○
政府委員(
小岩井康朔君) 私
どもの従来の
監督が決して私
自身万全であったというふうには
考えておりませんけれ
ども、今
先生の
お話のように、
監督官自身は非常にむずかしい困難な
仕事を、非常に大きな
努力を払って
監督をしてもらっておると、私
自身も
考えております。私
自身も長い
監督官生活を実際に経験いたしておりますので、その辺の点は十二分に自分ではわかっておるつもりでございます。現在の
監督官の
制度もいろいろ
工夫はこらしておりますが、もちろんこれで完全な体制であるとも
考えておりません。私
自身もまあできますことなら、さらに
上級の
監督官制度というものも、いろいろ
批評もございますけれ
ども、でき得るものなら実現いたしたい、かように
考えておるわけであります。
監督官は普通現在の
状態ですと、学校を出まして十年、約十年たちますと、だんだん
課長になり、
部長になりという機構になっておりますので、まあ
課長になりますと、やはり課内の
全般のものを見るという点から、各山の実際の
巡回監督という点からは、完全に離れませんけれ
ども、一応離れざるを得ない、こういうような
状態にありますので、従来の
監督官は比較的若い層の
方々が現場をぐるぐる回っているわけであります。また、これは非常につらい
仕事で、
体力も要しますので、これはもちろん若い方の方がいいわけであります。
あまり年をとって参りますと、なかなか広い
坑内を十分に歩き回るということがかなり困難になって参りますので、その点必ずしも若い
方々の
監督官がどんどん元気に歩き回ってもらうという点は、差しつかえないと
考えておりますが、なかなか若い
監督官でありましても、同じ
坑内の
機電関係、
採炭関係、それぞれかなり広い分野に分かれておりますので、その中のものを綿密にすべて見てくるということは、なかなかできませんので、もちろん大手の山につきましては、大きく分けまして、
機電関係、
採鉱関係、この二つの
専門の
監督官を別々に派遣いたしております。しかし、
中小炭鉱におきましては、別々に二人出すだけの
内容がない山もございますので、そういったような山につきましては、
機電の
監督官はもちろん
採鉱関係の教育を与える。
採鉱関係には
機電の概論を与えまして、一人で両方見てくるという態勢を現在とっておるわけであります。これも私、大体可能ではないかということで、私
どもの
監督行政そのものからは、まあ人員の
不足、
予算の
不足ということも毎年訴えられてはおりますけれ
ども、まあこれが
不足だから全然まあ不可能だ、非常に大きく
保安に支障を来たすという点につきましては、そうまあひどく
痛痒を感じてないわけであります。これはもうなかなか
予算だけふやしていただきましても、一人の
監督官は大体月に一週間ぐらいまあ下がるのが
精一ぱいでありまして、十日とか、あるいは半月ということになりますと、
現地の
派遣班、これはもう
炭鉱のごく近くにおりますから、この連中はまあ十日とか、あるいは場合によりましては二週間くらい下がることも可能と思われますが、そうでないところから出ますと、なかなか月に平均して十日
坑内に下がるということは、非常にまあ
体力的にも大きい負担になってくるわけであります。これは同じ山ですとそういう
事情もわかって、その割に回りで見るほど
痛痒を感じないのでありますが、全然
事情のわからない山に順々に下がるということは、もちろん、まあ大
へん体力の消耗にもなるし、骨の折れることでありますので、私
どもとしましては、
あまり一人の
監督官によけいな日数をかけないという
方向をとっておるわけであります。まあ
監督官の
制度につきましても、今後でき得ることなら、
民間の
方々も、
一定の年数でまあ
上級の
監督官にも
一つ中に入っていただいて、まあ
官側で独善的な
監督をやっているというような
批評も幾らかやわらげる。諸
外国でも
民間の
監督官の
方々も採用いたしておるようでありますので、そういった面も、必ずしも
外国の例を直ちに日本に採用してよくなるとは
考えておりませんけれ
ども、いろいろそんな面も
一つ工夫をこらしてみたいと、かように
考えております。
それから
原因などについて、なぜ、あんな
災害を起こすかという点で世間的にも大きく批判を受けておることは、私
自身も承知をいたしておるつもりであります。こういった大きい
災害を何とか防止できないものかということで、私
ども直接
責任者が真剣になっておりますが、なかなかこれが満足なる解決ができないのでありますが、最近の
災害の例を見ますと、決してまあ従来のように、当然これが非常に大きい手落ちであって大きい
災害を起こしたというものと少し趣が違いまして、やはりちょっとそこまでなかなか
考えが行き届かなかったと思われるような点から起こっておるのであります。それは豊州
炭鉱におきましても、各
作業個所はもう何にも
災害に
関係がない、全然離れた、三百メートルも離れた古洞を通じて川底の昔の
採掘跡に陥没して水没した。それから
上清の場合も、これは
原因はほぼ判定いたしておりまして、まだ公表の
段階ではございませんけれ
ども、
現地の
監督部で見ております点といたしましては、
ケーブルが非常に過
負荷の
状態になっておった、あの
コンプレッサーの
ケーブルの力の一二〇%ぐらいの、何と申しますか、力以上の力がかかった過
負荷状態、こういうふうに表現しておるのでありますが、それがまた、百
馬力の
コンプレッサーと
並列運転になっておりまして、百
馬力の方の空気が五十の方に逆流しておるように見られて、その過
負荷の
状態がさらに一そう過大な
状態になっておった疑いがある。従って、
ケーブルそれ
自体が乱雑に地上に配線されておって、そうして水とか油でそれが非常に弱められて、そういった
状態で、
ケーブル自体から火を発して、油その他のところに燃え移ったというような
見方をいたしておるようであります。この点はなお
警察とも協力いたし、
警察関係の
指揮によって、今捜査中でございますので、これ以上深く触れることは差し控えたいと、かように
考えておりますが、当然綿密な
考え方で見れば、結果から見ればわかるはずなんでありますが、一見しては、ちょっとなかなか判定しにくい、
機械そのものからの故障ではなく、そういった
関係から出ておりまして、
大辻の場合も、
大辻はもう
災害そのものではなくて、
災害に対する、
作業員としては
全員退避してその
消火を今度するという、全然別途の
方向から
幹部以下が下がってしまって、そうして処置を誤ったというよりも、まあ対処の仕方が十分でなかったと申しますか、普通ではちょっと
考えられないような
事態の急変で大きい変災になってしまった、こういうふうに、決して言いわけではございませんけれ
ども、かなりむずかしい点から
原因を発しておる。そこで、私
どもも、今後の
監督方針といたしましては、非常にむずかしい
事態になってきておりますので、全部大きい目からいろいろな点を総合して、
炭鉱の
弱点というものに対して
監督を強化していくという
方針をとらざるを得ませんので、今後の大きい
体質改善に伴いまして、あとう限り大所高所から
炭鉱全般の
趨勢を見て、そうして
弱点と思われる点に
監督の
方向を集中さして参りたい、こんなふうに
考えておるわけであります。