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1961-04-25 第38回国会 参議院 外務委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十六年四月二十五日(火曜日) 午前十時三十六分開会
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
木内
四郎
君 理事
鹿島守之助
君 森
元治郎
君
委員
笹森
順造
君 杉原
荒太
君
苫米地英俊
君 堀木 鎌三君
加藤シヅエ
君 佐多
忠隆
君 羽生 三七君
国務大臣
外 務 大 臣
小坂善太郎
君
政府委員
外務政務次官
津島
文治
君
外務省アジア局
長
伊関佑二郎
君
外務省アメリカ
局長
安藤
吉光
君
外務省経済局長
牛場
信彦
君
外務省条約局長
中川 融君
運輸省航空局長
今井
栄文
君
事務局側
常任委員会専門
員
結城司郎次
君
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
○第二次
国際すず協定
の
締結
について
承認
を求めるの件(
内閣送付
、
予備
審査
) ○
関税
及び
貿易
に関する
一般協定
に附 属する第三十八表(
日本国
の
譲許表
) に掲げる
譲許
を
修正
し、又は
撤回
す るための
アメリカ合衆国
との
交渉
の 結果に関する
文書
の
締結
について承 認を求めるの件(
内閣送付
、
予備審
査) ○
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び
脱税
の
防止
のための
日本
国
政府
と
シンガポール自治
州
政府
と の間の
条約
の
締結
について
承認
を求 めるの件(
内閣送付
、
予備審査
) ○
日本国
と
パキスタン
との間の
友好通
商条約
の
締結
について
承認
を求める の件(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
航空業務
に関する
日本国
と
ベルギー
との間の
協定
の
締結
について
承認
を 求めるの件(
内閣提出
) ○
航空業務
に関する
日本国
と
ドイツ連
邦共和国
との間の
協定
の
締結
につい て
承認
を求めるの件(
内閣提出
) ○
国際情勢等
に関する
調査
(
国際情勢
に関する件)
—————————————
木内四郎
1
○
委員長
(
木内四郎
君) ただいまから
外務委員会
を開きます。 ちょっと
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
木内四郎
2
○
委員長
(
木内四郎
君) それでは
速記
を始めて下さい。 本日は、まず、
予備審査
として送付されました第二次
国際すず協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、
関税
及び
貿易
に関する
一般協定
に附属する第三十八表(
日本国
の
譲許表
)に掲げる
譲許
を
修正
し、又は
撤回
するための
アメリカ合衆国
との
交渉
の結果に関する
文書
の
締結
について
承認
を求めるの件、
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び
脱税
の
防止
のための
日本国政府
と
シンガポール自治
州
政府
との間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件。 以上三件を
一括議題
といたしまして、
政府
より
提案理由
の
説明
を承ることにいたしたいと思います。
津島文治
3
○
政府委員
(
津島文治
君) ただいま
議題
となりました第二次
国際すず協定
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして
提案理由
を御
説明
いたします。 第二次
国際すず協定
は、一九五六年七月一日に発効した第一次の
国際すず協定
が本年六月
末日
に失効することとなっておりますので、これにかわるものとして、昨年五月二十三日からニューヨークで開催された
国連すず会議
において、
わが国
を含む二十三カ国の
代表参加
のもとに採択された
協定
でありまして、昨年末まで
署名
のために開放されたものであります。 この
協定
の目的は、
価格変動
の激しい
国際商品
の
一つ
である
すず
の
国際価格
を安定させることにあります。
すず
の
国際価格
が妥当な
価格
で安定することは、
生産国
にとっても
消費国
にとってもきわめて望ましいことでありますが、この
協定
は、
すず
の
最高価格
及び
最低価格
を定め、
市場価格
がこの両
価格
の間に落ちつくように、
緩衝在庫制度
を設け、この運用、操作と
輸出割当制
とを併用することによって、
市場
の
需給量
を調整し、
すず
の
国際価格
の安定をはかることを骨子とするものであります。
わが国
は、昨年十二月二十九日にこの
協定
に
署名
いたしましたが、
署名開放期間
中に
署名
を了した国は、
わが国
のほか、
イギリス
、オランダ、
デンマーク等
十四の
消費国
と、
マラヤ
、
インドネシア
、
タイ
、ボリヴィア、
ナイジェリア等七つ
の
生産国
であり、
協定
は、これらの国のうち本年六月
末日
までに所定の数の国が
批准
または受諾を行なうことにより
効力
を生ずることとなっております。
わが国
は、この
協定
に
参加
することにより、
すず
の
国際価格
の安定を通じて、近来とみに
重要性
を増している第一次
産品生産国
に対する協力及び
世界貿易
の拡大に積極的に寄与することとなりますとともに、これら
生産国
、特に
わが国
と
関係
の深い
マラヤ
、
インドネシア
、
タイ等東南アジア
の
諸国
に対する
わが国
の
通商政策
上の
利益
は大きいものと考えられます。 よって、右諸
利益
を考慮し、ここにこの
協定
の
締結
について御
承認
を求める次第であります。 次に、
関税
及び
貿易
に関する
一般協定
に附属する第三十八表(
日本国
の
譲許表
)に掲げる
譲許
を
修正
し、又は
撤回
するための
アメリカ合衆国
との
交渉
の結果に関する
文書
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして
提案理由
を御
説明
いたします。
わが国
は、
昭和
三十年の
ガット加入
の際の
関税交渉
、
昭和
三十一年の第四回
ガット関税交渉
並びに
昭和
三十三年の対ブラジル及び対
スイス関税交渉
に
参加
し、
わが国
の
関税率表
の九百四十三
税目
のうち二百七十九
税目
について
ガット締約国
に対して
譲許
を行なってきておりますが、一部の
現行譲許税率
については、その後の
経済事情
の変化に即応しないものとなりましたので、その
修正
または
撤回
の必要が生じて参りました。このため、昨年来
ガット
第二十八条に基づく
ガット
の再
交渉会議
が開催されました
機会
に、大豆、
工作機械
などの二十四
品目
につきまして、これらの
譲許
の原
交渉国
である
アメリカ合衆国
と
譲許税率
の
修正
及び
撤回
のための
交渉
を行ない、その際、トウモロコシ、牛脂、
ギアカッター
など十九
品目
についての
譲許
を新たに代償として提供することにより、このほど
交渉
を完了し、去る四月十日ジュネーブで
日米両国代表団
の間に、
右交渉
の結果に関する
文書
への
署名
を行なった次第であります。 この新しい
譲許
は、第二十八条に基づく
関税交渉
の結果の
適用
に関する
ガット
上の
一般
的な
手続
に従い、
わが国
が
締約国団
の
書記局長
に対して
適用通告
を行なうことにより、
右通告
において指定する日から実施されることとなっておりますところ、これらの
譲許
のうち、
工作機械
については若干おくれますが、その他のものについては、本年七月一日までに実施に移す予定であります。 よって、ここに、この
文書
の
締結
について御
承認
を求める次第であります。 次に、
所得
に対する
租税
に関する二重
課税
の
回避
及び
脱税
の
防止
のための
日本国政府
と
シンガポール自治
州
政府
との間の
条約
の
締結
について
承認
を求めるの件につきまして
提案理由
を御
説明
いたします。
政府
は、
さき
に
パキスタン
及び
インド
との間に二重
課税防止条約
を
締結
し、その後引き続き他の
東南アジア諸国
とのこの
種条約
の
締結
に努めて参りましたが、このたび
シンガポール自治
州との間に
交渉
が妥結し、
シンガポール自治
州
政府
は
イギリス政府
よりこの
条約
を
締結
するための授権と同意を得たので、四月十一日に
シンガポール
において、
日本国政府
と
シンガポール自治
州
政府
の
全権委員
の間でとの
条約
に
正式署名
を行なった次第であります。 この
条約
の
内容
は、基本的には、
わが国
がすでに
締結
した
パキスタン
及び
インド
との二重
課税防止条約
にならうものでありますが、
産業投融資
に対する
課税
の
減免条項
を設け、さらに、
シンガポール
が
国内産業育成
のためとっている
租税特別措置
により
シンガポール
で免除された
租税
は、
日本
において総合
課税
する際に、
シンガポール
で支払われたものとみなして
わが国
の
税額
より控除し(みなし
外国税額控除
)、また、船舶、
航空機所得
の
相互免税
、
短期滞在者
、研修生の
免税等
を
規定
