運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-09-21 第38回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

share
  1. 派遣委員の報告 ○国家財政の経理及び国有財産の管理 (会議録情報)

    昭和三十六年九月二十一日(木曜日)    午前十時二十三分開会    ——————————   委員の異動 本日委員北村暢君辞任につき、その補 欠として小林孝平君を議長において指 名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     佐藤 芳男君    理 事            岡村文四郎君            仲原 善一君            野上  進君            相澤 重明君            北條 雋八君    委 員            木内 四郎君            上林 忠次君            田中 清一君            林田 正治君            谷村 貞治君            阿部 竹松君            大森 創造君            木下 友敬君            小林 孝平君            山田 節男君            奥 むめお君   国務大臣    運 輸 大 臣 齋藤  昇君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    農林政務次官  中野 文門君    食糧庁長官   安田善一郎君    食糧庁経理部長 家治 清一君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    ——————————   本日の会議に付した案件派遣委員報告国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査  (水害時における白根市の政府保管  米出庫に関する件)  (武州鉄道の免許に関する件)    ——————————
  2. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。  過日当委員会で行ないました委員派遣について、これよりこれが報告を求めます。
  3. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 委員派遣について報告いたします。私は佐藤委員長千葉委員とともに、八月二十六日より九月一日までの七日間にわたって新潟富山石川、福井の各県下を視察して参りました。なお石川県下の調査においては鳥畠理事現地参加されました。  今回の調査は、集中豪雨によって各県とも甚大な被害を受けておりますので、その被害状況調査をおもに、その他地盤沈下干拓事業北陸隧道等の視察を行ない、あわせて富山石川県下の指摘事項についても調査を行なって参りました。以下大要を報告いたします。  今回の集中豪雨による被害状況につきまして、六月から八月にかけて各地を襲った集中豪雨による被害は、各県当局の取りまとめたところによりますと、新潟県百三十一億余、富山県二十億余、石川県三十六億円余の巨額に達するものであります。  ことに被害の最も大でありました新潟県の場合は、八月五日の集中豪雨により土木関係十四億円余、農林農地関係六十四億円余、商工関係が六億円余、その他で総額百十億円余の被害と、死者二十六人を出したのでありますが、八月二十日さきに被害を受けた中越地方を中心に再び豪雨に見舞われ、二十一億円余の被害を受け、合計百三十一億円余という大災害をこうむった次第であります。  私ども新潟県下の被害の最もはなはだしかった白根市出雲崎町、長岡市について、現地のなまなましい実情を視察し、お見舞を行なったのであります。その惨状まことに目をおおうものがありました。  今回の集中豪雨による各地被害について共通していることは、中小河川の急激なる増水、はんらんによってもたらされていることであり、ことに未改修中小河川による被害が大きく、大河川中小河川を問わず、河川改修の行なわれていた地域被害は、その程度もきわめて少なかったことであり、今後の治水事業において大河川改修とともに、中小河川改修重要性を痛感した次第であります。  各地において要望を受けたおもなる事項は、災害対策基本となるべき災害基本法をすみやかに制定されたいこと。災害復旧費の査定をすみやかに実施し、国庫支出金を早期に支出されたいこと。公共災害復旧率については、従来の三・五・二の比率にとらわれることなく、地方実情に応じて復旧率を引き上げられたいこと。公共土木農地農林水産業施設及び文教施設等にかかる小災害については、補助採択基準を引き下げるとともに、特例債等による特別措置を講ぜられたいこと。災害復旧対策について再災害防止の見地より、改良復旧を含めた原形復旧にとどまらず、治山治水総合的計画の樹立等抜本的かつ恒久的な防災対策を講ぜられたいこと等であります。  次に、この際水害の問題に関連し、新潟白根市における政府保管米土のうがわりに使用した事件について御報告いたしておきます。  本件は、八月五日未明より降り出した集中豪雨により、白根市の中の口堤防富月橋付近決壊の危機にさらされた際、政府保管米四百三十九俵を許可なく土のうがわりに使用したという事件であります。  私ども現地において調査したところによると、当時の状況は次の通りであります。  朝からの豪雨によって中の口川の水量は午後三時には、警戒水位の五メートル五十を突破し、よって消防団員非常招集を行ない、警戒態勢に入るとともに水防資材の集収に全力をあげておったが、その後ますます増水するので、午後五時三十分ごろより富月橋付近土のう積み作業を開始した。  しかるところ午後六時三十分ごろにはその水位七メートル五十五に達し、遂に越水し始めたので、自衛隊応援出動を要請、土のう二千俵、杭木二百本等を使用しての消防団員市民自衛隊員県警機動隊員等による必死の水防活動も奔流となって流れ込む水流を阻止することができず、さらに土のうにかわる石詰俵民家畳等による防御もその効なく、このまま推移した場合中の口堤防決壊し、市街中心地及び農作物に甚大な被害を与えることになり、だれからともなく、この上は緊急措置として米俵投入して堤防決壊を防ぐ以外に道はないという声が起こり、県食糧事務所経済連等政府保管米出庫を懇請したが、了解を得られないまま六日午前零時ごろ、四百三十九俵の保管米水防に使用し堤防決壊を防止したというのであります。  この措置はもちろんほめるべき事柄ではありません、悪事には違いないが、堤防決壊という異常事態に直面して、殺気立った群衆心理に押されたという点もあり、また結果的には政府保管米四百三十九俵の投入により、三万七千人の市民生命財産を守り、五千八百町歩農耕地災害より救い、さらに三万三千俵の政府保管米流失を防ぎ得たものであって、私どもとしても本件に関する限り、あの場合緊急やむを得ない措置であって、関係者に対する行政処分政府米に対する損失補てん等については十二分の考慮が払われてしかるべきものと考えるのであります。  ただ富月橋かけかえ工事に関連し、遺憾に存ずることは、県当局の当初の計画は、これを永久橋にし、それに伴う堤防かさ上げを行なう予定であったが、このために不利をこうむる少数の地元民の強硬な反対に押され、これを木橋に計画変更し、本年三月末現在の富月橋の完成をみたのであるが、その結果、富月橋付近堤防は、他の部分に比し一メートルほどの差があり、今回、その部分より最初に浸水をみたということであります。  いずれにせよ、今回の政府保管米投入事件は、緊急やむを得ない措置であったとしても、この種事態の再発は厳に戒むべきことであり、政府においては、治山治水恒久的対策の樹立とともに、水防資材完備等水防対策の充実を切に望むものであります。  以上で水害関係報告は終わりますが、なお地盤沈下干拓事業北陸隧道等については、これを文書報告に譲りたいと存じますので、委員長において会議録の末尾に掲載するよう、お取り計らいを願いたいと存じます。  これをもって派遣委員口頭報告を終わるわけでありますが、資料としては、ただいま申し上げましたように、集中豪雨あるいは地盤沈下あるいは港湾、農地工場等のたくさんの資料を提出してございますので、各委員から御質問があればお答えをいたしたいと思います。  以上で報告を終わります。
  4. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 今の報告の中に、四百三十九俵の米の投入問題、それを不問に付するとか、不問に付さぬとかいう派遣委員報告ですが、そういうことを派遣委員としてきめられるものかどうか。そうして、ここで了承ということになれば、参議院の決算委員会はそれは不問に付すということを了承したということになりましょう。行政的に、法的にみてこれはどうですか。
  5. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 私からお答えいたします。  ただいまの相澤委員の御報告にもありましたように、これを不問に付すとは発言されていないのであります。調査の結果、こういう事態であるから十分の考慮が望ましいという程度でありまして、不問に付すとか、厳罰に付すとかということは言っていないのでありますから、御了承願っておきたいと思います。
  6. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 その原稿を読んでごらんなさい。不問という字句を使っておりますよ。
  7. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 私ども派遣委員の御説明を申し上げますと、当時、関係者から事情を聴取をいたしまして、その関係者の言われたことを、私どもが率直に実情をそのまま報告をする、従って、報告報告としても、われわれ今度は国会の立場においては、単に経過的なものにこだわることなく、抜本的な問題をやはり検討すべきではないか、こういう点を、報告と同時に、私どもの当時の調査結果というものに対する考え方を述べているのであります。従って、阿部委員の御指摘のように、これを仕方がなかったからということできちっときめてしまって、いかにも派遣委員現地実情をまるのみ込みにしたということではないので、御了承いただきたい。従って、われわれは、これに対しては十分政府当局質疑を展開をしたい、こういうふうに考えているわけです。
  8. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 質疑報告とはこれは別個のものであって、報告には新潟県も、経済部も、食糧営団も認めなかった、こういうわけですね。これは情状酌量せいとか何とかということとは別個の問題ですね。実際に実権を握っているところが認めなかったにもかかわらず、そういうことをやったということは、それは別個の問題でしょう。それを軽はずみにイエス、ノーということを云々するのは穏当じゃないような気がするのですけれども、なぜ新潟県が認めなかったのか、あるいはなぜ経済部が認めなかったのか、そういうことをお聞きしてみなければならぬでしょう。それを全然聞かぬで、ただ認めなかった、しかし、四百三十九俵の米俵土のうのかわりに使ったので、五千町歩のたんぼや、政府米の三万三千俵——幾ら幾らが助かったということなんですが、そこらあたり、やはり決算委員会としては、県当局なり経済部ですか、食糧営団新潟支所ですか、そういうのを調べてみた上で結論を出してもらわぬと、単に了承してくれといったって了承できませんよ。
  9. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) お答えいたしますが、県庁におきまして、関係者から経過、事情等も聴取いたしたのであります。なお、相澤委員のただいまの御発言は、十分にお聞き下さるとわかりますが、不問に付せとかあるいは厳罰に処せということは言っていないのであります。
  10. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 私は厳罰に処せとか処さぬということを聞いておるのではないですよ。そういう結論を出すんであったんなら、県が認めたとか認めないとか、そういうことを全部明らかにしてやはり態度を決しなければならぬ。ただ報告を簡単にやって、まあ報告というのは大体各常任委員会でも簡単にやるものですから、そういう慣例でやられたということは僕は理解できるけれども、ここで了承せいといったって、全然わからぬで、少なくとも権限のある官庁なりあるいは責任ある部課が絶対認めていないのだから、それをわれわれに認めろと言うたって、それはおかしいじゃないですか。
  11. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 私から申し上げますが、従って、この報告了承するせないの、その以前におきまして質疑を行なうことにいたしておりますから、質疑の終末においてなお御所見を伺いたいと思います。
  12. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 今、阿部委員から質疑が出ておるのは私はもっともだと思う。おそらく本日の決算委員会に御出席委員の皆さんは、そうお考えになると思います。私ども派遣委員が文章的に表現をいたしましたのは、阿部委員の御質疑もありますように、県の食糧事務所あるいは県の経済連等政府保管米出庫地元民が懇請したが、了解関係官公庁は与えなかった。そのことをそのまま報告をしておるわけです。それからそういうことであったけれども、そのことは悪事には違いない、こういうふうに言っておりますが、それじゃ堤防決壊という現場についてはどういう事態があったのか、こういう異常事態の中において、結果的には政府保管米四百三十九俵の投入によって三万七千人の市民生命財産を守った、五千八百町歩農耕地災害より救い、さらに三万三千俵の政府保管米流失を防ぎ得た、これは現地実情がそうだと、こういうことの報告を受けたのをそのまま言っておるわけです。ですからわれわれが本件に関する限り、緊急的な措置としてたとえば地元民の言う通りであっても、あるいはまた政府関係行政処分、あるいは政府米に対する補てん、そういうようなもの等についても、今阿部委員の言うように十分内容を質さなければいけない、と同時にやはりそういう問題については検討する必要があるのではないか、こういう点は十二分の考慮が払われてしかるべきものと考える。ただ、その結果は豪雨によるそういう問題があったけれども、原因は、むしろ新潟県庁なりあるいは白根市をたずねて調べてみると、その川にかかっておる富月橋という橋のかけかえ工事というものが計画されておった。しかし、現在ことしの三月かけかえは終わっておるのだけれども、そのことがどうも一番臭い感じがする、こういうところを私ども調査の結果感じとったわけです。従って、こういう点についても政府なり関係者の意見というものをこれは聞かなければいけない。こういう点を実は文書報告として出しておるわけです。ですから今委員長がお話しになりましたけれども、私どもはその現地実情調査したことを率直に報告をして、そうしてこれらについては一応派遣委員報告文書範囲においてこれは御了承をいただくことにして、そして内容的には今阿部委員の御指摘のように、これから私どもは本日の委員会関係者質疑を行なう、こういうふうに決定をしておるわけでありますから、御了承をできればいただきたいと、こう思うわけであります。
  13. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) ただいまの報告に関連いたしまして、新潟県の水害の問題について質疑通告がございますのでこれを許します。
  14. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 政府お尋ねをしたいわけですが、新潟白根市に流れておる中の口川というのは非常に人家よりも高いところに川が流れておる。それは地盤沈下をしておりまして、ちょうど建物でいいますと、平家建のむねのところを川が流れておるというような状況なんです。従って一たん豪雨等により水が流れ、かさがふえますとどうしてもこれは民家に流れ込むということは現実にわかるわけです。そういう点で政府保管米保管場所が適切であったかいなかということ。それからいま一つはこれらの地域に対するところの農林省自体としてのいわゆる耕地等に対する根本的な態度というもの、こういうものが現地を見るとますます疑惑を持たれてくるわけなんですが、そういう点についてどうなっておったかということが一つと。それから農林省がこの事故が起きてから新聞等に発表したところを見ると、今後の水害等においても、場合によると米俵というものを土のうがわりに使うことが奨励されるような印象を受けるが、こういうようなことがはたしてあったのかどうか、新聞記事というものが正しく伝わっておったのか伝わっておらないのか、こういうような点を農林省がいかにその対策を練ったかということも、この際あわせて報告を願いたい。従ってこの第一は、この現地保管場所というものがそういう民家と川の水位というものから考えて最も適切な場所保管されておったのかどうか、それから関係工事について白根郷亀田郷等のこういう地域における農林省耕地の根本的な対策というものは樹立しておるのかどうか、それから当時水防のために土のうがわりに使ったということは、今後もそういうことはあり得るという見解を持っておるのかどうか、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。
  15. 説明員(中野文門君)(中野文門)

