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1961-09-22 第38回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年九月二十二日(金曜日)    午前十時四十九分開会    ———————————   委員の異動 本日委員加藤武徳君及び藤田藤太郎君 辞任につき、その補欠として平島敏夫 君及び藤田進君を議長において指名し た。    ———————————  出席者は左の通り。   委員長      吉武 恵市君   理 事            坂本  昭君   委 員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            徳永 正利君            山本  杉君            横山 フク君            相澤 重明君            久保  等君            藤原 道子君            藤田  進君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生大臣官房長 高田 浩運君    厚生大臣官房総    務課長     熊崎 正夫君    厚生大臣官房会    計課長     今村  譲君    厚生省社会局長 太宰 博邦君    厚生省保険局長 森本  潔君    労働大臣官房長 村上 茂利君    労働省労働基準    局長      大島  靖君    労働省職業安定    局失業対策部長 松永 正男君    労働省職業訓練    局長      三治 重信君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (第十八号台風による災害に関する  件)  (昭和三十六年度厚生省関係補正予  算及び第三十九回国会厚生省提出予  定法律案に関する件) ○労働情勢に関する調査  (昭和三十六年度労働省関係補正予  算及び第三十九回国会労働省提出予  定法律案に関する件)  (雇用促進事業団の運営に関する件)  (失業対策事業労務者賃金に関す  る件)    ———————————
  2. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) ただいまより社会労働委員会開会をいたします。  社会保障制度に関する調査の一環として、去る九月十六日から十七日にかけて起こりました台風第十八号による災害状況に関する件を議題といたします。  まず、政府当局よりその概況について御報告を願います。
  3. 高田浩運

    説明員高田浩運君) お手元に資料を差し上げてございますが、今回の十八号台風に関します被害状況、それから厚生省としてとりました対策の概要について申し上げたいと思います。  まず第一に、災害救助法の適用の状況でございますが、三枚目から四枚目、五枚目にかけて、その具体的な県、市町村が書いてございます。一々朗読することを省略いたしますが、合計いたしまして十九府県にわたり、六十三市、十三区、二百十六町村にわたっております。  それから、それに伴います人的被害及び住家被害でございますが、それは一番最後の紙に書いてございます。人的被害につきましては、死者百四名等、合計四千七百五十九名、住家被害につきましては、全壊約一万五千戸を含めまして、約三十三万八千戸ということになっております。  かような状況でございますが、当省といたしましては、災害のありました翌日、緊急に関係局長会議を招集いたしまして、対策を協議し、そして直ちに森田政務次官及び尾村公衆衛生局長現地に行っていただきまして、一つには現地実情を把握していただくと同時に、各府県におきます災害対策指導に当たった次第でございます。もちろん、これに関連いたしまして、災害救助関係ないし伝染病予防関係について、専門家が参りまして、具体的ないろいろの事務の、あるいは対策の処理について、現地側と打ち合わせ、なおまた、指導いたしたような次第でございます。  医療の問題につきましては、医務出張所中心にいたしまして、国立病院療養所によります医療班編成いたしまして現地派遣をいたしました。  それから物資につきましては、日本赤十字社及びCACよりそれぞれ物資を送りまして、緊急の需要に応ずるようにいたしました。  なおまた、災害救助費国庫負担金につきましては、必要に応じて概算交付するというような措置をとりました。  伝染病予防につきましては、今回の災害が、先般の伊勢湾台風と違いまして、水のたまりました地域がごく一部の地域でございまして、大部分の地域はさような状況にございませんでしたので、その点は前の状況と違いますが、しかし、災害あとの問題として非常に大事な問題でありますので、特に気をつけて、伝染病発生等が起きませんように、あるいは消毒に、あるいは防疫上の指導に当たりますと同時に、防疫班等につきましては、他の府県にもいつでも出動できますように、応援態勢を整えておくように指示をいたして今日までに至っている次第でございます。今日までの状況におきましては、赤痢その他の伝染病は、災害に基づきまして著しい発生はいたしておりません。心配すべき状況ではございませんが、今後、この点については十分気をつけて参りたいと考えております。  今後の問題としましては、災害救助あるいは防疫活動に伴う予算上の措置、これにつきましては逐次大蔵省と折衝して参りたいと思います。  なお、環境衛生施設その他の施設の復旧につきましては、実情を調べました上で善処いたしたいと考えております。  さらにまた、世帯更生資金でありますとか、あるいは母子福祉資金貸付等について、十分資金が間に合うように措置をいたしたいと考えております。  また御質問によりましてお答えを申し上げたいと思います。一応簡単でございますが、概略申し上げました。なおまた、現地等の要望に応じまして、万全の措置を講じたいと考えておる次第でございます。
  4. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 次に、それでは労働省関係の御報告を願いたいと思います。
  5. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 労働関係につきましては、災害状況としては、一般的に御報告申し上げる事項がないのでございますが、今後におきまして、風害、水害等によりまして、工場事業場事業が停廃止を見るという事態に立ち至りますと、いろいろ労働問題が惹起いたしますので、そういった事業場を主といたしまして、第一線機関に早急に調査をいたすように命じておりまして、目下その状況調査中でございます。さしあたり講じました処置としましては、労災保険特別会計から救急薬品を、特に浸水の多かった大阪府等の事業場に対しまして急送いたしました。  今後におきまして、災害による失業者発生あるいは事業場におきますところの休業などといった問題が生ずる可能性がございまするが、災害によりまして事業が廃止され、あるいは規模が縮小されるということによりまして、離職者発生いたしますような場合におきましては、さしあたりは、必要に応じて失業対策事業を新たに実施したい、あるいは規模を拡大するなどといったような処置を講じまして、これに対処して参りたいと考えております。また、現に失業保険金を受給しておる者につきまして、この風水害はよりまして交通機関事故が生ずる、そのために公共職業安定所に出頭が困難であり、失業保険の認定を受ける手続などがむずかしいといったような場合におきましては、証明書を提出することによって、失業保険金の支給ができるように方法を講じまして善処をしたいというふうに考えております。  なお、工場休業いたしたような場合におきまして、その休業期間賃金の支払いの問題が生じて参りますが、この点につきましても、第一線労働基準監督機関を通じまして、当該事業場に勧奨いたしまして、できるだけ当該期間賃金を差し引かないように行政指導して参りたい、かように考えております。前回の、六、七月集中豪雨の際におきましても、このような点につきましては、第一線機関におきまして行政指導をいたしました結果、効果をおさめたという事例もございますので、こういった点につきましては第一線機関を督励しまして、万遺憾なきを期したい、かように存じておる次第でございます。
  6. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 以上の御報告について、何か御質疑ございますか。
  7. 勝俣稔

    勝俣稔君 厚生省側にお聞きしたいのですが、医療班派遣というのがございます。これは国立病院国立療養所医療班を被災県に派遣した。医師会はどういうことをこの際やったかどうか、今後またこういう問題には、医師会は別個に考えて、こういう線でやっていくのであるかどうか、この点を一つ伺いたい。
  8. 高田浩運

    説明員高田浩運君) 今回は厚生省としましては、国立病院ないし療養所医療班をもって足れりと考えまして、あえて医師会に対して呼びかけをいたしませんでした。ただ現地において医師会等において自発的な活動があったかどうかということについては、ちょっと私、担当でございませんので、確認をいたしておりません。いずれにいたしましても、今後の問題としては、やはり医療班編成、それからこれの派遣活動ということについては、現地実情にマッチした動き方をしなければなりませんので、現地における衛生関係責任者十分連絡を保って、端的にいえば、その指示のもとに動くことが適切と考えております。
  9. 坂本昭

    坂本昭君 関連して。今勝俣委員から質問された点、私も両省説明を聞いて疑問に感じたのは、大体天変地異に対して、厚生省としてはどういう体系的な対策を持っているか。法の定めるところによると、日本赤十字、これは少なくとも天変地異に対する救急病院として、これは救急要員をかかえて対策に動かなければならない。また、収容しなければならない。それからまた、国立医療機関は、これは国が直接管理するところとして、国の命令をもって出動させることもできるわけですね。それからまた、労災保険特別会計から薬品無料配布した、これは一応いいようだけれども、これは労働災害じゃなくて、天変地異によるところの災害ですから、私はこの会計は誤ってもらってははなはだ困ると思うのです。従って、この点については、当然主管の厚生省として、常日ごろからどういうふうに天変地異に対する救急活動を行なうか。その中ではもちろん今勝俣委員の触れられたように、日本医師会をその救助対策の中へ組織的に入れるということも必要だと思う。ですから、この際そういうことについての基本的な考え方、さらにこれは労働省から、救急薬品無料配布したが、そういう会計措置あとどうするか。これはちょうど、たまたま両省から説明がありましたから、まず厚生省から対策を伺っておきたいと思うのです。
  10. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) 私からお答え申し上げます。御承知通り日本の国には災害が多いわけでございまして、災害にも大から小まである。当然こういう不時の事故に対しまして、国民なり地元民の救助、救援をするということは、国の責任でもあり、また、府県責任でもあり、また、当該公共団体責任でもあるわけでございます。法律上から申しましても、地方公共団体固有事務として、そういう事項が載っておるわけでございます。ただ、大災害になって参りますれば、当然個々の市町村なり、あるいは場合によりましては、その県でもうまくいかないという場合が、当然あるわけでございます。そのために国といたしましては、災害応急救助の面に関しましては、災害救助法というものが、御承知通り設けられておるわけでございます。これを一つ制度中心といたしまして、当然各所管の行政面において、それぞれ必要とする措置をとっておるわけでございます。災害応急救助に関しましては、時間の関係上詳しく申し上げなくても御承知通り、国の責任として、都道府県知事にまずこれをお願いする。そしてそれにかかりました費用は、国と都道府県が一定の比率をもってこれを分担する。かように相なっておるわけでございます。それに伴いまして、災害の場合でございまするから、災害が起こりましてからいろいろ考えておったのでは、時間的に手おくれになるのでございますから、平素からそういうような計画を立て、それからそれぞれ訓練もいたして、災害が不幸にして起こりました場合においては、もう自動的にそれが活動態勢に入ると、こういうふうになっているわけでございます。国といたしましては、それが自動的になっておりますものについても、なお万全を期するために、中央から指導をいたしまして、また、督励に行ったり、そういうようなことをやっているわけでございます。  お尋ね医療の点に限って申し上げますれば、当然ふだんから、それぞれの府県におきましては、そういう場合の医療態勢をどうするかということにつきましては、計画を立てておりまして、それぞれに応じてやっていただいている。お尋ねのように、国立病院も、私は当然そういう場合に率先して出ていく。それから日本赤十字社も当然率先して出ていただく。また、医師会などにおかれましても、その事情の許す限り、やはりそういうように参加を願っている。かようなものは、それぞれの府県において、計画をすでに立っておりまして、もちろん災害がどんな形で起こってくるかわかりませんから、それの必要の通りいかない場合もそれはあるかとも存じますけれども、さような態勢のもとにやっておりますわけでございますので、今回の災害におきましても、そういう線に沿って行なわれております。  先ほど官房長から御報告しました点は、厚生省として特にとった措置について、御報告申し上げたものと、私どもは了解している次第でございます。
  11. 坂本昭

