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1961-07-11 第38回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年七月十一日(火曜日)    午前十時三十四分開会    ——————————   委員の異動 六月十日委員松澤兼人辞任につき、 その補欠として藤田進君を議長におい て指名した。 六月三十日委員藤田進辞任につき、 その補欠として大河原一次君を議長に おいて指名した。 七月一日委員大河原一次辞任につ き、その補欠として藤田進君を議長に おいて指名した。 七月五日委員西田隆男君及び木下友敬辞任につき、その補欠として斎藤昇 君及び松澤兼人君を議長において指名 した。 本日委員武内五郎辞任につき、その 補欠として清澤俊英君を議長において 指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     稲浦 鹿藏君    理事            田中 清一君            武藤 常介君            内村 清次君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            太田 正孝君            小山邦太郎君            村松 久義君            米田 正文君            清澤 俊英君            田中  一君            武内 五郎君            藤田  進君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設政務次官  田村  元君    建設省計画局長 關盛 吉雄君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省道路局長 高野  務君    建設省住宅局長 稗田  治君    林野庁指導部治    山課長     手束 羔一君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (集中豪雨による被害対策に関する  件)    ——————————
  2. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  本日は、去る六月下旬の集中豪雨によりまする被害状況並びに対策について調査を行ないたいと存じます。  本件につきましては、災害状況調査のために、本院からそれぞれの被害地に対して議員を派遣しておりますが、当委員会からも三名の委員の方が参加されております。また、去る四日には、当委員会といたしまして、とりあえず在京委員の打合会を開きまして、被害現況等について説明を聴取し、また対策について協議もいたしておりますので、御報告をいたしておきすす。  それでは、被害概況並びに対策につきまして、初めに政府委員から御説明を願いたいと思います。大臣は閣議のために若干出席がおくれます。御了承願います。  まず、山内河川局長から御説明願います。
  3. 山内一郎

    説明員山内一郎君) それでは、お手元にお配りしてございます縦に長い、昭和三十六年梅雨前線豪雨による被害概況、これに基づきまして御説明をいたします。  一ページ、二ページに気象の概況が書いてございまして、今回の豪雨梅雨前線による豪雨でございまして、それがさらに台風六号が非常に湿気の多い風を吹き込んで非常な豪雨各地にもたらした、こういうことになっております。一ページは、二十四日から降り出しました六月一ぱいに各地に降った雨量でございまして、二ページの方は、七月に入りましてからさらに東北、北陸、山陰、九州、こういう各地に降った雨量連続降雨量がしるされております。一ページにごらんいただきますように、五百ミリ以上連続雨量がございましたところが相当な個所数に上っております。ここに県名と地名が一々書いてございますが、長野県、岐阜県、愛知県も大体五百ミリ級、それから三重県、兵庫県、奈良県の大台カ原和歌山県、徳島県、高知県、こういうような各地に非常な豪、雨をもたらし一ております。二ページの方は、島根県の出雲市で二百ミリ、これは非常に集中的に降りました雨でございます。  それでは、これらの豪雨によります現在までに入っております公共土木施設被害、そのうち河川局の分を御説明いたします。三ページの上の方に総括的に数字が書いてございますが、直轄災害河川関係が三十一億二千七百万円、砂防関係が一億五千二百万円、補助災害、これは都道府県からの現在の被害報告額集計でございますが、三百三十五億九千二百万円、こういうような数字に現在相なっておるわけでございまして、なお、調査の進むにつれまして増額見込みでございます。これらの内訳につきましては、五ページ以降に書いてございますので、この表によって御説明をいたしたいと思います。  五ページは、直轄河川被害状況でございます。地方建設局ごと河川名とそれから洪水の水位の関係、その一番右に被災状況、こういうように区分して書いてございます。これらの河川のうち被害のひどかった所を取り上げて申し上げますと、関東地方建設局富士川でございますが、これが二十六カ所で三億四千二百万円、こういうようなことになっております。それから北陸地建の信濃川、これが七千万円、これは長岡の地先でございますが、非常に危機に瀕しましたが、水防でやっと食いとめたという個所でございます。千曲川、十七カ所で一億二千万円、それから中部地建の狩野川でございますが、これも下流地帯が非常な災害を受けたわけでございまして、上流の三十三災で復旧いたしました個所はほとんど被災がなかった、こういう状況でございます、二十カ所で一億二千万円。それから中部地建の一番下に長良川、六ページに参りまして揖斐川、木曾川、この三河川、いわゆる木曾水系の三河川につきましては、大体伊勢湾台風とひとしいような洪水が流れまして百十カ所七億一千四百万円、これも非常に危険な個所がございましたが、水防でやっと食いとめた、こういう状況でございます。次は天龍川上流でございますが、これが直轄河川のうち一番甚大な被害をこうむっております。破堤も相当な延長に上っておりまして、個所といたしまして三十二カ所十億三千九百万円、こういうようになっております。それから九州地建の筑後川、これが十三カ所八千二百万円、これらを合計いたしますと三百二十二カ所三十一億二千七百万円、こういうような現在のところの被害状況でございます。  次は七ページ直轄砂防被害状況でございますが、直轄事業でやりました砂防施設被害でございます。これは総計で三十一カ所一億五千二百万円、これはなお天龍川等でまだ被害が判明しない個所もございますので、相当増額見込みでございます。次は、八ページを飛ばしまして九ページに参ります。これは補助災害被害状況でございます。県の数にいたしまして三十八の都府県に上っております。ほとんど全国の県が被害を受けたというような状況でございまして、これらの県のうち特に被害のひどかったところだけを申し上げますと、九ページの中ごろの茨城県でございますが、これが九百七十五カ所で十一億五千七百万円、それから少し下に参りまして、千葉県も大体十億程度でございまして六百九十六カ所九億九千八百万円、こういうようなことに相なっております。十ページに参りまして、上から二つ目の山梨県でございますが、富士川、釜無川の水系被災を受けまして千三百十四カ所十五億一千二百万円。その次が最も被害甚大な県でございまして、長野県でございますが、いわゆる伊那谷中心とした被害でございまして、三千九百三十八カ所、九十億七千三百万円、これはまだなお増額する模様でございます。それから石川県が千七十カ所で九億一千九百万円、岐阜県が長良、揖斐、木曾水系でございまして、非常に平野部に雨が降りました関係上、非常なはんらんをもたらした被害でございますが、いわゆる内水ではんらんをもたらした被害でございますが、千七百七十三カ所で二十二億一千六百万円。十一ページに参りまして静岡県でございますが、伊豆半島並び天龍川上流部におきまして被害が発生いたしまして、千三百九十四カ所で二十六億六千五百万円。次は愛知県でございますが、千六百七十四カ所で二十億四千六百万円。次は三重県でございまして、非常に熊野灘に豪雨をもたらしたという関係と、三重県の北部地帯にも相当な被害がございまして、千四百三十七カ所、十六億九千四百万円、こういうような数字になっております。滋賀県も非常に被害がございまして九百十五カ所、八億六千六百万円、こういうふうになっております。十二ページに参りまして、一番上の兵庫県でございますが、神戸、西宮、尼崎、芦屋と、こういう周辺に豪雨による災害がございまして、二千五百二カ所、十六億三千六百万円。それから三つおきまして島根県でございますが、これが七月に入りましてからの豪雨による災害でございまして、二千百二十六カ所、十一億九千二百万円。大体以上のような県が中心になりまして、ほとんど全国的に被害を受けて、ただいまのところ集計は二万八千八十八カ所、三百三十五億九千二百万円、こういうような数字に上っておるわけでございます。  それから十三、十四を飛ばしまして、応急措置関係でございますが、被害が非常に激甚でございましたので、六月の二十九日に建設省災害復旧促進本部を設けまして、いろいろ措置を講じているわけでございますが、六月二十七日から七月二日まで政務次官三重岐阜愛知静岡の各県に行かれております。六月三十日に建設事務次官兵庫県、それから七月一日から五日まで技監長野県、それから四日から六日まで建設大臣長野県にそれぞれ視察をされまして応急措置を講じております。  公共土木施設関係で最も緊要に措置しなければいけないものは直轄災害でございまして、これは予備費から金が出ない以上、復旧費が全然ないわけでございます。従って非常に緊急を要する個所につきまして、予備費から四億二千六百万円、これを支出をいたしまして、取りあえず緊急復旧工事を現在実施をいたしております。  補助災害関係はそれぞれここに書いてございますように、被害激甚地災害査定官を派遣をいたしまして、被害状況調査、あわせまして応急復旧工法指導、こういうことに全力を現在あげているわけでございまして、できるだけ県の災害準備を急がせまして、緊急査定実施して予備費から支出をしたい、こういうつもりで進んでおります。  それから十六ページに参りまして、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の(ニ)のところでございますが、緊急砂防事業費関係でございますが、これも建設省に幾分手持ちがございますが、これでは不十分でございますので、予備費から支出をはかりたい、こういうことで現在実情調査全力をあげている、こういう状況でございます。  それから対策関係でございますが、公共土木施設といたしましては、直轄災害については先ほど申し上げました通りでございますし、補助災害につきましては、さしあたりは復旧工法指導、こういうことに全力をあげまして、どうしても当面の復旧資金がないというような地方公共団体に対しましては、つなぎ融資のあっせんを行なうということにいたしておりますが、現在のところ、まだそういう申し出がございません。各地方大蔵省の財務局によりまして、各地方公共団体ごとにやっておる、こういう状況でございます。  ロが緊急査定を早く行なって予備費を早く出すという問題でございます。  それから次は、地すべり崩壊のはなはだしい地域につきましては、緊急砂防事業費は先ほどの通りでございますが、三十四年にとりましたような特殊緊急砂防実施することにしたい、こういうつもりで現在、大蔵省と折衝中でございます。  それからイロハニのニでございますが、被害のはなはだしい個所とか緊要な工事につきましては、できる限りの復旧の進捗をはかる。特に非常に危険でございます直轄天龍川上流の区域につきましては、来年の出水期までに何とか復旧を完了したい、こういうつもりで予算並びに事業実施を現在やっておる最中でございます。  十七ページに移りまして、復旧関係でございますが、被害のはなはだしい個所災害復旧にあたりましては、一定計画に基づいて改良復旧実施する、こういう方針で復旧工法指導並びに査定準備をいたしております。  それから小災害の点につきましても、都道府県の要望がございますが、これは三十四災にもとりましたような、地方財政によって措置をしたい、こういうことで大蔵とか自治に現在協議をいたしておる段階でございます。  それからなお水防資器材の問題でございますが、今回の災害で非常に水防活動が活発に行なわれまして、相当な水防資材を使っておりますので、これに対して何とか補助をしたいというので、現在その数量を調査中でございますが、大蔵省とも折衝している段階でございます。  以上、河川局の分について簡単でございますが、説明を終わります。
  4. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に、高野道路局長から御説明を願います。
  5. 高野務