    説明員中野文門君) まだ私ごあいさつ申す機会が決算委員会でなかったのでございますが、先般農林政務次官に任命されまして、未熟者でございますが、どうかよろしくお願いを申し上げます。  ただいまの相澤委員お尋ねにつきまして私から簡単に御答弁申し上げたいと思います。  まず白根市災害対策本部政府米水防に使用した事件についてでございますが、先ほどの御報告にもございましたように、この事件は、去る八月五日の集中豪雨によって信濃川支流中の口川の急激かつ異常な増水による堤防決壊の危険を防止するため、当時の現地水防上やむを得ず現場にある政府指定倉庫から、政府所有米四百三十九俵を食糧事務所及び当該指定倉庫の承認を受けることなく、実力をもって持ち出し使用したという事件でございます。食糧庁といたしましては、この事件報告を受けるとともに、直ちに経理部長ほか一名を現地に派遣いたしましてその実情をつまびらかに調査をさせまして、とりあえずその無断持ち出し行為そのものについて、長官の名において八月十二日付で警告をいたしまして、続いて現地調査の結果等を十分検討いたしました上、当時の現地の緊迫した状況下においては食糧庁に関する限りは、緊急非常の措置として経理上の問題を除いて事情了解できる旨、長官名をもって市及び県に、これは八月二十三日付でございますが、通達いたしたようなわけでございます。  なお、これとほぼ同じころ政府におきまして、次官会議でも関係各省においてそれぞれの立場で検討することが申し合わされました。これは八月二十四日の次官会議でございます。続いて八月二十九日の閣議においても、市災害対策本部のとった措置不問に付することが了解されました。その使用した政府米についての補償はさせることとなっているのであります。  本件処理にあたりまして、経理上の問題を残して以上のような措置をとった次第でございます。  なお、お尋ねの中に、この無断持ち出しということを不問に付したことが、将来に及ぼす影響はどうかというようなお尋ねがあったようでございますが、その点につきましては、これは私どもの知る限りにおきましては、今日までその例のなかったことでございまして、しかし人命の問題とかあるいはそのような行為をしなければ、どのような事態が起きるかわからないというような状況下において、今回のこの事件が発生いたしたのでございまして、将来そういうことのないという保証はできませんが、将来の事柄につきましては、そのつどそれぞれの態度がとられることと思いますが、無断に持ち出したことを不問に付したことは、先般のその状況実地調査の上判断いたしまして、やむを得なかった措置であるというようなふうにとりまして、この点に関する限り不問に付した。  ただ経理上の措置につきましては、これは御案内であろうと思いますが、水防法の第二十一条に、この公用負担ということがございまして、御参考に申し上げますと、「水防のため緊急の必要があるときは、水防管理者水防団長又は消防機関の長は、水防現場において、必要な土地を一時使用し、土石、竹木その他の資材を使用し、若しくは収用し、車馬その他の運搬具若しくは器具を使用し、又は工作物その他の障害物を処分することができる。」その二項におきまして、さらに「水防管理団体は、前項の規定により損失を受けた者に対し、時価によりその損失補償しなければならない。」ということが、水防法の第二十一条の公用負担に関するところに規定がございますることによりまして、その無断持ち出し無断に消費した事柄のそのこといかんにかかわりませず、経理上の措置につきましては、これに適当なる負担をかけるという態度を現在とっております。  なおその他の案件につきましては、食糧庁長官から御答弁をいたします。
  16. 説明員(安田善一郎君)(安田善一郎)

