次第でございます。
  64. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちょっとその点に関連しまして、商工中金の方は、ほとんど各県に支店がありまして、五十四ありますが、今、近藤委員の質問された中小企業金融公庫は、支店の数が非常に限られておりますが、大体将来も、こういう形態でいかれますか。各県に支店なり、出張所全部を置くというような、これは午前中に次官も言われたように、むしろ他の金融機関を誘導するためにも、実際おんぶしていくよりか、その方がもっといいのじゃないかと思いますが、これは非常に支店は限られておりますが、全部支店ということになれば、出張所全部塗りつぶすということは、将来の構想として考えられますか。その点一つ……。
  65. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 現在支店が十一で、非常に少のうございます。国民金融公庫、商工中金等に比べても非常に少ないわけですが、出張所は二カ所でございます。これを来年度は、支店三つと出張所二つをふやすことにしております。将来の構想といたしましては、できるだけ多くの支店を置く、これは代理貸しを全部やめてしまうかどうかという問題は、なおいろいろ努力して検討いたしたいと思います。まだまだ直接貸しをぐんぐん伸ばしていかなければならない段階であることは申すまでもないところであると思いますので、それに応ずるように、支店、出張所等もふやしていくという建前でやって参りたいと思います。  これは、実は内部の話をしますと、代理店を使っている場合は、代理店手数料を払っております。直接貸しにいたしますときには代理店が減ってくれば、その手数料は浮くわけでありますから、これでもって経質的には、大蔵省の予算査定的な見地から言っても、大蔵省は別に、むしろこれには反対しない。まあとんとん、あるいはむしろ浮くぐらいの経費計算になるわけでございまして、このうち事情の許す限り、これの増設を進めて参りたいと思いますが、何と言いましても、結局は人でありまして、人の養成が、なかなか一時にいかない。人の養成の手当のつく限度においては毎年増設に努めて参りたいと考えている次第でございます。
  66. 中田吉雄

    中田吉雄君 方針としては、支店や出張所をふやしていきたいというのですが、人の養成等もあって、一、二年にはいかぬでしょうが、将来、支店はそうもいかぬでしょうが、少なくとも出張所を、各府県くらいにおくというようなことを目途にやっていただくというようなことはいかがでございましょうか。
  67. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 出張所のみならず、各府県には支店を少なくとも設けたい。こういうふうに考えております。
  68. 近藤信一

    ○近藤信一君 来年度中小企業金融公庫資金計画によりますると、今長官が言われましたように、貸付規模は八百三十五億円、そのうち直接貸し一、百二十億円、こういうことになっております。まあ二〇何%ですかふえる。しかし人員の方は、わずか百四十六名でしたか、百四十六名しかふえない。こういうことになっていきますと、私は百四十六名ぐらいで、一体どれだけのことができるか。こういうことが一つ疑問になってくるのですが、この点いかがですか。
  69. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今回の人員の増加の配置でありますが、これは支店、出張所のみならず、本店にもございますけれども、ただ実際の現実の問題としては、去年の定員で増員のしたものが、実際は支店ができた場合には使えるという格好であります。従来、人は主要なところは、興銀等から借りてやっている、一般的な事務はよろしゅうございますが、ほんとうの一般審査貸付事務というものは、やはり専門家を中心として、それから新しく入る人は、相当期間教育をしてやりませんと役に立ちませんので、昨年度の増員は、実は百三十名でございますが……。
  70. 近藤信一

    ○近藤信一君 百三十名ですか、昨年。
  71. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) ええ。その百三十名が、大体ことしの出張所支店の充実、その他本部の仕事のふえるところに当てはめていく。こういうことに実際問題としてはなる。ことしの百四十六名は、来年のそういう仕事の拡充の中身を埋める、こういう関係になろうと思います。
  72. 近藤信一

    ○近藤信一君 昨年が百三十名で、ことしが百四十六名ということになると、わずか十六名しかふえていない。そこで私は、中小企業金融公庫の窓口の代貸しですね、代貸しの貸付に対しては、早いのです、一カ月ぐらいで、これはもう取引があるから、調査も簡単だろうから早いわけなんです。ところが、直接貸しを申し込んだ人は、早くて三カ月ぐらいかかるのです。二カ月間のズレがあるわけなんですね。片一方は一カ月、片一方は三カ月かかる。そうして、市中銀行は苦しいときには、申し込んでも、中小企業金融公庫の代貸しでも快くやってくれるのです。  ところが、今日のように潤沢な場合、市中銀行が、中小企業の代貸し方を申し込むと、まあそんなの借りなくてもいいじゃないか、まあうちの金を使ってくれと、こういうことで、中小企業金融公庫の金を借りに行っても、そこに取引があるものだから、やはり市中銀行は、まずうちの金を使えと、うちから融資してやるから、こういうことで中小企業金融公庫の金を、あまり喜ばないのです。けるのです。そうすると、せっかく借りに行った人は、これは中小企業金融公庫の方が利率は安いなと思っても、これは取引の関係で、そこの銀行の金を借りなければならぬと、こういう矛盾が、そこにあるのですが、この点、あなたどのように考えておられますか。
  73. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) まあ代理店というのは、代理契約の趣旨からいいますと、委託したものの趣旨通りにやってもらうべき筋であり、また代理契約その他も、そういう趣旨になっておりますが、なかなか本店の趣旨通りに、すベてはいかぬということが往々にあります。たとえば代理契約、一番悪い例は、公庫の金を貸すについて、公庫の金を貸すその金直接ではないけれども、自分の取引とからまして、あるいは普通両建をやるとか、いろいろあるわけです。  今仰せの金は、自分の金が余裕があるから、公庫の金は貸さないで、自分の金を使えということを、申込者の意思に反して、そういうことをやるということも、公庫の金融方針として困るわけです。そういうことのないように、これまた一般的には指導しておるわけです。中には、そういう例もあると思いますが、公庫は代理店をしょっちゅう監査もし、それから連絡会も開いて、日常そういう指導もやっておりますが、中には、そういう例も往々にしてあるかとも思いますが、なお一そう気をつけて、それはもう公庫の金を預かった金ですから、その条件に合ったものは、当然借り受け人がそう希望するなら、当然そうすべきだと私ども考えておりまして、そういう指導をやりたい、今後も、そういう方向、方針で進みたいと思っております。
  74. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は体験しているのですけれども、金融引き締めのとき——ここ数年前のあのときなんか、やはり代理店へ代貸しの申し込みをした。そのときには、とにかく金は中小企業金融公庫の方から借りてよろしい、しかし今、うちにワクがないから、ワクを本店の方でもらってこいと、そうすれば、うちの代貸しであれするから、こういうことで、金融引き締め、金融の苦しいときには、無理に中小企業のワクをもらえと、こう言っている。そして今日のような潤沢な場合には、うちの金を使え、これは営利事業だから仕方がないといえば、それまでのものだが、いやがる代理店を、あまり重要視することなく、やはり私は問題は、直接貸しの方をもっと重点的に考えて、そうして人員も大幅に増員して、そして中小企業の希望を満たせるような、そういう方途を一つ考えていただきたい。  そのためには、もう来年度から、もっと大幅な人員を増員をするということを中小企業庁としても考えなければならぬのじゃないかと私は思うのです。特に、中小企業金融公庫で直接貸しを申し込んだ場合に、三カ月も期間がかかる。これはもう借りる方にしてみれば、当面急いでほしいというときに、三カ月も先にいってからでなければ、実際に金が入らない、こういうふうなことでは、実際そんな時分には要らなくなるのじゃないかというふうなことも起き得ると私は思うのです。一体、なぜそんなに調査に手間どるのか、もっと調査を早くする方法は何か考えられないものか。まあ、調査を早くするということは、人をふやすということに、それはなるでしょうけれども、やはり調査をもっと早くして、三カ月先というのじゃなくして、少なくとも一カ月半くらい——おそくとも一カ月半くらいには、需要者の手にこの金が入るように私はしなければならぬと、こう思うのですが、その点いかがですか。
  75. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 中小公庫は、長期資金を貸し出しているわけです。設備資金と長期の運転資金を貸しているわけでございます。一般の金融機関でも、長期資金の貸し付けは割とひまがかかる。大ざっぱに三カ月とやはり言われているわけでございます。その上に、中小企業金融公庫でなお工合の悪いことは、片道業務で貸し出ししかやらぬわけでございまして、くるお客さんの平生の事業内容に触れておらないわけで、要するに、初めての人についての審査をやるということが、よそのこういう種類の金融機関に比べても条件が悪いと言いますか、それと、先ほども申しましたように補完機関でありますので、よその金融機関から回ってくると言いますか、そこでうまくいかなくて回ってくるというような、これまた形式的な、全くの新規というものも相当多いわけでありまして、そういう点は不利なわけであります。  それと、一つは御指摘にもございましたように、やはりここ二、三年見ておりますと、最近はちょっとよくなっているのでございますが、やはり一人当たりの、審査の人の一人の手持ち件数というものが少しふえております。最近は、ちょっとまたよくなったようでありますが、こういう傾向は、どうしても人の不足ということとも関連するわけでありますので、何といっても、まず直接審査に当たられる人をふやすということが、まず第一の要点だろうと思います。先ほどの増員その他申し上げました計画は、確かに少ないのでありますけれども、またそれに適当な人というのが、層というものが、そうたくさん集まらない。増員等がありますと、あるいは関係銀行とか、まあ、仕事に多少関係のある通産省、大蔵省等でも、若い人でそういう希望のある人とかというような人を集めて、それを教育してかかるわけですが、そういう層も、必ずしもめちゃくちゃにたくさんいるわけでもありません。そういうことになっているわけでありますが、まずもって、人の充員ということに努力いたしたいと思います。それで平均三カ月になっておりますが、中には、ときどきえらい長くかかるのがあるわけであります。これは一々調べてみますと、やはり担保の問題その他いろいろな点で、公庫側と申し込み側との意見が合わないというような特別の事柄があったものが、非常に長くかかっておるわけでございまして、大体のものは、三カ月くらいで処理されておる、最近のは八十日ちょっとの平均になっておりますが。  そういうことでありまして、一日でもこれを短かくするという努力をいたしたいと思いますが、なかなかこれは、一ときには、すぐ一カ月になるというわけにはなかなか参らぬかと思いますが、一日でも短縮するということに努力いたしたいと思っておるわけであります。
  76. 近藤信一

