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1961-05-30 第38回国会 参議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月三十日(火曜日)    午前十時四十四分開会   ————————————— 出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事            青柳 秀夫君            井上 清一君            鹿島守之助君            森 元治郎君    委員            草葉 隆圓君            笹森 順造君            杉原 荒太君            苫米地英俊君            永野  護君            野村吉三郎君            加藤シヅエ君            羽生 三七君            石田 次男君            佐藤 尚武君   政府委員    外務政務次官  津島 文治君    外務省移住局長 高木 廣一君    郵政省貯金局長 大塚  茂君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    外務省経済局次    長       高野 藤吉君    外務省条約局外    務参事官    東郷 文彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○外国仲裁判断承認及び執行に関す  る条約締結について承認を求める  の件(内閣提出衆議院送付) ○所得に対する租税に関する二重課税  の回避及び脱税防止のための日本  国政府シンガポール自治政府と  の間の条約締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○日本国オーストラリア連邦との間  の国際郵便為替交換に関する約定  の締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○日本国パキスタンとの間の国際郵  便為替交換に関する約定締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○日本国フィリピン共和国との間の  友好通商航海条約締結について承  認を求めるの件(内閣送付予備審  査) ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)   —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、外国仲裁判断承認及び執行に関する条約締結について承認を求めるの件、及び所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国政府シンガポール自治政府との間の条約締結について承認を求めるの件を議題にいたします。  両件につきましては、前回補足説明を聴取し、質疑を行なって参りましたが、本日、さらに引き続き質疑を行ないたいと思います。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。−別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは討論を終局いたしまして、直ちに両件の採決をいたします。両件を承認することに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手
  5. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 全会一致でございます。よって両件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま承認すべきものと決定いたしました両件の議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  7. 木内四郎

    委員長木内四郎君) それではさらに、去る二十五日衆議院から送付されて木付託となりました日本国オーストラリア連邦との間の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件、及び日本国パキスタンとの周の国際郵便為替交換に関する約定締結について承認を求めるの件(衆議送付)の両件を一括して議題にいたしたいと存じます。  まず、オーストラリア連邦との間の国際郵便為替約定及びパキスタンとの間の国際郵便為替約定の両件について、政府委員から補足説明を聴取いたします。
  8. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) ただいま議題になりました、日本国オーストラリア連邦との間の国際郵便為替交換に関する約定及び日本国パキスタンとの間の国際郵便為替交換に関する約定の補足的な御説明を申し上げます。  現在わが国が諸外国との間に郵便為替業務を行なうために締結いたしております条約には、万国郵便連合郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定と、この約定加入をしていない国との間に締結しました二国間の約定とがあるわけでございます。万国郵便連合郵便為替約定は、一九五七年にオタワ会議を開催されましたが、わが国は、この約定加入国のうち現在三十国との間にこの約定に基づいて郵便為替業務を行なっております。また、このオタワ約定加入していない国のうち、米国、英国及びカナダの三カ国との間には、すでに個別に郵便為替交換に関する二国間約定締結しまして、業務を行なっておるわけでございます。なお、わが国との間に為替約定関係のある国の仲介によりまして、外国との間に業務を行なっておるものもあるのでありまして、現在それが二十七カ国に及んでおります。オーストラリアパキスタンも、万国郵便連合のこの郵便為替約定加入しておりませんので、現在わが国とこれら両国との間の郵便為替業務は、英国仲介によって行なっておるのでありますが、仲介による業務におきましては、為替がロンドンを経由しますために、送金に日数を要すること、及び英国郵政庁為替金額から仲介手数料を控除して徴収するというような不便があるわけでございます。そこで、かねてから両国との間に、それぞれ郵便為替の直接交換のための約定締結につきまして交渉を進めて参ったのでありますが、このほどそれぞれ署名をせられた次第でございます。これらの二つの約定は、いずれも、双方郵政庁郵便為替交換を行なうために必要な基本的事項を定めたものでありまして、内容的にはほとんど同一でありますので、そのおもな点だけについて、ごく簡単に御説明を申し上げます。  郵便為替交換でございますが、これは、オーストラリアとの間には、通常為替交換だけを行なうという内容になっておりますが、パキスタンとの間には、通常為替のみならず、電信為替交換業務も行なうという内容になっております。それから、為替表示貨幣の問題でございますが、郵便為替金額は、他の為替約定におけると同様に、原則として払い渡し国通貨表示することにいたしております。外国為替事情その他によりまして、両郵政庁が必要と認めましたときは、その合意によりまして、他の通貨表示をすることができるということになっております。  それから、為替一口の最高制限につきましては、両郵政庁間の合意によって定めるということにいたしております。  次に、料金の決定及び割当でございますが、これらにつきましては、他の二国間為替約定におけると同様でございまして、各郵政庁が自庁において徴収する料金を決定し、かつ、徴収した料金を全部収得するということにいたしますとともに、外国郵便為替を振り出しました郵政庁は、振り出した為替の金頭の二百分の一を、払い渡し事務手数料としまして、払い渡し郵政庁に支払うということにいたしております。  それから為替貸借関係決済その他の細目のことでございますが、その貸借決済計算方法あるいはその他の必要な細目の手続につきましては、両郵政庁間の合意によって定めるということにいたしておるのであります。  以上がおもな点でございます。
  9. 木内四郎

    委員長木内四郎君) それでは、これより両件についての質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 この両件について、両国とも万国郵便連合約定に参加していない理由はどういうことですか。
  11. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 大体料金関係で、万国郵便連合約定に縛られるということをきらう国が大体入っておりませんし、その他、万国郵便連合条約で定めております為替業務と自国の国内為替業務との差が非常に大きいというような所は入っておりませんので、やはり両国についても、同様な理由からではないかというふうに考えております。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 それからもう一つは、オーストラリアとの関係では、通常郵便為替だけなんですね。それに対して、パキスタンとの間では、電信為替交換できるということになっておるのですが、そういう差ができるのは、どういう関係でしょうか。
  13. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 私どもといたしましては、通常為替電信為替も、両方やった方が便利だということで提案をいたしたわけでございますが、豪州の方におきましては、まあ航空郵便を使えば、郵便でも、電信為替をやる必要はないじゃないか。それから、電信為替をやると、業務が非常に複雑になるというような理由で、豪州の方については、同意を得られなかったわけでございます。パキスタンについては、私ども提案通り、両方について同意が得られたということでございます。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 同意を得られなかった部分については、やはりこの第三国仲介で行なうことになるのですか。
  15. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) 電信為替については、豪州は、第三国仲介でもやらないつもりでございます。
  16. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 今の政府の御答弁で、航空便を使えば、電報為替は要らぬじゃないかというお話、私、ちょっと合点がいかないのでございますがね。それはどういうわけですか。
  17. 大塚茂

