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1961-02-23 第38回国会 参議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十三日(木曜日)   午前十時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事            青柳 秀夫君            井土 清一君            鹿島守之助君            森 元治郎君    委員            草葉 隆圓君            笹森 順造君            永野  護君            野村吉三郎君            堀木 鎌三君            加藤シヅエ君            松澤 兼人君            羽生 三七君            曾祢  益君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    法制局長官   林  修三君    外務政務次官  津島 文治君    外務省アジア局    長       伊關佑二郎君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    外務省条約局長 中川  融君    外務省国際連合    局長      鶴岡 千仭君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢等に関する件)   —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  本日は、まず国際情勢等に関する調査を議題にいたしたいと存じます。順次、御質疑を願いたいと思うのでありますが、通告によりまして、佐藤さんにお願いします。
  3. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 この二、三日来、松平大使発言問題について、だいぶ世間注意を引くようになりました。衆議院でも予算委員会においていろいろな質問が出まして、かたがたこの問題が一そう世間からも重要視されるようになってきたように感じられるわけでありますが、私は、松平大使をよく知っておる一人でありまして、大使の人となりその他について十分承知しておりまするし、また、多くの面において敬服しておる一人でありますが、従って、松平大使の言われたことというものは、大使国連において重要な仕事をしておられるし、その間において感じられたことを率直に話をされたものと了解するのであります。国連大使として会議に出て、表向きに行動されるというような場合には、むろん政府訓令ないしは方針に従って物事を運んでいくべく努力をされるということは、これは、松平大使に限らず、どなたが国連大使になられても同じことでなければなりません。しかし、そうかといって、松平大使なら松平大使として、個人としての意見を持ち得ないということは、これはあり得ないことだと思います。いろいろ外国の代表たちと折衝し、その間に、自分個人としてはこういうふうに考える、日本政府としてはこうあってほしいというような感じを持つということは、これは、当然そうあってしかるべきことだと思うのであります。  そこで、この間の外務省において開かれたと聞いておりまする外交問題研究会でありますか、そこで大使発言されて、そしてコンゴー問題に対して自衛隊参加をするということは、国連中心主義に立っている日本としては筋の通った考え方であるというような意味発言されたと、私は新聞で承知しておるだけの話でありますが、そういうふうに理解するのであります。私は、この外交問題懇談会というものの性質をよくは存じません。しかし、そこは朝野のいろいろな重要な地位にある方々の集まりであって、多分これは外務省が主催しておられるのだと思いまするが、そこでは、各人が自由に自分意見を発表し、かつまた、お互いにその意見に某づいて意見交換をしていく、その間に、日本外交方針というものはどういうふうに持っていかなければならないかということをお互いの間で研究し合っていくというようなことが、懇談会目的であろうかと思うのであります。でありまするからして、そこでは、何人も自由に自分意見を発表することができるはずでありまして、大臣意見がこうであるからとか、あるいは政府意見がこうであるからといって、自分個人としての意見までも曲げてその懇談会に臨まなければならないという、そういった性質のものでは私はないと思うのであります。従って、そこで述べられた松平大使意見というものは、それは大使としての意見であって、たまたま外務省方針とは違っておる面もあったと思うのでありまするけれども、違った面があるならあるで、どうしてそれが違っているのであるか、また、そういったような違った意見を持たれるということは、日本にとってどういうような影響を及ぼすものであるかというようなことをお互いに研究していくというのであれば、私はわかるのでありまするけれども、そこで発言した個人意見を直ちに取り上げて、そうしてこれは政府意見と違っておるからといって、松平大使言動を非難したり、あるいは進んでは、そういう政府と違った意見を、木国政府と違った意見を持っておるような国連大使は罷免しなければならないというような意見さえも出てきたと新聞で承知しておりますが、これは私は、とんでもない話だと思うのであります。自分意見をそういうふうに自由に意見発表機関である場所でもって発表したがために、すべての責任を負わなければならぬというようなことは、それは私はあり得ないことだと思うのであります。  従って、昨日の衆議院予算委員会外務大臣が答弁されておる中に、松平大使に対しては厳重戒告を加えておいたということを言われたのでありまするが、これがどうも私にはふに落ちない。自分自身自由に意見を発表することができるそういう場所において、自分意見を発表した。それがたまたま政府方針とは違ったがために戒告を加えるというようなことは、ちょっとこれは筋違いじゃないか。それこそ私は、大臣筋違いじゃないかと思うのであります。そういう点に関しましての大臣の御意見も後ほど伺いたいと思うのであります。  しかし、私が申し上げたいと思うこと、そしてそれに対して大臣の御意見を伺いたいと思うことは、国際警察軍というものがもうすでに重要な意味を持ち始めておりまするし、将来はますますそういう特殊な存在を必要としてくるであろうし、また従って、国際警察軍なるものの制度が年とともにだんだん重要さを加え、かつ固まっていく性質のものではなかろうかと思うのであります。私は、国際警察軍という考え方にはもともと大賛成でありました。おそらく、非常に口はばったいことを言いまするが、日本最初国際警察軍という名前でもって事を論じたのは、私が初めではなかろうかとさえ思っておるのであります。それは、朝鮮事変の際にさかのぼるのでありまするが、あの事変が起きた直後、私はある新聞自分意見を発表したのであります。