    説明員安田善一郎君) 食糧庁長官でございますが、新米の食糧庁長官でございます。どうぞよろしく。  八月五日の集中豪雨によりまして、信濃川支流中の口川におきまして、白根市の災害対策本部政府米として保管農業倉庫に委託をしておるものを、保管責任者の拒否を押し切りまして、そのときにおりました群衆と一緒にこれを強制的に運び出しまして、土のうあるいは水害の防除に使いましたことにつきまして、その後の措置については政務次官から御説明申し上げた通りでございます。これに対しましては、その後、あそこは知事が御病気でございまして、知事職務代行者に副知事がなっておられますが、陳謝の意味の御報告がありましたが、きわめて内容概況報告陳謝のようでございましたので、それをもってしては明確な判断はできないが、簡単に知事と申し上げますが、知事措置は適当と思われない、違法または少なくとも不当であると思われるというので、その他の同様の場合、その他の地域の場合、これに悪影響を及ぼすことがあることは特に考えられなければいけないというので、その県におきまするその現場状況は後刻現地報告をさせますと同時に、報告を待たずいたしまして、私の隣りにおりまする事務当局としては、物品保管経理責任者である本庁経理部長ほか一名を現地に出張させまして調査いたすことにいたしました。そういうことをするということと同時に、自今その報告ではよくわからぬと同時に、報告に関しては少なくとも適当でない、その措置に対する措置は別途これを講ずるつもりである、そういう報告はもっとくわしく報告されなければならぬ、そういうことにいたしまして、厳重な警告口頭をもってまず申し上げました。それは結果論でございまするけれども、またその政府米堤防補強に使用した事実もあり、またそのためであるかどうかわかりませんが水害が防げました。しかし使用いたしまする際には、すでに水位はずっと上がって堤防を越えて水が堤防の外へあふれ出ておった事実だけは明確に述べられたのであります。そこで通信状況はどうかという点を追及しましたところ、不明確でございますので、その経理部長調査の結果を待ちまして、それが電信電話、特に電話等については不通の事実がなかった、しかもとにかく土のう用であろうとなかろうと土のうに使ったのでございますが、正規の使用許可を受けていなかった。倉庫番許可をいたさなかった、最後まで抵抗をしてかぎも相手に取られなかったのであります。そこでその他の事情政務次官から申し上げた状況でございますので、この場合倉庫保管責任者は、一番現地に近いところでいいますれば、出張所または支所でございます、段階では、役所としては県ごと県事務所、その次に支所その下に出張所とありますが、指示場所といたしまして双方の、支所または出張所になるわけでございますが、いずれにおいて、電話においてすら了解を受けず、特に法規許可を要すると思いますが、法規許可を受けない、通告もなかった。いわんや県の事務所許可を受けずして本省の方には知らされなかった。従いましてその事実の前後における知事報告及び陳謝の事実がおそ過ぎる、そういうことについて一点。それから関係法規がいろいろ参考になるものがございますが、水防法によりましても、知事が自分は水防法責任者だということでございましたが、そういう御発言がございましたが、水防法でも法に基づく行為であって、かつ使用したものは補償を要するという規定があることでございますので、措置は適当でないというのでまずしかりおく、今後他にそういうことが起こりませんように、御質問のように容認するようなことなく通達を出しまして、その後経理部長調査の結果を待ちまして、ほかの点は水がすでにあふれ出ておった状況で、倉庫は二棟ありまして、片方は高い所にあり片方は低い所で、計その二棟を含めまして三万俵のお米が保管されましたうちの、五百俵以下が使われたわけでございますが、その状況から見まして適切でないので、今後を戒めますと同時に補償を要する、現物その他の保管管理上も適当でない。あわせまして農林省は、緊急非常の災害等の事態において、現地の出先機関にある範囲の処理の委任をする事態も必要があるかと思いますが、従来はなかったのでございますので、その点についても検討をするということを申し添えまして、二回にわたって通告をいたしました。  その後次官会議、閣議等におきましては、すでに政務次官から御報告がございましたようなことで、閣議が了解をされましたあとにおきましては、閣議の了解事項に関しては政務次官から申し上げたことになりますが、なお従って、長官名で二回通牒を申し上げましたのは従前通りのことである。今後は他に波及したりしちゃいけない、補償をすべきである、補償内容はこれから検討の上きめる、そういうことの通達の措置がとってある次第であります。
  17. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 今の食糧庁長官の答弁を聞いておりますと、知事水害があった当時、いわゆる地方長官としての水防に対する、災害に対する責任者という立場での言葉の問題があると思います。私は北村知事がどういう考えで言ったかということはやっぱり非常に問題だと思うのです。そういう点が災害というものに対する根本的な認識といいますか、私ども会議員が現地に派遣をされて調査をしてみると、何か大きな柱が一本抜けているという印象を受けるわけです。そういうことはやっぱり摘出してもらわぬと、単にその場だけの事態がどうであったか、その場のことについてこういう解決をすればあとは不問に付しておけばいいというのでは、これはほんとうの災害対策にはならぬと思います。  そこで今の長官の御答弁の中で、現地調査においでになったという方の意見を少し聞いてみたいのだが、これは冒頭に申し上げたように、中の口川というのは信濃川支流で、白根郷は当時実際人家から見ると非常に高い所に川が流れているという感じがしました。そういう所を調査してみて、当然豪雨等があれば水害が起こるということは予想されると思うのだが、昨年の水害のときはどうであったのか。それから今日の異常な豪雨ということだったけれども、それらに対する措置というものは、一体出先機関に対してどういうふうに農林省自体は連絡をとられたか、ただ水害が起きた、その連絡が不十分であったとか、報告がよくないということだけでは、私はやはり関係監督官庁としての責任というものは問題が出るのじゃないか、こう思うので、現地調査をした実情一つ報告してもらいたい。
  18. 説明員(家治清一君)(家治清一)

    説明員(家治清一君) 私、命を受けましてこの事件の発生後現地に参りまして事情調査いたしましたので、今の御質問お答えして私の調査して参りました要点を申し上げます。  御質問にもございましたように、白根市は信濃川本流と支流中の口川に囲まれたような、いわゆる農村の合併された市でございます。あの市の中心部といいますか、市街地になっておるところの大部分の高さが、中の口川の河床とそう変わらないというように調査をして参りました。従いまして堤防調査というものは非常に大事なものであり、堤防をしっかりすることは大事なことであるとこう存じます。ただあのときに聞いて参りましたことは、昨年、今回ほどのような水害ではございませんが、やはり水害がございまして、それに対応して若干の堤防の補強が行なわれておりまして、まあまあ通常の事態であればあの堤防の補強で大丈夫である、これは市もそう考えておったようでございます。ところが本年の八月五日の集中豪雨は非常に異常であったために、きわめて短い時間に非常に大きく増水いたしました。そのうち特に問題の富月橋の付近の堤防が他のところに比べてやや低かったために、その辺が非常に危険になったという状況調査をいたして参りました。ところでその八月五日の晩、先ほど現地調査されました御報告にございましたように、夕方になりましてから非常に水位が高まって堤防を越え始めた。で、市側としてはそういった事態も考えられましたので、市の用意いたしておりますものをできるだけ活用して堤防の補強を行ない、また消防団その他一般協力者を各危険な個所に配置し、自衛隊の出動を求めあるいは警察の機動隊が応援に来まして、危険な個所の防衛をやっておられたようでございます。それがただ夕刻八時を過ぎましてから非常に富月橋が危険になりまして、いろいろな防御資材投入いたしましたけれども、どうしても不十分で、重くて固いもの、それを早く入れないと持たない、こういう現地の判断であったようでございます。そこでたまたま昔米俵を使って水を防いだことがあるという記憶が大衆の口から出まして、そのために何とかこの急場をしのぐために米を使いたい。それにはその現地の近くに、農業倉庫でございますが、政府の指定倉庫がございましてそこに米がある。これはこの緊急非常の事態だから、悪いとは承知しながら、とにかく許可は求めたが得られない、そのままに持ち出して使った。こういう事実を調査して参ったのでございます。
  19. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 あなたが現地においでになったということで、今の報告を受けたわけですが、まあ、私ども現地を見たわけですが、あなたがおいでになったときに、町と川底の位置というものが、お話しになったと思うのですが、特に豪雨の際に富月橋のたもとが一番先に漏水を始めるような個所になっておった、こういうのですが、それはどういうわけでそういうようになったということを聞きませんでしたか。あるいはあなたが見て、なぜそういうところが一番先にそういう事態を現出をしたのか、というようなことは何も感じませんか、いかがですか。
  20. 説明員(家治清一君)(家治清一)

    説明員(家治清一君) 私が見た、ないしは聞きましたところでは、富月橋の橋畔に民家がございまして、まあ、いろいろ補償問題その他があったのが原因かと思いますが、その橋畔をかさ上げし、橋をしっかりするということが当時はできなかった、こういうように聞いて参りました。
  21. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 どうも、政府関係者の調査というものは、いま少し的確に私は調査をしてもらいたいと思うのです。これは中野政務次官に、特に今後決算委員会としては、やはり現地調査をした場合には、国損も少なくすることですから、そういうことで、いいことはいい、悪いことは悪い、やはり実情が克明に報告されることが望ましい。私ども現地調査をしてみると、今の経理部長の言うようななまぬるいものじゃなくて、富月橋という橋が、実に川の水位から見ると低いのですよ。しかも今の白根市の側の橋のたもとに料理屋、飲み屋が二軒ある、橋の両側に。この飲み屋をどけることができない。それが政治家と結託した……、私どもが話を聞けば、その移転は補償はするといっている。現地のいわゆる県なりあるいは市の当時の考えというものは、民家の立ちのきについては補償する、それで堤防決壊が起こらぬようにかさ上げもしなければならぬ、橋のかけかえもしなければいかぬ。橋も当時は永久橋、コンクリート橋に直そうというのに、途中に政治力が介入して木の橋にかけかえてしまった。そうしてことしの三月その橋はでき上がったばかりである。そこを、その地元の、いわゆる水害というものは去年あった。すでに去年あって、そうして去年のより以上のことがあるかもしれないことは予想されるわけだね。だから、もう去年あったより以上の雨は降らないとだれが一体保証しますか。だから去年の豪雨被害において、これではいけないというのをもっと考えて、やはり橋というものはかけなければならぬ。そういう計画があったにもかかわらず、その計画が取り消されてしまって、つぶされて、そうして木の橋にかけかえてしまった。そうして橋のたもとだけはくぼんでいるわけです。くぼんでいるからそこから水が流れ込む、これはあたりまえの話である。これを天災だなんてとんでもない、人災だ、明らかに政治の悪さというものがそこに入ってきている。こういうことを私どもは見るのだが、そういうふうな報告が出されないとすると、政府の一体役人の現地派遣なんというものは全く無意味だ、こういうふうに私は悪口を言いたくなる。そういう点を経理部長はどうだ、そういうことを聞いているか聞いていないか、いま少しはっきり報告してもらいたい。
  22. 説明員(家治清一君)(家治清一)

    説明員(家治清一君) 私が参りましたのは、まずその政府米使用ということに関連して現地調査に参りましたものですから、先ほど御答弁申し上げましたような内容のことを聞いて参りました以上、非常に堤防かさ上げのできなかった理由の本質は何か、というようなことまでは実は調査をして参りませんでした。
  23. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 今の相澤委員に対する経理部長の御答弁ですがね、お米を四百三十九俵使ったことだけ調査に行って、その他のことは管轄外だから調査・せぬ、なるほどそうでしょう。だったら高等三年生くらいの子供がやったのと同じじゃないですか。何のために四百三十九俵のお米を使わなければならなかったのか、使わぬでもよかったじゃないか、やはり使わぬければだめだったというくらい、やはりあなたお調べにならなければならぬ責任と義務があるのじゃないですか、国家公務員として。だったらまるで子供の使いと一緒ではがき一本でいいと思うのですよ。実に不穏当きわまると思うのだが、そこに長官がいらっしゃるから、長官がどうしようと、長官の行政的手腕に待つのだが、そこでまず長官政務次官お尋ねしたいのだが、長官でもけっこうですが、補償をしていただくということになっておるのだね。お米四百三十九俵を使った分については補償を求めるということですね。つまり、一応お米は国有財産であるからこれを勝手に処置したことであるから四百三十九俵のお米の補償を求める、こういうことになっておるのですか。
  24. 説明員(安田善一郎君)(安田善一郎)

    説明員安田善一郎君) 補償を求めることになっております。
  25. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 そうすると、補償を求めるということになりますと、当然相手が必要ですね。結局補償分を国で補ってやろうとか、あるいはやった当人に補償してもらうとか、あるいは新潟県で補償を半分出して、白根町なら白根町で半分出すとか、いろいろな方法があろうかと思うのですね。しかしこれを承っておると、最前の派遣委員報告ですが、とにかく農林省当局の保管しておったお米が三万三千俵助かった。三万三千俵助かったとおっしゃっておる——あなた首をかしげたってそう私は報告を聞いておるのだ。それから三万数千名の住民が助かったとおっしゃっておる。それから五千数百町歩の田地田畑が助かったと報告されておるのですね。そうすると、農林省当局つまり政府がそのあなた方の方は三万三千俵ただで助けてもらって、今ごろになって、結果論だがそんなことをしてもらわなくても助かったとおっしゃるかもしらぬけれども、だれから一体農林省つまり政府補償金を取るか、あるいは現物を取るかということを伺っておきたい。だれを相手にして取るのですか。
  26. 説明員(安田善一郎君)(安田善一郎)