    坂本昭君 大体の抽象的なことは私もわかるのですが、やはりその間で、天変地異に対する医療対策としては、医療機関としてはどこを中心的な責任機関にしていくか。それからそれに対して日ごろからどういうふうな補助をしているか、そういった点が私は非常に不明確だと思うのです。たとえば今、日赤のことをあげたのですけれども、日本赤十字社は、ちゃんと法律でこれは救急病院としての任務と、救急要員養成のことまで義務づけられている。ところが、実際はその養成に対する補助金もふだんは出していないのですよ。これは社会局長一番よく御存じだと思うのです。だからそういうことで、こういう災害に際会して十分反省し、今後の対策をこれはすみやかに講ずる必要があるのではなかろうか。なるほどそのときどきに応じて、国立病院から一人出せとか二人出せとか、実は出される方では、おそらく非常な迷惑を受けていると思う。だからあらかじめ国立病院には、そういう程度の余裕のある人員を確保しておく。それからそういう器材を確保しておく。実際そういう器材を確保してありますか。人員を確保してありますか。ないのですよ、実際、率直なところ。ですから、そういう点で、私は一応厚生省が今度どういうことをおやりになったかということについては、これは悪いと決して言うのではありませんが、むしろこれにかんがみて、国立病院には災害要員をいつも置いておく。そうしてそういう人たちは、たとえばふだんの場合は無医地区診療をやるとか、巡回診療をやるとか、そういうことをやりながら、いざというときにはこういう災害対策に出動させる。そういうお考えをこれはぜひ持っていただきたい。そういう点でお伺いしたのと、それからせっかく赤十字社というものがある以上は、これに対して今の天変地異の場合に、私は当然国立病院を出動させたならば、赤十字社に対しても出動させ、それに対してどの程度費用がかかって、これに対してはどうするということが当然出てこなければならないと思うのです。去年の病院スト以来、日赤病院はいかにあるべきかということから検討されてきたことなので、これは全体を総括する官房長としては、きょうは大臣おられませんから、またあらためて伺いますけれども、何らかの積極的なお考えを、一つ聞いておきたいと思うのです。
  12. 高田浩運

    説明員高田浩運君) ただいまお話のありましたように、災害の場合を考えて、特に医療活動について十分の備えをし、また訓練をしておく。災害が起こったならば一糸乱れない形で対処する、これは最も必要なことでございます。これにつきましては、ただいま社会局長から申し上げました通り、一応日赤というものがそういう役割り中心になるということに制度的にはなっておるわけであります。ただ、それに伴いましても十分な経済的な援助というものを国が満たしていないという点については、これは今後十分私ども考えて努力しなければならない点だと思います。  それから私が先ほど日赤のことについて、日赤医療活動について触れませんでしたのは、これは日赤はそういう役割りを持っておるわけです。しかも医療活動、いわゆる災害活動については、現地行政官庁責任者であるわけであります。当然その辺は、現地行政官庁日赤当局者との間に、医療班編成その他について打ち合わせがある。これは当然のこととしてあらためて申し上げませんでした。  国立病院診療所については、災害活動をするということは、先ほど坂本先生御指摘の通り、今までは少なくとも本来の活動分野、そのための備えをしておる体制にはなっていない。いわば中には迷惑と考える人もあるかもしれませんが、余分な活動、形としてはそうなるわけであります。しかし、こういう際にはたとえかねてそのための特別の備えはしていなくても、やはり急に応ずるのが、これは国立病院療養所の当然の一つ役割りというふうにも考えまして、厚生省としては特別の措置をとった、こういう意味で申し上げたわけであります。  今後の問題として、国立病院ないし療養所、そういった国立医療機関に対して災害活動という点を、いわば本来的な一つ任務として、それについての十分な人的ないしは物的な備えをするかという問題については、これは従来はお話通り、そのための余分の人員器材備えるということはいたしておりませんでした。しかし、過去災害があるごとに、国立医療機関はそれぞれの立場において活動をいたしております。それに応じた将来の体制というものは、厚生省としては十分考えていかなければならない、かように考えております。
  13. 勝俣稔

    勝俣稔君 いろいろ坂本委員から質問がありましたから、私から質問することはなくなりましたが、しかし、太宰さんのお話を承っておりますと毛災害地にそれぞれの責任者がおるというのでございますけれども、こういうような大きな災害になりますと、災害地組織それ自体がもう医療問題なんかに手をあげておるというような状態のものが相当多いのじゃなかろうかと私は思います。私も東京の大正十二年の災害にも、地震にも関与いたしました。大きな問題にはその当時関与しておりますが、こういうことは、やはり私は厚生省側としても、赤十字なりを指導して、そうして一応の計画を立てて、プランを立ててやっていただくというようにしないと無理じゃなかろうか。昔は医師会の開業医の方が大ぜい来て下さいましたが、この方々は自分が患者をお持ちですから、一週間以上よその府県から、群馬県なり、長野県なりから東京まで来るということは、これは無理な話で、じき引き揚げざるを得ない。結局は公的医療機関というようなものがそのあとの引き受けをしなければならない。こういうようなことでやって参ったのでございますけれども、やはりそういう面の、いざというときの動員の仕方を一つ十分お考えを置いていただきたい。将来のためにお願いしたい、かような考えでございます。
  14. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) お尋ねの点はまことにその通りでございます。災害規模が非常に大きくなって、とても当該の市町村なり、あるいは当該府県でも手に負えない。関東震災のような例を御例示になりましたが、そういうような場合には、当然国が乗り出しまして、隣県なり、あるいはブロック内から派遣するとか、あるいは全国的に派遣するとか、そういうような措置はとることになっております。今回の場合は幸いにしてそういうようなことをしなくても十分できるものと考えて、その段階々々に処して十分に適切な処置をとりたい。それから日本赤十字は、当然これはそういう職責を持っているわけでありまして、災害が起こりますればすぐその体制に入る。今回の場合におきましても実はおそらく中央から飛んで行ったのが一番早いのは日赤の社長ではないか。すぐ飛んで参りまして、現地において活動を始めたというようなことを聞いております。その点は十分やっているつもりでございます。
  15. 坂本昭

    坂本昭君 今の厚生省の皆さんのお話を聞いておっても、まだちょっと国民として安心できない。それは日赤がある、国立病院がある。今われわれが求めているのは災害に対する緊急の医療対策機関がいつも系列化されているということ。これは私はやはり医務局仕事ではないか。その活動そのものは、たとえば日赤は、社会局ならばその社会局長予算のめんどうというようなことは見てけっこうですよ。それから防疫については公衆衛生局長さんが見てけっこうですが、全体のシステムを作ることはやはり医務局仕事ではないか。だからこれは天変地異に対する災害時における緊急医療対策としてやはりこれは医務局に検討させて、いかなる場合にはどういうふうに医療機関並びに医師動員するか。そういうことをこの際一つ検討していただきたい。先ほど来あなた方のお話を聞いていると、それぞれ県知事やその他に責任を全部まかしておられるようだけれども、実際言うと、先ほど勝俣委員の言われたように、長野災害のときには長野県の知事は手を上げたきりですよ。ですからやはりそういう場合には周辺から手伝うとか、中央から手伝ってやるとか、そういう一つ組織というものは私は医務局が主管すべきではないか。まあその点については何かお考えがあれば承って、これはぜひやっていただいて、そして来年度の予算には若干一つ入れておいていただきたい。その点一つお願いと伺っておきたい。
  16. 高田浩運

    説明員高田浩運君) 御承知のように、災害に対する救助活動については、衣食住の問題、医療の問題を含めて社会局が一応の当面の責任局になっております。もちろんこれは省内一体となりまして、今お話医療については医務局一体になって対処をする、そういうことになっておるのでございます。お話の今後の医療機関動員の仕方、体系のつけ方、それらの問題については両局さらに緊密に連絡をとりまして今後の事態に対処するように用意を整えたいと考えております。
  17. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  18. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 速記を始めて。
  19. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 災害地救急薬品を発送いたしましたのは、会計の面から申し上げますと、労災保険特別会計保険施設費の中に救急薬品の購入及び発送費がございます。この制度を設けております趣旨は、たとえば平常時におきましては山間僻地工事を行なう。それがまあ大規模なものでありますと別でありますが、ちょっとした林道開発とか、そういう工事を行ないます場合に救急薬品がございますれば、ちょっとしたけがならば応急処置ができるという場合がございます。それから現在問題になっております災害が起きたという場合に、にわかに薬品が手に入らぬというような場合に救急薬品——その内容消毒材料とか、あるいは包帯とか、けがをした場合の薬であるとか、ごく軽微なものでございますが、そういうようなものを配布いたしておきますれば、工場衛生状態をできるだけ良好に保つことができる、あるいは労働者がちょっとしたけがをした場合薬を塗れば化膿しなくて済むというような便宜がございます。それは申すまでもなく、一面においては労働者保護になることでございますし、一面におきましては労災保険特別会計自体にも利益となることでございますので、かような制度を設けておるような次第でございます。従いまして、趣旨はあくまでも工場労働者、一般の労働者保護という考え方でございまして、しかもその内容は応急的な措置でございます。こういうことにいたしております。  なお、経理面につきましては、これは本省で薬品を一括購入し送付いたしまして無料配布をする、地方労働基準局を通じまして直接事業場に配布する、かような方法をとっております。
  20. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 災害に関する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 御異議ないと認めます。    ———————————
  22. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) それでは次に、社会保障制度に関する調査の一環として、厚生省関係昭和三十六年度補正予算に関する件並びに今次国会厚生省関係提出予定の法律案に関する件を議題といたします。厚生省当局より御説明を願います。
  23. 今村譲