    政府委員大塚茂君) これは、実は豪州の申し分でございまして、向こう意味がどういうのか、はっきり確かめたわけではございませんが、私ども交渉経過において承知したところでは、要するに、電信為替というのは、早いということが取り柄でございますが、まあ航空郵便であれば相当早いから、その必要はないのじゃないかということと、先ほど申し上げましたように、電信業務をやりますと複雑になる。豪州としてはそれを希望しない。こういう返事だったわけでございます。
  18. 木内四郎

    委員長木内四郎君) それでは、両件に対して質疑はございませんか。——それでは、両件に対する質疑は後日に譲ります。   —————————————
  19. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、日本国フィリピン共和国との間の友好通商航海条約締結について承認を求めるの件(予備審査)を議題といたしまして、前回に引き続き質疑を続行いたしたいと存じます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  それでは、さらに国際情勢等に関する調査をもあわせて議題といたしたいと存じます。
  20. 永野護

    永野護君 このフィリピンとの通商航海条約フィリピン側受け入れ態勢は、何かその後の情報はありませんか。
  21. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) フィリピン議会は、もうちょうど今時分終わったと聞いておりますが、それで、ことしの議会では、特に大統領選挙を控えておるというような関係もありまして、あの条約問題が、不必要に内政あるいはその大統領選挙戦に巻き込まれる、政争の具になるということはおもしろくないという事情もあるやに聞いておりまして、従って、フィリピン議会に出ますのは、大統領選挙後ということになるでありましょうし、ただ・条約自身に対しては、従来いろいろ問題があったように聞いておりますけれども、大体逐次意味がよく理解されてきていると、こういうふうに聞いております。
  22. 永野護

    永野護君 あのフィリピン賠償交渉経過から見まして、たとえば七億五千万ドル——最初二億五千万ドルということだったが、これは、大いに貿易を盛んにやって、このぐらいなマージンはすぐ取り返すということで、日本国会でも言ったが、フィリピン国会でも、この通商航海条約についてフィリピン側がかれこれ文句を言うというのは、非常に解せないような感じがするのです。ことに、当時の交渉相手方がガルシアで、それが今大統領になっている。そこで、あのときの意気込みは、この賠償協定サインをしてくれたら、日比両国間の通商航海条約はすぐ何して、そしてその貿易量も非常にふえるということに一言の異議はなかったわけです。ですから、あれが今になってすべったころんだで、国内問題でいろいろな反対のあることは私も承知しておるのですけれども、あの問題についてああいうふうな文句が起こるのは、何かこう、買物に行ったときに金だけ払ってしまって、さて品物をもらおうというときに文句が出た、そういう感じがするのです、当時の交渉を見ると。そこで一体、真相をいいますか、どこにそんなふうな原因があるのか。どういう反対論があって交渉が進まないのか。なぜそれが大統領選挙に影響するのか。こういうようなことについての資料は、何か来ておりますか。
  23. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) われわれの承知いたしておりますところでは、何ぶんにもフィリピンとして、ああいう形の通商航海条約というものを結ぶのは、日本が初めてだというふうに聞いております。そういうことが一つある。それからまた、戦争以来対日感情というものはだんだん好転しては参りましたが、それには相当時間がかかったわけであります。そういう事情もありまして、ああいう条約を新たに日本と結ぶということ自体が、われわれの想像もできないような、フィリピン内政上あるいは外交政策一つの大きな問題であったという点が一つであったというふうに聞いております。それから、まあそういう通商航海条約というものになれておらないという関係もあるかと思いますが、たとえば、最恵国待遇という字一つについても、なかなか広く一般の理解が得られなかった事情もあるのではないかと思います。従って、われわれの方から見ますと、これは、条約自身最恵国待遇をいろいろな面において確保するという以上のものではない。いわんや経済的侵略というようなことを覆われるようなものでは全然ないわけでございますが、そういう点で、われわれから見れば、あまり理屈に合わぬようなことでも、向こう内部ではいろいろな材料になるわけであります。こういう事情ではないかと思います。そういう点も、だんだん時期がたつにつれて、理解も深まってきて、事態が好転しているというふうに了解しております。
  24. 永野護

    永野護君 そういうことは、みんな、賠償協定を結ぶときには、通商航海条約は、当然これは、われわれは新たにそういう問題が出るということは考えていなかった。当然すらすらと通るものと思っていた。そしてその当時の責任者大統領になってるのですから、今言ったようなことは、賠償協定を結ぶときに通商条約の話もたびたび出たのですから、国内問題でむずかしいというような話が当時あったなら別ですけれども そのときは、実に和気あいあいのうちに、もう当然すぐやるというようなことを言っておったのが、このように時間が長くかかり過ぎる。そして理屈にならぬ理屈だと思うのですから、そうしますと、これは引っ張って置いて、ときがたてば解決するというようなものでなくて、事情がわからぬから、あるいは非常に特殊の障害があるからということがわかっておれば、その障害が取れればいいのですけれども、なんだか知らぬが反対しているというようなことだと、こちらですっかり調印を済ませましても、向こう側がなかなかやらぬというような結果が起こりはしないかということを心配するのです。おとなと子供のけんかのようなことがありまして、おとな同士なら話がすぐわかるのですけれども、わけがわからぬことを言う場合が多いものですから、だから、こちらだけ先にやっちゃっても、なかなか向こう同意せぬように、これは、公の席で言うのは何ですが、とにかく何かプライベート・インタレスト、どんな商談をするときにでもからむ傾向がありまして、だから、こっちだけやって、たなざらしになってしまうようなリスクがあるのじゃないかと懸念するのですが、その点は、少し待てば大丈夫というようなニュースが入っているのですか。だんだん好転してきているという今の御説明でしたが、好転しているとお考えになった根拠は、どういうところにあるのですか。
  25. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) ただいまお話のように懸念もあるいはあり得るかと思いますけれども、もともと十カ月を費して、そうして誠意を持って交渉した条約でございまして、われわれから見ましてもいい条約でありますし、フィリピンから見ても決して悪い条約じゃない、われわれもこう信じておるわけであります。そうしてフィリッピンがそういう事情であればこっちも待つべきかどうかという点は、われわれ当局でもいろいろ考えたわけでありますが、しかし、結局日本の方で、日本政府として自信と誠意をもって国会に御審議を願い、それでまた、国会で御承認をいただくということになれば、相手方から見れば、ますますこの条約はこれで決定すべきものだというふうにとらざるを得ない気が出てくるであろう、そういうふうに感ずるのが道理であります。それから、フィリピンの方も、わが方の出先等においてこの問題をやはり常々折衝しておりますので、向こう政府としては、この辺の話からも、先ほど申しましたように、だんだん誤解がなくなっていく、こういうふうな情報を得ているわけであります。
  26. 永野護

