○北村暢君 私は、議事の運営の都合から、大体一時を目途に御質問を申し上げまするので、ごく総括的な問題で
防衛庁長官にお伺いいたしたいと思います。総括といいましても、前回当
委員会から視察をいたしました演習場
関係の
防災工事の問題についてお伺いいたしたいと思います。
まずこのお伺いいたしたいのは、島松演習場の防災の
補償工事の件についてでございますが、この
工事は三十七
年度まで一応の計画ができておるようでございます。それで地元からは、この
工事についての促進方の要望が非常に強く出ておるわけでございます。と申しますのは、三十四
年度に豪雨がありまして
相当なやはり被害が出ておる、従って、まあ現在の
防災工事を計画通りやっていっても、なおかつ現在までやはり、
予算的にいって半分くらいしかできておらぬ、従って三十七
年度の計画であるようであるが、さらにこれが延長されるのじゃないか、こういう
気持がいたしておるのでございます。
従って、この
防災工事についての
工事の見通し、
工事の効果的な点からいけば、もう少しスピードを早める必要があるのじゃないか、こういうような感じがいたしておりまするので、との
防災工事の進捗の状況並びに計画の
実施状況等の概略の
説明をいただきまして、この
工事の見通しについて承りたいと思う次第であります。
第二点は、この
工事は特損法によって
実施せられておるわけでございますが、これは演習場全体の問題でございますけれ
ども、特損法は、これはアメリカに対する日本
国民の
国民的な感情、こういう点からして、ああいう
処置が講ぜられておると思う、
補償等の
考え方が、出ているのではないかと思いますが、現在基地が返還になって引き続き
自衛隊が演習場を使用しておるというところが非常にたくさんあるわけでございます。
ところが、
自衛隊のその後における使用からして、
相当の演習場が荒れて、下流の農地その他に被害を及ぼしているという
事例も数あるじゃないかと思うのです。この点については私は
委員長を通じて農林省からも資料を、現状について全国の演習場の被害状況について資料を提出していただきたいと思います。それにそういうような被害が
相当起こっておるのでありますが、現在
自衛隊のこの起こしました被害については、大体米軍のやったものに対しては、
国民感情というような感じで特損法を適用して、
防災工事でやるというような
考え方に立っておるようですが、
自衛隊は、同じ
国民間の問題であるからということでもって、被害を受けている農民、そういうものに対しては、農民が犠牲をこうむりながら、これを押えられてしまうということが大いにあるのじゃないか、実情としても島松にも、こういう問題が出ております。
というのは、もう御存じかと思うのですが、あそこの駐屯部隊ができまして、それが汚水を流す、まあ炊事その他の汚水を流しちゃう、そのために下流における澱粉工場が被害を受けて、これは衛生的にいって不適当だというようなことになりまして、しかもそれが大々的に新聞に出るというようなことで、食品に
関係ある産業でございますから、とたんにその工場は閉鎖せざるを得なくなっておる、こういう事態が起こったのに対して
自衛隊は、その後
処置をしたのかしないのかということで、結局
補償の問題がなかなか難行してケリがつかない、これはまあ水質汚濁の問題とも関連するのですが、ところが、澱粉というのは食品衛生法、これは食品じゃない、穀物だ、こういう取り扱いからいっても、食品衛生法で取り締まることができない、こういうことで被害をこうむりっぱなしという事態が出ておるわけです。それに対して特損法的なものがないので、
自衛隊なるがゆえに、同じ
国民同士だから、がまんするといったようなことで、何べん話をしてもらちがあかない、結局澱粉工場は閉鎖したままと、こういうようなことになっておる
事例があるわけです。
そのほか防災等についても、先ほど私が申しましたような意味で、全国の演習場の被害をこうむっている問題がたくさんあるわけでありますが、この特損法に該当する、
自衛隊の演習場の被害に基づく問題について、一体
防衛庁はどのように対処されようとするのか、これについては、またどういうふうな
事例をもって対処してきたのか、まあ非常にうるさい騒音防止の点については、若干
予算もつけているようでございますけれ
ども、とにかくそういうものの財政支出をする法的な根拠というものが、今のところは、特損法にかわるようなものはないわけであります。
従ってこれについては、私は早急に特損法にかわるものを
考えるべきだと思うのです、
考えるべきだと思うのですが、これについては、
防衛庁の建設本部ですかは
自衛隊の演習場建設そのものはやるけれ
ども、なかなか防災その他を考慮したものができておらぬ、こういう実情であるのでありますので、
一つこの点に対する見解を承りたいと思います。まあ実情からいって、島松の演習場を私
ども行ってみて痛切に感じたのでありますが、もう、これは米軍が非常に荒らした、あそこは地質的に火山灰地帯でありますから、表土を一度はがすというと、なかなか復旧しない、そのために非常に大きな被害が出てきているのでありますが、それを演習場の設計からいって、どのようにやっておられるのか知りませんけれ
ども自衛隊が使うようになってからの防災
処置あるいは演習の規制、こういうようなものがなされないというと、
自衛隊で荒らしたやつに上回って災害が出てくるというと、現在の計画というものは、米軍の荒らした当時の計画になっておりますから、これをさらに
自衛隊が荒らすということになるというと、そこに特損法との非常にむずかしい問題が出てくる。
自衛隊の被害なのか米軍の被害なのかという非常にむずかしい問題が出てくるのです。これに対する法的な措置というものは何らなされておらない。こういうことで非常にむずかしい問題が出ている。
しかも現在島松の演習場を見まして、実弾射撃の着弾するという地点におけるエロージョンを起こしているということは現実にわかっている。それに対して
自衛隊は防災措置というものを講じていないということになるというと、これは災害は、どっちの災害だかわからなくなってくるわけなんですね。でありますから、演習場の整備の上において、
防衛庁はいかなる配慮をもってこの設計がなされているのか。防災というような点について、もちろんあらかじめ人為的に破壊するのでありますから、そういうものは、やはり万全な措置を講じておかなければ演習なんかやはりやるべきでないと思う。そういうことがなされないで、平気で演習をやって災害が出てから、人為的にこれは防げるものを、災害ができてしまう。こういうことではいけないと思うのですが、こういう配慮というものが、どのようになされているか。例をとって言えば、島松等においては演習場の防災を加味したところの設計というものがどういうふうになっているのか。あるいはこの
予算的な措置というものはどういうふうになっているのか。
自衛隊自身の労力をもって防災もやっていることは知っております。見て来てわかっておりますけれ
ども、あんなちゃちなものでは、とうていとめられない状態にあるというふうに思いますが、それを
予算化する法的な根拠がない。こういうところに大蔵省は要求しても認めないということにもなりかねないと思うのです。そういうような点についての
一つ対策について、一体演習場の設定なり設計において、そういう面の配慮がなされているのかなされていないのか、この点についてお伺いしておきたいと思う。
それからもう
一つは、被害を現実にこうむった者に対する
補償の問題でありますけれ
ども、これは、なかなか理論的にも実証することは非常にむずかしい。現実には、やはり
自衛隊の被害をこうむっているというのがどんどん出てきている。農地等においても被害が出てきている。ところが、これは特損法のようなものがございませんから、一般民法の
損害賠償とかなんとかいうことになれば、とんでもないむずかしいことになりまして、問題の早急な解決にはならない。こういう事態にあるわけなんですが、一体この演習場の演習のために起こる被害、こういうものについての対策というものを、
防衛庁でやはり明確にしておく必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、そういう点についての
一つ、どういうような措置を講じられておるか、お伺いいたしたいと思います。