    説明員(今村譲君) 補正予算の問題につきましては二点ございまして、第一点は給与改訂でございます。これは六カ月分といたしまして、国家公務員、それから地方補助職員はたくさんございますが、全額委託職員とかいうもの、それから保健所のような補助職員、それから社会福祉施設、児童福祉施設の職員の人件費、その辺を全部一定の方式で上げるということでございます。以上で厚生省関係が総額にいたしまして十四億一千四百一万七千円、こういう数字で大蔵省と固まってございます。  それから第二点の生活保護基準改訂の問題につきましては、やはり六カ月分計上ということでありまして、五%の生活扶助費を引き上げるということでございます。その総額が五億七千八百九十四万六千円、それからこれに関連します児童保護費につきましてはこれも同じように五%、生活保護法との関連もございますので五%引き上げまして、六カ月分で四千八百十一万七千円、従いまして、生活保護費と児童保護費を両方合わせまして、いわゆる保護基準改訂総計いたしまして六億二千七百六万三千円、こういう数字に相なります。以上で給与改訂の経費十四億と保護基準改訂の生活、児童とを合わせまして六億二千七百万で、合計二十億四千百八万ちょうど、こういう予算に相なります。
  24. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 次に、法案の説明を願います。
  25. 熊崎正夫

    説明員(熊崎正夫君) 厚生省関係の臨時国会予定法律案につきましては、前の通常国会におきまして不成立になりました法律案につきまして六つの法律案を、流れましたのは七つ法律案がございますが、申し上げてみますると、国民年金法の一部改正法律案と、それから児童扶養手当法案、年金福祉事業団法案と、通算年金通則法案、通算年金制度の創設に伴う関係法律の一部改正法案、あん摩師、はり師、きゅう師柔道整復師法の一部改正法案、それから社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部改正案、この七つの法律案が通常国会において不成立になったのでございますが、ただいま申し上げましたもののうち、最後の社会保険審議会、医療協議会関係の一部改正案を除きまして、他の六つの法律案につきましては、臨時国会の冒頭に所要の修正を加えました分を含めまして提案する予定にいたしております。最後の社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部改正案につきましては、臨時国会に提出を予定いたしておりますが、なお調整を加えまして、検討を加えましてぜひ提出をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
  26. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) それではついでに労働省関係法律案について御説明を願います。
  27. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 労働省関係といたしましては、御承知のごとくILO条約の問題に関連いたしまして、労働省に直接関係ございます法案としましては、公労法の一部改正法案、地公労法の一部改正法案が考えられるのでございますが、この提出につきましては、ILO条約をどのように扱うかという問題と関連いたしておるわけでございます。労働省のみならず、ほかの省にも関係がございまして、いわば政府全体としてこの問題の扱い方を決定する必要がございまして目下鋭意検討いたしておるところでございます。私ども労働省といたしましては、今国会に提出ができまするように期待をし、準備を進めておるような次第でございます。  なお、直接本委員会の審議になるかいなかは、これは私もおそらく商工関係かとも存じておりますけれども、御承知のように、石炭鉱業災害臨時措置のための法律が前国会に提出されたわけでございますが、あの法律案の中に労働省の設置法の一部改正が出されております。そういう意味で労働省関係の国会提出法案という意味では間接的に意味がございますわけでございますが、あわせて御報告申し上げたいと思います。
  28. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) ただいまの件につきまして……。  この際、労働情勢に関する調査の一環として、労働省関係昭和三十六年度補正予算に関する件並びに今次国会労働省関係提出予定法律案についてあわせ議題といたします。提出法案につきましては、ただいま労働省側より御説明がございましたのでこれにかえたいと思います。  なお、労働省側から御説明補足がございましたら……何か御質疑がございましたら御質疑を願います。
  29. 村上茂利

    説明員村上茂利君) 臨時国会に提出を予定されております補正予算につきましては、労働省関係としては関係事項がございません。簡単でございますが、申し上げます。
  30. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  31. 坂本昭

    坂本昭君 今伺うと、例の中央医療協議会の改組に関する法律案は、これを見送るというふうな御説明でしたが、これに対してはどういうふうな扱いをする心がまえで今おられるか伺っておきたい。
  32. 森本潔

    説明員(森本潔君) 先ほど私、まだ出席をいたしておりませんでしたが、中央医療協議会の改組法案につきましては、臨時国会は見送るということは確定はいたしておりません。どういう御説明を申し上げたか知りませんが、本日の段階においては、まだ、どの案で出すかということがきまっておりませんが、見送るというところまでは確定いたしておらぬわけであります。それで、御存じのように、前国会に法案を提出しましたところ、問題がございましたので、今回そのままで出すかどうか、あるいは若干の手直しを考えるかという問題がございまして、目下検討中でございますので、それによって最後の決定をいたしたいと、かような次第でございます。
  33. 坂本昭

    坂本昭君 今春以来、医療費問題が国民の非常な関心を引いておったということは、これはもうだれしも否定できない事実であって、それに引き続いて例の医療懇談会が幾つかの了解事項を取りつけたということも、これもすでに世上に明らかにされているところであります。そこで、一番国民が関心を持っているのは、この医療懇談会でせっかく軌道に乗ってきた医療費問題、これが今後ほんとうに行政的に、予算的に実現されていく場合に、どういう方法をとられるか、それについて、国民がひとしく期待しているのは、民主的な方法によってこれが達成されるということをみんなが期待をしている。その民主的な方法といえば、これは法律的にいえば、中央医療協議会においてこれを審議するという形であるということも、これはだれしも否定できないと思う。もうすでに医療懇談会の一応の結論が出ている以上は、今、局長は、見送る意図はない、目下検討中だと言うけれども、単なる検討中ということでは、もう臨時国会を前に控えて、検討という言葉だけでは、ちょっと私たちとしては許すわけにはいかないところであって、当然、中央医療協議会をどういうふうに改組するかについての考えが、ある程度私は熟しておらなければ、今度の臨時国会でもまた流れてしまう、私はそういう懸念が十分あると思う。ことに前回出されたときに、これは院の外でも反対があったが、院の中でも反対のあったということは、厚生省としては当然認めておられるはずであります。だから、前と同じものをまさかまた出してくるとは、常識をもっても考えられない。だから、それについてどういうふうに考えておられるかということは、ある程度私は具体的に言っていただく必要があると思う。
  34. 森本潔

    説明員(森本潔君) 今お話がございましたように、社会保険の問題につきましては、先般の医療懇談会を契機といたしまして、非常にいい雰囲気ができまして、過去のことは一切捨てまして、医療懇談会でいろいろ了解事項ができましたが、その線に沿いまして一つやっていこうじゃないかという、非常にいい空気が生まれているわけでございます。関係者一同、その線に沿ってこれを育てていきたいという前向きの気持でおります。その後、いろいろ問題がございますが、今お話がございましたような医療費の改定の問題もそうでございますし、それから、医療協議会の改組の問題もその一つでございます。せっかくこうしていい雰囲気ができておるわけでございます。それで、今御指摘のように、前国会において問題があったという点、これはお互いにみな認識しておるわけでございまして、あの案のままでいいかどうかということは、お話通りこれは問題がございます。出します以上は、これはそういう前例もございますので、関係者が喜ぶというか、どこから見てもいい案であるというものにいたしたいと、そのためには、今のこのいい雰囲気のもとに、十分下工作と申しますか、打ち合わせをいたしまして、いいものにしたい、まとまるものにしたいという気持でございます。それで、まあ問題点につきましては、先生方、われわれも、お互いにどういう点、どういう点が問題になってくるということは承知いたしておるわけでございますが、それを具体的にどうするかということにつきましての結論でございますが、それを申し上げますのは、ちょっといろいろいい雰囲気の最中でございますのでお待ち願いたい。問題点はどういうところに問題点があったか——五、六点ございましたが、これは繰り返して申し上げませんが、そういう点についてほんとうにどうしたらよくなるだろうか、すべり出した以上どうしたらいいかという腹がまえと申しますか検討中でございます。結論はどうだとおっしゃっていただきますと、ちょっと今お答えできない。せっかく骨を折っておるというところで御了承いただきたいと思います。
  35. 坂本昭

    坂本昭君 今の了解というのは、私は分けたら二つあると思うのですよ。一つは立法的な問題であり、一つ予算的な問題だと思う。そうして立法的な問題ということが、今後のせっかくできているいい雰囲気でどうするかということで、私はこの結論は相当明確だと思う。その明確さをあなたの方ではっきりつかまないというと、これはまた元へひっくり返ってしまうおそれが十分にあると思う。ですから私は何も法律案のことを根掘り葉掘りどういうふうにして出すのだということを聞くのじゃなくて、それに対する心がまえの点について私はいささか不満であります。それはなぜかというと、少なくとも前回のようなことではいかぬという一つの反省に立たなければ、私はこれは前に進まないと思う。だから私はあとこれを打開する点は、中央医療協議会の改組の具体的な内容であって、その具体的な内容については、三者構成等のことも、これはもう社会保障制度審議会の答申にもきまっているし、問題は結局支払い側と医療担当者側のアグレマンによるところの公益代表の選出、公益代表の決定というこの一点ではないかと思うのですよ。だからそれにつきましてやっぱり前と同じ態度を固持されるのか、それについていろいろと新しい雰囲気の中でお考えになるのか、その点について……、私は法律案については伺いませんが、あなた方はこの半年間の経緯についてこの問題をどう考えておられるか、その点だけは一つ明らかにしておいていただきたい。
  36. 森本潔

    説明員(森本潔君) 御質問のお気持はよくわかりますし、ごもっともと思いますが、先ほども申しましたように、結論として申し上げるのは、ちょっと今の時期じゃ適当でございませんし、また、そういう意味におきましてこれであれば法案の通過もいくし、それから関係団体と申しますか、学者も含めてこれでいいのだというその結論を今せっかく努力中でございますので、それを申し上げるのは、ちょっとただいまの段階ではお許しいただきたい。気持としては、今先生のおっしゃいました通り、できました以上はいいもの、そうしてそれがうまくいくようにしたい、この一念で努力しているという点で、きょうの段階はお許し願いたいと思います。努力中だけで結論を言わぬのは困るとおっしゃいますと、そのへんはちょっときょう申し上げかねるわけでございます。
  37. 坂本昭

    坂本昭君 私はただいまそういう結論をあなたに伺っているのじゃなくて、中央医療協議会というものの性格に裁定機関としての性格を与え、そうしてその中で今のアグレマンの問題を解決していくというのが、私は一つの前進した形ではないかと思うので、そういう一歩前進した形でこの法律改正というものを考えているかどうか、やっぱりそういう点が私は問題の基礎だと思うのですよ。ところが、この春の段階では、あなた方は頑強に拒否しておった。それは絶対できぬ、そういうことをやったならば、実際上は中央医療協議会の構成が成り立たない、そういうふうなあなた方は認識のもとに立っておって、そういう認識がこの医療懇談会を通じて懇談している間にだんだんと変わってきて、もう少し前進した形で協議会を作っていこうという、そういうふうな見通しができているかどうか。これができていなければ、それはそのいい雰囲気ができておったってもそれは決して軌道に乗らないですよ。この点が一番の問題点だと思うからその点だけ伺っているわけです。その点で、あなた方がこの春以来少しも進歩がないということになるとこれは非常に私は問題だと思う。少なくとも局長はあの当時から事情を一番よく知っておられるはずだから、その点において若干心境の変化がある、もう少し前に向かって進みたいと、その点を御意見を吐露していただかなければ、あなたの答弁としては受け取れない。
  38. 森本潔

