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1961-03-13 第38回国会 参議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月十三日(月曜日)    午前十時三十五分開会    ——————————    委員の異動 三月六日委員山田節男辞任につき、 その補欠として田畑金光君を議長にお いて指名した。 三月十日委員上林忠次辞任につき、 その補欠として一松定吉君を議長にお いて指名した。 三月十一日委員松定吉辞任につ き、その補欠として下村定君を議長に おいて指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 芳男君    理 事            仲原 善一君            野上  進君            相澤 重明君    委 員            岸田 幸雄君            田中 清一君            高野 一夫君            林田 正治君            大倉 精一君            大森 創造君            北村  暢君            木下 友敬君            武内 五郎君            千葉千代世君            常岡 一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 木暮武太夫君   政府委員    水産庁次長   高橋 泰彦君    運輸大臣官房長 辻  章男君    運輸大臣官房会    計課長     原山 亮三君    運輸省海運局長 朝田 靜夫君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省船員局長 吉行市太郎君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    運輸省自動車局    長       國友 弘康君    運輸省航空局長 今井 榮文君    運輸省観光局長 津上 毅一君    海上保安庁長官 林   坦君    高等海難審判長    官       増田 一衞君    気象庁長官   和達 清夫君   説明員    会計検査院事務    総局第三局長  白木 康進君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○昭和三十三年度一般会計歳入歳出決  算(第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度特別会計歳入歳出決  算(第三十四回国会内閣提出) ○昭和三十三年度国税収納金整理資金  受払計算書(第三十四回国会内閣提  出) ○昭和三十三年度政府関係機関決算書  (第三十四回国会内閣提出) ○国家財政経理及び国有財産の管理  に関する調査(真鶴港港域埋立問  題等に関する件)    ——————————
  2. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。  委員変更について報告いたします。  三月十日に上林忠次君が辞任され、その補欠として一松定吉君が、また三月十一日に一松定吉君が辞任され、その補欠として下村定君が選任されました。    ——————————
  3. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) この際、理事辞任及びその補欠互選についてお諮りいたします。  北村君より文書をもって、都合により理事辞任の申し入れがありますので、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 御異議ないと認めます。  つきましては直ちにその補欠互選を行ないたいと存じますが、その方法成規手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 御異議ないと認めます。  それでは私より相澤重明君を理事に指名いたします。    ——————————
  6. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算昭和三十三年度特別会計歳入歳出決算昭和三十三年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十三年度政府関係機関決算書を議題といたします。  本日は運輸省の部を審査いたします。念のために申し上げますが、運輸省関係不当事項検査報告第二百八十一号から二百八十三号まででございます。  まず会計検査院から説明を求めます。
  7. 白木康進

