運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-07-31 第38回国会 参議院 外務委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年七月三十一日(月曜日)    午前十時二十四分開会    ——————————  委員の異動 七月五日委員羽生三七君辞任につき、 その補欠として阿部竹松君を議長にお いて指名した。 七月十八日委員阿部竹松辞任につ き、その補欠として羽生三七君を議長 において指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     木内 四郎君    理事      青柳 秀夫君            井上 清一君            森 元治郎君    委員      草葉 隆圓君            笹森 順造君            杉原 荒太君            苫米地英俊君            永野  護君            野村吉三郎君            堀木 鎌三君            加藤シヅエ君            佐多 忠隆君            羽生 三七君            佐藤 尚武君   国務大臣    外 務 大 臣 小坂善太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       結城司郎次君   説明員    外務政務次官  川村善八郎君    外務省欧亜局中    近東アフリカ部    長       杉浦  徳君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)    ——————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  本日は、国際情勢等に関する調査を議題といたします。  まず、小坂外務大臣及び川村政務次官から、それぞれごあいさつをいたしたいということで発言を求められております。
  3. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 一言ごあいさつをさせていただきます。  去る六月十九日に出発いたしまして、池田総理に随行いたし、六月三十日にアメリカを回って帰って参りました。七月四日に、また欧州方面へ参りまして、イギリスにおきましてマクミラン首相ヒューム外務大臣ロイド大蔵大臣モードリング商工大臣フランスへ参りまして、ドゴール大統領ドブレ総理大臣ボームガルトネル大蔵大臣ジャキノ並びにジョックス両国務大臣等とそれぞれ会見いたし、さらにイタリーへ参りまして、グロンキ大統領ファンファーニ総理大臣セニ外務大臣、さらにドイツへ参りまして、西独リュプケ大統領アデナウアー総理大臣ブレンターノ外務大臣等々と、それぞれ国際問題並びに両国において関心を持つ諸問題について意見を交換し、去る十七日に帰国いたして参りました。  その後に行なわれました内閣改造におきまして、引き続きまして留任をすることになりました次第でございます。どうぞ相変わりませず御指導と御鞭撻を賜わりたく、お願いを申し上げまする次第でございます。  旅行中皆様にいろいろ御支援をいただきましたことを、感謝いたします。あわせて、今後もよろしくお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
  4. 川村善八郎

    説明員川村善八郎君) ごあいさつを申し上げます。  私は、去る七月二十五日に外務政務次官に任命いたされたのでございますが、もとより浅学非才の者でありますし、外交問題につきましては、全くのしろうとでございまするので、その任にたえられるかどうか、一まつの不安を持っておるものでございまするけれども、幸い委員長初め各委員の方々の御指導、御鞭撻がございまするならば、小坂外務大臣のもとにおきまして勉強いたしまして、その任を遂行いたしたいと念ずる次第でございます。  何とぞ皆様の今後とも御指導、御鞭撻を厚くお願いを申し上げましてごあいさつにかえさしていただきたいと思います。
  5. 木内四郎

    委員長木内四郎君) さらに、小坂外務大臣から発言を求められております。
  6. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この際、お許しをいただきまして、ガット関係事後承認の取り扱いにつきまして御説明を申し上げ、また、御了承を願いたいと存ずるのでございます。  ガットに付属いたしまする日本国譲許表に掲げる譲許修正または撤回するためのアメリカ及びドイツとの交渉の結果に関するそれぞれの文書締結について承認を求めます件は、ともにさきの通常国会審議未了になりましたが、政府は、憲法第七十三条第三項ただし書きの規定いたしまする、時宜によっては事後承認を求めることが必要な事例に該当するものと認めまして、右両文書に関しては、去る六月二十八日ガット事務局長に対しまして、七月一日より新関税率を適用すべき旨通告を行ない、同日より新税率を適用することといたした次第でございます。以下右に至る事情を御説明申し上げます。  政府は、貿易自由化の一環としまして、昨年来しばしば、大豆自由化について、これに最も関係がある米国その他の諸国に対し、政府基本方針として、おそくとも本年七月一日を目標として可及的すみやかにこれを実施すべき意向を表明して参りました。しかしながら、その実施の前に、国内産大豆の価格安定を維持するための関係措置を講じておく必要があり、すなわち、自由化の暁には、国内の価格安定のための補助金制度を改善するとともに、従来の関税率引き上げることが必要であると認めて参りました。よって、昨年秋から開始されましたガット第二十八条に基づく譲許表修正交渉の重要な項目の一つとして、主たる輸出国たる米国との間に引き上げ交渉を行なって参った次第でございます。  この交渉において、アメリカ側は、大豆税率引き上げに関するわが方の案を受諾することの条件といたしまして、税率引き上げ自由化に先だって行なわないこと、及び自由化はおそくとも本年七月一日以前に実施することの二点の確認を得たい旨申し越しました。これに対し政府としては、米国が三%の税率引き上げに同意することが明らかとなったこと、米国早期自由化への要望が従前からきわめて強いこと、及び前記の政府基本方針にかんがみ、自由化はおそくとも七月一日に実施すること及び税率引き上げ自由化に先だって行なわないこととする旨の意向を伝えまして、交渉が妥結を見るに至った次第でございます。  従って、自由化に伴う税率引き上げ自由化の七月一日よりの実施の三点は、対米交渉において他の品目に関する交渉と不可決の一体である合意の内容であったものであります。  右の対米交渉は、難航を重ねた上、四月十日に至って妥結いたしましたので、政府は、四月二十四日関係文書国会に提出し、衆議院外務委員会には五月十日付託され、また、参議院外務委員会には、右に先だつ四日二十五日、予備審査のため付託されたのであります。自後面委員会における審議は慎重に進められまして、特に衆議院外務委員会においては、大豆自由化の問題に関連して、農林水産委員会との連合審査措置もとられて、順調に進められた次第でありまして、政府といたしましては、もとより関税率引き上げのみでなく、価格安定に必要な他の国内措置についても、七月一日より以前に国会における議決が得られることを強く期待しておりました。しかるところ、不幸にして審議未了となった次第でありますが、自由化実施は、今述べました通り、七月一日以後に遷延しがたき事情にございまして、また、同じく国会において不成立となった大豆国内価格安定措置の面は、さしあたり行政措置をもって対処し得る道も得られましたので、税率引き上げにつきましては、七月一日の自由化と同時に実施するのほかなきものと認め、さよう措置した次第でございます。  なお、ドイツとの交渉結果につきましては、対米交渉において、大豆以外でわが方の税率修正または撤回を認めさせた品目、特に自動車等は、西独の原交渉国である関係上、同時に修正または撤回を認めさせ、西独に若干の品目税率引き下げを約しているのでありまして、その関係から、米国に対して、税率を改めるにあたっては、西独に対する新税率も同時に実施する必要があった次第であります。ドイツとの交渉は、対米交渉よりおくれて、四月二十九日に妥結いたしましたが、五月十五日に国会に提出し、対米交渉の結果とあわせて御審議を願っていた次第でございます。  以上がガット関係文書に関し、国会事後の御承認を求めることとするに至った事情でございます。憲法第七十三条三項の趣旨にかんがみまして、政府は従来から、条約締結には原則として事前国会承認を求めることとし、事後承認を求めるのは、内閣外交処理責任を果たす上にやむを得ない場合に限るとの方針を堅持しており、また事実、事後承認の先例は九件にとどまっておる次第でございます。右の基本方針については、政府としては、今後ともいささかもこれを変える考えはございません。本件は、二文書は、次期国会において改めて御承認を得るべく準備を進めております。  以上申し上げましたような事情で、これが事後に御承認を求めることになりましたことについては、何とぞ御了承を願いたいと存ずる次第でございます。
  7. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御質疑はありますか。
  8. 森元治郎