    説明員(森本潔君) ただいまやや具体的な考え方としての御質問のように伺いました。御存じのように、今の中央医療協議会は諮問機関という性格でございます。それを裁定機関というような考え方というような気持が出ているのでございます。まあそれは立案当時からそういう考え方もございました、改組の当時から。それから、現在の段階におきましてもそういう考え方も含めて検討の対象になろうと考えます。そういう考え方を全然否定してしまっておるわけではございません。そういう考え方もこれは考えなければならぬと思います。しかし、そのどれにするか、どうするかということはまだ未定でございます。今おっしゃいましたような考え方も当然検討と申しますか、一つ考え方であると思いますが、その方向できまったかといいますと、これはそこまで申し上げかねるということでございます。
  39. 坂本昭

    坂本昭君 だから、そういう考え方が濃厚になったとか、希薄になったとか、別にそれできまったということを私は追及しているんじゃないんです。ただ、あなたが四月の春のころの考え方と心境の変化があるかないか。人ばかり酔わしていい気持になって、自分はちっとも酔ってない。それではあなたの心境に変化がないということでしょう。それを伺っているのですよ。皆さんは気分がよくなりましたが、私もおかげさまで気分がよくなりました、私も心境がだいぶ変わりましたと、その辺ちっともあなた言わぬから、そんなことでは皆さん酔いがさめてしまいますよ。その辺一つあなたの御意見を言って下さい。これは大事なことですよ。
  40. 森本潔

    説明員(森本潔君) 先ほど申しましたように、立案の当時におきましてはそういう考え方がございました、改組のときにもありましたが、一応あの段階では諮問機関ということで割り切ったのでございます。その後の情勢におきまして、もう一度そういう点も振り返りまして、含めまして考えなければならぬということももちろんでございます。従いまして、さらに濃厚になったとか、それにきまったとか、傾いたとか、そこまで申し上げますのは非常に行き過ぎだと思いますので、そういうことも含めましていろいろ考えておるという程度にしていただきたいと思います。
  41. 坂本昭

    坂本昭君 そこでもう一つの問題は、了解事項の中では、やはり予算的な措置の問題だと思うんですね。そこで例の医療費引き上げについて一二・五%やった場合に、残りの二・五%がまだ予算的な措置が行なわれていない。さらにまた、了解事項の中では、プラス・アルファという分が当然まだ決定されていないが、一応了解事項の中に入っている。従って、これは今度の補正予算の中でどういうふうに扱うか、それについての一つ御意見を聞かしていただきたい。
  42. 森本潔

    説明員(森本潔君) ただいまお話のように、一〇%の引き上げにつきましては予算上計上してございます。それから二・五%分につきましては国庫補助その他の措置はしてございません。それからなお、お話のように、医療懇談会の了解事項の中には、プラス・アルファを考えるというような考え方も出ております。それで実は懇談会の了解事項におきましてプラス・アルファを考える必要があるだろうということは関係者一応その事実をお認めになったようでございます。まあその線に沿いまして政府としては検討を進めました。そしてあの了解事項にございますように、そういうものがあれば政府部内で十分検討を遂げて、成案を得次第中央医療協議会に諮ってきめるという、こういろ文書がございますから、そういう方向で進んでおるわけでございます。それで一応の政府の考え方をまとめましたから、次の段階といたしましては、去る十九日に中央医療協議会に諮問をいたしました。そして当時の気持といたしましては、十九日に答申がいただけますならば、これは政府部内の立場でございますが、ぎりぎり今回の補正予算に間に合うだろう。すでに一般の補正予算は締め切っておりましたけれども、特殊な事情がございますので締め切りを延ばしていただきまして、十九日、二十日にまとまったならばお願いすることあるべしということで私の方の手順を進めたわけでございます。当時の気持といたしましては、十九日に答申が得られますならばそのプラス・アルファ分と、それから前回の二・五%分を合わせまして補正に組む、こういう方針で臨んだわけでございます。ところが、諮問しましたところ、十九日には答申を得る運びに至りません。それからなお、もう一日何か余裕がありそうだ、補正予算に組めるタイム・リミットがありそうだということを確かめまして、もう一日延ばしまして、二十日の日も答申を得るように実は努力をしたわけでございますが、二十日の日におきましてもまだ答申を得る運びに至りませんでした。それでただいまの段階といたしましては、そういう答申が得られませんので、今回の補正にはこれは時間的にも間に合わないという判断に立っております。そういうように一応あきらめと申しますか、やむを得ない、今度は組まない、こういう気持に立っております。従いまして、前の二・五アップ分だけは組んでもいいじゃないかという議論が残るわけでありますが、何分にもまだXパーセント分というものがペンディングでございますので、補正をお願いするならば両者を合わせましてお願いしたらよかろう。お願いするといたしましても、しかし時間的に今回は間に合わぬということになりましたので、これは次の機会に、すべてそういう問題が成立されました後において補正予算考えたいと思いますが、ただいまの段階におきましては、今回の、臨時国会の補正ということはできないだろう、できないと、こういう考えでおります。
  43. 坂本昭

    坂本昭君 そうすると、今の了解事項の中で、プラス・アルファということは十月一日からは実施不可能である、そういう結論ですね。
  44. 森本潔

    説明員(森本潔君) まずこのプラス・アルファの実施の時期でございますが、これは懇談会におきましても、それからその他の機会におきましてもまだ未定でございます。一応政府としては腹づもりはございますが、これは今申し上げるのは適当でございませんので申し上げませんが、十一月一日ということが、何かの意味でちゃんときまっておるということはございません。実施の時期につきましてはこれはこれからきめる問題でございます。従いまして、今後医療協議会の答申の内容によりまして、その時期が早くなるかあるいはおそくなるか、それから内容がどうなるかという点は審議の結果を待ってきめたい、こういうふうに思っております。
  45. 坂本昭

    坂本昭君 今のプラス・アルファの数字の具体的な内容説明していただきたい。
  46. 森本潔

    説明員(森本潔君) 先ほども申し上げましたように、諮問をいたしたわけでございまして、政府としては一応の腹案を持っております。しかし、これにつきましては、諮問をいたしたと申しますが、その数字等について具体的なものを出して諮問をしたわけじゃございませんので、諮問といたしましては、現行の社会保険診療報酬についてこの際措置をすることを適当と見る事項について会議の意見を求めるというように、諮問としましては、どういうことをしなければいかぬか、それについて御意見を伺いたい、こういう抽象的な諮問でございます。従いまして、まだ協議会に対しましても政府の腹案というものは申し上げておりませんし、それからその他一般にも申しておりません。その点につきましては、協議会の意見等も十分拝聴しつつ、その間政府の一応の腹案等も申し上げて進みたいと思いますが、まだ内容がそういう意味では固まっておりませんので、この際申し上げるのはまだ時期が早いかと思いますが、その辺、意見がかたまりましたら申し上げたいと思います。
  47. 坂本昭

    坂本昭君 そうしますと、プラス・アルファの内容につきまして、これは中央医療協議会できめる。ところが、中央医療協議会では医療担当者側は出席をしない。そうすると、中央医療協議会は開かれない。そうすると、いつまでたったってきまらない。鶏と卵の問題みたいになってしまうのです。だから私は、中央医療協議会の改組の具体的な内容をきめることが、これはとにかくこの医療費問題を解決する第一歩だ、私はそういうふうに考えるから、あなたに先ほどからかなり強く要求をしておるのであって、あなたの方で、これに対して、まだ、どちらに傾くとも何ともきまっていないというようなことは、要するに、中央医療協議会へ医療担当者側を出席させて軌道に乗せてこの問題を解決する意図が、事務当局としては持っていない。そういうふうに批判されても弁解のしようがないじゃないですか。
  48. 森本潔

    説明員(森本潔君) まず最初の、医療協議会に医療担当の委員が出ておらぬので審議が今うまくいかぬようだというお話でございますが、この点は実はそういう状況でございます。しかし、これは私はまだそういう状態になってしまって、にっちもさっちももう見通しなしという段階であるとは実は考えておらぬわけでございまして、先般のこの医療協議会の最後の、休会いたしましたそのときの空気を率直に申し上げますと、ともかく医療協議会としては、これは、先般の医療懇談会で生まれたいい空気の第一歩である。過去にはいろいろあったけれども、そういうものは何も一切言わない。とにかく大事な新しいスタートであるから、この芽を大事に育てたい。きょうの段階、つまり当日の段階においては、医師会の方は出席が困難であるようだけれども、しかし、これも全然見込みがないのかというと、あるいは困難かもしれませんけれども、しかし、法律上そういうものがある以上、またお考え願う余地があるのじゃなかろうか、そうすることが普通考えることでございます。それを医療協議会としては何とかその辺の形を整えて、それはもう正確な方法じゃないかもしれません、あるいは便法かもしれませんが、何とかそこで一つ協議会で、関係者一同そろってこういう値上げをきめたいということにしたい。これで打ち切ってしまうという気持は毛頭ございませんので、そういう意味におきまして政府においてもこの協議会がうまくいくように努力をしよう、それから協議会のメンバーとしても、なお若干日を置きまして、何かいい方法がないかということも考えたい。またその間に、医療三団体におかれてもそういう気持を察してやっていただきたい、こういう空気でございまして、今、先生のおっしゃったように、断定的にもう行き詰まってしまったのじゃないかということは、まだだれも考えておりません。なかなか、長い間の問題でございましたので、すっと行ってしまえば一番いいのですけれども、行きがたい事情もあるので、ちょっとその辺で日を、あまりはやらずに、何とかこのいい芽を育てていこうという気持はみな一ぱいでございまして、そういう意味からいたしまして、あのままでは医療費の問題は片づかぬという断定は、まだ、いたすのは適切でないと思います。そこは一つそういうように御理解願いたいと思います、前段の点は。  それから後段の、それをやるには医療協の改組のめどをつけてしまったら一番いいのじゃないか、こういうお話でございますが、こういう問題であるいは関連はしておるかと思いますが、しかし、一応その問題は切り離しまして、別の問題として考えたらよかろう、ともかく今の協議会で何とかその問題はその問題として片づけたい、こういう気持でございます。おっしゃる通り、全然関係がないとか、あるいはそういう問題が整理されたらば今の協議会の動きもよくなるという考え方、これはもちろん考えられますけれども、まずその考え方を先にするかと申しますと、ちょっとそれは適切ではないように思います。一応今の協議会でこの問題はこの問題として片づける、こういうような気持で、協議会もおりますし、役所もおるわけでございます。一応それを結び付けて考えるということは、ちょっと、今のところ、それだけに考えるといことはしたくないということでございます。
  49. 坂本昭

