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政府委員(鬼丸勝之君) 全
建労が二月の下旬から三月の下旬にわたりまして、各地建管内において行ないました違法あるいは不当行為の状況をまず申し上げまして、それに対して
建設省当局としてどういう対策、措置を講じたかということを次に申し上げ、最後に処分の
内容につきまして、お手元にお配りいたしました資料に基づいて申し上げたいと思います。
まず、全
建労は、ことしの一月下旬以来、昭和三十五年度の
部分定員化について、採用を古い者順から行なえということが
一つ、それからもう
一つ、二番目は、三十六年度の定員化を定員法による全員定員化を行なうべきであるということ、最後に共済組合の長期掛金率を千分の四十一以下に引き下げるということ、この三つの要求
事項を掲げて闘争を始めましたが、これらの要求につきまして、当局に入れられないという理由で、二月の下旬から三月の下旬にかけまして、勤務時間内の職場大会等の違法不当行為を繰り返して、各地建においてひんぱんに行なったものでございます。
概況を簡単に申し上げますと、まず勤務時間内の職場大会でございますが、これは全
建労の全国統一行動によるものといたしましては、三月一日には全国百二十カ所で、参加人員が六千名、その時間はいろいろでございますが、最高は一日に及んでおります。まる一日やっておる。次は三月十五日には、全国約七十カ所で、参加人員は約四千名でございまして、このときも、大会の時間もいろいろございますが、最高時間は二時間以上に及んでおります。三月二十三日は、全国約四十カ所で、参加の人員は約二千六百名、これも最高時間二時間以上のものが
相当ございます。こういう職場大会を勤務時間内に食い込ましてやっているという状況でございますが、この統一行動によるもののほか、さらに地本なり——地本と申しますのは、地方
建設局の全
建労の本部でございますが、そこであるとか、あるいは工事事務所段階に設けられております全
建労の支部、こういうものが独自に職場大会をやったというのも
相当ございまして、特に東北、四国、九州の各地建の管内におきまして、
相当ひんぱんに行なわれまして、特に東北のある事務所のごときは、二月の二十日から三月の二十三日までの間に、実に二十一回の勤務時間内職場大会を
実施している。あるいはまた、まる一日勤務時間をほとんど全部つぶした職場大会を二回も
実施している工事事務所等もあるのであります。こういうことのために、勤務時間内職場大会を
実施されました工事事務所におきましては、
相当の期間業務が停滞しているという実情でございます。
次には、一斉休暇でございますが、これは東北地建の管内十一事務所、その出張所におきまして一斉に職員の五割の休暇闘争が二日間にわたって行なわれております。
第三番目は、怠業行為でございますが、これは東北のやはり二つの事務所で、半日
程度の黙秘による怠業が行なわれておりますし、あるいは四国の管内では二つの事務所で職場放棄の怠業行為が行なわれているのであります。
四番目は、すわり込み、これも東北地建、四国地建、関東地建の各本局、そのほか
相当数の工事事務所におきまして、二月の下旬からやはり三月の中旬にわたって
相当行なわれております。そのほか、各地建の本局なり工事事務所におきまして長時間にわたる団体交渉の強要が行なわれておる。本局の
局長なり事務所長なり、その他幹部職員がつるし上げを受けて、そのあげく疲労こんぱいに陥られまして、確約書を書かされた、こういうような
事例が
相当ございます。このために二人も事務所長が病気になりまして入院をした、こういう事実がございます。
こういう違法行為なり、あるいは不当な行為が激しく行なわれたわけでございますが、これに対しまして
建設省当局といたしましては、これらの行為が行なわれると予想されます場合には、従来も常に全
建労に対しまして厳重な警告を発しておったのでございますが、特に今回の二月下旬からの違法不当行為に対しましては、これらの予想され得る場合には、必ず事務次官名あるいは官房長名をもちまして、このような違法行為が行なわれないように厳重警告をいたしております。また警告したにもかかわらず、こういう行為が行なわれたという場合には、地建当局あるいは工事事務所長から中止命令を出すように、地建当局に対しましても十分注意を促しておったのでございます。また
一般職員に対しては、特に三月の十一日に、
建設大臣から、国家公務員としてこのような違法な行為を起こすことのないように訓示を発しておるのでございます。こういうような措置をとりましたにもかかわらず、勤務時間内職場大会に参加するというようなことをやった者に対しましては、賃金カットを行ないまして、
一般参加者の反省を促しておるということでございますし、また今回は、特に違法行為を
指導し、あるいは教唆、扇動いたしました責任者、組合の幹部
指導者に対しまして、その組織上の責任とともに、違法行為の企画、
指導あるいは教唆、扇動の行為をあ
わせて責任を問うことにいたしまして、国家公務員法に基づく当該処分を行なうことになった次第でございます。
この今回の処分の
内容につきましては、「懲戒処分者一覧表」という印刷物をお手元にお配りしてございますので、これで御
承知をいただきたいのでございますが、懲戒処分の種類別に総体の数を申し上げますると、免職が十一名であります。停職が三十二名、停職は一カ月から十カ月まで、いろいろございますが、三十二名、減給が六十八名、戒告が二十七名、以上合計百三十八名でございまするが、これは別の一枚紙で、これもお配りしてございますような処分の理由と処分の基準によりまして、今回の時間内職場大会なり職場放棄等一連の違法行為を、当局の警告を無視して行ないました。その違法行為の企画、
指導なり、あるいは教唆、扇動いたしました責任者に対しまして、法に照らして懲戒処分を行なった、こういう次第でございます。
処分の基準といたしましては、ここにも書いてございますように、違法行為が
相当はなはだしく行なわれた
事例につきまして、その責任を問うという
考え方で、まず処分の措置を
検討いたしたのでございます。それから第二は、処分の
対象とするものは、全
建労の本部、それから地建の本局にありまする本部に
相当する地方本部というもの、それから工事事務所にありまする支部、それから工事事務所の出張所なり、あるいは本所といいますか、そこに分会というものが設けられております。こういう全
建労の組織のそれぞれの機関における違法行為の
指導者、それも実質的な
指導者に限った次第でございまして、従って単に職場大会、勤務時間内職場大会に参加いたしました
一般職員は、今回の処分から除外されております。処分の量定にあたりましては、違法行為の態様、初めの処分理由に書いてございますような、いろいろな違法行為がございまするが、これらの種類とか、あるいは
程度、まあ回数、頻度というようなものもございますが、こういうものを十分考える。同時に、これらの違法行為における当該本人の役割等を具体的に勘案いたしまして、これらの事情に即して処分の量定をいたしたのでございます。
以上かいつまんで申し上げましたが、今までの経過を申し上げた次第でございます。