    永野護君 誤解というよりは、何か根拠のある誤解ならいいのですけれど、一口に申しますと、こちらが非常にせっつきますと、何かよっぽどうまいことがあるのだろう、これを調印することが。それを誤解といえば、もちろん、何もこっちがうまいのじゃないぞということを釈明するのですけれども、私はこれにちっとも反対じゃないですよ。むしろおそ過ぎると思うので、とっくにサインをしていなければならぬのじゃないかと思います。決してこれに反対などころか、一刻も早くやらなければならぬと思いますけれども、あの国の特殊な事情として、何かせっつきますと、えまいことがあるから早くよこせというような、何かそこにかえって進捗がむずかしくなるのじゃないかというような気がしますものですから、今の向こうもだんだん好転してきているという事情でもあれば、同時に、見通しとして、いつごろになったら、今、大統領選挙ということが確かに一つのなんですけれども、一体大統領選挙にこれを結びつけるなんということは、実にこっけいなことだと実は思うのです。私は、フィリピンのためにもいいことだと思うし、日本のためにも非常にいいことだと思うし、そして私ども気持から言うと、ああいう莫大な賠償を払ったことは、当然これがすぐできると、こういうことで、極端なことを言いますと、あの賠償を払うのに、そうやっておいて、そして払う時期は、向こうがこれをやれば大いに通商が盛んになるといって、大いに値上げをやっておったのですから、通商協定調印したときから支払いをするということぐらいにしておけばよかったという気持すらするのです。そこで、だんだん好転していると言われますが、一体どういうことが好転しているのか。それで、日本調印さえすれば、いつごろ批准してくるかという大体の見通しを伺いたいのです。
  27. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) これは、外国の国の問題でございますので、何でございますけれども、ともかく従来は、要するに、フィリピンとしては、そういう特別な経済的な条約というのはアメリカとしかない。かたがた日本には、つい十数年前までは非常にまずい感情であった。そういうことを背景といたしまして、日本とのこの条約というのは、われわれ日本にいては、日本人としてはちょっとわからないような意味で、非常な国内的な大きな問題になった。こういう事情があったと聞いておりますので、理屈説明できる事情ではなくして、やはり非常に大きな問題であった。こういう事情ではないかと思います。この次の大統領選挙をして、どちらが勝つにいたしましても、その次の、つまり来年のフィリピン議会にはおそらく出るものと、われわれ期待しておりますが、出れば、議会において問題はありましょうとも、もともとよく研究すれば、双方にとって悪くない条約でありますから、必ず向こう承認もあるものと期待しております。
  28. 永野護

    永野護君 公の席でない所ですと、私多少意見があるのですけれども、しかし、これは公の記録に、速記に残っちゃ言えない事情が私の所にも入っているのですけれども、これは、どうも公の席で、公表されるあれとしては言うべからざることですから、申しません。この程度で打ち切っておきます。
  29. 羽生三七

    羽生三七君 今日でなくともよろしいのですが、次の機会に、このフィリピン賠償は、一体どういうふうに進んでおるのか。実施になってから今日までの進行状況一つ説明していただきたいと思います。
  30. 木内四郎

    委員長木内四郎君) それでは、ただいまの御要求は、外務当局要求することにいたします。
  31. 森元治郎

    森元治郎君 これは、フィリピン国会法は知らないのだけれどもフィリピン議会では、質疑打ち切り、強行採決ということはないのかどうか。どうなっているのか。これはけっこうな通商航海条約である、何反対するのだ、押し切ってしまえということを、フィリピン国会法は知らないけれども
  32. 東郷文彦

    説明員東郷文彦君) 今の点は、私、資料を持っておりませんけれども、従って、お答えにはなりませんけれども、何分にも今回の条約交渉については、向こうの与党のみならず、野党の有力者委員になって、一緒にやっているわけでございますから、一たび議会に出た上は、円満にいくものと期待しております。
  33. 森元治郎

    森元治郎君 この条約調印者は、名前をごらんなさい。こっちは湯川大使島参事官牛場局長向こうは、そろいもそろったり、前下院議長上下両院外交委員会委員長、それから、上下両院外交委員全権大使商工次官フィリピン賠償使節団団長公使中央銀行副総裁、無任所公使、これだけ名前を書いて、各界代表、翼替会みたいなものですよ。これだけそろえていて、まだ国会あるんでしょう。六月ぐらいまであるはずです。何も大統領選挙をひっかけなくても、当然今国会というか、できるのだと思うのだが、その点どうなっているのですか、国会は終わっちゃったのですか。
  34. 高野藤吉

    説明員高野藤吉君) お答え申し上げます。  フィリピン国会は、たしか今月の十八日に終わりまして、今期国会に上程されずに、従って、審議されなかったという状態でございます。
  35. 森元治郎

    森元治郎君 経過ではなくて、これだけの顔ぶれがそろって、断然、アメリカ式だから、外交委員会にかかるのだろう、だから、外交委員会を通ればオーケーなんだから、通ったはずだと思うのだが、日本がまず批准をして、しかる後わが方でやりましょうといったような話し合いでも非公式にあるのかどうか。
  36. 高野藤吉

    説明員高野藤吉君) 御承知の通りフィリピンでは、上院だけの審議で批准されるわけでございますが、向こう各界代表を集めまして、挙国一致的に委員が入りまして、交渉を尽くしたわけでございますが、何せまだフィリピン内部におきましては、初めての条約でもあり、また、フィリピン第一主義というナショナリズムが強いので、いろいろ各方面で反対があるようでございます。今度向こう全権代表であるラウレル前下院議長も、これに署名されて以来、ずっと国内を遊説して歩きまして、これの利益の点を説いて歩いておりますが、だんだん向こう国内の世論はよくなってきておりますが、先日も日本の新聞に現われておりますように、ことしの秋の大統領選挙がございますので、これを国会に提出しますと、さなきだにいろいろ議論が沸騰いたしまして審議がおくれるということで、向こうは、選挙が終わってから出すという心組みのように承知いたしております。
  37. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 賠償経過についてのほかの委員要求がありましたが、マリキナ・ダムの入札が延び延びになっているのは、これは見通しはどうですか。いつごろになりますか。大統領選挙前ですか。後になりますか。デリケートな問題でございますから、差しつかえない限度でようございます。
  38. 高野藤吉

