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政府委員(
田中茂穂君) 昭和三十三年度
大蔵省主管一般会計歳入決算並びに
大蔵省所管の
一般会計歳出決算、各
特別会計歳入歳出決算及び各
政府関係機関収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。
まず、
一般会計の
歳入決算額は一兆三千八百六十五億三千八百万円余でありまして、これを
歳入予算額一兆二千六百五十七億七千三百万円余に比較いたしますと千二百七億六千五百万円余の増加となっております。
以下各部について簡単に申し上げますと、第一に、租税及び
印紙収入の
決算額は一兆三億七千四百万円余でありまして、これを
予算額に比較いたしますと、三千三百万円余の増加となっております。この増加の理由は、法人税において経済界の不況により所得が減少したこと、
砂糖消費税において
課税数量が予定より少なかったこと、
印紙収入において
現金納付による
印紙収入が予定より少なかったこと等により二百四十一億四千二百万円余を減少したのでありますが、
申告所得税において配当、
不動産等の所得が予定より増加したこと、
揮発油税及び物品税において
課税数量及び価額が予定より増加したこと、関税において原糖等の有税品の輸入が予定より増加したこと等により二百四十一億七千六百万円余を増加したためであります。
租税及び
印紙収入のうち、
主要税目の内訳について申し上げますと、所得税二千五百九十三億一千万円余、法人税三千八十三億一千九百万円余、酒税千九百五十五億八千百万円余となっております。
第二に、
専売納付金について申し上げますと、
日本専売公社納付金の
決算額は千二百五十九億八千二百万円余でありまして、これを
予算額に比較いたしますと、六十二億三千二百万円余の増加となっております。この増加の理由は、
たばこ販売促進のための諸施策の推進等により、
販売数量の増加、上級品への
消費移行があったため、
たばこ事業の純利益が増加したためであります。
第三に、
官業益金及び
官業収入について申し上げますと、
印刷局特別会計受入金の
決算額は、六億九千二百万円余でありまして、これを
予算額に比較いたしますと二億二千八百万円余の増加となっております。この増加の理由は、前年度からの未
納付益金を
受け入れたことと、
損益計算上の利益が予定より多かったためであります。
第四に、
政府資産整理収入の
決算額は百億六千二百万円余でありまして、これを
予算額に比較いたしますと千三百万円余の減少となっております。この理由は、
国有財産の
売払収入が予定より多かったこと等により八億四千三百万円余を増加いたしましたが、
道路整備特別会計の新設に伴い、
道路整備事業により納付された
地方債証券を同会計に引き継いだこと等により八億五千六百万円余を減少したためであります。
政府資産整理収入のおもなるものについて申し上げますと、
国有財産売払収入六十億四千四百万円余、
地方債証券償還収入三十七億九千五百万円余等となっております。
第五に、雑収入の
決算額は三百七十二億四千四百万円余でありまして、これを
予算額に比較いたしますと二十二億七千九百万円余の増加となっております。この理由は、
特別会計受入金において
自作農創設特別措置特別会計よりの受入金が予定より少なかったこと等により四億三千六百万円余を減少いたしましたが、
国有財産貸付収入、
共有船舶利用収入、
金融機関調整勘定利益返還金等の収入が予定より多かったことにより二十七億一千六百万円余を増加したためであります。
雑収入のおもなるものについて申し上げますと、
国有財産貸付収入十八億六千万円余、
共有船舶利用収入十六億四千三百万円余、
利子収入十一億九千七百万円余、
日本銀行納付金百八十九億九千三百万円余、
恩給法納金及文官恩給費特別会計等負担金六十六億六千九百万円余等となっております。
第六に、前年度
剰余金受入の
決算額は二千百二十一億八千二百万円余でありまして、これは
予算額に対して千百二十億五百万円余上回っております。この理由は、例年の方式により、昭和三十三年度予算に計上された額が、昭和三十一年度の決算によって生じた純剰余金のうち、財政法第六条の規定による
公債償還の財源に充てる額及び
一般財源に充てる額のみにとどめ、昭和三十二年度に生じた剰余金を全額計上していなかったためであり、決算上においてはこれが含まれるため増加したものであります。
次に、
一般会計歳出決算について御説明いたしますと、本
年度大蔵省所管の
歳出予算現額は、千九百四十四億六千七百万円余でありまして、これを
歳出予算額二千六十一億七千八百万円余に比較いたしますと百十七億一千万円
余歳出予算額が減少いたしております。
この減少額の内訳は、昭和三十三年度
一般会計予算総則第二十一条、第二十八条及び第二十九条により
防衛支出金等を、他の各省各庁へ移しかえたもの七十一億八千八百万円余、
予備費使用決定減少額八十九億九千七百万円余、計百六十一億八千五百万円余が減少し、
予備費使用額六億七千二百万円余、前年度からの繰越額三十六億七千百万円余、昭和三十三年度
一般会計予算総則第二十三条に基づく
移用増加額一億三千万円余、計四十四億七千五百万円余が増加いたしましたので、差引百十七億一千万円余の減少となったものであります。