    説明員高野務君) 道路局関係災害復旧状況を申し上げます。  道路災害につきましては、補助工事の分は、ただいま河川局から御説明いたしました災害状況の中に包含され  ておるのでございまして、道路局といたしましては、地建が行ないます直轄工事分だけを担当しているわけでございます。  刷りものの八ページをごらんいただきたいと思います。八ページ一級国道指定区間被害状況でございます。一級国道指定区間について直轄災害として復旧するわけでございます。直轄道路災害額合計いたしまして百二十五カ所で一億六千六百万円に達しているわけでございますが、このうち百十三カ所、金額にいたしまして九千三百七万五千円、これは維持費修繕費、あるいは工事中でございまして改良工事で施行するという関係のものでございますので、残りの十二カ所七千三百三十二万円が災害復旧費として施行するものでございます。  被害は、中部地建北陸地建近畿地建にわたっておるのでございますが、このうち一番大きい被害を受けましたものは、一号国道静岡県の三島市の三谷新田、同じく静岡県の志太郡の岡部地内の二カ所でございます。三島三谷新田は、箱根の峠を越しまして三島の方に向かって参りまして、約九キロの所でございますが、これが三十メーターにわたりまして道路が流失いたしました。一時は交通不能になりまして、また同時に、二級国道東京沼津線もとまっていたのでございますが、画二日は交通不能という状況でございました。現在では小型車だけは交通ができるようになっております。大型車は二級国道東京沼津線を迂回して通っておる状況でございますが、七月十三日には大型車もこの個所を通せるようになるということになっております。  次に、志太郡の岡部地内でございますが、宇津谷トンネル西出口から約二百メーターの所でございますが、ここでも崩壊が、ございまして、一時交通不能になったのでございますが、この個所旧道がすぐそばにございまして、一号線としては通行可能でございます。現在ではこの旧道と現国道、両方使いまして交通しておる状況でございます。その他十カ所被害を受けたのでございますが、これはいずれも交通可能でございます。この災害個所につきましては、緊急融資で八百万円の予備費支出いたしまして、いずれも着工して復旧に努めておる次第でございます。  直轄災害状況は以上でございますが、別の刷りものに、昭和三十六年梅雨前線豪雨による交通支障箇所、という表を差し上げてございます。これは一級国道指定区間のほかに、県で維持しておる区間、あるいは二級国道区間が入ってございます。第一ページ右側  指定区間内の被害状況につきましては、ただいま御説明申し上げました通りでございます。その一ページ右側指定区間内、というのに対応してブランクになっておりますが、これは指定区間外一級国道でございます。  新潟の八号線、新潟県の中頸城郡柿崎地内、米山峠という所でございますが、これは道路が約百二十一メーター地すべりの中に入っておりまして、なお現在、地すべりが続いておりますので、交通不能でございます。この道路は八月十日ごろまで開通できないということでございますが、目下のところ、できるだけ早くこの開通をはかっておるわけでございます。しかし、道路交通といたしましては、少し遠いのでございますが、柏崎−松代−十日町線、直江津本線を迂回いたしまして通っております。  次に、四十一号線の富山県内婦負細入村蟹寺で道路決壊が五十メーターございました。これは宮川と高原川の合流点災害でございまして、すぐ上に県道が一本と国鉄の高山線が通っておりますので、非常に復旧に困難なのでございます。七月二十日には開通できる見込みでございます。また、交通は、県道細入古川線を迂回して現在辛うじて通っております。  次に、二級国道につきまして二ページと三ページにございます。長野県内におきまして数路線の二級国道被害を受けているのでございます。一番被害の激甚でございました飯田を通っております名古屋塩尻線飯田豊橋線の二本につきましては、現在なお交通不能の個所があるわけでございまして、迂回路を利用いたしまして、ようやく、長野豊橋名古屋に対しまして交通を辛うじて保っている状況でございます。  また、その上の福井松本線の中におきまして、松本から上高地へ入ります個所、安曇村の地内でございますが、これも地すべりの中に道路が没しておりまして、現在交通不能でございます。鋭意復旧対策を練っているのでございますが、目下のところ開通見込みが立たないという状況でございます。そのほか石川県、静岡県、福井県、兵庫県、和歌山県の地内におきます二級国道被害を受けておりまして、交通不能のものがあるわけでございます。鋭意交通確保に努力している次第でございます。  以上道路関係を終わります。
  6. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 続いて關盛計画局長に設明を聞きます。
  7. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 十三ページ都市災害についての被害報告現況を取りまとめてございます。今回の災害によりまする都市施設災害被害額の大きいところは、神奈川県の二千七百七十六万、長野県の八千三百五万、愛知県の八千三百七万円、三重県の二千六百四十万、兵庫県が九千九十万、全体で三億七千百五十一万五千円というのが今日までの被害状況でございますが、関係市町村の数は四十四市町村ということになっております。府県の数は十四都府県ということになっておりまして、特にこれらの都市災害のうち顕著なのは、長野県の飯田中心といたしまして発生した災害でございまして、この飯田市の災害におきましては特に土砂崩壊が顕著でありまして、市街地には堆積土砂排土を要する事業も、今までの例に徴しまして相当な土量が堆積しておりますのと、いま一つは、飯田市は下水道の完備した市町村でございますが、その土砂のために下水道機能が喪失いたしておりまして、これを今月の初めから応急復旧をいたしまして、下水の機能が再開するようにいたさなければなりませんので、昨日緊急応急復旧査定実施することにいたしまして、大蔵省と同道で出発をいたしております。なお全般の地域につきましては、神奈川、あるいは兵庫、あるいは三重等大都市地域につきましては、すでに被害現地指導をいたしておりまして、その復旧計画を調製次第、都市災害復旧予算措置を講じて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  簡単でございますが説明を終わります。
  8. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 次に稗田住宅局長にお願いいたします。
  9. 稗田治

    説明員稗田治君) 住宅被害でございますが、十四ページをお開き願いたいのでございます。被害総計といたしまして全壊が千百六十八、流失が六百九十一、合計千八百五十九戸の滅失でございます。そのほかに半壊が二千五百十九戸あるわけでございます。被害のはなはだしかった県と申しますのは、兵庫県が百二十三戸滅失でございます。次に長野が千百二十八戸、静岡が百八十八戸、神奈川が百六十八戸という滅失でございます。まあこれらが被害のはなはだしかった所になるわけでございます。なお今回の住宅関係被害といたしましては、宅地造成工事中のものががけくずれを起こしまして下の家屋が被害を受けた、あるいは人命に損失があったというような事故が多かったわけでございます。そこで次の応急措置のところにもございますが、六月三十日に神戸のがけくずれ、それから七月一日、二日と神奈川県の横浜、横須賀、鎌倉、藤沢等を私調査して参ったわけでございます。  十六ページ応急措置といたしまして書いてございますが、住宅金融公庫による災害復興住宅融資を行ないますために、神戸市、横浜市、飯田市及び伊那市につきましては各市役所に、それから長野県の伊那下伊那地方につきましては各地方事務所に、住宅金融公庫相談所を開設したわけでございます。なお名古屋大阪等の地区に対しましては、公庫の職員を派遣して巡回させまして、被災者融資相談に応じさせているわけでございます。  対策といたしまして十七ページにございますが、住宅金融公庫災害復興住宅融資としまして、建設につきましては一戸当たり三十二万円まで、補修といたしましては一戸当たり十六万円までの貸付を行なうということにいたしているわけでございます。なおこのほかに建設の場合に整地を要する者、また新しく用地取得を要する者に対しましては、それぞれこの三十二万に六万円あるいは五万円という額を貸すわけでございます。従いまして、建設におきましては最高の場合は四十三万円までの融資が行なえることになるわけでございます。なおこの長野災害の場合におきましては、相当住宅が集団的に被害を受けておりますので、第二種公営住宅建設ということも場合によりましては必要かということで、長野県の方と目下計画等につきまして打ち合わせをいたしておるわけでございます。  次に今回の災害におきまして、造成工事中の宅地造成事故が非常に多かったものでございますので、これらにつきまして早急に立法措置等を講じたいということで、ただいま検討をいたしておるところでございます。  以上簡単でございますが住宅災害として申し上げました。
  10. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 続いて農林省林野庁治山課長から。
  11. 手束羔一