    ○近藤信一君 同じ金融公庫でも、国民金融公庫の方は、これは比較的早いのです。これは額も、それは中小企業金融公庫と違うけれども、それにしても国民金融公庫の方が早いというのは、やはり人がそろっているから、調査も早く済んで、一カ月以内には、大ていの人は借りられるけれども、中小企業金融公庫の方は、なかなか直接貸しということになるというと、おいそれと調査に乗り出さぬ。また書類の面なんかでも、あそこが不備だ、ここが不備だという点が相当出てくる。やはり私は、実際中小企業振興のために、この中小企業金融公庫が発足し、これを多くの中小企業者に活用してもらうと、こういうことになれば、もっとPRの点で、一体どういう書面が——借りるときには、どういう書面が必要なんだ、またどういうものが必要なんだと、こういうことも、あわせてもっと親切にPRをせなければ、書面を出してから、あそこが不備だった、ここが不備だったと、こういうふうな結果も出て、それがまた調査がおくれてくる一つの大きな原因にもなってくると思うのです。そういう点、何か、そういう書面やそれから提出資料、そういうふうなものに対して、あなたの方では、どのように考えておられますか。
  77. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 確かに、一般的な事前のPRといいますか、公庫は、こういう段取りで、こういう手続で、こうして金を貸しておるのだというようなことを、もっと一般にPRするということについては、御指摘のように従来から、いろいろやっておりますが、努力があるいは足りない。それを、そういうことが一般的に、もうちょっと徹底すれば、この期間も短縮されるということもあろうかと思います。で、先ほど三カ月とか八十日ちょっとと申しました期間は、平均の期間でございますけれども、これは融資相談を受けてから貸付実行まででございます。融資相談を受けて、いろいろそこで具体的に教えて、相談しながら教えて、大体いきそうだということになると、書類を出すわけでございます。書類を出しましてから、書類のこの書き方がどうで、ここがどうだというようなケースは割に少ないのであります。それも案件によりましては、もちろんそれでひっかかることもありますが、だから今申されましたように、この相談のところを、もっと一般的にやっていただけば、それだけ個々の案件にかかる時間が短かくなるということも考えられるわけでございます。  これは中小公庫自体がやるのみならず、中小公庫が関係の方面に頼んで、いろいろ従来からもやっておりますが、なお、それを拡充をして広くやる、徹底してやるという努力をなお一そうやって参りたいと、またやらなければならぬと思っております。
  78. 近藤信一

    ○近藤信一君 特に輸出産業に対する貸付ですね。この輸出産業に対する貸付でも、やはり同じように、三カ月も四カ月もかかっておるというのが今日の状態だと私は思うのです。輸出産業なんというものは、時期的なものがあって、これはやはりその時期に間に合わなければ、せっかく金を借りても、何にもならぬと、こういう結果が生まれることがあるのです。私はやはりそういう点、輸出産業というものに対しては、もう少し敏速に貸し出しできるような方法はないものだろうかと、こういうふうに思うのですが、どうですか、この点。
  79. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) まあ金が出る時期が、少しかかり過ぎてチャンスを逸すると意味がなくなるということは、あることはあるとは思いますが、まあこれは、大体設備資金でありますから、まあそう——それは、多少長くかかったために、それだけ得べかりし利益といいますか、得べかりし効果ということが少なくなったということはあると思いますが、商機を逸して、それでえらいことになったということは私は少ないのじゃないかと、こう思います。  しかし、特に輸出産業等については、ほかの産業よりは、どっちにいたしましても、そういうタイミングは、急ぐ場合が多いだろうと思いますので、いろいろ検討してみますが、輸出産業だから特別にどう扱うかということは、なかなかこう、むずかしいのじゃないかと、今とっさには、そう考えますが、なおそこら辺は、急ぐものは特別な審査のやり方といいますか、何かやるというようなことは、できるかできないか、またやった方がいいか悪いかというようなことは、なお検討さしていただきたいと思います。
  80. 近藤信一

    ○近藤信一君 それでまた、人員のことになりますけれどもね。来年度、三十六年度百四十六名と、こういうことですが、この百四十六名で、とうてい要望にこたえることは私はできないと、こう思うのです。次年度は、どれくらいあなたの方では予定されていますか、人員の増員について。
  81. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) まあ毎年少しずつふえて参っておりますが、これはもう資金の方面のボリュームと資金量とのかね合いもございまするが、もちろんことしよりは相当程度、数字的には見当つけておりませんが、相当程度ふやし、支店その他の数も、ことしよりは多くの店舗をふやす、そういう感じでもって、一つ努力して参りたいと思います。
  82. 近藤信一