    坂本昭君 大体局長の気持はわかるのですよ。わかるのですが、まだ僕は非常にとらわれておるような感じがするのです。つまり、うちで一ぱい飲んでも酔わないけれども、よそに行って座ぶとんの上にすわって飲んだら酔った。今度はその座ぶとんをうちに持ってくることなんです。私はそういう点で、医療協議会の改組は、うちに持って帰ってくる座ぶとんだと考えておるのです。あなたは別問題だというけれども、つまり、すわり心地のいい座ぶとんをうちに持って帰ってすわらせたら、うちで飲んでも酔えるようになるのではないか。だから、そういうふうに、あなたの方がすわり心地のいい座ぶとんをあっせんするという、そういう心境の変化がなければ、なかなかむずかしいのじゃないか。私はそういうことを言っておるので、全般として、どうも局長のつかまえ方、さっきはムード論を説いておったが、なかなか雰囲気がいいというけれども、その雰囲気を今度こっちに持って帰るための立法的な措置について私はもう少し一歩前進した考えを期待しておきたいと思うのです。  この問題は、いつまで話しておってもけりがつきそうもないので、次の問題は、今のは医療担当者の問題ですが、国民が一番不安に思っておるのは、やはり医療費の引き上げに伴う国民の負担の問題ですよ。そうしてその中で、ことしの春から国民健康保険——一応四千八百万と言っておられたのですが、その実数はそれより落ちておるようですが、しかし、過半数を占める国民健康保険の対象の人たちが非常な負担を受けざるを得なくなる。特に最近の数を見るというと、医療費が非常に急にふえてきておる。政府管掌あたりでは支払いに苦慮しておられるようなことも数に出ておる。そういう点で特に数が多い。低所得者層の人々を対象にしておる国保の引き上げに伴う負担増は、今までのところでも大体百億ぐらいになると計算されておって、これに対して先般は十五億の特別な予算をつけておられたのですが、これをどうやってカバーするか、この問題、特に生活保護を今度五%引き上げたのですが、一体生活保護に近いボーダー・ラインの人たちが占めておる国保、国保の医療費の引き上げに伴う負担をあなた方はどうやってカバーしていこうというおつもりなんですか。これに伴う今度の補正予算というものは、あなた方としては法律改正を伴うから全然考えない、そういうような態度でこれを全然検討しておられない。私は国保に特にしぼって、どういう補正予算に対する考えを持っておられるか。それからまた、十五億というものはどういうふうにこれを配分していくか、この十五億に見合うものを何か今度の補正予算考えるという方法はなかったか、これは一括してお尋ねしておきたい。
  50. 森本潔

    説明員(森本潔君) この医療費の引き上げに伴う国庫財政に対する措置でございますが、これは一応二つの措置考えられるわけでございます。一つは引き上げに伴いまして、医療費が伸びますと、その分だけ法律上の国庫負担額が、二割五分ということが当然これは国として出します。その方法が一つあるわけでございます。これは格別の措置を要さないわけでございますが、それからもう一つの方法としましては、国庫負担以外といたしまして保険料あるいには患者負担の増というものが考えられます。国庫負担というか、保険料と患者負担の増がございます。これに対しまして、普通の保険でございますと、考える必要はないわけでございます。国保の現状として何かしなければいかぬだろうということがすぐ考えられるわけでございます。先般の一〇%アップの場合におきましては、十五億の特別措置をやりました。これは御存じの通りでございます。それで今後の二・五アップ以上のものが予想されます。その分に対しましても、法定分はこれは当然出ますが、それ以外の保険料にかぶります分を、やはりこれは前回は二十四億の保険料負担に対して十五億の特別措置をとったわけでございます。気持といたしましては、まだ話は進めておりませんけれども、今後の増の分につきましては、むしろはね返り分全額を国で見なければいかぬのじゃないか、特別対策として見なければいかぬのじゃないか、こういう基本的な考え方を持っております。これはまだ予算も提出いたしておりませんし、それから閣議決定もいたしておりませんので、確定したものとして申し上げるわけには参りませんが、厚生省の方針としては、そのつもりで進めたいと思っております。  それからそういう方針が具体的に確定する時期でございますが、これは、先ほど申しましたように、今度の臨時国会にはその予算案を提出いたしませんので、今回はきまりませんが、この次の通常国会と申しましょうか、その際に、あるいは来年度予算という形になりますか、あるいは今年度の補正予算の形になりますか、ともかくそういう形で特別措置をしていきたい、こういう考えであります。
  51. 坂本昭

    坂本昭君 今の二十四億に対する十五億を見て、今度あと二・五%プラス・アルファ分については一つ全額を見たい、しかし、これはまだ大蔵省と折衝しておられないということですが、私は国保についての認識が基本的にどうも厚生省は誤っているのじゃないかと思われるのです。それは、この通常国会のときから、局長は、国保は黒字だ、そういうことで、当然今年二割の国庫負担に対し、また五分の調整交付金に対し、それを三十六年度の予算の当初から私は引き上げるべきだったと思うのです。ことに、医療費の問題が去年から出ているときなんですから、これを今ごろになってからだんだんと何とかしたいということでは、私はだいぶ時期がずれていると思います。そういう点では、生活保護よりも、私は国保に対して厚生省がもっとがんばるであろうと思っておったところが、あにはからんや、国保の方は全然補正予算が組まれないで、生活保護法が組まれた。もちろん、生活保護が五%組まれたことを私は悪く言うわけではありませんが、これは保険局として非常な怠慢であったのではないかと思うのです。これらのことを、今度は来年度の予算では、厚生大臣は国庫負担を二〇%、二五%だと言っているけれども、来年度になって二五%では、私はおそいと思う。これはもっと早い時期にやるべきで、そのために法律改正を臨時国会でやるのはおかしいというような理論はないだろうと思うのです。これはあなたの方で積極的にやられるならば、野党といえども協力をして、国民大衆のために、当然これは春からやるべきことであったのだから、われわれとしても、五%どころではない、もっとわれわれとしては協力したいつもりを持っておる。ところが、肝心の事務当局は、そういう気持を持っておられない。私は、この点が一番あなた方の怠慢だと思うのです。もっとこの点についての積極的なあなた方は意見を持っておられないかと思うので、この際もう一ぺんお尋ねしておきたいと思う。
  52. 森本潔

    説明員(森本潔君) 先ほどお答えいたしましたのは、医療費の引き上げに伴うところの措置という意味で答えたわけでございます。そういう意味におきましては、引き上げに伴いまして、保険料はね返り分は今後全額を持ちたいという気持を申し上げました。  それから、もう一つの問題としまして、これは医療費の引き上げとは離れまして、国保の財政が苦しいというので、それから基本的にこれを現在の国庫負担が二割でいいか、三割必要か、あるいは二割五分でいいかという問題が別にあるわけであります。その基本的な問題としましては、これは実はもう御承知かと思いますが、厚生省としましては、来年度より国庫負担を五分の引き上げを実施いたしたいと考えておるわけであります。問題としましては、二つありまして、医療費引き上げの措置に伴うものにつきましては、これだけにつきましては特別対策を全部見たいということが一つ。それから基本的には、国保財政をどうするかという基本的な問題になりますが、これにつきましては、来年度におきまして、一応の腹案でございますが、二割の国庫負担率を二割五分に上げたい、こういうことでございまして、ただいま先生の御指摘のように、特別対策をするのはあたりまえであろう、これもよくわかります。それから二割を二割五分に引き上げるのは三十六年度からやるべきであって、三十七年度ではおそすぎる、とにかく今補正の機会であるから、今でもやれというようなお気持のように受け取ったのでありますが、まあこれはそういういろいろなお考えもごもっともと思います。ただ、こういう国保に対する国庫負担と申しますか、財政に対する基本的な問題でございますし、また、法律改正も要する問題でございますので、早いにこしたことはございませんが、やはりこういう問題は、通常国会等におきまして、新年度のこととしまして、十分政府としても案を練り、それから御審議をいただいてやったらいいのじゃないかという気持で、先生と私の気持におきましては、あと五カ月とか、六カ月とか、あるいは四カ月とかいう時期の差はございますが、気持におきましては全然同じでございまして、ともかく三十七年の四月じゃおそ過ぎると、もう四、五カ月でも早くやれというお気持、これはまことにありがたいお気持でありますが、私どもといたしましては、そういうことで、来年度からはぜひお願いしたい、政府としてもやらなければいかぬと、こういうことでございます。
  53. 坂本昭

    坂本昭君 今のあなたの保険料のはね返る分は見るというけれども、国保の場合は一般的には大体五割自己負担があるのですから、その分のはね返りというものは一体どうして見るかということ、それが一番大きいのですよ。だから、それを見るためには、国庫負担を上げていって、つまり給付率をだんだん上げて、個人負担を下げる以外に、これを基本的に救い上げる方法は私はないと思う。ことに、この際ちょっと伺っておきますが、生活保護法を五%上げることについて大蔵省が同意をした。これは原案は厚生省ですが、一体年度の中間のところで生活保護法を五%上げた根拠をこの際伺っておきたい。われわれは年度の初めから五〇%上げろと言っておる。あなた方の方も二五%上げろと言っておる。それが今度達成されなくて、一八%であったのが、今度途中で五%上げる、これは一体どういう根拠のもとに厚生省が要求されたか、その社会局の根拠と、それから生保に一番近いボーダー・ラインにある国民健康保険の被保険者に対する保険局長の態度と私は食い違いがあると思う。私の言うことをありがたいと言って感謝しておられるけれども、私は現実から言ったら、生活保護を五%上げたら、国民健康保険についても五%上げてもよいと思うのです。この生活保護の五%引き上げの根拠について一つ伺いたいと思う。
  54. 太宰博邦

    説明員太宰博邦君) 生活保護基準につきましては、本年度の当初予算において一八%という従来ない大幅な引き上げをいたしたわけでございます。大体普通ならばそれでこの年度を経過すべきものでございまするが、最近なかなか生活費が高騰して参りまして、保護世帯の人たちは特にそういう面には弱い階層の人たちでございますので、私どもも内々心配しておったわけでございますが、たまたま国家公務員に対しまして七・一%のベース・アップをするという話が起きました際に、国家公務員にそういうことをするならば、やはり恵まれない階層の人たちのことを少しでも考えてやるべきではないか、どういうような声が起こりまして、それが実りまして今回のような措置に相なったわけであります。お話のように、従来年度の半ばでこういう措置をしたということはきわめてまれであります。消費者の配給米価が変わったというとき以外にはまずなかったかと思います。今回は、そういう前例はございませんけれども、異例な措置としてこういうようなことをいたした次第でございます。
  55. 坂本昭