    森元治郎君 たくさん皆さんも質問があると思うのだが、お暑いおりから、小理屈をこねていると汗が出ますから……。  まず、せっかく大臣行ってこられたのだから、アメリカの最近の国際情勢に対する態度、それからまた、アメリカに回られてこられたのだから、世界的危機感というか、だいぶ危機が迫っておるような印象を受けて帰ったと新聞は報道しておるので、そういう点にしぼって、一つ世界を回られた大臣認識のほどの御報告を得れば幸いだと思います。
  9. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいま御指摘がございましたので、その点にできるだけ問題をしぼつて訪米、訪欧の所感を申し述べたいと存じます。  これらの間の事情等につきましては、それぞれの国との会談あとでコミュニケが出ておりますので、これによって大体のことはお知りをいただいておることと存じまするけれども、まず、アメリカへ参りまして、ケネディ大統領ラスク国務長官等と話を各般の問題についていたしました。全般的に、ヨーロッパその他の問題については、こちらから先方意見を聞く、アジア関係の問題については、われわれから話をして、先方意見を聞くと、さらに、経済問題については、双方でいろいろと意見を述べ合うというふうな全体の形があったように考えます。これは、ヨーロッパに参りましても同様な形をとったわけであります。ただいま森さん御指摘危機感というものにつきましては、やはりベルリンの問題というものが中心になっておりましてむしろ危機感というものは、アジアにおけるものよりも、さらにヨーロッパにおける問題の方が大きく問題として広がっておるような感じを持っておる次第でございます。  ベルリンにつきまして、これは、アメリカ西欧諸国も同様でございますけれども、まあ一応東独政権との間にフルシチョフソ連首相が今年一ぱいに講和条約を結ぶと、こういったことから、ベルリンについての問題が非常に問題になるわけでございます。先般の二次大戦のあとにおきまして、西欧、ことに米、英、仏の三国は、西ベルリンに対する自由なる交通権利を持っているわけであります。これは、ソ連との間も話し合いでそういうふうな約束になっておるわけでございまするが、ソ連東独と単独に講和することによって、西欧諸国の持っておる権利というものが失われるのではないか。ベルリンについて、自由市化ということを言いましても、ベルリンが、共産圏の中の離れ小島のように、ぽっつりとありまする西ベルリンが、そこに対する交通が途絶されたる場合には、その当然の権利というものをなくしてしまうではないか、西ベルリンの市民の希望というものは踏みにじられることになるのではないか、そういうことに対しては、あくまで強くその権利西側としては主張すべきものだということでございます。そのソ連側出方というものが非常に高圧的、強圧的であるので、それに対しては、やはり力をもってこれに対抗する、そして力をもって対抗しつつ、もちろん交渉というものは進めなければならない。しかし、交渉するにしても、これはソ連の言うベースで交渉するのではなくして、西側の持っておる条件というものが前提になっておるという立場において交渉を進めるべきである、こういうことでございます。これを緊張と言えば緊張だということは言えると思いまするけれども、これが何でもソ連の言う通りになっていくということではいけない、自分らの立場をそこにしっかり持って交渉する、こういうことであると私どもは了解いたしたのでありまして、これはまあ当然のことであろうと思うのであります。それに対して、非常にこの話し合いがうまくいかぬ場合には、さらにこれは危機になるということは言えると思いますけれども、だからといって、直ちに危機危機だといって、いたずらに興奮するのではなくて、やはり現実にその危機に対処する手だてを作って築き上げていく。それにはアメリカも、あるいはイギリスフランスも、一致した歩調でこれに対処すべきであるとすれば、この関係で、力のバランスからいって危機というものは回避できるのではないかというふうにも私どもは感ずるのでございます。  さらに、ちょっと今の御質問からはずれまするけれども、私どもが行って感じましたことは、日本の地位というものが非常に高く評価されているということでございます。やはり世界全体の問題を考える場合、アジアの問題を抜いて考えることはできないのは当然でございますけれども、そのアジアにおいて、十五年前に全く廃墟の中に落ち込んでしまった日本が、営々として今日まで地歩を築き上げてきて、今や全く、工業水準において、あるいは技術水準において、西欧諸国に劣らないものを築き上げてきたこの力、日本人能力というものを非常に高くアメリカにおいても西ヨーロッパの国においても評価しているということを、私は自分で、それらの国の首脳者と会ってみて、それを自分の肌に感じることができたと思いまして、非常にこの点はうれしく、日本国民であることを誇りに思った次第でございます。しかも、そうした優秀な能力を持つ日本人に、アジアの問題を考えるときにはやはり日本人に期待しよう、日本人意見を聞きつつアジアの問題を考えていこうという気分が、これはアメリカといわず、フランスイタリア西独といわず、みなこの方針が強くあったということを私は感じまして、日本外交というものは、これからいよいよ、やり方によっては、まことに世界の平和のために、お互い世界各国国民の経済的な幸福のためにも、日本動きというものがいかに重要なものかということを痛感いたした次第であります。  率直に言えますることは、アメリカにおいては、これから日本意見を十分聞いてアジアの問題を考えていきたいという気持を持っておるように私は受けとることができたように思います。また、西ヨーロッパイギリスにしても、フランスにしても、イタリアにしても、あるいは西独はもとより非常に前からいいわけでありますけれども、これらの前に述べました三国は、日本との経済関係において必ずしも非常に緊密とは言いがたいと思われる点が多いわけであります。しかし私は、率直に、同じ自由陣営側として、世界の繁栄と平和というものを考える場合に、H本に対して、たとえばガット関係においても、日本が正常なものでないというようなこと、あるいは日本の商品にことさらに差別待遇を設けておるということは、はなはだ納得しがたいことを申しましたところ、先方首脳者はことごとくこれに同感の意を表し、ある国等においては、直ちにその差別品目の数の減少を約束したのもございますし、できるだけすみやかにそういう問題に対する十分な配慮を具体的に行動において現わすことを約束してくれた国がほとんどみなそうでございました。私は、そういう点は、日本の戦後の復興というものが、いかばかり外国に大きな印象をもって映っているかということを見ることができまして、非常に今後の努力のしがいを感じました次第でございます。  まあ簡単に申し上げまして、そのあとまた御質問がございますれば、お答えいたしたいと思います。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 今の問題に関連してですが、ベルリン問題なんかで日本アメリカから相談を受けるような立場になったということが、日本大国に成長したということで、慶賀するという意見もあるようですが、それもけっこうではありますが、しかし、同時に、相談を受けるからには、やはり責任もこれに伴うのではないかと感ずるわけです。ですから、単に喜んでばかりはおられない。責任の所在という問題もまたおのずから考えなければならぬのじゃないかと思います。しかし、われわれは、ベルリン問題が米ソ陣営ともそれぞれ考えておるから、いわれるような危機というものは現実に起こるかどうかは、これは非常に疑問であるし、また、そんなことになっては困ると思うのですが、それにしても、アメリカから日本ベルリン問題でどういう相談を受けたのか、それから、日本としてはそれに対してどういう意思表示をしたのか、その辺、差しつかえない範囲でお答えをいただきます。
  11. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まあ主として東西緊張の現状に関する日本認識を聞かれ、それに関してわれわれの見るところを言うた。しかも、その東西緊張をいかにして緩和していくべきか、これは、ともに東西緊張を緩和して、平和に世界を繁栄せしめたいという希望においては、全く同一であるわけであります。この点についての意見を交換し、ことに日本人が平和の問題に対していろいろ感じておることを聞くことが、アメリカ首脳者としても非常に参考になる、こういうふうな印象を受けたのでございます。それで、どうするからどうだというような具体的なことを聞かれ、しかも、それに対してわれわれが、じゃこの際、われわれはこういう責任を分担しましょう、こういう、ことでございますと、羽生さんのおっしゃるような、非常に一方からいうと具体的な、何と申しますか、世界混乱の場合における日本負担というものが出るということも言えるかもしれません。問題はそこまでは行っていない。まあむしろ、積極的な意味で、平和をいかにして維持するかということについて、日本考え方を聞かれ、その考えについては非常に同感だと、なお、アメリカがいろいろ考える場合に、日本考えも聞かしてくれ、こういう態度のものと考えておる次第であります。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 今の問題は、アメリカ総理や外相が行かれたときのことでなしに、その後において相談を受けて、大平官房長官談話で、そういう相談を受けたことは、日本としてはむしろ大国になったことの証左であるような意味談話を発表しておったから、それをどういう相談を受けてどういう答えをしたかということをお聞きしたわけですが、しかし、大体大要はわかるような気がいたします。問題は、先ほど申し上げましたように、現実にそんな危機は、いわゆる文字通り危機は起こらないと思うけれども、かりに万一何らかのことが起こっても、日本現実に何らかの負担を負わなければならぬというようなことはない、こう了解していいかどうか。これが一つと、もう一つは、総理アメリカへ行かれて——これは総理のことで恐縮ですけれどもアメリカへ行かれて、あらためて日米協力確認をされ、自由陣営の一員であることを特に強調されたわけですが、その総理なり政府の精神上の考え方は別として、われわれがとやかく言う筋ではないから、それは別として、そのことは、今後とも日本が不断に、アメリカとどういう場合でも一体となって行動するということを必ずしも意味するのではないと思いますが、問題の性質によっては、是々非々という立場を貫かなければならぬと思うですが、そういう点の自由性というものは、もちろん行動自由性と  いうものは留保されておると考えてよいのですか。この点はどうですか。
  13. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 要しまするに、日米は対等のパートナーとして世界の平和に寄与しよう、こういうことだと思います。従って、日本として独自の判断で、この問題については日本としてこうすべきだという結論がかりに出ましてですね。その結論においてアメリカと一致するということもあろうし、また、その結論においてアメリカの言うところと違う点もある。その点については、日本考えの方が正しければ、アメリカにその考え方をある程度変えてもらうという場合もありましょうし、一致しない場合は、アメリカアメリカの独自の行動をするという場合もあろうかと思います。要するに、何も知らされず、世界日本というものを別に置いて動いて  いってしまうというようなことは、アメリカの政策に関する限りない。すべてアメリカ考え方も知りつつ、日本独自の判断を下していくことができる、こういうことだと私は理解しております。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つは、北朝鮮がソ連との友好同盟条約を結び、さらに中国とも結び、ベルリンとは別に、アジアにおいて、極東において一つの問題が新しく発生しておるように思いますが、見方によっては、これは単に既定の事実を文書化した、条約化したといいますか、確認しただけのことだといわれておるけれども、それとともに、アメリカ韓国政権、今度の革命政権承認する方向へ踏み切ったようだし、日本もそれに対しては今のところは静観をしておるようだが、しかし、大体方向というものは理解できる、想像するにかたくないものがあると思うのです。で、私どもの心配することは、そういうことから発展をしていって、日本韓国台湾等々と協力する何らかの軍事的な条約とか何とか、そういうことを必ずしも意味するわけではないのですが、そういう協力態勢に入っていく方向へ進むのではないかという杞憂を持つのですが、そういう心配は全然ありませんか。どうですか。単なる杞憂でしょうか。