したのが特色であります。 この
条約
の
締結
は、
わが国
の
シンガポール
に対する
プラント輸出
、
事業
及び
技術
の進出を促進し、
シンガポール
の
産業育成
に寄与するのみならず、
一般
に
わが国
と
シンガポール
との間の
経済
、
技術
及び
人的交流
の
緊密化
に貢献するものと期待されます。 よって、以上申し上げました
利益
を考慮し、また、
シンガポール側
においても
条約批准
の
措置
を進めておりますので、この
条約
の
効力発生
のため、
わが国
も必要な
手続
をできるだけ早急にとりたいと存じ、ここに、この
条約
の
締結
について御
承認
を求める次第であります。 以上三件、なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御
承認
あらんことを希望いたす次第であります。
木内四郎
4
○
委員長
(
木内四郎
君) ただいま
提案理由
の
説明
を承りました三件の
質疑
は、これを後日に譲りたいと存じます。
—————————————
木内四郎
5
○
委員長
(
木内四郎
君) 次に、
日本国
と
パキスタン
との間の
友好通商条約
の
締結
について
承認
を求めるの件(
衆議院送付
)を
議題
にいたしたいと存じます。
本件
は、去る四月十八日
衆議院
から送付されて本付託になりましたので、念のため申し上げておきます。
本件
につきましては、先般
提案理由
の
説明
を聴取いたしましたが、さらに
補足説明
を
政府委員
から聴取いたしたいと存じます。
牛場信彦
6
○
政府委員
(
牛場信彦
君)
パキスタン
との間の
友好通商条約
は、昨年の十二月に
アユーブ・カーン大統領
が訪日されましたときに妥結いたしまして、十二月十八日に
署名
をいたしたものであります。 この
条約
につきましては、すでに
昭和
三十年以来、わが方から
締結方
を申し入れておりまして、
パキスタン側
は、ちょうどそのころ
アメリカ合衆国
との間で
交渉
を行なっておりました
関係
で、そちらの方が先にきまるまでということで、だいぶ時間がかかっておったのであります。その後
政府
は、三十五年になりまして
交渉
が進捗いたしまして、昨年の
大統領
の訪日の
機会
に妥結したということでございます。
条約
の
内容
は、
通常
の
友好通商条約
と変わりはないのでございまして、
パキスタン
と
わが国
とは、ともに
国際通貨基金
にも加入いたしております。また、
ガット関係
にもありますので、
為替制限
あるいは
貿易制限
、
関税
などの問題につきましては、これはすべて
国際通貨基金協定
及び
ガット協定
によることになっております。もちろん、理屈といたしましては、一方が
ガット
ないし
国際通貨基金
から脱退したような場合におきましても、この
条約
が廃止されない限りは、
両国
間に有効であるということでございます。
条約
の各条につきましては、
説明書
を
さき
に提出してございますので、それで御承知願ったことと存じますが、簡単に御
説明
申し上げますと、第一条は、これは
入国
、
滞在
、旅行及び居住に関して
最恵国待遇
を
相互
に与えるものであるという
規定
でございまして、もちろん、これは
国内法令
に従うという
条件
がついておりますので、その限りにおきましては、絶対的な
最恵国待遇
というわけではないわけでありますけれども、しかし、少なくとも他
国民
との間の
差別待遇
はできないということになっておるのであります。ただ、これにつきましては、
議定書
の第一項及び第二項におきまして
制限
がついておりまして、
パキスタン
が
英連邦諸国
の
市民
に対して与えているか、あるいは将来において与える
権利
の特権の享受を
日本
が要求できないことになっております。
パキスタン
が
英連邦諸国
のうちで
最恵国待遇
を与えておりますのは、
英本国
及びその
植民地
の
市民
と、それから
インド
及び
南ア連邦
を除くほかの
英連邦
の
国民
であります。それから
議定書
の第二項の方は、これは、
入国
する
条件
として
法令
により明示された
制限
に反して
営利的職業
に従事することができないということで、
入国
の場合に
営利的職業
をやらないという
条件
がついておる場合には、それに反して
営利的職業
をやってはならない。これは当然の
規定
でありますけれども、
パキスタン
の法律にこういう
規定
がございますので、
向こう側
の要求によって入れた次第でございます。 それから、第二条におきましては、良心の自由及び宗教、通信の自由を
保障
しております。それから第二項におきまして、公の秩序及び公衆の道徳または安全のために必要な
措置
をとることについての
権利
を留保しておるわけでありまして、これはいわゆる
自由権
という観念でありまして、
通常通商航海条約
にあるような型であります。 それから第三条は、これは、身体の
保護
、
保障
、並びに
強制兵役
の
免除等
に関する
規定
でありまして、この「
国際法
の要求する
保護
及び
保障
よりも少なくない不断の
保護
及び
保障
を受けるものとする。」これは、いわゆる
文明国
におきまして
通常
行なわれておるような標準のもとに
保護
及び
保障
を与えるということを約束しておる次第であります。それから第三項は、「
強制軍事服役
及びその代りに課されるすべての
課徴金
を免除される。」ただし、(b)におきまして、
強制公債
、
軍事取立金
、
軍用徴発
または
強制宿舎
に関しては、これは
最恵国待遇
ということでありまして、無
差別
の
原則
による限り、こういうことが課せられることがあるということを
規定
しておるわけであります。 それから第四条は、これは、
財産
の
保護
に関する
基本的待遇
を
規定
いたしております。これも
通常
の
規定
でありまして、特に御
説明
することはないのでありますが、第四項におきまして、公共のための収用、使用につきまして
規定
いたしておりまして、ここで、正当な
補償
が迅速に行なわれるべきこと、及び
補償
は収用する
財産
に相当する
価格
のものであって、換価可能なものでなければならないということを
規定
いたしておりまして、この換価可能ということは、たとえば、非常に長期の
公債
でもって、
市場価位
のないようなもので払ってはいけないという趣旨のものでございます。従いまして、これは、たとえば
日本
で収用いたしますときに、
円価
で払うことはもちろんいいのでありまして、
円価
で払ったその対価の送金につきましては、後の第八条の方に
規定
があるということでございます。それから、これに関連いたします
規定
が
議定書
の第六項でありまして、これは、
締約国
の領域内で収用される
財産
で、他方の
締約国
の
国民
及び
会社
が直接または間接に
利益
を有する者についても
適用
する。これは、
会社
の場合なんかに、
締約国
の
国民
がその一部につき
利益
を持っておるというようなものについて、これと同じ
原則
を
適用
するということにいたしてございます。 それから第五条は、
事業活動
及び
職業活動
並びに
工業所有権
に関する
規定
でございまして、
事業活動
及び
職業活動
につきましては、これを
最恵国待遇
ということにいたしてございます。これにつきましては、相当多数のこの
種条約
におきましては、内
国民待遇
を与えるという
規定
もあるのでございますが、
パキスタン側
は、
原則
といたして内
国民待遇
を約束しない建前でございます。それからまた、現状におきましては、
パキスタン
の
国内
におきまして、
外国人
のみに対して
職業活動
、
事業活動
を
制限
しておる例は非常に少ない。
公営事業等
につきましては、これは
参加
を認めておりませんし、また公務員には
外国人
を採用しない、こういうこともございますけれども、ほかの点におきましては、全然内
国民
、
外国人
との間に
差別
をいたしておりませんので、
最恵国待遇
で十分わが方の
利益
は
保障
できるという観点から、
最恵国待遇
に同意いたしました。その第二項の方におきまして、「
特許権
の取得及び保有並びに商標、
営業用
の名称及び
営業用
の
標章
に関する
権利
並びにすべての種類の
工業所有権
に関して、内
国民待遇
」となっておりますが、これは、
パキスタン
が
万国工業所有権保護同盟
に加盟いたしておりません。
日本側
は加盟いたしておりますけれども、
パキスタン
は加盟いたしておりません
関係
で、
最恵国待遇
ということになりますと、
工業所有権同盟加盟国
に比べて、
パキスタン
に対してより有利な
待遇
を与えなきゃならぬということになるおそれがありますので、この際は、
最恵国待遇
を改めて、内
国民待遇
ということで同意いたしたわけであります。第三項は、これは
租税
の二重
課税防止条約
などを作ることができるという
規定
でありまして、
パキスタン
と
日本
との間には、現在二重
課税防止条約
ができております。 第六条は、
仲裁判断
の
執行
に関する
規定
であります。この
種条約
において
通常
に用いられる形式でございます。 それから第七条は、
関税
及びこれに関連する事項についての
規定
であります。 次の第八条が、
為替管理
及び
輸出入制限
に関する
規定
であります。これは、冒頭に申しましたように、お互いに
国際通貨基金
及び
ガット
の
加盟国
でありますので、その
原則
を書き並べたということでございます。 それから第九条におきましては、
両国
間の
貿易経済関係
の強化並びに科学及び
技術
に関する知識の交換及び利用の促進に関する
規定
でありまして、
相互
