○国務大臣(古井
喜實君) ただいま議題となりました
母子福祉資金の
貸付等に関する
法律の一部を改正する
法律案について、その提案の理由を御
説明申し上げます。
母子福祉資金制度は、母子家庭または母子福祉団体に対し、事業開始資金、修学資金等の資金を貸し付け、母子家庭等の経済的自立の助成をはかることを目的としているものでありまして、昭和二十八年施行以来、わが国の母子福祉対策の一環として着実な歩みを続け、母子家庭の福祉に多大の寄与をいたしているのであります。しかしながら、その運用状況を見ますと、住宅の資金等について貸付限度額、償還期限等につき改善を要する点があると認められますので、本法案を提出した次第であります。
すなわち、今回の改正の第一点は、住宅の資金について、従来住宅補修についてのみなされていた貸付を増改築にまで及ぼすこととするとともに、その貸付限度額を十万円とし、また、償還期限を五年から六年に延長することであります。
改正の第二点は、事業継続資金について、その個人分の貸付限度額を三万円から五万円に引き上げ、償還期限を二年から三年に延長するとともに、事業開始資金の償還期限を四年から六年に延長することであります。
以上が、この
法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
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次に、
予防接種法の一部を改正する
法律案について、その提案の理由を御
説明申し上げます。
急性灰白髄炎いわゆる
小児麻痺の罹病者は、近年大幅に増加し、特に昨年の
流行期に際しては一部地域において著しい蔓延を見たのであります。
政府は、これに対処するため、伝染病
予防法による各種防疫措置を行なうとともに、その最も有効な
予防方法である
予防接種の重点的な
実施をはかってきたのでありますが、今回
予防接種法を改正して、急性灰白髄炎を
予防接種を行なうべき疾病に加え、
予防措置の万全を期することとした次第であります。
以下簡単に法案の
内容を御
説明申し上げます。
まず第一に、急性灰白髄炎を定期及び臨時の
予防接種を行なうべきものとして加え、その定期を、第一期を生後六月から生後二十一月に至る
期間、第二期を第一期終了後十二月から十八月に至る
期間と定めたことであります。
第二に、市町村長が定期の
予防接種を
実施したときは実費を徴収しなければならないものとされているのを改め、実費を徴収することができるものとし、その他必要な条文の整理を行なうこととしたのであります。
なお、改正法は、昭和三十六年四月一日から施行するものとし、急性灰白髄炎に最もかかりやすい年令層である生後三年までの乳幼児については、経過的に、別に定期を定めて
予防接種を行なうことといたしております。
以上がこの
法律案の概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
次に、
医療金融公庫法の一部を改正する
法律案について、その提案の理由を御
説明申し上げます。
医療金融公庫は、私立の病院、診療所等の設置及び機能の向上に必要な長期かつ低利の資金であって一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的として昨年七月に設立されたのであります。
昭和三十五年度におきましては、二十九億五千万円の貸付を行なうことを予定して発足したのでありますが、その後本年一月末までに約二十六億円の貸付決定を行なっております。公庫に対する資金需要はかなり旺盛でありまして、私立の病院、診療所等の適正な整備及び機能の向上をはかるためには、公庫の資金量を増加し、その経営の基盤を拡充することが必要であります。このため、政府は、昭和三十六年度におきましては、公庫の貸付額として七十億円を予定し、これに要する資金として資金運用部資金の借入金四十八億円及び貸付回収金二億円のほか一般会計から二十億円を出資することといたしております。従いまして、公庫の資本金十億円を二十億円増加して三十億円とする必要があります。
以上が、この
法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ慎重に御一審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
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次に、
精神衛生法の一部を改正する
法律案について、その提案の理由を御
説明申し上げます。
精神障害者の医療及び保護につきましては、従来からその対策の推進をはかっているところでありますが、精神障害者の治療には長期に入院して高額な医療費を必要とする者が多いため、十分な入院治療が行なわれず、また、患者世帯が貧困階層へ転落していくことが多い実情であります。また、精神障害者は自身を傷つけまたは他人に害を及ぼすおそれがあり、社会不安の一因ともなっているのでありまして、精神障害者の医療費負担の軽減をはかるとともに、社会不安を除去する見地からその医療及び保護の徹底を期すべく、今回、
精神衛生法に定める都道府県知事の行なう措置の制度を強力に推進する方途を講ずることといたしたのであります。
すなわち、第一に、措置患者の入院に要する
費用について従来の二分の一の国庫補助率を十分の八の国庫負担率に引き上げ、都道府県における必要な
予算化を容易ならしめ、入院措置制度の円滑化をはかることといたしました。
次に、措置患者の医療に関する診療方針及び
費用についてその規定を整備するとともに、医療費の支払事務等を円滑に処理するため、これを社会保険診療報酬支払基金に委託し得ることといたしました。
なお、本改正は本年十月一日から
実施するものであります。
以上がこの
法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。
次に、
結核予防法の一部を改正する
法律案について、その提案の理由を御
説明申し上げます。
近年、結核対策の進展及び結核医療の進歩によって、結核による死亡率は著しく減少して参りましたが、なお年々新たに
発病する患者は相当数に上っております。しかも、最近は結核患者が比較的所得の低い階層に集積し、これらの患者が感染源となって、結核対策の進展を妨げている点が大きく、これがため、今回、このような感染源患者に対する施策を強化し、もって、わが国の結核対策の一そうの推進を期すべく、ここに、この
法律案を提出した次第であります。
すなわち、第一に、感染源患者に対し行政庁が命令入所等の措置をとった場合に必要とされる医療費について、全額を公費で負担することを原則とし、患者に負担
能力のある場合に限って自己負担をさせることとするとともに、従来の二分の一の国庫補助率を十分の八の国庫負担率に引き上げる等の措置を講ずることによって、命令入所等の措置の円滑な
実施をはかることといたしました。
また、この公費負担と社会保険各法との
関係については、公費負担を保険給付に優先するように改め、その間の調整を行なうことといたしました。
以上のほか、本改正案におきましては、患者登録制度の整備を行ない、登録患者に対する精密
検査の
実施等について規定を設ける等、結核対策の強化徹底に資するため、所要の改正を行なうことといたしております。
なお、本改正は本年十月一日から
実施するものであります。
以上がこの
法律案の提出理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを
お願い申し上げます。