    ○近藤信一君 長官、もう少し大きい声せぬと、速記の人も困る。耳をこうやってなきゃならぬので、もう少し大きな声で……。  それから今度の改正で理事二名増員ということになるわけなんですが、この理事二名に予定されておる人は、公庫の職員のうちから昇格する予定でおられるのか、または公庫外から、その理事をこう持っていかれるのか、この点どちらですか。
  83. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 公庫の理事は、総裁が主務大臣承認を得てきめるということに相なっております。  それで、この二名の増員につきましては、実は、まだ見当はついておらないと思います。ただ言えますことは、まあ常識的に言って、ちょうどたまたま人の関係で、一人は少なくとも中の人から、ポストの関係あるいはその人の経歴の関係その他からいって、当然上がるべきであると思われる人が一人ございます。それ以外は、全然まだきめておらぬ、白紙だと、こういう状態でございます。
  84. 近藤信一

    ○近藤信一君 ところが、もうあんた、年度内といっても、あと三日しかない。三日しかないのにまだ理事の予定がついていないと、そういうことはおかしいじゃないかと思うのですが、まああなたが、これ指名されるのじゃないので、それはわからぬかもしれぬけれどもね。もう私は、大よその予定されておる人がきまっているのじゃないかと思うのですが、長官は、職員の中から、こういうことになるのじゃないかと、こういうお言葉ですけれども、その点どうですか。大よその見当でもついていないですか。
  85. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 実は相談を私は受けてないわけです。向こうでも、いろいろ考えられてのことだと思いますが、今申し上げたような状況で、そこがきまらなければ、きまった人をすぐ四月一日からやって、あとの人は、ちょっとおくれるというようなこともあり得るのではないかと考えますが、実情は、まだ何も相談を受けていないということであります。
  86. 近藤信一

    ○近藤信一君 先ほど中田委員も言っておられましたように、今、支店は非常に少ない。公庫と比べても、これはずいぶん格段の差があると思うのです。ほんとうに中小企業金融公庫というものを生かすということになれば、もう少し代理店というのではなくして、支店がむずかしければ、出張所というものを主要なところに私は設置することが必要じゃないか、かように考えるんですが、たとえば、長官が、そういうことについて心がまえがある。たとえば何年計画で、どれぐらいの案を持っているんだ。こういうようなことがあればお聞かせ願いたいと思うんですが、いかがですか。
  87. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 先ほども申し上げましたように、少なくとも各県に一つは、これは急速にふやして参りたい。今度やると十四になるわけでございます。今度ふやしますのは、秋田と松本と松江で、この三カ所を予定しております。それから地域的にずっと見まして、その辺が非常に大きな穴があいておるという感じでございますので、そういう地点を選んでおります。十四で、残りは三十幾つか残っている。三十幾つかない府県があるということですので、これを大体私どもの感じでは、五、六年の間には、全部置くという見当で、拡充を進めるという努力をしていきたいと思います。
  88. 近藤信一

    ○近藤信一君 特に現在、あるところは大よそ工業地帯のところに設けてあるわけです。ところが、何といいますか、低開発地域というのか、そういうところにいきますると、やはりこれから伸びようとする中小企業、こういうのがあるわけなんです。その中小企業では、地元の銀行もなかなか無理がきかない。こういうことになれば、現在の既存の支店のところはもちろんのことであるが、そういう地域に、私はもう少し重点を置いて計画をすべきじゃないか、かように私は思うのですが、その点、長官いかがですか。
  89. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 御趣旨、まことにごもっともだと思います。今回の増設も、たとえば秋田は、仙台にしか東北にはないわけです。裏側は全然ないというようなことで、松江にいたしましても広島に支店があるだけで、岡山にもない。特に山陰には、一つぐらいというようなことで、いろいろ勘案いたしたわけであります。  今回も、そういう趣旨でありますとともに、やはり府県別に見ましても、金額的には確かに大都会、工業中心地域割合多うございますけれども、件数その他から見ますと、必ずしもそうでない面もございますので、なるべくこれは支店でなければ出張所でも、とにかく触角を、抜けているところに張りめぐらすということが、一番大事なことじゃないかと考えております。そういう方向で実現したいと考えております。
  90. 近藤信一

    ○近藤信一君 中小企業金融公庫は、私は将来の発展は約束されると思うのです。また長官も、その自信を私は持っておられると思うのです。だから、やはりもう少し大胆に長官も腹を据えて、そうして代理店に頼って代理貸しをやっておる、こういうことでなしに、直接貸しがどんどんとできる、こういう方向へ考えていただきたい、かように私は思うのですが、長官、その腹がまえはどうですか。
  91. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 実は衆議院でも、そういうお話がございまして、いろいろ抽象的に言っておったのではいかぬから、代理貸しを、何年くらいでどのくらいに持っていくかという資料を出せということで、いろいろ関係方面とも検討いたしまして、四十年度前後には、直接貸しを少なくとも五割程度にしたい、今二割ちょっとでございますが、ということで、資料も提出したような次第であります。  それから支店綱の関係も、それと見合って、大体そのころには各府県に四十数カ所の支店、出張所ができるということでやって参りたいと思います。われわれとしては一挙に急増するということは、もちろんこの趣旨からいって望んでおるわけでありますが、資金源の問題もありますし、また人の関係から言いまして、そうめちゃめちゃなこともできないと思いますので、今申し上げましたような見当から見ますと、今後毎年の増加率というものは、従来よりも相当程度ふやす、こういうことになりますので、そういう目安で努力して参りたいと思います。
  92. 近藤信一

    ○近藤信一君 それと弔う一つは、私、先ほども申しましたように、国民金融公庫というのは、これは中小企業の人は、大ていは知っている。金を借りるというと、国民金融公庫と、すぐこう言うので、中小企業金融公庫から借りたらいいと言うと、そんなのありますかというような業者もおるのです。これはPRが足りないのじゃないかと思う。PRしても貸す金がないからしようがないから、PRしないということになるのかもしれませんが、その点、もう少しPRをして、そうしてやったならば、国民金融公庫が、あの著しい発展をしたように、中小企業も私は発展するのじゃないかと、こう思うのですが、この点PRの点に、あなたの構想はどんなことを、何か持っていらっしゃいますか。
  93. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 資金源の問題、それから支店網と言いますか、触角の問題、そういうこととPRと言いますが、全部からんでくることなんでございまして、そういう出先があり、あるいは、そこに人がおるということになりませんと、PRもなかなか普及徹底しにくいと、こういう関係になるのだろうと思います。  そういう意味で、先ほど申しましたような心組みで、逐次増強していきたいと思いますとともに、一般的なPRというものも、確かに従来は足りなかった面があるかと思うのです。これは国民金融公庫あたりは零細なものに貸す関係上、たとえば、それから零細な人は、手続等はよく自分でやれないというようなことで、商工会とかその他を中心にして、まとまりを作ってまとめて申し込み、それから償還事務をまとめて償還する仕事をやるというような組織網を使いまして、いろいろやっておるわけでございますが、中小企業金融公庫の方は、設備資金であり、同時に各業種によっても、設備内容等が全部違うというようなことから、そういう意味の組織を通じてPRをしていき、あるいはその仕事の手伝いをしてもらうというようなことができにくい面もございます。従って、どういう組織、どういうルートに乗せてPRをすれば一番いいかということを、なお検討いたしまして、従来も部分的にはやっておりますが、仰せの通り、ちょっとPRが足りないという点があるかと思いますが、なお検討いたしまして、効果的なPRの方法を実行してやらせたいと思っております。
  94. 近藤信一