世界の平和を維持するというためには、どうしても国際警察軍という考え方で行かなければならないし、そうしてそれが朝鮮動乱によって思いがけなく初めて実現されたのである、こういう考え方は今後も助長していかなければならぬことであるし、それには、日本国連とともに立っていかなければならぬという立場にある以上は、この国際警察軍というものに関して重要な注意を払わなければならないし、私、それこそ個人意見でありまするけれども、よその国が国際警察軍参加をして、そして朝鮮動乱でもって平和への克服に努力をしておる。それには、全く朝鮮には関係のない国々さえもあの連合軍の中に加わっておる。たとえば、エチオピアのごときも派兵をしておる。中央アメリカ、国の名前ははっきり覚えておりませんけれども、たしかパナマであったと思います。そういう国さえも朝鮮動乱国連軍参加をしておるというようなわけで、自分の国の利害関係から言いまするならば、全く関係のないと思われるような国でさえ、できるだけの兵隊を出して、そして国連軍参加をしておるというような場面がそこに出てきたわけであります。それというのは、ひっきょうするのに、いわゆる世界の平和は一つであり、どこで動乱が起きようとも、それは世界全体の問題になるのであるからして、動乱が起きた場所国連警察軍が出動するということであるならば、自分たちも手伝わなければならぬという、そういう考え方から出発しているわけでありまして、これは私、これから先の世界の平和を維持していくという上には最も重要な考え方でなければならぬと思うのでありまして、そこで日本は、しからば、その国連軍とどういうふうに協力することができるかと言いまするならば、日本も、法令の許す範囲内において、できるだけの協力はしなければならぬと、これは、国連憲章がそう命じておるからでありまするが、実力をもって援助をするということができるかどうかということにつきましては、これは、日本憲法規定があるし、自衛隊規定があるし、いろいろな制約があるからして、直ちに他国並み派兵をするというようなことはできないことであろうとは思いまするけれども、そうかといって、国連軍なるものがそれほど重要なものであるとするならば、日本が袖手傍観、国連軍の組成はほかの国にまかしておけ、自分は何かそのほかのもっと楽なことで手伝っていればいいのだというような考え方では相済まぬと思うのであります。それはなぜかと言いまするならば、極東の平和の維持、つまり、端的に申しまするならば、極東の平和の維持に関しては、日本も、これだけの日本になった以上、重要な責任を持っておるということはあたりまえな話でありまして、しからば、その平和の維持のために国連軍が出動したというような場合に、自分は何もできない、いや、実力をもってすることはできない。ほかの国にその点はお願いしておくのだというようなことでは、大国日本として責任は果たされていないようなふうに私は感ずるのであります。ある人のこれは直言でありまするけれども日本割勘を払わないで、うまいものだけ食っているというような、そういう批評さえも伺ったようなわけでありまして、事実その通りの結果が現われてきつつあるわけでありまして、さりとて、この憲法第九条の規定、これを直ちに曲げて解釈して、派兵するということは、これはできない相談と思うのであります。  そこで、朝鮮動乱の際に私の立てた意見は、はなはだこそくな意見ではありまするけれども日本は、国として派兵をしたくてもできないのでありますが、個人国連軍に応募するということは、これは一向差しつかえないはずのものであります。そういう意味においての、日本国としてでなく、日本人としての協力は、これは考え得ることでなければならぬというような意見を私書き添えたことがあったのであります。しかし、この私の当時の意見は、だれの注意も払わないで今日に至ったわけでありまするが、あにはからんや、国連警察軍というものがだんだん進展して参りまして、スエズの問題にも国連警察軍が出まして、イスラエルとアラブ諸国との間の紛争に際しても国連警察軍が出動したというような関係があり、今後ますますその重要性が加わってくるだろうと思うのであります。  そこで、私は政府にお伺いしたいということは、そういったような国連警察軍であるとしたならば、日本政府としても、この国際警察軍というものを重要視しなければならぬ、これを重く見なければならぬということを政府としてお考えになるかどうか。そういう点であります。これは、はなはだ子供っぽいような質問かもしれませんけれども、しかしながら、国連参加し、参加国の中でも重要な地位を占めておる日本としましては、その国連警察軍なるものに払う注意の程度というものは、これは非常に重要な意味を持つと思うのでありまするからして、まずもって政府としては、この国連警察軍をどう見ておるのかということをお伺いしたいと思うのであるし、さらに遊んでは、国際警察軍に直接実力をもって参加することができないとしたならば、そして割勘だけは何とか払わなければならない、全額でなくても、半分ぐらいでも払わなければならぬというような考え方になるとしたならば、どういう手段方法でもってその目的が達せられるかというようなことについて、政府としても真剣にお考えになるということが必要でなかろうかと思うのであります。  そういう点につきまして、まず外務大臣のお考えを伺うことができれば幸いだと思います。
  4. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いろいろ御意見を承りまして、私も大いに考えるところがあるわけでございます。  最初松平君の問題でありまするが、これは、私ども衆議院の方で申したのでありますが、例の外交問題懇談会というものは、これは、政府諮問機関ではございませんで、外交というものをほんとうにうまくやっていくためには、政府考えをできるだけ国民各層に知ってもらわなければならぬ。と同時に、政府としても、国民有識者各位からいろいろと助言を得なければならぬ。その間に国民政府国際問題に対する理解を深め、また、その間に処する考え方について、できるだけ知り合った上で、一つの力になって日本地位を高めていかなければならないということから、ああした懇談会を作っておるわけでありますが、これは、今言ったような趣旨で、全く自由な発言をし、その発言の過程を通じて、今のような理解政府国民双方において深めていく、しかも、放棄についても、よりよいものを生み出していくように、お互い考えるという機関でございまするので、この中においては、全くオフ・レコということで、自由な話し合いをしているわけでございます。そこへ松平君が参りまして、彼も、そうした気持で、国連大使として長く国連に出ておりまして、国連の事情というものをできるだけそうしたメンバーの方々には知っていただきたいという気持があっていろいろ申し上げた。すなわち、国際社会の要請というものは、国連の場においてはどういう形で現われているかということを知っていただきたいと思ったのであって、純粋に個人的な気持を申し上げ、いささかでも政府なり政党なりの政策を批判するという意味で覆ったわけじゃない、こういうことでございまして、しかも、その中で言うたことについての記者会見を求められたので、そうしたことを話したということを言ったところが、非常に問題になっておりますので、恐縮しておる。