    説明員白木康進君) 検査報告の内容につきましてあらましを申し上げます。  三十三年度運輸省所管に掲記してございます事項は、いずれも地方公共団体等が施行しております補助工事に関するものでございます。そのうち工事施行に対する検査につきましては、大体ここ数年来同じような進行率検査実施しておりますが、運輸省当局におかれましては、港湾工事検査官制度を活用されるなど、指導監督強化あるいは事業主体の自覚、そういった関係から相当著しい改善の跡が見受けられるわけでございまして、検査の結果ここに掲げておりますのは二件だけでございます。そのうち三重県が施工しました五ケ所港の災害復旧事業は、従来の工事の経緯から地盤が悪いために特に護岸の中詰めれきは比較的大きな石を使うという設計で施工されたのでありますが、検査の結果は約三分の一程度のものが規格以下の小径のもので施行されているというようなことで、工事費にして約四十三万円ばかりの出来高不足を来たしております。  次に香川県の高松市が施行しました男木港の災害復旧防波堤の被覆の工事でありまして、施工が適当でなかったために一部すでに崩壊しておって、中詰めの石にも影響を及ぼすという関係から、早急に復旧の必要があるという事態指摘しております。これは工事費について九十二万円となっております。  なおこの事件については、いずれも手直し工事を完了した旨の報告を受けております。  次に運輸省災害復旧工事費査定をされたものにつきまして、私ども工事着工前に検査をいたしました結果、従来同様被災していないのに被災したものとして実際改良工事を施行しようとしているような事態、あるいは防波堤被災断面を過大に算定しているなど設計が過大となっているものなどでございまして、合計十二件、工事費にして千二百八十五万円につきまして運輸省当局からこれを減額し、設計変更または廃工処分に付する旨の回答を得ております。  簡単ではございますが、以上をもって説明を終わります。
  8. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 次に運輸省より説明を求めます。
  9. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 昭和三十三年の運輸省における決算大要について御説明申し上げます。  まず、一般会計支出済歳出額は三百億八千七百九十万六千円、木船再保険特別会計支出済歳出額は七千九万九千円、自動車損害賠償責任保険特別会計支出済歳出額は二十億八千八百六十七万八千円であります。以下重要施策について御説明申し上げます。  第一に観光事業振興といたしましては、財団法人国際観光協会の行なった対外観光宣伝事業実施に要した経費の一部に対する事業補助として一億三千百万円を支出いたしました。昭和三十三年度においては対外宣伝強化により、わが国に来訪した外客数は前年に比較して一八%増の約十五万二千人、その消費額も前年に比較して八%増の約二百七十四億円に達し、わが国国際収支改善に大いに貢献をなしたのであります。また、ユースホステル整備補助金といたしまして、二千四百六十万円を支出いたしました。これにより、ユースホステルが全国に五カ所、地方公共団体により建設され青少年の低廉かつ健全なる集会、旅行の推進とその善導に大いに寄与したのであります。  第二に港湾整備といたしましては百九億七千六百四十七万六千円を支出いたしました。これにより直轄港湾改修事業として京浜港ほか七十一港、港湾改修補助事業として東京港ほか百七十二港、港湾災害復旧事業として過年災分五百三カ所、当年災分五百十三カ所を実施したほか局部改良事業海岸保全事業特別失業対策事業災害関連事業離島振興事業国土総合開発事業奄美群島復興事業地盤沈下対策事業作業船整備事業等を施行しまして輸出振興工業原材料輸送沿岸輸送力強化並びに、災害復旧防止及び交通安全のための港湾整備をはかったのであります。  第三に空港整備といたしましては、東京国際空港における漁業補償及び埋立護岸工事準備工事として六億四千五百二十七万五千円を支出いたしました。また、大阪国際空港については二千五百八十二万一千円をもって空港用地買収地域調査測量等実施し、ローカル空港については三億一千二百三十一万三千円をもって稚内初め十空港整備促進をはかり、昭和三十三年度においては鹿児島空港が完成し、南九州地区開発に寄与いたしまた。また新たに女満別及び離島関係の三空港整備着手し、土地造成工事の一部を実施いたしました。  第四に海上保安体制整備につきましては、巡視船及び通信施設等整備として三億二千五百七十万七千円を支出いたしました。これにより三百五十トン型巡視船二隻、二十三米型巡視艇二隻を建造したほか、十五米型巡視艇一隻を購入し、また老朽通信施設改良更新等を行ない、海上犯罪捜査体制強化をはかりました。昭和三十三年度において海上保安庁が行なった海難救助は、千四百二十三隻、一万六百六十五人であり、犯罪の検挙は五万五千百七十二件であります。また、海上航行安全能率化のため、灯台等航路標識整備として四億四千六百四十三万円を支出し、ロラン局三カ所、灯台四十五基、霧信号一カ所、浮標五基、電波標識三局、浮標基地一カ所を新営したほか、既設灯台光力増大等改良改修工事百六十四件及び、二十カ所の航路標識事務所を六カ所に集約する等の工事を行ないました。  第五に、民生の安定と向上をはかるため離島航路整備法に基づき離島航路整備補助といたしまして、二十航路事業者に対して三千三百万円を交付いたしました。また、離島航路用船舶の建造及び改造資金貸付に対する利子補給金として、既契約十隻分に対し六百九十六万七千円を支出いたしました。  第六に地方鉄道軌道整備をいたしましては、地方鉄道軌道整備法に基づき、地方鉄道軌道事業者に対して重要な新線鉄道に対する補助として九百二万九千円、赤字鉄道に対する欠損補助として七百三十八万七千円、及び昭和三十二年七月の西九州における被災害鉄道に対する復旧補助として一千五十六万五千円を支出いたしました。  第七に自動車車両検査登録機能の充実に関する措置といたしましては、自動車数の激増に伴い、これに対処するため一億二百五十八万七千円をもって車検場二カ所を新設し、既設車検場増強整備を行なう等、自動車検査登録機能合理化及び能率化推進したのであります。  第八に気象業務整理といたしましては、予報精度向上をはかるために、数値予報実施に必要な電子計算機の運用として九千三百七十九万一千円、無線模写放送実施として、受画施設の新設二十八カ所及び既設官署維持運営として一億二千九百七十九万二千円、観測精度向上をはかるためのレーダー観測網整備として、種子島に三千八百五十五万九千円を支出いたしました。また、防災業務整備をはかるために水理水害対策用施設として、水理気象関係については幾春別川初め四河川を対象として新たに整備するほか、既設官署維持運営に六千六百六十五万二千円、水害気象関係については、石狩ほか二支庁について新たに整備するほか、既設官署維持運営に一億八千八百十六万四千円を支出いたしました。次に航空気象施設といたしましては、稚内ほか二カ所に空港分室を新設するとともにボルメット放送実施伊丹航空測候所整備強化並びに、既設官署維持運営に五千二十五万三千円を支出いたしました。これにより気象観測通信予報体制強化し、もってその的確化迅速化をはかったのであります。  最後に科学技術振興といたしましては、運輸技術研究所及び気象研究所整備に一億九千六百九十万六千円を支出いたしました。また原子力関係としては、七千二百五十八万円を支出し、原子力船研究及びラジオアイソトープ利用による漂砂対策工法研究を行ないました。なお民間の科学技術試験研究に要する費用の一部補助として四千五十五万五千円を支出し、これにより超大型船共同研究等二十五件の試験研究を終了し、運輸関係科学技術推進に貢献いたしました。  次に昭和三十三年度決算不当事項について御説明申し上げます。  当運輸省不当事項につきましては査定適正化をはかり、検査官制度の活用によって、工事中の中間検査を励行する等指導監督強化することにより漸次減少の傾向にありますが、なお若干の事例がありましたことはまことに遺憾とするところであります。御指摘のありました査定の適正を欠く事項につきましては直ちに減額是正をなし、出来高不足事項につきましてはいずれも手直し工事を完了いたしました。今後はなお一層の注意と監督の徹底をはかり、これが絶滅を期する所存であります。  以上が昭和三十三年度運輸省関係決算大要でございます。何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  10. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣にお尋ねしてみたいと思うのですが、三十三年度交通政策の中で、特に三十二年度には国鉄運賃値上げをして、そうして輸送力の打開をはかるということを行なったわけですが、三十三年度はそれによってどのくらい一体緩和が行なわれたのか。それから陸上のそうした交通緩和を行なうと同時に、一体海上に対する収入増、いわゆる国際収支を増加するということを主張されておったのですが、三十三年度においてはどのくらいの増加が行なわれたのか、運輸大臣から御答弁をいただきたいと思う。
  12. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま御質問のございました、この前の五カ年計画において三十三年度における国鉄進捗率、並びに海運の方における国際収支改善に役立ちましたことのこまかい数字につきましては、政府委員から御説明申し上げたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
  13. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) ただいまこまかい数字を持っておりまするので、さっそく調べまして御報告申し上げます。
  14. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 三十三年度外航船国際収支バランスでございますが、御承知のように三十一年度と三十二年度というような年度におきましては、スエズ・ブームによりますところの非常な海運好況期に恵まれまして、三十三年度は経済全体が調整期に入った年でございますので、輸送量が三十二年度と比較いたしまして減っておるわけでございます。しかしながら、相対的に、輸入減少に伴いまして、積み取り比率向上しておるということでございまして、輸出においては三十三年度邦船の積み取り比率は五八・六%、輸入においては五八・八%であります。邦船輸送量にいたましては約四千万トンに上っておるわけでございます。従いまして、国際収支は三十三年度において、海運におきまするところのIMF方式によりまする国際収支は、初めて黒字を計上いたしておるわけでございます。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 先ほどの三十二年に国鉄運賃一三%の値上げをして、陸上の中心である国鉄輸送力緩和をするということを数字的に明らかにしなければならぬと思うのであります、三十三年度の、それは後刻資料で提出してもらいたいのです。  そこで、私は運輸大臣一つお伺いをしておきたいと思うのですが、陸上輸送力海上輸送力、さらには航空力、こういうものも総合的に運輸省としては判断をしておると思うのですね。特に陸上輸送力の逼迫というものは非常に多いわけです。その中でも国鉄に対して運輸省としては監督上非常に力を入れておるわけですが、御承知のように、鉄道建設審議会運輸大臣のもとに重要な役割を果たしておる。一体、この鉄道新線建設ということが、今の国鉄の中でどういう一体役割を果たしておるか、輸送力増強がはたして思うように行なわれておるのか、あるいは国鉄経営上にそれが非常にプラスになっておるのか、あるいは単に輸送力ばかりでなくて、資金面からいえば一体どういう関係を生んでおるのか、こういうことは運輸大臣として、監督上の問題としては重要な私は問題だと思う。従って、昭和三十二年に運賃一三%の値上げをしたけれども一体この鉄道建設審議会新線建設について運輸大臣はどういう扱いをしておるか。これは鉄道敷設法等には明らかにされておるわけですが、現状について三十二年あるいは三十四年、こういう審議会の答申もあるし、それからその手続上の問題についてもどうやってきたか、こういう点を運輸大臣も就任してからよく調べられたと思うので、一つ報告をしてもらいたい。そうしてその報告の結果、私は、運輸大臣責任者として、この総合交通政策の中の特に陸上運輸についてはどう思う、こういう点を一つこの機会に明らかにしていただきたい。
  16. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げます。  前半の、運輸省として海陸輸送を総合的に考えなくてはならぬではないかというお話がございましたが、まことに御指摘通りでございます。貨物輸送等につきましては、海陸バランスをよくとって、そうして年末の滞貨の国鉄陸上輸送の方の少ないように、ある部分は海上にこれをまかせるというような指導をいたしまして、海陸輸送調整あんばいをはかることに、運輸省といたしましては指導監督をいたしているわけでございます。  それから、次に御質問ございました新線建設の件でございまするが、御承知通り交通脈絡整備とか交通網全体の円滑を期するとか、あるいはまた地方の産業を振興いたしまするとか、国全体の国土開発をいたしまするとか、あるいは文化の交流をすみやかにするというようなことのために、多年各方面から鉄道は新しい線を建設すべしという要望があるのでございます。これを反映いたしまして、古く大正十一年からできておりまする鉄道敷設法によりまして、その敷設法にあるものに順序をつけまして、鉄道建設審議会においてわれわれの諮問にこたえ、あるいはみずからの権限によって建議をいたしまして、これで着手をみておりまするものが新線建設であるのでございます。従いまして鉄道が持っておりまする高度の公共性から見まして、これは鉄道一つのもうかることだけを目標とする営利会社と違います点から発生いたしまして、そろばんに合わなくても、こういう国家的の民生福祉を増進する見地から、新しい鉄道建設着手をいたしているのでございまするが、しかしながら一方、公共企業体独立採算制という見地から見ますると、この新しい鉄道建設というものは多くは採算に引き合いませんで赤字を出すのでございまして、国鉄としては少なからず経理上には圧迫を感じているのでございます。しかしながら、経理上で赤字であって圧迫を感じているということをもちまして、独立採算上は損であるからというゆえをもちまして、大局の見地に立った国有鉄道公共性を無視するということはいかがなものであると私ども考えているのでございます。従いまして、政府といたしましては、こういう赤字負担をさせておりまする線に対しましては、何らかの補助方法をとるべきだということを、多年国鉄側としては強く主張されたのでございます。幸いにしてこの意見がいれられまして、昭和三十六年度予算案におきましては、新線建設の借入金の利子補給といたしまして、三億八百二十五万円を計上することになりましたのは、金額の多寡にかかわらず、国として国鉄赤字負担に対して、原則としてこれに援助を与えようという大きな新しい方法であると喜んでおりまするわけでございます。あるいはまた戦いのときにけがをされた方や、あるいは病気をされた方などを、法律によりまして無賃乗車をいたしておるのでございまするが、これに対しましても国家として三十六年度におきましては六千数百万円を補助いたすということに、赤字負担に対しましては国家としてもできるだけだんだんと補助をいたして、そうして国鉄の本来の使命である公共福祉を増進するために、赤字の場合でもある程度仕事をいたさなければならぬということに向かわしておるような次第でございます。詳細のことにつきましては政府委員から御答弁をさせていただきます。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 そこで運輸大臣新線建設について、国民の民生安定、福祉のために赤字になることを予想されても建設される場合がある、こういう点で特に昭和三十六年度には長い間の懸案事項である利子補給も一部できた、こういうお話だったわけです。そこでこの鉄道建設審議会が特に昭和二十七年度以降行なった線区について、一体現状はどうなっておるのか、昭和二十六年度以降建設審議会がきめて、そうしてまた営業を開始したというようなところが一体もうかっておるのか、あるいは赤字になっておるか、その具体例一つ示してもらたい。それに対して運輸大臣の今言うような三億数百万円ということで一体やっていかれるのかどうか、運輸大臣はとにかく長い間の懸案事項であったから、新線建設については利子補給を三十六年度には三億数百万円考えた、あるいはそのほかに戦傷病者や病人のために六千数百万円を考えた、こういう御答弁ですね。そこでそれじゃ二十六年度以降新線建設をしたところのものについて、どういう結果が出ておるかという点を一つ明らかにしてもらいたい。
  18. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 昭和二十七年度から新しい線の建設を始めましたのは、多分四十四線だと記憶しておりますが、そこの中でその後十九線が完成いたしまして、もう営業を開始しておりまして、現在続けておりますのは残りの二十五線というわけでございます。鉄道建設審議会の方でもいろいろ御議論がございまして、国鉄赤字負担させるということは気の毒だというような点から、幾度か、本年初めて利子補給予算で行なわれましたこのことについて、前から鉄道建設審議会の方でも建議を実は行なっておりますわけでございます。またこの赤字が出るのはやむを得ないといたしましても、なるべく赤字の出ないように新線建設ではやりたいということが、鉄道建設審議会委員の間でも御意見がありました。運輸省はもちろんその考えでございますので、新線建設におきましては、いろいろバスその他新しい交通機関を利用することができるようなもので、地方人たちを納得させることができるようなものは、そういうものに振りかえる、どうしても鉄道でなければいかぬようなものに限ってやむを得ず、建設費キロ当たり高い鉄道もまたやむなしという考えでできるだけその赤字はやむを得ないといたしましても、赤字負担国鉄に多く及ばないというような方法をもってやっておりまする次第でございます。  それから御質問の具体的の線につきまして、赤字であるかどうかというようなことにつきましては、政府委員から詳細に御答弁をさせることにいたします。
  19. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 昭和二十六年度以降におきまして開業した新線は約二十五線ございますが、昭和三十四年度の成績を見てみますと、その営業係数は二二四%になっておりまして、赤字額は約十億九千万円でございます。もっと詳しく申し上げてみますと収入が八億八千万円程度でございます。これに対しまして原価経営費が十三億六千三百万円、それから利子が四千四百万円、減価償却が五億六千万円、そうしますと、おおむね十九億七千万円の原価につくわけでございます。従いまして、ただいま申し上げましたような損失が約十一億に近いものになるわけでございます。で、来年度予算で約三億八百万円の利子補給をすべく予算案に計上して御審議をお願いいたしておりますが、もともと計算の根拠と申しますのは年六分五厘で、当該建設に要した資金を借り入れたものとして、その利息を補給しようということからはじいた数字でございますが、昭和三十六年度におきましては、まるまる一年間の、六分五厘に相当する利子相当額は計上いたしておりません。つまり年度初めにおいて借り入れるものもございますし、あるいは年中央で借り入れるものもございます。従いまして、平均いたしまして、初年度におきましてはその半分を見ればいいのではないか、つまり建設資金掛けるの六分五厘、掛けるの二分の一、で、次年度つまり昭和三十七年度からはまるまる一年間その利子相当する分を見る、こういう考え方でございます。で、かりに年百億建設資金に投資するといたしますと、六分五厘でございますので六億五千万円補助すると、こういうことになります。概算きわめてラフな計算でございますが、新線建設の場合百億投資いたしまして大体十億の赤が出るということでございますが、その十億のうち利息に相当する六億五千万円を補助してやるということは、相当のやはり経営圧迫に対する緩和材料にはなる、こういうように解釈いたしております。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、現在国鉄がそういう新線建設を行なうにあたって借入金をしていると、今累計は幾らになっておるか。
  21. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 昭和三十四年度までの決算額におきまして、三百九十五億六千五百万円に相なっております。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、この今の説明でわかったことは、三十六年度新線建設に要する費用の大体半分の利子を見た、三十七年度以降はまるまる一カ年分を見る、こう言っておるのでありますが、今の累計のいわゆる借入金に対する利子というものは見られない、こういうことですか。
  23. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 来年度から利子相当分を補給するということになっておりまして、つまり法律的な表現を用いますと、昭和三十五年度以降に要した建設資金につきまして、昭和三十六年度予算におきまして利子相当分を補給すると、こういう建前になっております。従いまして、昭和三十四年度以前の分につきましては見ない、こういうことでございます。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 そこで私は運輸大臣にお尋ねをしておきたいのでありますが、先ほどの鉄道建設審議会ではあなた、運輸大臣に答申をすることになりますね。運輸大臣は、これが新線建設をされた場合には赤字になるか、黒字になるかということは十分資料を集めて検討されると思う。先ほどの御答弁のように、昭和二十六年度以降少なくとも四十数線の新線建設を行ない、すでに営業を開始しておる。しかしそれは一体だれの責任なんですか、赤字が出たということは。運輸大臣建設審議会の答申に基づいて建設国鉄に命じた。国鉄は採択権があるのですか、これはどうも国鉄としてはやりたくない、しかし運輸大臣がやれと言ったからやったと、こういうことになるのか。運輸大臣考え国鉄の総裁の考えとが一致したから、国会にそういうことでやってもらいたい、こういうふうに同意をしたのか。一体鉄道建設審議会手続上今までどうやってきたか。そしてまたその上に立って、今のいわゆる新線建設というものは、実はそんなに赤字が出るつもりではなかったけれども赤字が多くなったと、こういうのか、運輸大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  25. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げます。  御承知通り鉄道敷設法という法律の中の条文によりまして、鉄道建設審議会というものの権限を規定してございまして、御承知通り運輸大臣の諮問機関でございまして、答申をするとともに、みずから必要と認めたものに対しては建議を総理大臣初め関係大臣にすることができることになっておるのでございます。それによりましてこの新線の問題が取り上げられるわけでございます。運輸省といたしましては、繰り返し同じお答えをするようでまことに恐縮でございまするが、日本国有鉄道というものが、いわゆる公共企業体として高度の公共性を持っておりまして、ただその能率化をはかりますために、経営においては独立採算制というものをとっておる次第でございまして、従いまして、独立採算制見地から国鉄経理赤字負担になるということのゆえをもちまして、大局の日本国有鉄道の大きな目的である公共福祉を増進する見地から、日本の陸上輸送をやるという、高度の公共性から出発いたしましたこの鉄道建設というものを無視するということはできないと、こういう立場に立っておるのでございます。もちろん、昔のように国鉄というものが日本の陸上における唯一の独占的の輸送機関であったときとは全く今日は違いまして、国鉄とともにトラックとかバスというものが非常に発達をして参りました今日は、国鉄だけに赤字負担させるということの筋合いが、独占企業であった時分とは趣きを変えてきたということは、今後大いに検討すべき問題であると思うのです。その点から赤字の出るような線は政府が出資してやらしたらどうであるかとかいうような話もあることも、一応ごもっともな議論であると思うのでございますが、ただいま申し上げましたように、ことしから新線建設に対する利子補給に踏み切りましたことなども、そういう国鉄にのみ赤字負担をしいるべき事態に今日は国鉄の事業がなっておらないという見地を勘案しての結果だろうと考えるのでございまして、私どもといたしましては、ただいま繰り返し申し上げましたような国鉄公共性にかんがみまして、日本全体の交通輸送の円滑を期し、あるいは地方と都会との文化の交流を高めていくとか、あるいは地方の産業を振興いたしますとか、あるいは資源の開発をするとか、地方民の所得と都会地の人たちの所得の格差をはなはだしからしむる、ということのないようにするというような公共的の見地から、建議あるいは答申のありましたものはやるべきものであると考え国鉄当局もまた国鉄の使命をよく理解しておりますので、経理上からは好ましくないと思いましてもこの運輸省指導に従ってやっておる。言葉をかえて言えば、国鉄運輸省意見を一致さして建設審議会からの答申あるいは建議を取り上げて実行に移しておると、こういうことに御了解を願っていいと思うのでございます。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 今の運輸大臣の御答弁、そこが私は非常に重要な問題だと思う。あなたの御答弁のようなことが、今日の国鉄のいわゆる借入金増額の最も大きな要因であると私は思う。  そこで一つ角度を変えてあなたにお尋ねしておきたいのは、鉄道建設審議会運輸大臣に答申をする、つまりあなたといえども、また前の運輸大臣といえどもそうだと思う。運輸大臣に答申をする、あるいは内閣総理大臣や関係各省大臣に建議をする、建設審議会が。けれども一体鉄道建設審議会のメンバーがこういうふうにきめたということに対して、はたして国鉄の、あなたの先ほど答弁された公共企業体独立採算という立場から、取捨選択の余地があるのかないのか。これは一体どうなんですか。取捨選択の余地があったのかなかったのか、今までそういうことがあったかなかったか、こういう点についてはどう思っておりますか。
  27. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 御承知通り鉄道建設審議会は、国会議員あるいは各界の代表者とか学識経験者とかいうようなお方々が構成しておるところの諮問委員会でございまして、ここでいろいろ各方面の意見を聞き、また国鉄の使命の上から勘案いたしまして、かくかくの線は新線建設として着工すべしということを建議または答申いたしたものにつきましては、私どもはこの意見を尊重をいたします。もちろん、国鉄当局の指導監督の立場にありまするところの運輸省は、この意見を尊重すると同時に、国鉄公共的使命にかんがみまして、みずからの、あるいは独立採算制においては好ましからざるものであるといたしましても、大きな見地から、この建議あるいは答申に快く同意をいたしまして着工をする、こういうふうに私は考えておる次第で、その間、各方面の人が集まり、ことに国会議員のお方が集まって、国会議員の全員一致のもとに承諾した委員が出ておる委員会の意見を、今の時代に無視するということはやるべきものでないと私ども考えておるのでございます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、大臣、簡単に申し上げますと、鉄道建設審議会のメンバーには国会議員も含まれておる構成であるから、やはりその答申についてはこれを尊重をして、そうして実現をするというのが国鉄の立場である、ということになると、先ほど御答弁をいただいた、いわゆる新線建設をしたために借入金がふえる、その利子をさえ払うのにようやく収入によってまかなうのが精一ぱい、こういうことになると、この責任はやはり国会なりあるいは政府なりというところにあると言われても仕方がないわけですな。そういうことですね。そうするというと、先ほどの御答弁では、三十六年度には若干のいわゆる利子補給考える、三十七年度以降は三十五年度以降の新線建設の借入金について利子補給する、こういう運輸省説明と少し論旨が違うのじゃないですか、論旨が。つまり、国鉄が、鉄道建設審議会の答申というのは、これはもう絶対のものという立場に立たされておる。そうでしょう。そうすると自分がこれでは赤字になると思っても、あるいはもっと伸ばしたいと思っても、鉄道建設審議会が答申をされ、あるいは建議をされたものについてはかからなければならぬ、そのために、先ほどのお話のように、累計として、すでに三百九十五億六千万ものいわゆる借入金がある。これが三十六年、三十七年ということになると、だんだん累増していく、この場合に前のものはすべてたな上げで、三十五年度以降でなければ、これは利子補給はしてやらないということは、一体、筋がどういうふうに通ったのか、こういう点についてずいぶん疑問が出てきませんか。その点はいかがですか。
  29. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先ほど申し上げました通り鉄道建設審議会におきましても、早くから鉄道建設審議会建議または答申による新建設線に対しては、利子補給をしろという御意見がありました通りでございまして、これは理屈から申しますると、今お話のようにもっと早くからわれわれはやってもらいたかったのでございまするが、国家財政の都合によりまして、その趣旨が認められずに今日までに至ったわけでございます。まあおそかりしとはいえ今回の池田内閣で認められたということは、新しいそこに方針ができましたこととして喜んでいいんではないかと。過去の分はどうも利子補給がないのはけしからんじゃないかというお話でございまするが、これは一応はごもっともなことでございまするが、従来はそういうわれわれの要求に対して財政の都合上踏み切ることができなかった。今度はその趣旨をよく了解して財政の都合をつけて踏み切ってくれたということは、私どもとしても、国鉄としても、金額のいかんにかかわらず、われわれの主張が通ったということにおいてこれは喜んでいただける問題であると考える次第でございます。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 それでは時間があまりないので、この運輸省の所管事項として非常に重要な、交通政策の中での陸上輸送の中心である国鉄のこの新線建設利子補給、こういう問題については、また時を改めて私はなお追及をしていきたいと思うんです。それはやはり今の運輸大臣の御答弁で、三十五年度以前のものについてはまあ申しわけないけれども、これはもうやむを得ぬのだと、こういう御説明だと思うんですね。従って、一体この三十五年度以前のいわゆる新線建設のために赤字になるものが、今後どうこれが国鉄経営の内容に影響していくかということは、これは非常に重要な問題なんです。これは池田内閣が今年度予算措置をとったから、これでまあ国民にまあまあと、こう言われたところで全体がよくならなければ決してよくならない。池田内閣の成功とはいえない。今までよりは確かに進んだ。推進をしたけれども結果的にはやはり相当考えなきゃならぬ。こういう問題が残されておるから、その点についてはあとでまた時をかして、一つお互いに検討をさしてもらいたいと思うんです。  そこで特に注文をしておきたいのは、この鉄道新線建設のための借入金なりその利子なり、あるいはその新線建設による赤字累増なりが、鉄道経営全般に大きな影響を持つから、今後政府が提案をしようとする運賃改正の問題についても、私どもは、昭和三十二年度の一三%の当時の値上げについてもいろんな角度から皆さんと協議をしておったわけです。が、その結果は、しかし当初私どもがやっぱり心配したことが出てきている。ここにまた再び一二%という運賃値上げを提案をしようとしている。その運賃値上げを提案をして、今東京を中心に大都市における通学通勤等の交通難に対して一体どういう点を打つか。その運賃値上げをしてもうかった金というものが、全部そこにつぎ込まれるのかどうか、こういうことも、運輸大臣としては、少なくとも監督行政の重要な問題ではないか、私はこう思うわけです。これは非常に私ども社会党としては重要な問題としてこの点については議論をしていくつもりです。本日は決算の場合ですから、そういう点について運輸大臣特に御考慮を願っておきたいと思うのであります。これは後刻に譲ります。  そこで今度は総合交通政策として、先ほどあなたがお話しになった陸上輸送というものは、国鉄なり私鉄なりバスなりそういうものから考えて、海上輸送とのバランスをどうするか、こういう問題がやはり何といっても運輸省としては一番大きなものだ。現在先ほど海運局長からこの現在までの輸出入の問題が出されましたけれども総合交通政策として一体この陸上がどのくらいの現在役割を持っている、海上はどのくらいの役割を持っている、そうして今度一体陸上の交通難の、あるいは輸送量緩和のために海上にどのくらい振り向けるのか、そのためにはどういう手を打つのか、こういう点を一つ説明を願いたいと思います。今の形では残念ながら交通緩和あるいは輸送力が打開ができる、こういう計画なり見通しは私は立たないと思います。そこでこれから新しい池田内閣の木暮運輸政策として、一体陸上輸送というものをどういうふうに海上に転化していくのか、どのくらいの指数というものを出していくのか、こういう点を明らかにしてもらいたいと思います。
  31. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) いろいろ御質問ございましてお答えを申し上げますが、今回の運賃改定による収入の四百八十六億円というものは、これはすでに御承知通り今行き詰まっておって、あるいは日本の経済成長の方から見て隘路となるおそれがあるのではなかろうかと、一般に心配されておりまする鉄道輸送力増強整備にこれは役立つものでございまして、今の新線建設やことに東海道新線建設というようなものにはこの金は回さないものでございます。従いまして、今御質問のように、この運賃改定によって、国鉄輸送力増強整備されて、問題になっている今の大都市周辺の混雑緩和に役立つかというようなお話がでてくるものと思うのでございますが、国鉄といたしましては、この前の五カ年計画におきましても、つとに、東京とか大阪のような大都市に過大な人口が集中いたしまして、東京大阪周辺の通勤等の輸送が非常に混雑してこれを緩和しなければならない、ということに着眼をいたした次第でございまして、今回の五カ年計画におきましても、約五カ年間に一千両をこのために投じたいというふうに考えているので、その中の七百両近いものは東京の周辺に投じて、車両を増備いたしますとか、ことしの夏から始まりまするが、中野から三鷹までの線路を増設いたしますとかいうこと、また大阪の方の環状線はこの四月から開通いたしまして、幾分でも緩和に力をいたすことができると考えているような次第でございます。その他幾度か説明いたしましたように、東北本線、北陸線あるいは上越線等の幹線を復線化するとか、電化を促進するとか、あるいは電化しておらぬところをディーゼル化するとか、あるいはまた駅舎等の改築を行なうとか、その他いろいろの方面で鉄道輸送力強化整備ということに、これからの五カ年計画は全力を注ぎたい、こういうふうに考えている次第でございまして、詳細のことは政府委員から御答弁させます。
  32. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 国鉄の第二次五カ年計画におきまして、特に総合交通政策の観点から国鉄にどれくらいの役割を期待するか、持たせるかということにつきましては、これは非常にいろいろ議論がございまして、特に経済審議会の交通体系小委員会におきましては、やはりこの対抗機関でありますところの自動車運送なり、あるいは船舶による輸送、こういうものがもっと伸びるであろう、こういう想定に立ちまして、第二次五カ年計画の骨子である輸送量の伸び率を想定いたしております。御承知のように昭和三十三年度を基礎といたしまして、総生産量に対応する総輸送量の伸び率を年率八%と経済企画庁はいたしております。その場合に国鉄役割というものは先ほども申し上げましたように、自動車輸送なりあるいは海運の伸びを期待いたしまして、総体的には国鉄の伸び率はもっと緩漫でいいであろうというふうな想定をいたしまして、旅客におきましては年率五・五%、貨物におきましては五・〇%、こういうふうに想定をいたしております。そういうわけで、この作業には運輸省国鉄も参加いたしておりまして、大体そういうところがまず穏当ではないかというふうに考えた次第でございます。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 昭和三十三年度輸送量を三百七十二億総トンと考えた場合に、今の自動車あるいは鉄道あるいは船、こういうようなそれぞれの輸送態勢をどう一体変えていったらいいのか、そうすれば今日の輸送力の隘路が打開できるのか、あるいは運輸省としては何年計画でこういう点を、今の年率が八%ということを言われておるけれども一体解消する見込みがあるのか、こういう点は私は総合交通政策としては非常に重要な問題だと思うのですよ。今まで輸送力を打開する、打開すると言って運賃等の値上げをして、消費者あるいは受益者には相当負担を増加さしたけれども、結局は冬になってみたらなかなか乗り切れなかった。それは私どもが一人着るオーバーがふえるだけでも東京都内だけでも九十両も車両が足りないということを言われる。そういうようなことを計算をして積算をしてみると一体どうなるのかということは、一体こんなことで運輸省輸送力の隘路を打開するのだということを言いながら、値上げだけはできるだろうけれども一体いつになったら解消してくれるのか、この地獄はなくなるのか、こういう点を相当心配するわけです。それを一つ海上なり陸上なり、陸上の場合には国鉄なり私鉄なり自動車なり、こういう部門に一体どう振り向けていくかということについて、私は今の陸上では相当困難があるのではないか、こういう点でたとえばもっと内航関係に力を入れるべきではないか、こう思うのだが、そういう点については運輸省一体どう考えておるか、一つお答えいただきたいと思う。
  34. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) まことにごもっともな御意見でございまして、運輸省といたしましては昭和三十年以来都市交通審議会を設けまして、東京とか大阪とか名古屋とか、その他大きな都市の交通緩和につきまして鋭意研究をしてもらっておるのでございます。その中でももうすでにいろいろ答申が出まして、地下鉄の建設を今のような少ないものじゃいかぬ、東京はロンドンとかニューヨークとかパリとかベルリン等の人口に対する地下鉄の有するキロに比較いたしますると、少なくとも百八キロ地下鉄を持たなくちゃならぬとか、あるいは大阪は七十六キロぐらいをやらなくちゃならぬ。今日、東京における地下鉄は御承知通りわずかでございます。大阪でもわずかでございまして、そういうような答申も出ておるのでございますが、しかし、われわれの考えではまだどうも東京などについてみれば、人口の増加率が年に三十万人を越えようといたしておる今日におきましては、一方ではもちろん首都圏整備考え方において、過大な人口を分散するという方式を国全体として考えなくちゃなりませんけれども、今の状態でいくとすれば、都市交通審議会の答申されたものではなまぬるいのではないか、もっとこれを研究していただきたいということを実はお願いをしておるような次第でございまして、都市内におけるところの路面の交通などにいたしましても、よくたとえば東京の地上の電車を廃止するという議論がございますけれども、これは毎日百六十万ないし百七十万の人を輸送しておる現状から見て、また、ここに働いておる人の配置転換などを考えてみると、地下鉄の進捗と相見合ってこれを廃止の方向に進んでいくべきだというふうな考えも持っておりまするわけでございます。あるいはトラックとかバスとかいうものを時間を限って市内の混雑のところを通すというようなことの意見も出て参りますし、また、運輸省といたしましては東京大阪その他大きな都市には周辺にトラック・ターミナル、バス・ターミナルみたいなものを作る構想も持っておるようなわけでございまして、決してただいたずらにじんぜん日を送っておるわけではございませんが、いかにも事態が非常に各省の関係にまたがっておりますものですから、御指摘を受けるような緩漫な程度に今日なっておりますことは遺憾だと思う次第でございますが、応急の策といたしましては、内閣に交通対策本部を設けまして、ただいまいろいろこまかいことに手をつけ始めておるような次第でございまして、運輸省といたしましても、今申し上げましたように都市交通審議会の答申等を尊重いたしまして、今のお話のような総合的に勘案いたしまして、都市を中心とする輸送の混雑というものを一日も早く緩和することに全力を尽くしたいと考えておる次第でございます。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣昭和三十三年度の私は輸送量を今数字を上げて申し上げたのですね。昭和三十三年度に三百七十二億総トンキロが出ておる。それで十年計画ならば一体昭和四十三年にはどのくらいの目標を出していかなければならぬ、どのくらいの輸送トンキロというものを考えなければならぬ、あるいは昭和三十五年度なら昭和三十五年度を基準に考えたならば、十年計画として昭和四十五年にはどのくらいの一体輸送量というものを考えていくか、今年の三十六年度を基準にすれば一体どう考えるか、こういう目標というものは非常に私は重要だと思う。また運輸省もそういうことはすでにやっているはずですね。そこでそうした場合に、私の申し上げているのは、そうした場合に、今の陸上海上との輸送状況というものを考えた場合に、陸上はずいぶんいろんな手を打っても、なおかっこの緩和ということは非常に困難ではないか、そうすると、そこにやはりもっと手を伸ばせばでき得る海上輸送ということも考えなければいかぬじゃないかその海上輸送のうち、この内航については一体どうするのか、こういう点を私はお尋ねをしているわけです。そこでそれらの数字について、今運輸省自体も、あるいは内閣の中におけるこの交通審議会についても持っていると思うのですから、それはあとで発表願うことにして、特に私は一つ重点を内航船の問題についてお伺いしたいわけなんですが、その前に戦標船をどうするか。昨年この池田内閣としても戦標船については、少なくとも三カ年間内にこれをいわゆる改造する、こういう方針を立てておったはずだ。しかし現実にはなかなかいわゆる運輸省総合交通政策というものがまだきまっておらない、こういうように私は聞いている。だからなかなかその省議なりあるいは運輸省対大蔵省というものの折衝というものは不十分である。一方においては国民は、もう輸送量が増大をしておって非常に困っているにかかわらず、なかなかこの予算の問題とか、あるいはその比率の問題で作業がはかどっておらない、こういうことを聞いているのだが、もしそうだとすれば、これは大へんなことである。昨年は皆さんが政府としてきめたことを提案をされて、私どもも了解をしたのです。それが三カ年内にそれでは、戦標船が順調に進められるのかどうか、そして今の、たとえば昭和三十三年度、今三十三年度決算ですから、三十三年度を基準にした場合に、今後十カ年間のこの輸送量というものが、どういう目標を立てて打開をする考え方でいるのか、こういう点を一つ説明いただきたいと思うのです。