    説明員安田善一郎君) 許可を受けずして政府米を持ち出し使用いたしましたのは、白根市災害対策本部の部長で、これは市長でございますが、その市長そのものではございませんが、本部としての人がその中におりまして、その人が一緒になって群衆も一部まざっておったという報告ですけれども対策本部に責任がある、本部自身がそう調査の結果言われますので、上京して陳謝されましたのは知事でございますけれども対策本部長である白根市長、そこへ向かってまず補償をしていただくように考えておりますし、そういう措置をとっているわけであります。
  27. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 それはまずとか、まずでないとかいうあいまいもこでなくして、損害補償を取るということになれば、相手がなければならぬわけだ。ですから私の聞くのは簡明な答弁でけっこうですが、新潟県であるか、それとも白根市であるのか、それとも本部長を対象として個人名でいくものか、そういうところをお尋ねしているわけですよ。農林省は米の保管する個所が悪くて、皆の努力によってとにかく三万三千俵のお米が助かったわけだ。しかしそれは当方の知ったことではありませんということで、やった人を佐倉宗五郎的に犠牲者に祭り上げて、あなた方がのうのうとしておるものかどうかということを尋ねているわけです。
  28. 説明員(安田善一郎君)(安田善一郎)

    説明員安田善一郎君) 白根市を代表するその市長に対してであります。
  29. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 私もちょっと一委員として質疑を行ないたいと思います。委員長発言ではございません。  この問題は私の県内に起こったことでございまするから、私も事情を相当詳しく知っておるのであります。なおまた委員諸君とともに現地についてつぶさに調査をいたし、県当局その他関係当局とも県庁におきまして相当時間、費やして調査の完璧を期したのでございますが、この問題は農林省におかれましては無関心ではございましょうが、……先ほどの経理部長の御発言によって無関心であるように思われるのでございますが、私は県庁における会議の際に、相澤委員もよく御存じだと思いますが、この問題は発端がある。それは県が本省から補助を得て従来の木橋をもう少し高くしなければならぬ、先刻相澤委員がおっしゃった、水位とそれから堤防関係はきわめて重要だとおっしゃったが、その通りでございまして、その点にかんがみられまして、木橋ならば低くかけてもいい、永久橋とすると高くかけなければならぬ。それで永久橋の設計をいたしまして、しかも地元と折衝された。ところが先ほど御指摘になりました飲食店二軒、その他もうちょっとございますが、そこが今度は相当土盛りをされることになりますので、きわめて営業上困る。それに対して国、県の方では補償費を一千万円も用意をする、かように申したにかかわらず、一部の住民が他の方に働きかけまして、そうして遂に依然として橋の高さの低い木橋にかけかえが行なわれてしまったのであります。昨年でございます。ですから、私は県庁その他の関係当局との話し合いの際に、この水害の問題は、富月橋を原因として起こったこの災いというものは、地元のごくわずかの一部、それと間違った政治力、県の弱腰、この三つによってかもし出されたところの人災以外の何ものでもないじゃないか、と追及を私自身がいたしたのでございます。これに間違いないのでございます。この点は私は農地の問題もございますので、今後とも一つ建設省のことだからということでなしに、こういう事件を契機にして御関心を持っていただきたいことを質問に加えて要望をいたしておきたいのであります。  第二点は、先ほど長官からお話になりました白根対策本部のとったる措置はやむを得ざるものとして、これを不問に付することに了解をいたした、しかし四百三十九俵の保管米に対する損失補てんについては、これは対策本部をして、言いかえれば白根市をして行なわしむるのだ、金を徴収するのだ、こうおっしゃるのでございますが、これは私は感想を伺うことになるかもしれませんけれども行政処分はなさらぬ、不問に付することが妥当だ、そういう立場に立たれておって、そうして今度は損失補てんはなさる、ことに矛盾をお感じになりませんか。これはどうしても質問をせざるを得ない点でございます。  さらに私は安田長官に伺いたいのでございますが、先ほどからくる委員報告にございましたように、堤防にありました倉庫の中から四百三十九俵の米を無断に持ち出して、ただし私ども調査からいたしますれば、その事前に食糧事務所に対しましても、県庁に対しましても、電話で懇請はしたけれども了解されるところがなかったという事実もあるわけでありますが、それを群衆にわめきたてられて市当局もやむを得ずこれを持ち出すに至った。しかもですよ、今度あの堤防から浸水いたしますれば町場にございますところの農林省のいわゆる政府保管米というものが三万三千俵水浸しになる、それが防げた。私は安田長官に御感想を承りたいのでありますが、もしもたまたまその水害のその時刻に安田長官現地堤防に立たれたと仮定をいたしまして、その際に安田長官は三万三千俵の米を助けるために、四百三十九俵というわずかの米を犠牲にするという措置を、その際に臨まれたならば私はおとりになったのではなかろうかと思うのでありますが、それでもこれは政府保管米だから一俵たりとも土のう用に使うのはまかりならぬ、そのために三万三千俵ふいにしてもいとうところにあらずと、こういうようなお考えになられたものか、どちらかということを私はこの際安田長官のお考えと御感想を承っておきたいと思うのであります。
  30. 説明員(安田善一郎君)(安田善一郎)

    説明員安田善一郎君) 委員長がまあ地元の方であり、委員長でなしに委員としての御発言だということでありました。知事陳謝を主としまして、要は穏便にしてもらいたいという言葉の内容の、しかも相当事故が起きた以後の知事の御来庁でございました。それだけではまず第一、不適切という回答をして、今後他に波及してはいけないし、そのこと自身も不法ではないかということが考えられるから、厳重な警告をその場で発した。しかし現地に私がおったわけではございませんので、一番食糧庁でもよく……主管部長でございます者を、下の方でもなしに、私の次では経理部長でございますから、経理部長に単に経理上の問題を考えるばかりでなしに、保管その他のことを担当する職員を一名付しまして、至急夜行をもって現地調査に派遣をしたのであります。そうしまして、そのときに、他の委員から御質問もございましたが、農業土木的な知識、農業と申しますのは適当ではありませんが、河川とか、水とか、堤防とか、地位とか、どんな水位まできたときにどれくらいその高低の堤防外の土地に影響があるかなどは、専門技術も要るであろうから、その点もできる限りは調べて判断をして帰れと、それは何日間とどまっても、行ってすぐ帰れとは、わかるまでおって帰りなさいとして調査に派遣したのであります。そこで、あとで報告を聞きましたが、すでに水が堤防外に流れて出ていた状況でございましたので、現在ある施設が、永久橋計画がありましたが木橋になったとかいったようなことを除きますと、現実ということでございますが、現実は水位はすでに堤防でささえ切れぬ水位にある、木橋の現在の構造上もございましたので、これは被害の防除には相当現地で努力をされた、そうして被害を防除する木石その他の資材がほかになくて、すぐ見つからない。応急措置では米が一番効果があると、こういうような情勢に、多数の方が集まられて、騒擾とは言いかねまするが、何と申しますか、少し群衆心理のようなものがまざっておった、しかしこれは市長が対策本部長でございまする災害対策本部の人が指導、指揮をしておった。そこでそこだけを事情を確かめて帰りましたので、それに対してはやはり不法または不適切、少なくとも不適切である、他の場合に波及があってはならないことだ、そういうことを明瞭にいたしまして、事後のどういう措置をとるかはなお報告に基づいて検討をするという通達を、あとから文書をもって対策本部長に出したわけであります。あわせまして、県知事に向かいましても、本部長にそういう農林省の解釈、農林省態度を出しましたから、それを参考にして、今後は絶対にそういうことがないように周知徹底をせられたい旨を添えて出しました。相次ぎまして、それだけでは具体性をいささか欠くところがございますので、現地災害状況や、災害防除の協力状況や、その状況のもとに、そこの付近で許可を得ず、また保管する責任者は門もあけずに、かぎも渡さず、ほかのところを破って持ち出したことも判明いたしましたので、これは単に食糧庁は、政府米に関しまして経理上の国損を与えてはならぬということばかりではなしに、米そのものを政府米として保管して、適法に運営するという二つのこと、金と物と二つのことがある。そこで依然としまして、先ほど御発言が他にありましたが、了解をきちんと与えるものではなしに、状況を総合判断して——事情は了とするとは断定いたしておりません、不問に付すると同様の意味でございます。なお研究はします。しかし米そのものの、まず金の方のことは補償金を取るべきであることを申し添えまして、もう一つ、緊急の場合には、この場合は電信、電話が通じた事実を確認して帰りましたけれども、今後通じないような場合もありまして、応急措置が要りましょうし、米は最も重要なもので、土のうがわりに米を入れたものを使うこと自身には賛成をいたしかねます。適切とは思いませんので、連絡方法も悪いこと、今の米を土のうに、他の資材がほとんど緊急には、長期には別でありましょう、時間をかければ別でありましょうが、緊急措置をとる際には見つからなかったということ、地元にはより広い土地、人命、財産、そこの中には、倉庫が高低と二つありますけれども、低い方の点については、あるいは水が流出する、はんらんするということで、一部または全部が被害を受けるということは、報告によりまして判断がつきましたので、経理上の損失は、まずこれは国損が与えられてはならぬということで、それに対して申し上げました措置をとりますと同時に、現地委任も最小限度に非常事態であるときには、本省の法律に基づく許可を受けるいとまがないような場合には委任をするという措置を検討する、それはまだ成案を得ておりませんが、検討するということを申し添えまして私の措置といたしたのであります。それは私限りでやりました。  その後、他に波及した場合、米以外の場合はどうだ、かぎは、門をあけないで、かぎは渡さなかった、抵抗した、善良なる保有米の管理は、現場保管の番人の一人で、多数の群集……対策本部が加わっておる、こういうことからいたしまして、状況は十分考えられるのでありますけれども、以上のような措置をとって、まず補償金の問題を具体化しようとしておるのであります。その問題を次官会議にも取り上げられ、閣議でも取り上げられまして、中野政務次官から申し上げられましたような状況で閣議については了解するというより、一応不問に付する——一応という言葉は省略さしていただきたいのでありますが、不問に付するが補償金をとるということが、別途、閣議で申し合わせと申しますか、そういうようになられましたから、行政府といたしましては、すでに同様の措置を含んだものを出してありまするが、閣議の了解が、そういうふうでありますれば、すでに出してある通達の趣旨が、閣議の決定後においても同様であると心得ていただきたい。補償金は取ります。その責任者は、対策本部が指揮、指導したのでありますから、対策本部というものは、臨時に設けました施設で、市長が本部長であります。それに対して補償を要求するつもりであります。
  31. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 安田長官に申し上げますが、質問に対してだけお答えを願いたいのでありますが、その第一点は、きわめて簡潔にお答えを願いたい。  行政処分は、これは事情やむを得ないものとして不問に付すると了解をした。その趣意は、ただいまお述べになった通り、けっこうであります。それと今度は、政府保管米の代金を徴収する。行政処分不問に付しておいて、そうして金だけは、がめつくもとるという、そこに矛盾はお感じになりませんか。この点が第一点であります。  なお、これに関連しまして、この閣議で決定とおっしゃいますが、私はその新聞を見まして、二、三の閣僚にただしましたら、雑談的に話はあったけれども正式の決定にあらず、こういう回答を得ておるのでありますが、この点はしかし、ここで議論をいたしません。ただ、これだけをお耳にお入れいたしておきます。これが第一点。  もう一つは、長官が、もしもあの時刻に堤防に立たれたと仮定した場合、三万三千俵の米を助けるのだから、上の倉庫の中から四百三十俵程度を出して、多数の米を国損にならぬように救えという措置をおとりになったかならぬか、これは一つ、御感想を承りたい、この二点であります。
  32. 説明員(安田善一郎君)(安田善一郎)