    ○近藤信一君 中小企業金融公庫のことは、この程度にしまして、次に、信用保険公庫の問題でございますが、今回の、保険公庫に対して融資基金として二十億円の新規出資を行なわれるわけでございますが、一体この二十億というのは、どのような基準で行なわれるのか。さらにもう一つは、五十二の信用保証協会があるわけなんです。これに対して配分をされるわけですが、一体その五十二に対する信用保証協会の配分というものを、どのように考えておられますか。
  95. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今回二十億の増資をやりまして、それは融資基金をふやすという形で増資をやるわけでございますけれども、これに従来からの貸付の戻ってくる分を足しまして、六十億の貸付を本年度はやることに相なるわけでございます。一部、その短期の貸付、これは代弁済等の資金源として、短期の金を貸し付けるものもありますが、これは六億ばかりで、五十四億は長期資金で貸し付ける、こういうことであります。この長期の貸付金の意味といいますか、効果は、これをもとにして、融資の保証の限度を広げていく、保証の規模を広げていくという元になりますとともに、これの運用益、保証協会の方で、運用益によりまして保証協会の経営を合理化し、コストを下げて保証料等を低めていく、両方の効果を持っているわけであります。  従って、配分のやり方につきましても、これは個々の点は、年々長期資金貸付基準というものを公庫の方で考えまして、主務省の承認のもとに実行することになるわけで、年々少しずつこまかい点は変わっておりますが、考え方としては、今申しましたような趣旨を生かす意味で、中小企業者の数とか——数といいますか、中小企業者の数と保証の件数の、保証侵透度といいますか、そういうものとか、それから一件当たりの保証の金額の高とか、それから保証が、従来伸びてきた率とか、そういうものを勘案いたしまして、ともに割に裕福な保証協会と、裕福でないために今申し上げたようないろいろな趣旨が、なかなか十分生かされない保証協会とございますので、保証協会を保証平均残高等の規模によってグループに分けまして、下の方に厚く、上の方には、少しがまんしてもらうというようなことで、昨年度もやりましたし、来年度も、趣旨としてはそういう趣旨でやって、全体の保証が広がっていき、そして多少協会の強弱、平均的に保証協会が充実して、保証料も下げられるというようなことに役立つような配分をいたしたい、こういうことで、ただいま検討中で、具体的な配分を検討をやっております。
  96. 近藤信一

    ○近藤信一君 すると、配分の割りつけというものは、一口に言えば、まあ過去の実績というふうなものに基づいて、配分をする、こういうふうに理解してよろしいですか。
  97. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 過去の実績といいますよりは、過去の伸び——過去の伸び方を相当見ますとともに、今度は政策的な意味で、伸び悩んでいるものを伸ばすというような意味も逆に考えるというようなことでございまして、いわゆる簡単な意味の実績とは私は違うかと思います。
  98. 近藤信一

    ○近藤信一君 すると、昨年までは非常に悪かったけれども、今年に非常によく伸びた、こういうふうなところに対しては、配分の割り当てが多いと、こういうことになる一わけですね。
  99. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) そういう要素も加えますとともに、悪い、伸び悩んでいるのが、自分の力が足りないから伸び悩んでいるというところには、少し割よくやって、そのかわり伸びるめどを示して、それを実行してくれれば、これだけ出す、実行しなきゃ引き上げるぞということで、多少インセンティヴなことも加えて、意識的にふやしていくような努力を自分もする、そのかわり応援もしていく、こういう考え方をとりたいと思っております。
  100. 近藤信一

    ○近藤信一君 やはり私、そうでなきやならんと思っておるので、やはり、伸び悩んでおるものというものを、どうして伸ばすかということの指導監督、これは考えていかなきゃならんのじゃないか、まあかように思うのです。  そこで、今年の配分基準というものは、来年も同じような基準でやっていかれるのですか。
  101. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 趣旨といたしましては、大体それは、実は従来は、割にそういうことを考えずにやっていた。年々経験を積みますとともに、保証協会の実力の差も、ややもすると現われるということもありまして、昨年度あたりから、そういう思想でやって参ったわけでありまして、考え方としては、来年度も、大体そういう考え方でいきたいと思います。
  102. 近藤信一

    ○近藤信一君 従来、中小企業信用保険法改正の場合には、必ずと言ってもいいくらい、新種の保険の追加などが行なわれてきたのです。信用補完制度の拡大の処置がとられてきましたが、今回の改正案は、長い間なじまれて参りました融資保険とか、また普通保証保険とか、こういうようなものが廃止されることになったわけなんで  そこで、信用補完制度が後退した感じを受けますが、この二つの保険が廃止されても、現実には中小企業者にとって、何らの不便を来たすことが全然ないのか、または、そこに不便を生じるようなことができるおそれはないのか、そういう点はいかがですか。
  103. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 信用保険制度の中には、三つ従来ございまして、融資保険と、普通保証保険と、包括保証保険。この包括保証保険に二色、一種と二種と、金額の少ない方と、一件当たりの金額の多い方と、両方ございまして、今回、初めに申しました二つ、融資保険と、普通保証保険を廃止したいと考えております。  これは実は前々から、前に三十二年に金融制度調査会で、いろいろ検討いたしました場合に、この保証と保険というものが入り乱れて、これを整理すべきだ、で、まず第一義的に中小企業者に対しては、保証協会で保証をする、それを政府が再保険する、そういうことにする方が、業務分野も調整でき、それから国家資金も能率的に使える、効率的に使えるのみならず、融資保険と普通保証保険は、逆選択——保険にかける人の選択にかかっておるわけでありますから、悪いものだけ保険にかけてくるという傾きになりますので、保険料も非常に高くつくし、事故率も多いし、従って保険公庫の保険準備基金というような政府資金が、ややもすれば効率的に使われない。こういう趣旨からでございまして、そういう答申がありましたので、それ以来、これまでの間、そういう方向で、いろいろ準備を進めてきたわけであります。  その準備と申しますのは、まず第一次的に、信用保証協会が保証をやってもらうためには、信用保証協会をレベル・アップして保証料を安くする、内容も充実するということをやって参らなければいけませんが、ここ数年来、保証料も相当下がって参っておりますし、それから保証協会の実力というようなものも一般的に上がってきておる。それから保証の限度その他も上がってきて、やや格好がついた。まだ、これは十分とは申しませんけれども、大体格好がついてきたということであります。それとともに、保険の方の利用率その他も、廃止する保険については、ある程度締めてきた関係もありますけれども、締めたワクまで利用するまでもいかないというような傾向できております。一般に融資保険等の利用率というものは、逐次下がってきておるという関係もありますので、大体、廃止しても大きな影響はあるまいという見当から、今回廃止に踏み切りますとともに、保険公庫の方の二つを廃止しますと、みんな包括保証保険になるわけでございます。そのうちの二種、金額の高い方につきまして、付保の限度をあげていく。あるいは料率を下げるという準備をいたしまして、保証にかなったものが、保険につながってくるということがスムーズにいくように、手当ていたしたわけでございます。大体大きなギャップはないと思うのでございます。
  104. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで、融資保険が廃止されることになりますと、普通銀行からの中小企業向けとして流れるといいますか、流れる金紙が、だんだんと少なくなってくる危険性が出てくるのではないかと、こう心配されるわけなのですが、この点はいかがですか。
  105. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 融資保険を、まあ利用している金融機関、これは六十三行であります。金融機閥の数からいいますと、五%程度、それから銀行一行当たりの保険にかけている件数も十一件、金額も二千万円程度、保険金額は二千万円程度というようなことで、非常に利用が少ないといいますか——という関係になっております。中小企業に対する金融というものの一般の金融機関——中小企業金融をいたします一般の金融機関の占める割合というものは、政府機関をのけますと、九十何パーセントということでありまして、その率は、少しずつでありますけれども、逐次ふえておるという傾向にありますので、これを廃止したら、中小企業に出る金に差しつかえがあるとは考えられません。融資保険というものは、金融機関融資をした上でといいますか——上で、その中で、自分が危険を感ずる悪いものだけを持ってきたというような感じを——明からさまに、そう言っていいのか悪いのか、そういった制度があったのに、そういうことを言うのは、あまりよくないと思いますが、そういう感じで運用されておった、利用されておったのではないかという感じがするわけでございまして、特に中小企業金融に影響することはあるまいと思っております。
  106. 近藤信一

