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政府委員(
関盛吉雄君) ただいま
議題となりました
公共施設の
整備に関連する市街地の改造に関する
法律案につきまして、
逐条説明を申し上げます。
第一章、総則でございますが、第一条は、この
法律の目的を定めたものでございます。
公共施設の
整備に関連する市街地の改造に関し所要の事項を規定することによりまして、道路、広場、その他の都市
公共施設を
整備いたしまするとともに、都市生活を快適ならしめますため、
環境の
整備を行ないまして、都市の機能を維持増進し、
公共施設の
整備との関連において、これに隣接する市街地の不燃化、高層化を行いますことによって、市街地における狭隘な土地の合理的利用をはかりまして、あわせて
公共施設用地を合理的に確保することを目的といたしております。
第二条は、この
法律において用いておりまする特別の用語の意義を定めたものでございます。
第一号は、市街地改造
事業について定めたものでありまして、その内容は、道路、広場等の
公共施設の用に供せられる土地及びその付近地におけるこれらの
公共施設の
整備と建築物及び建築敷地の
整備とに関する
事業並びにこれに付帯する区画街路等の
整備その他の
事業を含んでいるものであります。
第二号は、建築
施設整備事業について定めたものでありまして、市街地改造
事業のうち、建築物及び建築敷地の
整備に関する
事業をさすものでありますが、建築敷地用地の取得は、
公共施設用地の取得とあわせて行なうことが適当でありますので、これを建築
施設整備事業の内容から除外いたしております。
第四号は飛ばしまして、第五号は、
公共施設について定めたものでありまして、その具体的な範囲につきましては政令で定めることといたしております。
第九号及び第十号は、それぞれ借地権、借家権について定めたものでありまして、借地法、借家法の適用される範囲と同一のものといたしております。
第三条は、市街地の改造に関する都市計画を決定する場合における地区の要件を定めたものでありまして、第一号は、
公共施設の
整備が要請されていることを、第二号は、都市計画上用途地域制の確立されている地区であることを、第三号は、土地の高度利用化、都市の不燃化を要請されている地区であることを、第四号は、土地の大
部分が二階以下の木造建築物によって利用されている現況にある地区であることを、第五号は、
公共施設の
整備に伴い不整形残地または過小残地を生じ、市街地の
環境が著しくそこなわれるおそれがある地区であることを、第六号は、土地区画整理のみによっては土地の合理的利用の増進をはかることが困難である地区であることを、それぞれ要件として規定しているのであります。
第四条は、市街地の改造に関する都市計画の内容の基準を定めたものでありまして、第一号は、
公共施設の
整備に関しましては、既存の都市計画の内容に従うべきことを、第二号は、建築物の
整備に関しては、
公共施設の
整備によって生ずる空間の有効利用と建築物の隣棟間隔を確保することを考慮いたしまして、健全な高度利用形態となるべきことを、第三号は、建築敷地の
整備に関しましては、建築物の健全な高度利用形態と適合した街区が形成されるべきことを、それぞれ基準として規定しているものであります。
第五条は、市街地改造
事業は、総合的な都市計画の見地から施行されますることが必要でありますので、都市計画
事業として施行する旨を規定したものであります。
第六条は、市街地改造
事業の施行者について規定したものでございます。第一項は、市街地改造
事業は、ただいま申し上げました
通り、都市計画
事業として施行することにいたしておりますが、その施行者は、従来の都市計画
事業の施行者について規定しておりまする都市計画法第五条の規定の適用を排除いたしまして、本条の第二項及び第三項の定めるところによることとしたのであります。まず、第二項におきまして、
公共施設の
管理者である、または
管理者となるべき
建設大臣、都道府県知事または市町村長あるいは
公共施設の
管理者である、または
管理者となるべき都道府県または市町村で、
建設大臣に市街地改造
事業を施行することを申し出たものが施行することといたしまして、第三項におきましては、第二項第一号の行政庁である施行者が施行する場合におきまして、その
事業のうち、建築
施設整備事業につきまして、一定の場合にその行政庁の統轄する都道府県または市町村が申し出により施行することができることといたしております。
次は第二章、市街地改造
事業、第一節、測量、調査及び土地の収用等の規定でございますが、第七条は、市街地改造
