○
政府委員(鬼丸勝之君)
建設業法の一部を
改正する
法律案について逐条的に御
説明申し上げます。
本
改正の要旨は、最近における
建設工事量の増大にかんがみまして、
建設工事の施工体制を強化し、
建設工事の適正な施工を確保するとともに、中小
建設業者の一そう健全な発達をはかるため、
建設業者の登録の要件を
整備するとともに、総合工
事業者及び専門工
事業者の名称、
建設業者の経営に関する
事項の審査及び
建設業者団体に関する
届け出等の
制度等の
規定を設けることといたしたことであります。
以下、逐条その要旨を御
説明申し上げます。
まず、目次の
改正は、以下の
改正に伴ない委して所要の
整備を行なったものであります。
第二条の
改正は、現在は第一項において
建設工事の定義をいたしておりますが、
建設工事の種類としては、別表各号に掲げる工事の種類のみにとどまらず、別表各号に掲げる工事を組み合わせて土木一式または建築一式に関する工事を総合的に行なうものがありますので、これを種類としてあげることとしたものであり、第二項においては、
建設業を定義して、職別という名義をもってする
建設工事の完成を請け負う営業をも
建設業ということとしておりますが、この職別という名義は、総合という名義に対比する場合、必ずしも適当でありませんので、専門という用語に改めたものであります。
次に章名の
改正は、以下の
条文の追加及び
改正に伴うものであります。
第五条第一項の
改正は、現在は、登録
申請者は、その者(
法人である場合は、その
役員)またはその使用人のうち一人が一定の実務経験を有している者、免許もしくは認定を受けた者でなければならないこととなっており、この一人の者についての実務経験、免許、認定等については、広く
建設工事に関するものとなっていて、その資格要件が軽易かっ画一的にすぎるうらみがありますので、この者を主として請け負う
建設工事の種類ごとに、その
建設工事に関する実務経験を有する者または免許、認定等を受けた者とし、この者を一名常置することといたしました。また、現在学歴及び実務経験を有している者と同等以上の学歴及び実務経験を有するものとして、第一号において
建設大臣が認定した者及び現在第二号に
規定している
法律または
命令による免許または技術もしくは技能の認定で、
建設工事に関するもののうち、
建設大臣が指定したものを受けた者については、新しく第三号において一括して
建設大臣が認定するものといたしております。
第五条第二項の
改正は、
建設大臣の登録を受けようとする者が、第一項の要件以外に必要とされる要件でありまして、同一都道府県内にある営業所の一に置くべき者の資格については、現在、第五条第一項の者の資格と同じくしております。今回の
改正により第一項の資格については、主として請け負う
建設工事に関するものに限られることとなるのでありますが、
建設業の企業としての登録に関する技術上の要件については、
改正後の第一項の資格のみを具備すれば足りますので、
建設大臣の登録を受けようとする者が、各都道府県の営業所の一に置くべき者の資格については、従前の
通りといたしたものであります。
第六条の
改正は、登録
申請書に
記載する
事項のうち、総合
建設業または職別
建設業の区別及び
建設省令で定める専門工事の種類につきましては、今回の
改正におきまして、総合工
事業者の登録の
制度を設け、また、登録の要件の
整備を行なうことによって、この
事項の内容が明瞭になりますので、登録
申請書から除いたものであります。
第七条第四号の
改正は、従来の第五条に
規定する登録の要件を備えていることの誓約書にかえて、今回は新しく同条第五号として第五条に
規定する要件を備えていることを証する書面を徴することとする旨の
規定を設けましたので、これに伴う
改正でございます。
第七条第六号の
規定は、従来徴していた営業の内容を示す主要な
事項を
記載した
書類で
建設省令で定めるものにかえて、これらの
書類のほか、登録
申請書及び附属
書類に
記載した
事項の確実を期するため、これらの
書類の
記載事項の証憑
書類等をも徴し得るよう営業に関する
書類で
建設省令で定めるものとして
規定したものであります。
第十一条の
改正は、第二十九条の
改正に伴うものであります。
第十三条の
改正は、第七条の登録
申請書の
添付書類の
改正に伴いまして、第五条に
規定する要件を備えている者につき変動を生じたときの
措置を
規定したものでありまして、第五項として、
建設業者は、第五条第一項各号の一に該当する者として証明された者が、その