    説明員高野藤吉君) 私、経済局で、賠償についてはアジア局の賠償部になっているので、大体話は伺っておりますが、詳細かつ正確なことは、私ここに資料を持ち合わせておりませんので、ちょっとお答えしかねますが、大体順調に行っているというふうに聞いております。
  39. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 一向順調には行ってない。非常に延び延びになっている。順調とは言えないと思いますがね。それから、マリキナ・ダムの入札も、この条約に関連性がありますか。ないでしょうか。
  40. 高野藤吉

    説明員高野藤吉君) 全然関係はございません。
  41. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を始めて。
  43. 石田次男

    ○石田次男君 五月の二十三日の日経紙ですが、ドミニカへ五年前に行った漁業移民のうち、三家族が帰ってくるという記事が出ているわけですよ。これについて、移民から引き揚げまでの経過を簡単に教えてもらいたいと思います。
  44. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) この漁業家族は、五家族だったと承知しております。鹿児島県からの家族でございまして、最初参りますときは、漁船は少なくとも三十トン以上の船でなければいけないというふうに言われていたにかかわらず、実際一トン程度の簡単な船を持って行った。これがまあ最初のつまずきのもとであったようでございます。それで、一トンでは、あそこで漁業はなかなかしにくいということと、その後、御承知の通り、カリビア海の政情が非常に悪くなりまして、ドミニカの海軍が、ある程度漁業についての、ことに沿海の、沿岸における漁業の制限をし出したということで、漁業を続けていけなくなった。そのために、二家族は農業の方に転向いたしましたが、あとの三家族は、どうしても農業の方には転向できないということでございまして、いろいろ工夫をいたしましたが、どうもこれ以上ここに置く方法がないということで、やむを得ず三家族につきましては国援法を適用いたしまして、近く帰すことになった次第でございます。
  45. 石田次男

    ○石田次男君 この移民は、外務省の方であっせんして出たのですか。
  46. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) その通りでございます。
  47. 石田次男

    ○石田次男君 これは、あっせんするときに、現地の方へ日本側としてだれか専門家が行って調査したんでしょうかね。
  48. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 調査いたしました。
  49. 石田次男

    ○石田次男君 その調査の報告は、大体どういうふうになっておりましたか。
  50. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 実は、ここに今持ち合わしておりませんので、調べまして、もし何でしたら、先生の方にお届けいたします。
  51. 石田次男

    ○石田次男君 さっきちょっと経過を聞いたんですが、この漁業移民が失敗したのは、カリブ海での国際情勢が悪くなったところに原因があるのか、それとも、初めから無理だったのか、どっちなんですか。
  52. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 根本的には、一トンの船を持って行ったということに無理があったようでございます。最小限度三十トン以上の船を持って行かなければならないのに、そうして移住会社はこの漁船について融資しているのですが、実際、簡単にこの一トンの船で出したというところに原因があったと思います。
  53. 石田次男

    ○石田次男君 最初行くときに、三十トンの船がなければ漁業が成り立たぬ、そう言ってあったということですが、実際には一トンの船を持って行ってしまったわけですね。これは、出発のときに、一トンで行くということは、外務省の方でわかったのじゃないですか。
  54. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) ちょっと正確なところは今ここで申し上げられませんが、実は、きょうはネイバ地方のことをお聞きになるということでございましたので、陸のことばかり調べてきて、申しわけございませんが、正確なところをさらに確実に御返事したいと思いますが……。
  55. 石田次男

    ○石田次男君 実はこの船の問題が、帰ってくるということについての相当の原因になっておりますからね。やはり行くときに一トンの船で行ってしまった、その辺の事情を知っていかせてやったのでしたら、外務省の方にも、何か指導上の手落ちがあるような気がしたのですがね。まあ、資料を今持っていないというのですとやむを得ませんが、あとで一つ出して下さい。  それで、現地からの帰国の請願は、いつごろどこへ出たのですか。
  56. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 帰国の請願は、今の陸のネイバ地区でございます。そうしてドミニカの移住は、実は、ごく簡単に申しますと、他の地区と非常に違った扱いでございまして、ドミニカ政府で住宅を建て、家具、什器まで支給し、そうして国有地を整備いたしまして、すぐ耕作できる形にして移住者に渡す。
  57. 石田次男

    ○石田次男君 今質問しているのは漁業移民の方です。これですと、「三家族の引き取りを決定」とありますがね。現地の方から帰国を嘆願していると書いてあるわけですよ。これは、いつごろどこへ言っていったか。
  58. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) これは、現地で大使館の方に申請がございまして、去年の秋ごろから、われわれはこの事情を聞いておったのであります。
  59. 石田次男

    ○石田次男君 三十五年の秋ですか。
  60. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 三十五年の十月ごろであります。
  61. 石田次男

    ○石田次男君 この人たちは、さんざん失敗したのですから、帰って来る旅費は持っていないはずですが、これはどういうふうになりましょうか。
  62. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) いわゆる国援法というものがございまして、原則的には、本人の家族か、その他が支払う、これは、支払わぬ場合には国が支払うという形で、こういう万一の場合の困窮移住者を——移住者に限りませんが、在外邦人を日本へ帰す予算がついているのでございます。ごくわずかでございますが、各地域それぞれついておりまして、それで帰すということにいたしております。
  63. 石田次男

    ○石田次男君 そうすると、外務省の方で予算を出そうという腹ですか。
  64. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) これは毎年ついております。中南米地方に幾ら、北米に幾ら、ヨーロッパに幾ら、こういうふうに、ごくわずかでございますが、ついておるのであります。現在のところ、われわれの移住局関係では、三十五、六名ぐらいの予算がついております。
  65. 石田次男

    ○石田次男君 三十五、六名ですか、一年間に。三十六年度分のその関係の予算も、やっぱりこんな程度ですか。
  66. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 大体その程度でございます。ちょっと今、正確な数字を持っておりませんが……。
  67. 石田次男