この
歳出予算現額に対しまして、
支出済み歳出額は千九百億一千万円余、翌
年度繰越額は三十六億三百万円余でありまして、差引八億五千三百万円余が不用となったものであります。
以下、この予算の執行につきましてその大要を申し述べます。
まず、
支出済み歳出額について御説明いたしますと、その内訳のおもなものは、国債費、
政府出資金、
経済基盤強化資金、
防衛支出金、
賠償等特殊債務処理費、旧
令共済組合等の
年金交付経費、
国庫受入預託金利子、
公務員宿舎施設費、
租税還付加算金及び
大蔵省所管の
一般行政経費等でありまして、このおもな経費の
支出概要は次の通りであります。
国債費におきましては、
一般会計負担に属する国債の償還及び利子の支払いに充てるための財源並びにそれらの
事務取り扱い費を
国債整理基金特別会計へ繰り入れるため、国債費の項から六百六十五億八千八百万円余を支出いたしましたが、
国債償還財源につきましては、昭和二十八年度から昭和三十三年度まで各年度における
国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律に基づき、財政法第六条の規定による昭和三十一年度
決算剰余金の二分の一相当額を、また、
国債利子及び
国債事務取り扱い費につきましては、本年度の所要額を繰り入れしたものであります。
政府出資金及び
経済基盤強化資金におきましては、
科学振興のため
理化学研究所法に基づいて設立された同研究所に対して、国が出資するための経費として、
政府出資金の項から三億三千万円、
中小企業信用保険公庫法に基づいて、本年度新たに設置された同公庫が、
信用保証協会へ貸し付けるため必要な資金を、同公庫に対して、国が出資するための経費として、
政府出資金の項から二十億円、また、そのほかに、昭和三十三年法律第百六十九号による
経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律に基づきまして、
一般会計に
経済基盤強化資金が設けられ、これに必要な資金の繰り入れ及び特別の五法人の基金に充てるための出資といたしまして、日本輸出入銀行へ
東南アジア開発協力基金として五十億円、
中小企業信用保険公庫へ同公庫の
保険準備基金として六十五億円、
日本貿易振興会へ同会の
事業運営基金として二十億円、
農林漁業金融公庫へ非
補助小団地等土地改良助成基金として六十五億円
日本労働協会へ同会の
事業運営基金として十五億円、計二百十五億円を
政府出資金の項から、また、二百二十一億三千万円を
経済基盤強化資金へ繰入の項から支出いたしました。
防衛支出金におきましては、
日米安全保障条約に基づく
行政協定第二十五条第二項(b)による
合衆国軍交付金、及び
日米相互防衛援助協定第七条に基づく
合衆国軍事援助顧問団経費として
防衛支出金の項から百九十億八千七百万円余。
賠償等特殊債務処理費におきましては
賠償等特殊債務処理特別会計法に基づいて、旧連合国に対する賠償の支払い、旧連合国もしくは旧
連合国人の
本邦内財産の
戦争損害の補償、その他戦争の遂行もしくは連合国の軍隊による占領の結果または、これらに関連して負担する
対外債務の処理に充てる経費として、同会計へ繰り入れるため、
賠償等特殊債務処理特別会計へ繰入の項から二百六十一億九千三百万円。
旧
令共済組合等の
年金交付経費におきましては「旧令による
共済組合等からの
年金受給者のための
特別措置法」に基づく年金の支払いと、これに伴う事務費を、
非現業共済組合連合会及び
日本製鉄八幡共済組合に交付するため、
非現業共済組合連合会等補助及交付金の項から十七億二千七百万円余。
国庫受入預託金利子におきましては、
日本国有鉄道、
日本電信電話公社及び
資金運用部特別会計へ、その
国庫預託金に対する利子として、
国庫受入預託金利子の項から六億一千四百万円余を支出し、
公務員宿舎施設費におきましては、
国家公務員のための
国設宿舎を設置するための経費として、
公務員宿舎施設費の項から十三億二千九百万円余を支出し、これによって三千二百十五戸を設置いたしました。
また、
租税還付加算金におきましては、内国税の
過誤納金の払い戻し及び
青色申告制度に基づく還付金に対する加算金として
租税還付加算金の項から九億二千万円を支出いたしました。
大蔵省所管の
一般行政経費等におきましては、
大蔵省設置法に定める
本省内部部局及びその
地方支分部局である財務局、税関の
一般事務を処理する等のための経費並びに国税庁における徴税費として、
大蔵本省の項から十二億七千四百万円余、財務局の項から二十六億四千万円余、税関の項から十七億六千三百万円余、
税関派出諸費の項から三億九千四百万円余、徴税費として二百十億八千万円余。その内訳は、
税務官署の項から二百三億五千二百万円余、
税務職員養成訓練費の項から二億二千三百万円余、
滞納整理費の項から五億四百万円余を支出いたしましたが、この経費のおもなものは
人件費事務費等でありまして、このうち徴税費を
本年度国税庁において取り扱った租税及び
印紙収入九千六百三億二千百万円余と比較いたしますと、
徴税費コストは二・一九%となっております。
次に、翌
年度繰越額について御説明いたしますと、
公務員宿舎施設費において、宿舎の建設が、敷地の選定等に不測の日数を要したため年度内に支出を終わらなかったもの二億二千八百万円余、