役員もしくは使用人のいずれでもなくなった場合もしくは同項第三号に該当しなくなった場合または営業所に置く同条第二項各号の一に該当する者として証明された者が、その営業所のある都道府県の常業所に置かれなくなった場合もしくは同項第三号に該当しなくなった場合において、これにかわるべき者があるときの
変更の
手続を
規定し、第六項として、
建設業者は、第五条第一項各号に
規定する要件を備える者を欠くに至ったとき、同条第二項に
規定する要件を欠くに至ったとき、または第十一条第一項第一号及び第三号から第六号までの登録の拒否要件の
規定に該当するに至ったときの
手続を
規定しております。第十五条の
改正は、現在の登録の取消を行なった場合の登録の抹消を行なう
規定について、登録の取り消しは第二十九条の
規定によるもののほか、第二十九条の二の
規定によるものをも含ませるべきでありますので、この旨を
規定したものであります。
第十六条の
改正は、登録簿とともに、第五条に
規定する者の
変更に関する
書類及び総合工
事業者の登録等に関する
書類をも公衆の
閲覧に供すべきでありますので、このように
措置したものであります。
新たに設けました第二章の二の
規定は、
建設業者が
建設工事を施工するに当たり、土木一式工事または建築一式工事を総合的に施工するものと、各専門分野において施工するものとの二種に区分されている実態に即して、
建設業者を総合工
事業者及び専門業者に区分することとした
規定であります。
第十七条の二の
規定は、総合工
事業者と称することができるものの資格及び
手続に関する
規定でありまして、主として請け負う
建設工事の全部または一部が土木一式工事または建築一式工事である
建設業者で、その者(
法人である場合においては、その
役員)またはその使用人のうち、当該土木一式工事または建築一式工事に関し、第五条第一項各号の一に当たるものとして証明された者のほかに、一人が土木一式工事または建築一式工事に関し学歴を有しかつ一定年限以上の指導監督的な実務の経験または
業務管理の責任者としての経験を有する者か、土木一式工事または建築一式工事に関し十年以上指導監督的な実務の経験または
業務管理の責任者としての経験を有する者か、またはこれらと同等以上の能力を有するものと認定した者である場合においては、
建設業者登録簿に総合工
事業者の登録を受けることによって、総合工
事業者と称することができることといたしております。この総合工
事業者の登録は、当然、
建設業者の登録に付帯するものでありますので、同条第二項において、その有効期間は、その
建設業者の登録の有効期間に従うこととし、同条第三項において、
建設業者の登録の有効期間満了の後引き続き総合工事者と称しようとする者は、
建設業者の更新の登録を受ける際に、総合工
事業者の登録の更新を受けなければならないことといたしております。
第十七条の三の
規定は、総合工
事業者の登録の
申請に関する
手続でありまして、総合工
事業者の登録またはその更新の登録を受けようとする者は、
建設省令の定めるところによって、登録
申請書と、総合工
事業者と称するための要件を備えていることを証する書面を
建設大臣または
都道府県知事に
提出しなければならないこととしております。
第十七条の四の
規定は、総合工
事業者としての登録を受けた
建設業者について、その総合工
事業者として備えていた要件について変動があった場合の
規定でありまして、第一項においては、総合工
事業者の登録の要件とされている資格者が、その総合工
事業者の
役員もしくは使用人のいずれでもなくなった場合、または
建設大臣の認定する者に該当しなくなった場合において、この資格者にかわるべき者があるときは、
建設省令の定めるところによって遅滞なく、その者について、その者が総合工
事業者の登録の要件とされる資格者であることを証する書面を
建設大臣または都道府県に
提出しなければならないこととし、同条第二項においては、総合工
事業者の登録を受けた者で総合工
事業者の登録の要件とされている資格者を欠いたときは、
建設省令の定めるところによって、遅滞なく、その旨を書面で
建設大臣または
都道府県知事に
届け出なければならないことといたしております。
第十七条の五の
規定は、総合工
事業者の登録を
建設業者登録簿から抹消する場合の
規定でありまして、
建設大臣または
都道府県知事は、
建設業者の登録を抹消した場合、または総合工
事業者の登録を取り消した場合においては、その
建設業者にかかる総合工
事業者の登録を抹消しなければならないこととしております。
第十七条の六の
規定は、本章及び第二十九条第二項に