  15. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止
  16. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を始めて。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 これは希望ですが、ウィーン会談以来ですね。ウィーン会談のとき−に、われわれが緊張緩和を願っておったにもかかわらず、むしろ、その後の情勢では、米ソ両国ともそれぞれ力の立場を強く強調し合って、その後の経過を見ても、われわれの希望とは反するような方向へある程度進んでおると思います。ですから、私たちとしては、この日本としては、遠いベルリンのことも、もちろん遠い所だからといって、これをないがしろにするわけにはいかないでしょうが、そのベルリン問題も含めて、近い韓国朝鮮等の問題を見た場合、どうも緊張緩和というよりも、むしろ何かだんだんとそれを深めていくそういう方向にいくような気配を感ずるわけです。そうやってお互いに力を示し合っていれば、実はそれが平和につながるのだという安易な考え方で、こっちが弱身を見せればどういう出方をするかわからぬので、こっちも強気を示すんだと、双方そうやっておれば、これは際限のない矛盾を繰り返していくということになると思うのですが、そういう点については、十分政府としても配慮をしていっていただきたいと思います。  それからもう一点は、けさの一部新聞にありましたが、日本外務省ですか、これは防衛庁になるのか、核兵器の持ち込みを場合によっては許容して、そして事前協議等については拒否権を行使することがないとの記事がありましたが、これはもちろん憶測の記事だろうと思いますが、実際に何らかのそういう動きがあったのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  18. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御意見のことは、むしろひざ突き合わせて話し合って、相互に理解を深め、緊張を緩和するということよりも、お互いの誤算によって、相手方の力をはからずして、非常に強気に出てしまった場合に取り返しがつかないことになるんじゃないか。それで、お互い考えをはっきり述べ合って、この点から先に行けば非常な危機になるということをお互いが知り合った方がいいじゃないかという話に重点が置かれたように承知しておるのであります。そういう意味で、今の状態は、羽生さんもおっしゃるように、ある意味では非常に寒心にたえない事態だと私は思います。しかし、それではどっちかへこんでいいか。両方がへこめば一番いいのですけれども、へこんだ方は、一歩下がれば相手は二歩出てくるという形では、これはもうどうにもならぬということもわれわれもわかるように思いますし、それはやはりお互いとして、東西の両陣営考え方がやはりあからさまに出たところで、これは人間ですし、考え方というものもだんだん進歩はしておるわけですし、だれだって平和を望んでおるわけでございますし、一方からいえば、非常に核兵器というものはとてつもなく進歩してしまっているので、そう簡単に戦争なんか考えられないことはみんな知っておるわけでございますから、その間にもだんだん、安定のきざしが出てくることを期待してよろしいと思いますし、私どももその方向へ努力すべきだと思っておるわけです。ただ、こちらとしてそれを心配するあまり、片方だけにひけというわけにもいかぬというふうに実際のところ思うわけです。それから第二の、今の防衛庁の関係で、新聞の話がございましたが、私はその新聞をよく読んでおりませんけれども、私たちとしては、そういう話は全然聞いておりませんし、今のところ考えておりません。
  19. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 外務大臣に伺いたいと思うのでございますが、総理と外務大臣は、お帰りになりましてから、非常に日本アメリカで、あるいは西欧諸国の中で高く評価されたということについて、非常に自信を深めたというような御感想が出ておりますが、これは、日本が高く評価されたことは大へんけっこうなことだと思いますけれども、今後の日本外交というものは、やはり国連の中で日本の地位というもの、日本の実際の指導力、勢力というようなものが大きくものを言うのだろうと思うのでございますが、その際に、日本は今までA・Aグループの中の日本、こういうような立場を戦後ずっととって参ったと思うのでございます。それで、こういうような立場というのは、やはり日本にとっては、いつまでも続けていかなければならない立場だと思うのでございますけれどもアメリカでえらく高く評価されたというので、ややもすると、何か、日本というものはアジアの中の一員ではなくて、特別の地位というようなもの、立場というものがあるというふうになってしまう。そうした場合には、他のアジアの国からやはりいろいろ嫉妬の目で見られたり、あるいは日本の軍備が事実上だんだん強化されるということに対して脅威を感じたり、あるいは西欧陣営一辺倒というような立場日本がとることに対しても、疑惑の目をもって見られる危険性が同時に起こってきていると思うのでございます。そういうような問題に対して、どういうような心がまえをお持ちになっていらっしゃるか。また、どんなふうな、手をお打ちになられるか。それらのことについて伺いたいと思います。
  20. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 日本は、御承知のように、A・Aグループの一員でございまして、同時に自由陣営に属しているわけでございます。その日本立場というものは、自由陣営に属しているけれども、あくまでアジア人の心をもととして、アジア人の考え方というものは日本において最もよく理解できるということが中心だと思うのでございます。で、私どもアメリカに参り、あるいはヨーロッパに参りましても、アジアの問題についての分析というものは、われわれの方が格段にすぐれているという自信を持って話をしてきたのでございます。そういう立場で、私たちは自由立義陣営の中でも重きをなすことができる。そのアジア人であるということの立場を捨ててしまったら、日本立場はなくなるというふうに思うわけでございます。  それで、事の手始めといたしまして、池田内閣ができましてから、アメリカにも新政権ができて、ケネディ大統領自身に会う必要がございますのでアメリカに参りました。また、イギリスフランス等にも、先ほど申し上げたような事情で、同じ自由陣営でありながら、貿易によって立つわが国として不利な扱いを受けている。ことにヨーロッパの共同市場が非常に発展し、またEFTAの方においても発展し、ことに欧州統合の問題が出ているということで、どうしても私どもは行って話をして参る必要があるというので行って参りました。しかし、その後におきまして、まだ日はきまっておりませんけれども、インドやパキスタンその他の国からも招待がございますし、ビルマなりタイ、それらからいろいろ招待がございますものですから、十一月のしかるべき日に総理大臣がそれらの国を訪問するということを考えているわけでございます。それで、できるだけやはりこれからの外交というものは人と人との接触というものが大事でございますし、それぞれ国会の間を縫って、一つ各方面に出さしていただきまして、よく戦後の日本人というものを各国の首脳部に認識してもらって、お互いに話を交換していくということをやって参りたいと思います。  A・A出身につきましては、これは、御承知のように、非常に国がふえまして、その中にも幾つかの流れというようなものが現在発生いたしております。しかし、日本の言うことは、非常に大向こうをうならすようなことは少ないけれども、なるほど日本と話してみれば、話はよくわかつてくれるし、頼みになる、こういう認識を与えるようにできるだけして参りたいと考えております。
  21. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 A・Aグループの中にも、日本が過去の帝国日本というような態度でなくて、ほんとうにA・Aグループの中の一員という謙虚な態度で、広く深く接触していらっしゃる外交をしていただきたいということを私は強く希望いたします。  それから、池田総理や外務大臣が向こうへおいでになったときに、SEATOの本部をバンコックから日本に移したらどうかというようなお話が出たというようなことをちょっと聞きましたけれども、そういうことはございましたか。
  22. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういう話は全然ございませんでした。
  23. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 フランスとチュニジアの問題ですね。これも新聞で了解する程度で、わからないのですけれども、あれは、解決の仕方によっては、国連自身にも、世界の平和にも非常に大きな影響を持つと思うのです。国連の一部では、フランスが国連の決議を無視しているというようなことを言っているようであります。新聞ですからわかりませんが、新聞ではそういうことが報ぜられておる。それからフランスの方では、内政問題に国連が介入するのはけしからぬと言うて、やはりこれは新聞記事が報じておるのでございますが、こういった国連と英仏などの考えが、スエズ問題以来、やはりどこか胸のうちにしこりを持っているようにわれわれには見えるわけなんですが、今フランスの主張しているところと、チュニジアその他アフリカ関係方面で主張しておるところと、本質的にどこが食い違っているのですか。それを伺いたいと思います。
  24. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 国連では、御承知のように、停戦ということになったわけですが、問題は、どこの機関で停戦するかということで両方の意見の違う場合があると思うのであります。御承知のように、ビゼルトの問題は、一九五八年に、ほかの基地は撤退するけれども、ビゼルトの問題は双方交渉するということになっている。これをめぐりまして、なかなかこの交渉はむずかしい面が多いと考えられます。一方、フランスがFLNとやっております交渉も、御承知のように、メルセルケビール基地が、これがやはりビゼルトと同様な性格を持っている。ビゼルトほどやかましくなっておりませんが、やはりフランスとFLNとの間の交渉というものはなかなか問題があろうかと思います。非常に微妙なところの問題でございますから、私がコメントをすることはいかがかと思いますから、政府委員から……。
  25. 杉浦徳