防衛支出金において、
アメリカ合衆国軍との交渉に不測の日数を要したこと及び気象の関係、
設計変更等により工事の施行に不測の日数を要したため年度内に支出が終わらなかったもの三十三億七千四百万円余、計三十六億三百万円余を翌年度に繰り越したものでありまして、この繰越額はいずれも財政法第十四条の三第一項の規定により、あらかじめ、国会の議決を経た
明許繰り越しのものであります。
次に不用額でありますが、その内訳のおもなものは、国債費において本
年度大蔵省証券を発行するに至らなかったため割引料を要しなかったこと、及び
国債利子の支払いが予定に達しなかったこと等により不用となったもの六億一千二百万円余、徴税費において、掛金率の改定等により
国家公務員共済組合負担金を要することが少なかったこと等により不用となったもの一億五千五百万円余であります。
次に各
特別会計歳入歳出決算について御説明いたします。
造幣局特別会計におきましては
収納済歳入額は二十九億八千二百万円余、
支出済歳出額は二十九億八千四百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し一億九千万円余を減少し、
歳出予算現額に対し二億七百万円余の差額を生じましたが、この差額のうち千六百万円余を
造幣局特別会計法第三十三条第一項の規定により翌年度へ繰り越しましたので、差引一億九千万円余が不用となったものであります。
歳入において減少いたしましたおもな理由は、
製造経費を予定まで要しなかったので
貨幣回収準備資金からの
受け入れが少なかったためであり、歳出において不用を生じたのは、
原材料費等を要することが少なかったこと及び予備費を使用するに至らなかったためであります。
なお、この会計の
損益計算上における利益二百万円余は、
造幣局特別会計法第二十七条の規定により翌年度へ繰り越すことといたしました。
印刷局特別会計におきましては、
収納済歳入額は五十七億四千五百万円余、
支出済歳出額は五十一億一千五百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し九百万円余を増加し
歳出予算現額に対し二億五千万円余の差額を生じましたが、この差額のうち九千九百万円余を
印刷局特別会計法第十四条第一項及び財政法第四十二条ただし書の規定により翌年度へ繰り越しましたので、差引一億五千万円余が不用となったものであります。
歳入において増加いたしましたおもな理由は雑収入が多かったためであり、歳出において不用を生じたのは、
原材料費等を要することが少なかったこと及び予備費を使用するに至らなかったためであります。
なお、この会計の
損益計算上における利益は九億六千百万円余でありますが、このうち二億五千八百万円余は、
印刷局特別会計及び
アルコール専売事業特別会計の利益の
一般会計への納付の特例に関する法律第一条の規定により
固有資本の増加に充て、残額七億二百万円余は本年度の
一般会計の歳入に納付することとなるのでありますが、歳入の
収納済額から歳出の
支出済額を控除した金額が納付すべき額に達しないので、六億三千万円余を同法第二条第一項の規定により本年度の
一般会計の歳入に納付し、残額七千二百万円余は、同条第二項の規定により翌年度以降において
一般会計の歳入に納付することといたしております。
資金運用部特別会計においては、
収納済歳入額は八百九十二億五千九百万円余、
支出済歳出額は八百五十四億八千五百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し二十八億五千四百万円余を増加し、
歳出予算現額に対し九億一千九百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
歳入において増加いたしましたおもな理由は、
金融債政府関係機関貸付金の
利子収入が多かったためであり、歳出において不用を生じたおもな理由は、預託金の増加が予定より少なかったことにより
預託金利子の支払いを要することが少なかったためであります。
なお、この会計における本年度の決算上の剰余金三十七億七千三百万円余は、
資金運用部特別会計法第八条の規定により
全額積立金として積み立てることといたしました。
国債整理基金特別会計においては、
収納済歳入額は四千二百五十二億九千二百万円余、
支出済歳出額は三千八百七十五億一千八百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと
歳入予算額に対し四十八億六千七百万円余を減少し、
歳出予算現額に対し五百九十八億四千三百万円余の差額を生じましたが、この差額のうち三百六十四億一千七百万円余を
国債整理基金特別会計法第八条第二項の規定により翌年度へ繰り越しましたので、差引二百三十四億二千五百万円余が不用となったものであります。
歳入において減少いたしました内訳は、
食糧管理特別会計において、前年度における
食糧証券の発行が少なかったこと、
厚生保険特別会計において借入金の返償が少なかったこと
並びこ産業投資特別会計の借入金の借換返償がなかったこと等により、他会計からの
受け入れ及び公債金の収入において、二百三十四億円余を減少いたしましたが、前年度