    説明員安田善一郎君) 二点にお答えします前に、閣議決定と申し上げましたが、ちょっと私、ぼうっとしておりまして、閣議で了解をせられたことを大臣からお聞きしたものであります。  第一点の、不問に付するということと、政府米を適法な許可を受けず普通でない状況のもとに、特ち出した者が異常な方法で持ち出し、堤防の補強に使用しようとしたのであります。この際保管者の拒否を受けたわけであります。そのことを不問に付することと、政府米が持ち出され使われた代償金をとることは矛盾はないかという御質問につきましては、不問に付することということは、不法であるということを阻却するものではない、不法でないということを言うのではないのであります。従って、不問に付することと補償金を払うこととは、不問に付するという総合判断のもとにおいては矛盾をしないという考えで私はおります。もし判断が間違いでございましたら、御指導、御教導をお願いしたいと思います。  第二点の、現地に私がおりました場合だったら、どういう措置をとるかということでございますが、大へんむずかしい御質問で、十分答えられないことを先に告白申し上げておきますが、私の身がわりとして、責任者食糧庁政府米保管及び経理上の数年間のベテランである経理部長、これの報告に基づいて考えますれば、せめて中身の米そのものは、そこへ必ずしも使わないで、土等を、あれだけの群集が——群集というと悪いですが、普通の労力があり、そこを食いとめようとする熱意もございますから、それらの措置をまじえまして、四百何十俵もそのものを持ち出して使うような措置をとることはいたさなかったであろうと思いますが、まあ、これはあとから考えましたことでございますので、御了承願います。
  33. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) もう一点だけ伺いますが、長官に伺いますが、俵をからにして、そうして多数の群集の力で、これを土のうにして使えばよかった、こういうお話でございますが、それはあの当時の事情は許されない、もう時間が切迫いたしておることは、経理部長からの御報告になかったわけであります。時間的に、そういうことは許されなかったという経理部長からの急迫したる報告はなかったのであります。
  34. 大森創造君(大森創造)

    ○大森創造君 簡単に申し上げますが、閣議で了解をしたから補償をしてもらうというように承りましたが、さっきの御説明では、一番最初の御説明では、法律に基づいて、二十一条の何項に基づいて補償をとることになっておるのだ、災害があって、それに対する防御のためにもお米を使った場合には、法律に基づいて自然にとることになっておるのだ、それだから補償を要求するのだというふうに、さっきは承りました。どっちなんでございますか。これが第一点。  それからもう一つ、今、委員長が御質問になった第二点、その当時、橋の上に立ったならば、あなたはどういう措置をとったかということは、これはおわかりにならないと思います。おそらく私の想像では、これは四百何十俵でなくて一千俵ぐらい出した措置をとる食糧庁長官もおられただろうと思う、あなたでなければ。お話をずっと聞いていますと、相澤委員委員長説明によると、ことに委員長新潟の出身だ。これは何万俵かの米が助かって、人命が救助されている。何万俵の米というのは、政府保管米です。これがこういう措置をとったがために助かったということになれば、これは逆に褒賞ものではありませんか。不問に付するどころかこれは、こっちの方からお礼を言ってもいいようにとれる。その現地状況を第一、あなた自身お知りにならない。経理部長調査に行ったって事は済んだと——そのときの状況が、緊急やむを得ないという事態であったならば、一千俵ならず千五百俵でも、きっとやっただろうと思う。だから、そのときどういう措置をとったかということは、あなたはおわかりにならないんだから、そのときの状況によっては、さらに調べてみて、これは補償をとるどころか、かえってこっちからお礼に出向かなけりゃならぬ性質の問題だろうと思う。いかがですか。この二点だけお伺いします。
  35. 説明員(安田善一郎君)(安田善一郎)

    説明員安田善一郎君) 第一の、閣議了解があったから補償金をとるようになったというのは、そう申し上げなかったつもりですが、もしそう申し上げましたら間違いでございます。それは長官名をもちまして、北村知事が病気中ですので鈴木知事職務代理者に対し、第一に直接口頭警告を発したのであります。  次いで文書を以ちまして、補償を要するという旨を入れた正式文書措置をとったのでありますが、この二つの措置本件に関して問題をとり上げた次官会議の日時及びその後の閣議了解がされた日時の順序では、前後の関係は御質問中のお話とは逆であります。必要ならば、その文書の写しを提出してもよいと思います。  第二は、委員長委員としての御発言関係したことでございますが、現地水防努力を非常にされたことにつきましては、私はおらなくても、ベテランの経理部長報告がございました。私はそれをその通り了承いたしました。その通達の中に、大へん御尽力になりました事実は認められる。まあ表彰するかどうかは別としまして、表彰をする方法という考えもございましょう。あわせまして、まあむずかしい御質問が、委員長委員として御質問になりましたのでございますが、全部米を出して、米の袋を土のうにして使ったであろうと考えます、今から思いますと——それはしかし、全部と申し上げません。一部か何か、度合いが違いましょうが、そういうふうに申し上げました。
  36. 大森創造君(大森創造)

    ○大森創造君 これは私は重大に思うのは、今の答弁もさることながら、さっき委員長が一番最初に言ったこと、これはどこが悪いかということになれば、永久橋にした場合高くしなければならぬ。それをどなたか政治家が介在をして、県庁に圧力を加えて、地元の業者と結託をして、そうして低いものを作ったということが、だんだんたどっていくというと、そこのところが元凶でございます。そうするというと、私はこの災害が、年々歳々繰り返されているおりから、公共事業についての不正というか、こういったたぐいのものは、全国的に相当多いと思います。ですから、こういったたぐいの一つのテスト・ケースとしてわざわざ委員が行かれたことでございますから、これは委員長において、後ほど取り計らって、この問題に限って一つ究明をしていただきたいと思います。県とか、あるいは農業土木課、あるいは災害復旧課、仕事の性質は、どういうものに該当して、補助金は何ぼやって、事業の担当者はだれであって、どういう反対の事情があって業者といかなる議員が結びついたか、そういうところを、ちゃんと所在を確かめたいと思いますから、これはこの場限りのお答えでなく、別途一つ究明する機会を持ちたいと思います。そのことのお取り計らいを一つ委員長の方にお願いしたいと思います。
  37. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 了承いたしました。
  38. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 議事進行について。最前から二度ほど、委員長質問について、長官は、委員長でなく委員としてと、こういう発言がございました。国会法を御承知かどうかわからぬけれども政府説明員が、どういう立場で国会議員が発言しようと、何のためにそういうことを言っておるかわからぬ。あとで国会法を調べて、速記録とこれと相違があったら取り消すかどうか、処置してもらいたい。そういうような不謹慎な、一説明員が何のために、委員長でなく委員としてということを言わなければならないかどうか、質問以外のことを。それを厳重に僕は申し入れておまきす。
  39. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) それは私の方から、一委員として申し上げましたので、軽くかようにおっしゃったかと思いますから。
  40. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 委員としてやるなら、代理の人に譲ってやらなければならぬでしょう。(「おかしいよ。」と呼ぶ者あり)
  41. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 慣例として。
  42. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 国会法にちゃんと書いてある。参議院規則と国会法に書いてありますよ。慣例ということは、国会法あるいはその参議院規則にないことを、今までの慣例でやることであって、何で政府の一説明員が、そういうことを言わなければならぬか、質問以外のことを。
  43. 大森創造君(大森創造)

    ○大森創造君 先ほど私の申し上げたような問題、研究するような機会を設けていただきたいと思います。委員長のお考えを。
  44. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 了承しました。
  45. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 きょうは派遣報告に関連をして、農林大臣においでをいただいて、各般にわたって質問をする予定であったわけです。しかし政務次官が代理でおいでになっているので、私は、まあ河野君が昨晩小田原におったのですから、そんな最も近いところにおったのが、どうして来られなかったのか、よくわからぬが、いずれにしても、きょうは大臣がいないのですし、今の政府が八月の二十九日に閣議で不問に付す、しかし経理上の問題については補償さす、こういうことを指摘しておりますので、これはやはり、いま少し私の方としてはお尋ねしなければならぬと思います。  それから先ほど委員長なり各委員からも御発言のありましたように、災害そのものの根本原因というものも、いま少し究明しないと、私はこれはやはりわからぬと思います。  そういう点と、また災害が、そういう現地調査をした結果、いわゆる国民に対する生命財産というものを、一体どういうふうに政府は守ってやるのかという重大な問題が、ここに提起をされているように私は思うのであります。  そういう意味で本日の質疑は、私も、きょうは白根郷や亀田郷の地盤沈下のことも、この関係の個所になりますから、そういうことまで含んで、またさらには河野構想に対して、米の統制撤廃の問題に実は触れていきたかったのですが、ちょっと無理なような関係があります。そこでそういう点について、後日お尋ねすることとして、きょうはこの程度で、この問題を打ち切ったらどうか、そういうように思いますので、他の委員にお諮りをいただいて、議事進行について。
  46. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 視察報告に関連したる質疑は、この程度で本日は打ち切りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) さよう決定をいたしました。  なお、政務次官から発言を求められております。これを許します。
  48. 説明員(中野文門君)(中野文門)