    説明員手束羔一君) 農林省関係治山輿係被害につきまして概要を御説明申し上げます。お手元に御配付いたしました資料の第一ページをお開きいただきますと、三十六年梅雨前線豪雨による農林水産関係被害概況ということになっておりまして、農林省関係総計は二百六十八億五千二百万円ということになっております。その中で林野関係は七十六億一千一百万円、その内訳治山で六十五億八千六百万円、林道で十億二千六百万円、合計いたしまして林野関係が七十六億一千二百万円、かような状況になっております。その一番下の行に国有林公団関係と書いてございますが、これは林野関係のその他の分でございまして、これが二十億四千三百万円、以上のような状況になっております。次のページの表をお開きいただきますと、その被害県別状況が載っております。一番右の欄の合計の一番下のところが二百四十八億九百万円ということになっておりますが、これは先ほど申しました国有林公団を除いてございまして、その状況は欄外に書いてございます。それで数字が二十億ばかり食い違っておるわけでございます。その他、この次のページをお開きいただきますると農林水産物被害状況というのが上っておりまして、これは農作物、林産物、繭、畜産物水産物等に分けまして県別にその被害状況が出ております。合計は百六十五億九千万円というようなことになっております。  前の表にかえっていただきまして、治山関係地方別について申し上げますると、治山の全体の六十六億円ばかりのうちの最も大きなものは長野県でございまして、これが治山で二十七億一千四百万円ということになっております。これはやはり飯田中心といたしました山岳地帯の新生崩壊地並びに拡大崩壊地等が大部分を占めるものでございます。これに次ぐものといたしまして、被害の三億ないし五億円というような所をあげますと、山梨、静岡岐阜三重兵庫の五県になっております。それに次ぐものといたしまして一億円ないし三億円程度という所をあげますると、福島、茨城、新潟、富山、滋賀、奈良、和歌山、高知、この八県になっております。この治山被害のうち、いわゆる施設災害がこれに該当いたしまするものは、ここに県別数字は上がっておりませんが、一億九千三百万、大部分は新生崩壊地並びに拡大崩壊地の被害である、かような結果が出ております。また現在まで直轄で行なっておりました関係の部分、これは大体この被害の額のうち、この治山のところの下から三行目の欄に上がっておりますが、直轄、代行と書いてございます二億飛び七百万ということでございますが、大部分が補助事業に該当する地域被害でございます。  概況は以上の通りでございまするが、これに対しまして農林省のとりました措置といたしましては、被害激甚なる県につきましては六月三十日から四日間にわたりまして、井原政務次官岐阜兵庫三重愛知、それから八田政務次官長野、これは七月三日から七日にわたりまして長野、山梨、静岡等につき現地調査を行ないました。相前後いたしまして林野庁治山課並びに計画課からはこの林野関係災害につきまして、それぞれ現地調査のため派遣をいたしております。  その他、復旧計画に関しまする具体的な調査につきましては、七月七日から逐次激甚県を初めといたしまして調査を開始をいたしております。その他の府県に対しましてもすみやかに調査実施いたす、かような予定になっておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、御報告申し上げました。
  12. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ただいまの説明について御質疑のある方は順次御発言願います。
  13. 田中一

    田中一君 砂防が緊急砂防費幾らですかね、予算は。
  14. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 本年度の予算に組まれておりますのは総額で五億でございます。ただいままでに約一億使っておりますので、残額は四億でございます。
  15. 田中一

    田中一君 これを緊急砂防費全部出して、特殊緊急砂防事業にするということになると、予備費からそれに加えてどのくらいの規模になりますか。
  16. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 緊急砂防の全額につきましては、ただいま極力調査中でございますが、大体の見当としては五十億か六十億、そういう規模になるのじゃないか、そういうふうに考え  ております。
  17. 田中一

    田中一君 そうすると、それは伊勢湾台風のときにもあったように、緊急砂防費残った四億と、あと四十何億をもって、直轄砂防として被害のあった一億何千万という額が出ていますね、ここに。一億何千万というものを含めて予防的な砂防政策を行なう、こういうことなんですか。
  18. 山内一郎

    説明員山内一郎君) その通りでございます。
  19. 田中一

    田中一君 そうすると、治山治水の五カ年計画これとの関係はどうなりますか。今まである七百三十億というものの中からそれを食うのですか、それともそういう足りないものを、それプラス・アルファになるのですか、どっちなんですか。
  20. 山内一郎

    説明員山内一郎君) その辺は今後大いに検討しなければいけない問題だと思いますが、現段階ではこの前の五カ年計画のワクを食う、こういうことになっております。
  21. 田中一

    田中一君 災害復旧はとにかく一億何千万出ていますね、災害復旧費。これは別ワクだと考えて、そのほかの四十数億というもの、緊急砂防はむろん含まれておるものと思います。そうすると食うということは、五カ年計画で持とうとした計画実施期間が早まるということで理解してよいのですか、そういうように……。早まるということは少なくとも三十六年度に施行しようとしたもの、予定されておるもの、それにその分だけが加わって食うのだというような理解でいいのですか。
  22. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 総体のワクにつきましては今後相当検討を要するかと思いますが、三十六年度の事業としては、緊急砂防の分だけは現在やっております砂防にプラスになるということだけは間違いないと思います。
  23. 田中一

    田中一君 もう少し詳しく聞きますがね。そうすると七百三十億というものの施行が早まるのだということでいいのですか。
  24. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 緊急砂防の分だけ早まってくる、年次別に考えますと早まってくる、こういうふうになる……。
  25. 田中一

    田中一君 そこで砂防−長野県等もずいぶんここに林野の方の、治山の方の山腹砂防なりそれから渓流砂防なり施しておれば、これほどの被害はなかったのじゃないか、というような顕著な災害の実態というものがどうであったか、それを河川局関係並びに農林・省から聞いておきたいと思います。長野県等の、今言う通り砂防を繰り上げ施工をしなければならないということになると、緊急砂防的な性格のものを……、そうするとこのなぜそうしなければならないかという実情があるはずだと思うのですよ。それを両省から聞いておきたいのです、現状を……。
  26. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 現在の災害前に考えておりました現状よりも、今回緊急砂防をやらなければいけない個所というのは、非常な災害を受けまして一日も放置しておく場合には、次の出水で必ずさらに災害がひどくなる個所、あるいは土石がどんどん下流の方に流れてきまして、下流の河川の河底の上昇を来たす、こういうような非常に悪影響を及ぼすというようなところをできるだけ早く一応応急手当をしよう、こういう考え方であります。従ってそういう個所が相当今回の災害で出てきた、こういうわけであります。
  27. 田中一

    田中一君 農林省の方の山腹砂防の施設についての、既施設の崩壊などはどうなっておるのですか、どれくらいございますか。
  28. 手束羔一

    説明員手束羔一君) 施設災害は全体の六十七億円ばかりのうち、一億九千三百万、わずかでございます。
  29. 田中一

    田中一君 そこでたとえば長野県の飯田市周辺の災害伊那谷災害といいますかね、これなんか山腹砂防を施すべく約束された地区であったのか、そうでなかったのか。
  30. 手束羔一

    説明員手束羔一君) 通常の状態におきまして全国的に発生する荒廃地というものは、ある程度見込んでおるわけでございますが、飯田地区におきましてはこれが集中的に発生をした、やや見込みより多量に発生した、かような状況でございます。
  31. 田中一

    田中一君 それに対する対策は……。
  32. 手束羔一

    説明員手束羔一君) 建設関係とも緊密に御連絡の上で、緊急治山のワクで実施すべきもの、これを早急に調査をしておる、そういう段階で、ございます。
  33. 田中一

    田中一君 私は、幾ら河川局で渓流砂防といいますか、応急の施設を急速にやってもらってもやはり崩壊すると予想される、また豪雨でこれは危険だと予測し得ない雨量というものはこれはわかります。わかりますが、少なくとも今までの経験から、経験からですね、建設省はおそらく緊急砂防を施そうというのだから、その上にあるところの山腹砂防と並行してしなければならぬと思うのです。異常なる降雨量というものはこれは予測されぬといいながらも、少なくとも建設省はそこに応急的な砂防施設を持とうというのだから、話し合いでも何でもして、並行して一緒になってその山腹砂防をしなければならないと思うのです。その点はどういうふうな了解というか、話し合いで行なっておるのか。河川局河川局で独自な建前で、今後の災害を防止するために緊急にやろう、その上部にあるところの土砂崩壊がおさまっていなければこれはむだになってしまう、こんな例はたくさんありますよ。私はもう少し現地がおさまれば見に行きたいと思っておる、見に行きたいというか視察に行きたいと思っておりますが、山腹砂防と渓流砂防とが常に相関関係になって実施に移されなければならないと思うのですよ。だから今までも、治山課長は知らぬでしょうけれども、林野庁の諸君にも何べんも言っておるのは一つにしてしまえというのです。行政面を一元化しろとまで極言しておったのです。今度のような災害で、ただ単に予想できなかった雨量なんということでなくて、予想される災害を考えたならば、少なくとも渓流砂防を建設省が行なおうとするならば、その上流に対する対策、検討は当然行なってあったと思うんですよ。今河川局長が説明されておるところの個所、この一つ一つについて、農林省としてはどういう考えをもって、それに対してあなたの方の所管の部分に対してはどういう手を打とうとするのか、具体的に説明していただきたいと思うのです。
  34. 手束羔一

    説明員手束羔一君) 伊那谷中心といたしまする被害につきましては、現地に係官を派遣いたしまして、建設省からお出しになった係官と十分現地でお話し合いの上で、関連的に実施すべき部分について緊急調査をいたしておるという段階でございます。
  35. 田中一

    田中一君 河川局長に聞きますが、あなたの方で緊急砂防を行なおうという部分については、この山腹は全部農林省の方でもそれを行なうのだというような約束をしておるのかどうか、また約束をしておるならば農林省はどのくらいな予算を計上してやろうとするのか伺っておきます。まず河川局長。
  36. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 緊急砂防の個所等につきましてはただいま現地で調査中でございまして、それがはっきりいたしますと農林省と、もちろん連絡をとって治山の方もやってもらおうと、こういうつもりにいたしております。ただ現在の規模の構想は大体五十億か六十億になるんじゃないか、こういう検討中でございまして、その見当をつけているわけでございまして、実際は現地の調査中である、こういうことでございます。
  37. 田中一