に協力することを約束しております。 第十条は、
国家貿易
ないし
国家企業
に関する
規定
でありまして、これも、
ガット
の
規定
をそのままとったものであります。 それから第十一条は、この
条約
の
規定
の
適用
を排除する
一般
的な
例外
を掲げたものでありまして、一項は、これは
ガット
及び
国際通貨基金
の
規定
が優先をするという
規定
であります。これは、当然のことを書いたわけでございます。第二項は、これもまた、
ガット等
におきまして
通常
に認められておる
輸入制限
並びにその他の平和の
維持
、安全の
維持等
のために
例外
の
措置
をとることができるという
規定
でございます。それから、これと関連しまして、
議定書
第九項におきまして、
わが国
が
沖繩
その他南西諸島に対して与えております
待遇
を留保いたしております。 第十二条は、これは定義の書き並べであります。 それから第十三条は、
締約国
間の協議及びこの
条約
の解釈または
適用
に関する紛争の解決に関する
規定
でありまして、最終的には国際司法裁判所に付託することができることになっております。 第十四条は、この
条約
の
効力
に関する
規定
でございます。五年間
効力
を有して、その後は、一年前に
文書
による予告を与えることによってこの
条約
を終了させることができるようになっております。 この
条約
は
批准
を要することになっておりまして、
日本側
の
批准
は、
国会
におきまして御
承認
を得れば
批准
できる運びになっております。
先方
は、現在
国会
が停止されておりまして、閣議の決定をもって
批准
をするということで、すでにその
手続
が済んだように承知いたしております。 以上、簡単でありますが、御
説明
申し上げました。
木内四郎
7
○
委員長
(
木内四郎
君)
本件
のほか、
航空業務
に関する
日本国
と
ベルギー
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、
航空業務
に関する
日本国
と
ドイツ連邦共和国
との間の
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件、以上、本
院先議
の両件をも
一括議題
として
質疑
を続行いたしたいと思います。 なお、
外務大臣
もおいでになりましたので、そのほか
国際情勢等
に関する
調査
をあわせて
議題
として御質問いただきたいと思います。御
質疑
のおありの方は、順次御発言を願います。
森元治郎
8
○
森元治郎
君 おとといだったか、済州島の沖で、
李ライン
を侵したということで、
日本
の
漁船
が一隻持っていかれて、
巡視船
も
銃撃
をされるという
事件
があったようですが、
日韓会談
にあたって、
日本側
は、
政府
は大へんな意気込みで
交渉
されておるようですが、これに対する
韓国側
の
態度
としては、きわめて理解しがたい
態度
であるように思うのですが、
事件
の
内容
と、
政府
はどういう
態度
をとったか、伺います。
伊関佑二郎
9
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 昨日の朝六時ごろ、第三
亀秀丸
というのが拿捕されております。場所は、
李承晩ライン
内ちょっと入った所でございます。特異の現象といたしましては、わが方
巡視船
くろかみ丸というのに対しまして
向こう
が
銃撃
を加えておるという点でございます。これは、
威嚇射撃
であったか
実弾射撃
であったかという点につきましては、はっきりいたしません。弾痕がないということが、今のところそういう報告が参っております。それから
亀秀丸
に対しましても
銃撃
が行なわれております。これも、連れていかれておりますので、
威嚇
であったか
実弾
であったか、その点はわかっておりません。それから、わが方くろかみ丸という
巡視船
が、向うの
警備艇
と拿捕された
亀秀丸
の間に割って入っております。この
亀秀丸
という船をめぐって、
向こう
の
警備艇
とわが方の
巡視船
が、どっちも非常にそばまで参っておりますので、そこで、両船が、
警備艇
と
巡視船
が接触いたしております。ためにわが方
巡視船
が、この辺もはっきりいたしませんが、ごくわずかの
損害
を受けた。それから拿捕された船も、
向こう
の
警備艇
に接触された際に多少の
損害
を受けておるのじゃないかというふうに思われております。拿捕するということが
一つ
の問題であります上に、この
射撃
をしておるという点がまた非常に大きな問題になるのであります。本年に入りまして、一月に一隻、三月に二隻、そして昨日一隻というふうに、四隻拿捕されておりまして、一月の分と三月の半ばの分は、すでに
漁船
並びに
乗組員
も釈放されておりますが、三月の二十日でありましたか、第三番目の分はそのままつかまっております。そして第三回、三月二十日ごろと思いますが、そのときはやはり
銃撃
を受けております。これは、わが方
巡視船
でなくて、水産庁に属する船であります。そういう事実がございます。これに対しまして厳重な
抗議
をいたしておりますが、
先方
の言い分は、
向こう
の
公務執行
を妨害したというふうなことを言っておるわけであります。これは懸案になっております。再びこういう
事件
が起きたわけであります。今、
会談
をやっておりまして、せっかく空気を改善しようとしておる際に、こういう
事件
が次々に起きるということは、非常に遺憾なことと思っております。
森元治郎
10
○
森元治郎
君 もしほんとうに
韓国側
が
日本
との
会談
に真剣であるならば、やはり
政府
の意図というものが、自分の国の
警備艇
、そういう末端までもその気持が行き届くはずだと思うのですが、どうもこういうところに、何と言うか、
向こう
の
態度
がいつも割り切れないものをわれわれは感ずるのですが、
外務大臣
は、この前、三月の
事件
があって、はなはだ不満であるというようなことで、
日韓会談
も真剣に続ける気分が起きないようなことで、一時
会談
がとまったような感じまでしたのですが、今度の場合、一体どういうふうにお考えになっておられるのか、こういう
態度
であるならば続けられないということの
態度
に出られるのかどうか。これはこれでいいんだということで行かれるのか。どうですか。
小坂善太郎
11
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) 今、
アジア局長
から申し上げましたように、
外務省
として、口頭をもってとりあえず厳重な
抗議
をいたしております。なお、事態をさらに検討しまして、要すれば、正式な書面による
抗議
をするということを考えております。
先方
も、それに対して、従来はいろいろ理解を持ちまして、抑留された同胞を帰しているというようなこともございます。今回は、はなはだ遺憾なことでありますから、強く厳重な
抗議
をいたしまして、
先方
の
態度
を見たいと思います。
森元治郎
12
○
森元治郎
君
政府
の方では、こういう
李ライン
問題というような大きな問題あるいは
一般請求権
の問題はとにかくとして、
日本
におる
朝鮮人
の
法的地位
の問題は、
法的地位委員会
で話が進んで、これだけでも先に
一つ
まとめていこうというようなふうにわれわれは聞いているんですが、やはり私たちとしては、
李ライン
問題というのは大きな問題だから、これもしっかりやるべきだと思うが、
法的地位
の問題は妥結の
可能性
が見えてきたから、ほかの
請求権
、
季ライン
の問題は
あと回し
にして、これだけでも仮調印をしていくんだというようなことを聞くんですが、そういうおつもりがあるんですか。
小坂善太郎
13
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) 今のところ、そう考えておりません。
森元治郎
14
○
森元治郎
君 そうすると、やはりほかの
案件
と並行して片づけていく、そういうふうに理解してよろしいですか。
小坂善太郎
15
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) 目下そのように考えております。
森元治郎
16
○
森元治郎
君 私は、
政府側
の
説明
がないから、
新聞記事
で伺うんですけれども、たとえば、
在日韓
国人に永住権を与える、あるいは出
入国
管理令による強制退去について手心を加えるとか、いろいろな、大へんやわらかい
内容
のように見えるんですが、私は、
日本
の国から分離した国の人に対しての
態度
というのは、冷たいようではあるけれども、やはり合理的といいますか、
一般
の
外国人
という扱いの
態度
で臨んだ方が、変に人情を交えたものよりもいいのではないかというふうな感じがするんですが、
原則
論はいかようにお考えですか。
小坂善太郎
17
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) あとで
会談
に加わっている
政府委員
から補足してもらいますが、私は、現状というものをやはり
交渉
の場合に考慮せざるを得ないというふうに思っております。
伊関佑二郎
18
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 永住権の問題につきましては、戦争以前から引き続き
日本
にいる韓国人というものは、これは、終戦までは
日本
人であったわけでございますので、
一般
の
外国人
とは当然違った考え方をすべきものだというふうにわれわれは考えております。そこで、これに、
外国人
に対する
待遇
としましては、最も有利な
条件