  36. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 詳細のことは政府委員から御答弁させますが、戦標船は御承知通りに、戦争中政府の命令によりましてできました材質、構造とも非常に脆弱なもので、その安全性を保持することが困難でありますので、昨年の十二月、これに対してかなりきびしい検査制度を出しました。この結果として戦標船を今日保有している中小の船主の人たちに、改修費等において非常な負担をかけますので、運輸省といたしましては、これを従来ありました旅客船公団の中で取り入れまして、公団方式によって、総額十五億円の金を投資をいたすことによりまして、この戦標船の改修ということに力をいたしまして、内航船をそれだけ増していきたいと考えている次第でございまして、詳細のことは海運局長から御説明いたします。
  37. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 最初の御質問からお答えを申し上げますが、国鉄輸送力の限界に対処して、内航海運をもっと伸ばさなければならぬじゃないかという御指摘でございます。十カ年計画においては一体どういうふうな指数で、総合的な交通政策からどういうふうに考えているのか、こういう御質問からお答えをいたしたいと思うのでございますが、三十三年度におきましての総輸送量は、九百七十五億トンキロでございまするが、交通体系小委員会の全体の国内輸送輸送量は、二千百七十三億トンキロになっているのでございます。その伸び率は、昭和三十三年を基準にいたしますというと、六・九%であります。そこで国鉄自動車、内航海運といったものの総合的な伸び率を一体どういうふうに考えていくかということでございますが、内航海運の特色は御存じのように、大量貨物を長距離に輸送するということが特色でございますので、しかも石炭あるいは鉱石、鋼材といったような大量貨物で、しかも長距離輸送に属するものは海運に持っていくべきだと、こういう適正輸送分野を頭に置きまして、内航海運の伸び率はそのうち六・八%と想定をいたしておるわけでございます。その中で将来こういった内航海運振興において最も緊要である問題として、戦標船の問題を続いて御指摘になったわけでございますが、私どもは御承知のように内航海運の大きなガンとして木船、鋼船ともに耐用年数を越え、しかも老朽度のはなはだしい船腹状況を眺めまして、しかもただいま大臣から御答弁を申し上げましたように、昨年十二月から検査基準の強化を強行いたしましたために、戦標船の処理対策につきまして、ただいま大臣から御説明がありましたように、従来開発銀行と取引関係のなかった中小企業特に中小船主に対しましては、国内旅客船公団を改組いたしまして、貨物船も共有方式を通じて、政府資金調達困難な中小船主に対して協力をいたしまして、これを代替建造を推進しでいく、こういうことで来年度予算におきまして資金運用部資金から公団に対して八億円の融資を計上いたしておるようなわけでございます。一方開発銀行の取引関係のありました船主に対しましては、これまた中小船主も包含されるのでございますが、金融ベースで処理できますものにつきましては、開発銀行に対して八億円という一般ワクのその他において同様に戦標船処理対策として計上をいたしておるようなわけでございまして、ただいま大蔵省との事務折衝において、解撤比率なりあるいは細目の実施方針がきまらないので、当面問題になっておる中小船主のものは非常に困っておるという実情ではないかという御指摘でございますので、その点についてお答えを申し上げますというと、解撤比率というものをどう持っていくかということは、非常にいろいろな議論がございまして、企業規模なりあるいは将来の内航船腹のあり方なり、あるいは輸送に適した船腹の整備をいたしませんとなりませんので、そういうことに持っていかねばなりませんので、きわめてむずかしい問題で、事務所折衝に時間を食ったわけでございますが、私ども考えといたしましては、解撤比率を一・五トン潰しまして一トンの新造を認めていこう、こういうことで、がたがた内航海運の弱小の船主がそこで共同で船を持つというような事態も起こって参りましょうし、ある意味においては規模をそれだけ大きくして、企業基盤の強化推進して参りたい、こういうふうに考えておるような次第でございます。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 まだ運輸大臣に対する問題はたくさん残っている。運輸大臣、項目だけちょっと申し上げておきますから、やはり時間の関係で休憩にした方がいいと思いますから。  まず、戦標船の今の海運局長答弁ですが、確かに考え方としてはわからぬわけではない。しかし、これは中小企業者にとっては非常に重要な問題ですね。耐用年数をどうするとかあるいは資金融資の問題をどうするとかいう問題は、これは運輸省が真剣にやってやらなければ、なかなかこれはできない問題です。そしてまたそのことが輸送力増強に非常に大きな役割を果たすわけです。そういう点を、一体この三カ年計画というものができるのかどうか、こういう点が、今の朝田海運局長の解撤比率を、新造一隻に対して一・五ですか、というようなことが、はたしてこれで行なわれるのかどうかということも問題があるんじゃないか、こういう点を心配しているわけです。ですから、いま少しその点をあとで御説明いただきたい。  それからいま一つは、それでは現在の海運輸送量というものを増強するために、話のあった木船なり、あるいは鋼船について、ここで代替しなければならぬ。一体、新造というものは、これから年にどのくらいやっていかなければならないのか。この日本の輸送量の増強のために、毎年、運輸省としてはどのくらい新造していかなければならないのか。この点についても、あわせてあとで一緒に御答弁願いたい。  その次に、当面する問題で大きい問題ですから、私はぜひこの点は運輸大臣の良識ある答弁をあとで願いたいのですが、現在の港湾荷役関係について、料金改定を昨年運輸省に業者は提案をしておる。しかし、これは遂に妥協の産物として、業者の申請をした一一・三%という料金は実は認められずに、〇・五で押えられた。しかし、このために全港振を初めとして、そこに所属する、いわゆるそこに働いている労働者は、非常に賃金の問題で圧迫をされておる。このことは、運輸省のやはり妥協の産物が今日の事態をもたらしている。しかも、もしこのままで推移するならば、来たる十五日には全国の船がとまるかもしれぬ。私はそれを心配しているわけだ。いわゆる港の労働者が賃金が安くて、しかもその港の労働者の賃金というものを運輸省が妥協の産物で押えた、この公示料金のために、適正な価格で料金をきめなかったために、今日では全国の船がすでにもう明後日あたりにはとまるかもしれぬ。こういうような重大な事態に対して、運輸大臣はどうするのか。こういう点についてあとで一つお話をいただきたいと思う。  それからいま一つは、自動車局長に出てもらったけれども、これはさっきの陸上輸送海上輸送とのバランスの問題を今まで質問をしておったのだけれども総合交通政策の中で国鉄の持つ役割というものも非常に強いということは、先ほどから運輸大臣答弁された通り。そこで、国鉄自動車局長が、いわゆる全国の自動車輸送について運輸大臣に申請をしておる。全国にわたる貸し切りバスを一つ認可をしてもらいたいという申請をしておる。一体これは運輸大臣はどうするのか。運輸大臣として今まで地方の陸運局長に、まあ必要に応じて指示をさせておったけれども一体それは、今度のような場合にはどうするのか。これは関係業界ともかなり接触のある問題だと思う。しかし、運輸大臣のこれは裁量が重要な問題を投げている。そこで、国鉄自動車の全国にわたる貸し切りバスについては、一体どうする方針なのか。認可をするのかしないのか。そうしてその輸送というものに対する取り扱いをどうさせるかということを一つ答弁をいただきたい。  それからその次には、現在のやみタクシーの問題ですが、特に私は横浜におりますから、全国の中でも非常に多くのやみタクの問題で事件が起きておる。神奈川県の警察本部長は、このことについて、東京陸運局長に対して申し入れを行なっておる。運輸大臣は聞いておると思う。一体どうしたらいいのか。八百両も一千両ものやみタクシーというものが、横浜駅なり、あるいは桜木町なり、あるいは横須賀なり、各駅頭において商売をしておる。しかし、追っ払ってもなかなかなくならない。これは一面から言えば自動車の不足ではないか。運輸省は、前のいわゆる楢橋運輸大臣の当時に、個人タクシーというものは非常にいいことだから、これは一つ免許してやろう、こういうことで、東京あるいは神奈川等においても個人タクシーにも免許した。しかし、現実にはまだそういう商売をやらしてもらいたいという請願者が非常に多いはずだ。しかし、なかなかその作業は進んでおらない。また、一方においては、既存業者の温存ということではなかろうけれども、新しい免許を申請をしておる者も、なかなか実は作業が進んでおらない、こう私は聞いておる。これらについて、一体運輸大臣としてはどう対処していくのか、というやみタクの問題を中心とした新規免許について一体今の運輸省の作業というものはどうなのか、運輸大臣としてそういう今の車の足りないという現実をどうするのか。こういう点について御説明をいただきたいと思う。  最後に、都市の交通緩和の問題で、今私鉄の小田急の渋谷専務が団長かになって、運輸省関係へも行っているかもしれませんが、モノレールの開発ということを今盛んに研究をしておるようであります。一体運輸大臣はそれを真剣に取り組んでやるつもりなのかどうか。そうして今棚ざらしになっておる新橋——羽田間のあれは一体どうするのか。金はかけたけれども実際は使えない、それはやっぱり運輸省の行政の渋滞がそういうようにしておる、こう私は見ておる。そういう点について、一体モノレールの開発事業というものは運輸省はどういうふうに考えておるのか、また今後はどういうところにそういうものを設けていくのがよろしいのか。こういう点について、都市交通緩和についての一つの方針として御説明をいただきたいと思う。  それからまあ輸送問題については以上の点で、私は、北海道炭鉱汽船の問題だとか、呉市の問題だとか、いろいろありますね。そういうような問題がたくさんあるのでございます。それらは一つモノレールの開発についてどうするかということで、基本的な態度を示してもらって、あとは、非常にいつも御苦労願っておる海上保安庁整備について、木暮運輸大臣は就任されてから一体どう思ったか。これは一つ大事なことだから聞いておきたい。今の海上保安庁整備というものはこれでいいのか。それとももっと自分としては積極的に、いわゆる船なり、あるいはヘリコプターなり、あるいは標識なりというものについて、考えていかなければならぬというふうに思っておるのかどうか。  それから同じ気象関係、あるいはその保安庁の関係もあるからお尋ねしておきたいが、池田総理大臣が国会において、中国との問題について、気象業務等については具体的にいわゆる話し合うことができると言ったが、一体どういうことをやっておるのか。今話し合ってどういうふうになったのか。こういう点について、午後一つ答弁をいただきたい。まあ時間がかかるから、私はあらかじめ各委員の立場も考え質問を先に出しておきます。それを御答弁をいただきたい。  以上です。
  39. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 午前の質疑はこの程度といたしまして、午後一時より再開して質疑を続行をいたします。  これで休憩いたします。    午後零時八分休憩    ————・————    午後一時二十一分開会
  40. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) これより委員会を再会いたします。  午前に引き続いて運輸省関係質疑を続行いたします。  午前中の相澤君の質疑事項について、運輸大臣答弁を求めます。
  41. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 午前中の会議におきまして御質問のありました点を逐次お答えを申し上げたいと思います。  まず、国有鉄道の方から申請が出ておりまする国鉄貸し切りバスの点についてお答えをいたしたいと思うのでございます。日本国有鉄道は、国有鉄道法の第三条第一項第三号の規定によりまして、鉄道事業に関連する自動車運送事業を経営することができることになっておるのでございます。ただ、国鉄バスと民営バスとの関係がだんだん複雑の度を加えて参りまして、民営と国鉄バスとの調整というものがだんだんに大きな問題になっておりますので、昭和二十九年の四月、国鉄及び日本乗合自動車協会に対しまして、国鉄バスと民営バスの相互に関連する地域について、原則として、相手の立場を尊重して、融和精神にのっとって、お互いに相侵さないようにすること、利用者の利便を確保、増進するため、必要ある場合にはあらかじめ国鉄と民営バス相互に連絡、打ち合わせを行なって、公共事業の立場から自主的の調整に努めるよう勧告をいたしまするとともに、各陸運局長に対して、この趣旨に沿う指導方を運輸省としては指示いたしましたが、最近の実情を見ますると、この運輸省の勧告の趣旨に従いまして、路線バスについてはおおむね国鉄バスと民間のバスとの間で円滑に遂行されておることはけっこうなことだと思うのでございます。国有鉄道の一般貸し切りバスは、現在におきまして四十三営業所について七十七両が承認されていますが、申請中のものは、現在三十九営業所から七十二両でありまして、これにつきましては、陸運局に対して調査を今本省としては、命じた段階であります。従いまして、これを利用する国民大衆の利便を確保いたしまするとともに、ただいま申し上げました民営バスとの調整等もよく考慮して、適切に処理いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから御質問のありましたもぐりタクシーという問題でございます。いわゆる白ナンバーのタクシーの問題でございまするが、道路運送法の免許を受けないで、違法にタクシー行為を行なっておる、いわゆるもぐりタクシーに対しましては、陸運局とそれから各地の陸運事務所において、警察当局と緊密な連携のもとに、これが取り締まりに当たっておるのでございます。現在運輸省の推定いたしまするところによると、全国でまあ数千両あるいは八千両ぐらいのもぐりタクシーが存在しているのではないかというふうに考えられますので、まことに遺憾に存じておる次第であります。今後もこういう法律に違反する行為につきましては、警察当局と緊密な連絡をとって、一そう取り締まりを強化いたすことはもちろんでございますが、先ほどもお話がありましたように、こういうもぐりタクシーが出るということは、タクシーの増車ということと相関連しておる点も考えなくてはならないのでございまして、こういうもぐりタクシーの発生を招くような原因を除去するということも、大いに反省して考えなくちゃならぬことと思うのでございます。横浜、川崎、横須賀地区のもぐりタクシーについても、神奈川県の警察本部と連絡をとりまして、特別班を組織して取り締まりを推進しておりまするが、県警察の本部長からの申し入れの事態についても、タクシーの増車等の方向について十分対策を立てて、現在申請受付中のものは極力すみやかに処理いたしまして、タクシーが不足いたしましておるためにこういう法律違反のもぐりタクシーが横行するというような事態の発生を防ぎたい。一方では警察と緊密な連絡をとって、その取り締まりを厳重にこれからいたしたいと考えておる次第でございます。  次は、海運関係の御質問に対して簡単にお答えを申し上げますが、戦時標準船は現在約七十万総トン存在していますが、運輸省が昨年八月、各船主について調査したところによりますると、このうち解撤、すなわちスクラップにすることを希望するものは約四十二万総トンであります。この十六次計画造船において約六万総トンが解撤されまして、さらに第十七次以降の計画造船によって約十六万総トンの解撤が見込まれております。従いまして、戦標船対策として解決する必要があるのは約二十万総トンであります。昭和三十六年度におきましては、おおむね四万総トンを解撤する予定であります。さらに三十七年度から三十八年度になりましては、所要資金の増額を行ないまして戦時標準船処理を円滑にいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  次に、先ほど御質問がございました今後の内航海運の新しい船の建造計画はどうであるかということに対してお答えを申し上げます。所得倍増計画によりますると、内航海運輸送量というものは、昭和四十五年度には八百六十億トンキロとなります。これを昭和三十三年度に比較いたしますると、二一九%となる見通しでございます。この増大いたしました輸送量に伴いまして必要な船腹の量は約三百八万トンでございまするが、木船は昭和三十四年度末における総船腹量が約百二万トンのまま推移するとわれわれの方では考えられるので、鋼船は約二百六万トンが必要でございます。一方三十四年度末の鋼船船腹量は百三万トンで、差し引きをいたしますると、百三万トンの新造が必要となって、年間平均十万トンの所要建造量となるのでございます。  次は、港湾の荷役の料金の問題について御心配になりまして御質問がございましたが、これに対してお答えを申し上げたいと思うのでございます。船内荷役関係の労働組合でありまする日本港湾労働組合連合会は、去る三月六日、基本給五千円引き上げを基本といたしまするいろいろの要求を行なっております。船内荷役の経営者の団体でありまする全国港湾荷役振興協議会は、港湾荷役料金の値上げを行なわなければこの要求に応じがたいという意向を持っているのでございます。なお労組への回答期限が三月十五日までとなっておるので、この問題は日本港運協会に持ち込みまして、日本港運協会として今月十五日に全国地区代表者の会議を開きまして態度を決定することとなっておるのでございますので、運輸省といたしましては、これらの経緯を見た上で、この問題については慎重に検討、考究をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから御質問のございましたモノレールの問題についてお答えを申し上げます。モノレールにつきましては、都市交通機関の新しい問題といたしまして、運輸大臣といたしましては重大な関心を持っておるのでございます。モノレールが大量かつ高速度の交通機関としてはたして適格性を持っているかどうかについて、今事務当局をして、技術的その他の関係から急速に答えを出させるように検討させておる現況でございます。  モノレールで現在申請を受けているのは、新橋——羽田間、これは日本高架電鉄株式会社からの申請でございます。それから広島——比治山公園一周、広島モノレール観光株式会社からの申請、それから北海道不動産株式会社から申請しておりまする日光の霧降高原のモノレール、それから名古屋鉄道株式会社が申請しておりまする犬山公園のものと、それから大阪南地興業が申請しておりまする大阪市大黒橋から日本橋の間にモノレールを敷こうということでございます。呉市の申請はまだ当局としては受け付けておらないのでございます。ただいま申し上げましたうちで、犬山公園と、それから北海道不動産が出しておりまする日光の霧降高原、この二つのものにつきましては、今適当であるかどうかということを運輸審議会運輸大臣から諮問中でございます。新橋と羽田の間のものにつきましては、御承知通り、羽田から東京へ入りまする玄関が、いかにも現在交通混雑いたしまして、とかくの批評がございますことにかんがみまして、このものにつきましては、調査を早急に実施の上、近いうちに運輸審議会にこれも運輸大臣から諮問をいたして、答申を得たいものであると考えておる次第でございます。  それから、先ほどの御質問の中で、気象業務につきまして中共との協定は行なってもよいという総理のお話があった。その後具体的にどういうふうな状態に、気象業務については中共との間の連絡ができておるのかというお尋ねでございましたが、現在、中華人民共和国からの気象資料は、予報業務に差しつかえない程度毎日入手をいたしておるのでございます。しかしながら、これは正式な協定に基づくものではもちろんないのでございますから、もし中華人民共和国側が応ずるならば気象に関する協定締結につきましては話し合いを進めることがよいと運輸省では考えておるのでございます。詳細なことにつきましては、後刻気象庁長官から御説明を申し上げたいと思います。  最後に、海上保安庁整備について御質問になりましたことについてお答えを申し上げたいと思います。海上保安庁の巡視艇につきましては、旧海軍等から引き継いだ昔の船が多いのでございまするが、老朽度がはなはだしいので、毎年これらの代替建造に努めておりまして、逐次古いものを整理して、老朽船を新しいものにかえておるのでございます。来年度におきましては、一千トン型の巡視船の代替といたしまして、九千トン、定点観測用船一隻を初めといたしまして、巡視船四隻、巡視艇四隻の代替建造を実施するということにいたして予算をとってございます。なおまだ質量ともにかなり不十分でありますので、今後ともこの巡視船整備について力を尽くしたいと考える所存でございます。航空機につきましては、本年度末におきまして双発で飛行機三機、ヘリコプター八機を全国六カ所に配置をしていますが、なおまことに不足なものがありますので、今後とも航空機の勢力の増大に努力をいたしたいと考えておる次第でございます。航路標識につきましては、三十六年度におきまして相当大幅に新設、改良、改修を実施することといたしまして、多額の予算を盛りまして、ただいま御審議を願っておりますが、今後とも航路標識の新設、改良、改修、整備等につきましては力を尽くして促進いたしたい、こう考えておる次第でございます。  詳細のことにつきましては、御質問によりまして政府委員から詳細に御答弁をさしていただきたいと思います。
  42. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) 委員長から相澤君に申し上げますが、大体二時二十分から運輸大臣予算委員会の方に参らなければならぬということでございますので、その時間をお考えの上で、最初の部分は主として大臣に対して御質疑を集中されんことを、要望する次第でございます。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣の御答弁をいただいたわけですが、最初に自動車関係についてなおお答えいただきたいと思います。  先ほどの国鉄の貸し切りバス申請について調査をさせておるという御答弁だったわけです。そこで、この調査をさせておるといって調査が長引いたのでは、これは結局意味がないと思う。そこで一体運輸大臣として、民営と国営とに対する総合的な判断というものを出す時期が私は問題だと思う。いつごろ一体やるつもりなのか。単に調査をしておるだけでは、私は今の問題の解決にならぬと、こう思うのですが、大臣の御答弁一つ伺いたい。
  44. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま申し上げましたように、最近国鉄バスと民営バスといろいろ複雑な状態が、自動車交通網の大きくなるに従いまして、各所で起こりまして、現在におきましては、運輸省から指示いたしましたように、両者が相協調いたしまして、おのおの公共的精神に基づいて、利用者本位に相譲り合って解決をいたしておるのでございまして、問題はないことを先ほど申し上げたのでございます。今度国鉄から多量の貸し切りバスを申請しておりますので、これにつきましてもただいま調査をいたしまして、なるべくすみやかにこれが決定をこの方針でいたしたいと、こう考えておるのでございます。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 すみやかにということで、それ以上の時期的なお答えがないわけですが、少なくとも、運輸大臣としては、ちょうど予算委員会で三十六年度政府考え方を述べておるわけです。従って、きょうも午後の予算委員会でもいろいろ御質問に対する御答弁があろうと思うのですが、やはり今の輸送力を増強するという立場からいけば、これはただ単に慎重に検討するだけでは私は意味がないと思う。やはり現在最も必要な問題として直ちに私は手を打つ必要があるだろうと思います。従って、少なくとも年度予算、当初予算審議するにあたっては、こうしたことによって今の国民の期待を、沿線の住民の希望をいれるというぐらいの私は方針だけはやっぱりここで明らかにして、そうしてその時期を四月にするとか五月にするということはあるかもしれぬけれども、私は出すべきじゃないかと思う。運輸大臣がこの国鉄の貸し切りバスについて、これは検討してみなければ、認可するともしないとも言えないというようなことでは、運輸省一体その三十六年度の提案説明に対してどういう考えを持つかという点に私は振り戻ってしまうと思う。ですから、そういう点についての私はむしろ大臣の御答弁を願っておきたい、こう思うのです。
  46. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) まことにごもっともな御意見と存ずるのでございまするが、繰り返して申し上げておそれ入りますが、民営バスとの調整というようなことも、またいろいろ議論になるところでございます。しかし、何と申しましても輸送力増強と利用者の利便を確保するということが、これが第一でございますので、この点につきまして考慮して、適切に処理していきたいと、こう考えておる次第でございます。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 それからその次に、先ほど御答弁いただきましたこのやみタク撲滅の問題として、全国でまあ八千両ぐらいあるかもしれぬと、こういう大臣の御答弁がされておる。その八千両くらいあるかもしれないやみタクと、需要供給のバランスというものをどう考えているか。そこでまあその取り締りは徹底的になお今後もやると、そうして神奈川県の警察本部長の申し入れの、個人タクシー等の新免についてはできるだけまあ一つ相談をしていくと、こういうような先ほどの御答弁なんですが、一体その取り締まりをさらに継続すると言っているが、それだけで実はやみタクシーがなくなるのかどうか。あるいは、その個人タクシーというものか、あるいは法人組織の申請のものか、いずれにしても、そういう新規免許に対する基本的な考え方というものを明らかにしなければ、これは私は今まで一生懸命、取り締まりをやります、やりますと言っておったけれども、結局はできていないということに尽きるのではないかと思うのです。ですから、あなたの前の南運輸大臣、あるいはその前の楢橋運輸大臣当時に個人タクシーというものを認可したけれども一体、今度の木暮運輸大臣になってから、どうしてこのやみタクシーというものをなくして、そうして需要供給のバランスをとるのかという基本的な考え方がなけりゃ、ただあんたが説明して言うだけにすぎないと思う。そういう点をいま少し、それじゃ全国的に見てどうする、東京の場合はどうするのだ、こういうあなたの一つその政策を、積極的な政策を私は答弁してもらいたいと思うのです。
  48. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 法律を犯してまで白タクと申しますか、もぐりタクシーの起こりまするのは、それは御指摘通り、需給のアンバランスの結果が大いにあると考えるのでございまして、まず、そういうものが出ないようにいたすと、出たものについては取り締まりを厳重にする。出ないようにするのにはどうしたらよかろうかといえば、需給調整を円滑にするわけで、必要なところについては思い切って増車を行なうと、こういうことで、そういう法律違反のもぐりタクシーが現われないようにして、現われた場合には、これを警察当局と緊密な連絡をとって厳重な取り締まりをやると、こういう方針でいきたいと思うのでございまして、まあ私は、つまり一言にして言うと、自動車の数が不足しているからこういうものが横行するのだということは、一面の理屈であると思いますので、必要な方面に対しては今後においては思い切って増車をすることがよろしい、こういう考えを持っておるのでございます。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣は、必要な面については、新免を出して、そして需給のアンバランスをなくすお考えであるということがわかって、私は大へんけっこうであると思います。しかし、そういうあなたの考えであるなら、現在までの作業状態、陸運局のこれを見た場合に、三十六年のこの予算審議をするにあたって、一体この今までの作業の渋滞というものをどうして解消するか。現在は、たとえばあなたがさっき答弁をされた神奈川の場合でも、特別監視班を設けて、そうしてやみタクの取り締まりをやっておると言うが、それがためには、かえって一般のこの申請に対するところの審査ができないじゃないですか。仕事がたまっていくばかり、そうして結局は町にはいわゆる利用者の不満の声が出てくる、そうしてまた一方においては車の申請をしておる人たちの不満も出てくる、こういうことになるだろうと思います。だからそこにはやはりそれを査定する仕事をしていくところの陸運局の要員というものがふえなければ、幾ら運輸大臣が国会でもって、私はこうやりますと言ったところで、仕事はできないでしょう、運輸大臣自身がやるのじゃないのだから。運輸大臣がそういう抱負を、そういう政策を持ってやっていくにしては、それだけの人員というものをふやさなければならない。今度はあなたはそういう仕事をスムーズに進めるために、どういうふうに人員をふやそうとしておるのですか。
  50. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま私が申し上げました方針で進みたいと思うのでございまして、いわゆる自動車の検車とかあるいは登録とかということの仕事がだんだんとふえて参っておるのでございまして、これらにつきましても、今度の予算によりまして、ある程度の人員の増加を認めてもらったわけでございまして、私どもの方とすると、自動車の増加に伴いまする検車あるいは登録その他の仕事をいたしますのには、この際、公団組織のものでも作って能率を上げるごとがいいのではないかという一つの構想を持っておりましたが、これが予算にわれわれの意向が現実に取り入れられませんことは、まことに遺憾だと思っておる次第でございまするが、しかし人員等につきましては、幾分か増加して、そうして、できるだけこういう仕事の万遺憾なきを期したいと、こう三十六年度からは考えておる次第でございまして、詳細のことは、自動車局長から御説明させます。
  51. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 本年度昭和三十五年度におきましても、輸送関係、登録検査関係で増員をいたしまして対処していくようにしたのですが、これは十分とは申せませんでして、前年に比べまして百十一名の増員でございましたが、この三十六年度予算要求におきましては、定員と賃金とを合わせまして九十二名の増員要求を現在の予算に、昭和三十六年度予算に計上して要求をいたしておるのでありますが、まあこれではまだわれわれとしては十分とは申せませんのですが、できるだけ増員の要求を続けて、仕事の円滑を期していきたいと思っておりますと同時に、具体的なタクシーの、たとえば東京陸運局におけるタクシー審査等に関しましては、従来陸運局の旅客第二課が担当しております。その旅客第二課等の人員も十数名さらによそから回してふやしまして、こういう審査を促進していきたい、こういう所存でおります。
  52. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣、この自動車局長なり陸運局長意見というものは、あなたも省議できめる際十分お聞きになったと思う。今までの経過からいけば、全く膨大なこの業務量に、非常な陸運局の職員は追い回されて、徹夜々々をしなければ作業がなかなかできない。しかも、その徹夜をしても超過勤務手当さえ満足に支払えない。このような事情は、こういうことは、あなたもおそらく聞いておるだろうと思う。そこで現在までのところ、大蔵省との予算折衝において、今あなたが、自動車局長なりあなたが答弁されたような形になったと思う。私は一つ方法として、前国会にも言ったけれども、少なくとも登録手続なり、あるいは車検の手数料なりというものは、いわゆる国家の歳入現金としてこれは納められてしまうけれども、それをもし運輸省がその手数料なり取り扱い資金を、これが使えるとしたならば、相当有利な私は条件が出るのじゃないか。こういうことまで前回も申し上げたのでありますが、他面においては、大蔵省が、出す方についてはなかなか渋っていて、そして、取るものは遠慮なく取り上げてしまう。こういうところが今まで運輸省の一番仕事のやりにくかったところじゃないか、こう思っておるわけです。そこで、今のようなわずか九十人やそこいらをふやしても、それで、この現在の全国八千両から一万両あるやみタクを撲滅して、取り締まりを厳重にしてなくするということができるのかどうか、あるいは今のもっと営業車がほしいという利用者の要望に沿えるのかどうか。具体的に、もしあなたが御答弁願えるならば、大体もう大東京のようなところで自動車が捨えないというところもずいぶんあるわけですね。そういうことをあなたも耳にしておると思う。こういう東京の大体この新規増車について、いつごろめどを出すのか、あるいは周辺の神奈川なりあるいは埼玉なり、そういうようなところについても、いつごろ一体そういう点について目鼻をつけていくのか、こういうところが運輸大臣として、少なくともやみタクをただ征伐するというだけでは私は能がないと思う。やはりあなたの言う、必要なところは増車をしなきゃいけない。そして、この需供のアンバラスをなくする。こういうことが一番大事なことだと思う。そういう点について、大臣、一体お話を、下部のその機構の非常に困っているところのことを聞いて、今度の予算折衝の中でどうあなたはされたのか、その点をいま少し解明してほしい。そうでないと、ただ、九十二人増員をしましたから、これでできますなんていうなまやさしい問題じゃ私はないと思う。この点について、その経緯を一つ説明いだきたい。
  53. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 自動車局長から詳しく御答弁させたいと思います。どうぞお許しを願います。
  54. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 最初に相澤先生から、東京あるいはこの周辺の増車等についての措置をどうするかという御質問がございましたので、その方から申し上げたいと思いまするが、東京につきましては、昨年二千八百両の増車を完了いたしましたが、現在答申を得まして、この答申は昨年の末に出たわけでございまするが、これに基づきまして、現在二千両の増車措置につきまして審査を開始しておるわけでございますが、三月十三日、本日から聴聞を開始いたしまして、できるだけ迅速に聴聞と現地調査を終了したいと思っておりますので、これらに関しましては、現在の予定では、八月ごろまでにはそういうものの一応の調査が終了するのではないかと思っております。神奈川の警察本部長等の申し入れ等がございましたが、神奈川の地区等におきましては、現在受付中のものが、法人で十四、五件、個人で百件ほどございますが、これらにつきまして、個人で申請しておりますもの等については、この三月の二十日から聴聞を開始することにいたしまして、先ほど大臣から答弁のありましたように、できるだけすみやかに処理をしていく予定でおりまするし、すでに聴聞を終わりました法人等もございますので、これらに関しましては、それらを両々勘案いたしまして、できるだけすみやかに処置をいたしたいと考えておるところでございまするが、今要員の増員要求等につきましては、昭和三十六年度予算要求に関しまして、自動車検査の問題は非常に問題でありましたので、要員及び施設の問題を解決したいという構想のもとに、自動車検査公団の要求をいたしておりましたが、まあ、これにつきましては通りませんで、途中で増員と施設の要求という方向に方針を変えて大蔵省に要求をし直しまして、先ほど申し上げましたように九十二名の増員ということに落ちついたわけでございまするが、今後におきましても、実は要員が非常に——われわれとしては、自動車が非常にふえておりますので、これに追いつきますためには、経営合理化自動車検査合理化等をはかっていかなければならないと思っておりまするが、やはり自動車の増加に見合っていく増員ということが必要であろうと思っておりますので、これらの点を鋭意折衝していきたいと思っておる次第でございます。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 次に自動車関係で、特に世間を騒がしたのはダンプカーの問題があるのですね。これは乗用車の場合もあるし、トラックの場合もあると思うのです。特にダンプカーが一番——東海道線の戸塚秋葉踏切の問題を契機に大きな問題になった。従ってそういう自動車鉄道軌道等を横断しなければならぬ、こういう問題について、政府としてその関係予算なり法律関係というものを提案をしておるのかどうか。また、そういうことを木暮運輸政策としてどうするのかという点を、この機会に表明をしておいてもらいたい。いかがですか。
  56. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 今御指摘のように、最近踏切におけるダンプカーの事故が非常に多くなりましたことは、まことに遺憾であると存ずるのでございまして、政府といたしましても、これをなおざりにするどころではございませんで、重視いたしまして、今回改組された、内閣にある交通対策本部でこれを取り上げまして、交通安全部会で検討を今いたしておるという次第でございまするが、詳細のことは自動車局長から一つ答弁をさしていただきたいと思います。
  57. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) ダンプカーの事故が最近非常に頻発しておりますので、その対策を、ただいま大臣の御答弁にもありましたように、交通対策本部で打ち合わせておりまするが、これは踏切の問題が解明されなければいけないと思いまするので、自動車関係で申しますると、たとえば踏切の前における一たん停車の励行とか、それが当面の問題でありまするが、そのほか運行管理の適正化あるいは労務管理の適正化、車両の完全整備というようなことに関しまして、自動車関係に指示をし、それらについての措置をいたさせておるのでございまするが、根本的にはやはり踏切を立体交差化して、そういう事故が発生しないようにすべきである、こう考えますので、それらの点については、鉄道監督局の方で建設省と打ち合わせをし、その方向で進めておる次第でございます。
  58. 相澤重明