    坂本昭君 ただいま社会局長は、生活保護の五%引き上げは国家公務員の七・一%引き上げに見合うべきものだと、こういう意見を出されたので、これは将来いろいろ問題が出てくると思うのでありますが、それはそれとして、一応承っておきまして、そうしますと、国家公務員と生活保護の人は七・一%とか五%の引き上げになったのですが、お百姓さんとかお店の人は全然引き上げにならない。こういう人を守っていくのがつまり社会保障なんだから、その社会保障の面で何か引き上げをしなければ、これは私は国民が納得しないと思うのですよ。それはどういう格好でやるかというと、つまり給与の引き上げではないので、社会保障の内容の引き上げということ、当然こういう結論が出てくると思うのにかかわらず今度の補正予算にまだ考えてない、そういう考えを私が持つことがありがたいというようなそういう保険局長考えでは、これは私、次の臨時国会相当荒れると思いますよ。もっと明確な、一つ補正予算に対する心がまえを作っておいていただかなければ、われわれとして納得できませんよ。私はそのことをもって、特に国民健康保険については一番問題点が多いと思う。それについてはもう少し局長の断固たる決意のほどをこの際示しておいてもらわぬと、これはなかなか、二十七日の日には国保の大会があるし、一筋なわではいかぬと思うので、今のような局長、なまぬるい考えでは私たちとしては納得できない。
  56. 森本潔

    説明員(森本潔君) 先ほど来、生活保護の基準は五%上げた、こっちは上げないということでございまして、その生活保護の基準を上げましたことの理由は、今社会局長が申し上げました通り、国家公務員でありますとか、あるいは意味は違いますけれども、生活保護を受けている者は、これはもうお仕着せの額でございまして、自分が働いて自動的に所得が上がると、そういうことはなくして、きまったものしかいただけない、そういうものでございます。それで国家公務員を七二%上げました。これもそれ以外に上がる方法はないのでございまして、それは上げた。それから生活保護を受け取ります者も、これもそれしかないわけでございます。上げてもらうしかないわけでございます。それに見合う意味でほかに方法はないかというので、おそらく生保の方は上げたと思うのでございます。ところが、国保の方におきましてはやや趣を異にしておりまして、そういう意味におきましては、この一般の所得の伸びと申しますか、これは働いて景気がよくなれば何がしか上がっていくわけでございまして、お百姓にしましても、お前の一月の収入はこれだけだといってきまったものでもございません。景気がよくなりますれば、従来の所得の伸び率が五%であったものが六%になる、あるいはこれは微々たるものかしれませんが、ともかく一般的に申しまして上がってきておるわけでございます。そういう意味におきましては、この生活保護の基準を上げにやならぬということ、それからそうやった場合に同じことを国保にせにゃいかぬということは直接の関係はないと思うのでございます。まあそういうようでございまして、その保険料の負担能力と申しますか、患者の負担能力というものも、今まで傾向としましては横ばい以上の上昇を示しておるという見方をしております。所得倍増計画等におきましても計画がございますし、実績においても横ばいではなくして少なくとも上がってきておる、そういう意味におきまして医療費の自然の伸びでありますとか、あるいは医療費の引き上げに伴いますある部分につきましては、これはやはり比率は、程度は少ないかもしれませんけれども、ある程度はカバーされつつあるじゃないだろうかという見方をいたしておるわけでございます。それで、結局そういたしますと、そういう考えに立ちますと、まあ医療引き上げに伴うものは伴うものといたしまして、ともかく構造的に医療費の伸びというものと、それから国保の被保険者の所得の伸びというものが並行いたしておりますと何も問題はないわけでございます。それがパラレルでないといたしますとそこに差が出て参ります。その差を埋めにやならぬという構造的なものでございまして、その辺の問題でございますので、これはやはり新しい制度の問題としまして、医療費値上げとは別の考え方に立って来年度以降実施したい、こういうことで今鋭意検討しておるということでございます。まあ申しましたように、結局そうするとなぜ今やらないんんだ、臨時国会でやらないんだという、結局時期の問題になってしまうと思うのでございますが、まあそれにつきましては、政府部内においても検討せにゃいかぬ点もございますしいたしますので、来年度から実施したいと思うわけでございます。  それから先ほどもお話がございましたが、国庫負担率の五分の引き上げのほかに、給付率の引き上げと申しますか、この点も私は全面的にやると大へんな金になりますので、まあできる程度、ある程度給付率引き上げもできるだけ考えたい、こういうこともある程度考えておるわけでございます。ともかく時期といたしましては来年度早々ということで検討を進めておるということでございます。
  57. 坂本昭

    坂本昭君 まあこれは、きょうは臨時国会に入っていませんからね。今あなたのような所論をしておったら、臨時国会ではあなたに不信任案を出しますよ、保険局長の資格はないと思います。もちろん所得倍増十カ年計画の中で、第一年度にとにかくえらい大きな問題が起こってきておった。その一番犠牲者になっているのは国保の被保険者です。たとえば、あなたの方で四千八百万と見ておったのが、おそらく人員は減ってきておると思う。それは農山村からどんどん都会へ動いているのですよ、人が。そうして農山村における所得というものは、あなたの言われるように、経済成長とパラレルに伸びていないのです。むしろ逆なんです。そういうあなたの所管の国保の被保険者の生活の実態を知らないような局長が、どうして保険行政をやれるか。だから、きょうはその点を議論しないで、次の臨時国会のときに、あなたがその考えを変えなかったら、保険局長はやめてもらいますよ。そんなことでは、おそらく被保険者、——一般大衆があなたのところへ行って、机をひっくり返すくらいあばれるかもしれない。全く被保険者の生活実態をあなたは認識していない。この点は一つ反省を促して、もっと被保険者が一体今どういう生活にあるかということをよく検討していただきたい。これは次の臨時国会のときにこの問題についてお尋ねいたします。だから、結論としては、国保に対するあなたの方の補正予算の組み方やいろいろなことについて非常に熱意を欠いておる。これだけは臨時国会を前にしてはなはだ遺憾だと思います。  ただ、一つ具体的なことで、ちょっと別の問題ですけれども、例の還元融資の問題、これは先月以来問題になっておって、緊急に委員会を開いてもらいたいというとともあったのですが、例の労住協に対する住宅資金の融資ですね。この融資の問題について、大体三億八千万円ぐらいのワクが与えられておったと聞いておるのですが、ただその内容が、分譲であるのか、賃貸であるのかということがだいぶ問題になって、これは厚生年金課長も非常にいろいろと心配して、また、局長も心配しておられることを聞いておりました。特にその融資を受ける労働者の資格の問題、これについて大蔵省がいろいろとむずかしい条件をつけられるということで、厚生省がいろいろ困っておられることも聞いておったのですが、この労住協に対する融資の問題、厚生省として大体どういうようなお考えでやっておられるか、これだけちょっと緊急に伺っておきたいのです。
  58. 森本潔

    説明員(森本潔君) ただいま御質問のこの労住協が借りまして、還元させて住宅を建てる、その場合のやり方の問題の御質問でございますが、この労住協を今度融資を受ける対象にいたしたのは、今回が実は初めてだと思います。たしかそうだと思います。今回そういうように貸付対象を、貸付を受ける人の範囲を広げることにいたしました。それで、まあその限りにおいては何も問題はないのでございます。それからこの第二の貸付を受けたものの、——労住協が貸付を受ける、そうしてそいつをすぐ分譲してしまうということがどうかという、できるのかできないのかという問題でございますが、この還元融資始まりまして十数年になりますが、従来までこの還元融資の考え方としましては、県なりあるいは事業主なりが還元融資の建物を建てる、そうしてそいつは厚生年金の被保険者が直接利用できるようにというので、分譲してしまうとどうなるかわかりませんから、分譲はしない。分譲はせずに公共団体なり事業主が持っておって、そこで確実に厚生年金の被保険者の資格を持っているものという者に使用を認めておる。分譲ということは従来全然やっておりません。そういう考えのことは。それで、今回この労住協、その他全部そうでございますが、におきましても分譲は認めないという方針で、すでに関係三省の次官通牒を出しておるわけでございます。一応そういう方針でございます。それで、ここで問題になりますのは二つございまして、その分譲を認めないというのはいいのか悪いのか、あるいは分譲を認めていいのじゃないかという議論が一つ起ころうと思います。ただいま認めておりませんから、それが起こるだろうと思います。それから、もう一つの問題といたしまして、労住協におかれましては、分譲してもいいんだ、借りてすぐ分譲するということも、ことしはいいらしいぞというような御理解がございまして、内々準備を進められておったという一つの事実が、率直に申しましてあるようでございます。そこで、基本的な問題といたしまして、すでにこれは労住協といわず、事業主といわず、公共団体といわず、すべて住宅については分譲方式の融資は認めないという方針でございますので、これはこのままでいきたいと思いますが、しかし、現実に労住協におきましては、そういう理解を持って準備されておるという事実もあるようでございますので、一応方針としては、本年度においては変えるわけには参らないと思いますが、実際の措置といたしましては、かりにそういう準備をしておられるというならば、これも一つの事実でございますから、それがいいか悪いかという問題もございますけれども、そういう事実がございますれば、その辺一つ便法と申しますか、時宜の措置を講ずる必要があるのではないかというふうに思っております。その点、なお関係各省とも打ち合わせて措置したいと思います。気持としてはそういう気持でございます。  それから根本的に還元融資の住宅は借りてすぐ分譲していいという方針をとるかどうかということは、全般の問題といたしまして、なお来年度以降の問題として検討はしたいと思いますが、ただいま問題になりました労住協につきましては以上の通りでございまして、基本方針と離れまして、時宜の措置を行政上考える必要があるのではないか、そういう方向で検討いたしたいと思います。結論はまだでございます。
  59. 坂本昭