    説明員(杉浦徳君) ただいま大臣からお話がございましたように、ビゼルトの問題は、チュニジアが独立しますときに、フランスとチュニジアとの間で独立協定がございまして、それで、フランスが持っていた権利を一切チュニジア新興独立国に合意で、話し合いで一切譲りまして、その中で、チュニジア国内フランス軍の基地というものがありましたのですが、特にその中のおもなものはビゼルトの基地でございました。これは、その後独立協定のときにこまかい話ができませんものですから、五八年の六月、ビゼルトの基地については、将来両国の間で話し合って、最終的なステータスをきめようというところで話がとまっておりまして、その後しばしば細目をきめるために交渉が行なわれまして、その間いろいろな問題がございまして、御承知のようなサキエトというフランスとチュニジア国境の爆撃事件などもございまして、それを契機にいたしまして、フランス側がさらに一歩チュニジア側に譲りまして、ビゼルトの南の方のたくさんの航空基地を逐次チュニジア側に返しまして、そこにあった軍隊をビゼルトに集結いたしました。それで、その集結したビゼルトの基地をどうするか、こまかい話をこれからやろうという段階で、今日まで、三年余り経過しておりますが、その話は、ちょうどFLNとのアルジェリアの問題に関するフランス側の紛争のために、今日までに最終的な突っ込んだ真剣な話を進める段階に至っておりませんでした。それで、今年の初めブルギバ大統領がパリに参りまして、ドゴールと話したときにとにかくアルジェリア問題を片づけるのが先決だから、その話が山が見えるまで、ブルギバ大統領の方としては、ドゴールさんも大へんだからしばらくその問題を持ち出すのを遠慮するからということで、今年の春から今日まで参ったのでございますが、アルジェリアの問題に関するFLNとフランス政府との間の話し合いがある程度具体的な段階になってきましたとわれわれは想像いたしておるのでございますが、そのときに突如としてブルギバ大統領の方から、ビゼルトの基地を封鎖するという宣言をやると同時に、サハラの南の方の一部もチュニジアのものだから、それを勝手にFLNの方にドゴール大統領が譲ってはいかぬ、自分の方にも相談してくれなければ困るという趣旨の声明を発表しましたところ、御承知のような局地的な武力紛争、ビゼルトの軍港地区ばかりでなくて、ビゼルトの町の中まである程度武力衝突が波及しまして、それに関して一方、御承知のように、国連で、即時停戦、武力行使の中止、それからもとの状態に返すというような決議ができましたが、そのもとの状態というのは一体何かということで、今フランス側とチュニジア並びに国連との間で、その見解の対立と申しますか、事実、原状の考え方、解釈でございますね、それで対立しておりまして、おそらく平和状態、武力衝突がないときは、フランス軍隊はビゼルトの軍の施設の中に、全部その中に駐屯しておるのでございますが、今回は、ある程度チュニジア側の方からの武力発砲と申しますか、何かそういうものがあったのだと想像されますが、軍港から出て、ある程度町の中にある施設の方までフランス軍が占領しておる。その事実をもって、これはまだ武力衝突開始前の状態に戻っていないじゃないかというような、先般のハマーショルド事務総長の現地視察及びチュニジア当局の説明では、それは現状に戻ったとはいえない、フランスの方は、それに対してまだ何もはっきりした態度を示しておりません状況でございます。それで、私たちとしては心配しておりますのですが、チュニジアの方としても、話し合いで将来この問題を解決しようと言っておるのでありまして、それでチュニジアもそれを承諾しているのでございますので、おそらく国連その他関係者の御努力も、話し合いでとにかくこの問題を片づけようじゃないかという新しい話し合いをブルギバとドゴール大統領の間でつけるというふうに努力されておるのだと思います。
  26. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 今のお話を承ると、ハマーショルド事務総長が現地へ行って不満を表明したということがさっぱりわからないのですが、その点はどうなんでございますか。
  27. 杉浦徳