    相澤重明君 ですから大臣、今の自動車局長答弁のように、単に労務管理をよくするとか、それから休憩設備をよくするとかいうだけでは、これはこの踏切事故というものはなくならぬわけですね。従って、たとえば踏切等の法案というものをこの国会に出す考えがあるのかどうか、こういう点が私は重大なポイントになるだろうと思うのです。そのためには、立体交差がどういうふうに予算的に、全国的にどういうふうにやられるのかというようなことも、当然政府は、これだけ大きな世論になっておるのに、手をこまねく必要はないと、また、そういうことであっては、これは運輸省の責任だと思う。そこで運輸大臣国務大臣として、こういう重要な人命を損傷する問題について、この国会にそういう関係の法律案を提出する意思があるかどうか、こういうことを私は先ほどから実はお尋ねしておるわけです。その点を率直に一つお答えいただきたい。
  59. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 御指摘になりました踏切の立体化とか改善とかいう問題に関しましては、運輸省といたしましては重大な関心を持っておるのでございまして、道路管理をいたしておりまする建設省等々と連絡をいたしまして、踏切の立体化、改善等につきまして促進をいたす意味で新しい法案を一つこの国会に提出いたしたいというので、関係各省と今折衝をいたしておるところでございます。
  60. 大倉精一

    ○大倉精一君 関連して一、二お尋ねしたいと思うのですけれども、先ほどの相澤君のやみタクに関する質問に対する大臣の答弁の中で、需給関係を重点に答弁されたように思うのです。これはけっこうだと思うのです。けっこうだと思いますけれども、やみタクの問題は、需給バランスがとれたからといってやみタクがなくなるとは私は考えない。つまり言うならば、やみタクというものは非常に簡単にできる商売ですね、これは。言うならばパンパンガールと同じものだと思う。ポンコツを買って、ハンドルを握って町をぶらぶらしていれば向こうから乗っかってくるわけです。伝票を書く必要もなければ、送り状を書く必要もなければ、何をやる必要もない。きわめて簡単な商売だ。こういうものを、需給関係がよくなったからといって撲滅はできないと思うのです。つまり税金を払ってやっておる業者よりも安い料金でやれるのはこれは当然なんですね。そうすれば需給関係だけじゃこれは解決つかないと思うのです。もっと抜本的な方法を講ずる。たとえば自動車販売業者の方にも問題があるでしょう。また、タクシーの運転手に希望がない。将来に対する何ら希望がない。退職手当金があるにはあるけれども、ほとんどわずかなもの、あるいは弱小零細業者のタクシーの運転手に至ってはほとんどそういう恩典がない。こういう工合にタクシー運転手に希望がないというところに大きな原因があるのじゃないか。こういうものの指導をやはり考慮しなければならぬと思うのですが、そういう点についてはいかがでございますか。
  61. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 現在のやみタクに関しましては、先生のおっしゃいますように、あれば簡単に乗れるという現象は確かにあるのでございまするが、ただこれに関しましても、需給の調整ということも、やはり大きな問題でございまして、最近営業者の増車をいたして参りました地方においては、やみタクシーの運賃相当に高くなってきた。それにさらに、やみタクシーに乗った場合には危険を伴うというようなことで、やはり正当な営業車に乗りたいというお客さんがふえてきておりますが、これはしかしそうはいっても、根絶はできませんので、今先生のおっしゃいましたように、販売業者に対する措置、これに関しましても、販売業者につきましては、私どもの方からは鋭意こういう方面には売るべきでない、こういうような指導をいたしておるのでありますが、そういう方面も考えなければなりませんし、運転者についての将来の希望というようなことに関しましては、これは固定給の増加とかいうようなことで、神風タクシー以来の措置を私どもとしては進めております。同時に、個人タクシーの申請等に関しましても、これらの措置を伸ばしていくという方向で考えておる次第であります。
  62. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは、いずれまた運輸委員会等において審議することになるでしょうけれども、特に運輸大臣が、関係各省との関連事項がたくさんありますので、そういう点について特に思いをいたして、やみタクなり、やみトラックの撲滅ということについては格段の一つ配慮をしてもらいたいと思うのです。特に最近における、たとえば不良暴力団あたりの取り締まり強化、これはだんだん強化されまして、飯を食うところがないというと、いわゆるポンコツを買って町の中を走る。従ってこれが組織化されて暴力化するという傾向が出てくる。ですから、そういう点について特に各省との連繋を緊密にしながら、幸い内閣にはそういう対策委員会もあるようですから、その部面において十分一つ御検討願いたいと思います。特に業界方面からは、これに対する新しい道路運送法の改正法案が出されるというような空気もあるようですから、これとも関連して十分御検討願いたいと思います。  そこで、もう一つ局長にお尋ねするのですけれども、確かに需給関係のアンバランスをなくするために増車するのはけっこうですが、ここに一つ問題は、車二千両ふやすのだが、運転者はどうするか、こういう問題になるわけです。運転者はどうするか。これはただでさえ運転者が足りないのですよ。こういうこと自体がおかしいのですが、運転者が足りないのだが、やみタクはふえていく、こうなっている。この現象自体がちょっと不思議な現象ですけれども、特に私は、このタクシーの増車に関連した運転者の対策、特に大阪方面においては、トラック協会あたりから、タクシーを増車するというと、運転者は引き抜かれるから、増車をやめてもらいたいというような陳情もあったように聞いております。特にダンプカーあたりの、相澤君の質問もありましたが、これも運転者には一種、二種の免許がありまして、いわゆるバスとかハイヤー、タクシーは、三年間ですか、免許取ってからたたなければ、この免許が取れないのですが、そうしますと、ハイヤー、タクシーは三年間も養っておくわけにいかない。どうしてもそういう運転者はトラックの業者の中に入って、そうして年月をかせぐ。かせいでいよいよ第一種取れるということになれば、今度は乗用車の方に移っていく、引っこ抜かれる、こうなってくる。つまり言うならば、乗用車の方はトラックから引っこ抜く、トラックはダンプカーの方から引っこ、抜く、ダンプカーの方に未熟なものを引っぱり込んで、それで事故が起こる、こういう悪循環がくる。このいわゆる増車をすることもけっこうですけれども、これに伴なう運転者対策というものを本気になって考えてもらわないと、これは非常にちぐはぐが出てくると思いますが、こういう点について局長はどういうふうに考えておりますか。
  63. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 全国的に申しますと、一種免許を持っております者が、営業用の二種免許を取ってタクシー、バス等を運転することになるわけでありますが、全国的な数字で申しますと、この一種免許を取っております人は非常に多いわけでありまするが、現在は、ただ自家用を運転するために、自分の運転のために一種免許を取っている人も相当多いと思います。この一種免許、二種免許の制度運用をやっておりますのは警察庁でありますので、警察庁の方へ私どもの方から二種免許の所持者をふやす措置を講ずるように、われわれと一緒に大いに打ち合わせてくれということで申しているわけでありますが、今おっしゃいましたように、二種免許を取るためには、一種免許を取ってから三年が必要でございますが、公安委員会で認められました教習所等において学びます場合には二年でもいいというような状況もございますので、現在既存業者あるいは協界等に、そういうふうな教習制度を作らせることも、私どもの方で慫慂し、警察の方へもこういう場合には、大いに認めてくれ、こういうような申し入れもいたしておりまして、二種免許の所持者がふえるようにいたしたいと思っております。さらにトラックの方からハイヤー、タクシーの方へ運転者が引き抜かれるという現象につきましても、何かの措置を講じなければいかぬと思っておりますが、これを全然とめてしまうことも、われわれとしましてはできませんので、やはり二種免許所持者をふやして、どんどんふやしていく措置を今後講じていきたい、また警察庁と打ち合わせていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  64. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは大臣に要望しておくんですけれども、今の御答弁ずっと聞いておりましても、やはり官庁間の連絡が不十分という点があると思うんです。さらに路面運送に関しては、いろいろ行政上の不備があり、さらにまた行政上再編成しなければならぬ部面がたくさんあると思うんです。それを今から思い切った構想のもとに検討し、合理化するようにしないというと、車はふえる、道路はよくなるでしょう。しかしながら、総合的な対策を立っていないというと、非常にちぐはぐなものができて、ますます交通の混乱ということが出てくると思います。ですから、一つこの際、大臣とされましても、そういう総合的な観点から格段の努力を一つ払っていただきたい。そうして、少なくとも、大臣御就任中に、陸上、特に路面交通の混乱というものを直していくような足がかりを作ってもらいたい、こういうことを一つ要望しておきます。
  65. 相澤重明