    ○石田次男君 これは、近々に帰ってくると思いますが、帰国したあとの保護対策というようなものはお持ちでしょうか。
  68. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) これは、まず今のところ帰すことが精一ぱいで、それから先は、県が連絡しております。それがめんどうを見るわけであります。
  69. 石田次男

    ○石田次男君 やはり相当の決意を持って行った人たちが失敗して帰ってくるわけですから、よくよくだと思うんです。で、こういう場合に、帰ってきた場合の保護対策なんかはっきりしていないと、あとに悪影響が残ると思うんですが、その点いかがですか。
  70. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 仰せの通りでございます。従って、帰国さすということを決定いたしますには、十分検討して、どうしてもほかに方法がないし、続けて置けないという場合に帰国さすことに決定しております。
  71. 石田次男

    ○石田次男君 この三家族の人たち、いつごろ帰ってきますか。
  72. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) ちょっと正確にわかりませんが、実は、ドミニカは、御承知の通り、普通の船が寄りません。大阪商船は寄りませんので、ドミニカからパナマまで行きまして、パナマから乗りかえて帰ってきますから、今その手続をしておると思いますが、一、二カ月かかると思います。
  73. 石田次男

    ○石田次男君 一、二カ月ね。実は、この漁業移民だけじゃなくって、農業移民の方にも問題が出ているわけですね。それで、ドミニカ移民の全体的な状況を簡単に説明していただきたいと思います。
  74. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) ドミニカ移住は、昭和三十一年三月に両国交換公文で送りまして、五回にわたって実施されたので、現在二百九十七家族、千四百六十五名おります。そしてこの移住は、ドミニカ政府で住宅、各什器、国有地を整備して提供する。それから、第一回の収穫があるまでの生活補給金を支払う。これは、月にアメリカドルで六十ドルぐらいでございますが、こういういい条件で募集されたわけでございます。その後補給金の方は、第一回収穫があるまでということでございますが、ずっと続けてもらっておりました。ただ、最近になりまして、ドミニカのカリブ海における国情というものが非常に不利になりました関係上、国防費その他に相当国の予算が逼迫して、二年ぐらい前に入った人には、まだ続けて補給金を出しておるようですが、その以前のものの一部には、補給金を続けて出さないことになりました。それで、このドミニカの移住地は、非常に小さい土地を、大体五町から二十町ぐらいの土地を支給することになっているのですが、実際は、ドミニカ政府では、全部耕したらそこのを一ぱいやるので、初めからそれだけやるのではなくて、耕した力によって伸ばしていってやると、こういうような話し合いでございましたが、実際は、この約束の半分ぐらいの土地しかもらっておらないという実情のようでございます。それから、この地区が七地区に分かれておりまして、こまかく分かれている点が、なかなか世話をしにくいところでございます。しかしながら、その中でも、一番大きな移住地区でございますハラバコア地区とかコンスタンサー地区というのは、営農が非常に順調にいっておりまして、入植者の中には、すでに自家用車、トラックを持っておる者もある。あるいは近親呼び寄せをやっている人もある。つい最近も、近親呼び寄せが来ております。ただ、昨年——ことしになってからですか、やかましく帰国を集団で申し入れましたネイバ地区というのと、それから、ドベルヘーという地区が問題がございます。ネイバ地区は、これも、最初に視察団が行きまして、農業技師も行って、非常にいい土地だということの折紙がついておったのでございますが、割合に石が多い所でございまして、最初日本の移住者を入れましたときには、ドミニカの政府で非常に力を入れまして、この近くにほとんど土民は住んでおらなかったんだと思いますが、水を全部日本の移住者に回すということを言っておりました。ところが、付近の土民の方から文句が出て、その水を一部土民の方にも回してやらなければいかぬということにまたなったりしまして、水の不足という問題も起こりまして、二年ほど前に、この地区を移りたいという希望が移住者の中から起こったのでございます。そこで、大使館及び海外協会連合会の現地支部でドミニカ政府と話しまして、では、ほかの方に移そうということになりましたら、移住者の方で、いや、せっかくバナナも植え、ブドーも植えて、これからなるところだから移るのはいやだと言って、そのままになっておったんであります。その後、去年ごろになりまして、先申しましたドベルヘーというのが問題が起こりましたのですが、ネイバは何ら問題はなかったのですが、ことしになりまして、突然、この地区は水もないし困るから、そうしてほかのこの地区の中で土地を移るのはいやだから、集団で帰りたいという陳情が来たのであります。なお、このネイバ地区は、現地の話が二年ほど前にありましたが、その後割合この土地はいいとみえて、日本人もほかの地区からここへ入ったのもあり、それから、土民が相当この地区へ入ったということで、水をだんだんそれらに回さなければいかぬということで、現在では、一日四時間に水が減量せられたというような根本的な問題も現在起こっておるのであります。それで、ことしになりまして、このような陳情がございましたので、われわれの方といたしましては、現地の大使に電報いたしまして、ドミニカ政府に強く申し入れて、この移住者の保護に強力に施策していただくことを交渉してほしい。なお、土地をかえる、あるいは国の土地でなくて私有地なんかを借りて、あるいは買って営農するという方法も考えられる、そういう場合には、移住会社から融資することもあわせて考えるというようなこともいたしたいからという指令を出しました。なお、相当現地の方で盛んに陳情するものですから、われわれとしてもほおっておけませんので、私の方の参事官が現在参っておりますし、その前、移住会社関係、融資関係の事務官を去る四月の終わりから五月の初めにかけまして送りました。海外協会連合会からも人が行っております。  こういうことで、現地の大使はドミニカの農林大臣と話しまして、それでは土地をかえましょうという話になりまして、この地区で土地をかえる余地はないので、他の地区へということになっておったのでありますが、移住者は、いや、もうドミニカ政府はそういうことをなかなかやってくれないから、どうしても帰るんだと言ってがんばっているという話でございます。われわれといたしましては、日本へ帰るということは大へんなことである。もう一つは、ドミニカへ参りました移住者というものの素質が相当問題なんでございます。さっきも申しましたように、この地区は、非常に有利な、月給取りのような、遊んでいても暮らせるような移住である。実際ある移住者の一部では、補助金をもらって働かないでいた、現地人を補助金を出して働かしたというようなこともあって、ドミニカ政府から文句を言われたこともあるぐらいでございます。そういうような非常にいい所であるということで、農業に経験のない百姓が行ったり、あるいは、ドミニカに行ったら、ドミニカからアメリカに行きたいというような人もあり、あまり勤労意欲のない人が行っておるというようなこともございまして、これは必ずしも全部でございません。むしろ全体はまじめな人でありますが、そういう人もあるものですから、ただ彼らがわがままを言うままをそのまま聞くわけにはいかないから、できるだけ現地にとどまってもらうように説得工作をしたいということで、現在それに努力している次第であります。  それで、ネイバ地区は、まだ結束して帰ると春っておるのでありますが、さっき申しましたドベルヘー地区は、これは、十家族帰りたいというものがありましたが、八家族は、ドミニカ政府のあっせんで他の地区に移ることになりましたが、二家族だけがまだ残っております。もう一つ、これはダバホンという地区がありまして、この地区は非常にいい地区でありますが、この中に、一人だけ、非常に勤労意欲がなくて奥さんが全然働かないので、一人だけでやっているため、案外いい土地でありますが、帰りたいという人があります。ネイバ地区は、一家族だけ、おれは最後までがんばるのだと言って、帰るのをがえんじない家族がおるわけであります。こういう状態でありまして、われわれとしても、日本へ移住者を帰すということは、うまくいっておる他の地区に対してもいろいろ動揺を与えますし、また、南米の他の移住地区にも非常な影響を与えるのでありまして、慎重を期して、できる限り初志を貫徹するように指導したい、こう思っておる次第であります。
  75. 石田次男