であるところの永住権というものを与えようということを考えておるわけであります。ただ、永住権を与えますその範囲につきまして、終戦前からおりまして、今度の平和
条約
発効の際とか、あるいは今度の
協定
が調印される際までにすでに生まれておった者、その後に生まれる者等をどうするかというふうな問題が今まで
交渉
中であります。われわれとしましては、
一つ
の考え方は、両親がずっと引き続き、終戦までは
日本
人であり、
日本
におった、しかも、その子供であり、
日本
で育つ者は、両親以上にもっと
日本
人に近い者になっておるわけなんでありますが、かと申しまして、永久に、半分
日本
人のようであり、半分韓国人のようである少数民族をかかえるということも、これも
一つ
の問題である。どこかで切らなければならぬのじゃないかという点で、今の点がこの問題に関しましては一番大きい問題点になっております。 それから、強制退去の点につきましては、これは、入管令何条でありましたか、強制退去の事由というものが非常にたくさん列記してあります。たとえば、貧困者であるとか、あるいは一年以上の罪を犯した者とか、非常にいろいろとございますが、ほとんど
日本
人であり、また非常に
日本
人に近い
待遇
をしております者を、ただ単に、そういう貧困であるとか、ちょっとした罪を犯したということで、直ちに強制退去さすのもいかがかと存じますので、これを
制限
しようという考えを持っておるわけであります。
森元治郎
19
○
森元治郎
君 私の伺うのは、その元
日本
人であったという観念をこの際取って、外国の人、こういうことで今後交際した方が、かえっていざこざがないんじゃないかという感じがするのです。
日本
人であったとか——非常に
向こう
では併合されたのだというような感じを持っておる。しかし、在住については、これは元
日本
人であったのだということを
向こう
は思っている。
日本
もまた、もといたのだから、今
外国人
にはなったのだが、もとは
日本
人であったのだという、人情論といいますか、そういうものをまぜていくよりも、もっと、冷たいけれども、合理的に、外人という取り扱いをした方が、そういう建前で
法的地位
を考えた方が近代的ではないかという感じがするのですが、どうでしょう。
伊関佑二郎
20
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君)
一般
の
外国人
の場合ですと、ただいまの仰せのような考え方も成り立つのじゃないかと思いますけれども、御承知のように、現在
日本
におります韓国人というものは、金持もおりますけれども、非常に貧困な者が多い。生活
保護
法の対象になっておる者も相当数ある。今でもなかなか、この韓国人ということでは就職すらしにくいというふうな状況にあるわけでありまして、また、これが直ちにそれでは韓国に帰るということになりますと、御承知のように、韓国の中にも相当失業者があるというふうな状況でございまして、今
日本
で、完全な
外国人
にいたしますと、現在のような生活、現在よりも不利な生活状況になる。かといって、今すぐ韓国に帰るということは、
向こう
の情勢から考えまして、これも無理である。ですから、何と言いますか、現在の地位が事実上のあれになっておりますものを法制化して、安定さして、将来韓国の状況がよくなれば、韓国に帰る人もふえて参りましょうし、また、
日本
に帰化して、
日本
人になる者も出てくる。ともかく現実の情勢に即して考えますと、どうも今のような考え方になる、こう思っております。
森元治郎
21
○
森元治郎
君 もとの台湾におった台湾の人、台湾籍民というのか、あるいは中国の人というか、こういう人たちは永住権は持っておるんですか、持っていないんですか。
伊関佑二郎
22
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 数は覚えておりませんが、いわゆる
外国人
でも、永住権を持っておる者もございます。いわゆる第三国人、それからこの中国
関係
の人でも、古い人にかなりあるのじゃないかと思いますが、それは別といたしまして、いわゆる今問題にしております韓国人と同じ状況にあるこの台湾出身の人々、戦時中からずっと、戦争前から引き続き
日本
におる、こういう人たちに対しましても、韓国人に対すると同等の
待遇
を与えるべきものと考えておりますが、それは
協定
によって、韓国人の場合は、今度
協定
ができますれば、
協定
に基づいて永住権を与える。台湾出身の人は数も少ないことでございます。三万くらいと考えておりますが、これは、入管令そのものに永住権を与える
規定
がございますので、入管令に基づいて与えたらどうか。ともかく韓国の問題が解決いたしました上で、この問題を取り上げて、入管令による永住権を与える。ほとんど違いはございません。
森元治郎
23
○
森元治郎
君 先ほどの
アジア局長
の御
説明
のようであるならば、法制化しないでも、
日本
におる韓国人、
朝鮮人
の生活の安定を見てやる方法はあるのじゃないか。それを法制化した方が
向こう
は安心するかもしれぬが、しかし、それは現実の政治の面で、あるいは行政の面で考慮してやれば、彼らの
日本
における生活の安定の道は立つのじゃないか、法制化の必要がないのじゃないかという点は、どうお考えになりますか。
伊関佑二郎
24
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 現在も、実際問題としては永住と同じことになっておりますけれども、その法制化されておるという、法的な根拠がないわけでございますから、やはり正式の永住権を与えました方が、何と申しましても安定する。そうして生活も改善される。生活が改善されれば犯罪も減っていくというふうに、私は、
相互
にとってこれはいいのじゃないかと思っております。
森元治郎
25
○
森元治郎
君 この強制退去というのがありますが、このほかに不法
入国
した者、ちょうど今から二、三年前、大村収容所が一ぱいになってしまったような騒ぎがありましたが、あれは、強制退去というのですか、強制送還というのか、これはやっぱり強制がなければ、
向こう
が受け取らないからでしょうけれども、ああいう不法な者は、現在不法
入国
者という者は、現在何名くらい収容されておるのですか。
伊関佑二郎
26
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) これは、法務省
入国
管理局が主管しておりますので、はっきりした数字は私も覚えておりませんが、二戸数十名と存じております。そうして従来は、
韓国側
は、この釜山に抑留されておる漁夫の刑期を終えた者を帰さぬのみか、こういう密
入国
者も受け取らぬということであったのでありますが、最近は、これを逐次受け取っております。今おります二百数十名も、五月の中旬と思いますが、これを
先方
に送り帰すことになっております。
森元治郎
27
○
森元治郎
君 国籍の問題でありますが、現在約六十万人くらいの
朝鮮人
が
日本
におるという統計でありますけれども、これは全部韓国人になるのか、これは一番むずかしい問題ですが、国籍の選択というものは、これは
日本
が強制することはできないだろうと思うのだが、国籍はどういうふうになりますか。
伊関佑二郎
28
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 現在、入管令に基づきまして
外国人
の登録ということが行なわれておるわけでありますが、終戦直後は、全部この国籍欄というところに朝鮮と書いておったわけでありますが、その後韓国ができましてからは、韓国と書く者もおるわけでありまして、はっきりした比率は覚えておりませんが、初め全部朝鮮と書いておった。その後新たに登録する者で、生まれた場合なんかもございましょうが、韓国とか、それから、朝鮮と書いておった者が韓国に変更した者もございますが、今でも、朝鮮と書いておる者の方が韓国と書いておる者よりもやや多いのじゃないかと私は記憶しておりますが、それは、必ずしもこれが韓国系であるか北鮮系であるかということを表示するものではなかろうと思っております。結局、今度の
協定
によりまして、永住権を
協定
の対象として与えますものは、韓国との
協定
でありますから、韓国籍の者に与えるわけになるわけであります。在日六十万
朝鮮人
のどこまでが韓国籍を希望しておるのか、それからどの部分が北鮮を希望しておるのかということは、われわれも実数ははっきりつかんでおりませんし、これがまた、そのときどきの状況によりまして、韓国の状況がよくなれば、韓国に行きたい、あるいは韓国籍を持ちたいという人がふえてくるわけであります。大体六十万のうち九割以上の者が南出身というふうな統計もございますので、この辺は、数は固定したものではない、流動するものではなかろうかと思っておりますが、結局どういたしますか、その辺のところは、まだはっきりきめておりませんけれども、
協定
ができれば、自分が韓国の国籍であると思う人たちがこの
協定
に基づいて
手続
をとってくるのではないか、こういうふうに考えております。
森元治郎
29
○
森元治郎
君 六十万のうち、大別して四十万が韓国籍を希望するのではないか、二十万がその他、北鮮ではないか、こんなふうな見当はどういうふうに見ますか。
伊関佑二郎
30
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) そこの数を四十万、二十万というふうにはっきり予測することは非常に困難ではないか。今後の情勢にもよりますし、韓国の情勢がよくなれば、その数がふえて参ります。それから、いろいろとまあ……ともかくどこまでがはっきりどちらを支持しているかというのは、非常にむずかしい問題でありまして、これは、六十万のうち、右と左の両端にごくはっきりしたものが一部おるわけでありますが、まん中の大部分というものは、今までのところ、どっちを選ばなければならないということは、はっきりする必要もなかった。このまん中におります大部分が、
