○北村暢君 今経理
局長の
説明によりますと、いかにも自衛隊でそういう防災工事ができるように受け取れるのですけれども、あなたそれは非常な認識違いなんですよ。過去の例において、あなた方のその施設の
部隊がやったという工事は、土木技術的な観点からやられたのかどうか知りませんけれども、とにかく被害が起こるということで地元の陳情を受けて、仕方なしにこの防災の施設をするという場合が、全く技術的な観点からいっても
お話にならない工事をやっている。たとえば島松の演習場で土堰堤を二カ所ばかり作った。その土堰堤を作ったものが、全然土木技術者としての良心から言っても、張りつけこうやく的なもの、それを作った。不完全な土堰堤を作ったために、出水が起きたために、それが泥が一斉に流された。そういう土堰堤を作らなければまだ被害が少なかったのに、そういう土堰堤を作ったために、その泥を流して、被害はさらに拡大をしたという事実があるのですよ。そういう事実から言っても、あなた方の土木技術というものは、一体いかなるものかということを非常に疑いたい。信用するわけにいかない。あなた方の建設部のやっている設計というものは、演習場は演習を目的にする設計になっている。たとえば島松からどこどこへ行く、宿舎なら宿舎へ行く道路をつける、最短距離で、これは経済的とか防災とかいう
関係でなしに、とにかく演習場に都合のいい道路をまっすぐつけるならまっすぐつけるで、そのためにそういう防災ということを考慮してないから、その作った道路が完全にこれは水の通る道路になってしまって、道路を作ったために、かえって水の道を作ったような形になって、しかもそれが地盤がよければいいんですが、ああいう火山灰地帯で、全く水がちょっと出れば道路が川になってしまう、こういう状態でしよう。そういう設計をやっているのですよ、あなた。防災なんていう観念においては設計はなされていない。たまたまやったのなら妨害になるような、やったことによって、かえって災いが拡大されるような設計をやっている、そういう実態なんですよ。だから自衛隊では、私は農業土木の
関係の技術者なり、建設省の防災といった観点の技術者なんていうものはないんですよ。あなた方は確かに器材も持っている、人間も持っている、持っているでしょう。ただ災害復旧のときにはここの欠けた土をここへ盛るという、それは器材を持っている、人間を持っているからそれはできるのですね。しかしながら土木技術的な観点から言っても、この被害を防ぐために、一体どういう施設をすればこれが防げるかといったような観点の工事はできないんです。自衛隊の今の組織の中で、また予算の中でできない。もしかりにそういう予算があったとしても、自衛隊はそちらの方の予算に使わない。これは単に宿舎を
整備する、あるいは施設といっても演習に必要な施設をする、防災のために使われる予算なんというものはごく――その資材費、そこら辺の柴をとってきて鹿砦を作る
程度の、百万か二百万
程度の施設費しか持っておらぬ、材料費しか持っておらぬ。事実は
機械があるから資材だけあればいい、こういう頭なんですね。そういう頭で今日まで処置してきたから、演習場の被害というものは今日拡大をしているのですよ。だから私はここでお願いしたいのは、
米軍の被害は、これは
調達庁に技術者がおって、そして被害を査定をし、今日この防災というものは非常に有効にしかも地元民が安心するような工事がなされてきている。これは農林省もタッチしてやっておる。この自衛隊の独自の問題になるというと、これは全然それがない。これはやる
機関がないでしょう。被害を受けた地元民、農民が自衛隊と直接交渉をする。自衛隊はやりましょう、やりましょうということを言っておるけれども、実際に問題は解決しておらないですよ。従って私はここで、先ほど来音響の問題から何から言ったのですけれども、どうしてもここで問題になってくるのは、自衛隊に被害というものをまかしておけない、復旧というものに対してまかしておけない。従って被害をこうむる農民、地元民というものと、その被害を適正に判断をし、適正に工事をするところの
調達庁の、
米軍の被害に対して
調達庁が第三者として適正な被害の補償をするという考え方、これが出てこない限り、自衛隊はやはり自衛隊で、まあ少々陳情があっても、何とかかんとか言いくるめてしまう。特にこの演習場のある、自衛隊のあるところの市町村長というものは、これは島松の例をとれば、恵庭の町長というものは、町長になるためにはあそこの自衛隊の票をもらわないと町長に当選できない。従って町長は自衛隊の言うことはある
程度聞かざるを得ない。従ってまあ町長は地元民の被害を、自衛隊の代弁者として農民なり地元民を説得することだけを一生懸命やっておる。そういう状態なんですよ。従って航空自衛隊の問題ならば、恵庭の町長も、場所が千歳なので、町村が違うから、あれはじゃんじゃんやれやれというけれども、肝心な
部隊の問題になると、恵庭に
部隊がおって、その
部隊の自衛隊の票をもらわなければ当選できないのですから、従って自衛隊はきつく町長を締めつける、町長は仕方なしに地元民を締めつける、こういう結果になる。そういうところまであなた方は物事をはっきり調べられて、実際対処されておるのかどうなのか、こういうことが問題なのです。だから私はこの自衛隊の問題については、道路を作るにしても何にしても、施設の