    説明員中野文門君) 本日は、大へん貴重なそれぞれの御意見を承りまして、十分に御意見を尊重いたしまして、われわれも検討、善処いたしたいと思います。  ただ各委員の方々の御発言の中に、結局今回の白根市の事件につきまして、政府所有米の四百三十九俵を土のうがわりに使ったことについて、結果的にその区域における政府保管米の三万三千俵が助かったという点につきまして、法律とか、そういうことを抜きにして考えました場合に、割り切れないその問題が残っているように、私自身も、この事件については判断をいたしておりますが、なお農林省内部においても、それはそれ、これはこれということで、今私が申し上げました割り切れない問題等につきまして、何とかこの割り切れるような方法はありやなしやということについても、先般来いろいろと苦慮検討いたしておるような次第でございまして、いずれにいたしましても、法治国家といたしまして、法律はもちろん守らなければなりませんが、緊急非常事態にその法律のワクから離れて、一つの、昔で言うならば義挙と申しますか、私はこれは義挙に当たるか当たらぬかは私みずからはわかりませんけれども、この世の中には、そうした場合におけるいわゆる義挙的な事件もあろうと思いますが、そうしたことも、やはり加味いたしまして、ただいま、本日議題になりました本件に関しましては、いろいろな角度から、国民の納得するような工合に農林省といたしましても、自今一そう至急に検討善処いたしたい、かように思います。はなはだ御貴重な御意見を数々承りましてありがとうございました。
  49. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕    ——————————
  50. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 速記を始めて。  大森君から発言を求められております。これを許可します。
  51. 大森創造君(大森創造)

    ○大森創造君 大臣もお忙しいようでありますから、ごく簡単に私の方から御質問いたします。  けさの新聞によりますというと、東京地検特捜部が武州鉄道にからむ汚職事件を発表されておりまして、問題は検察庁の段階で、今調べ中でございますから、私の方では、そうでなく運輸省が直接関係をして、そしてお答えできる範囲にとどめて、御質問したいと思います。  端的にお伺いしますが、新聞によれば、この武州鉄道の認可については、昭和三十五年の五月に運輸審議会が開かれている。運輸審議会では、もちろんこの武州鉄道の問題ばかりではないでしょうが、この鉄道の認可の問題について審議が行なわれているということは確かなようです。そこで委員の間から、技術的に見てもあるいは資金の点から見ても、非常に難点があるのだと、この認可については悲観的であったということが伝えられております。ついで一年と何カ月か経って、この間衆議院の選挙などもございましたが、ことしの七月の七日に審議会を開いた。ところがこれは観光、また資源輸送のためにけっこうであろうという結論が出て、それで運輸大臣の方に答申をされております。  で、私のお伺いしたいのは、三十五年の五月に議題になった場合に、不適当であるという結論が出ているにかかわらず、それから一年二カ月経ったことしの七月七日の審議会ではけっこうであろうという、その条件が具備されたということでございましょうが、認可をされた。どういう相違があるのか、昨年の運輸審議会の経過と、それから今年度七月七日に認可をされた条件の変化、武州鉄道創立についての条件の変化は、どういうことがございましたかということを第一点にお答え願いたいと思います。  それから、ことしの七月七日に認可が決定されて運輸大臣までにも答申をされたが、それからわずか四日過ぎて七月十一日に非常にスピード認可をされております。戦後、筑豊鉄道と伊豆急行と二つしかきっと許可されていないと思います。いずれも申請があってから三年、四年の時間がかかっておりますが、今度の場合はべらぼうに速い、これはいかなる事情に基づくものか、それから先ほど申し上げましたように、最初はけっておいて、その次認可をした事情の変化、条件の変化を一つ明快にお答えいただきたいと思います。  この二点については、おそらく検察庁や警察の問題でなくして、本決算委員会が運輸当局に当然御質問をして明快な御答弁ができるものと思いますからお尋ねをいたします。
  52. 国務大臣(齋藤昇君)(斎藤昇)

    ○国務大臣(齋藤昇君) この機会に、まず一言ごあいさつを申し上げたいと思いますが、決算委員会の各位にお目にかかるのが初めてでございますので。——先般の内閣の改造にあたりまして、不肖私が運輸大臣を拝命いたすことに相なりました。かねがねおつき合いをいただいておりましたように、私はまことに不敏なものでございます。今後一つ格別の御支援と御鞭撻をいただきたいと存じます。ことに決算委員会では、運輸省関係いろいろとお世話になることが多いと存じます。一つよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ただいまの御質問でございまするが、今朝の新聞、昨日の夕刊等におきまして、まことに運輸省といたしましては残念な事件だと存じておるわけであります。まだ司直の手入れも、調べが進んでおるわけでありますから、これをもって、どうというわけではございませんが、しかし、いやしくも運輸大臣の職にあったものが疑われたということは、まことに残念なことだと存じております。  ただいまお尋ねの点でございまするが、詳細な点は、鉄道監督局長にお答えいたさせます。私も、まだきのうきょうのことでございますから、十分書類その他を検討はしておりませんが、ただいまお尋ねの七月七日に運輸審議会で決定、答申をしたものが、七月十一日に認可を与えられた。その間の期間がまことに短かい、しかも当初、これが認可の申請をされてから認可に至るまでの期間が、他に比べて短かいのではないか、この点をどういうふうに考えるかというお尋ねでございまするが、私は、まあその鉄道重要性にかんがみまして、今日都市の交通緩和が非常に大事なときになっておりまするからこういうことに役立つものでありまするならば、私はできるだけ早く審議を進めて許可すべきものはする、しないものはしないということを決定することが必要であろうと存じます。従いまして、この武州鉄道の審議が非常に早かった、しかしそれにいたしましても、二年ばかりかかっておるわけでありますので、ただそれだけのことをもって、これは不当であるということは行政上は言えない。むしろ私は東京都内における交通緩和という点から考えるならば、この審議の早過ぎたということは非難すべきではなかろう、かと、かように考えております。途中で条件変更が行なわれたということは私は聞いておるわけであります。資金関係あるいは技術面等につきましてよくなかった、条件が具備されたという事実はあるわけでありまして、従って、当初の条件であれば、認可に困難であったものが条件がよくなって、内容をよくしたということによって認可をしても差しつかえないという条件が具備されたという事実がございます。詳細につきましては所管の局長からお答えをいたします。
  53. 説明員(岡本悟君)(岡本悟)

    説明員(岡本悟君) 最初のお尋ねでございますが、昨年の五月運輸審議会で公聴会をやりまして審議した当時におきましては、運輸審議会の方では免許すべきでないという意見が多かった。その後一年の間に、今度は免許していいというふうに変わったのはどういうわけであるかという御質問でございますが、当時、どういう判断をしたか私は在職しておりませんものでございますから、はっきりいたしませんが、最終的な結論とも言うべきものを、その途中において外部に公表するということは運輸審議会ではいたしておりません。まあどういう経過で、こういうふうになりましたか、外部には全然公表されておらないわけでございます。ただ最終的な結論だけが公表されるのでございまして、審議の過程におきまして、どうであったか、こうであったかということは、一切わかっておりません。従いまして、まあ私の方から運輸審議会の、そういう内部の実情につきましてお答え申し上げるのは適当ではない、かように考えます。  それから第二点の免許が早過ぎた、こういうお尋ねでございますが、従来の例を見ますと、それは主として戦後でございますが、案件によりまして、いろいろ違っております。早いものは六カ月で免許になっておるものもございますし、長いのは三年二カ月もかかっておるようなものもございます。あるいは四年五カ月というものもございます。まちまちでございまして、やはりその事案によりまして、いろいろデータを集めて検討する必要、あるいは運輸審議会の審議の模様、こういうことによって、いろいろ開きが出てくることは事実でございます。また先ほど大臣が申し上げましたように、事案の性質によりまして、むしろ急いで審議した方がいいというものにつきましては、積極的に事務のスピードを上げる、こういうことは当然考えてしかるべきではないかと思います。免許申請の中には、いろいろ調べて見ますと、必ずしも当面すぐやるということではないが、まあわれわれはこういう意図を持っているから、当局においても十分審査してくれというふうなことで、何と申しますか、その地方の交通整備のために、一つの理想図を描きまして、それに基づいて申請をする。だから当面そういう能力があるかどうかということは一応別にしまして、そういう申請の意思表示をしているというふうなものもございまして、申請者自体から、必ずしもこの申請事案の審査は急ぎません。急いでもらわなくてもよろしいというふうなものもあるのでございます。まあそういうことで免許になります、あるいは却下になります、そういうものの処分に要する期間というものは、事案によってまちまちであるということを申し上げておきたいと思います。
  54. 大森創造君(大森創造)