規定するもののほか、総合工
事業者の登録に関する必要
事項について、
建設省令への委任を
規定したものであります。
第十七条の七の
規定は、
建設業者の総合工
事業者と専門工
事業者の区分に関する
規定のうち、専門工
事業者に関するものでありまして、
建設業者のうち総合工
事業者の登録を受けたもの以外の者は、
建設省令の定めるところによって、主として請け負う
建設工事の種類を明らかにした文字を冠する専門工
事業者と称することができることとしております。
なお、
建設業者を総合工
事業者と専門工
事業者に区分する効果については、特に、営業
制限を伴うものではなく、第四条の
建設業の登録を受けた者は、
建設工事の種類を問わず、これを請け負うことができるのでありますが、総合工
事業者または専門工
事業者と称することにより、また、営業所、工事現場等にこの区分を明示させることにより、
建設業に関する一般の取引の安全とそれぞれの分野における施工体制の向上を期待しているものであります。
第二十六条の
規定は、工事現場に置く主任技術者の資格については、第五条第一項の
規定が
改正されましたので、従前
通りの資格とするための
改正であります。
第四章の二の
規定は、現在、公共性のある施設または
工作物に関する
建設工事につき、各注文者が行なっている入礼参加を
希望する
建設業者の資格に関する審査のうち、経営規模その他経営に関する客観的
事項に関するものは、
建設業法の施行をつかさどる行政機関において一括して行なうことが的確妥当であり、また、その審査の
手続については、公正妥当な
方法により的確に行なうべきでありますので、この趣旨の
規定を設けたものであります。
第二十七条の二の
規定は、
建設大臣または
都道府県知事は、
建設省令の定めるところによって、公共性のある施設または
工作物に関する
建設工事で
建設省令で定めるものの入札に参加しようとする
建設業者で、
建設大臣または
都道府県知事に
申し出をしたものについては、経営規模その他経営に関する客観的
事項の審査を行なうことができることとしており、この場合の審査の項目及び
基準については、現行法において中央
建設業審議会が入札参加者の資格に関する
基準を作成しております
関係上、同条第二項において、中央
建設業審議会の意見をきいて
建設大臣が定めるものとしております。
第二十七条の三の
規定は、この審査を受けた
建設業者の請求があったときは、
建設大臣または
都道府県知事は、そのものにかかる審査の結果を通知しなければならないものとし、また、第二項において、注文者の請求があったときは、
建設大臣または
都道府県知事は、審査の結果を通知しなければならないものとして、審査の結果の利用をはかっております。
第二十七条の四の
規定は、審査の結果について
異議のある
建設業者は、その審査を行なった
建設大臣または
都道府県知事に対して、再審査の申し立てをすることができることとして、前条第一項の
規定とあわせて審査の公正妥当を期しております。
第二十七条の五の
規定は、この章に
規定するもののほか、審査及び再審査に関し必要な
事項につき、
建設省令で定める旨を定めたものであります。
第四章の三の
規定は、
建設工事の適正な施工を確保し、
建設業の健全な発達をはかるためには、
建設業者団体の自主的活動にまつところが多く、これらの団体の発達を期するためには、
行政庁としても
建設業者団体の適切な指導を行なう必要がありますので、この
規定を設けたものであります。
第二十七条の六の
規定は、
建設業に関する調査、研究、指導等
建設工事の適正な施工を確保するとともに、
建設業の健全な発達をはかることを
目的とする
事業を行なう社団又は財団で、
建設省令で定めるものは、
建設省令で定めるところによって、
建設大臣または
都道府県知事に対して、
建設省令で定める
事項を
届け出なければならないこととし、これにより
建設業者団体の実態及びその活動状況を
行政庁において知ることができることといたしております。
第二十七条の七の
規定は、
建設大臣または
都道府県知事は、
届け出のあった
建設業者団体に対して、
建設工事の適正な施工を確保し、または
建設業の健全な発達をはかるために必要な
事項に関して
報告を求めることができる旨の
規定であり、これらの
規定の運用により
建設業者団体及び
建設業者への一そう適切な指導を期することとしております。
第二十八条の
改正は、現在の
建設業者に対する監督の
規定中、勧告に関する
部分を第四十条の二として新たに
建設業者団体に関するものとともに設けましたのに関連して整理を行なったものであります。