そこで、自分個人として言ったことでも、やはり国連大使として言ったこととの間になかなか誤解を生じやすいので、しかも、外務省外交問題懇談会のお世話をしておりますので、庶務をつかさどっているわけで、従って、外務省の建物を使っておるということから、場所柄といい、また、表現の方法といい、誤解を生じやすいことがあるので、不適当であった。こういうことでございましたから、強く、そういうことは一つ気をつけてもらいたいという注意をいたしたわけでございます。まあ戒告という言葉が多少強い響きがあるかもしれませんが、非常に強く注意をした、こういうことでございます。で、やはり今お言葉にありましたように、先方におりますと、なかなか日本国連外交というものは、彼自身としては、かねがね非常に一生懸命にやっておるし、まあ成果も上がっておると確信しておる。ところが、なかなかそういう点がわかってもらえない。まあそういう気持で、国連における自分感じとして、こういうこともできれば、さらにもっと自分らはやりよくなるという場合も感じられることもあるということを申したのだと私は理解しておるわけでざいます。あくまでもこれは個人気持であって、その個人がどういう気持を持つかということについて、やはり場所柄、いろいろ問題にならぬようにした方がいい場合もございましょうけれども、このこと自身をとがめることはどうかということ、このことを何も言うてはいけないということにしては、これはまた、言論も暢達できぬことになろうかと思うのであります。そこで、まあ私といたしましては、国会に対する責任は私負うわけでございますし、国連大使としての行動というものは、これは政府訓令によって行動するわけでございますから、まあこの点については不問に付していただきたいということを昨日衆議院でも申し上げたようなわけでございます。  そこで、今お尋ねの、この国連国連軍というものは、警察軍として非常に重要な役割を持つようになってきている。その場合、政府はどういうふうにこの点見ていくかということでありますが、まあ現在のそうしたものに協力する場合、考えられるのは自衛隊でございますが、自衛隊には自衛隊法建前があって、そういうことはできぬわけでございますし、それから、憲法自身制約があるわけでございます。いやしくもそうした海外派兵にまぎらわしいような行動をとることも、これは、私どもとして、方針としていたさない考えでおりまするので、できるだけ一つ国連における国連警察軍というものが警察的なものに将来成長していくような、そういう方向で日本はこれを考えていく、そしてまあ費用の点なり、またその技術的な面といいますか、そういうものにおいてできるだけ協力していくということが、現在の法制上の建前からしてとり得る限度であって、その上でできるだけやっていく以外にない、かように思っておるわけでございます。
  5. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 まだ少し私いろいろ質問を続けたいと思います。よろしゅうございますか。  じゃ、ただいま伺いましたことによって、だいぶ私の懸念は薄らいだように思いまするが、私が想像しておったごとく、今の交外問題懇談会というものは、自由に意見を述べ得る機関であるし、また、それを目途として作られた懇談会であるというふうに外務大臣の御説明がありました。それでなければ私も意味をなさないと思うものでありまするからして、そこで述べた意見というものは、自由な立場でもって述べられるべき意見であって、それが一々外部に取り上げられるような心配があるとするならば、だれもまじめに自分意見を吐露する人はなくなってくるだろうと思うので、そういう点で、その懇談会ということは、今後も自由な意見交換場所として助長発達せしめられるように、私としては希望せざるを得ないのであります。  また、国際警察軍というものの考え方、これは、いかに進歩した平和的な国でありましても、国内警察制度というものがどうしても必要であって、警察を持たない国というものは、いかな文明国でありましても、その例を見ないというようなわけであります。これから先、国際間におきまして軍縮の問題がだんだん進んでいくであろうし、また、いかなければならぬと思うのであって、しからば、その半面には、どうしてもやはり国際警察軍国内において警察が必要なごとく、国際警察軍というものが必要になってくるし、また、この制度を尊重していかなければ、軍縮目的を達成するというわけにもいかないというようにも思うのであります。そういうようなわけでもって、軍縮の問題と国際警察軍の組織というものとは、両々相待って進展していくべきものであろうかと思うのでありまするが、そうであるとするならば、日本政府においても、この国際警察軍の助成という問題に関しては、やはり真剣に取り組んでいただかなければならぬと思うのであります。ただ、憲法その他の制約があるために、日本政府としては、どれだけのことができるか、またしなければならないかというようなことについても、これはまじめに一つ研究を進めていただくというようにお願いしたいと思います。
  6. 羽生三七

    羽生三七君 佐藤さんから、ただいま松平国連大使発言についての御発言がありましたので、これに関連をして、符に今佐藤先生からお話しになった問題を、こまかいことから先にお尋ねをしたいと思います。  今の御発言で行くと、大使がどういう発言をしようとも自由であるというふうにとられるのでありますが、私は、この松平発言は、憲法九十九条に規定する、公務員憲法を尊重し、擁護する義務を負う、これに違反しておると思います。法制局では、憲法についての意見を述べることは自由である、こう解釈をいたしておるようでありますが、私は、その問題とこれとは根本的に違うと思います。憲法についての疑義について意見を述べる場合と、憲法で明白に規定されておることに違反をする発言を行なうこととは、根本的に問題が違います。だから、憲法あり方は、ここにはこういう問題があるから疑問があるという発言と、現に憲法規定されており、明白である事実について、これに反対する発言を行なうことは、私は明白な違反であろうと思います。特に、外交問題懇談会発言だけではないのであります。記者会見で、これを公然と天下に周知せしめておる。だから私は、この意味で、松平発言は単なる個人の普通の談話という性質のものではなくして、私は大へんな違反をしておると思いますが、その点はいかがでありますか。
  7. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 外交問題懇談会で話したことは、オフ・レコで話したことになっております。ですから、それを一体記者会見で言うことが、まあ私に言わせればおかしいのです。私は、その点を特に、場所柄といい、用語といい、まあそうも言えませんから……そういう気持で言っておるのでございます。そのことは非常に不適当だったと私は思っております。従って、それは戒告したわけであります。
  8. 羽生三七

    羽生三七君 法制局長官、これは公務員法違反しませんか。憲法違反であるかどうか知りませんが、とにかく九十九条違反だと思うのですが。
  9. 林修三