    相澤重明君 次に大臣の先ほどの御答弁をいただきました海運関係でありますが、特に緊急を要するのは、先ほども申し上げましたように、明後日、三月十五日に全国の港運業者の代表者会議がある。そのことを待って、そうして運輸省としては態度をきめたいというような運輸大臣の御答弁があったですね。これは私が先ほど申し上げましたように、現在の船内荷役料金というものが、公示料金は昨年の八月十六日に運輸省関係業者と話して、実は妥協の産物として、当時五%しか値上げを認めなかった。そのために労働者の賃金要求というものは押えられ、あるいは労働時間というのは長くなる。そこで、先ほどお話しのように大臣が御答弁になったように、日港労連が一律五千円の賃上げ要求をしている。この話がまとまらなければ、あさっては全国の船がとまる、こういうんです。しかし、全国の船がとまるというのに、運輸大臣は、業者の代表者会議があるから、その結果を待って一つ運輸省としては態度をきめたいということは、それでは、とにかく業者の話がきまるまでは、待とうホトトギスではないけれども、鳴くまで待とうというのでは、これは運輸大臣としての能力の問題になってくると思う。私は運輸行政を担当する運輸大臣として、これだけ大きな全国的な問題になっておる。少なくとも二万数千人のいわゆる荷役従業員が——あるいは船がとまるかもしれぬ、こういうようなときには、やはり徹夜をしても運輸大臣の責任においてこの問題を解決する努力をしなければならぬと思う。そういうことが一体どこに根本原因があるかといえば、これはもうはっきりしているわけです。今申し上げた、昨年の八月に五%しかこの公示料金の値上げを認めなかった現行料金というものがよくない。いわゆる全港振の人たちが一一・三%というのを要求しておった。にもかかわらず、これはもういわゆる業者の肩を持たなければいかぬということで政府がきめたことがここに原因をしているのですよ。しかもそれがあさってに迫っておる。迫っておるのに運輸省が手をつけないということは、どういうことなんです。その結果を待とうというのはどういうことなんです。それでは全国の船はとまりなさい、しかもこれは労使の問題だからといってほうっておいては、みすみすこれだけの大事件をいわゆる看過してしまう。こういうことになって、これでは私は、木暮運輸大臣の意思に沿うことじゃないんじゃないか、こう思うんです。運輸大臣どうです、この点は。あなたは積極的にこの全国の船がとまらぬように手を打つ考えはないんですか、いかがですか。
  66. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいまお答えを申し上げましたように、経営者側の方とすると、港湾荷役の料金を値上げをしなければ、今の労組の方の五千円賃上げ、その他の要求に応じがたいという意向を持っておりまして、経営者の側でも全国の人が集まりまして、そしてこの問題をどう返事をするかということを考究をいよいよいたすわけでございますが、その回答の期限が十五日というふうになっておるんでございまして、こういうふうに経営者側の方の回答をする態度がまだきまりませんもんですから、この経緯を見た上でこの問題について一つ至急に検討してみたいということを先ほど御答弁申し上げたのでございまして、昨年の八月のこと、その他こまかいことにつきましては、実は私はよく存じておりませんもんですから、港湾局長がここにおりますから、港湾局長からいろいろこまかい経緯を御説明申し上げまして御了承を願いたいと思います。
  67. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) この港湾運送事業の運賃、料金の改正につきましては、ただいま相澤先生からお話がございましたように、昨年の八月十六日から、従来の料金の五%アップということで実施をされ現在に至っておる状況でございます。で、この料金につきましては、お説のように公示料金でございまして、業界が公示いたしまして、それに対する各荷主人なり関係業界の異議申し立て、その他の期間を一カ月待つわけでございます。その間、関係の石炭あるいは繊維その他の業界との交渉がひんぱんに行なわれまして、この五%という線で妥結を見たわけでございます。最近になりまして、ただいま話がございましたように、三月六日付をもって日港労連の方から、全国港湾荷役振興協会の会長あてに、基本給一律月額五千円アップの要求、その他の要求が提出されたわけでございます。この要求に対する回答の期限が三月十五日までということで、それに対しまして経営者である全国港湾荷役振興協会の方では、今いろいろしさいな回答について検討をいたしておりまして、三月十五日に中央労働協議会において、全港振からこの回答をするというように聞いておるわけでございます。それにつきまして、それの元請業者でありまする港運協会は、これは今大臣から説明いたしましたように、この十五日に全国地区代表者会議を開きまして、その問題を検討するということで、そのお話の趣旨につきましては、われわれの方といたしましても関係者で今いろいろ連絡をとっておるわけでございまして、できる限り不測の事態を起こさないように努力をいたしたいというふうに考えておる状況でございます。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 私の申し上げたいことはね、運輸大臣、先ほどから申し上げておることは、昨年にこのことは発生をしておるわけです。だから、今日あることはとっくにわかっておることなんですよ。ところが去年の運輸省があっせんをして、そうして船主と荷主と、その元請業者、扱う者と、今度は労働者と、こういう複雑な関係の中で、しかも港において荷役に従事しておる労働者は十三時間も十四時間も働いておる。はしけで港へ出ていって、そうしてこの荷役をするのに、賃金が安い、これではたまらぬといって、全国一斉に船がとまっておる。それでは日本のいわゆるこの荷役問題について、外国の船も、あるいは日本の業者も困るから、何とかこれを救済しなければいけないといって、五月に申請したのを、八月になって運輸省が船主や、いわゆる荷主の立場でこの問題を妥協をしたのが、いわゆる五%アップというやつなんですよ。だから、そのときに全港振という人たちは、これはいかぬ、これではいかぬと、運輸省がそういうことをやったらば大へんだということを当時から言っておった。だから全港振も労働者もみんな一致して運輸省改善方を要請をしておった。けれども当時三カ月もかかって、そうして船がとまって、仕方がなくてやっと妥協したことなんです。それですから、全国の出先の海運局長はどのくらい苦労したかわからぬのだよ。運輸大臣海運局長は寝ずにみんな苦労してあっせんをした。それがもう今日になれば、そういう事態が起きることはわかり切っておる。要求は三月六日かもしれぬ。けれども、すでにそういうことが起きることがわかっておるのに手を今日まで打っておらないというのが、私は問題があると、こう言っておる。しかももう三月十五日に、場合によれば今言った、また日本の信用の問題になるような、この全国の船がとまるかもしれぬ。こういうときだから、私はむしろ、そういう立場に立ったときには、運輸大臣がもっと積極的に手を打ってもいいんじゃないか。これを私は運輸大臣に実は要望しておるところなんで、だから全国の代表者会議を待たなければ、とにかく業者の代表者会議がきまらなければ、とにかく一律五千円の要求は認められないからなんて言っておって、依然としてその内部におけるほんとうの問題を摘出しないから、表面上だけのことの話をしておるから、いつまでたっても問題が解決しない。こういうことに私はなってくると思う。だから今日でも私はおそくないと思うんですよ。あなたが予算委員会へ出て、そうして予算委員会で少なくとも仕事が終わったら、それは港湾局長あるいは出先の海運局長に、そういう事態を避けるように徹夜でもいいから仕事をする。そういうことをなくするように努力するのがあなたの職掌だと思うのです。どうです運輸大臣、御答弁いただきたいと思うのです。
  69. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 今まで勉強が足りませんことを深くおわびを申し上げる次第でございますが、今お話を伺いまして、従来の経緯を至急によく勘案いたしまして、運輸大臣としては関係局長を通じて、できるだけ円満に解決いたしますように努力いたすのが当然だと考えます。
  70. 相澤重明