    田中一君 それでその調査農林省建設省一緒になって調査をして、建設省は四、五十億のどうしても予算が必要であろうということを言っておるのですが、農林省はどういうふうに考えておりますか。
  38. 手束羔一

    説明員手束羔一君) 詳細は調査の上でないと申し上げられませんのですが、全体の被害報告といたしまして大体二十五、六億程度と見ておりますので、まあ大体本年度実施いたします分としましては五、六億円というようなものでいけるんじゃないか。本年度全体のワクとしましては約二十億くらい、かように考えております。
  39. 田中一

    田中一君 今河川局長が言っておるのは緊急砂防を言っているんですよ。通常予算で行なうところの計画というものはそうじゃなくて、当面今直ちにしなければならぬものを言っているのですよ。そうすると、それを打ち合わせてあなたの方でその部分の山腹砂防を施行するには、予算がどのくらいかかると予想するかというのです。それは四、五億でいいのですか。
  40. 手束羔一

    説明員手束羔一君) 緊急に行なわれると河川局でおっしゃいますのは、いわゆる緊急砂防として実施する分とかように理解をいたしております。それに対応いたしまして、私の方では、農林省といたしましては緊急治山をもって実施するということになるわけでございます。それで全体額としては約二十億くらい要るんじゃないかということでございます。それで、本年度直ちにかかる分といたしまして約五、六億くらいじゃなかろうか、かようにまず推定いたしておるのでございます。調査の結果、もっと大きくなるかもわからないと考えております。
  41. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 関連して。今田中さんの質問に対してお二方の答弁を聞いておるのですが、そこで今度の災害を顧みて、どのように今当局を責めてみても予算が足りない、手が足りなかった、それでこの場面に即応して直ちに緊急砂防その他の手をつけるとしても、今の手で間に合うのかどうか、本省は。そうして、そちらの方に集中すれば他の方があいてしまう。またその方面に被害をこうむるおそれが多分に出てくる。問題は、かねてからこの委員会でしばしば要望しておった、行政機構の充実ということがおろそかにされておったことであって、これはただ政府を責めるばかりでもない、われわれの力の及ばなかった点でありますが、そこで、今田中さんのおっしゃる山腹砂防と渓流との関連がどうも思うようにいかない、一本にしろ、これも一つの御議論であると思う。しかし一本にしても、今足りないものをいくら合わせても、仕事の分量が多いのに一本にしても、それでいいと私は思わない。むしろ足りないのだから両方が課を部にして、それを一本にして局にするというならば意味をなす。全体の予算とこれに対する人的配置がもう成っておらぬ、これは過去を責めるわけではありません。今後これから繰り返すことであろうと思う。これらに対しては一体皆さまに強く要望してもしょうがない、むしろ皆さまは顧みて静かにこの現状を見たいし、自分の責任を果たすためにこれでいいかどうか、われわれと一緒になって強く要望すべき立場に立っておられるであろうと思うが、それに対する所見なり、それに対する覚悟なりはどうなんですか、まず局長から伺います。
  42. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 砂防の必要性につきましては従来からも感じておりましたが、今回の災害で特に必要性が感じられて参ったわけでございます。従って、緊急砂防等につきましては繰り上げ実施といいますか、これでぜひやりたい、こういうふうに考えておりますが、その繰り上げされる金額によりましては、現在の人員では持ち切れないんじゃないか、こういうふうにも考えられます。従って、そういう状況とにらみ合わせながら今後砂防事業の拡大強化ということとあわせまして、われわれの人員強化といいますか砂防担当者の人員の強化、こういう点につきましてもぜひあわせて考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  43. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 農林省どうです。
  44. 手束羔一

    説明員手束羔一君) 林野庁といたしましても、現在まで毎年発生いたしまする災害につきましては、全力をあげましてこれに今対処いたしているわけでございますが、予算、人員その他の関係によりまして、まあ必ずしも十分だと申せない点もあるいはまあなきにしもあらずかと存ずるわけでございますが、私どもといたしましては現在の人員なり予算なりというようなものにつきまして、もっと強化をいたすということによりまして、一そうこの災害復旧に対する国民各位の御要望にこれはもっと沿っていかねばならぬ、かように覚悟はいたしておるわけでございます。なおその技術陣の強化等につきましてもいろいろと対策を講じているわけでございます。  なお建設省の砂防と、農林省の山腹治山というものの関連につきましては、終始これは緊密に御連絡をとっておりまして、これがまあたとえば、一つの部局であるとした場合におけるその関連のよさという程度まで、われわれは誠意を尽くしまして御連絡を申し上げている、かような状況でございます。で部局の差異によるところの連絡の不緊密による被害の問題、こういうものは全然これはなからしめるように努力をいたしたい、かように考えております。
  45. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 今お二人のお話を聞いて、役人としてはあの程度よりしょうがないかもしれないが、われわれとしてはほんとうに良心的な発露と申しますか、ということからいえばきわめて不満なんです。たとえば予算とにらみ合わせてとか、今調査中であるからそれによって人員の必要のあるものはこれを増すように努力する、そんななまやさしいものじゃない。これは非常にすまぬことをした、もっと早く当委員会で要望したようなことに、当事者としても熱意を込めて、身を挺して強く主張しておったならば、この災害がかりにあったとしてももっと少なくて済んだであろう。顧みて自分の職責の上からしてもまことに残念なことをした。従って過去はいたし方ないとしても、今後いろんな必要なものが出てくるでありましょうが、前からあれだけ強く主張されているのに、あとから出てきた何とか局というものの方に、大蔵省と妥協しちゃって、そうしてあなた自身の責任であるものを退けてしまうというようなことでは……私はただ一人あなたを責めるわけではありません、これは政務次官も非常に御熱意を込めておられたのでありますが、大臣も今度は一緒にいって、思いを新たにしている。この際むしろ臨時議会でも開くようならば、この仕事をするためにはこれだけの機構で、これだけの人間と、これだけの金がなければだめだというところで、この際でもおそくはないから、一つ立ち上がってその機構整備に骨を折るということが、せめてものこの災害に対する私どもは非常に大きな責任を果たすゆえんでもあると思う。将来に対する備えの上から思いますると、この点を私はお責め申し上げるのじゃありませんよ、私どもの熱意のあるところを一つ十分受け入れて、役人としても自分の職責を賭しても今度はやる、というだけの覚悟はしていただきたい、という希望を述べまして決意を促します。
  46. 田中一

    田中一君 この補助災害の中に砂防災害はどのぐらい含まれていますか、砂防災害は。
  47. 山内一郎

    説明員山内一郎君) ただいま工種別といいますか、その内訳調査中でございますが、従来の例から参りますと、総体の額の五%から一割、こういう実績になっております。
  48. 田中一

    田中一君 今までの経験ではそうだと言うけれども、今度の場合にはそういう経験を越えた考え方をしなければいかぬと思うんですよ。だから今までの経験だけであれば同じようなことを繰り返すわけだ。少なくとも五十億程度の緊急砂防というものを伸ばそうというならば、繰り上げてもやろうというならば、そんなもんじゃなかろうと思うんです。五%ないし一〇%というのは砂防災害そのものに対して言うのであって、緊急砂防の性格というものはそういうものじゃないと思うのです。少なくとも予防砂防の性格を持つものでなければならぬと思うのです。いつも私は申し上げているんですが、砂防の予防的な対策がないから大きな災害になるわけなんですよ。だから補助災害のうちの五%なり一〇%が砂防施設災害だというならば、実際に緊急砂防として実施しようとする額はどのくらい見込んでいるのか。少なくとも三百三十五億というような膨大な災害があるわけなんです。守るにはやはり予防的な砂防施設が必要なんです。それはどのくらいになりますか。
  49. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 先ほど申し上げましたのは、被害報告額の全体のうち砂防施設のこわれたものを復旧する、いわゆる国庫負担法によりまする従来の実例がそうでございますと申し上げましたので、実際に砂防に幾ら復旧費が要るかということは現在調査中でございます。従ってそれが判明すれば一割や二割になる、これはわかって参ると思います。国庫負担法で取れないような砂防の予防的な手当、これを特殊緊急砂防でやりたい、こういうふうに考えております。その大体の構想は先ほどの五十億ないし六十億程度ではないか、そういうふうに考えております。
  50. 田中一

    田中一君 そうすると直轄砂防も予防砂防も全部含めてだということですね、予防的な性格を持つ。あなたの言っている特殊緊急砂防というものは、あらゆるものを含めているんだということでいいんですか。
  51. 山内一郎