    ○近藤信一君 今までは融資保険があって、また保証協会の保証を受けられて金融機関で金が借りられた。今度は、この融資保険が廃止された、こういうときに金融機関融資保険のかわりに保証協会の保証を受けてきなさいと親切に言うようなことは私はないと思うのですがね。そうすると、今まで融資保険があって、そのほかに保証協会で保証されて金融機関から金が楽に借りられた、それがなくなったということによって、今度は金融機関から断わられる危険性というものが出てくると私は思うのですね。  そういう点、金融機関に対して、あなたの方は、どのような指導をされていかれるお考えであるのか、この点、一つ承りたいと思います。
  107. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 従来とも、金融機関が相手方の信用力といいますか、担保力といいますか、そういうことに不安を感ずるようなときに、むしろ保証をとってきなさいという場合が相当多いと思います。信用保証協会が保証をつけるのは二色ございまして、そういう場合と、もう一つは、保証協会が世話をして金を借りてやれるような段取りの一つとして、保証をつける、世話をするという場合があろうかと思いますが、従来とも金融機関は、保証をつけていらっしゃいということを、よくやっておるわけであります。従来の融資保険は、むしろ融資はするが、その融資のうち全部でなく、一部、自分が多少不安を感ずるようなものに保険をかけたというようなむしろ利用のされ方をしておったと考えるわけであります。  今後も、金融機関の方で、相手方のそういう担保力等に心配のあります場合には、保証をつけていらっしゃいということは、どんどん言うだろうと思っております。
  108. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで保証協会も、そうでございますけれども、やはり金融業者が、今まで安心して金を貸していたというのは、保証協会が保証するからですね。それで安心して貸したわけです。ところが、融資保険が廃止になって、保証協会もその分まで今までのような簡単な保証で見ることは、なかなか困難になってくるのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  109. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 保証協会の方は、今までとは、あまり変りないのじゃないかと思いますが。
  110. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで、融資保険の廃止に伴いまして、保証協会の扱う包括保証保険といいますか、第二種の付保限度額を五百万円から七百万円に引き上げる、これは大口も保証できる体制を整えた、こういうことを言われるわけですが、現実には保証協会が、大口にも保証するだけの能力というものがはたしてあるかどうか。保証協会によっては、限度を三百万円未満また五百万円未満、こういうふうに規定しているところがあるわけです。この点はどうですか。
  111. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 今回の改正で、第二種包括保証保険の付保限度は、七百万円に上げてあります。そのためには、今後、保険はすべて包括保証になるわけですから、保証協会の方で七百万円まで保証することにしないとつじつまも合いませんし、保証協会が三百万円以上の融資については保証のしようがない、従って保険のしようがないということに相なるわけであります。保証の限度額は、現在では各保証協会が定款できめるということに相なっております。  で、これは、実は保証料も同じでございますが、こういうものも、それぞれ一律にいっておらぬわけです。保証協会そのものが、自然発生的にできたものを法律に取り込んでいった制度でありまして、従って、逐次総体的にレベルを上げながら平均化する努力はいたしておりますが、まだ一本になっておりませんで、これは育ちが、府県が育てていった関係上、育ち方が違っておりますので、ある程度やむを得ないと思います。それで今回保険に関する付保限度額引き上げと見合いまして、保証協会の方で、まだ七百万円までの保証限度に来ておらぬものにつきましては、行政指導によりまして、これを上げていく、少なくとも七百万円に上げていくという指導をやりたいと思っております。ただ一挙に、全部やれない、今の見当では五十二全部やれないで、少し上げて、今まで非常に低くて、一挙に上げることは、その協会の財政力その他から無理だと思われるものが数件ございますけれども、大部分のものは、そういう措置をとりまして、保証と保険とつながっていくというようなことにいたしたいと考えておる次第でございます。
  112. 近藤信一

    ○近藤信一君 付保限度額を引き上げられたといたしましても、この従来の一件平均の保証額というものは、三十四年度でこれを見ますると、三十九万円と、こういうことになっておるのでございますが、この点どうですか。
  113. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 保証は、平均は非常に少ないわけでございます。これは、われわれとしては、まあ割に零細といいますか、力の弱い中小企業者ほど金を借りるについて、保証を必要とするようなものが多いという意味、それから保証あるいは保険の財源といいますか、基金的な財源も限られておる関係から、なるべく多くにこの制度を及ぼしたいという思想からいいまして、むしろ平均額は少なく出てくるというようなことに相なろうかと思います。  ただ最近、設備投資あるいは運転資金等でも、経済の発達とともに中小企業関係でも、一般的に貸し出しの平均が上がってくる傾向にありますので、平均は、そうでありますけれども、一件あたりは、どんどん大きく出てくる。これまた必要に応じて、この制度を利用させて一向差しつかえないのじゃないかという考え方をとっておるわけであります。
  114. 近藤信一

    ○近藤信一君 なぜ私が、そういうことを言うかというと、これは保険と違いますけれども、設備近代化のあの融資の問題でも、これは紙の上と実際と、非常に開きがあるのですね、設備近代化で金を悟りにいったところが、三十万円しか借りられなかった、三十万円で、一体どんな設備近代化ができるんだといって借りた人が怒って、そんなものを返そうと思ったが、せっかくあれしてくれたからというので借りてきた人があるのです。それと同じように、やはり紙の上では保証協会が保証するといっても、実際面というものは、これは各地方の保証協会で、それぞれ違うかもしれません。たとえば愛知県には、愛知県と名古屋市と二つあるわけですね、同じ名古屋に二つある、また、小さなと言ったら失礼ですが、小さな県に行きますと、やはりそこには、保証協会があるわけなんで、まあ大小の関係で、これは違ってくるかもしれませんけれども、紙の上では七百万円までと、こういうことになっておるが、実際面にゆくと、なかなかそう——少額しか保証してくれない、こういう事実が出てくるわけなんですね、やはりそういうのに対しては、もう少し指導面でうまく指導していかなければ、保証協会を頼っても、頼りにならぬ、こういう結果が出てくると思うんです。この点どうですか。
  115. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 金融をやります場合、あるいは設備近代化資金等の貸付をやります場合、まあワクの関係等もあるということでしょうか、百万円借りたいのを七十万円に値切るといいますか、五十万円借りたいのを三十万円しか貸してくれない、こういうことは、往々あろうかと思いますが、保証は借りる額を、まるまる保証するか、しないかでありまして、これをちょん切って半分保証するとか、そういうことはやらないわけであります。  従って問題は、金を貸す方で、その今仰せのような実態に即さない値切り方をするというようなことは因るわけでありまして、ことに設備金融等につきまして、半分やって意味なさぬようなこと、自己資金との意味合いもありましょうけれども、半分物を買っても意味なさぬ場合が多いと思いますので、設備資金等は、公庫その他の面では、そういう査定の仕方はしないと思います。台数何台か買うやつを、何台か査定するというようなことはあり得ましょうけれども、一つのものをちょん切って、意味をなさぬようなことはやらないように、指導は従来からもやっておるわけでございます。
  116. 川上為治