    相澤重明君 次に、先ほどの総理大臣の国会における答弁の中の、運輸省関係としての気象業務の中国との協定の問題、これについて大臣から御答弁をいただきましたが、現在も予報業務等は行なっておるし、さらに相手が応ずるなら話し合ってもいいということは、相手が話をしてこなければこちらではやらない、こういう解釈に私はなると思うのですね、大臣の御答弁が。相手が応ずるなら話し合うと、こういうことをあなたは言っておる。そうすると相手が話し合うということを言ってこなければ、こっちはやらないということは、総理大臣の国会における答弁とあなたの答弁は食い違うのです、これは。総理大臣は、気象業務とか、あるいは郵便等の問題については、中国と十分話し合っていきたい。これは積極的な意味を持っておるのであります。対中国貿易については、なかなかむずかしい段階であるかもしれぬけれども、そういう、できるものはやっていくというのが、池田総理大臣が国会で言ったことじゃないですか。その池田内閣の国務大臣であるあなたが、この今言った気象業務の、たとえば協定を結ぶにしても、相手が話し合いに応ずるならなどということでは、これは明らかに食言である。私はそう思うのですね。だから、あなたが食言でないと言うなら、木暮運輸大臣としては、積極的にこの総理大臣が答弁したことについて、話し合いをこちらから持っていくとか、あるいは人をやるとか、あるいは来てもらうとか、そういうようなことまであなたが考えておるのかどうか、こういう点が私は重要なポイントになると思う。国会答弁に総理大臣の答弁したことが、今度は同じ内閣の閣僚が、具体的な作業を進めるにあたっての心がまえであると思う。先ほどの御答弁は、相手が言ってこなければこちらは話し合いに応じない、こういう解釈と受け取っていいのかどうか、この点いかがですか。
  71. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先ほどお答え申し上げました通り、中華人民共和国からの気象の資料というものは、現在におきまして、予報業務に差しつかえない程度に日々こちらの手元に入ってきておるわけなんです。そこで、そういう現実でございますので、これはまだ正式の協定に基づいてやっておるわけじゃございませんから、ただ現実の事実として、向こうからの気象資料をもらって、こちらも便利をはかっておる、こういうわけでございますから、そこで、もし中華人民共和国が応ずるならば、気象に関する協定締結について話し合いを進めることがよいと考えていると、こういうわけなんですから、あなたのおっしゃることと、また総理大臣が予算委員会で、総理は多分気象とか郵便とかいうことを、例をあげて申されたと思うのでございますが、そういう総理大臣の考えと方と私の考え方が格段に違っておるというふうには自分では考えないのでございますが、あなたのお話のような気持で私はおりますわけでございます。今、正式の協定はできておらぬが、相手が応じまするような場合は、気象に関する限りは協定締結について話し合いを進めることがよいと、こう考えているわけでございますから、これは同じ考えのように思いますが、あるいは私がふなれのために言葉が足りなかったかもしれませんが今申し上げた通りでございます。詳細につきましては、気象庁長官が来ておりますから、どうぞ御説明を聞いていただきたいと思います。
  72. 相澤重明

    相澤重明君 いや、大臣、私の言うのは、もちろん、具体的な業務については気象庁長官でけっこうですよ。だが、私の言うのは、率直に申し上げて、これは政治的な問題ですなや相手の国があるのだから、相手の国と日本の国と、気象業務についての協定を締結するかどうかということについて、最高の責任者である内閣総理大臣は、これは気象業務とかあるいは郵便というようなものについては話し合って締結をしたい、こういう答弁なんですよ。だから今度は、そういう最高の……。相手が応ずるかどうかわからぬけれども、もし応ずれば総理大臣としてはやりたい、こう言っておるのです。だから、その総理大臣の最高の方針を受けた運輸省として、あなたは運輸大臣として、そういうように総理大臣が言うのなら、それじゃ運輸大臣としてはどうしようかという答えが出なければいかぬじゃないか。それを相手が応ずるならばなんということを言っておったのでは、一体総理大臣とあなたとはどこが違うか。あなたは具体化する、いわゆる政府国務大臣としての立場じゃないですか。そこで、相手が応ずるなら話し合おうということは総理大臣が言っておるのであるから、その総理大臣の言ったことを具体的に運輸省としてやらなければいけないのじゃないか。そうするには具体的にどうするかといえば、あなたは、話し合いの申し入れをしたとか、これからいつごろやろうとか、それとも、そのためには、人を派遣するとか、来てもらうとか、こういう文書の交換とか人の交換とかいうことは、あなたが日程に上せなければ、総理大臣の言ったことをあなたは忠実に守っていくことにはならぬじゃないですか。だから私は、あなたの言葉はニュアンスの相違だとは思っておりますよ。おりますが、私はあなたの言うことは納得できない。それだから、あなたの言うことは、総理大臣の言葉を私が聞くところによると、まさに逆になっていくような方向になるわけです。相手が言ってこなければやらないのだ。総理大臣は、とにかく、貿易問題については今すぐどうこうということはむずかしいけれども、こういう事項についてはやりたいのだと言っておることを、具体的にやらないということは、いわゆる国会における食言になってくる。こういうことを私はさっき申し上げたのです。だからあなたも、担当する運輸大臣としてどうするのか、こういう点をお尋ねしておるのです。
  73. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) よくお話はわかりましたが、私が申し上げるのは、今の気象に関する協定締結について話し合いを進めるのがよいと私は考えているわけなんです。そこで、具体的にどうするかということをあなたがおっしゃるわけでございます。私どもの方としては、外務省というものがございまして、ほかの国との折衝等については、一本にしてこれがやっておりますので、私どもの方としては、気象庁としてこの問題について外務省とは十分連絡をとって、この方向に話し合いを進めるのがよいという考え方でやっておるということを御返事申し上げるわけであります。
  74. 相澤重明

    相澤重明君 こういうことですね、率直に言うと。好意的にお互いに気象業務等については通報はしておく、好意的にですね、しかし、協定ができるなら協定をしたい、これが総理大臣の言っていることなんです。いいですか、そうすると今あなたが、私は締結をすることがよいと思いますということを言っている。しかし、相手の国との交渉の窓口は外務省がやるのであるから、外務省にそういうことを連絡をよくしておって、そうして運輸省としても、できるならば締結をしたい、こういう御答弁だと思うのです。私もその通りだと思うのですよ。いいですか、思うから、それならば一体運輸大臣としては、気象庁長官に、こういう点について、あるいはどういうことについて、今作業を進めておるということがなければいけないということを申し上げているんです、私は。そうでなければ、それは実際には国会だけの答弁で、これは線香花火に終わってしまう。  こういうことであるから、私はむしろこの際は、対中国との関係であるから、積極的に、こちらから出てよろしい。従って運輸省は、窓口は外務省であっても、運輸省から、こういう点について、作業を具体的に進めてやってほしいという、それだけの意思というものを、実はあなたから発表してもらいたかったわけだ。  そういう点がもしあれば、そういう点を一つお聞かせいただきたい。
  75. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) そういうことにつきまして、先ほど来申し上げておるのでございますが、今気象庁長官がおりますから、御説明をしてお話を聞いていただきたいと思うわけです。で、私としては、総理が申し上げました通りに、この気象の問題は、現在私どもの方で調査資料を入手して利用しております現状にかんがみて、相手方がこれに同意をするならば、気象に関する協定締結について話し合いを進めるのがよいという考えを持っておるということでございます。
  76. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほど大臣からもお話がありました通り、気象資料はただいま、まあ業務上は差しつかえない程度に入手しておりますが、これが正式な協定でありますと、なお一そう確実でありますので、まあその方向で進んでおりますが、何分にも、外務省の方は複雑のようでありますので、私どもは、ただ連絡をいたしておるだけで、深い事情は存じません。
  77. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣、どうですか、今の気象庁長官答弁は。何分にも外務省の中が複雑であって、そうしてその連絡を待つだけだということになると、あなたの言う、運輸省としては、最高の責任者の内閣総理大臣が言ったことを、担当の運輸大臣として、気象業務等については締結することがよろしいと思いますと、こう言っているけれども、あなたの監督される気象庁長官は、何もやっていないということじゃないですか。どうなんです、それは。
  78. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) いや、それは同じ方向なんでございまして、気象庁長官は、外務省と緊密な連絡をとりまして、この問題について十分連絡をしておるということを申しておるのでございまして、今、外務省は何分にもということは、こちらの推測でございまして、少し言い過ぎであったのではないかと思って、私どもの方は、外務省を通して、こういう問題は解決すべき問題である、今後もよく外務省と、お話のありました趣旨に従いまして、総理の意を体して、外務省当局とも、運輸省考え方、すなわち協定締結について話し合いを進めるのがよいという考え方で、外務省を督促、促進するようにいたしたいと思いましてございます。
  79. 相澤重明

    相澤重明君 大臣が上手に答弁されちゃったので、どうも、そこで腰を折られた形だね。外務省が複雑怪奇であるというようなことになると、これは、池田内閣の責任問題だな。  そういうことで、私の聞いておるのは、窓口は、確かに外交問題について、相手の国とのそういういろいろな話を進めるについては、外務省がこれはやるというのですよ。これはわかっておる。わかっておるが、さて専門的なこの気象業務等については、運輸省の所管である。いいですか。運輸省の所管であるから、運輸大臣は、当然そのことについて作業を進めなければいけない。そうすると、気象庁長官は、あなたの命を受けて、具体的な気象業務について、どういう点をお互いの国で締結をしよう、こういう作業の準備をしてよいはずであるというのです、私の言うのは。あなたもそう言っているんだ。そうでしょう。  締結するのがよろしいということは、空文であっては、白紙であっては締結できやしない。そういうことについて準備を私の方はしておるけれども、事、相手の国がある外交の問題であるから、よく政府間で促進をいたしたいと思いますという、あなたのさっきの答弁になれば、私はいいと思う。そこにいくまでが答弁が少し違ったから、私は国会における食言になってくるのじゃないか、こういう点を指摘をしたのだけれども、あなたの答弁が、うまく答弁されちゃったから、これはちょっと、あと言いがかりがつけられなくなってしまったのだけれども、どうなんだ、気象庁長官。その具体的な作業をやっているのか、やっていないのか。
  80. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) おわび申し上げます。私の言い方が間違っていたと思いますが、私は、外務省のことは非常に困難なことが多いという意味で、外務省のことを申したつもりでございますが、外務省が、決して複雑というような意味ではございませんでして、申し方が非常に悪かったことをおわびいたします。
  81. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、まあこの点については、とにかく台風予報等を中心として、日本も災害が非常に多いわけですから、そういう点を予測するためにも、気象庁に日ごろ非常に苦労をかけておることは、私どもも常に感謝をしておるわけであります。  ところが実際に、せっかく国会において、総理大臣が、こういうことをやっていこうじゃないかと言うことについて、手につかなくては困る、こういう点を私指摘をしたので、運輸大臣も、そういう点については、一つ促進をするように、関係各省と連絡をとってやっていただきたいと思う。そこで、その点についてはけっこうです。  それから、その次に、海上保安庁の問題ですが、まあ三十六年度予算についての考え方を説明をされたわけです。海上保安庁の点について、現在の定員の不足という点について、あなたはどのくらいの認識をしておるのですか、運輸大臣。もっとふやさなきゃならんという考えを持っておるのか、それとも、船やヘリコプターを改造するだけでよろしいと、こういう考えでおるのか。わかったかね、運輸大臣
  82. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 御質問の点につきましては、もっと人員、あるいは設備等を充実整備いたしまして、もっと海上保安庁の力を強化しなけりゃならんと考えております。従って、現在をもって足れりといたしてはおりません次第でございますが、毎年予算等におきまして、いろいろ折衝をいたしますが、いつもわれわれの希望する通りに参りませんことを遺憾といたしておるのでございますが、その詳細のことにつきましては、海上保安庁長官から御説明をさせていただきたいと思いますが……。
  83. 林坦

    政府委員(林坦君) ただいま御質問のございました、海上保安庁巡視船艇のことにつきましても、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、現在老朽が非常にはなはだしいので、巡視船が二十四隻、巡視艇六十五隻は、将来これを代替建造するという方針のもとに整備をやっております。しかしながら、こうした代替建造をいたしましても、代替建造では、勢力は決して絶対量としてはふえるわけではございません。  ところが、各地に、最近の海難の状況、あるいはいろいろ私どもの方の仕事がふえて参っております。また、港湾等におきましては、最近非常に出入港船がふえて参っておりまして、港長関係の仕事も、毎年々々非常な勢いでふえておるという状況でございますので、絶対量をさらにふやす必要があるという考えのもとに、毎年代替建造のほかに、新船の建造も関係方面と折衝いたしておりますが、何分にも代替建造に相当の金を要しまする関係上、新しく増加するということまで手が回りかねておるという現状でございます。  しかしながら、今後とも大いに努力をして、この点も増強をはかっていきたい、かように考えております。
  84. 相澤重明