    説明員山内一郎君) その通りでございます。
  52. 米田正文

    ○米田正文君 今の砂防に私は関連して、ちょっとお聞きと要望したいのですが、私も実は長野県に行って三日間にわたって見てきました。今度の水害の原因は言われておるように、現地では二百五十年来の豪雨と言っておりますが、まあ非常な豪雨であった。しかもあの地帯は御承知のように中部構造線というか、大断層地帯なんです。そこがたまたまそういう自然条件で今度の大被害を生じたものだと私は見てきましたが、あの地帯が小渋川の水系、それから天龍の下流水系の両岸は無数の崩壊地帯が出ている。個所でいったら何万個所でしょうか、それは数え切れぬ無数の崩壊個所。それで今の緊急砂防もありましょう、もちろん緊急的な措置は必要ですが、恒久的な全体の砂防計画というものを私は検討しなきゃいかぬ、こう思います。そこで問題になる点はいろいろありますが、この砂防の全体計画を立てる上において、建設省の緊急砂防と農林省の山腹砂防と、この両者が一体になって計画を立てなきゃいかぬと思うのですが、これを一つ今度の水害から協議をするように、今までは現地でいろいろと協議はしておりますが、今度のように具体計画として両省でほんとうに現地に出かけて行って、両省の担当官、責任者が行って現地の関係者と一緒になって計画を立てるようにする必要があると思うのです。やっぱり従来通りの行き方でいきますと、連絡は十分とったと言いますけれども、なかなかそこが徹底的に連絡がとれておるとは言えない節が幾らもある。これは両省が一緒に行って計画を立ててもらう。それには緊急にやる砂防の問題と恒久対策と一緒にやってもらいたい。こういうことを私は痛切に感じて来ました。  それでその点を一つやってもろうのと、ついでに今度は査定をするときに、たとえば小渋川の上流の大鹿の地域のごときは一省では査定のできぬ大崩壊地点がある。その崩壊のために生じた被害は緊急砂防として取らなければならぬ分もあるが、通路災害としても取らなければならぬ、河川災害としても取らなければならぬ、あるいは耕地災害としても取らなければならぬというふうに、各種の災害が全部一つの土砂の崩落地帯の中にある。だから土木部だけでできないと思うのです。またそれをやると農林省が行ったときにまた困ると思う。そんな災害地があるのです、今度は特異なものですから。だからこれも合同査定というか、合同査定をして、その席で金額だけを分けるという行き方をする必要があろうと思う。  その点とさらにつけ加えて、それはその問題をお答えを願いたいのです。それをぜひやるようにお願いをします。それをお答え願いたいのですが、もう一つは、各地に行って、砂防のことですからついでに私は申し上げておきますが、緊急砂防というのは三十四年度以来三カ年計画程度で年限を切って継続工事としてやっておりますが、それを別ワクとしてわれわれは考えておる、三十四年当時から。ところが現地で聞くと、それがどうも別ワクでなくて、それも全体のワクの中に入れられておるものだから、翌年度から一般通常砂防になってくると、ほかの砂防費のワクを食うということが非常に言われておる。これは私どもの初めの趣旨と非常に変わっておる。だから継続的に取ったやつはこれは別ワクとして見るというふうに、政府部内において、特に大蔵省との関係においてその方針を明確にこの際了解をとってもらう必要があると思うので、その点に対して政務次官でもいいし、もしこまかい点については河川局長からでもお答えを願いたい。
  53. 田村元

    説明員(田村元君) 砂防に関しましては、私自身が砂防気違いのようによく言われるのでありますけれども、率直に言って、今まで砂防というものがきわめて重点的に扱われておったかどうかということは、疑問な点もあるのではないか。私はしろうとでありますけれどもそういうふうに考えます。そういうわけで、今後なるべく早い機会に、まず機構を拡充して、そうして予算要求等においても積極的な態度をとるべきである。特に今度の災害ではその点を非常に痛感したわけであります。そういうわけで大臣とも十分相談いたしまして、各担当の役人を督励をいたしたいと考えております。  なお農林省との緊密な連絡に関しましては、これはもう当然のことでありまして、特に私は伊勢湾台風で自分が実際に苦労をしましたし、またいろいろな至らない点もこの目で見て参ったわけであります。農林省側ともあるいはまた大蔵省側とも相談いたしまして、今後できるだけの万全の措置を講じたいと考えておる次第であります。具体的な問題に関しましては、河川局長からお答えをいたすと思いますが、私なりの決意だけここで申し上げておきたいと思います。
  54. 山内一郎

    説明員山内一郎君) ただいま米田先生からの御指摘はごもっともな点ばかりでございまして、緊急治山と緊急砂防の計画をやる場合に、農林省と一緒にやる問題、それから恒久対策についても天龍の上流地帯につきましては、従来の計画を相当変更する必要があると今思われております。この点も予備費をとりまして緊急の調査をやるべく進めておりますが、その場合にも農林省と合同でやる。  なお災害査定の問題でございますが、やはり今御指摘のように耕地災害、それから河川災害、それから治山災害と非常に混然一体となっていると思われます。従って、関係各省一緒になりまして災害査定をやりたい、こういうふうに考えております。なお特緊の予算のワクの問題については、御趣旨のように大蔵省と極力折衝したいと考えております。
  55. 手束羔一

    説明員手束羔一君) ただいま御指摘の現地合同調査につきましては、農林省の方からも積極的に御協力を申し上げまして、合同調査の総合的な緊急並びに恒久対策の樹立ということにつきまして、努力をいたすように措置をいたします。  なお特殊緊急治山につきましては、三十四災の関連におきまして、本年度におきましても国費で千億九千万、事業費にいたしまして十六億八千万、これは一般の緊急治山の別ワクとしまして確保いたしております。
  56. 田中一

    田中一君 今米田君の質問に答弁しているのだけれども、これは君、政務次官、こんなこと参議院の建設委員会は七、八年来言っているんです。しやしないじゃないですか。七、八年来言っているのですよ。おそらく米田君が事務次官当時すらしていないですよ。のめのめと内輪の話し合いみたいのことはやめてほしい。やるならほんとうにやってほしい。米田君が事務次官のときでもなかなかうまくいかなかった、今これを言っているのだから、だからほんとうに今の米田君の質問に対しての答弁がほんとうの気持ちなら絶対に実行してほしい。していないのだよ。これは山内君も知っているはずだ。そういう答弁をするけれども、今までしてないからこういうことになるんですよ。だから今の答弁はほんとうにやるのだという意思表示だと思いますから、これは信用しましょう。ただ残念なのは、政務次官、継続して政務次官であってほしい。そうせぬと、これはもうわれわれは砂防の問題については、毎年山歩きをして実際の所を見てきて歩いているわけです。だからこそ本気になって申し上げているのです。それはそんな今のめのめと……。山内河川局長、君だって今度の五カ年計画に対してせめて二百億くらい増してくれというような、それこそ執拗な予算措置の要求というか、懇願だ、国民としての懇願をしているんですよ。それも通っておらぬです。今度の集中豪雨というのは、そうした山腹の崩壊等によって災害が起きているんです。農林省だってそうです。山腹砂防なんかしやしませんよ。私はずっと山を見ている、当然しなければならぬ所でもしやしません。川へ下りてきて川の砂防堰堤を作っているのが落ちなんです。それはなるほど困難でしょうと思います。困難だと思うけれどもしなければならぬ。それを建設省が一生懸命になって砂防予算をとると、それに見合う予算農林省はとっている。努力も何もしやしない。だからこそ砂防事業の一元化をしろということすら言いたくなるんです。何もこれは建設省農林省で話し合って災害調査したり計画を立ったりする必要はない。一人でやればいい、農林省の防砂を建設省へ持っていらっしゃい。そうすれば今の話し合いをしないでも済む。河川局長が自分の腹一つでもって、自分の技術屋の良心を持ってやればいい。二つあるから問題が起きる。今宿命的にびっこになっている砂防事業の施行という問題は、今のいろいろな米田委員の質問に答えた答弁だけでは満足し切れぬものがありますが、今は一応すなおに受け取っておきます。従って、今次の災害の経験によって、大幅な砂防事業中心とする治山治水五カ年計画というものを改定しなければならぬ、修正すべきです。まあ、今繰り上げ施行という言葉がありましたけれどもね。一応面子上あまり朝令暮改でも困るだろうから、繰り上げ施行ということを急速にやってほしい、これは農林省もその通りです。先ほど言っているのも、五十億程度の特殊緊急砂防を行なって防ごうとしても、半面農林省がついてこなければ何もならぬということを指摘しているんです。これは一つ政務次官、今の答弁をまあ聞いておきます。従って三十七年度の予算の編成にあたっては、これがバックボーンとなって、すべての治山治水対策を立てるということを考えるということをあなた方が言っていると思いますから、との点は私は了としますがね。ただ・困難なのは、今米田委員が言っているように、米田委員が事務次官のときですらうまくいっていなかったということなんだから、これは信用したいけれどもちょっとむずかしいものじゃなかろうかと心配する。それならば一そのこと一つにしなさい。一つにして相談なんかしないでですね、そういう考え方を持っている……。
  57. 田村元

    説明員(田村元君) 今の御指摘の点でありますが、私の米田委員に対するお答えを一つ額面通りお受け取りを願いたい。私の任期がどうなるかということは第二の問題として、私自身の現状の姿でお答えするわけですが、今度は相当強い不退転の決意で督励をいたしたいと考えております。特に治水の長期計画が今のままで果していいのかどうかということに疑問を持ちまして、大臣とも相談をして、河川局長にあるいは再検討する必要があるのじゃないか、一ぺん事務的に作業してみろということを命じてあるような次第でありまして、これが将来かりに具体化すればまた先生方の応援をお願いしたいのでありますが、砂防に関しましても、大臣も私も就任しましたときがすでに予算折衝に入っているときだった、それでわれわれのカラーというものが出せなかったわけでありますけれども、今後は相当前進をいたさせるように強い態度で臨みますから、一つ何かと御協力を願いたいと思います。
  58. 田中一

    田中一君 それから、これは河川局長に伺いますがね、十七ページ水防資材費に関する補助ということは、今回の災害にあたって水防資材費を相当消耗したということで、特別にこれを補助しようと、それは従来通りのものよりももっと以上にそれを補助しようということなんですか。それとも水防——何といいますか、水防活動という毛のによって、どのくらい災害が防げたという事例等があるならば、その点もあわせて答弁して下さい。
  59. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 今回の災害で、非常に全般にわたりまして水防活動が活発に行なわれましたが、特にただいままでわかっている範囲では、木曾三川の揖斐、長良、木曾川もそうでございますが、この個所がほとんど堤防のてんばまで越えた個所が非常に多く、この報告にもございますように百カ所に及んでおりますが、こういう個所について水防活動によってやっと食いとめた。それから信濃川の長岡市のちょっと上、長岡市内と思いますが、そこが切れますと、ほとんど長岡市全市に浸水をして、浸水というよりも、洪水が入ってくる、こういう個所につきましても、水防によってやっと食いとめた、こういう状況でございます。なお、その他小さい河川でも相当あると思いますが、今回考えておりますのは、これらの水防に使いました水防資材の補充という意味において補助をしたい、こういうふうに考えております。
  60. 田中一