    ○石田次男君 そのネイバ地区に関係するのですけれども、四月二十五日に、佐久間清次という人があめりか丸で帰って来ておりますね。それは御承知でしょう。実は、この人は、横浜へ着いてから、海外局の寮みたいな所へ入れられていたと思います。横浜市の中区本町通ですよ。県庁のそばの……。ここの三階の七号室にいたのですね。で、向こうに移住している人の血縁の人が会いに行ったら、そういう人はおらぬと言って断わらたというのですが、これはどういうわけでしょうか。
  76. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) ちょっとそれはわかりませんが、本人は自費帰国をしたいという申請がございまして、われわれの方としては本人は渡航費を貸し付けてありますから、返すという誓約書を取りまして帰って来られたのであります。そうして帰られて、私の所にもお見えになりました。そうして自分は日本に帰るのが本旨でなくて、どうしても海外へ行きたいのであるが、ドミニカではよくないから、自分はブラジルあたりへ行きたいから、何とかしてほしいということで、実際家財道具を整理して、家族はみな故郷におらないわけですから、われわれとしても、ブラジルあたりへ行った方がいいだろうということで、あっせん所に特別に入れてもらうようにお世話を願ったのであります。ただ、あっせん所で、家族に会わせないとか、親戚に会わせないとか、そういうことはあり得ないと思うので、あるいは本人がいやで避けておられるか、何かほかの事情じゃないかというふうに思います。
  77. 石田次男

    ○石田次男君 結局は、結論としては会っているんですよ。というのは、向こうへ行くときにやはりそこに入っていたもんですから、会いに行った人は中の事情をよく知っているんです。で、断わられたから、そんなわけはないのだと、ずいぶん押し問答をしたというのですよ。結局それでもいない、いないで突っ張られて、しょうがないから、夜、裏門から入っていって会ってきたというのです。これは私、会っているんです。それは、四月の二十八日ころです。それから、この佐久間という人が、やはり四月の二十八、九日あたりじゃないかと思うのですがね、やはり向こうへ行っている人の親戚の家へ泊まってきたら、どこへ泊まってきたのだといって、えらくおこられたと言っていましたがね。もう一つ、将来の移民に差しつかえるから、ドミニカの問題はあまり表ざたにはしないでくれと言われたというのです。こういうところを見ると、どうも何か不穏なものを感ずるのですがね。これは、実際私、この佐久間さんに会って聞くことにしていたんですけれども、ちょうどうちの母がなくなりましてね。それで、私が会えなくて、別の人に会ってもらって、テープをとってあるんです、向こうの内情も。それが、今の説明とずいぶん違うのです。そうして、こうして帰ってきたのを、あっちにもこっちにも会わせない算段をして、表ざたにしないでくれなんて言われているんじゃ、われわれとして納得できかねる点があるのですが、それ一つ、御存じなかったら、調べてもらいたいと思う。
  78. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) よく調べて、御返事いたしたいと思いますが、私の了解する限りにおいては、そういうことをやっているはずではなくして、むしろ本人の便宜のためにあそこに、そういう人の入る所じゃないわけですけれども、入れてやるということでありますし、なお、このドミニカの問題は、われわれも決して簡単に考えているわけじゃありません。これは、根本的には、移住地が他の南米のブラジルとかパラグワイのような大きな将来性があるというよりも、非常に小じんまりとした所で、非常に待遇はいいけれども、われわれの海外の移住の精神から言うと、あまりに月給取り的な移住であるというところに問題があると思います。また、ドミニカの国際政情というものが非常に悪いので、これが移住者を非常に強く動揺さしているんだと思いますので、こういう点を十分あわせて考えまして、最善の策を講じたい。場合によれば、他の地域へ移すことも考えなければいかぬというふうに思っておりますし、いましばらく実情を見ましてから措置したいと思います。
  79. 石田次男

    ○石田次男君 今の問題点は、会わせまいとしている点を言っているわけですよ。実際親戚なんかへ行って一どこへ行ったのかと、おこられたということは、私がはっきり知っております。泊まってきたらおこられているんです。それから、この問題は移民に影響するから、あんまりあちこちへ言わんでくれなんて言われているんですね。その点について聞きたいというのです。あとで調べて、文書か何かで返事ををほしいと思うのですがね。
  80. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) そのようにいたしたいと思います。
  81. 石田次男

    ○石田次男君 それから、佐久間さんのことですがね。パナマまで飛行機で来て、パナマから船で来ているんです。さっきも言ってありましたが、船がはっきりしないもんですから、えらく滞在したらしいのですね。それで、すっかり金がなくなって、大使館から借金をしてきたといっておりましたが、これはその通りでしょうか。
  82. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) これは、正確に存じませんが、本人はそういうことを言っておられました。しかし、本人はまだ相当お金を持っておられるようなふうに聞いておりました。千何百ドルか何か持っておるような話をしておりました。
  83. 石田次男