    ○大森創造君 第二番目の問題について、認可申請があってから許可するまでの期間が短かいとか、長いとかいうことは、大臣のおっしゃる通り、今あなたのおっしゃる通りだろうと思うのです。これは了承いたします。  ただ、私が問題にしたいのは、三十五年の五月の運輸審議会で積極的に反対の意見がなされ、技術的に見ても資金的に見ても非常に難点がある。私の伝え聞いた限りは、これはとても問題にならない。モノレールにしたらどうだという意見も飛び出してくる。それから三鷹を駅にしないで吉祥寺にしたらどうかという非常に軟弱な基盤の上に立った武州鉄道であった。その間に、創立事務局の方でもあわてふためいて、それを補強するために、人事の交代なども行なわれて、半ば投げた形になっている。この鉄道の創設については悲観的な情報が流れていた。にもかかわらず一年二カ月たった七月七日には、スムーズに許可になったということについて、どういう条件の変化があったかということ、これはおそらく今度の臨時国会を通じて最大の焦点になるだろうと思います。そういう審議会の内部の審議について、運輸当局はお知りにならないはずはない。単にこの鉄道許可した方がいいとか、あるいは認可しない方がいいという結論だけを、うのみにする行政官庁ではないはずです。審議の過程について、詳細に知悉して、それによって行政的な判断をする。運輸審議会の方ではイエスといっても、ノーという場合もあるでしょう。逆の場合もあるでしょう。そういう立場にあるのが運輸当局でありますから、この三十五年の五月の重要な運輸審議会、この鉄道創設にまつわる審議の内容、そういうものはお知りにならないはずはない。これは後ほど日をあらためて……。昨日事件になった問題で、きょうということもむずかしいでございましょうから、運輸当局から、その当時の審議の状況、反対意見など、一つつぶさに本委員会の方に、私の方にお出しを願いたい。それでことしの七月七日、これは許可されたという、新聞によりますというと、楢橋運輸大臣やその他運輸審議会の方々に、病気をされた方には病気見舞、それからこの間に総選挙がはさまりますので、この陣中見舞と称して、相当多額な金が渡されている。私の想像では、そういういわゆる工作が行なわれたから、一年と二ヵ月のうちに事情が変化したのだ。武州鉄道そのものについては、積極的な明るい面の条件の整備がなかったにかかわらず、これが政治的に今度は認可がされたというふうに解釈できる。そうでなければ、汚職などはあり得ない。三十五年の五月に、運輸審議会でこれこれの事情によって不適当であるという結論を出されたならば、おそらくそのまま通るはずでなかったにかかわらず、この間に各種の工作が行なわれたから、七月七日にはスムーズに通ったに違いない。われわれの同僚の久保議員が国鉄幹線の汚職の問題について質問した際に、運輸大臣や国鉄総裁は、もうこういうことは絶対起こさない、相済まない次第と言うているときには、すでに何回目かの贈賄を受けていた勘定に相なります。この意味から言っても、これは非常に国民を侮辱した行為であると思います。  そこで、私は結論的に申し上げますが、一体おわかりになりませんか。今の両運輸審議会の情勢の変化、事情の変化、私の知った限りでは、同一の委員が三十五年の五月には積極的な反対を示している。そしてことしの七月七日の委員会では、積極的な支持をされたという事実を私は聞いております。こういうことについてお知りになりませんか。もう一回お尋ねいたします。
  55. 説明員(岡本悟君)(岡本悟)

    説明員(岡本悟君) 昨年の五月十六、十七日に運輸審議会が公聴会を行ないまして、公聴会において、どういう発言がなされたかということにつきましては記録がございますので、これははっきりいたしております。  そこで、政府側から出されました反対陳述の要点は、計画が非常にずさんである。こういうことであったように大ざっぱに申し上げますと記憶いたしております。そのおもな点は、大体建設費というものが少な過ぎるんじゃないかというような趣旨であったかと思います。また発起人に相当各界の名士がなっておられるけれども、はたしてどなたが中心で、どれだけの熱意を持って、この事業を遂行する気持があるのかどうかということについて、多大の疑問を持たざるを得ない。こういうようなことであったように覚えております。もちろん詳細は、その記録をごらんになればよくおわかりと思いますが、そういうことで、確かに反対の立場からの陳述を見ますと、そういう点もあったかと思いますが、その後武州鉄道の発起人の方では追加申請をいたしまして、建設費その他について、多少の修正をいたして出して参りました。それからもう一つは、本年の五月発起人の変更がございまして、従来の発起人総代がやめまして、新しく三人の方がかわってなられたのでございます。この二つが条件の変化といえば変化であろうかと考えます。  御指摘のように、どの委員がその当時の審議では反対で、どの委員が賛成であったというふうなことについては、私遺憾ながら、ここで存じ上げませんし、またかりに知っておりましても、そういう審議の過程においては、そういうことは申し上げるべきじゃないのじゃないかというふうに私自身判断いたしております。
  56. 大森創造君(大森創造)

    ○大森創造君 最初にお伺いしたときよりは、やや具体的にお答えがなされたようでございますが、真相はだんだんはっきりしてくるだろうと思います。建設費が増額をされたということそれから発起人に有名人が名前を連ねているけれども、一体中心がだれなのかわからないというふうなことが、最初の審議会で問題になったということでございますが、それはその通りでございます。私の知り得る限りでは、中心人物に有名人が名前を連ねておりましたが、みんな——みんなではありませんが、相当及び腰であったということ、文字通り中心人物と思われる人が、この事業の遂行について非常に危惧の念を抱かれて、みずからやめられたということであります。だから運輸当局がお考えになったように、中心人物が今年の五月になって出てきたから、今度は大丈夫だ、建設費も増額になったから、今度は前よりもいいのだという御判断には実際になれなかったはずだ。発起人の一人がやめて、そうして困ったので、大日産業社長の滝島総一郎氏が思案投げ首の末、別な人を発起人代表にしたというのが内部の事情らしい。ここで問答を繰り返しても何ですが、事はデリケートでございますから、検察庁の方からだんだん調べがついて参ります。  そこで、私は重ねて要求いたしますが、一番のポイントは、三十五年の五月の運輸審議会で積極的な反対がなされていたにもかかわらず、翌三十六年の七月七日には、これがスムーズに通ったということ、ここにございます。その間に収賄がなされておるのでございます。工作がなされておるのであります。これは一つ、審議の速記録などを私の方にお届け願えないものかどうか、技術的に。できなければ、運輸当局がこの武州鉄道を認可するに際して行政的な、政治的な、技術的な、総合的な判断のもとにされたと思いますから、そういう資料を私のところまでお出し願いたいと思います。これについて、どうでしょうか。
  57. 説明員(岡本悟君)(岡本悟)

    説明員(岡本悟君) ただいまのお尋ねお答えいたしまする前に、ちょっと申し上げておきたいのでございますが、審議会で積極的な反対論があったにもかかわらずと、こうおっしゃいますが、この反対論は、公聴会における反対論でございまして、公聴会においては反対するものは当然反対のいろいろな事由を並べまして陳述するわけでございますから、これが即この運輸審議会の審議ではございません。その公聴会の発言をいろいろまとめまして、そうして運輸審議会の審議が別に、別個に行なわれるわけでございまするから、その点はつまり、当然反対するものは反対しますから、その反対があったから、にもかかわらずどうのこうのということにはならないかと存じます。  それからただいまのお尋ねでございますが、たとえば建設費をどういうふうに見たとか、それから輸送数量をどういうふうに推定したとか、収入をどういうふうに見たとか、そういう資料は差し上げることができるかと思います。なおそういうことで総合判断して運輸審議会も免許しかるべしとの答申を出しました。われわれも、そういうふうに判断いたしまして、大臣みずからも、それでよかろうということになった次第であります。そういう資料は差し上げていいかと存じます。  それから運輸審議会の答申もお出しいたします。それから公聴会の速記録は、必要ございますれば、私ども運輸審議会に話しまして、ごらんに入れてもよろしゅうございます。
  58. 大森創造君(大森創造)

    ○大森創造君 前段お答えになった点は、その通りだろうと思います。反対意見が公聴会で述べられて、それが参考になるにしても、運輸審議会は、別の独立した機関でございますから、そこで決定することになるだろうと思います。それにもかかわらず、私は公聴会でも運輸審議会でもよろしい。昨年の五月の審議会が開かれた当時は、この運輸審議会のみならず、公聴会でも何ででも、いろいろな点から先行き不安だからこれをやめよう、これが一年二カ月のうちに変わってきた。その間の事情、形式的な行政的な手続が大きく変わってきたという事情、この間に汚職が行なわれたという事実を、一体次官や、運輸大臣はともかくとして、その他の関係の方々が、純技術的に国家的の立場から、大臣に、このことはこうした方がいいだろうという答申をされるのだろう、御相談をされるのだろうと思うのですけれども、どうもこの辺が、まだまだうやむやです。幾らあなたが弁解されようと、汚職の事実は厳然として行なわれているし、今後政財界の方に発展するということが、各新聞に報じられておりますから、おそらくそういうことだろうと思います。私は非常に不明朗のものだと思うのです。今後事態の進展によって、検察庁とは別個立場から、決算委員会でございますから、昨年に次ぐことしの事件でございます。これは今後問題にします。しかしあなた方の立場もあり、私もまだ研究不足でございますから、私の一応のここでのこの武州鉄道の問題だけについては、きょうはこれで打ち切りたいと思います。
  59. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 楢橋元大臣の事件が初めて新聞に出てきたのですが、おそらく今より一年半前、白タクを認める、認めないという問題のときに、すでにいろいろ内部的に問題があって、それをばらまいている業者の一部があった。そのとき、いろいろと話が流れて、私どもも話をいろいろ承っておりますが、しかし、うわさを聞いて動くということはおとなげないことであるから、そういうことには触れなかったわけですが、今大森委員質問別個に、新聞に審議会委員云々ということになっているということで、新聞では審議会まで波及してきて問題を出されているわけです。そうしますと、審議会の委員というものは衆参両院、これは自民党もおれば、社会党もおるわけです。それで毎国会各種委員ということで、新らたにとにかく任命するということになっている。しかし同じ方が二回も三回もやられるのはあるけれども、毎国会委員というものが変って、本会議で皆でお認めする、こういうことになっているやさきに、そういう問題が出てきた。ですから個々のことは、検察庁なり、裁判官にまかしておいてもいいわけですが、あす、あさってに迫った臨時国会に、今新聞に報道されている審議会委員を全部認めるか、新らたにするかということは、自民党さんには自民党さんの立場があるし、わが党にはわが党の態度があるのだが、ああいうことをでかでかと書かれて、ああそうですかと、新聞は全部でたらめだ、朝日、毎日、読売もでたらめというわけには参らぬわけですよ。ですから、あなたの方で、今大森委員質問に答弁された中身は、こんなてにをはの資料なんかもらってもしようがない。もう少し中身を知りたい。審議会ですから、ここではとても発表できないという限りにおいては、おそらくその資料も発表できる範囲内の資料しか出されないと思うのですよ。ですから、これは参考人にして国会に呼んでもらうか、証人としてきてもらうか、そこでお聞きしなければ、全貌が明らかにならない。従いまして、あなたの方で審議会が開かれるとき、運輸省当局としては、どなたとどなたが出席なさるのですか。審議会の意見だけで問題を論じ、結論を出すということはないでしょう。参考意見としても承るでしょうし、あるいはまた、あなた方の意見も十分取り入れて、イエスかノーか、いずれかきめるでしょうから。その点あなた方の方の出席されたのは、どなたとどなたと、どなたか、それをお尋ねしましょう。
  60. 説明員(岡本悟君)(岡本悟)