    田中一君 まあ、私は水防訓練というやつを見たことがないのですが、非常に原始的な土のうに土を詰めて積んでいるのだという形の訓練をやっているんだと思いますけれども、もう少し水防活動というものを科学的に何かの方法はないものかどうか。あるいは土木研究所あたりでもって水防活動というものを、水防施設といいますか、そうしたものを技術的にもう少し効果のあるような方法を研究したことがありますか。どうもいろんな写真を見ても、建設大臣水防総監という帽子をかぶって、服を着て指揮しているだけで、そうするとほかの者は全部一生懸命俵に土を諦めて積んでおる。あるいはくいを打って、土のうをじゅずつなぎをしているという程度なんです。もう少し、今の世の中ですから、何かいい方法があるんじゃないかと思うんです。また外国等ではどうですか。
  61. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 水防につきましても、いろいろ土木研究所でやっておりますが、なかなかいい成果があがってないというのが現状でございます。たとえば水防資材でビニール材を活用するとか、それから機械類につきましては、相当建設機械がございますので、それを利用すればいいのでございますが、その決壊個所になかなか行く道路がない。堤防がずたずたにやられた場合に、どうしてもそこに行くには、人力によって資材や何かを運搬しなければいけない、こういうような点がございまして、そういう水防道路ですか、そういう点にも相当考える必要がございますが、なかなか現段階ではそこまでいってないという実情でございます。外国の例はよく存じませんが、ただ外国にも相当水害がございます。それを写真等で見ますと、やはり土のうをかつぎまして、くい打ちによって水防をやっておる。こういう状況でございます。
  62. 田中一

    田中一君 道路局長に。この別の資料の、たとえば松本の奈良井橋の橋脚が破損したが、迂回路を利用して交通が可能だ、こういうような説明がありますけれども、これは何ですか、この場合に、この橋脚が完全に復旧しなければ通れないんだということなんですか。それをもし復旧しようとするならば何月ぐらいかかるんですか。
  63. 高野務

    説明員高野務君) 私どもといたしまして、道路被害を受けました場合、交通どめになりますと一番いけないものでございますから、まず迂回路をあらかじめ見ておきまして、被害がございましたら迂回路に誘導するように指導しているわけでございます。たとえば今お話しの奈良井橋の橋脚が破損して、迂回路しか利用できないという状態であるわけでございます。もちろん応急復旧で奈良井橋の復旧をいたしまして、橋として交通を確保するという順序になるわけでございます。他の場所につきましても、迂回路があるものも、現在も応急復旧工事に着手しております。
  64. 田中一

    田中一君 住宅局長に。新宅地造成ですか、新しく宅地造成されたところの災害の実情というものを、もう少し詳しく具体的に説明して下さい。神戸神奈川等のですね。どういう現状なのか、そうして、むろんあなたが説明するんだから——まあ建築基準法には宅地の基準はないんですね。宅地造成の、もしどこかの法律にあるならば、それも説明してほしいんです。そうして、実情はどうなんですか、その場合にどうしようとするのかですね。今度規制しようというのは、どういう形にしようとするのか。あるいは宅地造成基準というものを新しく作る、作る場合にはどういう形をもってそれを規制しようとする考え方を持っておるか、それを一つ。
  65. 稗田治

    説明員稗田治君) 今回の豪雨による宅地造成事故による被害でございますが、大体におきまして丘陵地にひな壇式に石垣等の擁壁を作りまして、宅地造成工事中のものが、土が水を含みまして、うみまして、なだれとなって石垣ともに下の方にくずれ落ちて、宅地造成関係のなかったがけ下の建物が被害を受けたというのが特に多いようでございます。それで、もちろん新しく宅地造成されたもので、がけとともにくずれ落ちたものもございますけれども、工事中の下の家がやられたのが非常に多いように見受けたわけでございます。兵庫県におきましては、死者が四十一名ほどでございまして、全部がこの宅地造成関係ではございませんが、大半は宅地造成のがけくずれによるものでございます。神奈川県下におきましても、大体三十名前後の死者が出ておるわけでございます。いずれも丘陵地の宅地造成でございまして、これが工事中のものが比較的多かったわけでございます。  それで現在の規制の、現行法に何かあるかというお尋ねでございますが、建築基準法におきまして、家を建てるという場合の、その家が属しておる敷地につきまして、擁壁でございますとか、水はけでございますとか、そういうことにつきましては、建築行為の申請と同時に審査をするようになっておるわけでございます。ただ残念ながら、建築基準法でございますので、建築という行為がないものにつきましては、基準法の規制の対象にならないわけでございます。従いまして、宅地造成をしまして、これを分譲するというような場合の、その構造あるいは全体の計画というものにつきましては、国の法律としては、現在のところこれを規制する法律はないわけでございます。そこで今回、ただいま省で検討を重ねておる段階でございますが、前国会におきまして、建設省といたしましても、宅地造成基準法というようなものを提案すべく準備を進めておったわけでございますが、その場合の宅地造成基準と申しますのは、建築基準法に対応するような、いろいろ都市形成上の問題等も含めました宅地造成の一種の技術的基準というものを定めて、有効な宅地の造成を助長するというような考えであったわけでございます。しかしながら、今回こういった災害が起きたものでございますから、今回は防災というところに非常に力を置きまして、災害防除という観点から宅地造成規制法といったような、かりの名前でございますけれども、そういうものを立案すべく検討いたしておるわけでございます。それで、基準法という考え方と変わりましたので、地域によりまして制限区域というものを指定しまして、その制限区域内に宅地造成をする場合、これを厳格に規制をしていくという考え方をいたしておるわけでございます。  なお、地方条例におきまして、鹿児島県、神戸市、それから横浜市が、傾斜地における土木工事の規制に関する条例といったようなものを現在施行しておりまして、それで一応宅地造成につきまして、届出制をとりまして、届け出によってその間に技術的指導をするということでやっておったわけでございます。まあ災害地からも非常な要望もございますので、われわれは国の法律として、丘陵地あるいはその他の災害の予想されるような区域を定めまして、それにおける宅地造成というものを、事故の起こらないように指導して参りたいと考えておるわけでございます。
  66. 田中一

    田中一君 そこで、たとえば、大規模な宅地造成ということは、一つの土地区画整理なんですよ。あるいは都市計画なんですね、大規模なものになると。小規模のものでも、何も土地区画整理という名前をつけてやったって一向差しつかえないわけです。道路には道路の構造基準があります。それから宅地というものは、どういう形でもって、宅地という物件ですよ、物体としての宅地というものを、どういう工合に持たなければならぬかということは、なかなかむずかしいと思うのですよ。これは道路と同じように、たとえば基礎には割栗を入れるとか、どうしろとかこうしろとかいうようなことなんか、なかなかむずかしいと思うのですよ。そこで私は、建築に付随する宅地という考え方を持つのならば、一応その面だけはまず急速におやりなさいということです。神戸がそういう条例を持っていながら、あえて今回の災害のような問題を起こしたということは、神戸市が背後にああいう丘陵地を持っている、そこ以外には宅地がないというような現状から見てやむを得ぬと思います。しかし、やむを得ぬと思うけれども、技術的な指導というものは、条例がありながら、それができなかったということは、どこかに欠点がある。そこで計画局の方としても、これは勝手に自分の土地を、段々地を作って、ひな壇地を作って、それを分譲するという場合は、これは自分の私有地を勝手にやって一向差しつかえないのです、現行法では。しかし、それが町作りをする、聚落を作るということになると、やはり土地区画整理法などを、これは計画法ですから適用しなければならぬと思うのです。そのでき上がったものに対する対策というものは、とりあえず建築基準法あたりでもってそういう技術的な面だけを規制して、あとの宅地全般に対する問題については、これは非常に広範な要素を持つと思うのです。そこで私は急いでそれを出されることに危険を感ずるのです。技術的な面でまずこれをやろうとするならばですけれども、もうその点はやってもらわなくちゃ困るのです。しかし宅地全体に対する、宅地開発というものとか、そういう大きな問題に対しては、何もそう急いでおやりにならずに、ほんとうに間違いのないもの、ほんとうにいろんな面に関連がありますから、そういう形のものにしてほしいと思うのです。  それで今の災害というものが発生した。だからこれに対する対策を立てるのだというものの考え方と、全体の日本の国土計画の一つとしての宅地開発という面とは、おのずから——今回の場合は、その大きな面の一つの問題点なんですよ。だから現在の建築基準法というものは、単なる建物に対する基準法であって、都市計画的なものが何も含まれておらぬというところにもいろんな欠陥があると思うのです。私は昔の法律の方がずっといいと思うのです。市街地建築物法かな、あの方が、その点はまだ今日の時代に合うのじゃないかと思うくらいな気持を持っているのです。これは私の希望ですが、今回の災害に対する応急的な施設、対策としては、それはもうやっていただきたい。しかしながら全体の問題については相当まだ研究しなければならぬものがありますから、急いで中途半端なものを作ることは避けてほしい。もしもお作りになるならば、少なくともわれわれも非常な関心を持っております。それで長い間検討もしておりますから、この前の大臣の橋本さんなんかも一緒になっておりますから、一緒に検討して最善なものを作ろうじゃないか、こういう工合に社会党としてお願いしたいと思うのです。計画局の方は、今のように住宅局が行なおうとする宅地規制、何になりますか、今度の災害中心とするととろの対策であるならば、おのずから制約があって縮まってきますけれども、計画局はどういう考えを持っていますか、これに対しては……。
  67. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) ただいま宅地対策あるいは宅地制度、それが全体的に考えました場面におきましては、まさに日本の都市の構築と不可分の関係がございます。ことに、今後のいろんな国土の全国計画というものが、今企画庁で練られておりますようなああいう構想に従った観点から律して考えなければならぬと思います。その観点におきましては、先生のおっしゃる意見と、建設省といたしましても全く同様な考え方を持って、慎重に考えなければならぬと思っておりますが、先ほど住宅局長からお話のありました点は、今度の災害に起因いたしまして緊急に措置しなければならない部分についての法制化の問題でございまして、二つの問題に分けまして事柄を処理し検討していきたい、こういう考え方でございます。
  68. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 今度の災害で、いま一つ問題として御研究を願いたいと思うことは、砂防法は先ほどの通り。それから川底を——これはもう相当金のかかることだと思うのですが、整備するということ。ともかく今日までは堤防とか、それから割合に金がかからぬで効果的に見えるから、かさ上げかさ上げでやっているが、かさ上げかさ上げでやっているから、どんどん川床が上がって、そして両岸の方がますます低くなる。これはこのままにしておけば、流水能力というものがだんだん狭まってくる。一つやられると、今までは一町歩破れたところが、川床が上がっただけ、今度やられると二町歩破れる、非常な問題。ちょうど砂防工事が、人の目に触れない、そういうようなことのために、選挙制度で行なう政治の上には、ややもすればおくれがちであると同じように、この川底の整備というもの、水の流れるその底を整備していくなんということは、選挙の方で、そういう点効果が少ないから、勢いこれはおくれちゃう。  で、今度行ってみますと、天龍川の河床が上がって驚くことには丸ビルの四倍、五倍の容積を持つ土壌のため天下に有名な川路荘園は跡形もなくなったばかりか、付近の家屋及び川路駅の停車場さえも、その跡形もなくなった。そうして、しかも川床がその上に上がってきている。これは莫大な金が要るから、とてもちょっとやそっとの思いつきでできる仕事じゃない。この点は、この間大臣にもよく話をして、一つあなたのお手元には、それぞれの技術者もいるのだから、これは一つ天龍とか木曾とか、あるいは千曲川の問題ではない、日本全体の川が、おそらくそうなってやしないか。これは砂防が思うようにいっていないから、そうなる。それから、ダムが、ときにはよろしいけれども、ダムが水の調整池になるようなものを、今度は、その上に砂防ができてないと、ダムの底が上がってしまっているから、思ったより早く放水しなければならぬ。その急いで放水されることが思いがけないときに非常な災害になる。この前は、三峰川のダムが非常に感謝された。今度は逆に三峰川のダムのおかげで、ひどい目に会ったというようなことさえも言われている。要は川床の問題じゃないか。これは非常な金のかかることだと思うが、これは一つ建設省として、ことに河川局長の手ぐらいでは間に合わない問題じゃないかと思います。大きな建設省の問題として御検討をわずらわしたい。この問題を一つ。  それに対して河川局長どういうお考えですか。
  69. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 従来からも非常に川底の上がっている現象が方々で見られますが、これは、ただいま小山先生の言われましたように、砂防事業が進んでない影響によるのが一番大きい原因だと思います。  従って、今後砂防事業の推進を極力やることにいたしますし、なお、現に上がっている個所の問題といたしましては、天龍上流等の非常に埋塞が激しいところにつきましては、緊急に災害復旧としてもこれを取り上げて実施をしたい、こういうふうに考えます。  なお改良事業につきましても、築堤を上げるということも考えられますが、川底を掘った方が早くて効果がある、なお、その掘りました土砂を処分するところがあるというような個所につきましては、極力浚渫、掘さく事業を進めて参りたいと、こういう考え方であります。  なおダムの埋塞の問題につきましても、やはり砂防の促進が最も肝要であると思われます。しかしなお、ダムの調節につきましては、やはり上流に降ります雨量を予測する。今後どういう程度に雨が降ってくるかという予測の点が、最も調節に必要ではないかというふうに考えます。従って、気象庁ともよく連絡をいたしまして、今後の雨量の予測、これは非常にむずかしい問題でございますが、そういう点につきましても、力を尽くして参りたいと、このように考えます。
  70. 武内五郎

