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田中一君 水没しちゃって、五年もたっているのにかかわらず、清算されないとなれば、今までは金利をつけて払うなんていう
法律はないわけです。おそらく訴訟を起こしている金額も、そんなものじゃないと思う。やはりここに示しているように、二千七百万
程度のものが妥当だとして訴訟を起こしているのだと
思いますが、こういう行き方を一方にしておいて、そうして国民の権利を守るんだとか何とかいったところが、そうはならないですよ、こういう事例があると。
だから、さっきも
飯沼参考人が言ったのは、こういう強い
法律を作ると、ますます国民はこれに従わないというのですよ。合法的な闘争が激しくなるというのですよ。いい例を見せているのは、この事件です。訴訟を起こしておるのだからやむを得ませんということだけでは済まないですよ。この訴訟は、いつごろ済むのですか。その見通しはいかがですか。そうして、この
裁決文をすっかり見ると、当然、
委員会が、大河原旭、須藤義明、それから藤本滝也という
人々に鑑定を依頼しているのです。ちゃんと手続をしていながら、その
裁決が不服だということを
起業者が言うのでは、それはもう信用できませんということなんです。なるほど金は国民のもとですから、幾らでもあるでしょう——国民は、実は、そんな金は持っていないのですよ、ことに水没するような
人たちは。ことに農村においては激しいです。訴訟をするにも、訴訟をする金もない人が多いのです。下釜
ダムの室原さんは別です。資金がだいぶあるということです。
収用委員会の
裁決が下って、その
裁決が不服だといわれたのじゃ、国民はたまったものじゃないです。ましてや物件というものは、もうとられてしまっているんですよ。住んでいた家はぶちこわされているんです。今このように水没している。どうにもならない既成事実を作って、今度また国が提訴をする、原告になる。これを解決なさい。これを解決する方が先決です。それには
話し合いをするんです。けんかを売っているのは国じゃないですか。
収用委員会の
裁決は、当然守らなくなって、訴願の道もありますけれ
ども、
話し合いの
公共事業を行なうということを口で言っていながら、こういう訴訟を起こしているということになれば、弱い者、貧乏人、智恵のない
人たちは、全くもみくちゃになってしまうんですよ。例外だなんていうことはあり得ないですよ。同じことです。少なくとも一億七千万の要求をして四千四百万にきまったわけです。国が二千七百万で申し立てをしている。この問題を解決しない以上、国民の不信感というものは抜けきらないです。これを解決しないで、そうして今度の
法律をそのまま実施しようということは許されないことである、許すことができないです。あやまちは改めるに、ちっとも遠慮は要りませんから。私は何も荒雄岳鉱山から変なものをもらっているわけじゃないですよ。
自分のなにで言っているんじゃないです。何も依頼を受けたことはありませんよ。法を
ほんとうに信頼されるように行なおうとするには、こうした問題を解決しなければだめです。それは、弁護士は一番ほくそえんでいる。何といったってお互いに金持ちだから、いつまでもやっていけるが、しかし物件は水没している。こうしたことに、今度の
法律でもって強制しようとしている。今度の
法律は、私は、大臣から、これはどうするかという答弁がなくちゃ、どうしても抵抗します。今度の火曜日の閣議でもって、これをきめていらっしゃい。閣議の問題ですよ。こういうことをしているから、政治に対する国民の信頼というものを失っているんじゃないですか。とんでもないことですよ。これは中村さん、あなたが閣議に持ち出しても、決して恥ずかしい問題じゃないですよ。あなたが良心的な政治家である以上、片方には、これを強制しようとする、現在あるところの
土地収用法以上のものをもって収奪しようとする。しかし一方においては、こうして
収用委員会の
裁決に対して異議の申し立てをしているという、これは何とか解決しなければならぬ。そうしなければ、実際にこういう
法律を作っても、国民の抵抗は強まるばかりです。これは
内容を、こうなっているから、どうしようかということくらいは……。そうすれば、あなたは、選挙に楽々と当選しますよ。これはもう
一つ何とか態度を明らかにして下さい。それは訴訟を待つばかりでございますといっても、訴訟を取り下げればいいんです。あなた方がいつも言っている
話し合いができるのです。お前の方でも、これは
一つがまんしてくれ、おれの方も、これを認めるからということで、円満に解決するのです。
おそらくこの荒雄岳鉱山なんというものも、これは長年訴訟をやったのじゃ、とても続くものじゃないです。その
施設は全部水没しているということになれば、とんでもない話ですよ。これは大臣から何らかの答弁がなくちゃ、ここでひっかかっちゃう。答弁求めます。
ほんとうに国民から信頼される政治を行なおうとするならば、態度をきめて下さい。