    政府委員林修三君) これは問題が、松平国連大使発言自身、私も実は確かめたこともございませんから、これが憲法違反かどうかということは、実はあの新聞に出ただけでは断定はできないと思うのであります。従いまして、その第一の命題が成り立たなければ、第二の命題にも実は私は意見が言えないことになるわけでありますが、公務員としては、憲法を擁護する義務があるわけでございますから、公務上においては、それはもちろん憲法を無視するような言動をすべきものではない、これは当然のことでございます。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 今の問題は、それである程度明白になったと思います。  次に、政府の常日ごろ言っておる国連外交強化ということは、国連軍軍事的協力をするということにつながるのかどうか。これは私、今後の日本外交国連協力あり方という観点から見て、相当重大だと思いますが、この国連外交強化ということは、国連軍軍事的な協力につながる問題であるかどうか。そういうことと関係がないのかどうか。将来の展望も含めてお尋ねをいたします。
  11. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 国連強化策というものと軍事上の協力というものと関係があるか、これはございません。日本はさようなことをする建前にはございませんから、それを除外して考えております。だから、先ほどの御質問に関連してでございますが、松平君の外交問題懇談会で話したということは、これは公務としてやったものではございません。全く純粋に個人的な意見、しかも、国連の場において感じている自分感じを述べた。この点にすぎないと考えております。その事柄の本質はそういうことであります。そういうことを具体的に述べて、いろいろと世間を騒がすということはまずい。こういう見解であるわけであります。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、重ねてお尋ねいたしますが、政府国連外交強化策というものは軍事的協力につながるものではない、将来ともですね。そう理解してよろしゅうございますか。
  13. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただ、佐藤委員からの御質問にお答え申し上げたように、国連軍というものを、軍縮問題と関連して、ほんとう国際警察的な役割をするものになるように、何らかの方法でそれに協力する。将来そうなった場合には、これはいわゆる軍というものに対する考え方も変わっていくのではないかという考えは持っております。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 その問題も、先ほど佐藤先生の御意見を承り、また、外相の御答弁を承って、その点でも根本的に明白にしておかなければならぬ問題が一つあると思います。それは今、今後完全軍備撤廃が行なわれて、今の国連の機構と全く異なった世界警察軍、このものができた場合と、現在の国連の中で、何らかの制度上の変革を行なって国連警察軍というようなものを作る場合と、私は根本的に違うと思う。だから、この点は、今のままで名前を変えたり、ちょっと形を変えたりして警察隊を作る場合と、完全な軍備撤廃後に、新しい治安部隊という形で警察軍が発足する場合と、私は根本的に違うと思う。その後段について私はかれこれ申しません。われわれとしても、後段についてはいろいろ考えるところがありますから、かれこれ申しませんが、前段の、現在の場合における国連警察軍に対する協力という問題については、これは明白に区別して、しかも、日本憲法上、国内法上の完全な制約を受けている。私はこう解釈いたしておりますが、いかがでありますか。
  15. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 大体においてそういう考え方でございますけれども、ただ、国連の決議に基づきまして、武力の行使を伴わない、純然たる平和目的、たとえば選挙の管理というような場合にどういうことになりますか。この点は、法制局長官から正確にお答えした方がいいかと思います。
  16. 林修三

    政府委員林修三君) 今、羽生先生のおっしゃった後段の場合に、いわゆる相当違った観点で考えるべきことは、これはおっしゃる通りだと思います。理想的な将来の国際社会考えて、いわゆる国内社会と同じような意味の治安の維持機構というものに国連がなった場合、その場合における国連行動というものは、いわゆる従来の観念の戦争とか何とかと全く違った観念になります。こういう場合において、憲法九条との関連がないということは当然だと思います。ただ、現在の国際社会は、実はそこまで行っていないわけでありまして、そういう現段階の国際社会において、いわゆる国連警察軍というものと日本憲法あるいは自衛隊法関係になりますが、これは、現在の段階においても、いわゆる国際警察軍ということを一口に申しましても、実は一口に言えない性格を持っていると思うのであります。現に、同じく国連軍と申しましても、いろいろ、朝鮮事変の場合あるいはスエズの場合、レバノンの場合、コンゴーの場合、それぞれ目的も性格も組織も違っているように思います。従いまして、これを一律にどうこうということは、私は言えないと思っておるわけであります。従って、やはり日本憲法の趣旨で、つまり九条一項で戦争を放棄したということの趣旨との関連においてやはり考えるべきだと思うわけでありまして、この国連軍なり国連警察軍の組織から申しまして、純粋に警察的な行動をする、軍事的な行動をとらないというようなもの、あるいは、その組織からいって、各国が主権を保持しつつおのおのの国の軍隊として出て行くのではなくして、いわゆる国連というものの一つの軍隊といいますか、そういうものに各国が兵力を供出し合って作るというふうな場合、スエズの場合そうだと思いますが、そういうような組織にする場合、これはまた区別して考えなければならない場合があると存じます。それから、たとえばレバノンの場合のように、全く監察だ、監視だ、国境紛争のオブザーバーみたいな性格を持っている、こういうもの、おのおの任務とか組織とか、そういうもので、それぞれ個別的に考えていく必要があると私は思うのであります。最も典型的な例で、いわゆる憲法九条との関係も全く出てこないものを考えれば、たとえば、ある国とある国の間に国境の紛争があって、その国境をどちらに確定するかについて選挙をやらなければならない。その選挙をやるについても、治安の維持を守る必要がある。そういう場合国連が出て、警察力をもって治安を維持して選挙を執行させる、こういうものは全く憲法九条と関係ないわけでありまして、そういうようなこともあり得るわけであります。これは、私は一口には言えないと思います。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 この質問は、外務大臣お尋ねするのはいかがかと思いますが、そもそも自衛隊そのものが、憲法の拡大解釈から止まれて、際限のない拡大解釈を続け、際限のない発展をしておると私は思います。従って、そういう立場にある今の状況から考えると、あるいは監視団の派遣とか、オブザーバーという形で、しかもこれは、平和事業に対する協力で、公務員の海外出張、こういう形で、やはり今の自衛隊と同じような意味で拡大解釈をして、そうして将来抜け穴を求めていくという危険はないことはないと思う。だから、私のお尋ねしたいことは、この拡大解釈によって、解釈いかんによっては、オブザーバーとかあるいは監視団の派遣も将来あり得るのかどうか、私はやはり明白にして、その点、内外の疑問を排除していく必要があると思いますが、あとからもうちょっと申し上げますけれども、この点は将来とも、法の拡大解釈によって、憲法はどうか知りませんが、国内法の拡大解釈によって、オブザーバー、監視団の派遣等を行なうことは絶無かどうか、あり得るかどうか。