    説明員(岡本悟君) もちろん仰せのように、運輸審議会限りで単独で審議することもございましょうし、あるいは関係のものを呼びまして、いろいろ意見を聞きましたり、説明を聴取して、運輸審議会の審議の参考にするということは通例でございます。事案の審議の段取りを申し上げますと、申請がございますと、その申請をいろいろ審査いたしまして、同時に運輸審議会に大臣から諮問いたします。諮問いたしまして、しばらくいたしますと、その申請の事案の内容は、こういうものでありますということを逐一説明するわけでございます。そこで公聴会の申請があれば、公聴会の開催の手続きを運輸審議会としてはとりますし、また、もし必要であると考えれば、申請がなくとも、職権で公聴会の開催をいたすわけでございます。  そういたしまして、いろいろとそういう公聴会を通じての意見も聞くわけでございますが、最終的に審議会として結論を出すという場合には、もちろんまたその前に、われわれ事務当局を呼びまして意見を聞くことはあるわけでございます。通例運輸事務次官は、職制上当然委員の一人になっておりますが、通例そういうふうに出ますのは、局長でありあるいは部長であり、あるいは課長であるというわけでございます。事案によって、お互いに分担し合いまして出席いたしているわけでございます。
  61. 阿部竹松君(阿部竹松)

    阿部竹松君 私、そういうことをお尋ねしているんじゃないんです。それは一項目あって、たとえばこの問題は、地方の陸運局で公聴会を開かなければならぬとか、あるいは中央なら中央の陸運局で公聴会あるいは運輸省で公聴会を開かなければならぬという一項目によって開いているのであって、公聴会の結論に従わなければならないという義務づけをしているんじゃないんですから、そんなことを私は聞いているんじゃないんです。武州鉄道で審議会があったということ、そのときの中身を知りたい。しかし、あなた方、ここでおっしゃられぬ、こう言っておられるから、ここで聞くわけにいかぬ。しかし参考人なり、参考人としては答弁できませんとおっしゃるかもしれない、それなら証人としてきてもらわなければならぬ。従って、ここで論議するようになるか、いずれ臨時国会が開かれて、そのときに、運輸審議会委員はどなたとどなたと、どなたかということは、これは議院運営の委員会で問題になる、ならないは別として、そのときにあなたの方できてもらっても、私ども新聞記事だけによって、ああ、そうですか、こうですかという質問をするわけにはいきませんから、そのときどなたとどなたと、どなたが出ていたかということをですね——武州鉄道が審議会にかかったときに、運輸省でどなたとどなたと、どなたが出ていたかということをお尋ねいたしたい。
  62. 説明員(岡本悟君)(岡本悟)

    説明員(岡本悟君) 私も、実ははっきり記憶いたしておりませんから、もし御必要あれば、運輸審議会にも記録がございましょうから、それによってお答え申し上げたいと存じます。
  63. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 齋藤運輸大臣に、この際やはり承っておきたいんですが、あなた大臣に就任されて日が浅いわけですから、この事件そのものについての内容ということは、もちろん私ども軽々に触れているわけではない。  そこで私ども、大臣の諮問機関である運輸審議会について、あなたが就任されてから、各般の運輸省の行政の上に立って検討されていると思うんです。運輸審議会そのもののあり方について、あなたが研究されて、どうするかということについて、もしお考えがあったら、この際私は聞いておきたいと思う。いかがですか。
  64. 国務大臣(齋藤昇君)(斎藤昇)

    ○国務大臣(齋藤昇君) 運輸審議会は、運輸大臣の諮問機関といたしまして、相当重要な役割をいたしておられます。私は行政の簡素化という点から考えますると、はたしてどうだろうかと思う点もございまするが、しかしながら慎重に審議をするという面からは、やはり相当の役割を果たしてもらっているように考えております。従いまして、運輸審議会の改組問題というような点につきましては、ただいま別に考えをまとめておりません。
  65. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 これは当決算委員会において、私は運輸審議会の問題については、きわめて専門的な立場で運輸省当局に検討を要望しておったのです。それは調べていただくとわかりますが、従来運輸大臣は、諮問機関に対して、運輸審議会の答申そのものに対して、認可事項の申請に対しては申請を受けておる。つまりもっと端的にいえば、国鉄の新路線というものが赤字を持ちながらも、常に運輸審議会が答申をしたものは、そのまま大臣は国鉄総裁にやらしておる。国鉄総裁は、いわゆる鉄道建設審議会の答申のあったものについては、これを拒否をするとか、あるいはこれを認めるとかという採択権がないようにまでなっておる。しかも運輸審議会は、同時に内閣総理大臣にも意見書を提出することもできるというようなことで、これは従来の国鉄の鉄道の新線建設のことについても再検討をする段階ではないか、こういう点は、私は当決算委員会でも、何回か運輸省の項の中では言っておるのです。  それから、今の私鉄道、いわゆる私鉄の認可の問題については、先ほど大森委員も言ったように、戦後今回の問題で三つ目だと思う。そういう点で、とにかく従来に比して審議期間というものは、きわめて短日月であったいうことについては、これは事実だと私は思う。だから、そのことのいい悪いということは別問題として、この審議会が、そういう一貫した流れを持つということについては、これは国民の疑惑というものはなかなか解けない。そこで審議会が、私ども会議員の仲間もおるけれども、これは、やっぱり全体として再検討すべきじゃないか。こういう点を私どもは今日まで話を進めてきておるわけです。  ですから、運輸大臣が新たに就任をされれば、当然一番先にぶつかるのは、この運輸審議会のあり方だと思う。これは根本的なメスを入れなければならぬ問題だと私は考える。で、行政上の中枢になるこのいわゆる鉄道建設、こういう問題について、審議会のいわゆるあり方を検討しないで、ただその内容がよかったとか悪かったというのは、形式論にすぎないと私は思う。こういう意味で、国民に対する今までのいわゆる国鉄の赤字路線の増加、いわゆるたくさん戦後行なってきたことや、それから今の私鉄の認可の問題に対しては、やはり私は、この際運輸大臣が積極的に運輸審議会のあり方を検討すべきじゃないかと、こう私は思うんですが、まああなたも、まだ検討されておらないということでありますが、これは、少なくとも、この事件を契機に私は積極的に取り組んでもらいたいと思うんですが、大臣の所信を一つ伺っておきたいと思います。
  66. 国務大臣(齋藤昇君)(斎藤昇)

    ○国務大臣(齋藤昇君) ただいまの御質問の点は、鉄道建設審議会のことのようでございますが、鉄道建設審議会と運輸審議会とは構成も違っております。御承知の通りだと思いますが、鉄道建設審議会の構成なり、また審議のやり方というものにつきましては、これは、かねがね御意見もおありのようでございます。私もさらに検討を続けて参りたい、かように考えております。私鉄等の許可、認可の際に、審議会に諮問をいたしますのは、これは運輸審議会でございます。これは全く別の問題でございますが、これも、あわせて私も十分検討いたして参りたいと、かように考えております。
  67. 相澤重明君(相澤重明)

    相澤重明君 私の申し上げたのは、今までに、今指摘されたように、鉄道建設についても、赤字路線の問題で私は意見を出しておる。それから運輸審議会についても、戦後は三つだというような記憶をしておるので、そういうことを申し上げたんですが、少なくとも運輸大臣の諮問機関としての審議会のあり方について再検討すべき段階ではないか、こういうことを申し上げたので、今あなたが検討するということをお約束されたので、私はそれを了承しますが、少なくとも、国鉄の問題にせよ、あるいは私鉄の問題にせよ、いずれにしても審議会の今日までのとってきたことについては非常に疑惑が多い。なぜ赤字のものをやるんだとか、あるいはなぜ汚職疑獄の関係の出るようなものを、審議会がそのまま進めるんだというようなことは、これは必ず出ておるわけです。  ですから、そういう点を私どもとしては、やっぱり決算委員会で何回も、いつでも問題になっておるんだから、その点は運輸省が真剣に取り組んでもらわぬと、やっぱりそのときは、うわさも七十五日でもって流れてしまって、あとは、それでまあまあで済んでしまう。こういうことであってはいけない。従って大臣が就任した、この新しい時期が、一番私はやはり行政に対する熱意を持つときだと私は思う。そういう意味で、あなたの所信を伺ったんですが、この運輸審議会にしろ、鉄道建設審議会にしろ、あなたが検討するということを約束されたので、私はお手並みを一つ拝見をしていきたいと思う。一つ積極的に取り組んでもらいたい。  そこで、それはそれといたしまして、次に、今大森委員阿部委員と、私どもの方から意見の出されたのは、今回の武州鉄道の運輸審議会の経過については、これは出し得る文書は、当然当委員会へ出してもらわなければならぬ。しかしそれだけではやっぱり、なかなか内容的に私は問題であろうと思いますから、委員長に、これはお願いをしておきたいんですが、やはり、二十五日から臨時国会も開催されるわけですが、一応今日の事情では、この全貌をお尋ねするわけには参りません。従って、運輸審議会の委員を、当委員会に機会を見て招致する、お呼びをする、こういうことで一応委員長、理事の打ち合せ会で、その時期等も一つおきめいただきたい、こう私は思う。そこで阿部委員や大森委員の御主張、各委員の、そういう聞きたいことをお尋ねする機会を作っていただくということが私は大事だと思う。そういう意味で、本日のところは、私は次の機会に運輸審議会の委員参考人として呼ぶということだけをきめておいて、それらの具体的な問題については委員長・理事の打ち合せ会におまかせをいただく、こういうことで、一つ委員長からお取り計らいをいただきたいと思うのです。以上です。
  68. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) 相澤君からの委員長に対する希望についてお答えをいたします。  参考人ないし証人の召喚は、きわめて重要でございますが、一切をあげて理事会に諮って相談をいたしたいと思います。さよう御了承を願いたいと思います。  本日の委員会は、この程度にいたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 委員長(佐藤芳男君)(佐藤芳男)

    委員長佐藤芳男君) これにて散会いたします。    午後零時三十九分散会