    坂本昭君 今の局長の御説明は、わからぬこともないのですが、しかし、今日の日本の住宅事情の実際と、それから人はだれでも自分の住居がほしいのです。しかも、なかなか住宅が困難である。かつ、厚生年金保険は、もう昭和十七年から約二十年に近くなっておる。従って、労働者で一年くらい厚生年金の掛金を払って、それで家をくれ、それでおれはもう賃貸じゃなくて、おれの家にしたいというのは、これは少しあれかもしませんがね。しかし、かなり七年とか八年とか、場合によったら十五年とか、長く労働者として厚生年金保険に入っておったような人が、ようやく晩年に達して自分の独立家屋がほしいという場合に、私は融資するということは決しておかしいとは思わない。しかも、現実に労住協で扱っておる労働者が住宅を求めている実相からいっても、私は今のように分譲を認めないという、これが方針だ、基本原則だという考えは少しおかしいのではないか、むしろおかしいのではないか。結局、労働者が自分の安定した家を持ち、そこで安定した生活の中から労働にいそしむ、そういう条件を作ることがわれわれの願いであり、また、厚生省といたしましても、それを一番望んでおるはずである以上は、必ずしも分譲は絶対いかぬ、これを基本原則だという、そのことは私はむしろおかしいのではないか。また、労働者のある一定の年限、この年限を二十年とか一まあ二十年ということはないでしょうが、十五年とか、十六年とかいうことは長い、おそきに失すると思う。もっと短い期間の何か条件をつける、そういうことをするならば、私はむしろ分譲も認める、そういう行き方をとっていただきたい。一つその点ではいかがですか。
  60. 森本潔

    説明員(森本潔君) その点、先ほどちょっと触れたつもりだったのでありますが、少なくともこれは現在のところまでは、融資の制度が始まってからそういう方針で参っておりました。それから今後そういう方針をどうするかという点、これは今お話のように、やるとしても二十年勤めてちゃんと資格のできた人もございますし、それから、入ってから一年の人もございます。どこで切るかという問題もございましょうし、その場合これは労住協だけではないと思う。おそらく市町村の場合も、事業主の場合もあると思います。その根本になりますと、これはやはり研究問題であるということは認めております。具体的にどうするかという問題、それから労住協の希望はよくわかりますが、これは事業主側としてはどういう気持があるかというような点、それから市町村にどういう気持があるか、その辺、なお住宅金融公庫もございますが、実態はそれと同じことになるかもしれませんが、還元融資とどこが意味が違うかという問題になってくる。その辺いろいろ問題がありますので、これは今後の検討ということにさしていただきたい。
  61. 相澤重明

    ○相澤重明君 関連して。今の局長の答弁を聞いていると、やはりちょっと矛盾していると思うのです。この労生協が住宅融資を始めたのは、産労、いわゆる産業労働者住宅、これを大企業が労働者確保、また、生活向上のために作り始めた。それで建設省の予算の中で進めておったけれども、産労の住宅融資でさえ、これは政府の方針には労働者を確保する意味と、いま一つは、資金的に困難な場合ということがある。ところが、現在は日本の大企業がほとんどこれらの資金を使っておる、こういうことは、われわれ参議院の決算委員会でも何回か指摘したことがある。それでそういうだけではいけないから、今度は住宅協会等が、日本住宅公団なりあるいは労働者住宅協会なりが、そういう時代の進展とともに労働者の住宅というものを一つ取り上げようじゃないかということになって、われわれの方でも労働者住宅協会を作って、やったわけです。それが政府資金の導入ということは、最初大蔵省の資金を対象にしたけれども、なかなか四省がまとまらぬ。そこでまあ住宅金融公庫の中の資金を……。そうして建設省との話し合いの中で、ようやく今の労働者住宅というものを賃貸契約の中に結んできたわけです。それを今度はその資金を、頭金というものは労働金庫から出して、あとは住宅資金ですね、住宅資金で家を建てさせるというのが今日まで進んできた。ところが、それだけではなかなか資金難であるから、そこで今坂本委員の言うように、厚生年金等の還元融資をやろうじゃないかということで、予算委員会を通じて、それから各常任委員会にも、関係の常任委員会にそういう話が出てきた。ですから、今の基本的な考えからいけば、もう戦時中あるいは戦後における産労の問題からさらに発展をして、今度は個人の住宅を建設をさせる、これが政府の住宅建設計画の中にも大きなウエートを持っている。だからそういう点からいけば、賃貸住宅だけに出して、それで分譲住宅には基本的に出さぬという原則をあなたは確認するということを今坂本委員質問に答えておるけれども、これは誤りだと私は思う。今の住宅建設計画の中で、この労住協が進めておるものは、賃貸であれ、あるいは分譲であれ、つまり集団であれ、そういう形を経過的に進めてきている。今までは事業主がやるのが根本なんです。それからその次にはようやく賃貸に入ってきた。これが今度は分譲ということに話が進められてきた。ですからほんとうは四省間で——労働省厚生省、自治省、大蔵省、そういう四省間の話が次官会議でも問題になったのだから、もう今ごろは結論が出ていなければならぬ。一番肝心な、資金を監督している厚生省がそのくらいのことを大蔵省に文句が言えなくてどうします。大蔵省はなるべく出したくない。しかし、あなたの方はやはり坂本委員の言う通り、これだけの多くの労働者が持っている利益の還元を当然あなたの方が積極的に進めるべきだ。だからそういう点については、これはもし四省の次官会議が——何ですか、さっきあなたの言うには、そういう通達でもって認めないということを言ったというのですが、それはいつ通達を出したのですか。これはおかしいですよ。本年三月の予算委員会でも、それから関係の各常任委員会でも、それは考慮しますということをもう話している。そういう答えをしているのに、これは、君、おかしい。いつ、一体、その通達を出したのですか。
  62. 森本潔

    説明員(森本潔君) あるいは私の理解の間違いかもわかりませんが、おっしゃるように、住宅金融公庫の方の産労住宅はすべてそういう方針で進めてやっております。これは今お話の出ましたように、やっておるわけであります。  それから私の扱っております還元融資、これにつきましては制度が始まってから分譲という方針はとらずにやってきたということを申し上げておったわけであります。それで、その方針はことしもそれで参ろうというわけで、これはいつ出しましたか、ことしの六月か七月ころだったと思いますが、本年度の還元融資の実施要領というものを厚生、大蔵、自治の三省が関係しておりますから、そこで打ち合わせをしまして、そこで次官通牒でその方針を、本年度の実施要領というものをきめて通達をいたしたわけであります。
  63. 相澤重明

    ○相澤重明君 おかしい。通常国会の、六月八日までの通常国会の中ではそれは検討することになっていたでしょう。それをどうして、国会が終わったらすぐそういう通牒を出したのですか。おかしいじゃないですか。それは国会が終わってから出したのでしょう。六月の次官通達はどうなっていますか。
  64. 森本潔

    説明員(森本潔君) 時期はちょっと私正確に覚えておりませんが、国会が済んでからか、あとか、はっきり私は覚えておりませんが、たしかこれはその年度のあれでありますので、六月、七月ころであろうと思います。日付は正確に覚えておりません。(「国会は済んでから」と呼ぶ者あり)済んでからか、どちらかわかりません。とにかく本年度はそういうふうな従来通りの方針でやっていこうというふうに三省間できまりまして通牒を出したと、こういうことであります。
  65. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは国会の中においての意思は、関係各省に、これはきわめて重要だからよく検討をして趣旨に沿うようにということで話を進めておったはずであります。だから、国会が終わってしまえばもううるさくないからということでやられたということに僕は印象を受けるのだけれども、これはやっぱりきわめて重要な問題であると思う。今からでもおそくはないという言葉があるから、これは臨時国会の前にでも早急に次官会議をあなたから進言をしてやってもらって、そうして坂本委員の指摘するように、これはやはり分譲住宅にも適用すべきだ、こういう形でやってもらわぬと、これは前の経緯からいって、どうもやっぱりお役人というのは、国会がなくなるともうしかられるところはない、こういう形で独自な通達を出されるということは私は困ると思う、今まで紳士的に話し合ってきたのだから。ただ、賃貸住宅については、もうあなたの言う通りにきまっていることである。賃貸契約についてはもうきまっていることであるけれども、分譲住宅については一つそうやりなさい、それじゃ一つこれは検討しましょう、そういう話になっておったと思う。ここに藤田さんもおるけれども、よく聞いておるというと、国会が終わってから早く通達を出してしまったというような食い逃げのような形が出るのですね、これは。委員長にもお願いしておくけれども、一つ早急に、局長は次官にもきょうの話をして、そうして臨時国会前だけれども、臨時国会の中でもいいから、そういう点を是正してもらうと、こういうふうにこれは一つ努力してもらいたいと思う。これは要望になるけれども、どうですか。
  66. 森本潔

    説明員(森本潔君) ただいまのお話の事情承りまして、なお検討はいたしたいと思いますが、事情を申しますと、本年度の融資の申し込みはもうすでに来ておりまして、近々、これは少しおくれておりますが、もう大体、こういう計画で建てる、どこはどうだというのがずいぶん参っておりまして、すでに決定の時期に入っておりますので、しかも建前は全部分譲せずに、公共団体もそれから事業主の方も、その他借り手の方は全部自分で経営をして、賃貸しをする場合は賃貸しをするという方針で全部計画を立てておりまして、それで処理することに準備はいたしております。  それから時期の問題につきましても、これは実はおくれておるわけでございますが、近日中に全部これは決定しなければならぬということになりますので、事務的に申しますと、これは本年度はちょっと間に合いかねるのじゃないか。ただ、先ほど申しました労住協でございますか、この事情はこれは先ほど申しましたように承知をいたしております。それ以外のところは、全部分譲方式を考えずに一つ計画を立てて参っておる。これも近日中に決定しなければならぬという段階になっておりますので、そういう事情もございますので、おくれてはおりますが、そういう点から申しますと、どういう場合に分譲を認めるかというようなやはり一つの基準と申しますか、やり方の問題もからんでくる。実際上の事務の処理といたしましても、今年度それがかたまってきて決定するのをこわしてしまうというのもいかがかと思いますので、実際上は来年度以降ということで検討をしなければならぬことになるかと思いますが、お話でございますのでなお検討はいたしますが。
  67. 坂本昭

    坂本昭君 ですから、今の次官通牒は生かして、「ただし」として、ただし労住協に関する限りその労働者の申請の実態にかんがみて、被保険者であまり短期では困る、あまり長期でも困る、従って、私は五年か六年かぐらいですね、場合によれば十年、その辺にめどを置いて、被保険者である期間がある一定期間あって、それからまた、将来も長期にわたって被保険者であるというような場合には分譲を認める。そしてさらに来年度からはそういう数をどんどん拡大していく。これはそういう希望も実態に基づいて措置していただきたい。私はそういうふうに希望するのですが、そういう扱いはできないのですか。
  68. 森本潔

    説明員(森本潔君) その点を先ほど申し上げたつもりでおります。その通牒なり方針としては、分譲は認めないという方針にいたしますが、労住協につきましてはそういう事情があることも承知いたしておりますので、これは便宜行政上の措置考えたいというつもりでおりますということを申し上げたわけでございます。その辺は一つそういうことで御了承願います。
  69. 坂本昭