  18. 林修三

    政府委員林修三君) それは、実はレバノンの際にも問題になったことでございまして、これは衆議院でございましたが、私もお答えしたことがあります。憲法上は、今言ったようなことを実はお答えいたしました。ただし、現実の国内法として、自衛隊、自衛官の派遣が可能かという御質問がございまして、今の自衛隊というものが、よその国のほんとう意味の軍隊ではない、日本の国の自衛隊というのは、自衛隊法によって任務が限定されている。従って、それをそのままの形で国際機関協力させるということは、今の国内法上はできないのではないか、かように申したことがあるわけでありまして、現在の国内法の組織から言って、外務省というものがそういう場合において国際協力の窓口になります。結局外務省の職員でなければ参加できない、かように考えております。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 ほかの方の発言もありますから、なるべく簡潔に、もう二、三点伺いますが、この問題については、私は根本的に一つ明らかにしておくことが必要な問題があると思いますが、国連における協力ということが、軍事義務を伴わなければ発言力は弱いという松平発言、またそれに賛成される向き、これは私、感覚的に非常に大きな誤りを犯しておる。それは、防衛力というものが軍事力だけという考え方に通ずるもので、私は、日本国連協力というものが、軍事的協力がなければその発言力が弱いという感覚は、非常に時代的に古いと思う。先ほど遊ぶときに遊んで割勘を払わぬという国が日本だというお話がありましたが、それは、見方によっては、逆に、場合によったら、金はないけれども、私は米を出そう、あるいはお茶菓子を持参しよう、これはあるのです。これは世間に幾らでもあります。ですから、日本が、今言う通り、そういう割勘で、現なまを出すことができなければ、そのかわり米でもみそでもお茶菓子でも一つ出そう、そういういき方があり得る。日本の現行憲法規定国民感情からいって、むしろその道をとるべきである。しかも世界中が、日本にああいう憲法があることを承知で講和条約を認めて、調印している。何も異議を唱えた国はないのです。むしろ日本が率先して、今の日本憲法をむしろ誇りとして、その立場で私は協力すべき点は幾らでも協力できると思う。そういう意味で、先刻も申し上げましたように、あるいは経済的な協力なり、あるいは医療その他医師団の派遣とか、そういう形での協力も幾らでもあり得る。あるいはさらに、AA諸国と東西間のあっせんをする。そういうことで、目に見えない緊張緩和のための努力をさらに一そう重ねる。これが私は日本の置かれた立場における国際協力であろうと思う。それを何か、三十人や五十人の軍隊を日本が出そうと出すまいと、そんなことは世界の大勢に影響ないのです。全然ありません。そんなことで日本の評価がきまるというわけではない。そのことがすでに感覚的に私は古いと思うので、日本立場を明白に明らかにしつつも、しかも協力すべき範疇、協力の重点をどこに置くかということで、平和的な今の私が申し上げたような諸問題についての協力を続けていくことが、真の国連外交日本国連強化につながる私は基本的な問題だと思う。だから、その点を忘れてしまって、憲法の解釈だ、国内法の解釈だということを続けておれば、必ずどこかに抜け穴を探して、どこかに食い込んでいこう、こういうことになると思う。しかもそれが、五十人や百人の人間が出て行っても、世界の大勢には何も影響ないのです。だから、私が申し上げた道で、政府国連外交強化ということをお考えになるべきであるし、また、そうなければならぬと私は確信いたすのでありますが、この点はいかがですか。
  20. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私もそういうような気持で実はおります。おりますが、実は、日本はまだ軍事的な協力というものは、今までやったこともないし、建前上できぬのでありますから、その立場をよく理解させねばならないと思います。しかし、一方において、それじゃ資金的な協力を非常にやっているかというと、これも大したことはない。そこで、やはり軍事的な協力ということはできないのだから、ほんとうに資金面で、あるいは知恵で協力する、あるいは、今仰せのように、知恵の一形式でありますけれども、いろいろな、技術とか医療とか、そういうもので協力するということをもっと積極的にやっていくということは、今までの態度を反省して、もっとやっていくべきじゃないかと思います。  しかし、この松平君の話は、感覚的にはそういうことを言う人が多いという国連の場の空気を伝えたのでありまして、それの価値判断は、これはまた別だと思います。これは、政府の価値判断として、そういうことはできないのだから、それはやらぬのだということはきまっているので、その考え方をよく国連に徹底させる努力をもっとしなければならない。国内的にそういう感じをみなが持っておっても、それを国際的な場によく浸透させることが、これが日本国連における努力として、今までよりさらに努力が重ねられなければならぬ問題じゃないかというふうに私は感じております。しかし、これには相当の努力が要る。今までそういうことをやっている国がないのですから、日本がその道を開くのですから、大いに努力を要することだと思います。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 念のために申し上げておきますが、憲法規定だけでなしに、当参議院は、数年前に海外派兵禁止の決議を可決いたしております。衆議院はやらないが、参議院は、海外派兵禁止の決議を決定しております。これは念のために申し上げておきますが、もう一つは、今のつまりいろいろな憲法上の解釈あるいは国内法上の解釈等を通じて、松平発言の線に沿うようなことが少なくとも小坂外相の在任中にはない、こう断言していただけますかどうか。将来のことは、内閣がかわって、外務大臣がかわったりすれば何をするかわかりませんが、そんなことまで私はかれこれ言うのではありません。そういう気持で少なくとも外交をやっていただけるものと信じますが、いかがですか。
  22. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 海外派兵をいたさないということは、あらゆる機会に申しております。そういう方針国連協力をいたしていきたいと思います。
  23. 曾禰益