剰余金受け入れ及び雑収入において百八十五億円余が増加いたしましたので、差引四十八億円余の減少となったものであります。
また、歳出において二百三十四億円余の不用額を生じましたのは、さきに歳入の
減少理由につきまして御説明いたしました理由と同様であります。
貴金属特別会計におきましては、
収納済歳入額は十六億八千万円余、
支出済歳出額は十四億五千百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し二億二千七百万円余を増加し
歳出予算現額に対し百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
歳入において増加いたしましたおもな理由は、銀の売り払いが予定より多かったためであります。
なお、
歳入歳出差引二億二千九百万円余の剰余金は、
貴金属特別会計法第十二条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることにいたしました。
外国為替資金特別会計におきましては、
収納済歳入額は七十五億八千四百万円余、
支出済歳出額は七十六億八千七百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し二億七千五百万円余を減少し、
歳出予算現額に対し三億七千三百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
歳入において減少いたしましたおもな理由は、
外国為替公認銀行のこの
特別会計に対する外貨の売買が減少したこと等により
外国為替売買差益が減少したたためであり、歳出において不用を生じましたおもな理由は、
国際通貨基金から借り入れた外貨を、
国際収支の好調により返済を繰り上げて実施したため利子の支払いを予定まで要しなかったためであります。
なお
歳入歳出差引一億二百万円余の不足金につきましては
外国為替資金特別会計法第十四条の規定によりまして、積立金から補足することといたしました。
産業投資特別会計におきましては、
収納済歳入額は四百七十三億一千五百万円余、
支出済歳出額は四百二十四億五千八百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し三十一億二千百万円余を増加し
歳出予算現額に対し十七億三千五百万円余の差額を生じましたが、この差額のうち十億一千六百万円余を
産業投資特別会計法第十五条第一項の規定により翌年度へ繰り越しましたので、差引七億一千八百万円余が不用となったものであります。
歳入において増加いたしましたおもな理由は、日本開発銀行からの納付金が予定額を上回ったためであり、歳出において不用を生じたおもな理由は、一時借入金及び
外貨借入金の借り入れを行なわなかったため、これに対する利子の支払いを要しなかったことによるものであります。
なお、
歳入歳出差引四十八億五千六百万円余の剰余金は
産業投資特別会計法第九条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることとし、またこの会話の
損益計算上における利益百六十五億五千五百万円余は、同法第八条の規定により積立金に組み入れることといたしました。
経済援助資金特別会計におきましては、
収納済歳入額は十八億二千三百万円余、
支出済歳出額は八億三千万円でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し十億三千九百万円余を増加し、
歳出予算現額に対し八億八千三百万円余の差額を生じましたが、この差額のうち八億八千万円を
経済援助資金特別会計法第十二条第一項の規定により翌年度へ繰り越しましたので、差引三百万円余が不用となったものであります。
歳入において増加いたしましたおもな理由は、前年度剰余金の
受け入れが予定より多かったためであり、歳出において不用を生じましたのは予備費を使用するに至らなかったためであります。
なお、
歳入歳出差引九億九千三百万円余の剰余金は、
経済援助資金特別会計法第九条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。
余剰農産物資金融通
特別会計におきましては、
収納済歳入額は三十六億六千三百万円余、
支出済歳出額は十六億九千四百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し四億一千五百万円余を減少し、
歳出予算現額に対し二十七億八千二百万円余の差額を生じましたが、この差額のうち九千九百万円を余剰農産物資金融通
特別会計法第十五条第一項の規定により翌年度へ繰り越しましたので、差引二十六億八千二百万円余が不用となったものであります。
歳入において減少いたしましたおもな理由は、アメリカ合衆国政府からの余剰農産物の買付がおくれていることにより資金の借り入れが予定より少なかったためであり、歳出において不用を生じましたおもな理由は、借入資金の減少により貸付が行なわれなかったこと及び予備費を使用するに至らなかったためであります。
なお、
歳入歳出差引十九億六千八百万円余の剰余金は、余剰農産物資金融通
特別会計法第八条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。