協定
ができますれば、韓国という方をおそらく選ぶのではないかと思いますので、そちらの方が多かろうとは思いますけれども、それが四対二というふうなことになりますかどうか、この予測というのは非常にむずかしかろうと思います。
森元治郎
31
○
森元治郎
君 韓国の代表部、韓国
政府
の方としては、
日本
にいる六十万の
朝鮮人
は全部韓国籍であるのだというふうに、
向こう
から主張することは予測されますね。どうでしょうか。
伊関佑二郎
32
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) まあ
交渉
にあたりましては、その辺がなかなかむずかしい問題であります。韓国の方では、ここにおります
朝鮮人
の全部が韓国人になってくれることを当然希望しておると思いますが、現実は必ずしもそうでない、まあ現実に即してものを考えていきたいと思っております。
森元治郎
33
○
森元治郎
君 もし韓国籍でない者、いわゆる北朝鮮の、人民共和国の国籍だと思う人、これは、こういう
協定
ができるとすると、非
日本
人というのか、
外国人
として残るわけであります。そうすると、
外国人
であるならば、出
入国
管理令で、施行規則で、在留期間という定めがありますから、その期間が満了したならば、お前は帰ってくれということになるのですか。
伊関佑二郎
34
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 現在は、韓国系であるか、あるいは北鮮系であるかを問いませず、一応その期限を切らずに、ともかくおれるということになっておるわけであります。ですから、いつ切れるかということはわかりません。しかし、今日のところ、普通の
外国人
でありますと、短いのは二週間ぐらいの
滞在
を認めるというのから始まりまして、半年、一年、三年、それから永住権ということになっておるわけでありますが、普通ですと、三年というのが一番長いわけでありますが、台湾人と
朝鮮人
に限りまして、いつまでということは保証しておりませんが、三年というふうな期限も切らずに、今のところはともかくおれる、実際問題としておれるというふうなことに法制上なっておるわけであります。その状況が続くわけであります。
森元治郎
35
○
森元治郎
君 その名前は、
昭和
二十七年のポツダム勅令に基づく
外務省
関係
諸命令の
措置
に関する法律、それによっているのですか。
伊関佑二郎
36
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) たしか法律第百二十六号というやつだと思います。
森元治郎
37
○
森元治郎
君 そうすると、永住権を得た韓国人以外の
朝鮮人
は、この法律によって、引き続いて期限を定めないでもおれる、こういうことになるわけですね。
伊関佑二郎
38
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) その法律を廃止いたしません限り、そういうことになるわけであります。
森元治郎
39
○
森元治郎
君 非常にあたたかいようなんですけれども、内
国民待遇
ということでこの永住権を得た者は
待遇
されるのですか。
伊関佑二郎
40
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 内
国民待遇
という言葉は使わないつもりでおります。これは非常に常識的な言葉でありまして、必ずしもはっきりいたしませんけれども、大体現状を認めるという考えでありまして、内
国民待遇
というよりは少し弱いものでなかろうかと思います。
森元治郎
41
○
森元治郎
君 大臣に伺いますが、この
協定
は、国籍の確認の問題はむずかしいでしょうけれども、その他の面では、大よその妥結の線まで行っているのですか。
小坂善太郎
42
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) 従来しばしば行なわれた
会談
に比べますと、今回は、
法的地位
の問題が非常に進んでおるということは聞いておりますが、今、
局長
から申し上げましたような程度と了解しております。
森元治郎
43
○
森元治郎
君 ちょっと話はそれますけれども、
一つ
伺っておきたいのは、終戦後韓国の代表部ができたときに交換した公文は、
日本
に引き続き韓国の代表部を置くということになったときの公文は、発表ができないということだったと思うのですが、その理由はどういうことですか。
伊関佑二郎
44
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 発表をしておりますか、おりませんか、ちょっと記憶いたしておりませんが、発表して差しつかえないものと思っております。
森元治郎
45
○
森元治郎
君 それでは、それを発表してもらいたいと思うのは、今まで、
衆議院
段階などの質問では、公表はできない、ただこれは、そういうことがあったということで御了承願いたいと、こういうことだけの答弁があったのですが、そういうことを発表されることは非常にけっこうなんで、いろいろ疑問があるので、この点を
一つ
、そこにお持ちだったら発表してもらいたいと思います。
伊関佑二郎
46
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 今手元に持っておりませんので……。
森元治郎
47
○
森元治郎
君 それでは、いつ持ってきてくれますか。
伊関佑二郎
48
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) この次までに……。
森元治郎
49
○
森元治郎
君 簡単なものだから、すぐに
手続
をすれば、この
委員
会が終わるまでに間に合うと思うので、
委員長
、そういうふうにお取り計らい願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。簡単なものですから、そんな大きなものじゃない。五、六行の公文ですから……。
木内四郎
50
○
委員長
(
木内四郎
君) できるだけ早く持ってくるように……。 他に御
質疑
はありますか。
羽生三七
51
○羽生三七君 ちょうど森さんが日韓問題に触れられて御質問があったので、一点だけ
外務大臣
にお尋ねをいたしますが、
外務省
は直接
関係
をされていないようですが、自民党の外交問題
調査
会ですかで、韓国へのてこ入れということを、そういう表現があったようですが、とにかく韓国の政治
経済
その他の安定策に何らかのてこ入れをするということが考えられ、さらに、この前の予算
委員
会の際に、私が、ガリオア、イロアの返済について、韓国の商工大臣がそれを韓国向けに振り向けてもらうことを期待しておるようだが、そういうことはないかとお尋ねした際に、総理は、そういうことはないとお話がありましたが、自民党側としては、低開発国援助の一環として、このガリオア、イロアを韓国に振り向けることも考慮されているとも言われております、真偽のほどはわかりませんが。また、それと関連をして、韓国の最近の政情あるいは
経済
状態、そういう問題は一体どうなっておるのか。それから、日韓
交渉
は、大局的に見て、われわれは急ぐべきではないと、むしろ見送るべきではないかということを重ねて繰り返し、幾たびも希望申し上げておるわけですが、その後それはどういう状態にあるのか。また、池田総理渡米の前に、日韓
交渉
は何らかの見通しをつけて行かれるのかどうか。それらの問題を総括して、大局的に日韓問題の現状を御
説明
いただきたい。この一点だけであります。
小坂善太郎
52
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) 日韓の
予備
会談
は、その後引き続いて行なわれておりますけれども、
法的地位
の問題以外は、率直に言って、そう進展したものとは思われないのであります。ただ、特徴として見られますことは、従来全然入り得なかった
財産
請求権
の問題あるいは
李ライン
問題といいますか、漁業の問題、こういう問題について双方が意見を述べ合うという段階にありますことは、これは従来なかった点でございます。 そこで、
交渉
の見通しというお話がございましたけれども、まあそういうことでございまして、私は、従来からの経緯のある問題でございますから、十分に意見を言い合って、そして
交渉
が妥結したときには、あとになるたけ問題を残さないというふうに持っていく方がよかろうと思っておるのであります。従って、いつまでにという期限も置いておりませんし、今お話のような点は、目下のところ考えの中に入っておりません。 それから、ガリオア、エロアに関連する問題は、総理大臣が予算
委員
会で羽生さんにお答え申し上げたと同じ気持でおります。現在、この返金されましたものを韓国に振り向けるということは、
政府
として考えておりませんし、また、この問題自体が
交渉
にも入っておらぬような状態でございますので、そういう点は、総理大臣のお答えしたままでございます。 それから、自民党の方で韓国へ有志の議員が行ってみるという問題につきましては、これは、ほんとうにその通り、視察をして参り、韓国の
一般
的な
国民
の気持等にも触れて、様子を見てくるというのが主たる点でございまして、
交渉
そのものには特に
関係