第二十九条の
改正は、総合工
事業者の
規定を設けたことに伴い、総合工
事業者の登録の取り消しを行なう場合を
規定したものでありまして、
建設大臣または
都道府県知事は、その登録を受けた
建設業者で総合工
事業者の登録を受けたものが、総合工
事業者の登録の要件としての資格者を欠くに至った場合または不正の手段により総合工
事業者の登録を受けた場合には、その
建設業者にかかる総合工
事業者の登録を取り消さねばならいものとしております。
第三十七条の
改正は、中央
建設業審議会が所掌する
事項は複雑多岐にわたる上に、その調査審議する内容によっては専門的な知識を要しますので、
建設業に関する専門の
事項を調査審議させるために、中央
建設業審議会に専門
委員を置くこととしたものでありまして、第一項において、その設置を
規定し、第二項において、専門
委員は、その専門の
事項に関する調査審議が終了したときは解任されるものとしており、第三項において、専門
委員の勤務及び欠格
条項並びに専門
委員たるべきものについて、
委員の
規定を準用することといたしております。
第四十条の
改正は、
建設業者の掲げる標識に、現行法において
記載させている
事項のほか、総合工
事業者又は主として請け負う
建設工事の種類を明らかにした文字を冠する専門工
事業者の名称を
記載させることといたしたものであります。
第四十条の二の
規定、
建設業者団体の
規定を設けたことに伴い、
行政庁は、
建設業者団体に対する指導等を行なう必要がありますが、あわせて、
建設業者に対しても指導等を行なうことが妥当と考えられますので、
建設大臣または
都道府県知事は、その登録を受けた
建設業者または
建設業者団体に対して、設建工事の適正な施工を確保し、または
建設業の健全な発達をはかるために必要な指導、助言及び勧告を行なうことができることといたしたものであります。
第四十六条の
改正は、第一号において登録
申請書または添附
書類に
虚偽の
記載をして
提出した者に関する
罰則を一括して
規定するための
改正を加えたものであり、同条第二号において、
建設業者の登録の要件の
改正に関連して、登録の要件とされている資格者の
変更に関する
書類を
提出せず、又は
虚偽の
記載をして
提出した者についての
罰則を設けたものであり、同条第三号の
規定は、登録の要件とされている資格者が欠けた場合の
届け出をしなかった者についての
罰則を設けたものであります。
第四十九条の
改正は、総合工
事業者及び専門工
事業者の
制度を設けたことに伴い、第二号において総合工
事業者の登録を受けないで総合工
事業者と称した者または専門工
事業者と称し得る
規定に
違反して、これらの名称を称した者についての
罰則を設け、同条第三号において、総合工
事業者の登録またはその更新の際に要する
書類または総合工
事業者の登録の要件とされている資格者に
変更があった場合の届出の際に要する
書類に
虚偽の
記載をして
提出した者についての
罰則を設け、同条第四号において、総合工
事業者の登録の要件とされている資格者に
変更があった場合または欠けるに至った場合に
書類の
提出を怠った者についての
罰則を設けたものであります。
別表の
改正は、電気通信工事は、従来電気配線工事の一種として、またブロック工事はれんが工事の一種として処理してきたのでありますが、おのおのその工事の量の増大と、施工体制の
整備等に伴い、従来の電気配線工事またはれんが工事から分離することが適当と考えられますので、独立の
建設工事として追加したものであります。
附則といたしまして、第一項において施行期日として、公布の日から起算して六月をこえ一年をこえない範囲内で政令で定める日から施行することとしております。
経過
規定といたしましては、
附則第二項において、現にこの
法律による
改正前の
建設業法の
規定により登録を受けている
建設業者の登録に関しては、その有効期間内は従前の例によるものとしておりますが、この
建設業者につきましても、今回の
改正の総合工
事業者または専門工
事業者の
規定の適用を
希望する者につきましては、
附則第三項において、その
建設業者が、
建設省令の定めるところにより、
改正後の
建設業者の登録の要件とすべき資格を備えていることを証する書面を
建設大臣または
都道府県知事に
提出した場合に限って、適用させることとしております。また、この場合の
建設業者につきましては、
附則第四項において、その登録はすべて新法の定めるところにより受けた登録とみなして新法を適用することといたしております。
以上で
説明を終わります。