事業の施行の準備またはその施行のため測量または調査を行なう必要がある場合における他人の占有する土地への立ち入り等について定めてございます。
第八条は、他人の占有する土地に立ち入って測量または調査を行なうにあたって必要な障害物の伐除及び試掘等について定めてございます。
第九条は、ただいま申し上げました土地の立ち入り等を行なうにあたって携帯すべき証明書等について定めてございます。
第十条は、土地の立ち入り及び試掘等に伴う損失の補償について定めてございます。
第十一条は、測量のための標識の設置について定めてございます。
第十二条は、市街地改造
事業の施行の準備または施行のための便宜を施行者及び施行者となろうとする者に与えるために、登記簿等の
関係簿書の無償閲覧等について定めてございます。
第十三条は、市街地改造
事業を施行すべき土地の区域内における建築行為等の制限について定めたものでありまして、市街地改造
事業の円滑な施行をはかるため、建築物の新築等、一定の行為について都道府県知事または
建設大臣の許可を受けることを要することとし、第四項以下におきまして、建築行為等の制限に違反した行為に対する是正措置及びその手続等について定めてございます。
第十四条は、市街地改造
事業のための土地等の収用について定めておりますが、第一項では、市街地改造
事業の公共性にかんがみ、施行者は、その施行する
事業のため必要な土地及び権利を収用することができることといたしております。第二項は、市街地改造
事業が地元
関係者を従前の居住地の付近地において再び居住させることにより、地元
関係者の権利を保護することをも意図しているものである
関係等からいたしまして、土地収用法において被収用者等から建築物の収用請求ができる場合の要件を緩和して、第一項の規定により土地または権利が収用される場合において、その土地またはその権利の目的である土地に建築物を所有する者は、一般にその建築物の収用を請求することができることとし、土地収用法の特例を定めております。
第十五条は、市街地改造
事業の施行の円滑をはかるため、建築物等の所有者で、その建築物等の存する土地について施行者に対抗することができる権利を有しない者に対し、施行者がその建築物等の移転を命ずること及び建築物等の占有者で、その建築物等に関し所有者に対抗することができる権利を有しない者に対して、施行者がその建築物を所有者に引き渡すことを命ずることができる旨を定めております。
第十六条は、一時収容
施設等の設置のための土地等の使用について定めてございます。
第十七条は、市街地改造
事業のための土地等の収用及び一時収用
施設等の設置のための土地等の使用については、この
法律に特別の規定がある場合のほか土地収用法の規定を適用すること及び都市計画
事業にかかる収用に関し特例を定めた都市計画法の規定が準用されること等が定めてございます。
第二節の
事業計画及び
管理処分計画についてでありますが、第十八条は、施行者は
事業計画を定めるべきことを定めております。
第十九条は、
事業計画においては、施行地区、設計及び
資金計画を定めることといたしております。
第二十条は、
事業計画の公告について定めております。
第二十一条は、施行地区内の土地の所有者、借地権者及び建築物の所有者が施行者が
整備する
施設建築物の一部の譲り受け希望の申し出をし、並びに借家権者が賃借り希望の申し出をすることができる旨を規定し、それらの申し出に伴う必要な手続について定めてございます。
第二十二条は、施行者が
審査委員の過半数の同意を得て
管理処分計画を定めるべきこと及びその認可について定めてございます。
第二十三条は、
管理処分計画において定めるべき一事項を列挙してございます。
第二十四条から第二十八条までは
管理処分計画策定の基準を定めております。
すなわち、第二十四条は、居住
条件を改善し、建築
施設の合理的利用をはかるように定めるべきことを規定し、第二十五条は、第一項において、
原則として、譲り受け希望の申し出をした者には譲り渡し、賃借り希望の申し出をした者は賃借りすることができるように定めるべきことを、第二項において、これら
関係者相互間に不均衡を生じないように定めるべきことを、第三項において、一定の場合に床面積を増減することができることを、第五項において、特定の場合に譲り受け、または賃借りすることができないこととなるように定めることができることを定め、第二十六条は、
施設建築物の共用
部分の共有持ち分及び
施設建築敷地の共有持ち分の割合について規定し、第二十七条は、譲渡価額及び標準
家賃の算定の基準に関し定め、第二十八条は、譲り受け希望の申し出、または賃借り希望の申し出をした者に譲り渡し、または賃借ししない
部分、いわゆる保留
部分は、
