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田中一君 私は日本社会党を代表して、
公共用地の取得に関する
特別措置法案に対する
修正案を提出いたします。
まず、その案文を朗読いたします。
公共用地の取得に関する
特別措置法案に対する
修正案
公共用地の取得に関する
特別措置法案の一部を次のように
修正する。
目次中「第五十条」を「第五十三条」に改める。
第二条第三号を削り、同条第四号中「
道路、
駅前広場、鉄道又は軌道」を「
道路又は
駅前広場」に改め、同号を同条第三号とし、同条第五号を削り、同条第六号中「若しくは」を「又は」に改め、「又は広域的な用水対策を緊急に講ずる必要のある
地域に給水するため設置する政令で定める大規模な利水
施設」を削り、同号を同条第四号とし、同条第七号を削り、同条第八号を同条第五号とする。
第四十六条及び第四十七条第五項中「事情の許す限り、」を削る。
第四十八条の見出しを「(
公共用地審議会の設置)」に改める。
第五十条を第五十三条とし、第四十九条を次のように改める。
(
審議会の組織)
第四十九条
審議会は、
委員七人以内で組織する。
2
審議会に会長を置く。会長は、
委員が互選する。
3 会長は、会務を総理し、
審議会を代表する。
(
委員の任命)
第五十条
委員は、学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理
大臣が任命する。
2 前項の場合において、
国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理
大臣は、同項の規定にかかわらず、両議院の同意を得ないで
委員を任命することができる。
3 前項の場合においては、任命後
最初の
国会で両議院の承認を得なければならない。この場合において、両議院の承認を得られないときは、内閣総理
大臣は、直ちにその
委員を罷免しなければならない。
4
委員は、非常勤とする。
(
委員の任期)
第五十一条
委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の
委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2
委員は、再任されることができる。
(
委員の罷免)
第五十二条 内閣総理
大臣は、
委員が心身の故障のため、職務の執行ができないと認める場合又は
委員に職務上の義務違反その他
委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。
附則を次のように改める。
附 則
(施行期日)
1 この
法律は、別に
法律で定める日から施行する。ただし、附則第二項及び第五項の規定は、公布の日から施行する。
2 前項に規定する別に
法律で定める日は、
公共用地の取得に伴なう損失の補償の基準に関する
法律が
制定施行される日前であつてはならない。
(
建設省設置法の一部
改正)
3
建設省設置法(
昭和二十三年
法律第百十三号)の一部を次のように
改正する。
第十条第一項の表中
公共用地取得制度調査会の項を次のように改める。
公共用地審議会 公共用地の取得に関する
特別措置法(
昭和三十六年
法律第 号)に基づく特定公共事業の認定に関する事項を
審議すること。
(特別職の職員の給与に関する
法律の一部
改正)
4 特別職の職員の給与に関する
法律(
昭和二十四年
法律第二百五十二号)の一部を次のように
改正する。
第一条第二十八号を次のように改める。
二十八
公共用地審議会委員
(
建設省設置法の一部
改正)
5
建設省設置法の一部を次のように
改正する。
第十条第一項の表中
公共用地取得制度調査会の項を次のように改める。
公共用地取得制度調査会
建設大臣の
諮問に応じて
公共用地の取得に伴なう損失の補償の基準その他
公共用地取得制度に関する重要事項を調査
審議し、又は当該事項について
関係行政機関に建議すること。
第二十二条を削る。
以上でございます。
この法案は、公共性、緊急性の高い重要な公共事業の円滑な施行を確保するために、土地収用法の特例を設けることとしているのでありますが、特定公共事業として列挙されている事業のうちには、必ずしもこのような特例
措置の適用につき、十分な必要性を認めがたいものがあると思われるのでありまして、
修正の第一点は、この観点から、第二条について特定公共事業の
整備をはかったことであります。すなわち、真に公共性、緊急性の高い公共事業に限定して、その円滑な事業の遂行をはかるという本法案の
立場からすれば、営利法人である会社の行なう鉄道事業や軌道事業あるいは電力事業のごときものについては、当然これを特定公共事業から除外すべきであると考えるのでありまして、この法案の特別
措置が、国公営事業に限って適用すべきものといたしました。
さらに、第一種空港とか公衆電気通信
施設のごとき
公共施設に関する事業につきましては、その公共性は十分に認めるといたしましても、その緊急性は、それほど高いものではなく、あえて特定公共事業として本法案の特別
措置を及ぼす必要は認められないのであります。
なお、この
修正案の案文としては入っておりませんが、交通の混雑を緩和するための
道路の
整備事業についても、現今特に緊急性を帯びている
駅前広場の
整備に関連して行なわれる場合に、その緊急性が肯定されるのであります。従って、本法案の特別
措置も、このような場合に限って及ぼすべきものと考えるのであります。
また利水
施設に関する事業につきましても、災害予防または復旧のために設けられる治水
施設のごときものとは異なり、現行の土地収用法によって、十分にその必要を満たすことができるのでありまして、やはり特定公共事業から除外すべきものであります。
次に、
修正の第二点といたしましては、土地等を提供する者に対し、事業施行者が現物給付に努める義務並びに国及び
地方公共団体が生活再建対策に努める義務について、第四十六条及び第四十七条中「事情の許す限り、」という字句を削ったことであります。土地等の収用において、被収用者の生活確保のために配慮すべきであるという法意は、すでに土地収用法のかえ地補償制度に見出だすことができるのであり、
特別措置法案は、右のごとき努力の義務に関する規定を設けることによって、その
趣旨を発展せしめているのでありますが、努力義務としても、必ずしもその
内容は十分なものとは言いがたく、本
修正案は、右に述べた字句の削除によって、努力義務の
内容の一そうの充実をはかったのであります。
次に、四十八条以下の
修正でありますが、これは原案によれば、
公共用地審議会は、
建設省の付属機関として置かれ、その
委員は
建設大臣が任命することとなっているのでありますが、この法案による緊急裁決というような強権の発動の根源となる特定公共事業の認定という、非常に重要な事項を
決定する機関として、その設置の方法や
委員の任命の方法は、はなはだ妥当でないと思われるのであります。そこでその妥当性を確保するという
意味におきまして、少なくとも
委員の任命は両議院の同意を得て内閣総理
大臣が行なうこととすべきものと思われますので、所要の
修正を加え、条文の整理をすることといたしました。
付則の
関係でありますが、付則第一項におきましては、この
法律の施行期日を、別に
法律で定める日といたしました。
次に、付則第五項におきましては、昨年度末まで
建設省に置かれていた
公共用地取得制度調査会と同名の調査会を再び設置することとし、ここでいわゆる補償基準その他の事項を調査
審議せしめることといたしました。
そして前に述べましたこの
法律の施行期日は、この
審議会の
結論を待って
国会に提案されるであろう補償基準に関する
法律の
制定施行の日前であってはならないこととしたのが、付則第二項であります。これは、この法案に定められている緊急裁決というような強権を動かすには、その前提として、公平妥当なる補償基準に関する
法律が
制定されているべきであるという考えに立脚するものであります。
なお、ただいま申しました付則第二項及び第三項は、公布の日から施行することといたしております。
次に、付則第三項は、
公共用地審議会を設けますことに伴う
建設省設置法の一部
改正であります。
最後に、付則第四項は、
公共用地審議会の
委員の任命につき、両議院の同意を必要とすることといたしますと、国家公務員法第二条第九号により特別職の職員ということになりますので、これに伴い、特別職の職員の給与に関する
法律の一部
改正を定めたものであります。
以上が、
修正案の
内容の説明であります。