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政府委員(今井
榮文君) 航空
局長でございますが、今般の
協定締結に関連いたしまして、現在の特に
日本を中心といたします国際空港の状況につきまして、簡単な御
説明をいたしたいと思います。
御
承知のように、
日本における国際空港は、現在東京国際空港を中心に運営されておりまして、大阪国際空港は、現在滑走路その他が狭隘のために、比較的小型の国際線の航空機がわずか離発着しておる状況でございます。
東京国際空港の現在の施設の概要を申し上げますと、現在わずかに二千七百メーターの滑走路が
一つと、それから、それと交差いたしまして、千六百七十六メーターの滑走路が一基あるだけでございまして、これに対応しまして、現在の飛行機が離着陸いたします場合に必要なエプロン、つまり通常バースと申しておりますが、こういったものの数は、現在は、三十五年度中の完成部分を入れまして、わずかに十四バースしかない
現状でございます。現在東京国際空港に離着陸いたします航空機の状況を申し上げますと、
昭和三十五年の暦年の統計によりますと、一月から十二月までの間に、国際線、国内線を合わせまして、大体ミトン以上、つまりビーチクラフト
程度以上の大きさの飛行機の離発着の回数が四万九千回でございます。それからまた、それ以外の小さな、新聞社その他の単発の小型機をも合わせますと、大体この一年間に七万回
程度のものが離着陸いたしております。こういうような状況でございまして、
一般の旅客の大体の入出国並びに国内における羽田を中心とする旅客の動きを申しますと、国際線の年間の旅客の数は、
昭和三十五年大体四十万四千二百人でございまして、一日に平均いたしますと、約一千百人が一日に乗り降りいたしております。それから国内線につきましては、日航、全日空等が主として運営いたしておりますが、東京国際空港の国内線
関係につきましては、旅客数は六十万人、一日平均いたしまして千六百四十人という数字でございます。従いまして、現れこの東京国際空港を利用いたしております旅客の総数は、国際線、国内線を合わせますと、約二千七百四十人ということになるわけでございます。こういうふうな、非常に旅客の増加する
傾向に対応いたしまして、現神羽田の拡張工事を急いでおりますので、現在羽州空洲の海域を埋め立てまして、新たに三千百五十メーター、幅六十メーターの滑走路を一基新たに作りつつございます。それから、これが完成いたしますと同時に、現在、先ほど御
説明いたしました二千七百メーターの滑走路も、三千メーター、約一万フィートの滑走路にこれを延長いたします。そういたしますと、現在最大の旅客機でございますボーイング707あるいはタグラスのDC8という大型ジェット旅客機が十分な搭載量を持って完全に離着陸することができる滑走路が二基完成いたすことになります。また、エプロンの数にいたしましても、先ほど、三十五年度中に十五バースと申し上げましたが、大体において約その二倍、三十バースまでこれを増強いたす予定でおります。こういうふうにいたしますと、大体におきまして、私どもの観測によりますれば、今後国内線が約一五%から二〇%、それから国際線につきまして約一一%
程度の旅客の増加が年々あると見込みましても、今後約十年間は、羽田の東京国際空港におきまして、十分に国際線並びに国内線の航空機の離着陸を消化できる。こういうふうに
考えておる次第でございます。
さて、この別際空港を中心にいたしまして、
日本航空は現在どういうふうな国際線の運営をやっているかという点について、簡単に御
説明いたしたいと思います。
日本航空は現在、御
承知のように、主として
アメリカの西海岸に参ります太平洋線と、それから東南アジアに対しまする各種の路線を含めまして、両方面に現在路線を運営いたしておるわけでございますが、
アメリカに対しましては、お手元にお配りした資料にもございますように、シアトル並びにサンフランシスコ及びロスアンジェルスに対しまして、合わせて九便の運営をいたしております。それからさらに、それに対して貨物専用機を二機運航いたしまして、週二便をやっております。従いまして、
アメリカに対しましては現在貨物専用便をも合わせまして、十一便をやっているわけでございまして、そのうちの貨物を除きます旅客輸送につきましては、昨年入手いたしました大型のジェット機でありますダグラスDC8を使用いたしております。東南アジアの方につきましては、お手元の資料にもございますように、東京、香港。あるいは東京から大阪を経まして、台北、香港。それからまた、東京から香港、バンコック、シンガポール路線。あるいは、東京から那覇を経由しまして香港、バンコック、シンガポール路線。それから、東京から大阪、那覇へ行く路線、それから、福岡から那覇へ行く路線というふうなものを合わせまして、約十便
程度のものを運行いたしておるわけでございます。で、特に日航といたしまして最大の今印の課題は、北極回り欧州線を開設することと、それからまた、来年の一月ころに予定しておる南回りのヨーロッパ線の解説の準備ということが、今日の最大の眼目になっておるわけでございます。このために日航は、現在BC8を四機持って、先ほど申し上げました太平下線の運航をやっておるわけでございますが、それ以外に、本年にBC8をさらに一機入手いたしますと回田に、東南アジア線の運営と、それから、南回りの
インド洋経由の欧州線の開設のために、コンベア880という、いわゆる中距離中型ジェットを三機購入することになっております。で、これが来年度の資金計画では、さらにコンベアの二機を入手いたし、それからまた、BC8をさらに一機追加するということでございまして、日航の国際線の機材計画は、現在のものと今後の入手手当をいたしておるものとを合わせまして、大型ジェットであるダクラスBC8を六機、それに中型ジェット機でございますコンベア脚型を五機というものが、現在の一応具体化しておる機材計画でございます。
