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政府委員(尾村偉久君)
大臣の御答弁に補足をいたします。
項目別に申し上げますが、第二番目の医学上の問題、これを先に申し上げます。今度のは、あくまで公衆衛生立法である結核の社会防衛と、それから本人の治療、経済的救済、こういういろいろな点を含めまして、この入所命令という形によって進展させる、こういうことにいたしたものでございますので、やはりその諸条件を入れますと、一応医学上の
基準といたしましては、全部でなくて、要入院の中で今の条件に合うもの、こういうふうにしぼりをかけたわけであります。従いまして、新たに入る場合には、やはり排菌ということが中心になります。あるいはただ、現に短時日の間に排菌の証拠のある者というような狭い運用ではなくて、過去何ヵ月以内にあったとすれば、まだそれは、当時検査では、偶然になくても、これはやはり検査すれば何回に一ぺんは出るということもありますので、そういう余裕はもちろん持ちますし、それから、空洞があるというような場合には、現に菌がなくても相当疑うに足る、こういうような場合も運用上これは対象にいたしますが、あくまで伝染のおそれ十分にあるもの、こういうふうに引いたわけです。
それから、もう
一つ、先に申し上げますが、第三の適用の打ち切りが、今度は逆の問題になるわけです。そういうような諸条件で入って、治療を加えれば、当然これはそういう条件を改善するのが目的の治療でございますから、なくなってくる。なくなると同時に打ち切ってしまって放すかどうかということでございます。もちろん理論的には、この入所命令の治療入院は終わりましても、要入院の状況が続いておれば、それぞれの保険なり
生活保護に変え得るわけでありまして、決して直ちに退院を命ぜられるということはないわけでございますが、しかし、実際問題としては、他の条件である経済問題等もあるわけでございますから、そういうことが起こりかねないということで、この点については、一ぺんそういう条件で入れた以上は、帰ればまた同じような条件が環境にあるであろう、こういう
関係からできるだけいわゆる治療の一応の完結、これまでを対象にしよう、こういうことで今計画いたしまして、結核予防
審議会の医療部会に現在この
基準の詳細をお諮りしまして、作業を続行していただいております。この点は、入院につきましても同様なことをやっております。従って、この点を将来、入所命令のやり方のままで要入院にまで拡大する、さらにまた、結核の治療をこういう方法で拡大するということについては、これは現在の
考え方ではちょっと無理があると思いますし、これは
結核予防法全体の他の条項もございますので、これらをあわせて、将来結核の治療を要する者を結核対策上どこまでこういうような見合いの形でやるかということは、さらに検討を要しますので、今後もそういう
審議会等を通じまして必要という見解に立ち、他の諸病との関連もございますが、それらとの関連で、
改正する必要があれば、ぜひそういうふうに持っていきたい、こういうことでございます。今回の
改正の中でそういうふうに運用上拡大するということは、これは限度があるというふうに存じております。
それから経済上の問題でございますが、これは一応所得税と納めない階層ということに大体見当をつけまして、予算等を一応積算しておりますので、今回はそういうことでいきたいと思いますが、ただこれも税法の
改正がありますと、そのたびにこれは上がっていくわけでございます。それはスライドできるように政令以下できめたい、こう思っておりますが、ただしこれを
先ほどの五十万とか、四十五万というふうな切り方をいたしますと、結局税金を納めている者も入ってくる。そうなると、いわゆる従来の福祉事務所でやっておりました
生活保護と同じミーンズ・テストをここでやりませんと、これはなかなかわからないということになりますので、今回保健所長が全部掌握いたしまして、福祉事務所と連絡を十分にこの
委員等でとりますけれども、むしろ公衆衛生上の必要ですみやかにこれを入れる。それでその該当者を
決定するというような急ぐ問題からいいますと、これはなかなか骨であるということで、もうすでに前年からわかってしまっておる——所得税を納めているか納めていないかということは、市町村で一ぺんにわかる、こういうようなことが適当ではないか、予算積算の建前から、それから実際にこれが執行にあたっての実態から、一応そういうようなことでどうだろうというので、今、案を作成中でございます。まだこれは
法律もできておりませんので固めておりませんが、大体
考え方としてはそういうことで今進めており、将来やはり改めるべきものは予算の獲得等ともにらみ合わせてこれは改めたい、こう存じております。