原則として、公募により譲渡または賃貸を行なうようにすることを規定しております。
第二十九条は、
管理処分計画の縦覧及びそれに伴う必要な手続について定めてございます。
第三十条は、
管理処分計画の決定もしくは変更またはそれらの認可があったときの公告及び通知について定めております。
第三節の建築
施設の
部分による対償の給付でありますが、第三十一条は、
管理処分計画において建築
施設の
部分を譲り受ける者として定められた者——以下建築
施設の
部分の譲り受け予定者と申し上げます。それの土地、借地権または建築物が市街地改造
事業のために買収され、または収用されるときは、その買収代金または補償金等の対償にかえて、市街地改造
事業によって
整備される建築
施設の
部分が給付されるという建前について定めております。第二項は、前項の建前をとる以上、収用の時期までに補償金の払い渡し等をしないときは収用の裁決が失効するという土地収用法の規定を適用しない旨を定めております。第三項は、建築
施設の
部分の譲り受け予定者の土地等が施行者に買収されたときは、その土地等の上に存する先取特権、質権または抵当権は、
法律上当然に消滅することを定め、自後、これらの担保物権は、次条の規定により物上代位することとしております。
第三十二条は、前条の土地等が担保物権の目的である場合においては、担保物権は、建築
施設の
部分の給付を受ける権利及び土地等の対償の供託金に対して物上代位できる旨を定めております。
第三十三条は、土地等が担保物権の目的である場合には、その対償の額が
管理処分計画において定める建築
施設の
部分の価額をこえるときは、その差額を払い渡しにかえて供託すべき旨を定めております。
第三十四条は、第三十一条の規定の建前上、土地等の対償にかわるべき建築
施設の
部分の給付を受ける権利の内容が
管理処分計画において明らかにされた後でなければ、施行者において譲り受け希望の申し出をした者の土地の取得等ができない旨を定めております。
第三十五条は、
管理処分計画において譲り受けることと定められた建築
施設の
部分の価額の概算額が土地等の対償の額をこえる場合には、建築
施設の
部分の譲り受け予定者は、その譲り受け希望の申し出を撤回することができる旨を定めております。
第三十六条は、
管理処分計画の変更をした場合における建築
施設の
部分の譲り受け予定者に対する土地等の対償の未払い
部分の金額の払い渡しについて定めております。
第三十七条は、施行者は、建築
施設の
部分の譲り受け予定者の土地等の対償の未払い
部分について、
利息相当額を払い渡すべきことを定めております。
第三十八条は、土地等が担保物権の目的であった場合における前二条の規定による金額の供託について定めております。
第三十九条は、建築
施設の
部分の給付を受ける権利の譲渡その他の処分の対抗要件について定めております。
第四節の建築
施設に関する権利
関係の確定等でございますが、第四十条は、建築
施設整備事業に関する工事が完了した場合におけるその公告及び通知について定めております。
第四十一条は、建築
施設の
部分の譲り受け予定者及び
管理処分計画において
施設建築物の一部を賃借りすることができる者として定められた者は、前条の工事の完了の公告の日の翌日においてそれぞれ、建築
施設の
部分を取得し、または
施設建築物の一部について賃借権を取得する旨を定めております。
第二項から第五項までは、建築
施設の
部分の譲り受け予定者の土地等が担保物権の目的であった場合の調整措置に関する規定であります。
第四十二条は、前条の規定による建築
施設の
部分の所有権の取得に伴う登記の嘱託に関する規定であります。
第四十三条は、建築
施設の
部分の譲り受け予定者と、
管理処分計画においてその者から
施設建築物の一部を賃借りすることができる者として定められた者とは、
家賃その他の借家
条件について
協議すべき旨を定めております。
第四十四条は、前条の借家
条件についての
協議が成立しない場合においては、施行者が、
審査委員の同意を得て、諸般の事情を考慮の上、裁定を行なうべきことを定めております。
第四十五条は、前条の裁定の効果に関する規定であります。
第四十六条は施行者は、
事業費を確定するとともに
事業費及び近傍類似の土地、建築物の価額を基準として、譲渡価額及び
家賃の額を確定すべき旨を定めております。
第四十七条は、前条の規定により確定した譲渡価額と土地等の対償の未払い
部分の金額とに差額がある場合における清算及びこれに伴う滞納処分等について定めております。
第四十八条は、前条の清算金等を徴収する権利の消滅時効について定めております。
第四十九条は、清算金を徴収する権利に関する先取特権について定めております。
第五十条は、建築