    ○曾祢益君 すでに佐藤羽生委員からの御質問があったのですが、私も、少しばかり質問申し上げたいと思います。  まず、松平大使発言で問題になった問題でありまするが、私は、二つの点からこれは非常に重要だと思うのです。第一には、日本国連協力というあり方について、日本国民が常識上考えておる線と、あるいは諸外国が見ておるといいますか、ニューヨークの国連の場等を通じての外国側の受け取り方との間に相当ズレがあるのではないか、こういう問題、これは当然今の外務大臣羽生君に対する御答弁の中にも触れられた点ですが、これは、なかなかそういう違いはあると思うのですね。これは直していかなければならない。だが、もう一つ、これに関連して厄介だと思われるのは、日本外交のこの方面の先端に立っておられる国連の首席全権が、向こうの空気を日本に適当に伝えるのはいいのですね、適当に。日本国民の方がいわば多少ナイーブな考えであって、国際的には、かなり割勘を払わないのはけしからんという空気がある。そういう事実を国内に適当な方法で伝えるのはいいけれども、みずからがやはりどうもそういう気持になってしまって、今外務大臣が言われた、日本は、この国柄で、別の方法協力するのだ、まだその協力の手が全部私は尽くされているとは思わない、ほかの協力の仕方があるのだという日本立場をもっと強く、代表すべき人が向こうの空気に巻き込まれて、かえって日本国民に、いたけだかになってではないかもしれないが、ややものを教えるというような態度とそのセンスでは、ちょっと困るのではないか。この空気の違いというものがあったということは事実なんですね。従って、そういう、私は、あり勝ちなことがあったのであるから、これを災いを転じて福にしなければならないという問題が一つあると思うのですね。  いま一つの重要だと思われるのは、先ほどの両氏の御議論の中心である国連警察軍というものは何であり、それが現在の時点でどういうものであり、将来どうなって、理想形態の場合と、いろいろ場合を分けて、相当それは真剣に考えておかなければならない問題だ。この点については、従来、海外派兵はしない、従って、軍事的協力はいかなる場合も、憲法に触れるおそれも多分にあるし、あるいは自衛隊法にも触れるであろうし、また国民感情も許さないからやらないという、これは岸内閣以来の方針であったと思うのですね。だがしかし、そこにそういった甘くいけるのかどうかという問題が横たわっているという事態に対して、われわれはもう一ぺんこれを考えなければいかぬ、こういうことじゃないかと思うのです。  そこで、第二の方から申し上げるならば、これは私は、きわめて理想的な国際秩序ができた場合に、そういう場合、各国軍備というものが完全になくなった、そこで、残るであろうところの国際的な唯一の治安維持的な性格を持った国連警察軍というものを想定するならば、そのアイディアそのものに反対な人はほとんどいないのではないか。少なくとも政党団体として、そういうことに反対だということはまだ私は聞いていない。私ども民社党の場合だけで申し上げるならば、われわれは、現憲法の範囲内においても、最小限の自衛措置はとれるという解釈をとっております。同時に、それが単に一国武装自衛論だけではなくて、われわれの将来の構想としては、やはり国際軍縮が完全にできて、残るであろうところのそういう意味国際警察軍というもののいわば日本部隊であるという、思想的には、一国自衛論的な、孤立的な考えを持っておらないつもりなんです。だから、そういう場合に、どういう協力ができ得るかは別として、そういう国際警察軍というものが各国軍というものにかわるようなものになってくるならば、大いに賛成であり、わが国が持ち得る最小限度の自衛力も、そういう国際的な、正しい国際的な、何といいますか、集団維持機構の一翼であるというセンスを持って考えていくべきじゃないか、こう考えております。まあ大へんによその場合のことを申し上げて恐縮ですが、私の承知しておる限りでは、社会党のきめられた方針一つに、そういう完全な国際軍縮法によるべき国際警察軍は、これを支持するという、非常に重要な文章がある。そういう理想体における議論ならば、私どもはそういう方向は支持する。そういう場合、日本の部隊を外に出すとか出さぬとかいう問題じゃなくて、観念的なあれとしては、そういう国際秩序を支持し、われわれもそういう場合に協力し、貢献もし、こういう意味で、われわれは決してただ乗りじゃないという一つの理想を持って構想を描いていく必要があるのじゃないか。だがしかし、そのことと現状までの間に非常に大きな隔たりがあるわけです。現状においては、確かに、何が国際警察軍だといっても、その場その場、一つ一つ、ケース・バイ・ケースにできるものであって、そんなものは、各場合における性質がまるっきり違うわけです。そんなものを一緒くたにして、国際警察軍協力することはいいことか悪いことかと言うことは、きわめて危険なことだと思うのです。ですから、もちろんそういう荒っぽいやり方じゃいけない。  それからもう一つは、各国軍縮というものが完全にできてしまってから、一体国際警察軍が残るのか、世界的に軍縮が相当大国間の協定においてできる場合には、国連憲章の何条であったか、四十二、三条であったか、国連が、やはり軍事委員会ができて、国連が初めに憲章に予定したような、各国に割り当てる、いわゆる国連軍という形ができかけるのか、それとも常設的な、今ときどき作っておるような国際警察的な部隊、それが各国間の軍縮が進むに従って、中間的に、それとオーバー・ラップするような形で、そういう部隊ができていくのか、これは実際やってみなければわからないのです。一がいにそういう中間地帯なやつは、そういうときは絶対にいけない、そういうときは絶対に賛成するということは言えないのです。だから、やはりケース・バイ・ケースになるのです。まあしかし、将来の理想としてはいいけれども、現状からスタートした場合には、これはやはり従来政府がとってきたような見解、従来国民が、各政党がとってきたような見解——やはりそういう現状において作られるであろう、また現に作られておる、あるいは作られた、いわゆる国際警察軍的なものには、一つはまず海外派兵はできない。これも憲法上から絶対のものです。もし海外派兵、軍隊的なものを送るというならば、これは絶対できない。第二には、自衛隊を送るということは、自衛隊法上今のところできない。こっちからいっても、法律からいってもできない。それから第三には、しからばオブザーバーだとか、制服の軍人の何かグループを送るならどうか、これはできるかもしれないけれども、これもケース・バイ・ケースであるけれども、大体においてそういうものは、政策上危険なものはやらないという方針が、これはやはり政治方針として確立されておったと思うのです。また確立されておると思うのです。それで少しもかまわないじゃないか。私は、結論的に、その点においては羽生委員と全く同意見なんですが、何かそういうものでも出さなければならないというそのセンスがどうも、私最初にあげた第一の問題点で、そういうセンスでは困るではないか。これは、出先の外交官だけを非難すべきではなくて、そこにやはり現政府国連協力外交の実体がない、裏づけがないという問題がそこにやっぱり伏在しているから、何か部隊を送るとか、監視隊を送る、制服軍人の監視隊を送らないと、何も、だいぶ協力々々と言いながら、ただ乗りばかり考えていて、協力の実がないじゃないかという、政策の貧困が伴ってくるんじゃないかと思う。