    ○石田次男君 この金は、大使館で正式に貸したもんですか。個人的に貸したもんですか。きのう調べたところでは、公式じゃないのじゃないか、その報告は来ておらぬという話でした。
  84. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) そういう報告は来ておりませんから、わかりません。パナマでは、そういうような貸す金はございませんから、公式でないと思います。
  85. 石田次男

    ○石田次男君 大使館から借りてきたいというのは、あなたの方にもそう言っておりましたか。
  86. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) そういう報告も存じません。
  87. 石田次男

    ○石田次男君 それで、その佐久間さんは、最近どこへ行っているか、わからなくなったんですがね。どこにいるか、わかりませんか。
  88. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) これは、われわれが監禁しているような印象を与えるのですけれども、そういうことはございませんで、本人が御希望になりましたので、収容所の方へお世話したつもりでおるんですけれども、私も調べてみます。そういう監禁するようなことはできないわけでございます。それから、面会も拒むということもおかしいことでございます。よく事情を調べてお話ししたいと思います。
  89. 石田次男

    ○石田次男君 わかり次第文書を下さい。  それから、佐久間さんは、初めからブラジルへ行きたい希望を持っていて、向こうにいたときにもそれを出したそうですよ。大使館では取りあってくれない。それで、にせの診断書を作って帰国してきたというんですね。こっちへ来てから相当話も進んで、ブラジル行きは大体通ったとか言っておりましたが、何せ五月の初句の話ですから、あれからだいぶ日もたっております。はっきりきまったかどうか、確認していないんですが、その点を聞きたい。
  90. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 今おっしゃったように、移住者の中には、あそこを踏み台にして、また、あそこまで行けばどこへでも行けるという関係で、南米を志したり、あるいは北米を志したりする人が相当あるわけであります。あの土地が相当悪いとか何とかいうことではなく、ねらいはブラジルである。これは、ほかの移住地でもそういうことがございまして、われわれとしては、そういう点で選考を厳密にしなければいかぬわけでございます。この方もそういうことであると、私は、実は今初めて聞いたんですが、本人は、ドミニカが悪いから、やむを得ず南米に行くようなことを言っておりましたが、あるいは、初めからそういうつもりでおったか、あるいは、あそこがいけなかったということで戻ってきたのかもしれません。
  91. 石田次男

    ○石田次男君 こっちへ帰ってから、佐久間さんはブラジル行きの申請は出したんですね。
  92. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 出しているようであります。ブラジルの方は、御承知の通り、家族呼び寄せがございますから、それで、話があれば行けるわけであります。
  93. 石田次男

    ○石田次男君 それはきまりましたか。
  94. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) まだきまったという報告は聞いておりません。海外協会があっせんしていることは聞いております。
  95. 石田次男

    ○石田次男君 少し、向こうの国情なんかの話になると、あまり速記録に載せぬ方がいいのじゃないかと思うような点もあるわけですがね。
  96. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  97. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記をつけて。
  98. 石田次男

    ○石田次男君 実は、今向こうに飯島事務官が行っているわけですね。中間報告なんか来ているのじゃないかという予想のもとにきょう聞いたのですが、全然中間報告も来ておりませんか。
  99. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) まだ来ておりません。ただ、飯島事務官が今行っておりますが、私の方の参事官が明日か、あるいは六月早々に帰ってくる予定でございます。従って、それが帰りましたら、詳しい事情をよく聞きたいと思います。
  100. 石田次男

    ○石田次男君 私これをお伺いしているのは、実は、あまり細部にわたっていろいろ向こう事情まで聞くと、現地の方に悪影響が来はせぬかという懸念もあるわけです。それで、どの程度まで質問しようかと思って、こっちも実は困っているのですが、しかし、飯島事務官が行ってからしばらくになるんでしょう。
  101. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) これは、一月滞在さすことにして、まだ一月過ぎておらないわけです。私の方の参事官が十日ばかり行って、今月末か来月早々に帰ってくると思います。
  102. 石田次男

    ○石田次男君 もう一月もたっているのですから、中間報告が来てもよさそうなものですね。とにかく結論的に申し上げますが、水を遮断されてしまって、一カ月に八十四時間の給水だそうです。そうすると、一日三時間足らずですからね。あそこは、百四十日も雨が降らぬという土地ですから、そういうことになったら何もできないことははっきりしています。現に写真なんかもありますけれども、これは土地というより川原ですね。参考のために一部上げていいですよ。これはちょっとひどいんだ、これを見ると。一部上げておきましょう。こっちから相当営農機械なんか持って行ったのに、全然役に立たず、つるはしであぜを作るというのですから、推して知るべしだと思うのです。そういう事情も初めからわかってたんじゃないかと思うんですね。現に中田技官とかいう人が、移住の前に現地を調査していますね。
  103. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 農林省の中田技官です。
  104. 石田次男

    ○石田次男君 そのときの報告はどうでしたか。
  105. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) これについては、移住適地で、いい土地であるという報告が来ております。
  106. 石田次男

    ○石田次男君 冗談じゃないです。これですよ。これでいいとは言えないでしょう。これは、その調査した人の責任問題になりはしませんか。
  107. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 今のその土地は、配分土地の三分の一ぐらい使えない所があるそうです。それがきっとそれだろうと思います。
  108. 石田次男

    ○石田次男君 それで、現在その人たちは、畑が全然だめになってしまって、青バナナ山を毎日煮て食っているんです。それから、政府の方から毎日一人当たり一合五勺の牛乳の配給があるそうです。ですから、政府としては割合に紳士的だし、割合に待遇しているつもりらしいですね、で、水を切られてから全然何もできませんから、売り食いをしてしまって、売り食いする物もなくなって、餓死寸前になっているのです。だからこれは、帰国させるとか移住させるとかということも必要でしょうけれども、早急に日常生活だけでも助ける必要がありませんか。
  109. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) その問題の急迫性を実は帰った者から十分聞きたいと思って、ほんとうに言う通りなのかどうかも聞く必要があろうと思っております。
  110. 石田次男