    ○川上為治君 関連。先ほどの説明で、融資保険を廃止して、そのかわりに保証保険の付保限度を三百万円を七百万円まで上げる、そうすると大体、融資保険を廃止してもカバーできるんじゃないかというような、そういうお話がありましたが、保証協会の非常に強力な、強い協会は別にしまして、非常に弱小なものについては、たとえ行政指導をやりましても、三百万円というのを七百万円まで引き上げるということは、そう早急にできるかどうか、その点に、私は非常に疑問を持っておるんです。  というのは、保証して、それを保険にかけましても填補率というのが七〇%とか八〇%というようなことになりますから、勢い大きな額のものについては、なかなか保険の方へつけるというようなことをしないで、保証のところでも、まあやめちまえというようなことができてきやしないだろうか、そんなように考えると、やはり融資保険をやめて、全部保証保険一本にゆくということについては、現在の段階においては、また少し早過ぎるんじゃないかというような気持がするんですが、長官の話では、それは先ほど申し上げたような付保限度を上げるということによってカバーできるんじゃないかというような話がありましたが、私はやはり、ちょっと一まつの不安を持っておるわけなんです。  特に設備近代化を最近においては早急に実行しなければならぬ中小企業の実情であるし、その設備近代化については、相当なやはり金が要るだろう、こういうようなふうに考えますというと、何か先ほども申し上げたように、一まつの不安を感じるので、特別な、そういうものについての保険制度というものを考えるべきじゃないだろうかと考えておるんですが、この問題について、中小企業庁では大蔵省と、いろいろ折衝をしたけれども、どうも新しいものについては、まだ話がつかなかったというふうに聞いておるのですが、今後、この問題について、どういうふうに考えておられ、また進めていくのか。一年間、一応これでやってみて、そうして、そういう問題が出てきた場合においては、そのときは、それまでに一つ検討して、来年からは、そういう新しい制度を設けていきたいというような考えであるのか、その辺を、ちょっとお伺いしたいと思うのです。おそらく近藤委員のお考えも、その点について、やはり御心配があって御質問があったんではないかと思うのですが、その点を一つお伺いしておきたいと思うのです。
  117. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 協会別に当たりまして、七、百万円までに保証限度が達しない協会が、実は三十五あるわけです。これを個別に当たりまして、すぐ引き上げができるかどうかという個別の検討を加えました結果、今すぐにはむずかしいという協会が十二ばかり実は残るわけであります。それ以外は、今すぐ七百万円に上げましょうということでありますので、五十二のうち十二ですから四十ばかり……。十二を場所的その他から見まして、何といいますか、そういう需要の一つ一つの金紙は、割に少ない場所というようなこともありますので、まあ十二の組合につきましては、たとえば県と話しまして、県の基金を増額してもらうということを本年度やりまして、一年たてば——全部なくなるかどうか、必ずしも自信はないのですが、一年ぐらいの指導期間をおけば、こういうものも、そこまで持っていけるのじゃないかといえ、感じはしているのです。  そういう方向で一つ指導していく。大蔵省とも相談いたしまして、業務保証を認可する場合に、従来、こういう問題を非常に軽く扱っておりましたが、そういう場合も、認可していくも  のは認可していく、上げられない場合には上げられないというような方法で、おぜん立てをするとともに、認可でも一つ押えていこう、こういう打ち合せをいたしておるのであります。
  118. 川上為治

    ○川上為治君 そうすると、やはり十二の保証協会の地区においては、この  一年間というものは、そういうような問題が発生する余地が非常にある、こういうことですね。その欠陥を、何らかの方法で補うということは考えていないのですか。たとえばその十二地区のあるところで、どうしても自分の方としては七百万円ぐらい融通してもらいたいのだ、それには銀行の方で、全部保証協会の方で保証してもらわぬというと、なかなか貸してくれぬ。ところが、保証協会の方へいってみると、三百万円でそれ以上は保証しない、こういうことになりますというと、結局七百万円の設備近代化の金は借りれぬというような事態が生じてくる。  そういうことになるというと、せっかくこれはそういう七百万円程度設備近代化資金というのは、いわゆる中小企業の中でも、相当しっかりした、また今後輸出関係では、相当伸ばしていかなければならぬという工場なり、そういうものが多いと思うのですが、そうしたものが、この保証保険にかかることはできないというようなことになってしまうおそれが、少なくとも一年ぐらいは生ずるということになるのですが、そこを何か埋める方法というのは、別途考えていないのですか。それとも、もう最初から県と相談をして県の方から、もっと出捐してもらって、そうして三百万円というものを全部七百万円まで上げるようなことにして、そういう県が一つもないように、全部七百万円の付保限度にするまでやるのだ、県の援助を得てというようなことでいかれるのですか、そこをちょっと、もう一ぺん聞いておきたいと思います。
  119. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 仰せの通り、うまく手が打てなければ、十二は少なくとも一年間今度の制度改正の恩恵を受けられないという結果になるわけであります。ただこれは、県に個別に話しまして、県会その他の年度の途中からでも手を打ってもらえるというものもあろうかと思います。急に改めにくい理由としては、一つは大口の保証需要が割に少ない。これも少ないといいましても、絶対にないわけではないであろうと思いますから、理由にはあまりならないのですが、大口のそういう程度金額の保証の需要が、きわめて少ないというようなもの、それから大口保証をやると、事故が起こって代位弁済するときに、資金繰りが苦しいというような理由、これらは、こっちの貸付資金の配分だとか、あるいは県の方の応援で解決するわけなんでありまして、そういう理由を一つ一つつぶしていきますれば、十二のうちにも本年度中に片づくものも相当あると思います。県の出捐その他年度の途中でも、よくやっておりますので、そういう努力をやって、これを極力減らしていきたいと思います。  で、最後のお尋ねの、別に、何かかわる手といったようなことを考えているかというお話ですが、大体そういう見当で、この案を立案したわけでございまして、いわゆる廃止切れになっている間をつなぐ手順は実はないわけであります。県の方は、保証協会の方がうまくいかない場合に、間をつなぐという手がないわけであります。ただいま申し上げましたように、設備資金、主要設備近代化等の、貿易自由化、所得倍増に備えての需要というものが非常に旺盛でありますとともに、設備投資の金紙もだんだん上ってくる傾向にあります。で、七百万円超等のものについて、何もしなくてもいいのか、設備金融に対する裏付というものが、突っかい棒しなくていいのかという問題は、別途問題が本質的にあるわけでございます。  この問題の検討は、この今回の案と並行して別途検討を加えつつあります。その検討の結果、あるいは別に七百万円、下のものも含み、上のものを主として中心とする設備金融に対する突っかい棒の制度というものについて、別途これは考えまして、何か成案ができますれば、これは金融制度調査会等にもかけまして、一つの案にまとめ上げていきたいということを検討しておる次第であります。
  120. 川上為治