    説明員(杉浦徳君) 御承知のように、今、フランスとしましては、アルジェリア問題を解決するのが主眼で、ドゴール大統領はそのために全力をあげて今やっておる最中でございまして、むしろ、どちらかといえば、北アフリカ、特にチュニジア及びアルジェリアに関する問題が、国連とか第三者の勢力が入りまして、それで直接の話し合いの空気が乱されるということはあまり好ましくないというのがおそらくフランス当局の考え方だと想像いたします。それで、この際、他方FLNとしましては、むしろ今よりずっと過去四、五年間というものは、ブルギバ大統領から、とにかくドゴール、パリと話し合ってこの問題をきめなさい、この問題を国際化して、それで国連に持ち込んでもなかなか思うように問題解決できるものじゃない、二人で話し合いをしなさいというふうにブルギバ大統領自身がFLNの連中に説得してその結果今回のリュグラン会談その他開催の運びになったのでございます。それで、FLNとしましては、この際パリと一本立ちでやりたいという、国際問題化しないで、少なくともとりあえずの相手であるフランスと話をきめる、そういう態勢で今リュグラン会談を続行しておると私は考えております。  それで、ハマーショルド事務総長が現地視察されましたときに、これはおそらくドゴール大統領も、この問題を国際化すれば解決に時間がかかる、むしろお互いに冷静になって、フランスとチュニジアと二人で話し合いをした方がいいというような考慮もあったんじゃないかと思います。それで、ハマーショルド事務総長が来られてあの問題についていろいろフランス並びにこの問題が国連で正式に取り上げられれば、結局チュニジアとフランスの間の直接の話し合いがより複雑になって、解決がむずかしくなる、そういう意味でああいう態度をとったんだと私は想像しております。もちろん、国連とパリとの間のそういう話し合いについて十分に意見の交換がされたのだと思いますけれども、結果として、事務総長が現地視察のときに、思うように視察ができなかったということについて、事務総長自身としては、国連の立場から非常に遺憾であるとお思いになったんだと私は想像しております。
  28. 苫米地英俊