施設のうち施行者が取得する保留
部分の
管理処分について定めております。
第五節、費用の負担等でありますが、第五十一条及び第五十二条は、市街地改造
事業によって
整備される
公共施設、建築物等の
整備に要する費用の負担または補助に関して、都市計画法を除く他の法令に特別の規定があるときは、それらの規定の適用がある旨を定めております。
第三章、雑則でありますが、第五十三条は、市街地改造
事業の適正な施行をはかるための規定でありまして、譲り受け希望の申し出をした者及び賃借り希望の申し出をした者の半数以上の賛成を得て、施行者が
審査委員を三名以上選任して、それらの者を
事業に関与せしめて、市街地改造
事業の円滑な進捗を期そうとするものであります。
第五十四条は、施行地区内の
関係権利者が権利の譲渡、相続その他の事由で変更した場合等に、あらためて手続を更新するわずらわしさを避け、本
事業の諸手続の円滑な進捗をはかる目的からして、施行者、
関係権利者、いずれに変更あった場合でも、両者の間の
関係は、変更後の当事者間に当然に承継されるようにいたしておるのであります。
第五十五条は、本
事業によって
整備された土地、建築物等の登記について、その手続の簡略化をはかるため、一括申請その他について不動産登記法の特例を定めることができることとし、その具体的な内容については政令で定めることとしております。
第五十六条は、建築
施設については、この
事業の特殊性に基づく
管理処分の
方法を講ずる必要がありますので、建築
施設に関しましては、地方公共
団体の財産の
管理処分についての法令の規定を適用しないことといたしておるのであります。
第五十七条は、市街地改造
事業に関する簿書の備え付け及び利害
関係人の請求があった場合におけるこれを閲覧させる義務について定めております。
第五十八条は、書類の送付にかわる公告について定めております。
第五十九条は、
意見書等の提出の期間の計算等について定めております。
第六十条は、市街地改造
事業の円滑な施行をはかるために、施行者が
建設大臣等に対して技術的援助を請求することができることといたしております。
第六十一条は、市街地改造
事業の適正な施行を確保するために必要な
建設大臣の監督処分権限について定めてございます。
第六十二条は、市街地改造
事業の施行を促進し、または建築
施設の適正な
管理処分を確保するため必要な
建設大臣または都道府県知事の報告の徴収、勧告、助言等について定めてございます。
第六十三条は、第十三条の規定に違反した建築物の移転命令または第四十四条の規定による借家
条件の裁定等に不服ある場合の
関係権利者の
異議の申し立て及び訴願等について定めてございます。
第六十四条は、建築
施設整備事業のみの施行者がある場合における施行者についての技術的読みかえについて規定したものでございます。
第六十五条は、
建設大臣に属する権限の一部を都道府県知事に委任しようとする規定であります。
第六十六条は、地方自治法に規定する指定都市について都道府県と同様の取り扱いをする旨の規定であります。
第六十七条は、この
法律の実施に必要な事項を政令に委任する規定であります。
第四章、罰則は、第六十八条、第六十九条及び第七十条について罰則の規定を定めております。
次は附則でございまして、第一項は、この
法律の施行の日について定めてございます。
第二項は、不動産登記法の一部を
改正する等の
法律の施行に伴う必要な経過措置を定めたものであります。
第三項は、登録税法の一部
改正を定めたものでございまして、市街地改造
事業の施行のため必要な土地または建物に関する登記で施行者が嘱託するものについて登録税を課さないことを定めたものでございます。
第四項は、市街地改造
事業のうち、建築敷地の
整備に関する
事業は、都市計画法第十六条第二項の建築敷地造成に関する
事業に該当するものでありますので、この
法律に関連して都市計画法の一部を
改正するものでございます。
第五項は、この
法律の施行に伴う
建設省設置法の一部
改正でございます。
第六項は、地方税法の一部を
改正して、譲り受け予定者が建築
施設の
部分を取得した場合における不動産取得税について、その減免の措置を講じようとする規定でございます。
第七項は、租税特別措置法の一部を
改正して、土地収用法等による収用等の場合の譲渡所得等に対する所得税または法人税の賦課の特例を市街地改造法による収用等の場合についても認めようとするものであります。
第八項は、首都高速道路
公団が委託を受けて市街地改造
事業を施行することができるように首都高速道路
公団法の一部を
改正する規定であります。
以上で逐条の概要の
説明を終わりますが、何とぞよろしく御
審議のほどお願いいたします。