    ○川上為治君 私はこの七百万以下のものについても、十二のそういう組合が生じないように、県とよく相談して、県の協力を得て、また中小企業庁の行政指導によって、そのブランクがないように、一つやっていただきたいということを強くお願いしておきます。と同時に、七百万をこえる問題については、これはこの前の委員会において、私がその欠陥を実は指摘して、何か新しい制度を、この際作るべきじゃないか、この際、融資保険を全面的にやめるかわりには、何か新しい、やはりそういうものをめんどう見る制度を作るべきじゃないかということを申し上げましたが、これについては、大蔵省といろいろ相談して話がつかないままになっておるというふうに聞いておりますが、これも一日も早く一つ実現するように、強力に一つ大蔵省と話をつけていただきたいことを、特に、この委員会において希望しておきます。
  121. 近藤信一

    ○近藤信一君 信用保証協会は、採算ベースを考えて運営しているわけなんです。そこで実際には、保証協会の保証がなくても、金融業者から融資ができるようなものに対しても、まあ保証するわけなんです。ところが、実際には保証協会の保証がなければ、金融業者から金が借りられないという業者があるわけなんです。  そういうものが信用保証協会に保証を依頼に行きますると、こういう面については、いろいろと何とかかんとか理屈をつけて渋る、喜んで保証しない、こういう向きがあるということを、私はしばしば聞くわけなんです。こういうことについて保証制度の本来の目的というものに反するのじゃないか。こういうふうな感じを私は受けているわけなんですが、そういうようなものに対して、政府はもっと監督指導すべきじゃないかと私は思うんですが、この点はいかがですか。
  122. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 何分全国で五十二保証協会がありまして、直接第一線の監督は県がやっているわけであります。中央での監督は、大蔵、通産両方でやっておりますが、そういうことで、直接指導監督が徹底しにくいという面があろうかと思います。  ただ、金を借りられるものに保証をつける、これは保証するということは、借りれる人からみると、保証料をそれだけとられるわけで損なんですから、当然保証がなくても、借りれる人に保証をつけるということはないと思いますが、ただ、ワクの関係あるいは保証協会の実力の関係で、当然保証してやるべきものに保証を渋るとか、あるいはいろいろ担保その他でうるさいことを言うような点は、われわれも聞いております。そういうものの指導は、今後もこれは、連合会もありますし、そういう方面をも通じて、大体が保証協会は、主として地方公共団体の金、それから国の貸付金ということで、その他もございますけれども、それで運営している公的な機関なわけですから、なおさら、そういう趣旨にもとる運営がないように監督指導をやって参りたいと思います。
  123. 近藤信一

    ○近藤信一君 これは、県の保証協会なんかというものは、県会議員あたりなら何でも、少し困難であっても、どんどんと保証するわけなんです。ところが、実際に保証してもらわなければならない人は、直接頼みに行くと、なかなか保証してくれない。これは聞いただけでなくして、私自身も体験しているわけなんです。ついに困って、私のところへ来られた人もあるわけなんです。私が行って、いろいろ話したら保証してくれた。人によって保証したり、保証を渋ったり、こういうのは、私はよくあると思うんですね。私のところだけじゃない。よその県でも、そういうものはあると思う。私のところの愛知県なんか比較的工業地帯で、そんなに不当なあれがないところでも、そういう事態があるのだから、私は、ほかの県に行けば、そういうことが往往にしてあって、実際に借りたい人が保証もしていただけないから借りられない、こういう事実があるんですよ。まあ五十幾つあるから、全部いろいろと監督指導ができないと言われますけれども、ある程度の指導というものを、あなたの方からしなければ、この状態が続いていくというふうにも、私考えるんですが、この点いかがですか。
  124. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 直接、県なりあるいは連合会を通じ、あるいは直接保証協会に注意を喚起しまして、そういうことのないようにいたしたいと思います。保証協会で保証しますときには、委員会がございまして、委員会があるところが大部分でございますが、いろいろな人が集まって、それで中小企業全体の状況も把握し得るような機構のもとにおいて、保証するかしないかをきめているわけでございますが、そういう委員会の運営についても、なお検討を加えまして、今申されたようなことのないように、顔を見て保証したり、しなかったりすることは非常に変なことでございますので、なお、そういう指導をやりたいと思います。
  125. 近藤信一

    ○近藤信一君 それと関連したようなことですけれどもね。保証協会が保証いたしまする際に、いろいろ企業の実態調査というものをやりますね。その企業の実態調査をして、内容は現在多少悪いが、金融の面が何とか目鼻がつけば完全に立ち直る、こういうような場合に、現在の状態というものにかかわらず、こだわらず、やはり将来性というものを十分に考えて、その上に立って調査に当る、それが私はほんとうの保証協会としての重要な点じゃなかろうかというふうにも考えるんです。そうして悪い企業に対しては、優良企業に育成指導していく、ただ、金の面の保証をするだけでなく、お前のところは悪いからだめだというようなことで、はねるのじゃなくして、やはり保証協会も、そういう指導的な育成といいますか、そういう立場に立って、いろいろ企業について育成していく、こういうことも、私は重要でないかと思いますが、その点、政府は、保証協会に対しまして、どんな指示を今までやってきておられますか、協会のあり方ですね。
  126. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 保証協会の保証態度の問題になるんですが、これは御指摘通り、必ずしも統一しているとは申せない状況でありまして、保証協会は非常に固く固くやって、危ないものは保証しないといいますか、銀行が金を貸すと同じように極端に言いますと、そういう態度のところもありますし、また全然反対に、どんどん保証して、それを保険にかけていく、それで危険をカバーしていくというところもございます。  従って、たえず問題が起こっておりますことは、保険の関係でも、保険料ばかり払って、保険金をもらわないところと、保険料以上に保険金をもらうところとあるというような状況もありまして、これらの調整についても、いろいろ考えております。保証態度の問題としては、今申されましたように、中小企業金融というものも、多少そういう性質をもっているものでありますが、それをスムーズにするために、保証制度あるいは保険制度を突っかい棒としてやっているわけなんで、その突っかい棒は全然危なげのないような仕事ばかりならば突っかいは要らぬわけであります。  そういう趣旨から申しましても、今申されたような方針で指導して参らなければいかぬと思います。ただ協会協会の成り立ちとか、運営する人の態度によりまして、多少ニュアンスがありまして、一律にはいっておりませんけれども、大体の大筋の保証方針といいますか、保証態度というものは、そういうことでなければならぬと思います。そういう方針で指導して参りたいと思います。
  127. 近藤信一