賠償等特殊債務処理特別会計におきましては、
収納済歳入額は三百七億四千六百万円余、
支出済歳出額は二百五十億八千九百万円余でありまして、これを
歳入予算額及び
歳出予算現額に比較いたしますと、
歳入予算額に対し十二億九千四百万円余を増加し
歳出予算現額に対し五十五億円余の差額を生じましたが、この差額のうち二十八億円余を
賠償等特殊債務処理特別会計法第十一条第一項の規定により翌年度へ繰り越しましたので差引二十七億円余が不用となったものであります。
歳入において増加いたしましたおもな理由は、前年度剰余金の
受け入れが予定より増加したためであり、歳出において不用を生じましたおもな理由は、予備費を使用するに至らなかったためであります。
なお、
歳入歳出差引五十六億六千七百万円余の剰余金は、
賠償等特殊債務処理特別会計法第八条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。
国有村童特殊整理資金
特別会計におきましては、
収納済歳入額は二億五百万円余でありまして、これを
歳入予算額に比較いたしますと、千三百万円余の減少となっております。減少いたしましたおもな理由は前年度剰余金の
受け入れが予定より減少したためであります。
なお、歳出におきましては、
予算額がありませんので
支出済歳出額は皆無であります。従って二億五百万円余の剰余金は、
国有財産特殊整理資金
特別会計法第十条の規定により翌年度の歳入に繰り入れることといたしました。
最後に
大蔵省関係の
政府関係機関収入支出決算について御説明いたします。
国民金融公庫におきましては収入済額は七十二億八千三百万円余、
支出済額は五十八億二千二百万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと収入
予算額に対し四億九千四百万円余を増加し、支出予算現額に対し四億六千万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
収入におきまして増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息の収入が多かったためであり、支出におきまして不用を生じましたおもな理由は借入金利息を要することが少なかったためであります。
なお、この公庫の
損益計算上における利益は六千五百万円余であり、この利益は国民金融公庫法第二十二条第一項の規定により国庫に納付することといたしました。
住宅金融公庫におきましては、収入済額は七十八億八千六百万円余、
支出済額は七十四億八千三百万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと、収入
予算額に対し二億三千四百万円余を減少し、支出予算現額に対し四億六千九百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
収入におきまして減少いたしましたおもな理由は、貸付金利息の収入が減少いたしましたためであり、支出におきまして不用を生じましたおもな理由は、借入金利息を要することが少なかったためであります。
なお、この公庫の
損益計算上における利益は、三百万円余であり、この利益は住宅融資保険特別勘定の利益でありますので、住宅金融公庫法第二十六条の二第三項の規定により住宅融資保険特別勘定の積立金として積み立てることといたしました。
農林漁業金融公庫におきましては、収入済額は七十七億八百万円余、
支出済額は六十八億八千六百万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと、収入
予算額に対し二億九千七百万円余を増加し、支出予算現額に対し二億四千六百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
収入におきまして増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息の収入が多かったためであり、支出におきまして不用を生じましたおもな理由は、借入金利息及び金融機関等委託費を要することが少なかったためであります。
中小企業金融公庫におきましては、収入済額は九十一億三千万円余、
支出済額は七十六億九千七百万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと、収入
予算額に対して五千百万円余を増加し、支出予算現額に対して一億六千六百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
収入におきまして増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息の収入が多かったためであり、支出におきまして不用を生じましたおもな理由は予備費を使用することが少なかったためであります。
北海道東北開発公庫におきましては、収入済額は十九億八千二百万円余
支出済額は十四億六千九百万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと、収入
予算額に対して五千五百万円余を増加し、支出予算現額に対して一億七千万円余の差額を生じましたが、これは全一額不用となったものであります。
