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田中一君 これは神崎さん個人に向かって申し上げるのじゃなくて、
理事長としての立場に申し上げるのですが、二年間、話し合いでもって買収ができるのだというような信念を持ちになり、かつまた、おそらく
出席されておる藤本
理事もその方の専門家でありますから、その自信はいまだに持っていると思うのです。実際にそういう気持をお持ちであれば、どうか自分の方だけはこの法の
適用外にしていただきたいということの御意思を発表なさることが、神崎
理事長としてりっぱな
理事長のはずでございます。どうか自分の方だけは、自信がございます、この
法律——
土地収用法は
適用しないで何とかやっていきます、これから除外していただきたいというくらいな決意がなくてはならぬと思うのです。私は、十年間——この
法律ができ上がって十年間です、十年間るる再三再四にわたって、
政府並びに各これで
収用し得る
事業団体に向かっては説いているわけです。第一に
計画性の問題です。突如として起こるような問題はこれは別でございます。これには御
承知のように災害というものが
適用されておりません。災害復旧というのは
適用されておらないのです。災害復旧並びにこれに関連する改良工事というのは含まれておりません、今回の
法律には。これはなぜかと申しますると、復旧をする、また改良をする、その
事業者に対する信頼があるからです。よりよいものを作ってくれるであろうと思うから、喜んで自分の
土地をも提供することができ得るからです。しかしこれには本来ならば、災害復旧に関連するところのその部分以外の
事業があるはずでございます。
土地を
収用しなければならぬ、全然災害を受けていない個所を用いなければならぬはずもあるわけでございます。これもこれに触れておりません。なぜ触れていないか。おそらく
政府としての立案の過程においても、その場合には、災害復旧という大事な仕事であるから、その
事業主体に対する信頼を持ってもよろしいのだ、また、信頼を持っているのだという前提に立つ除外だと思うのです。今、神崎さんのやっておられる仕事というのも、これは当然、
国民的な大きな意味からして、当面の問題としてこれは
国民が求めております、大部分の者は求めております。しかしこの
事業の当初からあるところの
計画性というもの、だれがこうしたかということになりますと、これは政治でございます。ことに今までの終戦後の都知事の行政の足りなさというものが、今日を招来したものです。私は全国の都市を見ております。小さな都市でも実にりっぱな戦災復興
事業を行なっておる地域がたくさんございます。一体東京はどうしたかとなりますと、これはもうだれがしたか人為的なものです。自然発生的にきたものじゃございません。むろん自動車の台数が十年たったらこうなる、二十年たったらこうなるという予想が多小狂いがあろうとも、日本の歴史的な既成都市、ことに江戸時代からこの町並みというものはでき上がっておるのです。従ってあの大戦災によって大部分のものがなくなった場合に、これに対処するところの政治的な、行政的な熱意があったならばこういう不幸はみなかったわけなんです。そうして私は今、昭和二十六年に
土地収用法というものを一これは
政府がとうてい出し得ないので、議員提案で出したものでございますが、このときの提案者並びに
政府の答弁というものを、これを皆さん方にお読みを願いたいと思うのです、なぜ、この新しい
土地収用法ができたかという点。日本に新しい憲法ができまして、この憲法の精神を受け継いで、主権在民の思想から生まれたところのこの新しい
収用法でございます。これはすべて
国民のためにある
収用法なんです。
事業を行なおうとするものは、これによってすれば
国民の
理解のし得る——
国民が納得し得る形の
土地収用法なんです。私は、おそらく神崎さんは、
土地収用法というもののよさというもの——いわば
事業者のためにあるのでなく、
国民のためにあるのだということに対する御認識が潔いものだから、
土地収用法をお使いにならぬのじゃないか、こう思うのです。そこできょうはもう時間ありませんが、まだ
相当四、五十時間、質問する時間がございます。あなた方にしても一日おきか毎日、こちらに御
出席になっていただきたいのです。いろいろお仕事があると思いますけれども、どうか御
出席いただきたいのです。私も体力の続く限り皆さん方の内容、実態というものを知りながら、かりにこの
措置法が通った暁には、あなた方は何をするかという点を究極まで、あなた方の言質をとらなければ私はやめませんから、この私の心境というものは、決して神崎さん、あなた一人に申し上げておるのではないのです。いらっしゃる皆さんに申し上げておるので、従って今までどういうことをなすってきたかということが根底となります。私は今度のこの提案された
法律が、ある一定の限定されたる
事業であるならば、社会党としても賛成しようという態度でおったわけです。ところがまことに便乗主義——便乗的にどれもこれもみんな入ってきておる。私企業も入ってきておる。そうして一方、善良なる
国民を、ごね得とか何とかマスコミも何も誹謗しながらこの
法律を通そう、この
法律によって安易な形で
国民の
財産権というものを
収用しようという
考え方に対しては、社会党は御
承知のように数は少ないですから、これは強行すれば通るでございましょう。通った暁は何をなさるかということを究明しなければ、とうていわれわれは納得できるものではない。その意味で、神崎さんだけをつかまえて、こういうことを申し上げておるけれども、時間をかけてほんとうに慎重に
審議をしてやっていきたいと思うのです。従って、きょうは私も、ちょっと四、五日旅行してきたものですから、資料が整っておりませんから、次回からできるならば当面、この
収用法を担当する方々と、
総裁あるいは副
総裁がおいでを願うことが望ましいのであって、各
政府機関並びに
政府の方々も、そういう方々においでを願いたいと思うのです。従って私はきょうはこれ以上は質問いたしません、次回に譲りますが、どうか
一つそういう点で十分に資料を、われわれ
国民が納得する資料を御持参願いたい。それから
電源開発、道路公団、電電公社、国鉄——国鉄の場合には新幹線の
事例、新幹線の、今道路公団に言ったように、買収の所有者別、個所別、買収が済んだところの年月日、それから
価格、未買収のもの、法
適用のものというふうに分けて新幹線全線にわたってお出しを願いたいと思うのです。むろん道路公団も名神国道に対して全部お出し願いたい。それから電電公社の方は、これは今藤田
委員は
一つだけ言えと言ったのですが、それは全部資料としてお出し願いたい。問題のある場所、問題の
理由。それから
電源開発に対して申し上げておきますが、何年前ですか六、七年前になりますが、只見川で七、八軒の最後まで
承知をしなかった農民がおったわけです。これは藤井さんは御存じないかもしれないけれども、そのときに反当たりたしか百十何万円という
補償金を払おうとした。その七、八軒がどけばその年の年度にできるというので踏み切って、
相当高額を
補償しようとしたことがあった。その事実を当
委員会がつかまえまして絶対にそういうことはいけない。過当な
補償をしてはならないといって、八十何万かに、あなたの方に反省してもらって値下げをして妥結した。値下げというか、
補償金を低くして妥結した
事例があるのです。この
事例を
一つお出し願いたい。その経緯をすっかりお出し願いたい。