を持って何か話し合ってくるというようなことはないわけであると了解をしております。
羽生三七
53
○羽生三七君 そうすると、総理渡米前に、別に特別な進展がこの日韓
関係
にあるということはないわけですか。
小坂善太郎
54
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) 現在のところ、今申し上げたように、
一つ
の時期を切って、そしてどうしようというところまでは考えておりません。
伊関佑二郎
55
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) 先ほどの
文書
がございました。口上書を交換いたしておりますから、読んでみますと、「
日本
政府
は、
在日韓
国代表部が一九五一年九月八日にサン・フランシスコ市で
署名
された平和
条約
の
効力
の発生する本日から、連合国最高司令官に対して派遣された代表部としての地位を喪失するので、
両国
間に正常の外交領事
関係
が設定されるまで臨時に同代表部に対し
政府
機関としての地位を認め、且つ同代表部およびその構成員に対し領事館およびその構成員に通例許与されると同じ特権を許与するものである。
日本
政府
は、大韓民国
政府
が在韓
日本
政府
代表部に対し
相互
主義により、前犯同代表部に与えられると同じ地位および特権を認めるものと諒解する。」これに対しまして
韓国側
は、これと同じ文句でこれを了承されております。
森元治郎
56
○
森元治郎
君 関連して。そこにもあるように、やはり
相互
主義ということをうたってあるのに、その
相互
主義をうたって、こっちにも代表部を置く、
向こう
にも置くという
相互
主義をはっきりうたって、お互いに確認し合っているのに、
日本
の代表部は置かない。その理由として、
向こう側
は、私の聞いているところでは、いつかの
政府
の御
説明
だったと思うのですが、代表部に来られる人々の生命、
財産
の
保障
がむずかしいからというのが
韓国側
の答弁、
態度
であったように思うのですが、その点はいかがです。
伊関佑二郎
57
○
政府委員
(
伊関佑二郎
君) その通りでございます。昨年の秋に大臣が
向こう
に行かれましたときも、この問題を取り上げまして、
向こう
も、まさにその通りで、
相互
主義に基づいて、
日本
の代表部を当然認めるべきものだと考えるけれども、あのときも多少のデモなどもございまして、御承知のようなことで、まだちょっと早いのじゃないかと思うというようなことを申しておったわけであります。現在になりまして、まだそういうふうな生命、
財産
、ことに生命に危険があるかどうか、私は、もうそういうことはないように思いますけれども、
交渉
の方が逐次進んでおりますので、
交渉
がまとまれば正式の大使館が置けるので、この代表部を置きましても、非常に過渡的なものになるということになりますので、
交渉
の妥結とにらみ合わせながら考えておりますが、もし
交渉
が非常に長引くというようなことになりますれば、当然また要求してしかるべきものと思います。
森元治郎
58
○
森元治郎
君
アジア局長
だけが最近は変わったろうと言うだけでは、私らもこれは信用できないので、この生命、
財産
があぶないなんて、去年の九月ですかに行って、六カ月ぐらいたって、今はもう生命、
財産
の
保障
はできるかもしらぬくらいのあやふやな状態で日韓
交渉
をやっているというのは、これはおかしなことだと思うので、
交渉
があるなしにかかわらず、代表部は当然置いていいのじゃないか、そのくらいできなくちゃ、
李ライン
とか、あるいは
請求権
問題などの大問題は、とても片づかないのじゃないか、
巡視船
に対する
銃撃
を見ても、あるいはこういう
相互
主義でやった
協定
一つ
すらもできていないところへ、大問題が片づくわけはない。だから、日韓
関係
は、正式基本
条約
を作らなくても、代表部の設置で十分実のある日韓
関係
ができるのじゃないか、こういうふうに私は思うが、大臣はいかがです。
小坂善太郎
59
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) 私が去年九月に行きましたときに、今伊関
局長
の申したように話をしてみたのですが、
向こう
は、それはよくわかるし、その通りだ、ただ、生命、
財産
云々の話は、そのときに出た話じゃなくて、前に
相互
主義で司令部時代の代表部がこちらに切りかわるときの話だと思いますが、そのときの
先方
の言い分は、これはもう
交渉
していただいて、
会談
が妥結すれば、大使館が設置できるのだから、その前に過渡的なものを履くよりも、
一つ
交渉
は、自分らの方は責任をもってできると思いますから、それに
一つ
この際主力を注ぐことにしていただきたいと、こういうことでありましたから、むげにその考え方を否定することもない、
先方
がその気でおるなら、
会談
を進めれば非常にけっこうだというので、今日に至っておるわけでございます。そんな事情でございますので、私は、
会談
そのものが現在進行しておりまするが、これがとても当分だめだという際には、またそのことを考えてもいいと思いますが、今の私の気持としては、漁業においても、
財産
請求権
の問題についても、相当に双方が意見を述べ合っている段階でございますから、時が来ればこれはまとまるものであるというふうに考えておるのであります。
木内四郎
60
○
委員長
(
木内四郎
君)
航空業務
に関する二つの
協定
の
締結
について
承認
を求めるの件も
議題
になっておりまするので、御
質疑
をお願いいたします。
杉原荒太
61
○杉原
荒太
君 通
商条約
について少しお尋ねしたいんですが、
外務大臣
、かねて東南アジア等との通商航海
条約
を結びたい、そういうふうに持っていきたいという方針をとっておられて、これは、議会でもそういう方針を述べておられる。私は、非常にけっこうなことで、また努力すべきことだと思うんです。ただ問題は、相手方のこれに対する
態度
ですが、現在いわゆる東南アジアの
諸国
でこの通
商条約
の
交渉
を現にしておる国がどこどこであるか、また、近くできる見込みがあるところがあれば、あるいはまた逆に、なかなか通商航海
条約
というものには乗ってこないようなものがあるとすればどういうところと、それをまず承りたい。
牛場信彦
62
○
政府委員
(
牛場信彦
君) ただいま
交渉
中の国は、
インドネシア
、それからイランでございます。それから、通商航海
条約
につきまして根本的に非常に乗ってこない国は、
一つ
はビルマでございまして、
最恵国待遇
というようなことは、これは、全く強い国だけ
利益
をもたらし、自分の方には一向
利益
が来ないものだから、もう少し
経済
的に自分の国が強くなるまでは、そういう
条約
はごめんこうむるということをはっきり申しております。それから、セイロンにつきましては、これは、セイロニゼーションという問題がございまして
向こう
でもって一定の業種、特に銀行でありますとか、輸出入
関係
、
貿易
関係
、こういうものを全部セイロン人にやらせる、
外国人
にはやらせないということを申しております。その
原則
を
日本
が認めてくれれば、これは通商航海
条約
を作ってもいいということでございまして、これは、わが方といたしましても認めにくい
関係
にございますので、この二つの国につきましては、今のところ、ちょっとめどがつかない状態でございます。
杉原荒太
63
○杉原
荒太
君 この通
商条約
の
締結
について、つまり通
商条約
を作るについては、
一般
的に、
政府
として、
外務省
として、
日本
としてはこういう政策でいく、こういう方針でいくという、
一つ
の基本方針を持っておられると思う。その中で、この通
商条約
の
一つ
のまあ重要な柱をなすエタブリスマンに関する条項について、ことにその中で、営業についてどういうふうな基本方針をとっておられるか、その点をお伺いしたい。
牛場信彦
64
○
政府委員
(
牛場信彦
君) エタブリスマンにつきましては、これは、
原則
的にはもちろん内
国民待遇
をわれわれとして希望いたすわけでございまして、ことに先進国との
条約
におきましては、そういう内
国民待遇
を
相互
に認め合っておる状況でございます。しかし、もちろん、内
国民待遇
になりましても、そういう場合には、必ず
制限
業種というものが起こって参りまして、アメリカとの
条約
にもございますし、またノルウェーとの
条約
にもございます。まあそういうことになり残すと、相当詳しい
規定
が必要になって参るということでありまして、これは先進国との間以外にはなかなか貫徹しにくい状況でございます。後進国との間におきましては、一応内
国民待遇
ということで
交渉
を開始する場合が多いのでございますが、大体
先方
は、この問題については、
最恵国待遇
以外は認めぬ方針であるということをはっきり申しますので、結局、
最恵国待遇
ということで妥結いたしておるような状況でございます。その場合に、
日本
がたとえばアメリカに対しましては内
国民待遇
を認めておりますので、条文上から申しますと、
最恵国待遇
を認めることによって、相手方は実際上
日本
において内
国民待遇
を享受できる。これに対して、
先方
が内
国民待遇
をどこにも認めておらない場合には、
日本側
は
最恵国待遇
しかとれないという
一つ
の不均衡な状態が起こるわけでありますが、実際問題といたしまして、低開発国、後進国の
関係
におきましては、そういうような不均衡はないのではないかというふうに考えております。
一つ
は、
日本側
としては、アメリカに対しましても
制限
業種というものをきめておりますし、また二つには、
先方