ですから、そういう面においては、一つお互いに今後ともこういう点は具体的に考えていきたいと思うのですが、私はそういうことを申し上げて、まあ今まで申し上げた、自分だけ申し上げて恐縮ですが、国際警察軍に対しては、そういう意味で、理想的な将来の場合については、これはやはりお互いに真剣に考えてみて、現状においては、こういう危ない橋は一切渡らない。憲法は完全に守り、海外派兵は絶対しない、自衛隊は送らない、それから、いろいろオブザーバーだ何だという中間的なあれも、そういう危険なことはやらない、こういう方針一つ行っていただきたいと思いますし、それに対するお答えを得、私はこの一問で終わりますから、ついでに国連外交について、これを機会として、そういうどうも、何かおつき合いをしなければいけないというようなセンスでなく、りっぱな他の意味における国連協力の実をあげるような方法でやっていただきたいし、出先に対する指導も、しっかり一つこの際確立していただきたいと思うので、この二点についての外務大臣のお考えを承らしていただきたい。
  24. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 将来の国連警察的な機能をどうして確立するかという問題は、非常に私どもも、今こうすればいいという結論を持ち得ませんのですけれども、これは、ほんとに共通の問題として、御一緒に研究をさしていただきたい。まあ政府はいろいろ資料もあるわけでございますから、皆さんの御協力をいただきまして、日本としてはこういうあれで行きたいというようなものを超党派的に確立できるような方向で努力していきたいと思っておるわけでございます。現在の憲法並びに自衛隊法建前がありますのに、それを妙にくぐって、勘ぐられるような形をしてでも安易な道で、何かよく思われるようなことをしてみるというようなことは愚策だと私は思っております。やはりそういうことはせぬという建前で、日本らしい一つ国連協力の道を考えるということが、われわれの国連協力の方向ではないかと私は思っております。ただ、どうも残念なことには、これははなはだ自己反省せざるを得ないんですが、従来の政府の端的に言えば資金はなはだ不足でありまして、どうも非常に資金的に日本国連協力しているとは言いかねる状態でございます。この三十六年度予算では、かなりまあ大蔵省も多少好意的になってくれているわけですが、こういう点も大いに、われわれとしては、今後国内世論を啓発して、国連というものはいかに重要なものであるかということを、国民理解を深くしつつ、政府国連協力の活動資金等を獲得して参りたいと思っております、それから、やはりもう皆さんすでに言ってらっしゃることでありますけれども日本は金の面と、それから知恵の面でいく、技術の面でいく、こういう点について、もっと積極的に政府としても旗を振っていくということを与え、出先にもそういう方針をはっきりさしていきたいと思っております。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 今の資金の面ですが、私は、この高度成長を誇る四千億近い自然増収を持っている、しかも、池田さんの内閣で一番近い小坂さんが、資金が不足で嘆くというのはいささかどうかと思うのだが、これは、大蔵省も何だか了解したというが、手がありそうだと私は思うのですが、もしそういうことで日本外交の役に立つならば、これは大蔵省の感覚が悪いのか、どういうことなんですか、一体。
  26. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 状況を話してもらいます。
  27. 鶴岡千仭

    政府委員(鶴岡千仭君) 大蔵省の財布のひもが固いのは御承知の通りでございますが、しかしながら、この一、二年、だんだん御了解を深めていただいております。その証拠みたいなものですけれども義務醵出は、いつも全額時期以内にちゃんと払っております。一ぺんもおくれたことはございません。問題は自由醵出の方であろうかと思います。自由醸出のおもなものといたしまして、特別基金それから海外援助計画、この二つに対する醵金でございますが、この醵金は、去年までは、残念ながら、両方合わせまして、六十一万三千ドルという額であったわけでございます。これは、日本国連における分担金の率がきまっておりまして、その二・一九になっております。その二・一九に足らざること遠い、三分の一くらいであった。それをことしは、ここに御提出申します予算の中には約三倍にいたしまして、百八十万ドル近くのものに先ほど大蔵省は認めてくれたのでございます。この点、私どもとしては、一つの曙光として、今後努力を続ける拠点みたいなものだと考えておるわけでございます。直接関係ございませんので、おしゃべりで心苦しゅうございますが、たとえば、日本も技術者をたくさん出すとか、医者を出すとか、こういうような面については、まだまだ十分な努力をしなければならないと思います。しかし、最近はなかなか人も出るようになりましたし、それから、経済社会理事会等で、日本は、たとえば地震の害を少なくするために国際協力を進めようといったようなものを自分で出して、満場一致で通ったというようなこともありますし、日本の中に国際協力機関を設けようとする努力もだんだんに出てくるかと考えております。
  28. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 二、三分追加して申し上げたいと思うのでありますが、国際警察軍に寄与する一番大きな問題は何かといえば、それは、もちろん実力をもって警察軍参加するということでなければなりません。実力をもって参加するということは、これは人命の損傷を覚悟してやらなければならぬことになるのであります。あの朝鮮動乱の際の実例を見ますると、参加国の軍隊の中で、数々の死傷者を出しているというようなわけで、これが一番大きな犠牲でなければなりません。もちろん、個々の場合によって、その犠牲の程度は大小ありましょうけれども、しかし、人命の損傷を伴うということを前もって覚悟していかなければ、実力の援助ということはできない相談だろうと思うのであります。でありますからして、その実力をもってする援助ができないということは、一番大きな犠牲を日本が負担しないということでありまして、それは非常に大きな問題でなければならぬ。一番大きな犠牲だけはごめんこうむる、それで、何かほかの援助でもって間に合わしていくというような考え方にとかくなりそうに思うのであります。一番大きな犠牲を払うということが日本憲法その他の制約においてできない相談であるということは、これは私も全然同感であります。しからば、それにかわるべき国連に対する寄与というものがそれ相当重要なものでなければならぬと思うのであります。先ほどもお話がありましたが、割勘は払わないけれども、しかし、そのかわりに米かみそでもって代償として出すことも考えられるじゃないかというような話でありました。しかし、最も大きな犠牲を払わないとすれば、単にほかの何か、簡単な経済援助か何かでもって自分の使命を果たすというような考え方では私はいけないと思うのであります。そのことについて私は、先ほどの御質問の中にも、もし実力援助というようなことができないのであるならば、政府としては、それにかわるべき援助というものを真剣にお考えいただきたいと申し上げたのはすなわちそれでありまして、実力はやらない、何かほかの簡単な問題で済ましてしまうというように、軽くこれをお考えになるということだけは一つ注意を願いたいと思いまして、再度発言した次第であります。
