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坂本昭君 今
局長から説明がありましたが、今の説明を伺っておって、大臣に一言御警告申し上げたい点がある。それは、
職業訓練所の実際の機構、運営の
内容を実際
労働省でははたしてつかんでおられるかどうか。去年御
承知の
通り、労災病院のストライキがありました。約二十の病院が
全国的に初めて統一のストライキをやった。これは大臣にも御
質問申し上げた労働福祉
事業団の見ておるところの労災病院であります。この病院の運営について相当幾つか問題点がある。その
一つの中には、そこで働く、つまり労災病院の場合は教導ではなくて医師が中心になる。その医師が低い賃金のもとに雇われておる。そのために非常な不満が出て、この去年来の病院ストのはしりをやったわけです。そのときに私たちが初めて知ったのは、労働福祉
事業団の幹部の人たちの、たとえば給与の問題、退職金の問題、この人たちは非常に高い給与をもらっている。退職金もやめたら労働組合の方は四百万円もらうとか言っておったのですが、あとでよく調べると二百万円だった。いずれにしてもべらぼうな退職金をもらっている。そうして高給をはんでおる。ところが、実際に働いておる労災病院の医者はどうかというと、三万円とか四万円というところでほんとうの中型の医者が働かされておる。そこでこの労災病院のストライキが機縁になって去年の秋から年末、さらに現在に至る
全国的な病院ストというものが行なわれておる。もっと私は
実態を把握していただかなければならないと思う。たとえば今教導の問題について、
定員の待遇、結局
定員が満たされないのは待遇が悪いからですよ。私はその待遇の中で、何ですか、七%の手当、二万円だとすると千四百円ですね。こういう二万円の給与で千四百円の手当で一体これでいいかということですね。私はこういう点で、この
事業団の、現在ある福祉
事業団の運営が非常にまずいといって、これだけを非難するのじゃないのですよ。それよりもあの労災病院のストのときに、
労働大臣は労働災害に対して責任を持つのは、これは最終的には国が見なくちゃいかぬ、だからいろんな面で労災保険のもちろん保険金で見なければならぬが、国としてはそれに対して責任を持ってこの経営に対してはいろいろとこれを見ていきたい、見ていかなければならぬと思う。そういう
意見も述べておられたし、今度のたとえば転職者の訓練についても、これは単なる
事業団の任務ではなくて、国としてやらなければならない任務だと思う。私は、この
事業団に対してもっとほんとうに仕事のできやすい条件を作ってやらなければ、幾ら新しい
事業団を作ったって、単なる古手の役人のうば捨て山になるとしか言えないと思うのです。そんなことであっては、厚生省にも
労働省にも次々と
事業団ができるが、そんなことをわれわれは全面的に支持するわけにはいかないのです。何かそれは古手の官僚が行ってそこの地位につくのをこれはとめやしませんよ。しかし、その
経験を生かしてほんとうに
事業が進むようにしてもらいたい。たとえば、もう時間の
関係で次の法案のときにまたこまかく
検討していきたいと思いますが、今の人の面では教導の面が一番
基本的ですが、さらに各訓練所の管理者の任務、これは労災病院でも同じことがわかったのです。労災病院の事務長は病院経営のしろうとばかりです。だからちっとも病院としてのうまい経営ができていない。それでは
職業訓練所長の方はどうかというと、
職業訓練所のベテランか
経験者が行っているかというと、ほとんど行っていない。私は、これは次に
一つ資料を出していただきたいと思うのです。どういう人が一体所長になっておるか。結局この職業訓練を必要とするのはまず
職業訓練所の所長なのですよ。所長の職業訓練をやって、それでやらないと正しい訓練ができないという
状況ですね。だから、こういうあり方で新しい
事業団を作っても私はこの転職訓練の実は上がらないのじゃないか、これを率直に心配する。
それからまた、
先ほど大臣も触れられた機材の整備のほかに、運営上教材費の問題が一番困っているのじゃないかと思うのです。つまり職業訓練をやれば、たとえば自動車の部品を作ったり、机を作ったり、腰かけをこしらえたりすることでしょうが、そういう教材費というものを一体どういうふうに見ておられるか、これは非常に大事なことだと私は思う。ところが、現在はこの教材費というものは、国からも見てもらえない、それから
事業団でも見てもらえない。だから結局何ですか、財団法人職業訓練振興会という法人がこの教材費を見ておる、結局教材費を見るということは、教材費よりもプラス・アルファした収益を上げなければならない。そうして職業訓練
機関ではなくて収益を作る
機関になっているということです。これは厚生省の結核についても後保護施設、これは各県に後保護
指導所というのがある、今ここでも相当深刻な問題が起こっている。しかし、これはいわば教材費の方はまだ若干見てもらっている。ところが、
労働省の方の一番大事な教材費ですね、この方は見ていないということです、こういう点をほったらかしにしたまま新しい
事業団で訓練をやったって、苦労するのはしろうとの所長さんが苦労して、そうしてこの訓練生はほんとうの訓練を受けられないで、たとえば机なら机を、売れる机を作ることしか訓練を受けない、なるほどそれは売れる机を作れば将来企業へ移ってから役立つかもしれません。しかし、ほんとうは木工なら木工の基礎的な訓練、さらに専門的な訓練をするのが訓練所の任務である以上は、やはりそういうことに対して相当な準備を、
予算的に組んだ上で
事業団を
発足していただきたい。言えば幾つも問題点がありますが、実は今申し上げた労災病院のストの行なわれたような、ああいう
基本的なことを一体大臣はどう
考えられるか、さらに今のような教材費というような運営について
基本的な隘路がある、これを解決してあげなければ、大臣が希望していられるほんとうの転職者訓練というものはできない、そういう点について大臣としての御見解をこの際承って、そうして皆さんのその
法律案要綱の定まるまでお待ちしたいと思います。