    ○近藤信一君 保証協会が保証する場合ですね。これは担保を徴収しているわけですね。大体、もともとは中小企業というのは、信用力が不足していることは、これは事実なんです。そこで信用補完制度の使命からいきますると、担保を必要としなくても私はいいんじゃないか。いわゆる協会の保証が保険につながるわけでございますから、協会の負担は、そんなに重いものではないし、軽減されるわけです。  だから、そういう理屈からいけば、これは無担保でも、協会は保証すべきだと私は思うのですが、この点はどうですか。
  128. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 信用力、担保力がないから保証をするわけで、お説の通りのわけであります。  ただ現実には、御指摘のように担保を取っていないところがあります。それも必ず担保を取るということでなくて、取れれば取るという建前なわけでありますが、これは実は、保険が事故の起こったとき全部填補しないわけです。填補率というものがあって、普通の保険ですと、生命保険その他については、そういうものはないわけなんですが、信用保険という、何といいますか、金の貸し方、あるいは保証の仕方、そういうことによって、すぐ危険率が変わってくるという非常に人為的な要素が入りますから、保険事故の統計なんというものも、なかなか出てこない、正確なものが出てこないということでありまして、担保の填補率の限度をきめておりません。そうすると自分のところにも、危険がそれだけかぶるわけですから、担保を絶対取るなということもちょっと言えない。必ず取るということじゃなくて、取れれば取ってもいいというような建前で指導しておるわけであります。  ただ、仰せのような御趣旨もありますので、小口の保証については、担保を取れても取らないというような制度をきめております協会が相当数ございます。二十万円あるいは三十万円あるいは五十万円以下の保証については、無担保、保証料率も幾割か安くするという制度をきめているところもあります。無担保、ことに零細企業に対する、そういう制度は、大いに推奨して推し進めていくべきだと考えますので、来年度二十億の金、合わせて六十億の金を分けます際には、そういう制度を、それをてことして、そういう制度を、なお一般化し、広めていくということを考えております。まず、そこから担保問題は片づけていく。全部担保を取るなということも、なかなか言い切れない状況かと思いまするので、すその方から、そういうことを一般化し平均化して、そこから解決していきたいと、こう考えております。
  129. 近藤信一

    ○近藤信一君 原則的には、あれは担保を取るのか無担保か、この点はどうですか。
  130. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この協会の業務方法書といいますか、そういうものは取るとは書いてないと思います。ちょっと今調べますが……。従って、原則は取れる場合には取る。原則は取らぬということではないかと思います。
  131. 近藤信一

    ○近藤信一君 取れる場合には取ってもいいが、どうしてもないやつは取らなくてもいい。大体それは保証協会へ頼みにいく人は、担保がないから保証協会に頼みにいくのでしょう。担保がないから保証協会へ頼みにいく、その担保のないやつから、担保を取らなきゃ保証してやらないぞ、こう言われると、取りつく島がないというわけになるのですが、この点どうですか。
  132. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 協会の業務方法書その他には、担保を取るということは書いてないそうであります。たとえば中小公庫なんかは、明らかに業務方法書で担保を取ると、原則として担保を取ると書いてあります。これは保証も、広い意味の金融と見た場合には、これは金融の原則だろうと思いますが、保証協会の方は、御趣旨のような意味から原則としては取らぬということでありますが、事実上、今度は保険に持っていった場合に、自分のところのリスクを全部負ってくれないものだから、担保を取りたい。その場合、取れないものは、これは取らないというわけでありまして、取れるものから取るということはやっておるようであります。  ただ担保というものは、なかなか微妙な点があります。たとえば担保の取り方、担保を作るといいますか、いろいろ担保にかかっておるけれども、その残りのところに二番抵当のものを作っていけば作れるというような担保も相当ありますから、そういう点で、担保のないという事柄自体の程度に、いろいろ問題があると思います。そういう意味で、おそらく保証協会に来るようなのは、あまりいい性質のものじゃなくて、むしろ担保を無理に作ってあげて、その手伝いをしてあげて、それも一つの担保力に、俗に言う形式的にはなったという、そういう場合が多いのじゃないかと思います。
  133. 近藤信一

    ○近藤信一君 担保を取らなければならんということが書いてないということになれば、これは、原則的には無担保になると思う。しかし保険の方が、それでは困るということで担保を取ると、こういうことになれば、保険の方を、あなた改正すればいいのじゃないかと、私はそう思うのですが、その点はどうですか。
  134. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 填補率の問題は、私どもとしましては、できるだけ高く、できれば百パーセント填補していきたい。これは最終的には保険準備基金として、もっとたくさん金を出す、こういうことになります。ただ、現在までのところでは、保険準備基金は、時制会計から引き継いだものと、それから経済基盤強化の法律で出資しましたものとでありまして、その後ふやす機会というものは、一般財政投融資年度の作業におきましても、要求がいろいろあり、われわれの方としても、公庫その他の要求があるものですから、そこまで至っておりません。しかし、かりにパーセントを百パーセント填補することにして、一体幾らの基金が要るのだというような計算、事故率、回収率その他の計算というのが、なかなか実は、正確な計算ができないということで、非常に大ざっぱに言いますと、目安でやっておるわけでありますので、これはわれわれの方もいろいろこの制度が始まって年限が割に少うございますから、もうちょっと時間の推移を見て、そういう論拠をはっきりさせて、そうしてこの問題は、上げるべきものなら上げるということで問題を出し、主張して行きたいと、こう考えるものであります。
  135. 近藤信一

    ○近藤信一君 私四時から、ちょっと所用があるから、もうあと一点お尋ねしまして、質問を留保して、きょうはやめたいと思うのです。  長官も御承知のように、保証協会の内容というものは、これはまちまちなんですね。五十幾つの保証協会が統一されていないのです。従って保証率の問題も、これもまちまちになって、低いところは一分四厘の保証料率、それから高いところは二分九厘と、こういうように非常に差が大きいわけです。保証料率の統一は、私はばらばらということでなくして、信用保証協会といえば、どこも一緒だろうと、こうだれでも頭に浮かぶのだから、この保証料率の一本化ということが、私は重要でなかろうかというふうに考えるのですが、この点、政府の考えはいかがですか。
  136. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) この金を借りる人から見ますと、信用力はない、担保がないというためとは言いながら、金利を——それも、そう安くない金利を取られた上に、保証料を取られるわけですから、保証料は、できるだけこれを下げたいというのが、われわれの念願でございます。それとともに、平均化しつつ、バランスを一本化しつつ下げるということが、また一つのねらいでございます。ここ数年間融資の仕事をてこ——背景といたしまして、相当程度下がって参っております。ただ、ばらつきが今おっしゃいましたように相当ありますけれども、最高八厘、最低四厘、大へんなばらつきなんでございますが、最高七厘とか八厘とかというところ、四厘とか四厘五毛とかいうところは割に少のうございまして、大体が平均今五厘五毛になっておりますが、これも来年度融資を背景にしまして一割程度、すなわち結論として五厘程度にもっていきたい、こういうように考えております。  それとともに、あまり——低いところはいいのですが、高いところは、一件一件問題の性質、問題の内容を検討いたしまして、ただ、これも財政事情——協会の財政事情もありますから、一ぺんにもっていけるかどうか、必ずしも自信はございませんが、この内容を検討して、可能な限り引き下げさせる、これは一件々々、高いところはシラミつぶしに検討をして勧奨をする、どういう手を打って、どう下げていくかと・いう具体案を突きつめて下げさしていきたいというふうに考えております。
  137. 近藤信一

    ○近藤信一君 五大市、また五大市に  つながる大きな県ですね、これは大よそ統一されていますか。
  138. 小山雄二

    政府委員小山雄二君) 大都市の近辺の協会は、今資料を見ますが、大体五厘五毛前後のところで統一されていると思います。八厘というのは、実は能代の協会で、これは協会自体の存立なり沿革の問題なり、その地域の問題が相当多いわけです。大都市の近辺は、大体五厘五毛から六厘というところで、その辺でバランスがとれております。
  139. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  140. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて。  他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、本日の質疑は、この程度にとどめます。   —————————————
  141. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) なお、委員の異動がございましたので、報告いたしておきます。本日、吉田法晴君が委員を辞任され、その補欠として阿部竹松君が委員に選任されました。  本日は、これにて散会いたします。次回は、明日午前十時より開会いたします。    午後四時五分散会    ————————