    坂本昭君 あと三点、簡単に。次は例のこの夏問題になった生ワクチンの問題について。これは補正予算を組まないのか。新聞紙上で見ると、予備費ということになっているが、これは当然ことしの秋なり暮れなり、少なくとも来年の初めにはまた次の生ワクチンの使用ということが問題になってくるので、これに対する予算措置をこの際伺っておきたい。
  70. 高田浩運

    説明員高田浩運君) これは早急に現品の手配をする必要がありまして、従って、補正予算では少しおそ過ぎる、そういう点もありますので、早期の分については予備費で措置をします。それから来年度の予算で間に合う分につきましては来年度の予算措置をする、そういうふうな基本的な考え方であります。
  71. 坂本昭

    坂本昭君 次に労働省お尋ねしたいのですが、例の雇用促進事業団、あれが八月一日から発足して、特に石炭離職者の転職訓練についてどのような実績を上げておられるか、その点の御説明をいただきたい。
  72. 三治重信

    説明員(三治重信君) 雇用促進事業団でやっております炭鉱離職者の職業訓練は、御承知のように、総合職業訓練所でやっておるわけなんですが、これの定員が千四百五十名、応募者数が八百七十三名、それから入所者数が六百九十二名でございます。ただここで非常に入所率が悪いようになっておりますが、この中で内郷、小野田で三百八十名という夜間の定時制訓練があるわけでございますが、これは応募者が非常に少なくて、ちょっと夜間訓練を特別にやることまで至らないので、ちょっと上期はやめておりますので、非常に定員に対しては少なくなっております。それから一般職業訓練所におきましては、全国でこの炭鉱離職者用のためにコースを設けております。定員が千四十五名でございます。応募者数が千二百三十七名、入所者数が八百九十九名でございます。なお、今日までに入所した、今年の上半期までに入所した石炭離職者の全数が、一般総合合わせまして二千八百四十四名でございます。応募者数が四千百六十一名という状況になっております。
  73. 坂本昭

    坂本昭君 一番大事な点は年令なんですね。年令の点についての調査、してありますか。
  74. 三治重信

    説明員(三治重信君) 総合訓練所におきまして、冊体のうちで三十一才以上が三百十九名、それから一般訓練所で八百三十四名。
  75. 坂本昭

    坂本昭君 三十一才以上といっても三十二、三才と四十才とありますがね。特に私が問題として伺っているのは、中高年令者の転職訓練が一番望まれて、なおかつ一番少ないのではないかという点が心配なんで伺っているのですから、三十一才以上というよりもむしろ三十五才以上がどれくらいあるか、その辺が一番大事な点なので、わかっておれば今明らかにしていただきたいし、わかっていなければ、あとから資料でいただいてもいいです。要はこの委員会でも世帯持ちの人たち訓練を受けにくい。そういう条件をどうやって満たしてやればよろしいか、そのためにこの新しい事業団が、石炭離職者の転職訓練に具体的にどういうことをやっているかが知りたいし、また、それだけの予算も取ってもらいたいということで伺っているのですから、それではこの点はあと、資料を出していただいて、また臨時国会で明らかにしたいと思います。  それではその次に、先ほど生活保護法が五%上がったということの説明厚生省からありましたが、今度の補正予算の中で建設省関係のいろいろな事業を見ると、材料費がたしか一%から一九%ぐらい上げているのですね。ところが、一〇ないし一五%、木材その他資材別によって上げていますが、失対の賃金についてはどういう考えを持っておられるか。特にこれは先般もたしか全国の建設業の人たちが集まって陳情もあったし、大会もあったのですが、PW賃金で押えられた六百円、七百円という大工さんあたりの賃金、これは実際は千五百円から千七百円という賃金に引き上げている。従って、最初の入札で仕事をしようと思ってもとてもやれないという問題が出ているわけですね。こういうことと関連して最近の雇用関係から見て、労働省としてはこのPWの問題についてどうするか、また、失対賃金についてどうするか、それについて補正予算を今度要求されなかったのはどういうわけか、その点を伺いたい。
  76. 大島靖

    説明員(大島靖君) ただいまPWの問題についての御言及があったわけでございますが、御承知通り、PWは政府に対する不正手段支払請求の防止に関する法律に基づきまして、国の直轄工事に雇用される労働者のみの賃金について一定の全国的な賃金の告示をいたすことになっております。それがいわゆるPWと称せられておるわけであります。かねがねたとえば今お話のございました全国的な中小建設業界における単価の問題、これに関してPWの問題がしばしば提起されるわけなんでありますが、理論的に申しますと、PWは今申しました通り、国の直轄事業のみに適用がございますので、従って、大蔵省の予算の積算の根拠にいたしましても、あるいは建設省のそのたとえば大部分は請負に出るわけなんですが、こういうことには直接PWは関係するわけではないのでございますが、ただ実際問題として、PWの問題がしばしば各方面において論議されることも多いのでありまして、こういった点でPWを今後どうするか、廃止いたしますか、あるいは存続いたしましても、どういうふうにあれしていくか、これらの点今私どもの方を中心といたしまして、関係の各省とも寄り寄り話し合いをいたしておるのでございます。これらの点につきまして、PWの今後につきまして、一つ十分検討して各方面であまり論議にならないような形に持っていきたい、一刻も早くそういたしたいとかように考えて、目下いろいろ検討をいたしておる状況でございます。
  77. 坂本昭

    坂本昭君 目下いろいろ検討はいいんですけれども、PWは一年に一ぺんしか出さないんでしょう。そうすると、去年の統計が今年の実際上の問題を支配しているわけですよ。だからいろいろ検討というようななまぬるいことでは間に合わないのですよ。だから今さら検討ということだけでは……。それはまた、今後じゃ臨時国会で基準局長もう少し追及しますがね、そんなことでは間に合わない段階に来ているということを申し上げておきたい。  それからあとの失対賃金の方のことについての今度の補正予算のことについては、当該部長から御説明いただきたい。
  78. 松永正男

    説明員(松永正男君) 失業対策事業の就労者の賃金につきましては、坂本先生承知のように、失対法の十条に規定がございまして、同一地域の同一職種の労働者賃金を基準にして定めるということになっております。この定め方につきましては、同一地域の同一職種の労働者賃金をどういうふうに見るかということでございますが、労働省で毎年屋外労働者の職種別賃金調査をやっております。これをもとにいたしまして、いわゆるPWの告示が毎年なされるわけでございますが、これをもとにいたしまして、さらに労働省といたしましては地域別の賃金基本日額というものを定めております。この地域別の賃金基本日額は、PWと同時に安定所窓口における賃金等も参考にいたしまして、地域別に区分をいたしましてそれぞれの賃金額を定めております。これに基づきまして各事業主体におきまして、との地域別の賃金をさらに作業別に区分をいたしまして十五段階程度賃金を定めております。これに格づけをして個々の労働者賃金を払うということになっておるわけでございます。  で、賃金の定め方は以上のようなことでございますので、建前といたしましては、生活保護費の算定基準とは全く建前が異なるわけでございます。で、そこで、生活保護費を補正によって値上げをするということと失対事業に働く就労者の人たち賃金を上げるかどうかということとは必ずしも筋として相関連はないわけでございます。しかしながら、実際問題といたしましては、生活保護世帯の方々も、それから失対に就労しておる人たちも低所得層といたしましてほぼ生活程度があまり懸隔がないということが実態でございます。従って、生活保護費を年度途中で上げるという場合に、今申し上げましたような建前ではございますけれども、実際の問題といたしまして失対就労者の世帯の収入を増加するということを考えることが低所得層対策としてはバランスがとれる考えではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。  で、今度の補正につきましては、政府部内の方針といたしまして、閣議で大綱といいますか、補正にあげる項目を決定した後に事務的な予算折衝をするという方針でやったわけでございます。で、閣議におきまして生活保護費の引き上げということが決定をされましたので、われわれといたしましては、やはり今申し上げました実情からいたしまして、失対就労者の収入につきましても何らかの措置をとることが必要であるということを強く主張をいたしたいという考え方でございましたが、たまたま労働大臣が出張をいたしておりまして留守でございまして、兼任労働大臣であります灘尾厚生大臣からもその趣旨を閣議において御発言を願ったわけでございますが、第一次補正といたしましては、先般の閣議で補正すべき項目は決定をいたしたということでありますので、本日の閣議で労働大臣からも発言をしていただきまして、今申し上げましたような趣旨でバランスをとって考え処置が必要であるということを強く主張をしていただきまして、これに対して検討をするということに現在なっておる状況でございます。で、検討につきましてはわれわれといたしましても失対就労者の生活実態というものに基づきまして、失対就労世帯の収入増加の方策をできるだけ早く出して参りたいというふうに希望をいたしておりますが、いきさつといたしましては今申し上げましたような状況でございます。
  79. 坂本昭

    坂本昭君 それでは念を押しておきますが、先ほど保険局長は、あなた方お聞きになったと思うのだけれども、国保の被保険者というものが低所得層であるということ、そうしてそれらの人たちは一定のまた賃金という形ではないので、社会保障という面で私は国保の国庫負担率を上げろということを要求したところが、それはまことにありがたいおぼしめしといって局長感謝して、実に逆の現象があったのですが、今の失対賃金のことについてはあなた方としては、事務当局としては積極的に大臣を補佐してこれは上げなくちゃならぬという確信は持っておられる、まあそういうことなんですね。その点だけちょっと確かめたいと思います。
  80. 松永正男

    説明員(松永正男君) ただいま申し上げましたような線でわれわれとしては努力したいと思っております。
  81. 坂本昭

    坂本昭君 具体的な数としてはどの程度考えておられますか。
  82. 松永正男

    説明員(松永正男君) これはいろいろな見方があるかと存じます。従来失対事業賃金と生活保護費の値上げ、保護基準の引き上げという問題は必ずしも相関連はしておらなかったわけでございますが、昭和三十二年の十月に消費者米価の改定がございまして、このときには米価のはね返りの負担分といたしまして四円を計算をいたしまして、三百二円に四円を加算をいたして三百六円といたしたわけでございます。従って、生活保護世帯が五%上がるから失対就労者の方も五%というように機械的にはなかなか計算することはむずかしいかと思いますが、何と申しますか、抽象的に申し上げればバランスのとれるようなことというのがわれわれの希望でございます。
  83. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止
  84. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 速記を始めて。  本件に関する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) 御異議ないと認めます。    ———————————
  86. 吉武恵市

    委員長吉武恵市君) この際、委員の異動について御報告を申し上げておきます。  本日付をもって加藤武徳君、藤田藤太郎君が辞任され、平島敏夫君、藤田進君が選任されました。  では、本日はこれにて散会をいたします。    午後零時五十八分散会