それから、
日本に現在乗り入れております外国の会社は、お手元にお配りしてある資料にもございますように、現在日航を除きまして十五社の会社が現在
日本に飛来してきております。その最大のものは
アメリカのパン・
アメリカンでございまして、
アメリカ西海洋、並びに
アメリカから欧州を経由して、
インド洋を経由して東京へ入って参りますものを合わせまして、現在十便、それから、同じく
アメリカのノウスウェスト会社の
日本への乗り入れ並びに
日本から東南アジア方面あるいは
韓国方面に対する便数を合わせて、これが十七便、それから、イギリスのBOACが、サンフランシスコを経由して、太平洋を越えて東京へ飛来してきておりますものが三便、それから
インド洋経由のイギリスからの東京への直行南回り便が六便ございまして、これが九便、それからエア・フランスが、現在北回り二便と、それから南回りが三便で、最近一便増便することが決定いたしておりますので、これが全体合わせて六便になるわけでございます。こういつたところが主たるところで、それ以外に、キャセイ・パシフィックであるとか、あるいはSAS、KLM、スイス・エアのSR、エア・インデア、豪州のカンタスというところが、それぞれ四便ないし二便というものを南北合わせてやっておる状況でございまして、全体を合わせまして、
日本にやってきております外国航空会社の便数は、一週間に約七十という便数を数えておる次第でございます。従いまして、日航の東京を中心として運営いたしております便数と合わせますと、国際線について約百便
程度のものが
日本を今中心にして動いておる、こういうふうに言えると思います。
それから、特に最近新しく加わりましたのはルフトハンザでございまして、今般外務省の方から
協定の御審議をお願いいたしております
内容の
一つでございますが、ルフトハンザが、本年の一月の下旬から、フランクフルトを起点といたしまして、南回り
インド洋を経由いたして参っております便が、週二便新たに加わっておる状況でございます。
それから、特に今後外岡との
関係で重要な問題と
考えられまするのは、日航のこの欧州線経営後における
アメリカ経由世界一周線の完成に対する今後の
アメリカとの特に
交渉関係でございますが、これは、特に外務省の方にもお願いいたしまして、でき得る限り早い機会に、日航のニューヨーク乗り入れ問題について、
アメリカ政府と
交渉を開始していただくようにお願いをいたしておるわけでございまして、ニューヨークの起点を日航が取り得ることが、日航としての世界第一流のキャリアになり得る最後の目標であるというふうに私どもは
考えておるわけでございます。
それから最後に、最近の国際航空界における非常に顕著な事例といたしまして、御
承知のように、従来ダグラスの7Cであるとか、あるいは6Bであるとか、あるいはスーパー・コンステレーションであるとかというふうなプロペラ機、あるいはまたプロペラ機とジェットをコンバインいたしましたターボ・プロップという飛行機が、大体国際航空の機材としての主力を形成いたしておったのでございますが、最近は、非常に急激に大型ジェットがふえて参りまして、ICAOの統計資料によりますと、
昭和三十三年の末に航空会社に引き渡されたジェット機はわずかに十二機であったのに対しまして、
昭和三十四年の末までにはそれが百三十機になり、
昭和三十五年の末にはすでに三百機に及んでおるという状況でございまして、
昭和三十六年の末、つまりことしの終わりまでには六百機に達する見込みであるという状況でございまして、
日本を中心といたします国際線につきましても、ほとんど全部が、本年末をもってジェット機に代替されるというふうな状況でございます。こういうふうなジェット機の
傾向に対応いたしまして、ジェット機の一機の購入費が非常に高額であるということと、塔載量が非常に多いというふうな
関係からいたしまして、各航空会社が、国際的に
一つの共同通常の
傾向を顕著に示しつつあるというのが非常に大きな最近の特徴でございます。これによって、機材の共同購入をやるとか、あるいはまた整備についても、共同施設を作るとか、あるいはまた運賃その他についても、両社でブール計算をやるというふうな
傾向が非常に強くなって参りまして、
日本航空が現在フランスのエール・フランスと
事業提携をやっておりますが、欧洲の内部におきましては、このエール・フランス、ルフトハンザ、それからイタリアのアリタリア、それから、ベルギーのサベナ、この四社が共同いたしまして、西欧エア・ユニオンというものを形成して、今後
一つの大きな
制度になろうとしておるわけでありまして、現在
日本航空がエール・フランスと提携しておりますことは、間接的に
日本航空はこの西欧エア・ユニオンのグループと関連を持つというふうな形になってきておるわけであります。それからまた、イギリスのブリティッシュ・コンモンウェルスの系統といたしましては、BOACあるいはカンタス、エア・インディアというものがやはり
一つの共同体を形成いたしております。それからまた、東欧でございますが、東欧につきましては、東独、チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア、ユーゴスラビア、この六カ国が東欧ユニオンを今形成すべく計画をしているようでございます。それ以外に、中南米諸国においてもそういう動きがあるという状況でございます。機材の状況、また、そのジェット化に対応いたしまして、国際航空機は大きな
一つの転換期に向かいつつあるということが言い得るのではないかと思われるのであります。
簡単でございますが、以上をもって私の補足
説明を終わりたいと思います。