部隊というものは、演習に都合のいいように、たとえば特車の問題が出ておったけれども、特車の通る道というのは、大体演習場の効果からいえば、これは山のてっぺんなんかばかり走るのじゃないのですよ、丘の――これはやはり演習場の効果からいえば、沢の方にこう行ってそして戦闘をやるときにひょいと行って撃つのですよ。私は兵隊に行っておったのですからそういうことはわかっておるのだけれども、戦車は初めから地盤のいいところを歩くわけではない。一番荒らしちゃ悪い沢を特車がどんどん歩いておるのです。そういう形になっているのです。だから特車の歩いたところは水道になって、鹿砦をやろうが何をしょうが、これは被害が出るようになっている。だから私は、これは犬吠災害ではない、人災だ、人間が起こしている災害だ。従ってそういう演習場のためには私はそういう災害が起こるような施設のやり方をやっているのだから、道路のつけ方、道の
状況がそういうことになっておるのだから、その災害が起こらないように、その肝要なところにがっちりした道路を作るなり何なりという、そういう処置をっとてから私は演習をやるべきだ。被害が出ちゃってから、農民から言われて、張りつけこうやくみたいな応急処置だけとって、それで事足れりとして、地元民の被害というものに対して泣き寝入りにさしているというのが実態であるから、もっと
調達庁のような第三者の
機関として、自衛隊の起こした被害に対しては、第三者がはっきり農民の被害を守るような形の役所というものが必要だ。そのためには特損法に――
米軍の被害に対しては特損法という法律で規定しているけれども、自衛隊の被害に対しては民法上の
損害賠償しかないんです、今日。従って、先ほど、この前の
委員会においても、
防衛庁長官に、この特損法に該当する自衛隊の被害に対する法律制定というものが絶対に必要だ。それでないというと地元民の、しかして農民の被害というものを守れない、こういうことを力説しているんです。従って、演習場の中における防災の
仕事なり被害防止のための施設というものは自衛隊がやるんだと、そういう能力を持っているんだという頭に立って大蔵省が予算を査定し、自衛隊がやればいいじゃないかと、こういう資材費等だけで見ていく行き方に対して、私は疑問を持っているんです。それじゃ防げない。こういう立場に立って、この法的な検討もしてもらいたいということを
要求しておるのです。この点は大蔵省も、自衛隊自身の被害に対しては、ぜひ
一つそういうふうな方向で臨んでもらいたい。自衛隊自身が、そういう被害に対して実際どうするかということについての方策というものを講じてもらいたい。長官は、演習場周辺に対するいろいろな被害、防音の問題を含め、農業災害の問題を含めて、総合的に建設省なり農林省なりの協力を得てやらなければできない。ところが、農林省も建設省も、演習場から起こってくる被害に対して自分の予算は使いたくない。また、建設省は建設省、農林省は農林省の本来の土地改良事業にしても、災害の問題にしても、予算は持っておるんですから、そういう方に重点を置きたいんで、演習場からきた被害については、なるべく建設省なり農林省自体の予算は使いたくない、こういう考えが出てきているのはもちろんなんです。そういうものを
調整してもらわなければならないのですが、そういう形にあるのですから、どうしても、やはり自衛隊の起こした
損害というものについては自衛隊がしりぬぐいをする、それくらいのやはり腹がまえでこの防災の問題に対処しないというとできない、こういうふうに思っているのです。従って、この
調達庁と自衛隊との間における技術上の、技術者のなわ張り争い的な考え方でいくというと、ばかを見るのは被害農民だけだ、地元民だけだ、こういうことになりまするので、私はやかましく、くどく言ってるのはそういう点なんです。従って、まあ問題は、
米軍の使っていた演習場をさらに自衛隊が引き継いだというものを取り上げるというと、問題が複雑でわからなくなってしまいますから、私は特に先ほどは、自衛隊独自の、自衛隊しか使っていない、従来も自衛隊しか使っていない問題について
お話し申し上げたんですけれども、これは引き継いだ問題ももちろん含んでくるんです。わかりにくいから、そういうことに関連しないで申し上げているのでありますけれども、そういう点でありまするので、経理
局長の頭の置きどころというものについて、あなたは事務的に予算が若干ふえた
程度で事足れりと思っていること自体がこれは誤りなんです。従ってこの点について自衛隊では問題は解決しない。自衛隊は、やはりそういう被害に対しては、積極的に被害を受けた者に対して補償することも、防災のことも、予備的な防災工事も当然必要ですけれども、それはやはり専門の
調達庁なり農林省なり建設省にやらせるべきである、こういうふうに思うんです。従って、自衛隊だけで物事を処理するといっても、その能力なしと私は断定せざるを得ない。従って、大蔵省もそういう点で
一つ今後の予算なり法律
関係なりを処理していただきたい、こういうことを要請しておるんです。これについて
一つ各担当者から
答弁を願いたい。