    苫米地英俊君 それではあれですか。新聞にある、ハマーショルド事務総長が、フランスは国際連合の決議を無視しておるという、非常に不満を感じておるという記事は、あれはあやまちだと言われるのですね。
  29. 杉浦徳

    説明員(杉浦徳君) いえ、そうでは、ございません。ですから、国際決議を無視しておるということは、無視というよりも、原状の、さきの紛争の開始前の状態に戻っていないということを事務総長も現地で、先ほど申し上げたように、ビゼルトの町の中まである程度フランス軍がまだいるということを事務総長が外から御確認になって、それで無視しているというような印象を持たれたのだと思います。ただ、事務総長の御意見でございますから、いずれ国連その他の正式の機関でそういうふうに判定を受けたわけでは私はないと思います。ただ、事務総長としては、現地視察の結果、ある程度フランスの方はまだ無視して国連の決議の通りに実行しておらぬということを御確認になったのだと私は思っております。
  30. 羽生三七

    羽生三七君 池田総理渡米の際の話し合いの結果できることになったと思われるこの日米貿易経済の委員会ですか、これは、外務省としては、十一月ごろ第一回の会合をやるように報道されておりますが、実力者といわれる経済閣僚も入って会合をやられるようですが、しかし、最近の情勢を見ておると、日米協力といわれながらも、実際には繊維協定、あるいはそのほか船の問題、あるいは日本に貿易の自由化を迫りながら、アメリカ自身がかなりきびしいいろいろな、輸入制限なり、あるいはアメリカ製品のつまり輸出競争を通じて、むしろ日本経済に対しては、ある意味においては日米協力に値するかどうかと思われるような重圧が相当かかっておるように思われるのです。ですから、ほんとうの意味日米協力であるなら、その点でもっと話がついて、そうして日本立場というものも相当改善されなければならないと思うのですが、日米経済委員会ですか、これについては、そういうことについて十分話し合えるのか。また、この委員会は、そういうことももちろんあるでしょうが、それ以外に主としてどういうことを扱うのか。その辺の今後の見通しなりお考えをこの際承っておきたい。
  31. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先般関係閣僚と相談いたしまして、十一月初めころだったら皆さんの御都合がいいようだし、先方もこの秋というように言っておりましたから、たとえば十一月の初旬はどうかということを先方に問い合わせまして、向こうから返事が来たら、それで確定することになろうかと思っております。この日米貿易経済閣僚レベルの委員会は、ただいま羽生さんがおっしゃいましたように、われわれとしましては、十分われわれの言うことを先方に、閣僚のレベルにおいて伝え、また先方の言う話もこちらの閣僚としてじかに聞いて、しからばどうするかということについて、十分お互い意見をそしゃくし合った上で結論を出していくというふうなことにしていきたいと思っております。事務レベルでございますと、何としても話が通り一ぺんになりますし、かたがたアメリカの経済というものは、戦後において、各国が非常に経済的に戦後の過渡期から立ち直ることのおそい時期に、アメリカとしては繁栄を享受したわけでございます。ところが、最近においては、ヨーロッパにおいても、ヨーロッパ共同体として非常に立ち上がってきた。日本経済も非常によくなっている。そういう状況のもとにおいて、アメリカの中には、やはり保護貿易主義者というのが非常な勢いで台頭してきておる。保護貿易主義者のその勢いというものは、どうしても事務官僚では押されてしまう。そこで、やはり政治家同士の話し合いで、そうした勢いをどう方向づけていくかということに私は一番大きなねらいがあるように思うのです。私どもとしては、そういうことを考えていきたいと思っております。ですから、その会談の主たる内容は、やはり世界経済に対する両国の分析というものが一つの主題だと思います、それから、両国の経済の実態というものに対してお互いに知識を持ち合って、そしてその上に日米間の貿易の実態というものもお互いで懇談してみるのも主要なことだと思います。その中には、今御指摘のように、シップ・アメリカン、バイ・アメリカンの問題、あるいは繊維会議に現われましたあの結論は私ども不満でございますので、率直にそういうことも言っております。そういうような問題が入ると思います。  それから経済協力という問題、これについても、まあアメリカはずいぶん膨大な金を使っておるわけですけれども、ある意味で相当効果が上がっていると思いますけれども、それにしても、非常に多額の金を使った割合に、その評価というものは総体的には低いのじゃないかというふうに思われる点もございます。そういう点では、日本考えというものをもっと聞いていこうという態度先方に現われておるように思いますし、そういうこともございますから、十分経済協力の問題についても慎重にやっていきたいと思っております。  それから、自由化世界の大勢に対してどの段階でどういう措置をとったらいいか。まあ私どもの方は、ずいぶん自主規制をやっておるわけであります。しかし、そういう自主規制ということの徹底しない国もやはりあるわけであります。そうすると、結局自主規制をやっておるうちに、まじめにやっており、またそれをやる能力がある国が結局おくれてしまうと、いわゆる正直者がばかを見るということが出てくるわけであります。そういうようなことも関係閣僚が承知しておいて、アメリカの行政をやってもらうということはいいと思います。また、われわれ自身としても、アメリカ側としてどういうふうな考えを持っておるかということを知っておいて、こちらの施策を講ずるということも意義があると思います。アメリカとしては、そういうことを考えながら、やはりヨーロッパの方にも日本の輸出をもっと向けたいという気持はあるわけです。アメリカは、非常に繁栄を享受しておる間は一手に引き受けたのですが、今後はなかなかそうはいかないということで、若干視野を変える必要もある。一方ヨーロッパにおいても、先進工業国として低開発国の開発をどんどん進めようとしている。そういうものについて日本は相当に協力したいという気持もある。しかし、そういうものをどういうふうに調整していくかということもございまして、先ほどもちょっと触れましたように、日本としては、日本はもう戦後の立ちおくれた国じゃなくて、ある程度立ちおくれを回復した国として、十分世界の貿易、経済についても発言権のある国としてこの問題をやっていきたい、そういう気持を持っております。
  32. 羽生三七

    羽生三七君 もう一点だけで終わります。  日本の経済閣僚会議のレベルに相応するアメリカのレベルとか顔ぶれというものは、一体どういうことが予想されるのか。かりにそういう合同委員会が開かれた場合に、今外相の最後の方でお話があったように、日本の力に相応する何らかの成果をあげることは期待できますか。その辺どうですか。
  33. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) こちらの関係は、外務、大蔵、通産、農林、労働、経済企画庁、こうなっております。先方は、外務に相当する国務相、それからみんなそのあと長官でございますが、ちょっと名前が違っておるのは、経済企画庁というのは向こうにはないわけで、これには内務長官が当たるということになろうと思います。それぞれ長官が出る、こう言っております。ただし、向こうでは、日本に来るということになると、どうしても前後を入れて一週間くらいあけることになるわけでございます。主要閣僚、六閣僚出てしまうということ、一週間そろってあけるということはかなり困難であります。その意味でなかなか話し合いがまとまらなかったのでありますが、今回幸いにしてまとまりました。これが全部来れるようになりますか、多少代理者ということにもなろうかとも思うのですが、そういう点は、若干そのときの事情でわかりません。  それから、成果あるかというお話でございますが、成果あるようにしたいと思っておるわけですが、一ぺんでぐにそう解決しますか、その点は、率直に言つてもう必ずあると言って大ぶろしきを広げることもどうかと思います。とにかく双方の理解を非常に広げるということについては効果があるだろうと思います。その高まった理解がその後もいろいろな形で効果を現わしてくるのじゃないかと思います。かように考えます。
  34. 羽生三七

    羽生三七君 もう一点だけです。  その経済合同委員会で、純然たる普通のコマーシャルのいろいろな貿易関係だけが協議されるのか。あるいは日本の防衛生産のようなものについても、向こうが何らかの発言をすることがあるのか、その辺はどうですか。
  35. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは国防長官で、こちらの防衛庁長官は入っておりませんから、むろんそういうものはないのじゃないかと思います。
  36. 永野護

    ○永野護君 今の点について、私がかって多少触れました点から外務大臣に伺いたいのですが、それは、安保条約の第二条ができたときに、安保条約というものは軍事同盟だという説が非常に強いときに、あの二条をなぜもっと生かして、いわゆる経済同盟という意味もあるんだということをつけ加えたらどうだということを、当時私、岸総理でありましたか、話しまして、そして足立さんを全権に追加して、これは足立さんには、もう君は外交一般のことなんか専門家が多いんだから一切触れないで、第二条をどうして具体化するかということだけを自分の任務に心得て行ってくれという話をしたことがあるのであります。帰りましてから、いろいろやってみたけれどもどうしてもいかなかった。その理由に、視野はもっともだけれどもアメリカじゃ今までこんな経済同盟という意味のなには前例がないというようなことも一つの理由だと言っておりました。それがどうして、岸内閣のときにできなかったことが、どういう変化がアメリカに起こって、前にできなかったことが、しかも、それ専門に行った人が一生懸命やったのにもできなくて、しいてやるとすれば、民間単位で、商工会議所同士でやるのなら例もある。だから、そういうことならばできるけれども、国の機関としての経済委員会というものは、どうしてもアメリカ側が承知しなかったというので、ほかの人は別ですけれども、足立君は、これだけをまあ任務にして加わったような気持もあったものですから、非常に弱っておったんですが、それだけ強い反対が、今度行かれたら、まあ苦もなくと言うと、外務大臣非常に苦労されたのかもしれぬけれども、はたから見ると、すらすらっと行ったようにも見えるんですが、それは、どういう変化がアメリカの内部に起こったと外務大臣はお考えになりますか。
  37. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私も実は昨年九月に行きまして、ハーター長官との間にも、今永野さんがおっしゃったような点は、委員会でしばしば御注文がある、これはぜひやりたいということを言ったんですが、どうも、よく考えてみるという程度でございまして、今度は、やはりいろいろ事前に折ているうちにそんなような雲行きにだんだんなって参りまして、理由は私わかりませんけれども、新政権がもっと積極的に、従来もそうでありましたが、さらに積極的に、日本との経済関係というものを安定した基礎の上に置く必要があるということを考えたからであろうかと存じます。  なお、これと同様なものに、よけいなことを申しまして恐縮ですが、カナダヘ参りましても話をいたしまして、これは、実は事前に話している間には少し消極的でございましたですが、話しているうちにすっかりジーフェンベーカー首相がその気になられまして、これは四人くらいの閣僚でどうかということを提案しておりますが、そういうのを年に一回ぐらいやろうということに合意いたしております。結局、日本の今ある国の立て方というものは、何といっても狭い土地に大ぜいの人口がいて資源が乏しいということで、貿易を盛んにしていかなくちゃ生活水準の向上は望めないわけですが、回りの国がやはり同一の経済高水準を持っているわけでもございませんですから、何としても経済的に強く結ばれていく形をいろんな国との間にやる必要があろうかと思うわけです。その意味では、大いに私ども期待いたしたいと思っておる次第でございます。
  38. 永野護

