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説明員(大沢信一君) 局長がただいま出張中でございますので、当
委員会の御報告がおくれておりますので、私から簡単に
経過を御報告いたします。
四月二十四日夜の十一時二十九分でございますが、日航JA8003、俗に箱根号と称しております、タグラスDC8が、ホノルルからウェーキを経由いたしまして東京空港に着陸いたしました。滑走路、現在ありますA滑走路と申します長い方の滑走路の南の方からおりまして、あの滑走路一ぱいでとまり切れずに北の端、ちょうどただいま埋め立てをしております地区に突入いたしまして、排水のためのみぞが作ってございますが、そこへ足を突っ込みまして機体を大破いたしました。
搭乗人員は、乗客が百九名、それから乗員が十三名でございます。乗員あるいは乗客ともに、乗っていた人の被害はございません。
機体の方は、胴体が、操縦室と客室との間の結合部分がほとんど折損をいた、しております。それから先ほど申し上げましたように着陸装置、つまり足はみぞにはまりました
関係で大折損いたしました。発動機は四つございますが、そのうち三つ地面にすって損傷いたしております。そのほかに内部的には燃料タンクに亀裂が入っていたり、
相当の損傷がございまして、修理はまず不可能と思われました。
それでこの原因と思われました点は、第一にブレーキ系統、ブレーキ系統と
一般に申しましても、車輪のブレーキと、それからエンジンの推力を逆にいたしまする逆噴射装置あるいは非常用の空気ブレーキ、これらを全部含めましたブレキ系統の作動が正しく行なわれたか、という意味は、機械的に故障があったかなかったか、もう
一つはその操作が適切であったかという点が第一でございます。二番目は、着陸の接地点、滑走路に
最初におりました地点が正規の位置であったかどうか。第三に、そのときの速度が正常の速度でおりたかどうか。大体この
程度に一応しぼっております。
それで、ちょうど滑走路の延長上にすわり込んでしまいましたので、まず機体の撤収を始めまして、翌二十五日の午後に立川の米軍から二十
トンのクレーンが一台到着いたしました。夕刻自衛体の朝霞の部隊から二十
トン・クレーンが二台と十
トン・クレーンが一台現場に到着いたしました。それでその間にできるだけ現場における各部の
状況は写真あるいはスケッチ等で全部とりまして、そのままの状態で動かしたかったのでございますが、どうしても動きませんので、ほとんどちぎれておりました頭部と、それから尾部の尾翼のつけ根のところから切断いたしまして、二十七日夕刻までに胴体の下にころを入れまして、二十八日一ぱいかかりまして、俗にA地区と申しておりますが、格納庫の前の地域まで持って参りました。
このために、日航の国際線の運航に支障を来たしたわけでございますが、
措置といたしましては、とりあえず、シアトル線は全便休航いたしました。それから香港は毎週二便DC8を使っていたのでございますが、これを6Bというプロペラ機にかえました。そうして南太平洋のロスアンゼルスとサンフランシスコ線だけを従前
通り実施いたしたわけでございます。たまたま、一機オーバー・ホールに入りまして、実用できますのが二機になったわけでございます。ただそのオーバー・ホールの完成予定は今月二十一日の予定でありましたのを繰り上げまして、一応十六日には完成させる予定で作業を進めております。それから五号機に当たるわけでございますが、かねて注文中のもう一機のDC8が五月十七日に引き渡しを受ける予定でございましたが、その事故直後、ダグラスと交渉いたしまして、五月五日に繰り上げて引き渡しを受け、九日から就航いたしました。従って現在では現用三機ということになっております。オーバー・ホールが終わりますと四機になるわけでございます。ですから、南回り太平洋路線全部と、それから香港はきのうから復旧しているはずでございます。滑走路の状態では、A滑走路と申しますのは、大体八千九百フィートばかり長さがございますので、DC8の最大着陸
重量として許されております十九万九千五百ポンドで着陸いたしましても、地上滑走距離は大体四千フィートくらいということになっておりますので、この当時事故機の着陸が十九万九千ポンドでおりております。もちろん、最大着陸
重量の以下でございますから、滑走路が短か過ぎて事故が起きたということは考えられませんのですが、たまたま当夜雨が降りまして、滑走路がぬれておりましたので、多少すべったということはあったかもしれません。これも先ほど申し上げましたように四千フィートくらいで普通ならとまれる飛行機でございますから、スリップが重大な原因とは考えられておりません。
で、直ちに省内に私が主宰いたしまして臨時事故調査
委員会を作りまして、今日まで鋭意調査を進めておりますが、まあ調査の対象は一応二つにしぼられまして、
一つは飛行機の操作上の問題もう
一つは機械上の問題であります。で、主としてその操作の面に関しましては、機長以下全乗組員のまず供述書をとりまして、さらに個々に呼んでいろいろ
説明を聞いております。それから当夜管制塔におりました二人の管制官からも供述書をとっております。ほかに地上で見ていた者が何人かございますので、これらの
説明も聞いております。滑走路に残りました車輪の痕跡その他滑走路の
状況も一応調べました。当夜の気象
関係の資料は全部収集いたしております。機械の方に関しましては、案外撤去にひまどりまして、今週の初めごろから、先ほど申しましたブレーキ系統
関係の各種機能部品を
日本航空
整備の試験室に持って参りまして、それぞれ試験を始めておりますが、これらの結果が判明いたしますのは、大体今月中旬と思われます。従って現在までのところ、操作上の問題あるいは機械上の面から申しましても、これが直接の原因になったと思われる重大な過失や故障は発見されておらない現状であります。