の状況から申しまして、とにかく他国と同等の
条件
でもって
事業
ができるというところまでまず行くことが先決問題だと、そういう状況を作ることが
日本
の結局
経済
的な発展のためには必要なのではないかというふうに考えて、大体後進国との間におきましては、
最恵国待遇
でもって満足をしていくほかないのではないかと考えております。
杉原荒太
65
○杉原
荒太
君 少し具体的な問題をお尋ねしますが、この
パキスタン
との
条約
ですね。これの五条の中に、「
事業活動
及び
職業活動
の遂行に関する」ということがあるのですが、この
事業活動
、
職業活動
、それについて、この
条約
の
規定
の取り扱いの上から見て、事柄が二つに分けて考えられるのじゃないかと思うのだが、まず第一は、そういった
事業活動
とは、どういう
事業活動
を行ない得るか。かりに、まあわかりやすいために、営業についていえば、どういう営業を営み得るか、どういう営業に従事し得るかということ、そういう意味においての
一つ
の営業権の存否をまず決定されなければならぬ。それから、それがきまった後に、あとどういうふうな
条件
あるいは
手続
が法的に要求されるのか、この二つが問題があるだろうと思う。ここでは、五条の中で、この「
事業活動
及び
職業活動
の遂行に関する」という、その「遂行」というものは、コンタクト、それは、そのもう
一つ
前に、私の言う営業をなす
権利
、法的に可能だという、そういう意味においての営業権の存否、その問題のことをここで飛んで
規定
してあるのだが、それが、私の言っている、言葉が適切でないかもしらぬが、かりに営業権とでもいうか、そういうことに対する
規定
は一体どういうふうになっているか。
牛場信彦
66
○
政府委員
(
牛場信彦
君) これは、
交渉
の経緯から申しまして、この
文書
の上におきましては、確かに、お示しの通り、「遂行に関する」となっておりますけれども、「すべての事項」ということが入っておりまして、結局これは、営業をする
権利
と、それからその遂行に関する事項、二つを含むものと私どもは解釈いたしておるわけでありまして、これにつきましては、
先方
との間に誤解はないと存じます。具体的に申しますと、
パキスタン
におきましては、
事業活動
につきまして
制限
のありますのは、国営
事業
、これが郵便、電信、電話、放送、鉄道、水力発電等でありますが、これにつきましては、外国資本の
参加
を禁止いたしてあります。それから銀行業、鉱山業、石油業等につきましては、国家の安全及び
国民
の福祉上の見地から、
政府
が必要な場合統制を加えることができるということになっております。これ以外は全部、内
国民
に対しましても
外国人
に対しましても自由ということになっておるわけであります。それから、
職業活動
につきましては、公務員を除きまして、特に
外国人
を排する
法令
の
規定
はないわけであります。そういうようなことにつきましても、
先方
と話し合いをいたしましてこういう
規定
になっておりますので、ただいまお示しの二つの点がこれでもって
規定
されておるというふうに解釈いたしておる次第であります。
杉原荒太
67
○杉原
荒太
君 それは、そういうことであれば、それでけっこうだが、ただ、そこに至るまでには、初めからいきなりそこに行ったのですか。何かいろいろまず案としてはあって、たとえばほかの、アメリカとの
条約
とか、典型的な
一つ
の通商航海
条約
の作り方の場合、必ず二本立というか、ちゃんとことを分けて
規定
してある。それがまた私ほんとうだろうと思うが、何かそこへ、最初はそういう話もあったけれども、結局何か事実上そこに行ったとかいうふうな、そこのいきさつはどうですか。しかも、用語も同じで、
条約
に使ってある用語、つまり一種の法律用語が同じであって、違った意味に使われておる。アメリカとの通商航海
条約
の場合のコンダクトと同じコンダクトが使ってあるが、それと違った意味に使われておる。それの
説明
……。
牛場信彦
68
○
政府委員
(
牛場信彦
君) これは、
わが国
と
インド
及び
マラヤ
との間の同種の
条約
に先例がございますので、当方としましては、その先例によりましてこういう
規定
を申し出たわけでありまして、
先方
も、
アメリカ合衆国
との
条約
等におきまして、やはりこれと同じような書き方をいたしておりますので、この点につきましては、あまり意見の相違は初めからなかったわけでございます。
杉原荒太
69
○杉原
荒太
君 しかし、通商航海
条約
としては、営業権のところが一番大事ですから、本体的な
規定
ですから、私こまかくお尋ねするのだが、ゼネラリーという、「
一般
」にということ、なぜそういう言葉を特に……。それは制約の意味があるのか。
牛場信彦
70
○
政府委員
(
牛場信彦
君) これは、制約の意味でございませんで、むしろ範囲を何でもかんでもということを現わすために入れておりますので、これは、
インド
、
マラヤ
の場合もそうでありますし、今回も、
先方
とこの解釈につきましては意見が一致しておるということが申し上げられると思います。
杉原荒太
71
○杉原
荒太
君 もう
一つ
、具体的なことですが、この
条約
が
批准
された場合、この
条約
の
関係
からすれば、
パキスタン
において、
日本
人はお医者さんをやり得るのですね。そこはどうなんです。
牛場信彦
72
○
政府委員
(
牛場信彦
君)
先方
の医者に関する
規定
によりまして、
イギリス
の大学というように、特定の大学を出た者でなければならぬことになっておりまして、その意味におきましては、
日本
の大学を出ただけでは医者にはなれないということでございます。
杉原荒太
73
○杉原
荒太
君 この
議定書
の中には、第一条について、一条の
最恵国待遇
を
制限
して、
英連邦
のシチズンに与えるものについてはこれは当てはまらぬという
制限
がついておるが、五条については、そういう
制限
の
適用
はないのだね。
牛場信彦
74
○
政府委員
(
牛場信彦
君) ただいま申しましたように、一定の資格を定めます場合に、事実上
英連邦
の
国民
の方がその資格に適合しやすいという
規定
はあるわけでございますが、それ以外には全然ありません。
杉原荒太
75
○杉原
荒太
君 一条で、これは通商航海
条約
の非常に基本的な重要事項だが、ここに「
入国
」と、もう
一つ
、その前の、当該地方に「入ること」というのは、これは
入国
でしょう。これは違うのですか、この二つのこと。これは、ちょっと僕は奇異に感ずるのだけれども、これは「
入国
」だけでいいと思うのだが、どうしてこういうふうに、「入ることを許され」と、特にこの
規定
を置いて、そうしてさらに「
入国
」としたか、この「入ること」と「
入国
」ということとは実態が違うのか。
牛場信彦
76
○
政府委員
(
牛場信彦
君) これは同じことでございまして、結局、
法令
に従って
入国
ができるということをまず書きまして、それから、その
入国
及び海外旅行、居住等に関しては
最恵国待遇
を与えられるということでございまして、厳格に申しますと、あるいは少しダブっておるところがあるかもしれないと思います。
杉原荒太
77
○杉原
荒太
君 この
パキスタン
との
条約
は通
商条約
、航海の方のことは省いてあるのだが、事実上、何ですか、船舶
関係
というものは起こり得ないというのですか。どうなんです。
牛場信彦
78
○
政府委員
(
牛場信彦
君) 航海につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、
交渉
の当初から、当方は内
国民待遇
を要求する、
先方
は
最恵国待遇
しか与えられないということで、最後までもめた問題でございます。そこで、どうしても
先方
が
最恵国待遇
しか与えないということであれば、もしこの
条約
でそういうことをきめますと、これは他に対する影響が悪いということで、やむを得ず航海
条約
をこの
条約
からはずしまして、ただし、別途公文を交換いたしまして、これは参考として提出してございますが、この
条約
に不足する海運に関する取りきめを
締結
するための
交渉
を続いて行なうということを約束しておるわけでございます。しかし、現在のところは、
パキスタン側
は、海運に関しまして外国船と内国船の間に
差別
をいたしておりません。
杉原荒太
79
○杉原
荒太
君 もう
一つ
、今のを念のために、今言われた理由が私に、あまり何か、
牛場
君のは早いものだから、わからぬかったが、どういうことだったのか。
牛場信彦
80
○
政府委員
(
牛場信彦
君)
パキスタン
は、現在商船隊をほとんど持っておらないわけでございますが、これから自国商船隊を作って参って、外国
貿易
等にも従事したい。そうしますと、新興国の常といたしまして、少なくとも初めの間は、自国商船隊を特に
保護
いたしたいというために、内
国民待遇
を外国船に与えることはやらないのだということでございまして、アメリカに対しても、この問題はずいぶんもめたらしいのでございますが、結局
パキスタン
が拒否いたしております。
パキスタン
とアメリカの
条約
からも、航海
条約
はおっこっておるという状況でございますので、今回はやむを得ないところではなかったかと思います。
杉原荒太
81
○杉原
荒太
君 もう
一つ
最後に、念のためにお伺いしておきますが、
パキスタン
がアメリカと結んだ通商航海
条約
と今度の
日本
との間を比べてみて、どうなんです。全く違いないというものですか。もちろん、これは
待遇
の点についてですよ。どうなんです。
牛場信彦
82
○
政府委員
(
牛場信彦
君) アメリカと
パキスタン
の
条約
は、