    ○永野護君 私は非常に成功だと思うのでありますが、その委員には当然外務大臣が一番、まあリーダーと言っちゃ悪いんだけれども外交折衝の責任者としての発言の機会があると思われるわけで、あらかじめ私の感じを申し上げておきたいんですが、たとえば経済同盟とか何とかいうことの意味に解しますと、すぐ貿易の現実の問題に、クォータを増せとか、税率の問題だとかいう問題が、事務的に考えると出そうなんですけれども、私は、そんな問題は、それはそういうトップ・レベルの話じゃなくても、本来の外務官僚にまかしておおきになって、日本で一番ほしいのは、日本の底の浅い経済は、あるいはこういう順調なときにはスムーズにいきますけれども、何かちょっと波乱が起きるとつなぎがとれない。そこで、例が少し悪いのですけれども、いなかの銀行なんかが、何も必要のないのに中央の大きな銀行の親銀行を持っているのは経済界の波を打つ間のつなぎをとるという、その必要性を感じているから、現実の目先の問題にはそう親銀行のお世話になることがなくても、親銀行を持たないと、地方銀行は非常に基礎が弱いようにだれも感じているわけです。そういう意味で、世界の経済界が波を打ちます、いろいろ変動がありますときに、具体的のことじゃありませんけれども、一般的に日本の財界に大きい変動が起きたときには、全力をあげて、つまりその普通の日本の例が悪いのでありますけれども、地方の地方銀行と中央の親銀行のような関係に置くという一般的の取りきめができたら私はまあ大成功だと、こう思うのであります。すぐ具体的にあのクォータは幾ら増してくれというようなことをその議題にされるのはどうかとまあ思う気がしますから、そういうときに日本の財界で一番希望しているのはそれだと思うのであります。これは少し話が横へそれるのでありますけれども総理と外務大臣が今度外遊から帰られまして、日本の財界の、これは政界というよりは、私は聞きたいのが財界の人の心がまえでありますけれども、一面、先ほどから話が出ましたように、日本の国際的の立場が非常に向上したということを喜ぶとともに、反面これは大へんなことになるぞという、その責任を感ずる。これは、御承知の通り日本の生産業というのは、ほとんど原料は外国から輸入し、できた製品も外国へ売るものですから、すぐ万一の場合が起きたときにどうなるであろうかということは非常に心配するのであります。これは、理屈は何もないのでありますが、からだで感得する、そういう気持があると思います。そこで、すぐ核戦争が起こるような、第三次世界大戦というふうにはなろうと、これはほとんどの人は感じておりませんけれども、経済的に見ますと、その戦争が起きたと同じような現象が起きはしないか。たとえば、非常に国際間の緊張が起きますと、たとえば運賃など非常に暴騰してくる。そうすると、ほとんどの原料を外国に依存している日本の産業では、そのときの手当をしておかなければならぬ。ごく一口に申しますと、原料の買いだめなんかをある程度しておかぬと、その間のつなぎがとれぬというような気持にこれは現実に今なっているのであります。従って、私がお伺いしたいのは、これは外務大臣に、あなたはどう感ずるであろうかということを聞くのも適当でないかもしれませんけれども、ほんとうの戦争にはならぬまでも、経済的に見ると、ほんとうの戦争と同じような結果の起こる、そういう危険のまあプロバビリティと申しますか、その点が今の財界人が最も聞きたいと思っている点だと思います。これは、こういう席での質問応答の材料としては非常に不適当であるということは、私もよく心得ておりますから、そんな心配は絶対にないと言われても、あると言われても、そこは適当に判断いたしますけれども、今現実に心配しておりますので、そういう手当を現実にやっておるところが多いのであります。それくらい、これは一面において非常に喜ぶとともに、一面において非常な責任と申しますか、リスクをからだで感じておるのです。そこで、直接衝にあたられた、ことに世界の大勢をよく知っておられる大臣から、それは杞憂だという……。
  39. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) むずかしい御質問で、私もよくわかりませんけれども日本の商社の方というのは非常に有能でございますから、私なんか何と申し上げるよりも、さらによくそれぞれの問題については御存じかとも思いますので、その程度にしていただきたいと思います。  それからさらに、箱根の日米貿易経済会議は、おっしゃるような気持で、高いところでつかみたいと思いますが、それにつけても、東京でやるよりも山の上の方でやって、高い所から見る方がよいと思って、箱根を予定いたしております。なお、あまりにそういうことで時間をとって、国務を渋滞さしてはいけないと思いますので、二日充てたそのうちの一日は休日にするという心配りをいたしまして、何分一つ大づかみのところで、将来の展望が開けるように、そういう気持で扱ってみたいと思っております。
  40. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 ケネディとの対談において、一般の国際情勢についてのお話があったとのことでありますが、私がここでお尋ねしたいのは、ただ一点、核実験の問題についてであります。核実験問題は、外交の問題として見るとき、何と申しましても、これこそが東西の関係、軍縮問題はもちろんのこと、その他の複雑な政治問題の今後の推移を測定するバロメーターであり、あるいは第一のかぎであるに違いない。そこで、当然この会談におきましては、ケネディからも話があり、またケネディはああいう人でありますから、きわめて率直な話があったと想像いたします。そこで、私のお尋ねしたい点は、こういうしかし影響するところ非常に微妙なものがありますので、その会談においてケネディの言っておることそのままをここで発表して下さいということじゃない。ただ、会談になりまして、いろいろと意見の交換、観測の相互の見解の表明があった、その後において外務大国は、この核実験の問題が、今後核実験禁止の協定が見込みありとして、それに向かってなおまじめな努力を継続していくという心がまえに両方があると見ておられるのか。そうでなくて、これはもう実際上は見込みは暗いという判断のもとに、むしろ核実験の再開をせざるを得ぬというような心がまえにあるのか。その辺のところについて、外務大臣としての御観測なり印象といったような点、そういう点、ごくざっとでよろしゅうございますから、お伺いしたい。
  41. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) アメリカケネディ大統領といわず、他の西欧の首脳部との会談等を総合してみまして、核実験の停止こそは東西において合意し得る可能性のある問題だという認識に立つのが私の観測であります。それが、核を保有する国が現在ふえないということを望む意味において両陣営とも共通という意味であります。しかしながら、そういう前提であるにかかわらず、フルシチョフソ連首相は、なぜこれに積極的に進んでこないのだろう。例のケネディアメリカ大統領にあてたフルシチョフソ連首相の手紙の中に、あらゆる武器が破壊されざる限り、あらゆる査察はスパイ行為であるというのがあるわけですが、そういう考えに立つのは一体なぜだろうか。そういう疑問が西側にある。しかしながら、私どもとしては、あくまでこの核実験の停止こそはやり得るまず最初のものであろう。これができて、核使用の禁止というところに進み得るきっかけでありますし、全般の軍縮問題といっても、なかなかこれはそう簡単に進まないものでありますから、そうした単一の問題を取り上げて、世界平和への具体的な足がかりを作る最も大切なことであると考えますが、われわれとしては、あくまでこの核実験停止協定の成功ということに対して、われわれの立場でできるだけの努力をしたい、こう思っております。
  42. 森元治郎