収入におきまして増加いたしましたおもな理由は、貸付金利息の収入が多かったためであり、支出におきまして不用を生じましたおもな理由は、借入金利息及び債券利子を要することが少なかったためであります。
公営企業金融公庫におきましては、収入済額は八億三千九百万円余、
支出済額は八億五千五百万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと、収入
予算額に対して一千二百万円余、支出予算現額に対して一千四百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
収入におきまして減少いたしましたおもな理由は、貸付金利息の収入が減少したためであり、支出におきまして不用を生じましたおもな理由は、債券利子を要することが少なかったためであります。
なお、
農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫及び公営企業金融公庫におきましては、
損益計算上における損益はありませんでした。
中小企業信用保険公庫におきましては、収入済額は八億四千四百万円余、
支出済額は七億九千九百万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと、収入
予算額に対して四億八百万円余を減少し、支出予算現額に対して四億一千二百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
収入におきまして減少いたしましたおもな理由は、保険料収入が少なかったためであり、支出におきまして不用を生じましたおもな理由は保険金の支払が少なかったためであります。
また、この公庫の
損益計算上における損失は一億九千八百万円余であり、この損失は
中小企業信用保険公庫法第二十三条第二項及び
中小企業信用保険公庫法施行令第十二条第三項第一号の規定により、取りくずすべき積立金がないので
保険準備基金を減額して整理することといたしました。
日本開発銀行におきましては、収入決定済額は三百十三億二千九百万円余、支出決定済額は百三十二億九千五百万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと、収入
予算額に対して十億四千百万円余を減少し、支出予算現額に対して九億三千五百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
収入におきまして減少いたしましたおもな理由は、貸付金利息が減少したためであり、支出におきまして不用を生じましたおもな理由は、借入金利息を要することが少なかったためであります。
また、この銀行の
損益計算上における利益は百六十億三千六百万円余であり、この利益は日本開発銀行法第三十六条第一項の規定により三十五億七千六百万円余を準備金として積み立て、残額の百二十四億五千九百万円余を同条第三項の規定により国庫に納付することといたしました。
日本輸出入銀行におきましては、一般勘定におきまして収入決定済額は二十八億二千六百万円余、支出決定済額は十九億二千二百万円余であり、
東南アジア開発協力基金勘定におきまして収入決定済額は七千万円余でありまして、これを収入
予算額及び支出予算現額に比較いたしますと、一般勘定の収入
予算額に対して六億九千五百万円余を減少し支出予算現額に対して十一億八千二百万円余の差額を生じましたが、これは
全額不用となったものであります。
また、
東南アジア開発協力基金勘定の収入
予算額に対しては八千九百万円余を減少いたしました。
一般勘定の収入におきまして減少いたしましたおもな理由は、貸付金利息の収入が減少したためであり、一般勘定の支出におきまして不用を生じましたおもな理由は、借入金利息を要することが少なかったためであり、
東南アジア開発協力基金勘定の収入が減少いたしましたのは、基金の
受け入れがずれたためこの
預託金利子収入が予定に達しなかったためであります。
なお、この銀行の一般勘定の
損益計算上における利益は二億四千万円余であり、この利益は日本輸出入銀行法第三十八条第一項の規定により、その全額をこの勘定の準備金として積み立てることとし、
東南アジア開発協力基金勘定の
損益計算上における利益は七千万円余であり、この利益は
経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律第十四条第一項の規定により、その全額をこの勘定の積立金として積み立てることといたしました。
以上、昭和三十三年度大蔵省主管の
一般会計歳入決算並びに
大蔵省所管の
一般会計歳出決算、各
特別会計歳入歳出決算及び各
政府関係機関収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたしました。
なお、昭和三十三年度の
大蔵省所管の決算につきまして、
会計検査院から、
不当事項一件、不正事項一件及び是正事項二八一件の御指摘を受けましたことは、逐年指摘件数は減少いたしておりますが、まことに遺憾にたえないところであります。
これにつきましては、今後一そう
不正行為防止対策を講ずるとともに事務の合理化をはかり、改善に努力を傾注いたしたい所存であります。
何とぞ御審議のほどお願いいたします。