    ○石田次男君 それから、この人たちの希望は、帰って来たいということですが、外務省の方としては、国内移住ないしはブラジルへ行く、そっちの方へ勧めているようですけれども、もしこの人たちがどうしても帰国したいという意思を翻さないという場合、どうなりますか。
  111. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) これは、実はわれわれは一番努力して実現したいと思うのは、ドミニカにおける換地であります。土地をかえることであります。それがどうしてもだめな場合は、他の地域への転出であるとか、どうしてもだめな場合は、日本へ帰さなければいかぬわけでありますが、これは、さっき申しましたように、国援法のこの援助の法律による予算が限定されておりますから、現在のところは、かつかつでございますし、それから、ネイバ地区だけが帰すなんということで、ほかの方でも、不満な連中は、ほかに移住したいとかいう人があれば、これは同意をいたしますが、われわれといたしましては、予算の点もございますけれども、慎重を期して、せっかく移住ということで向こうへ渡ったのですから、移住者がその移住地において所期の目的が達成できるように、あらゆる努力をしたい。ドミニカは狭いけれども、ドミニカ政府の協力というものがあれば、ほかの適地にかえることは十分できるわけであります。そういう点は強力に指導をしたいと、こう思っております。
  112. 石田次男

    ○石田次男君 どうしても帰国の意思を翻さない場合のことを聞いているのです。憲法でも、居住、移転及び職業選択の自由ははっきりしているのですから、この点もありますし、現地の人が、どうしても帰国したい、国内移住もブラジルもいやだ、そういうふうに強硬に突っぱる場合は、帰国させるよりほかにないと思うのですが、その点いかがですか。
  113. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) その通りでございます。ただ、それは金の方の手配をせねばいかぬと思います。
  114. 石田次男

    ○石田次男君 それじゃ、このネイバ地区の問題は、きょうはこれで切り上げておきますけれども、実は、去年ブラジルへ行ったときに、サンパウロからしばらく離れた所に東山農場というのがありますね。そこへ視察に行ったんです。ちょうどその視察に行ったときに、パラグァイのフラム地区に行った人たちが来ていたんですよ。その人たちの様子を見て、びっくりしました。名刺をもらってきたのでありますけれども、パラグァイのフラム移住地のサンタロサ農業協同組合長、それから専務理事とか、こういう人たちなんですね。それから、日本大学の教授で、海協連の農事試験場長の正木という人、合計四名でしたがね。みな紳士なんですけれども、その服装たるや、ワイシャツまでがぼろぼろなんです。ずいぶんひどいんですなと言ったのですけれども、とにかく飛行機でわざわざパラグァイからサンパウロまで視察に来ているくらいですから、相当な人たちだと思うのですが、その服装が見られない。ワイシャツの端までがぼろぼろなんですね。その人たちが訴えていましたが、パラグァイのフラム移住地は、土地がずいぶんいいというのです。作物はよくできるそうですが、いかんせん、どこにも売れないというわけなんです。ですから、現金収入が全然ない。それで、恥ずかしいけれどもこんな格好なんだということなんですけれども、こういう点を見ますと、移住関係は、向こうへやっただけで、あとあまり自後の調査や援助なんかもしていないと思うのですが、その点どうでしょう。
  115. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) その点は非常に事実に反すると思いますけれども、服装はみんなお百姓さんですし、町で見れば非常にきたない。彼らはそれを意識しないわけであります。
  116. 石田次男

    ○石田次男君 お百姓さんじゃないんです。日大の教授です。
  117. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) それは移住者じゃないわけです。移住者じゃなくて、研究に行かれたか、現地に視察に行かれたか、そういう方でございます。そして今の、あそこで作った物が売れないということ、これは……。
  118. 石田次男

    ○石田次男君 移住者だと、はっきり本人が言っていましたがね、四名とも。
  119. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 日大の方はちょっとわかりませんが、ほかの方は移住者です。組合の、農協の専務理事とか、そういう方でございます。彼らが去年サンパウロに行かれたのも聞いております。それは、現在パラグァイで作ります大豆を日本に輸出することになっております。今後も輸入いたします。ところが、先生らは、近いブラジル、サンパウロに売っては高く売れないからということで、何とか日本よりも高く売れるようにということを目当てに行かれたのであります。しかしこれが、パラグァイでも物が売れないから、サンパウロに販路を探しに来たのだと、こういうふうに伝えられておるのですが、おととしから、パラグァイの大豆は日本に売ることにしているのです。御承知のように、パラグァイは人口の少ない所で、日本人がどんどん作りますれば、いずれ国内市場は無理で、海外に輸出しなければいけない。実際パラグァイでできましたトウモロコシあたりは、二、三年前は、外人商社を通じてアルゼンチンに売られたり、あと、それが回り回って日本にまで売られてきているのであります。ですから、農協と日本の方と直通であればもっと有利であろうということで、大豆の生産を本格的にやり、日本への輸出も始めておりまして、去年も入りました。ことしも入ることになっております。そういうような実情でございます。売れる物がないからだめだということは、非常に無理でありまして、たとえばアルゼンチンのごときも、人口に比して非常に小麦とか牛肉というものが多くて、どうしても海外にはけ口を探さなければいかぬわけでありまして、同じような問題でございます。パラグァイの移住者が貧弱というととですが、最近ごらんになって帰ってこられた方々は、パラグァイの移住地はすばらしいということで、感心して帰ってこられているのです。服装はお百姓さんですし、ほとんど日本人だけが移住地におるだけでございますから、一向かまわないから、サンパウロあたりに来ても、きちんとした格好で来ないのだと思うのであります。金がないから買えないというのではないと思います。
  120. 石田次男

    ○石田次男君 まあ移住局長の話と、山脇さんと河野さんとが現地で話したこととだいぶ違うのですね。本人たちに言わせると、移民じゃなくて、これは棄民だと言って、だいぶ憤慨しているんでんすよ。
  121. 高木廣一

    政府委員(高木廣一君) 去年の初めか、おととし、今の山脇さんが日本においでになりまして、周知の方でございますので、高知へ来て、パラグァイの移住は非常にうまくいっているからということで、後続部隊を集めにおいでになりまして、それによって相当また続いて行っていると思います。従って、山脇さんがパラグァイの移住が悪いと言われたということは、ちょっと信じられないことであります。
  122. 石田次男

    ○石田次男君 これは水かけ論になりますから、この程度でやめておきますが、政府次官に一つ政府次官ないし外務大臣は、今のこのドミニカの問題、聞いておりますか。
  123. 津島文治

    政府委員(津島文治君) 深く承っておりません。
  124. 石田次男

    ○石田次男君 相当事情がひどいようですから、早急にお調べになって、何らかの措置をお講じになってはいかがですか。
  125. 津島文治

    政府委員(津島文治君) 十分研究をして、措置をいたしたいと思います。
  126. 石田次男

    ○石田次男君 では、きょうはこれでやめておきます。
  127. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後零時十二分散会    ————————