    森元治郎君 さっきの大臣の報告に関連して、二、三、だいぶ日本もりっぱな国になって、相談相手になったから、これから何かと御相談しようと、大へん、感激して帰ってこられたんだが、それは、地域的にはアジアだけの問題ですか。全世界の問題ですか。
  43. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 全世界の問題、ことにアジアに関連しております。
  44. 森元治郎

    森元治郎君 それから、これは軍事だけでなく、政治一般ですか、この問題は……。
  45. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 情勢全般に通ずる問題だと思っております。
  46. 森元治郎

    森元治郎君 せっかくここまで話し合ったのなら、ちょっと一筆書いておくと非常によかったと思うのは、岸さんとアイゼンハワー大統領との共同声明がありましたが、それを国会質問したわけですが、それを一ぺんに吹き飛ばすいい種だったのだが、それが喜んじゃって、一筆書くのを忘れたんだな。大体あのコミュニケはあまり上手ではない。あれはまずいコミュニケでしたよ。こんなものは、やはり一つの共同声明についてうまく仕組んで出すと大へんよかったんですね。  そこで、ベルリン危機の問題ですが、あまりなめるな、もう承知しないぞというのがアメリカ態度、こちらはもうはらがきまっている。どうするかは、一にかかってソ連出方だと、下駄を預けたというのがアメリカあるいは自由陣営新聞に書いてあることなんですが、そういうふうに見ていいのか。これは、ほんとうにソ連は既定方針通り出てきて、ごたごた起きそうだとお考えになるのが。余裕がそこに幾らかでもあるのか。危機判断ですがね。どんなふうにお感じになったのか。
  47. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 一筆書くの問題は、これは最高首脳部と最高首脳部の話し合いの約束でございますから、これはその言葉通りにお考えいただいてけっこうだと思います。書いてあるないにかかわらず、問題として考えていただいていいと思います。  それから、危機判断でございますが、ちょっと速記をとめていただけませんか。
  48. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  49. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を始めて。
  50. 森元治郎

    森元治郎君 そこで、世界問題にも拡大する問題であるということならば、意見を言うべき場ができたわけだから、そこで、ドイツ問題の処理を一九四五年のいわゆる四カ国の管理という形で今日まで進んできているけれども一体四カ国にまかしていいのかどうか。当時は四カ国は連合国で、その他はみな力がなくて、発言権もなかったが、依然として四カ国の相談によってドイツを管理しておる。しかし、影響するところはもう全世界に及ぶのですから、いつまでも四カ国管理だけにベルリン——ドイツ問題の処理をまかしておくのがいいのか。もっとほかの場でもって、影響するところは全世界的になるのですから、論議すべきか。こういうことを御検討になったことがあるかどうか。国連でやるのもよし、あるいはその他の形式でやるのもよし、四カ国だけにまかしておかない、こういうことについての御検討は外務省としてあったかどうか。
  51. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) その問題は、いろいろ考えてみたことがありますけれども、ただ問題は、非常に多数国の間に広めて、それでいいかどうかという問題があろうと思います。あまり直接に関係のないものが大ぜい出ていって、問題をどんどん拡大してしまうという場合もあることでございますから、その点はなかなか考えものだと思っております。
  52. 森元治郎

    森元治郎君 中国代表権の問題については、新聞、ワシントンからの電報によっては、意見は交換したけれども、具体的に結論めいたものが出なかったし、また出さなかったようで、意見交換に終わったように聞いているのですけれども、この点は一体どういうことか。そこで、いずれにしても、中共の国連における代表権の問題については、うんと煮詰めていくと、日本も、今度の総会では、加盟に賛成できない、こういう態度のように、その後の政府側の人の話が新聞に出ているのですが、その間のワシントンの経過並びに日本態度をちょっと御説明していただきたい。
  53. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ワシントンで、今の話は当然議題になったわけですが、お話のように、意見を交換したにとどまりました。その後においてどうするかということにつきましては、これはなかなか微妙なことでございまするし、従来通り、われわれは、前向き、弾力的、しかも慎重に、という態度をもって考えて参りたいと思います。
  54. 森元治郎

    森元治郎君 しかし、いずれにしても、きのうか何かの政府筋の情報としては、やはりベルリン問題など、ラオスの情勢その他全般から見て、共産側の情勢に対処するために、中共問題は、今総会において、加盟までには進んで手を出さぬというように伝えられておりますが、そこまでの決定はないのですね。
  55. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ございませんが、ただ新聞のは、私、何新聞ですかよく存じませんけれども新聞にそういうものを発表した覚えは全然ございません。
  56. 森元治郎

    森元治郎君 これから小坂さんとお話するときは、新聞を切り抜いて持って参りますが、それはそれとして、日本ともよく相談をするという根本原則からみると、当然国連総会の前には御相談があるものと理解してよろしいですね。
  57. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 向こうからもありましょうし、こちらからも場合によっては相談する場合もあろうと思います。
  58. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御質問はございませんか。
  59. 永野護

    ○永野護君 タイの円問題は、これも新聞によりますと、非常に具体的に進んでおるように承知するのですが、大臣のお見込みはいつごろですか。実は非常に待ちかねている問題で、現実の問題に非常に影響がある問題ですから、ほんとうに旱天に慈雨を待つような気持で待っているわけです。
  60. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この問題は、五十四億円とすでに払ってある九十六億円をどうするかということでございますね。
  61. 永野護

    ○永野護君 そうです。
  62. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただ、これには少し話の行き違いがあったようで、こちらの協定文に対する読み方と、タイ側における読み方とが違う。読み方といいますか、解釈といいますか、違うというところに今問題があるわけでございます。東南アジアの有力なる友邦タイのことでございますから、十分相互の立場を尊重して、妥当な結論を出したいというふうに考えております。いつごろと、ちょっとそれは、私ども率直に言って、めどをつけてあるわけじゃございません。
  63. 永野護

    ○永野護君 タイに関係しております日本人の、全部じゃありませんけれども、有力なる人たちの意見は、あれはどうも、日本側の主張の方が無理だというような意見をちょいちょい聞くのですけれども、その読み方の差というのは、それはどうだか知らぬけれども、早くこれはまとめてもらったら、日本のために得じゃないかという意見が多いものですから、御参考に申し上げておきます。
  64. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御質問はございませんか。——他に御質問がなければ、本日はこの程度で散会いたします。    午前十一時五十九分散会