    相澤重明君 大臣、時間がないようですから これだけあと質問をして、またの機会があるでしょうから、きょうは終わりとしますから。  それは、先ほどの戦標船の改造の問題、解撤作業の問題、先ほども説明あったように、現在二十万総トン残っておる中で、今度の予算では四万総トン。結局は、あと三十七、八年と二カ年で十六万総トンを解撤しなければならない。これは先ほどの資金の問題で、十五億の資金を作って、そうして今次の作業を進めるという政府の御答弁であったけれども、この解撤作業が新造一隻に対して一・五では、私は非常にこれはむずかしい問題だと思う。当初の、なぜ二隻を要求しておったのに、ここまで落とさなければならないのか、そうしてまた三十七、八年とこの二カ年で、当初の計画が遂行できるのかどうか。私はこの問題があとに残ると思うのです。だから今月は、もう長いこと時間をかけてお話を聞く機会もないけれども、私はこれは、あなたの責任の問題だと思う。  少なくとも昨年度進めてきて、戦標船の改造計画というものを進めてきて、そうして今後三カ年のうちには、池田内閣としては、必ず日本のいわゆる船腹保有量を増大をいたします、輸送力の増強をしますということをいっておる。しかも、言っておるにもかかわらず、結局は、予算の大蔵省との折衝の中で、これは、あなたが譲ったことじゃないんですか。これは大蔵省との折衝の中で、昨年の方針というものを、今年は譲ったことになりはせんか。そういう点を私は心配するわけです。これが私の思い過ごしであればいいのです。あなたが三十七年八年において その当初計画というものが必ずできるというお見通しであれば私はけっこうです。しかし、それは先のことですから、今度は三十九年になれば木暮運輸大臣というわけには、なかなか参らないと思います。  そこで今度、あなたが今次なぜ大蔵省との査定折衝の中で譲らなければならなかったのか。この点を、今少しつけ加えて説明をしてもらいたい。それだけです。
  85. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答え申し上げます。  戦標船の問題は、先ほども申し上げました通りに、戦争中の命令によって作ったもので、非常に材質、機能ともに脆弱なものなので、昨年の十二月にきびしい検査制度を設けまして、そのために政府の方針によって、この戦標船を持っている船主、ことに中小の船主の人たちが非常な打撃を受けますと、これを私どもとしては、政府の方針によって非常な負担を重加されるということを、そのまま見のがすわけにいかないことが一つと、この戦標船に関係いたしまして、船員の数が、八千人程度人たちが、この処理いかんによっては、重大な生活問題を来たすことにかんがみまして、いわば陸上における中小企業問題とひとしい社会問題だと考えまして、大蔵省に要求をいたして、予算案を提出いたした次第でございまして、われわれとしては、そういう決意をもって、この問題を解決いたしたいと進んでおりますので、万遺憾なく、この問題を解決できることと考えておるのでございます。  詳細は、海運局長からどうぞお聞き取りを願いたいと思いますが、運輸大臣としての決意は、この戦標船問題は、中小企業問題と同じに社会問題として、どうしても国家として解決処理しなければならぬ問題であると、こう考えて、強い決意をもって、これが処理に当たっておるわけでございます。   〔委員長退席、理事仲原善一君着   席〕
  86. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) ただいま大臣からお述べになりましたような精神によって、戦標船の処理対策を進めておるのでございますが、御指摘の解撤比率の問題で、一・五トン対一トンの新造、こういうことが現実の問題として非常にむずかしいのじゃないか。その点については、予算折衝のときに運輸省が、困難な実情であるにもかかわらず譲歩したのではないか、こういう御質問でございますが、予算折衝のときにおきましては、大臣折衝あるいは事務折衝の過程におきましても、解撤比率のこまかい比率までは話に上らなかったのでございます。  従いまして、最近まで、そういった実施の細目について、大蔵省とお打ち合わせをいたしておったのでございますが、私どもも、当初から一トン対一トン、こういうことで参ったのではなくて、一トン対一トン以上ということを申し上げておったのでありますが、その点につきましては、企業の規模の問題あるいは新しく代替されますところの新造船の船価の問題、そういったものと、企業負担にたえられるかどうかといった、各中小企業の実態に相応じて解撤比率と新造の計画量とを慎重に考慮していかなければならぬ、こういうふうに考えておったのでございます。  最近、いろいろな観点から考えました結論といたしましては、大体、私ども考え方といたしましては、一隻の場合には、一・五トンをつぶしまして一トンの新造をする。また二隻つぶします場合には営業手段が一度に二隻も喪失するということになりまするので、そういったものに対しましては、その合計トン数に近いものを認めていくことが実情に合うのじゃないか、こういうふうに判断をいたしておるような状態でございます。
  87. 相澤重明

    相澤重明君 今の局長説明では、いわゆる現在の海上輸送に必要の量を充足するのに困難な面があるから、やむを得ず後退しなければならなかったという理由にしか私にはとれない。これは政府が、たとえば、あなたの先ほどの説明にあるように、現在の木船が百二万トン、そうしてまた鋼船が将来十年計画では二百六万トン必要だ。そすると百三万トンを十年間に作らなければいけないから、年次計画としては十万トンずつふやさなければならない。ところがそれが、新造がそういうふうにスムーズにいけばいいけれども、なかなかいかないから、失業の問題も出るし輸送量の問題も出てくる。結局、解撤作業というものも譲歩しなければならない私は半面解釈になってくると思う。これは明らかに、政府のもっと日本の中小企業に対する育成あるいは助成というものが私は足りない点だと思う。  そういう点を対大蔵省との中に、実は昨年までも、私どもが今の日本の海運界をどう助成するかというときに、いわゆる戦時債権のたな上げの問題や、あるいは融資の問題について、私どもずいぶんしつこく申し上げたつもりなんです。そういうところの足りないところが、ここにしわ寄せされてきた、こう実は私は見ておるわけです。そういう点が、今後十万トンを、年次計画にすれば十年間の計画を、年次十万トンでいいかもしれんけれども、今の輸送量海上輸送ということを考えたら、そんなことでは済まないのじゃないですか。それでは結局は、輸送増強ということにはならなくて、現状維持ということがせいぜいではないかと私は心配するのですが、その点はいかがですか。
  88. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) ただいま御指摘のように、新造の、今後十年間におきまして百三万トン作らなければいかぬということにつきましては、所得倍増計画に対応する輸送量の増大に対応するものでありまして、仰せの通り、戦標船はスクラップにいたしますと、現有輸送力から、それだけドロップするわけでございますから、よほどの内航海運振興策を講じなければ、新造の純増でありますところの百三万トンの船腹整備も、あるいは社会問題を誇発いたしておりますこの困難な戦標船の処理対策も、なかなかうまくいかない。こういうふうに、その通り率直に認めざるを得ないと思うのでございます。  しかしながら、戦標船の処理につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、三十七年度、三十八年度年度におきまして、仰せのような御指摘の点も十分考慮いたしまして、財政資金の確保に全力をあげて、三カ年の計画を達成いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 戦標船のことについて、そこまで政府が全努力を傾けて、目的を遂行するという決意があったから、これはあと、その結果を見るまでは、もう言えないと思うのですが、そこで、それはそういう努力を特に私は要望して、関係中小企業者並びに従業員の生活を守ってもらいたいと思う。  しかしそれだけでは、私は能がないと思う。戦標船の問題は、それでよろしい。しかし今の日本の経済成長率を池田内閣として考えた場合に、先ほどもお話のように、八%の成長率を見込んでいっても、現在の陸上輸送というものは、もう飽和点にきている。従って、これを海上輸送に、いわゆる内航船に転化する必要というものは、どうしても出てくるのじゃないか。これが海運局としても、当然十カ年計画の中に、八百六十億総トンというものを見込んでおることだと私は思う。ところが十カ年計画では、そういう数字ははじき出されても、現実に、今石炭にしろ木材にしろ穀類にしろ、最も必要な基礎資材ともいうべき、あるいは国民の生活の根源であるそういうものが、陸上輸送が滞貨するために、非常に困難を伴う。こういうことは、もう目前に迫っているわけです。これをやはりするには、戦標船の解撤作業と同時に、新造の点について、もっと力を入れなければ、救済ができない。輸送力増強はできない。私はこういう見方をしておるわけです。  この点について、海運局として、どういうふうに陸上から海上に転化をさして、そして輸送力を緩和することができるかという見通しを、一つ述べてもらいたいと思う。
  90. 朝田靜夫

    政府委員朝田靜夫君) 午前にちょっと触れて御答弁申し上げましたように、陸上輸送力との調整の問題において、内航海運振興をはからなければならぬことは、今御指摘通りでありますが、海陸のそういった増大いたします輸送需要に対処いたしまして、海陸をどう調整していくかという問題につきましては、海運の面から、私どもはこのように考えているのでございますが、将来の設備投資、各国内の輸送機関別におきますところの輸送投資の計画的な運営によって、適正な輸送分野をはかっていくということが、まず第一点であろうと思うのであります。  それから、そういった内航海運について、今御指摘がありましたように、船質が劣弱でありますので、戦標船処理対策を実施いたしまして、内航海運輸送機関として、近代的、合理的な輸送機関に編成し直していくということが、第二点だと思うのであります。  第三点は、海陸輸送経費の調整でございますが、経済原則に従って、安い輸送機関の選択をいたしますることは、現在の経済機構のもとでやむを得ない、また当然合理的な措置であろうと思うのでありますが、今回の国鉄運賃の問題にいたしましても、そういった大量の長距離輸送につきましては、海運の方に流れるような運賃調整というものを、ある程度のことは考えられているようでありますが、そういった運賃調整の面でもって是正して参る。  第四点は、港湾の設備、特に内航海運の施設の整備でございます。今後の問題といたしましては、海陸輸送経費が、海上輸送運賃そのものよりも、両端の輸送諸掛り、港湾荷役なり、港湾諸掛りの合計において、海上輸送の方が割高である、こういう点から考えましても丙航海運に、適切な港湾施設の整備や荷役の機械化、近代化を促進して参ることであろうと思います。  第五には、内航海運の、そういった船腹の近代化に伴いまして、恒常的な輸送を確保いたしますためには、貨物定期航路の充実をはかっていくということであろうと思うのであります。  まことに、そういったことごとくの事項については、非常に困難を伴うと思うのでありますが、そういった方向で、私どもは施策を進めていくべきであると、こういうふうに考えるのであります。
  91. 仲原善一

    理事(仲原善一君) ほかに御質問ございませんか。別に御発言もございませんようですから、昭和三十三年度決算中、運輸省関係についての質疑は、これをもって終了いたします。    ——————————
  92. 仲原善一

    理事(仲原善一君) 引き続いて、国家財政経理及び国有財産の管理に関する調査の一環として、真鶴港域の埋め立て及び真鶴漁業協同組合に関する問題について、相澤君より、去る二月二十七日の委員会の質疑に引き続き、本日質疑を行ないたい旨の申し出がございますので、これを許します。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 この運輸省関係のことで、先にお尋ねしたいと思うのであります。  真鶴港の埋め立てを神奈川県知事が認可をしたことについて、その後の調査を要請をしておいたわけですが、現状がどうなっているか、このことについて、御報告をいただきたいと思うのです。
  94. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) お答えいたします。  この前の当委員会におきまして、経緯を御説明申し上げたわけでございますが、組合におきまして、この真鶴港の中に、埋め立てをすることになりました。で、これにつきまして、真鶴町の議会におきまして、当該埋立地付近一帯を観光地にするということが議決をされまして、町から当該組合に対しまして、観光的な施設を設けられたいという申し出があったわけでございます。  従いまして、組合といたしましては、目的変更の申請をいたしまして、この埋立地の中にプールを設置するということになりまして、この点は三十五年の十月一日付で神奈川県知事から、この変更の許可を受けておるわけでございます。これはこの前も申し上げましたように真鶴港の港内の埋め立てにつきましては、埋立法によりまして、乙号港湾でございまして、神奈川県知事がその許可を出すわけでございます。で、神奈川県知事といたしましては、埋立法によりまして審査をいたしまして、以上の措置をとったというふうに承知をいたしておるわけでございます。
  95. 相澤重明

    相澤重明君 今の港湾局長の御説明ですと、この真鶴港の埋め立てについては、国の関係はないと、こういうような説明にとれるわけです。形式的には、私はその通りだと思うのですが、実際には前回の当委員会で御説明をいただいたように、昨年の、三十五年の三月五日に免許申請が提出された理由は、明らかに定置網張り立て作業のための網干場、それとまた漁獲物の乾燥場の造成、こういうことで提出をされておったと思うのですね。それが昨年、さらに町議会が三十五年の六月二十日に同意をして、この目的変更をしたと、こういうことでしょう。  そこで、この目的変更、つまり国から手段を選ばず、あるいは地方自治体から、そうしたものをとにかくもう自分たちがとってしまえば、あとは何に使ってもいいんだと、こういうことには私はならぬと思うのです。だからそれが、今の御答弁を聞いておるというと、そういう形に実はなっておるわけですね。つまり最初の目的を申請をしたときの事由は、定置網の張り立てですね。この網干場なりあるいはその網を洗うところなり、そしてまたその乾燥場といいますか、そうした漁獲物の乾燥場の造成ということになっておったわけです。ところが、それだけではどうも収入が上がらないということで、そうしてプールを作って、それの使用料をとる、あるいはレスト・ハウスを作って観光客の誘致をする、こういうことがこの目的変更なんですね。従って、この今、漁業協同組合に埋め立てを承認をする根本の理由というものが、ここに薄弱になってきている。つまり公有地を——これは運輸省の直接の監督ではないかもしれんけれども、全国の港湾を持っておる、監督をしておる運輸省として、地方自治団体が、どういうことをやってもよろしい、勝手にやってもよろしいということにはならぬ。  そこで監督運輸省として、たとえば乙号の港であっても、その結果については、報告書の提出があってしかるべきだ、私はそう思う。そこで、もしその目的に違ったような結果があったならば、そのことを私は詳細に運輸省としては尋ねる必要があるだろう、こういう点を、前回も実は御質問しておったわけなんです。  そこで、もしそういうことが、自由に許されるということになれば、今の沿岸造成等の問題は、何も法律で規制をする必要はないのですね。とにかく全国の海や沿岸は、自由にその地元の人たちが勝手にやれるのだということになれば、何も法律で規制をする必要は私はないと思う。法律で規制をするというのは、やはり必要の条件というものがなければ、これは認めるわけにはいかない。しかし軽微なものについては、地方都道府県知事にこれをまかせましょう。こういっておる——そうでしょう。そういうことが、目的変更があった場合には、そのやはり理由をただしていかなければならぬ、こう私は思うのでありますが、そういう点について運輸省としては、どういう考えを持って、都道府県知事にお尋ねをしたか、調査をされたのか、その点を少し御説明をいただきたいと思うのです。
  96. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ただいま御説明申し上げましたように、本件は乙号港湾でございまして、   〔理事仲原善一君退席、委員長着   席〕 公有水面埋立法によりまして、神奈川県知事が許可をいたすわけでございますが、もちろんこの公有水面埋立法によりまして、この許可をいたすわけでございまして、なお運輸省といたしましては、港湾の区域内でございますから、この港湾の利用等に支障を及ぼすというような点がないように、常日ごろから港湾管理者である神奈川県知事並びに一般に港湾管理者を指導監督しておるわけでございまして、この場合には、港湾区域の中でございます。しかし港湾区域の中でも、港湾の利用上支障がない、そうして港湾の利用面から見ても、別にそれが、あるいは観光的な目的に一部なるといたしましても、それはやはり真鶴港が漁獲の水揚げと、いわゆる漁港的性格も持っておりますし、一部には観光的な性格も持っておりますので、現在防波堤の基部に、これはございますが、三百坪程度の敷地でございますので、漁業協同組合の施設ということでございますれば、この程度のものは港湾の利用上から見ましても、さして差しつかえないものというふうに、われわれは推察するわけでございます。  これは直接でございませんので、そういうふうに申し上げるよりいたし方ないわけでございます。
  97. 相澤重明

    相澤重明君 今の港湾局長のように、漁業協同組合のためになる——確かに公有地であっても、あるいは港であっても、公共のためになるということで埋め立てることは、私はけっこうだと思うのです——必要なことはね。ところが実際に、申請はそういうことでして、そういう着手をさしたけれども、中身は違ってしまった。今や漁業協同組合のものじゃないのですよ。これは——そうでしょう、法人が別なら。いわゆるレスト・ハウスを作って——申請は、そういう申請をしなければ、都道府県知事も許さぬし、国も認めないだろう。従って、そういう申請をしたけれども、取ってしまったら、今度は別の会社を作って、それに利用さしてしまう。明らかに申請の、私は詐取だと思うのですよ。このことは、ただ港湾局長がここで書面上の調査をしているだけでは、私はわからぬと思うのです。  ですから、私の前回申し上げたのは、よく神奈川県知事に、その理由を聞きただしてみなさいということを言ったんですが、むしろ私は現地調査をやった方がいいと思う。そうして、ほんとうにそれが適切に使用されておるかどうか、公けのために使われておるのは、私はけっこうだと思うのですよ。ところが、そういう公けのために使われないで、個人の利得のために、そういう申請理由をしたということになれば、これは私は、やはり問題があると思う。こういう点を指摘しておるわけです。  ですから、委員長、これは、問題は、そういう内容のものでありますから、私は、港湾局長の言うようなことなら、別に問題はない。けっこうである。しかし、もし港湾局長の言うようなことでなかったら、一体どうするんだ。それから、そのことについて、当然現在までの法律関係なり、あるいは運輸省のそういう諸規則によれば、工事を完了したならば、一年以内に届出をしなければならぬということになりますね、これは。ところが、工事が完了をしておるのかおらないのか。届出が、都道府県知事の手元に行っておるのかどうか。こういう点について、やはり運輸省としても、私が少なくとも決算委員会で、国の財産の取得について問題を提供しておるのだから、それについては調査をされなきゃならぬと思う。その点はいかがですか。  つまり、工事というものは着手をしたと、そして目的変更のことも認めてやったと、こういうことだけは、あなたは答弁されておるわけです。それが、すでに工事が完了したのか、それとも、まだ完了してないで継続中なのか、こういう点については、いかがですか。
  98. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 先ほどの話でございますが、これはやはり、真鶴町の漁業協同組合の施設として現在施工されております。それから、工事は、ほとんど竣工しておるようでありますが、まだ現在、竣工認可申請が出ておりまして、県の方は、竣工の認可をしておりません。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 これは大へんまあ、運輸省にとっては気の毒な私の追及だと思うんですが、私は、そういうことが、もし漁業法第一条の精神にはずれたことになったら、全国のそういう問題が非常に大事なことであるからということで、実は提案をしておるわけです。  そこで、私の今、現在聞いておるところでは、すでに工事というものは完了しておるというのです。完了しておるが、もう十年ぐらいは、ほうっておこうというのです。そして、そういうむずかしいことを言われても、まだ工事中であるといって逃げてしまえばいい、こういうようなことを言っておるということを私は耳にしておる。これはやはり国あるいは国の行政権を委任された地方都道府県知事に対する私は非常な侮辱だと思うんですよ。それが事実であるかどうかわかりません。それだから私は調査をしてくれということを言ってるわけです。  もし、今の港湾局長答弁のように、工事はおおむね終わっているかもしれんけれども、都道府県知事に、その書類が提出されておっても、まだ決裁がされておらないというのは、いつ行なわれておるのか、それとも、あるいは決裁をされたのかどうかということを、私は次の機会に報告をしてもらいたい。それで、もし、そのことによって必要あらば、私は現地を調査をしてもらいたいと、こう思うんです。  これは、漁業法第一条の民主化という問題は、特定の人のために利益を上げるものじゃないんです。これは、昭和二十四年に法律の制定をしたというのは、このような、そういう漁港の、特に漁業労働者に対するところの重要な示唆を法律が制定をしておるわけです。そういうところを私は特に強調をしておきたいと思うんです。  その点について、運輸省、きょうは答弁ができないと思いますから、従って、その答弁を、調査をした結果を書類で提出をしてもらいたい。委員長から一つ要求してもらいたい。
  100. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) ただいまの相澤君の調査資料の要求につきましては、できるだけすみやかに、認可申請書がいつ出たか、県知事が、まだ認可をしておるかしていないか、認可していないとするならば、いかなる理由で認可をしぶっておるのか、それらの点について、詳細に御調査の上、資料として本委員会に提出されたいと思います。よろしゅうございますね。
  101. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 承知いたしました。
  102. 相澤重明