    武内五郎君 今の小山議員の質問に関連いたしまして、お聞きしたいことがございますが、今回の水害につきまして、いろいろな批判も出ております。特に私の非常に注意を呼んだ問題は、やはりこの水位の問題であります。平常水位と流量の関係、それから警戒水位とその流量の関係、従って、計画水位をどの程度まで押えるかという問題と関連して、今の質問に出ておりましたダムの問題も関連して参りまするが、この水位をどの程度まで押えていかなければならぬのか、あるいはまた水位についての計画的な基本的な改正を必要とするものかどうか。特に、あるいは今後問題になると思うのでありまするが、水資源開発に関するきわめて技術的な関係があると思うので、その水位、特に計画水位を、どの程度に抑えていけば洪水の防止ができるのかというような点について、今後検討を要する問題があると思うのですが、この辺についてのお考えを伺いたい。  それから、なぜ私はこういうことを申し上げるかというと、昨年新潟県の魚野川で堤防が決壊しております。これは上流の黒又ダムのゲートを三回にわたって開いた結果、急激に増大した流量とその水圧によって、下流の堤防が決壊している。これは現地の県の土木出張所でも十分調査している問題でありますが、また三年ばかり前に阿賀野川で大洪水が起こった。これは上流地点における発電所のダムのゲートをこれも数回にわたって開いた結果、下流地帯が大きな洪水に見舞われた事実があるのであります。  そういうようなことを考えますると、ダムの流量調節における問題、特にその施工の問題、それからその調節の問題等が起こってくるのでありまするが、これらについて、今回の水害についても水位の問題と調節ダムの問題が、かなり強く浮かんできておるようでありますので、これについての河川局長のお考えをお聞きしたいと思います。
  71. 山内一郎

    説明員山内一郎君) ある河川計画洪水量が、どういうふうにきめるかという問題と、今回の災害で改訂する必要があるかどうか、これは河川ごとによって違って参ると思いますが、従来の計画洪水の考え方は、過去の非常な大災害雨量、それからそのときの洪水流量、こういうものを基準にして河川ごとにきめて参っておるわけであります。従って、今回天龍川上流で非常な大災害が起こりましたが、この雨量は過去の雨量の、あるいはまだ調査が完全でございませんが、ある地点では二倍以上になっている、こういうことでございまして、この地方につきましては、計画改訂が認められますので、現在極力調査をしておる段階でございます。  それからダムの放流の問題でございますが、非常にむずかしい問題でございまして、先ほどもお話を申し上げましたように、雨量の今後の予想の問題、雨が降り出しましてから何日どういう雨が続くかという問題がございまして、それが的確につかめなければ、的確な操作はなかなか実施はできないのじゃないか、こういうふうに考えられます。従って、そういう方向にも、これからうんと進めて参りたいと思いますが、現在のダムの放流の原則といたしましては、上流から入って参ります洪水以上には下流の方へ放流しない。従って、ダムがないときと同じような洪水の状態を下流の方で受ける、そういうふうにダムの操作を制限する、こういう建前で進んでおるわけでございます。従って、そういうことが的確に行なわれておるかどうかということも、今後さらによく調査をいたしまして厳重にやって参りたいと思いますが、そういうダムの計画と、それから下流の方の河川の改修の問題でございますが、そういうようなダムの調節の方法と、その下流のやはり計画洪水の問題、こういう点も、非常にむずかしい問題でございまして、さらに一層努力をしたいと思っておりますが、ダムの、治水オンリーのダムと、それから多目的ダム、いわゆる洪水調節をやるダムによって違ってくると思います。  洪水調節のダムにつきましては、洪水量、上流雨量をのめるようなある空間をとっておくわけでございますが、そういう場合の下流の河川計画と、それから治水ダムといいますか、そういう容量がなくて、雨の降る程度をにらみ合せながら、適時下流の方へ、上流の流量よりは以下でございますが、たびたびそういう放流をして調節をやる、こういう二通りのダムがあると思いますが、いずれにいたしましても、なお今後いろいろ検討いたしまして、十分な調整ができるように、こういうふうに努力して参りたいと思います。
  72. 武内五郎

    武内五郎君 そうあるべきだと考えるのですが、それで現在、たとえば調整ダムにいたしましても、また多目的ダムにいたしましても、その流量の調整をしなきゃならぬと思いますが、その調整について、現在調整上の規定、またはそういう指導等が行なわれておりますか。
  73. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 現在もダムごとに、このダムについては、上流にどういう雨が降って、どういう流量がこのダムに入り込むというような場合に、その下流の方の放流量、こういうものを一定の方式できめております。それは大体におきまして過去の災害を全部カバーできるような大きさできめておる。従ってそれ以上の雨が降ったような場合には、所定の計画の調節はできないというような実態でございます。  従って、先ほども申し上げましたように、今後の雨量が予想以上に降ったような場合、これは、やはり調節の方法も変更せざるを得ないじゃないか。こういうふうに考える次第であります。
  74. 武内五郎

    武内五郎君 そこで、これはつけ加えてお聞きしたいのは、前回の国会で、公共用地取得に関する法律が通過いたしました。現在実施されておるわけでございますが、公共用地として取得されて、そこにたとえばダムを建設する。あるいはその他の施設を行なうというような場合、その結果、いろいろな災害等を誘発するようなことがあった場合に、そのたとえば特に多目的ダム、または発電ダム等の場合においては、ゲートを開いて流量を急激に増加して下流地帯災害を及ぼしたというような場合に、その災害に関する責任を明確にしておかなければならぬと思うのですが、それについての、まああのときの災害の場合に、その点は明確でなかったわけですが、計画局長、どう考えますか。
  75. 關盛吉雄

    説明員關盛吉雄君) 土地収用法なり、あるいは公共用地特別措置法の認定によりまして、今お話になりました施設が設置されました場合におきまして、その管理等の行為のいかんによって、下流等の方面に損害を及ぼして参る。こういうふうな場合についての法律上の責任の問題のお尋ねでございますが、これは特別措置法なり土地収用法の関係の手続なり、また違法の問題につきましては、両法律に、それぞれの訴訟の手続がございまして、それによって土地等を取得または提供することに対する関係権利者の権利の救済が行なわれるわけでございまして、それはその問題として、法律上の問題は解決されると思います。  ただいまのお尋ねの点は、いわゆる設置されましたダム等の工作物は、一面において河川法の適用も受けております。またその管理者が、定められた規定に違反した場合において、賠償等の責任が生ずる場合におきましては、民法上の賠償問題なり、あるいは国家賠償法の問題なりという形の法律論になると、こういうふうに、われわれは理解いたしておるのでございます。
  76. 武内五郎