  29. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まことに肯綮に当たる御意見でございまして、しからばどういうふうにしたらいいかということでございますが、結局そうした犠牲をあえてしないのでありますから、それに見合う誠意を持ってこれに当たるということ以外にないと思うのでありますが、しからば、その誠意の内容は何かということであります。私は、一つの大きな行き方としては、国連ほんとう世界平和維持確立の唯一最高の機関にするために、日本は、国連の運営について、日本の言うことは正しい、この行き方でいけば、そういうコンサルテーションの機関として国連がりっぱになり得るということを常に日本考えている、その筋に従って行動する、これも一つのことだと思うのであります。そのためのいろいろな批判というものに対しては、今、きぜんとしてみずからを曲げずに主張を通している。大国のいろいろな圧力というものがあっても、日本日本なりに筋を通す、これも一つの寄与の方法かと思うのであります。しかし、それだけじゃもちろんいけませんのでございますから、日本としてそう主張をするからには、率先してあらゆる拠出金に応じていく、物質的な拠出金に応じていくという気がまえを持つべきだと思うのでありますけれども、残念ながら、その方の財布のひもはなかなか固くて、思うにまかせませんが、その方向で努力する。それからさらに、国際的な協力方法等についても、これは国連は、平和維持だけでなくて、やはり世界の各国を繁栄させるということについて非常に大きな役割を持っているわけでございますから、この開発のおくれている地区に対して、どういう方法世界各国が協力していったらいいかという、その方法、仕方、仕組みというものについても真剣に考えて、問題を解決していくというようなことにおいても、活躍の場が、また貢献の場があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  30. 佐藤尚武

    佐藤尚武君 ちょっともう一点だけ。よく政府のお考えはわかりました。ただ、繰り返すようでありまするけれども日本は一番大きな犠牲を払おうとしても払えないのであって、それでいて自分の言い分だけ、自分の言い分に対しては、他国をして相当権威を持ってこれに対処させようというのでありまするからして、ずいぶんそこに困難が伴うわけであって、でありまするからして、松平大使が、派兵もできない日本としてはひけめを感ぜざるを程ないと言われたその心理は、日本国連代表者としては、私はよくわかる心理であろうと思うのであります。でありまするからして、松平大使がそういったような意味での発言があったからといって、松平大使はやれいくじがないとか何とかと言って、単に責めることばかりでなくて、むしろそういう立場をよく理解し、かつ、これに同情して、大使を鞭撻するというようなことでなければならぬと私は思うのであります。その点も、一つ大臣にお考えおきを願いたいと思うのでございます。
  31. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まことに同感でございまして、さようにいたしたいと思います。
  32. 羽生三七

    羽生三七君 外交の長老と大先輩の佐藤先生の御発言にまた関連していろいろ言うのはいかがかと思いますが、私は、その大犠牲を払わないで、ほかのことでごまかすと、そこのところに問題があるので、そうではないのだ、今や戦争をなくし、平和を実現するためには、どういう手段が一番有効で役立つか、そういう観点から、他の面でも役立つ面がある、そういう判断に立たぬ限り、いつまでたってもこの軍事優先、それだけがもうすべての平和なり緊張緩和の唯一の手段だと、こう考えられがちになるので、私は、判断の基礎にやはりその点を置いていただかなきゃ困ると、これは御答弁を求めるのじゃない、注文であります。  それからもう一つは、世界中がみな派兵しているのに日本だけというが、朝鮮動乱のときはどうでありますか。国連加盟国は五十数カ国、六十九国なかったと思いますが、たしか十何カ国かの派兵だった。世界の何分の一しか出ていない。決して日本だけが——日本だけであってもかまわぬと思いますが、日本だけがどうなんだというものじゃない。世界の大多数の国は派兵をしておらない。正確な数字があったら、一つお聞かせいただきます。
  33. 伊關佑二郎

    政府委員伊關佑二郎君) 十六カ国であります。
  34. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御質疑ございませんか。
  35. 森元治郎

    ○森元治郎君 ちょっと一つ松平大使は二十五日に任地に帰られるようだが、このままお帰しになるかどうか。どうも、この国会の大臣の御答弁その他を伺っておると、先生の個人のふんまん、昔の官僚外交外務省出身の人が大臣になった場合でなくて、しろうとの政治家外交官、小坂さんみたいな人がなるこの政党の外交、これに対する何かふんまんといいますか、それからぐちもあるようです。それから、お前が悪い悪いと言われたんでは私も言いたくなる、立つ瀬がない、こういうことで、何か知性のある人で、知性とはどういうことを言うか知りませんが、知性のある人で、政治的責任をとれる人を一つよこしてくれ、あるならよこしてくれというのだな、これは。こういうような、そうしてあなたからは戒告は受けた、そうして自分が主張した派兵問題は、国会において総理以下の御答弁で、大体先生の言ったことは否定された、戒告は受けたわ、否定はされたわ、帰って行って、一体責任のある国連の代表として、コンゴー問題をこれからいよいよ再開総会になりますとやらなくちゃならない。できるのかどうか。そういう道具を使って、外務大臣国連外交を推進できると思うのかどうか。私は十分お考えになる時期だと思う。二十五日にお帰しになるかどうか。それを伺いたい。
  36. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 国連の海開総会が三月八日からございます。日も迫っておりますし、松平君に帰ってもらうように考えております。なお、松平君とされましては、まあいろいろ国内の事情というものから長く遠ざかっておりましたので、この機会に帰って、各方面の方々にお会いしたり、また自分の身近に感じている気持をお伝えしたりするということは、これは非常に参考になると思いまして、帰ってもらったわけでありますが、大いなる収穫を得て帰ってもらうことと思っております。
  37. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言ございませんか。——御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会