    相澤重明君 今の委員長の御発言ですが、埋め立てについての、あるいは付属施設についての認可ということでなくて、もちろんその認可条件はありますよ。ありますが、工事が終わっておるかどうか、それから工事が終わって報告書が出されておるのに、知事がまだ認可をしておらん、決裁しておらん、こういうのかどうか、現実には、工事は完了しておるのかどうか、こういう点について報告を求めるということです。  それでは委員長、水産庁おりますか——運輸省けっこうですから。
  103. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) おります。
  104. 相澤重明

    相澤重明君 その次に、水産庁の、この前の高橋君の答弁、まことに上手に答弁されておってけっこうでありますが、そこで私からお尋ねをしたいのは、二月の二十八日の日に総会が持たれたと。そうして、そのことについての内容についても、ここに御報告が出ておるわけです。  そこで、当時私から質問を申し上げた漁業法第一条の問題と漁業法七十四条の公務員の監督の問題、それから、次には漁獲物の処理の問題、それに対する系統資金の融資の問題、こういうような点について御説明をいただいたわけです。  本日、この資料が提出されておるようでありますから、まず前回の漁業法七十四条の公務員の監督の問題について、この二十八日の総会については、どなたがおいでになったかということが、あなたのほうに報告をされておるか、ひとつ御説明をいただきたいと思うんです。
  105. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 過日御要求のありました資料につきましては、本日提出いたしました次第でございます。  なお、ただいまお尋ねの漁業法第七十四条の漁業監督公務員に関する規定の解釈の問題でございまするが、第七十四条の漁業監督公務員として、ここで規定されておりまする権限は、漁業取り締まりの権限でございまするので、漁業協同組合に関する取り締まりの権限はこの第七十四条には該当しないというふうに考えております。  しかしながら、水産業協同組合法におきまして、漁業協同組合の監督に関する規定がございまするが、それは水産業協同組合法第百二十三条に(業務又は会計状況の検査)という項目で規定しております一その問題の点は、真鶴のような県におきまする単位の漁業協同組合につきましては、知事がその権限を有し、全国的な連合会その他につきましては農林大臣がこの監督権限を有するという規定に相なっておる次第でございます。
  106. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、私は具体的にお話をいただきたいと思うんですが、実は二月二十八日には、前日の二十七日の日に当決算委員会で、この問題を私から提起をいたしましたので、神奈川県の水産課長が当日列席をしておったという話であります。ところが、漁業法並びに関係法規によっては、運営問題から、あるいは役員の選挙等の問題について細かい規定が、これは施行令等も含んで出ておるわけです。漁業関係については、こまかい点まで規定をせられておる。  当時の総会においては、せっかくこの指導的な立場にある水産課長が出席しておったと言われるのでありますけれども、そういう運営あるいは選挙等についても、全く適切な指導が行なわれなかったと私ども聞いておるのであります、これは聞いております。はたして、それが適切な指導が行なわれたかどうかということも、少なくともあなたも、この決算委員会で資料を私から求められたのでありますから、そのことをお尋ねになったと思う。その真偽のほどを、あなたから御報告があってしかるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  107. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) お尋ねのこの真鶴の漁業協同組合におきまする総会の開催につきましては、県の担当係官が出席したように聞いております。なお、その後神奈川県の矢板水産課長より、この総会の概況について、口頭による報告を受けております。  で、そのポイントと申しますか、重要な点といたしましては、法規に反することがなく、水産業協同組合法に従って運営されたという点の報告を受けております。
  108. 相澤重明

    相澤重明君 おそらく高橋君の方には一そういう報告だと私は思うのであります。しかし、報告は、あなたが受けたのであって、現場におったのではない、私もその現場におったわけではないわけです。  そこで、この報告をされたことと、私の聞くことの食い違いはあると思う。食い違いはあると思いますが、私は非常に重要なことだと思いますのは、その総会に神奈川県の水産課の担当官が出席をしておって、そうして運営なり役員の選挙の問題について立ち会っておったにもかかわらず、この漁業法をはじめ、関係法令というものが、十分そしゃくをされておらないというふうに聞いておる。一つの例では、たとえば理事の選挙があった。そのときに、投票をした人たちの投票用紙ですね、その投票用紙が選出をされた管理人によって、そうして総投票何票、有効投票何票、何の太郎兵衛は何票、こういうことで役員の選挙というものがきまるわけです。これは通常どこでも同じです。特に漁業協同組合等のこの運営については、そういう役員選挙についても出ておるわけです。ところがその当時のお話を聞くと、もうわっとやってしまった、そうして橋本平太郎何票、こういうだけで、橋本平太郎君が十八票だから、理事に当選しなかったということだけで、ほかのことは、何ら発表しない、こういうようなことを聞いておる。これは、私が見ておるのではないからわからない。あなたも報告を受けておるだけだからわからない。  そこで、そういうことであるというと、これは法律というものを、正しくやはり指導しておらなかった、こういうふうに私は考えるわけです。そこでそういう事実があったかなかったかということを御調査を私はいただきたい、これが第一です。もし委員長、必要とあれば、せっかく国に御報告をされるのに、適切な報告ができないということであれば、残念だけれども関係者を、私は参考人として当決算委員会に呼んでいただきたいとこう思うのです、それが一つです。  それから二つ目は、昭和二十四年の漁業法改正の際に、いわゆる国家が補償をしたその金というものが、死亡、脱退をした際に、どう処分されているか。これは全国の漁業協同組合でも非常に大きな問題であったわけです。これは国家資金であります。  そのことについて当時、私が前回に申し上げたのは、中には、死亡あるいは脱退した場合には一万円もらった人もいる、あるいは続いて翌年も一万円もらった人もある、こういうことを聞いているが、そのことはどうかといって質問しておいた。その点についてはいかがでしたか。
  109. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) まず大体の考え方を御参考までに申し上げたいと思いますが、これは、県におきまする地区の単協が紛争を起こすことは、ままございます。従いまして、この真鶴町の例も、その例外ではございませんで、役員相互間に刑事問題として相互に告訴し合うという不幸な事態にたち至っているわけでございます。  従いまして、そのような総会が開かれました際に、やはり原則としては、監督権限を有する知事の最大の御努力をお願いするのが、一番妥当と考えるわけでございます。やはりその点につきましては、ただいますぐ私どもの方が直接的に、総会に出席するとか乃至は強力な指導をするというのも、実は私としてはちゅうちょしたような次第でございまして、その点は、あるいはおしかりをこうむるかとも思いますけれども、このような紛争の事態につきましては、当面、まず県の監督権限を有する水産課長その他の係官が、その点を善処していただくというのが、一番適切ではないかという考えを持っているわけでございます。  それから、ただいまの御指摘を受けました点でございますが、理事の選挙につきましては、私としましては、ただ合法的に選挙されたという結果だけを聞いておりまして、ただいま先生御指摘のような、手続上あるいは水産協同組合法上の疑念を持たれるようなことであったかどうかという点につきましては、詳細わかりませんので、その点はもう一度県へ紹介した上で、お答えしたい、このように考えるわけでございます。  それから第二点の漁業権証券の問題でございますが、これは漁業制度改革をやりました当時に、農地証券にかわるべき漁業権証券というものが交付されたことは御案内の通りでございますが、これは現在の段階では、おおむね現金化されまして、その現金化する場合に、いろいろとこの漁業権証券の使い方については指導をしたわけでございますが、たとえばこれが出資金という格好になったようなケース、それから冷蔵庫その他の共同施設に、これが使われたようなケース、それから積立金としてあるという場合のケース、その他旧債の償還に使われたというケース、いろいろのケースがあるわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の時点におきましては、漁業権証券という格好では、組合の帳簿には載っていないわけでありまして、その点は、組合の一般的な資本金その他の問題、それが組合員が脱退する場合の払い戻しの問題というような格好で処理せざるを得ないのではないだろうかというふうに考えられる次第でございます。
  110. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、高橋君の言うような形なんです。そうなくちゃいけないわけです。そうなくてはいけないのだから、死亡したり脱退をした場合には、国家財政から支出した証券については、これは当然本人のものになるわけです、返さなければいかんわけです。ところがそれを返していない者がおるというふうに私は聞いておる、だからそれをあなた方の方で調べてどうしましたかと、こうお尋ねをしているわけです、いかがですか。
  111. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 私、過去にただいまの御指摘を受けましたケースを、具体的にどうしたかという御質問と現在そのような問題について組合として、どういうふうに考えておるのかという問題につきましては、恐縮ですが、調査が行き届きませんでしたので、その点も、もう一度調査させた上で答えさしていただきたいと思います。
  112. 相澤重明

    相澤重明君 けっこうです。後刻また調査をして、国家資金ですから、国家資金が流れた場合に、それが適切に渡っておるかどうかということは、これは私どもとして重大な問題ですから、お尋ねをしておるのですから、調べて御報告を願います。  その次に、農林中金漁業金融の問題についての御報告が出ておるわけですね。系統融資について、この場合に農林省の場合いかがですか。農林中央金庫からの融資、あるいは県信用漁連の融資、これらのものについて、こまかくここに載っておりますが、この場合に、融資を受ける場合が協同組合、いわゆる漁業協同組合として受ける場合、個人としてあるいは受ける場合、こういう場合の扱い方、これは非常に私は微妙な点だと思うのです。そういう点について、御報告の中には、系統融資だけの御説明をいただいておるわけでありますが、個人の場合には、二つの道があると思うのです。  つまり漁業協同組合の理事として融資を受ける場合、それから漁業協同組合全体として受ける場合ありますね。その二つの場合の担保の問題が私は、相当やはり金融機関ですから、この融資をする場合に重要な条件というものはあると思うのです。  そういうような問題で、実は、はたして適切な融資が行なわれておるかどうか、こういう点を、御調査の結果は別にございませんでしたか、ただこの報告通りでございますか、いかがでしょうか。
  113. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) 本件に関しまする金融の問題につきましては、この第五の系統融資について、というところで報告してございまするが、全部、いわゆる漁業協同組合が借りておって漁業自営に使うか、ないしは一部組合員の経営資金に転貸した部分もあるかと思いまするが、この第五で書いておりまするように、借りる主体は、個人ではなくて漁業協同組合が借りておるということに相なっております。
  114. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、系統融資を受ける場合には、真鶴の漁業協同組合という性格で借りておるということですね。そうしますと、個人で、この漁業協同組合の個人で理事のだれだれ、あるいは組合員のだれだれ、こういうことでは、直接は融資をしなかった、こういうことでありますか。
  115. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) この系統資金は、個人には融資いたしません。
  116. 相澤重明

    相澤重明君 趣旨はけっこうだと思います。しかしそれがそのように行なわれておったかどうかという点について、きょうは時間がおそいから申し上げませんが、実は資料をたくさん持っているわけです、ここに。いずれ、いま少しよくお聞きしていただいて、そうして先ほどの調査のこともありますから、次に、御答弁を私はいただきたいと思うのです。  この場合に、たとえば共同で借りる場合ですね、農林中金なり、あるいは信漁連から共同で借りる場合に、その裏づけになるものは、理事のいわゆる担保あるいは組合の資金、こういうもの、二つあると思うのですね。  つまり、協同組合として役員が、理事がその名前を連ねて、その理事の担保というものを提供するという場合と、それから組合の積立金等、資金がありますね、財産が、その財産を担保にする場合とありますね。その二つの場合、いずれでも私はとれると思うのですが、この場合に、役員が改選をされた場合には、その人の担保条件は、どうなりますか。
  117. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) この系統融資につきましては、ただいま御指摘通り、大体組合の貯金その他の財産を担保として借りる場合と、理事理事自身の財産を担保に求められる場合というように、御指摘のようにあるわけでございます。  理事が自己の財産の担保を要求されて、しかし組合が系統金融機関から資金を借りた場合におきまして、理事が何らかの理由で、その理事たる地位を去るというようなケースが御指摘のようにあるわけでございます。その場合に、一体どうなるかと、こういう御指摘かと、こう思いますが、確かにその点は問題がございまして、これはおおむね、組合のそのときのいろいろな事態なり事情がございますので、まあケース・バイ・ケースと申しますか、そういう格好で解決するように指導いたしておるわけでございまして、今度のケースには、それがどういう格好で、どうなるかということにつきましては、ただいま紛争中でございますので、その点まで立ち入ってお答えする準備も、ただいまございませんので、その点も、なおどういうことになるのか、そこら辺に対するこの監督権限を有する地方庁と申しますか、知事さんと申しますか、そちらの方の意向も、私どもとしては聞いた上で、お答えした方がよろしいのじゃないだろうかというふうに考えますので、その点も、はなはだ恐縮でございますが、なお時間をかしていただきたいというふうに考えます。
  118. 相澤重明

    相澤重明君 それでは、その次に最後で、もう時間もおそいから終わりにしたいと思いますが、この昭和三十五年の三月二十三日の大漁に対する報告の食い違いですね。これは、どういうふうに御報告があったでしょうか。  私から御質問をしたときには、この総会の報告書には、約一万二千尾となっておった。ところが水産庁から提出をされた漁獲については、一万三千六百九尾ですかになっておった。ところが組合の一部の人たちが言うには、一万九千尾もあった、こういう三者の食い違いがあったが、これはどうだった、こういうことをお尋ねしたわけであります。その点は、いかがですか。
  119. 高橋泰彦

    政府委員(高橋泰彦君) この点につきましては、できる限りの現地調査と申しますか、現地に行っての帳簿、その他のできる限りの調査を全部やり上げて参りまして、現時点における私どもが把握できる現実は、全部数字でもって、ここにお答えしたわけでございます。従いまして、あとはこれをどういうふうに解釈するかという問題であろうかと思いますが、たとえば沖でとれたブリが、確かに全量が組合の共同販売にかかってないということは事実でございまして、ここで御報告申し上げましたように、それぞれの名目で分配されておることがわかったわけでございます。  従いまして、それぞれの当事者間で、ただいま紛争しておりますることの問題については、何とも申し上げることはできないわけでございますが、少くともできる限りの、ブリの行方については、これ以上のことは、ちょっとできないという程度にまで、私どもとしては詰めたつもりでございます。
  120. 相澤重明

    相澤重明君 結局今の高橋次長の御説明のように、お互いに告訴し合っておるということは、これは裁判で解決すればよい。われわれ決算委員会で、どうこうという問題じゃないのです。  ただ、水産庁に報告された資料が正しいか、正しくないか、こういうことは、やはりわれわれが書類を見れば、これがまず、私は国の報告されたことは、これは正しいと見なければいけないと思うわけです。その国の報告された一万三千六百九尾という、この前の水産庁の資料に基づいていくと、この漁業協同組合の報告書には、八ページに書いてあるように、約一万二千尾としてある。ところが、それは小計の部分であって、現物支給は千六百二十三本あると、ここにまた追加して書いてあります。この前は、そういうことは言ってなかった。この前は、全部を御報告された。その集計が一万三千六百九尾、それで業務報告書には、ただ一万二千尾として、何にも書いてない。こういう点で、食い違いがあるじゃないかと言って私が質問した。そこで現在の、たとえば水産庁に報告された書類と、きょう出された書類を見ましても、一万三千六百二十三本、一万三千六百九本、これはわずかの差ですが、そこに、やはり数字上の問題が出ておるわけですね。これはあなたが提出された書類ですから、ごまかしがないわけです。そういう点で、私どもも疑問を持つことになるわけです。ですから、これが一万九千尾であるか、一万三千尾であるかということは、裁判は裁判として、事実市場を通ったものと市場を通らなかったものとは、これは、はっきりするわけですね。従って市場を通ったものというのは、当然経理上計上されなければならない、これがあなたの御答弁だったと思う、私もそう思う。  従って、もしこれが事実だとすれば、やはり若干ここに計算上のミスがあったと、こういうことが言えるわけですね、率直に。ですから、それがわずか数十本のミスであるのか、それとも、まだ実は報告漏れがあったのか、こういう点について、再度調査されて、これはこの資料の中にあることだけでも、そういう差があるわけですから、その点も、あわせて、一つ恐縮ですが、次に御報告願いたいと思います。  委員長、きょうはおそいですから次の資料を待って、そして私も御質問いたしたいと思います。
  121. 佐藤芳男

    委員長佐藤芳男君) ただいま、相澤君より御要求のありました資料につきましては、十分調査の上、できる限りすみやかに提出あらんことを望みます。  ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もございませんければ、本件についての質疑は、本日は、これをもって終了いたします。これにて散会いたします。    午後三時五十五分散会