パキスタン
が作りましたこの
種条約
の中で大体最初のものだったのでございますので、ずいぶん長く時間もかかりましたし、アメリカが非常に詳しい、いろいろなことを要求しまして、それが
条約
に載っておるわけであります。ところが、
日本
があとからやりましたものですから、
最恵国待遇
さえとっておけば、アメリカがいろいろ
パキスタン側
から取りつけた約束がそのまま均霑できる。これが、
パキスタン側
が
日本
とこの
条約
を結ぶことをしぶった
一つ
の理由であります。アメリカとはずいぶん長い
交渉
をやったのに、それをそのまま
日本
に均霑さしてしまうのは、いかにも耐えがたいという気持が少なくとも事務当局にあったようでございますが、これは、最後は
大統領
が見えまして、決裁が下されまして、この
条約
ができたような状況でございます。
パキスタン
とアメリカ
条約
がもし御希望でございましたら、テキストをごらんに入れられると思いますが、これよりよほど詳しい
規定
になっております。
杉原荒太
83
○杉原
荒太
君 大体今のでわかりますけれども、もう
一つ
、これも念のために尋ねたいのですが、
最恵国待遇
の
適用
のある事項ならば、その
最恵国待遇
だけをうたっておけばいいわけだが、その
最恵国待遇
の
適用
にならない事項について、アメリカとの間に何か
日本
と違ったような
規定
でもありはせぬか。その点だけ……。
牛場信彦
84
○
政府委員
(
牛場信彦
君) 少し違った
規定
がありまして、たとえば、社会
保障
の問題につきまして、三条のような
規定
がアメリカと
パキスタン
との間にはございます。
杉原荒太
85
○杉原
荒太
君 この
パキスタン
との
条約
でいっている職業的活動、プロフェッショナル・アクティブティーズというのは、いわゆる自由職業に限るのか。今まで、たとえば日米通商航海
条約
その他では自由職業というふうに、
日本
語では特にそういうふうになっておるのだけれども、ここで職業的活動というのはどういう意味なのですか。あるいはそれと違うのですか。英語では同じだが、
日本
語で違っておるだけか、
内容
、意味も違うのですか。公私の別があるのですか。
牛場信彦
86
○
政府委員
(
牛場信彦
君) これは、お示しのことと違っておりません。従いまして、自由職業の方が、理論としましては公務員としての活動なんかも入るわけでございます。
鹿島守之助
87
○
鹿島守之助
君 ちょっとそれに関連しまして。
パキスタン
と西ドイツとの間に投資
条約
ができているのですが、
日本
は、何かそういう
交渉
がありますか。
牛場信彦
88
○
政府委員
(
牛場信彦
君) まだそういう
交渉
をいたしておりません。
パキスタン
とドイツとの
条約
も、まだ
批准
になっておらないと思います。
鹿島守之助
89
○
鹿島守之助
君 将来西ドイツと
パキスタン
と
批准
した場合に、そういう場合に、何か
最恵国待遇
で、
日本
はそういう点均霑できるのですか。できないのですか。これは別問題ですか。
牛場信彦
90
○
政府委員
(
牛場信彦
君) これは、八条の送金の自由でありますとか、それから、第四条の公用収用の場合の
補償
、こういうような条項につきましては均霑できることになりますのですが、全体といたしましては均霑できないわけでありまして、もしそういうことが必要であれば、別にこれは
交渉
いたすほかないわけです。
鹿島守之助
91
○
鹿島守之助
君
日本
においては、そういうような、
パキスタン
と西ドイツが結んだような
条約
が考慮されておりますかどうか。ぜひ考慮してもらいたいと思いますけれども……。
牛場信彦
92
○
政府委員
(
牛場信彦
君) これは、西ドイツの法制上、外国とのそういう投資
保障
条約
がありますと、
国内
でもって、金融その他の面におきまして相当優遇されるということになっておるわけであります。
日本
はそういうようなことになっておりませんので、現在、そういうような投資
協定
まで結ぶ必要性はあまり感じておらないのでありますが、将来の問題といたしましては、あるいは必要になってくるかとも存じております。
森元治郎
93
○
森元治郎
君 航空
局長
がおいでになっておりますから、航空
局長
にお尋ねしたいのですが、スイス・エアの件ですが、話は旧聞に属するから、間違っているかもしれませんが、列国議会同盟が去年の九月にありましたときに、スイスの
国会
議員などと話をしたおり、それから、やはり九月の初旬ヨーロッパに行ったときの話で、スイスの何か、香港から東京間の乗り入れができるとかできないとか、大へん困っているのだ、どうしても日航の方でがんばって入れないのだといったような話を聞いたのですが、今あります二便が、スイスと
日本
とやっておりますが、何か、香港から東京間というのが、この二便のうちどっちかが来ているのですか。東京まで来るのですか。一方は東京まで、一方は香港までですか。
今井栄文
94
○
政府委員
(今井
栄文
君) スイスの
インド
洋回りの東京線につきましては、香港−東京間の積み取り権がないということで、二便とも同じ扱いで東京に入っているわけであります。
森元治郎
95
○
森元治郎
君 しかし、あなたの方からくれたやつには、チューリッヒを出発して東京までというふうになっておりますが、香港までなんですね。
今井栄文
96
○
政府委員
(今井
栄文
君) 一本は香港まででございます。
森元治郎
97
○
森元治郎
君 そのあとの一便をそれじゃ東京まで延ばしてくれという希望だと思うのですが。
今井栄文
98
○
政府委員
(今井
栄文
君) スイス・エアの現在東京まで来ているのは週二便でございまして、もう一便が香港まで参っているわけであります。その香港からの三便目を東京まで延ばしていただきたいというのがスイス側の要望のようでございます。
森元治郎
99
○
森元治郎
君 それを延ばす延ばさぬで、だいぶスイスの方では希望が強くて、小坂
外務大臣
、池田総理のところまで話が行っているように聞いているのですが、これを妨害しているのが、
日本
航空がエア・フランスと非常に緊密な提携をしているので、それと競争線になるから、あるいはお客さんを取られてしまうからというようなことも
一つ
のできない原因らしいのだが、
向こう
では、何かにつけて延ばしてくれということを言っている。私は、これによってお客が大へんに減るということはないのじゃないか、これは延ばしてやったらどうかと思うのですが、いろいろなきたないうわさも実は飛んでいるのを聞いているのですが、そういうこれはうわさですから、私は、この際ここでは取り上げませんけれども、DC6Bぐらいのものが入ってきたために、その他のお客さん、各航空
会社
、
日本
航空初め甚大な影響を受けて困るのだということにはならないのじゃないかと思うのですが、どういう工合に思っておりますか。
今井栄文
100
○
政府委員
(今井
栄文
君) 各国間の航空
協定
上の路線並びに便数の点等につきましては、各国とも、やはり自国のキャリアを
保護
する建前から、非常に
制限
的な立場をとって折衝するのが大体通例でございまして、特に各国の中でもナショナル・キャリアが比較的若い国につきましては、たとえば、
インド
あるいは
パキスタン
あるいは
日本
、あるいはドイツ等についてもそうでございますが、できるだけ自国キャリアの
保護
のために、外国の新線についても
制限
を加え、あるいはまた、
制限
を緩和する過程におきましても、いろいろなやはり自国キャリアに有利なバーゲンをするというのが通例でございまして、
日本
につきまして、現在東京に入って参っております各国の便数につきまして、いろいろな
制限
措置
を講ずる、あるいはまた、便数をふやさせるについては、自国側の要望を特定のものについては認めさせるような
措置
を講ずるというふうなことをやっているわけでございます。南回りの路線につきまして、スイス・エアの二便について私どもが増便をいろいろ今まで検討してやったのも、実はそういう
一般
的な、航空
交渉
上の
一般
のやり方以外の理由はございません。ただ、全般的に見まして、スイス・エアの一便を増加するという強い希望を持っております。かつまた、
日本
とも非常な友好
関係
にございますので、これを一便ふやさせるかどうかについては、目下さらに再検討いたしておるというのが実情でございます。
森元治郎
101
○
森元治郎
君 大臣に伺いますが、これは、大臣のお耳にも入っていると思うのだが、検討していることは前から検討しているのですが、この間大蔵省の何とか
局長
、偉い人があそこから回ってきた、これが、人の顔を見れば、延ばせ延ばせというようなことを言うらしい。いろいろな
関係
で、スイスとも、西欧
貿易
というようなことを池田内閣が言っておる
関係
上もありましょうが、これによって甚大な影響が
日本
の航空
事業
に与えられるとも思えない。急に今度はスイスの飛行機に乗りましょうということもない。大体私が見ていても、
日本
航空に乗る人が多いので、けちなことをいわないで、延ばさしてやったらどうかと思うのですが、大臣どうですか。
小坂善太郎
102
○
国務大臣
(
小坂善太郎
君) ただいま
運輸省航空局長
がお答えしたような考え方でございますが、われわれとしましては、全般的な見地からこの問題を友好的にとり上げて解決するということで、運輸省の方にもお話をいたしております。ただいまのところは、いわゆる前向きの姿勢で、実際の航空を担当する
技術
の点から見てどう処置したらいいかという程度のものが残っておるように了解しております。
木内四郎
103
○
委員長
(
木内四郎
君) それでは、他の
質疑
は後日に譲りまして、本日はこの程度で散会いたします。 午後零時十二分散会