    武内五郎君 河川局長は。
  77. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 同じでございます。    ——————————
  78. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) 委員の異動について御報告いたします。  武内五郎辞任清澤俊英君が選任されました。    ——————————
  79. 武藤常介

    ○武藤常介君 私は毎々申し上げておることなんですが、ちょうど数年前、幸いにして洪水はないと、しかしながら一たん洪水があったときには、どういう災害が起こるのだかわからぬ、だからして治水関係計画を作る必要があろうというので、遠藤建設大臣のとき五カ年計画ができたのでありまするが、ところができてみまするというと、全くの計画だけで、ほんとうにわれわれが想像した全く何分の一というか、従来施行をしました額の大体一割ないし一割五分くらいの総額であるというような状態であります。ところが今、今日この問題は全く火がついたようなえらい騒ぎなんでありまするが、私はこういうことがあることは、前から想像いたしまして、当局にもずいぶんお願いしたのでありまするが、かような状態でありまするが、これは今度の災害にかんがみて、当局は、現在の五カ年計画はきわめて不十分なものであるというようなお話がありましたが、これは十分御認識なされたことと存じます。  従って、この五カ年計画を来たる昭和三十六年度の予算においては、相当の増額をした計画の立て直しを私は必要とするのではないか、かように存じておるのでありまするが、大臣がお見えになりませんから、政務次官から、政府の方針を伺いたいと思います。
  80. 田村元

    説明員(田村元君) 先ほども申し上げましたように、いろいろこういうふうに災害をくらってみますと、なおさら痛切に感じますととは、はたして現在の治水計画で十分なのかどうかという問題であります。そこで先般も局長に一度再検討してみたらどうだと、こういうことを申したのでありまするが、治水計画というものは、政府の財政規模とも密接な関係がありますから、一がいに建設省だけで独走するわけにも参らない点もあるかと思いますけれども、しかし何といっても、治山治水という問題は、国家の施策として最も重要なものの一つでありますだけに、しかも個人の生命、財産に大きく影響するものであるだけに、われわれとしては、特に建設省の技術屋が、これならば十分という自信を持つような技術をさせるために、それだけの予算措置を構じることは、これは必要であろうと思うのであります。  さような次第でありまして、私は全くずぶのしろうとで、私ども大臣も、はっきり言って建設行政は、しろうとでありますけれども、しろうとにはしろうとなりの、一つの世論を聞くという、すなおさもあるかと思いますので、そういう点で、われわれの色といいますか、カラーを強く打ち出して、そうして河川局長に一ぺん再検討してみろと命じたような次第でございます。これはもう大切な問題でございますだけに、慎重にかつ勇気を持って当たりたい。そうして大きな目的に進みたいというふうに考えておる次第でございます。
  81. 武藤常介

    ○武藤常介君 ただいま政務次官の信念あるお話を伺いまして、私は非常に意を強うするものでございます。  次に、将来、河川改修の幾ら速度を早めるといたしましても、それは期待いたしておりまするが、今回の洪水について、長野県とかあるいは三重県とかというような、あるいはああいう方面のような大洪水でなくしても、非常に中小河川はんらんした。そのために田畑が二週間も何千町歩というのが埋没されておりまして、いまだに復旧しませんで、前をこれから作っていくというので、盛んにもみを集めておるというところもあるのでありまするが、とにかくこの河川改修も、いま一歩進めまして、中小河川の方にいま少し重点を置かなければならぬじゃないか。長野県のようなああいう方面はもちろん砂防に重点を置かなければならぬと思いまして、私も最もそれには大賛成でありまするが、比較的この平地の多いところの中小河川が割合に軽んじられておる。こういう方面に、いま少し手を尽くして、中小河川のまたその支川というものを完全にいたさないというと、先般などは木川の方よりも、むしろ中小河川の方の支流が家を没するというようなのがありまして、非常に惨たんたるものがございました。これはいま少し中小河川の方に重点を置いてもらいたいと、こういうことを私は強く要望いたす次第でございます。  河川局長から、一つ伺っておきましよう。
  82. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 今回の水害は、先ほど御報告申し上げましたように、直轄河川を、まあ非常に水防をやりまして、やっともったという直轄河川も相当ございます。しかしそれに比べまして、やはり中小河川災害が非常に多い現状でございます。その点につきましては、小規模河川という制度も設けまして、いろいろ努力をして参ったわけでございますが、なお、さらに武藤先生の言われますように、そちらの方面も、さらに努力をしたいと、このように考えております。
  83. 清澤俊英

    清澤俊英君 もう前にだれか質問したかもしれませんのですが、この前の狩野川台風のときも一度お伺いしておいたのでありますが、信濃川の河床が上がったと、こういう声が一般に起きて、それで分水ができて以来、ここ約二十年間以上の間は、ほとんど水害の脅威というものは上流においては考えておらなかった。最近ここ五、六年間警戒水位を突破して堤防を越すような水が、しばしば危険を感じるものが出てきております。それが一つと、いま一つは、常にゲートを持ったダムはありませんが、固定堰等により水をとられる関係上、常に国鉄の、ダム以下というものは夏季湯水期には非常な水量が減ってきております。そういうような関係上、いろいろ川の中に島ができている。その島はだんだん固まってきて、それがために流域が変わって、思わぬところに破堤を生じておる、あるいは破堤の危険性ができてくる。まあこのたびも、建設省ではよくおわかりだと思いますが、長岡の地先の水梨の堤防の破壊のごとく、まあわずか二メートルを残して堤防の決壊を防ぎ得ましたが、全く危険状態に遭遇しておるのであります。これはまだ天端までは、おそらく二メートルぐらいのものはあったのではないかと思います。こういう状態に変わったのは、前面にあるやはり島が固定して、そしてじょうご状の形になったために、水勢が一つところに向かった、こういうことが中心ではないか、これはみんなしろうとの人たちの考え方であり、専門家である市の土木部の係の人たちが、やはりそれを肯定しておるような状態でありますが、島の問題は、しばしば農民の声やあるいは地方の町村役場の責任者等から、それは始終きているのでありますが、これに対して常に何らかの方法が考えられておれば、ああいう問題は起きない、こういう声があるのでありますが、この前も、その質問をいたしましたが、一つ調べる、こういうお話で、そのままやはり放置してあるように考えられますので、こういう問題について、どうお考えになっておるのですか。調べは相当進んでおるのでありますか。一つお聞かせを願いたいと思います。
  84. 山内一郎

    説明員山内一郎君) 災害の原因の一つが、州が非常に発達をして参ったために、その個所洪水が突き当たりまして、そのはね返りによって被害を受けるという例が相当あると思います。従って、こういう州の除却、こういう点は、非常に治水上重要でございますが、なお現在の予算のワクといいますか、その個所によって違うと思いますが、堤防を上げて強化した方がいいか、州を取りまして、それによって、その付近を守ったらいいか、いろいろ考え方が違って参ると思います。  今回の水梨地先の危険個所も、幸いに堤防を補強していた関係上、やっと持ったのでございますが、そういう今御指摘のような点を、さらによく調査をいたしまして、州が非常に原因をしておれば、州を取りまして築堤土に極力使っていくとか、その辺の付近に捨て土をするとか、そういう点について、さらに積極的に治水上進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  85. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは水梨の場合は、いろいろなことが考えられておるのですが、たまたま堤防を補強しておったからと、こう言われるのですけれども、これは補強が維持したのじゃありませんです。自衛隊が五百人も出てきて、約三百メートルにわたって、何というのですか、針金のワクの中へ玉石を方々から集めて、そうして八百ぐらい下げたといいます。もうびっしり下げた。それによってようやく維持することができたのであって、堤防自身が維持したのじゃありません。これはもうはっきりした事実であります。従いまして、そういう現象を起こした原因は、結局、前にできた島がかたくなって、そうして水勢が変わって起きた現象である。こういうことは、もうみんな言うているのであります。ただ、それは信濃川だけの、水梨だけの例でありませんで、魚野川のごとき、一番その例がひどく、それから一番そういうことを端的にいえますのは、今年も破堤しました中魚沼川の十日町地内における破堤です。こういう毎年、もう破堤の事実は、州のつき方によって行なわれ、土地の者は、もう一つの常識として、そういうことを言うているのでありますが、さらにそれに対する具体的な方策が講ぜられていない。簡単なものじゃないか——予算がないと言われるけれども、簡単なものじゃないか。近ごろは、土木機械は幾らでも便利なものができているのだから、ちょっとそれを使えば問題にならないやつを、破堤してから、まだ予算があるとかないとか言っているのは、おかしいのじゃないか。こういう点ですがね。私は、最近の土木機械の発達から見れば、それぐらいのものをとるのは、一つの水害による破堤等の被害から見ましたならば、何千万分の一ぐらいで済むのじゃないか。これは一つ十分な御勘考を願って、そうしてそういう危険を除去していただかないと、下流にある者は、一日も安心できない状態だと思っております。
  86. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) ほかに質疑もないようでございますから、本日の調査は、この程度にとめたいと思います。  水害対策問題につきましては、現在、現地調査に行っておるものがあります。これによって、事情によりましては、今月中に緊急に委員会を開会することがあるかと存じますので、その節は、御通知申し上げますからお集まり願いたいと思います。  なお、八月の委員会につきましては、十日に開会するようにいたしておきたいと思います。  一応、そう予定いたしておきましてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 稲浦鹿藏

    委員長稲浦鹿藏君) さようにいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十五分散会